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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010339
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】部品給送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
B65H3/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111625
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宙
(72)【発明者】
【氏名】川口 茂
(72)【発明者】
【氏名】古賀 慶太郎
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA10
3F343FB17
3F343FC01
3F343GA01
3F343GA02
3F343GB01
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343JA01
3F343KB04
3F343KB05
3F343LC05
3F343LC17
3F343LD21
(57)【要約】
【課題】積み重ねられた中から部品を1枚ずつ分離して送り出すことができる部品給送装置を提供する。
【解決手段】部品給送装置S1に、駆動力によって回動する排出ローラー11cと、回動可能に、且つ排出ローラー11cに対して近接、離間可能に対向配置された分離ローラー21と、分離ローラー21と排出ローラー11cとの間隔が所定寸法以上となった場合に、分離ローラー21の回転を制限するブレーキ23(制動手段)と、を設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力によって回動する排出ローラーと、
回動可能に、且つ該排出ローラーに対して近接、離間可能に対向配置された分離ローラーと、
該分離ローラーと該排出ローラーとの間隔が所定寸法以上となった場合に、該分離ローラーの回転を制限する制動手段と、
を備える
ことを特徴とする部品給送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品給送装置において、
前記制動手段は、
前記分離ローラーと前記排出ローラーとの間隔が所定寸法以上となった場合に、該分離ローラーの回転面に摺接し、該分離ローラーの回転を制限する
ことを特徴とする部品給送装置。
【請求項3】
請求項1、または請求項2に記載の部品給送装置において、
前記排出ローラーと連動して回転する送りローラーを備える
ことを特徴とする部品給送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品給送装置において、
前記送りローラーの上方に、該送りローラーと所定の間隔を空けつつ、部品の積層方向に延在するストッパーを備えた
ことを特徴とする部品給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ねられた中から部品を1つずつ取り出す部品給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積み重ねられた中から物品を1つずつ取り出す際に、給送装置を用いることが行われている。
たとえば、特許文献1では、カセット内に積み重ねられた紙葉を上から1枚ずつ送り出す技術が提案されている。
特許文献1の技術では、給紙ローラーと分離ローラーとが上下に対向配置されている。
給紙ローラーは、カセット内に積み重ねられた紙葉を上から1枚ずつ送り出すために、分離ローラーの上方に配置されている。
分離ローラーは、紙葉が送り出される方向に対して逆方向となるように回転している。
これによって、複数枚の紙葉がカセットから取り出された場合には、分離ローラーによって、余分な紙葉がその位置に留まるため、一番上の紙葉のみを送り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-139842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の構成を、ガスケットのような機械部品の給送装置に採用した場合、紙葉よりも厚さがある上に、厚さの公差が大きく、撓みもある。
このため、給紙ローラーと分離ローラーの間で、ガスケットが詰まって、送り出せずに、作業が滞る恐れがある。
【0005】
本発明は、前述の点に鑑みてなされたものであり、積み重ねられた中から物品を1枚ずつ送り出すことができる部品給送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明に係る部品給送装置は、駆動力によって回動する排出ローラーと、回動可能に、且つ該排出ローラーに対して近接、離間可能に対向配置された分離ローラーと、該分離ローラーと該排出ローラーとの間隔が所定寸法以上となった場合に、該分離ローラーの回転を制限する制動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、積み重ねられた中から物品を1枚ずつ送り出すことができる部品給送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の部品給送装置にて取り出されるガスケットの平面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3】ガスケットが1枚の場合について、操作前の初期状態における第1実施形態の部品給送装置の構成を示す概要図である。
