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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103455
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】診断キット及び診断を補助する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20240725BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240725BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240725BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20240725BHJP
【FI】
G01N33/53 D
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C12P21/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003169
(22)【出願日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2023007000
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】宮田 昌明
(72)【発明者】
【氏名】松山 隆美
【テーマコード(参考)】
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA70
4H045DA76
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症を簡便かつ早期に検出できる診断キット及び診断を補助する方法を提供する。
【解決手段】動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症である疾患を診断するための診断キットは、葉酸受容体βを捕捉するための捕捉用抗体と、葉酸受容体βに結合する、標識された検出用抗体と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉酸受容体βを捕捉するための捕捉用抗体と、
葉酸受容体βに結合する、標識された検出用抗体と、
を備え、
前記捕捉用抗体における重鎖は、
(a)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(b)配列番号1に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号1に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(d)配列番号1に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる重鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記捕捉用抗体における軽鎖は、
(e)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(f)配列番号2に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号2に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(h)配列番号2に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる軽鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記検出用抗体における重鎖は、
(i)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(j)配列番号3に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(k)配列番号3に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(l)配列番号3に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる重鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記検出用抗体における軽鎖は、
(m)配列番号4に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(n)配列番号4に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(o)配列番号4に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(p)配列番号4に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる軽鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有する、
動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症である疾患を診断するための診断キット。
【請求項2】
前記疾患は、
大動脈弁狭窄症である、
請求項1に記載の診断キット。
【請求項3】
葉酸受容体βを捕捉するための、固定化された捕捉用抗体と対象由来の血液試料とを反応させる第1反応ステップと、
葉酸受容体βに結合する、標識された検出用抗体を前記捕捉用抗体に捕捉された葉酸受容体βに結合させる第2反応ステップと、
前記検出用抗体を介して前記血液試料に含まれる葉酸受容体βを検出する検出ステップと、を含み、
前記捕捉用抗体における重鎖は、
(a)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(b)配列番号1に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号1に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(d)配列番号1に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる重鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記捕捉用抗体における軽鎖は、
