(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103381
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007671
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】田端 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】助田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】林田 真幸
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053JJ27
4C053JJ40
(57)【要約】
【課題】 使用者の衣類に対し簡易に着脱可能としつつ、電極を身体表面の所望の位置にずれない状態で配置でき、電気的刺激付与の効率を高められ、治療に係る効果を最大限得られる、治療装置を提供する。
【解決手段】 電極部12を設けた本体部11とこれに取り付けられる拘束部13が衣類90を相対的に拘束することで衣類90に保持され、本体部11に設けられる電極部12から、皮膚に治療に係る刺激を与えるようにすることから、衣類90に保持された装置が身体に対し動きにくく、使用者が身体を動かしても皮膚への当接状態を維持でき、電極部12から連続的に通電を行え、効率よく刺激を付与して月経痛の緩和が図れる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の皮膚を経由して所定の電気的刺激を身体に付与可能な治療装置において、
使用者の身体に向けられる一の面を少なくとも有する本体部と、
少なくとも導電性を有する材質で形成され、前記本体部の一の面に配設される電極部と、
前記本体部における前記電極部とは重ならない所定位置に取り付けられ、本体部とは別部材からなる拘束部とを備え、
使用者の身体所定部位に着用された衣類に対し、前記拘束部における対向する所定の二箇所の間に、又は、前記本体部と拘束部との間に、前記衣類の一部を挟んで、衣類を相対的に拘束し、前記一の面を使用者の身体に向かわせつつ本体部を衣類に保持した状態とすることを
特徴とする治療装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記拘束部が、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位に着脱可能とされ、
前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置され、
前記拘束部が、前記衣類の外側に配置され、前記本体部との間に前記衣類の一部を介在させつつ本体部に取り付けられて、前記衣類の一部を拘束部と本体部とで挟持することを
特徴とする治療装置。
【請求項3】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記拘束部が、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位に取り付けられ、前記衣類の一部を当該衣類の内側から接して挟持し、
前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置された状態とすることを
特徴とする治療装置。
【請求項4】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記拘束部が、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位に取り付けられ、前記衣類の一部を当該衣類に対し内外から接して挟持し、
前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置された状態とすることを
特徴とする治療装置。
【請求項5】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置され、
前記拘束部が、前記衣類に対し外側から接触可能とされ、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位と拘束部とで、衣類の一部を当該衣類に対し内外から接して挟持することを
特徴とする治療装置。
【請求項6】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記拘束部が、当該拘束部における対向する所定の二箇所で、前記衣類に対し衣類の内側から又は内外から接して、前記衣類の一部を挟持し、前記本体部を、衣類と前記電極部とが重ならないようにしつつ身体表面に沿って配置された状態とすることを
特徴とする治療装置。
【請求項7】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記拘束部が、前記衣類に対し内側から接触可能とされ、拘束部と前記本体部における前記一の面とで衣類の一部を当該衣類に対し内外から接して挟持し、前記本体部を、衣類と前記電極部とが重ならないようにしつつ身体表面に沿って配置された状態とすることを
特徴とする治療装置。
【請求項8】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記本体部が、前記一の面の反対側に位置する他の面を有し、
前記拘束部が、前記本体部の他の面に、当該他の面と直交する中心軸を中心として傾動又は回動可能として取り付けられ、前記他の面の所定部位に重なる状態と重ならずにずれた状態とを切替可能とされ、
前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置され、前記他の面の所定部位で前記衣類の内面に接触し、
前記拘束部が、前記本体部の他の面の所定部位に前記衣類の一部を介して重なると共に衣類の外面に接触して、前記本体部の他の面の所定部位と前記拘束部とで前記衣類の一部を挟持することを
特徴とする治療装置。
【請求項9】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記本体部が、前記一の面の反対側に位置する他の面を有し、
前記拘束部が、前記本体部の一の面に重なる状態と前記他の面に重なる状態とを切替可能として本体部に取り付けられ、
前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置され、前記他の面で前記衣類の内面に接触し、
前記拘束部が、前記本体部の他の面に前記衣類の一部を介して重なると共に衣類の外面に接触して、本体部の他の面と拘束部とで衣類の一部を挟持することを
特徴とする治療装置。
【請求項10】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記本体部が、前記一の面の反対側に位置する他の面を有し、
前記拘束部が、前記本体部の所定位置に取り付けられる一部と、当該一部から所定方向に延出する他部とを有し、当該他部は、本体部の前記他の面との間に所定の隙間を介在させつつ他の面に沿って形成され、
前記本体部が、前記衣類における上部の内面と身体表面との間に配置され、
前記拘束部が、前記他部を衣類における上部の外側に配置されて、前記他部と前記本体部の他の面との間の前記隙間に前記衣類の上部の一部を位置させ、拘束部と本体部を衣類の上部に掛けた状態とすることを
特徴とする治療装置。
【請求項11】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記拘束部が、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位に少なくとも一部を取り付けられる第一の掛止部と、当該第一の掛止部に一部を連結される第二の掛止部とを有し、
前記第一の掛止部は、所定方向に連続する連続部を有し、
前記第二の掛止部は、前記第一の掛止部に連結された一部から延出し、第一の掛止部における前記連続部との間に所定の隙間を介在させつつ連続部に沿って形成される他部を有し、
前記拘束部が、前記第二の掛止部の他部を衣類における上部の外側に配置されて、前記第二の掛止部の他部と前記第一の掛止部の連続部との間の隙間に前記衣類の上部の一部を位置させ、拘束部を前記衣類の上部に掛け、且つ前記本体部を衣類内面と身体表面との間に配置された状態とすることを
特徴とする治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の皮膚を通じて身体内部に対し所定の治療に係る刺激を与える治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の身体の表面に複数の電極を接触させ、これらの電極を通じて筋肉等の身体の内部に対し電気的に刺激を付与可能とする電気治療器は、家庭用の簡易な単機能、低出力のものから、業務用として用いられる多機能、高出力のものまで、様々な種類のものが利用されている。
【0003】
こうした電気治療器のうち、腹部や背中などの皮膚表面に接した電極から身体の内部に対し所定周波数の波形をなす電気信号を通電出力し、その電気的刺激の作用で、女性の月経痛を緩和する効果を得ようとするものが近年注目されている。
このような従来の電気治療器の例として、特許第4839457号公報や特許第5497769号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4839457号公報
【特許文献2】特許第5497769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の治療装置は前記特許文献に示される構成となっており、こうした装置の使用の際には、通常、装置本体部に接続された通電用の電極を、腹部など治療対象の身体内部に対し近傍となる皮膚に当てた上で、通電する操作を使用者が行うことで、皮膚を通じて身体内部に通電による刺激を与えることができた。
【0006】
ただし、こうした従来の治療装置において、通電用の電極として、身体表面に貼り付けて装着するパッド型の電極を用いる場合、皮膚表面への貼り付け状態を維持するために、使用者は動くことが難しくなり、活動が制限されるという問題があった。
【0007】
一方、電極を身体表面に配置した状態でも活動できるようにするために、身体に着用する下着状や帯状の装着具で電極を支持して身体表面から脱落しない状態として用いる場合もあった。この場合、電極は装着具の内面に固定されたものとなるため、使用時は装着具を常に着用する必要があり、使用者に煩わしさを感じさせるおそれがあった。また、装着具を衣服の内側に着用するため、嵩張る状態となり、電極を付けた状態で外出等を行うのは難しいという課題を有していた。
【0008】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、使用者の衣服に対し簡易に着脱可能としつつ、電極を身体表面の所望の位置にずれない状態で配置でき、電気的刺激付与の効率を高められ、治療に係る効果を最大限得られる、治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開示に係る治療装置は、使用者の皮膚を経由して所定の電気的刺激を身体に付与可能な治療装置において、使用者の身体に向けられる一の面を少なくとも有する本体部と、少なくとも導電性を有する材質で形成され、前記本体部の一の面に配設される電極部と、前記本体部における前記電極部とは重ならない所定位置に取り付けられ、本体部とは別部材からなる拘束部とを備え、使用者の身体所定部位に着用された衣類に対し、前記拘束部における対向する所定の二箇所の間に、又は、前記本体部と拘束部との間に、前記衣類の一部を挟んで、衣類を相対的に拘束し、前記一の面を使用者の身体に向かわせつつ本体部を衣類に保持した状態とするものである。
【0010】
このように本発明の開示によれば、電極部を設けた本体部とこれに取り付けられる拘束部が衣類を相対的に拘束することで衣類に保持され、本体部に設けられる電極部から、皮膚に治療に係る刺激を与えるようにすることにより、衣類に保持された装置が身体に対し動きにくく、使用者が身体を動かしても皮膚への当接状態を維持でき、電極部から連続的に通電を行え、効率よく刺激を付与して、身体の不調や不快感をもたらす痛み、例えば月経痛など、の緩和が図れる。また、別途の装着具を用いることなく電極部を皮膚に当接させて通電を行える状態を維持でき、嵩張らず使い勝手に優れ、行動制限を課されることなく使用でき、刺激付与を無理なく継続実行して最大限の効果が得られる。
【0011】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束部が、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位に着脱可能とされ、前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置され、前記拘束部が、前記衣類の外側に配置され、前記本体部との間に前記衣類の一部を介在させつつ本体部に取り付けられて、前記衣類の一部を拘束部と本体部とで挟持するものである。
【0012】
このように本発明の開示によれば、本体部に着脱可能に取り付けられる拘束部が衣類の外側に配置され、本体部と拘束部で衣類の内外から衣類の一部を挟持して相対的に拘束し、本体部と拘束部が衣類に対し動かない状態を得ることにより、本体部と拘束部で衣類を挟持拘束した状態を容易に確保して、速やかに装置の衣類への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0013】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束部が、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位に取り付けられ、前記衣類の一部を当該衣類の内側から接して挟持し、前記本体部を前記衣類の内面と身体表面との間に配置された状態とするものである。
【0014】
このように本発明の開示によれば、本体部に取り付けられる拘束部が、衣類の一部をその内側から挟持して相対的に拘束し、本体部と拘束部が衣類の内側で衣類に対し動かない状態を得ることにより、衣類の内側のみで本体部が衣類に対し動きにくい状態を無理なく確保することができ、衣類を介して本体部とこれに設けられた電極部の身体への適切な保持状態を得て、電極部が身体に対しずれにくく、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。また、本体部と拘束部が共に衣類の内側に位置することで、装置が目立ちにくく、使用者が外出時等で装置の使用を気にすることなく行動できる。
【0015】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束部が、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位に取り付けられ、前記衣類の一部を当該衣類に対し内外から接して挟持し、前記本体部を前記衣類の内面と身体表面との間に配置された状態とするものである。
【0016】
このように本発明の開示によれば、本体部に取り付けられる拘束部が衣類に対しその内外から一部を挟持して相対的に拘束し、衣類の内側に位置させた本体部が衣類に対し動かない状態を得ることにより、拘束部で衣類を挟持拘束した状態を容易に確保して、速やかに装置の衣類への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0017】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置され、前記拘束部が、前記衣類に対し外側から接触可能とされ、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位と拘束部とで、衣類の一部を当該衣類に対し内外から接して挟持するものである。
