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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103380
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/25 20170101AFI20240725BHJP
   B65B 11/00 20060101ALI20240725BHJP
   B65D 81/05 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B31B50/25
B65B11/00
B65D81/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007670
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】干潟 誠司
【テーマコード(参考)】
3E051
3E066
3E075
【Fターム(参考)】
3E051AA02
3E051AA03
3E051AB04
3E051BA20
3E051CA02
3E051CB02
3E051FB02
3E051HA02
3E051JA06
3E051KA03
3E051KA07
3E051KB01
3E051LA02
3E051LA07
3E051LB01
3E051LB03
3E066AA21
3E066AA37
3E066BA06
3E066CA01
3E066CA03
3E066FA01
3E066FA06
3E066HA01
3E066JA03
3E066MA09
3E066NA52
3E066NA53
3E075AA05
3E075BA82
3E075BA92
3E075BB12
3E075CA01
3E075DB02
3E075DB19
3E075DB23
3E075GA02
(57)【要約】
【課題】包装材が支持材ごと物品に巻き付けられて、包装材によって物品が包装され、且つ、物品が支持材に固定された包装成果物であって、支持材における物品が固定された物品固定部に対して立ち上がった立上げ部を備える包装成果物を作成する際の使用者の作業負担を軽減できる包装装置を提供する。
【解決手段】
包装装置1は、支持材102とともに物品104を搬送する搬送部22と、包装材Fを支持材102ごと物品104に巻き付けて物品104を包装しつつ、物品104を支持材102に固定する包装部70と、を備え、支持材102に対して、ミシン目からなる折スジ102bを入れる弱化線加工または折り曲げ加工を施す支持材加工部50を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の支持材と物品とからなる被包装物を搬送する搬送部と、
包装材を前記支持材ごと前記物品に巻き付けて前記被包装物を包装する包装部と、を備えた包装装置において、
前記支持材に対して、弱化線加工または折り曲げ加工を施す支持材加工部を備えることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
請求項1の包装装置において、
前記包装部が前記被包装物に前記包装材を巻き付ける方向を巻き付き方向とし、前記支持材における板厚方向と前記巻き付き方向との両方に対して直交する方向を幅方向としたときに、前記包装部は、前記支持材における前記幅方向の端部である幅方向端部が露出するように前記包装材を巻き付けるものであり、
前記搬送部が前記被包装物を搬送する方向を搬送方向としたときに、前記支持加工部は前記包装部に対して前記搬送方向の下流側に配置され、前記支持加工部は、前記支持材における前記幅方向端部の前記包装材から露出した部分に前記巻き付け方向に沿った弱化線または折り目を形成することを特徴とする包装装置。
【請求項3】
請求項2の包装装置において、
前記支持加工部は、前記幅方向における前記弱化線または前記折り目を形成する位置を変更可能であることを特徴とする包装装置。
【請求項4】
請求項2または3の包装装置において、
搬送される前記被包装物を前記支持材の前記板厚方向と平行な方向から見たときの前記搬送方向と前記巻き付き方向とは平行であり、
前記支持加工部は、前記搬送方向に移動する前記被包装物の前記支持材に接触して回転し、前記弱化線として前記搬送方向に沿ったミシン目を前記支持材に形成するミシン目作成部材を備えることを特徴とする包装装置。
【請求項5】
請求項2または3の包装装置において、
搬送される前記被包装物を前記支持材の前記板厚方向と平行な方向から見たときの前記搬送方向と前記巻き付き方向とは平行であり、
前記支持加工部は、前記搬送方向に移動する前記被包装物の前記支持材に接触して回転し、前記弱化線として前記搬送方向に沿った線状の凹部を前記支持材に形成する円盤状のクリーサーを備えることを特徴とする包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物品を台紙の上に載置し、台紙ごと物品にフィルムを巻き付けて物品を包装しつつ、物品を台紙に固定する包装装置が開示されている。この包装装置によれば、搬送時の物品の損傷を抑えることが可能となるように物品を台紙ごとしっかりと包装できる、とされている。
また、特許文献1には、物品が固定された台紙として、フィルムによって物品が巻き付けて固定されるベース部と、ベース部に対して直角に折り曲げられた二つの折曲片とを備えたものが記載されている(特許文献1の図1及び図2参照)。そして、この折曲片が台紙を箱に収納したときに、箱内で台紙が動かないように固定されるためのものであることが記載されている(特許文献1の段落番号0017等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-172287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台紙におけるベース部に対して直角に折り曲げられた折曲片の延在方向を高さ方向としたときに、折曲片の高さを箱の内側空間の高さに近い値とすることで、物品がフィルムによって固定された台紙を収納した箱を輸送する際に、折曲片が箱の内側の底面と天井面との間で突き当たり、箱内で台紙が高さ方向に移動することを抑制できると考えられる。
