(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103411
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】連結燃焼システム
(51)【国際特許分類】
F23N 5/24 20060101AFI20240725BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20240725BHJP
F23N 5/20 20060101ALI20240725BHJP
F23N 3/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F23N5/24 106A
F23N5/00 S
F23N5/20 F
F23N5/00 H
F23N3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007709
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】水谷 浩司
【テーマコード(参考)】
3K003
3K005
【Fターム(参考)】
3K003FA02
3K003FB03
3K003GA03
3K003JA12
3K003KA05
3K003KB02
3K003LA08
3K003NA04
3K003NA07
3K003SB08
3K003SC02
3K005GB01
3K005JA03
(57)【要約】
【課題】バーナにおける燃焼状態をフィードバックする燃焼装置が複数連結された連結燃焼システムで、何れかの燃焼装置で故障が生じた場合に検知する。
【解決手段】連結された複数の燃焼装置(給湯器)の各々でバーナにおける燃焼状態を燃焼センサで検出してフィードバックし、検出値が所定の正常範囲から外れると、正常範囲内に戻るように燃料ガスの供給量および空気の供給量の少なくとも一方を補正することにより、バーナでの燃焼状態を調整する。そして、複数の燃焼装置のうち何れかで燃焼センサの検出値が正常範囲から外れていた(何れかの給湯器から正常範囲逸脱信号を受信した)場合に、同時に運転中の他の燃焼装置で燃焼センサの検出値が正常範囲から外れていない(他の給湯器から正常範囲逸脱信号を受信していない)ことに基づいて、正常範囲から外れていた燃焼装置に故障が生じていると判断する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを搭載した燃焼装置が並列に複数連結されており、該複数の燃焼装置の各々に同一のガス供給源から燃料ガスが供給され、必要とされる総熱量に応じて該複数の燃焼装置の各々における燃焼量の制御が行われる連結燃焼システムにおいて、
前記複数の燃焼装置の各々は、
前記バーナへの前記燃料ガスの供給量を前記燃焼量に応じて調節するガス調節部と、
前記バーナへの空気の供給量を前記燃焼量に応じて調節する空気調節部と、
前記バーナにおける燃焼状態を検出する燃焼センサと、
前記燃焼センサの検出値が、所定の正常範囲から外れると、該正常範囲内に戻るように前記燃料ガスの供給量および前記空気の供給量の少なくとも一方を補正する補正部と
を有し、
前記複数の燃焼装置のうち何れか一の燃焼装置で前記燃焼センサの検出値が前記正常範囲から外れていた場合に、同時に運転中の他の燃焼装置で前記燃焼センサの検出値が前記正常範囲から外れていないことに基づいて、当該一の燃焼装置に故障が生じていると判断する判断部を備える
ことを特徴とする連結燃焼システム。
【請求項2】
請求項1に記載の連結燃焼システムにおいて、
前記判断部は、
前記一の燃焼装置で前記補正部による補正が行われたにもかかわらず、前記燃焼センサの検出値が前記正常範囲内に戻らなければ、重度の故障と判断して当該一の燃焼装置の運転を禁止するのに対し、
前記一の燃焼装置で前記補正部による補正が行われた結果、前記燃焼センサの検出値が前記正常範囲内に戻れば、軽度の故障と判断して当該一の燃焼装置の運転を禁止しない
ことを特徴とする連結燃焼システム。
【請求項3】
請求項2に記載の連結燃焼システムにおいて、
前記判断部によって前記軽度の故障と判断された前記一の燃焼装置について記憶する記憶部と、
前記記憶部の記憶内容を表示可能な表示部と
を備えることを特徴とする連結燃焼システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の連結燃焼システムにおいて、
前記判断部は、前記複数の燃焼装置のうち何れか一の燃焼装置で前記燃焼センサの検出値が前記正常範囲から外れていた場合に、同時に運転中の他の燃焼装置でも前記燃焼センサの検出値が前記正常範囲から外れていれば、前記燃料ガスの成分および前記空気の密度の何れかに異常があると判断する
ことを特徴とする連結燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の燃焼装置が並列に連結されており、各燃焼装置に同一のガス供給源から燃料ガスが供給される連結燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バーナを搭載した燃焼装置が複数連結された連結燃焼システムが知られている(例えば、特許文献1)。複数の燃焼装置は、基本的には何れも同じ仕様であって、同様に運転可能であると共に、並列に連結されており、同一のガス供給源から各燃焼装置に燃料ガスが供給される。そして、連結燃焼システム全体で必要とされる総熱量に応じて、各燃焼装置における燃焼量の制御が行われる。