【0018】
このように本発明の開示によれば、本体部に取り付けられる拘束部が衣類の外側に接するようにして、本体部と拘束部で衣類の内外から衣類の一部を挟持して相対的に拘束し、衣類の内外にそれぞれ位置する本体部と拘束部が衣類に対し動かない状態を得ることにより、本体部と拘束部で衣類を挟持拘束した状態を容易に確保して、速やかに装置の衣類への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0019】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束部が、当該拘束部における対向する所定の二箇所で、前記衣類に対し衣類の内側から又は内外から接して、前記衣類の一部を挟持し、前記本体部を、衣類と前記電極部とが重ならないようにしつつ身体表面に沿って配置された状態とするものである。
【0020】
このように本発明の開示によれば、本体部に取り付けられる拘束部が衣類に対しその内側又は内外両側から一部を挟持して相対的に拘束し、本体部を衣類の内側に位置させない配置としつつ、その本体部が衣類に対し動かない状態を得ることにより、拘束部で衣類を挟持拘束した状態を容易に確保して、速やかに装置の衣類への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0021】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束部が、前記衣類に対し内側から接触可能とされ、拘束部と前記本体部における前記一の面とで衣類の一部を当該衣類に対し内外から接して挟持し、前記本体部を、衣類と前記電極部とが重ならないようにしつつ身体表面に沿って配置された状態とするものである。
【0022】
このように本発明の開示によれば、本体部に取り付けられる拘束部が衣類の内側に接するようにして、拘束部と本体部とで衣類の内外から衣類の一部を挟持して相対的に拘束し、本体部と拘束部が衣類に対し動かない状態を得る一方、本体部に設けられた電極部の内側には衣類を位置させない配置として、電極部を皮膚に当接可能とすることにより、本体部と拘束部で衣類を挟持拘束した状態を容易に確保して、速やかに装置の衣類への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0023】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記本体部が、前記一の面の反対側に位置する他の面を有し、前記拘束部が、前記本体部の他の面に、当該他の面と直交する軸周りに傾動又は回動可能として取り付けられ、前記他の面の所定部位に重なる状態と重ならずにずれた状態とを切替可能とされ、前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置され、前記他の面の所定部位で前記衣類の内面に接触し、前記拘束部が、前記本体部の他の面の所定部位に前記衣類の一部を介して重なると共に衣類の外面に接触して、本体部の他の面の所定部位と拘束部とで衣類の一部を挟持するものである。
【0024】
このように本発明の開示によれば、本体部の他の面に傾動又は回動可能として取り付けられる拘束部を動かして、本体部の他の面が衣類の内側に接するようにすると共に、拘束部が衣類の外側に接するようにして、本体部と拘束部で衣類の内外から衣類の一部を挟持して相対的に拘束することにより、簡略な構造で本体部と拘束部を衣類に拘束し、衣類の内側に位置させた本体部が衣類に対し動きにくい状態を無理なく確保することができ、衣類を介して本体部とこれに設けられた電極部の身体への適切な保持状態を得て、電極部が身体に対しずれにくく、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。
【0025】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記本体部が、前記一の面の反対側に位置する他の面を有し、前記拘束部が、前記本体部の一の面に重なる状態と前記他の面に重なる状態とを切替可能として本体部に取り付けられ、前記本体部が、前記衣類の内面と身体表面との間に配置され、前記他の面で前記衣類の内面に接触し、前記拘束部が、前記本体部の他の面に前記衣類の一部を介して重なると共に衣類の外面に接触して、本体部の他の面と拘束部とで衣類の一部を挟持するものである。
【0026】
このように本発明の開示によれば、本体部に対し、本体部の一の面に重なる状態と他の面に重なる状態とを切替可能とされる拘束部を動かして、本体部を衣類の内面に接するようにすると共に、拘束部を衣類の外面に接するようにして、本体部と拘束部で衣類の内外から衣類の一部を挟持して相対的に拘束した状態を得ることにより、衣類の内外にそれぞれ位置させた本体部と拘束部で衣類の一部を挟持拘束し、本体部が衣類に対し動きにくい状態を無理なく確保して、衣類を介して本体部とこれに設けられた電極部の身体への適切な保持状態を得ることができ、電極部が身体に対しずれにくく、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。
【0027】
また、本体部と拘束部で衣類を拘束しない間は、拘束部を本体部の一の面に重ねて他の面を露出させた状態にでき、拘束部による電極部の保護が図れると共に、本体部の他の面に、本体部を衣類に保持させる前段階での操作入力受付や表示等を行う機能部を設けることができ、本体部各部を有効に利用できる。
【0028】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記本体部が、前記一の面の反対側に位置する他の面を有し、前記拘束部が、前記本体部の所定位置に取り付けられる一部と、当該一部から所定方向に延出する他部とを有し、当該他部は、本体部の前記他の面との間に所定の隙間を介在させつつ他の面に沿って形成され、前記本体部が、前記衣類における上部の内面と身体表面との間に配置され、前記拘束部が、前記他部を衣類における上部の外側に配置されて、前記他部と前記本体部の他の面との間の前記隙間に前記衣類の上部の一部を位置させ、拘束部と本体部を衣類の上部に掛けた状態とするものである。
【0029】
このように本発明の開示によれば、拘束部がその一部を本体部に取り付けられる一方、本体部との間に所定の隙間を介在させた他部を有し、本体部と拘束部の他部との間の隙間に衣類の上部の一部を入れると、本体部と拘束部他部との間に挟まれるように位置する衣類の上部に対し、本体部と拘束部が掛けられた状態となって、本体部を衣類と身体との間に保持できることにより、本体部が衣類に対し動きにくい状態を簡易に得ることができ、速やかに装置の衣類への保持状態を確保して、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。
【0030】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束部が、前記本体部における前記一の面の反対側となる部位に少なくとも一部を取り付けられる第一の掛止部と、当該第一の掛止部に一部を連結される第二の掛止部とを有し、前記第一の掛止部は、所定方向に連続する連続部を有し、前記第二の掛止部は、前記第一の掛止部に連結された一部から延出し、第一の掛止部における前記連続部との間に所定の隙間を介在させつつ連続部に沿って形成される他部を有し、前記拘束部が、前記第二の掛止部の他部を衣類における上部の外側に配置されて、前記第二の掛止部の他部と前記第一の掛止部の連続部との間の隙間に前記衣類の上部の一部を位置させ、拘束部を前記衣類の上部に掛け、且つ前記本体部を衣類内面と身体表面との間に配置された状態とするものである。
【0031】
このように本発明の開示によれば、本体部に取り付けられる拘束部が第一の掛止部と第二の掛止部とを有すると共に、これら第一の掛止部と第二の掛止部との間に隙間が生じるようにされて、この第一の掛止部と第二の掛止部との間の隙間に衣類の上部の一部を入れると、第一の掛止部と第二の掛止部との間に挟まれるように位置する衣類の上部に、拘束部が掛けられた状態となって、この拘束部が取り付けられた本体部を衣類と身体との間に保持できることにより、本体部が衣類に対し動きにくい状態を簡易に得ることができ、速やかに装置の衣類への保持状態を確保して、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における本体部の正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における拘束部の正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における本体部の平面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における拘束部の平面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における本体部の右側面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における拘束部の右側面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る治療装置の衣類拘束状態における平面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における本体部及び拘束部による衣類拘束状態説明図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る治療装置における拘束部による衣類拘束状態説明図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る治療装置における本体部への拘束部取付状態説明図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係る治療装置における拘束部の衣類拘束準備状態説明図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態に係る治療装置による衣類拘束状態説明図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態に係る他の治療装置における拘束部の衣類拘束準備状態説明図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態に係る他の治療装置による衣類拘束状態説明図である。
【
図15】本発明の第4の実施形態に係る治療装置の衣類拘束状態における背面図である。
【
図16】本発明の第4の実施形態に係る治療装置の衣類拘束状態における右側面図である。
【
図17】本発明の第4の実施形態に係る他の治療装置の衣類拘束状態における背面図である。
【
図18】本発明の第4の実施形態に係る他の治療装置の衣類拘束状態における右側面図である。
【
図19】本発明の第5の実施形態に係る治療装置における衣類拘束準備状態説明図である。
【
図20】本発明の第5の実施形態に係る治療装置における衣類拘束状態説明図である。
【
図21】本発明の第6の実施形態に係る治療装置の衣類拘束準備状態における正面図である。
【
図22】本発明の第6の実施形態に係る治療装置の衣類拘束状態における正面図である。
【
図23】本発明の第6の実施形態に係る治療装置の衣類拘束状態における左側面図である。
【
図24】本発明の第7の実施形態に係る治療装置の非使用状態における左側面図である。
【
図25】本発明の第7の実施形態に係る治療装置における本体部に対する拘束部の移動状態説明図である。
【
図26】本発明の第7の実施形態に係る治療装置における衣類拘束準備状態説明図である。
【
図27】本発明の第7の実施形態に係る治療装置における衣類拘束状態説明図である。
【
図28】本発明の第8の実施形態に係る治療装置における衣類拘束準備状態説明図である。
【
図29】本発明の第8の実施形態に係る治療装置における衣類拘束状態説明図である。
【
図30】本発明の第8の実施形態に係る治療装置における第一の他例の衣類拘束準備状態説明図である。
【
図31】本発明の第8の実施形態に係る治療装置における第一の他例による衣類拘束状態説明図である。
【
図32】本発明の第8の実施形態に係る治療装置における第二の他例の衣類拘束準備状態説明図である。
【
図33】本発明の第8の実施形態に係る治療装置における第二の他例による衣類拘束状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る治療装置を前記
図1ないし
図8に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置1は、使用者の身体100に向けられる一の面を有する本体部11と、導電性を有する材質で形成され、本体部11の一の面に配設される電極部12(刺激付与部)と、本体部11の電極部12とは重ならない所定位置に取り付けられる拘束部13と、電極部12への通電状態等を制御する制御部14とを備える構成である。
【0034】
前記本体部11は、使用者の身体100に向けられる前記一の面としての略平面状の第一面11aを有すると共に、この第一面11aの反対側となる部位に凸部11bを突出形成される構成である。この本体部11は、樹脂等の絶縁体製とされ、第一面11aに電極部12が配設される。
【0035】
また、本体部11は、凸部11bの先端部に面(第二面11d)を有する。この本体部11の第二面11dは、中央部が凸部11bの突出方向とは逆向きに凹んだ曲面となっている。ただし、これに限られるものではなく、第二面を平面としたり、凸面状の曲面として形成してもかまわない。
なお、本体部11においては、第一面11aのある側を基端側、凸部11bの第二面11dのある側を先端側とする。
【0036】
本体部11の内部には、制御部14等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部14は、第一面11a側の電極部12と電気的に接続される仕組みである。
この本体部11における第一面11aの反対側となる部位、具体的には凸部11bの周囲に、拘束部13が着脱可能に取り付けられる。
【0037】
本体部11は、使用者の腹部周りに着用された衣類90に対し、衣類90の内面に本体部11の第二面11dを当接させるようにして、衣類90の内側、すなわち、衣類90の内面と身体100との間に配置されることとなる。
【0038】
前記電極部12は、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有するものである。後述する制御部14と電気的に接続される。なお、電極部12の接触面については、導電性を有する材質であれば、例えば、公知の低周波治療器の電極パッドで採用されているような、粘着性のあるゲル材など、身体表面への密着性を重視した材質で形成してもかまわない。
【0039】
前記拘束部13は、中央に本体部11の凸部11bを挿脱可能な貫通孔である孔部13aを設けられた環状体として形成される構成である。また、拘束部13は、孔部13aの貫通方向における環状体の一端部から他端部にかけて大きさを徐々に大きくした末広がりの形状として形成される構成である。
【0040】
この拘束部13においては、孔部貫通方向における前記他端部、すなわち大きい端部側を基端側、孔部貫通方向における前記一端部、すなわち小さい端部側を先端側とし、前記他端部を基端部13b、前記一端部を先端部13cと称することとする。
【0041】
拘束部13の孔部13aは、本体部11の凸部11bより大きくされており、孔部13aに凸部11bのみを挿入した状態では、拘束部13の孔部周縁部分と凸部11bとの間に、衣類90の生地が通るような隙間が生じることとなる。この孔部13aは、孔の開口の大きさを拘束部13の基端側と先端側とで同じとするストレート孔形状とする以外に、基端側と先端側とで孔の開口の大きさを異ならせた孔(いわゆるテーパ孔)形状としてもかまわない。