ここで、特許文献1に記載された台紙の折曲片は、包装装置での包装前の台紙を予め折り曲げて形成するもの、または、包装装置で包装された物品を箱に収納する際に折り曲げて形成するものである。このため、使用者は包装装置で物品を台紙に固定させる作業の他に、台紙に対して適切な折曲片を形成するために、折り曲げ易くする折スジ等の弱化線を台紙における適切な位置に形成する弱化線加工、または、台紙における適切な位置で直角方向に立ち上がるような折り曲げを行う折り曲げ加工を行う作業が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、板状の支持材と物品とからなる被包装物を搬送する搬送部と、包装材を前記支持材ごと前記物品に巻き付けて前記被包装物を包装する包装部と、を備えた包装装置において、前記支持材に対して、弱化線加工または折り曲げ加工を施す支持材加工部を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、包装材を支持材ごと物品に巻き付けて包装され、巻き付いた包装材によって物品が支持材に固定された包装成果物であって、支持材における物品が固定された物品固定部に対して立ち上がった立上げ部を備える包装成果物、を作成する際の使用者の作業負担を軽減できる、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係る包装装置の概略断面図。
図2図1の包装装置によってフィルムで包装された包装成果物を示す斜視図。
図3図2に示す包装成果物の立上げ部を立ち上げた状態を示す斜視図。
図4図3に示す包装成果物を梱包箱に挿入しようとしている状態を示す斜視図。
図5図5(a)~(d)は、包装装置の動作を時系列で説明する図。
図6図6(a)~(d)は、包装装置の動作を時系列で説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
実施形態の記載は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略することがある。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示されることがある。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示することがある。
【0009】
図1は、本実施形態に係る包装装置1の縦断面図である。図2は、被包装物100が包装装置1によってフィルムFで包装された包装成果物200を示す斜視図である。包装装置1は、フィルムFの伸縮性によって被包装物100を包装して包装成果物200を作成するストレッチ包装装置である。また、包装装置1は、図2の破線に示すように包装成果物200の台紙102に対して、フィルムFの巻き付き方向に平行な折スジ102bを形成する。
【0010】
被包装物100は、板状の支持材である台紙102と、台紙102の上に載置された物品104と、を含む。台紙102は、例えば段ボールである。台紙102は、特に限定されないが、この例では、物品104が載置された載置面102aに直交する方向に見て、矩形状である。弱化線である折スジ102bは、本実施例では、段ボールからなる台紙102の表面層に形成されたミシン目である。段ボールは複数層から形成されるため、表面層にミシン目を形成しても裏面を形成する層まではミシン目が形成されず、ミシン目作成部材で形成したミシン目を折スジとして機能させることができる。折スジ102bが形成された台紙102は、フィルムFによって物品が固定された物品固定部102cと、折スジ102bで折られることで物品固定部102cに対して立ち上がった状態となる立上げ部102dとを備える。
【0011】
図3は、図2に示す包装成果物200を折スジ102bで直角に折り、二つの立上げ部102dを、台紙102における物品が固定された物品固定部102cの載置面102aの法線方向に立ち上げた状態を示す斜視図である。
【0012】
図4は、図3に示す立上げ部102dを立ち上げた包装成果物200を梱包箱500の箱本体部501に挿入しようとしている状態を示す斜視図である。図4に示す状態から包装成果物200を箱本体部501に挿入し、箱蓋部502を箱本体部501に重ねて閉じることで、包装成果物200を梱包することができる。載置面102aの法線方向における立上げ部102dの長さを「立上げ高さ」としたときに、「立上げ高さ」が、包装成果物200を梱包した状態での載置面102aの法線方向における梱包箱500の内部空間の厚みである「箱内高さ」よりも少し低くなるように立上げ部102dを形成することが望ましい。これにより、梱包された包装成果物200が内部で移動しようとしても、立上げ部102dが梱包箱500の内部空間の上面と仮面との間で突き当たり、梱包箱500内で包装成果物200が箱内高さの方向に移動することを防止でき、梱包箱500内で包装成果物200がガタつくことに起因する物品104の損傷を防止できる。また、立上げ高さが箱内高さに比べて十分低く、梱包箱500内で包装成果物200が箱内高さの方向にガタつく状態であっても、物品104の高さ(載置面102aの法線方向における物品104の厚み)よりも立上げ高さを高くすることで、梱包箱500の内壁に物品104が接触する前に立上げ部102dの先端が梱包箱500の内壁に突き当たり、梱包箱500の内壁に物品104が接触することに起因する物品104の損傷を防止することができる。
【0013】
被包装物100に含まれる物品104は、一例としては、ECサイト(例えばインターネット上の店舗の通販サイト)で購入された商品であり、被包装物100はフィルムFでストレッチ包装された包装成果物200の状態で、例えば段ボール箱からなる梱包箱500に梱包され、購入者に配送される。
【0014】
包装装置1は、被包装物100をフィルムFで包装して包装成果物200を作成する装置である。すなわち、包装装置1は、台紙102ごと物品104をフィルムFで包装する装置である。包装装置1は、フィルムFによって物品104を台紙102に固定する装置と捉えることもできる。
【0015】
包装装置1は、図1中の右端に位置する挿入口2と、図1中の左端に位置する排出口4と、を有する。以降、挿入口2から排出口4に向かう方向を搬送方向Dといい、搬送方向Dにおいて挿入口2側を上流側、排出口4側を下流側という。包装装置1は、被包装物100をフィルムFで包装する包装部70と、被包装物100が包装部70で包装された包装成果物200の台紙102に折スジ102bを形成するスジ入れ部50と、制御部30と、を備える。被包装物100は、台紙102の対向する二辺が搬送方向Dと平行または略平行となるように、挿入口2から挿入される。包装装置1は、挿入口2から挿入された被包装物100を、排出口4から排出されるまでの間にフィルムFで包装し、台紙102の両端に折スジ102bを付ける。
【0016】