(e)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(f)配列番号2に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号2に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(h)配列番号2に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる軽鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記検出用抗体における重鎖は、
(i)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(j)配列番号3に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(k)配列番号3に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(l)配列番号3に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる重鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記検出用抗体における軽鎖は、
(m)配列番号4に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(n)配列番号4に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(o)配列番号4に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(p)配列番号4に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる軽鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有する、
動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症である疾患の診断を補助する方法。
【請求項4】
前記疾患は、
大動脈弁狭窄症である、
請求項3に記載の診断を補助する方法。
【請求項5】
前記検出ステップでは、
前記血液試料における葉酸受容体βの濃度を測定し、
前記検出ステップに続いて、前記濃度とカットオフ値との比較に基づいて前記対象が前記疾患であるか否かを判定する判定ステップをさらに含む、
請求項3に記載の診断を補助する方法。
【請求項6】
前記疾患は、
動脈硬化関連疾患であって、
前記カットオフ値が、
7.8~9.8ng/mlである、
請求項5に記載の診断を補助する方法。
【請求項7】
前記疾患は、
冠動脈疾患、末梢動脈疾患及び大動脈疾患の少なくともいずれかであって、
前記カットオフ値が、
7.9~9.9ng/mlである、
請求項5に記載の診断を補助する方法。
【請求項8】
前記疾患は、
冠動脈疾患であって、
前記カットオフ値が、
7.7~9.7ng/mlである、
請求項5に記載の診断を補助する方法。
【請求項9】
前記疾患は、
末梢動脈疾患であって、
前記カットオフ値が、
8.1~10.1ng/mlである、
請求項5に記載の診断を補助する方法。
【請求項10】
前記疾患は、
大動脈疾患であって、
前記カットオフ値が、
7.2~9.2ng/mlである、
請求項5に記載の診断を補助する方法。
【請求項11】
前記疾患は、
大動脈弁狭窄症であって、
前記カットオフ値が、
8.1~10.1ng/mlである、
請求項5に記載の診断を補助する方法。
【請求項12】
前記疾患は、
動脈硬化性心不全であって、
前記カットオフ値が、
9.0~11.0ng/mlである、
請求項5に記載の診断を補助する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断キット及び診断を補助する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冠動脈疾患、大動脈瘤、大動脈解離、末梢動脈疾患などの動脈硬化関連疾患が増加している。動脈硬化による内膜の肥厚性病変のうち、剥がれやすい不安定プラークは、大動脈瘤破裂、脳梗塞、心筋梗塞などの原因となる。不安定プラークの特徴は、線維性被膜が薄く、脂質コアが大きく、活性化マクロファージなどの炎症細胞の浸潤が認められることである。活性化マクロファージは、不安定プラークのみならず動脈硬化の形成において、重要な役割を果たしている(非特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、動脈硬化巣に存在する活性化マクロファージに葉酸受容体β(FRβ)が発現していること及び活性化マクロファージを標的することで動脈硬化巣を縮小あるいは安定化できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/063955号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Peter Libby,Inflammation in atherosclerosis,Nature,2002,420(6917),868-874
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
動脈硬化関連疾患の診断には、超音波、CT(Computed Tomography)検査、磁気共鳴血管撮影、血管造影検査、血管内超音波検査、光干渉断層計、陽電子放出断層撮影などの画像診断が用いられる。画像診断には画像診断装置を必要とするうえ、画像所見が施行者の技量に左右されることがある。また、血管造影検査、血管内超音波検査及び光干渉断層計は侵襲的な検査で被検者の負担が大きい。
【0007】
動脈硬化を血液検体で検出するためのバイオマーカーは知られていない。このため、動脈硬化を簡便かつ早期に発見することは難しい。動脈硬化、特には不安定プラークを早期に検出できれば、不安定プラークに対する冠動脈形成術又は大動脈瘤の手術を適切な時期に行うことができる。
【0008】
また、動脈硬化関連疾患と同じ循環器系の疾患である大動脈弁狭窄症の診断にも心エコー図検査などの画像診断が用いられている。画像診断によらず動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症を早期に検出できるバイオマーカーが必要とされている。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症を簡便かつ早期に検出できる診断キット及び診断を補助する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(診断キット)