【0003】
また、燃焼装置では、バーナにおける燃焼状態を検出するためにフレームロッドなどの燃焼センサを備えたものが知られている(例えば、特許文献2)。燃焼センサの検出値(炎電流など)をフィードバックし、検出値が所定の正常範囲から外れると、正常範囲内に戻るようにバーナへの燃料ガスの供給量および空気の供給量の何れかを補正することで、バーナにおける燃焼状態を調整することが可能である。燃焼センサの検出値が正常範囲から外れる要因としては、経年劣化などで燃焼装置自体に何らかの異常(故障)が生じている個別要因と、バーナに供給される燃料ガスの成分や空気の密度に異常(変化)が生じている共通要因とが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-62081号公報
【特許文献2】特開昭63-70021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のようにバーナにおける燃焼状態を検出してフィードバックする従来の燃焼装置では、燃焼センサの検出値が正常範囲から外れても、個別要因によるものか共通要因によるものかを判別できないまま、燃料ガスおよび空気の何れかの供給量の補正が自動的に行われて運転(バーナでの燃焼)を継続するので、仮に燃焼装置で故障が生じていた場合でも検知されないという問題があった。
【0006】
この発明は従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、バーナにおける燃焼状態をフィードバックする燃焼装置が複数連結された連結燃焼システムで、何れかの燃焼装置で故障が生じた場合に検知することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の連結燃焼システムは次の構成を採用した。すなわち、
バーナを搭載した燃焼装置が並列に複数連結されており、該複数の燃焼装置の各々に同一のガス供給源から燃料ガスが供給され、必要とされる総熱量に応じて該複数の燃焼装置の各々における燃焼量の制御が行われる連結燃焼システムにおいて、
前記複数の燃焼装置の各々は、
前記バーナへの前記燃料ガスの供給量を前記燃焼量に応じて調節するガス調節部と、
前記バーナへの空気の供給量を前記燃焼量に応じて調節する空気調節部と、
前記バーナにおける燃焼状態を検出する燃焼センサと、
前記燃焼センサの検出値が、所定の正常範囲から外れると、該正常範囲内に戻るように前記燃料ガスの供給量および前記空気の供給量の少なくとも一方を補正する補正部と
を有し、
前記複数の燃焼装置のうち何れか一の燃焼装置で前記燃焼センサの検出値が前記正常範囲から外れていた場合に、同時に運転中の他の燃焼装置で前記燃焼センサの検出値が前記正常範囲から外れていないことに基づいて、当該一の燃焼装置に故障が生じていると判断する判断部を備える
ことを特徴とする。
【0008】
このような本発明の連結燃焼システムでは、同時に運転中の他の燃焼装置で燃焼状態(燃焼センサの検出値)が正常範囲内であれば、燃料ガスの成分や空気の密度に異常はなく、燃焼状態が正常範囲外となった燃焼装置で何らかの個別の故障が生じている蓋然性が高いため、連結された複数の燃焼装置のうち故障が生じた燃焼装置を検知することが可能となる。
【0009】
上述した本発明の連結燃焼システムでは、故障と判断された一の燃焼装置で補正部による補正が行われたにもかかわらず、燃焼センサの検出値が正常範囲内に戻らなければ、重度の故障と判断して一の燃焼装置の運転を禁止するのに対し、一の燃焼装置で補正部による補正が行われた結果、燃焼センサの検出値が正常範囲内に戻れば、軽度の故障と判断して一の燃焼装置の運転を禁止しないこととしてもよい。
【0010】
故障と判断された燃焼装置を一律に運転禁止にするのではなく、燃料ガスおよび空気の少なくとも一方の供給量の補正によって対応可能な軽度な故障であれば燃焼装置の運転を禁止せずに、運転の継続を可能とすることにより、連結燃焼システムにおけるメンテナンスの頻度を下げることができる。
【0011】
また、上述した本発明の連結燃焼システムでは、軽度の故障と判断された一の燃焼装置について記憶する記憶部と、記憶部の記憶内容を表示可能な表示部とを備えることとしてもよい。
【0012】
このようにすれば、連結燃焼システムの管理者は、軽度の故障と判断された燃焼装置について表示部の表示で確認することができるので、表示に基づいてメンテナンスの計画を立てたり、表示された燃焼装置をメンテナンスの際に入念にチェックしたりするなど、連結燃焼システムの管理が容易となる。
【0013】
こうした本発明の連結燃焼システムでは、連結された複数の燃焼装置のうち何れか一の燃焼装置で燃焼センサの検出値が正常範囲から外れていた場合に、同時に運転中の他の燃焼装置でも燃焼センサの検出値が正常範囲から外れていれば、燃料ガスの成分および空気の密度の何れかに異常があると判断することとしてもよい。
【0014】
このような本発明の連結燃焼システムでは、同時多発的に複数の燃焼装置で燃焼状態(燃焼センサの検出値)が正常範囲外になったのであれば、燃焼装置の個別の故障である蓋然性は低いため、燃料ガスの成分の異常(例えば、ガス供給源の燃料ガスへの何らかの混入)や、空気の密度の異常(例えば、設置場所の高度に依存する空気密度の誤設定)を検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例の連結燃焼システム1の全体構成を示した説明図である。
【