この拘束部13は、衣類90に対し、大きい方の基端部13bを、衣類90の外面に当接させて衣類90の外側に配置されることとなる。
【0042】
本体部11と拘束部13は、拘束部13と本体部11との間に衣類90の一部を介在させ、基端部13bを本体部11側に向けた状態で、その孔部13aに、本体部11の凸部11bをこれに重なる衣類90の一部と共に挿入される。これにより、拘束部13は、衣類90の一部を介して凸部11bと嵌合し、本体部11と拘束部13で、衣類90を本体部11と拘束部13に対し動かないよう、相対的に拘束する。同時に、拘束部13は、本体部11における第一面11aの反対側となる部位のうち、凸部11bを除いた部分に重なり、本体部11に取り付けられた状態となる。
この場合、衣類90を基準にすると、本体部11と拘束部13が衣類90に装着、拘束されて、衣類90の腹部対応部分に保持された状態となる。
【0043】
詳細には、この拘束状態で、衣類90は、凸部11bの突出する方向(孔部13aの貫通方向)に離れて位置する、拘束部13の基端部13bと本体部11の第二面11dに、それぞれ当接する。また、衣類90は、これら基端部13bに当接する部分と第二面11dに当接する部分との間で段差を生じさせるように大きく屈曲している。加えて、これら拘束部13への当接部分と本体部11への当接部分との間に位置する衣類90の一部は、本体部11の凸部11bと拘束部13の孔部周縁部分との間に介在して、これらに挟持される。
【0044】
このため、仮に衣類90を本体部11及び拘束部13に対し相対移動させようとしても、衣類90とこれに当接する本体部11及び拘束部13との間の摩擦による抵抗と共に、衣類90そのものの屈曲変形に対する抵抗も加わることにより、移動させにくい状態、すなわち拘束された状態が得られる仕組みである。
【0045】
なお、拘束部13の形状を、本体部11の凸部11bを挿入される孔部13aのある環状体とするようにしているが、これに限らず、衣類を介在させつつ本体部と嵌合可能な形状であればよく、貫通する孔部でなく貫通しない凹部とされたり、孔部周りで連続する閉じた環状でなく一部が途切れて開いたC字状に形成されるものでもよい。また、拘束部を本体部の外形と類似した形状とすることは必須ではなく、対称な形状以外の形状としてもかまわない。
【0046】
この他、本体部と嵌合可能なものであれば、拘束部は本体部の形状に適宜対応させた任意の形状とすることができ、例えば、拘束部が、本体部に設けられた凹部又は貫通孔に、衣類の一部と共に挿入可能な凸部を形成される構成とすることもできる。そして、拘束部や本体部において、孔部(凹部)と凸部の嵌合の組合せは一つに限らず複数でもよい。さらに、拘束部全体が、衣類を介在させつつ、本体部の凹部又は貫通孔に嵌合可能な形状とされる構成や、逆に、拘束部が、衣類を介在させつつ本体部全体を嵌合させられる貫通孔又は凹部を設けられる構成であってもよい。
【0047】
前記制御部14は、本体部11に内蔵され、対をなす電極部12間の通電を制御し、皮膚への通電状態を調整可能とするものである。
具体的には、制御部14は、使用者の入力操作により遠隔操作用の端末(図示を省略)から送信された情報を受信する機能を有し、この受信した情報に基づいて、電極部12間での通電状態の開始及び終了や、通電により使用者の皮膚を流れる電流の強さの調整に係る制御を行う。
【0048】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態及び作動状態について説明する。前提として、使用者は治療装置1を保持可能な衣類90を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置1の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、外部から制御部14に治療に係る作動の開始が指示されると、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0049】
まず、治療装置1の身体100への装着として、本体部11と拘束部13とを離した状態で、使用者の腹部を覆う衣類90に対し、本体部11を使用者の身体100と衣類90との間に位置させ、本体部11の第一面11aを身体表面に向け、凸部11bを衣類90の内面に向ける。そして、衣類90の一部と重なった本体部11に対し、拘束部13を衣類90の外側に位置させ、基端部13bを本体部11側に向けた状態で本体部11へ近付け、本体部11と重なった部位の衣類90の外面に拘束部13を当接させる。
【0050】
さらに、拘束部13の孔部13aに、本体部11の凸部11bをこれに重なる衣類90の一部と共に相対的に挿入していくように、拘束部13を動かして、拘束部13の孔部13aと本体部11の凸部11bとが衣類90の一部を介して嵌合した状態とする。この嵌合状態で、本体部11の凸部11bは拘束部13の孔部13aに対しいずれの位置にあってもよい(例えば、凸部が孔部から突出する、凸部が孔部内に留まる、など)が、拘束部13と本体部11との間に介在させた衣類60の一部のうち、拘束部13の孔部13aを通じて露出する部位が、ちょうど拘束部13の先端部13cに揃うように、孔部13aに対する凸部11bの位置を設定するのが、美観の面で好ましい。
【0051】
拘束部13と本体部11との衣類90を介した嵌合状態では、衣類90の内面が凸部11bの第二面11dに接し、衣類90の外面が拘束部13の基端部13bに接する。そして、衣類90における、凸部11bの第二面11dに接する部分と拘束部13の基端部13bに接する部分との中間部分が、凸部11bの外周部分と拘束部13における孔部13aに面する内周部分との間に介在し、本体部11と拘束部13で挟持された状態となっている。
【0052】
こうして衣類90と本体部11及び拘束部13とが係わり合うことで、衣類90は本体部11及び拘束部13に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部11及び拘束部13が衣類90に拘束され、衣類90の上部から動かずに保持された状態となる。
これに伴い、本体部11は、使用者の身体100と衣類90との間に配置されて、第一面11aにある電極部12が、ちょうど腹部表面の皮膚に当接した状態となる。
【0053】
なお、電極部12を使用者の腹部皮膚に当接させる位置については、使用者におけるいわゆるデルマトームが、痛みの発生する箇所(子宮)と対応する、皮膚の所定領域、例えば、へそ下方部位の皮膚表面に電極部12が当接するように設定することが望ましい。
【0054】
続いて、治療装置の電気刺激付与に係る作動について説明する。
電極部12が皮膚に接した状態で、使用者が遠隔操作用の端末(図示を省略)を操作して、通電開始を指示すると、この指示の情報を受け取った制御部14が、対をなす電極部12間に、低周波(周波数が約1kHz以下)の、正弦波や方形波等の周期的な波形又は周期的なパルスとなる電流を流す、通電状態を開始させる。
【0055】
この通電状態で、使用者が遠隔操作用の端末(図示を省略)を操作して、通電強度調整を指示した場合、制御部14は通電における電流の出力レベル(大きさ)を調整して、通電状態における電気刺激の強度を増大又は減少させる。
【0056】
通電状態では、皮膚を通じて身体100の内部を流れる低周波電流の作用による電気刺激を身体に付与することで、子宮に由来する痛み(月経痛(生理痛や排卵痛とも呼称される))を軽減したり、消失させたりすることが可能となる。
なお、通電に際しては、電気刺激への慣れを生じさせないために、低周波電流の周波数を所定時間ごとに変化させることが好ましい。
【0057】
本体部11と拘束部13による衣類90の拘束を解いて電極部12を皮膚から離した場合や、過剰な刺激付与防止のために自動停止を設定された所定時間が経過して、制御部14が通電出力を下げる又は止めた場合には、通電による電気刺激の付与は中断される。
【0058】
皮膚への通電を終える場合は、使用者が遠隔操作用の端末を操作して通電終了を指示すると、制御部14が電極部12間の通電を停止させ、通電による電気刺激付与も終了する。この他、いわゆるOFFタイマー機能として、通電開始からあらかじめ設定した所定時間の経過後に制御部で通電を自動停止して、刺激付与を終了するようにしてもよい。
なお、通電終了の際の通電の出力レベルを制御部14で記録保持し、次回の皮膚を介した身体内部への通電の際に同じ出力レベルで通電を実行できるようにしてもかまわない。
【0059】
このように、本実施形態に係る治療装置は、電極部12を設けた本体部11とこれに取り付けられる拘束部13とが衣類90を相対的に拘束することで衣類90に保持され、本体部11に設けられる電極部12から、皮膚に治療に係る刺激を与えるようにしている。これにより、衣類90に保持された装置が身体100に対し動きにくく、使用者が身体を動かしても電極部12が皮膚への当接状態を維持でき、この電極部12から連続的に通電を行え、効率よく刺激を付与して月経痛の緩和が図れる。また、別途の装着具を用いることなく電極部12を皮膚に当接させて通電を行える状態を維持でき、嵩張らず使い勝手に優れ、行動制限を課されることなく使用でき、刺激付与を無理なく継続実行して最大限の効果が得られる。
【0060】
さらに、本体部11に着脱可能に取り付けられる拘束部13が衣類90の外側に配置され、本体部11と拘束部13で衣類90の内外から衣類90を挟持して相対的に拘束し、本体部11と拘束部13が衣類90に対し動かない状態を得ることから、本体部11と拘束部13を衣類90に拘束した状態を容易に確保して、速やかに装置の衣類90への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0061】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、使用者による通電に係る操作を、遠隔操作用の端末から行う構成としているが、これに限らず、本体部に操作部を設け、それを用いて操作を行える構成とすることもできる。その場合、操作部は本体部における拘束部と重ならない箇所、例えば凸部の第二面や、本体部の基端側の上部(装着状態において上向きとなる位置)に設けることが望ましい。特に、本体部における凸部の第二面に操作部を設ける場合、衣類の拘束状態において拘束片の表面が本体部の第二面より前方(本体部における凸部の突出する方向)に突出する構成とすれば、拘束片によって操作部に外部の物体が接触しにくい状態を得られる。この場合、誤って操作部に物体が接触して操作状態となり、装置が意図せず作動したり作動状態を変化させる事態を、未然に防止できる点で好ましい。
【0062】
また、本体部に操作部を設ける場合、この操作部における電源の入切や通電の強弱等を切り替える各スイッチは、使用者の操作でスイッチ機構を動かして物理的に接点を接触させるスイッチに限られるものではなく、例えば、使用者の身体の一部がスイッチに触れた状態を検出してスイッチ操作として認識し、スイッチとしてのオンオフ制御を実行する、タッチセンサータイプのスイッチであってもかまわない。そして、操作部は、使用状態で衣類と重なり、操作は衣類の生地を介して行われることから、衣類の上から触れても各スイッチが判別可能となる凹凸などの判別手段を各スイッチ上に形成したり、各スイッチを発光可能とし、衣類の生地を通じて光が透けて見える状態とすることで、各スイッチの識別を容易にすれば、操作性を向上させられ、好ましい。
【0063】
この他、遠隔操作用の端末としての操作機能を、拘束部に設けて、操作を拘束部を用いて行えるようにすることもできる。衣類の外側に位置する拘束部に操作部を設けるようにすれば、操作部を衣類に覆われない状態に維持でき、操作性に優れることとなる。
【0064】
また、前記実施形態に係る治療装置において、本体部11は、第一面11aや第二面11dのある側から見て、縦横の寸法がほぼ等しい形状に形成される構成としているが、これに限らず、本体部を横長や縦長の形状とするなど、任意の形状として形成することもできる。また、本体部の凸部についても、横長や縦長の形状とするなど、任意の形状として形成することもできる。
【0065】
この他、本体部11は、第一面11aや第二面11dのある側から見て、全体形状を略方形状、凸部11bを円形状としているが、他の形状、例えば、本体部の全体形状を略円形状や略矩形状、略長円形状等に置き換えたり、凸部を略方形状や略矩形状、略長円形状等の本体部全体形状と同じ又は異なる任意形状として形成する構成としてもかまわない。また、拘束部についても、拘束部の孔部と本体部の凸部とが衣類の一部を介して嵌合できる範囲で、任意の形状としてかまわない。
【0066】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部11に着脱可能に取り付けられる拘束部13を、本体部11とほぼ同じ大きさとし、第一面11aや第二面11dのある側から見て、本体部11における凸部11b以外の部分と重なる配置とする構成としているが、これに限らず、拘束部を本体部と異なる大きさとして、第一面(一の面)や第二面(他の面)のある側から見て、拘束部の本体部への取付状態で本体部が拘束部の外へはみ出す、又は、拘束部が本体部の外にはみ出す構成としてもかまわない。
【0067】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部11に対し拘束部13を着脱可能とされ、拘束部13を本体部11から取り外して本体部11から離れた状態にできる構成としているが、この他、本体部と拘束部とを可撓性のある糸状や紐状の連結材を介して互いに連結する構成とすることもできる。この場合、本体部に対し拘束部を着脱可能な状態に維持できる一方、拘束部を本体部から取り外しても拘束部が本体部から連結材の長さ以上に離れないこととなり、本体部から外した拘束部を落としたり置き忘れるなどして、誤って紛失するような事態を未然に防止できる。
【0068】
さらに、前記実施形態に係る治療装置においては、治療に係る刺激付与として、電極部12を用いて皮膚への通電を実行し、皮膚を通じて身体に電気的刺激を付与する構成としているが、これに限られるものではなく、他の刺激付与として、本体部内に発熱機構を設け、発生させた熱を電極部(刺激付与部)を通じて皮膚に伝えるようにして、皮膚への通電に代えて、又は通電と同時に、皮膚に温熱刺激を付与可能としたり、電極部を用いて皮膚へのラジオ波等の高周波による通電を実行し、通電で熱を発生させて皮膚を温める温熱刺激付与等を利用可能としたり、本体部内に圧電素子等による超音波発生機構を設け、電極部(刺激付与部)に超音波の振動が伝わるようにして、皮膚への通電に代えて、又は通電と同時に、皮膚に超音波振動の刺激を付与可能とする構成としてもかまわない。
【0069】
このような発熱機構や温熱刺激付与用の高周波通電機構、超音波発生機構等の刺激付与機構については、それぞれを前記実施形態における低周波通電機構に置き換えて単独で設ける構成とする他、低周波通電機構も含めて、複数の刺激付与機構を併設する構成とすることもできる。そして、電気的刺激以外の刺激付与機構の場合、電極部は、付与可能な各種刺激に対応する刺激付与部となる。
【0070】
特に、複数の刺激付与機構を併設する場合には、遠隔操作用の端末や本体部に設けた操作部に、複数種類の刺激付与機構の作動を切替可能とする、作動モード切替機能を設け、使用者の操作で選択された各作動モードに対応して、制御部が一又は複数の刺激付与機構の作動に伴う所定の刺激付与状態とする制御を行うようにすることが望ましい。
【0071】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る治療装置を前記
図9及び
図10に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置2は、前記第1の実施形態と同様に、本体部21と、電極部22と、拘束部23と、制御部24とを備える一方、異なる点として、拘束部23も本体部21と共に衣類90の内面側に位置させて、衣類90を内面側から相対的に拘束する構成を有するものである。
