(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103400
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20240725BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B1/18 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007697
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】井東 克孝
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA01
2E011JA02
2E011KA01
2E011KB03
2E011KB04
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KC09
2E011KD14
2E011KE03
2E011KE06
2E011KE10
2E011KF01
2E011KG04
2E011KH00
(57)【要約】
【課題】既設枠の内周側の複数の開口に新設枠を取り付ける際の改装作業を簡略化することができる改装建具を提供する。
【解決手段】建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、既設枠の内周側に取り付けられて既設枠の内周側を複数の開口に分割する新設枠と、を有し、新設枠を構成する上下左右の少なくともいずれかの枠は、室内外方向に分割された複数の金属枠部材と、複数の金属枠部材を連結する断熱性を有するブリッジ部材と、を有して構成され、新設枠は、既設枠の内周面に対面するように配置され、既設枠よりも室内側の建物躯体に固定されている、改装建具である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、
前記既設枠の内周側に取り付けられて前記既設枠の内周側を複数の開口に分割する新設枠と、を有し、
前記新設枠を構成する上下左右の少なくともいずれかの枠は、室内外方向に分割された複数の金属枠部材と、前記複数の金属枠部材を連結する断熱性を有するブリッジ部材と、を有して構成され、
前記新設枠は、前記既設枠の内周面に対面するように配置され、前記既設枠よりも室内側の前記建物躯体に固定されている、改装建具。
【請求項2】
前記新設枠は、四方組みされて前記既設枠の内周側に取り付けられている、請求項1に記載の改装建具。
【請求項3】
前記新設枠は、前記既設枠の内周側を複数の開口に分割する複数の分割枠と、前記複数の分割枠を連結する枠連結部材と、を有して構成される、請求項1又は2に記載の改装建具。
【請求項4】
前記新設枠は、それぞれ四方組みされた前記複数の分割枠が前記枠連結部材によって連結されてユニット化された状態で、前記既設枠の内周側に取り付けられている、請求項3に記載の改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
既設枠の内周側に新設枠を取り付けることによって、窓を改装することが行われている。例えば、室内に既設枠の開口よりも小さな窓開口を有する浴室ユニットを新設する場合には、改装時に、浴室ユニットの窓開口の大きさに合わせて、既設枠の開口よりも小さな開口を有する新設枠を取り付ける必要がある。この場合、既設枠の内周側は、浴室ユニットの窓開口の大きさに合わせた大きさの開口を含む複数の開口に分割される。
【0003】
従来、既設枠の内周側を複数の開口に分割した改装建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この改装建具は、分割された複数の開口のそれぞれに、既設枠に接合するための接合部材を介して、改装用のサッシを取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の改装建具では、既設枠に新設枠を取り付ける前に、中間部材である接合部材を既設枠に固定しておく必要がある。既設枠の内周側の複数の開口のそれぞれに新設枠を取り付けるためには、複数の開口にそれぞれ接合部材を固定する煩雑な作業が要求される。そのため、発明者は、既設枠の内周側を複数の開口に分割する際の改装作業を簡略化できるようにする、という課題を見出した。
【0006】
本開示は、既設枠の内周側を複数の開口に分割する際の改装作業を簡略化することができる改装建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に取り付けられて前記既設枠の内周側を複数の開口に分割する新設枠と、を有し、前記新設枠を構成する上下左右の少なくともいずれかの枠は、室内外方向に分割された複数の金属枠部材と、前記複数の金属枠部材を連結する断熱性を有するブリッジ部材と、を有して構成され、前記新設枠は、前記既設枠の内周面に対面するように配置され、前記既設枠よりも室内側の前記建物躯体に固定されている、改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る改装建具を室外側から見た正面図である。
【
図2】一実施形態に係る改装建具の縦断面図である。
【
図4】
図2に示す改装建具の上側の分割枠の上枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【
図5】
図2に示す改装建具の無目部分を拡大して示す縦断面図である。
【
図6】
図2に示す改装建具の下側の分割枠の下枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【
図7】
図3に示す改装建具の左側の縦枠部分を拡大して示す横断面図である。
【
図8】
図3に示す改装建具の右側の縦枠部分を拡大して示す横断面図である。
【
図9】上下の分割枠を無目で連結する様子を説明する図である。
【
図10】上側の分割枠の新設下枠と下側の分割枠の新設上枠とに無目を取り付ける様子を説明する図である。
【
図11】上下の分割枠を無目で連結してなる新設枠を既設枠に取り付ける様子を説明する図である。
【
図12】他の実施形態に係る改装建具の縦断面図である。
【
図13】さらに他の実施形態に係る改装建具の横断面図である。
【
図14】既設下枠の他の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施形態に係る改装建具1は、既設枠2が建物躯体100の開口部に取り付けられた状態で、既設枠2の内周側の複数の開口のそれぞれに、後述の新設枠を取り付けるリフォーム用の改装建具である。
【0010】
本明細書において、見込み方向とは、改装建具1における室内外方向に沿う方向である。見付け方向とは、改装建具1における面材の面方向に沿う方向であり、見込み方向に対して直交する方向である。図面において、改装建具1の室外側を「室外側X1」とし、改装建具1の室内側を「室内側X2」とする。改装建具1を正面視したときの横方向を「左右」とする。改装建具1を正面視したときの改装建具1の中央部に向かう方向を「内方」とし、改装建具1の中央部から離れる方向を「外方」とする。
【0011】
本実施形態に示す改装建具1は、木質系の建物躯体100の開口部における上下左右の四周に亘って取り付けられる既設枠2の内周側を、複数の開口に分割する新設枠3を有する改装サッシである。新設枠3は、既設枠2の内周側に納められる。新設枠3は、既設枠2の内周側を上下2つの開口に分割する2つの分割枠4,5と、2つの分割枠4,5を連結する無目6と、を有して構成される。無目6の上側に配置される分割枠4は、障子401,402及び網戸403を備える引き違い窓によって構成される。無目6の下側に配置される分割枠5は、目隠し用のパネル板501を備えるFIX窓によって構成される。
【0012】
分割枠4に納められる障子401,402は、分割枠4の左右方向にスライド移動可能に納められる。
図1に示すように、室内側X2に配置される障子401には、クレセント錠404が取り付けられている。
図1において、網戸403は図示を省略している。
【0013】
既設枠2は、建物躯体100の開口部における上下左右の四周に亘って取り付けられる。既設枠2は、
図2及び
