(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103387
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ワイヤレスイヤホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007678
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】500198966
【氏名又は名称】ラディウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中村 潤
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA00
(57)【要約】
【課題】コネクタ等の部品を用いてワイヤレスモジュールとドライバとを接続する場合と比較して、ワイヤレスイヤホンの製造コストを抑制可能とする。
【解決手段】ワイヤレスイヤホン(1)は、ワイヤレスモジュール(24)と、バッテリー(25)と、円環状のドライバ(34)と、筐体(10)と、配線群(40)と、を備え、筐体(10)は、(i)ワイヤレスモジュール(24)及びバッテリー(25)を収容する第1サブ筐体(20)と、(ii)ドライバ(34)を収容する第2サブ筐体(30)と、(iii)第1サブ筐体(20)の第1内部空間(22)と第2サブ筐体(30)の第2内部空間(32)との間に介在する隔壁(41)であって、第1内部空間(22)と第2内部空間(32)とをつなぐ貫通孔が形成された隔壁(41)と、を備え、配線群(40)は、前記貫通孔を通ってワイヤレスモジュール(24)とドライバ(34)とを接続している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスモジュールと、バッテリーと、円環状のドライバと、筐体と、配線群と、を備え、
前記筐体は、(i)前記ワイヤレスモジュール及び前記バッテリーを収容する第1サブ筐体と、(ii)前記ドライバを収容する第2サブ筐体と、(iii)前記第1サブ筐体の第1内部空間と前記第2サブ筐体の第2内部空間との間に介在する隔壁であって、前記第1内部空間と前記第2内部空間とをつなぐ貫通孔が形成された隔壁と、を備え、
前記配線群は、前記貫通孔を通って前記ワイヤレスモジュールと前記ドライバとを接続している、
ことを特徴とするワイヤレスイヤホン。
【請求項2】
前記第1サブ筐体は、互いに接合することによって前記第1内部空間を構成する第1ベース部と第1蓋部とを備え、
前記第2サブ筐体は、互いに接合することによって前記第2内部空間を構成する第2ベース部と第2蓋部とを備え、
前記第1ベース部と前記第2ベース部とは、一体成形された1つの部品により構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤレスイヤホン。
【請求項3】
前記配線群の一部は、前記貫通孔の内部で動くことができる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤレスイヤホン。
【請求項4】
前記第1サブ筐体と前記第2サブ筐体との境界近傍には、互いの相対位置を調整可能な可動部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤレスイヤホン。
【請求項5】
当該ワイヤレスイヤホンをユーザの耳に装着した場合に、前記ドライバは、前記円環状の中心軸が前記耳の外耳道が延伸されている方向に沿うように前記第2サブ筐体に収容されており、
前記第2サブ筐体には、前記中心軸に沿った開口が形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤレスイヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバ及びその筐体部分に開口を有し、再生される音声とは別に外部環境音も聞くことが可能なワイヤレスイヤホンが知られている。非特許文献1では、ドライバとワイヤレスモジュール等とが各々のサブ筐体に収容されたワイヤレスイヤホンが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】リアルとオンラインを繋ぐ新スタイルヘッドホン『LinkBuds』が広げる、これからの“音”体験,[online],SONY,[2023年1月5日検索],インターネット<URL:https://www.sony.jp/feature/products/220216/?s_pid=jp_/feature/_products/_220216_LinkBuds>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、ドライバとワイヤレスモジュールとの接続に、金属端子部品であるコネクタが用いられており、製造コストが高くなりやすい。