なお、制御部24については、前記第1の実施形態と同様のものであり、説明を省略する。
【0072】
前記本体部21は、使用者の身体に向けられる前記一の面としての略平面状の第一面21aを有すると共に、この第一面21aの反対側となる部位に凹部21bを設けられる構成である。この本体部21は、樹脂等の絶縁体製とされ、第一面21aに電極部22が配設される。
なお、本体部21においては、第一面21aのある側を基端側、凹部21bのある側を先端側とする。
【0073】
本体部21の内部には、前記第1の実施形態と同様に、制御部24等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部24は、第一面21a側の電極部22と電気的に接続される仕組みである。
この本体部21における第一面21aの反対側となる部位、具体的には凹部21bに、拘束部23が着脱可能に取り付けられる。
【0074】
本体部21は、使用者の腹部周りに着用された衣類90に対し、衣類90の内面に本体部21の凹部21bを向けるようにして、且つ、拘束部23を取り付けられた状態で衣類90の内側、すなわち、衣類90の内面と身体との間に配置されることとなる。
【0075】
前記電極部22は、前記第1の実施形態と同様、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有して、本体部21の第一面21aに配設されるものである。
【0076】
前記拘束部23は、本体部21の凹部21bに嵌脱可能な形状として形成される構成である。また、拘束部23は、凹部21bに嵌合させた状態で本体部21に覆われず露出する部位に、衣類90の一部を挟持可能な挟持部23aを形成される構成である。
【0077】
拘束部23においては、本体部21の凹部21bへの嵌脱方向における挟持部23aのある端部側を先端側、挟持部23aの反対側に位置して、嵌合状態で凹部21bの最奥部分に達する端部側を基端側とする。
【0078】
この拘束部23は、衣類90に対し、挟持部23aにおける対向する所定の二箇所を衣類90の内面にそれぞれ接触させ、これら二箇所で衣類90の一部を挟持する状態で、本体部21と同様に衣類90の内側に配置されることとなる。
【0079】
本体部21と拘束部23は、先に拘束部23を衣類90の内側に配置し、挟持部23aで衣類90の一部を挟持した状態で、本体部21も衣類90の内側に配置する。そして、拘束部23の基端側を本体部21の凹部21bに向け、この凹部21bに拘束部23を挿入して嵌合させる。これにより、拘束部23は、本体部21に取り付けられて一体となり、挟持部23aで挟持する衣類90の一部を、本体部21と拘束部23で、本体部21と拘束部23に対し動かないよう相対的に拘束する状態が得られる。
この場合、衣類90を基準にすると、本体部21と拘束部23が衣類90に拘束されて、衣類90の腹部対応部分に保持された状態となる。
【0080】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、使用者は治療装置2を保持可能な衣類90を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置2の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、外部から制御部24に治療に係る作動の開始が指示されると、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0081】
まず、治療装置2の身体への装着として、本体部21と拘束部23とを離した状態で、使用者の腹部を覆う衣類90に対し、拘束部23を使用者の身体と衣類90との間に位置させ、挟持部23aを衣類90の内面に向ける。そして、衣類90の内側から、衣類90の一部を挟持部23aで挟持する。続いて、本体部21を使用者の身体と衣類90との間に位置させ、本体部21の第一面21aを身体表面に向け、凹部21bを拘束部23の基端側に向けた状態とする。
【0082】
さらに、本体部21への拘束部23の取り付けとして、挟持した衣類90の一部と共に拘束部23を動かして、本体部11の凹部21bに拘束部23を嵌入し、拘束部23の基端側が凹部21bの最奥部分まで達し、拘束部23と本体部21の凹部21bとが嵌合した状態とする。
【0083】
こうして衣類90の一部を拘束部23の挟持部23aで挟持すると共に、拘束部23を本体部21に取り付けていることで、衣類90は本体部21及び拘束部23に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部21及び拘束部23が衣類90に拘束され、衣類90に対し動かずに保持された状態となる。
これに伴い、本体部21の第一面21aにある電極部22が、ちょうど腹部表面の皮膚に当接してずれない状態となる。
【0084】
使用者の身体に適切に装着された、治療装置の電気刺激付与に係る作動については、前記第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
【0085】
このように、本実施形態に係る治療装置は、本体部21に取り付けられる拘束部23が本体部21と共に衣類90の内側に配置され、拘束部23で衣類90の一部を内側から挟持して衣類90を相対的に拘束し、本体部21が衣類90に対し拘束された状態を得ることから、衣類90の内側のみで本体部21が衣類90に対し動きにくい状態を無理なく確保することができ、衣類90を介して本体部21とこれに設けられた電極部22の身体への適切な装着状態を得て、電極部22が身体に対しずれることはなく、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。また、本体部21と拘束部23が共に衣類90の内側に位置することで、装置が目立ちにくく、使用者が外出時等で装置の使用を気にすることなく行動できる。
【0086】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、拘束部23の挟持部23aで衣類90の一部を挟持して、衣類90を拘束部23に相対的に拘束する構成としているが、拘束部における挟持部は一つに限られるものではなく、挟持部を拘束部に複数設けて、衣類の複数箇所をそれぞれ挟持部で挟持するようにしてもよい。また、本体部に取り付ける拘束部も一つに限られるものではなく、拘束部を本体部に複数取り付け可能とし、衣類に対し、複数の拘束部がそれぞれ衣類の異なる一部を各々の挟持部で挟持した状態で本体部に取り付けられることで、衣類を本体部に相対的に拘束する構成とすることもできる。
【0087】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、拘束部23の挟持部23aで衣類90の一部を挟持してから、拘束部23を本体部21に取り付ける構成としているが、これに限らず、拘束部を先に本体部に取り付けて一体に組み合わせた状態で、この一体となった拘束部と本体部を衣類の内側に配置し、拘束部を本体部から取り外さずにその挟持部で衣類の一部を挟持し、衣類を相対的に拘束する構成とすることもできる。また、本体部に設けられる電極部のうち、身体への接触面が粘着性のある材質製とされ、且つ、電極部を皮膚に貼り付けて接触させた状態で、本体部も身体表面に保持される程度の粘着力を備える場合には、先に本体部を身体と衣類との間に配置し、電極部を身体に貼り付けて本体部を保持状態としてから、拘束部を身体と衣類との間に配置して拘束部で衣類の一部を挟持し、さらに拘束部を本体部に取り付けて、本体部と拘束部の衣類への拘束状態を得る構成とすることもできる。
【0088】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、拘束部23を本体部21の凹部21bと嵌合させることで本体部21に取り付ける構成としているが、これに限らず、拘束部の端部から突出させた凸部を、本体部の凹部と嵌合させて取り付けるようにしたり、拘束部に凹部を設け、この凹部と本体部に設けた凸部とを嵌合させて拘束部を本体部に取り付ける構成とすることもできる。
【0089】
この他、拘束部23を本体部21と嵌合させる向きを衣類90の内外方向と同じとなるようにしているが、これに限られるものではなく、異なる方向(例えば、直交する方向)とすることもでき、装置使用状態で、衣類の伸張等によって衣類から拘束部を外向きに動かそうとする力が加わった際に、誤って拘束部が本体部から脱落するような事態を起こりにくくすることができる。
【0090】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る治療装置を前記
図11及び
図12に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置3は、前記第1の実施形態と同様に、本体部31と、電極部32と、拘束部33と、制御部34とを備える一方、異なる点として、本体部31に取り付けられた拘束部33が衣類90の一部を内外から挟持して、衣類90を相対的に拘束する構成を有するものである。
なお、制御部34については、前記第1の実施形態と同様のものであり、説明を省略する。
【0091】
前記本体部31は、使用者の身体に向けられる前記一の面としての略平面状の第一面31aを有すると共に、この第一面31aの反対側となる部位に拘束部33取付け用の係合部31bを設けられる構成である。この本体部31は、樹脂等の絶縁体製とされ、第一面31aに電極部32が配設される。
なお、本体部31においては、第一面31aのある側を基端側、係合部31bのある側を先端側とする。
【0092】
本体部31の内部には、前記第1の実施形態同様に、制御部34等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部34は、第一面31a側の電極部32と電気的に接続される仕組みである。
この本体部31における第一面31aの反対側となる部位、具体的には係合部31bに、拘束部33が着脱可能に取り付けられる。
【0093】
本体部31は、使用者の腹部周りに着用された衣類90に対し、衣類90の内面に本体部31の係合部31bを向けるようにして、拘束部33を取り付けられた状態で衣類90の内側、すなわち、衣類90の内面と身体との間に配置されることとなる。
【0094】
前記電極部32は、前記第1の実施形態と同様、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有して、本体部31の第一面31aに配設されるものである。
【0095】
前記拘束部33は、本体部33の係合部31bに着脱可能に取り付けられる第一拘束片33aと、この第一拘束片33aに連結される第二拘束片33bとを有する構成である。
拘束部33は、この拘束部33における対向する所定の二箇所、具体的には、第一拘束片33aの一端部と第二拘束片33bの一端部、の間に衣類90の一部を挟んで拘束することとなる。
【0096】
拘束部33は、所定の付勢手段により、第一拘束片33aと第二拘束片33bとの連結位置から離れた、第二拘束片33bの一端部を、同様に前記連結位置から離れている第一拘束片33aの一端部に近付く向きに付勢される仕組みである。そして、拘束部33は、第一拘束片33aの一端部を衣類90の内側に配置される一方、第二拘束片33bの一端部を衣類90の外側に配置されることで、第一拘束片33aと第二拘束片33bで衣類90の一部を内外から挟んで挟持可能とされる。
【0097】
拘束部33のうち、第一拘束片33aの一端部は、本体部31の係合部31bに係脱可能な形状として形成され、この第一拘束片33aの一端部を本体部31の係合部31bに係合させることで、拘束部33を本体部31に取り付けることができる。
【0098】
拘束部33は、衣類90に対し、第一拘束片33aの一端部を衣類90の内面に接触させ、第二拘束片33bの一端部を衣類90の外面に接触させ、衣類90の一部を内外から挟持するようにされて、衣類90の内外にわたって配置されることとなる。
【0099】
拘束部33は、衣類90の内面に当接する第一拘束片33aの一端部や、衣類90の外面に当接する第二拘束片33bの一端部に、衣類90に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる、連続する細かな凹凸等の、滑り止めを設けられる構成とすることもできる。
【0100】
本体部31と拘束部33については、あらかじめ本体部31に拘束部33を取り付けた状態で、本体部31を衣類90の内側に配置し、拘束部33における第一拘束片33aの一端部も衣類90の内側に配置する。そして、この第一拘束片33aと、衣類90の外側に位置させた拘束部33の第二拘束片33bとで、衣類90の一部を内外から挟持する。こうして、拘束部33で衣類90の一部を挟持することで、拘束部33とこれを取り付けられた本体部31とで、衣類90の一部を、本体部31と拘束部33に対し動かないよう相対的に拘束する状態が得られる。
この場合、衣類90を基準にすると、本体部31と拘束部33が衣類90に拘束されて、衣類90の腹部対応部分に保持された状態となる。
【0101】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、使用者は治療装置3を保持可能な衣類90を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置3の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、外部から制御部34に治療に係る作動の開始が指示されると、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0102】
治療装置3の身体への装着としては、あらかじめ本体部31の係合部31bに拘束部33の第一拘束片33aの一端部を係合させ、本体部31に拘束部33を取り付けた状態としておく。そして、拘束部33を操作して、第一拘束片33aの一端部と第二拘束片33bの一端部との間を空けた状態で、使用者の腹部を覆う衣類90に対し、本体部31を使用者の身体と衣類90との間に位置させ、本体部31の第一面31aを身体表面に向け、拘束部33の第一拘束片33aの一端部を衣類90の内面に向ける。一方、拘束部33の第二拘束片33bの一端部は、衣類90の外側に位置させる。
【0103】
続いて、拘束部33へのさらなる操作で、第一拘束片33aの一端部と第二拘束片33bの一端部との間隔を小さくし、第一拘束片33aの一端部を衣類90の内面に、第二拘束片33bの一端部を衣類90の外面に、それぞれ当接させて、拘束部33で衣類90の内外から衣類90の一部を挟持した状態とする。
【0104】
こうして衣類90の一部を、本体部31に取り付けた拘束部33で挟持することで、衣類90は本体部31及び拘束部23に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部31及び拘束部33が衣類90に拘束され、衣類90に対し動かずに保持された状態となる。
これに伴い、本体部31の第一面31aにある電極部32が、ちょうど腹部表面の皮膚に当接してずれない状態となる。
【0105】
使用者の身体に適切に装着された、治療装置の電気刺激付与に係る作動については、前記第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
【0106】
このように、本実施形態に係る治療装置は、本体部31に取り付けられる拘束部33が衣類90に対しその内外から一部を挟持して相対的に拘束し、本体部31と拘束部33が衣類90に対し動かない状態を得ることから、本体部31と拘束部33を衣類90に拘束した状態を容易に確保して、速やかに装置の衣類90への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0107】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部31に取り付けた拘束部33で衣類90の一部を挟持して、衣類90を本体部31及び拘束部33に相対的に拘束する構成としているが、本体部に取り付ける拘束部は一つに限られるものではなく、拘束部を本体部に複数並ぶように取り付け、これら複数の拘束部で衣類の異なる一部をそれぞれ挟持して、衣類を本体部に相対的に拘束する構成とすることもできる。
