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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103444
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】回転装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 53/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
H02K53/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180589
(22)【出願日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2023007286
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523023742
【氏名又は名称】三塚 宇善
(74)【代理人】
【識別番号】100211498
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和栄
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】三塚 宇善
(57)【要約】
【課題】電磁石を用いなくとも、永久磁石等の反発力で効率良くシャフトを回転させることができる回転装置を得る。
【解決手段】シャフト30と、フライホイール40と、第1磁力取出部10A(第1の回転板部50と第1の固定板部60)と、第2磁力取出部10B(第2の回転板部70と、第2の固定板部80等)により構成して、電磁石を用いなくとも、効率良く磁力を取り出してフライホイール40を回転させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトに沿って第1磁石及び第1遮蔽体と、第2遮蔽体及び第2磁石を順番に配置した回転装置であって、前記第1磁石は前記シャフトと共に回転可能に配置され前記第1遮蔽体は固定で配置されると共に、前記第2磁石は固定で配置され前記第2遮蔽体は前記シャフトと共に回転可能に配置された回転構造を備え、前記シャフトの回転に伴い前記第1磁石と前記第2遮蔽体が回転し、前記第1遮蔽体及び前記第2遮蔽体から露出した前記第1磁石と前記第2磁石の同極同士の反発力により前記シャフトを回転することを特徴とする回転装置。
【請求項2】
前記シャフトの一方端にフライホイールが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記第1磁石が前記第1遮蔽体に第2磁石が前記第2遮蔽体に共に遮蔽されない露出状態と、前記第1磁石が前記第1遮蔽体に前記第2磁石が前記第2遮蔽体に共に遮蔽される遮蔽位置が前記シャフトの回転に伴い交互に繰り返され、露出状態では前記第1磁石と前記第2磁石が共に同じ極性のものが露出されることを特徴とする請求項1に記載の回転装置。
【請求項4】
前記第1磁石と前記第2磁石は、それぞれ2組(4個)以上配置され、前記第1遮蔽体と前記第2遮蔽体は、それぞれ磁石の組数と同じ枚数が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の回転装置。
【請求項5】
前記第1磁石と前記第2磁石は、それぞれ1組(2個)配置され、前記第1遮蔽体と前記第2遮蔽体は、それぞれ磁石の組数と同じ枚数(1枚)が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の回転装置。
【請求項6】
前記第1の遮蔽体は、第1の固定部遮蔽体保持板に埋設され、前記第2の遮蔽体は、第2の回転部遮蔽体保持板に埋設されていることを特徴とする請求項1~5に記載の回転装置。
【請求項7】
前記第1の磁石を構成する極性の異なるもの同士と、前記第2の磁石を構成する極性の異なるもの同士は、各連結用磁性体によってそれぞれ連結されていることを特徴とする請求項1~5に記載の回転装置。
【請求項8】
前記シャフトの他方端には回転を必要とする機構が連結されていることを特徴とする請求項1~5に記載の回転装置。
【請求項9】
