(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103405
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007702
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】金 知晃
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KA01
2E011KB02
2E011KB03
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KC09
2E011KD14
2E011KE04
2E011KE06
2E011KE10
2E011KF01
(57)【要約】
【課題】新設枠の上下方向の位置を容易に調整できる改装建具を提供すること。
【解決手段】改装建具1は、新設枠3の上下方向の位置を調整可能な上下方向位置調整機構8と、を備え、上下方向位置調整機構8は、上下方向に所定長さ延びる長穴72と、下端側が開放して上下方向に延びるスリット73と、スリット73に沿って上下方向に移動可能に構成され下端部813aが既設下枠22に当接する調整部材81と、長穴72に貫通されると共に調整部材81と新設下枠32とを固定可能な第1ねじ82と、調整部材81と新設下枠32とを固定する第2ねじ83と、を備え、調整部材81は、見付方向延在板71の背面側に配置される第1板部811と、見付方向延在板71の表面側に配置される第2板部815と、スリット73を通して配置され第1板部811と第2板部815とを接続する接続部816と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、
前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、
前記新設枠の上下方向の位置を調整可能な上下方向位置調整機構と、を備え、
前記既設枠は、既設下枠を有し、
前記新設枠は、新設下枠を有し、
前記新設下枠は、見付方向に延びる見付方向延在板を有し、
前記上下方向位置調整機構は、
前記見付方向延在板に形成され上下方向に所定長さ延びる長穴と、
前記見付方向延在板に前記長穴と平行に形成され下端側が開放して上下方向に延びるスリットと、
前記スリットに沿って上下方向に移動可能に構成され下端部が前記既設下枠に当接する調整部材と、
前記長穴に貫通されると共に前記調整部材に接続され前記調整部材の上下方向の位置を調整した状態で前記調整部材と前記新設下枠とを固定可能な第1ねじと、
前記調整部材の上下方向の位置を調整した状態で前記調整部材と前記新設下枠とを固定する第2ねじと、を備え、
前記調整部材は、前記見付方向延在板の背面側に配置される第1板部と、前記見付方向延在板の表面側に配置される第2板部と、前記スリットを通して配置され前記第1板部と前記第2板部とを接続する接続部と、を有する、改装建具。
【請求項2】
前記第1ねじは、前記長穴に貫通されて前記長穴に沿って上下方向に移動可能に構成され前記第1板部と前記見付方向延在板における前記長穴の縁部とを固定可能であり、
前記第2ねじは、前記見付方向延在板及び前記第2板部を貫通して配置され前記見付方向延在板と前記第2板部とを固定するドリルねじである、請求項1に記載の改装建具。
【請求項3】
前記上下方向位置調整機構は、前記新設下枠の長手方向に沿って複数設けられる、請求項1又は2に記載の改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部をリフォーム等で改装する場合に、開口部に取り付けられている既設枠の内周側に新設枠を取り付けることが行われている。例えば、特許文献1には、既設枠の内周側に新設枠を対面するように配置させた改装建具が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の改装建具には、新設下枠の下部の位置を調整可能な調整金具が設けられている。特許文献1に記載の改装建具では、調整金具を取り付けたり取り外すことで、調整金具の向きを変更して、新設下枠の上下方向の位置の調整範囲を大きくできるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、新設下枠の上下方向の位置を調整する場合に、調整金具を取り付けたり取り外すため、新設下枠の上下方向の位置を調整する作業が煩雑となる。そのため、新設枠の上下方向の位置の調整を容易に行うことが求められている。
【0006】
本開示は、新設枠の上下方向の位置を容易に調整できる改装建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、前記新設枠の上下方向の位置を調整可能な上下方向位置調整機構と、を備え、前記既設枠は、既設下枠を有し、前記新設枠は、新設下枠を有し、前記新設下枠は、見付方向に延びる見付方向延在板を有し、前記上下方向位置調整機構は、前記見付方向延在板に形成され上下方向に所定長さ延びる長穴と、前記見付方向延在板に前記長穴と平行に形成され下端側が開放して上下方向に延びるスリットと、前記スリットに沿って上下方向に移動可能に構成され下端部が前記既設下枠に当接する調整部材と、前記長穴に貫通されると共に前記調整部材に接続され前記調整部材の上下方向の位置を調整した状態で前記調整部材と前記新設下枠とを固定可能な第1ねじと、前記調整部材の上下方向の位置を調整した状態で前記調整部材と前記新設下枠とを固定する第2ねじと、を備え、前記調整部材は、前記見付方向延在板の背面側に配置される第1板部と、前記見付方向延在板の表面側に配置される第2板部と、前記スリットを通して配置され前記第1板部と前記第2板部とを接続する接続部と、を有する、改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る改装建具を室外側から見た正面図である。
【
図4】
図2に示す改装建具の上枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【
図5】
図2に示す改装建具の下枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【
図6】
図3に示す改装建具の左側の縦枠部分を拡大して示す横断面図である。
【
図7】
図3に示す改装建具の右側の縦枠部分を拡大して示す横断面図である。
【
図9】
図8の上下方向位置調整機構においてドリルねじで固定する前の状態を示す斜視図である。
【
図13】既設下枠の他の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施形態に係る改装建具1は、既設枠2が建物躯体100の開口部に取り付けられた状態で、既設枠2に新設枠3を取り付けるリフォーム用の改装建具である。
【0010】
本明細書において、見込み方向とは、改装建具1における室内外方向に沿う方向である。見付け方向とは、改装建具1における面材の面方向に沿う方向であり、見込み方向に対して直交する方向である。図面において、改装建具1の室外側を「室外側X1」とし、改装建具1の室内側を「室内側X2」とする。改装建具1を正面視したときの横方向を「左右」とする。改装建具1を正面視したときの改装建具1の中央部に向かう方向を「内方」とし、改装建具1の中央部から離れる方向を「外方」とする。
【0011】
本実施形態に示す改装建具1は、木質系の建物躯体100の開口部に納められた引き違い窓タイプの改装サッシである。改装建具1は、既設枠2と、新設枠3と、2枚の障子41,42と、1枚の網戸43と、複数の上下方向位置調整機構8と、を有する。既設枠2は、建物躯体100の開口部における上下左右の四周に亘って取り付けられる。新設枠3は、既設枠2の内周側における上下左右の四周に亘って取り付けられる。障子41,42及び網戸43は、新設枠3の内側に左右方向にスライド移動可能に納められる。
図1に示すように、室内側X2に配置される障子41には、クレセント錠44が取り付けられている。下枠部分における室外側X1の見付け面の左右両端部には、下枠部分に流入した雨水を排水する排水口329が設けられている。
