(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103459
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】呼吸用マスク
(51)【国際特許分類】
B63C 11/16 20060101AFI20240725BHJP
B63C 11/12 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B63C11/16
B63C11/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024004920
(22)【出願日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】63/480,932
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508126022
【氏名又は名称】誠加興業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100183564
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 伸也
(72)【発明者】
【氏名】薛志誠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マスク本体内の二酸化炭素濃度が上昇しないように、吸入した新鮮な空気の気流と呼気の汚れた空気の気流とを分離する呼吸用マスクを提供する。
【解決手段】本体と、その内部と流体連通した呼吸管と、を備え、本体は、メインフレームと、レンズと、防水スカートと、マルチチャネルコネクタと、吸気・排気経路を備え、防水スカートには、本体内部を上部チャンバ及び下部チャンバに仕切る仕切りが設けられ、上部チャンバ及び下部チャンバには、それぞれ使用者の目と鼻が収容され、マルチチャネルコネクタは、下部チャンバと流体連絡する上端を有し、吸気経路は、呼吸管の下端部と下部チャンバとの間に形成され、排気経路は、本体の周囲に沿って上方に配置されており、これにより、使用者から吐き出された汚れた空気が、排気経路内を一方向に外部に向かって流れ、排気経路は、マルチチャネルコネクタに結合・連通する底部を有する排気管を備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸用マスクであって、
上端部及び前記上端部の反対に位置する下端部を有する呼吸管であって、その内部に吸気管路が形成され、前記上端部により、水中で外部水が流入するのを防ぎ、使用者が吸入した新鮮な空気を流入させて前記吸気管路に沿って前記下端部へ流れようにした呼吸管と、
前記呼吸管の前記下端部に接続され、前記呼吸管と流体連通する内部を有すると共に、
メインフレームと、
前記メインフレーム内に埋め込まれたレンズと、
前記メインフレーム及び前記レンズに埋め込まれた前部、及び使用者の顔に好適にフィットするように構成された後部を有し、かつ、前記本体の内部を上部チャンバと下部チャンバとに仕切る仕切りを有し、固定装置により使用者が前記呼吸用マスクを装着すると、前記仕切りは使用者の鼻の上に載置され、使用者の目及び鼻は、前記上部チャンバ及び前記下部チャンバにそれぞれ収容される、防水スカートとを備える本体と、
を備えており、
前記本体は、さらに、上端及び下端を有すると共に、
前記上端が前記下部チャンバに流体連通し前記下端が排水弁を備えるマルチチャネルコネクタと、
前記呼吸管の前記下端部と前記下部チャンバとの間に形成された吸気経路であって、前記吸気経路を通って一方向に流れる吸気空気を前記下部チャンバに流入させるための吸気一方向弁が設けられた吸気経路と、
使用者が吐き出す汚れた空気が一方向に外部に流れるようにするために、本体の周囲に沿って上方に配置された排気経路と、
を備えており、
前記排気経路は、排気管を備え、前記排気管は、前記マルチチャネルコネクタの外側に結合され、前記マルチチャネルコネクタに連通する底部を有している、呼吸用マスク。
【請求項2】
前記呼吸管の内部には、前記吸気管路とは独立した排気管路がさらに形成され、前記排気経路は、前記排気管路と前記排気管との間に形成された排気トンネルをさらに備え、使用者が吐き出した汚れた空気が、前記マルチチャネルコネクタから、前記排気管、前記排気トンネル、及び、前記排気管路を順に介して、外部に排出されるものであり、
前記本体の周囲に沿って延びる排気トンネルは、前記防水スカートと前記レンズの内面とによって共同で画定されており、
前記排気管は、前記排気トンネルに連通する頂部を有している、請求項1記載の呼吸用マスク。
【請求項3】
前記吸気一方向弁は、前記仕切り上に配置され、前記吸気経路は、前記上部チャンバと前記吸気一方向弁とによって画定されている、請求項2記載の呼吸用マスク。
【請求項4】
前記本体は、底部排気一方向弁をさらに備え、前記底部排気一方向弁は、前記排気管が前記マルチチャネルコネクタと結合される領域内に配置され、前記排気経路は、前記底部排気一方向弁、前記排気管、及び前記排気トンネルによって画定されている、請求項3記載の呼吸用マスク。
【請求項5】
前記排気管は、前記呼吸管の外側と本体の周囲に沿って上方に延びている、請求項1記載の呼吸用マスク。
