(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103438
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
B65H 75/44 20060101AFI20240725BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20240725BHJP
F16L 3/00 20060101ALI20240725BHJP
F16L 3/137 20060101ALI20240725BHJP
F16L 3/133 20060101ALI20240725BHJP
H02G 11/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B65H75/44
H01R13/46 G
F16L3/00 G
F16L3/137
F16L3/133
H02G11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142492
(22)【出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2023007059
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】峯村 知孝
【テーマコード(参考)】
3F068
3H023
5E087
5G371
【Fターム(参考)】
3F068AA14
3F068BA11
3F068CA02
3F068CA04
3F068CA09
3F068CA10
3F068DA05
3F068DB03
3F068EA04
3F068EB03
3F068FA07
3F068GA01
3F068HB14
3H023AA04
3H023AB01
3H023AC61
3H023AC73
3H023AD08
5E087EE10
5E087MM07
5E087MM08
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR25
5G371AA05
5G371BA05
5G371CA04
(57)【要約】
【課題】充電ケーブルへの装着が容易な吊り具を備えた充電装置を提供する。
【解決手段】充電装置1は、先端部に車両に接続されるコネクタ部3aを備え基端側が電源に接続される充電ケーブル3、先端部が充電ケーブル3の先端側に係止されるワイヤ5、ワイヤ5を基端側へ巻き取る巻き取りリール6、ワイヤ5に対して充電ケーブル3を変位可能に吊支する複数の吊り具7を具備する。吊り具7は、吊り具本体8と結束バンド9とを具備する。吊り具本体8は固定部81とワイヤガイド部82を有し、ワイヤガイド部82の開口82aにワイヤ5が通される。吊り具本体8は、第1及び第2のバンド挿通孔81c、81dに通した結束バンド9で充電ケーブル3に固定される。結束バンド9は、バンド挿通孔81cに通して保持した状態で、バンド挿通孔81d、頭部92への挿通を行い、凹部81bにある頭部92を指で押さえて締め付け作業ができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に車両に接続されるコネクタ部を備え基端側が電源に接続される充電ケーブルと、先端部が前記充電ケーブルの先端側に係止具を介して係止されるワイヤと、当該ワイヤを基端側へ巻き取るための巻き取りリールと、前記ワイヤに対して前記充電ケーブルを延長途上の複数箇所で変位可能に吊支する複数の吊り具とを具備する充電装置であって、
前記吊り具は、前記ワイヤを摺動自在に挿通させる本体と、当該本体を前記充電ケーブルに固定する結束バンドとを具備し、
前記吊り具の本体は、前記充電ケーブルの外周に密着して固定される固定部と、当該固定部から前記充電ケーブルの半径方向外側に起立し前記ワイヤを挿通させるガイド開口を有するワイヤガイド部とを具備し、
前記ガイド開口は、当該開口の内周を含む仮想面が、前記固定部が密着する部位における前記充電ケーブルの軸線方向に対して傾斜して設けられていることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
先端部に車両に接続されるコネクタ部を備え基端側が電源に接続される充電ケーブルと、先端部が前記充電ケーブルの先端側に係止具を介して係止されるワイヤと、当該ワイヤを基端側へ巻き取るための巻き取りリールと、前記ワイヤに対して前記充電ケーブルを延長途上の複数箇所で変位可能に吊支する複数の吊り具とを具備する充電装置であって、