【0108】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、拘束部33で衣類90の一部を挟持して衣類90を相対的に拘束する際に、衣類90の端部(上端部)を本体部11の近傍に位置する状態として、拘束部33で衣類90の端部を挟持する(
図12参照)構成としているが、これに限られるものではなく、衣類の端部(上端部)を本体部から離す、詳細には、衣類の端部が拘束部の第一拘束片と第二拘束片に挟まれた領域のいずれか(例えば、第一拘束片と第二拘束片の連結位置近く、など)に位置するようにして、衣類の端部以外の部位を拘束部で挟持する構成としてもかまわない。
【0109】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、拘束部33の第一拘束片33aを衣類90の内面に当接させると共に、第二拘束片33bを衣類90の外面に当接させて、拘束部33のみで衣類90の一部を挟持する構成としているが、これに限られるものではなく、本体部31と拘束部33による異なる挟持態様、例えば、
図13及び
図14に示すように、拘束部33をなす第一拘束片33aと第二拘束片33bのうち、第一拘束片33aの一端部を、本体部31における一の面としての第一面31aの反対側となる部位以外の箇所、例えば第一面31aにおける電極部32を設けられていない箇所、に取り付け、本体部31における第一面31aの反対側となる部位(第二面31d)と、第二拘束片33bの一端部とで衣類90の一部を挟持する構成とすることもできる。
【0110】
この場合、本体部31の第二面31dが衣類90の内面に接し、拘束部33の第二拘束片33bが衣類90の外面に接して、本体部31と拘束部33で衣類90の内外から衣類90を挟持して相対的に拘束し、本体部31と拘束部33が衣類90に対し動かない状態を得られることとなる。これにより、前記実施形態と同様に、本体部31と拘束部33を衣類90に拘束した状態を容易に確保して、速やかに装置の衣類90への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0111】
そして、この場合も、衣類90の端部(上端部)を本体部11の近傍に位置する状態として、本体部11と拘束部33で衣類90の端部を挟持する(
図14参照)ようにしているが、これに限らず、衣類の端部(上端部)を本体部から離す、詳細には、衣類の端部が拘束部の第一拘束片と第二拘束片に挟まれた領域のいずれかに位置するようにした上で、衣類の端部以外の部位を本体部と拘束部で挟持する構成としてもかまわない。
【0112】
(本発明の第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る治療装置を前記
図15及び
図16に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置4は、前記第1の実施形態と同様に、本体部41と、電極部42と、拘束部43と、制御部44とを備える一方、異なる点として、本体部41における電極部42と同じ面に取り付けられた拘束部43が、衣類90の一部を挟持して、衣類90を相対的に拘束する構成を有するものである。
なお、制御部44については、前記第1の実施形態と同様のものであり、説明を省略する。
【0113】
前記本体部41は、略板状に形成され、使用者の身体に向けられる前記一の面としての略平面状の第一面41aを有する構成である。この本体部41は、樹脂等の絶縁体製とされ、第一面41aに電極部42が配設される。
なお、本体部41においては、第一面41aのある側を基端側、その反対側を先端側とする。
【0114】
本体部41の内部には、前記第1の実施形態同様に、制御部44等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部44は、第一面41a側の電極部42と電気的に接続される仕組みである。
この本体部41における第一面41aのうち、電極部42のない箇所に、拘束部43が取り付けられる。
【0115】
本体部41は、使用者の腹部周りに着用された衣類90に対し、本体部41の第一面41aに取り付けられた拘束部43で衣類90の一部をその内外から挟持する状態として、衣類90の外側に配置されることとなる。
【0116】
前記電極部42は、前記第1の実施形態と同様、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有して、本体部41の第一面41aに配設されるものである。
【0117】
前記拘束部43は、本体部43の第一面41aにおける、電極部42が配設されない所定箇所に取り付けられる第一拘束片43aと、この第一拘束片43aに傾動可能に連結される第二拘束片43bとを有する構成である。
【0118】
拘束部43は、この拘束部43における対向する所定の二箇所、具体的には、第一拘束片43aの一端部と第一拘束片43aの一端部、の間に衣類90の一部を挟んで拘束することとなる。
【0119】
拘束部43は、所定の付勢手段により、第一拘束片43aと第二拘束片43bとの連結位置から離れた、第二拘束片43bの一端部を、同様に前記連結位置から離れている第一拘束片43aの一端部に近付く向きに付勢される仕組みである。そして、拘束部43は、第一拘束片43aの一端部を衣類90の外側に配置される一方、第二拘束片43bの一端部を衣類90の内側に配置されることで、第一拘束片43aと第二拘束片43bで衣類90の一部を衣類90の外側及び内側から挟んで挟持可能とされる。
【0120】
拘束部43は、衣類90に対し、第一拘束片43aの一端部を衣類90の外面に接触させ、第二拘束片43bの一端部を衣類90の内面に接触させ、衣類90の一部を衣類90の外側及び内側から挟持するようにされて、衣類90の内外にわたって配置されることとなる。
【0121】
拘束部43は、衣類90の外面に当接する第一拘束片43aの一端部や、衣類90の内面に当接する第二拘束片43bの一端部に、衣類90に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる、連続する細かな凹凸等の、滑り止めを設けられる構成とすることもできる。
【0122】
本体部41と拘束部43については、本体部41を身体の表面近く且つ衣類90の近傍となる位置に配置し、拘束部43における第一拘束片43aの一端部を衣類90の外側に配置すると共に、第二拘束片43bの一端部を衣類90の内側に配置する。そして、この第一拘束片43aと第二拘束片43bとで、衣類90の一部を衣類90の外側及び内側から挟持する。こうして、拘束部43で衣類90の一部を挟持することで、拘束部43とこれを取り付けられた本体部41とで、衣類90の一部を、本体部41と拘束部43に対し動かないよう相対的に拘束する状態が得られる。
この場合、衣類90を基準にすると、本体部41と拘束部43が衣類90に拘束されて、衣類90に保持されつつ、本体部41の電極部42が身体表面の治療対象箇所に当接した状態となる。
【0123】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、使用者は治療装置4を保持可能な衣類90を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置4の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、外部から制御部44に治療に係る作動の開始が指示されると、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0124】
まず、治療装置4の身体への装着として、使用者の腹部近くに位置する衣類90に対し、本体部41を使用者の身体の治療対象箇所近くに位置させ、拘束部43の第一拘束片43aに対し第二拘束片43bを動かし、第一拘束片43aと第二拘束片43bにおける一端部同士を離隔させた状態とする。そして、本体部41の第一面41aを身体表面に向け、拘束部43の第二拘束片43bの一端部を衣類90の内側に位置させると共に、第一拘束片43aの一端部を衣類90の外面に向ける。
【0125】
そして、第二拘束片43bを元の状態に戻すように動かして、第一拘束片43aの一端部を衣類90の外面に、第二拘束片43bの一端部を衣類90の内面に、それぞれ当接させて、拘束部43で衣類90の内外から衣類90の一部を挟持した状態とする。
【0126】
こうして衣類90の一部を、本体部41に取り付けた拘束部43で挟持することで、衣類90は本体部41及び拘束部43に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部41及び拘束部43が衣類90に拘束され、衣類90に対し動かずに保持された状態となる。
これに伴い、本体部41の第一面41aにある電極部42が、衣類90とは重ならずに、ちょうど腹部表面の皮膚に当接してずれない状態となる。
【0127】
使用者の身体に適切に装着された、治療装置の電気刺激付与に係る作動については、前記第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
【0128】
このように、本実施形態に係る治療装置は、本体部41に取り付けられる拘束部43が衣類90に対しその内外両側から一部を挟持して相対的に拘束し、本体部41を衣類90の内側に位置させない配置としつつ、本体部41と拘束部43が衣類90に対し動かない状態を得ることから、本体部41と拘束部43を衣類90に拘束した状態を極めて容易に確保して、速やかに装置の衣類90への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0129】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部41に取り付けた拘束部43で衣類90の一部を挟持して、衣類90を本体部41及び拘束部43に相対的に拘束する構成としているが、本体部に取り付ける拘束部は一つに限られるものではなく、拘束部を本体部に複数並ぶように取り付け、これら複数の拘束部で衣類の異なる一部をそれぞれ挟持して、衣類を本体部に相対的に拘束する構成とすることもできる。
【0130】
また、前記実施形態に係る治療装置において、本体部41における一の面としての第一面41aは、拘束部43を取り付けられる中央部分と、その両側でそれぞれ電極部42を配設される部分との間に段差のある面とされる構成としているが、これに限られるものではなく、拘束部が電極部における皮膚への接触面の位置より第一面(一の面)寄りに存在して、電極部が皮膚に当接する場合に、拘束部が皮膚に接しない配置状態を確保できれば、第一面(一の面)を段差のない平面、曲面、又はこれらを組み合わせた連続面、として形成する構成としてもかまわない。
【0131】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、拘束部43をなす第一拘束片43aと第二拘束片43bを衣類90の外面と内面に当接させて、拘束部43が衣類90の一部を内外から挟持する構成としているが、これに限らず、拘束部43をなす第一拘束片43aと第二拘束片43bの各一端部を共に衣類90の内側に位置させ、これら第一拘束片43aと第二拘束片43bの各一端部を衣類90の内面における異なる箇所にそれぞれ当接させて、第一拘束片43aと第二拘束片43bで衣類90の一部を衣類90の内側から挟持する構成とすることもできる。
【0132】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、拘束部43をなす第一拘束片43aと第二拘束片43bを衣類90の外面と内面に当接させて、拘束部43のみで衣類90の一部を挟持する構成としているが、これに限られるものではなく、本体部41と拘束部43による異なる挟持態様、例えば、
図17及び
図18に示すように、一部材からなる拘束部43を、本体部41における一の面としての第一面41aの反対側となる部位を除く箇所、例えば第一面41aにおける電極部42を設けられていない箇所、に取り付け、本体部43の第一面41aを衣類90の外面に、拘束部43の端部を衣類90の内面にそれぞれ当接させ、本体部41と拘束部43とで衣類90の一部を衣類90の外側及び内側から挟持する構成とすることもできる。
【0133】
この場合、拘束部43と本体部41とで衣類90の内外から衣類90の一部を挟持して相対的に拘束し、本体部41と拘束部43が衣類に対し動かない状態を得る一方、本体部41に設けられた電極部42の内側には衣類90を位置させない配置として、電極部42を皮膚に当接可能としている。これにより、前記実施形態と同様に、本体部41と拘束部43を衣類90に拘束した状態を極めて容易に確保して、速やかに装置の衣類90への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0134】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、衣類90に対し、本体部41の第一面41aに取り付けられた拘束部43で衣類90の一部を挟持して、衣類90を相対的に拘束する構成としているが、これに限らず、本体部の端部に着脱可能に取り付けられる拘束部で、衣類90の上端を挟持して、衣類を相対的に拘束し、本体部の電極部が身体表面に当接した保持状態を得る構成とすることもできる。
【0135】
この場合、拘束部は、本体部の端部に対し着脱可能な構成、例えば、本体部の端部に設けられた凹部に、拘束部の全体又は凸状となる一部を嵌脱可能としたり、拘束部に設けた凹部に、本体部に設けた凸部を相対的に嵌脱可能とする構成とされる。そして、拘束部は、本体部に取り付けた状態で本体部に覆われず露出する部位に、衣類の一部を挟持可能な挟持部を形成される。
【0136】
本体部と拘束部を衣類に保持させる際は、本体部に拘束部を取り付けた状態で、本体部における拘束部を取り付けた端部側を下向きとし、且つ本体部の第一面(一の面)を身体表面に向けて、本体部及び拘束部を衣類の上側に位置させる。そして、衣類の上側から、衣類の上端を拘束部の挟持部で挟持する。詳細には、挟持部における対向する所定の二箇所を衣類の上端における外面と内面にそれぞれ接触させ、これら二箇所で衣類の上端を挟持することとなる。
【0137】
このように、衣類の上端を拘束部の挟持部で挟持すると共に、拘束部を本体部に取り付けていることで、衣類は本体部及び拘束部に相対的に拘束される、すなわち、本体部及び拘束部が衣類に拘束され、衣類に対し動かずに保持された状態となる。そして、これに伴い、本体部の第一面にある電極部が、衣類とは重ならずに、皮膚に当接してずれない状態となって、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行可能となる。
【0138】
(本発明の第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る治療装置を前記
図19及び
図20に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置5は、前記第1の実施形態と同様に、本体部51と、電極部52と、拘束部53と、制御部54とを備える一方、異なる点として、拘束部53と本体部51とを磁力で着脱可能とし、磁力で互いに吸引させて接近させた拘束部53と本体部51とで、衣類90の一部を内外から相対的に拘束する構成を有するものである。
なお、制御部54については、前記第1の実施形態と同様のものであり、説明を省略する。
【0139】