【請求項6】
前記本体は、前記排気管の頂部に配置された頂部排気一方向弁をさらに備え、前記吸気一方向弁は、前記仕切り上に配置されており、
前記吸気経路は、前記上部チャンバ及び前記吸気一方向弁によって画定され、前記排気経路は、前記頂部排気一方向弁及び前記排気管によって画定されている、請求項5記載の呼吸用マスク。
【請求項7】
前記本体は、底部排気一方向弁をさらに備え、前記底部排気一方向弁は、前記排気管が前記マルチチャネルコネクタと結合される領域内に配置され、前記排気経路は、前記頂部排気一方向弁、前記排気管、及び前記底部排気一方向弁によって画定されている、請求項6記載の呼吸用マスク。
【請求項8】
前記呼吸管に沿って前記排気管を支持する留め具をさらに備えている、請求項5記載の呼吸用マスク。
【請求項9】
前記マルチチャネルコネクタは、それぞれ互いに流体連通する鼻接続部、口接続部、及び排水部を備え、前記鼻接続部は、前記下部チャンバに流体連通し、前記口接続部は、使用者の口腔内に収容されるマウスピースを備え、前記排水部には、前記本体内に溜まった水を排水するための排水弁が設けられている、請求項1記載の呼吸用マスク。
【請求項10】
前記本体は、鼻口一方向弁をさらに備え、前記鼻口一方向弁は、前記鼻接続部が前記下部チャンバと流体連通する領域内に配置されており、前記下部チャンバから前記鼻口一方向弁を介して前記鼻接続部に向かった一方向のみに、流体が入ることを可能にする、請求項9記載の呼吸用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2023年1月20日に出願された米国暫定特許出願第63/480,932号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記出願の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、ウォーターアクティビティ用マスク、特に、使用者が鼻及び/又は口から呼吸することを可能にする、シュノーケリング用マスクに関する。
【背景技術】
【0003】
現在のシュノーケリングで使われているシュノーケリング用具としては、目と鼻を覆うマスク本体がそのほとんどを占めており、そこに呼吸管が別途設けられている。しかし、吸気と呼気において、人間は鼻から呼吸することに慣れている。このようなシュノーケリングマスクを使用すると、使用者は口に入れた呼吸管のみで呼吸することを余儀なくされ、鼻から呼吸することができず、使用者の自然な呼吸習慣には合わない。さらに、マスク本体と呼吸管は別々の部品であり、その接続はヘッドストラップと呼吸管の中央部において、充分な強度を持たずに行われているため、充分に強固な接続ではない。使用中に呼吸管が強い水流にさらされると、使用者はマウスピースを口の中に強くふくめて、揺れる呼吸管を安定させる必要があり、口の筋肉の痛みを引き起こすだけでなく、使用者の体力を消費し、シュノーケリングの楽しさを半減させてしまう。
【0004】
上記の欠点に基づいて、一部のメーカーにおいては、こうしたシュノーケリングマスクの、フルフェイスシュノーケリングマスク(FFSM)への置き換えが進められている。FFSMは、主にマスク本体と、マスク本体の上部に取り付けられた呼吸管で構成されている。呼吸管は、マスク本体の内部と流体連通している。マスク本体は、使用者の目と鼻、又は目と鼻と口を覆う。
【0005】
ただし、この設計では、吸入と呼気の両方が呼吸管を介して行われ、それらの気流は分離されない場合が多い。その結果、呼吸中にマスク本体内できれいな空気と汚れた空気が急速に混ざりやすくなり、マスク本体内の二酸化炭素濃度が急激に上昇する。この状況では、使用者は短時間で無意識の酸素欠乏を経験する可能性が高く、重大な危険が生じる可能性もある。また、FFSMのマスク本体が目と鼻のみを覆う場合、使用者の口が水に触れるため、誤飲を防ぐために必然的に口が固く閉ざされる。これにより、使用者にある程度の不安が生じる。また、マウスピースを口にくわえたままのシュノーケリングに慣れている使用者にとっては、マウスピースのサポートがないため、不快に感じる場合もあり得る。FFSMのマスク本体が使用者の目、鼻、口を覆うフルレンズタイプの場合、口と鼻の内部の呼気スペースが大きすぎて、排水弁から水を押し出す圧力が不十分になる場合が多い。その結果、溜まった水分を排出するためにさらに大きく息を吐かなければならず、次の呼吸サイクルではより大きく息を吸わなければならず、シュノーケラーの体力維持に悪影響を及ぼす。
【0006】
この観点から、業界では、上記問題の一部又は全てを解決できるシュノーケリング用具の設計に努めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、使用者の目と鼻を覆い、マスク本体内で使用者の鼻が自由に呼吸できるようにし、マスク本体内の二酸化炭素濃度が上昇しないように、吸入した新鮮な空気の気流と呼気の汚れた空気の気流とを分離する呼吸用マスクを提供することにある。また、マルチチャネルコネクタは、マスク本体の下方の外側に延びるように配置されている。マルチチャネルコネクタのチャネルの1つは、鼻を覆うマスク本体の下部チャンバに接続されている。マルチチャネルコネクタのもう1つのチャネルには、マスク本体に漏れた水が溜まる排水弁が設けられている。このチャネルにより、鼻孔から水を遠ざけ、溜まった水を排水弁から排出することができる。さらに、マルチチャネルコネクタのチャネルの他の1つは、マウスピースで接続され、使用者の口が収容されるため、呼吸用マスクの着用の安定性が向上し、使用者は鼻からだけでなく、口からも息を吸い込み、吐き出すことができる。さらに、マルチチャネルコネクタの内容積が限られており、鼻を覆う下部チャンバから分離されているため、使用者が口から大きく息を吐く際、呼気の圧力が高められる。これは、溜まった水を簡単に排出する際に有益であり、溜まった水が下部チャンバに飛散して鼻孔に入る可能性が低くなる。