図2】本実施例の給湯器10の構成を示した説明図である。
【
図3】連結燃焼システム1のシステムコントローラ7が複数の給湯器10の運転を制御するために実行する連結運転制御処理のフローチャートである。
【
図4】システムコントローラ7の制御下で各給湯器10のコントローラ25がバーナ12での燃焼を制御するために実行する個別運転制御処理のフローチャートである。
【
図5】個別運転制御処理の中で実行される本実施例の補正処理のフローチャートである。
【
図6】火炎抵抗値と空気過剰率との相関関係を例示したグラフである。
【
図7】本実施例のシステムコントローラ7が実行する異常検知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施例の連結燃焼システム1の全体構成を示した説明図である。図示した連結燃焼システム1は、燃焼装置として給湯器10が複数連結されており、各給湯器10に上水を供給する給水配管2や、各給湯器10で生成された湯を導く出湯配管3や、各給湯器10に燃料ガスを供給するガス配管4などを備えている。
【0017】
給湯器10の詳細については別図を用いて後述するが、複数の給湯器10は、基本的には何れも同じ仕様であって、同様に運転可能であると共に、並列に連結されている。すなわち、上水を供給する給水配管2は、複数の給湯器10の各々に分岐して接続されており、複数の給湯器10の各々から延設された出湯配管3は、1つに合流して湯を導く。同様に、燃料ガスを供給するガス配管4は、複数の給湯器10の各々に分岐して接続されており、何れの給湯器10にも同一のガス供給源から燃料ガスが供給される。
【0018】
また、給水配管2には、分岐点よりも上流側に給水温度センサ5が設けられており、供給される上水の温度(給水温度)を給水温度センサ5で測定可能である。一方、出湯配管3には、合流点よりも下流側に出湯流量センサ6が設けられており、使用される湯の流量を出湯流量センサ6で測定可能である。
【0019】
さらに、連結燃焼システム1は、システム全体を制御するシステムコントローラ7を備えており、システムコントローラ7には、複数の給湯器10の各々が有線または無線で通信可能に接続されていると共に、給水温度センサ5および出湯流量センサ6が電気的に接続されている。詳しくは後述するが、システムコントローラ7は、出湯配管3の下流側の接続先で湯が使用されると、出湯流量センサ6で測定された湯の流量や、給水温度センサ5で測定された給水温度などに応じて複数の給湯器10の運転を制御する。例えば、使用される湯の流量に応じて、運転させる給湯器10の数を変動させることとして、湯の流量が増加するのに伴い、運転させる給湯器10を追加する。また、システムコントローラ7には、記憶部7aが内蔵されており、後述のように給湯器10についての情報を記憶部7aに記憶可能である。
【0020】
加えて、システムコントローラ7には、連結燃焼システム1の管理者が操作可能なリモコン8が有線または無線で通信可能に接続されている。リモコン8は、供給する湯の温度などの様々な設定を行ったり、種々の機能のオン/オフを切り替えたり、リセットを行うために操作する各種スイッチが設置された操作部8aを備えると共に、連結燃焼システム1の設定状況や運転状況、給湯器10についての情報などを表示可能な表示部8bを備えている。
【0021】
図2は、本実施例の給湯器10の構成を示した説明図である。図示されるように給湯器10は、燃焼室11内に収容されて燃料ガスを燃焼させるバーナ12や、バーナ12に向けて下方から燃焼用の空気を送る燃焼ファン13を備えており、前述したガス配管4を通じて燃料ガスがバーナ12に供給される。給湯器10内のガス配管4には、ガス配管4を開閉する元弁14や、ガス配管4を流れる燃料ガスの流量を調節する比例弁15が設けられている。尚、本実施例の燃焼ファン13は、本発明の「空気調節部」に相当しており、本実施例の比例弁15は、本発明の「ガス調節部」に相当している。
【0022】
また、燃焼室11には、バーナ12に向かって火花放電で点火する点火プラグ16や、バーナ12における燃焼状態を検出するフレームロッド17などが設けられている。尚、本実施例のフレームロッド17は、本発明の「燃焼センサ」に相当している。
【0023】
バーナ12の上方には、熱交換器18が設けられており、バーナ12での燃焼によって生じた高温の燃焼排気は、熱交換器18を通過すると、給湯器10の上部に接続された排気筒19を通って外部に排出される。熱交換器18は、一端(上流側)に給水配管2が接続されており、他端(下流側)に出湯配管3が接続されている。給湯器10内の給水配管2には、給水配管2を開閉する入水弁20や、給湯器10に流入する上水の流量を測定する入水流量センサ21や、給湯器10に流入する上水の温度(入水温度)を測定する入水温度センサ22が設けられている。
【0024】
入水弁20の開弁によって給湯器10に流入した上水は、熱交換器18でバーナ12からの燃焼排気との熱交換によって加熱された後、湯となって出湯配管3へと流出する。給湯器10内の出湯配管3には、給湯器10から流出する湯の温度(出湯温度)を測定する出湯温度センサ23が設けられている。
【0025】
