(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103428
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 17/08 20060101AFI20240725BHJP
G02B 25/00 20060101ALI20240725BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240725BHJP
G02B 27/28 20060101ALI20240725BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G02B17/08
G02B25/00
G02B5/30
G02B27/28
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086476
(22)【出願日】2023-05-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】202310075205.5
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520128543
【氏名又は名称】エーエーシー オプティクス (チャンジョウ)カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】姜思遠
【テーマコード(参考)】
2H087
2H149
2H199
【Fターム(参考)】
2H087KA23
2H087LA12
2H087PA02
2H087PA18
2H087PB03
2H087QA03
2H087QA07
2H087QA18
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA33
2H087RA45
2H087TA01
2H087TA04
2H087TA06
2H149AA17
2H149AB23
2H149BA01
2H149BA11
2H149DA04
2H149DA11
2H149EA02
2H149EA03
2H149EA22
2H149FC01
2H149FC07
2H149FD09
2H149FD10
2H149FD46
2H149FD48
2H199AB12
2H199AB42
2H199AB47
2H199AB52
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA59
2H199CA63
2H199CA65
2H199CA84
2H199CA87
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光学レンズの分野に関し、光学系を開示する。
【解決手段】光を発射するための映像面と、円偏光板と、第3レンズと、ビームスプリッタと、第2レンズと、1/4波長板と、第1レンズと、反射型偏光フィルムと、絞りとを含み、円偏光板は、映像面の裏側に貼り付けられるように設けられ、ビームスプリッタは、第2レンズの前側面に貼り付けられるように設けられ、第1レンズは、第2レンズと接着され、1/4波長板は、第1レンズと第2レンズとの間に設けられ、反射型偏光フィルムは第1レンズの裏側面に貼り付けられるように設けられ、光学系の最大可視径をVD、光学系における各レンズの最大有効半径をSDmax、光学系の射出瞳距離をL、第1レンズと第2レンズの合成焦点距離をf12、光学系の焦点距離をfにしたときに、VD≧16.00mm、SDmax≦30.00mm、L≦15.00mm、f12/f≦1.00という関係式を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系であって、前側から裏側に向かって、順に、光線を発するための映像面と、円偏光板と、第3レンズと、ビームスプリッタと、第2レンズと、1/4波長板と、第1レンズと、反射型偏光フィルムと、絞りとを含み、
前記円偏光板は、前記映像面の裏側に貼り付けられるように設けられ、前記ビームスプリッタは、前記第2レンズの前側面に貼り付けられるように設けられ、前記第1レンズは、前記第2レンズと接着されており、前記1/4波長板は、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に設けられており、前記反射型偏光フィルムは前記第1レンズの裏側面に貼り付けられるように設けられ、
前記光学系の最大可視径をVD、前記光学系における各レンズの最大有効半径をSDmax、前記光学系の射出瞳距離をL、前記第1レンズと前記第2レンズの合成焦点距離をf12、前記光学系の焦点距離をfにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする光学系。
VD≧16.00mm
SDmax≦30.00mm
L≦15.00mm
f12/f≦1.00
【請求項2】
前記第1レンズと前記第2レンズとの接着面は平面であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第1レンズの裏側面、前記第2レンズの前側面、前記第3レンズの前側面および前記第3レンズの裏側面はいずれも非球面であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