包装装置1の包装部70は、第一ロール支持軸10と、第二ロール支持軸12と、受け部14と、第一押さえ16と、第二押さえ18と、ヒータ20と、ヒータ支持部材34と、搬送部22と、第一センサ24と、第二センサ26と、を含む。包装装置1のスジ入れ部50は、スジ入れ部材としての回転ミシン刃51と、ミシン刃対向ローラ52と、排出ローラ対60と、第三センサ28と、を含む。
【0017】
第一ロール支持軸10は、第一フィルムロールR1の芯体(例えば紙管)に挿通され、第一フィルムロールR1を回転自在に支持する。第一ロール支持軸10は特に、第一フィルムロールR1が挿入口2よりも上方に位置するように設けられる。
【0018】
第二ロール支持軸12は、第二フィルムロールR2の芯体に挿通され、第二フィルムロールR2を回転自在に支持する。第二ロール支持軸12は特に、第二フィルムロールR2が挿入口2よりも下方に位置するように設けられる。
【0019】
二つのフィルムロールR(R1,R2)は、芯体に長尺の連続フィルムを巻回したものである。第一フィルムロールR1からは第一連続フィルムF1が引き出され、上部フィルムガイド32に掛けられ、その先端はヒータ20の受け部14の上方に位置する。第二フィルムロールR2からは第二連続フィルムF2が引き出され、下部フィルムガイド33に掛けられ、その先端は受け部14の上方に位置する。連続フィルム(F1,F2)は、被包装物100の台紙102よりも幅(搬送方向Dに直交する方向であって、図1の紙面に直交する方向である幅方向の長さ)が狭くなっている。これにより、包装成果物200の台紙102の幅方向の両側はフィルムFに覆われず、露出した状態となる。
【0020】
二つの連続フィルム(F1,F2)の先端同士は、前回の包装作業で溶着されて(すなわち繋がって)いる。また、二つのフィルムロールR(R1,R2)は上述のように回転自在に支持されている。したがって、被包装物100が挿入されて下流側に移動すると、被包装物100の先端に押された連続フィルム(F1,F2)の溶着された先端同士は、被包装物100とともに下流側に移動し、二つのフィルムロールR(R1,R2)からは先端が移動した分だけ連続フィルム(F1,F2)が引き出される。
【0021】
連続フィルム(F1,F2)を構成するフィルムFは、特に限定されないが、透明である。フィルムFは、少なくとも搬送方向Dに伸縮性を有するストレッチフィルムである。搬送方向Dに伸縮性を有するとは、搬送方向Dに引張力を与えると破断することなく伸び、引張力を除くと縮む性質をいう。引張力を除いたときに元の状態に戻るか否か、すなわち元の長さまで戻るか否かは問わない。包装材であるフィルムFを巻き付けるときにフィルムFを伸ばす方向が巻き付き方向となる。
【0022】
図1に示すように、包装部70では、第一押さえ16、ヒータ20、第二押さえ18は、この順に上流側から並んでいる。第一押さえ16、ヒータ20および第二押さえ18の下方には、受け部14が設けられる。受け部14は、平坦な受け上面14aを有する。第一押さえ16、ヒータ20、第二押さえ18および受け部14はいずれも、幅方向に長い部材である。
【0023】
第一押さえ16は、図示しない駆動機構によって、昇降可能である。第一押さえ16は図示の例では、第一押さえ下面16aが平坦面であるが、これには限定されず、例えば曲面であってもよい。
【0024】
ヒータ20および第二押さえ18は、いずれもヒータ支持部材34に支持される。ヒータ支持部材34は、図示しない駆動機構によって昇降可能である。したがって、ヒータ20および第二押さえ18は、ヒータ支持部材34の昇降に伴って、昇降可能である。この場合、ヒータ20および第二押さえ18を昇降させる駆動機構が一つで済むため低コストである。なお、ヒータ20および第二押さえ18をそれぞれ別々の駆動機構で昇降させてもよい。この場合、ヒータ支持部材34は不要である。
【0025】
第二押さえ18は、ヒータ20に対して上下方向に相対移動可能にヒータ支持部材34に支持される。また、第二押さえ18は、一端(上端)34aがヒータ支持部材34に固定され、他端(下端)34bが第二押さえ18の上端に固定されるバネ36によって、下方すなわち受け部14の受け上面14aに向かって付勢されている。
【0026】
第二押さえ18は、図示の例では、第二押さえ下面18aが平坦面であるが、これには限定されず、例えば曲面であってもよい。
【0027】
ヒータ20は、例えば、熱伝導率が良好で軽量のアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成される。ヒータ20の下端は鋭角に形成されている。ヒータ20には図示しないラバーヒータが焼き付け固着されており、このラバーヒータに通電することによりヒータ20を加熱できる。
【0028】
第一押さえ16からヒータ20までの搬送方向における距離L1は、好ましくは図示のように、ヒータ20から第二押さえ18までの搬送方向における距離L2よりも長くなるように構成される。距離L1は、例えば、第一押さえ16の第一押さえ下面16aの搬送方向Dにおける中央とヒータ20の先端との距離である。距離L2は、例えば、ヒータ20の先端と、第二押さえ18の第二押さえ下面18aの搬送方向Dにおける中央との距離である。
【0029】
第二押さえ18の下流側には、被包装物100を下流側に搬送するための搬送部22が設けられている。搬送部22は、連続フィルム(F1,F2)の幅方向における外側であって、被包装物100における連続フィルム(F1,F2)の先端側のフィルムF、または、連続フィルム(F1,F2)から切断されたフィルムF(以下、単に「フィルムF」という)が掛っていない幅方向における台紙102の両端を挟持して被包装物100を搬送する。搬送部22は、この例では、フィルムFの幅よりも広い間隔をあけて幅方向に互いに離間した二つ(図1では紙面手前側の一つのみが見えている)の上流側搬送ローラ対38と、フィルムFの幅よりも広い間隔をあけて幅方向に互いに離間した二つ(図1では紙面手前側の一つのみが見えている)の下流側搬送ローラ対40と、を含む。搬送ローラ対(38,40)はいずれも、台紙102に上側から接触する上ローラと、台紙102に下側から接触する下ローラとを含む。搬送ローラ対(38,40)は、上下のローラで台紙102を挟んで台紙102ひいては被包装物100を下流側に搬送する。被包装物100が搬送部22で搬送される間に、フィルムFによる包装が完了し、被包装物100を含む包装成果物200の状態でさらに下流側に搬送される。
【0030】