さらに、給湯器10は、個別に機器全体を制御するコントローラ25を搭載しており、コントローラ25には、上述の燃焼ファン13、元弁14、比例弁15、点火プラグ16、フレームロッド17、入水弁20、入水流量センサ21、入水温度センサ22、出湯温度センサ23などが電気的に接続されている。コントローラ25は、システムコントローラ7と通信可能に接続されており、詳しくは後述するが、システムコントローラ7の制御下で入水弁20を開弁し、入水流量センサ21で測定された上水の流量や、入水温度センサ22で測定された入水温度などに基づいてバーナ12の燃焼量を算出すると共に、燃焼ファン13、元弁14、比例弁15、点火プラグ16などを制御してバーナ12での燃焼を開始する。そして、バーナ12での燃焼状態をフレームロッド17で検出してフィードバックすることにより、正常な燃焼状態を維持する。
【0026】
図3は、連結燃焼システム1のシステムコントローラ7が複数の給湯器10の運転を制御するために実行する連結運転制御処理のフローチャートである。この連結運転制御処理は、連結燃焼システム1の電源を入れると、所定の周期で繰り返し実行される。図示されるように連結運転制御処理を開始すると、まず、連結燃焼システム1で連結された複数の給湯器10(燃焼装置)のうち何れかが運転中であるか否かを判断する(STEP1)。
【0027】
何れの給湯器10も運転中ではない場合は(STEP1:no)、次に、運転開始条件が成立したか否かを判断する(STEP2)。本実施例の連結燃焼システム1では、出湯配管3の下流側の接続先で湯が使用され、出湯流量センサ6で測定された湯の流量が所定の下限流量を超えると、運転開始条件が成立したものと判断する。尚、連結された複数の給湯器10のうち、下限流量に応じて少なくとも1台は、運転中ではなくても入水弁20を開弁した状態で待機しており、出湯配管3に通水するようになっている。そして、未だ運転開始条件が成立していない場合は(STEP2:no)、そのまま
図3の連結運転制御処理を一旦終了し、所定の周期で再び
図3の連結運転制御処理を実行する。
【0028】
これに対して、運転開始条件が成立した場合は(STEP2:yes)、連結燃焼システム1全体で必要とされる総熱量を算出する(STEP3)。総熱量の算出は、出湯流量センサ6で測定された湯の流量や、給水温度センサ5で測定された給水温度(上水の温度)や、リモコン8で設定された湯の温度に基づいて行う。例えば、使用される湯の流量が多いほど、総熱量は大きくなる。また、湯の流量が同じであっても、湯の設定温度と給水温度との差が大きいほど、総熱量は大きくなる。
【0029】
必要とされる総熱量を算出すると、その総熱量を賄うために運転させる給湯器10を選択する(STEP4)。前述したように複数の給湯器10は基本的に同じ仕様であるため、必要とされる総熱量に応じて、運転させる給湯器10の数を変動させることとして、総熱量が大きくなって一定の基準量を超える毎に、運転させる給湯器10を段階的に追加するようになっている。
【0030】
そして、運転させる給湯器10に向けて運転の開始を指示する運転開始信号を送信し(STEP5)、
図3の連結運転制御処理を一旦終了する。その後、所定の周期で再び
図3の連結運転制御処理を実行すると、STEP1では、何れかの給湯器10が運転中であると判断することになるため(STEP1:yes)、次に、運転停止条件が成立したか否かを判断する(STEP6)。
【0031】
本実施例の連結燃焼システム1では、出湯配管3の出湯流量センサ6で測定された湯の流量が下限流量よりも低下すると、運転停止条件が成立したものと判断する。そして、運転停止条件が成立した場合は(STEP6:yes)、運転中の給湯器10に向けて運転の停止を指示する運転停止信号を送信し(STEP7)、
図3の連結運転制御処理を一旦終了する。この結果、次回に
図3の連結運転制御処理を実行する際には、STEP1で何れの給湯器10も運転中ではないと判断することになる。
【0032】
一方、運転停止条件が成立していない場合は(STEP6:no)、続いて、連結燃焼システム1全体で必要とされる総熱量に変化があったか否かを判断する(STEP8)。例えば、出湯流量センサ6で測定された湯の流量の増減や、リモコン8における湯の設定温度の変更などに伴って、総熱量が変化することがある。
【0033】
必要とされる総熱量に変化があった場合は(STEP8:yes)、その総熱量の変化に伴い、運転させる給湯器10に変更があるか否かを判断する(STEP9)。総熱量が一定の基準量よりも大きく変化(増減)すると、運転させる給湯器10を追加あるいは削減するようになっている。
【0034】
そして、運転させる給湯器10に変更がある場合は(STEP9:yes)、運転させる給湯器10の数を増やすのであれば、追加対象の給湯器10に向けて運転開始信号を送信し、減らすのであれば、削減対象の給湯器10に向けて運転停止信号を送信する(STEP10)。こうして運転開始信号または運転停止信号を送信すると、
図3の連結運転制御処理を一旦終了する。
【0035】
これに対して、必要とされる総熱量に変化がない場合や(STEP8:no)、運転させる給湯器10に変更がない場合は(STEP9:no)、STEP10の処理を省略して、
図3の連結運転制御処理を一旦終了する。その後、所定の周期で再び
図3の連結運転制御処理を実行する。
【0036】
図4は、システムコントローラ7の制御下で各給湯器10のコントローラ25がバーナ12での燃焼を制御するために実行する個別運転制御処理のフローチャートである。この個別運転制御処理は、連結燃焼システム1の電源を入れると、給湯器10毎に所定の周期で繰り返し実行される。個別運転制御処理では、まず、給湯器10が運転中(バーナ12で燃焼中)であるか否かを判断する(STEP20)。
【0037】