【0008】
また、上記設計に基づいて、本発明は、マルチチャネルコネクタの両側に、マルチチャネルコネクタと直接連通する2つの対称的な排気管をさらに提供する。2本の排気管は、使用者が吐き出した汚れた空気を2本の排気管を通して外部に排出できるように、呼吸用マスクの排気路の少なくとも一部を形成し、排気の信頼性を向上させる。一形態において、2つの排気管は、呼吸管から完全に独立しており、呼吸管が排気管路のためのスペースを提供する必要がないよう、マスク本体の2つの外側に組み立てられる(つまり、呼吸管の直径を小さくすることができるか、又は、内部の吸気管路によって提供される空気取り入れ口の容積を増加させることができる)。これにより、製造及び組み立てコストをさらに削減し、吸気効率を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、呼吸用マスクを開示する。呼吸用マスクは、上端部及び前記上端部の反対に位置する下端部を有する呼吸管であって、その内部に吸気管路が形成され、上端部により、水中で外部水が流入するのを防ぎ、使用者が吸入した新鮮な空気を流入させて吸気管路に沿って下端部へ流れようにした呼吸管と、呼吸管の下端部に接続され、呼吸管と流体連通する内部を有する本体と、を備える。本体は、メインフレームと、メインフレーム内に埋め込まれたレンズと、メインフレーム及びレンズに埋め込まれた前側部、及び使用者の顔に好適にフィットするように構成された後側部を有する防水スカートと、を備える。防水スカーフは、本体の内部を上部チャンバと下部チャンバとに仕切る仕切りを有する。固定装置により使用者が呼吸用マスクを装着すると、仕切りは使用者の鼻の上に載置され、使用者の目及び鼻は、上部チャンバ及び下部チャンバにそれぞれ収容される。本体は、上端及び下端を有するマルチチャネルコネクタであって、上端が下部チャンバに流体連通し下端が排水弁を備えるマルチチャネルコネクタと、呼吸管の下端部と下部チャンバとの間に形成された吸気経路であって、前記吸気経路を通って一方向に流れる吸気空気を下部チャンバに流入させるための吸気一方向弁が設けられた吸気経路と、使用者が吐き出す汚れた空気が一方向に外部に流れるようにするために、本体の周囲に沿って上方に配置された排気経路と、をさらに備える。排気経路は、排気管を備え、前記排気管は、マルチチャネルコネクタの外側に結合され、マルチチャネルコネクタに連通する底部を有する。
【0010】
一態様において、呼吸管の内部には、吸気管路とは独立した排気管路がさらに形成され、排気経路は、排気管路と排気管との間に形成された排気トンネルをさらに備え、これにより、使用者が吐き出した汚れた空気が、マルチチャネルコネクタから、排気管、排気トンネル、及び、排気管路を順に介して、外部に排出される。本体の周囲に沿って延びる排気トンネルは、防水スカートとレンズの内面とによって共同で画定される。排気管は、排気トンネルに連通する頂部を有する。
【0011】
一例では、吸気一方向弁は、仕切り上に配置され、吸気経路は、上部チャンバと吸気一方向弁とによって画定されている。
【0012】
一例では、本体は、底部排気一方向弁をさらに備え、前記底部排気一方向弁は、排気管がマルチチャネルコネクタと結合される領域内に配置され、排気経路は、底部排気一方向弁、排気管、及び排気トンネルによって画定される。
【0013】
一例では、排気管は、呼吸管の外側と本体の周囲に沿って上方に延びている。
【0014】
別の態様では、本体は、排気管の頂部に配置された頂部排気一方向弁をさらに備え、吸気一方向弁は、仕切り上に配置される。吸気経路は、上部チャンバ及び吸気一方向弁によって画定され、排気経路は、頂部排気一方向弁及び排気管によって画定される。
【0015】
一例では、本体は、底部排気一方向弁をさらに備え、前記底部排気一方向弁は、排気管がマルチチャネルコネクタと結合される領域内に配置され、排気経路は、頂部排気一方向弁、排気管、及び底部排気一方向弁によって画定される。
【0016】
一例では、呼吸用マスクは、呼吸管に沿って排気管を支持する留め具をさらに備える。
【0017】
上記態様のいずれにおいても、マルチチャネルコネクタは、それぞれ互いに流体連通する鼻接続部、口接続部、及び排水部を備え、鼻接続部は、下部チャンバに流体連通し、口接続部は、使用者の口腔内に収容されるマウスピースを備え、排水部には、本体内に溜まった水を排水するための排水弁が設けられている。
【0018】