前記ビームスプリッタは半透過半反射膜層であり、その反射率をXにしたときに、45.00%≦X≦65.00%となることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記光学系の画角をFOVにしたときに、85.00°≦FOV≦95.00°を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記光学系の光学全長をTTLにしたときに、TTL≦15.00mmを満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記反射型偏光フィルムの透過軸の透過率は91.00%以上であり、前記反射型偏光フィルムの反射軸の反射率は98.00%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記光学系の光学歪曲収差をDISTにしたときに、|DIST|≦30.00%を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
前記光学系の色収差をLcにしたときに、Lc≦30.00μmを満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
前記光学系の最大可視径内における二乗平均平方根半径の最大値をRMにしたときに、RM≦30.00μmを満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記光学系の主光線入射角をCARにしたときに、CAR≦25.00°を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項12】
前記光学系の光学全長をTTL、前記光学系の焦点距離をfにしたときに、TTL/f≦1.00を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項13】
前記映像面は、ディスプレイであり、そのサイズが1.3インチであることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接眼ディスプレイ技術の分野に関し、特に光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートヘッドマウントデバイスに関する技術が急速に発展しており、光学レンズを搭載した電子機器の応用がより広くなり、光学レンズに対する要求もより多様化になり、仮想現実、拡張現実と複合現実などの分野での応用が急速に成長し、ユーザー体験の観点から、小型で優れた結像方式を兼ね備えた光学系に対する需要が非常に急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の問題に鑑みて、本発明は、優れた光学性能を有するとともに、小型で軽量の設計要件を満たす光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の実施形態には、光学系が提供され、前側から裏側に向かって、順に、光線を発するための映像面と、円偏光板と、第3レンズと、ビームスプリッタと、第2レンズと、1/4波長板と、第1レンズと、反射型偏光フィルムと、絞りとを含み、
前記円偏光板は、前記映像面の裏側に貼り付けられるように設けられ、前記ビームスプリッタは、前記第2レンズの前側面に貼り付けられるように設けられ、前記第1レンズは、前記第2レンズと接着されており、前記1/4波長板は、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に設けられており、前記反射型偏光フィルムは前記第1レンズの裏側面に貼り付けられるように設けられ、
前記光学系の最大可視径をVD、前記光学系における各レンズの最大有効半径をSDmax、前記光学系の射出瞳距離をL、前記第1レンズと前記第2レンズの合成焦点距離をf12、前記光学系の焦点距離をfにしたときに、以下の関係式を満たす。
VD≧16.00mm
SDmax≦30.00mm
L≦15.00mm
f12/f≦1.00
【0005】
好ましくは、前記第1レンズと前記第2レンズとの接着面は平面である。
【0006】
好ましくは、前記第1レンズの裏側面、前記第2レンズの前側面、前記第3レンズの前側面および前記第3レンズの裏側面はいずれも非球面である。
【0007】
好ましくは、前記ビームスプリッタは半透過半反射膜層であり、その反射率をXにしたときに、45.00%≦X≦65.00%となる。
【0008】
好ましくは、前記光学系の画角をFOVにしたときに、85.00°≦FOV≦95.00°を満たす。
【0009】
好ましくは、前記光学系の光学全長をTTLにしたときに、TTL≦15.00mmを満たす。
【0010】
好ましくは、前記反射型偏光フィルムの透過軸の透過率は91.00%以上であり、前記反射型偏光フィルムの反射軸の反射率は98.00%以上である。
【0011】
好ましくは、前記光学系の光学歪曲収差をDISTにしたときに、|DIST|≦30.00%を満たす。
【0012】
好ましくは、前記光学系の色収差をLcにしたときに、Lc≦30.00μmを満たす。
【0013】
好ましくは、前記光学系の最大可視径内における二乗平均平方根半径の最大値をRMにしたときに、RM≦30.00μmを満たす。