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、コネクタ等の部品を用いてワイヤレスモジュールとドライバとを接続する場合と比較して、ワイヤレスイヤホンの製造コストを抑制可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るワイヤレスイヤホンは、ワイヤレスモジュールと、バッテリーと、円環状のドライバと、筐体と、配線群と、を備え、前記筐体は、(i)前記ワイヤレスモジュール及び前記バッテリーを収容する第1サブ筐体と、(ii)前記ドライバを収容する第2サブ筐体と、(iii)前記第1サブ筐体の第1内部空間と前記第2サブ筐体の第2内部空間との間に介在する隔壁であって、前記第1内部空間と前記第2内部空間とをつなぐ貫通孔が形成された隔壁と、を備え、前記配線群は、前記貫通孔を通って前記ワイヤレスモジュールと前記ドライバとを接続している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、コネクタ等の部品を用いてワイヤレスモジュールとドライバとを接続する場合と比較して、ワイヤレスイヤホンの製造コストを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るワイヤレスイヤホンの機能ブロック図の一例である。
【
図2】本実施形態に係るワイヤレスイヤホンの外観図の一例である。
【
図3】本実施形態に係るワイヤレスイヤホンの側面図と背面図との一例を示す図である。
【
図4】既存のワイヤレスイヤホンの外観図の一例である。
【
図5】本実施形態に係るワイヤレスイヤホンの外観図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るワイヤレスイヤホン1の機能ブロック図の一例である。ワイヤレスイヤホン1は、ワイヤレスイヤホン1とペアリングされたスマートフォン等の機器から音声信号を受信して、前記音声信号が示す音声を出力するイヤホンである。また、
図2は、ワイヤレスイヤホン1の外観図の一例である。
図2に示すように、多くの場合、ワイヤレスイヤホン1は、左右それぞれの耳に対応する筐体10を備えているが、
図1では、単一の筐体10が備える部材についてのみ図示している。
【0010】
筐体10は、ワイヤレスモジュール24及びバッテリー25を収容する第1サブ筐体20と、ドライバ34を収容する第2サブ筐体30とを備えている。第1サブ筐体20は、第1サブ筐体20の内壁に囲まれる第1内部空間22内にワイヤレスモジュール24及びバッテリー25を収容し、第2サブ筐体30は、第2サブ筐体30の内壁に囲まれる第2内部空間32内にドライバ34を収容する。
【0011】
ワイヤレスモジュール24は、前述したスマートフォン等の機器との無線通信を行うモジュールである。ワイヤレスモジュール24は、例えば前記機器から受信した音声信号を、後述する配線群40を介してドライバ34に供給する。
【0012】
バッテリー25は、ワイヤレスモジュール24等のワイヤレスイヤホン1各部に電力を供給するバッテリーである。通常、バッテリー25は充電式である。この充電は、図示しない収容箱であって、筐体10を収容する収容箱を介して行われる構成であってもよい。即ち、収容箱が内蔵するバッテリーを、ケーブル等を用いて充電し、収容箱に筐体10が収容されているときに、収容箱が内蔵するバッテリーからバッテリー25への充電が行われる構成であってもよい。
図2等に示す端子51は、収容箱を介した充電において、収容箱のバッテリーから電力を受け取るための端子である。
【0013】
ドライバ34は、ワイヤレスモジュール24から供給された音声信号に基づいて振動板を振動させ、前記音声信号を音声に変換する。
【0014】
また、ドライバ34を収容する第2サブ筐体30部分がユーザの耳の外耳道付近に装着される。
図2に示すように第2サブ筐体30は円環状であり、第2サブ筐体30に収容されるドライバ34も円環状である。より詳細には、ワイヤレスイヤホン1をユーザの耳に装着した場合に、ドライバ34は、円環状の中心軸が前記耳の外耳道が延伸されている方向に沿うように第2サブ筐体30に収容されている。また、第2サブ筐体30には、前記中心軸に沿った開口52が形成されている。これにより、環状のドライバ34の中心軸に沿った開口52が第2サブ筐体30に形成されているため、このワイヤレスイヤホン1を装着したユーザは、ワイヤレスイヤホン1から出力される音声に加えて、第2サブ筐体30の開口52を介して外部環境音を聞くことができる。