図3に示すように、既設上枠21、既設下枠22及び左右一対の既設縦枠23の4つの枠部材を矩形に四方組みすることによって形成される。既設枠2は、改装前の建物躯体100の開口部の内側に取り付けられている。既設上枠21、既設下枠22及び左右一対の既設縦枠23は、それぞれアルミニウム等の金属製もしくは塩化ビニル等の樹脂製の押出形材からなる。既設枠2の室内側X2には額縁部材101が配置される。額縁部材101は、建物躯体100の開口部の内周面における既設枠2の室内側X2に配置され、上下左右の四周に亘って取り付けられている。四方組みされた既設枠2と建物躯体100の室外側X1に設けられる外壁材102との隙間は、バックアップ材103及びシーリング材104によって四周に亘って目止めされている。
【0014】
既設上枠21は、
図2及び
図4に示すように、建物躯体100の開口部の上部に配置され、開口部における室外側X1に片寄った位置に固定されている。既設上枠21は、それぞれ下方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール211a、211bと、既設網戸用のガイドレール211cと、最も室内側X2に配置される室内側壁部211dと、を有する。既設上枠21の室内側壁部211dの下端は、上枠側の額縁部材101の内周面101aと略同一の高さに配置される。上枠側の額縁部材101は、室内側壁部211dに当接し、室内側壁部211dから室内側X2に向けて延びている。
【0015】
既設下枠22は、
図2及び
図6に示すように、建物躯体100の開口部の下部に配置され、開口部における室外側X1に片寄った位置に固定されている。既設下枠22は、それぞれ上方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール221a、221bと、既設網戸用のガイドレール221cと、最も室内側X2に配置される室内側壁部221dと、を有する。既設下枠22の上面22aの高さは、最も室内側X2のガイドレール221aから最も室外側X1のガイドレール221cにかけて、次第に低くなるように階段状に形成されている。既設下枠22の室内側X2のガイドレール221a及び室内側壁部221dの上端は、下枠側の額縁部材101の内周面101aと略同一の高さに配置される。下枠側の額縁部材101は、既設下枠22の室内側壁部221dに当接し、室内側壁部221dから室内側X2に向けて延びている。
【0016】
既設縦枠23は、
図3、
図7及び
図8に示すように、建物躯体100の開口部の左右の縦部に配置され、開口部における室外側X1に片寄った位置に固定されている。既設縦枠23は、室外側壁部231aと、室内側壁部231bと、を有する。室外側壁部231aは、既設縦枠23の最も室外側X1に配置され、外方に向けて屈曲している。室内側壁部231bは、既設縦枠23の最も室内側X2に配置され、内方に向けて屈曲している。既設縦枠23の室内側壁部231bの内端は、縦枠側の額縁部材101の内周面101aと略同一の高さに配置される。縦枠側の額縁部材101は、室内側壁部231bに当接し、室内側壁部231bから室内側X2に向けて延びている。
【0017】
次に、新設枠3について説明する。
【0018】
新設枠3は、既設枠2の内周側の形状に対応するように、専用に形成された専用枠である。新設枠3は、
図1及び
図2に示すように、上下2つの分割枠4,5と、無目6と、を有して構成される。2つの分割枠4,5は、既設枠2の内周側を、無目6を境に2つの開口に分割する。無目6は、2つの分割枠4,5の間に配置され、分割枠4,5を一体に連結して新設枠3をユニット化する枠連結部材である。
【0019】
次に、無目6の上側に配置される分割枠4の新設上枠41、新設下枠42及び左右一対の新設縦枠43の構成について、個別に説明する。
【0020】
まず、分割枠4の新設上枠41について説明する。
【0021】
新設上枠41は、室外側枠部材411と室内側枠部材412とに見込み方向に2分割されている。室外側枠部材411及び室内側枠部材412は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材411と室内側枠部材412とは、ブリッジ部材413によって一体的に連結されている。ブリッジ部材413は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設上枠41における室外側枠部材411から室内側枠部材412への熱の伝達を遮断する。
【0022】
新設上枠41は、分割枠4の内側に納められる2枚の障子401,402用の一対のガイドレール414a,414bと、新設枠3の最も室外側X1に納められる網戸403用のガイドレール414cと、を有する。ガイドレール414b,414cは、室外側枠部材411に配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール414aは、室内側枠部材412においてブリッジ部材413に隣接して配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール414a,414b,414cは、新設上枠41の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0023】
図4に示すように、室外側枠部材411は、ガイドレール414bが配置される部位からブリッジ部材413に亘って延びる断面略矩形状の中空部4111を有する。室内側枠部材412は、ブリッジ部材413から室内側X2に向けて延びる断面略矩形状の中空部4121を有する。中空部4111に対応する室外側枠部材411の上面411a及び中空部4121に対応する室内側枠部材412の上面412aは、いずれも平坦面であり、新設上枠41の見込み方向に面一状に並んで配置されている。ブリッジ部材413は、これらの上面411a,412aよりも上方に突出していない。
【0024】
室外側枠部材411は、室外側枠部材411の上面411aよりも低い位置で室外側X1に向けて延びる室外側延出部4112を一体に有する。新設上枠41が既設上枠21の内周側に取り付けられた状態において、室外側延出部4112は、新設上枠41の上面で最も低い部位である。室外側延出部4112は、新設上枠41の室外側X1の端部に配置される。具体的には、室外側延出部4112は、ガイドレール414bとガイドレール414cとの間に配置される。室外側延出部4112は、新設上枠41の上面に浸入した雨水を室内側X2に流入させることなく、左右方向に流す排水溝でもある。
【0025】
室外側枠部材411の最も室外側X1の端部における室外側延出部4112の上面側には、室内側X2に向けて開放する形状の係止溝4113が形成される。係止溝4113は、分割枠4を新設上枠41において後述する無目6と接続する場合に利用される。
【0026】
室外側延出部4112の最も室外側X1の部位には、見付け方向の上方に向けて延びる室外側壁部415が一体に設けられる。室外側壁部415は、室外側枠部材411及び室内側枠部材412の上面411a,412aよりもさらに上方に突出し、既設上枠21の最も室外側X1のガイドレール211cに対して、室外側X1から重なるように配置されている。
【0027】
室外側壁部415の下端部には、室外側X1に向けて突出する上下一対の突片4151が突設されている。一対の突片4151は、室外側壁部415の長さ方向の全長に亘って延びている。一対の突片4151には、
図1に示すように、アルミニウム等の金属材からなる横長矩形の化粧材11が取り付けられている。化粧材11は、新設上枠41の長さ方向の全長に亘って延びている。化粧材11の下端部には、室外側壁部415の一対の突片4151に係合可能な一対の係合片111が室内側X2に向けて突設されている。化粧材11は、一対の係合片111が室外側壁部415の一対の突片4151の内側に室外側X1から嵌合することによって、室外側壁部415に対して着脱可能に取り付けられている。化粧材11は、室外側壁部415を覆うとともに、既設上枠21よりも見付け方向の上方に延出し、新設枠3の上側の室外側X1の見付け面を形成している。化粧材11は、既設上枠21の室外側X1の見付け面及び既設上枠21と外壁材102との間に露出するシーリング材104を室外側X1から覆い隠している。
【0028】