給湯器10が運転中ではない場合は(STEP20:no)、次に、システムコントローラ7から運転開始信号を受信したか否かを判断する(STEP21)。前述したように運転開始信号は、運転の開始を指示する信号であり、未だ運転開始信号を受信していない場合は(STEP21:no)、そのまま
図4の個別運転制御処理を一旦終了し、所定の周期で再び
図4の個別運転制御処理を実行する。
【0038】
これに対して、運転開始信号を受信した場合は(STEP21:yes)、給水配管2の入水弁20が閉弁していれば、入水弁20を開弁して給湯器10に上水を流入させる(STEP22)。前述したように連結された複数の給湯器10の中には、運転中ではなくても入水弁20を開弁したまま待機しているものがある。続いて、バーナ12での燃焼量を算出する(STEP23)。バーナ12での燃焼量の算出は、入水流量センサ21で測定された上水の流量や、入水温度センサ22で測定された入水温度(上水の温度)や、リモコン8で設定された湯の温度に基づいて行う。例えば、給湯器10に流入する上水の流量が多いほど、燃焼量は大きくなる。また、湯の設定温度と入水温度との差が大きいほど、燃焼量は大きくなる。
【0039】
バーナ12での燃焼量を算出すると、その燃焼量に対応する燃料ガスの供給量(比例弁15の開度)、および燃焼用の空気の供給量(燃焼ファン13の回転数)を設定する(STEP24)。コントローラ25に内蔵のメモリ(図示省略)には、燃焼量に応じて空気過剰率が目標値となる燃料ガスの供給量および空気の供給量の対応関係が予め記憶されている。
【0040】
そして、バーナ12で燃焼を開始する(STEP25)。すなわち、燃焼ファン13を回転させると共に、元弁14および比例弁15を開弁し、点火プラグ16の火花放電で点火する。このとき、燃焼ファン13の回転数は、設定された空気の供給量に対応しており、比例弁15の開度は、設定された燃料ガスの供給量に対応している。こうしてバーナ12で燃焼を開始したら、
図4の個別運転制御処理を一旦終了する。その後、所定の周期で再び
図4の個別運転制御処理を実行すると、STEP20では、給湯器10が運転中であると判断することになるため(STEP20:yes)、次に、システムコントローラ7から運転停止信号を受信したか否かを判断する(STEP26)。
【0041】
前述したように運転停止信号は、運転の停止を指示する信号であり、運転停止信号を受信した場合は(STEP26:yes)、バーナ12での燃焼を停止する(STEP27)。すなわち、元弁14および比例弁15を閉弁した後、燃焼ファン13の回転を停止させる。さらに、運転中ではなくても給水配管2の入水弁20を開弁したまま待機する給湯器10である場合を除き、入水弁20を閉弁して給湯器10への上水の流入を停止させ(STEP28)、
図4の個別運転制御処理を一旦終了する。この結果、次回に
図4の個別運転制御処理を実行する際には、STEP20で給湯器10が運転中ではないと判断することになる。
【0042】
一方、運転停止信号を受信していない場合は(STEP26:no)、続いて、バーナ12での燃焼量を変更する必要があるか否かを判断する(STEP29)。例えば、入水流量センサ21で測定された上水の流量の増減や、出湯温度センサ23で測定された出湯温度とリモコン8における湯の設定温度との乖離などに伴って、バーナ12での燃焼量の変更が必要となることがある。
【0043】
バーナ12での燃焼量を変更する必要がある場合は(STEP29:yes)、変更後の燃焼量に対応する燃料ガスの供給量(比例弁15の開度)、および燃焼用の空気の供給量(燃焼ファン13の回転数)を再設定し(STEP30)、
図4の個別運転制御処理を一旦終了する。
【0044】
これに対して、バーナ12での燃焼量を変更する必要がない場合は(STEP29:no)、フレームロッド17の検出値を取得する(STEP31)。フレームロッド17は、バーナ12で形成される火炎に挿入されており、火炎中のイオンによる導電性で燃焼状態を反映した電流がフレームロッド17に流れる。本実施例の給湯器10では、フレームロッド17への印加電圧の値とフレームロッド17に流れる電流の値とから算出される抵抗値(火炎抵抗値)を検出値として取得する。
【0045】
次に、取得したフレームロッド17の検出値(火炎抵抗値)が所定の正常範囲内であるか否かを判断する(STEP32)。そして、フレームロッド17の検出値が正常範囲内である場合は(STEP32:yes)、そのまま
図4の個別運転制御処理を一旦終了する。一方、フレームロッド17の検出値が正常範囲内ではない場合は(STEP32:no)、検出値をフィードバックして正常範囲内に戻すために後述の補正処理を行い(STEP33)、
図4の個別運転制御処理を一旦終了する。その後、所定の周期で再び
図4の個別運転制御処理を実行する。
【0046】
図5は、個別運転制御処理の中で実行される本実施例の補正処理のフローチャートである。上述したように補正処理(STEP33)は、フレームロッド17の検出値が正常範囲内ではないことを条件に行われ、正常範囲内であれば行われない。補正処理を開始すると、まず、フレームロッド17の検出値が正常範囲から逸脱したことを伝える正常範囲逸脱信号をシステムコントローラ7に向けて送信する(STEP40)。
【0047】
次に、フレームロッド17の検出値(火炎抵抗値)が正常範囲内に戻るように燃料ガスの供給量を補正する(STEP41)。尚、本実施例のコントローラ25は、本発明の「補正部」に相当する機能を有している。周知のように火炎抵抗値は、バーナ12での燃焼における空気過剰率と相関関係がある。