前記本体部51は、略板状に形成され、使用者の身体に向けられる前記一の面としての略平面状の第一面51aを有すると共に、第一面51aの反対側となる部位としての第二面51bを有し、この第二面51bに磁石(第一磁石51c)を配設される構成である。この本体部51は、樹脂等の絶縁体製とされ、第一面51aに電極部52が配設される。
【0140】
本体部51の内部には、前記第1の実施形態同様に、制御部54等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部54は、第一面51a側の電極部52と電気的に接続される仕組みである。
この本体部51における第一面51aの反対側となる部位、具体的には第二面51bに、拘束部53が着脱可能に取り付けられる。
【0141】
本体部51は、使用者の腹部周りに着用された衣類90に対し、衣類90の内面に本体部51の第二面51bを向けるようにして衣類90の内側、すなわち、衣類90の内面と身体との間に配置されることとなる。
【0142】
前記電極部52は、前記第1の実施形態と同様、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有して、本体部51の第一面51aに配設されるものである。
【0143】
前記拘束部53は、略板状に形成され、本体部51に対向させる所定の面(第三面53a)を有し、この第三面53aの所定箇所に磁石(第二磁石53b)を配設されて、この第二磁石53bを本体部51の第一磁石51cと互いに吸引させて本体部51に着脱可能とされる構成である。
【0144】
この拘束部53は、衣類90に対し、第三面53aのうち、第二磁石53bの存在しない箇所を、衣類90の外面に接触させるようにされて、衣類90の外側に配置されることとなる。
【0145】
本体部51と拘束部53については、本体部51を衣類90の内側に配置し、本体部51の第二面51bを衣類90の内面に向けると共に、拘束部53を衣類90の外側に配置し、拘束部23の第三面53aを衣類90の外面に向けた状態とされる。そして、このように拘束部53と本体部51との間に衣類90の一部を介在させた状態で、拘束部53の第二磁石53bと本体部51の第一磁石51cとを互いの磁力で引き寄せて、拘束部53を本体部51に取り付ける。これにより、本体部51の第二面51bと拘束部53の第三面53aで衣類90の一部を挟持して、この衣類90の一部を、本体部51と拘束部53で、本体部51と拘束部53に対し動かないよう相対的に拘束する状態が得られる。
この場合、衣類90を基準にすると、本体部51と拘束部53が衣類90に拘束されて、衣類90の腹部対応部分に保持された状態となる。
【0146】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、使用者は治療装置5を保持可能な衣類90を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置5の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、外部から制御部54に治療に係る作動の開始が指示されると、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0147】
まず、治療装置5の身体への装着として、本体部51と拘束部53とを離した状態で、使用者の腹部を覆う衣類90に対し、本体部51を使用者の身体と衣類90との間に位置させ、本体部51の第一面51aを身体表面に向け、第二面51bを衣類90の内面に向ける。続いて、拘束部53を衣類90の外側に位置させ、第三面53aを衣類90の外面に向けた状態とする。
【0148】
さらに、本体部51への拘束部53の取り付けとして、本体部51と拘束部53の間に衣類90の一部を介在させた状態で拘束部53を動かして、拘束部53の第二磁石53bと本体部51の第一磁石51cの磁力に基づく吸引力で拘束部53を本体部51に密着させ、拘束部53と本体部51が離れず一体となった状態とする。
【0149】
この時、衣類90の一部を挟む本体部51の第二面51bと拘束部53の第三面53aとの間隔も狭まることから、衣類90の一部を、本体部51と拘束部53で衣類90の内外から挟持する状態となる。
【0150】
こうして衣類90の一部を本体部51とこれに取り付けている拘束部53で挟持することで、衣類90は本体部51及び拘束部53に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部51及び拘束部53が衣類90に拘束され、衣類90に対し動かずに保持された状態となる。
これに伴い、本体部51の第一面51aにある電極部52が、ちょうど腹部表面の皮膚に当接してずれない状態となる。
【0151】
使用者の身体に適切に装着された、治療装置の電気刺激付与に係る作動については、前記第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
【0152】
このように、本実施形態に係る治療装置は、本体部51に磁石により着脱可能に取り付けられる拘束部53が衣類90の外側に配置され、本体部51と拘束部53で衣類90の内外から衣類90を挟持して相対的に拘束し、本体部51と拘束部53が衣類90に対し動かない状態を得ることから、本体部51と拘束部53を衣類90に拘束した状態を容易に確保して、速やかに装置の衣類90への保持状態を得ることができ、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0153】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部51とこれに着脱可能に取り付けられる拘束部53とで衣類90の一部を挟持して、衣類90を相対的に拘束する構成としているが、本体部に着脱可能に取り付けられる拘束部は一つに限られるものではなく、拘束部を本体部に複数取り付け、これら複数の拘束部と本体部とで衣類の異なる一部をそれぞれ挟持して、衣類を相対的に拘束する構成とすることもできる。
【0154】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部51と拘束部53による衣類90の一部の挟持を、第二面51bと第三面53aにおける、第一磁石51cや第二磁石53bのない部分で行う構成としているが、これに限られるものではなく、例えば、より強力な磁石を用いて、衣類の一部を介しても磁石同士が吸着し、互いに離れにくい状態(一種の取り付け状態)を得られるようにして、衣類の一部を本体部と拘束部における磁石のある部分で挟持する構成とすることもできる。また、本体部51と拘束部53による衣類90の一部の挟持を、磁石のない部分で行うか、磁石のある部分で行うか、に関係なく、本体部における第一磁石及び拘束部における第二磁石のいずれか一方あるいは両方が、本体部や拘束部の内部に配設される構成としてもかまわない。その場合、本体部と拘束部における磁石のある部分で衣類の一部を挟持する構成であっても、一方又は両方の磁石を衣類に直接接触させずに衣類を挟持することができる。
【0155】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部51と拘束部53にそれぞれ磁石51c、53bを設けて、これら磁石同士の磁力に基づく吸引力を利用して、拘束部53を本体部51に取り付け、本体部51と拘束部53とで衣類90の一部を挟持する構成としているが、これに限られるものではなく、本体部と拘束部のいずれか一方のみに磁石を設け、他方には、磁性を有し磁石に引き寄せられる材質で形成される磁性材部を設けて、この磁性材部が磁石に吸着される性質を利用して、拘束部を本体部に取り付け、本体部と拘束部とで衣類の一部を挟持する構成とすることもできる。この場合も、本体部と拘束部による衣類の一部の挟持を、磁石や磁性材部のない部分で行う構成だけでなく、衣類の一部を本体部と拘束部における磁石や磁性材部のある部分で挟持する構成としてもよい。さらに、拘束部が磁石、又は磁性材部を設けられる側となる場合には、拘束部全体が磁石又は磁性材部からなる構成としてもかまわない。同様に、本体部が磁石、又は磁性材部を設けられる側となる場合には、本体部における電極部や内部機構(制御部など)を除いた全体が磁石又は磁性材部からなる構成としてもかまわない。
【0156】
さらに、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部51と拘束部53のいずれにも磁石51c、53bをそれぞれ設け、磁石同士の磁力に基づく吸引力により互いに引き寄せられた本体部51と拘束部53とで衣類90の一部を挟持する構成としているが、これに限らず、本体部及び拘束部とは独立した磁石を備える一方、本体部と拘束部のいずれにも磁石を設けない構成とすることもできる。
【0157】
例えば、本体部と拘束部のそれぞれにおける少なくとも一部に、磁性を有し磁石に引き寄せられる材質で形成される磁性材部を設け、本体部及び拘束部とは別体である磁石に対し、本体部と拘束部のそれぞれにおける磁性材部を磁石に吸着させることで、磁石を介して拘束部を本体部に取り付けた状態を得ると共に、本体部と磁石との間、磁石と拘束部との間、又は、本体部と拘束部との間に、衣類の一部を挟んで挟持状態とする構成としてもかまわない。
【0158】
(本発明の第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る治療装置を前記
図21ないし
図23に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置6は、前記第1の実施形態と同様に、本体部61と、電極部62と、拘束部63と、制御部64とを備える一方、異なる点として、本体部61とこれに回動可能に取り付けられた拘束部63が衣類90の一部を内外から挟持して、衣類90を相対的に拘束する構成を有するものである。
なお、制御部64については、前記第1の実施形態と同様のものであり、説明を省略する。
【0159】
前記本体部61は、略板状に形成され、使用者の身体に向けられる前記一の面としての略平面状の第一面61aを有すると共に、この第一面61aの反対側に位置する前記他の面としての第二面61bを有する構成である。この本体部61は、樹脂等の絶縁体製とされ、第一面61aに電極部62が配設される。
【0160】
本体部61の内部には、前記第1の実施形態同様に、制御部64等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部64は、第一面61a側の電極部62と電気的に接続される仕組みである。
この本体部61における第一面61aの反対側となる部位、具体的には第二面61bに、拘束部63が回動可能に取り付けられる。
【0161】
本体部61は、使用者の腹部周りに着用された衣類90に対し、衣類90の内面に本体部61の第二面61bを向けるようにして、衣類90の内側、すなわち、衣類90の内面と身体との間に配置される。そして、本体部61の第二面61bにおける端部寄りの所定部位(接触部61d)を、衣類90の内面に当接させることとなる。この接触部61dをはじめとする、衣類90の内面に接触可能な第二面61bには、衣類90に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる、連続する細かな凹凸等の、滑り止めを設けるようにしてもよい。
【0162】
前記電極部62は、前記第1の実施形態と同様、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有して、本体部61の第一面61aに配設されるものである。
【0163】
前記拘束部63は、略板状に形成され、本体部61に対向させる所定の面(第三面63a)を有し、本体部61に対して、本体部61の第二面61bと直交する中心軸を中心として回動可能に取り付けられる構成である。具体的には、拘束部63は、本体部61からその第二面61bと直交する向きに突出する軸部61fに回動可能に支持されることで、本体部61に取り付けられる仕組みである。そして、軸部61fの中心が前記中心軸として拘束部63の回動の中心となっている。
【0164】
拘束部63は、本体部61に対し回動可能とされることで、本体部61の第二面61bのうち、衣類90の内面に当接させる第二面61bの接触部61dに対し、重なる状態と重ならずにずれた状態とを切替可能とされる。拘束部63が第二面61bの接触部61dに重ならずにずれた状態では、接触部61dを衣類90の内面に近付けて当接させたり、逆に接触部61dを衣類90の内面から離隔させることが可能である。
【0165】
拘束部63は、衣類90の内側に配置されて衣類90の内面に当接可能とされる本体部61に対し、衣類90の外側に配置される。
そして、第二面61bの接触部61dを衣類90の内面に当接させた状態で、拘束部63を接触部61dに重なる状態にすると、第二面61bと拘束部63との間に衣類90の一部を介在させて、本体部61と拘束部63で衣類90の一部を挟持できる。
【0166】
拘束部63は、所定の付勢手段により、本体部63における第二面61bの接触部61dに重ならずにずれた状態から、この接触部61dに重なる状態まで回動するように付勢される仕組みである。
【0167】
拘束部63は、衣類90の外面に当接する第三面63aに、衣類90に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる、連続する細かな凹凸等の、滑り止めを設けられる構成とすることもできる。
【0168】
本体部61と拘束部63については、あらかじめ本体部61における第二面61bの接触部61dに対し拘束部63が重ならずにずれた状態とした上で、本体部61を衣類90の内側に配置し、拘束部63を衣類90の外側に配置する。そして、本体部61における第二面61bの接触部61dを衣類90の内面に近付けて当接させ、この当接を維持しつつ、拘束部63を本体部61に対し回動させ、第二面61bの接触部61dに重なる状態とすると、本体部61と拘束部63とで、衣類90の一部を内外から挟持することができる。こうして衣類90の一部を挟持することで、本体部61と拘束部63で、衣類90の一部を、本体部61と拘束部63に対し動かないよう相対的に拘束する状態が得られる。
この場合、衣類90を基準にすると、本体部61と拘束部63が衣類90に拘束されて、衣類90の腹部対応部分に保持された状態となる。
【0169】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、使用者は治療装置6を保持可能な衣類90を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置6の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、外部から制御部64に治療に係る作動の開始が指示されると、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0170】
まず、治療装置6の身体への装着に際しては、本体部61に対し拘束部63を必要に応じ回動させ、あらかじめ本体部61における第二面61bの接触部61dに拘束部63が重ならずずれた状態としておく。その後、使用者の腹部を覆う衣類90に対し、本体部61を使用者の身体と衣類90との間に位置させ、本体部61の第一面61aを身体表面に向け、第二面61bを衣類90の内面に向け、第二面61bの接触部61dを衣類90の内面に当接させる。一方、拘束部63は、衣類90の外側に位置させる。
【0171】
そして、本体部61に対し拘束部63を回動させて、拘束部63を本体部61の接触部61dに重なる状態とし、拘束部63の第三面63aを衣類90の外面に当接させて、本体部61と拘束部63で衣類90の内外から衣類90の一部を挟持した状態とする。
【0172】
こうして衣類90の一部を、本体部61とこれに取り付けた拘束部63で挟持することで、衣類90は本体部61及び拘束部63に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部61及び拘束部63が衣類90に拘束され、衣類90に対し動かずに保持された状態となる。
