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  • 特開-安心感提供装置 図1
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  • 特開-安心感提供装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103413
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】安心感提供装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20240725BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61H23/02 330
A61M21/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007712
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】523024897
【氏名又は名称】野瀬 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 健二
(72)【発明者】
【氏名】加藤路瑛
【テーマコード(参考)】
4C074
【Fターム(参考)】
4C074AA03
4C074AA04
4C074AA05
4C074BB05
4C074CC01
4C074DD00
4C074EE01
4C074FF01
4C074FF05
4C074GG01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】振動の周波数と強度の組合せにより、使用者に安心感やリラックス感を与える装置を提供する。
【解決手段】安心感提供装置100は、基体10の内部に、基板と振動子を具え、振動子によって、加速度に重量を乗じた強度に周波数をさらに乗じた値が1,000mN/S~10,000mN/Sである振動が基体10を通じて使用者に伝えられる。加速度に重量を乗じた強度に周波数をさらに乗じた値が1,000mN/S~10,000mN/Sである振動は、使用者が心地よいと感じ易いので、安心感提供装置100によれば、使用者に安心感やリラックス感を与えることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と振動子を有する基体を具え、
前記基板は、重量と加速度を乗じて算出した強度に周波数をさらに乗じた値が1,000mN/S~10,000mN/Sとなる振動パターンが記録されている記憶手段を具え、
前記振動子は、前記振動パターンに基づく振動を継続的に発生させて前記基体を振動させるように構成されている、
安心感提供装置。
【請求項2】
前記基体が振動のON/OFFを切換えるための操作部をさらに具え、
前記記憶手段に複数の前記振動パターンが記録され、
前記操作部による振動のON/OFFの切換えによって、前記振動パターンが切換るように構成されている、
請求項1の安心感提供装置。
【請求項3】
前記記憶手段が、所定時間継続して振動した前記振動パターンを好適振動パターンとして記録し、
前記振動子が前記好適振動パターンに基づく振動を発生するように構成されている、
請求項2の安心感提供装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を用いて、使用者に安心感やリラックス感を与える装置(以下、単に、「安心感提供装置」という。)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者に安心感やリラックス感を与える装置として、振動を活用したものが知られている。例として、振動によるマッサージ効果や、触覚を刺激するなどして安心感やリラックス感を与える装置が挙げられる。
【0003】
振動は周波数によってその速度や大きさが異なり、どの程度の速度や大きさの振動に安心感やリラックス感を得られるかは使用者によって異なる。そのため、使用者の好みに応じて周波数を調整して、安心感やリラックス感を提供する装置として、以下のようなものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-066200号公報
【特許文献2】特開2022-154573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のリラックス感誘導装置は、使用者が把持又は身に着けた状態で使用され、断続的又は連続的に強度が変化する振動信号を発生させ、振動信号の少なくとも一部の最大強度の繰り返しの周波数が、心電波形のPR間隔が大きくなる方向に変化する値の範囲とされている0.005~50Hzであるので、使用者にリラックス感を誘導させることができるとされている。
【0006】