上記の態様のいずれにおいても、本体は、鼻口一方向弁をさらに備え、前記鼻口一方向弁は、鼻接続部が下部チャンバと流体連通する領域内に配置され、これにより、下部チャンバから鼻口一方向弁を介して鼻接続部に向かった一方向のみに、流体が入ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る呼吸用マスクの正面模式図である。
【
図1C】
図1Cは、
図1Aの1C-1C線に沿った背面斜視図であり、使用者が吸入したときの新鮮な空気の吸入気流を示す。
【
図1D】
図1Dは、
図1Cの正面斜視図であり、使用者が呼気を吐き出すときの汚れた空気の排気気流を示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明の第2の実施形態に係る呼吸用マスクの正面模式図である。
【
図2C】
図2Cは、
図2Aの2C-2C線に沿った背面斜視図であり、使用者が吸入したときの新鮮な空気の吸入気流を示す。
【
図2D】
図2Dは、
図2Cの正面斜視図であり、使用者が呼気を吐き出すときの汚れた空気の排気気流を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
なお、以下の実施形態の説明は、本発明の内容を説明するに過ぎず、請求の範囲に本発明を限定するものではないことを了解されたい。マスクを使用者の頭部に固定するヘッドストラップなど、本発明に直接関係しない要素については説明を省略し、図面中の全ての要素について描かれているような寸法は、理解を容易にするためのものであり、実際の縮尺を限定するものではない。
【0021】
本発明の呼吸用マスクは、主に、使用者の目と鼻を覆うマスク本体の底部から外側に延びるマルチチャネルコネクタを有する。マルチチャネルコネクタのチャネルの1つは、鼻を覆うマスク本体の下部チャンバに接続されている。マルチチャネルコネクタのチャネルのもう1つには、排水弁が設けられている。さらにマルチチャネルコネクタのチャネルのさらに1つは、使用者の口に収容されるマウスピースで接続される。さらに、マルチチャネルコネクタは、好ましくは、その両側にそれぞれ2つの対称な排気管をさらに設け、そのような2つの対称な排気管は、マルチチャネルコネクタと直接連通する。2本の排気管は、使用者が吐き出した汚れた空気を2本の排気管を通して外部に排出できるように、呼吸用マスクの排気路の少なくとも一部を形成し、排気の信頼性を向上させる。本発明の内容を、以下の2つの異なる実施形態を通して説明する。
【0022】
本発明の第1の実施形態を
図1A乃至
図1Dに示す。
図1Aは、本発明の呼吸用マスク1の正面模式図である。
図1Bは、呼吸用マスク1の背面分解図である。呼吸用マスク1は、主に、呼吸管11と本体13とを備える。また、
図1Cは呼吸用マスク1の背面図を、
図1Dは呼吸用マスク1の正面図を示しており、いずれも呼吸管11の横断面を示している。
【0023】
呼吸管11は、上端部11aと、上端部11aの反対に位置する下端部11bとを有する。呼吸管11は、さらに、吸気管路112と2つの排気管路114とに長手方向に画定された内部を有する。種々の形態によっては、呼吸管の内部に1本の排気管路のみを形成し、吸気管路と排気管路とを左右配置又は前後配置に長手方向に仕切ってもよい。上端部11aにより、使用者が吸入したときに新鮮な空気を流入させて、吸気管路112に沿って下端部11bに流れることができるよう、吸気口102を有する。
【0024】
好ましくは、本発明の呼吸管は、上端部が水面上の外部との空気交換が可能で、水面下の外部との空気交換を遮断できるドライトップ型呼吸管(すなわち、
図1Aに示すような呼吸管11)である。しかし、実際、呼吸管は、その形態に限定されず、また、身体に対する相対的な位置にも限定されない。
【0025】
本体13は、本体13の内部が呼吸管11と流体連通するように、呼吸管11の下端部11bに連結されている。本体13は、主に、メインフレーム13a、レンズ13b、防水スカート13c、及びマルチチャネルコネクタ13dを備えている。レンズ13bは、メインフレーム13a内に埋め込まれている。レンズ13bは、左右に連結された1枚のレンズに限らない。左右に配置された2つの独立したレンズとしても実現可能である。
【0026】
防水スカート13cは、メインフレーム13a及びレンズ13bに埋め込まれた前部13cfと、使用者の顔に好適にフィットするように構成された後部13crと、を有する。防水スカート13cは、仕切り13c1を有する。仕切り13c1は、本体13の内部を上部チャンバ202と下部チャンバ204とに仕切るために設けられている。使用者が固定装置(例えば、図示しない弾性ヘッドストラップ)を介して呼吸用マスク1を装着すると、仕切り13c1は使用者の鼻の上に載置され、使用者の目及び鼻は、それぞれ上部チャンバ202及び下部チャンバ204に好適に収容される。実際には、鼻を覆う防水スカート13cの領域は、使用者が鼻の上で均等に載置するための機能(「フレンゼル法による圧均衡化」と呼ばれる操作など)のため鼻を挟むことができるように、柔らかい材料で作ってもよい。
【0027】