前記第1磁石及び前記第2磁石は円盤形状に形成され、前記第1遮蔽体及び前記第2遮蔽体は円弧形状に形成されていることを特徴とする請求項1~5に記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石の磁力を利用した磁力回転装置には、以下のようなものがある。例えば、特許文献1(特許第2968918号公報)は、ロータに永久磁石を配置し、ステータに電磁石を備え、ロータとステータに互いに反発する磁界を発生させることによって、ロータを回転させるものである。そして、安定した回転を得るために、ロータには回転バランスの手段が備えていると共に、ロータの回転位置を検出して、永久磁石の位置によって電磁石の通電制御を行う。
【0003】
特許文献2(特開2004-80871号公報)は、箱状のフレームに固定の軸受に支持される回転軸が、回転可能に取り付けてある。
【0004】
また、この回転軸には回転を円滑に行うためのフライホイールが取り付けてある。回転軸には、回転体が取り付けてあり、この回転体の周縁部には回転力を生ずる一対(組)の永久磁石が、例えば、上側をN極にして、回転体の正面視における直径方向に対し傾斜状の所定角度α(15~45°)(回転方向に広がる角度)で、円周に対し90°間隔に、4組、配置してあり、ロータを構成する。
【0005】
前記ロータに対するステータには、前記ロータの永久磁石の上側で僅かな磁気ギャップを形成して、ロータ(永久磁石)に反発する極性で、一対の電磁石と一対の永久磁石が円周にわたって交互に等間隔で各々4組、配置してあり、前記ステータに永久磁石と電磁石を用いる構成により、効率の良い回転装置となる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2968918号公報
【特許文献2】特開2004-80871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2は、電磁石を用いるものであるから、装置も大型になり、かつその制御も複雑である。
【0008】
本発明は、電磁石を用いなくとも、効率良く回転させることができる磁力による回転装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであって、請求項1に係る発明は、シャフトに沿って第1磁石及び第1遮蔽体と、第2遮蔽体及び第2磁石を順番に配置した回転装置であって、前記第1磁石は前記シャフトと共に回転可能に配置され前記第1遮蔽体は固定で配置されると共に、前記第2磁石は固定で配置され前記第2遮蔽体は前記シャフトと共に回転可能に配置された回転構造を備え、前記シャフトの回転に伴い前記第1磁石と前記第2遮蔽体が回転し、前記第1遮蔽体及び前記第2遮蔽体から露出した前記第1磁石と前記第2磁石の同極同士の反発力により前記シャフトを回転することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、前記シャフトの一方端にフライホイールが設けられていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記第1磁石が前記第1遮蔽体に前記第2磁石が前記第2遮蔽体に共に遮蔽されない露出状態と、前記第1磁石が前記第1遮蔽体に前記第2磁石が前記第2遮蔽体に共に遮蔽される遮蔽状態が前記シャフトの回転に伴い交互に繰り返されると共に、露出状態では前記第1磁石と前記第2磁石が共に同じ極性のもので、且つ、前記第2磁石に対して前記第1磁石が回転方向の下流側に位置するよう構成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記第1磁石と前記第2磁石は、それぞれ2組(4個)以上配置され、前記第1遮蔽体と前記第2遮蔽体は、それぞれ磁石の組数と同じ枚数が配置されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記第1磁石と前記第2磁石は、それぞれ1組(2個)配置され、前記第1遮蔽体と前記第2遮蔽体は、それぞれ磁石の組数と同じ枚数(1枚)が配置されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、前記第1の遮蔽体は、第1の固定部遮蔽体保持板に埋設され、前記第2の遮蔽体は、第2の回転部遮蔽体保持板に埋設されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、前記第1の磁石を構成する極性の異なるもの同士と、前記第2の磁石を構成する極性の異なるもの同士は、各連結用磁性体によってそれぞれ連結されていることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、前記シャフトの他方端には回転を必要とする機構が連結されていることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、前記第1磁石及び前記第2磁石は円盤形状に形成され、前記第1遮蔽体及び前記第2遮蔽体は円弧形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、電磁石を用いなくとも、効率良く磁力を用いてフライホイールを回転させることができるので、例えば回転を必要とする機構に連結して用いると、効率的にエネルギーを伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】磁力回転装置を斜視図で説明する概略構成図である。
図2図1の磁力回転装置のC方向矢視図である。
図3】(a)から(d)は磁力回転装置の動作説明図(1)である。
図4】(a)から(d)は磁力回転装置の動作説明図(2)である。
図5】(a)から(d)は他の実施の形態の回転装置の動作説明図(1)である。
図6】(a)から(d)は他の実施の形態の回転装置の動作説明図(2)である。
図7】第1変形例の磁力回転装置の構成図(図2に相当する図)である。
図8】第2変形例の磁力回転装置の構成図(図2に相当する図)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に示す実施の形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示したものであって、本発明の技術的思想は、下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、種々の変更を加えることができる。特に、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。既に公知の技術である部分は説明を省略している。
【0013】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0014】
本実施の形態は、永久磁石の磁力を利用して、磁界の中にある磁場のエネルギーを効率よく取り出して回転する磁力による回転装置10である。
【0015】
図1は回転装置10を斜視図で説明する概略構成図である。図1に示すように、本実施の形態の回転装置10は、例えば、回転を必要とする機構(図示せず)に連結されるシャフト30と、フライホイール40と、第1の回転板部50と、第1の固定板部60と、第2の回転板部70と、第2の固定板部80等により構成されている。
【0016】
第1の回転板部50と第1の固定板部60とを総称して第1磁力取出部10Aと称し、第2の回転板部70と第2の固定板部80とを総称して第2磁力取出部10Bと称する。以下の説明において、第1磁力取出部10Aの形状は矢印Aから視た場合のものであり、第2磁力取出部10Bの形状は矢印Bから視た場合のものである。
【0017】
第1の回転板部50はシャフト30に固定され、周方向に90度間隔で極性が異なるように配置された第1磁石(永久磁石等)が設けられている。例えば、座標DのZ軸方向にS極永久磁石(第1の回転用S極磁石50aという)を設けた場合には、X軸となる位置にN極永久磁石(第1の回転用N極磁石50cという)を設け、この第1の回転用N極磁石50cに対して90度回転した位置にS極永久磁石(第1の回転用S極磁石50bという)を設け、さらにこの第1の回転用S極磁石50bに対して90度回転した位置にN極永久磁石(第1の回転用N極磁石50dという)を設けている。つまり、S極とS極とを対向させ、N極とN極とを対向させている。
【0018】
第1の固定板部60は、円弧状の遮蔽体(以下、第1遮蔽体という)を対向させて設けている。これを本実施の形態では第1遮蔽体60a,60bと称する。第1遮蔽体60a,60bは磁気を遮蔽する材料(例えば、磁性体)で形成されている。なお、第1の固定板部60とシャフト30の間にはボールベアリング(不図示)等を配置してもよい。
【0019】
さらに、第1遮蔽体60a,60bは、第1の回転板部50の回転時に、N極、又はS極若しくはN極とS極とを覆い隠すことが可能な幅と形状に形成されている。
【0020】
第2の回転板部70はシャフト30に固定され、一対の円弧状の第2遮蔽体70a,70bが対向して設けられている。
