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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103427
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】潤滑剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20240725BHJP
   C10M 145/14 20060101ALN20240725BHJP
   C10M 149/06 20060101ALN20240725BHJP
   C10M 119/18 20060101ALN20240725BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20240725BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20240725BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20240725BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20240725BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20240725BHJP
   C10N 40/06 20060101ALN20240725BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20240725BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20240725BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20240725BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M145/14
C10M149/06
C10M119/18
C10N20:04
C10N20:02
C10N40:25
C10N40:02
C10N40:04
C10N40:06
C10N40:08
C10N50:10
C10N30:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067535
(22)【出願日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2023007268
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内藤 展洋
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義光
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BB41A
4H104CB08C
4H104CB14A
4H104CE03C
4H104EA02A
4H104EA03C
4H104EA21A
4H104EB07
4H104EB08
4H104EB09
4H104EB10
4H104EB13
4H104EB15
4H104LA01
4H104PA02
4H104PA03
4H104PA04
4H104PA05
4H104PA41
4H104QA18
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、粘度指数及び低温粘度が良好な潤滑剤組成物を提供することである。
【解決手段】一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とする(共)重合体(A)と、一般式(3)で示されるアルキレンオキサイド付加物(B)とを含有する潤滑剤組成物であって、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合が(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として20重量%以上であり、前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)が25~400mgKOH/gであり、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合(M)(重量%)と前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)(mgKOH/g)との比率{(M)/(OHV)}が0.05~4.0である潤滑剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とする(共)重合体(A)と、下記一般式(3)で示されるアルキレンオキサイド付加物(B)とを含有する潤滑剤組成物であって、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合が(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として20重量%以上であり、前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)が25~400mgKOH/gであり、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合(M)(重量%)と前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)(mgKOH/g)との比率{(M)/(OHV)}が0.05~4.0である潤滑剤組成物。
【化1】
[一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基;-X-は-O-又は-NH-で表される基;Rはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基;Rは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキル基;pは0~20の整数である。]
-[-O-(AO)-H] (3)
[一般式(3)中、Rは炭素数1~12であるk価の炭化水素基であり、kは1~6の整数であり、AOはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、jはアルキレンオキシ基のモル数を表す1以上の整数である。]
【請求項2】
前記(共)重合体(A)が、下記一般式(2)で示される単量体(b)を構成単量体として含む共重合体である請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【化2】
[一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基;-X-は-O-又は-NH-で表される基;Rはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基;R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~22のアルキル基でありR及びRの炭素数の合計が3~44である;lは0~20の整数である。]
【請求項3】
前記(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量と単量体(b)の重量との比(a/b)が20/80~95/5である請求項2に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
前記(共)重合体(A)の重量平均分子量が5,000~1,000,000である請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
前記(共)重合体(A)の溶解性パラメータが9.2~10.0(cal/cm1/2である請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
前記アルキレンオキサイド付加物(B)の40℃における動粘度が5~400mm/sである請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
さらに清浄剤、分散剤、酸化防止剤、油性向上剤、摩擦摩耗調整剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、腐食防止剤、流動点降下剤及び沸点向上剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有してなる請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
内燃機関油、トランスミッション油、油圧作動油、ギア油、軸受用油又はグリース用潤滑油として用いられる請求項1~6のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤組成物は潤滑油及びグリースとして、自動車、建設機械、その他工業用途、航空機など様々な用途で使用されている。また近年、CO排出量低減のためにそれら機械に対する省燃費要求が厳しくなっている。この問題については、潤滑油の低粘度化による粘性抵抗及び摩擦損失の低減が広く知られている。しかしながら単に低粘度化すると液漏れや焼き付きといった問題が生じてくるため、潤滑油の温度に対する粘度変化を小さくする(粘度指数を上げる)必要があり、粘度指数向上剤を潤滑油に使用することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、潤滑油に使用される基油としては、安価であることから鉱物油が広く使われているが、低温粘度が悪く、特定のゴム材に対してシール材適合性が良くないという問題がある。この問題については、ゴム材へのシール材適合性の良いアルキレンオキサイド付加物を基油とした潤滑剤組成物が提案されている(特許文献2)。
【0004】
しかしながらアルキレンオキサイド付加物を基油として粘度指数を上げようとすると、高分子量のポリアルキレングリコールを使用する必要があり、それによって高粘度化してしまい、結果的に省燃費性を向上することが出来ず、さらに低温粘度も悪化してしまうという問題がある。また、一般的に市販されている粘度指数向上剤は鉱物油への溶解性は良いものの、アルキレンオキサイド付加物に対しては溶解性が悪いため、鉱物油と併用して使用することが提案されている(特許文献3、4)。しかし、鉱物油を使用することによりシール材適合性や低温粘度が悪くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3831203号公報
【特許文献2】特表2017-501252号公報