図4図3の左側面図である。
図5】ガスケットが1枚の場合について、操作途中の状態における第1実施形態の部品給送装置の構成を示す概要図である。
図6】ガスケットが1枚の場合について、操作完了状態における第1実施形態の部品給送装置の構成を示す概要図である。
図7】ガスケットが2枚の場合について、操作前の初期状態における第1実施形態の部品給送装置の構成を示す概要図である。
図8】ガスケットが2枚の場合について、操作途中の状態における第1実施形態の部品給送装置の構成を示す概要図である。
図9】ガスケットが2枚の場合について、操作完了状態における第1実施形態の部品給送装置の構成を示す概要図である。
図10】ガスケットが複数枚の場合について、操作完了状態における第2実施形態の部品給送装置の構成を示す概要図である。
図11】ガスケットが複数枚の場合について、操作完了状態における第3実施形態の部品給送装置の構成を示す概要図である。
図12】ガスケットが複数枚の場合について、操作完了状態における第4実施形態の部品給送装置の構成を示す概要図である。
図13図12の左側面図である。
図14図13のガスケットが積み重ねられた様子を示し、図1のXIV-XIV線に対応する部位に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の部品給送装置S1について、図1図9を参照して詳細に説明する。
なお、説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
本実施形態の部品給送装置S1は、積み重ねられた中からガスケットGを1枚ずつ送り出すための装置である。
なお、本実施形態で送り出されるガスケットGは、EGRバルブ(図示せず)をエンジン(図示せず)に取り付ける際に、EGRバルブとエンジンとの間に挟持され、間の隙間を塞ぐものである。
【0011】
ガスケットGは、ガスケット本体G1、管路孔G2、ビードG3、ボルト孔G4を備えている(図1図2参照)。
ガスケット本体G1は、銅などの金属板にプレス加工が施され、所定の形状に打ち抜かれている。
管路孔G2は、排気管からEGRバルブへ通じる管路と同径の貫通孔であり、EGRバルブを通じて還流する排気ガスが流通する。
管路孔G2は、ガスケット本体G1の中央部に、板厚方向に沿って貫通している。
【0012】
ビードG3は、管路孔G2の縁に沿って円環状に形成されている。
また、ビードG3は、ガスケット本体G1の板厚方向(図2における上下方向)に突没する凹凸で構成され、プレス加工の際に形成される。
ビードG3が潰れて、小さな隙間を埋めることで、シール性を発揮する。
ボルト孔G4は、EGRバルブをエンジンに組付ける際に使用されるボルト(図示せず)が挿通する一対の貫通孔である。
ボルト孔G4は、ガスケット本体G1の板厚方向に開口しており、プレス加工の際に形成される。
【0013】
次に、部品給送装置S1について説明する(図3図9参照)。
本実施形態の部品給送装置S1は、ケース1、給送部10、分離部20を備えている。
ケース1は、硬質な樹脂材からなり、箱形状を備えている(図3参照)。
ケース1の箱形状の内部空間に、給送部10、分離部20が収容されている。
【0014】
給送部10は、後述する集積部30に積み重ねられた中からガスケットGを取り出し口1aへ送るための構成である(図3参照)。
給送部10は、搬送ローラー11、送りギヤ12、操作レバー13を備えている。
搬送ローラー11は、送りローラー11a、中間ローラー11b、排出ローラー11cで構成されている。
【0015】
これら3つのローラーは、同一形状、同一素材で構成されている。
これら3つのローラーは、円柱形状を有し、中心軸C11を中心にして回転可能な状態でケース1に軸支されている。
これら3つのローラーは、中心軸C11が平行になるようにケース1に配置されている。
【0016】
これら3つのローラーは、ガスケット排出時を除いて、3つの内の少なくとも2つのローラーが、搬送途中のガスケットGに対して上下方向に重なるように、間隔が設定されている。
これら3つのローラーは、円柱形状における側面部分に、ゴム材などの摩擦係数の比較的高い部材が巻き付けられている。
【0017】
次に、搬送ローラー11を構成する各ローラーについて説明する。
送りローラー11aは、中間ローラー11bとともに、後述する集積部30に積み重ねられた中からガスケットGを取り出すための構成である。
送りローラー11aは、中間ローラー11b、排出ローラー11cよりも高い位置で軸支されている。
送りローラー11aと中間ローラー11bとの高低差は、ガスケットGの撓み量に応じて適宜設定されている。
【0018】
なお、ガスケットGの撓みは、プレス加工を施した際の残留応力によって生じる。
ガスケットGが撓んでいることで、ローラーがガスケットGに接することができずに、空回りしてしまい、ガスケットGを送り出せない状態になる恐れがある。
そこで、ガスケットGの撓み量を考慮して、送りローラー11aを高く配置し、空回りを抑制している。
【0019】
中間ローラー11bは、取り出されたガスケットGを排出ローラー11cへ送るための構成である。
排出ローラー11cは、送られてきたガスケットGを取り出し口1aへ排出するための構成である。