本明細書に記載された診断キットは、
葉酸受容体βを捕捉するための捕捉用抗体と、
葉酸受容体βに結合する、標識された検出用抗体と、
を備え、
前記捕捉用抗体における重鎖は、
(a)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(b)配列番号1に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号1に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(d)配列番号1に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる重鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記捕捉用抗体における軽鎖は、
(e)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(f)配列番号2に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号2に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(h)配列番号2に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる軽鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記検出用抗体における重鎖は、
(i)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(j)配列番号3に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(k)配列番号3に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(l)配列番号3に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる重鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記検出用抗体における軽鎖は、
(m)配列番号4に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(n)配列番号4に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(o)配列番号4に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(p)配列番号4に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる軽鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有する、
動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症である疾患を診断するための診断キットである。
【0011】
前記疾患は、
大動脈弁狭窄症であることとしてもよい。
【0012】
(診断を補助する方法)
本明細書に記載された診断を補助する方法は、
葉酸受容体βを捕捉するための、固定化された捕捉用抗体と対象由来の血液試料とを反応させる第1反応ステップと、
葉酸受容体βに結合する、標識された検出用抗体を前記捕捉用抗体に捕捉された葉酸受容体βに結合させる第2反応ステップと、
前記検出用抗体を介して前記血液試料に含まれる葉酸受容体βを検出する検出ステップと、を含み、
前記捕捉用抗体における重鎖は、
(a)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(b)配列番号1に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号1に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(d)配列番号1に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる重鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記捕捉用抗体における軽鎖は、
(e)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(f)配列番号2に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号2に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(h)配列番号2に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる軽鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記検出用抗体における重鎖は、
(i)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(j)配列番号3に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(k)配列番号3に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(l)配列番号3に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる重鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有し、
前記検出用抗体における軽鎖は、
(m)配列番号4に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(n)配列番号4に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(o)配列番号4に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又は
(p)配列番号4に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、によりコードされる軽鎖可変領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列を有する、
動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症である疾患の診断を補助する方法である。
【0013】
前記疾患は、
大動脈弁狭窄症であることとしてもよい。