図1において、網戸43は図示を省略している。
【0012】
既設枠2は、
図2及び
図3に示すように、既設上枠21、既設下枠22及び左右一対の既設縦枠23の4つの枠部材を矩形に四方組みすることによって形成され、改装前の建物躯体100の開口部の内側に取り付けられている。既設上枠21、既設下枠22及び左右一対の既設縦枠23は、それぞれアルミニウム等の金属製または塩化ビニル等の樹脂製の押出形材からなる。既設枠2の室内側には額縁部材101が配置される。額縁部材101は、建物躯体100の開口部の内周面における上下左右の四周に亘って取り付けられ、既設枠2の室内側X2の端面2aから室内側に向けて延びている。四方組みされた既設枠2と建物躯体100の室外側X1に設けられる外壁材102との隙間は、バックアップ材103及びシーリング材104によって四周に亘って目止めされている。
【0013】
既設上枠21は、
図2及び
図4に示すように、建物躯体100の開口部の上部に配置され、開口部における室外側X1に片寄った位置に固定されている。既設上枠21は、それぞれ下方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール211a、211bと、既設網戸用のガイドレール211cと、を有する。
【0014】
既設下枠22は、
図2及び
図5に示すように、建物躯体100の開口部の下部に配置され、開口部における室外側X1に片寄った位置に固定されている。既設下枠22は、それぞれ上方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール221a、221bと、既設網戸用のガイドレール221cと、を有する。既設下枠22の高さは、最も室内側X2のガイドレール221aから最も室外側X1のガイドレール221cにかけて、次第に低くなるように形成されている。
【0015】
既設縦枠23は、
図3、
図6及び
図7に示すように、建物躯体100の開口部の左右の縦部に配置され、開口部における室外側X1に片寄った位置に固定されている。
【0016】
本実施形態の新設枠3は、既設枠2の形状に対応するように、既設枠2に専用に形成された専用枠である。新設枠3は、
図2及び
図3に示すように、新設上枠31、新設下枠32及び左右一対の新設縦枠33の4つの枠部材を予め矩形に四方組みした状態で、既設枠2から額縁部材101に亘る内周側に取り付けられる。詳しくは、新設枠3は、予め四方組みした状態で建物躯体100の開口部の室内側X2から室外側X1に出した後、室内側X2に引き込むようにして、既設枠2及び額縁部材101の内周側に配置される。既設枠2及び額縁部材101の内周側に配置された新設枠3は、固定部材であるねじSC1,SC2,SC3によって、既設枠2よりも室内側X2の建物躯体100に固定される。
【0017】
次に、新設枠3の新設上枠31、新設下枠32及び左右一対の新設縦枠33の構成について、個別に説明する。
【0018】
まず、新設上枠31について説明する。
【0019】
新設上枠31は、既設上枠21の長さ方向に沿って左右方向に延びている。新設上枠31は、既設上枠21のガイドレール211cから額縁部材101の見込み方向の中央部付近に亘る見込み方向の長さを有する。新設上枠31は、室外側枠部材311と室内側枠部材312とに見込み方向に2分割されている。室外側枠部材311及び室内側枠部材312は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材311と室内側枠部材312とは、連結部材313によって一体的に連結されている。連結部材313は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設上枠31における室外側枠部材311から室内側枠部材312への熱の伝達を遮断する。
【0020】
新設上枠31は、新設枠3の内側に納められる2枚の障子41,42用の一対のガイドレール314a,314bと、新設枠3の最も室外側X1に納められる網戸43用のガイドレール314cと、を有する。ガイドレール314b,314cは、室外側枠部材311に配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール314aは、室内側枠部材312において連結部材313に隣接して配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール314a,314b,314cは、新設上枠31の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0021】
図4に示すように、室外側枠部材311は、ガイドレール314bが配置される部位から連結部材313に亘って延びる断面略矩形状の中空部3111を有する。室内側枠部材312は、連結部材313から室内側X2に向けて延びる断面略矩形状の中空部3121を有する。中空部3111に対応する室外側枠部材311の上面311a及び中空部3121に対応する室内側枠部材312の上面312aは、いずれも平坦面であり、新設上枠31の見込み方向に面一状に並んで配置されている。連結部材313は、これらの上面311a,312aよりも上方に突出していない。
【0022】
室外側枠部材311は、室外側枠部材311の上面311aよりも低い位置で室外側X1に向けて延びる室外側延出部3112を一体に有する。新設上枠31が既設上枠21の内周側に取り付けられた状態において、室外側延出部3112は、新設上枠31で最も低い部位である。室外側延出部3112は、新設上枠31の室外側X1の端部に配置される。具体的には、室外側延出部3112は、ガイドレール314bとガイドレール314cとの間に配置される。室外側延出部3112は、新設上枠31の上面に浸入した雨水を室内側X2に流入させることなく、左右方向に流す排水溝でもある。
【0023】
室外側延出部3112の最も室外側X1の部位には、見付け方向の上方に向けて延びる室外側壁部315が一体に設けられる。室外側壁部315は、室外側枠部材311及び室内側枠部材312の上面311a,312aよりもさらに上方に突出し、既設上枠21の最も室外側X1のガイドレール211cの室外側面211dに対して、室外側X1から重なるように配置されている。室外側壁部315には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材316が室外側X1から着脱可能に取り付けられている。化粧材316は、室外側壁部315を覆うとともに、既設上枠21よりも見付け方向の上方に延出し、新設上枠31の室外側X1の見付け面を形成している。化粧材316は、既設上枠21と外壁材102との間に露出するシーリング材104を室外側X1から覆い隠している。
【0024】
室外側枠部材311の中空部3111に対応する上面311aの室外側X1の部位には、弾性を有するヒレ部材317が設けられる。ヒレ部材317は、既設上枠21のガイドレール211bに近接するように、室外側枠部材311の上面311aから上方に向けて突出している。新設上枠31において、室外側壁部315と既設上枠21のガイドレール211cとの間から雨水が浸入しても、室外側延出部3112を左右方向に流れて新設縦枠33の外周側に排水され、室内側X2への浸入は抑制される。仮に大量の雨水が室外側延出部3112に浸入しても、ヒレ部材317によって室内側X2への浸入が阻止される。ヒレ部材317は弾性を有するため、新設上枠31が既設上枠21の内周側に配置される際に既設上枠21等と接触しても、弾性的に撓むことができ、損傷のおそれがない。
【0025】
新設上枠31の最も室内側X2の部位には、新設上枠31を建物躯体100に固定するための取付部318が一体に設けられる。取付部318は、室外側枠部材311及び室内側枠部材312の上面311a,312aと平行に配置され、室内側枠部材312における室内側X2の端面312bの上部から室内側X2に向けて板状に延出している。
【0026】