【0021】
第2の固定板部80は、90度間隔で極性が異なる第2磁石(永久磁石等)が設けられている。例えば、Z軸方向にN極永久磁石(第2の固定用N極磁石80aという)を設けた場合に、X軸となる位置にS極永久磁石(第2の固定用S極磁石80cという)を設け、この第2の固定用S極磁石80cに対して90度回転した位置にN極永久磁石(第2の固定用N極磁石80bという)を設け、さらにこの第2の固定用N極磁石80bに対して90度回転した位置にS極永久磁石(第2の固定用S極磁石80dという)を設けている。つまり、S極とS極とを対向させ、N極とN極とを対向させている。なお、第2の固定板部80とシャフト30の間にボールベアリング(不図示)等を配置してもよい。
【0022】
図2図1の磁力回転装置の矢印Cの方向の矢視図である。ただし、図2においては板部の間隔は大きく例示する。
【0023】
図2に示すように、第1の回転板部50の第1の回転用S極磁石50aと、第1の回転用N極磁石50cと、第1の回転用S極磁石50bと、第1の回転用N極磁石50dは、円盤状の第1の回転部保持板52に、第1の固定板部60の第1遮蔽体60aと、第1遮蔽体60bとに向き合うように張り付けられている。
【0024】
第1の固定板部60は、例えば盤状の第1の固定部遮蔽体保持板62(非磁性体)に、第1遮蔽体60a,60bが、第1の回転板部50側に向くように張り付けられている。
【0025】
第2の回転板部70は、第2の回転部遮蔽体保持板72(非磁性体)が第1の固定板部60側に設けられており、この第2の回転部遮蔽体保持板72に第2遮蔽体70a,70bが第2の固定板部80側に向いて張り付けられている。
【0026】
さらに、第2の固定板部80は、第2の固定部磁石保持板82(非磁性体)がシャフト30の他方端側になるように設けられており、この第2の固定部磁石保持板82(非磁性体)に、第2の固定用N極磁石80a、第2の固定用S極磁石80c、第2の固定用N極磁石80b、第2の固定用S極磁石80dが第2の回転板部70側に向くように張り付けられている。
【0027】
(動作説明)
図3は第1の固定板部60を固定状態にして、図1の矢印A方向から視て、第1の回転板部50を時計回りに回転させるものであり、矢印AR1は第1の回転板部50の回転方向を示す。つまり、第1の回転用S極磁石50a、第1の回転用N極磁石50c、第1の回転用S極磁石50b、第1の回転用N極磁石50dを回転させる。具体的には、第1の回転部保持板52(非磁性体:アルミ又は木材等)を回転させる。
【0028】
なお、図3においては、第1の回転部保持板52(非磁性体:アルミ又は木材等)、第1の固定部遮蔽体保持板62(非磁性体)については図示しない。
【0029】
スタート時点では、第1磁力取出部10Aの状態は、例えば、図3(a)に示す状態とする。この状態は、第1の固定板部60の第1遮蔽体60a,60bとは、Z軸を挟んで向き合っている。
【0030】
また、第1の固定板部60の第1遮蔽体60aのエリア内に、第1の回転部保持板52の第1の回転用S極磁石50aと、第1の回転用N極磁石50cとが位置している。つまり、第1遮蔽体60aによりN極、S極が遮蔽されニュートラル状態である。
【0031】
一方、第2磁力取出部10Bの状態を図4に示す。図4は第2磁力取出部10Bを、図1の矢印B方向から視たものであり、第2の固定板部80を固定状態にして、第2の回転板部70を反時計回りに回転させるものであり、矢印AR2は第2の回転板部70の回転方向を示す。つまり、第2遮蔽体70a,70bを反時計回りに回転させる。具体的には、第2の回転部遮蔽体保持板72(非磁性体)を回転させる。
【0032】
図4においては、第2の回転部遮蔽体保持板72(非磁性体)、第2の固定部磁石保持板82(非磁性体)については図示しない。
【0033】
スタート時点では第2磁力取出部10Bは図4(a)に示す状態であるとする。この状態は、第2遮蔽体70a,70bが反時計回りに45度回転している状態である。
【0034】
つまり、第2の固定板部80の第2の固定用N極磁石80a、第2の固定用S極磁石80dが第2の回転板部70の第2遮蔽体70aのエリア内に位置し、第2の固定用S極磁石80cおよび第2の固定用N極磁石80bが第2遮蔽体70bのエリア内に位置するニュートラル状態である。
【0035】