前記吊り具は、前記ワイヤを摺動自在に挿通させる本体と、当該本体を前記充電ケーブルに固定する結束バンドとを具備し、
前記吊り具の本体は、前記充電ケーブルの外周に密着して固定される固定部と、当該固定部から前記充電ケーブルの半径方向外側に起立し前記ワイヤを挿通させるガイド開口を有するワイヤガイド部とを具備し、
前記固定部は、前記充電ケーブルの外周に沿う円弧状凹面からなる湾曲底面部と、前記結束バンドの頭部を受け入れるように前記充電ケーブルの延長方向と直交する一側方へ開放した凹部と、当該凹部から前記湾曲底面部側へ貫通して前記結束バンドの帯部を挿通させる第1のバンド挿通孔と、当該凹部から前記一側方の反対側の他側方へ貫通し前記第1のバンド挿通孔を介して前記充電ケーブルを周回した前記結束バンドの帯部をさらに挿通させて当該帯部の先端側を前記頭部の挿通孔へ導く第2のバンド挿通孔とを具備し、
前記凹部は、前記充電ケーブルの延長方向の両側に対向する一対の側壁部と、当該側壁部間に形成され他側方側へ傾く背面部と、当該背面部の下端に接続する底面部とを具備し、
前記第1のバンド挿通孔は、前記底面部を前記湾曲底面部側へ貫通し、前記第2のバンド挿通孔は、前記背面部を他側方へ貫通し、かつ前記背面部に対して、直角のバンドガイド面を内側に具備することを特徴とする充電装置。
【請求項3】
先端部に車両に接続されるコネクタ部を備え基端側が電源に接続される充電ケーブルと、先端部が前記充電ケーブルの先端側に係止具を介して係止されるワイヤと、当該ワイヤを基端側へ巻き取るための巻き取りリールと、前記充電ケーブルのコネクタ部を着脱自在に保持するコネクタホルダと、前記ワイヤに対して前記充電ケーブルを延長途上の複数箇所で変位可能に吊支する複数の吊り具とを具備する充電装置であって、
前記巻き取りリールは、ケースと、前記ワイヤを巻き取るために当該ケース内に支持される巻き取りドラム及び当該巻き取りドラムを前記ワイヤの巻き取り方向に付勢する巻き取りばねと、前記ケースを充電器の垂直壁面に取り付ける取り付け部材と、前記ケースの下部から下方へ延出し下端部において前方へ湾曲するケーブルフック体とを具備し、
前記ケースは、前記取り付け部材に対して垂直の枢軸により左右に水平回転自在に支持され、前記枢軸より前方の下部に前記ワイヤの導出口を有すると共に、当該導出口の内側下縁部に前記ワイヤを下方へ屈折させるように載せ受ける水平ローラを具備し、
前記コネクタホルダは、前記ケースの上方に位置して前記充電器の垂直壁面に取り付けられることを特徴とする充電装置。
【請求項4】
先端部に車両に接続されるコネクタ部を備え基端側が電源に接続される充電ケーブルと、先端部が前記充電ケーブルの先端側に係止具を介して係止されるワイヤと、当該ワイヤを基端側へ巻き取るための巻き取りリールと、前記ワイヤに対して前記充電ケーブルを延長途上の複数箇所で変位可能に吊支する複数の吊り具とを具備する充電装置であって、
前記係止具は、断面U字状の嵌合溝により前記充電ケーブルの外周に嵌合するように弾性樹脂で一体成形された係止具本体と、当該係止具本体を前記充電ケーブルに固着する結束バンドと、前記ワイヤの先端部に係合する切り込み付きの抜け止め板とを具備し、
前記係止具本体は、前記ワイヤを、先端部に固着された係止体もろとも挿通させるが、当該係止体に係合された前記抜け止め板の挿通を不能とするワイヤ挿通孔と、当該ワイヤ挿通孔に通じ前記ワイヤを前記切り込みに係合させた前記抜け止め板を保持する保持空間を具備することを特徴とする充電装置。
【請求項5】
前記係止具本体は、胴部と、当該胴部の両端部のフランジ部とを具備し、
前記胴部の中央に、前記係止体に係合された前記抜け止め板の保持空間と当該保持空間に通じる前記ワイヤ挿通孔とを有するブッシュ部を具備し、
前記胴部のブッシュ部の両側の前記フランジ部との間に前記結束バンドを受け入れる溝が形成されることを特徴とする請求項4に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両用の充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動車両用の充電装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この充電装置は、先端部に車両に接続されるコネクタ部を備え基端側が電源に接続される充電ケーブルと、先端部が充電ケーブルの先端側に固定具を介して係止されるワイヤと、このワイヤを基端側へ巻き取るための巻き取りリールと、ワイヤに対して充電ケーブルを延長途上の複数箇所で変位可能に吊支するように充電ケーブルに取り付けられた複数の吊り具とを具備する。