室外側枠部材411の中空部4111に対応する上面411aの室外側X1の部位には、弾性を有するヒレ部材416が設けられる。ヒレ部材416は、既設上枠21のガイドレール211bに近接するように、室外側枠部材411の上面411aから上方に向けて突出している。新設上枠41において、室外側壁部415と既設上枠21のガイドレール211cとの間から雨水が浸入しても、室外側延出部4112を左右方向に流れて新設縦枠43の外周側に排水され、室内側X2への浸入は抑制される。仮に大量の雨水が室外側延出部4112に浸入しても、ヒレ部材416によって室内側X2への浸入が阻止される。ヒレ部材416は弾性を有するため、新設上枠41が既設上枠21の内周側に配置される際に既設上枠21等と接触しても、弾性的に撓むことができ、損傷のおそれがない。
【0029】
新設上枠41の最も室内側X2の部位には、新設上枠41を建物躯体100に固定するための取付部417が一体に設けられる。取付部417は、室外側枠部材411及び室内側枠部材412の上面411a,412aと平行に配置され、室内側枠部材412における室内側X2の端面412bの上部から室内側X2に向けて板状に延出している。
【0030】
取付部417の上面417aには、新設上枠41の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部4171が設けられる。一対の突条部4171は、取付部417の上面417aから僅かに上方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。取付部417の上面417aの位置は、室外側枠部材411及び室内側枠部材412の上面411a,412aの位置よりも僅かに下方に配置される。一対の突条部4171は、取付部417の上面417aから、室外側枠部材411及び室内側枠部材412の上面411a,412aの位置に略等しい高さまで突出している。
【0031】
新設上枠41の一対のガイドレール414a,414bの間には、樹脂製もしくは木質由来材料製のレール間カバー4114が取り付けられる。レール間カバー4114は、新設上枠41におけるガイドレール414a,414bの間を実質的に遮蔽するように、室外側枠部材411の下面411bとブリッジ部材413の下面側とに亘って配置される。レール間カバー4114は、既設上枠21側から新設上枠41に伝わる外気温度が、新設上枠41の内周側に伝達されることを抑制する。
【0032】
図4に示すように、新設上枠41の室内側枠部材412の室内側X2の端部には、樹脂製もしくは木質由来材料製のアングル部材418が取り付けられている。アングル部材418は、室内側X2に向けて延びるアングル部418aと、アングル部418aの室外側X1の端部から上方に延びる立壁部418bと、を有する。立壁部418bは、室内側枠部材412の室内側X2の端面412bが下方に延長するように室内側枠部材412に突設される突出部412dの下端に係合している。立壁部418bは、突出部412dに連続して該突出部412dを下方にさらに延長するように配置される。アングル部418aは、立壁部418bの下端部から室内側X2に向けて延びている。アングル部418aは、ガイドレール414a,414bの下端の位置と略等しい位置に配置されている。
【0033】
アングル部材418の室外側X1には、樹脂製もしくは木質由来材料製のカバー材4181が一体に設けられている。カバー材4181は、アングル部材418の立壁部418bの上端から、室内側枠部材412の下面412cに沿って室外側X1に向けて延びるとともに、ガイドレール414aの室内側X2の側面414a1に沿って設けられている。カバー材4181は、ねじ418cによって室内側枠部材412の下面412cに固定されている。カバー材4181は、新設上枠41の室内側枠部材412の温度が、新設上枠41の内周側に伝達されることを抑制する。アングル部材418は、突出部412dに対応する部位で、カバー材4181と分離して設けられていてもよい。
【0034】
次に、分割枠4の新設下枠42について説明する。
【0035】
新設下枠42は、室外側枠部材421と室内側枠部材422とに見込み方向に2分割されている。室外側枠部材421及び室内側枠部材422は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材421と室内側枠部材422とは、ブリッジ部材423によって一体的に連結されている。ブリッジ部材423は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設下枠42における室外側枠部材421から室内側枠部材422への熱の伝達を遮断する。
【0036】
新設下枠42は、新設上枠41のガイドレール414a,414b,414cに対応してそれぞれ上方に突出するガイドレール424a,424b,424cを有する。ガイドレール424a,424b,424cは、新設下枠42の長さ方向の全長に亘って延びている。最も室内側X2のガイドレール424aは、室内側枠部材422の上面422aにおける最も室外側X1に、ブリッジ部材423に隣接して配置される。ガイドレール424bは、室外側枠部材421の上面421aにおける見込み方向の中央付近に配置される。ガイドレール424cは、室外側枠部材421の上面421aにおける最も室外側X1に配置される。
【0037】
図5に示すように、室外側枠部材421は、無目6及び既設下枠22の形状に沿うように下方に向けて膨出する形状の中空部4211を有する。室外側枠部材421の下面421bは、室内側X2から室外側X1に向かうに従って段階的に高さが低くなる無目6及び既設下枠22のガイドレール221a,221b,221cの高さの変化に沿っている。室外側枠部材421の下面421bは、室内側X2から室外側X1に向かうに従って段階的に下方に突出するように形成されている。室内側枠部材422は、ブリッジ部材423から室内側X2の端面422bに向けて延びる断面略矩形状の中空部4221を有する。
【0038】
新設下枠42の室外側X1の部位には、高さ調整部材425が取り付けられる。但し、分割枠4の新設下枠42において、この高さ調整部材425は使用されない部品である。
【0039】
新設下枠42の室外側枠部材421の室外側X1の端面421cには、室外側X1に向けて突出する上下一対の突片4212が突設されている。一対の突片4212には、
図1に示すように、アルミニウム等の金属材からなる横長矩形の化粧材12が取り付けられている。化粧材12は、新設下枠42の長さ方向の全長に亘って延びている。化粧材12の上端部には、室外側枠部材421の一対の突片4212に係合可能な一対の係合片121が室内側X2に向けて突設されている。化粧材12は、一対の係合片121が室外側枠部材421の一対の突片4212の内側に室外側X1から嵌合することによって、室外側枠部材421に対して着脱可能に取り付けられている。化粧材12は、高さ調整部材425を覆うとともに、新設下枠42よりも見付け方向の下方に延出し、新設枠3の分割枠4と分割枠5との間の室外側X1の見付け面を形成している。化粧材12は、新設下枠42の下面側に取り付けられる無目6及びその無目6の下面側に取り付けられる分割枠5の新設上枠51を室外側X1から覆い隠している。
【0040】
新設下枠42の室外側枠部材421の下面421bにおける室外側X1の端部には、室内側X2に向けて屈曲する形状の係止突部4213が形成されている。新設下枠42は、後述する無目6の係止溝615に対して係止突部4213を室外側X1から挿入することによって、無目6と係合している。
【0041】
新設下枠42の一対のガイドレール424a,424bの間には、樹脂製もしくは木質由来材料製のレール間カバー4214が取り付けられる。レール間カバー4214は、室外側枠部材421の上面421aとブリッジ部材423の上面側とを覆っている。レール間カバー4214は、既設下枠22側から新設下枠42の室外側枠部材421に伝わる外気温度が、新設下枠42の内周側に伝達されることを抑制する。
【0042】
図5に示すように、新設下枠42の室内側枠部材422には、樹脂製もしくは木質由来材料製のアングル部材426が取り付けられている。アングル部材426は、室内側枠部材422の室内側X2の端面422bよりも室内側X2に向けて延びるアングル部426aと、アングル部426aの室外側X1の端部から下方に延びる立壁部426bと、を有する。立壁部426bは、室内側枠部材422の室内側X2の端面422bが上方に延長するように室内側枠部材422に突設される突出部422dに室外側X1から重なるように配置され、突出部422dの上端に係合している。アングル部426aは、突出部422dの上端から室内側X2に向けて延びている。アングル部426aは、ガイドレール424a,424bの上端の位置と略等しい位置に配置されている。アングル部材426は、アングル部426aを貫通するねじ426cによって、後述する無目6の室内側X2に取り付けられる化粧材15の上部固定片152に取り付けられている。