マルチチャネルコネクタ13dは、上端13d1と下端13d2とを有する。上端13d1は、防水スカート13cに結合され、下部チャンバ204と流体連通している。なお、マルチチャネルコネクタ13dと防水スカート13cは、一体に形成されていてもよいし、組み付けた後にかなりの水密性を有するものであれば、別個の部品として形成されてもよい。また、本体13は、マルチチャネルコネクタ13dの下端13d2に配置される排水弁13fをさらに備えていてもよい。マルチチャネルコネクタ13dの内容積は十分に小さいため、使用者が口から大きく息を吐き出す際に発生する圧力は、マスク本体13に溜まった水を、排水弁13fを通してより容易に排出させるのに十分である。
【0028】
本体13は、吸気経路と排気経路とをさらに備える。吸気経路は、呼吸管11の下端部11bと下部チャンバ204との間に形成され、吸入された空気が吸気経路を一方向に通過して下部チャンバ204に進入できるように、隔壁13c1に対称に設けられた2つの吸気一方向弁13eが設けられていることが好ましい。この態様において、吸気経路は、上部チャンバ202及び吸気一方向弁13eによって画定される。使用者が鼻から吸入すると、呼吸管11の吸気管路112から上部チャンバ202に新鮮な空気が入り、その後、吸気一方向弁13eを通って下部チャンバ204に入り、使用者の鼻に供給されて吸入される。吸気経路は、
図1Cの実線に示す気流で参照される。なお、吸気一方向弁13eは、使用者が吐き出す汚れた空気が下部チャンバ204から上部チャンバ202に逆流しないように、吸排気の入換をより完全にするために設けられている。これにより、上部チャンバ202に対して位置決めされたレンズ13bが曇らないようにする。但し、吸気一方向弁13eは任意である。
【0029】
一方、排気経路は、主として、2つの排気管路114及び2つの排気管13gの間にそれぞれ配置された、2つの排気管13gと2つの排気トンネル132とを含む。2本の排気管13gは、本体13の左右両側に対称に配置されている。両側の排気管13gの頂部13gtは、それぞれ側の排気トンネル132に連通している。両側の排気管13gの底部13gbは、マルチチャネルコネクタ13dの外側に結合され、マルチチャネルコネクタ13dに連通している。本体13の周囲に沿って延びる各排気トンネル132は、防水スカート13cとレンズ13bの内面とによって共同で画定されてもよい。このようにして、使用者によって吐き出された汚れた空気は、マルチチャネルコネクタ13dから本体13の周囲に沿って一方向上方を通過し、具体的には排気管13g及び排気トンネル132を順番に通過し、排気管路114を通って外側に排出される。排気経路は、
図1Dの点線に示す気流で参照される。
【0030】
同様に、種々の形態に応じて、排気経路は、単一の排気管及び単一の排気トンネルのみを含んでもよい。すなわち、排気管及び排気トンネルの数及び配置は、
図1A乃至
図1Dに示される態様に限定されない。
【0031】
マルチチャネルコネクタ13dは、それぞれ互いに流体連通する鼻接続部13dn、口接続部13dm、及び排水部13dwを有する。鼻接続部13dnは、下部チャンバ204に流体連通している。鼻接続部13dnは、可撓性を有していてもよく、曲げたり変形させたりすることが可能であり、これにより、使用者が装用した際、呼吸用マスク1が様々な顔の形状により適応可能となる。加えて、本体13は、鼻接続部13dnが下部チャンバ204と流体連通している領域内に配置された鼻口一方向弁13iをさらに含んでもよい(例えば、鼻接続部13dnの上方の領域内に配置されていてもよい)。これにより、流体が、下部チャンバ204から一方向に流れることのみを可能にする鼻口一方向弁13iを介して鼻接続部13dnに進入し、吐き出された汚れた空気が下部チャンバ204に逆流することを防止する。なお、鼻口一方向弁13iは、鼻接続部13dnの上方に配置されることに限らず、鼻口一方向弁13iが、鼻接続部13dn内の流体が下部チャンバ204に逆流しないように配置される位置であれば、全て実現可能である。同様に、鼻口一方向弁13iの配置は任意である。
【0032】
さらに、口接続部13dmには、使用者の口腔内に収容するマウスピース13dpが設けられている。シュノーケリングの際、マウスピース13dpを使用者の口腔内に収納することができるため、呼吸用マスクの着用安定性が向上し、鼻だけでなく口からも息を吸ったり吐いたりすることができる。例えば、使用者が口から息を吸い込むと、新鮮な空気は、下部チャンバ204から鼻口一方向弁13iを通過し、マルチチャネルコネクタ13dに入り、その後、口接続部13dmを通過して、マウスピース13dpを介して使用者の口腔に供給される。
【0033】
また、本体13は、排気経路に滞留する汚れた空気がマルチチャネルコネクタ13dに逆流し、次の呼吸サイクルで吸入した新鮮な空気を汚染するのを防ぐために、底部排気一方向弁13hをさらに備えていてもよい。底部排気一方向弁13hは、各排気管13gがマルチチャネルコネクタ13dに結合される領域内に配置される。この態様において、排気経路は、底部排気一方向弁13h、排気管13g、及び排気トンネル132によって画定される。底部排気一方向弁13hは、排気管13gとマルチチャネルコネクタ13dとが結合される領域内に配置されることが好ましいが、これに限定されるものではない。排気経路内の汚れた空気がマルチチャネルコネクタ13dに逆流しないよう、底部排気一方向弁13hが配置される位置であれば、任意の位置が全て実現可能である。同様に、底部排気一方向弁13hの配置は任意である。
【0034】