また、特許文献2には、上記のような充電装置における吊り具が、ケーブルに対する固定部とワイヤを摺動自在に通す摺接部とを有し、摺接部が固定部に対して回転可能に構成されており(
図4)、それにより、摺接部が、ワイヤとの摩擦抵抗が小さくなる向きに自動的に回転して摩擦抵抗の発生を抑制することが記載されている。
特許文献3には、電源コードの供給装置が記載されている。この装置は、搬送機器側に先端が固定され、基端側が電源側の巻取機によって巻き取られるように張られたワイヤと、搬送機器側と電源側末端が固定された電源コードとを有し、電源コードは、ワイヤ上を自在に移動するフックにより螺旋状に吊られる。搬送機器の移動に対し、電源コードが追従する。
特許文献4には、電動車両用の充電ケーブルに用いられる結束体が記載されている。この結束体は、特許文献1に記載の電動車両用の充電装置における吊り具に当たるもので、結束ヘッダー(吊り具本体)と、結束バンドとを具備する。吊り具本体には、ワイヤが挿入される環状部が設けられており、結束バンドにより充電ケーブルに固定される。結束バンドは、三角形状の複数の係止突起が設けられたバンド部と、係止突起が係止される係止片が設けられたヘッド部とを有する。吊り具本体は、結束バンドのヘッド部を係止することができるヘッド係止部を備える。ヘッド係止部は、結束バンドのヘッド部を側方から嵌合させることができる凹部であり、側方に開放している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-81874号公報
【特許文献2】実用新案登録第3190718号公報
【特許文献3】実開昭52-2458号公報
【特許文献4】特開2017-40286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の
図4に記載された充電装置における吊り具は、固定部と摺接部とが別体であって、かつ、固定部と摺接部とが連結及び切り離し可能な構成となって、一体構成のものに比して、構造が複雑で、製作が容易でなく、比較的高価なものとならざるを得ない。
特許文献4に記載された、ワイヤに充電ケーブルを吊るための吊り具として用いられる結束体においては、充電ケーブルへの装着時に、使用者が、側方へ開放しているヘッド係止部に結束バンドのヘッド部を嵌め込み、このヘッド部を指で押さえつつ、結束ヘッダーと充電ケーブルを握って両者を位置決めした状態で、バンド部を充電ケーブルに回し、ヘッド部の挿入孔にバンド部の先端部を挿入する作業を要する。この作業は、結束ヘッダー、結束バンド、充電ケーブルの三者を片手で同時に支持して行う繁雑な作業である。
特許文献1,3に記載されたいずれの充電装置においても、充電ケーブルの収納時に、ワイヤの巻き取りにしたがって、コイル状に重なって集束される充電ケーブルの重量が、ワイヤ巻き取りリールのばね力を超える場合には、ワイヤを完全に巻き取ることができず、したがって、充電ケーブルの集束部を地上に引き上げて保持することができず、充電ケーブルが汚損やすいという問題点がある。
また、特許文献1,3に記載されたいずれの充電装置においても、ワイヤの先端部を充電ケーブルの先端側に固定するための係止具について具体的な構造の提案がない。この係止具は、コネクタ部の近くに取り付けられるため、充電作業時に車両に接触して傷つけることがないように、弾性素材で、表面に金属部材が露出しないように構成され、しかも取り付けが容易であることが求められる。
従って、第1の発明は、単純な構成で安価に製作でき、ケーブルを引き出す際の摩擦抵抗を抑制できる吊り具を含む充電装置を提供することを課題とする。
第2発明は、充電ケーブルへの装着が容易な吊り具を含む充電装置を提供することを課題とする。
第3の発明は、充電ケーブルの収納時に、充電ケーブルの集束部を地上に間隔を置いて保持できる充電装置を提供することを課題とする。
第4の発明は、取り付けが容易で、充電作業時に車両に接触して傷つけることがない、ワイヤと充電ケーブルとの係止具を含む充電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明において添付図面の符号を参照するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、第1の発明は、先端部に車両に接続されるコネクタ部3aを備え基端側が電源に接続される充電ケーブル3と、先端部が充電ケーブル3の先端側に係止具4を介して係止されるワイヤ5と、当該ワイヤ5を基端側へ巻き取るための巻き取りリール6と、ワイヤ5に対して充電ケーブル3を延長途上の複数箇所で変位可能に吊支する複数の吊り具7とを具備する充電装置であって、吊り具7は、ワイヤ5を摺動自在に挿通させる本体8と、当該本体8を充電ケーブル3に固定する結束バンド9とを具備する。吊り具の本体8は、充電ケーブル3の外周に密着して固定される固定部81と、当該固定部81から充電ケーブル3の半径方向外側に起立しワイヤ5を挿通させるガイド開口82aを有するワイヤガイド部82とを具備する。ガイド開口82aは、当該開口の内周を含む仮想面が、固定部81が密着する部位における充電ケーブル3の軸線方向に対して傾斜して設けられる。
第2の発明は、前記同様の充電装置1であって、結束バンド9が、鋸歯状凹凸部を有する帯部91と、当該帯部91の基端に設けられ帯部91が先端部側から挿通される挿通孔を有する頭部92と、挿通孔の内側に設けられ鋸歯状凹凸部と係合する係止部とを備える。本体8の固定部81は、充電ケーブル3の外周に沿う円弧状凹面からなる湾曲底面部81aと、結束バンド9の頭部92を受け入れるように充電ケーブル3の延長方向と直交する一側方へ開放した凹部81bと、当該凹部81bから湾曲底面部81a側へ貫通して帯部91を挿通させる第1のバンド挿通孔81cと、当該凹部81bから他側方へ貫通し第1のバンド挿通孔81cを介して充電ケーブル3を周回した結束バンド9の帯部91をさらに挿通させて当該帯部91の先端側を頭部92の挿通孔へ導く第2のバンド挿通孔81dとを具備する。凹部81bは、充電ケーブル3の延長方向の両側に対向する一対の側壁部81eと、当該側壁部81e間に形成され他側方側へ傾く背面部81fと、当該背面部81fの下端に接続する底面部81gとを具備する。第1のバンド挿通孔81cは、凹部81bの底面部81gを湾曲底面部81a側へ貫通し、第2のバンド挿通孔81dは、背面部81fを他側方へ貫通し、かつ背面部81fに対して、直角のバンドガイド面81hを内側に具備する。一対の側壁部81eの間隔は、結束バンド9の頭部92の挿通孔に、第2のバンド挿通孔81dから導出された帯部91の先端側を挿通させるときに、使用者が親指の先を押し入れて頭部92を背面部91に押し付け可能な寸法に設けられる。
第3の発明は、前記同様の充電装置1であって、巻き取りリール6は、ケース61と、ワイヤ5を巻き取るために当該ケース61内に支持される巻き取りドラム62及び当該巻き取りドラムをワイヤ5の巻き取り方向に付勢する巻き取りばね63と、ケース61を充電器2の垂直壁面に取り付ける取り付け部材64と、ケース61の下部から下方へ延出し下端部において前方へ湾曲するケーブルフック体67とを具備する。ケース61は、取り付け部材64に対して垂直の枢軸65により左右に水平回転自在に支持され、枢軸65より前方の下部にワイヤ5の導出口61aを有すると共に、当該導出口61aの内側下縁部にワイヤを下方へ屈折させるように載せ受ける水平ローラ66を具備する。コネクタホルダ3aは、ケース6の上方に位置して充電器2の垂直壁面に取り付けられる。
第4の発明は、上記同様の充電装置1であって、係止具4は、断面U字状の嵌合溝41aにより充電ケーブル3の外周に嵌合するように弾性樹脂で一体成形された係止具本体41と、当該係止具本体41を充電ケーブル3に固着する結束バンド42と、ワイヤ5の先端部に係合する切り込み43a付きの抜け止め板43とを具備する。係止具本体41は、ワイヤ5を、先端部に固着された係止体5aと共に挿通させるが、当該係止体5aに係合された抜け止め板43の挿通を不能とするワイヤ挿通孔41fを具備する。
【発明の効果】
【0006】
第1の発明によれば、充電ケーブルの引き出し操作の過程において生じる、ワイヤと吊り具のガイド開口周縁部との間の摩擦抵抗を小さく抑えられるため、比較的小さな力で充電ケーブルの引き出し操作を行うことができる吊り具を含む充電装置が得られる。
第2の発明によれば、充電ケーブルへの装着が容易な吊り具を含む充電装置が得られる。
第3の発明によれば、充電ケーブルの収納時に、充電ケーブルの集束部をフックで支持し、地上に間隔を置いて保持できる充電装置を提供できる。
第4の発明によれば、取り付けが容易で、充電作業時に車両に接触して傷つけることがない、ワイヤと充電ケーブルとの係止具を含む充電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の充電装置の使用状態の説明図である。