取付部318の上面318aには、新設上枠31の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部3181が設けられる。一対の突条部3181は、取付部318の上面318aから僅かに上方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。取付部318の上面318aの位置は、室外側枠部材311及び室内側枠部材312の上面311a,312aの位置よりも僅かに下方に配置される。一対の突条部3181は、取付部318の上面318aから、室外側枠部材311及び室内側枠部材312の上面311a,312aの位置に略等しい高さまで突出している。
【0027】
矩形に四方組みされた状態の新設枠3における新設上枠31は、既設上枠21から額縁部材101に亘る部位の内周側に配置される。新設上枠31の室外側枠部材311は、既設上枠21の下方に配置される。新設上枠31の室内側枠部材312は、額縁部材101の下方に配置される。
図4に示すように、新設上枠31と額縁部材101との間に隙間が形成される場合には、その隙間を埋めるようにスペーサ部材301が配置される。スペーサ部材301は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材301を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、新設上枠31の室内側枠部材312と額縁部材101との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。室内側枠部材312の上面312a、取付部318及び連結部材313は、スペーサ部材301に当接して重なっている。四方組みされた新設枠3における新設上枠31は、室内側X2から取付部318及びスペーサ部材301を貫通するねじSC1によって、既設上枠21よりも室内側X2の建物躯体100に固定される。ねじSC1は、取付部318の一対の突条部3181の間を貫通する。一対の突条部3181は、スペーサ部材301に当接し、ねじSC1の締結トルクが作用した際の取付部318の変形を抑制する。
【0028】
新設枠3が既設枠2の内周側に取り付けられた状態において、既設上枠21と新設上枠31との間には、新設上枠31を既設上枠21に取り付けるための他の部材が介在していない。新設上枠31は、既設上枠21の内周側に直接的に上下に対面するように配置される。そのため、新設上枠31は、既設上枠21に可及的に近接して配置可能である。新設上枠31は、既設上枠21に固定されないため、既設上枠21に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじSC1は、既設上枠21と接触しないため、ねじSC1を介して既設上枠21と新設上枠31の室内側枠部材312との間で熱が伝達されることもない。
【0029】
新設上枠31の一対のガイドレール314a,314bの間には、樹脂製または木質由来材料製のレール間カバー3113が取り付けられる。レール間カバー3113は、新設上枠31におけるガイドレール314a,314bの間を実質的に遮蔽するように、室外側枠部材311の下面311bと連結部材313の下面側とに亘って配置される。
図4に示すように、レール間カバー3113は、上板部3113aと、上板部3113aの下方に略平行に配置される下板部3113bと、上板部3113a及び下板部3113bを繋ぐ複数の連結板部3113cとによって構成される二重構造を有する。レール間カバー3113は、既設上枠21側から新設上枠31に伝わる外気温度が、新設上枠31の内周側に伝達されることを抑制する。
【0030】
図4に示すように、新設上枠31の室内側枠部材312の室内側X2の端部には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材319が取り付けられている。アングル部材319は、室内側X2に向けて延びるアングル部319aと、アングル部319aの室外側X1の端部から上方に延びる立壁部319bと、を有する。立壁部319bは、室内側枠部材312の室内側X2の端面312bに連続して該端面312bを下方に向けて延長するように配置される。アングル部319aは、立壁部319bの下端部から室内側X2に向けて延び、取付部318を下方から覆っている。アングル部319aは、ガイドレール314a,314bの下端の位置と略等しい位置に配置されている。
【0031】
アングル部材319の室外側X1には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材3191が一体に設けられている。カバー材3191は、室内側枠部材312の下面312c及びガイドレール314aの室内側X2の側面314a1に沿って設けられている。カバー材3191は、ねじ319cによって室内側枠部材312の下面312cに固定されている。
【0032】
次に、新設下枠32について説明する。
【0033】
新設下枠32は、既設下枠22の長さ方向に沿って左右方向に延びている。新設下枠32は、既設下枠22のガイドレール211cから額縁部材101の見込み方向の中央部付近に亘る見込み方向の長さを有する。新設下枠32は、室外側枠部材321と室内側枠部材322とに見込み方向に2分割されている。室外側枠部材321及び室内側枠部材322は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材321と室内側枠部材322とは、連結部材323によって一体的に連結されている。連結部材323は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設下枠32における室外側枠部材321から室内側枠部材322への熱の伝達を遮断する。
【0034】
新設下枠32は、新設上枠31のガイドレール314a,314b,314cに対応してそれぞれ上方に突出するガイドレール324a,324b,324cを有する。ガイドレール324a,324b,324cは、新設下枠32の長さ方向の全長に亘って延びている。最も室内側X2のガイドレール324aは、室内側枠部材322の上面322aにおける最も室外側X1に、連結部材323に隣接して配置される。ガイドレール324bは、室外側枠部材321の上面321aにおける見込み方向の中央付近に配置される。ガイドレール324cは、室外側枠部材321の上面321aにおける最も室外側X1に配置される。
【0035】
図5に示すように、室外側枠部材321は、既設下枠22の形状に沿うように下方に向けて膨出する形状の中空部3211を有する。室内側枠部材322は、連結部材323から室内側X2に向けて延びる断面略矩形状の中空部3221を有する。室内側枠部材322の下面322cにおける室外側X1の部位には、上方に向けて凹んだ形状の段部3222が形成されている。
【0036】
新設下枠32の室外側X1の部位には、上下方向位置調整機構8が取り付けられる。上下方向位置調整機構8の調整部材81は、新設下枠32から下方に延び、既設下枠22のガイドレール221b,221c間の上面22aに載置される。上下方向位置調整機構8が調整されることによって、新設下枠32の室外側X1の高さが調整される。新設下枠32の室外側X1の側面には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材326が室外側X1から着脱可能に取り付けられている。化粧材326は、上下方向位置調整機構8を覆うとともに、既設下枠22よりも見付方向の下方に延出し、新設下枠32の見付け面を形成している。化粧材326は、既設下枠22と外壁材102との間に露出するシーリング材104を室外側X1から覆い隠している。
【0037】
新設下枠32の最も室内側X2の部位には、新設下枠32を建物躯体100に固定するための取付部327が一体に設けられる。取付部327は、室内側枠部材322における室内側X2の端面322bの下部から室内側X2に向けて板状に延出している。
【0038】
取付部327の下面327aには、新設下枠32の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部3271が設けられる。一対の突条部3271は、取付部327の下面327aから僅かに下方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。
【0039】
矩形に四方組みされた状態の新設枠3において、新設下枠32は、既設下枠22から額縁部材101に亘る部位の内周側に配置される。新設下枠32の室外側枠部材321は、既設下枠22の上方に配置される。新設下枠32の室内側枠部材322は、額縁部材101の上方に配置される。取付部327は、額縁部材101に当接している。四方組みされた新設枠3における新設下枠32は、室内側X2から取付部327を貫通するねじSC2によって、既設下枠22よりも室内側X2の建物躯体100に固定される。ねじSC2は、取付部327の一対の突条部3271の間を貫通する。一対の突条部3271は、額縁部材101に当接し、ねじSC2の締結トルクが作用した際の取付部327の変形を抑制する。
【0040】
図5に示すように、新設下枠32の室内側枠部材322の段部3222内には、下方からスペーサ部材302と支持板3021とがねじ302aによって取り付けられ、額縁部材101との間を埋めている。スペーサ部材302は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材302を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、段部3222の上下方向の深さ及び新設下枠32の室内側枠部材322と額縁部材101との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。支持板3021は、金属製の板材からなり、室内側枠部材322から連結部材323の下方を通って室外側枠部材321まで延びている。支持板3021の室外側X1の端部は、室外側枠部材321における連結部材323に隣接する部位の下面321bに当接し、下方から室外側枠部材321を支持している。
【0041】
新設枠3が既設枠2の内周側に取り付けられた状態において、既設下枠22と新設下枠32との間には、新設下枠32を既設下枠22に取り付けるための他の部材が介在していない。新設下枠32は、既設下枠22の内周側に直接的に上下に対面するように配置される。そのため、新設下枠32は、既設下枠22に可及的に近接して配置可能である。新設下枠32は、既設下枠22に固定されないため、既設下枠22に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじSC2は、既設下枠22と接触しないため、ねじSC2を介して既設下枠22と新設下枠32の室内側枠部材322との間で熱が伝達されることもない。
【0042】
新設下枠32の一対のガイドレール324a,324bの間には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材3213が取り付けられる。カバー材3213は、ガイドレール324bの室内側X2の側面324b1を覆うとともに室内側X2に向けて延びて、室外側枠部材321の上面321aと連結部材323の上面側とを覆っている。
【0043】
図5に示すように、新設下枠32の室内側枠部材322には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材328が取り付けられている。アングル部材328は、室内側枠部材322の室内側X2の端面322bよりも室内側X2に向けて延びるアングル部328aを有し、取付部318を上方から覆っている。アングル部328aは、ガイドレール324a,324bの上端の位置と略等しい位置に配置されている。アングル部材328の室外側X1には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材3281が一体に設けられている。カバー材3281は、室内側枠部材322の上面322a及びガイドレール324aの室内側X2の側面324a1に沿って設けられている。
【0044】
次に、新設縦枠33について説明する。左右の新設縦枠33は、左右対称である以外、実質的に同一の構造を有する。そのため、左右の新設縦枠33の共通する構成の部位については、同一の符号を用いて共通に説明する。
【0045】
新設縦枠33は、既設縦枠23の長さ方向に沿って上下方向に延びている。新設縦枠33は、既設縦枠23の室外側X1の端部から額縁部材101の見込み方向の中央部付近に亘る見込み方向の長さを有する。新設縦枠33は、室外側枠部材331と室内側枠部材332とに見込み方向に2分割されている。室外側枠部材331及び室内側枠部材332は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材331及び室内側枠部材332は、連結部材333によって一体的に連結されている。連結部材333は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設縦枠33における室外側枠部材331から室内側枠部材332への熱の伝達を遮断する。
【0046】
新設縦枠33における連結部材333の見込み方向の位置は、新設上枠31及び新設下枠32における連結部材313,323の見込み方向の位置に一致している。連結部材333の上下両端部は、新設上枠31及び新設下枠32の連結部材313,323の左右両端部に対して当接あるいは近接して配置される。連結部材313,323,333は、新設枠3の四周に亘って実質的に連続している。
【0047】
図6及び
図7に示すように、室外側枠部材331は、断面略矩形状の中空部3311を有する。室内側枠部材332は、断面略矩形状の中空部3321を有する。中空部3311に対応する室外側枠部材331の外側面331a及び中空部3321に対応する室内側枠部材332の外側面332aは、いずれも平坦面であり、新設縦枠33の見込み方向に面一状に並んで配置されている。連結部材333は、これらの外側面331a,332aよりも外方に突出していない。
【0048】
図6に示すように、室外側X1から見て右側の新設縦枠33の室外側枠部材331の内側面331bには、見付け方向の内方に向けて突出する突出片3312が一体に設けられている。突出片3312は、新設縦枠33の長さ方向の全長に亘って延びている。突出片3312は、室外側X1の障子42が閉鎖状態にあるときに、該障子42の戸先側の縦框423と係合する。さらに、
図7に示すように、室外側X1から見て左側の新設縦枠33の室内側枠部材332の内側面332bには、見付け方向の内方に向けて突出する突出片3322が一体に設けられている。突出片3322は、新設縦枠33の長さ方向の全長に亘って延びている。突出片3322は、室内側X2の障子41が閉鎖状態にあるときに、該障子41の戸先側の縦框413と係合する。
【0049】
室外側枠部材331の最も室外側X1の部位には、見付け方向の外方に向けて延びる室外側壁部334が一体に設けられる。室外側壁部334は、室外側枠部材331及び室内側枠部材332の外側面331a,332aよりもさらに見付け方向の外方に突出し、既設縦枠23の最も室外側X1の端面23aに対して、室外側X1から重なるように配置されている。室外側壁部334には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材335が室外側X1から着脱可能に取り付けられている。化粧材335は、室外側壁部334を覆うとともに、既設縦枠23よりも見付け方向の外方に延出し、新設縦枠33の見付け面を形成している。化粧材335は、既設縦枠23と外壁材102との間に露出するシーリング材104を室外側X1から覆い隠している。
【0050】
新設縦枠33の最も室内側X2の部位には、新設縦枠33を建物躯体100に固定するために使用される取付部336が一体に設けられる。取付部336は、室内側枠部材332の室内側X2の端面332cから室内側X2に向けて板状に延出している。取付部336は、室外側枠部材331及び室内側枠部材332の外側面331a,332aと平行に配置される。
【0051】