排水部13dwには、本体13内に溜まった水を排水するための排水弁13fが設けられている。マルチチャネルコネクタ13dの内容積は制限されており、鼻を覆う下部チャンバ204から隔離されている。そのため、このような配置とすることで、圧力を上昇させることができ、使用者が口から大きく息を吐くときに、溜まった水を容易に排出することができる。
【0035】
さらに、使用者が鼻から息を吐くと、汚れた空気の一部は、まず鼻口一方向弁13iを通過し、マルチチャネルコネクタ13dに入り、下部排気一方向弁13hを通過して排気管13gに入り、排気トンネル132を通って上方に走り、呼吸管11の排気管路114に入る。その後、外部に排出される。さらに、汚れた空気の一部は、排水部13dwの排水弁13fを下方に通過することができ、マルチチャネルコネクタ13d内に溜まった水とともに外部に排出される。
【0036】
同様に、使用者が口から息を吐くと、汚れた空気の一部は、マルチチャネルコネクタ13dに入り、底部排気一方向弁13hを通過して排気管13gに入り、排気トンネル132を通って上方に走り、呼吸管11の排気管路114に入る。その後、外部に排出される。同様に、汚れた空気の一部は、排水部13dwの排水弁13fを下方に通過し、マルチチャネルコネクタ13d内に溜まった水とともに外部に排出される。
【0037】
代替実施形態では、マルチチャネルコネクタ13dは、口接続部13dmを有していなくてもよい。すなわち、マルチチャネルコネクタ13dは、下部チャンバ204と排気管13gとを連通させて、使用者の鼻から吐き出された汚れた空気を排気管13g及び排気トンネル132に通過させた後、呼吸管11の排気管路114を通って外部に排出させる、いわゆる双方向コネクタとなる。使用者が鼻から大きく息を吐くと、汚れた空気を、排水部13dwの排水弁13fから排水とともにある程度排出することができる。代替的には、排水部13dwを2つのチャネルに分岐させることも可能である。つまり、マルチチャネルコネクタ13dのチャネル数は制限されるものではない。軽量化、製造コスト、機能の追加・削減など、さまざまなニーズに応じて設計・調整され得る。
【0038】
本発明の第2の実施形態を
図2A乃至
図2Dに示す。
図2Aは、本発明の呼吸用マスク3の概略図である。
図2Bは、呼吸用マスク3の背面分解図である。呼吸用マスク3は、主に、呼吸管31と本体33とを備えている。また、
図2Cは呼吸用マスク3の背面図を、
図2Dは呼吸用マスク3の正面図を示しており、いずれも呼吸管31の横断面を示している。
【0039】
呼吸管31は、上端部31aと、上端部31aの反対に位置する下端部31bとを有する。本実施形態では、呼吸管31は、内部に吸気管路112を1つだけ設けて形成すればよい。上端部31aは、使用者によって吸入された新鮮な空気を流入させて、吸気管路312に沿って下端部31bに流れることができるよう、吸気口302を有する。
【0040】
本体33は、本体33の内部が呼吸管31と流体連通するように、呼吸管31の下端部31bに連結されている。本体33は、主に、メインフレーム33a、レンズ33b、防水スカート33c、及びマルチチャネルコネクタ33dを備えている。レンズ33bは、メインフレーム33a内に埋め込まれている。レンズ33bは、左右に連結された1枚のレンズに限らない。左右2本の独立したレンズとしても実現可能である。
【0041】
防水スカート33cは、メインフレーム33a及びレンズ33bに埋め込まれた前部33cfと、使用者の顔に好適にフィットするように構成された後部33crと、を有する。防水スカート33cは、仕切り33c1を有する。仕切り33c1は、本体33の内部を上部チャンバ402と下部チャンバ404とに仕切るために設けられている。使用者が固定装置(例えば、図示しない弾性ヘッドストラップ)を介して呼吸用マスク3を装着すると、仕切り33c1は、使用者の鼻の上に載置され、使用者の目及び鼻は、それぞれ上部チャンバ402及び下部チャンバ404に好適に収容される。実際には、鼻を覆う防水スカート33cの領域は、使用者が鼻の上で均等に載置するための機能(「フレンゼル法による圧均衡化」と呼ばれる操作など)のため鼻を挟むことができるように、柔らかい材料で作ってもよい。
【0042】
マルチチャネルコネクタ33dは、上端33d1と下端33d2とを有する。上端33d1は、防水スカート33cに結合され、下部チャンバ404と流体連通している。なお、マルチチャネルコネクタ33dと防水スカート33cは、一体に形成されていてもよいし、組み付けた後にかなりの水密性を有するものであれば、別個の部品として形成されてもよい。また、本体33は、マルチチャネルコネクタ33dの下端33d2に配置される排水弁33fをさらに備えていてもよい。マルチチャネルコネクタ33dの内容積は十分に小さいため、使用者が口から大きく息を吐き出す際に発生する圧力は、マスク本体33に溜まった水を、排水弁33fを通してより容易に排出するのに十分である。
【0043】
本体33は、吸気経路と排気経路とをさらに有する。吸気経路は、呼吸管31の下端部31bと下部チャンバ404との間に形成され、吸入された空気が吸気経路を一方向に通過して下部チャンバ404に進入できるように、隔壁33c1に対称に設けられた2つの吸気一方向弁33eが設けられていることが好ましい。この態様において、吸気経路は、上部チャンバ402及び吸気一方向弁33eによって画定される。使用者が鼻から吸入すると、呼吸管31の吸気管路312から上部チャンバ402に新鮮な空気が入り、その後、吸気一方向弁33eを通って下部チャンバ404に入り、使用者の鼻に供給されて吸入される。吸気経路は、