【
図2】本発明の充電装置の収納状態の説明図である。
【
図3】本発明の充電装置における充電ケーブルに取り付けられた状態の吊り具を示す斜視図である。
【
図4】充電ケーブルに取り付けられた状態の吊り具を示すもので、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)はc-c断面図である。
【
図5】本発明の充電装置における吊り具の本体を示す斜視図である。
【
図6】
図5の吊り具の本体を示すもので、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は背面図、(D)はd-d断面図である。
【
図7】本発明の充電装置における吊り具の充電ケーブルへの装着過程を順を追って示す断面図である。
【
図8】本発明の充電装置における巻き取りリールの斜視図である。
【
図10】
図6の巻き取りリールの一部を切欠した側面図である。
【
図11】本発明の充電装置における係止具の装着状態の斜視図である。
【
図13】
図11の係止具を示すもので、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図、(D)は底面図、(E)はe-e断面図である。
【
図14】本発明の他の実施形態の充電装置のケーブル収納状態の説明図である。
【
図15】本発明の他の実施形態の充電装置のケーブル収納状態における吊り具を示す斜視図である。
【
図16】
図15の状態の吊り具を示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【
図17】本発明の他の実施形態の充電装置のケーブル引き出し状態における吊り具を示すもので、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)はc-c断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施形態に係る充電装置1は、
図1に示すように、先端部に車両10に接続されるコネクタ部3aを備え、基端側が充電器2の電源に接続される充電ケーブル3と、先端部が充電ケーブル3の先端側に係止具4を介して係止されるワイヤ5と、当該ワイヤ5を基端側へ巻き取るための巻き取りリール6と、ワイヤ5に対して充電ケーブル3を延長途上の複数箇所で変位可能に吊支する複数の吊り具7とを具備する。
【0009】
図2に示すように、コネクタ部3aは、不使用時には、充電器2に取り付けられたコネクタホルダ10に保持され、充電ケーブル3はコイル状に集束され、フック体67に掛けられる。
【0010】
吊り具7は、図示の実施形態において充電ケーブル3上に2個取り付けられているが、充電ケーブル3の長さに応じてこれより多数取り付けることができる。
図2に示すように、充電ケーブル3の収納時には、充電ケーブル3に、各吊り具7ごとに1つの輪が形成され、全体としてコイル状に集束するようになっている。
【0011】
図3,4に示すように、吊り具7は、ワイヤ5を摺動自在に挿通させる本体8と、当該本体8を充電ケーブル3に固定する結束バンド9とを具備する。
【0012】
結束バンド9は、図示しない鋸歯状凹凸部を有する帯部91と、当該帯部91の基端に設けられ、帯部91が先端部側から挿通される挿通孔93を有する頭部92と、挿通孔93の内側に設けられ、鋸歯状凹凸部と係合する図示しない係止部とを備える公知の構造のものである。
【0013】
図5,6によく示すように、吊り具7の本体8は、合成樹脂で一体成形されたもので、充電ケーブル3の外周に密着して固定される固定部81と、ワイヤ5を挿通させるワイヤガイド部82とを具備する。ワイヤガイド部82は、固定部81から充電ケーブル3の半径方向外側に起立し、充電ケーブル3の延長方向と直交する方向に向いて開口するガイド開口82aを有する。ワイヤガイド部82は、
図1によく示すように、ワイヤ5を充電ケーブル3の延長方向に沿うように自由に挿通させる。
【0014】
固定部81は、充電ケーブル3の外周に沿う円弧状凹面からなる湾曲底面部81aと、結束バンド9の頭部92を受け入れるように充電ケーブル3の延長方向と直交する一側方へ開放した凹部81bと、当該凹部81bから湾曲底面部81a側へ貫通する第1のバンド挿通孔81cと、凹部81bから他側方へ貫通する第2のバンド挿通孔81dとを有する。
【0015】
第1のバンド挿通孔81cは、
