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特開2024-103441有価物選別システム、その運転方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103441
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】有価物選別システム、その運転方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20240725BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B07C5/342
G01N21/85 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180115
(22)【出願日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2023007470
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】石田 健二
【テーマコード(参考)】
2G051
3F079
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB01
2G051BA02
2G051CA04
2G051CB01
2G051DA13
2G051EB10
3F079AB00
3F079CA44
3F079CB29
3F079CB35
3F079CC01
3F079CC03
3F079DA06
3F079DA11
3F079EA01
3F079EA08
3F079EA15
3F079EA19
(57)【要約】
【課題】コンプレッサの能力を極力小さく抑えつつ、歩留まり低下を軽減できるとともに、有価物の純度を所要値に維持できる技術を提供する。
【解決手段】有価物選別システム1は、搬送経路上の選別対象物Obを撮像する撮像手段4と、複数の吸引ノズルNx,nxと、撮像データから選別対象物Ob中の異物Cxを検出可能な学習済モデルを備える情報処理装置とを有する。学習済モデルは、異物Cxを特定する識別情報を推定可能である。情報処理装置は、識別情報に基づいて異物Cxの吸引に要する吸引時間帯を算出し、吸引時間帯が重複する吸引ノズルNx,nxの数が最大同時作動可能数を超える競合状態において、複数の異物Cxの吸引優先度を規定し、吸引優先度に基づいて、作動対象の吸引ノズルNx,nxの数が最大同時作動可能数内に収まるよう、吸引対象とする異物Cxを限定する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路上の選別対象物を撮像して撮像データを取得する撮像手段と、
前記撮像手段の下流側に配置された複数の吸引ノズルと、
前記吸引ノズルおよび前記撮像手段の双方と通信可能に接続された情報処理装置と、
を備え、有価物および異物の混在した前記選別対象物から前記異物を検出・除去することで前記有価物を回収する有価物選別システムであって、
前記情報処理装置は、
前記撮像データが入力されることで前記選別対象物に含まれる前記異物の存在を検出し、かつ、前記異物を特定する識別情報を推定可能な学習済モデル
を備え、
前記情報処理装置は、
前記識別情報に基づいて、前記異物の吸引に要する吸引時間帯を算出し、
複数の前記異物の吸引時間帯が重複することにより、全ての前記異物を吸い残しなく吸引しようとすると、作動対象の前記吸引ノズルの数が最大同時作動可能数を超えることを条件に、全ての前記異物を吸い残しなく吸引することが不可能な競合状態であると判定し、
前記識別情報に基づいて、前記競合状態であると判定された複数の前記異物の吸引優先度を決定し、
前記吸引優先度に基づいて、作動対象の前記吸引ノズルの数が前記最大同時作動可能数内に収まるよう、吸引対象とする前記異物を限定することを特徴とする有価物選別システム。
【請求項2】
前記識別情報は、
前記異物が前記搬送経路上に占める範囲を示すエリア情報
を含む、請求項1に記載の有価物選別システム。
【請求項3】
前記識別情報は、
前記異物の種類情報
をさらに含み、
前記情報処理装置には、前記種類情報に紐づいた各種異物の標準密度値が予め設定登録され、
前記情報処理装置は、
前記エリア情報のサイズと前記標準密度値とに基づいて前記異物の重量情報を算出し、
前記重量情報に基づいて、前記吸引優先度を決定することを特徴とする、請求項2に記載の有価物選別システム。
【請求項4】
複数の前記吸引ノズルは、互いに口径の異なる吸引ノズルを含み、
前記情報処理装置は、前記エリア情報に基づいて、前記異物の吸引に必要最小な口径の前記吸引ノズルを作動対象として選択することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の有価物選別システム。
【請求項5】
前記搬送経路の全幅に亘って配設された、同一口径を有する複数の前記吸引ノズルで構成されるノズル列
を前記吸引ノズル口径毎に複数有し、
前記識別情報は、
前記異物の位置情報
をさらに含み、
前記情報処理装置は、前記エリア情報のサイズおよび前記位置情報に基づいて、必要最小な口径を有し、かつ、前記位置情報に対応する位置に配置された前記吸引ノズルを作動対象として選択することを特徴とする、請求項4に記載の有価物選別システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記異物の検出時に、前記エリア情報のサイズが所定のサイズ下限値を下回ることを条件に、前記異物に対する前記吸引ノズルの作動を見送ることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の有価物選別システム。
【請求項7】
前記識別情報は、
前記異物の検出結果の確度を表す信頼度情報
をさらに含み、
前記情報処理装置は、前記異物の検出時に、前記信頼度情報が所定の信頼度下限値を下回ることを条件に、前記異物に対する前記吸引ノズルの作動を見送ることを特徴とする、請求項6に記載の有価物選別システム。
【請求項8】
有価物および異物の混在した選別対象物中の異物を、互いに口径の異なる吸引ノズルを含む複数の吸引ノズルを用いて有価物中の異物を吸引する方法であって、
a)搬送経路上の選別対象物を撮像して撮像データを取得する工程と、
b)学習済モデルが、前記撮像データに含まれる前記異物を検出する工程と、
c)前記学習済モデルが、検出した前記異物を特定する識別情報を推定する工程と、
d)前記識別情報に基づいて、検出した前記異物の吸引に用いる前記吸引ノズルと、前記吸引ノズルの吸引時間帯とを決定する工程と、
を有し、
前記識別情報は、
検出された前記異物が前記搬送経路上に占める範囲を示すエリア情報
を含み、
前記工程d)は、
d1)前記エリア情報に基づいて、前記異物の吸引に必要最小な口径の前記吸引ノズルを作動対象として選択する工程と、
d2)前記識別情報に基づいて、前記異物のそれぞれの吸引に要する吸引時間帯を算出する工程と、
d3)複数の前記異物の吸引時間帯が重複することにより、全ての前記異物を吸い残しなく吸引しようとすると、作動対象の前記吸引ノズルの数が最大同時作動可能数を超えることを条件に、全ての前記異物を吸い残しなく吸引することが不可能な競合状態であると判定する工程と、
d4)前記識別情報に基づいて、前記競合状態であると判定された複数の前記異物の吸引優先度を決定する工程と、
d5)前記吸引優先度に基づいて、作動対象の前記吸引ノズルの数が前記最大同時作動可能数内に収まるよう、吸引対象とする前記異物を限定する工程と、
d6)前記吸引対象となった前記異物の吸引に用いる前記ノズルと、前記吸引ノズルの前記吸引時間帯とを決定する工程と、
を含み、
前記工程d4)、前記工程d5)および前記工程d6)は、前記工程d3)において競合状態であると判断されたことを条件に、実施される、有価物選別方法。
【請求項9】
前記識別情報は、
前記異物の種類を示す種類情報
を含み、
前記工程d4)において、前記種類情報に紐づいた密度標準値および前記エリア情報のサイズに基づいて前記異物の重量情報を算出し、前記重量情報に基づいて前記吸引優先度を決定する、請求項8に記載の有価物選別方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の有価物選別方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを実行する情報処理装置を備えたことを特徴とする有価物選別システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価物と各種の異物とを選別する有価物選別システム、その運転方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の廃棄物から有価物を回収する資源リサイクル工場では、異物を選別・除去することで、回収される有価物の純度を高めている。例えば、ガラス材料リサイクル工場では、廃棄物である太陽光パネルを破砕したガラス屑から各種の異物(例えば、樹脂、非磁性金属片等)を選別し、有価物であるガラス材料を回収している。選別作業では、例えば、ガラス屑の搬送経路上に複数の作業員を配備し、作業員が各種の異物を目視によって検出し、各作業員が吸引装置を手動で作動させて異物を除去する。
【0003】
こうした手動の選別作業は、複数名の作業員を要し、かつ、作業負担もそれなりに大きい。このため、選別作業を可能な限り機械化・自動化することが望まれる。
【0004】
特許文献1(特開2000-143256号公報)には、石英ガラス原料粉から異物を除去する装置が開示されている。特許文献1の装置では、石英ガラス原料粉を撮影する撮像装置から得られた画像デ-タを画像処理し、その画像処理の結果に基づいて異物を検出し、異物を検出した場合には搬送経路上に配置した吸引ノズルを作動させることで、石英ガラス原料粉から異物を除去している。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の上記従来技術では、有価物であるガラス材料を各種の異物と共に除去してしまうといった問題への対策についての具体的な記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-143256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本出願人は、吸引手段として口径の異なる複数の吸引ノズルを採用し、異物のサイズ等に見合った吸引ノズルを作動するよう制御を行うことで、工程全体の歩留まり(選別工程に投入した廃棄物の総量に対する有価物の回収率)低下への対策をとれる有価物選別システム、選別方法およびプログラムを発明した。
【0008】
このような有価物選別システムにおいて、吸引手段として複数の吸引ノズルを採用する場合は、同時に作動するノズルの数が多いほど作動用空気供給源(コンプレッサー)の要求能力も高くなるので、費用対効果の観点から全てのノズルを同時に作動可能とするのではなく、コンプレッサの能力に応じてノズルの同時吸引可能数に所定の上限値を設けることが望まれる場合がある。
【0009】
コンプレッサの能力を小さくした場合、複数の異物が検出された時、当該同時吸引可能数を超える分の異物について吸引を断念せざるを得ない場合がある。しかしながら、吸引を断念した異物が選別・回収後の有価物に残存することにより、有価物の純度(異物濃度)といった所要の生産目標値を達成できないという問題が生じ得る。
【0010】
本発明は上記の点に鑑み、コンプレッサの能力を極力小さく抑えつつ、歩留まり低下を軽減できるとともに、有価物の純度を所要値に維持できる有価物選別システム、有価物選別方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、搬送経路上の選別対象物を撮像して撮像データを取得する撮像手段と、前記撮像手段の下流側に配置された複数の吸引ノズルと、前記吸引ノズルおよび前記撮像手段の双方と通信可能に接続された情報処理装置と、を備え、有価物および異物の混在した前記選別対象物から前記異物を検出・除去することで前記有価物を回収する有価物選別システムであって、前記情報処理装置は、前記撮像データが入力されることで前記選別対象物に含まれる前記異物の存在を検出し、かつ、前記異物を特定する識別情報を推定可能な学習済モデルを備え、前記情報処理装置は、前記識別情報に基づいて、前記異物の吸引に要する吸引時間帯を算出し、複数の前記異物の吸引時間帯が重複することにより、全ての前記異物を吸い残しなく吸引しようとすると、作動対象の前記吸引ノズルの数が最大同時作動可能数を超えることを条件に、全ての前記異物を吸い残しなく吸引することが不可能な競合状態であると判定し、前記識別情報に基づいて、前記競合状態であると判定された複数の前記異物の吸引優先度を決定し、前記吸引優先度に基づいて、作動対象の前記吸引ノズルの数が前記最大同時作動可能数内に収まるよう、吸引対象とする前記異物を限定することを特徴とする。
【0012】
本願の第2発明は、前記識別情報は、前記異物が前記搬送経路上に占める範囲を示すエリア情報を含む、第1発明の有価物選別システムである。
【0013】
本願の第3発明は、前記識別情報は、前記異物の種類情報をさらに含み、前記情報処理装置には、前記種類情報に紐づいた各種異物の標準密度値が予め設定登録され、前記情報処理装置は、前記エリア情報のサイズと前記標準密度値とに基づいて前記異物の重量情報を算出し、前記重量情報に基づいて、前記吸引優先度を決定することを特徴とする、第2発明の有価物選別システムである。
【0014】
本願の第4発明は、複数の前記吸引ノズルは、互いに口径の異なる前記吸引ノズルを含み、前記情報処理装置は、前記エリア情報に基づいて、前記異物の吸引に必要最小な口径の前記吸引ノズルを作動対象として選択することを特徴とする、第1発明ないし第3発明のいずれか一発明の有価物選別システムである。
【0015】
本願の第5発明は、前記搬送経路の全幅に亘って配設された、同一口径を有する複数の前記吸引ノズルで構成されるノズル列を前記吸引ノズル口径毎に複数有し、前記識別情報は、前記異物の位置情報をさらに含み、前記情報処理装置は、前記エリア情報のサイズおよび前記位置情報に基づいて、必要最小な口径を有し、かつ、前記位置情報に対応する位置に配置された前記吸引ノズルを作動対象として選択することを特徴とする、第4発明の有価物選別システムである。
【0016】
本願の第6発明は、前記情報処理装置は、前記異物の検出時に、前記エリア情報のサイズが所定のサイズ下限値を下回ることを条件に、前記異物に対する前記吸引ノズルの作動を見送ることを特徴とする、第2発明または第3発明の有価物選別システムである。
【0017】
本願の第7発明は、前記識別情報は、前記異物の検出結果の確度を表す信頼度情報
をさらに含み、前記情報処理装置は、前記異物の検出時に、前記信頼度情報が所定の信頼度下限値を下回ることを条件に、前記異物に対する前記吸引ノズルの作動を見送ることを特徴とする、第6発明の有価物選別システムである。
【0018】
本願の第8発明は、有価物および異物の混在した選別対象物中の異物を、互いに口径の異なる吸引ノズルを含む複数の吸引ノズルを用いて有価物中の異物を吸引する方法であって、a)搬送経路上の選別対象物を撮像して撮像データを取得する工程と、b)学習済モデルが、前記撮像データに含まれる前記異物を検出する工程と、c)前記学習済モデルが、検出した前記異物を特定する識別情報を推定する工程と、d)前記識別情報に基づいて、検出した前記異物の吸引に用いる前記吸引ノズルと、前記吸引ノズルの吸引時間帯とを決定する工程と、を有し、前記識別情報は、検出された前記異物が前記搬送経路上に占める範囲を示すエリア情報を含み、前記工程d)は、d1)前記エリア情報に基づいて、前記異物の吸引に必要最小な口径の前記吸引ノズルを作動対象として選択する工程と、d2)前記識別情報に基づいて、前記異物のそれぞれの吸引に要する吸引時間帯を算出する工程と、d3)複数の前記異物の吸引時間帯が重複することにより、全ての前記異物を吸い残しなく吸引しようとすると、作動対象の前記吸引ノズルの数が最大同時作動可能数を超えることを条件に、全ての前記異物を吸い残しなく吸引することが不可能な競合状態であると判定する工程と、d4)前記識別情報に基づいて、前記競合状態であると判定された複数の前記異物の吸引優先度を決定する工程と、d5)前記吸引優先度に基づいて、作動対象の前記吸引ノズルの数が前記最大同時作動可能数内に収まるよう、吸引対象とする前記異物を限定する工程と、d6)前記吸引対象となった前記異物の吸引に用いる前記ノズルと、前記吸引ノズルの前記吸引時間帯とを決定する工程と、を含み、前記工程d4)、前記工程d5)および前記工程d6)は、前記工程d3)において競合状態であると判断されたことを条件に、実施される。
【0019】