【特許文献3】特開2019-157117号公報
【特許文献4】特開2010-143968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、粘度指数及び低温粘度が良好な潤滑剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とする(共)重合体(A)と、下記一般式(3)で示されるアルキレンオキサイド付加物(B)とを含有する潤滑剤組成物であって、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合が(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として20重量%以上であり、前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)が25~400mgKOH/gであり、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合(M)(重量%)と前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)(mgKOH/g)との比率{(M)/(OHV)}が0.05~4.0である潤滑剤組成物である。
【0008】
【化1】
[一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基;-X-は-O-又は-NH-で表される基;Rはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基;Rは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキル基;pは0~20の整数である。]
-[-O-(AO)-H] (3)
[一般式(3)中、Rは炭素数1~12であるk価の炭化水素基であり、kは1~6の整数であり、AOはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、jはアルキレンオキシ基のモル数を表す1以上の整数である。]
【発明の効果】
【0009】
本発明の潤滑剤組成物は粘度指数及び低温粘度が良好であるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の潤滑剤組成物は、下記一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とする(共)重合体(A)と、下記一般式(3)で示されるアルキレンオキサイド付加物(B)とを含有する潤滑剤組成物であって、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合が(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として20重量%以上であり、前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)が25~400mgKOH/gであり、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合(M)(重量%)と前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)(mgKOH/g)との比率{(M)/(OHV)}が0.05~4.0である潤滑剤組成物である。
【0011】
【化1】
[一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基;-X-は-O-又は-NH-で表される基;Rはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基;Rは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキル基;pは0~20の整数である。]
-[-O-(AO)-H] (3)
[一般式(3)中、Rは炭素数1~12であるk価の炭化水素基であり、kは1~6の整数であり、AOはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、jはアルキレンオキシ基のモル数を表す1以上の整数である。]
【0012】
<(共)重合体(A)>
本発明において、(共)重合体(A)は、前記一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とし、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合は(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として20重量%以上である。
単量体(a)は1種を用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0013】
一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、粘度指数向上効果の観点から、メチル基が好ましい。
-X-は-O-又は-NH-で表される基を表し、粘度指数向上効果の観点から、-O-で表される基が好ましい。
【0014】
一般式(1)において、Rはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基を表し、例えば、エチレン基、1,2-又は1,3-プロピレン基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン基等が挙げられる。また、ROはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、例えば、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基等が挙げられる。
Oとしては、粘度指数向上効果の観点から、エチレンオキシ基が好ましい。
pはRO(アルキレンオキシ基)の付加モル数を表し、0~20の整数であり、粘度指数向上効果の観点から、0~2が好ましく、さらに好ましくは0である。
pが2以上の場合、複数あるROは同一でも異なっていてもよい。
【0015】
一般式(1)において、Rは炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基及びsec-ブチル基等が挙げられる。
としては、粘度指数向上効果の観点から、メチル基、エチル基及びn-ブチル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基である。
【0016】
単量体(a)としては、例えば、炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル{例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート等}、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリルアミド{例えば、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、n-プロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、n-ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブチル(メタ)アクリルアミド、sec-ブチル(メタ)アクリルアミド及びtert-ブチル(メタ)アクリルアミド等}、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート{例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロピルオキシエチル(メタ)アクリレート及びブチルオキシエチル(メタ)アクリレート等}、ヒドロキシアルキル(アルキレン基の炭素数2~4)(メタ)アクリレートに炭素数2~4のアルキレンオキサイドが1~19モル付加物したものに炭素数1~4のアルキル基がエーテル基を介して結合した構造を有する化合物{例えば、メトキシポリアルキレングリコール(アルキレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、エトキシポリアルキレングリコール(アルキレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、プロピルオキシポリアルキレングリコール(アルキレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、ブトキシポリアルキレングリコール(アルキレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「メタクリレート及び/又はアクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル」は「メタクリル及び/又はアクリル」を意味する。
【0017】
単量体(a)としては、粘度指数向上効果の観点から、炭素数1~4の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、さらに好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはメチル(メタ)アクリレートである。
【0018】
単量体(a)に由来する構成単位((a)の有する重合性ビニル基が反応して単結合になった構造)は、基油への溶解性の観点から、特定の溶解性パラメータ(以下においてSP値と略記することがある)を有するものが好ましい。
単量体(a)に由来する構成単位のSP値は、好ましくは9.0~12.0(cal/cm1/2であり、さらに好ましくは9.1~11.0(cal/cm1/2であり、特に好ましくは9.1~10.0(cal/cm1/2である。
なお、本発明におけるSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,February,1974,Vol.14、No.2、P147~154)の152頁(Table.5)に記載の数値(原子又は官能基の25℃における蒸発熱及びモル体積)を用いて、同153頁の数式(28)により算出される値を意味する。具体的には、Fedors法のパラメータである下記表1に記載のΔe及びviの数値から、分子構造内の原子及び原子団の種類に対応した数値を用いて、下記数式に当てはめることで算出することができる。
SP値=(ΣΔe/Σv1/2
【0019】
【表1】
【0020】
なお、(共)重合体(A)が単量体として2種以上の単量体(a)を併用する場合は、単量体(a)のSP値は、(A)を構成する複数のそれぞれの単量体のSP値を前記の方法で算出し、それぞれの単量体(a)のSP値を、重量分率に基づいて相加平均した値が前記範囲内であることが好ましい。