【0015】
また、第2サブ筐体30には、開口52とは別に、ドライバ34が発した音声を第2サブ筐体30の外側に拡散させるための穴が設けられていることが望ましい。
図2及び後述する
図3の背面
図62では、複数の穴が円環状に第2サブ筐体30に設けられている構成が例示されている。
【0016】
また、第1内部空間22と第2内部空間32とは、第1内部空間22と第2内部空間32との間に介在する隔壁41によって区分けされるが、隔壁41には貫通孔が形成されていることによって第1内部空間22と第2内部空間32とは連続した領域となっている。配線群40は、貫通孔を通ってワイヤレスモジュール24とドライバ34とを接続する。これにより、ワイヤレスモジュール24とドライバ34とを安価な配線群40を用いて接続しているため、コネクタ等の部品を用いてワイヤレスモジュール24とドライバ34とを接続する場合と比較して、ワイヤレスイヤホン1の製造コストを抑制することが可能となる。なお、筐体10が備える隔壁41には、第1内部空間22と第2内部空間32との境界全体に貫通孔が形成されている場合が含まれる。また、多くの場合、配線群40には、複数の配線が含まれるが、これに限定されず単数の配線が含まれる構成であってもよい。
【0017】
図3は、ワイヤレスイヤホン1の側面
図61と背面
図62との一例を示す図である。側面
図61に示すように、第1サブ筐体20は、互いに接合することによって第1内部空間22を構成する第1ベース部64と第1蓋部65とを備えている。なお、第1ベース部64表面に形成されている溝66は、
図2に示すサポート部材53を取り付けるための溝である。サポート部材53は、シリコン等の弾性体で形成されており、ワイヤレスイヤホン1の耳へのフィット感を向上させ、ワイヤレスイヤホン1が耳から脱落することを抑制するための部材である。
【0018】
また、第2サブ筐体30は、互いに接合することによって第2内部空間32を構成する第2ベース部67と第2蓋部68とを備えている。加えて、第1ベース部64と第2ベース部67とは、一体成型された1つの部品により構成されている。別の側面から言えば、一態様において、筐体10は、第1ベース部64及び第2ベース部67に対応する筐体部分、第1蓋部65、並びに第2蓋部68の3つの部分により構成される。そのため、第1ベース部64と第2ベース部67とが独立した別個の部品で構成されている場合や、第2ベース部67が複数の部品で構成されている場合などと比較して、部品点数を削減することができるため製造コストを抑制することができる。なお、第1ベース部64と第2ベース部67とが、一体形成された1つの部品により構成されていることは必須ではなく、2つ以上の部品が組み合わされた構成であってもよい。
【0019】
続いて、本実施形態に係るワイヤレスイヤホン1の構成について、既存のワイヤレスイヤホンの構成と対比して補足する。
【0020】
図4は、既存のワイヤレスイヤホン2の外観図の一例である。
図4のワイヤレスイヤホン2では、第2蓋部68に相当する部品及びドライバが取り外されている。
図4に示すように、ワイヤレスイヤホン2においては、本実施形態に係るワイヤレスイヤホン1の貫通孔に相当する貫通孔は設けられておらず、第1内部空間22と第2内部空間32に相当する各空間は遮断されている。ワイヤレスイヤホン2では、第1ベース部64に相当する部分において、金属端子であるコネクタ71が表面に露出しており、ドライバから延伸する端子とコネクタ71とが接触することによって、ワイヤレスモジュールとドライバとが接続される。コネクタ71は、各空間の間に介在する隔壁72に対して固定されている。
【0021】
また、ワイヤレスイヤホン2では、ドライバに付随する部品又はドライバの一部が、第2ベース部67に相当する部品の外壁の一部を構成する。即ち、ワイヤレスイヤホン2では、第1ベース部64と第2ベース部67とに相当する部品が、一体成型された1つの部品により構成されているとは言えない。
【0022】
図5は、ワイヤレスイヤホン1の外観図の一例である。
図5のワイヤレスイヤホン1では、第2蓋部68及びドライバ34が取り外されている。
図5に示すように、ワイヤレスイヤホン1では、第1内部空間22と第2内部空間32とをつなぐ貫通孔が隔壁41に形成されている。加えて、貫通孔には配線群40が通っているが、この配線群40は、十分に広い貫通孔の内部で任意の位置に動くことができる余地がある。なお、配線群40は、可撓性を有し、折り曲げること等が可能なことが望ましいが、必ずしもこの限りではない。