本願の第9発明は、前記識別情報は、前記異物の種類を示す種類情報を含み、前記工程d4)において、前記種類情報に紐づいた密度標準値および前記エリア情報のサイズに基づいて前記異物の重量情報を算出し、前記重量情報に基づいて前記吸引優先度を決定する、第8発明の有価物選別方法である。
【0020】
本願の第10発明は、第8発明または第9発明の有価物選別方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0021】
本願の第11発明は、第10発明のプログラムを実行する情報処理装置を備えたことを特徴とする有価物選別システムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コンプレッサの能力を極力小さく抑えつつ、歩留まり低下を軽減できる共に、有価物の純度を所要値に維持できる有価物選別システム、有価物選別方法およびプログラムを提供できる。
【0023】
特に、第1発明によれば、最大同時吸引可能数の制約内でいずれかの異物については吸引を断念せざるを得ない(見送らざるを得ない)場合であっても、選別・回収後の有価物が生産目標値である所定の純度を達成するよう適正に見送り対象を決定することができる。例えば、選別対象の有価物の性質に応じて、残存許容度が低い特定種類の異物を優先的に吸引できる。
【0024】
特に、第2発明によれば、異物のサイズに基づいて適正に見送り対象を決定することができる。即ち、各異物の大きさと相関するエリア情報に基づいて有価物の純度(異物の濃度)への影響が大きな異物を優先的に吸引できる。
【0025】
特に、第3発明によれば、各異物の重量情報に基づいて異物純度への影響が大きな異物を優先的に吸引することができる。
【0026】
特に、第4発明によれば、各異物の吸引に必要最小な口径のノズルを作動することで一層歩留まり低下を軽減できる。すなわち、口径が相対的に大きな吸引ノズルが作動し続けることによる有価物の過剰吸引を抑制できる(歩留まり低下を軽減できる)。
【0027】
特に、第5発明によれば、搬送経路上の任意の位置にある異物は原則として常にサイズに見合った必要最小な口径のノズルで吸引可能となり、有価物の過剰吸引を抑制できる(歩留まり低下を軽減できる)。また、構成が比較的シンプルとなり、移動式のロボットアームといった装置に比べて複雑な制御を必要としない。
【0028】
特に、第6発明によれば、異物の除去を目的とする吸引ノズルを作動に伴う有価物の過剰吸引(歩留まり低下)によるデメリットが、除去による異物濃度の低減(有価物の純度向上)によって得られるメリットを上回る場合に、敢えて吸引ノズルの作動を見送ることで、歩留まり低下への対策を優先させることができる。
【0029】
特に、第7発明によれば、透明な対象物同士の重なり度合い等に起因して、有価物であるにも関わらず異物として誤検出される誤検出リスクを評価可能となり、誤検出リスクに基づいた吸引制御ができる。したがって、ガラス材料等の透明な有価物から不透明な異物を検出する場合、歩留まり低下を軽減できる。
【0030】
第8発明および第9発明の有価物選別方法は、コンピュータプログラムとして記述され、有価物選別システムの情報処理装置に実装される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】選別システムの概略を表す側面図である。
図2】選別システムの概略を表す上面図である。
図3】選別システムのフード内部におけるカメラおよびLED照明の配置を示す概略図である。
図4】吸引部におけるノズルの配置を示した図である。
図5】情報処理装置の電気的接続を示すブロック図である。
図6】情報処理装置の記憶部に記憶される設定登録値を示した図である。
図7】学習済モデルの作成処理の流れを示すフローチャートである。
図8】選別システムにおける有価物選別処理の流れを示したフローチャートである。
図9】選別システムにおける吸引制御工程の流れを示したフローチャートである。
図10】異物および吸引ノズルの例を示した図である。
図11】異物および吸引ノズルの例を示した図である。
図12】異物および吸引ノズルの例を示した図である。
図13】異物および吸引ノズルの例を示した図である。
図14】異物および吸引ノズルの例を示した図である。
図15】複数の異物と、異物の吸引タスクとの例を示した図である。
図16】複数の異物と、異物の吸引タスクとの例を示した図である。
図17】競合時制御工程(例外制御なし)の流れを示したフローチャートである。
図18】複数の異物と、異物の吸引タスクとの例を示した図である。
図19】競合時制御工程(例外制御あり)の流れを示したフローチャートである。
図20】複数の異物と、異物の吸引タスクとの例を示した図である。
図21】複数の異物の例を示した図である。
図22図21の例の異物の吸引タスクを示した図である。
図23】異物および吸引ノズルの例を示した図である。
図24】異物および吸引ノズルの例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<1.有価物選別システムの全体の構成>
以下、本発明の一実施形態に係る有価物選別システムである選別システム1の構成について、図1および図2を参照しつつ説明する。図1は、選別システム1の概要を表す側面図である。図2は、選別システム1の概要を表す上面図である。選別システム1は、有価物および異物の混在した選別対象物Obから、異物を検出・除去し、有価物を回収するための装置である。以下では、選別対象物Obが太陽光パネル破砕物であり、有価物が透明なガラス材料Gl、異物が不透明な物体(異物Cx)である場合について説明する。
【0033】
選別システム1は、コンベヤ2、投入シュート3、カメラ4、吸引部5および情報処理装置6を備える。
【0034】
コンベヤ2は、選別対象物Obを搬送する搬送手段である。コンベヤ2の搬送面は、コンベヤ2の一端から他端へ向かって移動する。これにより、コンベヤ2上に載置された選別対象物は、コンベヤ2の一端側から他端側へと搬送される。すなわち、コンベヤ2の搬送面は、選別対象物の搬送経路を構成する。このため、コンベヤ2の一端から他端へ向かう方向が「搬送方向」となる。なお、以下では、コンベヤ2の一端側を「上流側」、他端側を「下流側」と称する。
【0035】
コンベヤ2の他端の下方には、有価物回収ホッパ31が配置されている。これにより、コンベヤ2上を一端側から他端まで移動した選別対象物Obが、コンベヤ2の他端から落下し、有価物回収ホッパ31内へ回収される。
【0036】
投入シュート3は、コンベヤ2の一端付近において、コンベヤ2の搬送面に選別対象物Obを投入する。すなわち、投入シュート3は、搬送経路上に選別対象物Obを配置する。
【0037】
コンベヤ2の上位(鉛直方向上方)には、上流側から順に、撮像手段であるカメラ4と、吸引部5とが配置されている。カメラ4および吸引部5はそれぞれ、情報処理装置6に対して有線・無線のネットワークを介して通信可能に接続される。
【0038】
カメラ4は、搬送経路上を移動する選別対象物Obを撮影して撮像データを取得する撮像手段である。カメラ4は、撮像データを情報処理装置6へと引き渡す。
【0039】
吸引部5は、カメラ4の下流側において、搬送経路であるコンベヤ2の上位に設けられる。吸引部5は、複数の第1吸引ノズルNxと、複数の第2吸引ノズルnxとを含む。第1吸引ノズルNxと、第2吸引ノズルnxとは、互いに口径が異なる。吸引部5の有する複数の吸引ノズルNx,nxはそれぞれ、情報処理装置6によって作動/停止する。
【0040】
より詳細には、吸引部5は、各吸引ノズルNx,nxそれぞれの作動を制御させる電磁弁7を備える。電磁弁7は、PLC(Programmable Logic Controller)8と物理的に接続される。PLC8は、情報処理装置6と通信可能に接続される。
【0041】
これによって、情報処理装置6から送出される各種指示を、PLC8を介して電磁弁7へと伝達し、電磁弁7の開閉制御によって各吸引ノズルNx,nxの作動/停止を制御可能としている。すなわち、電磁弁7を備えた吸引部5は、PLC8を介して情報処理装置6と通信可能に接続される。
【0042】
情報処理装置6は、例えば、CPUまたはGPU等のプロセッサ、RAM等のメモリ、ハードディスクドライブまたはSSD等の記憶媒体からなるコンピュータ(PC端末)である。
【0043】
情報処理装置6は、撮像データに基づいて吸引部5の吸引ノズルNx,nxを作動させる。吸引ノズルNx,nxは、コンベヤ2上を搬送される選別対象物Obの一部を吸引して搬送経路上から除去する。
【0044】
この選別システム1では、投入シュート3からコンベヤ2上に投入された選別対象物Obが、コンベヤ2上の搬送経路に沿って搬送される。そして、コンベヤ2上を搬送される選別対象物Obは、カメラ4で撮影された後、その撮像データに基づいて、吸引部5において吸引ノズルNx,nxを用いて異物Cxが吸引除去される。
【0045】
このような選別工程を経た選別対象物Obは、選別前の選別対象物Obと比べて、異物Cxの混入割合が低く、すなわち、有価物Glの純度が高くなる。異物Cxの除去後の選別対象物Obは、有価物回収ホッパ31へと回収される。
【0046】
<2.撮像環境について>
カメラ4における選別対象物Obの撮影を行う際には、撮像データのより正確な分析を行うために、遮光および適切な照明を行う必要がある。以下では、撮影環境の詳細について図1図3を参照しつつ説明する。
【0047】
図1に示すように、カメラ4と、カメラ4の下方の撮像範囲10とは、フード9によって覆われている。なお、撮像範囲10は、カメラ4によって撮影を行うコンベヤ2の搬送面22の所定範囲である。本実施形態では、撮像範囲10は、コンベヤ2の搬送面22のうち、フード9によって覆われるほぼ全域である。しかしながら、撮像範囲10は、搬送経路の幅方向全域をカバーするものであれば、当該範囲よりも小さくてもよい。フード9は、遮光性の材料で形成された遮光手段である。フード9は、撮像範囲10を含むコンベヤ2の搬送面22の一部分を覆う。
【0048】
図1および図2に示すように、選別システム1は、フード9の内部に、2つのLED照明11を有する。2つのLED照明11は、カメラ4の撮像範囲10へ向けて光を照射する内部光源である。フード9は、2つのLED照明11およびカメラ4を収容する。フード9とコンベヤ2とによって、外部からの環境光が遮断された撮影環境が形成される。このため、フード9内の撮影環境を、LED照明11によって所望の照度・色温度等の撮像条件とすることができる。
【0049】
なお、フード9の入口(上流側端部)付近には、スクレーパ12が設けられている。スクレーパ12は、選別対象物Obの均し手段である。スクレーパ12は、例えば、上部が固定され、下端部がコンベヤ2の搬送面22と間隔を空けて配置された板状の弾性部材である。スクレーパ12の上流側から搬送された選別対象物Obのうち、重なってスクレーパ12の下端部よりも高く積み上がった部分は、スクレーパ12の下端部に接触することにより、所定の高さに均される。これにより、選別対象物Ob同士が重なり合う事によって検出精度が悪化する等の各種不具合を、抑制している。
【0050】
図3は、フード9内部におけるコンベヤ2、カメラ4、およびLED照明11の配置を示した概略側面図である。上述の通り、フード9内において、コンベヤ2の搬送面22のほぼ全域が撮像範囲10に含まれる。
【0051】
図1図3に示すように、2つのLED照明11はそれぞれ、コンベヤ2の幅方向に沿って延びる。これにより、LED照明11は、撮像範囲10に対して、幅方向に均一に照射光を出射することができる。
【0052】
2つのLED照明11は、搬送方向に間隔を空けて配置される。LED照明11の一方は、カメラ4よりも搬送方向上流側に配置され、下方かつ搬送方向下流側に向かって光を照射する。また、LED照明11の他方は、カメラ4よりも搬送方向下流側に配置され、下方かつ搬送方向上流側に向かって光を照射する。
【0053】
具体的には、図3に示すように、2つのLED照明11は、カメラ4の下位(鉛直方向下方)において、カメラ4の中心軸40と搬送方向に等距離に設けられる。各LED照明11の光軸13とコンベヤ2の搬送面22とがなす角度θiが鋭角となるように、LED照明11の向きが決められている。なお、LED照明11の光軸13は、LED照明11の照明本体14の照射面15に対して垂直に延びる。
【0054】
本実施形態において、角度θiは、25°前後である。角度θiは、好ましくは、10°以上45°以下であり、より好ましくは、20°以上30°以下が好適である。角度θiが45°を大幅に超えると、陰影によってガラス材料Glの輪郭(エッジ)が異物Cxの存在範囲として誤検出されたり、光の散乱が過剰となったりすることで、精度の良い検出結果が得られにくい。
【0055】
図3に示すように、LED照明11には、照明本体14の照射面15に、第1偏光板16が備えられている。第1偏光板16は、LED照明11から出射する光を偏光する第一の偏光手段である。一方、カメラ4には、カメラ本体41の下方に備えられたレンズ42の下側の集光面43に、第2偏光板44が備えられている。第2偏光板44は、カメラ4に入射する光を偏光する第二の偏光手段である。
【0056】
第1偏光板16および第2偏光板44はそれぞれ、細長の分子構造を有するPVA等のプラスチックを延伸することで極めて細かい(ナノレベルの)スリット構造を成している。これにより、第1偏光板16および第2偏光板44はそれぞれ、これらのスリットと平行に振動する光のみを通過させる。すなわち、第1偏光板16および第2偏光板44はそれぞれ、これらのスリットと平行な偏光軸を有する。第1偏光板16の偏光軸と、第2偏光板44の偏光軸とは、直交する方向に配置されている。
【0057】
LED照明11から出射され、第1偏光板16によって偏光された光(以下「第1偏光波」と称する)が選別対象物Obへ照射される。すると、第1偏光波が、選別対象物Obやコンベヤ2の搬送面22で反射された反射光が、第2偏光板44を介してカメラ4へ入射する。このため、カメラ4では、第1偏光波の反射光が、第2偏光板44によってさらに偏光された光(以下「第2偏光波」と称する)を撮影する。
【0058】
このとき、選別対象物Obの表面は平坦な箇所ばかりではなく、凹凸を有した不規則な表面も有する。このため、LED照明11から第1偏光板16を介して選別対象物Obに入射した第1偏光波の一部は正反射光となり、一部は拡散反射光となり、一部は吸収される。ここで、拡散反射光は、被写体である選別対象物Obの本来の色を反映する。一方、正反射光は、LED照明11の色を反映するため、撮像データに光沢をもたらして検出精度に悪影響を及ぼす場合がある。
【0059】
正反射光は、入射光と偏光軸が同じであるため、第1偏光波の正反射光は、第2偏光板44を通過しない。このため、第2偏光波には、第1偏光波の正反射光は含まれない。すなわち、カメラ4が撮影した撮像データには、正反射光は含まれない。
【0060】
一方、拡散反射光は、入射光が偏光した第1偏光波であっても非偏光となるため、第1偏光波の拡散反射光のうち第2偏光板44の偏光方向の成分は、第2偏光波としてカメラ4へ入射する。すなわち、カメラ4が撮影した撮像データには、拡散反射光が含まれる。
【0061】
このように、この選別システム1では、LED照明11、選別対象物Obおよびカメラ4からなる光の経路上に第1偏光板16および第2偏光板44を設けることにより、LED照明11の映り込みを抑制するとともに、選別対象物Ob固有の色彩を反映した良好な撮像データを得ることができる。
【0062】
また、内部光源として、LED照明11に代えて、蛍光灯や白熱電球を採用することができる。しかしながら、蛍光灯や白熱電球においては、ちらつき(フリッカー)が検出精度に悪影響を及ぼすため、このようなフリッカーが生じないLED照明11がより好適である。
【0063】
また、内部光源の色温度が暖色系の色を発する比較的低い温度帯である場合に検出精度に悪影響を及ぼす場合がある。このため、内部光源の色温度は、白熱電球の2800K(暖色系の電球色)付近の色温度よりも、6000Kないし7000K(白昼色または昼光色)付近の色温度であることが好ましい。
【0064】
このように、遮光性のフード9内にカメラ4およびLED照明11と、撮像範囲10とを配置することにより、環境光による外乱を抑制できる。また、カメラ4とLED照明11と撮像範囲10との位置関係を上記の範囲内とすることにより、陰影の形成や光の過剰な散乱を抑制できる。さらに、LED照明11からカメラ4に至る光路上に2つの偏光板16,44を配置することにより、選別対象物Obにおける拡散反射光を選択的に撮影することができる。これにより、異物Cxを精度良く判別するのに適した撮像データを取得することができる。
【0065】
なお、カメラ4は、例えば、可視光を利用して対象物を撮像する一般的な可視光カメラであって、本実施例においては1台を備えたが、複数台により構成することもできる。
【0066】
<3.吸引部の構成>