このような、第1磁力取出部10A、第2磁力取出部10Bの状態において、例えば、第1磁力取出部10Aは、図1の矢印A方向から視て時計回り45度の状態では図3(b)の状態となる。図3(b)に示すように、第1の固定板部60は固定されているので、第1の回転板部50の第1の回転用N極磁石50dはZ軸上に位置し、第1の回転用S極磁石50aは、第1の固定板部60の第1遮蔽体60aの中央に位置し、第1の回転用N極磁石50cは、第1の回転用N極磁石50dに対向する下方のZ軸上に位置する。また、第1の回転用S極磁石50bは第1遮蔽体60bの中央に位置する。
【0036】
一方、第2磁力取出部10Bは、第2の固定板部80が固定されているので、図4(b)に示すように、図1の矢印B方向から視て、第2の回転板部70が45度反時計回りに回転させられ、第2の固定板部80の第2の固定用S極磁石80dが第2の回転板部70の第2遮蔽体70aの中央に位置する。
【0037】
また、第2遮蔽体70bの中央に、第2の固定用S極磁石80cが位置し、第2の固定用N極磁石80a,80bが露出する。
【0038】
このとき、第1磁力取出部10Aと、第2磁力取出部10Bとは、磁気的な遮蔽から解放され、反発力が所定方向に発生してシャフト30を回転させる。このため、フライホイール40が回転(45度)する。
【0039】
第1磁力取出部10Aを図3(b)の状態からさらに45度回転した状態が図3(c)である。
【0040】
この状態は、第1の固定板部60の第1遮蔽体60aと、第1遮蔽体60bとは、Z軸を挟んで向き合っている。
【0041】
また、第1の固定板部60の第1遮蔽体60aのエリア内に、第1の回転用N極磁石50dと、第1の回転用S極磁石50aとが位置し、第1遮蔽体60bのエリア内に、第1の回転用N極磁石50cと、第1の回転用S極磁石50bとが位置している。つまり、ニュートラル状態である。一方、第2磁力取出部10Bは、図4(c)の状態となる。
【0042】
この状態は、第2遮蔽体70a,70bが図4(b)の状態からさらに45度反時計回りに回転している状態である。
【0043】
つまり、第2の固定板部80の第2の固定用S極磁石80dおよび第2の固定用N極磁石80bが第2遮蔽体70aのエリア内に位置し、かつ、第2の固定用N極磁石80aおよび第2の固定用S極磁石80cが第2遮蔽体70bのエリア内に位置するニュートラル状態である。
【0044】
さらに、45度回転させられた状態が図3(d)である。図3(d)に示すように、第1の固定板部60は固定されているので、第1の回転板部50の第1の回転用S極磁石50bは露出し、第1の回転用S極磁石50aは、この第1の回転用S極磁石50bに対向する露出した位置になる。
【0045】
また、第1の回転用N極磁石50dは、第1の固定板部60の第1遮蔽体60aの中央に位置し、さらに第1の回転用N極磁石50cは、第1遮蔽体60bの中央に位置する。つまり、反発状態となる。そして、さらに45度回転を繰り返す。
【0046】
一方、第2磁力取出部10Bは、図4(b)の状態から反時計回りに45度回転した図4(c)の状態となる。つまり、第2の回転板部70の第2遮蔽体70aのエリア内に第2の固定用S極磁石80dおよび第2の固定用N極磁石80bが位置し、第2の遮蔽体70bのエリア内に第2の固定板部80の第2の固定用N極磁石80aと第2の固定用S極磁石80cが位置するニュートラル状態になる。
【0047】
そして、さらに45度反時計回り回転した図4(d)の状態となる。第2磁力取出部10Bは、第2の固定板部80が固定されているので、第2の回転板部70の第2遮蔽体70aと、第2遮蔽体70bとがZ軸において対向する状態になる。
【0048】
つまり、第2遮蔽体70aの中央に第2の固定用N極磁石80bが位置し、第2遮蔽体70bの中央に第2の固定用N極磁石80aが位置し、第2の固定用S極磁石80c,80dが露出する状態となる。
【0049】
本実施の形態は、隣同士のN極とS極を覆い隠す必要最小限の長さと幅を有する可動部、固定部とを備えて、固定部の磁石と可動部(回転部)の磁石とは軸が半回転する毎(180度)に対峙するように予め配置しておく。
【0050】
そして、今、この概略図において当該軸を右方向に回転させると略45度で同極同士は反発しあってそのエネルギーで回転は継続されるようにしている。
【0051】
さらに、その角度が略90度になると反発も吸引も行われないニュートラル状態となる。このような動作を繰り返すことで磁石の反発エネルギーを継続回転運動として利用できるようにしている。なお、上述の回転運動をよりスムーズにさせる目的でフライホイールを設置している。