搬送部22の下流側には、スジ入れ部50が設けられている。スジ入れ部50は、連続フィルム(F1,F2)の幅方向における外側であって、包装成果物200におけるフィルムFが掛っていない、幅方向における台紙102の両端に折スジ102bを入れつつ、包装成果物200を搬送する。スジ入れ部50は、この例では、フィルムFの幅よりも広い間隔を空けて幅方向に互いに離間した二つ(図1では紙面手前側の一つのみが見えている)の回転ミシン刃51と、図1中の二点鎖線で示す被包装物100及び包装成果物200の搬送経路を挟んで回転ミシン刃51に対向する位置に配置された二つ(図1では紙面手前側の一つのみが見えている)のミシン刃対向ローラ52と、を備える。下流側搬送ローラ対40によって搬送され、ミシン刃対向ローラ52に下面を支持された包装成果物200に対して回転ミシン刃51の外周の刃が食い込み、搬送される包装成果物200または回転するミシン刃対向ローラ52に回転ミシン刃51が連れ回ることで、包装成果物200の台紙102の上面(載置面102a)にミシン目を形成する。このミシン目が形成された部分が折スジ102bとなる。ミシン刃対向ローラ52及び排出ローラ対60は、搬送部22の搬送ローラ対(38,40)と共通の駆動源から駆動が伝達され、搬送ローラ対(38,40)が駆動するときには、これらと共に回転駆動する。
【0031】
回転ミシン刃51及びミシン刃対向ローラ52の下流側には、フィルムFの幅よりも広い間隔をあけて幅方向に互いに離間した二つ(図1では紙面手前側の一つのみが見えている)の排出ローラ対60が配置されている。排出ローラ対60は、台紙102に上側から接触する上ローラと、台紙102に下側から接触する下ローラとを含み、排出ローラ対60は、上下のローラで台紙102を挟んで台紙102ひいては包装成果物200を下流側に搬送し、排出口4から排出する。
【0032】
第一センサ24は、第一押さえ16の上流側に配置される。第二センサ26は、第二押さえ18の下流側かつ搬送部22の上流側に配置される。第三センサ28は、排出ローラ対60の下流側に配置される。各センサ(24,26,28)は、それぞれの位置において被包装物100(または、包装成果物200)の先端または後端を検出する。
【0033】
制御部30は、包装装置1を統括的に制御する。制御部30は、具体的には、各機構を駆動するモータなどのアクチュエータ類の動作や、連続フィルム(F1,F2)を溶着するためのヒータ20の過熱を制御する。例えば制御部30は、各センサ(24,26,28)による被包装物100(または、包装成果物200)の検出結果に基づいて、搬送部22、ミシン刃対向ローラ52及び排出ローラ対60による被包装物100(または、包装成果物200)の搬送を開始および停止させる。
【0034】
以上が包装装置1の基本構成である。続いて包装部70の動作の一例を説明する。
【0035】
図5(a)~(d)、図6(a)~(d)は、包装部70の動作の一例を時系列で説明する図である。図5(a)では、第一押さえ16、ヒータ20および第二押さえ18は、受け部14の受け上面14aから上方に離間した待機位置にある。この状態で被包装物100が包装装置1に挿入される。待機位置は、挿入される被包装物100に第一押さえ16、ヒータ20および第二押さえ18が接触しない位置(高さ)である。待機位置では、第二押さえ18はヒータ20よりも受け部14の受け上面14aの近くに位置する。搬送部22の搬送ローラ対(38,40)は停止している。
【0036】
図5(b)では、搬送部22のところまで被包装物100が挿入されている。搬送部22の搬送ローラ対(38,40)は、第一センサ24が挿入された被包装物100の先端を検出した時点で回転駆動を開始し、搬送部22まで到達した被包装物100の台紙102の両端を挟持して被包装物100を下流に搬送する。
【0037】
図5(c)では、被包装物100の後端は第一押さえ16の下方を通過している。第一押さえ16は、待機位置から把持位置に下降している。搬送部22は、被包装物100をさらに下流に搬送している。
【0038】
第一押さえ16の把持位置は、第一押さえ16が受け部14の受け上面14aに押し付けられる位置である。第一押さえ16が把持位置にあるとき、連続フィルム(F1,F2)は、第一押さえ16と受け部14によって把持される。つまり、第一押さえ16と、第一押さえ16と対向する受け部14の部分は、連続フィルム(F1,F2)を把持する把持部を構成する。連続フィルム(F1,F2)が把持されることにより、二つのフィルムロールR(R1,R2)からの連続フィルム(F1,F2)の供給は停止される。言い換えると、下流側に向けて搬送される被包装物100が連続フィルム(F1,F2)を引っ張る力は、第一押さえ16と受け部14とが連続フィルム(F1,F2)を把持する把持部よりも上流側には作用しなくなり、フィルムロールR(R1,R2)から連続フィルム(F1,F2)がそれ以上は引き出されなくなる。さらに言い換えると、フィルムロールR(R1,R2)から連続フィルム(F1,F2)が引き出される速度(以下、「引出速度」という)がゼロになる。つまり、第一押さえ16と、第一押さえ16と対向する受け部14の部分は、把持部、ひいては、連続フィルム(F1,F2)の供給を停止させる(引出速度をゼロにする)フィルム供給調整部を構成する。なお、引出速度は、フィルムロールR(R1,R2)から引き出された直後の連続フィルム(F1,F2)の部分の速度である。また、引出速度は、連続フィルム(F1,F2)が引き出されることにより回転するフィルムロールR(R1,R2)の外周面の周速度と等しい速度とも捉えることができる。
【0039】
詳しくは、第一押さえ16は、被包装物100の後端が、第一押さえ16の下方を通過した後、かつ、ヒータ20の下方を通過する前に把持位置に到達し、受け部14とともに連続フィルム(F1,F2)を把持する。
【0040】
例えば、第一センサ24が被包装物100の後端を検出したことを契機として、被包装物100の後端が第一押さえ16の下方を通過した後、かつ、ヒータ20の下方を通過する前のタイミングで搬送部22による搬送を停止し、次いで第一押さえ16を把持位置に下降させ、次いで搬送部22による搬送を再開させてもよい。また例えば、搬送部22による搬送は停止させずに、第一センサ24が被包装物100の後端を検出したことを契機として、被包装物100の後端が第一押さえ16の下方を通過した後、かつ、ヒータ20の下方を通過する前のタイミングで第一押さえ16が把持位置に到達するように第一押さえ16を下降させてもよい。
【0041】
第一押さえ16を把持位置に下降させて連続フィルム(F1,F2)の供給が停止されている状態において、搬送部22が被包装物100をさらに下流に搬送しているため、第一押さえ16よりも下流側で連続フィルム(F1,F2)の先端側のフィルムFが伸長する。