【0014】
好ましくは、前記光学系の主光線入射角をCARにしたときに、CAR≦25.00°を満たす。
【0015】
好ましくは、前記光学系の光学全長をTTL、前記光学系の焦点距離をfにしたときに、TTL/f≦1.00を満たす。
【0016】
好ましくは、前記映像面は、ディスプレイであり、そのサイズが1.3インチである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有益な効果は、以下のことにある。
第1レンズと第2レンズを接着し、ビームスプリッタを第2レンズの前側面に貼り付け、1/4波長板を第1レンズと第2レンズの間に設け、反射型偏光フィルムを第1レンズの裏側面に貼り付けることで、光路折り畳み構造を実現し、レンズの半径を制御し、光学系の体積を小さくすることができると同時に、最大可視径を16.00mm以上にすることで、ユーザーが面倒な調整を行わずに、最適な表示効果を得ることができ、小型で高い結像性能を兼ね備えている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施形態における技術考案をより明確に説明し、以下、実施形態の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の図面の説明が、本発明のいくつかの実施例のみを説明するためのものであり、当業者にとっては、創造的な努力を払わなくても、これらの図面からほかの図面も得られる。ここで、
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学系の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す光学系のスポットダイヤグラムである。
【
図3】
図3は、
図1に示す光学系の倍率色収差を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す光学系の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す光学系が膜層構造を備える模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態に係る光学系の一部の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す光学系のスポットダイヤグラムである。
【
図8】
図8は、
図6に示す光学系の倍率色収差を示す図である。
【
図9】
図9は、
図6に示す光学系の像面湾曲及び歪曲収差を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態に係る光学系の一部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳しく説明する。しかし、本発明の各実施形態において、本発明に対する理解を便宜にするために、多くの技術的細部まで記載されているが、これらの技術的細部および以下の各実施形態に基づく種々の変化及び修正がなくても、本発明が保護しようとする技術考案を実現可能であることは、当業者にとっては自明なことである。
(第1実施形態)
【0020】
図1と
図5に示すように、前側から裏側に向かって、順に、光線を発するための映像面11と、円偏光板12と、第3レンズ13と、ビームスプリッタ14と、第2レンズ15と、1/4波長板16と、第1レンズ17と、反射型偏光フィルム18と、絞り19とを含む光学系10が提供されている。
【0021】
前記円偏光板12は、前記映像面11の裏側に貼り付けられるように設けられる。本実施形態では、映像面11は、ディスプレイであり、そのサイズが1.3インチであり、ディスプレイから発する光線が円偏光板12を通過した後、左回り円偏光LCPを形成し、左回り円偏光LCPは、前記第3レンズ13によって屈折されてから、前記ビームスプリッタ14に出射される。
【0022】
前記ビームスプリッタ14は、前記第2レンズ15の前側面151に貼り付けられるように設けられる。前記ビームスプリッタ14に出射された左回り円偏光LCPは、一部が前記ビームスプリッタ14によって反射され、一部が前記第2レンズ15に入射され、この時、前記第2レンズ15に入射される光線が依然として左回り円偏光LCPである。
【0023】
前記第1レンズ17は、前記第2レンズ15と接着されている。接着方式によって光学モジュール全体の体積を小さくすることができる。また、接着によって2枚のレンズを一体構造として形成することで、光学モジュールを組み立てる時、1回の配置だけで2枚のレンズの取り付けを実現することができる。
【0024】
本実施形態では、前記第1レンズ17と前記第2レンズ15との接着面は平面である。つまり、第1レンズ17の前側面171と第2レンズ15の裏側面153はいずれも平面である。
【0025】