【0043】
アングル部材426の室外側X1には、樹脂製もしくは木質由来材料製のカバー材4261が一体に設けられている。カバー材4261は、アングル部材426の立壁部426bから室内側枠部材422の上面422aに沿って設けられている。カバー材4261は、新設下枠42の室内側枠部材422の温度が、新設下枠42の内周側に伝達されることを抑制する。アングル部材426は、突出部422dに対応する部位で、カバー材4261と分離して設けられていてもよい。
【0044】
次に、分割枠4の新設縦枠43について説明する。左右の新設縦枠43は、左右対称に配置される以外、実質的に同一の構成を有する。そのため、左右の新設縦枠43の共通する構成の部位については、同一の符号を用いて共通に説明する。
【0045】
新設縦枠43は、室外側枠部材431と室内側枠部材432とに見込み方向に2分割されている。室外側枠部材431及び室内側枠部材432は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材431と室内側枠部材432とは、一対のブリッジ部材433によって一体的に連結されている。ブリッジ部材433は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設縦枠43における室外側枠部材431から室内側枠部材432への熱の伝達を遮断する。
【0046】
図3、
図7及び
図8に示すように、室外側枠部材431は、室外側X1からブリッジ部材433に亘る断面略矩形状の中空部4311を有する。室内側枠部材432は、ブリッジ部材433から室内側X2に向けて延びる断面略矩形状の中空部4321を有する。中空部4311に対応する室外側枠部材431の外側面431a及び中空部4321に対応する室内側枠部材432の外側面432aは、いずれも平坦面であり、新設縦枠43の見込み方向に面一状に並んで配置されている。ブリッジ部材433は、これらの外側面431a,432aよりも外方に突出していない。
【0047】
図7に示すように、室外側X1から見て左側の新設縦枠43の室内側枠部材432の内側面432bには、見付け方向の内方に向けて突出する突出片432b1が一体に設けられている。突出片432b1は、室内側X2の障子401が閉鎖状態にあるときに、該障子401の戸先側の縦框4013と係合する。
図8に示すように、室外側X1から見て右側の新設縦枠43の室外側枠部材431の内側面431bには、見付け方向の内方に向けて突出する突出片431b1が一体に設けられている。突出片431b1は、室外側X1の障子402が閉鎖状態にあるときに、該障子402の戸先側の縦框4023と係合する。新設縦枠43の室外側枠部材431の内側面431bには、網戸403の縦框4031と係合する突出片431b2が一体に設けられている。
【0048】
新設縦枠43の室外側枠部材431の室外側X1の端部には、見付け方向の外方に向けて延びる室外側壁部434が一体に設けられる。室外側壁部434は、新設縦枠43の外側面431a,432aよりもさらに見付け方向の外方に突出し、既設縦枠23の最も室外側X1に配置される室外側壁部231aに対して、室外側X1から重なるように配置されている。室外側壁部434の外端は、シーリング材104を室外側X1から覆う程度まで延びている。新設縦枠43の室外側枠部材431の室外側X1の端面には、室外側X1に向けて突出する左右一対の突片4312が突設されている。
【0049】
一対の突片4312は、新設縦枠43の長さ方向の全長に亘って延びている。一対の突片4312には、
図1に示すように、アルミニウム等の金属材からなる縦長矩形の化粧材13が取り付けられている。化粧材13は、新設枠3の上下の長さ方向の全長に亘って延びている。すなわち、化粧材13は、無目6を挟んで上下に配置される分割枠4及び分割枠5のそれぞれの新設縦枠に亘って延びている。化粧材13の内端部には、新設縦枠43の一対の突片4312に係合可能な一対の係合片131が突設されている。化粧材13は、一対の係合片131が新設縦枠43の一対の突片4312の内側に室外側X1から嵌合することによって、新設縦枠43に対して着脱可能に取り付けられている。化粧材13は、室外側壁部434を覆うとともに、既設縦枠23よりも見付け方向の外方に延出し、新設枠3の縦側の室外側X1の見付け面を形成している。化粧材13は、既設縦枠23の室外側X1の見付け面及び既設縦枠23と外壁材102との間に露出するシーリング材104を室外側X1から覆い隠している。
【0050】
新設縦枠43の室外側枠部材431における室外側X1の端部には、室内側X2に向けて屈曲する形状の係止片4313が設けられる。係止片4313は、枠連結部材として後述する方立9を使用する場合に、方立9と係合する部位である。
【0051】
新設縦枠43の室内側枠部材432における最も室内側X2の部位には、新設縦枠43を建物躯体100に固定するために使用される取付部437が一体に設けられる。取付部437は、新設縦枠43の室内側枠部材432の室内側X2の端面432cにおける外側面432aに近接した部位から室内側X2に向けて板状に延出している。取付部437は、新設縦枠43の外側面431a,432aと平行に配置される。
【0052】
取付部437の外側面437aには、新設縦枠43の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部4371が設けられる。一対の突条部4371は、取付部437の外側面437aから僅かに外方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。取付部437の外側面437aの見付け方向の位置は、新設縦枠43の外側面432aの見付け方向の位置よりも僅かに内側に配置される。一対の突条部4371は、取付部437の外側面437aから、室内側枠部材432の外側面432aの位置に略等しい高さまで突出している。
【0053】
図7及び
図8に示すように、新設縦枠43の室内側X2には、樹脂製もしくは木質由来材料製のアングル部材436が取り付けられている。アングル部材436は、室内側X2に向けて延びるアングル部436aと、アングル部436aの室外側X1の端部から外方に延びる立壁部436bと、立壁部436bの外端から室外側X1に向けて延びる室外端部436cと、を有する。立壁部436bは、新設縦枠43の室内側枠部材432の室内側X2の端面432cを内方に延長するように突設される突出部432dに室外側X1から重なるように配置されている。アングル部材436の室外端部436cは、室内側枠部材432の内側面432bに沿って配置され、ねじ436dによって室内側枠部材432の内側面432bに固定されている。
【0054】
図8に示すように、室外側X1から見て右側の新設縦枠43の内側面432bには、樹脂製もしくは木質由来材料製のカバー材4361が設けられている。カバー材4361は、アングル部材436の室外端部436cから連続して室外側X1に延びている。カバー材4361の室外側X1の端部は、室外側X1に配置される障子402に近接し、新設縦枠43の室外側枠部材431の内側面431bに突設された係合片431b3に係合している。カバー材4361は、既設縦枠23側から新設縦枠43に伝わる外気温度が、障子402よりも室内側X2の新設縦枠43の内周側に伝達されることを抑制する。アングル部材436は、突出部432dに対応する部位で、室外端部436cと分離して設けられていてもよい。
【0055】
分割枠4は、新設上枠41、新設下枠42及び一対の新設縦枠43を矩形に四方組みすることによって構成される。すなわち、新設上枠41の両端部と新設縦枠43の上端部とがねじ固定されるとともに、新設下枠42の両端部と新設縦枠43の下端部とがねじ固定されることによって矩形に形成される。
【0056】
次に、無目6の下側に配置される分割枠5の新設上枠51及び新設下枠52の構成について、個別に説明する。分割枠5の新設縦枠53は、障子401,402及び網戸403に代えてパネル板501が納められる点で相違する以外、分割枠4の新設縦枠43と実質的に同一の構成を有するため省略する。