【0052】
本実施の形態では、第1磁石(第1の回転用S極磁石50a及び第1の回転用N極磁石50cの組,第1の回転用S極磁石50b及び第1の回転用N極磁石50dの組)と第2磁石(第2の固定用N極磁石80a及び第2の固定用S極磁石80cの組,第2の固定用N極磁石80b及び第2の固定用S極磁石80dの組)は、それぞれ2組(4個)配置され、第1遮蔽体60a,60bと第2遮蔽体70a,70bは、それぞれ磁石の組数と同じ枚数(2枚)が配置されている。変形例として、第1磁石と第2磁石は、3組以上配置し、第1遮蔽体60a,60bと第2遮蔽体70a,70bは、それぞれ磁石の組数と同じ枚数を配置しても良い。
【0053】
次に、本発明の他の実施の形態を図5及び図6を参照して説明する。図5は、前記実施の形態に係る図3に対応し、図6は前記実施の形態に係る図4に対応する動作説明図である。
【0054】
(他の実施の形態)
他の実施の形態は、前記実施の形態と比較して、第1磁石(第1の回転用S極磁石50a及び第1の回転用N極磁石50cの組)及び第1遮蔽体60aと、第2磁石(第2の固定用N極磁石80a及び第2の固定用S極磁石80cの組)及び第2遮蔽体70aの構成のみが相違する。他の構成は、前記実施の形態と同様であるため説明を省略し、異なる構成のみを説明する。
【0055】
即ち、第1磁石は1組であり、第1の回転用S極磁石50aと第1の回転用N極磁石50cから構成されている。第1の回転用S極磁石50aと第1の回転用N極磁石50cは、互いに180度回転した対向位置に配置されている。第1遮蔽体60aは、1枚のみであり、180度対向位置に配置された第1の回転用S極磁石50aと第1の回転用N極磁石50cを共に同時に遮蔽可能な円弧長さに設けられている(図5(a)、(c)参照)。
【0056】
第2磁石は、1組であり、第2の固定用N極磁石80aと第2の固定用S極磁石80cから構成されている。第2の固定用N極磁石80aと第2の固定用S極磁石80cは、互いに180度回転した対向位置に配置されている。第2遮蔽体70aは、1枚のみであり、180度対向位置に配置された第2の固定用N極磁石80aと第2の固定用S極磁石80cを共に同時に遮蔽可能な円弧長さに設けられている(図6(a)、(c)参照)。
【0057】
シャフト30は、何らかの初期回転力を受けて回転すると、第1の回転用S極磁石50a及び第1の回転用N極磁石50cが第1遮蔽体60aに、第2の固定用N極磁石80a及び第2の固定用S極磁石80cが第2遮蔽体70aに共に遮蔽されない露出状態と、第1の回転用S極磁石50a及び第1の回転用N極磁石50cが第1遮蔽体60aに、第2の固定用N極磁石80a及び第2の固定用S極磁石80cが第2遮蔽体70aに共に遮蔽される遮蔽状態(ニュートラル状態)が交互に繰り返される。
【0058】
露出状態((図5(b)、図6(b)の状態、図5(d)、図6(d)の状態)では、共に第1磁石と第2磁石の同じ極性の磁石が露出され、その反発力によって回転方向と同方向の回転力が第1磁石(第1の回転用S極磁石50a又は第1の回転用N極磁石50c)に作用する。この回転力によって、シャフト30が継続回転する。
【0059】
他の実施の形態では、第1磁石(第1の回転用S極磁石50a及び第1の回転用N極磁石50cの組)と第2磁石(第2の固定用N極磁石80a及び第2の固定用S極磁石80cの組)は、それぞれ1組(2個)配置され、第1遮蔽体60aと第2遮蔽体70aは、それぞれ磁石の組数と同じ枚数、つまり、1枚のみ配置されている。従って、前記実施の形態に比較して、磁石の個数及び遮蔽体の個数が少なくできる。
【0060】
(第1変形例)
次に、本発明の他の実施の形態の第1変形例を図7を参照して説明する。図7は、前記実施の形態に係る図2に相当する図であり、同一構成箇所には同一の符号を付してある。
【0061】
この第1変形例は、前記他の実施の形態と比較して、第1の固定部遮蔽体保持板62及び第1遮蔽体60aと、第2の回転部遮蔽体保持板72及び第2遮蔽体70aとの構成のみが相違する。他の構成は、前記実施の形態と同様であるため説明を省略し、異なる構成のみを説明する。
【0062】
即ち、第1の固定部遮蔽体保持板62には、第1遮蔽体60aと同じ大きさの穴が形成されている。この穴に第1遮蔽体60aが埋設されている。これにより、第1遮蔽体60aは、第1固定部遮蔽体保持板62の表面より突出することなく配置されている。