続いて、図1~2および図4を参照しつつ、吸引部5の構成について説明する。図4は、吸引部5における吸引ノズルNx,nxの配置を示した図である。図4には、第1吸引ノズルNxおよび第2吸引ノズルnxのノズル口の上方から見た位置が示されている。
【0067】
吸引部5は、搬送経路上の選別対象物Obの一部を除去可能な空気式の除去手段である。具体的には、吸引部5は、複数の第1吸引ノズルNxと、複数の第2吸引ノズルnxとを有する。複数の第1吸引ノズルNxはいずれも同一口径を有する。また、複数の第2吸引ノズルnxはいずれも同一口径を有する。複数の第1吸引ノズルNxと第2吸引ノズルnxとは、口径が異なる。具体的には、第1吸引ノズルNxの口径は、第2吸引ノズルnxの口径よりも大きい。
【0068】
図1に示すように、吸引部5は、コンプレッサ25、ダクト26、複数のホース27、チャンバ28、排出ホース29および異物ホッパ30を有する。
【0069】
コンプレッサ25は、圧縮空気の供給源である。ダクト26は、コンプレッサ25から供給された圧縮空気をチャンバ28へと送る供給管である。複数のホース27はそれぞれ、複数の吸引ノズルNx,nxとチャンバ28とを繋ぐ配管である。各ホース27とチャンバ28との接続箇所には、電磁弁7が備えられている。各電磁弁7は、接続されたホース27とチャンバ28との連通を制御する。排出ホース29は、チャンバ28の下部から異物ホッパ30へと回収した異物Cxが移送される配管である。異物ホッパ30は、回収した異物Cxを貯留する容器である。
【0070】
コンプレッサ25は、ダクト26およびレギュレータ(図示省略)を介してチャンバ28内に圧縮空気を導入する。これにより、ダクト26、チャンバ28および排出ホース29を介して異物ホッパ30へと向かう気流が発生する。このとき、圧縮空気の気流の引き込みによってチャンバ28内に負圧が発生する。
【0071】
情報処理装置6の後述する吸引制御部62は、吸引ノズルNx,nxそれぞれの吸引動作に関する指示を、PLC8へ入力する。PLC8は、当該指示に対応した信号を、複数の吸引ノズルNx,nxのそれぞれに接続された複数の電磁弁7へと送出し、電磁弁7の開閉動作を制御する。電磁弁7が開放状態のとき、接続された吸引ノズルNx,nxは作動状態(吸引状態)となり、電磁弁7が閉鎖状態のとき、接続された吸引ノズルNx,nxは停止状態となる。
【0072】
コンプレッサ25の稼働によってチャンバ28内が負圧になった状態で電磁弁7が開放されると、当該電磁弁7に接続されるホース27および吸引ノズルNx,nx内部の空気がチャンバ28へと吸引される。これにより吸引ノズルNx,nxのノズル口付近の選別対象物Obが吸引され、吸引ノズルNx,nx、ホース27、チャンバ28および排出ホース29を介して異物ホッパ30へと回収される。
【0073】
なお、コンプレッサ25は、一度稼働すれば、所定量の圧縮空気を内部空気として図示しないタンク内に溜め込むことができる。このため、コンプレッサ25は、この内部空気を使用し切った場合、あるいは、内部空気が所要量以下に減少した場合にのみ間欠的に運転する。
【0074】
また、吸引ノズルNx,nxはホース27を介してチャンバ28に連結する。そして、チャンバ28へと吸引された異物Cx(異物Cxと共に吸引されたガラス材料Glの一部を含む)は、排出ホース29を介して異物ホッパ30へと案内される。
【0075】
このように、選別対象物Obから異物Cxが選別・除去されることで、選別対象物Ob中における有価物(ガラス材料Gl)の純度は高められ、コンベヤ2の下流側において、最終製品として有価物回収ホッパ31へ回収される。なお、本実施例ではガラス材料Glの回収方法として、コンベヤ2の他端側に有価物回収ホッパ31を設けたが、有価物であるガラス材料Glの回収手段はこれに限定されない。
【0076】
図2および図4に示すように、吸引部5は、吸引ノズルNx,nxの口径毎にノズル列51,52を有する。具体的には、吸引部5は、第1ノズル列51と第2ノズル列52とを有する。第1ノズル列51は、コンベヤ2上の搬送経路の全幅に亘って配設された複数の第1吸引ノズルNxで構成される。第2ノズル列52は、コンベヤ2上の搬送経路の全幅に亘って配設された複数の第2吸引ノズルnxで構成される。なお、本実施形態において、吸引部5の有する第1吸引ノズルNxは10個であり、吸引部5の有する第2吸引ノズルnxは20個である。各吸引ノズルNx,nxの個数は、選別システム1の設置先となる工場設備のレイアウト等に応じて、適宜増減することができる。
【0077】
なお、本実施形態において、第2ノズル列52において、第2吸引ノズルnxは、コンベヤ2の幅方向に隣り合う第2吸引ノズルnxの搬送方向の位置が異なるように、ジグザグに配置されている。しかしながら、第2ノズル列52において、第1ノズル列51と同様に、全ての第2吸引ノズルnxが、搬送方向の同じ位置に配置されていてもよい。
【0078】
また、本実施形態において、第1ノズル列51は、第2ノズル列52よりも上流側に配置される。すなわち、口径が大きな第1吸引ノズルNxが、口径が小さな第2吸引ノズルnxよりも上流側に配置される。その理由については、後述する。
【0079】
前述の通り、複数の吸引ノズルNx,nxはそれぞれ、PLC8と接続される電磁弁7を備えている。本実施形態では、吸引ノズルNx,nxは固定され、水平方向の移動を行わない。すなわち、異物除去処理における吸引部5に対する制御は電磁弁7の開閉制御のみとなる。このような構成は、過度に複雑な制御指令を要さず、吸引ノズルNx,nxの増設もコスト面で容易であるという利点を有する。
【0080】
ただし、図示はしないが、吸引ノズルNx,nxは、水平方向(特に幅方向)に移動制御可能なロボットアームの先端に取り付けてもよく、垂直方向に移動制御可能なピストンロッド状の機構の一端に取り付けてもよい。
【0081】
本実施形態では、吸引部5の有する吸引ノズルNx,nxの口径は2種類であった。しかしながら、吸引部5の有する吸引ノズルの口径は、1種類であってもよく、3種類以上であってもよい。例えば、大、中、小の3種類の口径を有する複数の吸引ノズルを、その口径が大きなものから順に、コンベヤ2の上流側から下流側へと位置するよう配設してもよい。
【0082】
図4において、10個の第1吸引ノズルNxにそれぞれ、N1~N10の個別の符号が付されている。同様に、20個の第2吸引ノズルnxにそれぞれ、n1~n20の個別の符号が付されている。
【0083】
図4に示すように、第1吸引ノズルNxの口径は、ノズル口の内径である。このため、第1吸引ノズルNxは、口径を上回る大きさの選別対象物Obを吸引することはできない。また、第2吸引ノズルnxの口径は、ノズル口の内径である。このため、第2吸引ノズルnxは、口径を上回る大きさの選別対象物Obを吸引することはできない。
【0084】
異物除去工程において、どの吸引ノズルNx,nxを選択するかは、除去対象となる異物Cxがその吸引ノズルNx,nxの吸引可能領域を通過するかに応じて決定される。以下では、第1吸引ノズルNxが吸引可能な領域を吸引可能領域Vx、第2吸引ノズルnxが吸引可能な領域を吸引可能領域vxと称する。
【0085】
図4中には、第1吸引ノズルN1の吸引可能領域V1と、第2吸引ノズルn1の吸引可能領域v1とが、斜線を付した領域で模式的に示されている。実際にそれぞれの吸引ノズルNx,nxで吸引可能な領域はこれらの吸引可能領域Vx,vxよりも大きい。このように、矩形状に吸引可能領域Vx,vxを設定することにより、異物Cxの吸引タイミングを計算しやすくなる。
【0086】
なお、第1ノズル列51における第1吸引ノズルNx同士の幅方向の間隔は、コンベヤ2の幅方向において、吸引可能領域Vxの存在しない範囲が生じないように設定することが好ましい。また、第2ノズル列52において、幅方向に隣り合う第2吸引ノズルnx同士の幅方向の間隔は、コンベヤ2の幅方向において、吸引可能領域vxの存在しない範囲が生じないように設定することが好ましい。
【0087】
また、第1ノズル列51において、幅方向に隣り合う第1吸引ノズルNxの吸引可能領域Vxは、幅方向の端部において互いに重なり合っていてもよい。同様に、第2ノズル列52において、幅方向に隣り合う第2吸引ノズルnxの吸引可能領域vxは、幅方向の端部において互いに重なり合っていてもよい。
【0088】
しかしながら、搬送方向に吸引可能領域Vx,vxが重なり合うと、いずれか一方の吸引ノズルNx,nxが他方の吸引ノズルNx,nxの吸引範囲にある対象物に干渉することで選別対象物Obの位置ずれをきたす虞がある。
【0089】
このため、少なくとも搬送方向においては吸引可能領域Vx,vxが重複しないよう、これら吸引ノズルNx,nxは搬送方向において十分離間させて配設することが好ましい。すなわち、搬送方向において、第1吸引ノズルNxの吸引可能領域Vxと第2吸引ノズルnxの吸引可能領域vxとが重なり合ったり、上流側に配置された第2吸引ノズルnxの吸引可能領域vxと下流側に配置された第2吸引ノズルnxの吸引可能領域vxとが重なり合ったりすることがないように吸引ノズルNx,nxを配置する。また、第1吸引ノズルNxが搬送方向に複数列に配置される場合には、第1吸引ノズルNxの吸引可能領域Vx同士が重なり合うことがないように吸引ノズルNx,nxを配置する。
【0090】
上述の通り、コンベヤ2の幅方向の全域がいずれかの第1吸引ノズルNxの吸引可能領域Vxに含まれるように、複数の第1吸引ノズルNxを配置している。また、コンベヤ2の幅方向の全域がいずれかの第2吸引ノズルnxの吸引可能領域vxに含まれるように、複数の第2吸引ノズルnxを配置している。
【0091】
図4には、第1吸引ノズルNx(N1~N10)の各吸引可能領域Vxを搬送方向に延長した領域を、コンベヤ2上に占める仮想的な第1レーンLx(L1~L10)として示している。また、第2吸引ノズルnx(n1~n20)の各吸引可能領域vxを搬送方向に延長した領域を、コンベヤ2上に占める仮想的な第2レーンlx(l1~l20)として示している。コンベヤ2上の任意の点は、いずれかの第1レーンLx上に位置するとともに、いずれかの第2レーンlx上に位置する。
【0092】
選別対象物Obは、コンベヤ2によって幅方向の位置を保ったまま、搬送方向に搬送される。すなわち、選別対象物Obは、搬送中、幅方向の位置は変化せず、同一の第1レーンLxおよび同一の第2レーンlx上を搬送される。そして、当該第1レーンLxに対応する第1吸引ノズルNxの吸引可能領域Vxと、(第1吸引ノズルNxにおける吸引が無い場合には)当該第2レーンlxに対応する第2吸引ノズルnxの吸引可能領域vxとへ、やがて到達する。このため、異物Cxの幅方向および搬送方向の位置を、吸引部5の上流側で検出することにより、対応する第1吸引ノズルNxおよび第2吸引ノズルnxを判別し、適した位置に配置された吸引ノズルNx,nxで吸引除去することができる。
【0093】
<4.情報処理装置の構成>
図5は、情報処理装置6の電気的接続を示すブロック図である。図5に示すように、情報処理装置6は、検出部61と、吸引制御部62と、記憶部63とを有する。検出部61および吸引制御部62は、記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを、メモリに一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムおよび種々のデータに基づいて、プロセッサが演算処理を行うことにより実現される演算処理部である。
【0094】
検出部61は、カメラ4の撮影した撮像データに基づいて、異物Cxを検出および識別する。検出部61は、学習済モデルMと、パラメータ算出部611を有する。
【0095】
具体的には、検出部61は、カメラ4からの入力信号として、撮像範囲10の撮像データを受け取る。なお、本実施形態では、撮像データの撮像範囲10は単一の領域としたが、処理速度の向上のために複数に分割した所定の領域毎に情報処理装置6に送出し、その後、情報処理装置6が各領域を結合して用いてもよい。
【0096】
そして、検出部61は、学習済モデルMに撮像データを入力する。学習済モデルMは、撮像データが入力されることで、選別対象物Obから異物Cxを検出するとともに、異物Cxを特定する識別情報を推定する。パラメータ算出部611は、学習済モデルMの出力した異物Cxの有無および異物Cxの識別情報に基づいて、所定の演算を実行することで、各種のパラメータを算出する。以下では、学習済モデルMが推定した識別情報を「原識別情報D1」と称し、パラメータ算出部が算出した各種パラメータを「二次識別情報D2」と称する。
【0097】
吸引制御部62は、検出部61において得られた異物Cxの有無、異物Cxの識別情報および各種パラメータに基づいて、PLC8を介して電磁弁7の動作制御を行う。これにより、吸引ノズルNx,nxにおける吸引動作が制御される。
【0098】
記憶部63には、予め設定された各種のパラメータや、学習済モデルMが出力した各異物Cxの原識別情報D1、パラメータ算出部611の算出した二次識別情報D2、パラメータ算出部611で用いられる各種の算出式、吸引制御部62において吸引制御に用いられる各種の設定登録値や条件パラメータが保存されている。
【0099】
また、図2に示すように、情報処理装置6は、コンプレッサ25およびコンベヤ2の動作を制御するコンプレッサ・コンベヤ制御盤20と通信可能に接続されている。コンプレッサ・コンベヤ制御盤20にて設定した各値は、情報処理装置6の記憶部63に保存される。
【0100】
<4-1.検出部/学習済モデルMについて>
学習済モデルMは、選別対象物Obから、各種異物Cxの有無を検出すると共に、検出した異物Cxの特性に係る原識別情報D1として、エリア情報D11、位置情報(座標)D12、種類情報D13、および信頼度情報D14を推定可能に機械学習されている。なお、学習済モデルMの機械学習の方法については、後述する。
【0101】
エリア情報D11は、異物Cxが搬送経路上に占める範囲を示す情報であり、異物Cxのサイズ(大きさ)の算出根拠となる情報を少なくとも含む。エリア情報D11は、通常、異物Cxがコンベヤ2上に占める範囲を少なくとも含むように所定形状に区画した図形(以下、「領域図形」という)で表される。この場合、領域図形の幾何的数量(領域図形に含まれる各点間の距離、領域図形の面積等)が、異物Cxのサイズの近似値として用いられる。本実施形態において、領域図形は、異物Cxに外接する方形で区画されるバウンディングボックスである。この場合、エリア情報D11は、バウンディングボックスの縦幅(搬送方向に平行な辺の長さ)および横幅(コンベヤ2の幅方向に平行な辺の長さ)を含む。これにより、後述するようにバウンディングボックスの対角線長さ等を算出することで、異物Cxのサイズの近似値として用いることができる。なお、エリア情報D11は、異物Cxの高さを示す情報を含んでもよい。
【0102】
位置情報D12は、検出された異物Cxの搬送方向および幅方向の位置を示す情報である。位置情報D12は、例えば、領域図形であるバウンディングボックスの中心座標(重心座標)である。
【0103】
種類情報D13は、検出された異物Cxの種類を示す情報である。選別対象物Obが太陽光パネル破砕物である場合、異物Cxの種類として、プラスチック、座金(ワッシャー)、接着剤等が予めラベルとして登録されている。学習済モデルMは、異物Cxの検出時に、これらの異物のラベルのいずれに該当するかを推定して、種類情報D13として出力する。
【0104】
信頼度情報D14は、学習済モデルMが推定したエリア情報D11、位置情報D12および種類情報D13といった推定結果に関する信頼度を示す情報である。なお、信頼度情報D14は、これらの推定結果に基づく算出結果であってもよい。
【0105】
具体的には、信頼度情報D14は、種類情報D13の正確さを示す分類確度であってもよい。また、信頼度情報D14は、異物Cxの外形に対するバウンディングボックスの適合度(これは、エリア情報D11および位置情報D12の正確さを示す)であってもよい。その場合、信頼度情報D14は、例えば、IOU(Intersection over Union)等の各種の指標値であってもよい。また、信頼度情報D14は、例えば、教師用画像データと、撮像データとのパターン一致度を表す相関係数であってもよい。また、信頼度情報D14は、これらの複数の信頼度に基づいて総合的に算出されるパラメータであってもよい。
【0106】
本実施形態では、信頼度情報D14は、異物Cxの種類情報D13の分類確度と、IOUとに基づいて算出される。種類情報D13が誤りである例としては、異物Cx同士での分類ミス(例えば、プラスチックが誤って非磁性金属片として検出されるといった誤検出)の場合と、ガラス材料Glが何らかの異物Cxとして誤検出される場合とが考えられる。特に、ガラス材料Glが異物Cxとして誤検出されると、信頼度情報D14は顕著に低く表れる傾向にある。したがって、この信頼度情報D14の値が低いほど、ガラス材料Gl(有価物)が異物Cxとして誤検出されている誤検出リスクが高く、信頼度情報D14は誤検出リスクを表す指標となる。