【0048】
図6は、火炎抵抗値と空気過剰率との相関関係を例示したグラフである。
図6では、横軸に空気過剰率λ、縦軸に火炎抵抗値Rを取っており、相関関係を示す特性線は、右上がりの曲線となっている。本実施例の給湯器10では、バーナ12で適正な燃焼状態となる空気過剰率λの目標値λxが予め実験的に求められ、その目標値λxに対して±αの許容範囲が設定されている。そして、特性線上でλx-αに対応するRminから、λx+αに対応するRmaxまでの間が火炎抵抗値Rの正常範囲とされている。従って、フレームロッド17で検出された火炎抵抗値Rに基づいて、R<Rminであれば、λ<λx-αであり、R>Rmaxであれば、λ>λx+αであると判断される。
【0049】
また、空気過剰率λは、燃料ガスの完全燃焼に理論上必要な空気の最小量をLth、実際の空気の供給量をLとして、λ=L/Lthと表すことができると共に、理論空燃比をAFRth、実際の空燃比をAFRとして、λ=AFR/AFRthと表すことができる。燃料ガスの供給量を減少させる補正を行うと、空燃比AFRの増大に伴って空気過剰率λが大きくなるため、火炎抵抗値Rを増加させることが可能である。反対に、燃料ガスの供給量を増加させる補正を行うと、空燃比AFRの減少に伴って空気過剰率λが小さくなるため、火炎抵抗値Rを減少させることが可能である。
【0050】
尚、燃料ガスの供給量を補正するのに代えて、燃焼用の空気の供給量を補正してもよい。この場合は、空気の供給量Lを増加させる補正により、空気過剰率λが大きくなるため、火炎抵抗値Rを増加させることができる。反対に、空気の供給量Lを減少させる補正により、空気過剰率λが小さくなるため、火炎抵抗値Rを減少させることができる。更には、燃料ガスの供給量および燃焼用の空気の供給量の両方を補正してもよい。この場合は、燃料ガスの供給量および空気の供給量の何れか一方を増加させると共に、何れか他方を減少させる補正により、片方だけの補正に比べて、空気過剰率λ(延いては火炎抵抗値R)を大きく変動させることができる。
【0051】
こうして
図5の補正処理におけるSTEP41で燃料ガスの供給量を補正すると、その補正量はコントローラ25のメモリに記憶されるようになっており、次回に燃料ガスの供給量を設定する際には、記憶されている補正量に従って設定することになる。また、燃料ガスの供給量の補正に続いて、フレームロッド17の検出値を再取得し(STEP42)、再取得した検出値(火炎抵抗値)が正常範囲内であるか否かを判断する(STEP43)。
【0052】
そして、フレームロッド17の検出値が正常範囲内である場合は(STEP43:yes)、フレームロッド17の検出値が正常範囲内に復帰したことを伝える正常範囲復帰信号をシステムコントローラ7に向けて送信する(STEP44)。その後、
図5の補正処理を終了し、
図4の個別運転制御処理に復帰する。一方、フレームロッド17の検出値が正常範囲内ではない場合は(STEP43:no)、STEP44の処理を省略して(正常範囲復帰信号を送信することなく)、
図5の補正処理を終了し、
図4の個別運転制御処理に復帰する。
【0053】
以上のように個別運転制御処理では、バーナ12における燃焼状態を検出するフレームロッド17の検出値(火炎抵抗値)をフィードバックし、検出値が正常範囲から外れると、正常範囲内に戻るように燃料ガスの供給量を補正することで、バーナ12における燃焼状態を調整することが可能である。フレームロッド17の検出値が正常範囲から外れる要因は、大まかに2つに分けられる。1つは、経年劣化などで給湯器10自体に異常(故障)が生じている個別要因であり、例えば、ガス配管4の比例弁15における開度の誤差や、燃焼ファン13の回転数の誤差、排気筒19の閉塞、フレームロッド17の検出精度の低下などである。もう1つは、バーナ12に供給される燃料ガスの成分や空気の密度に異常(変化)が生じている共通要因であり、例えば、ガス供給源の燃料ガスへの何らかの混入や、連結燃焼システム1の設置場所(高度)に依存する空気密度の誤設定などである。
【0054】
ただし、個々の給湯器10では、フレームロッド17の検出値が正常範囲から外れても、個別要因によるものか共通要因によるものかを判別できないまま、燃料ガスの供給量を補正して運転(バーナ12での燃焼)を継続するので、仮に給湯器10で故障が生じていても検知できない。そこで、本実施例の連結燃焼システム1では、連結された複数の給湯器10のうち故障が生じた給湯器10を検知するために、システムコントローラ7が以下の異常検知処理を実行している。
【0055】
図7は、本実施例のシステムコントローラ7が実行する異常検知処理のフローチャートである。この異常検知処理は、連結燃焼システム1の電源を入れると、所定の周期で繰り返し実行される。図示されるように異常検知処理では、まず、連結燃焼システム1で連結された複数の給湯器10のうち何れかの給湯器10から正常範囲逸脱信号を受信したか否かを判断する(STEP50)。前述したように正常範囲逸脱信号は、フレームロッド17の検出値が正常範囲から逸脱したことを伝える信号である。
【0056】
本実施例の連結燃焼システム1では、フレームロッド17の検出値が正常範囲から外れた給湯器10について故障か否かを判断するようになっており、何れの給湯器10からも正常範囲逸脱信号を受信していない場合は(STEP50:no)、そのまま
図7の異常検知処理を一旦終了し、所定の周期で再び
図7の異常検知処理を実行する。
【0057】