【0014】
前記検出ステップでは、
前記血液試料における葉酸受容体βの濃度を測定し、
前記検出ステップに続いて、前記濃度とカットオフ値との比較に基づいて前記対象が前記疾患であるか否かを判定する判定ステップをさらに含むこととしてもよい。
【0015】
前記疾患は、
動脈硬化関連疾患であって、
前記カットオフ値が、
7.8~9.8ng/mlであることとしてもよい。
【0016】
前記疾患は、
冠動脈疾患、末梢動脈疾患及び大動脈疾患の少なくともいずれかであって、
前記カットオフ値が、
7.9~9.9ng/mlであることとしてもよい。
【0017】
前記疾患は、
冠動脈疾患であって、
前記カットオフ値が、
7.7~9.7ng/mlであることとしてもよい。
【0018】
前記疾患は、
末梢動脈疾患であって、
前記カットオフ値が、
8.1~10.1ng/mlであることとしてもよい。
【0019】
前記疾患は、
大動脈疾患であって、
前記カットオフ値が、
7.2~9.2ng/mlであることとしてもよい。
【0020】
前記疾患は、
大動脈弁狭窄症であって、
前記カットオフ値が、
8.1~10.1ng/mlであることとしてもよい。
【0021】
前記疾患は、
動脈硬化性心不全であって、
前記カットオフ値が、
9.0~11.0ng/mlであることとしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症を簡便かつ早期に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1に係る検量線を示す図である。
図2】実施例2に係るFRβの濃度の分布を示す図である。
図3】実施例2に係る冠動脈疾患に関するReceiver Operatorating Characteristic(ROC)曲線を示す図である。
図4】実施例2に係る末梢動脈疾患に関するROC曲線を示す図である。
図5】実施例2に係る大動脈疾患に関するROC曲線を示す図である。
図6】実施例2に係る動脈硬化性心不全に関するROC曲線を示す図である。
図7】実施例2に係る大動脈弁狭窄症に関するROC曲線を示す図である。
図8】実施例2に係る動脈硬化関連疾患に関するROC曲線を示す図である。
図9】実施例2に係る動脈硬化関連疾患(血管)に関するROC曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施の形態及び図面によって限定されるものではない。なお、下記の実施の形態において、“有する”、“含む”又は“含有する”といった表現は、“からなる”又は“から構成される”という意味も包含する。
【0025】
(実施の形態)
本実施の形態に係る動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症である疾患を診断するための診断キットは、抗FRβ抗体である捕捉用抗体及び検出用抗体を備える。捕捉用抗体はFRβを捕捉する。検出用抗体は標識されており、捕捉用抗体によって捕捉されたFRβに結合することで、FRβを検出する。下記実施例に示すように、血液試料中の可溶性FRβの濃度は動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症の発症と関連しているため、可溶性FRβを検出することで、動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症を診断することができ、あるいは動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症の診断を補助することができる。
【0026】
血液試料は、対象から採取した血液であってもよいし、当該血液から得られる、例えば血清、血漿などでもよい。好ましくは、血液試料は血清である。対象としては、ヒト及びヒト以外の動物が挙げられる。好ましくは、対象は哺乳類で、より具体的には、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、シカなどである。好適には対象はヒトである。
【0027】
本実施の形態における動脈硬化関連疾患とは、動脈硬化が原因となって発症する疾患を包含する動脈硬化に関係する疾患である。動脈硬化が原因となって発症する疾患としては、冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、末梢動脈疾患、脳梗塞、脳虚血、一過性脳虚血発作、脳出血、くも膜下出血、動脈硬化性心不全、腎硬化症、閉塞性動脈硬化症、間欠性跛行、壊疽、腸管膜虚血、一過性の動脈炎、腎動脈狭窄、手足の壊死、大動脈瘤、大動脈解離などの大動脈疾患などが挙げられる。好ましくは、動脈硬化関連疾患は、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、大動脈疾患及び動脈硬化性心不全から選択される少なくとも1種類以上の疾患である。例えば、動脈硬化関連疾患は、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、大動脈疾患及び動脈硬化性心不全からなる疾患群、あるいは、冠動脈疾患、末梢動脈疾患及び大動脈疾患からなる疾患群(本明細書では総称して「動脈硬化関連疾患(血管)」ともいう)である。
【0028】
“抗体”とは、抗原、すなわちFRβを認識し結合するタンパク質で、免疫グロブリン(Ig)という場合もある。一般的な抗体は、通常、ジスルフィド結合により相互に結合した2つの軽鎖及び2つの重鎖を有する。軽鎖にはλ鎖及びκ鎖という2種類が存在し、重鎖にはγ鎖、μ鎖、α鎖、δ鎖及びε鎖という5種類が存在する。重鎖の種類によって、抗体には、それぞれIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEという5種類のアイソタイプが存在する。
【0029】
各重鎖は、重鎖定常(CH)領域及び重鎖可変(VH)領域を含む。各軽鎖は、軽鎖定常(CL)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む。CH領域は、3つのドメインCH1、CH2及びCH3から構成される。CL領域は単一のドメインから構成される。VL領域及びVH領域は各々、フレームワーク領域(FR)という保存性の高い領域の他、相補性決定領域(CDR)という可変性の高い3つの領域を有する。抗原と相互作用する結合ドメインは、VL領域及びVH領域に含まれる。VL領域及びVH領域におけるCDR以外の領域がFRであって、アミノ酸がほとんど変化せずにCDRを構造的に支える役割を担う。
【0030】