取付部336の外側面336aには、新設縦枠33の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部3361が設けられる。一対の突条部3361は、取付部336の外側面336aから僅かに外方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。取付部336の外側面336aの位置は、室外側枠部材331及び室内側枠部材332の外側面331a,332aの位置よりも僅かに内側に配置される。一対の突条部3361は、取付部336の外側面336aから、室外側枠部材331及び室内側枠部材332の外側面331a,332aの位置に略等しい高さまで突出している。
【0052】
新設縦枠33の室外側枠部材331の外側面331aには、それぞれ少なくとも1つのフィン状の遮水部材337が設けられる。遮水部材337は、新設縦枠33の長さ方向の全長に亘って延びている。遮水部材337は、室外側枠部材331の外側面331aから既設縦枠23の内側面23bに向けて突出している。遮水部材337の先端は、既設縦枠23の内側面23bに当接している。そのため、遮水部材337は、既設縦枠23と新設縦枠33との間において、雨水が室内外方向に流通すること抑止するように配置される。新設縦枠33の見込み方向における遮水部材337の位置は、新設上枠31の室外側延出部3112よりもやや室内側X2の位置、あるいは、新設上枠31のヒレ部材317の位置と同一の位置に配置される。これによって、新設上枠31の室外側延出部3112の長さ方向の両端部から既設縦枠23と新設縦枠33との間に流下した雨水は、遮水部材337の室外側X1の表面を伝って効率良く既設下枠22上に排水される。したがって、この遮水部材337が既設縦枠23と新設縦枠33との間に設けられることによって、新設上枠31から流下する雨水が室内側X2へ浸入することは抑止される。既設下枠22上に流入した雨水は、最も室外側X1のガイドレール221cの左右両端に設けられた図示しない切り欠き部から室外側X1に排水される。
【0053】
遮水部材337は、軟質樹脂あるいはゴム等の弾性部材によって形成される。遮水部材337は、硬質樹脂あるいは金属等の硬質な部材によって形成されてもよい。遮水部材337が弾性部材からなる場合、遮水部材337の先端は、既設縦枠23の内側面23bに弾性的に当接し、既設縦枠23と新設縦枠33との間を密封する。そのため、室内側X2への雨水の浸入抑止効果が高い。弾性部材からなる遮水部材337は、新設縦枠33が既設縦枠23の内周側に配置される際に既設縦枠23等と接触しても、弾性的に撓むことができ、損傷のおそれがない。
【0054】
矩形に四方組みされた状態の新設枠3における左右一対の新設縦枠33は、既設縦枠23から額縁部材101に亘る部位の内周側に配置される。新設縦枠33の室外側枠部材331は、既設縦枠23の内方に配置される。新設縦枠33の室内側枠部材332は、額縁部材101の内方に配置される。
図6及び
図7に示すように、新設縦枠33と額縁部材101との間に隙間が形成される場合には、その隙間を埋めるようにスペーサ部材303が配置される。スペーサ部材303は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材303を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、新設縦枠33の室内側枠部材332と額縁部材101との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。室内側枠部材332の外側面332a及び取付部336は、スペーサ部材303に当接して重なっている。連結部材333は、スペーサ部材303の内方に配置される。四方組された新設枠3における新設縦枠33は、室内側X2から取付部336及びスペーサ部材303を貫通するねじSC3によって、既設縦枠23よりも室内側X2の建物躯体100に固定される。ねじSC3は、取付部336の一対の突条部3361の間を貫通する。一対の突条部3361は、スペーサ部材303に当接し、ねじSC3の締結トルクが作用した際の取付部336の変形を抑制する。
【0055】
新設枠3が既設枠2の内周側に取り付けられた状態において、既設縦枠23と新設縦枠33との間には、新設縦枠33を既設縦枠23に取り付けるための他の部材が介在していない。新設縦枠33は、既設縦枠23の内周側に直接的に左右に対面するように配置される。そのため、新設縦枠33は、既設縦枠23に可及的に近接して配置可能である。新設縦枠33は、既設縦枠23に固定されないため、既設縦枠23に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじSC3は、既設縦枠23と接触しないため、ねじSC3を介して既設縦枠23と新設縦枠33の室内側枠部材332との間で熱が伝達されることもない。
【0056】
図6及び
図7に示すように、新設縦枠33の室内側枠部材332には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材338が取り付けられている。アングル部材338は、室内側X2に向けて延びるアングル部338aと、アングル部338aの室外側X1の端部から外方に延びる立壁部338bと、立壁部338bの外端部から室外側X1に向けて延びる室外端部338cと、を有する。立壁部338bは、室内側枠部材332の室内側X2の端面332cに連続して該端面332cを内方に向けて延長するように配置される。アングル部338aは、立壁部338bの内端部から室内側X2に向けて延び、取付部336を内方から覆っている。アングル部338aの見込み方向の位置は、新設上枠31及び新設下枠32のアングル部材319,328のアングル部319a,328aの見込み方向の位置に一致している。アングル部材338は、障子41,42のそれぞれの戸先側の縦框413,423を室内側X2から覆い隠している。アングル部材338の室外端部338cは、室内側枠部材332の内側面332bに沿って配置され、ねじ338dによって該内側面332bに固定されている。
【0057】
図6に示すように、室外側X1から見て右側の新設縦枠33の室外側枠部材331の内側面332bには、樹脂製または木質由来材料製のカバー材3323が設けられる。カバー材3323は、アングル部材338の室外側X1に隣接して配置され、アングル部材338から連結部材333にかけて新設縦枠33の室内側枠部材332の内側面332bを覆っている。カバー材3323の内側面3323aの位置は、アングル部材338のアングル部338aの位置と略等しい位置に配置されている。
【0058】
ねじSC1,SC2,SC3によって固定された新設枠3の室内側X2の部位には、
図4~
図7に示すように、樹脂材あるいはアルミニウム等の金属材からなる気密テープT1,T2が貼着されている。気密テープT1は、額縁部材101に貼着されている。気密テープT1の室外側X1の端部は、額縁部材101から既設枠2の最も室内側X2に突設される壁部の室外側X1の面2bに亘って貼着されている。気密テープT1の室内側X2の端部は、既設上枠21、既設下枠22及び既設縦枠23よりも室内側X2に延出している。気密テープT2の室外側X1の端部は、取付部318,327,336及びねじSC1,SC2,SC3の頭部を被覆している。気密テープT2の室内側X2の端部は、取付部318,327,336よりも室内側X2に延出し、気密テープT1に重なっている。これによって、既設枠2と新設枠3との間の気密性が高められる。
【0059】
建物躯体100に固定された後の新設枠3の室内側X2には、四周に亘って樹脂製または木質由来材料製の化粧カバー51,52,53が設けられる。化粧カバー51,52,53は、ねじ51a,52a,53aによってアングル部材319,328,338に取り付けられている。新設上枠31の化粧カバー51は、アングル部材319のアングル部319aに連続して室内側X2に向けて延びるとともに、額縁部材101に亘って配置される。新設下枠32の化粧カバー52は、アングル部材328のアングル部328aに連続して室内側X2に向けて延びるとともに、額縁部材101に亘って配置される。新設縦枠33の化粧カバー53は、アングル部材338のアングル部338aに連続して室内側X2に向けて延びるとともに、額縁部材101に亘って配置される。