【0107】
信頼度情報D14は定量的に表現され、例えば、数値表現、百分率、確率表現によって表すことができる。本実施形態では、信頼度情報D14は、0以上1以下の数値表現を採用し、信頼度情報D14が1のとき検出結果の分類確度が最も高く、信頼度情報D14が0のとき検出結果の分類確度が最も低いものとした。
【0108】
以上述べた学習済モデルMが推定する原識別情報D1は、異物Cxの存在の有無のみならず、定量的・定性的な情報を含んでいる。このため、吸引部5の適正制御において有用であり、適宜、吸引制御部62における吸引制御に用いられる。
【0109】
その一方、原識別情報D1は、パラメータ算出部611において二次的な情報(二次識別情報D2)に加工することで、吸引部5の適正制御において一層有用なものとなる。このため、原識別情報D1はパラメータ算出部611に入力され、算出結果である二次識別情報D2を、原識別情報D1と併せて吸引制御部62へと送出している。
【0110】
<4-2.検出部/パラメータ算出部について>
パラメータ算出部611は、学習済モデルMが一次的に推定した原識別情報D1の各情報D11~D14の入力を受けて、二次識別情報D2を算出する。以下では、学習済モデルMが異物Cxの検出時に、バウンディングボックスを用いてエリア情報D11および位置情報D12を得ていることを前提として、二次識別情報D2について説明を行う。
【0111】
パラメータ算出部611による二次識別情報D2の算出に先立って、記憶部63には、異物種毎に、異物Cxの密度標準値や高さ標準値といった各種特性値を予め記憶させておく。そして、パラメータ算出部611は、学習済モデルMが一次的に推定した原識別情報D1の各値を所定の計算式に代入すると共に、各計算式の所定の定数として、記憶部63より設定登録値・条件40を適宜呼び出して計算式に反映することで、所望の二次識別情報D2を算出する。各計算式は単独で、あるいは複数の計算式を組み合わせて用いることができる。
【0112】
本実施形態では、二次識別情報D2には、対角線長さD21、面積情報D22、および重量情報D23が含まれる。
【0113】
対角線長さD21は、エリア情報D11に含まれるバウンディングボックスの大きさから算出される、バウンディングボックスの対角線の長さである。パラメータ算出部611は、バウンディングボックスの縦幅および横幅をそれぞれ二乗して和を求め、この和の平方根を対角線長さD21とする。なお、エリア情報D11の示す領域がバウンディングボックス以外の形状の場合、当該領域において最も離れた2点の距離を対角線長さD21として用いてもよい。
【0114】
対角線長さD21は、エリア情報D11のサイズを示す情報として用いられる。少なくとも対角線長さD21よりも口径が大きな吸引ノズルNx,nxを用いれば、対象となる異物Cxを吸引可能であるため、異物Cxの大きさに見合った(必要最小な口径の)吸引ノズルNx,nxを適正に選択するために用いられる。
【0115】
面積情報D22は、エリア情報D11の面積を示す値である。パラメータ算出部611は、エリア情報D11に含まれるバウンディングボックスの縦幅および横幅の積を、面積情報D22とする。なお、エリア情報D11の示す領域がバウンディングボックス以外の形状の場合、当該領域の面積を面積情報D22としてもよい。
【0116】
重量情報D23は、異物Cxの重量に関する参考値である。パラメータ算出部611は、面積情報D22と、予め設定登録された各種異物Cxの高さ標準値および密度標準値とを積算して、重量情報D23とする。
【0117】
本実施形態では、カメラ4にステレオカメラを採用しないため、重量情報D23の算出において予め設定登録された各種異物Cxの高さ標準値を使用している。しかしながら、カメラ4として、従来のカメラに加えてステレオカメラを別途備えてもよい。その場合、重量情報D23の算出において、高さ標準値に代えて、異物Cxの高さの測定値を用いてもよい。
【0118】
また、重量情報D23の算出において、高さ標準値や密度標準値に代えて、異物種毎に予め設定登録された異物Cxの標準重量値を採用してもよい。このように、上記以外の標準値を適宜重量算出時の補正計算に用いてもよい。
【0119】
面積情報D22や重量情報D23は、吸引制御部62において、複数の異物Cxが同時に検出された際の吸引優先度を決定する際に指標となる。例えば、面積情報D22が略等しい異物Cxが複数存在する場合、重量情報D23がより大きな異物Cxの方が、残存することによって有価物(ガラス材料Gl)の異物濃度を上昇させる悪影響が大きい。このため、重量情報D23の大きな異物Cxを優先的に吸引することが好ましく、重量情報D23は後述する吸引優先度を決定する指標となる。
【0120】
パラメータ算出部611によって算出された異物Cxに関する二次識別情報D2(対角線長さD21、面積情報D22、重量情報D23等)は、原識別情報D1とともに、吸引制御部62へと送出される。
【0121】
<4-3.吸引制御部について>
吸引制御部62は、検出部61から入力される原識別情報D1および二次識別情報D2に基づいて、電磁弁7の動作制御を行うことにより、各吸引ノズルNx,nxにおける吸引動作を制御する吸引制御処理を行う。
【0122】
吸引制御部62が行う吸引制御処理の実行に先立って、記憶部63には、各種の設定登録値が登録される。図6には、記憶部63に記憶される設定登録値の例が示されている。図6に示すように、設定登録値は、例えば、大きく分けて異物特性値(A)、閾値(B)、吸引優先度決定条件(C)、生産目標値(D)、およびコンプレッサ・コンベヤ制御値(E)を含む。
【0123】
具体的には、異物特性値(A)は、異物種毎の密度標準値および高さ標準値を含む。図6の例では、異物種として、プラスチック、座金、および接着剤が登録されている。閾値(B)は、対角線長さD21の上限値であるサイズ上限値と、対角線長さD21の下限値であるサイズ下限値と、信頼度の下限値である信頼度下限値と、第1吸引ノズルNxおよび第2吸引ノズルnxのノズル径割り当て値とを含む。また、吸引優先度決定条件(C)には、後述する吸引優先度の指標が設定される。図6の例では、吸引優先度の指標として、重量情報D23が設定されている。
【0124】
生産目標値(D)には、選別システム1の目標歩留まり率と、目標純度とが含まれる。また、コンプレッサ・コンベヤ制御値(E)には、コンプレッサ能力値、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数、標準吸引サイクルタイム、およびコンベヤ速度が含まれる。なお、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数は、コンプレッサ能力値から自動的に算出されてもよい。
【0125】
標準吸引サイクルタイムは、1つの異物Cxに対して、吸引対象となる吸引ノズルNx,nxにおいて吸引動作がなされる標準期間(標準時間長さ)である。標準吸引サイクルタイムは、想定される標準的な異物Cxが、吸引ノズルNx,nxからホース27を通過してチャンバ28まで到達可能な必要最低限な時間以上とする。
【0126】
吸引制御部62は、検出部61から入力される識別情報D1,D2に基づいて、異物Cxを吸引するための吸引ノズルNx,nxを作動対象として選択する。その際、吸引制御部62は、基本的には、エリア情報D11に基づいて異物Cxの吸引に必要最小な口径を有する吸引ノズルNx,nxを作動対象として選択する。
【0127】
また、本実施形態のように、吸引ノズルNx,nxが口径毎に幅方向の複数位置に配置される場合には、吸引制御部62は、エリア情報D11および位置情報D12に基づいて、必要最小な口径を有し、かつ、位置情報D12に対応する位置に配置された吸引ノズルNx,nxを作動対象として選択する。
【0128】
吸引制御部62は、異物Cxの検出時に、エリア情報D11の示すサイズが所定のサイズ下限値を下回ることを条件に、異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxの作動を見送る。また、吸引制御部62は、異物Cxの検出時に、エリア情報D11の示すサイズが所定のサイズ上限値を上回ることを条件に、異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxの作動を見送る。
【0129】
吸引制御部62は、異物Cxの検出時に、信頼度情報D14が所定の信頼度下限値を下回ることを条件に、異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxの作動を見送る。
【0130】
また、吸引制御部62は、識別情報D1,D2に基づいて、異物Cxの吸引に要する吸引時間帯を算出する。吸引制御部62は、コンベヤ2の搬送速度から、異物Cxが吸引対象の吸引ノズルNx,nxの吸引可能領域Vx,vxに到達するまでの所要時間を算出するとともに、標準吸引サイクルタイムを参照して吸引時間帯を決定する。吸引時間帯は、例えば、異物Cxの上流側端部が選択した吸引ノズルNx,nxの吸引可能領域Vx,vxに達した時点から開始し、標準吸引サイクルタイム経過後に終了するものとする。なお、吸引時間帯の始点は、異物Cxの中心位置が選択した吸引ノズルNx,nxの吸引可能領域Vx,vxに達した時点としてもよい。
【0131】
吸引制御部62は、複数の異物Cxの吸引時間帯が重複することにより、全ての異物Cxを吸い残しなく吸引しようとすると、作動対象の吸引ノズルNx,nxの数が最大同時作動可能数を超えることを条件に、全ての異物Cxを吸い残しなく吸引することが不可能な競合状態であると判定する。
【0132】
競合状態において、吸引制御部62は、識別情報D1,D2に基づいて、競合状態であると判定された複数の異物Cxの吸引優先度を決定する。そして、吸引制御部62は、吸引優先度に基づいて、作動対象の吸引ノズルNx,nxの数が最大同時作動可能数内に収まるよう、吸引対象とする異物Cxを限定する。吸引優先度は、例えば、異物Cxの重量情報D23や、種類情報D13に基づいて決定される。
【0133】
なお、競合状態において、吸引制御部62は、必要最小な口径を上回る口径の吸引ノズルであっても作動対象として選択することを許容する例外制御を行ってもよい。その場合、吸引制御部62は、まず、吸引対象とする複数の異物Cxのそれぞれに対して、必要最小な口径の吸引ノズルNx,nxのみを作動対象とすることを前提として、競合状態を判定する。その後、必要最小な口径が互いに異なる複数の異物Cx同士が競合状態である場合には、エリア情報D11のサイズおよび位置情報D12に基づいて、相対的に大きな口径の吸引ノズルNx,nxによって複数の異物Cxを吸い残しなく吸引することが可能となることを条件に、例外制御を行う。
【0134】
<5.学習済モデルの作成方法>
以下では、学習済モデルMの作成方法について、図7を参照しつつ、説明する。図7は、学習済モデルMの作成処理の流れを示したフローチャートである。
【0135】
以下、学習済モデルMの作成に用いる選別対象物Obを特に「サンプル材料MOb」、サンプル材料MObの撮像データを「教師用画像データ」、教師用画像データと正解ラベル情報とを紐づけたものを「学習用データセット」と称する。
【0136】
まず、サンプル材料MObをコンベヤ2上に配置する(ステップS101)。サンプル材料MObは、含まれる有価物および異物の割合や大きさが、選別システム1において実際の検出および吸引除去の対象となる選別対象物Obと同等となるように調整されている。サンプル材料MObには、無色透明な有価物であるガラス材料Glと、サイズが相異なる不透明な複数の異物Cxとが混在する。
【0137】
なお、複数の異物Cxは、少なくとも1種類のガラス材料Gl以外の対象物であり、例えば、樹脂片(プラスチック)、座金、接着剤、非磁性金属片その他が該当する。これら異物Cxは、一般に、不透明かつ/または、色彩を有している。
【0138】
次いで、環境光を遮断した遮蔽環境下において、サンプル材料MObに対して、内部光源であるLED照明11から光を照射しつつ、撮像手段であるカメラ4によってサンプル材料MObを撮像する(ステップS102)。これにより、サンプル材料MObを撮影した教師用画像データを取得する。
【0139】
このステップS102において、LED照明11から出射する光に対して、第1偏光板16によって第一の偏光を施すとともに、カメラ4に入射する光に対して、第2偏光板44によって第二の偏光を施す。これにより、LED照明11の映り込みを抑制し、サンプル材料MOb固有の色彩を反映した良好な撮像データを得ることができる。
【0140】
なお、ステップS102では、機械学習による判別精度を所望の精度以上とするため、相応な数の教師用画像データを取得するとよい。
【0141】
続いて、教師用画像データに含まれる異物Cxの種類情報を正解ラベルとして教師用画像データと紐付けた学習用データセットを作成する(ステップS103~S104)。
【0142】
具体的には、まず、教師用画像データについて、異物Cxのトリミングを行い、小画像を作成する(ステップS103)。本実施形態では、方形のバウンディングボックスによってトリミングする(切り取る)。このとき、バウンディングボックスを異物Cxと極力密着するよう外接させるようにトリミングする。ステップS103のトリミング工程は、ユーザが全て手動で行ってもよく、専用ソフトウェア等の機械的な補助を用いてユーザが一部手動で行ってもよく、あるいは、機械的な手段のみで実行してもよい。
【0143】
次いで、トリミング工程で得られた小画像のそれぞれに、異物Cxの種類情報D13(例えば、プラスチック)の正解ラベルと紐づけることで異物種についてのラベリングを行う(ステップS104)。これにより、学習用データセットが作成される。
【0144】
なお、異物Cxをトリミングした際、ガラス材料Glがトリミング領域内に一緒に映り込む場合がある。この場合には、ガラス材料Glは背景領域とみなし、原則として種類情報D13のラベリングを行わない。このとき、検出時と同色のコンベヤ2の搬送面22上に、ガラス材料Glと異物Cxとを混在させて載置した状態で、教師用画像データを撮像しトリミングする。これにより、実際の検出時と近い状況下で学習を行える。その結果、検出精度を高めることができる。
【0145】
実際に、本願の発明者が、コンベヤ2の搬送面22上に異物Cxのみを載置した状態で教師用画像データの作成・学習を行ったときは、充分な検出精度が得られなかった。また、異物Cxとともにガラス材料Glをコンベヤ2の搬送面22上にランダムに配置した状態で教師用画像データを作成し、異物Cxに加えてガラス材料Glにも種類情報D13をラベリングして学習すると、データ処理の負荷が過大となり、却って検出精度が悪化した。一方、異物Cxとともにガラス材料Glをコンベヤ2の搬送面22上にランダムに配置した状態で教師用画像データを作成し、異物Cxのみに種類情報D13をラベリングして学習を行ったときは、データ処理の負荷は抑制され、検出精度も良好であった。
【0146】
なお、ステップS103のトリミング工程を機械的な手段のみで行った場合、異物Cxだけでなく、有価物であるガラス材料Glについてもトリミングされる可能性がある。その場合、ステップS104のラベリング工程において、当該小画像を学習用データセットから削除してもよいし、当該小画像に「異物でない」旨のラベリングを行ってもよい。
【0147】
その後、正解ラベルと紐付けられた小画像のそれぞれに対して、回転、反転等の画像処理(拡張)を施す(ステップS105)。これによって、学習用データセットが各種の微差に関する各種パターンについて豊富化され、撮影時に種々の位置関係・状態にある異物Cxに対して、判別精度の向上が期待される。また、数に限りがある教師用画像データから、判別に十分な学習用データセットを作成することが期待される。
【0148】
続いて、作成した学習用データセットを未学習の機械学習モデルに入力し、学習前の機械学習モデルの教師有り機械学習を行う(ステップS106)。本実施形態では、ステップS106における教師有り機械学習を、深層学習(ディープラーニング)によって実行することにより、学習済みモデルMを生成している。
【0149】
なお、本実施形態では、機械学習モデルとして、物体検出用アルゴリズムのYOLO(You only look once) を用いた。ただし、機械学習モデルはこれに限定されず、種々の機械学習ライブラリ等によって提供される所望のアルゴリズムを機械学習モデルとして採用してもよい。また、機械学習モデルは、複数のアルゴリズムを組み合わせてもよく、既存のアルゴリズムに改良を加えてもよい。
【0150】
好ましくは、機械学習モデルとしては、先述のYOLOの他、R-CNN、SSD(Single Shot MultiBox Detector)、その他の深層畳み込みニューラルネットワークといった、深層学習を実行可能な物体検出用アルゴリズムを採用するとよい。その場合、各異物Cxの特徴量として注目すべきパラメータが事前に明らかでなくても、こうしたパラメータを機械学習モデルによって特定させ、特徴量として学習済モデルに反映させることができる。これにより、破砕工程を経て大きさ・形状がばらついた(不定形な)異物Cxであっても、選別対象物Obから精度よく検出できる。