【0021】
(共)重合体(A)は下記一般式(2)で示される単量体(b)を構成単量体として含むことが粘度指数向上効果の観点から好ましい。
単量体(b)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
【化2】
[一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基;-X-は-O-又は-NH-で表される基;Rはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基;R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~22のアルキル基でありR及びRの炭素数の合計が3~44である;lは0~20の整数である。]
【0023】
一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、粘度指数向上効果の観点から、メチル基が好ましい。
-X-は-O-又は-NH-で表される基であり、粘度指数向上効果の観点から、-O-で表される基が好ましい。
【0024】
一般式(2)において、Rはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基を表し、例えば、エチレン基、1,2-又は1,3-プロピレン基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン基等が挙げられる。また、ROは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、例えば、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基等が挙げられる。
Oとしては、粘度指数向上効果の観点から、エチレンオキシ基が好ましい。
lはRO(アルキレンオキシ基)の付加モル数を表し、0~20の整数であり、粘度指数向上効果の観点から、0~2が好ましく、さらに好ましくは0である。
lが2以上の場合、複数あるROは同一でも異なっていてもよい。
【0025】
一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~22のアルキル基でありR及びRの炭素数の合計は3~44である。
炭素数1~22のアルキル基としては、直鎖及び分岐アルキル基が含まれ、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、イソウンデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコシル基及びn-ドコシル基等が挙げられる。
【0026】
及びRの炭素数の合計は、粘度指数向上効果及び基油への溶解性の観点から、5~32が好ましく、さらに好ましくは6~24である。
【0027】
単量体(b)としては、例えば、炭素数5~24の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレート{例えば、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、後述のNeodol23の(メタ)アクリル酸エステル及びNeodol45の(メタ)アクリル酸エステル等}、炭素数5~24の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリルアミド{例えば、n-ペンチル(メタ)アクリルアミド、イソペチル(メタ)アクリルアミド、ヘキシル(メタ)アクリルアミド、ヘプチル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ノニル(メタ)アクリルアミド、デシル(メタ)アクリルアミド、イソデシル(メタ)アクリルアミド、ウンデシル(メタ)アクリルアミド、ドデシル(メタ)アクリルアミド、イソドデシル(メタ)アクリルアミド、トリデシル(メタ)アクリルアミド、テトラデシル(メタ)アクリルアミド、ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、ヘキサデシル(メタ)アクリルアミド、ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、オクタデシル(メタ)アクリルアミド、ノナデシル(メタ)アクリルアミド、エイコシル(メタ)アクリルアミド、ドコシル(メタ)アクリルアミド及びテトラコシル(メタ)アクリルアミド等}、2位に分岐を有するアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル{例えば、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸2-ドデシルヘキサデシル及び(メタ)アクリル酸2-テトラデシルオクタデシル等}、ヒドロキシアルキル(アルキレン基の炭素数2~4)(メタ)アクリレートに炭素数2~4のアルキレンオキサイドが1~19モル付加物したものに炭素数5~24のアルキル基がエーテル基を介して結合した構造を有する化合物等が挙げられる。
【0028】
また、単量体(b)としては、オキソ触媒存在下に該オレフィンへ一酸化炭素及び水素を反応させてヒドロホルミル化を行うことでアルコールを形成して得られた直鎖一級アルコールと分岐アルコール(分岐が水酸基を有する炭素原子に対してC2の位置の炭素原子上にある)の混合物(例えばNeodol23、Neodol45等)の(メタ)アクリル酸エステル化物等を用いてもよい。
単量体(b)としては、粘度指数向上効果及び基油への溶解性の観点から、炭素数5~24の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、さらに好ましくはNeodol23の(メタ)アクリル酸エステル、Neodol45の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸トリイソデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル及び(メタ)アクリル酸デシルテトラデシルであり、特に好ましくはNeodol23の(メタ)アクリル酸エステル、Neodol45の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル及び(メタ)アクリル酸ヘキサデシルである。
【0029】
本発明において、(共)重合体(A)は、前記以外の単量体を構成単量体として含んでいてもよく、例えば、窒素原子含有単量体(d)、水酸基含有単量体(e)、リン原子含有単量体(f)等が挙げられる。各単量体はそれぞれ1種を用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0030】
窒素原子含有単量体(d)としては、以下の単量体(d1)~(d4)が挙げられる。
アミド基含有単量体(d1):
(メタ)アクリルアミド、モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1~4のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばN-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアミノ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド及びN-n-又はイソブチルアミノ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等]、ジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1~4のアルキル基が2つ結合したもの;例えばN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等]、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1~4のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばN,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジ-n-ブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド等]、N-ビニルカルボン酸アミド[N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-n-又はイソプロピオニルアミド及びN-ビニルヒドロキシアセトアミド等]等のアミド基のみに窒素原子を有するものが挙げられる。
【0031】
ニトロ基含有単量体(d2):
4-ニトロスチレン等が挙げられる。
【0032】
1~3級アミノ基含有単量体(d3):
1級アミノ基含有ビニル単量体{炭素数3~6のアルケニルアミン[(メタ)アリルアミン及びクロチルアミン等]、アミノアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]};
2級アミノ基含有ビニル単量体{モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1~6のアルキル基が1つ結合したアミノアルキレン基(炭素数2~6)を有するもの、例えばt-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、炭素数6~12のジアルケニルアミン[ジ(メタ)アリルアミン等]};
3級アミノ基含有ビニル単量体{ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1~6のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、窒素原子を有する脂環式(メタ)アクリレート[モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]、芳香族ビニル系単量体[N,N-ジフェニルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノスチレン、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、N-ビニルピロール、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルチオピロリドン等]}、及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は低級アルキル(炭素数1~8)モノカルボン酸(酢酸及びプロピオン酸等)塩等が挙げられる。
【0033】
ニトリル基含有単量体(d4):
(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0034】