図2Cの実線に示す気流で参照される。なお、吸気一方向弁33eは、使用者が吐き出す汚れた空気が下部チャンバ404から上部チャンバ402に逆流しないように、吸排気の入換をより完全にするために設けられている。これにより、上部チャンバ402に対して位置決めされたレンズ33bが曇らないようにする。但し、吸気一方向弁33eは任意である。
【0044】
第1の実施形態の呼吸用マスク1と異なり、本実施形態の呼吸用マスク3の排気路は、主に2本の排気管33gで構成されている。排気管33gは、本体33の左右両側に対称に配置され、本体33の周囲及び呼吸管31の外側に沿って上方に延びている。呼吸用マスク3は、呼吸管31に沿って排気管33gを支持するために、任意の形態の留め具を装備することができる。例えば、
図2Aに示すように、排気管33gは、ファスナー37(例えば、対称的なスナップ)によって呼吸管31の外側に支持され得る。
【0045】
また、
図2Aから、本体33の周囲から延びる各排気管33gの一部もメインフレーム33aで支えることができるため、排気管33gを本体33の両側にうまく組み付けることができる。したがって、ファスナー37により、排気管33gと呼吸管31との外部接続をさらに設けて、排気管33gをより安定させ、シュノーケリング中の水流による揺れによる使用者への不快感を避けるため目的において使用される。但し、締結具37は任意であり、
図2Aに示すような位置に配置する必要はなく、他の位置であってもよい。
【0046】
両側の排気管33gの底部33gbは、マルチチャネルコネクタ33dの外側に結合され、マルチチャネルコネクタ33dに連通している。また、本体33は、さらに、各排気管33gの頂部33gtに配置された頂部排気一方向弁33h1を備えている。また、頂部33gtは、各排気管33gのカバーを兼ね、頂部排気一方向弁33h1を固定するためのシート35を有していてもよい。この態様において、排気経路は、頂部排気一方向弁33h1と排気管33gとによって画定される。このようにして、使用者が吐き出した汚れた空気は、マルチチャネルコネクタ33dから排気管33gを上方に通過し、頂部排気一方向弁33h1を介して直接外側に排出される。排気経路は、
図2Dの点線に示す気流で参照される。
【0047】
本実施形態における呼吸管31の吸気方法は、第1の実施形態の呼吸管11のものから変更されておらず、呼吸管31は吸気機能のみを担い、排気機構を収容する役割は果たさなくなった。このようにして、呼吸管31が純粋な吸入管となり、吸入風量を自然に増加させたり、呼吸管を従来の呼吸管よりも細く設計したりすることで、呼吸用マスク全体を軽量化することができる。
【0048】
同様に、種々の実装に応じて、排気経路は、単一の排気管のみを含んでもよい。すなわち、排気管の数及び配置は、
図2A乃至
図2Dに示される態様に限定されない。
【0049】
マルチチャネルコネクタ33dは、それぞれ互いに流体連通する鼻接続部33dn、口接続部33dm、及び水切り部33dwを有する。鼻接続部33dnは、下部チャンバ404に流体連通している。鼻接続部33dnは、可撓性を有していてもよく、曲げたり変形させたりすることが可能であり、これにより、使用者が装用した際に、呼吸用マスク3が様々な顔の形状により適応可能となる。加えて、本体33は、鼻接続部33dnが下部チャンバ404と流体連通している領域内に配置された鼻口一方向弁33iをさらに含んでもよい(例えば、鼻接続部33dnの上の領域内に配置されていてもよい)。これにより、流体が下部チャンバ404から一方向に流れることのみを可能にする鼻口一方向弁33iを介して鼻接続部33dnに進入し、吐き出された汚れた空気が下部チャンバ404に逆流するのを防止する。なお、鼻口一方向弁33iは、鼻接続部33dnの上方に配置されることに限らず、鼻口一方向弁33iが、鼻接続部33dn内の流体が下部チャンバ404に逆流しないように配置される位置であれば、全て実現可能である。同様に、鼻口一方向弁33iの配置は任意である。
【0050】
さらに、口接続部33dmには、使用者の口腔内に収容するマウスピース33dpが設けられている。シュノーケリングの際、マウスピース33dpを使用者の口腔内に収容することができるため、呼吸用マスクの着用安定性が向上し、鼻だけでなく口からも息を吸ったり吐いたりすることができる。例えば、使用者が口から息を吸い込むと、新鮮な空気は、下部チャンバ404から鼻口一方向弁33iを通過し、マルチチャネルコネクタ33dに入り、その後、口接続部33dmを通過して、マウスピース33dpを介して使用者の口に供給される。
【0051】