前記1/4波長板16は、前記第1レンズ17と前記第2レンズ15との間に設けられている。前記第2レンズ15に入射された左回り円偏光LCPは、前記第2レンズ15によって屈折されてから前記1/4波長板16に出射され、左回り円偏光LCPは1/4波長板16を初回に通過してから直線偏光Sに変換され、直線偏光Sは前記第1レンズ17によって屈折されてから反射型偏光フィルム18に出射され、その後、反射型偏光フィルム18にて再び前記第1レンズ17に反射され、そして前記第1レンズ17によって屈折された後に、1/4波長板16に出射され、このときの光線は依然として直線偏光Sであり、2回目に1/4波長板16を通過した後、左回り円偏光LCPに変換され、2回目に第2レンズ15に入射され、且つ第2レンズ15によって屈折されてから、ビームスプリッタ14に入射され、ビームスプリッタ14にて部分的に反射され、反射された光線が右回り円偏光RCPに変換され、3回目に第2レンズ15に入射され、且つ第2レンズ15によって屈折されてから、1/4波長板16に入射され、1/4波長板16によって直線偏光Pに変換され、前記第1レンズ17に入射され、前記第1レンズ17によって屈折されてから、反射型偏光フィルム18に出射され、反射型偏光フィルム18が直線偏光Sを反射しかつ直線偏光Pを透過させる特性を有しているため、直線偏光Pが反射型偏光フィルム18によって透過されてから絞り19に入射する。
【0026】
絞り19の位置は人間の目の表面をシミュレーションする位置であり、前記絞り19の直径EPDは4.00mmであり、光学系10の最大可視径をVDと定義し、VD=EPD+EYESHIFT*2になり、ここで、EYESHIFT=眼球直径*sin(眼球回転角度)で、眼球直径=12mmと仮定し、眼球回転角度=30°である場合、EYESHIFT=6mmになり、VDが16.00mmであり、VD≧16.00mmを満たす。つまり、人間の目が直径16.00mm以上の範囲内に移動した時、鮮明な画像を見ることができ、ユーザーは面倒な調整なしに最適な位置で最高の表示効果を見ることができ、FOVを増やし、FOVを90°以上に達することができる。
【0027】
光学系10における各レンズの最大有効半径をSDmaxとし、本実施例では、第1レンズ17の有効半径が24.00mm、第2レンズ15の有効半径が24.00mm、第3レンズ13の有効半径が17.20mmで、いずれもSDmax≦30.00mmを満たし、これによって、光学系の体積を減らすことに役立つ。
【0028】
光学系10の射出瞳距離(光学系における第1レンズ17の裏側面173の頂点から射出瞳平面と光軸との交点までの距離)をLとし、本実施形態において、Lは15.00mmであり、L≦15.00mmを満たす。
【0029】
前記第1レンズ17と前記第2レンズ15の合成焦点距離をf12、前記光学系10の焦点距離をfとし、本実施形態では、f12は12.370mm、fは17.708mm、f12/fは0.699であり、f12/f≦1.00を満たす。
【0030】
本実施形態では、前記第1レンズ17の裏側面173、前記第2レンズ15の前側面151、前記第3レンズ13の前側面131および前記第3レンズ13の裏側面133はいずれも非球面である。第1レンズ17、第2レンズ15を非球面に設計することによって、表示画像のフォーカス位置を調整することができ、表示画像の色収差及び歪曲収差を低減し、結像品質を高めることができる。前記第3レンズ13における非球面の適用は、光学系の収差を補正するのに役立つ。他の選択可能な実施形態では、自由曲面を使用することもできる。
【0031】
本実施形態では、第1レンズ17の裏側面173は凹面であり、前記第2レンズ15の前側面151は凸面であり、第3レンズ13の前側面131は凸面であり、第3レンズ13の裏側面133は凹面である。
【0032】
本実施形態では、ビームスプリッタ14は半透過半反射膜層であり、その反射率をXにしたときに、45.00%≦X≦65.00%となる。ビームスプリッタの反射透過比率は、具体的な設計需要に応じて調整できる。
【0033】
光学系10の画角をFOVとし、本実施形態では、FOVは89.73°であり、85.00°≦FOV≦95.00°を満たし、広い画角がより良好なユーザ体験をもたらす。
【0034】
光学系の光学全長(第3レンズ13の前側面131から第1レンズ17の裏側面173までの軸上距離)をTTLとし、本実施形態では、TTLが13.609mmであり、TTL≦15.00mmを満たし、光学系の体積を減らすことに役立つ。
【0035】
本実施形態では、前記反射型偏光フィルム18の透過軸の透過率は91.00%以上であり、前記反射型偏光フィルム18の反射軸の反射率は98.00%以上であり、より高い反射率で光学系10の光線効率を高め、表示輝度を高めることができる。
【0036】
光学系の光学歪曲収差をDISTとし、本実施形態では、DISTは-29.50%であり、|DIST|≦30.00%を満たし、歪曲収差が小さく、ユーザーによりリアルなVR環境を提供できる。
【0037】
光学系10の色収差をLcとし、本実施形態では、Lcは15.14μmであり、Lc≦30.00μmを満たす。
【0038】
光学系10の最大可視径内における二乗平均平方根半径の最大値をRMとし、本実施形態では、RMは19.200μmであり、RM≦30.00μmを満たす。なお、RMは眼球回転角度と1対1で対応しており、例えば、眼球回転角度が30°の場合、RMは人間の目が30°回転した時に得られた結像効果の二乗平均平方根半径の最大値であり、本実施例では19.200μmであり、眼球回転角度が0°の場合、RMは人間の目がレンズの光軸に正対した時に得られた結像効果の二乗平均平方根半径の最大値であり、本実施例では1.873μmであり、本実施形態では、最大値は即ち眼球回転角度が30°の場合にある。他の選択可能な実施形態では、最大値は眼球回転角度30°内における他の角度の二乗平均平方根半径であってもよく、好ましくはRM≦20.00μmを満たす。光学系の設計では、各眼球回転角度の対応する位置の光学性能を管理することで、設計効果が使用者の真実な感覚により近くなり、人間の目はVD範囲内で最適な視覚効果を獲得し、ユーザ体験を高めることができる。