窒素原子含有ビニル単量体(d)のうち好ましいのは、(d1)及び(d3)であり、更に好ましいのは、N,N-ジフェニルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。
【0035】
水酸基含有単量体(e)としては、具体的には以下のものが挙げられる。
水酸基含有芳香族単量体(p-ヒドロキシスチレン等)、ヒドロキシアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリレート[2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2-又は3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、モノ-又はジ-ヒドロキシアルキル(炭素数1~4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N-ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等]、ビニルアルコール、炭素数3~12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1-オクテノール及び1-ウンデセノール等]、炭素数4~12のアルケンモノオール又はアルケンジオール[1-ブテン-3-オール、2-ブテン-1-オール及び2-ブテン-1,4-ジオール等]、ヒドロキシアルキル(炭素数1~6)アルケニル(炭素数3~10)エーテル(2-ヒドロキシエチルプロペニルエーテル等)、多価(3~8価)アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、糖類及び蔗糖等)のアルケニル(炭素数3~10)エーテル又は(メタ)アクリレート[蔗糖(メタ)アリルエーテル等]等が挙げられる。
【0036】
リン原子含有単量体(f)としては、以下の単量体(f1)~(f2)が挙げられる。
【0037】
リン酸エステル基含有単量体(f1):
(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2~4)リン酸エステル[(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート及び(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェート]及びリン酸アルケニルエステル[リン酸ビニル、リン酸アリル、リン酸プロペニル、リン酸イソプロペニル、リン酸ブテニル、リン酸ペンテニル、リン酸オクテニル、リン酸デセニル及びリン酸ドデセニル等]等が挙げられる。
【0038】
ホスホノ基含有単量体(f2):
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2~4)ホスホン酸[(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸等]及びアルケニル(炭素数2~12)ホスホン酸[ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸及びオクテニルホスホン酸等]等が挙げられる。
【0039】
リン原子含有単量体(f)のうち好ましいのは(f1)であり、更に好ましいのは(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2~4)リン酸エステルであり、特に好ましいのは(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェートである。
【0040】
重合体(A)は、単量体(a)~(f)に加え、以下の単量体(h)~(n)を構成単量体としてもよい。
【0041】
脂肪族炭化水素単量体(h):
炭素数2~20のアルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等)及び炭素数4~12のアルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,6-ヘプタジエン及び1,7-オクタジエン等)等が挙げられる。
【0042】
脂環式炭化水素単量体(i):
シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等が挙げられる。
【0043】
芳香族炭化水素系単量体(j):
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、4-エチルスチレン、4-イソプロピルスチレン、4-ブチルスチレン、4-フェニルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ベンジルスチレン、インデン、4-クロチルベンゼン及び2-ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0044】
ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン類(k):
炭素数2~12の飽和脂肪酸のビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及びオクタン酸ビニル等)、炭素数1~12のアルキル、アリール又はアルコキシアルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビニル-2-メトキシエチルエーテル及びビニル-2-ブトキシエチルエーテル等)及び炭素数1~8のアルキル又はアリールビニルケトン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトン及びフェニルビニルケトン等)等が挙げられる。
【0045】
エポキシ基含有単量体(l):
グリシジル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0046】
ハロゲン元素含有単量体(m):
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル及びハロゲン化スチレン(ジクロロスチレン等)等が挙げられる。
【0047】
不飽和ポリカルボン酸のエステル(n):
不飽和ポリカルボン酸のアルキル、シクロアルキル又はアラルキルエステル[不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等)の炭素数1~8のアルキルジエステル(ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルマレエート及びジオクチルマレエート)]等が挙げられる。
【0048】
(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として20重量%以上であり、基油への溶解性の観点から、好ましくは22~90重量%であり、特に好ましくは25~80重量%である。
【0049】
(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(b)の重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として低温粘度の観点から、80重量%以下が好ましく、さらに好ましくは10~78重量%であり、特に好ましくは20~75重量%である。
【0050】
(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)及び(b)の合計重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、粘度指数向上効果の観点から、50~100重量%が好ましく、さらに好ましくは60~100重量%であり、より好ましくは70~100重量%であり、特に好ましくは80~100重量%であり、最も好ましくは85~100重量%である。
【0051】
(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量と単量体(b)の重量との比(a/b)は、粘度指数向上効果の観点から、20/80~95/5が好ましく、さらに好ましくは20/80~85/15であり、特に好ましくは20/80~70/30である。
【0052】
(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(d)~(f)の合計重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、粘度指数及び低温粘度の観点から、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以下であり、最も好ましくは15重量%以下である。単量体(d)~(f)は極性が高く、単量体(d)~(f)の量が多いと高温の(B)中で(共)重合体(A)が広がりにくくなる傾向があり、粘度指数が小さくなる傾向がある。
【0053】
(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(h)~(n)の合計重量割合は、(共)重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として、粘度指数の観点から、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは40重量%以下であり、特に好ましくは30重量%以下である。
【0054】
本発明において、(共)重合体(A)のSP値は、粘度指数向上効果と低温粘度の観点から、9.2~10.0(cal/cm1/2が好ましく、さらに好ましくは9.25~9.80(cal/cm1/2である。
【0055】
(共)重合体(A)のSP値は、前記SP値の算出方法を用いて(A)を構成する各単量体に由来する構成単位((A)を構成する各単量体に含まれるビニル基が重合反応により単結合となった構造)のSP値を算出し、仕込み時の各構成単量体の重量分率に基づいて相加平均した値を意味する。例えば、単量体がメタクリル酸メチルの場合、メタクリル酸メチルに由来する構成単位は、原子団として、CHが2個、CHが1個、Cが1個、COが1個なので、下記数式により、メタクリル酸メチルに由来する構成単位のSP値は9.933(cal/cm1/2であることが分かる。同様に計算して、メタクリル酸エチルに由来する構成単位のSP値は9.721(cal/cm1/2であることがわかる。
ΣΔe=1125×2+1180+350+4300=8080
Σv=33.5×2+16.1-19.2+18.0=81.9
δ=(8080/81.9)1/2=9.933(cal/cm1/2
重合体がメタクリル酸メチル50重量%とメタクリル酸エチル50重量%との重合物である場合、重合体のSP値は、下記の通り各単量体に由来する構成単位のSP値の重量分率に基づいて相加平均することにより算出される。