本実施の形態に係る捕捉用抗体及び検出用抗体は、重鎖及び軽鎖が下記の所定のポリヌクレオチドでコードされるアミノ酸配列を有する。具体的には、捕捉用抗体における重鎖は、次の(a)、(b)、(c)又は(d)に示すポリヌクレオチドによりコードされるVH領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つのCDRを含むアミノ酸配列を有する。
(a)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b)配列番号1に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号1に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d)配列番号1に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【0031】
捕捉用抗体における軽鎖は、次の(e)、(f)、(g)又は(h)に示すポリヌクレオチドによりコードされるVL領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つのCDRを含むアミノ酸配列を有する。
(e)配列番号2に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド
(f)配列番号2に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(g)配列番号2に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(h)配列番号2に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【0032】
検出用抗体における重鎖は、次の(i)、(j)、(k)又は(l)に示すポリヌクレオチドによりコードされるVH領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つのCDRを含むアミノ酸配列を有する。
(i)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド
(j)配列番号3に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(k)配列番号3に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(l)配列番号3に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【0033】
検出用抗体における軽鎖は、次の(m)、(n)、(o)又は(p)に示すポリヌクレオチドによりコードされるVL領域のアミノ酸配列中の少なくとも1つのCDRを含むアミノ酸配列を有する。
(m)配列番号4に示す塩基配列からなるポリヌクレオチド
(n)配列番号4に示す塩基配列において1個~数個の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含み、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(o)配列番号4に示す塩基配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(p)配列番号4に示す塩基配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ葉酸受容体βに結合する生物学的活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【0034】
なお、上述の“数個の塩基”とは、1~20個、好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個の塩基である。
【0035】
2つの塩基配列の“同一性”とは、両塩基配列をアラインメントした際に各対応箇所が同一の塩基になる比率である。なお、2つの塩基配列の同一性は、例えばProc.Natl.Acad.Sci.USA,2002,90,5873-5877などの公知のアルゴリズムを用いて決定できる。このようなアルゴリズムはNBLAST、XBLASTプログラムなどにも組み込まれている。上述の“少なくとも90%の配列同一性”とは、配列相同性が90%以上であることを意味し、好ましくは、配列同一性は少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%である。
【0036】
上述の“ストリンジェントな条件”は、例えば、モレキュラークローニング・ア・ラボラトリーマニュアル第3版(2001年)などに基づき適宜決定できる。ストリンジェントな条件は、例えば、30℃~50℃で、3~4×SSC(150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム、pH7.2)、0.1~0.5%SDS中で1~24時間である。より好ましいストリンジェントな条件として、40℃~45℃で、3.4×SSC、0.3%SDS中で1~24時間が例示される。
【0037】
本実施の形態に係る捕捉用抗体及び検出用抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体であることが好ましい。ポリクローナル抗体は、通常は抗原で免疫した動物の血清から調製される抗体で、構造の異なる種々な抗体分子の混合物である。一方、モノクローナル抗体とは、特定のアミノ酸配列を有するVL領域及びVH領域の組み合わせを含む単一種類の分子からなる抗体をいう。モノクローナル抗体は、抗体産生細胞由来のクローンから産生することも可能であるが、抗体のタンパク質のアミノ酸をコードする遺伝子の塩基配列を有する核酸分子を取得し、当該核酸分子を用いて遺伝子工学的に作製することも可能である。また、重鎖、軽鎖、それらの可変領域、CDRなどの遺伝子情報を用いて抗体の結合性や特異性の向上のための改変などを行うことできる。
【0038】
本実施の形態に係る捕捉用抗体及び検出用抗体は、抗体の断片又は誘導体であってもよい。抗体の断片としては、F(ab’)2、Fab、Fvなどが挙げられる。抗体の誘導体としては、CL及びCHの少なくとも一方に人工的にアミノ酸変異を導入した抗体、CL及びCHの少なくとも一方のドメイン構成を改変した抗体、1分子あたり2つ以上のFc領域を有する抗体、糖鎖改変抗体、二重特異性抗体、抗体又は抗体の断片を抗体以外のタンパク質と結合させた抗体コンジュゲート、抗体酵素、タンデムscFv、二重特異性タンデムscFv、ダイアボディ(Diabody)などが挙げられる。さらに、抗体又はその断片若しくは誘導体が非ヒト動物由来の場合、そのCDR以外のアミノ酸配列の一部又は全部をヒト抗体の対応するアミノ酸配列に置換したキメラ抗体又はヒト化抗体も本実施の形態に係る抗体に包含される。なお、別途明記しない限り、単に“抗体”という場合、抗体の断片及び誘導体も含むものとする。