図7に示すように、結束バンド9の帯部91を、凹部81bから湾曲底面部81a側へ挿通させる。第2のバンド挿通孔81dは、第1のバンド挿通孔81cを介して充電ケーブル3を周回した帯部91をさらに凹部81b側へ挿通させ、帯部91の先端側を頭部92の挿通孔へ導く。
【0016】
凹部81bは、充電ケーブル3の延長方向の両側に対向する一対の側壁部81eと、当該側壁部81e間に形成され、他側方側へ傾く背面部81fと、当該背面部81fの下端に接続する底面部81gとを具備する。
【0017】
第1のバンド挿通孔81cは、底面部81gを湾曲底面部81a側へ貫通し、第2のバンド挿通孔81dは、背面部81fを他側方へ貫通し、かつ背面部81fに対して、直角のバンドガイド面81hを内側に具備する。一対の側壁部81eの間隔は、結束バンド9の頭部92の挿通孔に、第2のバンド挿通孔81dから導出された帯部91の先端側を挿通させるときに、
図7(B)に示すように、使用者が親指の先を押し入れて頭部92を背面部81fに押し付け可能な寸法に設けられる。
【0018】
巻き取りリール6は、
図1,2に示すように、コネクタホルダ12の下方に位置して、充電器2の垂直壁面に取り付けられる。
図8ないし
図10によく示すように、巻き取りリール6は、ケース61と、ワイヤ5を巻き取るためにケース61内に支持される巻き取りドラム62及び当該巻き取りドラム62をワイヤ5の巻き取り方向に付勢する巻き取りばね63と、ケース61を充電器2の垂直壁面に取り付ける取り付け部材64等を具備する。
【0019】
ケース61は、取り付け部材64に対して垂直の枢軸65により左右に水平回転自在に支持され、枢軸65より前方の下部に、ワイヤ5の導出口61aを具備する。
【0020】
導出口61aの内側下縁部には、巻き取りドラム62から引き出されるワイヤ5を下方へ屈折させるように載せ受ける水平ローラ66が、ケース61に対して回転自在に支持される。
【0021】
ケーブルフック体67が、ケース61の下部から下方へ延出し、下端部において前方へ湾曲するように設けられる。ケーブルフック体67は、所定の弾性を有する金属板材で構成される。
【0022】
充電ケーブル3の不使用時おいては、
図2に示すように、ワイヤ5が巻取ドラム62によりケース61内へ巻き取られた状態にある。この場合、ワイヤ5が巻き取られた状態にあることで、充電ケーブル3はコイル状にまとめられ、ケーブルフック体67に掛けられた状態とされる。
【0023】
図2に示すように、?充電ケーブル3がケーブルフック体67に掛けられた状態から、
図1に示すように、車両10側に引き出されると、これに伴い、ワイヤ5が巻取ドラム62から引き出される。この引き出し状態においてコネクタ部3aが車両10の充電口11に接続されると、充電ケーブル3がワイヤ5に吊り下げられた状態となる。
【0024】
コネクタ部3aが車両10から取り外され、使用者が充電ケーブル3を収納するために充電器2側へ近づくと、巻取ばね63の弾性力により巻取ドラム62が回転し、ワイヤ5がケース61内の巻取ドラム62に巻き取られる。このワイヤ5の巻き取りに伴い、吊り具7間が接近すると共に、充電ケーブル3がコイル状に巻かれて集束するようになっている。
【0025】
巻取ドラム62から延出するワイヤ5は、充電ケーブル3の自重を受け、
図10に示すように、水平ローラ66上で下方へ屈折した状態となる。ワイヤ5の引き出し、巻き取り時には、水平ローラ66が回転し、円滑にワイヤ5を移動させる。
【0026】
充電ケーブル3がコイル状に集束した状態で、例えば使用者が充電ケーブル3の先端側をワイヤ5と共に引き上げると、コイル状の集束部分がまとまって引き上げられ、容易にケーブルフック体67に掛けられる。巻取ばね63の弾性力が相当に高ければ、充電ケーブル3をケーブルフック体67に掛けることなく、ワイヤ5の引き上げ力のみで地上から引き離して保持することができる。
【0027】
図11に示すように、ワイヤ5の先端部を充電ケーブル3に固定する係止具4は、弾性樹脂で一体成形された係止具本体41と、係止具本体41を充電ケーブルに固着する結束バンド42と、ワイヤ5の先端部に係合する抜け止め板43(
図12)とを具備する。
【0028】
図12,13によく示すように、係止具本体41は、断面U字状の嵌合溝41aにより充電ケーブル3の外周に嵌合する。係止具本体41は、胴部41bと、当該胴部41bの両端部のフランジ部41cとを具備する。胴部41bの中央に抜け止め板43の保持空間41dと当該保持空間41dに通じるワイヤ挿通孔41eとを有するブッシュ部41fを具備する。