重合体のSP値=(9.933×50+9.721×50)/100=9.827
重合体(A)のSP値は、使用する単量体、重量分率を適宜調整することにより所望の範囲にすることができる。具体的には、アルキル基の炭素数の長い単量体を多く使用することでSP値を小さくすることができ、アルキル基の炭素数の短い単量体を多く使用することでSP値を大きくすることができる。
【0056】
(共)重合体(A)の重量平均分子量(以下においてMwと略記する)は、低温粘度と粘度指数の観点から、好ましくは5,000~1,000,000であり、更に好ましくは10,000~500,000である。
なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で測定することができる。
<(共)重合体(A)のMwの測定条件>
装置 :「HLC-802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
【0057】
(共)重合体(A)は、公知の製造方法によって得ることができ、具体的には前記の単量体を溶剤中で重合触媒存在下に溶液重合することにより得る方法が挙げられる。
溶剤としては、トルエン、キシレン、炭素数9~10のアルキルベンゼン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、2-プロパノール及び後述のアルキレンオキサイド付加物(B)等が挙げられる。
重合触媒としては、アゾ系触媒(アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスバレロニトリル等)、過酸化物系触媒(ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド及びラウリルパーオキサイド等)及びレドックス系触媒(ベンゾイルパーオキサイドと3級アミンの混合物等)が挙げられる。更に必要により、公知の連鎖移動剤(炭素数2~20のアルキルメルカプタン等)を使用することもできる。
重合温度は、好ましくは25~140℃であり、更に好ましくは50~120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合により(A)を得ることができる。
(共)重合体(A)が共重合体である場合の重合形態としては、ランダム付加重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
【0058】
<アルキレンオキサイド付加物(B)>
本発明において、潤滑剤組成物は、下記一般式(3)で表されるアルキレンオキサイド付加物(B)を含む。また、潤滑剤組成物中のアルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)は25~400mgKOH/gである。
-[-O-(AO)-H] (3)
[一般式(3)中、Rは炭素数1~12であるk価の炭化水素基であり、kは1~6の整数であり、AOはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、jはアルキレンオキシ基のモル数を表す1以上の整数である。]
【0059】
前記一般式(3)中、Rは炭素数1~12であるk価の炭化水素基であり、kは1~6の整数である。
kとしては、低温粘度の観点から、1~3の整数が好ましい。
としては、低温粘度の観点から、炭素数1~8の1~3価の炭化水素基が好ましく、更に好ましくは炭素数1~4の1~3価の炭化水素基である。
【0060】
炭素数1~12であるk価の炭化水素基としては、例えば、1~6個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(B1)から全ての水酸基を除いた残基が含まれる。
1~6個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(B1)としては、例えば、1個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(B11)、2個の水酸基を有する炭素数2~12の化合物(B12)、3個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(B13)、4個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(B14)、5個の水酸基を有する炭素数2~12の化合物(B15)、6個の水酸基を有する炭素数2~12の化合物(B16)等が挙げられる。
【0061】
1個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(B11)としては、炭素数1~12の鎖状脂肪族モノアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール等)等が挙げられる。
2個の水酸基を有する炭素数2~12の化合物(B12)としては、炭素数1~12の鎖状脂肪族ジオール(例えば、ジヒドロキシメチル、エチレングリコール、1,2-又は1,3-プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等)、炭素数6~12の脂環式ジオール(例えば、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等)、炭素数6~12の芳香環含有ジオール(例えば、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等)等が挙げられる。
3個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(B13)としては、例えば、グリセリン及びトリメチロールプロパン等が挙げられる。
4個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(B14)としては、例えば、テトリトール(例えば、エリスリトール等)及びペンタエリスリトール等が挙げられる。
5個の水酸基を有する炭素数2~12の化合物(B15)としては、ペンチトール(例えば、アドニトール等)等が挙げられる。
6個の水酸基を有する炭素数2~12の化合物(B16)としては、ヘキシトール(例えば、ソルビトール等)等が挙げられる。
1~6個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(B1)としては、低温粘度の観点から、1~3個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(より好ましくは脂肪族化合物)が好ましく、更に好ましくは1~2個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物(より好ましくは脂肪族化合物)であり、特に好ましくは炭素数1~12の鎖状脂肪族モノアルコールである。
【0062】
前記一般式(3)において、Aはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基であり、エチレン基、1,2-又は1,3-プロピレン基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン基等が挙げられる。また、j×k個あるAOはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、アルキレンオキシ基としては、例えば、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基等が挙げられる。これらのうち、低温粘度の観点から、プロピレンオキシ基が好ましい。
また、AOとして2種以上有している場合は、ブロック付加(AOとして同じものを2つ以上隣り合って結合している)でもランダム付加でもよい。
前記一般式(3)において、jはアルキレンオキシ基の付加モル数を表す1以上の整数である。
一般式(3)におけるkが1の場合、粘度指数向上剤組成物に含まれる水酸基含有化合物のアルキレンオキサイド付加物(B)の1モルあたりのjの平均値(アルキレンオキシ基の平均付加モル数)は、粘度指数向上効果の観点から、1~50が好ましく、更に好ましくは1~40である。
一般式(3)におけるkが2以上の場合、粘度指数向上剤組成物に含まれる水酸基含有化合物のアルキレンオキサイド付加物(B)の1モルあたりのjの合計値(アルキレンオキシ基の平均付加モル数)は、粘度指数向上効果の観点から、1~50が好ましく、更に好ましくは1~40である。
【0063】
アルキレンオキサイド付加物(B)として、好ましい具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
(1)Rが炭素数1~12の1価の鎖状脂肪族炭化水素基であるもの
例えば、前記炭素数1~12の鎖状脂肪族モノアルコールの炭素数2~4のアルキレンオキサイド(以下においてアルキレンオキサイド及びアルキレンオキシ基をAOと略記することがある)付加物{例えば、前記炭素数1~12の鎖状脂肪族モノアルコールの1,2-プロピレンオキサイド(以下においてプロピレンンオキサイド及びプロピレンオキシ基をPOと略記することがある)(平均付加モル数1~48モル)付加物、前記炭素数1~12の鎖状脂肪族モノアルコールのエチレンオキサイド(以下においてエチレンオキサイド及びエチレンオキシ基をEOと略記することがある)(平均付加モル数1~50モル)及びPO(平均付加モル数1~48モル)付加物、前記炭素数1~12の鎖状脂肪族モノアルコールのPO(平均付加モル数1~48モル)及び1,2-ブチレンオキサイド(以下において1,2-ブチレンオキサイド及びブチレンオキシ基をBOと略記することがある)(平均付加モル数1~25モル)付加物等、前記炭素数1~12の鎖状脂肪族モノアルコールのPO(平均付加モル数1~48モル)及びテトラヒドロフラン(以下においてTHFと略記することがある)(平均付加モル数1~25モル)付加物等}等が挙げられる。
【0064】
(2)Rが炭素数1~12の2価の鎖状脂肪族炭化水素基であるもの
例えば、前記炭素数1~12の鎖状脂肪族ジオールの炭素数2~4のAO付加物{例えば、前記炭素数1~12の鎖状脂肪族ジオールのPO(平均付加モル数1~48モル)付加物、前記炭素数1~12の鎖状脂肪族ジオールのEO(平均付加モル数1~50モル)PO(平均付加モル数1~48モル)付加物、前記炭素数1~12の鎖状脂肪族ジオールのPO(平均付加モル数1~48モル)BO(平均付加モル数1~25モル)付加物等}等が挙げられる。
【0065】
(3)Rが炭素数1~12の3価の鎖状脂肪族炭化水素基であるもの
例えば、グリセリンのPO(平均付加モル数3~48モル)付加物、グリセリンのEOPO(合計の平均付加モル数3~48モル)付加物、グリセリンのPOBO付加物(合計の平均付加モル数3~48モル)、トリメチロールプロパンのPO(平均付加モル数3~48モル)付加物、トリメチロールプロパンのEOPO(合計の平均付加モル数3~48モル)付加物、トリメチロールプロパンのEOBO付加物(合計の平均付加モル数3~48モル)等が挙げられる。