特許文献2の振動装置は、人体に振動を与えるボイスコイルアクチュエータと、ボイスコイルアクチュエータを振動させるように、周波数帯域を有する波形を含む信号と制御装置を具えるので、身体を刺激する振動を継続的に与えられるとされている。
【0007】
ところで、振動は強度によって、生体が認知しない程度から痛みを感じる程度のものまである。また、周波数と同様に、どの程度の強度の振動に安心感やリラックス感を見出すかは使用者によって異なる。そこで、このような装置では、周波数と強度の組合せが使用者に安心感やリラックス感を与える上で重要な要素となり得る。
【0008】
また、振動によって触覚を刺激し、安心感やリラックス感を与える装置については、触覚が過敏な使用者に対しても有効となり得る。触覚が過敏な使用者の例としては、自閉スペクトラム症と診断された人々が挙げられる。触覚が過敏な使用者は、好みの振動から大きな安心感やリラックス感を得られる可能性がある。一方、好みの振動と周波数及び/又は強度の値が異なる振動からは、不快感を覚えやすいであろう。
【0009】
そこで、本発明は、振動の周波数と強度の組合せにより、使用者に安心感やリラックス感を与える装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基板と振動子を有する基体を具え、
前記基板は、重量と加速度を乗じて算出した強度に周波数をさらに乗じた値が1,000mN/S~10,000mN/Sとなる振動パターンが記録されている記憶手段を具え、
前記振動子は、前記振動パターンに基づく振動を継続的に発生させて前記基体を振動させるように構成されている安心感提供装置によって、前記課題を解決した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基体が有する振動子によって発生させられる振動は、加速度に重量を乗じて算出した強度に周波数をさらに乗じた値が、使用者が心地よい振動だと感じ易い1,000mN/S~10,000mN/Sであるので、使用者に安心感やリラックス感を与え易い。
【0012】
また、基体が振動のON/OFFを切換えるための操作部をさらに具え、記憶手段に複数の振動パターンが記録され、操作部による振動のON/OFFの切換えによって、振動パターンが切換るように構成されていると、安心感やリラックス感を得られる振動を見つけ易い。
【0013】
また、記憶手段が、所定時間継続して振動した振動パターンを好適振動パターンとして記録し、振動子が前記好適振動パターンに基づく振動を発生するように構成すれば、使用者に安心感やリラックス感を与える振動パターンの振動を再現し易い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態である安心感提供装置の正面図。
図2図1の縦断面図。
図3】振動パターン毎の被験者の平均スコアを表した散布図。
図4図1の処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図1~4を参照して説明する。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明である安心感提供装置100の正面図である。安心感提供装置100は基体10を具える。基体10は、使用者の身体と接した状態で、使用者に振動を与える部材である。基体10は、手で把持できる形状であると好ましい。安心感提供装置100では、使用者が手で把持し易いように、全体として卵型の形状の基体10とされている。図示しているように、基体10の表面をカバー14によって被覆した構成としてもよい。この場合、カバー14によって触感を変化させることができる。
【0017】
また、基体10はその表面に操作部12を具えている。安心感提供装置100の操作部12は、押下することでON/OFFが切換わるボタン式のものであるが、スライド操作でON/OFFが切換わるタイプのもの等、ON/OFFを切換えられるものであれば、別の形式のスイッチを使用してもよい。操作部12によってON/OFFが切換えられると、図2に示す電源24から振動子22へ電流が供給されるか否かが切換わる。
【0018】
図2に示すように、安心感提供装置100は、その内部に、基板20と振動子22と電源24を具える。基板20は、重量と加速度を乗じて算出した強度に周波数をさらに乗じた値が1,000mN/S~10,000mN/Sとなる振動パターンが記録されている記憶手段26を具えている。なお、記憶手段26としては、公知の記憶素子等を用いればよい。
【0019】
振動子22は、記憶手段26に記録されている振動パターンに基づき、連続的な振動を発生させる部材である。振動子22としては、振動アクチュエータやソレノイドを用いることもできる。振動子22が発生させる振動の波形に規定はなく、正弦波、矩形波、三角波等の波形を適宜選択することができる。振動子22が発生させる振動は、振動パターンに基づくため、その周波数と強度を乗じた値は1,000mN/S~10,000mN/Sである。なお、後述するように、下限が1,000mN/Sより上であると望ましい。振動子22による振動は、基体10に伝わるように構成されている。