また、本体33は、排気経路に滞留する汚れた空気がマルチチャネルコネクタ33dに逆流し、次の呼吸サイクルで吸入した新鮮な空気を汚染するのを防ぐために、底部排気一方向弁33h2をさらに備えていてもよい。底部排気一方向弁33h2は、各排気管33gがマルチチャネルコネクタ33dに結合される領域内に配置される。この態様において、排気経路は、頂部排気一方向弁33h1、排気管33g、及び下部排気一方向弁33h2によって画定される。底部排気一方向弁33h2は、排気管33gとマルチチャネルコネクタ33dとが結合される領域内に配置されることが好ましいが、これに限定されるものではない。排気経路内の汚れた空気がマルチチャネルコネクタ33dに逆流しないように、底部排気一方向弁33h2が配置される位置であれば、任意の位置が全て実現可能である。同様に、底部排気一方向弁33h2の配置は任意である。
【0052】
排水部33dwには、本体33内に溜まった水を排水するための排水弁33fが設けられている。マルチチャネルコネクタ33dの内容積は制限されており、鼻を覆う下部チャンバ404から隔離されている。そのため、圧力を上昇させることができ、使用者が口から大きく息を吐くときに、溜まった水を容易に排出することができる。
【0053】
さらに、使用者が鼻から息を吐くと、汚れた空気の一部は、まず鼻口一方向弁33iを通過し、マルチチャネルコネクタ33dに入り、下部排気一方向弁33h2を通過して排気管33gに入り、上方に走って頂部排気一方向弁33h1を介して、直接外部に排出される。さらに、汚れた空気の一部は、排水部33dwの排水弁33fを下方に通過し、マルチチャネルコネクタ33d内に溜まった水とともに外部に排出される。
【0054】
同様に、使用者が口から息を吐くと、汚れた空気の一部は、マルチチャネルコネクタ33dに入り、下部排気一方向弁33h2を通過して排気管33gに入り、上方に走って頂部排気一方向弁33h1を介して、直接外部に排出される。同様に、汚れた空気の一部は、排水部33dwの排水弁33fを下方に通過し、マルチチャネルコネクタ33d内に溜まった水とともに外部に排出される。
【0055】
代替実施形態では、マルチチャネルコネクタ33dは、口接続部33dmを有していなくてもよい。すなわち、マルチチャネルコネクタ33dは、下部チャンバ404と排気管33gとを連通させて、使用者の鼻から吐き出された汚れた空気を排気管33gに通過させ、頂部排気一方向弁33h1を介して直接外部に排出させる、いわゆる双方向コネクタとなる。使用者が鼻から大きく息を吐くと、汚れた空気を、排水部33dwの排水弁33fから排水とともにある程度排出することができる。代替的には、排水部33dwを2つのチャネルに分岐させることも可能である。つまり、マルチチャネルコネクタ33dのチャネル数は制限されるものではない。軽量化、製造コスト、機能の追加・削減など、さまざまなニーズに応じて設計・調整され得る。
【0056】
上述した種々の一方向弁(すなわち、吸気逆止弁、排気一方向弁、及び、鼻口一方向弁)は、一方向流体伝達を提供できるという条件で、マッシュルーム型(円形)、ピボット型(多くは長方形)、又は他の形状の弁装置であってもよく、いかなる形態にも限定されない。
【0057】
つまり、本発明は、使用者の目及び鼻を覆う呼吸用マスクを提供する。ここで、マルチチャネルコネクタは、マスク本体の下方に設けられ、鼻を覆うマスク本体の下部チャンバに連通する。マルチチャネルコネクタは、防水スカートと同じ材料(例えば、シリコンゴム)からなり得る。したがって、マルチチャネルコネクタと防水スカートは別体とすることも、一体化することもできる。メインフレーム、レンズ、防水スカートが互いにしっかりとフィットし、優れた水密性を維持するような構造となっているが、マルチチャネルコネクタの配置は、こうした元の構造に影響を及ぼすことはない。
【0058】
また、マルチチャネルコネクタのチャネルの1つに、マスク内に水を溜め、鼻孔から水を遠ざけ、排水弁を介して溜まった水を効果的に排出するための排水弁を設けてもよい。さらに、マルチチャネルコネクタのチャネルのさらに1つは、使用者の口が収容するためのマウスピースに接続されていてもよい。それにより、呼吸用マスクの着用の安定性が向上し、使用者が鼻からだけでなく、口からも呼吸ができるようになる。
【0059】
マルチチャネルコネクタは、その両側にそれぞれ2つの対称な排気管を設けてもよく、そのような2つの対称的な排気管は、マルチチャネルコネクタと直接連通する。2本の排気管は、使用者が吐き出した汚れた空気を2本の排気管を通して外部に排出できるように、呼吸用マスクの排気路の少なくとも一部を形成し、排気の信頼性を向上させる。一形態では、2つの排気管は、呼吸管から完全に独立しており、マスク本体の2つの外側に組み立てられている。このようにして、呼吸管は純粋な吸入管となり、吸気経路を構成することのみを担当し、排気経路の提供を行わない。排気機構を収容する必要がないため、呼吸管は吸入風量を増やしたり、従来の呼吸管よりも細く設計したりすることで、通気マスクの総重量を軽くし、呼吸管上部の形状設計をより柔軟かつ可変的にすることができる。
【0060】
上記の実施形態は、本発明の実施例を例示し、その技術的特徴を説明するためにのみ使用され、その範囲を限定するために用いられるものではない。当業者が容易に実現できる変更又は同等の配置(例えば、吸気経路の数、排気経路の数等)は、本発明に該当すると考えられ、本発明の範囲は、特許出願の特許請求の範囲によって限定されるべきである。例えば、吸気経路に含まれる吸気弁の数や、排気経路に含まれる排気弁、排気管、排気トンネル等の数は、明瞭化のために特許請求の範囲に記載の「1つ」の数量だけに限定されるべきではない。
【外国語明細書】