【0057】
まず、分割枠5の新設上枠51について説明する。
【0058】
図5に示すように、新設上枠51は、室外側枠部材511と室内側枠部材512とに見込み方向に2分割されている。室外側枠部材511及び室内側枠部材512は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材511と室内側枠部材512とは、ブリッジ部材513によって一体的に連結されている。ブリッジ部材513は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設上枠51における室外側枠部材511から室内側枠部材512への熱の伝達を遮断する。
【0059】
室外側枠部材511は、ブリッジ部材513から室外側X1に向けて延びる断面略矩形状の中空部5111を有する。室内側枠部材512は、ブリッジ部材513から室内側X2に向けて延びる中空部5121を有する。中空部5111に対応する室外側枠部材511の上面511a及び中空部5121に対応する室内側枠部材512の上面512aは、いずれも平坦面であり、新設上枠51の見込み方向に面一状に並んで配置されている。ブリッジ部材513は、これらの上面511a,512aよりも上方に突出していない。室外側枠部材511は、室外側枠部材511の上面511aよりも低い位置で室外側X1に向けて延びる室外側延出部5112を一体に有する。
【0060】
室外側枠部材511の最も室外側X1の端部における室外側延出部5112の上面側には、室内側X2に向けて開放する形状の係止溝5113が形成されている。新設上枠51は、後述する無目6の係止片616が室内側X2から係止溝5113に挿入されることによって、無目6と係合している。
【0061】
新設上枠51の室内側枠部材512における室内側X2の端部は、中空部5121が下方に膨出した形状を有する。下方に膨出した部位の下面512bには、一対の係止片5122が下方に向けて突出している。一対の係止片5122は、新設上枠51の長さ方向に延び、見込み方向に間隔をあけて平行に配置されている。
【0062】
一対の係止片5122には、樹脂製もしくは木質由来材料製のアングル部材514が取り付けられている。アングル部材514は、室内側X2に向けて延びるアングル部514aと、アングル部514aの室外側X1の端部から上方に突出する断面矩形の中空のホロー部514bと、を有する。ホロー部514bには、上方に向けて突出する一対の係止爪514cが設けられている。アングル部材514は、一対の係止爪514cを室内側枠部材512の一対の係止片5122に係止することによって、新設上枠51の室内側枠部材512に取り付けられる。アングル部材514は、パネル板501の上端部の室内側X2に配置され、パネル板501の室外側X1に配置される室外側支持片5011との間で、グレイジングチャネル5012を介して、パネル板501を支持している。室外側支持片5011は、新設上枠51の室外側枠部材511の下面511bから下方に向けて突出する一対の係止部5114に係止されている。アングル部材514は、アングル部514aを貫通するねじ514dによって、後述する無目6の室内側X2に取り付けられる化粧材15の下部固定片153に取り付けられている。
【0063】
次に、分割枠5の新設下枠52について説明する。
【0064】
図6に示すように、新設下枠52は、室外側枠部材521と室内側枠部材522とに見込み方向に2分割されている。室外側枠部材521及び室内側枠部材522は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材521と室内側枠部材522とは、ブリッジ部材523によって一体的に連結されている。ブリッジ部材523は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設下枠52における室外側枠部材521から室内側枠部材522への熱の伝達を遮断する。
【0065】
室外側枠部材521は、無目6及び既設下枠22の形状に沿うように下方に向けて膨出する形状の中空部5211を有する。室外側枠部材521の下面521bは、室内側X2から室外側X1に向かうに従って段階的に高さが低くなる無目6及び既設下枠22のガイドレール221a,221b,221cの高さの変化に沿っている。室外側枠部材521の下面521bは、室内側X2から室外側X1に向かうに従って段階的に下方に突出するように形成されている。室内側枠部材522は、ブリッジ部材523から室内側X2の端面522cに向けて延びる断面略矩形状の中空部5221を有する。
【0066】
新設下枠52の室外側X1の部位には、高さ調整部材524が取り付けられる。高さ調整部材524は、新設下枠52から下方に延び、既設下枠22のガイドレール221b,221c間の上面22aに載置される。高さ調整部材524が調整されることによって、新設下枠52の室外側X1の高さが調整される。
【0067】
新設下枠52の室外側枠部材521の室外側X1の端面には、室外側X1に向けて突出する上下一対の突片5212が突設されている。一対の突片5212には、
図1に示すように、アルミニウム等の金属材からなる横長矩形の化粧材14が取り付けられている。化粧材14は、新設下枠52の長さ方向の全長に亘って延びている。化粧材14の上端部には、室外側枠部材521の一対の突片5212に係合可能な一対の係合片141が室内側X2に向けて突設されている。化粧材14は、一対の係合片141が室外側枠部材521の一対の突片5212の内側に室外側X1から嵌合することによって、室外側枠部材521に対して着脱可能に取り付けられている。化粧材14は、高さ調整部材524を覆うとともに、新設下枠52よりも見付け方向の下方に延出し、新設枠3の下側の室外側X1の見付け面を形成している。化粧材14は、既設下枠22の室外側X1の見付け面及び既設下枠22と外壁材102との間に露出するシーリング材104を室外側X1から覆い隠している。
【0068】
新設下枠52の室外側枠部材521の下面521bにおける室外側X1の端部には、室内側X2に向けて開放する形状の係止溝5213が形成される。係止溝5213は、分割枠5を新設下枠52において後述する無目6と接続する場合に利用される。
【0069】
新設下枠52の室内側枠部材522における室内側X2の上面522aには、一対の係止片5222が上方に向けて突出している。一対の係止片5222は、新設下枠52の長さ方向に延び、見込み方向に間隔をあけて平行に配置されている。
【0070】
新設下枠52の最も室内側X2の部位には、新設下枠52を建物躯体100に固定するための取付部525が一体に設けられる。取付部525は、室内側枠部材522の下面522bと平行に配置され、室内側枠部材522における室内側X2の端面522cの下部から室内側X2に向けて板状に延出している。
【0071】
取付部525の下面525aには、新設下枠52の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部5251が設けられる。一対の突条部5251は、取付部525の下面525aから僅かに下方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。取付部525の下面525aの位置は、室内側枠部材522の下面522bの位置よりも僅かに上方に配置される。一対の突条部5251は、取付部525の下面525aから、室内側枠部材522の下面522bの位置に略等しい高さまで突出している。
【0072】
図6に示すように、新設下枠52の室内側枠部材522の室内側X2の端部の一対の係止片5222には、樹脂製もしくは木質由来材料製のアングル部材526が取り付けられている。アングル部材526は、室内側X2に向けて延びるアングル部526aと、アングル部526aの室外側X1の端部から下方に突出する断面矩形の中空のホロー部526bと、を有する。ホロー部526bには、下方に向けて突出する一対の係止爪526cが設けられている。アングル部材526は、一対の係止爪526cを室内側枠部材522の一対の係止片5222に係止することによって、新設下枠52の室内側枠部材522に取り付けられる。アングル部材526は、パネル板501の下端部の室内側X2に配置され、パネル板501の室外側X1に配置される室外側支持片5214との間で、グレイジングチャネル5012を介して、パネル板501を支持している。室外側支持片5214は、新設下枠52の室外側枠部材521の上面521aに上方に向けて突出して設けられている。