【0151】
より好ましくは、機械学習モデルとしては、YOLO、R-CNN、SSDといった物体検出用アルゴリズムが適する。これらは、異物の背景領域(例えば、異物の背後に存在する有価物や他の異物Cxといった物体、固有の色彩を有するコンベヤ2の搬送面22)を同時に学習することで検出精度を高めると考えられるため、背景となる有価物が透明である場合(例えば、ガラス材料Glの場合)に、一層効果的に誤認識を抑制できる。
【0152】
特に、YOLO、SSDに代表されるように、物体の分類と、バウンディングボックスのトリミング範囲とを同時に推定可能な物体検出用アルゴリズム(1ステージ検出の物体検出用アルゴリズム)を採用することで、処理速度を高めて効率的な検出が可能となる。これにより、選別システム1のように、比較的短い所定応答時間内に、搬送中の異物Cxの吸引タスク設定といった処理を行う必要がある(即応性が要求される)システム制御に一層適したものとなる。
【0153】
また、異物Cxが存在する可能性の低い背景領域を物体検出の初期段階で除外するアルゴリズムを採用した場合は、異物Cxが非常に小さいときには背景領域に含まれて、バウンディングボックスの区画対象外となる(吸引タスクの候補とならない)。例えば、YOLOの一部バージョン等がこれに該当し得るが、こうしたアルゴリズムは歩留まり低下の軽減を優先する場合や、処理速度を優先したい場合に特に適していると考えられる。
【0154】
一方、異物Cxの残存許容度が低い場合は、非常に小さい異物Cxであっても、バウンディングボックスの区画対象とする(吸引タスクの候補とする)アルゴリズムがより適している。例えば、SSDまたはR-CNNの派生手法等がこれに該当し得る。多少の歩留まり低下は許容しつつ、異物Cxをなるべく漏らさず吸引除去して有価物の純度を高めたいといった場合は、こうしたアルゴリズムを採用するとよく、異物Cxのサイズの大小に極端にバラつきがあるといった際に特に有効であると考えられる。
【0155】
また、異物Cxの残存許容度が低い場合は、機械学習モデルを使い分ける他、カメラ4の解像度を上げる、異物Cxを接写する等の工夫を適宜行うことで、小さな異物Cxの検出精度を向上させるとよい。
【0156】
ステップS106の機械学習工程が終了すると、学習を終了するか否かを判断する(ステップS107)。具体的には、教師用画像データの一部を用いてバリデーション(検証)を行い、学習済モデルMの推定精度を確認する。ステップS107の判断は、学習済みモデルMから出力された推定精度に基づいて、機械的に行われてもよいし、ユーザが手動で確認および判断してもよい。
【0157】
ステップS107において、十分な推定精度が得られない場合には(ステップS107:No)、ステップS106に戻り、機械学習時の各種パラメータの重み付け等の各種条件の変更(モデルチューニング)を適宜行った上で、教師有り機械学習を再度実行する。
【0158】
なお、十分な推定精度が得られない場合(ステップS107:No)において、ステップS106における再学習を行う前に、必要に応じて学習用データセットを拡充させてもよい。例えば、同じサンプル材料MObの配置を換えて撮影し、あるいは別のサンプル材料MObを撮影し、新たな学習用画像データを取得してもよい。また、同じ学習用画像データについて、さらに多くのパターンの画像処理を行って、学習用データセットを拡充させてもよい。
【0159】
一方、ステップS107において、十分な推定精度が得られた場合(ステップS107:Yes)、学習済みモデルMの各種パラメータが確定され、機械学習による学習済モデルMの作成を完了する(ステップS108)。作成完了した学習済モデルMは、検出部61に組み込まれる。以上をもって学習済モデルM作成処理の全工程が完了する。
【0160】
このように作成された学習済みモデルMにおいて、十分な推定精度が得られていれば、コンベヤ2上を搬送される選別対象物Ob中の異物Cxの存在を検出したとき、異物Cxのエリア情報D11が示す方形のバウンディングボックスは、前記異物Cxが実際に存在する領域に略外接するようになる。
【0161】
即ち、エリア情報D11に含まれる領域は、背景となる領域(ガラス材料Glを含む)から精度よく識別されて、異物Cxに外接する方形(長方形または正方形)で区画されるバウンディングボックスで表されるようになる。
【0162】
なお、前述したトリミングが不正確であれば、バウンディングボックスが異物Cxに外接せず、異物の実サイズよりも過大または過小となる虞がある。このため、ステップS103において、教師用画像データを正確にトリミングすることが望ましい。
【0163】
上記の機械学習は、選別システム1の情報処理装置6上で実行してもよいが、相応のGPU等を搭載した他のコンピュータ端末(PC)、すなわち機械学習用の専用端末上で実行してもよい。その場合、情報処理装置6と、専用端末とを有線・無線のネットワークを介して接続し、情報処理装置6から専用端末へ教師用データセットを転送したり、作成した学習済モデルMを専用端末から情報処理装置6へ送信したりしてもよい。
【0164】
このように、物理・クラウドの両方を含むサーバおよび専用端末といったネットワーク上のコンピュータ端末は、選別システム1の情報処理装置6の機能の一部または全部を代替・補完してもよい。その場合、これらのコンピュータ端末は、情報処理装置6として、本発明の技術的範囲に属する。
【0165】
<6.吸引制御処理>
以下では、本実施形態の選別システム1における吸引制御処理について、順に説明を行う。
【0166】
<6-1.初期設定手順>
選別システム1における吸引制御処理に先だって、初期設定として、各種の設定登録値を選別システム1へと入力する。
【0167】
情報処理装置6の記憶部63に、図6に示す異物特性値(A)、閾値(B)、吸引優先度決定条件(C)および生産目標値(D)の各設定登録値を入力する。具体的には、情報処理装置6の記憶部63に、異物種毎の密度標準値および高さ標準値、サイズ上限値、サイズ下限値、信頼度下限値、第1吸引ノズルNxおよび第2吸引ノズルnxのノズル径割り当て値、吸引優先度の指標(決定条件)、選別システム1の目標歩留まり率および目標純度が入力される。
【0168】
また、コンプレッサ・コンベヤ制御盤20を起動し、コンプレッサ・コンベヤ制御盤20に、コンプレッサ・コンベヤ制御値(E)の各設定登録値を入力する。具体的には、コンプレッサ・コンベヤ制御盤20に、コンプレッサ能力値、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数、標準吸引サイクルタイム、およびコンベヤ速度を入力する。なお、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数は、コンプレッサ能力値から自動的に算出されてもよい。コンプレッサ・コンベヤ制御盤20に入力されたコンプレッサ・コンベヤ制御値(E)の各設定登録値は、情報処理装置6に送信され、記憶部63に記憶されてもよい。
【0169】
なお、密度標準値は、各種異物Cxを構成するそれぞれの素材に関するデータシート等を参照した値としてもよく、各種異物Cxの密度の実測値から求めた値としてもよい。高さ標準値は、例えば、選別対象物Obを実際に計測した計測結果に基づいて設定してもよい。これら標準値の各値として、複数の計測値の平均値、中央値等の種々の指標によって代表させた値を用いてもよい。
【0170】
サイズ上限値は、吸引ノズルNx,nxのうち、最大径の第1吸引ノズルNxが吸引可能な、異物Cxの大きさ(対角線長さD21)の上限値である。サイズ上限値を超える大きさの異物Cxは、吸引部5において吸引除去することができないため、吸引ノズルNx,nxを作動させても、当該異物Cxを除去できず、周辺の有価物のみを吸引してしまう。このため、サイズ上限値を設けている。
【0171】
サイズ下限値は、吸引対象とする異物Cxの大きさ(対角線長さD21)の下限値である。異物Cxが小さすぎる場合には、当該異物Cxを除去しても純度の上昇が僅かである一方で、最小径の第2吸引ノズルnxを用いた場合でも周辺の有価物の吸引によって歩留まりが低下してしまう。このため、過剰吸引抑制の観点から、サイズ下限値を設けている。
【0172】
信頼度下限値は、吸引対象とする異物Cxの信頼度情報D14の下限値である。異物Cxの信頼度情報D14が小さすぎる場合には、当該異物Cxの検出結果は誤検出リスクが高い。すなわち、異物Cxであるか否かが不確実な状態であり、実際にはガラス材料Glである可能性が高い。このため、有価物であるガラス材料Glの過剰吸引抑制の観点から、信頼度下限値を設けている。
【0173】
また、本実施形態における信頼度情報D14は、エリア情報D11または位置情報(座標)D12の正確さを示す値であってもよい。この場合、信頼度情報14が小さすぎると、バウンディングボックス内に異物Cxが存在するかどうかが不確実な状態であると考えられる。このような場合に、当該異物Cxを除去すると、周辺のガラス材料Glを無用に吸引することになり得る。このため、信頼度下限値を設けることは過剰吸引抑制の観点において同様に有効であると考えられる。
【0174】
第1吸引ノズルNxおよび第2吸引ノズルnxのノズル径割り当て値は、異物Cxの大きさ(対角線長さD21)に基づいていずれの吸引ノズルNx,nxを作動対象とするかを決定するための閾値である。本実施形態では、吸引ノズルNx,nxの口径の種類は第1吸引ノズルNx、第2吸引ノズルnxの二種類なので、ノズル径割り当て値の閾値は1つであり、第2吸引ノズルnxの内径と一致している。吸引ノズルの口径を更に複数種類設ける場合は、各吸引ノズルの内径に応じてノズル径割り当て値を定めるとよい。
【0175】
吸引優先度の指標は、選別対象物Obの種類や、選別処理後に回収した有価物の用途によって適宜設定される。本実施形態では、吸引優先度の指標として、重量情報D23を参照先に設定している。これにより、複数の異物Cxが同時に吸引対象となった場合に、重量の大きな異物Cxを優先して吸引除去させることで、回収物における有価物の純度が向上する。また、回収後の有価物の用途上回収物に混入すると困る異物種が有る場合には、吸引優先度の指標として、当該異物種を設定登録してもよい。
【0176】
選別・回収処理の目標歩留まり率と、有価物(ガラス材料Gl)の目標純度とは、必要に応じて設定登録される。
【0177】
これらの設定登録値は、資源リサイクルの対象となる選別対象物Obの性状差や、目標純度、目標歩留まり率といった生産目標値(D)に応じて決定する。
【0178】
例えば、本実施形態のように、ガラス材料Glを有価物とする場合には、微小なプラスチックなどの異物Cxであれば、選別システム1における回収後、溶融・精製工程において揮発することで純度への影響が少ない場合もある。このため、歩留まりと純度とのトレードオフを考慮して、要求に比して過剰な純度を追求することで歩留まりが著しく低下しないよう、適正な設定登録値を初期設定することが好ましい。
【0179】
また、上記とは対照的に、ガラス材料Glの純度が更に要求される場合や、選別対象物Obに含まれる有価物が異物Cxの残存許容度が低いものである場合には、多少の歩留まり低下を許容しつつ、有価物の純度を最大化するように、適正な設定登録値を初期設定するとよい。例えば、動作抑制用の各下限値(サイズ下限値や信頼度下限値)を相対的に引き下げることで見送りの決定の頻度を減少させるとよい。
【0180】
<6-2.有価物選別処理>
本実施形態の選別システム1における有価物選別処理の流れを、図8を参照しつつ説明する。図8は、選別システム1における有価物選別処理の流れを示したフローチャートである。
【0181】
有価物選別処理において、選別システム1が起動されると、まず、情報処理装置6およびコンプレッサ・コンベヤ制御盤20は、各種の設定登録値を読み込む(ステップS201)。
【0182】
そして、選別システム1の運転が開始される(ステップS202)。選別システム1の運転開始に伴い、まず、コンベヤ2およびコンプレッサ25が起動される。続いて、LED照明11の点灯、およびカメラ4による撮影準備が完了すると、投入シュート3からコンベヤ2への選別対象物Obの投入が開始される。これと同時に、カメラ4による定期的な撮影と、撮像データからの異物Cxの検出が開始される(ステップS203)。
【0183】
コンベヤ2の上流側端部付近に投入された選別対象物Obは、フード9の入口付近に設けられたスクレーパ12によって均され、重なり等を極力抑制した状態で、フード9の内部の撮像範囲10へと進む。そうすると、カメラ4は、環境光を遮断した遮蔽環境下において、選別対象物Obに対してLED照明11から光を照射しつつ、選別対象物Obを撮影する。これにより、撮像データを取得する。なお、このとき、学習済モデルMの作成時と同様に、LED照明11から出射する光に対して第1偏光板16によって第一の偏光を施すとともに、カメラ4に入射する光に対して第2偏光板44によって第二の偏光を施している。
【0184】
カメラ4は、性能に応じた所定のフレームレート(例えば、毎秒75回程度)にて定期的に撮影を行い、撮像データを情報処理装置6へと順次引き渡す。情報処理装置6は、受け取った撮像データを、検出部61の学習済モデルMへと順次入力していく。これにより、学習済モデルMは、入力された撮像データに対して異物Cxの検出を行う。
【0185】
このとき、カメラ4は、取得された撮像データの全てを情報処理装置6に引き渡さなくてもよい。本実施形態では、カメラ4は、コンベヤ2の搬送面22上の領域の重複・欠落が極力生じないように、コンベヤ2の速度に応じた所定の時間間隔にて、撮像データを選択的に情報処理装置6に引き渡す。これにより、情報処理装置6は、時系列において過不足なく連続した撮像データを取得できる。
【0186】
情報処理装置6は、撮影および異物検出の開始(ステップS203)後、学習済モデルMが異物Cxを検出したか否かを監視する(ステップS204)。異物Cxが検出されていないと判断すると(ステップS204:No)、情報処理装置6は、ステップS206に進み、運転終了命令が入力されているか否かを判断する(ステップS206)。運転終了命令が入力されていない場合(ステップS206:No)、ステップS204に戻り、異物Cxを検出したか否かの監視を継続する。一方、運転終了命令が入力されている場合(ステップS206:Yes)、有価物選別処理を終了する。
【0187】
ステップS204において、学習済モデルMが異物Cxを検出したと判断すると(ステップS204:Yes)、情報処理装置6は、検出した異物Cxに対して、後述する吸引制御工程(ステップS205)を開始する。その後、当該異物Cxに対する吸引制御工程(S205)と並行して、ステップS206へ進む。そして、運転終了命令が入力されていない場合(ステップS206:No)、ステップS204に戻り、学習済モデルMが次の異物Cxを検出したか否かの監視を行う。一方、運転終了命令が入力されている場合(ステップS206:Yes)、有価物選別処理を終了する。
【0188】
<6-3.吸引制御工程>
続いて、学習済モデルMが検出した異物Cxに対する吸引制御工程(ステップS205)の流れを、図9図13を参照しつつ説明する。図9は、選別システム1における吸引制御工程の流れを示したフローチャートである。図10図13は、異物Cxの例と、当該異物Cxに対応する位置に配置された吸引ノズルNx,nxとを示した図である。
【0189】
上述の通り、有価物選別処理において学習済モデルMが異物Cxを検出すると、情報処理装置6は、当該異物Cxに対する吸引制御工程(ステップS205)を行う。図9に示すように、吸引制御工程において、吸引制御部62は、まず、学習済モデルMから異物Cxの検出とともに出力された原識別情報D1を取得する(ステップS301)。原識別情報D1には、エリア情報D11、位置情報(座標)D12、種類情報D13、および信頼度情報D14が含まれる。
【0190】
そして、パラメータ算出部611が、原識別情報D1から、二次識別情報D2を算出する(ステップS302)。二次識別情報D2には、対角線長さD21、面積情報D22、および重量情報D23が含まれる。吸引制御部62は、以下の工程において、原識別情報D1および二次識別情報D2に基づいて、吸引ノズルNx,nxの動作を制御する。
【0191】
吸引制御部62は、検出した異物Cxの対角線長さD21(エリア情報D11のサイズ)が、所定の範囲内であるか否かを判断する(ステップS303)。具体的には、ステップS303において、吸引制御部62は、検出した異物Cxの対角線長さD21が、所定のサイズ下限値以上、かつ、所定のサイズ上限値以下であるか否かを判断する。検出した異物Cxの対角線長さD21が所定の範囲内でないと判断した場合(ステップS303:No)、吸引制御部62は、当該異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxの作動を見送り、当該異物Cxに対する吸引制御工程を終了する。検出した異物Cxの対角線長さD21が所定の範囲内でない場合には、対角線長さD21がサイズ下限値を下回る場合と、対角線長さD21がサイズ上限値を上回る場合とがある。