【0042】
図5(d)では、被包装物100の後端は第二押さえ18の下方を通過している。ヒータ支持部材34は待機位置(図5(a))から下降され、それにともなって第二押さえ18は待機位置から把持位置に下降している。搬送部22による被包装物100の搬送は停止されている。
【0043】
第二押さえ18の把持位置は、第二押さえ18が受け部14の受け上面14aに押し付けられる位置である。第二押さえ18が把持位置にあるとき、連続フィルム(F1,F2)は、第二押さえ18と受け部14の受け上面14aによって把持される。つまり、第二押さえ18と、第二押さえ18と対向する受け部14の部分は、連続フィルム(F1,F2)を把持する把持部を構成する。
【0044】
詳しくは、第二押さえ18は、被包装物100の後端が第二押さえ18の下方を通過した後に把持位置に到達し、受け部14とともに連続フィルム(F1,F2)を把持する。
【0045】
例えば、第二センサ26が被包装物100の後端を検出したことを契機として、搬送部22による搬送を停止し、次いで第二押さえ18を把持位置に下降させる。
【0046】
図6(a)では、第一押さえ16は、把持位置から待機位置に上昇している。なお、第一押さえ16は受け部14の受け上面14aから離間できればよく、待機位置まで上昇しなくてもよい。図6(b)では、第一押さえ16は、再び、待機位置から把持位置に下降している。つまり、連続フィルム(F1,F2)は、第一押さえ16と受け部14による把持から一旦解放される。これにより、第一押さえ16と第二押さえ18との間における連続フィルム(F1,F2)のテンションが低くなる。これにより、後続の熱溶着における溶着不良の発生が抑止される。
【0047】
連続フィルム(F1,F2)は、ヒータ20の上流側は第一押さえ16によって、ヒータ20の下流側は第二押さえ18によって、それぞれ受け部14に押さえつけられている。したがって、ヒータ20によって溶着されるべき位置、すなわちヒータ20の下方の位置において、連続フィルム(F1,F2)は互いに密着している。
【0048】
なお、図6(b)において、第一押さえ16は把持位置まで戻されずに、受け部14の受け上面14aから僅かに上方に離間した位置まで戻されてもよい。第一押さえ16が連続フィルム(F1,F2)を受け部14に押し付けなくても、受け部14の受け上面14aから僅かに離間した位置にあれば、第一連続フィルムF1と第二連続フィルムF2とが離間しすぎるのを抑止できる。つまり、二つの連続フィルム(F1,F2)は比較的密着する。この場合、第一押さえ16は、後述の図6(d)よりも前までに、具体的には、搬送部22による搬送が再開されるまでに、把持位置に戻されればよい。
【0049】
図6(c)では、ヒータ支持部材34はさらに下降している。第二押さえ18は、図5(d)の時点で既に把持位置に到達しているため、第二押さえ18はヒータ支持部材34のさらなる下降に伴って下降しない。なお、受け部14の材質は特に問わないが、例えば、少なくとも押さえ(16,18)によって下方に押し付けられてもその部分が実質的に変形しないすなわち凹まない材質であってもよい。一方、ヒータ20は、ヒータ支持部材34の下降に伴って下降し、溶着位置に到達している。溶着位置は、ヒータ20の先端が受け部14の受け上面14aに押し付けられる位置である。つまり、第一押さえ16とヒータ20は、互いに対して相対移動している。ヒータ20は、互いに密着している連続フィルム(F1,F2)に接触し、それらを熱溶着する。これにより、第二押さえ18よりも下流側の連続フィルム(F1,F2)が伸長した状態で、それらは互いに溶着される。
【0050】
図6(d)では、ヒータ支持部材34が上昇し、ヒータ20、第二押さえ18がそれぞれ溶着位置、把持位置から上昇している。この状態で搬送部22による搬送が再開され、溶着位置で連続フィルム(F1,F2)は切断される。すると、被包装物100を包装したフィルムF(すなわち連続フィルム(F1,F2)から切り離されたフィルムF)は縮み、被包装物100がフィルムFによってしっかりとストレッチ包装された包装成果物200となる。
【0051】
以上が包装部70の動作の一例である。続いて、図5(c)において、被包装物100の後端が「ヒータ20の下方を通過する前」に第一押さえ16を把持位置に到達させて受け部14とともに連続フィルム(F1,F2)を把持していることについて言及する。包装部70では、図6(d)において被包装物100を包装しているフィルムF、すなわちヒータ20による溶着部よりも下流側の、連続フィルム(F1,F2)から切り離されたフィルムFが、なお収縮しようとする力により、物品104を台紙102に固定する。
【0052】
これに対し、仮に、被包装物100の後端がヒータ20の下方を通り過ぎてから第一押さえ16を把持位置に到達させると、ヒータ20よりも下流側の連続フィルム(F1,F2)は、その時点(すなわち伸長前の時点)で既に、被包装物100を緩く包装することになる程度に長くなっている。当然ながらフィルムFは、伸長後に解放されて収縮しても、伸長前の長さよりも短くはならない。したがって、この場合、被包装物100を包装するフィルムFは、物品104を台紙102に固定できない。
【0053】
したがって、被包装物100の後端がヒータ20の下方を通過する前に第一押さえ16を把持位置に到達させて受け部14とともに連続フィルム(F1,F2)を把持する必要がある。
【0054】
しかしながら、被包装物100の後端がヒータ20の下方を通過する前に第一押さえ16を把持位置に到達させたとしても、その時点での被包装物100の後端からヒータ20までの搬送方向における距離L5(図5(c)参照)が短い場合、やはり、被包装物100を緩くしか包装できないおそれがある。具体的には、伸長したフィルムが収縮しても元の長さまでは戻らないことがあり、元の長さよりも長くなった部分(以下、「伸び部分」という)の長さがL5よりも長い場合に、被包装物100を緩くしか包装できなくなる。したがって、L5は伸び部分の長さよりも長くなければならず、またL5が長いほどきつく包装できる。L5の長さを稼ぐためには、L1にはある程度の長さが必要になる。一方で、L2の長さはこれには影響せず、装置を小型に構成するためにはできるだけ短い方がよい。
【0055】