【0073】
分割枠5は、新設上枠51、新設下枠52及び一対の新設縦枠を矩形に四方組みすることによって構成される。すなわち、新設上枠51の両端部と新設縦枠の上端部とがねじ固定されるとともに、新設下枠52の両端部と新設縦枠の下端部とがねじ固定されることによって矩形に形成される。
【0074】
次に、無目6について説明する。
【0075】
無目6は、分割枠4及び分割枠5の左右方向の長さと略同一の長さを有して左右方向に延びている。
図5及び
図10に示すように、無目6は、室外側無目部材61と室内側無目部材62とに見込み方向に2分割されている。室外側無目部材61及び室内側無目部材62は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側無目部材61と室内側無目部材62とは、上下一対のブリッジ部材63によって一体的に連結されている。ブリッジ部材63は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、無目6における室外側無目部材61から室内側無目部材62への熱の伝達を遮断する。
【0076】
室外側無目部材61は、それぞれ無目6の長さ方向に延びる下壁部611と、室外側立壁部612と、室内側立壁部613と、上壁部614と、によって形成され、内部に中空部610を有する。下壁部611は、見付け方向に延びる平坦面である。室外側立壁部612と室内側立壁部613とは、平行に配置される。室外側立壁部612の上端の高さは、室内側立壁部613の上端の高さよりも低い。上壁部614は、室外側立壁部612の上端と室内側立壁部613の上端とを段状に接続している。上壁部614は、分割枠4の新設下枠42の下面側の形状に沿って、室内側X2から室外側X1に向けて低くなるように形成されている。
【0077】
室外側無目部材61の室外側立壁部612と上壁部614との境界部には、室外側X1に向けて開口する形状の係止溝615が形成されている。係止溝615は、無目6の上側に配置される分割枠の新設下枠を室外側X1において係止する第1の係止部である。
【0078】
室外側無目部材61の室外側X1の端部には、係止片616が形成されている。係止片616は、室外側立壁部612に沿って下方に向けて突出するとともに、下端が室外側X1に屈曲した形状を有する。係止片616は、無目6の下側に配置される分割枠の新設上枠を室外側X1において係止する第2の係止部である。
【0079】
室内側無目部材62は、それぞれ無目6の長さ方向に延びる下壁部621と、室外側立壁部622と、室内側立壁部623と、上壁部624と、によって形成され、内部に断面略矩形の中空部620を有する。下壁部621と上壁部624とは、見付け方向に延びる平坦面であり、互いに平行に配置される。下壁部621は、室外側無目部材61の下壁部611と面一状に配置されている。室外側立壁部622と室内側立壁部623とは、平行に配置される。室外側立壁部622は、室外側無目部材61の室内側立壁部613よりも上方に突出している。
【0080】
室外側無目部材61の室内側立壁部613と室内側無目部材62の室外側立壁部622とは、所定間隔をおいて平行に配置される。一対のブリッジ部材63は、室内側立壁部613及び室外側立壁部622の上端部及び下端部に配置され、室外側無目部材61と室内側無目部材62とを連結している。
【0081】
室内側無目部材62の室内側X2の端部の上部には、上部延出部625が一体に設けられる。上部延出部625は、室内側立壁部623が上壁部624よりも上方に延出することによって形成される。上部延出部625は、無目6の上側に配置される分割枠の新設下枠に対して室内側X2から当接してねじ固定するための第1の固定部である。
【0082】
室内側無目部材62の室内側X2の端部の下部には、下部延出部626が一体に設けられる。下部延出部626は、室内側立壁部623が下壁部621よりも下方に延出することによって形成される。下部延出部626は、無目6の下側に配置される分割枠の新設上枠に対して室内側X2から当接してねじ固定するための第2の固定部である。
【0083】
無目6の室内側無目部材62の室内側立壁部623、上部延出部625及び下部延出部626には、室内側X2に向けて突出する複数の突出片627が設けられる。突出片627は、上部延出部625の上端及び下部延出部626の下端にそれぞれ1つずつ設けられるとともに、室内側立壁部623に2つ設けられている。複数の突出片627は、無目6の長さ方向に沿って互いに平行に延びている。
【0084】
無目6の上面及び下面には、それぞれ上方及び下方に僅かに突出する複数の突条64aが設けられている。突条64aは、無目6の長さ方向に沿って延び、見付け方向に平行に配置されている。
【0085】
次に、2つの分割枠4,5を無目6によって連結してユニット化した新設枠3を既設枠2に取り付ける方法について
図9~
図11を参照して説明する。
【0086】
図9に示すように、それぞれ矩形に四方組みすることによって形成された分割枠4及び分割枠5を、室外側X1となる面が下側となるように、例えば床面もしくは台上に平置きする。分割枠4と分割枠5との間は、無目6を挿入し得る程度に離隔しておく。その後、
図10に示すように、分割枠4の新設下枠42と分割枠5の新設上枠51との間に、室内側X2となる側から無目6を斜めに挿入する。具体的には、無目6の挿入方向の先頭側を分割枠4側に傾けた姿勢で、無目6を分割枠4の新設下枠42と分割枠5の新設上枠51との間に斜めに挿入する。
【0087】
無目6を分割枠4及び分割枠5の間に斜めに挿入した後、最後に無目6をまっすぐな姿勢に戻す。これによって、無目6の係止溝615は、無目6の上側に配置される分割枠4の新設下枠42に設けられた係止突部4213を挿入して係合するとともに、無目6の係止片616は、無目6の下側に配置される分割枠5の新設上枠51に設けられた係止溝5113に対して、室内側X2から挿入して係合する。この方法によれば、予め床面もしくは台上に位置決めされた分割枠4,5に対して、無目6を操るだけで、分割枠4,5と無目6とを容易に一体化させることができる。無目6との連結の際に分割枠4,5を持ち上げる等の面倒な作業の必要がないため、ユニット化された新設枠3を簡単に形成することができる。
【0088】
無目6を分割枠4の新設下枠42及び分割枠5の新設上枠51と係合することによって、無目6の上部延出部625は、分割枠4の新設下枠42の室内側X2の端面422bに当接する。さらに、無目6の下部延出部626は、分割枠5の新設上枠51の室内側X2の端面512cに当接する。互いに係合した上下の分割枠4,5と無目6とは、上部延出部625及び下部延出部626を貫通するねじ6aによって固定される。分割枠4の新設下枠42は、無目6の上面に突出する突条64aと接触して安定して載置される。分割枠5の新設上枠51は、無目6の下面に突出する突条64aに安定して当接する。これによって、分割枠4,5及び無目6がユニット化された新設枠3が形成される。
【0089】
このようにして形成された新設枠3は、
図11に示すように、既設枠2の内周側に室外側X1から装着される。新設枠3は、
図2~
図8に示すように、既設枠2から額縁部材101に亘る部位の内周側に配置される。
図2、
図3、
図4、
図7及び
図8に示すように、新設枠3と額縁部材101との間に隙間が形成される場合には、その隙間を埋めるようにスペーサ部材Smが配置される。スペーサ部材Smは、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材Smを構成するシートの厚み及びシートの積層数は、新設枠3と額縁部材101との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0090】
既設枠2の内周側に取り付けられた新設枠3の上側は、分割枠4の新設上枠41における取付部417及びスペーサ部材Smを貫通するねじSC1によって、既設上枠21よりも室内側X2の建物躯体100に固定される。ねじSC1は、取付部417の一対の突条部4171の間を貫通する。一対の突条部4171は、スペーサ部材Smに当接し、ねじSC1の締結トルクが作用した際の取付部417の変形を抑制する。取付部417は、新設枠3において室内側X2に向けて突出しているため、室内側X2からのねじ打ち作業が容易である。
【0091】