これに伴い、本体部61の第一面61aにある電極部62が、ちょうど腹部表面の皮膚に当接してずれない状態となる。
【0173】
使用者の身体に適切に装着された、治療装置の電気刺激付与に係る作動については、前記第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
【0174】
このように、本実施形態に係る治療装置は、本体部61の第二面61bに回動可能として取り付けられる拘束部63を動かして、本体部61の第二面61bが衣類90の内面に接するようにすると共に、拘束部63が衣類90の外面に接するようにして、本体部61と拘束部63で衣類90の内外から衣類90を挟持して相対的に拘束した状態を得ることから、簡略な構造で本体部61と拘束部63を衣類90に拘束し、本体部61が衣類90に対し動きにくい状態を無理なく確保して、衣類90を介して本体部61とこれに設けられた電極部62の身体への適切な保持状態を得ることができ、電極部62が身体に対しずれにくく、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。
【0175】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部61とこれに回動可能として取り付けられる拘束部63とで衣類90の一部を挟持して、衣類90を相対的に拘束する構成としているが、本体部に傾動又は回動可能として取り付けられる拘束部は一つに限られるものではなく、本体部に対し傾動又は回動可能となる拘束部を本体部に複数並ぶように取り付け、これら複数の拘束部と本体部とで衣類の異なる一部をそれぞれ衣類の内外から挟持して、衣類を相対的に拘束する構成とすることもできる。
【0176】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部61における第二面61bの接触部61dを衣類90の内面に当接させ、拘束部63を回動させて第二面61bの接触部61dに重なる状態とすることで、本体部61と拘束部63とで衣類90の一部を挟持する構成としているが、これに限られるものではなく、本体部61と拘束部63で挟持しようとする衣類90の一部を、その内面が本体部61における第二面61bの接触部61dを越えて軸部61f近傍部位に接するように、本体部61と拘束部63との間に相対的に挿入した上で、拘束部63を回動させて第二面61bの接触部61dに重なる状態として、衣類90のより広い範囲を本体部61と拘束部63で挟持する構成とすることもできる。
【0177】
この場合、本体部61と拘束部63との間に存在している軸部61fが、本体部61と拘束部63との間に衣類90を相対的に挿入する際に、さらなる挿入に対する規制部(ストッパー)となって、衣類90の過剰な挿入を防止することができる。
【0178】
(本発明の第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係る治療装置を前記
図24ないし
図27に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置7は、前記第1の実施形態と同様に、本体部71と、電極部72と、拘束部73と、制御部74とを備える一方、異なる点として、本体部71とこれに移動可能に取り付けられた拘束部73が衣類90の一部を内外から挟持して、衣類90を相対的に拘束する構成を有するものである。
なお、制御部74については、前記第1の実施形態と同様のものであり、説明を省略する。
【0179】
前記本体部71は、略板状に形成され、使用者の身体100に向けられる前記一の面としての略平面状の第一面71aを有すると共に、この第一面71aの反対側に位置する前記他の面としての第二面71bを有する構成である。この本体部71は、樹脂等の絶縁体製とされ、第一面71aに電極部72が配設される。
【0180】
本体部71の内部には、前記第1の実施形態同様に、制御部74等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部74は、第一面71a側の電極部72と電気的に接続される仕組みである。
この本体部71における端部に、拘束部73が取り付けられる。
【0181】
本体部71は、使用者の腹部周りに着用された衣類90に対し、衣類90の内面に本体部71の第二面71bを向けるようにして、衣類90の内側、すなわち、衣類90の内面と身体100との間に配置される。そして、本体部71の第二面71bを、衣類90の内面に当接させることとなる。
【0182】
この本体部71における、衣類90の内面に当接可能な第二面71bに、衣類90に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる、連続する細かな凹凸等の、滑り止めを設けるようにしてもよい。
【0183】
前記電極部72は、前記第1の実施形態と同様、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有して、本体部71の第一面71aに配設されるものである。
【0184】
前記拘束部73は、略板状に形成され、本体部71の第一面71aに重なる状態と第二面71bに重なる状態とを切替可能として本体部71の端部に取り付けられる構成である。より詳細には、拘束部73は、本体部71端部に設けられた所定のリンク部材71dに取り付けられる。このリンク部材71dは、本体部71の第一面71aと平行となる中心軸を中心として傾動可能且つ本体部71の第一面71a(第二面71b)と直交する方向に直線移動可能として、本体部71端部に設けられるものである。拘束部73も、このリンク部材71dに、前記中心軸と平行となる別の中心軸を中心として傾動可能に取り付けられる。拘束部73は、このリンク部材71dを介して、本体部71に対して、本体部71の第一面71aに重なる位置と第二面71bに重なる位置との間で移動可能とされる仕組みである。
【0185】
拘束部73が本体部71の第一面71aに重なる状態では、第一面71aに設けられた電極部72を拘束部73で覆って、他の物体の接触から電極部72を保護することができる。また、この状態を含め、拘束部73が本体部71の第二面71bを開放している状況では、第二面71bを衣類90の内面に近付けて当接させたり、逆に第二面71bを衣類90の内面から離隔させることが可能である。
【0186】
一方、拘束部73が本体部71の第二面71bに重なる状態では、あらかじめこの拘束部73と本体部71の第二面71bとの間に位置させていた衣類90の一部を、本体部73と拘束部73とで挟持、拘束することができる。また、この状態を含め、拘束部73が本体部71の第一面71aを開放している状況では、第一面71aに設けられた電極部72を使用者の身体表面に接触させたり、逆に電極部72を使用者の身体表面から離隔させることができる。
【0187】
拘束部73は、本体部71の第二面71bに重なる状態で第二面71bに対向する、所定の面(第三面73a)を有する。この第三面73aが衣類90の外面に当接可能とされる。
【0188】
本体部71の第二面71bを衣類90の内面に当接させた状態で、拘束部73を第二面71bに重なる状態まで移動させると、拘束部73が衣類90の外側に配置され、第二面71bと拘束部73との間に衣類90の一部を介在させて、本体部73と拘束部73で衣類90の一部を挟持できる。
【0189】
拘束部73は、衣類90の外面に当接可能な第三面73aに、衣類90に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる、連続する細かな凹凸等の、滑り止めを設けられる構成とすることもできる。
【0190】
本体部71と拘束部73については、あらかじめ本体部71における第一面71a及び第二面71bに対し拘束部73が重ならない状態とした上で、本体部71を衣類90の内側に配置する。そして、本体部71における第二面71bを衣類90の内面に近付けて当接させる。この当接を維持しつつ、拘束部73を本体部71の第二面71b側に移動させ、拘束部73を衣類90の外側に位置させると共に拘束部73を第二面71bに重なる状態とすると、本体部71と拘束部73とで、衣類90の一部を内外から挟持することができる。こうして衣類90の一部を挟持することで、本体部71と拘束部73で、衣類90の一部を、本体部71と拘束部73に対し動かないよう相対的に拘束する状態が得られる。
この場合、衣類90を基準にすると、本体部71と拘束部73が衣類90に拘束されて、衣類90の腹部対応部分に保持された状態となる。
【0191】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、使用者は治療装置7を保持可能な衣類90を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置6の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、外部から制御部74に治療に係る作動の開始が指示されると、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0192】
まず、治療装置7の身体100への装着に際しては、本体部71に対し拘束部73を必要に応じ移動させ、あらかじめ本体部71における第一面71a及び第二面71bに拘束部73が重ならず、第一面71a及び第二面71b(少なくとも第一面71a)を開放した状態としておく(
図25参照)。その後、使用者の腹部を覆う衣類90に対し、本体部71を使用者の身体100と衣類90との間に位置させ(
図26参照)、本体部71の第一面71aを身体表面に向け、第二面71bを衣類90の内面に向け、衣類90の内面に当接させる。
【0193】
そして、本体部71に対し拘束部73を傾動させて、衣類90の外側に位置させる。さらに、拘束部73を本体部71の第二面71bに重なる状態とし、拘束部73の第三面73aを衣類90の外面に当接させて、本体部71と拘束部73で衣類90の内外から衣類90の一部を挟持した状態とする(
図27参照)。
【0194】
こうして衣類90の一部を、本体部71とこれに取り付けられた拘束部73で挟持することで、衣類90は本体部71及び拘束部73に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部71及び拘束部73が衣類90に拘束され、衣類90に対し動かずに保持された状態となる。
これに伴い、本体部71の第一面71aにある電極部72が、ちょうど腹部表面の皮膚に当接してずれない状態となる。
【0195】
使用者の身体に適切に装着された、治療装置の電気刺激付与に係る作動については、前記第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
【0196】
このように、本実施形態に係る治療装置は、本体部71に対し、本体部71の第一面71aに重なる状態と第二面71bに重なる状態とを切替可能とされる拘束部73を動かして、本体部71を衣類90の内面に接するようにすると共に、拘束部73を衣類90の外面に接するようにして、本体部71と拘束部73で衣類90の内外から衣類90を挟持して相対的に拘束した状態を得ることから、簡略な構造で本体部71と拘束部73を衣類90に拘束し、本体部71が衣類90に対し動きにくい状態を無理なく確保することができ、衣類90を介して本体部71とこれに設けられた電極部72の身体への適切な保持状態を得て、電極部72が身体に対しずれにくく、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。
【0197】
また、本体部71と拘束部73で衣類90を拘束しない間は、拘束部73を本体部71の第一面71aに重ねて第二面71bを露出させた状態にでき、拘束部73による電極部72の保護が図れると共に、本体部71の第二面71bに、本体部71を衣類90に保持させる前段階での操作入力受付や表示等を行う機能部を設けることができ、本体部各部を有効に利用できる。
【0198】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部71と、この本体部71に対しその第一面71aに重なる位置と第二面71bに重なる位置との間で移動可能として取り付けられる拘束部73とで、衣類90の一部を挟持して、衣類90を相対的に拘束する構成としているが、本体部に対し移動可能として取り付けられる拘束部は一つに限られるものではなく、本体部に対し移動可能となる拘束部を本体部に複数並ぶように取り付け、これら複数の拘束部と本体部とで衣類の異なる一部をそれぞれ衣類の内外から挟持して、衣類を相対的に拘束する構成とすることもできる。
【0199】
また、前記実施形態に係る治療装置において、本体部71に対し移動して第一面71aに重なる状態と第二面71bに重なる状態とを切替可能とされる拘束部73には、本体部71とは異なり、刺激付与に関連する所定の機能部を設けない構成としているが、この他、拘束部の第三面の反対側に位置して、拘束部の第三面が衣類の外面に当接する状態で外方に露出する状態となる所定部位に、使用者による通電に係る操作を受け付ける操作部等の機能部を設ける構成とすることもできる。この場合、装置の装着状態においても機能部を衣類の外側に位置させ、衣類に覆われない状態に維持して、容易に機能部を利用することができ、好ましい。
【0200】
また、前記実施形態に係る治療装置において、本体部71と拘束部73で衣類90の一部を挟持する際に、衣類90の内面に当接する本体部71の第二面71bと、衣類90の外面に当接する拘束部73の第三面73aは、いずれも平面状に形成される構成としているが、これに限られるものではなく、本体部71の第二面71bと拘束部73の第三面73aの少なくとも一方に、突出部を設ける構成とすることもできる。
【0201】
この場合、拘束部73が本体部71の第二面71bに重なる状態で、突出部が本体部71と拘束部73との間の隙間に位置して、この隙間がその外側の空間に対し連続的に通じる状態(隙間を外側の空間から奥まで見通せる状態)を、突出部が障害物として妨げると共に、本体部71と拘束部73による衣類90の挟持拘束状態において、本体部71と拘束部73との間の隙間に位置する衣類90の一部が、突出部に接して大きく屈曲変形し、隙間内で動きにくい状態となることから、挟持状態にある衣類90の一部が本体部71と拘束部73との間の隙間において外向きにずれ、隙間から抜けて外れる事態を確実に防ぐことができる。なお、既に拘束部73が本体部71の第二面71bに重なる状態では、本体部71と拘束部73との間の隙間に外から衣類90の一部を新たに差し入れることは、隙間に存在する突出部に阻まれるために不可能であるが、本体部71に対し拘束部73を動かして、本体部71と拘束部73との間の隙間を一旦広げるようにすれば、本体部71と拘束部73との間に衣類90の一部を無理なく位置させられ、本体部71と拘束部73による衣類90の挟持状態に移行させることができる。
【0202】
突出部は、本体部71の第二面71bと拘束部73の第三面73aのうち、一方の面から他方の面に向かって突出するように設け、突出部の突出量は本体部71と拘束部73との間の隙間と同じ程度とすることが望ましい。また、突出部は、本体部71の第二面71bと拘束部73の第三面73aの少なくとも一方における、リンク部材71dに近い側の端部とは反対側の端部や、この端部近傍の部位に設けるのが好ましい。
【0203】
この他、拘束部73が本体部71の第二面71bに重なる状態において、本体部71と拘束部73との間の隙間がその外側の空間に対し連続的に通じないようにして、本体部71と拘束部73による挟持状態にある衣類90の一部が本体部71と拘束部73との間の隙間から抜けにくくするものであれば、上記の突出部を設ける構成に限らず、他の構成を採用してもかまわない。
【0204】