【0192】
図10は、異物Cxの対角線長さD21がサイズ上限値を上回る例を示している。図10において、検出した異物CaのバウンディングボックスBBaが、破線で示されている。図10の例では、バウンディングボックスBBaの対角線の長さである対角線長さD21が、最大口径を有する第1吸引ノズルNx(N1,N2)の内径に等しいサイズ上限値よりも大きい。このため、吸引制御部62は、ステップS303において、検出した異物Caの対角線長さD21が所定の範囲内でないと判断し、異物Caに対する吸引ノズルNx,nxの作動が見送られる。
【0193】
図11は、異物Cxの対角線長さD21がサイズ下限値を下回る例を示している。図11において、検出した異物CbのバウンディングボックスBBbが、破線で示されている。図11の例では、検出した異物Cbはごく微小であり、回収物における有価物純度への影響が小さい。異物CbのバウンディングボックスBBbの対角線の長さである対角線長さD21は、所定のサイズ下限値よりも小さい。このため、吸引制御部62は、ステップS303において、検出した異物Cbの対角線長さD21が所定の範囲内でないと判断し、異物Cbに対する吸引ノズルNx,nxの作動が見送られる。
【0194】
ステップS303において、検出した異物Cxの対角線長さD21が所定の範囲内であると判断した場合(ステップS303:Yes)、吸引制御部62は、続いて、検出した異物Cxの信頼度情報D14が所定の信頼度下限値よりも大きいか否かを判断する(ステップS304)。検出した異物Cxの信頼度情報D14が信頼度下限値を下回る場合(ステップS304:No)、吸引制御部62は、当該異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxの作動を見送り、当該異物Cxに対する吸引制御工程を終了する。
【0195】
図12は、異物Cxの信頼度情報D14が信頼度下限値を下回る例を示している。図12において、検出した異物Ccは、実際には異物ではなく、ガラス材料Glが重なったものである。しかしながら、重なりによって、プラスチック等の異物であると誤検出されている。そして、このとき、学習済モデルMが出力した異物Ccの信頼度情報D14は、信頼度下限値を下回っている。例えば、信頼度下限値が0.60(60%)であるのに対し、異物Ccの信頼度情報D14は0.42(42%)である。このため、吸引制御部62は、ステップS304において、検出した異物Ccの信頼度情報D14が信頼度下限値を下回ると判断し、異物Ccに対する吸引ノズルNx,nxの作動が見送られる。
【0196】
なお、こうした材料同士の重なりによる誤検出は、有価物が無色透明である場合に顕著となる。このため、有価物がガラス材料Gl等の略無色透明な材料であり、異物Cxは不透明かつ/または色彩を有する場合には、信頼度情報D14に基づく吸引見送りの利点が大きく、過剰吸引の抑制において一層の効果を奏する。
【0197】
ステップS304において、検出した異物Cxの信頼度情報D14が信頼度下限値以上であると判断した場合(ステップS304:Yes)、吸引制御部62は、ステップS305へと進む。なお、この吸引制御工程において、ステップS303における異物サイズによる見送り判断と、ステップS304における信頼度による見送り判断とは、その順番が逆であってもよい。
【0198】
ステップS305では、吸引制御部62は、検出した異物Cxの吸引に用いる吸引ノズルNx,nxを決定するとともに、当該吸引ノズルNx,nxにおける吸引時間帯を算出する(ステップS305)。
【0199】
ステップS305において、吸引制御部62は、まず、エリア情報D11に基づいて、検出した異物Cxの吸引に必要最小な口径の吸引ノズルNx,nxを1つ作動対象として選択する。その後、吸引制御部62は、識別情報D1,D2に基づいて、検出した異物Cxの吸引に要する吸引時間帯を算出する。
【0200】
具体的には、まず、吸引制御部62は、エリア情報D11から算出された対角線長さD21をノズル径割り当て値と比較して、検出した異物Cxの吸引に必要最小な口径の吸引ノズルNx,nxが第1吸引ノズルNxであるか、第2吸引ノズルnxであるかを判断する。対角線長さD21が第1吸引ノズルNxのノズル径割り当て値の範囲に該当する場合には、吸引制御部62は、第1吸引ノズルNxを作動対象として選択する。また、対角線長さD21が第2吸引ノズルnxのノズル径割り当て値の範囲に該当する場合には、吸引制御部62は、第2吸引ノズルnxを作動対象として選択する。
【0201】
そして、吸引制御部62は、検出した異物Cxの位置情報D12から、複数の第1吸引ノズルNxまたは複数の第2吸引ノズルnxの中から、検出した異物Cxの属する吸引レーンLx,lxに対応する1つの吸引ノズルNx,nxを選択する。
【0202】
続いて、吸引制御部62は、検出した異物Cxを吸引するために選択した吸引ノズルNx,nxを動作させる吸引時間帯を算出する。吸引制御部62は、コンベヤ2の搬送速度から、異物Cxが吸引対象の吸引ノズルNx,nxの吸引可能領域Vx,vxに到達するまでの所要時間を算出するとともに、標準吸引サイクルタイムを参照して吸引時間帯を決定する。吸引時間帯は、例えば、異物Cxの上流側端部が選択した吸引ノズルNx,nxの吸引可能領域Vx,vxに達した時点から開始し、標準吸引サイクルタイム経過後に終了するものとする。なお、吸引時間帯の始点は、異物Cxの中心位置が選択した吸引ノズルNx,nxの吸引可能領域Vx,vxに達した時点としてもよい。
【0203】
このように、ステップS305では、検出した異物Cxを吸引する1つの吸引ノズルNx,nxと、当該吸引ノズルNx,nxの作動時間帯である吸引時間帯とが決定される。以下では、ステップS305において決定される吸引ノズルNx,nxおよび吸引時間帯を、異物Cxの「吸引タスク」と称する。
【0204】
図13および図14は、検出された異物Cxと、ステップS305において選択された吸引ノズルNx,nxとの例を示している。図13の例では、検出した異物Cdの対角線長さD21、すなわち、バウンディングボックスBBdの対角線の長さが、第1吸引ノズルNxのノズル径割り当て値の範囲に該当する。このため、吸引制御部62は、第1吸引ノズルNx(N1,N2)のいずれかを用いて異物Cdを吸引することを決定する。
【0205】
続いて、吸引制御部62は、検出した異物Cdの位置情報D12、すなわち、バウンディングボックスBBdの中心点Pdの幅方向の位置が、どの第1吸引ノズルNxの吸引レーンLxと重なるかを判断する。図13の例では、バウンディングボックスBBdの中心点Pdの幅方向の位置は、二点鎖線で示す第1吸引ノズルN1に対応する吸引レーンL1上にある。このため、吸引制御部62は、第1吸引ノズルN1を用いて異物Cdを吸引することを決定する。
【0206】
一方、図14の例では、検出した異物Ceの対角線長さD21、すなわち、バウンディングボックスBBeの対角線の長さが、第2吸引ノズルnxのノズル径割り当て値の範囲に該当する。このため、吸引制御部62は、第2吸引ノズルnx(n1~n4)のいずれかを用いて異物Ceを吸引することを決定する。
【0207】
続いて、吸引制御部62は、検出した異物Ceの位置情報D12、すなわち、バウンディングボックスBBeの中心点Peの幅方向の位置が、どの第2吸引ノズルnxの吸引レーンlxと重なるかを判断する。図14の例では、バウンディングボックスBBeの中心点Peの幅方向の位置は、二点鎖線で示す第2吸引ノズルn3に対応する吸引レーンl3上にある。このため、吸引制御部62は、第2吸引ノズルn3を用いて異物Ceを吸引することを決定する。
【0208】
図9に戻る。ステップS305における吸引ノズルNx,nxの決定後、吸引制御部62は、検出した異物Cxが、他の異物Cxとの関係上、競合状態であるか否かを判定する(ステップS306)。競合状態とは、複数の異物Cxの吸引時間帯が重複することにより、全ての異物Cxを吸い残しなく吸引しようとすると吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数を超えることを条件に、全ての異物Cxを吸い残しなく吸引することが不可能な状態である。
【0209】
ステップS306における競合状態の判定では、最大同時作動可能数を超える数の異物Cxが同時に検出された場合に、検出された複数の異物Cxに対する吸引タスクの時間帯が重複しているかが判別される。そして、時間帯の重複する吸引タスクの数が吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数を超える場合に、競合状態と判定される。
【0210】
ここで、図15および図16を参照しつつ、競合状態の判定の具体例について説明する。図15は、5つの異物Cf~Cjが同時に検出されたが、競合状態でない場合の例を示した図である。図15(a)は、5つの異物Cf~Cjの例と、これらの異物Cf~Cjに対応する位置に配置された吸引ノズルN1~N3,n1~n6とを示した図である。図15(b)は、5つの異物Cf~Cjに対する吸引タスクを示した図である。図15(b)において、各吸引タスクが太線によって上下方向に並んで示されている。各吸引タスクの左側は、どの異物Cxに対してどの吸引ノズルNx,nxを用いるかがCx-NxあるいはCx-nxの形式で記載されている。また、横軸は時刻であり、太線の横方向の長さが吸引期間の長さを示す。
【0211】
異物Cfは、その対角線長さD21がサイズ下限値よりも小さいため、ステップS303において吸引が見送られる。また、異物Cgは、ガラス材料Glが重なった部分であり、その信頼度情報D14が信頼度下限値を下回るため、ステップS304において吸引が見送られる。このため、異物Cfおよび異物Cgに対しては、図15(b)に示すように、ステップS305における吸引タスクの設定がなされず、ステップS306における競合状態の判定において、判定対象に含まれない。
【0212】
このため、ステップS306では、3つの異物Ch,Ci,Cjに対してのみ競合状態であるか否かが判定される。まず、競合状態を判定する異物Ch,Ci,Cjの数は3つであり、最大同時作動可能数の「2」を超えるため、続いて吸引タスクの時間帯が重複しているか否かを判定する。
【0213】
ステップS305において、作動対象となる吸引ノズルNx,nxとして、異物Chに対して第1吸引ノズルN1、異物Ciに対して第1吸引ノズルN2、異物Cjに対して第1吸引ノズルN3が選択される。また、ステップS305において、各異物Ch,Ci,Cjの吸引時間帯が算出される。各異物Ch,Ci,Cjの吸引時間帯の開始時間は、各異物Ch,Ci,Cjの上流側端部が吸引対象ノズルとなる第1吸引ノズルN1,N2,N3の吸引可能領域V1,V2,V3に到達した時刻となっている。なお、各異物Ch,Ci,Cjの吸引時間帯の長さはいずれも標準吸引サイクルタイムである。
【0214】
このように決められた各異物Ch,Ci,Cjの吸引タスクが、図15(b)に示されている。図15(b)に示すように、異物Chの吸引時間帯と、異物Ciの吸引時間帯とは、大部分が重複している。しかしながら、異物Cjの吸引時間帯は、異物Ch,Ciのいずれの吸引時間帯とも重複しない。このため、異なる吸引ノズルNxが3つ以上同時に作動するタイミングが発生しない。すなわち、時間帯の重複する吸引タスクの数は「2」であり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」を超えないため、ステップS306において、競合状態でないと判断される。
【0215】
図16は、検出された4つの異物Ck~Cnが競合状態となる場合の例を示した図である。図16(a)は、4つの異物Ck~Cnの例と、これらの異物Ck~Cnに対応する位置に配置された吸引ノズルN1~N3,n1~n6とを示した図である。図16(b)は、4つの異物Ck~Cnに対する吸引タスクを示した図である。図16(c)については、後述する。なお、図16(b)および以降の吸引タスクを示す図において、重複する吸引タスクが3以上の箇所を破線で囲うとともに、重複する吸引タスク数が4以上かつ最大となる箇所をグレーで示している。
【0216】
図16の例では、ステップS305において、作動対象となる吸引ノズルNx,nxとして、異物Ckに対して第1吸引ノズルN1、異物Clに対して第1吸引ノズルN2、異物Cmに対して第1吸引ノズルN3、異物Cnに対して第2吸引ノズルn1がそれぞれ選択される。また、ステップS305において、各異物Ck~Cnの吸引時間帯が算出される。
【0217】
このように決められた各異物Ck~Cnの吸引タスクが、図16(b)に示されている。図16(b)に示すように、4つの異物Ck~Cnに対する4つの吸引タスクの全てが重なる時間帯がある。また、その前後に、3つの吸引タスクが重なる時間帯がある。すなわち、時間帯の重複する吸引タスクの数は「4」であり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」を超えるため、ステップS306において、競合状態であると判断される。
【0218】
図9に戻る。ステップS306において、競合状態であると判断した場合(ステップS306:Yes)、吸引制御部62は、ステップS307の競合時制御工程へと進む。競合時制御工程(ステップS307)については、後述する。
【0219】
一方、ステップS306において、競合状態でないと判断した場合(ステップS306:No)、吸引制御部62は、ステップS305で算出した吸引タスクを確定し、PLC8へと当該吸引タスクを引き渡す(ステップS308)。PLC8は、吸引制御部62から引き渡された吸引タスクに従って、指定された吸引ノズルNx,nxに対応する電磁弁7を、指定された吸引時間帯の期間開放する、吸引動作を実施する(ステップS309)。競合状態でないと判断された場合には、以上で検出した異物Cxに対する吸引制御工程が終了する。
【0220】
<6-4.競合時制御工程(ノズル径の例外選択なし)>
続いて、上記の吸引制御工程において競合状態であると判断された場合の競合時制御工程(ステップS307)について説明する。ここでは、後述する「ノズル径の例外選択」が無い場合について、図16図18を参照しつつ説明する。図17は、ノズル径の例外選択が無い場合の競合時制御工程の流れを示したフローチャートである。図18は、検出された3つの異物Co~Cqが競合状態となる場合の例を示した図である。
【0221】
図17に示すように、競合時制御工程(ノズル径の例外選択なし)においては、吸引制御部62は、まず、競合する異物Cxのそれぞれに対してステップS305において選択された吸引ノズルNx,nxを変更すること無く、1つの吸引ノズルNx,nxで複数の異物Cxを連続吸引することができるか否かを判断する(ステップS401)。すなわち、競合する複数の異物Cxのうち、選択された吸引ノズルNx,nxが同じで、かつ、吸引時間帯の重複するものがあるか否かを判断する。
【0222】
ステップS401において、各異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxを変更せずに複数の異物Cxを連続吸引可能であると判断した場合(ステップS401:Yes)、吸引制御部62は、同じ吸引ノズルNx,nxで連続吸引を行う異物Cxの吸引タスクを統合する(ステップS402)。具体的には、連続吸引対象となる異物Cxのうち、最も早く吸引時間帯が開始する異物Cxの吸引時間帯開始時点を統合タスクの吸引時間帯開始時点とするとともに、連続吸引対象となる異物Cxのうち、最も遅く吸引時間帯が終了する異物Cxの吸引時間帯終了時点を統合タスクの吸引時間帯終了時点とする。
【0223】
図18は、タスク統合可能な競合状態の3つの異物Co~Cqの例を示した図である。図18(a)は、3つの異物Co~Cqの例と、これらの異物Co~Cqに対応する位置に配置された吸引ノズルN1~N3,n1~n6とを示した図である。図18(b)は、3つの異物Co~Cqに対する吸引タスクを示した図である。図18(c)は、タスク統合後の3つの異物Co~Cqに対する吸引タスクを示した図である。
【0224】
図18の例では、図18(b)に示すように、競合状態となる3つの異物Co~Cqのうち、2つの異物Co,Cpの吸引タスクが、同じ第2吸引ノズルn3について、吸引時間帯が重複するものである。このため、異物Coのタスクと、異物Cpのタスクとを統合することができる。図18(c)には、異物Coのタスクと、異物Cpのタスクとを統合した統合タスク(Co/Cp-n3)と、異物Cqのタスク(Cq-N3)とが示されている。これにより、時間帯の重複する吸引タスクの数は「2」となり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」を超えないため、競合状態でなくなった。