送りギヤ12は、送りローラー11aと中間ローラー11bの間を連係し、送りローラー11aの回転を中間ローラー11bに伝達する。
【0020】
また、送りギヤ12は、中間ローラー11bと排出ローラー11cとの間を連係し、中間ローラー11bの回転を排出ローラー11cに伝達する。
送りギヤ12は、これら3つのローラーが、連動して同一方向に回転するように、これら3つのローラーを連係している。
【0021】
操作レバー13は、棒状の部材で構成され、一端がラチェット機構(図示せず)に連結されることで、揺動可能に支持されている。
操作レバー13と送りローラー11aとの間にラチェット機構が介在しているため、操作レバー13の揺動操作によって、送りローラー11aが一方向(図3における時計回り)に回転する。
つまり、搬送ローラー11を構成する3つのローラーは、作業者による操作レバー13の操作を駆動力として回動する。
【0022】
なお、ケース1の内部空間における送りローラー11aと中間ローラー11bとの上方に位置する領域が、集積部30に設定されている。
集積部30は、ガスケットGの長手方向が、部品給送装置S1の前後方向に沿うように配置されたガスケットGを積み重ねた状態で収容する。
【0023】
分離部20は、給送部10で取り出されたガスケットGが、複数枚重なっていた場合に、余分なガスケットGをその場に留め、1枚のみが取り出し口1aから排出されるようにするための構成である。
分離部20は、分離ローラー21、変移溝22、ブレーキ23(制動手段)、ブレーキ調整手段24を備えている(図3参照)。
【0024】
分離ローラー21は、円柱形状を有し、中心軸C21を中心にして回転可能な状態で、変移溝22内を移動可能に軸支されている。
分離ローラー21は、排出ローラー11cに対して近接、離間可能に、排出ローラー11cに対向配置されている。
分離ローラー21は、その中心軸C21が、排出ローラー11cの中心軸C11と平行になるように配置されている。
【0025】
分離ローラー21の円柱形状の側面部分には、搬送ローラー11と同様に、摩擦係数の比較的高い部材が巻き付けられている。
分離ローラー21は、最も下に位置した状態で、排出ローラー11cの側面に当接し、排出ローラー11cとともに回転する。
分離ローラー21は、最も上に位置した状態で、後述する円弧溝23bの内面に当接し、回転が制限される。
そして、分離ローラー21は、自重によって下方に付勢されている。
つまり、操作開始前の初期状態において、分離ローラー21は、最も下に位置し、排出ローラー11cとともに回転可能な状態で、排出ローラー11cの側面に当接している。
【0026】
変移溝22は、ケース1の対向する内壁に、対向して配置された一対の溝であり、溝内を分離ローラー21の中心軸C21が移動可能な溝幅に設定されている。
各変移溝22は、排出ローラー11cとブレーキ23の円弧溝23bとの間に延在しており、分離ローラー21について、前後方向への移動を規制しつつ、上下方向の移動を可能にしている。
そして、分離ローラー21が溝内を移動することで、分離ローラー21は、ブレーキ23と排出ローラー11cとの間を往復移動する。
【0027】
ブレーキ23(制動手段)は、分離ローラー21と排出ローラー11cとの間隔が、設定された寸法以上となった場合に、制動力が働き、分離ローラー21の回転を制限するものである。
ブレーキ23は、ブレーキ調整手段24を介して、ケース1内の天井部分に吊り下げられるように支持されている(図3参照)。
ブレーキ23は、ブレーキ本体23a、円弧溝23bを備えている。
【0028】
ブレーキ本体23aは、その側面がケース1内面に摺接しつつ、ケース1内を上下方向に移動可能に配置されている。
円弧溝23bは、ブレーキ本体23aにおける分離ローラー21(下方)に面する部位に形成されている。
円弧溝23bは、円弧の直径が分離ローラー21の円柱形状の直径と同一寸法に設定されている。
【0029】
このため、円弧溝23b内に分離ローラー21が収容された際に、円弧溝23bは、分離ローラー21の側面に対して隙間なく当接する。
つまり、ブレーキ23は、分離ローラー21と排出ローラー11cとの間隔が、設定された寸法以上となった場合に、分離ローラー21の回転面に摺接し、分離ローラー21の回転を制限する。
【0030】
ブレーキ調整手段24は、ブレーキ本体23aの上下方向の位置を調整するための構成である。
つまり、ブレーキ調整手段24を調整することで、ブレーキ23が機能する分離ローラー21と排出ローラー11cとの間隔を設定する。
ブレーキ調整手段24は、調整ボルト24a、調整ナット24bを備えている。
【0031】
調整ボルト24aは、ブレーキ本体23aの上面に、上方に向かって突設されたスタッドボルトで構成されている。
調整ナット24bは、ケース天井面に、回転自在に挿嵌されたナットで構成されている。
調整ナット24bは、調整ボルト24aに螺合可能なナットで構成されている。
そして、作業者が調整ナット24bを回転操作することで、調整ボルト24aが上下し、ブレーキ本体23aが調整ボルト24aとともに上下する。
【0032】
<部品給送装置の働き>
次に、部品給送装置S1の働きについて説明する(図3図4参照)。
まず、作業者がブレーキ調整手段24の調整ナット24bを操作し、分離ローラー21が円弧溝23bに当接した状態における分離ローラー21と排出ローラー11cとの間隔を調整する。