【0039】
本実施の形態に係る捕捉用抗体及び検出用抗体は、抗体の一部(CDR又は可変領域)が特定されているため、公知の手法により、抗体のアミノ酸配列の全部又は一部をコードする塩基配列を有する核酸分子を作製し、核酸分子を用いて遺伝子工学的に抗体を作製することが可能である。さらに、当該塩基配列から所望の抗体の各構成要素を発現するためのベクター、プラスミドなどを作製し、宿主細胞に導入して、当該抗体を産生させることもできる。また、得られた抗体の性能の向上や副作用の回避を目的に、抗体の定常領域の構造に改変を入れること、及び糖鎖の部分での改変を行うことも、公知の技術によって行うことができる。
【0040】
捕捉用抗体は、固相用抗体であって、例えば担体に固定化される。担体は、抗体を固定化できれば特に限定されず、例えばプレート、ポリスチレンラテックス粒子などのラテックス粒子、メンブレンなどである。本実施の形態に係る診断キットは、捕捉用抗体でウェル表面があらかじめコートされたプレートを備えてもよい。捕捉用抗体を固定化する際、炭酸ナトリウムバッファーなどの緩衝液で調製した捕捉用抗体溶液に担体を暴露し、室温より低温、例えば2~10℃、2~8℃又は2~6℃で静置すればよい。
【0041】
検出用抗体は公知の方法で標識される。例えば、検出用抗体は、着色粒子、発色能を有する粒子、酵素、蛍光体などで標識される。検出用抗体はビオチンで標識されてもよい。この場合、好ましくは、抗体抗原反応後に、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)を有するアビジンがビオチンを介して検出用抗体に付加されるのが好ましい。こうすることで、HRPによる基質の反応に応じてFRβを定量することができる。HRPの基質としては、公知の基質を適宜使用できるが、好ましくは3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)である。
【0042】
本実施の形態に係る診断キットは、公知のサンドイッチELISAの方法に準じて使用することができる。以下、捕捉用抗体が表面に固定化されたウェルを有するプレートを備える場合を例として診断キットの使用方法について説明する。当該使用方法は、動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症の診断を補助する方法ともいえる。当該方法は、捕捉用抗体と対象由来の血液試料とを反応させる第1反応ステップと、検出用抗体を捕捉用抗体に捕捉されたFRβに結合させる第2反応ステップと、検出用抗体を介して血液試料に含まれるFRβを検出する検出ステップとを含む。
【0043】
第1反応ステップにおいて、捕捉用抗体と血液試料とを反応させる態様は特に限定されず、捕捉用抗体が血液試料に暴露されればよい。なお、第1反応ステップの前に、捕捉用抗体の非特異的な反応を抑制するためにウシ胎仔血清(FBS)、ウシ血清アルブミンなどを用いてブロッキング処理を行ってもよい。
【0044】
第1反応ステップの後に、ウェルを複数回洗浄することで未反応の物質などを除去するのが好ましい。続いて、第2反応ステップでは、検出用抗体とFRβとを反応させる態様は特に限定されず、検出用抗体がFRβに暴露されればよい。第2反応ステップの後に、ウェルを複数回洗浄することで未反応の検出用抗体などを除去するのが好ましい。
【0045】
検出ステップでは、検出用抗体の標識を介してFRβを検出する。HRPによる基質の反応に応じてFRβを検出する場合は、基質をウェルに加え、反応させ、反応を停止後に使用した基質に応じた吸収波長での吸光度を測定すればよい。検出ステップでは、血液試料における葉酸受容体βの濃度を測定してもよい。FRβの濃度は、例えば、FRβの濃度が判明している試料を使用してあらかじめ作製した検量線を用いて測定できる。
【0046】
好ましくは、当該方法は、検出ステップに続いて、FRβの濃度がカットオフ値との比較に基づいて対象が動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症であるか否かを判定する判定ステップをさらに含む。判定ステップでは、FRβの濃度がカットオフ値より高い場合、対象が動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症であると判定する。より具体的には、動脈硬化関連疾患、特には冠動脈疾患、末梢動脈疾患、大動脈疾患及び動脈硬化性心不全からなる疾患群、であるか否かのカットオフ値は7.8~9.8ng/ml、8.0~9.6ng/ml、8.2~9.4ng/ml、8.4~9.2ng/ml又は8.6~9.0ng/ml、好ましくは8.7~8.9ng/ml、より好ましくは8.8ng/mlである。動脈硬化関連疾患(血管)であるか否かのカットオフ値は7.9~9.9ng/ml、8.1~9.7ng/ml、8.3~9.5ng/ml、8.5~9.3ng/ml又は8.7~9.1ng/ml、好ましくは8.8~9.0ng/ml、より好ましくは8.9ng/mlである。なお、カットオフ値を範囲で示す場合は、当該範囲に含まれる任意の数値がカットオフ値であることを意味する。
【0047】
冠動脈疾患を判定する場合、カットオフ値は7.7~9.7ng/ml、7.9~9.5ng/ml、8.1~9.3ng/ml、8.3~9.1ng/ml又は8.5~8.9ng/ml、好ましくは8.6~8.8ng/ml、より好ましくはである8.7ng/mlである。末梢動脈疾患を判定する場合、カットオフ値は8.1~10.1ng/ml、8.3~9.9ng/ml、8.5~9.7ng/ml、8.7~9.5ng/ml又は8.9~9.3ng/ml、好ましくは9.0~9.2ng/ml、より好ましくはである9.1ng/mlである。大動脈疾患を判定する場合、カットオフ値は7.2~9.2ng/ml、7.4~9.0ng/ml、7.6~8.8ng/ml、7.8~8.6ng/ml又は8.0~8.4ng/ml、好ましくは8.1~8.3ng/ml、より好ましくはである8.2ng/mlである。大動脈弁狭窄症を判定する場合、カットオフ値は8.1~10.1ng/ml、8.3~9.9ng/ml、8.5~9.7ng/ml、8.7~9.5ng/ml又は8.9~9.3ng/ml、好ましくは9.0~9.2ng/ml、より好ましくはである9.1ng/mlである。動脈硬化性心不全を判定する場合、カットオフ値は9.0~11.0ng/ml、9.2~10.8ng/ml、9.4~10.6ng/ml、9.6~10.4ng/ml又は9.8~10.2ng/ml、好ましくは9.9~10.1ng/ml、より好ましくはである10.0ng/mlである。
【0048】
