(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103472
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ユーザ機器の過渡期間への準拠を確立するためのエラーベクトル振幅除外期間
(51)【国際特許分類】
H04B 17/17 20150101AFI20240725BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20240725BHJP
【FI】
H04B17/17
H04W88/02 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】62
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006556
(22)【出願日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】63/480,756
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サージ・フランソワ・ドロギ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・ミシェル・イブ・ブルネル
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067GG01
5K067LL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エラーベクトル振幅(EVM:ErrorVectorMagnitude)除外期間を試験するための装置および方法を提供する。
【解決手段】方法は、モバイルデバイスの送信チェーンを使用して第1のリソースブロック割り当てを有する第1のシンボルを送信することと、送信チェーンを使用して第1のリソースブロック割り当てとは異なる第2のリソースブロック割り当てを有する第2のシンボルを送信することとを含む。第1のシンボル及び第2のシンボルは、過渡期間によって分離された電力過渡を有する。方法はさらに、モバイルデバイスが第1のシンボル及び第2のシンボルを含むシンボルシーケンスを送信しているときに、第1のエラーベクトル振幅測定及び第2のエラーベクトル振幅測定を取得することに基づいて、モバイルデバイスを過渡期間仕様に準拠させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第5世代セルラユーザ機器を試験する方法であって、
モバイルデバイスの送信チェーンを使用して、第1のリソースブロック割り当てを用いて第1のシンボルを送信することと、
前記送信チェーンを使用して、前記第1のリソースブロック割り当てとは異なる第2のリソースブロック割り当てを用いて第2のシンボルを送信することであって、前記第1のシンボルおよび前記第2のシンボルが、過渡期間によって分離された電力過渡を有する、第2のシンボルを送信することと、
前記モバイルデバイスが前記第1のシンボルおよび前記第2のシンボルを含むシンボルシーケンスを送信しているときに、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定を取得することに基づいて、前記モバイルデバイスが過渡期間仕様に準拠していることを確立することであって、前記第2のエラーベクトル振幅測定が、エラーベクトル測定除外期間だけ前記第1のエラーベクトル振幅測定から遅延している、確立することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のエラーベクトル振幅測定および前記第2のエラーベクトル振幅測定の最小値に基づいて、前記過渡期間仕様への準拠を確立することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記過渡期間が約2マイクロ秒であり、かつ前記第2のシンボルのサブキャリア間隔が約60キロヘルツである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
特定のテストケースに対して前記過渡期間を特定の値に設定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のシンボルの窓位置を前記シンボルシーケンスの巡回プレフィックスに設定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のシンボルが前記第2のシンボルよりも長い、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エラーベクトル測定除外期間が、前記第1のシンボルがまだ送信されているときに開始する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のシンボルのサブキャリア間隔が60キロヘルツ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シンボルシーケンスを、第5世代の周波数範囲1の周波数帯域にわたって送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記シンボルシーケンスを、第5世代の周波数範囲2の周波数帯域にわたって送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のシンボルのサブキャリア間隔が、60キロヘルツ、120キロヘルツ、480キロヘルツ、または960キロヘルツのうちの1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記過渡期間が、2マイクロ秒、1マイクロ秒、500ナノ秒、250ナノ秒、または125ナノ秒のうちの1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記エラーベクトル測定除外期間が前記過渡期間に実質的に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記エラーベクトル測定除外期間が前記過渡期間よりも短い、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