次に、作業者が、集積部30にガスケット(部品)を収容して、初期状態に位置する操作レバー13を時計回りに揺動操作する(図3参照)。
【0033】
操作レバー13が時計回りに揺動することで、送りローラー11a、中間ローラー11b、排出ローラー11cが連動して、時計回りに回転する。
そして、分離ローラー21は、当接する排出ローラー11cによって、つれ回りし、反時計回りに回転する。
送りローラー11aと中間ローラー11bとが時計回りに回転することで、ガスケットGが図の右側へ引き出される。
【0034】
[引き出されたガスケットが1枚の場合]
続いて、集積部30から引き出されたガスケットGが1枚のみの場合、ガスケットGが排出ローラー11cまで移動すると、分離ローラー21が反時計回りに回転しつつ、ガスケットGに乗り上げる(図5参照)。
ここで、ガスケットGが1枚の場合には、分離ローラー21はブレーキ23の円弧溝23bに当接しないため、ガスケットGの移動を妨げることなく反時計回りに回転する。
そして、ガスケットGは、排出ローラー11cによって、取り出し口1aから排出される(図6参照)。
分離ローラー21は、排出されるガスケットGを乗り越え、自重によって下方へ移動し、排出ローラー11cに当接する。
作業者が操作レバー13から手を離すと、ラチェット機構と付勢手段とによって、搬送ローラー11は回転することなく、操作レバー13が初期状態に戻る。
【0035】
[引き出されたガスケットが複数枚の場合]
次に、集積部30に積まれたガスケットGが複数枚だった場合について説明する(図7参照)。
この場合、複数枚のガスケットGが図の右側へ引き出される。
分離ローラー21は、引き出された複数枚のガスケットGに乗り上げる途中で、円弧溝23bに摺接し、回転が妨げられる(図8参照)。
このため、操作レバー13をさらに揺動操作すると、上側のガスケットGは分離ローラー21に引っ掛かり、下側のガスケットGのみが排出ローラー11cによって取り出し口1aへ排出される(図9参照)。
そして、分離ローラー21に引っ掛かった余分なガスケットGは、自重によって搬送ローラー11上に移動する。
なお、分離ローラー21は、引き出されたガスケットが1枚の場合と同様に、排出されるガスケットGを乗り越え、自重によって下方へ移動する。
【0036】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の部品給送装置S1は、分離ローラー21と排出ローラー11cとの間隔が所定の寸法以上となった場合に、ブレーキ23が機能し、分離ローラー21の回転を制限する。
このような構成とすることで、余分なガスケットGが分離ローラー21に引っ掛かり、一番下のガスケットGのみが送り出される。
これによって、積み重ねられた中から1枚ずつ分離してガスケットGを取り出すことができる。
【0037】
さらに、一番下のガスケットGが排出された後、分離ローラー21に引っ掛かった余分なガスケットGは、搬送ローラー11上に落下し、その場に留まっている。
これにより、次のガスケットGを取り出す作業をスムーズに行うことができる。
また、集積部30から引き出されたガスケットGが1枚の場合、分離ローラー21は、ガスケットGの移動に伴って、つれ回りするため、操作の抵抗にはならず、スムーズにガスケットGを排出することができる。
つまり、集積部30から引き出される枚数を問わず、安定した操作力でガスケットGを取り出すことができる。
【0038】
これに対して、従来技術に引用した構成では、分離ローラーが送り方向(後方から前方)に対して逆行するように回転している。
これにより、集積部から引き出されたガスケットが1枚の場合には、分離ローラーがガスケットを排出する際の抵抗となる。
このため、場合によっては、ガスケットが途中で詰まるなどの動作不良を引き起こすおそれがある。
【0039】
また、本実施形態では、分離ローラー21と排出ローラー11cとの間隔が所定寸法以上に開いた状態で、ブレーキ23(制動手段)が分離ローラー21の回転面に摺接し、分離ローラー21の回転を制限するように構成されている。
このような構成とすることで、装置全体の構成を複雑化することなく、ブレーキ23(制動手段)を設けることができる。
【0040】
また、本実施形態では、排出ローラー11cと連動して回転する送りローラー11aを備えている。
このような構成とすることで、操作レバー13の空振り操作が減少し、積み重ねられた中からより確実にガスケットG(部品)を引き出すことができる。
【0041】
なお、本実施形態の部品給送装置S1では、搬送ローラー11として、ローラーを3本用いているが、このような形態に限定するものではない。
たとえば、ガスケットGの大きさに応じて、中間ローラー11bの数を適宜増やした構成とすることが可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態の部品給送装置S1では、3つのローラーが、同一形状、同一素材で構成されているが、このような形態に限定するものではない。
たとえば、ローラー毎に円柱形状の側面部分に巻き付けられる部材の摩擦係数を変更したり、ローラー毎に円柱形状の直径を変更したりすることが可能である。
【0043】
また、本実施形態では、積み重ねられた中から取り出される部品が金属製のガスケットGとなっているが、これに限定するものではない。
たとえば、紙製のガスケット、デカールのようなシート状の部材、および板状のシムなどを積み重ねられた中から取り出す工程で採用することが可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