【0039】
光学系の主光線入射角をCARとし、本実施形態では、CARは24.51°であり、CAR≦25.00°を満たす。
【0040】
光学系10の焦点距離をfとし、本実施形態では、TTLは13.609mm、fは17.708mm、TTL/fは0.769であり、TTL/f≦1.00を満たし、光学系の体積を減らすことに役立つ。
【0041】
以下、実施例を用いて本発明の光学系10を説明する。各実施例に記載された記号は下記の通りである。焦点距離、軸上距離、中心曲率半径、軸上厚み、変曲点位置、停留点位置の単位はmmである。
【0042】
表1、表2には、本発明の第1実施形態における光学系10の設定データを示す。
【0043】
【0044】
ここで、各記号の意味は下記の通りである。
R:光学面の中心における曲率半径
R1:第1レンズ17の裏側面173の中心曲率半径
R2:第1レンズ17の前側面171の中心曲率半径
R3:第2レンズ15の裏側面153の中心曲率半径
R4:第2レンズ15の前側面151の中心曲率半径
R5:第3レンズ13の裏側面133の中心曲率半径
R6:第3レンズ13の前側面131の中心曲率半径
d:レンズの軸上厚み、レンズ間の軸上距離(光路を分かりやすくするために、光が裏側から前側に伝播することをプラス値とし、光が前側から裏側に伝播することをマイナス値とする)
d0:絞り19から第1レンズ17の裏側面173までの軸上距離
d1:第1レンズ17の軸上厚み
d2:第1レンズ17の前側面171から第2レンズ15の裏側面153までの軸上距離
d3:第2レンズ15の軸上厚み
d4:第2レンズ15の軸上厚みのマイナス値
d5:第1レンズ17の前側面171から第2レンズ15の裏側面153までの軸上距離のマイナス値
d6:第1レンズ17の軸上厚みのマイナス値
d7:第2レンズ15の前側面151から第3レンズ13の裏側面133までの軸上距離
d8:第3レンズ13の軸上厚み
d9:第3レンズ13の前側面131から映像面11までの軸上距離
nd:d線の屈折率
n1:第1レンズ17のd線の屈折率
n2:1/4波長板16のd線の屈折率
n3:第2レンズ15のd線の屈折率
n4:第3レンズ13のd線の屈折率
vd:アッベ数
v1:第1レンズ17のアッベ数
v2:1/4波長板16のアッベ数
v3:第2レンズ15のアッベ数
v4:第3レンズ13のアッベ数
【0045】
表2には、本発明の第1実施形態における光学系10の各レンズの非球面データを示す。
【0046】
【0047】
便宜上、各レンズ面の非球面は下記の式(1)に示す非球面を使用する。ただし、本発明は、この式(1)に示す非球面多項式形式に限定されていない。
z=(cr2)/{1+[1-(k+1)(c2r2)]1/2}+A4r4+A6r6+A8r8+A10r10+A12r12+A14r14+A16r16+A18r18+A20r20+A22r22+A24r24 (1)
【0048】
ここで、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20、A22、A24は非球面係数であり、cは光学面の中心の曲率であり、rは非球面曲線上の点と光軸との垂直距離であり、zは非球面深さ(非球面における光軸から離れた距離がrである点と、非球面光軸上の頂点に接する接平面との垂直距離)である。
【0049】
図2と
図3は、それぞれ、波長500nm、555nm、560nm、565nm、580nm、600nmの光が第1実施形態における光学系10を通過した後のスポットダイアグラム及び倍率色収差を示す図である。
図4は、波長560nmの光が第1実施形態の光学系10を通過した後の像面湾曲および歪曲収差を示す図であり、
図4の像面湾曲Sはサジタル方向の像面湾曲、Tは子午方向の像面湾曲である。
【0050】
本実施形態では、前記第1レンズ17の焦点距離f1は-99.831mm、前記第2レンズ15の焦点距離f2は66.169mm、前記第3レンズ13の焦点距離f3は192.992mm、前記光学系10の入射瞳径ENPDは4.000mm、全視野像高IHは12.500mm、対角線方向の画角FOVは89.73°であり、光学系10は、小型で、最大可視径が16.00mm以上である設計要求を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を備えている。
(第2実施形態)
【0051】
図6は、本発明の第2実施形態における光学系20を示し、
図10は、
図6に示す光学系が膜層を含む模式図である。第2実施形態は第1実施形態と基本的に同じであり、その記号の意味が第1実施形態と同じであり、以下では相違点のみを列挙する。
【0052】
本実施形態では、第3レンズ13の前側面131は凹面である。
【0053】
表3と表4には、本発明の第2実施形態における光学系20の設定データを示す。
【0054】
【0055】
表4には、本発明の第2実施形態における光学系20の各レンズの非球面データを示す。
【0056】