【0029】
ブッシュ部41fとフランジ部41cとの間に、結束バンド42を受け入れる溝41gが形成される。
図11に示すように、係止具本体41は、溝41gに回された2本の結束バンド42で充電ケーブル3に締め付け固着される。
【0030】
ワイヤ5の先端部には、係止体5aが固着されている(
図12)。ワイヤ挿通孔41eは、係止体5aを通すが、抜け止め板43を通さない内径である。したがって、外側からワイヤ挿通孔41eを通して保持空間41dへワイヤ5の先端部を挿入することができる。
【0031】
抜け止め板43は、保持空間41dに嵌まる円盤で、ワイヤ5を通すが、係止体5aを通さない半径方向の切り込み43aを有する(
図12)。一方、保持空間41dには、切り込み43aに、深さの途上まで嵌まる突片41h(
図13D,E)が形成されている。突片41hが保持空間41d内で切り込み43aに係合することで、抜け止め板43が固定されると共に、その先端と切り込み5aの終端との間にワイヤ5を挿通させ、係止体5aを抜け止めする。
【0032】
係止具4は、車両10の充電口11にコネクタ部3aを抜き差しする作業中に車両10に接触、衝突する可能性があるが、弾性素材であり、ねじ等の金属部材が露出していないから車体を傷付けることがない。充電ケーブルへの固定は容易で確固である。
【0033】
図14ないし
図17に本発明の他の実施形態を示す。同図において、先の実施形態と同等の構成部には同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態の吊り具本体8におけるワイヤガイド部82は、固定部81から充電ケーブル3の半径方向外側に起立する。
図16(B)に示すように、ワイヤガイド部82のガイド開口82aは、当該開口82aの内周を含む仮想面Sが、固定部81が密着する部位における充電ケーブル3の軸線L方向に対して傾斜して設けられている。図示の実施形態において傾斜角度は約45°であるが、これに限定されない。
【0034】
この実施形態における固定部81は、先の実施形態と異なり、単一のバンド挿通孔81iを有する。したがって、結束バンド9の帯部91は、先端側を上方からバンド挿通孔81iへ挿通され、湾曲底面部81a側へ抜け、充電ケーブル3を周回し、ガイド開口82aを介して、頭部92に挿通係止される。
【0035】
充電ケーブル3は、不使用時において
図14に示すように、コイル状に巻かれて収納される。
図15,16は、収納状態の充電ケーブル3とガイドワイヤ5と吊り具7を示している。この状態で、ガイドワイヤ5は、充電ケーブル3に対して、平面視でほぼ直交する方向に直線的に配置される(
図16(B))。すなわち、ガイドワイヤ5は、ガイド開口82aの左右の周縁に接触して蛇行することなく、平面視で真っ直ぐに延びている。
【0036】
図17は、充電ケーブル3を引き出した状態におけるガイドワイヤ5と吊り具7を示している。充電ケーブル3をガイドワイヤ5と共に引き出すと、充電ケーブル3は、吊り具7と共に、収納状態(
図16(B))から、平面視において、ほぼ90°垂直軸周りに回転した配置(
図17(B))となる。この状態においても、ガイドワイヤ5は、ガイド開口82aの左右の周縁に接触して蛇行することなく、平面視で真っ直ぐに延びている。このため、充電ケーブル3の引き出し作業時においても、吊り具7とガイドワイヤ5との摺動抵抗が増大することなく、したがって、軽快に充電ケーブル3の引き出し作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 充電装置
2 充電器
3 充電ケーブル
3a コネクタ
4 係止具
41 係止具本体
41a 嵌合溝
41b 胴部
41c フランジ部
41d 保持空間
41e ワイヤ挿通孔
41f ブッシュ部
41g 溝
41h 突片
42 結束バンド
43 抜け止め板
43a 切り込み
5 ワイヤ
5a 係合体
6 ワイヤリール
61 ケース
61a ワイヤ導出口
62 巻き取りドラム
63 ばね
64 取り付け部材
65 枢軸
66 水平ローラ
67 ケーブルフック体
7 係止具
8 係止具本体
81 固定部
81a 湾曲底面部
81b 凹部
81c 第1のバンド挿通孔
81d 第2のバンド挿通孔
81e 側壁部
81f 背面部
81g 底面部
81h バンドガイド面
81i バンド挿通孔
82 ワイヤガイド部
82a ガイド開口
9 結束バンド
91 帯部
92 頭部
10 車両
11 充電口
12 コネクタホルダ