また、フィルムの伸縮性によって被包装物100を包装することから明らかなように、ヒータ20から第二押さえ18までの搬送方向における距離L2、図5(d)における被包装物100の先端位置から第一押さえ16までの搬送方向における距離L3、図5(d)における被包装物100の後端位置から第二押さえ18までの搬送方向における距離L4は、被包装物100に振動や衝撃等が加わったときに台紙102に対する物品104の位置ずれが生じないように被包装物100がしっかり包装されるか否かに影響を与える。これらの距離L2,L3,L4は、実験等に基づいて、連続フィルム(F1,F2)を構成するフィルムFの伸縮性に応じた適当な値に決定されればよい。
【0056】
なお、第一押さえ16、第二押さえ18およびヒータ20がそれぞれ別々に搬送方向に移動可能であってもよい。この場合、距離L2,L3,L4を変更できる。例えば、連続フィルム(F1,F2)としてフィルムFの伸縮性が異なるものに変更する場合や、台紙102の搬送方向の長さを変更する場合に、被包装物100がしっかり包装されるように距離L2,L3,L4を調整すればよい。
【0057】
以上説明した包装部70の動作の一例によれば、特許文献1に記載の構成のように被包装物100を上流側に移動(逆走)させたり、連続フィルム(F1,F2)を巻き戻したりすることなく、被包装物100の上流側で連続フィルム(F1,F2)を把持した状態で被包装物100を下流に搬送して連続フィルム(F1,F2)を伸長させ、その状態で溶着するという比較的簡単な単純な動作で被包装物100をストレッチ包装でき、その結果、包装に要する時間を短縮できる。
【0058】
上述した包装部70の動作の説明は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例の動作を行う包装部70を備えた包装装置も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0059】
(変形例1)
上述した包装部70の動作の一例では、第一押さえ16と、第一押さえ16と対向する受け部14の部分とが、把持部ひいてはフィルム供給調整部を構成する場合について説明したが、これには限定されない。例えば、包装装置1は、フィルムロールR(R1,R2)が回転できないようにブレーキをかけたり、回転できるようにブレーキを解除したりするブレーキ機構を備えてもよい。この場合、ブレーキをかけてフィルムロールR(R1,R2)が回転できないようにすることで、フィルムロールR(R1,R2)からの連続フィルム(F1,F2)の供給は停止される。つまり、ブレーキ機構がフィルム供給調整部を構成する。
【0060】
(変形例2)
上述した包装部70の動作の一例および上述の変形例1では、フィルム供給調整部がフィルムの供給を停止させる、言い換えるとフィルムの引出速度をゼロにする場合について説明したが、これには限定されず、フィルム供給調整部は引出速度をゼロにしなくても引出速度を低下させればよく、具体的には被包装物100が下流に移動する速度よりも引出速度を遅くさせればよい。被包装物100が下流に移動する速度よりも引出速度が遅ければ、二枚の連続フィルム(F1,F2)は伸長するため、上述した包装部70の動作の一例と同様の作用効果を奏することができる。例えば、第一押さえ16と、第一押さえ16と対向する受け部14の部分とが、フィルム供給調整部を構成する場合、第一押さえ16を受け部14に押し付ける力を弱くすることによって、引出速度を遅くさせればよい。また例えば、変形例1に記載したブレーキ機構がフィルム供給調整部を構成する場合、ブレーキ機構がブレーキを弱めにかけることによって引出速度を遅くさせればよい。
【0061】
図1に示すように、包装装置1は、包装部70の下流側にスジ入れ部50を備え、包装部70で作成された包装成果物200の幅方向の両端部にミシン目からなる折スジ102bを形成することができる。
【0062】
台紙102に物品104が固定された包装成果物200のような包装成果物において、台紙102のような支持材の両端に立上げ部102dのような立上げ部を形成する工程としては、従来は、予め折スジが形成された専用の支持材を用いて包装装置で処理する、包装装置での処理の前に折スジを形成する処理を行う、または、包装装置での処理後に折スジを形成する処理を行う、等、包装装置での処理とは別に折スジを形成する処理、または、専用の支持材の入手が必要となり、ユーザーの負担となっていた。また、折スジが形成されフィルムが予め接着された専用梱包材が知られている。この専用梱包材を用いる場合、ユーザーは、フィルムと支持材との間に物品を入れて、支持材を折ることでフィルムを展張させて支持材に物品を固定し、支持材の他の部分を折り上げることで立上げ部を形成するものもあるが、ユーザーの手作業に頼るものであり、大量の物品を包装する作業ではユーザーの負担が大きくなる。
【0063】
これに対して、本実施形態の包装装置1では、ユーザーは、物品104を台紙102に載置した被包装物100を挿入口2から挿入するだけで、図2に示すように物品固定部102cと立上げ部102dとの境界となる折スジ102bが形成された包装成果物200を作成することができ、あとは、台紙102を折スジ102bの位置で直角に折るだけで、図3に示すように、物品固定部102cに対して立上げ部102dが立ち上がった状態の包装成果物200を作成することができる。
【0064】
上述した実施形態では、包装成果物200の台紙102に折スジ102bを形成するスジ入れ部50の折スジ形成部材が、台紙102の表面にミシン目を形成する回転ミシン刃51である場合について説明したが、折スジ形成部材としてはこれに限るものではない。本発明に係る折スジ形成部材は、その後の折り処理を行い易くするために、支持材を線状に強度を低くして弱化線を形成するものであれば特に限定されるものではない。折スジ形成部材の他の例としては、ミシン目ではなく線状の折スジを形成する円盤状のクリーサーやギロチン型のスジ入れプレートなど、台紙102に折スジ102bを形成できるものであればよい。また、支持体の表面にスリットを入れて弱化線を形成するものでもよい。ここで、ギロチン型のスジ入れプレートを用いて折スジ102bを形成する場合、台紙102の搬送方向Dの全域がスジ入れプレートと対向する位置まで包装成果物200を移動させて、包装成果物200の搬送を一度停止させ、スジ入れプレートを下降させて折スジを形成し、搬送を再開させる構成となる。この構成では、台紙102の搬送方向Dの全域よりも長いスジ入れプレートを配置するスペースが必要で包装装置1の搬送方向Dにおける設置スペースが大きくなるとともに、包装成果物200の搬送を停止させるため処理速度が低下する。これに対して、回転する回転ミシン刃51や円盤状のクリーサーを用いるものであれば、包装装置1の搬送方向Dの設置スペースが小さくなることによる省スペース化を図るともに、搬送を停止させること無く折スジを入れることができるので処理速度の向上を図ることができる。