【0057】
図7と
図8は、それぞれ、波長550nm、555nm、560nm、565nm、570nm、575nm、580nmの光が第2実施形態の光学系20を通過した後のスポットダイアグラム及び倍率色収差を示す図である。
図9は、波長565nmの光が第2実施形態の光学系20を通過した後の像面湾曲および歪曲収差を示す図である。
図9の像面湾曲Sはサジタル方向の像面湾曲、Tは子午方向の像面湾曲である。
【0058】
本実施形態では、前記第1レンズ17の焦点距離f1は-985.238mm、前記第2レンズ15の焦点距離f2は17.983mm、前記第3レンズ13の焦点距離f3は-309.239mm、前記光学系10の入射瞳径ENPDは4.000mm、TTLは13.477mm、最大可視径VDは16.00mm、最大有効半径SDmaxは24.62mm、射出瞳距離Lは15.00mm、第1レンズ17と第2レンズ15の合成焦点距離f12は18.217mm、焦点距離fは18.304mm、f12/fは0.995、TTL/fは0.734、光学歪曲収差|DIST|は29.90%、色収差Lcは26.52μm、最大可視径における二乗平均平方根半径の最大値RMは21.342μm、主光線入射角CARは19.76°、全視野像高IHは12.500mm、対角線方向の画角FOVは88.55°であり、光学系20は、小型で、最大可視径が16.00mm以上である設計要求を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正されており、優れた光学特性を備えている。
(第3実施形態)
【0059】
図11には、本発明の第3実施形態における光学系30を示し、
図15は、
図11に示す光学系が膜層を含む模式図である。第3実施形態は第1実施形態と基本的に同じであり、その記号の意味は第1実施形態と同じであり、以下では相違点のみを列挙する。
【0060】
本実施形態では、第3レンズ13の裏側面133は凸面である。
【0061】
表5と表6には、本発明の第3実施形態における光学系30の設定データを示す。
【0062】
【0063】
表6に本発明の第3実施形態における光学系30の各レンズの非球面データを示す。
【0064】
【0065】
図12と
図13は、それぞれ波長500nm、555nm、560nm、565nm、580nm、600nmの光が第3実施形態における光学系30を通過した後のスポットダイアグラム及び倍率色収差を示す図である。
図14は、波長560nmの光が第3実施形態の光学系30を通過した後の像面湾曲および歪曲収差を示す図である。
図14の像面湾曲Sはサジタル方向の像面湾曲、Tは子午方向の像面湾曲である。
【0066】
本実施形態では、前記第1レンズ17の焦点距離f1は-102.156mm、前記第2レンズ15の焦点距離f2は11.074mm、前記第3レンズ13の焦点距離f3は35.764mm、前記光学系10の入射瞳径ENPDは4.000mm、TTLは14.835mm、最大可視径VDは16.00mm、最大有効半径SDmaxは24.00mm、射出瞳距離Lは15.00mm、第1レンズ17と第2レンズ15の合成焦点距離f12は11.737mm、焦点距離fは14.888mm、f12/fは0.662、TTL/fは0.993、光学歪曲収差|DIST|は19.30%、色収差Lcは22.40μm、最大可視径における二乗平均平方根半径の最大値RMは22.323μm、主光線入射角CARは24.90°、全視野像高IHは12.500mm、対角線方向の画角FOVは93.07°であり、光学系30は、小型で、最大可視径が16.00mmである設計要求を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正されており、優れた光学特性を備えている。
【0067】
上記の各実施形態は本発明を実現するための具体的な実施形態であるが、実際の応用において、本発明の主旨及び範囲から逸脱しない範囲での形式及び細部に対する各種の変更は、いずれも本発明の保護範囲に属することは、当業者であれば理解できるはずである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
光学系であって、前側から裏側に向かって、順に、光線を発するための映像面と、円偏光板と、第3レンズと、ビームスプリッタと、第2レンズと、1/4波長板と、第1レンズと、反射型偏光フィルムと、絞りとから構成され、
前記円偏光板は、前記映像面の裏側に貼り付けられるように設けられ、前記ビームスプリッタは、前記第2レンズの前側面に貼り付けられるように設けられ、前記第1レンズは、前記第2レンズと接着されており、前記1/4波長板は、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に設けられており、前記反射型偏光フィルムは前記第1レンズの裏側面に貼り付けられるように設けられ、
前記光学系の最大可視径をVD、前記光学系における各レンズの最大有効半径をSDmax、前記光学系の射出瞳距離をL、前記第1レンズと前記第2レンズの合成焦点距離をf12、前記光学系の焦点距離をfにしたときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする光学系。
VD≧16.00mm
SDmax≦30.00mm
L≦15.00mm
f12/f≦1.00