【0023】
また、第1サブ筐体20と第2サブ筐体30との境界近傍には、互いの相対位置を調整可能な可動部が設けられている構成であってもよい。例えば
図5の点線80、81又は82を回転軸として、第1サブ筐体20に対して第2サブ筐体30の相対位置を調整可能であってもよい。これにより、第1サブ筐体20と第2サブ筐体30との相対位置を、各ユーザの耳の形状に対して最適な相対位置に調整し、ワイヤレスイヤホン1の耳へのフィット感を向上させ、ワイヤレスイヤホン1が耳から脱落することを抑制することにも寄与する。
【0024】
加えて、配線群40が隔壁41に対して固定されておらず貫通孔の範囲内で任意の位置に動く余地があり、且つ第1サブ筐体20と第2サブ筐体30とが、互いに相対位置が変更可能である構成によれば、第1サブ筐体20と第2サブ筐体30との間の相対位置を変更するときに、配線群40が妨げとなり難い。これにより、第1サブ筐体20と第2サブ筐体30との間の相対位置の可動域を大きく設計することができるため、より多くのユーザの耳にフィットする可能性を高めるという効果を奏する。
【0025】
また、ワイヤレスイヤホン1では、第1ベース部64と第2ベース部67とが可撓性を有さない樹脂材料を用いて一体成型されている。この場合、第1サブ筐体20と第2サブ筐体30との相対位置は、固定されており調整することはできない。第1ベース部64と第2ベース部67とを一体成形しつつ、互いの相対位置を調整可能に構成する場合、第1ベース部64と第2ベース部67との境界近傍を、可撓性を有する樹脂材料により構成し、第1ベース部64と第2ベース部67との境界近傍以外の部分を、可撓性を持たない樹脂材料により構成すればよい。この場合、第1ベース部64と第2ベース部67との境界近傍の可撓性を有する部分は、可動部の一態様である。また、第1ベース部64と第2ベース部67との境界に、第1サブ筐体20と第2サブ筐体30との相対位置を調整可能な関節構造を可動部として設けることもできる。
【0026】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るワイヤレスイヤホン(1)は、ワイヤレスモジュール(24)と、バッテリー(25)と、円環状のドライバ(34)と、筐体(10)と、配線群(40)と、を備え、前記筐体は、(i)前記ワイヤレスモジュール及び前記バッテリーを収容する第1サブ筐体(22)と、(ii)前記ドライバを収容する第2サブ筐体(30)と、(iii)前記第1サブ筐体の第1内部空間(22)と前記第2サブ筐体の第2内部空間(32)との間に介在する隔壁(41)であって、前記第1内部空間と前記第2内部空間とをつなぐ貫通孔が形成された隔壁と、を備え、前記配線群は、前記貫通孔を通って前記ワイヤレスモジュールと前記ドライバとを接続している、構成である。
【0027】
本発明の態様2に係るワイヤレスイヤホンは、上記の態様1において、前記第1サブ筐体は、互いに接合することによって前記第1内部空間を構成する第1ベース部(64)と第1蓋部(65)とを備え、前記第2サブ筐体は、互いに接合することによって前記第2内部空間を構成する第2ベース部(67)と第2蓋部(68)とを備え、前記第1ベース部と前記第2ベース部とは、一体成形された1つの部品により構成されている、構成としてもよい。
【0028】
本発明の態様3に係るワイヤレスイヤホンは、上記の態様1又は2において、前記配線群の一部は、前記貫通孔の内部で動くことができる構成としてもよい。
【0029】
本発明の態様4に係るワイヤレスイヤホンは、上記の態様1から3までの何れかにおいて、前記第1サブ筐体と前記第2サブ筐体との境界近傍には、互いの相対位置を調整可能な可動部が設けられている構成としてもよい。
【0030】
本発明の態様5に係るワイヤレスイヤホンは、上記の態様1から4までの何れかにおいて、当該ワイヤレスイヤホンをユーザの耳に装着した場合に、前記ドライバは、前記円環状の中心軸が前記耳の外耳道が延伸されている方向に沿うように前記第2サブ筐体に収容されており、前記第2サブ筐体には、前記中心軸に沿った開口が形成されている、構成としてもよい。
【0031】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 ワイヤレスイヤホン
2 (既存の)ワイヤレスイヤホン
10 筐体
20 第1サブ筐体
22 第1内部空間
24 ワイヤレスモジュール
25 バッテリー
30 第2サブ筐体
32 第2内部空間
34 ドライバ
40 配線群
41 隔壁
52 開口
64 第1ベース部
65 第1蓋部
67 第2ベース部
68 第2蓋部