【0225】
図17に戻る。ステップS402において、吸引ノズルNx,nxの変更なしの吸引タスクを統合した後、吸引制御部62は、再度、競合状態であるか否かを判断する(ステップS403)。
【0226】
ステップS403で競合状態でない、すなわち、競合状態が解消されたと判断すると(ステップS403:No)、吸引制御部62は、ステップS406に進み、ステップS402において統合された後の吸引タスクを確定し、PLC8へと当該吸引タスクを引き渡す(ステップS406)。PLC8は、吸引制御部62から引き渡された吸引タスクに従って、指定された吸引ノズルNx,nxに対応する電磁弁7を、指定された吸引時間帯の期間開放する、吸引動作を実施する(ステップS406)。以上により、検出した異物Cxに対する吸引制御工程が終了する。
【0227】
ステップS403で依然競合状態である、すなわち、競合状態が解消されていないと判断すると(ステップS403:Yes)、ステップS404~S405へ進み、吸引タスクの削除を行う。
【0228】
一方、ステップS401において、各異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxを変更せずに複数の異物Cxを連続吸引可能でないと判断した場合(ステップS401:No)、吸引制御部62は、ステップS404~S405へ進み、吸引タスクの削除を行う。
【0229】
吸引タスクの削除を行う際には、吸引制御部62は、まず、競合状態である複数の吸引タスクの優先度を決定する(ステップS404)。本実施形態では、吸引優先度の決定条件が重量情報D23である。このため、吸引制御部62は、吸引タスク毎の異物Cxの重量情報D23の合計値を比較し、当該合計値の大きな順に、吸引タスクの優先度を決定する。
【0230】
その後、吸引制御部62は、ステップS404で決定した優先度に従って、優先度の高い順に、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数と同じ数の吸引タスクを実行すべき吸引タスクとして選択する。一方、吸引制御部62は、選択されなかった吸引タスクを削除する(ステップS405)。これにより、時間帯が重複する吸引タスクの数は、最大同時作動可能数と同じ数となり、競合状態が解消される。
【0231】
ステップS405に続いて、吸引制御部62は、残った吸引タスクを確定し、PLC8へと当該吸引タスクを引き渡す(ステップS406)。PLC8は、吸引制御部62から引き渡された吸引タスクに従って、指定された吸引ノズルNx,nxに対応する電磁弁7を、指定された吸引時間帯の期間開放する、吸引動作を実施する(ステップS406)。以上により、検出した異物Cxに対する吸引制御工程が終了する。
【0232】
ここで、再度図16を参照する。図16(b)に示すように、図16の4つの異物Ck~Cnに対する吸引タスクは全て重複する時間帯がある。このため、当該重複時間帯における吸引タスクを吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」まで減らす必要がある。これらの異物Ck~Cnは、図16(b)に示すように、吸引対象となる吸引ノズルNx,nxが共通するものがない。このため、ステップS401において統合対象となる吸引タスクはない。したがって、ステップS404では、異物Ck~Cnのそれぞれについて重量情報D23を比較する。
【0233】
図16の例では、各異物Ck~Cnの対角線長さ21は、実測値上はCl>Cm>Ck>Cnの順となる。一方、異物CkおよびCmの異物種である座金の密度標準値は、異物ClおよびCnの異物種であるプラスチックの密度標準値よりも大きい。これにより、ステップS404において、重量情報D23の大きさは、Cm>Ck>Cl>Cnの順となった。このため、ステップS405において、異物Clおよび異物Cnの吸引タスクが削除される。
【0234】
図16(c)は、吸引タスク削除後の異物Ck~Cnの吸引タスクを示している。図16(c)に示すように、ステップS405における吸引タスクの削除により、時間帯の重複する吸引タスクの数は「2」となり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」を超えないため、競合状態でなくなった。
【0235】
<6-5.競合時制御工程(ノズル径の例外選択あり)>
吸引制御工程において競合状態であると判断された場合の競合時制御工程(ステップS307)について、「ノズル径の例外選択」(例外制御)を行う場合について、図19図21を参照しつつ説明する。図19は、ノズル径の例外選択(例外制御)を行う場合の競合時制御工程の流れを示したフローチャートである。図20および図21は、検出された異物Cxに対して例外制御を行う場合の例を示した図である。
【0236】
図19に示すように、競合時制御工程(ノズル径の例外選択あり)においては、吸引制御部62は、まず、競合する異物Cxのそれぞれに対してステップS305において選択された吸引ノズルNx,nxを変更すること無く、1つの吸引ノズルNx,nxで複数の異物Cxを連続吸引することができるか否かを判断する(ステップS501)。すなわち、競合する複数の異物Cxのうち、選択された吸引ノズルNx,nxが同じで、かつ、吸引時間帯の重複するものがあるか否かを判断する。
【0237】
ステップS501において、各異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxを変更せずに複数の異物Cxを連続吸引可能であると判断した場合(ステップS501:Yes)、吸引制御部62は、同じ吸引ノズルNx,nxで連続吸引を行う異物Cxの吸引タスクを統合する(ステップS502)。具体的には、連続吸引対象となる異物Cxのうち、最も早く吸引時間帯が開始する異物Cxの吸引時間帯開始時点を統合タスクの吸引時間帯開始時点とするとともに、連続吸引対象となる異物Cxのうち、最も遅く吸引時間帯が終了する異物Cxの吸引時間帯終了時点を統合タスクの吸引時間帯終了時点とする。
【0238】
ステップS502において、吸引ノズルNx,nxの変更なしの吸引タスクを統合した後、吸引制御部62は、再度、競合状態であるか否かを判断する(ステップS503)。
【0239】
ステップS503で競合状態でない、すなわち、競合状態が解消されたと判断すると(ステップS503:No)、吸引制御部62は、ステップS509に進み、ステップS502において統合された後の吸引タスクを確定し、PLC8へと当該吸引タスクを引き渡す(ステップS509)。PLC8は、吸引制御部62から引き渡された吸引タスクに従って、指定された吸引ノズルNx,nxに対応する電磁弁7を、指定された吸引時間帯の期間開放する、吸引動作を実施する(ステップS510)。以上により、検出した異物Cxに対する吸引制御工程が終了する。
【0240】
ステップS503で依然競合状態である、すなわち、競合状態が解消されていないと判断すると(ステップS503:Yes)、吸引制御部62は、ステップS504へと進む。
【0241】
一方、ステップS501において、各異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxを変更せずに複数の異物Cxを連続吸引可能でないと判断した場合(ステップS501:No)にも、吸引制御部62は、ステップS504へ進む。
【0242】
ステップS504では、吸引制御部62は、競合する異物Cxのいずれかについて、吸引対象の吸引ノズルNx,nxを口径変更すれば、1つの吸引ノズルNx,nxで複数の異物Cxを連続吸引することができるか否かを判断する(ステップS504)。なお、「口径変更」は、吸引対象を口径の小さな吸引ノズルから口径の大きな吸引ノズルへ変更することをいう。すなわち、本実施形態では、第2吸引ノズルnxを、より口径の大きな第1吸引ノズルNxに変更することを「口径変更」という。例えば、吸引部5が大中小3種類の口径の吸引ノズルを有する場合には、小ノズルから中ノズルまたは大ノズルへ変更することと、中ノズルから大ノズルへ変更することを「口径変更」という。
【0243】
ステップS504において、いずれかの異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxを口径変更すれば、複数の異物Cxを連続吸引可能であると判断した場合(ステップS504:Yes)、吸引制御部62は、同じ吸引ノズルNx,nxで連続吸引を行う異物Cxの吸引タスクを統合する(ステップS505)。具体的には、連続吸引対象となる異物Cxのうち、一部の異物Cxの作動対象の吸引ノズルNx,nxを変更して新たな吸引タスクを生成した後に、吸引タスクの統合を行う。
【0244】
図20は、図16と同じ4つの異物Ck~Cnの例を示した図である。図20(a)は、4つの異物Ck~Cnの例と、これらの異物Ck~Cnに対応する位置に配置された吸引ノズルN1~N3,n1~n6とを示した図である。図20(b)は、4つの異物Ck~Cnに対する吸引タスクを示した図である。図20(c)は、タスク統合後の4つの異物Ck~Cnに対する吸引タスクを示した図である。図20の例では、図16の例と異なり、競合状態の4つの異物Ck~Cnに対し、吸引ノズルNx,nxの口径変更、すなわちノズル径の例外選択(例外制御)を行うことによって異物Ck,Cnの吸引タスクを統合可能である。
【0245】
図20(b)には、吸引制御工程のステップS305において最初に決定された作動対象の吸引ノズルNx,nxについての吸引タスクが実線の太線で示されている。図20(b)に示すように、異物Ckの吸引タスク(Ck-N1)、異物Clの吸引タスク(Cl-N2)、異物Cmの吸引タスク(Cm-N3)および異物Cnの吸引タスク(Cn-n1)の4つの吸引タスクが重複する時間帯がある。このため、時間帯の重複する吸引タスクの数は「4」となり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」を超える。
【0246】
ここで、図20(a)に示すように、口径の小さな第2吸引ノズルn1が作動対象である異物Cnが、他の異物Ckの作動対象である口径の大きな第1吸引ノズルN1の吸引レーンに属する位置にある。このため、異物Cnの作動対象を、第1吸引ノズルN1に口径変更することにより、異物Ckの吸引タスクと異物Cnの吸引タスクとを統合可能となる。
【0247】
図20(b)には、異物Cnの作動対象を第1吸引ノズルN1とした場合の吸引タスク(Cn-N1)が、破線の太線で示されている。この口径変更後の異物Cnの吸引タスクと、異物Ckの吸引タスクを変更した4つの異物Ck~Cnの吸引タスクが、図20(c)に示されている。これにより、時間帯の重複する吸引タスクの数は「3」となり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」を依然超えるものの、時間帯の重複する吸引タスクの数は減った。
【0248】
ステップS505において、吸引ノズルNx,nxの口径変更ありの吸引タスクを統合した後、吸引制御部62は、再度、競合状態であるか否かを判断する(ステップS506)。
【0249】
ステップS506で競合状態でない、すなわち、競合状態が解消されたと判断すると(ステップS506:No)、吸引制御部62は、ステップS509に進み、ステップS505において統合された後の吸引タスクを確定し、PLC8へと当該吸引タスクを引き渡す(ステップS509)。PLC8は、吸引制御部62から引き渡された吸引タスクに従って、指定された吸引ノズルNx,nxに対応する電磁弁7を、指定された吸引時間帯の期間開放する、吸引動作を実施する(ステップS510)。以上により、検出した異物Cxに対する吸引制御工程が終了する。
【0250】
ステップS506で依然競合状態である、すなわち、競合状態が解消されていないと判断すると(ステップS506:Yes)、吸引制御部62は、ステップS507~508の吸引タスクの削除へと進む。
【0251】
一方、ステップS504において、各異物Cxに対する吸引ノズルNx,nxを口径変更しても複数の異物Cxを連続吸引可能でないと判断した場合(ステップS504:No)、吸引制御部62は、ステップS507~S508へ進み、吸引タスクの削除を行う。
【0252】
吸引タスクの削除を行う際には、吸引制御部62は、まず、競合状態である複数の吸引タスクの優先度を決定する(ステップS507)。本実施形態では、吸引優先度の決定条件が重量情報D23である。このため、吸引制御部62は、吸引タスク毎の異物Cxの重量情報D23の合計値を比較し、当該合計値の大きな順に、吸引タスクの優先度を決定する。
【0253】
その後、吸引制御部62は、ステップS507で決定した優先度に従って、優先度の高い順に、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数と同じ数の吸引タスクを実行すべき吸引タスクとして選択する。一方、吸引制御部62は、選択されなかった吸引タスクを削除する(ステップS508)。これにより、時間帯が重複する吸引タスクの数は、最大同時作動可能数と同じ数となり、競合状態が解消される。
【0254】
ステップS508に続いて、吸引制御部62は、残った吸引タスクを確定し、PLC8へと当該吸引タスクを引き渡す(ステップS509)。PLC8は、吸引制御部62から引き渡された吸引タスクに従って、指定された吸引ノズルNx,nxに対応する電磁弁7を、指定された吸引時間帯の期間開放する、吸引動作を実施する(ステップS510)。以上により、検出した異物Cxに対する吸引制御工程が終了する。
【0255】
ここで、再度図20を参照する。図20(c)に示すように、ステップS505において異物Ckの吸引タスクと異物cnの吸引タスクとの統合後も、時間帯が重複する吸引タスクの数が「3」であり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」よりも大きい。このため、ステップS507では、吸引タスク毎に重量情報D23の合計値を比較する。
【0256】
図20の例では、各異物Ck~Cnの対角線長さ21および密度標準値から算出される重量情報D23の大きさは、Cm>Ck>Cl>Cnの順となった。ここから、ステップS505において、単体では重量が最小の異物Cnは、異物Clよりも重量の大きい異物Ckと、吸引タスクが統合された。これにより、ステップS507において、吸引タスク毎の重量情報D23の合計値の大きさは、Cm>(Ck+Cn)>Clの順となった。このため、ステップS507において、異物Clの吸引タスクが削除される。その結果、時間帯の重複する吸引タスクは、異物Ck,Cnの吸引タスク(Ck/Cn-N1)と、異物Cmの吸引タスク(Cm-N3)の2つとなり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」を超えないため、競合状態でなくなった。
【0257】
続いて、図21および図22を参照しつつ、例外制御の例をもう一つ説明する。図21は、6つの異物Cr~Cwの例を示した図である。図21(a)は、6つの異物Cr~Cwの例と、これらの異物Cr~Cwに対応する位置に配置された吸引ノズルN1~N3,n1~n6とを示した図である。図22(b)は、6つの異物Cr~Cwに対する最初の吸引タスクを示した図である。図22(c)は、ステップS502のタスク統合後の6つの異物Cr~Cwに対する吸引タスクを示した図である。図22(d)は、ステップS505のタスク統合後の6つの異物Cr~Cwに対する吸引タスクを示した図である。
【0258】
このような6つの異物Cr~Cwに対して、競合時制御工程の例外制御を行う場合、ステップS305で最初に算出された吸引タスクでは、図22(b)に示すように、6つの吸引タスクの吸引時間帯が全て重複する競合状態である。そこで、ステップS501~S502のノズル変更なしでの吸引タスク統合により、同じ第2吸引ノズルn1を作動対象とする異物Csおよび異物Ctの吸引タスクを統合されるとともに、同じ第2吸引ノズルn4を作動対象とする異物Cuおよび異物Cvの吸引タスクが統合される。これにより、図22(b)に実線の太線で示すように、4つの吸引タスクとなるが、依然として、時間帯が重複する吸引タスクの数が「4」であり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」よりも大きい。
【0259】
続いて、ステップS504~S505の吸引ノズルNx,nxの口径変更ありでの吸引タスク統合により、異物Csおよび異物Ctは、異物Crの作動対象の第1吸引ノズルN1で吸引可能であるため、異物Csおよび異物Ctの吸引タスクと、異物Crの吸引タスクとを統合する。異物Csおよび異物Ctの最初の統合タスク(Cs/Ct-n1)の作動対象を第1吸引ノズルN1へ変更した際の吸引タスクが、図22(c)において破線の太線で示されている。この作動対象ノズルの口径変更後の異物Csおよび異物Ctの統合タスク(Cs/Ct-N1)と、Crの吸引タスク(Cr-N1)とが統合され、図22(d)に示す統合タスク(Cr/Cs/Ct-N1)となる。