つまり、積み重ねられ、束ねられて保管、管理されるシート状の部品、部材であれば、1枚ずつ分離して取り出すことができる。
【0044】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の部品給送装置S2について、図10を参照して詳細に説明する。
なお、説明において、前述の第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の部品給送装置S2では、集積部30の構成が第1実施形態と異なり、ストッパー31が配置されている。
【0045】
ストッパー31は、送りローラー11aの上方に、上下方向、つまりガスケットG(部品)の積層方向に延在する棒状の部材で構成されている。
ストッパー31は、その下端部と送りローラー11aとの間隔が、ガスケットGの3~5枚程度の厚さの寸法になるように、位置が調整されている。
ストッパー31は、集積部30内に積み重ねられたガスケットGの後方のボルト孔G4に挿入されている。
【0046】
本実施形態の構成は、作業者が、操作レバー13を操作した際に、重ねられたガスケットGが数枚まとまって、一番下のガスケットGとともに排出側へ送られてしまう場合に好適である。
このような場合に、ストッパー31が、まとまって送られるガスケットGのボルト孔G4に係合して移動を制限し、排出側へ送られるガスケットGの枚数を減少させることができる。
【0047】
以上のことから、本実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施形態では、集積部30にストッパー31が設置されている。
このような構成とすることで、1度の操作で、集積部30から排出ローラー11c側へ送られるガスケットGの枚数を制限することができる。
このため、多数のガスケットGが排出ローラー11c側へ送られた際に生じる分離ローラー21とのガスケットGの噛み込みによる動作不良を抑制することができる。
これによって、積み重ねられた中からガスケットを1枚ずつ取り出す作業をよりスムーズに行うことができる。
【0048】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の部品給送装置S3について、図11を参照して詳細に説明する。
なお、説明において、前述の第2実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の部品給送装置S3では、第2実施形態の部品給送装置S2を上下逆さにしたものである。
そして、上下逆さにしたことにともなって、集積部付勢手段32と、ローラー付勢手段21aとが追加されている。
【0049】
以上のことから、本実施形態では、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施形態の構成とすることで、集積部30のガスケットGを送りローラー11aに押し付ける押圧力を集積部付勢手段32の付勢力を調整することで加減することができる。
このため、ガスケットGに作用する押圧力をより適切な大きさに設定することができる。
これによって、積み重ねられた中からガスケットを1枚ずつ取り出す作業をよりスムーズに行うことができる。
【0050】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態の部品給送装置S4について、図12図14を参照して詳細に説明する。
なお、説明において、前述の第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の部品給送装置S4では、第1実施形態の部品給送装置S1を前後方向について、後方が下になるように傾けつつ、左右方向について、右側が下になるように傾けたものである。
そして、左右方向に傾けたことにともなって、集積壁33が追加されている。
【0051】
以上のことから、本実施形態では、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、左右方向に傾けた構成とすることで、集積部30のガスケットGは、左右方向に僅かにズレつつ、積み重ねられている(図13図14参照)。
【0052】
左右方向にズレつつ、積み重ねられることで、下側のガスケットGAのビード凸面G3aに、上側のガスケットGBのビード凹面G3bが乗り上げ、下側のガスケットGAと上側のガスケットGBとの間に隙間が生じる。
これによって、ガスケットG同士の密接が解消され、積み重ねられた中からガスケットを1枚ずつ取り出す作業をよりスムーズに行うことができる。
【0053】
また、前後方向に傾けた構成とすることで、集積部30のガスケットGには、後方へ移動しようとする分力が働く(図12参照)。
このため、作業者が操作レバー13を操作した際に、上側のガスケットGBが下側のガスケットGAのビードG3を乗り越えやすくなる。
これによって、積み重ねられた中からガスケットを1枚ずつ取り出す作業をよりスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
S1、S2、S3,S4 部品給送装置
11a 送りローラー
11c 排出ローラー
21 分離ローラー
23 ブレーキ(制動手段)
31 ストッパー
G ガスケット(部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14