本実施の形態に係る診断キットによれば、動脈硬化関連疾患又は大動脈弁狭窄症の患者の血液に正常者よりも高濃度で含まれるFRβを高精度で検出及び定量できる。このため、動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症を簡便かつ早期に検出できる。
【0049】
なお、本実施の形態に係る診断キットは、上述の方法で使用する緩衝液、ブロッキング処理用の試薬、その他の試薬などを備えてもよく、当該キットの使用に係る指示が記載された指示書などを備えてもよい。
【0050】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例0051】
実施例1
[抗ヒトFRβマウスモノクローナル抗体及び抗マウスFRβラットモノクローナル抗体の製造]
(抗原であるFRβ発現細胞の調製)
関節リウマチ滑膜又はBalb/cマウス肝臓からTrizol(Thermo Fisher Scientific社製)及びcDNA synthesis kit(Invitrogen社製)を用いて全RNAを抽出後、SuperScript plasmid System(Invitrogen社製)を用いてcDNAを合成した。次に、1μlのリウマチ滑膜及びBalb/cマウス肝臓から調製したcDNAをそれぞれ別個にBioneer PCR premix(Bioneer社製)に加え、10ピコモル量に調整したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを加え、94℃で20秒、58℃で30秒、72℃で60秒を1サイクルとするPCRを30サイクル行い、その後72℃で5分間、反応させることにより、ヒト及びマウスのFRβ遺伝子を増幅した。リウマチ滑膜由来のcDNAに使用したセンスプライマー及びアンチセンスプライマー(プライマーセットA)の塩基配列をそれぞれ配列番号5及び6に示す。マウス肝臓由来のcDNAに使用したセンスプライマー及びアンチセンスプライマー(プライマーセットB)の塩基配列をそれぞれ配列番号7及び8に示す。
【0052】
PCR産物をプラスミドPCR2.1-TOPO(Invitrogen社製)にライゲーションした。詳細には、PCR産物2.5μlにNaCl溶液を1μL、滅菌蒸留水1.5μL及びベクタープラスミド(PCR2.1-TOPO)1μLを加えて室温で5分間インキュベートした。得られた溶液2μlを大腸菌(TOP10F’)に加えて氷中で30分間反応後、42℃で30秒熱処理し、氷中で2分間静置し、250μlのSOC培地を加えた後、37℃で1時間、シェーカー内で培養した。培養終了後、LB培地に捲き、37℃で一晩培養した。
【0053】
大腸菌培養のため、プレート上より採取した白いコロニーを、アンピシリン(50μg/ml)を含むLB液体培地に加えて37℃で一晩培養した。プラスミドの精製はQiagenプラスミド精製キット(Qiagen社製)にて行った。制限酵素EcoRIによる処理後、アガロース電気泳動に展開し、約0.8kb(782bp)のFRβ遺伝子を確認した。FRβ遺伝子を切り出し、Quiagen PCR purification kit(Quiagen社製)にて精製した。次に、あらかじめEcoRI処理を行った哺乳細胞発現用ベクターpER-BOS(Mizushima et al.,pEF-BOS,a powerful mammalian expression vector.Nucleic Acid Res.,1990,18(17),5322)と混和し、T4 ligase(Roche社製)を用いてライゲーションを行った。ライゲーション産物の大腸菌(TOP10F’)への遺伝子導入及びFRβ遺伝子の確認は上記と同様に行った。
【0054】
pEF-BOSに組み込まれたFRβ遺伝子を確認後、ヒトFRβ遺伝子を含むベクターはマウスB300-19細胞に、マウスFRβ遺伝子を含むベクターはラットRBL2H3細胞にそれぞれ遺伝子導入を行った。すなわち、あらかじめ1×10個に調整した各細胞に、20μlのリポフェクタミン(Thermo Fisher Scientific社製)と混和したFRβベクター1μgを加えて遺伝子導入を行った。遺伝子導入されたB300-19マウス細胞及びラットRBL2H3細胞は抗生物質G418耐性を獲得するため、1mg/mlの濃度のG418を含む培地にて遺伝子導入された細胞を選択培養した。
【0055】
遺伝子導入された細胞におけるFRβ遺伝子を次のように確認した。1×10個に調整した各細胞からcDNA synthesis kit(Invitrogen社製)を用いてcDNAを合成し、10ピコモル量に調整したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーをBioneer PCR premix(Bioneer社製)に加え、94℃で20秒、58℃で30秒、72℃で60秒を1サイクルとするPCRを30サイクル行い、その後72℃で5分間、反応させることにより、ヒト及びマウスのFRβ遺伝子を増幅した。ヒトFRβ遺伝子及びマウスFRβ遺伝子の増幅にはそれぞれプライマーセットA及びプライマーセットBを使用した。増幅後アガロース電気泳動を行い、FRβが示すバンド0.8kbを確認した。
【0056】
(抗ヒトFRβマウスモノクローナル抗体及び抗マウスFRβラットモノクローナル抗体の作製)
FRβ発現マウスB300-19細胞又はラットRBL2H3細胞を1×10個に調整し、フロインド完全アジュバンドと混合し、抗ヒトFRβマウスモノクローナル抗体用のBalb/Cマウス又は抗マウスFRβラットモノクローナル抗体用のWhister Kyotoラットの尾部に3か所、腹腔内に免疫した。この免疫を2~4回繰り返した。モノクローナル抗体の作成はKolerの方法(Kohler and Milstein,Nature,1975,256,495-96)に従って行った。すなわち、脾臓又は腸骨リンパ節を取りだし、単一細胞に解離させた。解離した細胞を骨髄腫由来の細胞(NS-1)と細胞融合させてハイブリドーマを作製し、HAT選択培地にて培養し、培養上清中に分泌された抗体を、上記FRβ発現細胞との反応性で選別した。得られたハイブリドーマのクローン化は、96穴プレートの各穴あたり1細胞となるように調整した限界希釈培養にて行った。クローン化細胞は、上記FRβ発現細胞との反応性で選別した。
【0057】
クローン化したハイブリドーマを1×10個に調整し、ヌードマウス腹腔内に投与して腹水を調整し、Protein Gカラム(GEバイオサイエンス社製)を用いてモノクローナル抗体を精製した。精製したマウス及びラットモノクローナル抗体のアイソタイプは、アイソタイピングELISAキット(Pharmingen社製)を用いて決定した。その結果、マウス-マウスハイブリドーマクローン94b細胞から抗ヒトFRβマウスモノクローナル抗体としてIgG1タイプの94bが得られた。また、ラット-ラットハイブリドーマクローンCL5細胞から抗マウスFRβラットモノクローナル抗体としてIgG2aタイプのCL5が得られた。これら各抗体の抗原に対する反応性はフローサイトメトリーにて解析した。