【0066】
アルキレンオキサイド付加物(B)としては、前記一般式(3)において、粘度指数向上効果及び低温粘度の観点から、AOとしてエチレンオキシ基(EO)及びプロピレンオキシ基(PO)を有する化合物並びにプロピレンオキシ基(PO)のみを有する化合物が好ましく、プロピレンオキシ基(PO)のみを有する化合物がさらに好ましい。
【0067】
アルキレンオキサイド付加物(B)中のプロピレンオキシ基(PO)とエチレンオキシ基(EO)とのモル比(PO/EO)は、100/0~70/30が好ましく、更に好ましくは100/0~80/20であり、特に好ましくは100/0~90/10である。
【0068】
アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)は、25~400mgKOH/gであり、好ましくは25~350mgKOH/g、さらに好ましくは30~300である。
水酸基価(OHV)が25mgKOH/g以上であると、低温粘度が良好であり、400mgKOH/g以下であると粘度指数向上効果が良好である。
なお、水酸基価は、JIS K0070に準拠して測定することができる。
【0069】
アルキレンオキサイド付加物(B)としては、低温粘度の観点から、炭素数1~6の鎖状脂肪族モノアルコールのEOPO付加物又はPO付加物(好ましくはPO付加物)及びグリセリンのEOPO付加物又はPO付加物(好ましくはPO付加物)が好ましく、さらに好ましくは炭素数1~6の鎖状脂肪族モノアルコールのEOPO付加物又はPO付加物(好ましくはPO付加物)であり、特に好ましくは炭素数1~4の鎖状脂肪族モノアルコールのEOPO付加物又はPO付加物(好ましくはPO付加物)である。
本発明において、水酸基含有化合物のアルキレンオキサイド付加物(B)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
アルキレンオキサイド付加物(B)は公知の方法で製造することができ、例えば、公知の方法で1~6個の水酸基を有する炭素数1~12の化合物にアルキレンオキサイドを付加する等により得ることができる。
【0071】
本発明において、アルキレンオキサイド付加物(B)の数平均分子量は、低温粘度の観点から、3000以下あることが好ましく、さらに好ましくは200~2000が好ましく、特に好ましくは250~2000である。
【0072】
本発明において、アルキレンオキサイド付加物(B)の数平均分子量(以下、Mnと略記する)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、ポリプロピレングリコールを基準物質として、40℃で測定される。
装置本体:HLC-8120(東ソー株式会社製)
カラム:東ソー株式会社製TSKgel α6000、G3000 PWXL
検出器:装置本体内蔵の示差屈折計検出器
溶離液:0.5%酢酸ソーダ・水/メタノール(体積比70/30)
溶離液流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
試料:0.25%の溶離液溶液
注入量:200μl
標準物質:東ソー株式会社製TSK STANDARD OXIDE
データ処理ソフト:GPC-8020modelII(東ソー株式会社製)
【0073】
アルキレンオキサイド付加物(B)の40℃における動粘度は、低温粘度の観点から、5~400mm/sが好ましく、更に好ましくは5~300mm/sである。
【0074】
<粘度指数向上剤組成物>
本発明の潤滑剤組成物は、粘度指数向上剤組成物として前記(共)重合体(A)と前記アルキレンオキサイド付加物(B)とを含有し、粘度指数向上剤組成物に含まれる(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合(M)(重量%)と前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)(mgKOH/g)との比率{(M)/(OHV)}が0.05~4.0であるものを用いることが好ましい。
比率{(M)/(OHV)}が0.05~4.0であると、粘度指数向上剤組成物を本発明の潤滑剤組成物に用いた際に、(共)重合体(A)の基油への溶解性を悪化させることなく、潤滑剤組成物の粘度指数及び低温粘度を良好にすることができる傾向がある。
比率{(M)/(OHV)}は、粘度指数向上効果の観点から、好ましくは0.10~4.0であり、さらに好ましくは0.15~3.0である。
【0075】
粘度指数向上剤組成物中の(共)重合体(A)の含有量は、25重量%を超え70重量%以下であることが好ましく、さらに好ましい上限としては、60重量%である。
70重量%以下であると、(共)重合体(A)がアルキレンオキサイド付加物(B)中に析出することなく溶解することができ、25重量%を超えると(A)を高濃度に含む添加剤としてハンドリング性がよいので好ましい。
【0076】
前記粘度指数向上剤組成物は、アルキレンオキサイド付加物(例えば前記アルキレンオキサイド付加物(B))を基油として用いる内燃機関油(ガソリン用及びディーゼル用)、トランスミッション油[マニュアルトランスミッション油(MTF)、自動変速機油(ATF)、デュアルクラッチトランスミッション油(DCTF)及びベルトコンティニュアスリーバリアブルトランスミッション油(belt-CVTF)等]、油圧作動油(建設機械用作動油及び工業用作動油等)、ギア油(デファレンシャル油及び工業用ギヤ油等)、トラクション油(トロイダル-CVTF等)、軸受用油、グリース用潤滑油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油に好適に用いられ、特に内燃機関油、トランスミッション油、油圧作動油、ギア油、軸受用油又はグリース用潤滑油として有用である。
【0077】
<潤滑剤組成物>
本発明の潤滑剤組成物は、前記一般式(1)で示される単量体(a)を必須構成単量体とする(共)重合体(A)と、前記一般式(3)で示されるアルキレンオキサイド付加物(B)とを含有する潤滑剤組成物であって、前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)が25~400mgKOH/gであり、(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合(M)(重量%)と前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)(mgKOH/g)との比率{(M)/(OHV)}が0.05~4.0である潤滑剤組成物である。
水酸基価は分子中に占める水酸基の量と相関があり、アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価が大きいほど(B)中に占める水酸基の重量割合が大きいことを示している。さらに、水酸基は極性の高い官能基であり、(B)の水酸基価が大きいほど極性は高くなる傾向を示す。
また、(共)重合体(A)中の必須構成単量体である単量体(a)は、エステル基(一般式(1)において-X-が-O-で表される基である場合)やアミド基(一般式(1)において-X-が-NH-で表される基である場合)のように極性の高い構造に対してアルキル基(一般式(1)におけるR)が短く、極性が適度に高いモノマーである。
本発明においては、炭素数1~4のアルキル基を有する単量体(a)を20重量%以上用いた(共)重合体(A)とアルキレンオキサイド付加物(B)とにおいて、(共)重合体(A)中の単量体(a)の重量割合とアルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)の比率{(M)/(OHV)}を上記範囲にすることにより、(B)の極性に対する(共)重合体(A)の極性が適度となり、(B)中で(A)のポリマー鎖が低温状況(例えば-40℃)でも小さく収縮した状態で溶解し、高温では(B)への(A)のポリマー鎖の溶解性が向上して広がり、粘度が上昇することで粘度指数が高くなる傾向があること、つまり、比率{(M)/(OHV)}に着目することで低温粘度が低く粘度指数が高い潤滑剤組成物を得られることを見出したものである。
【0078】
本発明において、潤滑剤組成物中の前記(共)重合体(A)の含有量は0.4~25重量%が好ましく、さらに好ましい下限は0.8重量%、特に好ましい下限は1.0重量%である。0.4重量%以上であると、粘度指数向上効果に優れる傾向があるので好ましい。
【0079】
本発明において、(共)重合体(A)とアルキレンオキサイド付加物(B)との合計含有量は、粘度指数向上効果の観点から、80重量%以上が好ましく、更に好ましくは84重量%以上である。
【0080】
本発明の潤滑剤組成物においては、鉱物油を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、シール適合性に影響を与える程度に含まないという意味であり、例えば、好ましくは8重量%未満、更に好ましくは6重量%未満、より好ましくは3重量%未満、特に好ましくは1重量%未満であることを意味する。
【0081】
本発明において、潤滑剤組成物中に含まれる前記(共)重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合(M)(重量%)と前記アルキレンオキサイド付加物(B)の水酸基価(OHV)(mgKOH/g)との比率{(M)/(OHV)}は0.05~4.0であり、好ましくは0.10~4.0であり、さらに好ましくは0.15~3.0である。
前記比率{(M)/(OHV)}が0.05未満であると、粘度指数が低下する傾向があり、4.0を超えると低温粘度が悪化する傾向がある。
【0082】
本発明において、潤滑剤組成物中に含まれるアルキレンオキサイド付加物(B)のHLBは、共重合体(A)との相溶性の観点から、3.0~23.5が好ましく、さらに好ましくは4.0~8.0である。
なお、本発明において「HLB」とは、有機性と無機性とのバランスを示す指標であり、小田法のHLB[「界面活性剤入門」(2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著)212~213頁に記載されている]によって算出される値である。具体的には、下記数式(1)を用いて算出される値である。
HLB=10×(無機性/有機性)
なお、各基のパラメータの例としては下記である。
水酸基(-OH):無機性100、有機性0
エチレンオキシ基(-CHCHO-):無機性75、有機性40
プロピレンオキシ基{-C(CH)HCHO-又は-CHC(CH)HO-}:無機性20、有機性50
-CH:無機性0、有機性20
-CH-:無機性0、有機性20
iso分岐炭素:無機性0、有機性10
tert分岐炭素:無機性0、有機性0
-O-:無機性20、有機性0
例えば、ブタノールのPO4モル付加物の場合、下記となる。