エラーベクトル振幅緩和に基づいて前記過渡期間仕様への準拠を確立することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のエラーベクトル振幅測定を取得することが、前記モバイルデバイスが前記第1のシンボルを送信しているときにキャプチャされたデータに対して第1の高速フーリエ変換を実行することを含み、かつ前記第2のエラーベクトル振幅測定を取得することが、前記モバイルデバイスが前記第2のシンボルを送信しているときにキャプチャされたデータに対して第2の高速フーリエ変換を実行することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のリソースブロック割り当ての前記第1のリソースブロック割り当てに対する比が、少なくとも20対1である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記モバイルデバイスの前記送信チェーンが、電力増幅器およびアンテナを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
自動試験機器を使用して実装される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のエラーベクトル振幅測定が第1の時間窓にわたって行われ、かつ前記第2のエラーベクトル振幅測定が第2の時間窓にわたって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
第5世代セルラユーザ機器を試験するための自動試験機器であって、
第1のリソースブロック割り当てを有する第1のシンボルおよび第2のリソースブロック割り当てを有する第2のシンボルを含むシンボルシーケンスをモバイルデバイスが送信したことに応答して、受信信号を生成するように構成された測定デバイスであって、前記第1のシンボルおよび前記第2のシンボルが過渡期間によって分離された電力過渡を有する、測定デバイスと、
前記モバイルデバイスが前記シンボルシーケンスを送信しているときに第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定を取得することに基づいて、前記モバイルデバイスが過渡期間仕様に準拠していることを確立するために前記受信信号を分析するように構成された信号分析器であって、前記第2のエラーベクトル振幅測定が、エラーベクトル測定除外期間だけ前記第1のエラーベクトル振幅測定から遅延している、信号分析器と
を備える、自動試験機器。
【請求項22】
前記信号分析器が、前記第1のエラーベクトル振幅測定および前記第2のエラーベクトル振幅測定の最小値の決定に基づいて準拠を確立するようにさらに構成される、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項23】
前記過渡期間が約2マイクロ秒であり、かつ前記第2のシンボルのサブキャリア間隔が約60キロヘルツである、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項24】
特定のテストケースに対して前記過渡期間を特定の値に設定するように構成されたシンボルスケジューラをさらに備える、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項25】
前記第1のシンボルの窓位置を、前記シンボルシーケンスの巡回プレフィックスに設定するように構成されたシンボルスケジューラをさらに備える、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項26】
前記第1のシンボルが前記第2のシンボルよりも長い、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項27】
前記エラーベクトル測定除外期間が、前記第1のシンボルがまだ送信されているときに開始する、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項28】
前記第2のシンボルのサブキャリア間隔が、60キロヘルツ以上である、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項29】
前記受信信号の周波数帯域が、第5世代の周波数範囲1内にある、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項30】
前記受信信号の周波数帯域が、第5世代の周波数範囲2内にある、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項31】
前記第2のシンボルのサブキャリア間隔が、60キロヘルツ、120キロヘルツ、480キロヘルツ、または960キロヘルツのうちの1つである、請求項30に記載の自動試験機器。
【請求項32】
前記過渡期間が、2マイクロ秒、1マイクロ秒、500ナノ秒、250ナノ秒、または125ナノ秒のうちの1つである、請求項30に記載の自動試験機器。
【請求項33】
前記エラーベクトル測定除外期間が前記過渡期間に実質的に等しい、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項34】
前記エラーベクトル測定除外期間が前記過渡期間よりも短い、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項35】
前記信号分析器が、エラーベクトル振幅緩和に基づいて準拠を確立するようにさらに構成される、請求項34に記載の自動試験機器。
【請求項36】
前記信号分析器が、前記モバイルデバイスが前記第1のシンボルを送信しているときに前記受信信号に対して第1の高速フーリエ変換を実行することによって前記第1のエラーベクトル振幅測定を取得し、かつ前記モバイルデバイスが前記第2のシンボルを送信しているときに前記受信信号に対して第2の高速フーリエ変換を実行することによって前記第2のエラーベクトル振幅測定を取得するようにさらに構成される、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項37】