【0060】
図4~
図7に示すように、化粧カバー51,52,53は、アングル部319a,328a,338aと面一状にアングル部319a,328a,338aの室内側X2に配置される断面矩形状の中空部510,520,530と、中空部510,520,530の室内側X2の側面510a,520a,530aの端部から額縁部材101に向けて延びる室内側カバー壁511,521,531と、アングル部材319,328,338に固定する固定部512,522,532と、を一体に有する。中空部510,520,530の側面510a,520a,530aと室内側カバー壁511,521,531とによって、化粧カバー51,52,53の室内側X2の見付け面が形成される。
【0061】
室内側カバー壁511,521,531には、複数の切り取り溝511a,521a,531aが形成されている。切り取り溝511a,521a,531aは、化粧カバー51,52,53の長さ方向に沿って平行に延びる複数の突条の付け根部に沿って形成される。複数の切り取り溝511a,521a,531aは、見付け方向に所定の間隔をおいて平行に設けられる。すなわち、新設上枠31及び新設下枠32の化粧カバー51,52の切り取り溝511a,521aは、上下方向に間隔をおいて平行に配置される。新設縦枠33の化粧カバー53の切り取り溝531aは、左右方向に間隔をおいて平行に配置される。室内側カバー壁511,521,531は、いずれかの切り取り溝511a,521a,531aに沿って、カッターの刃を滑らせることによって、あるいは手で折ることによって、簡単に切断することができる。そのため、アングル部材319,328,338のアングル部319a,328a,338aと額縁部材101との距離に応じて、作業者が現場において、室内側カバー壁511,521,531をいずれかの切り取り溝511a,521a,531aの部位で切断することによって、室内側カバー壁511,521,531の額縁部材101からの高さを容易に調整することができる。
【0062】
化粧カバー51,52,53の固定部512,522,532は、中空部510,520,530から室外側X1に向けて延びる固定部本体512a,522a,532aと、固定部本体512a,522a,532aの室外側X1の端部に見付け方向に延びるように設けられる当接板部512b,522b,532bと、固定部本体512a,522a,532aからアングル部319a,328a,338aの裏面に向けて突出する一対のねじ挿入板部512c,522c,532cと、によって構成される。固定部512,522,532の当接板部512b,522b,532bは、アングル部材319,328,338の立壁部319b,328b,338bに室内側X2から当接し、化粧カバー51,52,53の見込み方向の位置を規定している。ねじ51a,52a,53aは、アングル部319a,328a,338aを貫通し、一対のねじ挿入板部512c,522c,532cの間を通って固定部本体512a,522a,532aに螺入される。ねじ51a,52a,53aを締め付けた際、当接板部512b,522b,532b及びねじ挿入板部512c,522c,532cがアングル部319a,328a,338aの裏面に当接し、化粧カバー51,52,53の見付け方向の位置を規定する。したがって、化粧カバー51,52,53は、アングル部材319,328,338に対して適正な位置に位置決めされた状態で、位置ずれすることなく固定される。
【0063】
アングル部材319,328,338に固定された化粧カバー51,52,53は、アングル部材319,328,338と額縁部材101との間の新設上枠31、新設下枠32、新設縦枠33及びスペーサ部材301,302,303を室内側X2から覆っている。ねじSC1,SC2,SC3の頭部は、化粧カバー51,52,53の内側に配置される。化粧カバー51,52,53と額縁部材101との境目は、ねじ61a,62a,63aによって額縁部材101に固定される断面L字状の見切り材61,62,63によって四周に亘って遮蔽されている。上下の見切り材61,62の両端部は、縦の見切り材63の上下両端部に当接もしくは近接して配置される。見切り材61と見切り材63との境界部及び見切り材62と見切り材63との境界部は、それぞれコーナーピース64によって目隠しされる。
【0064】
化粧カバー51,52,53の内側には、四周に亘って断熱材501,502,503が設けられる。断熱材501,502,503は、例えば、押出法ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレン、ウレタン樹脂等の樹脂材、ゴム、あるいは真空断熱材等を含む断熱効果が望める材料で構成されている。断熱材501,502,503は、新設上枠31、新設下枠32及び新設縦枠33の長さ方向の全域に亘ってそれぞれ収容される。断熱材501,502,503のそれぞれの両端部は、周方向に隣接する他の断熱材501,502,503の両端部に対して接触もしくは近接して配置されている。これによって、改装建具1の新設枠3の見付け方向がコンパクトに構成されたものでありながらも、新設枠3における室外側X1と室内側X2との間の熱の伝達をさらに抑制することができる。そのため、改装建具1の断熱性能が向上する。
【0065】
次に、障子41,42について説明する。
【0066】
障子41,42は、それぞれ上框411,421と、下框412,422と、左右一対の縦框413,423と、を矩形に四方組みした框体の内側に、1枚以上のガラス等からなる面材414,424を納めることによって構成される。
【0067】
図4に示すように、上框411,421は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる上框本体4111,4211と、上框本体4111,4211の室内側X2の側面をカバーする樹脂製または木質由来材料製のカバー部材4112,4212と、によって構成される。上框本体4111,4211は、新設上枠31のガイドレール314a,314bを見込み方向に挟むように設けられる。
【0068】
図5に示すように、下框412,422は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる下框本体4121,4221と、下框本体4121,4221の室内側X2の側面をカバーする樹脂製または木質由来材料製のカバー部材4122,4222と、によって構成される。下框本体4121,4221は、新設下枠32のガイドレール324a,324bを見込み方向に挟むように設けられる。下框本体4121,4221の内部には、戸車4123,4223が設けられ、ガイドレール324a,324b上に転動可能に載置されている。
【0069】
図6及び
図7に示すように、縦框413,423は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる縦框本体4131,4231と、縦框本体4131,4231の室内側X2の側面をカバーする樹脂製または木質由来材料製のカバー部材4132,4232と、によって構成される。
【0070】
以上の本実施形態の改装建具1によれば、新設枠3が既設枠2の内周側に取り付けられた状態において、既設枠2と新設枠3との間には、新設枠3を既設枠2に対して取り付けるための部材が介在しないため、新設枠3は、既設枠2に可及的に近接して配置可能である。そのため、枠部材の見付け方向の寸法が可及的にコンパクトな改装建具1を構築することができる。新設枠3は、既設枠2に固定されないため、既設枠2の歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。そのため、新設枠3の施工性が向上する。固定部材であるねじSC1,SC2,SC3は、既設下枠22と接触しないため、ねじSC1,SC2,SC3を介して既設枠2と新設枠3の室内側枠部材312,322,332との間で熱が伝達されることがなく、断熱性に優れる。
【0071】
次に、複数の上下方向位置調整機構8について説明する。複数の上下方向位置調整機構8は、