【0058】
[抗ヒトFRβマウスモノクローナル抗体及び抗マウスFRβラットモノクローナル抗体のVH領域遺伝子及びVL領域遺伝子の塩基配列の決定]
CL5細胞を1×10個に調整し、cDNA synthesis kit(Invitrogen社製)にてcDNAを合成した。次に、Ig-Prime Kit及びラットVH増幅用にデザインした、塩基配列を配列番号9に示すプライマーを用い、VH領域遺伝子及びVL領域遺伝子をPCRに増幅させた。増幅したPCR産物をプラスミドPCR2.1-TOPO(Invitrogen社製)にライゲーションし、大腸菌(TOP10F’)に遺伝子導入した。次に、大腸菌よりプラスミドを精製した。BigDye Terminaor V3.1 cycle sequencing kit(ABI社製)を用いてPCRを行い、PCR産物をABI 310 DNA sequencerにて解析し、CL5のVH領域遺伝子及びVL領域遺伝子の塩基配列を決定した。CL5のVH領域遺伝子及びVL領域遺伝子の塩基配列をそれぞれ配列番号1及び2に示す。
【0059】
94b細胞を1×10個に調整し、cDNA synthesis kit(Invitrogen社製)にてcDNAを合成した。94bはIg-Prime Kitを用いてVH領域遺伝子及びVL領域遺伝子の塩基配列をPCRにて決定した。PCR条件は添付の説明書に従った。増幅したPCR産物をプラスミドPCR2.1-TOPO(Invitrogen社製)にライゲーションし、大腸菌(TOP10F’)に遺伝子導入した。遺伝子導入した大腸菌よりプラスミドを精製した。続いて、CL5と同様に、VH領域遺伝子及びVL領域遺伝子の塩基配列を決定した。94bのVH領域遺伝子及びVL領域遺伝子の塩基配列をそれぞれ配列番号3及び4に示す。
【0060】
[サンドイッチELISA]
捕捉用抗体としてCL5を、検出用抗体として94bを使用したサンドイッチELISAを実施した。0.05M炭酸ナトリウムバッファー(pH9.6)で5μg/mlのCL5溶液を調製した。CL5溶液を、プレート(Nunc Maxisorp(Thermo Fisher Scientific社製、#442404))に100μl/ウェルで分注し、4℃で一晩静置することでCL5を固相化した。0.05% Tween 20を含むPBS(洗浄液)300μlで各ウェルを3回洗浄し、2%FBSを含むPBSをプレートに300μl/ウェルで分注し、室温で30分間静置することでブロッキングを行った。
【0061】
洗浄液300μlで各ウェルを3回洗浄し、次のように標準抗原(FOLR2、SinoBiological社製、#11219-H08H)を反応させた。Can Get Signal(商標) solution 1(東洋紡社製)で標準抗原溶液(0.0125~2ng/ml)を調製した。標準抗原溶液をプレートに100μl/ウェルで分注し、室温で3時間静置した。反応後、洗浄液300μlで各ウェルを3回洗浄した。
【0062】
あらかじめビオチン化した94bについて、Can Get Signal(商標) solution 1で1μg/mlの94b溶液を調製した。94b溶液をプレートに100μl/ウェルで分注し、室温で2時間静置した。反応後、洗浄液300μlで各ウェルを3回洗浄した。
【0063】
Can Get Signal(商標) solution 1で1μg/mlに調製したHRP標識ストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific社製、#434323)溶液を、プレートに150μl/ウェルで分注し、室温で1時間静置した。反応後、洗浄液300μlで各ウェルを4回洗浄した。基質であるTMB(Thermo Fisher Scientific社製、#34028)をプレートに150μl/ウェルで分注し、室温で15分間静置した。2M HSO(50μl/ウェル)で反応を停止し、吸光プレートリーダーでTMBの吸収波長450nmでの吸光度を測定した。なお、吸光度の補正のために、捕捉用抗体としてCL5に代えてラットIgGF(ab’)(NC抗体)を固相化したウェルに、標準抗原を含まないCan Get Signal(商標) solution 1を加えて上記同様に処理した。NC抗体を用いたウェルの吸光度の平均値(NC)で、各測定値を補正した。
【0064】
(結果)
図1に示すように、補正後の測定値は標準抗原の濃度依存的であり、良好な直線性を有する検量線が得られた。
【0065】
実施例2
正常者と動脈硬化関連疾患(冠動脈疾患、末梢動脈疾患、大動脈疾患(大動脈瘤)及び動脈硬化性心不全)又は大動脈弁狭窄症の患者との間で、血中のFRβの濃度を比較した。被検者の内訳は、正常者104例、冠動脈疾患患者85例、末梢動脈疾患患者29例、大動脈疾患患者43例、大動脈弁狭窄症患者37例及び動脈硬化性心不全27例である。被検者から採取した血液から定法によって血清を取得し、-30℃の冷凍庫で保存して血液試料とした。上記実施例1におけるサンドイッチELISA及び検量線を使用して、各血液試料におけるFRβの濃度を決定した。
【0066】
(結果)
図2に被検者の血液試料におけるFRβの濃度の分布を示す。正常者は、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、大動脈疾患、大動脈弁狭窄症及び動脈硬化性心不全のいずれと比較してもFRβの濃度が有意に低かった。図3図4図5図6及び図7は、それぞれ冠動脈疾患、末梢動脈疾患、大動脈疾患、動脈硬化性心不全及び大動脈弁狭窄症についてのROC曲線を示す。図8は、動脈硬化関連疾患(冠動脈疾患、末梢動脈疾患、大動脈疾患及び動脈硬化性心不全のすべて)についてのROC曲線を示す。図9は、動脈硬化関連疾患(血管)(冠動脈疾患、末梢動脈疾患及び大動脈疾患のすべて)についてのROC曲線を示す。ROC曲線の解析より得られたAUC、カットオフ値、感度及び特異度を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
上記実施例1におけるサンドイッチELISAによって定量した血中のFRβ濃度によって、動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症を高精度で検出できることが示された。
【0069】
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は動脈硬化関連疾患及び大動脈弁狭窄症の診断に有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
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