これに対して、何れかの給湯器10から正常範囲逸脱信号を受信した場合は(STEP50:yes)、同時に運転中の他の給湯器10から同様に正常範囲逸脱信号を受信したか否かを判断する(STEP51)。前述したように連結燃焼システム1では、必要とされる総熱量に応じて、同時に運転させる給湯器10の数を変動させている。そして、他の給湯器10からは正常範囲逸脱信号を受信していない場合は(STEP51:no)、正常範囲逸脱信号を送信してきた給湯器10に故障が生じていると判断する(STEP52)。尚、本実施例のシステムコントローラ7は、本発明の「判断部」に相当する機能を有している。
【0058】
給湯器10の故障と判断すると、その故障と判断された給湯器10から正常範囲復帰信号を所定の制限時間内に受信したか否かを判断する(STEP53)。前述したように正常範囲復帰信号は、燃料ガスの供給量の補正によってフレームロッド17の検出値が正常範囲内に復帰したことを伝える信号である。正常範囲復帰信号を制限時間内に受信しなかった場合は(STEP53:no)、燃料ガスの供給量が補正されたにもかかわらず、フレームロッド17の検出値が正常範囲内に戻っていないため、給湯器10に重度の故障が生じていると判断する(STEP54)。
【0059】
そして、重度の故障と判断された給湯器10に向けて運転停止信号を送信する(STEP55)。運転停止信号を受信した給湯器10は、前述したようにバーナ12での燃焼を停止する(
図4のSTEP27参照)。加えて、重度の故障と判断された給湯器10の運転を禁止する(STEP56)。これにより、運転させる給湯器10を選択する際に(
図3のSTEP4参照)、重度故障の給湯器10が除外される。
【0060】
さらに、重度の故障と判断された給湯器10について報知を行う(STEP57)。本実施例における重度故障の給湯器10の報知は、リモコン8の表示部8bに表示して行うようになっている。尚、報知の態様はこれに限られず、リモコン8に内蔵のスピーカ(図示省略)から音声出力によって報知してもよい。その後、
図7の異常検知処理を一旦終了し、所定の周期で再び
図7の異常検知処理を実行する。
【0061】
一方、STEP53の判断において、故障と判断された給湯器10から正常範囲復帰信号を制限時間内に受信した場合は(STEP53:yes)、燃料ガスの供給量が補正された結果、フレームロッド17の検出値が正常範囲内に戻っていることから、給湯器10に軽度の故障が生じていると判断する(STEP58)。
【0062】
そして、軽度の故障と判断された給湯器10についてシステムコントローラ7の記憶部7aに記憶する(STEP59)。記憶部7aに記憶された情報は、連結燃焼システム1の管理者がリモコン8の操作部8aを操作することで表示部8bに表示されるため、確認することが可能である。軽度故障の給湯器10について記憶すると、
図7の異常検知処理を一旦終了し、所定の周期で再び
図7の異常検知処理を実行する。
【0063】
以上では、STEP51の判断において、同時に運転中の他の給湯器10から正常範囲逸脱信号を受信していない場合(STEP51:no)に行われる処理について説明した。これに対して、同時に運転中の他の給湯器10からも同様に正常範囲逸脱信号を受信した場合は(STEP51:yes)、給湯器10の個別の異常(故障)ではなく、複数の給湯器10に共通する異常、すなわち、バーナ12に供給される燃料ガスの成分や空気の密度に異常があると判断する(STEP60)。
【0064】
こうして共通異常と判断すると、共通異常の報知を行う(STEP61)。本実施例における共通異常の報知は、リモコン8の表示部8bに表示して行うようになっている。尚、報知の態様はこれに限られず、リモコン8のスピーカから音声出力によって報知してもよい。共通異常を報知したら、
図7の異常検知処理を一旦終了し、所定の周期で再び
図7の異常検知処理を実行する。
【0065】
以上に説明したように本実施例の連結燃焼システム1では、連結された複数の給湯器10(燃焼装置)の各々でバーナ12における燃焼状態をフレームロッド17で検出してフィードバックし、検出値(火炎抵抗値)が正常範囲から外れると、正常範囲内に戻るように燃料ガスの供給量を補正することにより、燃焼状態を調整することが可能である。そして、複数の給湯器10のうち何れかでフレームロッド17の検出値が正常範囲から外れていた場合に、同時に運転中の他の給湯器10で同様にフレームロッド17の検出値が正常範囲から外れていないかを確認し、他の給湯器10では正常範囲から外れていないことに基づいて、正常範囲から外れていた給湯器10に何らかの故障が生じていると判断するようになっている。
【0066】
同時に運転中の他の給湯器10で燃焼状態(フレームロッド17の検出値)が正常範囲内であれば、燃料ガスの成分や空気の密度の異常(共通異常)ではなく、燃焼状態が正常範囲外となった給湯器10で個別の故障が生じている蓋然性が高いため、連結燃焼システム1で連結された複数の給湯器10のうち故障が生じた給湯器10を検知することが可能となる。
【0067】
また、本実施例の連結燃焼システム1では、フレームロッド17の検出値が正常範囲から外れた給湯器10で燃料ガスの供給量が補正されたにもかかわらず、検出値が正常範囲内に戻らなければ、その給湯器10を重度の故障と判断して運転禁止にするようになっている。一方、フレームロッド17の検出値が正常範囲から外れた給湯器10で燃料ガスの供給量が補正された結果、検出値が正常範囲内に戻れば、その給湯器10を軽度の故障と判断して運転禁止にしないようになっている。故障と判断された給湯器10を一律に運転禁止にするのではなく、燃料ガスの供給量の補正によって対応可能な軽度な故障であれば給湯器10の運転を禁止せずに、運転の継続を可能とすることにより、連結燃焼システム1におけるメンテナンスの頻度を下げることができる。