図1に示すように、左右方向に間隔をあけて、新設下枠32の長手方向に沿って複数設けられる。上下方向位置調整機構8は、新設枠3の上下方向の位置を調整可能である。
【0072】
上下方向位置調整機構8は、
図8~
図12に示すように、新設下枠32に設けられた新設下枠取付用板材7と、上下方向に移動可能な調整部材81と、第1ねじ82と、第2ねじ83と、を備える。
図8及び
図9に示すように、新設下枠取付用板材7は、新設下枠32の室外側X1の見付け面にねじ7aによって固定されている。本実施形態においては、新設下枠32に新設下枠取付用板材7を固定することで、上下方向位置調整機構8は、新設下枠取付用板材7及び新設下枠32に対して上下方向の位置を調整可能である。新設下枠取付用板材7は、見付方向に延びる平板状に形成される見付方向延在板71を有する。なお、本実施形態においては、新設下枠取付用板材7を新設下枠32と別体で構成したが、これに限定されない。新設下枠取付用板材7を新設下枠32と一体で設けて構成してもよい。
【0073】
見付方向延在板71には、上下方向に所定長さ延びる長穴72と、上下方向に延びるスリット73と、が形成されている。
【0074】
長穴72は、
図8及び
図9に示すように、新設下枠32の新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71を室内外方向に貫通する。長穴72は、上下方向に所定長さ延びると共に、上端及び下端が閉じた長穴状に形成される。長穴72には、第1ねじ82の軸部が上下方向に移動可能に貫通して配置される。
【0075】
スリット73は、新設下枠32の新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71に形成される。スリット73は、長穴72から左右方向の一方側に所定距離離れた位置に形成され、長穴72と平行に形成される。スリット73は、新設下枠32の新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71を室内外方向に貫通すると共に、下端側が開放して上下方向に延びる溝状に形成される。スリット73には、調整部材81の段差接続部816(後述)が上下方向に移動可能に配置されている。新設下枠32の新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71にスリット73を設けることで、スリット73の下端側から調整部材81を挿入して取り付けることができるため、調整部材81の取り付けが容易である。
【0076】
調整部材81は、スリット73に沿って上下方向に移動可能である。調整部材81は、
図8~
図12に示すように、背面側板部811(第1板部)と、表面側板部815(第2板部)と、段差接続部816(接続部)と、を有する。
【0077】
背面側板部811は、新設下枠32の見付方向延在板71の背面側(室内側X2)に配置される。背面側板部811は、縦断面形状がクランク形状に形成される。背面側板部811は、上部側に配置される上部背面側板部812と、下部側に配置される下部背面側板部813と、上部背面側板部812及び下部背面側板部813とを接続する段差板部814と、を有する。
【0078】
上部背面側板部812及び下部背面側板部813は、いずれも、上下方向及び左右方向に延びる方形状の板状に形成される。上部背面側板部812及び下部背面側板部813は、段差板部814を介して接続され、室外側X1から見た場合に、上下方向に並んで配置されると共に、室内外方向にずれた位置に配置される。上部背面側板部812は、室外側X1に配置され、下部背面側板部813は、室内側X2に配置されている。
【0079】
段差板部814は、室内外方向に幅を有して左右方向に延びる水平板状に形成され、上部背面側板部812と下部背面側板部813とを段差を有した状態で接続する。
【0080】
上部背面側板部812には、見付方向延在板71に形成された長穴72を通された第1ねじ82の軸部が貫通して固定される。下部背面側板部813の下端部813aは、
図10に示すように、調整部材81の上下方向の位置が調整された状態で、既設下枠22のガイドレール221b,221c間の水平板部225の上面22aに当接する。
【0081】
表面側板部815は、
図8及び
図9に示すように、段差接続部816を介して背面側板部811の左右方向の一方側に接続され、新設下枠32の新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71の表面側(室外側X1)に配置される。表面側板部815は、上下方向及び左右方向に延びる方形状の板状に形成される。表面側板部815には、貫通穴815aが形成される。貫通穴815aには、第2ねじ83が貫通して配置される。
【0082】
段差接続部816は、横断面形状がL字状に形成され、背面側板部811と表面側板部815とを接続する。段差接続部816は、スリット73を通して配置される。段差接続部816は、上下方向に延びるスリット73に沿って上下方向に移動可能である。段差接続部816は、横断面形状において、上下方向に見た場合に、背面側板部811の左右方向の表面側板部815側の端部からスリット73を通って表面側板部815側に所定長さ延び、表面側板部815側の端部から室外側X1に屈曲して室外側X1に所定長さ延び、室外側X1の端部において、表面側板部815に接続される。
【0083】
第1ねじ82は、
図10に示すように、軸部が室内外方向に延びるように配置される。第1ねじ82は、長穴72に貫通されると共に、調整部材81に接続される。詳細には、第1ねじ82は、長穴72に貫通された状態で、頭部が、新設下枠32の見付方向延在板71の室外側X1に配置されると共に、軸部が、長穴72を貫通して配置され、長穴72に貫通して配置された部分よりも室内側X2において、調整部材81に接続される。
【0084】
第1ねじ82は、長穴72に貫通されて長穴72に沿って上下方向に移動可能に構成される。第1ねじ82を長穴72に貫通させた状態で調整部材81の上下方向の位置を調整できるため、調整部材81の上下方向の位置の調整中において、調整部材81の脱落を防止できる。また、第1ねじ82は、調整部材81の上下方向の位置を調整した状態で、調整部材81と新設下枠32とを固定可能である。第1ねじ82は、頭部が、長穴72の上下方向の任意の範囲において、背面側板部811と見付方向延在板71における長穴72の縁部とを固定可能である。
【0085】
第2ねじ83は、
図11及び
図12に示すように、調整部材81の上下方向の位置を調整した状態で調整部材81と新設下枠32とを固定する。第2ねじ83は、軸部が室内外方向に延びるように配置される。第2ねじ83は、調整部材81の上下方向の位置を調整して、第1ねじ82により背面側板部811と見付方向延在板71における長穴72の縁部とを固定した後に、
図9に示すように、調整部材81が上下方向に移動しないように、新設下枠32の新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71及び調整部材81の表面側板部815を固定するねじである。
【0086】
第2ねじ83は、新設下枠32の新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71と、調整部材81の表面側板部815と、を固定するドリルねじである。第2ねじ83は、
図11及び
図12に示すように、調整部材81の表面側板部815の貫通穴815aを貫通すると共に、新設下枠32の新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71をドリルねじのドリルにより貫通して配置される。
【0087】
上下方向位置調整機構8により新設枠3の上下方向の位置を調整する場合には、
図9に示すように、長穴72に貫通させた第1ねじ82を調整部材81に接続すると共に長穴72の縁部に固定しない状態で、
図10に示すように、調整部材81の上下方向の位置を調整する。ここでは、
図9に示すように、第2ねじ83は、調整部材81の表面側板部815の貫通穴815aに挿入されておらず、調整部材81と新設下枠32とを固定していない。この状態においては、調整部材81をスリット73に沿って上下方向に移動させることが可能である。