【0020】
電源24は、電力を蓄えられる部材、例えば電池とすることができる。電流は電源24から基板20及び振動子22に供給されるように構成されている。操作部12を具える場合、操作部12がONにされることによって、電源24から電流が供給され、操作部12がOFFにされることによって電源24から電流の供給が絶たれるように構成するのがよい。
【0021】
図3は、自閉スペクトラム症と診断された5名の被験者に対し、複数の振動パターンによる振動を複数回体験し、不快(0)、普通(1)、心地よい(2)、とても心地よい(3)で毎回点数付けをしてもらい、その点数の平均を周波数と強度を乗じた値毎、すなわち、振動パターン毎に表した散布図である。本実験では、振動の強度と周波数が、それぞれ15秒ごとにランダムで変化するように設定して行った。なお、本実験の結果を表形式で示したものが次の表1である。
【0022】
【表1】
【0023】
図3に示されているとおり、周波数と強度を乗じた値が約1,000mN/Sである振動から2点以上が付けられる傾向が見出された。よって、周波数と強度を乗じた値が1,000mN/S以上、より望ましくは、1,000mN/Sより上の振動とすることで、安心感やリラックス感を与え易い安心感提供装置100とすることができる。上限については、さらなる検討を要するが、上記の調査結果から、10,000mN/Sとすることができる。
【0024】
ここで、安心感提供装置100は、操作部12によって、発生させる振動を変更することができるように構成することもできる。具体的には、周波数と強度を乗じた値が1,000mN/S~10,000mN/Sの範囲内である振動パターンを記憶手段26に複数記録させ、操作部12による振動のON/OFFの切換えによって、振動パターンが切換わるように構成することができる。本構成とすれば、操作部12を操作するだけで振動パターンを切換えることができるので、簡便な操作で、任意に振動パターンを選択することができる。
【0025】
さらに、記憶手段26が、所定時間継続して振動した振動パターンを好適振動パターンとして記録し、振動子22が好適振動パターンに基づく振動を発生によってOFFに切換えられた振動は好適振動パターンとして記憶手段26には記録されず、次に操作部12によってONとされたときは、前回とは異なる振動パターンの振動が発生する。所定時間が経過する前に操作部12によってOFFに切換えられた場合で、好適振動パターンが記憶手段26に記録されている場合、好適振動パターンの記録が消去されるように構成することができる。なお、所定時間は、任意の時間を定めればよい。
【0026】
図4は、安心感提供装置100の一連の処理の流れを示したフローチャートである。まず、振動パターン決定ステップS1において、安心感提供装置100は、操作部12によってONの状態にされると、電流が電源24から基板20に流され、記憶手段26に記録されている振動パターンの内、一の振動パターンを決定する。記憶手段26に記録されている振動パターンの内、一の振動パターンをランダム又は順に決定するように構成することができる。このとき、後述する好適振動パターンが記録されている場合は、好適振動パターンが選択されるように構成されている。
【0027】
振動発生ステップS2では、振動子22に対し、振動パターン決定ステップS1で決定された振動パターンの情報を含む制御信号が出力され、振動子22が振動し、基体10を振動させる。
【0028】
振動発生ステップS2における振動が発生した状態で所定時間が経過したか否かを判別するステップが所定時間経過判断ステップS3である。振動が発生した状態で所定時間が経過すると振動記録ステップS4が実行され、所定時間が経過しなかった場合は記録解除ステップS5が実行される。
【0029】
振動記録ステップS4が実行されると、振動パターン決定ステップS1で選択された振動パターンが好適振動パターンとして記憶手段26に記録される。一方、記録解除ステップS5が実行されると、好適振動パターンが記憶手段26に記録されている場合は、好適振動パターンの記録が消去され、そうでない場合は特段の処理は行われずに終了する。
【0030】
上述した一連のステップが実行される安心感提供装置100とすれば、安心感やリラックス感を得られる振動パターンを再現し易い安心感提供装置とすることができる。
【0031】
以上に説明したように、本発明によれば、周波数と強度の組み合わせにより、使用者に安心感やリラックス感を与える装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 基体
12 操作部
14 カバー
20 基板
22 振動子
24 電源
26 記憶手段
100 安心感提供装置

図1
図2
図3
図4