【0260】
これにより、図22(d)に示すように、6つの異物Cr~Cwの吸引タスクは、異物Cr,Cs,Ctの統合タスク(Cr/Cs/Ct-N1)と、異物Cu,Cvの統合タスク(Cu/Cv-n4)と、異物Cwの吸引タスク(Cw-N3)の3つとなる。しかしながら、依然として、時間帯が重複する吸引タスクの数が「3」であり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」よりも大きい。
【0261】
そこで、ステップS507において吸引優先度が決定される。図21および図22の例では、各異物Cr~Cwについて対角線長さ21および密度標準値から重量情報D23が算出され、さらに吸引タスクが統合される。これにより、吸引タスク毎の重量情報D23の合計値の大きさは、Cw>(Cr+Cs+Ct)>(Cu+Cv)の順となった。そうすると、ステップS507において、異物Cu,Cvの統合タスクが削除される。その結果、時間帯の重複する吸引タスクは、異物Cr,Cs,Ctの吸引タスク(Cr/Cs/Ct-N1)と、異物Cwの吸引タスク(Cw-N3)の2つとなり、吸引ノズルNx,nxの最大同時作動可能数「2」を超えないため、競合状態でなくなった。
【0262】
<7.ノズル口径による配置順について>
本実施形態では、上述の通り、口径が大きな第1吸引ノズルNxで構成される第1ノズル列51は、口径が小さな第2吸引ノズルnxで構成される第2ノズル列52よりも上流側に配置される。すなわち、口径毎に複数の吸引ノズルNx,nxを有する複数のノズル列51,52は、口径が大きいものから順に、搬送経路の上流側から下流側へと配置される。このように、吸引ノズルNx,nxは、口径が大きなものほど搬送経路の上流側に位置することが好ましい。これによって、口径が相対的に小さな吸引ノズルに対して、その口径を超えるサイズの異物が吸い付き、ノズル閉塞等の不具合が生じることを抑制できる。
【0263】
図23および図24は、2図に共通する2つの異物Cy,Czの例と、これらの異物Cy,Czに対応する位置に配置された吸引ノズルN1~N3,n1~n6とを示した図である。図23の例では、上記の実施形態と同様に、口径の大きな第1吸引ノズルN1~N3が、口径の小さな第2吸引ノズルn1~n6よりも上流側に配置されている。一方、図24の例では、口径の小さな第2吸引ノズルn1~n6が、口径の大きな第1吸引ノズルN1~N3よりも上流側に配置されている。
【0264】
図23および図24の例の2つの異物Cy,Czについて、一方の異物Cyの吸引対象の吸引ノズルは口径の小さな第2吸引ノズルn3であり、他方の異物Czの吸引対象の吸引ノズルは口径の大きな第1吸引ノズルN2である。そして、異物Cyと異物Czとは、搬送方向の範囲が重なるとともに、幅方向に近接している。
【0265】
このような場合に、図23の例では、異物Czが第1吸引ノズルN2の吸引対象領域に到達し、第1吸引ノズルN2による吸引動作が行われると、異物Czだけでなく、異物Cyも同時に第1吸引ノズルN2に吸引除去される。このため、異物Cyを吸引する予定であった第2吸引ノズルn3は、動作しても異物Cyを吸引できないが、異物Cy,Czはいずれも吸引除去できる。
【0266】
これに対し、図24の例では、異物Cyが第2吸引ノズルn3の吸引対象領域に到達し、第2吸引ノズルn3による吸引動作が行われると、異物Cyだけでなく、異物Czも第2吸引ノズルn3に吸い寄せられ、異物Czが第2吸引ノズルn3に貼り付いたり、詰まったりする虞がある。
【0267】
異物Czが第2吸引ノズルn3に貼り付いた場合、第2吸引ノズルn3の吸引性能が下がって異物Cyがホース27内に残存する可能性がある。また、第2吸引ノズルn3の吸引動作終了後に異物Czがコンベヤ2上へ落下し、異物Czの位置ずれが生じて、第1吸引ノズルN2による異物Czの吸引ができなくなる可能性がある。
【0268】
異物Czが第2吸引ノズルn3に詰まった場合、その後第2吸引ノズルn3における吸引動作ができなくなり、検出時に想定された吸引制御が成立しなくなる虞がある。
【0269】
このような事情を鑑み、吸引ノズルは、口径が大きなものほど搬送経路の上流側に位置することが好ましい。これにより、口径の比較的小さな吸引ノズルnxの吸引動作により、口径の比較的大きな吸引ノズルNxを作動対象にする異物Cxが吸い寄せられることを抑制できる。したがって、当該異物Cxが口径の比較的小さな吸引ノズルnxに貼り付いたり、詰まったりするのを抑制できる。
【0270】
なお、図23の例の場合には、異物Cyは第1吸引ノズルN2の吸引レーンに属するため、第1吸引ノズルN2で吸引することとし、第2吸引ノズルn3の吸引動作を行わなくてもよい。
【0271】
一般化して考えると、
i)吸引に必要最小なノズルの口径が互いに異なる、相対的に小さな異物Cyと、相対的に大きな異物Czが存在する
ii)相対的に小さな異物Cyは、ノズルの口径変更によって相対的に大きな異物Czと吸引タスクを統合可能である
iii)相対的に小さな異物Cyが、相対的に小さな口径の吸引ノズルnxの吸引可能領域vxに到達するタイミングよりも先に、相対的に大きな異物Czが、相対的に大きな口径の吸引ノズルNxの吸引可能領域Vxに到達する
の3つの条件i)~iii)を全て満たす場合、吸引制御部62は、相対的に小さな異物Cyについて相対的に口径の大きな(第1)吸引ノズルNxを例外選択し、相対的に口径の小さな(第2)吸引ノズルnxの作動を見送るよう制御する(吸引タスクを統合する)ようにしてもよい。ノズル列が、大、中、小といったように3以上の異なるそれぞれの口径について設けられる場合も同様となる。
【0272】
このようにすれば、口径が相対的に小さな(第2)吸引ノズルnxの周辺に有価物のガラス材料Glが存在する場合に、歩留まり低下を軽減できる。図23において吸引タスクの統合を行わない場合、異物Cyの吸引タスクは第2吸引ノズルn3に設定される。しかしながら、上流側に位置する口径が相対的に大きな第1吸引ノズルN2が他の異物Czの吸引タスクによって先に作動することによって、異物Cyは第1吸引ノズルN2により、他の異物Czと一緒に吸引されると考えられる。そうすると、仮に第2吸引ノズルn3をその後作動させても、吸引対象となるはずの異物Cyは吸引済につき存在せず、周辺にガラス材料Glが存在する場合はこれを無用に吸引し、歩留まりが低下する結果となり得るからである。
【0273】
また、このようにすれば、異物Cyの吸引除去に寄与しない吸引タスクが削除(統合)されるので、その後、新たな異物が検出された場合であっても、異物Cyと無用な競合状態を誘発することがない。これにより、限られた吸引リソース(最大同時作動可能数という制約を有する吸引ノズルNx,nx)を有効活用して、新たな異物に吸引タスクを設定・吸引できる結果、有価物の純度向上も期待できる。
【0274】
<8.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、上記の実施形態は一例であって、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。
【0275】
上記の実施形態では、標準吸引サイクルタイムは1つであった。しかしながら、標準吸引サイクルタイムは、吸引ノズルによって異なってもよい。例えば、標準吸引サイクルタイムは、吸引ノズルの口径によって異なる値を採用してもよい。つまり、口径の小さな第2吸引ノズルnxの標準吸引サイクルタイムは、口径の大きな第1吸引ノズルNxの標準吸引サイクルタイムよりも短時間としてもよい。これによって、吸引ノズルの作動時間を最小限にとどめることができて、歩留まり低下の軽減に一層有効なものとなる。
【0276】
また、上記の実施形態では、吸引ノズルは第1吸引ノズルNxおよび第2吸引ノズルnxの2種類の口径の吸引ノズルを用いた。しかしながら、吸引ノズルとして、さらに多くの口径種の吸引ノズルを用いてもよい。例えば、大、中、小それぞれの口径の三種類の吸引ノズルを用いてもよい。
【0277】
また、上記の実施形態では、最大同時作動可能数を2としたが、これは説明上の便宜のため採用した仮の数値であって、これに限定されない。最大同時作動可能数は2以上で吸引ノズルNx,nxの総数を超えない所望の値とすることができる。また、最大同時作動可能数を1としてもよい。最大同時作動可能数に任意の値を採用した場合に、上記の実施形態における説明の一般性が失われるものではない。
【0278】
また、上記の実施形態において、選別システム1の制御に関する各種の設定登録値を示したが、これらの設定登録値は全て設定されなくてもよい。また、上記の実施形態で記載していない閾値、条件、目標値等の設定値が設定登録され、選別システム1の制御に用いられてもよい。
【0279】
特に、吸引優先度の決定は、上記の実施形態に限られず、例えば、競合時制御工程(例外制御なし)と競合時制御工程(例外制御あり)における吸引優先度の決定に異なる指標を用いてもよい。
【0280】
また、信頼度情報D14に関する信頼度下限値、エリア情報D11に関するサイズ下限値は、目標歩留まり率・目標純度といった生産目標値(D)に応じて可変とし、目標純度を達成できることを条件に、歩留まり率を最大化するように変更してもよい。一方、目標純度を達成できない場合には、歩留まり率にかかわらず有価物純度を優先するように、これらの値を変更してもよい。
【0281】
また、種類情報D13毎に、サイズ下限値や信頼度下限値を設定してもよい。例えば、特定種類の異物について有価物中への残存許容度が低い場合には、当該許容度が低い種類の異物についてはサイズ下限値を小さく(あるいは0に)設定登録してもよい。また、吸引優先度を決定するにあたって、複数の情報を組み合わせて、残存許容度が低い種類の異物Cxについては優先的に吸引するよう、複数の吸引優先度決定条件(C)を各々重み付けして用いてもよい。例えば、吸引優先度を決定するにあたって、種類情報D13と重量情報D23を組み合わせて優先度を決定し、種類情報D13は重量情報D23よりも優先されるようにしてもよい。
【0282】
また、上記の実施形態において、エリア情報D11にて表される領域図形の形状は方形であったが、本発明はこれに限られない。エリア情報D11にて表される領域図形の形状には、任意の幾何図形を用いることができる。領域図形の形状は、例えば、方形、多角形、円形、その他の所望の平面図形であってもよく、四角柱、多角柱、円柱、球その他の所望の立体図形であってもよい。この場合、バウンディングボックスを所定の計算によってこれらの所望形状の領域図形に変形してもよい。
【0283】
また、エリア情報D11は、領域図形の形状である幾何図形の幾何的数量の各値を含む。エリア情報D11は、例えば、幾何図形の各辺・対角線・周・直径等の長さ、および、これらに基づいて算出される幾何図形の面積若しくは体積等を含むことができる。
【0284】
また、上記の実施形態において、エリア情報D11のサイズは、エリア情報D11の示すバウンディングボックスの対角線長さD21であった。しかしながら、本発明はこれに限られない。エリア情報D11のサイズとして、対角線長さD21に代えて、エリア情報D11に表される所望の領域図形の形状に関する計量値としてもよい。また、位置情報D12、エリア情報D11に表される所望の幾何図形の中心座標(重心座標)としてもよい。
【0285】
また、エリア情報D11は、異物Cxの色彩・テクスチャ等の特徴量を学習済モデルMによって機械学習させ、機械学習の結果に基づいて推定された、異物Cxの存在範囲の外形そのものであってもよい。その場合、異物Cxを領域図形でトリミングする場合に比べて異物Cxの存在範囲をより詳細に特定可能となる。これにより、異物の面積情報21といったサイズに関する識別情報をより正確に推定できる。
【0286】
ただし、異物Cxの存在範囲の外形そのものを推定する場合、領域図形が方形のバウンディングボックスである場合と比べて、エリア情報D11のサイズ(対角線長さD21に相当)、面積情報D22、および重量情報D23等の二次識別情報D2の算出時の計算量が大きくなると考えられる。これにより、計算時間が増大し、本選別システム1において要求される所定応答時間を超過する(即応性が損なわれる)虞がある。このため、多数の異物Cxを同時検出し、高速で吸引タスクを決定する必要がある本選別システム1においては、バウンディングボックスにてエリア情報D11を推定可能に機械学習した学習済モデルMを備えることが好ましい。
【0287】
また、異物Cxの色彩・テクスチャ等の特徴量を使用する場合には、方形の領域図形を用いた大量かつ高速な異物検出を行うとともに、必要に応じて、異物Cxの色彩が占める面積(色面積)を算出するなど、計算量を低減する工夫を行うことが好ましい。
【0288】
また、異物Cxの色彩・テクスチャ等の特徴量を使用異物Cxの占める領域を直接的に推定した後で、推定された異物Cxの占める領域に対して、バウンディングボックス等の所望形状の図形を重ね合わせてもよい。
【0289】
なお、資源リサイクルの工程においては、異物の特性によっては有価物(ガラス材料Gl以外の場合を含む)の最終品質への影響が比較的少ないものもある。このため、このような異物の100%の除去を必ずしも要求するものではない。有価物の純度を高めようとすると歩留まり率は低下し、これらはトレードオフの関係にある。したがって、動作抑制用のサイズ下限値、信頼度下限値は、有価物の目標歩留まり率や目標純度といった、製品品質および歩留まりに関する定量的な目標値、すなわち生産目標値(D)に応じて定めるとよい。
【0290】
また、上記の実施形態では、コンベヤ2に対する吸引ノズルNx,nxの位置は固定されていた。しかしながら、吸引ノズルNx,nxは可動式であってもよい。例えば、吸引ノズルNx,nxは、上下方向に移動可能とすることで、選別対象物Obの標準的な高さに応じて、各異物Cxに近接させて吸引ノズルを作動させることができ、コンプレッサ25の作動用空気を節約することができる。
【0291】
しかしながら、吸引ノズルNx,nxは、少なくとも水平方向において固定されることが好ましい。これにより、吸引ノズルNx,nxに可動式のロボットアーム等を採用する場合に比べて、装置コストの低廉化・設定工数の削減において有効である。
【0292】
また、上記の実施形態では、異物Cxの除去手段として、異物Cxを吸引除去する吸引ノズルNx,nxを採用した。しかしながら、本発明はこれに限られない。異物Cxの除去手段として、異物Cxに対して気体を吹き付け、吹き飛ばしによって除去する空気式のエジェクタ等を採用してもよい。
【0293】
また、上記の実施形態では、全ての吸引ノズルNx,nxの除去能力は概ね一定であった。しかしながら、異物Cxの除去手段は、その除去能力が可変であってもよい。例えば、異なる出力の除去手段を複数種類備えてもよいし、同一の除去手段の出力が可変であってもよい。
【0294】
本発明に係る装置構成、各工程においては、上記の実施例や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0295】
本発明は、太陽光パネル破砕物等の選別対象物から、ガラス材料等の透明な有価物を回収する資源リサイクルの他、種々の廃棄物から有価金属その他の有価物を回収するに際して利用することができる。
【符号の説明】
【0296】
1:選別システム
2:コンベヤ
4:カメラ
5:吸引部
6:情報処理装置
7:電磁弁
9:フード
10:撮像範囲
11:LED照明
16:第1偏光板
44:第2偏光板
51:第1ノズル列
52:第2ノズル列
61:検出部
62:吸引制御部
63:記憶部
Cx,Ca~Cz:異物
D1:原識別情報
D11:エリア情報
D12:位置情報
D13:種類情報
D14:信頼度情報
D2:二次識別情報
D22:面積情報
D23:重量情報
Gl:有価物、ガラス材料
M:学習済モデル
Nx:第1吸引ノズル
nx:第2吸引ノズル
Ob:選別対象物
図1
図2
図3
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図5
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図8
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図10
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図12
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図21
図22
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図24