(本発明の第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態に係る治療装置を前記
図28及び
図29に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置8は、前記第1の実施形態と同様に、本体部81と、電極部82と、拘束部83と、制御部84とを備える一方、異なる点として、本体部81とこれに取り付けられた拘束部83が衣類90の一部に掛けられた状態となって、衣類90を相対的に拘束する構成を有するものである。
なお、制御部84については、前記第1の実施形態と同様のものであり、説明を省略する。
【0205】
前記本体部81は、略板状に形成され、使用者の身体に向けられる前記一の面としての略平面状の第一面81aを有すると共に、この第一面81aの反対側に位置する前記他の面としての第二面81bを有する構成である。この本体部81は、樹脂等の絶縁体製とされ、第一面81aに電極部82が配設される。
【0206】
なお、本体部81においては、第一面81aのある側を基端側、第二面81bのある側を先端側とする。
【0207】
本体部81の内部には、前記第1の実施形態同様に、制御部84等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部84は、第一面81a側の電極部82と電気的に接続される仕組みである。
この本体部81における第二面81bに、拘束部83が取り付けられる。
【0208】
本体部81は、使用者の腹部周りに着用された衣類90に対し、衣類90の内面に本体部81の第二面81bを向けるようにして、拘束部83を取り付けられた状態で衣類90の内側、すなわち、衣類90の内面と身体との間に配置されることとなる。
【0209】
前記電極部82は、前記第1の実施形態と同様、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有して、本体部81の第一面81aに配設されるものである。
【0210】
前記拘束部83は、本体部83の第二面81bに取り付けられる前記拘束部の一部としての基部83aと、この基部83aに連結される前記拘束部の他部としての掛止片83bとを有して、本体部81における第二面81bと、拘束部83の掛止片83bとで衣類90の一部を挟めるようにされる構成である。
掛止片83bは、基部83aから所定方向に延出して、本体部83の第二面81bとの間に所定の隙間を介在させつつ第二面81bに沿って形成されるものである。
【0211】
本体部81と拘束部83については、あらかじめ本体部81に拘束部83を取り付けた状態で、本体部81を衣類90の上部の内側に配置し、拘束部83の掛止片83bを衣類90の上部の外側に配置する。そして、本体部81の第二面81bと、拘束部83の掛止片83bとの間の隙間に、衣類90の上部の一部を位置させた状態とする。
【0212】
こうして、拘束部83の基部83aにより連結されている、本体部81の第二面81bと、拘束部83の掛止片83bとを、衣類90の上部の一部に対しその内外に配置した状態、すなわち、本体部81と拘束部83を衣類90の上部に掛けた状態とすることで、本体部81と拘束部83との間に衣類90の一部を相対的に拘束する状態が得られる。
この場合、衣類90を基準にすると、本体部81と拘束部83が衣類90に拘束されて、衣類90の腹部対応部分に保持された状態となる。
【0213】
なお、本体部81と拘束部83を衣類90の上部に掛けた状態で、本体部81と拘束部83との間にある衣類90の上端は、
図29に示すように、拘束部83の上部に達しているが、これに限られるものではなく、本体部81と拘束部83が衣類90の上部に掛かって保持される状態を実現可能であれば、拘束部の形状や仕様によって拘束部に対する衣類上端の位置が拘束部上部から変化してもかまわない。例えば、本体部と拘束部との間の隙間が下から上に進むほど狭くなり、隙間において衣類上端が拘束部の上下方向の中間位置より上側に相対移動しない場合でも、本体部と拘束部が衣類の上部に掛かって保持される状態が維持できれば問題ない。
【0214】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、使用者は治療装置8を保持可能な衣類90を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置3の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、外部から制御部84に治療に係る作動の開始が指示されると、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0215】
まず、治療装置8の身体への装着として、本体部81に拘束部83をあらかじめ取り付けた状態で、使用者の腹部を覆う衣類90に対し、本体部81を使用者の身体と衣類90との間に位置させ、第一面81aを身体表面に向ける。一方、拘束部83の掛止片83bは、衣類90の外側に位置させる。
【0216】
この時、本体部81の第二面81bと、拘束部83の掛止片83bとの間の隙間に、衣類90の上部の一部を位置させており、本体部81と拘束部83で衣類90の内外から衣類90の上部の一部を挟む配置で、本体部81と拘束部83が衣類90の上部に掛けられた状態となっている。
【0217】
こうして衣類90の上部の一部に対し、本体部81と拘束部83を掛けた状態とすることで、衣類90は本体部81及び拘束部83に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部81及び拘束部83が衣類90の上部に掛けられて、衣類90に拘束され、衣類90に対し動かずに保持された状態となる。
これに伴い、本体部81の第一面81aにある電極部82が、ちょうど腹部表面の皮膚に当接してずれない状態となる。
【0218】
使用者の身体に適切に装着された、治療装置の電気刺激付与に係る作動については、前記第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
【0219】
このように、本実施形態に係る治療装置は、拘束部83がその基部83aを本体部81に取り付けられる一方、本体部81との間に所定の隙間を介在させた掛止片83bを有し、本体部81と拘束部83の掛止片83bとの間の隙間に衣類90の上部の一部を入れると、本体部81と拘束部83の掛止片83bとの間に挟まれるように位置する衣類90の上部に対し、本体部81と拘束部83が掛けられた状態となって、本体部81を衣類90と身体との間に保持できることから、本体部81が衣類90に対し動きにくい状態を簡易に得ることができ、速やかに装置の衣類90への保持状態を確保して、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。
【0220】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部81とこれに取り付けられる拘束部83との間に衣類90の上部を入れるようにして、本体部81と拘束部83が衣類90の上部に掛けられた状態とすることで、本体部81を衣類90に保持した状態を得る構成としているが、本体部に取り付けられる拘束部は一つに限られるものではなく、拘束部を本体部に複数並ぶように取り付け、これら複数の拘束部と本体部との間に衣類の上部における異なる一部をそれぞれ入れるようにして、本体部と各拘束部が衣類の上部に掛けられた状態を得られる構成とすることもできる。
【0221】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部81と拘束部83の掛止片83bとの間に衣類90の上部の一部を位置させて、本体部81と拘束部83を衣類90の上部に掛けた状態を得て、本体部81と拘束部83を衣類90に保持可能とする構成としているが、これに限らず、
図30及び
図31に示すように、拘束部83が、本体部81の第二面81bに取り付けられる第一掛止部83dと、この第一掛止部83dに一部を連結される第二掛止部83fとを有し、拘束部83の第一掛止部83dと第二掛止部83fとの間に衣類90の上部の一部を位置させて、拘束部83を衣類90の上部に掛けた状態を得て、拘束部83とこれを取り付けた本体部81とを衣類90に保持可能とする構成とすることもできる。
【0222】
拘束部83における第一掛止部83dは、所定方向に連続する連続部83eを有し、第二掛止部83fは、第一掛止部83dに連結された一部から延出し、第一掛止部83dにおける連続部83eとの間に所定の隙間を介在させつつ連続部83eに沿って形成される他部を有するものである。
【0223】
拘束部83は、衣類90に対し、第一掛止部83dを衣類90の上部の内側に位置させ、第二掛止部83fの他部(端部)を衣類90の上部の外側に位置させ、衣類90の上部の一部を内外から挟んだ状態とされて、衣類90の内外にわたって配置されることとなる。
【0224】
この場合、拘束部83における第一掛止部83dと第二掛止部83fとの間の隙間に衣類90の上部の一部が入ることで、第一掛止部83dと第二掛止部83fとの間に挟まれるように位置する衣類90の上部に、拘束部83が掛けられた状態となる。こうして拘束部83を衣類90に保持した状態とすることで、この拘束部83が取り付けられた本体部81も衣類90と身体との間に保持できる。これにより、前記実施形態同様に、本体部81が衣類90に対し動きにくい状態を簡易に得ることができ、速やかに装置の衣類90への保持状態を確保して、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。
【0225】
この例においても、拘束部83が衣類90の上部に掛かって保持される状態を実現可能であれば、本体部81と拘束部83との間にある衣類90の上端は必ずしも拘束部83の上部に達してなくてもよく、拘束部83をなす第一掛止部83dと第二掛止部83fの形状や仕様によって、拘束部83に対する衣類90の上端位置が拘束部83上部から変化してもかまわない。
【0226】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部81と拘束部83の掛止片83bとの間に、衣類の上部を下から上に相対移動させて挿入するようして、衣類90の上部の一部を位置させ、本体部81と拘束部83を衣類90の上部に掛けた状態を得る構成としているが、この他、
図32及び
図33に示すように、拘束部83が、本体部81に取り付けられる第一掛止部83gと、この第一掛止部83gに一部を連結される第二掛止部83hとを有し、拘束部83の第一掛止部83gと第二掛止部83hとの間に、衣類90の一部としてのベルトループ91を横に相対移動させるようにして位置させ、拘束部83をベルトループ91に掛けた状態を得て、拘束部83とこれを取り付けた本体部81とを衣類90に保持可能とする構成とすることもできる。
【0227】
拘束部83における第一掛止部83gは、本体部81への取付部分を所定方向に連続する連続形状とされてなる。また、第二掛止部83hは、第一掛止部83gに連結された一部から延出し、第一掛止部83gとの間に所定の隙間を介在させつつ第一掛止部83gに沿って形成される他部を有するものである。第二掛止部83hにおける他部の先端は、第一掛止部83gの端部に係脱可能とされる。
【0228】
本体部81と拘束部83を衣類90に保持させる際は、本体部81を使用者の身体と衣類90との間に位置させる一方、拘束部83を衣類90の上側に配置し、衣類90に対し、第一掛止部83gを衣類90の上端近傍に位置させ、第二掛止部83hの他部を衣類90のベルトループ91に横から挿入するようにして、ベルトループ91の内側に位置させる。
【0229】
こうして、拘束部83における第一掛止部83gと第二掛止部83hとの間の隙間に衣類90のベルトループ91の一部が入ることで、第一掛止部83gと第二掛止部83hとの間に挟まれるように位置するベルトループ91に、拘束部83が掛けられて保持された状態となる。そして、この拘束部83が取り付けられた本体部81も衣類90と身体との間に保持できる。これにより、前記実施形態同様に、本体部81が衣類90に対し動きにくい状態を簡易に得ることができ、速やかに装置の衣類90への保持状態を確保して、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。
【0230】
この他、前記第1ないし第8の各実施形態に係る治療装置においては、本体部と拘束部を少なくとも一部が腹部に位置する衣類に保持させることで、電極部を使用者の腹部の皮膚に当接させ、通電による刺激の付与を実行可能とする構成としているが、これに限られるものではなく、腹部以外の、例えば肩や背中、腰、脚など身体の他の部位を、電極部を当接させて刺激を付与する対象として、これらの部位やその近傍に位置する衣類に本体部と拘束片を保持させ、刺激付与を実行するようにしてもよい。
【0231】
また、前記第1ないし第8の各実施形態に係る治療装置においては、本体部の第一面(一の面)に電極部を配設し、本体部の内部で制御部と電気的に接続された電極部を用いて通電を行う構成としているが、この他、前記各実施形態同様に本体部の一部に配設された電極部、又は、本体部とは分離された電極部に対し、本体部の外部に設けられたケーブルを介して、本体部内部の電気回路を電気的に接続する構成とすることもできる。特に、電極部が本体部とは分離されている場合は、電気的接続用のケーブルを十分な長さとしておけば、本体部を刺激付与の対象位置近くに保持しておく必要がなくなり、本体部をより嵩張らず目立たない位置に配置できるなど、使い勝手を向上させられ、好ましい。
【0232】
また、前記第1ないし第3、及び、第5ないし第8の各実施形態に係る治療装置において、本体部の第一面に配設される電極部は、使用者の皮膚との接触面を第一面と面一となるようにされる構成としているが、これに限られるものではなく、前記第4の実施形態と同様に、電極部の接触面を本体部の第一面(一の面)から突出するように設ける構成とすることもできる。一方、前記第4の実施形態に係る治療装置において、本体部の第一面に配設される電極部は、使用者の皮膚との接触面を第一面から突出するように設けられる構成としているが、これに限られるものではなく、第一面(一の面)と面一となるように設ける構成としてもかまわない。
【0233】
前記第1ないし第8の各実施形態で具体的に示した、本発明の開示に係る治療装置は、国際連合で定められた「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」で示される17の目標のうち、例えば、「3:すべての人に健康と福祉を(あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する)」や「12:つくる責任つかう責任(持続可能な生産消費形態を確保する)」といった一部の目標の達成に寄与することが期待できる。
【符号の説明】
【0234】
1、2、3、4 治療装置
5、6、7、8 治療装置
11、21、31、41 本体部
11a、21a、31a 第一面
11b 凸部
11d、31d 第二面
12、22、32、42 電極部
13、23、33、43 拘束部
13a 孔部
13b 基端部
13c 先端部
14、24、34、44 制御部
21b 凹部
23a 挟持部
31b 係合部
33a、43a 第一拘束片
33b、43b 第二拘束片
41a、51a、61a 第一面
51、61、71、81 本体部
51b、61b 第二面
51c 第一磁石
52、62、72、82 電極部
53、63、73、83 拘束部
53a、63a 第三面
53b 第二磁石
54、64、74、84 制御部
61d 接触部
61f 軸部
71a、81a 第一面
71b、81b 第二面
71d リンク部材
73a 第三面
83a 基部
83b 掛止片
83d 第一掛止部
83e 連続部
83f 第二掛止部
83g 第一掛止部
83h 第二掛止部
90 衣類
91 ベルトループ
100 身体