【0063】
第2回転部遮蔽体保持板72には、第2遮蔽体70aと同じ大きさの穴が形成されている。この穴に第2遮蔽体70aが埋設されている。これにより、第2遮蔽体70aは、第2回転部遮蔽体保持板72の表面より突出することなく配置されている。
【0064】
従って、第1固定板部60と第2回転板部70のトータル重さを軽減できるため、反発エネルギーの回収がより効率的になる。又、第1固定板部60と第2回転板部70のトータル厚みを薄くできるため、装置の小型化になる。
【0065】
(第2変形例)
次に、本発明の他の実施の形態の第2変形例を図8を参照して説明する。図8は、前記実施の形態に係る図2に相当する図であり、同一構成箇所には同一の符号を付してある。
【0066】
この第2変形例は、前記実施の形態と比較して、第1の磁石を構成する極性の異なるもの同士(第1の回転用S極磁石50aと第1の回転用N極磁石50c同士、第1の回転用S極磁石50bと第1の回転用N極磁石50d同士)と、第2の磁石を構成する極性の異なるもの同士(第2の固定用N極磁石80aと第2の固定用S極磁石80c同士、第2の固定用N極磁石80bと第2の固定用S極磁石80d同士)は、各連結用磁性体90a,90bによってそれぞれ連結されている。各連結用磁性体90a,90bは、その両先端面が各磁石50a~50d,、80a~80dの裏面に密着されている。各連結用磁性体90a,90bは、例えば軟鉄材より形成されている。この第2変形例では 、各連結用磁性体90a,90bは、U字形であるが、コ字形、V字形でも良く、その形状は問わない。他の構成は、前記他の実施の形態とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0067】
この第2変形例では、第1の回転用S極磁石50aと第1の回転用N極磁石50cの間が連結用磁性体90aで連結されているので、第1の回転用S極磁石50aと第1の回転用N極磁石50cの裏面側からの漏洩磁束を消失できるため、第1の回転用S極磁石50a,50bと第1の回転用N極磁石50c,50dがネオジム磁石のように超薄型のものを用いた場合にあって、双方の磁極への悪影響を防止できる。特に、第1の回転用S極磁石50aと第1の回転用N極磁石50cの間隔が狭小に配置される場合に、悪影響を効果的に防止できる。又、連結用磁性体90a,90bは、シャフトの回転時にフライホイールの役目の一旦も担う。
【0068】
第2の固定用N極磁石80aと第2の固定用S極磁石80cの間が連結用磁性体90bによって連結されているので、上記と同様の効果がある。
【0069】
第1、第2変形例は、図5及び図6に示す他の実施の形態に適用したが、図1図4に示す実施の形態にも同様に適用可能である。
【0070】
第1変形例を前記実施の形態(図1図4に示す)に適用する場合には、第1の固定部遮蔽体保持板62と第2の回転部遮蔽体保持板72の2箇所に、第1遮蔽体60a,60bと第2遮蔽体70a,70bをそれぞれ埋設する。
【0071】
第2変形例を前記実施の形態(図1図4に示す)に適用する場合には、第1の回転用S極磁石50bと第1の回転用N極磁石50d同士の間と、第2の固定用N極磁石80bと第2の固定用S極磁石80d同士の間も別の連結用磁性体90a,90bによってそれぞれ追加する。
【0072】
以上、各実施の形態及び変形例について詳述したが、特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施の形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。例えば、第1の回転用S極磁石50a,50b、第1の回転用N極磁石50c,50d及び第2の固定用N極磁石80a,80b、第2の固定用S極磁石80c,80dを回転方向に下るように傾斜させて回転し易くすることも可能である。
【符号の説明】
【0073】
30 シャフト
40 フライホイール
50a,50b 第1の回転用S極磁石(第1磁石)
50c,50d 第1の回転用N極磁石(第1磁石)
60a 第1遮蔽体
60b 第1遮蔽体
70a 第2遮蔽体
70b 第2遮蔽体
62 第1の固定部遮蔽体保持板
72 第2の回転部遮蔽体保持板
80a,80b 第2の固定用N極磁石(第2磁石)
80c,80d 第2の固定用S極磁石(第2磁石)
90a,90b 連結用磁性体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8