【0065】
また、上述した実施形態ではスジ入れ部50を備える包装装置について説明したが、台紙102に立上げ部102dを備える包装成果物200を作成する包装装置としては、図2に示す折スジ102bの位置が折り目となるように折り加工を施す折加工部を備えるものでもよい。折加工部を備える方法装置であれば、折スジ102bで台紙102を折る手間がなくなり、ユーザーの作業負担をさらに軽減できる。しかし、折り加工を施す構成は、機構が複雑になり、装置の大型化、高価格化に繋がるおそれがある。これに対して、折り目となる位置に折スジ102bを入れるスジ入れ部50を備える構成であれば、立上げ部102dを備える包装成果物200を作成する際のユーザーの作業負担を簡易な構成で軽減できる。
【0066】
スジ入れ部50が備える回転ミシン刃51等の折スジ形成部材としては、台紙102に折スジ102bを入れるために台紙102に接触する接触位置と、台紙102に接触しない退避位置とに移動可能としてもよい。これにより、包装成果物200として、台紙102に立上げ部102dを備えるものと、台紙102に立上げ部102dを備えないものとの両方を作成することができる。
【0067】
スジ入れ部50が備える回転ミシン刃51等の折スジ形成部材の幅方向の位置を変更可能としてもよい。図4に示す梱包箱500としては、配送業者が定めた定形のものを用いることで配送料金が安価になるサービスがある。一種類の定形の梱包箱500のみに対応する包装成果物200を作成する場合は、折スジ形成部材の幅方向の位置を固定としてもよい。一方、折スジ形成部材の幅方向の位置を変更可能とすることで、複数摺類の定形の梱包箱500に対応する包装成果物200を作成したり、定形外の梱包箱500に対応する包装成果物200を作成したりすることが可能となる。折スジ形成部材の幅方向の位置を変更する構成としては、モータ等の駆動源によって幅方向の所望の位置に移動させるものでも良いし、手動によって幅方向の所望の位置に移動させるものでもよい。
【0068】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【0069】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0070】
〔態様1〕
態様1は、台紙102等の板状の支持材と物品104等の物品とからなる被包装物100等の被搬送物を搬送する搬送部22等の搬送部と、フィルムF等の包装材を支持材ごと物品に巻き付けて被包装物を包装する包装部70等の包装部と、を備えた包装装置1等の包装装置において、支持材に対して、ミシン目からなる折スジ102b等の弱化線を入れる弱化線加工または折り曲げ加工を施すスジ入れ部50等の支持材加工部を備えることを特徴とする包装装置である。
態様1に係る包装装置では、包装材を支持材ごと物品に巻き付けて被包装物を包装することで、包装材によって物品を支持材に固定した包装成果物を作成することができ、さらに、支持材加工部を備えることで、支持材に弱化線が形成された包装成果物、または、直角方向に立ち上がるような折り曲げが行われた包装成果物を得ることができる。支持材に弱化線が形成された包装成果物であれば、使用者は折り作業を補助する弱化線に沿って支持材を折り曲げることで、支持材における物品が固定された物品固定部に対して立ち上がった前記折曲片のような立上げ部を容易に形成することができる。また、直角方向に立ち上がるような折り曲げが行われた包装成果物であれば、そのままの状態で、物品固定部に対して立ち上がった立上げ部を備える包装成果物となる。よって、態様1であれば、包装材が支持材ごと物品に巻き付けられて、包装材によって物品が支持材に固定された包装成果物であって、支持材における物品が固定された物品固定部に対して立ち上がった立上げ部を備える包装成果物を作成する際のユーザー等の使用者の作業負担を軽減できる。
支持材としては、例えば段ボールからなる台紙102のような紙製のものに限らず、物品とともに包装材を巻き付けられることで物品が固定され、物品を支持することができ、に折り曲げることで、物品固定部に対して立ち上がった立上げ部を形成できるものであればよい。また、紙製のものとしては、段ボールに限らず、厚紙等の物品固定部や立上げ部を形成できる剛性を備えていればよい。
包装材としてフィルムFのような伸縮性を有するものを用いることが望ましく、引張力を作用させて自然長よりも伸ばした状態で物品と支持材とに巻き付けることで、引張力を除いたとき、なおも包装材が収縮しようとする力が作用するように巻き付けることで、物品を支持材に固定することができる。
弱化線加工としては、ミシン目、スリット、線状の凹部等を形成する加工を例示することができるが、これらに限るものではなく、加工後に支持材を折ることを補助する加工であればどのような加工でもよい。
【0071】
〔態様2〕
態様2は、態様1の包装装置において、包装部が被包装物に包装材を巻き付ける方向を巻き付き方向とし、支持材における板厚方向と巻き付き方向との両方に対して直交する方向を幅方向としたときに、包装部は、支持材における幅方向の端部である幅方向端部が露出するように包装材を巻き付けるものであり、搬送部が被包装物を搬送する方向を搬送方向D等の搬送方向としたときに、支持加工部は包装部に対して搬送方向の下流側に配置され、前記支持加工部は、支持材における幅方向端部の包装材から露出した部分に巻き付け方向に沿った折スジ102b等の弱化線または折り目を形成することを特徴とする包装装置である。
態様2によれば、支持材における包装材が巻き付いていない部分に立上げ部を形成することができる。なお、本態様では「折スジ」と「折り目」とを使い分けており、「折り目」は支持材を折り曲げたときにできる境目の線であり、「折スジ」はその後の折り曲げ処理で所望の位置に「折り目」が形成されるように、折り曲げ易くするための加工を施した線(弱化線)である。
態様2の包装装置や上述した実施形態の包装装置1では、支持加工部を包装部に対して搬送方向下流側に設ける構成について説明したが、弱化線加工または折り曲げ加工を施す支持材加工部は、包装部に対して搬送方向上流側に設けてもよい。また、上述した実施形態では支持材の幅方向の両端部に弱化線加工を施す構成について説明したが、幅方向の一方の端部のみに弱化線加工または折り曲げ加工を施す構成としてもよい。
【0072】
〔態様3〕
態様3は、態様2の包装装置において、支持加工部は、幅方向における弱化線または折り目を形成する位置を変更可能であることを特徴とする包装装置である。