既設枠2の内周側に取り付けられた新設枠3の下側は、分割枠5の新設下枠52における取付部525を貫通するねじSC2によって、既設下枠22よりも室内側X2の建物躯体100に固定される。ねじSC2は、取付部525の一対の突条部5251の間を貫通する。一対の突条部5251は、額縁部材101に当接し、ねじSC2の締結トルクが作用した際の取付部525の変形を抑制する。取付部525は、新設枠3において室内側X2に向けて突出しているため、室内側X2からのねじ打ち作業が容易である。
【0092】
既設枠2の内周側に取り付けられた新設枠3の縦側は、分割枠4の新設縦枠43及び分割枠5の新設縦枠における取付部435及びスペーサ部材Smを貫通するねじSC3によって、既設縦枠23よりも室内側X2の建物躯体100に固定される。ねじSC3は、取付部435の一対の突条部4351の間を貫通する。一対の突条部4351は、スペーサ部材Smに当接し、ねじSC3の締結トルクが作用した際の取付部435の変形を抑制する。取付部435は、新設枠3において室内側X2に向けて突出しているため、室内側X2からのねじ打ち作業が容易である。
【0093】
このように新設枠3が既設枠2の内周側に取り付けられた状態において、既設枠2と新設枠3との間には、新設枠3を既設枠2に取り付けるための中間部材等の他の部材が介在していない。新設枠3は、既設枠2の内周側に直接的に上下に対面するように配置される。そのため、新設枠3は、既設枠2に可及的に近接して配置可能である。新設枠3は、既設枠2に固定されないため、既設枠2に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじSC1,SC2,SC3は、既設枠2と接触しないため、ねじSC1,SC2,SC3を介して既設枠2と新設枠3との間で熱が伝達されることもない。
【0094】
ねじSC1,SC2,SC3によって固定された新設枠3の室内側X2の部位には、
図4、
図6~
図8に示すように、樹脂材あるいはアルミニウム等の金属材からなる気密テープT1,T2が貼着されている。気密テープT1は、額縁部材101に貼着されている。気密テープT1の室外側X1の端部は、額縁部材101から既設枠2の最も室内側X2に突設される室内側壁部211d,221d,231bの室外側X1の面に亘って貼着されている。気密テープT1の室内側X2の端部は、既設枠2よりも室内側X2に延出している。気密テープT2の室外側X1の端部は、取付部417,525,435及びねじSC1,SC2,SC3の頭部を被覆している。気密テープT2の室内側X2の端部は、取付部417,525,435よりも室内側X2に延出し、額縁部材101上で気密テープT1に重なっている。これによって、既設枠2と新設枠3との間の気密性が高められる。
【0095】
新設枠3を既設枠2に取り付けた後、新設枠3の室外側X1の見付け面に、それぞれ化粧材11,12,13,14が取り付けられる。新設枠3の無目6の室内側X2の見付け面には、
図2及び
図5に示すように、化粧材15が取り付けられる。化粧材15は、化粧材11,12,13,14と同様に、アルミニウム等の金属材によって押出し成形された押出型材からなる。化粧材15は、無目6の複数の突出片627に係合する複数の係止爪151と、上部固定片152と、下部固定片153とを有する。化粧材15は、上部固定片152において、分割枠4の新設下枠42のアングル部426aにねじ426cによって固定され、下部固定片153において、分割枠5の新設上枠51のアングル部514aにねじ514dによって固定される。これによって、化粧材15は、分割枠4の新設下枠42のアングル部426aと分割枠5の新設上枠51のアングル部514aとの間を遮蔽し、無目6の室内側X2の見付け面を目隠しする。
【0096】
建物躯体100に固定された後の新設枠3の室内側X2には、四周に亘って樹脂製の化粧カバー71,72,73が設けられる。化粧カバー71,72,73は、ねじ71a,72a,73aによってアングル部材418,526,436に取り付けられている。新設枠3の上側の化粧カバー71は、分割枠4の新設上枠41におけるアングル部材418のアングル部418aに連続して室内側X2に向けて延びるとともに、額縁部材101に亘って配置される。新設枠3の下側の化粧カバー72は、分割枠5の新設下枠52におけるアングル部材526のアングル部526aに連続して室内側X2に向けて延びるとともに、額縁部材101に亘って配置される。新設枠3の縦側の化粧カバー73は、分割枠4,5に亘って延び、それぞれの新設縦枠のアングル部材436のアングル部436aに連続して室内側X2に向けて延びるとともに、額縁部材101に亘って配置される。
【0097】
図4、
図6~
図8に示すように、化粧カバー71,72,73は、アングル部418a,526a,436aと面一状にアングル部418a,526a,436aの室内側X2に配置される断面矩形状の中空部710,720,730と、中空部710,720,730から額縁部材101に向けて延びる室内側カバー壁711,721,731と、アングル部材418,526,436に固定する固定部712,722,732と、を一体に有する。中空部710,720,730と室内側カバー壁711,721,731とによって、化粧カバー71,72,73の室内側X2の見付け面が形成される。
【0098】
室内側カバー壁711,721,731には、複数の切り取り溝711a,721a,731aが形成されている。切り取り溝711a,721a,731aは、化粧カバー771,72,73の長さ方向に沿って平行に延びる複数の突条の付け根部に沿って形成される。室内側カバー壁711,721,731は、いずれかの切り取り溝711a,721a,731aに沿って、カッターの刃を滑らせることによって、あるいは手で折ることによって、簡単に切断することができる。そのため、アングル部材418,526,436のアングル部418a,526a,436aと額縁部材101との距離に応じて、作業者が現場において、室内側カバー壁711,721,731をいずれかの切り取り溝711a,721a,731aの部位で切断することによって、室内側カバー壁711,721,731の額縁部材101からの高さを容易に調整することができる。
【0099】
化粧カバー71,72,73の固定部712,722,732は、中空部710,720,730から室外側X1に向けて延びる固定部本体712a,722a,732aと、固定部本体712a,722a,732aの室外側X1の端部に見付け方向に延びるように設けられる当接板部712b,722b,732bと、固定部本体712a,722a,732aからアングル部418a,526a,436aの裏面に向けて突出する一対のねじ挿入板部712c,722c,732cと、によって構成される。固定部712,722,732の当接板部712b,722b,732bは、アングル部材418,526,436の立壁部418b,436b及びホロー部526bに室内側X2から当接し、化粧カバー71,72,73の見込み方向の位置を規定している。ねじ71a,72a,73aは、アングル部418a,526a,436aを貫通し、一対のねじ挿入板部712c,722c,732cの間を通って固定部本体712a,722a,732aに螺入される。ねじ71a,72a,73aを締め付けた際、当接板部712b,722b,732b及びねじ挿入板部712c,722c,732cがアングル部418a,526a,436aの裏面に当接し、化粧カバー71,72,73の見付け方向の位置を規定する。したがって、化粧カバー71,72,73は、アングル部材418,526,436に対して適正な位置に位置決めされた状態で、位置ずれすることなく固定される。
【0100】
アングル部材418,526,436に固定された化粧カバー71,72,73は、アングル部材418,526,436と額縁部材101との間の新設枠3及びスペーサ部材Smを室内側X2から覆っている。ねじSC1,SC2,SC3の頭部は、化粧カバー71,72,73の内側に配置される。化粧カバー71,72,73と額縁部材101との境目は、ねじ81a,82a,83aによって額縁部材101に固定される断面L字状の見切り材81,82,83によって四周に亘って遮蔽されている。上下の見切り材81,82の両端部は、縦の見切り材83の上下両端部に当接もしくは近接して配置される。見切り材81と見切り材83との境界部及び見切り材82と見切り材83との境界部は、それぞれコーナーピース85によって目隠しされる。