【0068】
加えて、本実施例の連結燃焼システム1では、軽度の故障と判断された給湯器10についてシステムコントローラ7の記憶部7aに記憶することとして、記憶部7aに記憶された情報をリモコン8の表示部8bに表示することが可能となっている。このようにすれば、連結燃焼システム1の管理者は、軽度の故障と判断された給湯器10について表示部8bの表示で確認することができるので、表示に基づいてメンテナンスの計画を立てたり、表示された給湯器10をメンテナンスの際に入念にチェックしたりするなど、連結燃焼システム1の管理が容易となる。
【0069】
さらに、本実施例の連結燃焼システム1では、複数の給湯器10のうち何れかでフレームロッド17の検出値が正常範囲から外れていた場合に、同時に運転中の他の給湯器10でも同様にフレームロッド17の検出値が正常範囲から外れていれば、燃料ガスの成分および空気の密度の何れかに異常がある共通異常と判断するようになっている。同時多発的に複数の給湯器10で燃焼状態(フレームロッド17の検出値)が正常範囲外になったのであれば、給湯器10の個別の故障である蓋然性は低いため、燃料ガスの成分の異常(例えば、ガス供給源の燃料ガスへの何らかの混入)や、空気の密度の異常(例えば、設置場所の高度に依存する空気密度の誤設定)を検知することが可能となる。
【0070】
以上、本実施例の連結燃焼システム1について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0071】
例えば、前述した実施例では、システムコントローラ7が複数の給湯器10の各々に搭載のコントローラ25と通信可能に接続されており、各コントローラ25から受信した信号に基づいて、故障が生じた給湯器10をシステムコントローラ7で検知するようになっていた。しかし、システムコントローラ7を設けることなく、複数の給湯器10のコントローラ25同士を通信可能に接続しておくと共に、何れか1つの給湯器10を「主」とし、他の給湯器10を「従」とする主従関係を設定することとして、システムコントローラ7の代わりに「主」の給湯器10のコントローラ25で、故障が生じた給湯器10を検知するようにしてもよい。そして、「主」の給湯器10で故障が生じた場合には、その「主」の給湯器10を「従」に設定すると共に、他の「従」の給湯器10の中から何れかを新たな「主」に設定すればよい。
【0072】
また、前述した実施例では、フレームロッド17の検出値として火炎抵抗値を取得していたが、火炎中のイオンによる導電性でフレームロッド17に流れる電流の値(火炎電流値)を用いてもよい。火炎電流値と空気過剰率との間にも相関関係があることから、火炎電流値が所定の正常範囲内に収まるように燃料ガスの供給量や空気の供給量を補正することが可能である。
【0073】
また、前述した実施例では、バーナ12での燃焼状態をフレームロッド17で検出するようになっていた。しかし、バーナ12での燃焼状態を検出可能であれば、検出手段はフレームロッド17に限られない。例えば、バーナ12で形成される火炎の温度を測定する温度センサを用いて燃焼状態を検出してもよい。
【0074】
また、前述した実施例では、出湯配管3に出湯流量センサ6が設けられており、使用される湯の流量を出湯流量センサ6で測定するようになっていた。しかし、連結された複数の給湯器10の各々に入水流量センサ21が設けられていることから、出湯流量センサ6を設けることなく、これらの入水流量センサ21を代用してもよい。すなわち、入水弁20を開弁したままの給湯器10が備える入水流量センサ21で測定された上水の流量が所定の下限流量を超えた場合に、運転開始条件が成立したものと判断してもよい(
図3のSTEP2参照)。そして、複数の給湯器10の各々が備える入水流量センサ21で測定された上水の流量の合計が下限流量よりも低下した場合に、運転停止条件が成立したものと判断してもよい(
図3のSTEP6参照)。さらに、必要とされる総熱量の算出を、複数の給湯器10の各々が備える入水流量センサ21で測定された上水の流量の合計に基づいて行ってもよい(
図3のSTEP3,STEP8参照)。
【0075】
また、前述した実施例の給湯器10では、給水配管2で供給される上水を、熱交換器18でバーナ12からの燃焼排気との熱交換によって直接的に加熱するようになっていた。しかし、給湯器10のタイプはこれに限られず、熱媒を循環させることとして、まず、熱媒を第1の熱交換器でバーナ12からの燃焼排気との熱交換によって加熱し、上水を第2の熱交換器で熱媒との熱交換によって加熱するタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…連結燃焼システム、 2…給水配管、 3…出湯配管、
4…ガス配管、 5…給水温度センサ、 6…出湯流量センサ、
7…システムコントローラ、 7a…記憶部、 8…リモコン、
8a…操作部、 8b…表示部、 10…給湯器、
11…燃焼室、 12…バーナ、 13…燃焼ファン、
14…元弁、 15…比例弁、 16…点火プラグ、
17…フレームロッド、 18…熱交換器、 19…排気筒、
20…入水弁、 21…入水流量センサ、 22…入水温度センサ、
23…出湯温度センサ、 25…コントローラ。