態様3によれば、回転ミシン刃51等の折スジ形成部材の幅方向の位置を変更可能とするなど、幅方向における弱化線または折り目を形成する位置を変更可能とすることで、複数摺類の定形の梱包箱に対応する包装成果物を作成したり、定形外の梱包箱に対応する包装成果物を作成したりすることが可能となる。
【0073】
〔態様4〕
態様4は、態様2または3の包装装置において、搬送される支持材を板厚方向と平行な方向から見たときの搬送方向と巻き付き方向とは平行であり、支持加工部は、搬送方向に移動する前記被包装物の前記支持材に接触して回転し、弱化線として搬送方向に沿ったミシン目を支持材に形成する回転ミシン刃51等のミシン目作成部材を備えることを特徴とする包装装置である。
図1に示す実施例では、包装装置1内を搬送される被包装物100を台紙102(板状の支持材)の板厚方向と平行な方向である上方からみると、搬送方向Dに移動する台紙102にフィルムFが引っ張られてフィルムFが台紙102及び物品104に巻き付くため、搬送方向DとフィルムFの巻き付き方向とは平行になる。
態様4によれば、被包装物が搬送方向に移動することで支持材に接触するミシン目作成部材が回転し、搬送方向に沿ったミシン目を容易に形成することができる。そして、ミシン目を形成した位置が、その後の折り曲げ処理で折り曲げることが容易な弱化線となり、支持材に弱化線を形成した包装成果物を作成することが可能となる。
【0074】
〔態様5〕
態様5は、態様2または3の包装装置において、搬送される支持材を板厚方向と平行な方向から見たときの搬送方向と巻き付き方向とは平行であり、支持加工部は、搬送方向に移動する前記被包装物の前記支持材に接触して回転し、弱化線として搬送方向に沿った線状の凹部を支持材に形成する円盤状のクリーサーを備えることを特徴とする包装装置である。
態様5によれば、被包装物が搬送方向に移動することで支持材に接触するクリーサーが回転し、搬送方向に沿った線状の凹部を容易に形成することができる。そして、線状の凹部を形成した位置が、その後の折り曲げ処理で折り曲げることが容易な弱化線となり、支持材に弱化線を形成した包装成果物を作成することが可能となる。
【0075】
〔態様6〕
態様6は、態様1乃至5の何れかの包装装置において、被包装物100等の被包装物を搬送させる搬送部22等の搬送部と、先端が互いに溶着され、間に挿入される被包装物が下流に移動することによって第一フィルムロールR1及び第二フィルムロールR2等の二つのフィルムロールからそれぞれ引き出される連続フィルム(F1,F2)等の二枚の連続フィルムについて、それらが引き出される速度である引出速度を被包装物が下流に移動する速度よりも遅くさせる第一押さえ16等のフィルム供給調整部と、ヒータであって、搬送部によって搬送される被包装物の後端がヒータの下方等の加熱位置を通過した状態で二枚の連続フィルム同士を熱溶着させるヒータ20等のヒータと、を備え、フィルム供給調整部は、被包装物の後端がヒータの加熱位置を通過する前に、引出速度を被包装物の移動速度よりも遅くさせる包装装置である。
態様6によれば、被包装物を逆方向に搬送したり、フィルムを巻き戻したりすることなくストレッチフィルムによる包装ができ、包装に要する時間の短縮を図ることができる。
特に、態様4や態様5のように、搬送される被包装物の支持材に接触して回転することで弱化線を形成する態様では、弱化線を形成するために、非包装物を停止させる必要がなく、これらの態様と組み合わせることで、包装及び弱化線の形成に要する時間の短縮を図ることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0076】
〔態様7〕
態様7は、態様6の包装装置において、フィルム供給調整部は、ヒータよりも上流側において二枚の連続フィルムを把持可能な第一押さえ16及び受け部14によって構成される把持部等の第一把持部によって構成され、第一把持部が二枚の連続フィルムを把持することにより、二枚の連続フィルムの引出速度を被包装物の移動速度よりも遅くさせることを特徴とする包装装置である。
【0077】
〔態様8〕
態様8は、態様7の包装装置において、フィルム供給調整部は、ヒータよりも下流側において二枚の連続フィルムを把持可能な第二押さえ18及び受け部14によって構成される把持部等の第二把持部を含み、第二把持部は、第一把持部による二枚の連続フィルムの把持後、ヒータによる熱溶着の前に、二枚の連続フィルムを把持することを特徴とする包装装置である。
【0078】
〔態様9〕
態様9は、態様8の包装装置において、第一把持部からヒータまでの搬送方向における距離は、ヒータから第二把持部までの搬送方向における距離よりも長いことを特徴とする包装装置である。
【0079】
〔態様10〕
態様10は、態様8または態様9の包装装置において、第二把持部による二枚の連続フィルムの把持後、ヒータによる熱溶着前に、第一把持部による二枚の連続フィルムの把持を一旦解除して再度把持することを特徴とする包装装置である。
【0080】
〔態様11〕
態様11は、態様6乃至10の何れかの包装装置において、二枚の連続フィルムは被包装物よりも幅狭であり、搬送部は、被包装物の、幅方向において二枚の連続フィルムよりも外側を挟持して搬送することを特徴とする包装装置である。
【0081】
〔態様12〕
態様12は、態様6乃至11の何れかの包装装置において、フィルム供給調整部は、被包装物の移動速度よりも遅い引出速度として、引出速度をゼロにすることを特徴とする包装装置である。
【符号の説明】
【0082】
1 :包装装置
2 :挿入口
4 :排出口
10 :第一ロール支持軸
12 :第二ロール支持軸
14 :受け部
14a :受け上面
16 :第一押さえ
16a :第一押さえ下面
18 :第二押さえ
18a :第二押さえ下面
20 :ヒータ
22 :搬送部
24 :第一センサ
26 :第二センサ
28 :第三センサ
30 :制御部
32 :上部フィルムガイド
33 :下部フィルムガイド
34 :ヒータ支持部材
36 :バネ
38 :上流側搬送ローラ対
40 :下流側搬送ローラ対
50 :スジ入れ部
51 :回転ミシン刃
52 :ミシン刃対向ローラ
60 :排出ローラ対
70 :包装部
100 :被包装物
102 :台紙
102a :載置面
102b :折スジ(弱化線)
102c :物品固定部
102d :立上げ部
104 :物品
200 :包装成果物
500 :梱包箱
501 :箱本体部
502 :箱蓋部
D :搬送方向
F :フィルム
F1 :第一連続フィルム
F2 :第二連続フィルム
R :フィルムロール
R1 :第一フィルムロール
R2 :第二フィルムロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6