【0101】
化粧カバー71,72,73の内側には、四周に亘って断熱材を設けてもよい。断熱材は、例えば、押出法ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレン、ウレタン樹脂等の樹脂材、ゴム、あるいは真空断熱材等を含む断熱効果が望める材料で構成される。断熱材のそれぞれの両端部は、周方向に隣接する他の断熱材の両端部に対して接触もしくは近接して配置される。これによって、改装建具1の新設枠3の見付け方向がコンパクトに構成されたものでありながらも、新設枠3における室外側X1と室内側X2との間の熱の伝達をさらに抑制することができる。そのため、改装建具1の断熱性能が向上する。
【0102】
次に、障子401,402について説明する。
【0103】
障子401,402は、それぞれ上框4011,4021と、下框4012,4022と、左右一対の縦框4013,4023と、を矩形に四方組みした框体の内側に、1枚以上のガラス等からなる面材4014,4024を納めることによって構成される。
【0104】
図4に示すように、上框4011,4021は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる上框本体4011a,4021aと、上框本体4011a,4021aの室内側X2の側面をカバーする樹脂製のカバー部材4011b,4021bと、によって構成される。上框本体4011a,4021aは、新設上枠41のガイドレール414a,414bを見込み方向に挟むように設けられる。
【0105】
図5に示すように、下框4012,4022は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる下框本体4012a,4022aと、下框本体4012a,4022aの室内側X2の側面をカバーする樹脂製のカバー部材4012b,4022bと、によって構成される。下框本体4012a,4022aは、新設下枠42のガイドレール424a,424bを見込み方向に挟むように設けられる。下框本体4012a,4022aの内部には、戸車4012c,4022cが設けられ、ガイドレール424a,424b上に転動可能に載置されている。
【0106】
図7及び
図8に示すように、縦框4013,4023は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる縦框本体4013a,4023aと、縦框本体4013a,4023aの室内側X2の側面をカバーする樹脂製のカバー部材4013b,4023bと、によって構成される。
【0107】
以上、本開示の改装建具の一実施形態について説明したが、本開示の改装建具は適宜変更可能である。例えば、本開示の改装建具は、
図12に示す改装建具1Aのように、分割枠4を無目6の下側に配置し、分割枠5を無目6の上側に配置してもよい。
【0108】
枠連結部材は、既設枠2の内周側を、分割枠4,5と無目6とによって上下2つの開口に分割するものに限定されない。例えば、
図13に示す改装建具1Bのように、既設枠2の内周側を、上下方向に延びる方立9によって左右2つの開口に分割するようにしてもよい。この場合、方立9も、室外側方立部材91と室内側方立部材92とに見込み方向に2分割される。室外側方立部材91及び室内側方立部材92は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側方立部材91と室内側方立部材92とは、一対のブリッジ部材93によって一体的に連結される。ブリッジ部材93は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、方立9における室外側方立部材91から室内側方立部材92への熱の伝達を遮断する。方立9は、分割枠4,5の新設縦枠43,53に設けられた係止片4313,5313に対して室内側X2から係合する。
【0109】
分割枠は、2枚の障子401,402を有するものに限定されず、3枚以上の障子を有するものであってもよいし、1枚だけの障子を有する片引き窓を構成するものであってもよい。さらに、分割枠は、辷り出し窓、FIX窓、上げ下げ窓、外倒し窓、内倒し窓、あるいは開き窓を構成するものであってもよい。
【0110】
新設枠3は、すべての枠にブリッジ部材が設けられるものに限定されない。ブリッジ部材は、新設枠3の上下左右の少なくともいずれか1つの枠に設けられていればよい。
【0111】
本開示の改装建具は、以上説明した改装建具1,1A,1Bのように、既設枠2の内周側が2つの開口に分割されるものに限定されない。既設枠の内周側には、2以上の無目6もしくは方立9によって連結される3つ以上の分割枠を有する新設枠によって3つ以上の開口が形成されてもよい。
【0112】
本開示の改装建具は、上述した改装建具1,1A,1Bのように、室内側X2から室外側X1にかけて次第に高さが低くなるように形成される既設下枠22を有する既設枠2に適用されるものに限定されない。本開示の改装建具は、
図14に示すように、一対のガイドレール221a,221bが同一高さで突設される既設下枠220を有する既設枠を改装する場合にも同様に適用可能である。
【0113】
本実施形態の改装建具1,1A,1Bは、以下の効果を有する。
【0114】
本実施形態の改装建具1,1A,1Bは、建物躯体100の開口部に取り付けられる既設枠2と、既設枠2の内周側に取り付けられて既設枠2の内周側を複数の開口に分割する新設枠3と、を有し、新設枠3を構成する上下左右の少なくともいずれかの枠は、室内外方向に分割された複数の金属枠部材である室外側枠部材411,421,431,511,521及び室内側枠部材412,422,432,512,522と、室外側枠部材411,421,431,511,521及び室内側枠部材412,422,432,512,522を連結する断熱性を有するブリッジ部材413,423,433,513,523を有して構成され、新設枠3は、既設枠2の内周面に対面するように配置され、既設枠2よりも室内側X2の建物躯体100に固定されている、改装建具1,1A,1Bである。
【0115】
これによれば、複数の開口を形成する分割枠4,5を既設枠2の内周側に取り付けるだけで、既設枠2の内周側を複数の開口に分割することができる。そのため、建具の改装作業を簡略化することができる。新設枠3は、室内外方向に分割された複数の金属枠部材を、断熱性を有するブリッジ部材413,423,433,513,523によって連結することによって構成されるため、断熱性に優れる。新設枠3は、既設枠2よりも室内側X2の建物躯体100に固定されるため、新設枠3の取り付け状態が、既設枠2の歪み等の状態に影響されることがなく、既設枠2の内周側に新設枠3を安定的に取り付けることができる。
【0116】
本実施形態の改装建具1,1A,1Bにおいて、新設枠3は、四方組みされて既設枠2の内周側に取り付けられている。
【0117】
これによれば、予め四方組みした状態の新設枠3を既設枠2の内周側に取り付けることができるため、建具の改装作業をさらに簡略化することができる。
【0118】
本実施形態の改装建具1,1A,1Bにおいて、新設枠3は、既設枠2の内周側を複数の開口に分割する複数の分割枠4,5と、複数の分割枠4,5を連結する枠連結部材としての無目6もしくは方立9と、を有して構成される。
【0119】
これによれば、分割枠4,5を枠連結部材としての無目6もしくは方立9によってユニット化することができる。そのため、新設枠3の取り扱いが容易である。
【0120】
本実施形態の改装建具1,1A,1Bにおいて、新設枠3は、それぞれ四方組みされた複数の分割枠4,5が枠連結部材としての無目6もしくは方立9によって連結されてユニット化された状態で、既設枠2の内周側に取り付けられている。
【0121】
これによれば、分割枠4,5を枠連結部材としての無目6もしくは方立9によってユニット化した状態で既設枠2の内周側に取り付けることができる。そのため、建具の改装作業をさらに簡略化することができる。
【符号の説明】
【0122】
1,1A,1B 改装建具、 2 既設枠、 3 新設枠、 411,421,431,511,521 室外側枠部材(金属枠部材)、 412,422,432,512,522 室内側枠部材(金属枠部材)、 413,423,433,513,523 ブリッジ部材、 4,5 分割枠、 6 無目(枠連結部材)、 9 方立(枠連結部材)、 100 建物躯体