HLB=10×(20×4+100)/{20+20×3+50×4}=6.43
例えば、メタノールのEO0.5モルPO1.5モル付加物の場合、下記となる。
HLB=10×(75×0.5+20×1.5+100)/{20+40×0.5+50×1.5}=14.57
また、潤滑剤組成物中にアルキレンオキサイド付加物(B)として複数種類含む場合は、潤滑剤組成物中に含まれる各(B)のモル分率に基づいて相加平均した値が上記範囲内であることが好ましい。
【0083】
本発明において、潤滑剤組成物中にはさらに清浄剤、分散剤、酸化防止剤、油性向上剤、摩擦摩耗調整剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、腐食防止剤、流動点降下剤及び沸点向上剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有してもよい。
【0084】
(1)清浄剤:
塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート及びアルキルナフタレンスルフォネート等)の過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物;
【0085】
(2)分散剤:
コハク酸イミド類(ビス-又はモノ-ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物及びボレート類等;
(3)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等;
(4)油性向上剤:
長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等;
(5)摩擦摩耗調整剤:
モリブデン系及び亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメート及びジンクジアルキルジチオフォスフェート等)等;
(6)極圧剤:
硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド及び硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物及び塩素系化合物(塩素化パラフィン等)等;
(7)消泡剤:
シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等;
(8)抗乳化剤:
4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)等;
(9)腐食防止剤:
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4-チオジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート等)等;
(10)流動点降下剤:
ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリビニルアセテート等。
(11)沸点向上剤:
グリコール又はアルキルポリグリコールのホウ酸エステル等(例えば、トリエチレングリコールモノブチルエーテルのホウ酸エステル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルのホウ酸エステル等)。
【0086】
これらの添加剤は1種だけ添加してもよいし、必要に応じて2つ以上の添加剤を添加することもできる。またこれらの添加剤を配合したものを性能添加剤、またはパッケージ添加剤と呼ぶこともあり、それを添加してもよい。
これらの添加剤のそれぞれの含有量は潤滑剤組成物全量を基準として0.1~15重量%であることが好ましい。また各添加剤を合計した含有量は潤滑剤組成物全量を基準として0.1~30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3~20重量%である。
【0087】
本発明の潤滑剤組成物は、内燃機関油(ガソリン用及びディーゼル用)、トランスミッション油[マニュアルトランスミッション油(MTF)、自動変速機油(ATF)、デュアルクラッチトランスミッション油(DCTF)及びベルトコンティニュアスリーバリアブルトランスミッション油(belt-CVTF)等]、油圧作動油(建設機械用作動油及び工業用作動油等)、ギア油(デファレンシャル油及び工業用ギヤ油等)、トラクション油(トロイダル-CVTF等)、軸受用油、グリース用潤滑油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油に好適に用いられ、特に内燃機関油、トランスミッション油、油圧作動油、ギア油、軸受用油又はグリース用潤滑油として有用である。
【実施例0088】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において「部」は重量部を意味する。
【0089】
<製造例1 (B-1)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にメタノール100部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後に、110~130℃でエチレンオキサイド69部、プロピレンオキサイド272部を2時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応させて、水酸基価が397.4mgKOH/gのメタノールのEO/PO付加物であるアルキレンオキサイド付加物(B-1){以下において、アルキレンオキサイド付加物をPAG油と略記することがある}を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0090】
<製造例2 (B-2)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にブタノール100部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後に、110~130℃でプロピレンオキサイド360部を2時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応させて、水酸基価が164.4mgKOH/gのブタノールのPO付加物であるPAG油(B-2)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0091】
<製造例3 (B-3)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にブタノール100部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後に、110~130℃でプロピレンオキサイド822.7部を3時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応させて、水酸基価が82.0mgKOH/gのブタノールのPO付加物であるPAG油(B-3)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0092】
<製造例4 (B-4)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にブタノール100部と水酸化カリウム3部を仕込み、窒素置換後に、110~130℃でプロピレンオキサイド1489部を4時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応させて、水酸基価が47.6mgKOH/gのブタノールのPO付加物であるPAG油(B-4)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0093】
<製造例5 (B-5)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にブタノール100部と水酸化カリウム3部を仕込み、窒素置換後に、110~130℃でエチレンオキサイド356.6部、プロピレンオキサイド2507部を5時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応させて、水酸基価が25.5mgKOH/gのブタノールのEO/PO付加物であるPAG油(B-5)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0094】
<製造例6 (B-6)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にメタノール100部と水酸化カリウム3部を仕込み、窒素置換後に、110~130℃でエチレンオキサイド412部を3時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応させて、水酸基価が342mgKOH/gのメタノールのEO付加物であるPAG油(B-6)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0095】
<製造例7 (B-7)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にメタノール100部と水酸化カリウム3部を仕込み、窒素置換後に、110~130℃でエチレンオキサイド412部、プロピレンオキサイド181部を3時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応させて、水酸基価が252mgKOH/gのメタノールのEO/PO付加物であるPAG油(B-7)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0096】
<製造例8 ホウ酸エステル-1>
PAG油(B-6)を100.7部に、オルトホウ酸を11.3部添加し、80℃で溶解させ、130℃、減圧下で水を留去するとともにホウ酸エステル化し、ホウ酸エステル-1を得た。
【0097】
<製造例9 ホウ酸エステル-2>
PAG油(B-7)を107.6部に、オルトホウ酸を1.4部添加し、80℃で溶解させ、130℃、減圧下で水を留去するとともにホウ酸エステル化し、ホウ酸エステル-2を得た。
【0098】
<比較製造例1 (B’-1)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にメタノール100部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後に、110~130℃でプロピレンオキサイド181部を2時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応させて、水酸基価が622.5のメタノールのPO付加物であるPAG油(B’-1)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0099】