【0088】
具体的には、長穴72に貫通させた第1ねじ82を調整部材81に接続した状態で、調整部材81の段差接続部816をスリット73に沿って上下方向に移動させると共に、第1ねじ82を新設下枠32の見付方向延在板71に形成された長穴72に沿って上下方向に沿って移動させる。
【0089】
ここで、調整部材81の下部背面側板部813の下端部813aは、
図10に示すように、既設下枠22の水平板部225の上面22aに当接する。そのため、調整部材81の上下方向の位置を調整することで、新設下枠32と既設下枠22との上下方向の距離を調整できるため、新設下枠32と既設下枠22との上下方向の位置関係を調整できる。
【0090】
そして、
図10に示すように、調整部材81の上下方向の位置を調整して上下方向の位置を決定した状態で、第1ねじ82を新設下枠32の新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71における長穴72の縁部に固定する。更に、
図9に示すように、調整部材81の上下方向の位置が決定した状態で、第2ねじ83を、調整部材81の表面側板部815の貫通穴815aに挿入して、
図11に示すように、ドリルねじによるドリルにより新設下枠32の見付方向延在板71にねじ込んで貫通させて、調整部材81と新設下枠取付用板材7の見付方向延在板71とを固定すると共に、調整部材81と新設下枠32とを固定する。
【0091】
以上のように構成される上下方向位置調整機構8は、新設下枠32の長手方向に並んで複数設けられている。そのため、新設下枠32の長手方向の所定位置それぞれにおいて、新設下枠32の上下方向の位置を調整できる。これにより、新設下枠32の長手方向の所定位置それぞれにおいて、複数の上下方向位置調整機構8それぞれを用いて、新設下枠32の上下方向の位置をそれぞれ調整できるため、例えばリフォーム前の既設枠6が歪んでいる場合においても、新設枠3を左右方向に水平になるように調整できる。
【0092】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の改装建具1は、新設枠3と、新設枠3の上下方向の位置を調整可能な上下方向位置調整機構8と、を備え、上下方向位置調整機構8は、上下方向に所定長さ延びる長穴72と、下端が開放して上下方向に延びるスリット73と、スリット73に沿って上下方向に移動可能に構成され下端部813aが既設下枠22に当接する調整部材81と、長穴72に貫通されると共に調整部材81と新設下枠32とを固定可能な第1ねじ82と、調整部材81と新設下枠32とを固定する第2ねじ83と、を備え、調整部材81は、見付方向延在板71の背面側に配置される背面側板部811と、見付方向延在板71の表面側に配置される表面側板部815と、スリット73を通して配置され背面側板部811と表面側板部815とを接続する接続部816と、を有する。
【0093】
そのため、長穴72に貫通させた第1ねじ82を調整部材81に接続した状態で、調整部材81をスリット73に沿って上下方向に移動させることで、新設枠3の上下方向の位置を調整できる。これにより、新設枠3の上下方向の位置を容易に調整できる。また、上下方向に所定長さ延びる長穴72に沿って第1ねじ82が移動できるため、調整部材81の上下方向の移動範囲を長穴72の上下方向の範囲に規制しつつ、下端側が開放して上下方向に延びるスリット73に沿って調整部材81を上下方向に移動させることができる。よって、調整部材81の上下方向の位置を広い範囲で調整できる。
【0094】
また、新設下枠32の見付方向延在板71に、下端が開放して上下方向に延びるスリット73を設けることで、下端側からスリット73に調整部材81を挿入できるため、調整部材81の取り付けが容易である。加えて、新設下枠32の見付方向延在板71に、長穴72を設けることで、長穴72に第1ねじ82を貫通させた状態で調整部材81の上下方向の位置を調整できるため、調整部材81の上下方向の位置の調整中において、調整部材81の脱落を防止できる。
【0095】
また、本実施形態においては、第1ねじ82は、背面側板部811と見付方向延在板71における長穴72の縁部とを固定可能であり、第2ねじ83は、見付方向延在板71及び表面側板部815を貫通して固定するドリルねじである。これにより、第1ねじ82により、見付方向延在板71における長穴72の縁部に調整部材81を固定しつつ、ドリルねじである第2ねじ83により、調整部材81が上下方向に移動しないように見付方向延在板71に強固に固定できる。よって、新設枠3が上下方向に移動しないように、調整部材81を第1ねじ82により容易に固定しつつ、調整部材81を第2ねじ83により強固に固定できる。
【0096】
また、本実施形態においては、上下方向位置調整機構8は、新設下枠32の左右方向(長手方向)に沿って複数設けられる。これにより、例えばリフォーム前の既設枠6が歪んでいる場合においても、新設下枠32の左右方向のそれぞれの位置において、複数の上下方向位置調整機構8それぞれにより、新設枠3の上下方向の位置をそれぞれ調整することで、新設枠3の上下方向の位置も調整できる。よって、例えばリフォーム前の既設枠6が歪んでいる場合においても、新設枠3が左右方向において水平になるように調整できる。
【0097】
以上、本開示の改装建具の一実施形態について説明したが、本開示の改装建具は適宜変更可能である。例えば、本開示の改装建具は、上述した2枚の障子41,42を有するものに制限されず、3枚以上の障子を有するものであってもよいし、1枚だけの障子を有する片引き窓を構成するものであってもよい。さらに、本開示の改装建具は、辷り出し窓、FIX窓、上げ下げ窓、外倒し窓、内倒し窓、あるいは開き窓を構成するものであってもよい。
【0098】
上述した改装建具1において、新設枠3を構成する新設上枠31、新設下枠32、及び新設縦枠33は、それぞれ室内外方向に分割された金属枠部材を連結部材313,323,333によって連結した断熱構造を有するが、このような断熱構造は、新設枠を構成する上下左右の枠部材のうちの少なくともいずれか1つの枠部材に設けられていればよい。
【0099】
上述した改装建具1では、新設枠3の上下左右の枠部材にそれぞれ断熱材501,502,503が設けられるが、断熱材は、新設枠3の上下左右の枠部材のうちの少なくともいずれか1つの枠部材に設けられていればよい。
【0100】
上述した改装建具1において、2枚の障子41,42の框の材料は限定されない。2枚の障子41,42の框は、金属材料を用いた金属製の部材により構成してもよいし、樹脂材料を用いた樹脂製の部材により構成してもよいし、樹脂製の部材及び金属製の部材を組み合わせて構成してもよい。また、障子の框を、樹脂製の部材に代えて、木材由来の材料で構成してもよい。框を樹脂製の部材により構成した場合に、新設上枠31及び新設下枠32を、金属を含む枠部材本体と、枠部材本体をカバーするとともに障子41,42のスライド移動をガイドする樹脂製のレール部材と、によって構成してもよい。この場合、新設枠3の少なくとも新設上枠31及び新設下枠32に樹脂製のレール部材が設けられ、樹脂製の框を有する障子41,42がこれらの樹脂製のレール部材にスライド移動可能に納められるため、改装建具1の断熱性能が向上する。
【0101】
本開示の改装建具は、上述した改装建具1のように、室内側X2から室外側X1にかけて次第に高さが低くなるように形成される既設下枠22を有する既設枠2に適用されるものに限定されない。本開示の改装建具は、
図13に示すように、一対のガイドレール221a,221bが同一高さで突設される既設下枠220を有する既設枠を改装する場合にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 改装建具、 2 既設枠、 3 新設枠、 8 上下方向位置調整機構、 22 既設下枠、 32 新設下枠、 71 見付方向延在板、 72 長穴、 73 スリット、 81 調整部材、 82 第1ねじ、 83 第2ねじ、 811 背面側板部(第1板部)、 813a 下端部、 815 表面側板部(第2板部)、 816 段差接続部(接続部)、 100 建物躯体