<比較製造例2 (B’-2)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にブタノール100部と水酸化カリウム3部を仕込み、窒素置換後に、110~130℃でエチレンオキサイド297部、プロピレンオキサイド2899部を5時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応させて、水酸基価が23.0mgKOH/gのブタノールのEO/PO付加物であるPAG油(B’-2)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0100】
<製造例10~26、比較製造例3>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、表2に記載の種類及び量のアルキレンオキサイド付加物(B)(表においてはPAG油(B)と記載)を投入し、別のガラス製ビーカーに、表2に記載の種類及び量の単量体配合物、連鎖移動剤、及び重合開始剤を投入し、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに投入した。反応容器の気相部の窒素置換(気相酸素濃度100ppm)を行った後、密閉下系内温度を70~80℃に保ちながら、3時間かけて単量体溶液を滴下した。滴下終了から2時間、90℃で熟成した後、120℃に昇温後、同温度で減圧度を0.027~0.040MPaになるまで徐々に減圧し、その後、気泡の発生が完全に消失するまで未反応の単量体を除去した。
上記手順により、共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤組成物(R1)~(R17)、(S1)を得た。得られた粘度指数向上剤組成物中の共重合体(A1)~(A17)及び(A’1)のMwを上記の方法で測定した結果を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
表2に記載の単量体(a)~(e)、連鎖移動剤、重合開始剤は下記のものを用いた。
(a-1):メタクリル酸メチル
(a-2):メタクリル酸エチル
(a-3):メタクリル酸ブチル
(b-1):メタクリル酸ヘキシル
(b-2):メタクリル酸イソデシル
(b-3):Neodol23(シェルケミカルズ社製、炭素数12~13の直鎖又は分岐アルキルアルコール(重量比=直鎖C12:分岐C12:直鎖C13:分岐C13=40:10:40:10)の混合物)のメタクリル酸エステル化物
(b-4):Neodol45(シェルケミカルズ社製、炭素数14~15の直鎖又は分岐アルキルアルコール(重量比=直鎖C14:分岐C14:直鎖C15:分岐C15=40:10:40:10)の混合物)のメタクリル酸エステル化物
(b-5):メタクリル酸n-ヘキサデシル
(b-6):メタクリル酸n-オクタデシル
(b-7):メタクリル酸2-n-デシルテトラデシル
(b-8):メタクリル酸2-n-ドデシルヘキサデシル
(b-9):メタクリル酸2-n-テトラデシルオクタデシル
(d-1):N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート
(e-1):メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
連鎖移動剤
(X-1):ドデシルメルカプタン
重合開始剤
(Z-1):2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)
【0103】
表2~6に記載のアルキレンオキサイド付加物(B)及び沸点向上剤(ホウ酸エステル)は下記のものを用いた。
PAG油(B-1):メタノールのエチレンオキサイド(平均付加モル数0.5)及びプロピレンオキサイド(平均付加モル数1.5)付加物、Mn=141、水酸基価397.4mgKOH/g、HLB=14.57、40℃における動粘度=7.2mm/s
PAG油(B-2):ブタノールのプロピレンオキサイド(平均付加モル数4.5)付加物、Mn=336、水酸基価167.2mgKOH/g、HLB=6.19、40℃における動粘度=9.0mm/s
PAG油(B-3):ブタノールのプロピレンオキサイド(平均付加モル数10.5)付加物、Mn=684、水酸基価82.0mgKOH/g、HLB=5.12、40℃における動粘度=20.5mm/s
PAG油(B-4):ブタノールのプロピレンオキサイド(平均付加モル数19)付加物、Mn=1178、水酸基価47.6mgKOH/g、HLB=4.66、40℃における動粘度=61mm/s
PAG油(B-5):ブタノールのエチレンオキサイド(平均付加モル数6)及びプロピレンオキサイド(平均付加モル数32)付加物、Mn=2197、水酸基価25.5mgKOH/g、HLB=6.2、40℃における動粘度=260mm/s
PAG油(B-6):メタノールのエチレンオキサイド(平均付加モル数3)付加物、Mn=164、水酸基価342mgKOH/g、HLB=23.2、40℃における動粘度=3.9mm/s
PAG油(B-7):メタノールのエチレンオキサイド(平均付加モル数3)及びプロピレンオキサイド(平均付加モル数1)付加物、Mn=222、水酸基価252mgKOH/g、HLB=18.1、40℃における動粘度=6.5mm/s
PAG油(B’-1):メタノールのプロピレンオキサイド(平均付加モル数1)付加物、Mn=90、水酸基価622.5mgKOH/g、HLB=17.14、40℃における動粘度=6.5mm/s
PAG油(B’-2):ブタノールのエチレンオキサイド(平均付加モル数5)及びプロピレンオキサイド(平均付加モル数37)付加物、Mn=2443、水酸基価23.0mgKOH/g、HLB=5.7、40℃における動粘度=320mm/s
ホウ酸エステル-1:PAG油(B-6)のホウ酸エステル化物、40℃における動粘度=6.5mm/s
ホウ酸エステル-2:PAG油(B-7)のホウ酸エステル化物、40℃における動粘度=8.5mm/s
【0104】
<共重合体(A)の基油への溶解性>
粘度指数向上剤組成物(R1)~(R17)及び(S1)の外観を目視で観察し、以下の評価基準で基油への溶解性を評価した。
[評価基準]
○:外観が均一であり、共重合体の不溶解物がない
×:外観が不均一であり、共重合体の不溶解物が認められる
【0105】
<実施例1~10及び比較例1~3(潤滑油組成物の評価)>
撹拌装置を備えたステンレス製容器において、表3記載の配合量になるように粘度指数向上剤組成物及びPAG油(B)を配合して、40℃動粘度が46.0mm/sになるように潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の100℃動粘度、粘度指数、低温粘度(-40℃)を以下の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0106】
<実施例11~12及び比較例4~6(潤滑油組成物の評価)>
撹拌装置を備えたステンレス製容器において、表4記載の配合量になるように粘度指数向上剤組成物及びPAG油(B)を配合して、40℃動粘度が320mm/sになるように潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の40℃動粘度、100℃動粘度、粘度指数、低温粘度(-30℃)を以下の方法で測定した。結果を表4に示す。
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
<実施例13~17及び比較例7~9(潤滑油組成物の評価)>
撹拌装置を備えたステンレス製容器において、表5記載の配合量になるように粘度指数向上剤組成物及びPAG油(B)を配合して、40℃動粘度が20.0mm/sになるように潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の100℃動粘度、粘度指数、低温粘度(-30℃)を以下の方法で測定した。結果を表5に示す。
【0110】
【表5】
【0111】
<実施例18~23、比較例10(潤滑油組成物の評価)>
撹拌装置を備えたステンレス製容器において、表6記載の配合量になるように粘度指数向上剤組成物、PAG油(B)及びホウ酸エステルを配合して、40℃動粘度が6.2mm/sになるように潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の100℃動粘度、粘度指数、低温粘度(-30℃)を以下の方法で測定した。結果を表6に示す。
【0112】
【表6】
【0113】
<潤滑油組成物の粘度指数の計算方法>
ASTM D 445の方法で40℃と100℃における動粘度を測定し、ASTM D 445の方法で計算した。数値が大きいほど粘度指数向上効果が高いことを意味する。
【0114】
<潤滑油組成物の低温粘度(-40℃)の測定方法>
JPI-5S-26-99の方法で-40℃での粘度を測定した。数値が小さいほど低温粘度が低く、低温特性が高いことを意味する。
<潤滑油組成物の低温粘度(-30℃)の測定方法>
JPI-5S-26-99の方法で-30℃での粘度を測定した。数値が小さいほど低温粘度が低く、低温特性が高いことを意味する。
【0115】
表3及び4の結果から、本発明の潤滑剤組成物は、粘度指数及び低温粘度が優れていることがわかる。一方、単量体(a)の重量割合(M)が20重量%を下回る比較例1及び4は、粘度指数が低く劣ることがわかる。さらに、比率{(M)/(OHV)}が0.05未満の比較例2と4.0を超える比較例5は粘度指数が低く、さらに低温粘度が高く、劣ることが分かる。そして、(共)重合体(A)を含有しない比較例3及び6は粘度指数及び低温粘度が著しく劣ることが分かる。
【0116】
表5結果から、40℃動粘度が20mm/sと低い場合も同様に粘度指数及び低温粘度が優れていることがわかる。さらに、表6の結果から、本発明の潤滑剤組成物は、沸点向上剤(ホウ酸エステル)を添加しても優れた粘度指数及び低温粘度を示すことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の潤滑油組成物は、内燃機関油(ガソリン用及びディーゼル用)、トランスミッション油[マニュアルトランスミッション油(MTF)、自動変速機油(ATF)、デュアルクラッチトランスミッション油(DCTF)及びベルトコンティニュアスリーバリアブルトランスミッション油(belt-CVTF)等]、油圧作動油(建設機械用作動油及び工業用作動油等)、ギア油(デファレンシャル油及び工業用ギヤ油等)、トラクション油(トロイダル-CVTF等)、軸受用油、グリース用潤滑油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油に好適に用いられ、特に内燃機関油、トランスミッション油、油圧作動油、ギア油、軸受用油又はグリース用潤滑油として有用である。