前記第2のリソースブロック割り当ての前記第1のリソースブロック割り当てに対する比が、少なくとも20対1である、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項38】
前記モバイルデバイスを移動させるように構成されたハンドラをさらに備える、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項39】
前記シンボルシーケンスを送信するように前記モバイルデバイスを制御するように構成されたシンボルスケジューラをさらに備える、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項40】
前記第1のエラーベクトル振幅測定が第1の時間窓にわたって行われ、かつ前記第2のエラーベクトル振幅測定が第2の時間窓にわたって行われる、請求項21に記載の自動試験機器。
【請求項41】
モバイルデバイスの送信チェーンを使用して、第5世代の周波数範囲2の無線周波数信号を送信することであって、前記無線周波数信号が、過渡期間によって分離された電力過渡を有する第1のシンボルおよび第2のシンボルを含むシンボルシーケンスを含む、ことと、
前記モバイルデバイスが前記シンボルシーケンスを送信しているときに、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定を取得することに基づいて、前記モバイルデバイスが過渡期間仕様に準拠していることを確立することであって、前記第2のエラーベクトル振幅測定が、前記第1のエラーベクトル振幅測定からエラーベクトル測定除外期間だけ遅延し、前記第1のエラーベクトル振幅測定および前記第2のエラーベクトル振幅測定が、前記第1のシンボルと前記第2のシンボルとの間のシンボル境界にわたって対称的に共有される、ことと
を含む、第5世代セルラユーザ機器を試験する方法。
【請求項42】
前記第1のエラーベクトル振幅測定および前記第2のエラーベクトル振幅測定の最小値に基づいて、前記過渡期間仕様への準拠を確立することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のシンボルの窓位置を前記シンボルシーケンスの巡回プレフィックスに設定することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記第2のシンボルのサブキャリア間隔が、60キロヘルツ、120キロヘルツ、480キロヘルツ、または960キロヘルツのうちの1つである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記過渡期間が、1.7マイクロ秒、0.8マイクロ秒、0.6マイクロ秒、または0.5マイクロ秒のうちの1つである、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記エラーベクトル測定除外期間が前記過渡期間に実質的に等しい、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記第1のエラーベクトル振幅測定を取得することが、前記モバイルデバイスが前記第1のシンボルを送信しているときにキャプチャされたデータに対して第1の高速フーリエ変換を実行することを含み、かつ前記第2のエラーベクトル振幅測定を取得することが、前記モバイルデバイスが前記第2のシンボルを送信しているときにキャプチャされたデータに対して第2の高速フーリエ変換を実行することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記過渡期間仕様への準拠が、ただ2つの高速フーリエ変換を使用して確立される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記モバイルデバイスの前記送信チェーンが、電力増幅器と、前記無線周波数信号を送信するように構成されたアンテナとを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記第1のエラーベクトル振幅測定が第1の時間窓にわたって行われ、かつ前記第2のエラーベクトル振幅測定が第2の時間窓にわたって行われる、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
第5世代セルラユーザ機器を試験するための自動試験機器であって、
モバイルデバイスが第5世代の周波数範囲2で無線周波数信号を送信したことに応答して受信信号を生成するように構成された測定デバイスであって、前記無線周波数信号が、過渡期間によって分離された電力過渡を有する第1のシンボルおよび第2のシンボルを含むシンボルシーケンスを含む、測定デバイスと、
前記モバイルデバイスが前記シンボルシーケンスを送信しているときに、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定を取得することに基づいて、前記モバイルデバイスが過渡期間仕様に準拠していることを確立するために前記受信信号を分析するように構成された信号分析器であって、前記第2のエラーベクトル振幅測定が、エラーベクトル測定除外期間だけ前記第1のエラーベクトル振幅測定から遅延し、前記第1のエラーベクトル振幅測定および前記第2のエラーベクトル振幅測定が、前記第1のシンボルと前記第2のシンボルとの間のシンボル境界にわたって対称的に共有される、信号分析器と
を備える、自動試験機器。
【請求項52】
前記信号分析器が、前記第1のエラーベクトル振幅測定および前記第2のエラーベクトル振幅測定の最小値の決定に基づいて準拠を確立するようにさらに構成される、請求項51に記載の自動試験機器。
【請求項53】
特定のテストケースに対して前記過渡期間を特定の値に設定するように構成されたシンボルスケジューラをさらに備える、請求項51に記載の自動試験機器。
【請求項54】
前記第1のシンボルの窓位置を、前記シンボルシーケンスの巡回プレフィックスに設定するように構成されたシンボルスケジューラをさらに備える、請求項51に記載の自動試験機器。
【請求項55】
前記第2のシンボルのサブキャリア間隔が、60キロヘルツ、120キロヘルツ、480キロヘルツ、または960キロヘルツのうちの1つである、請求項51に記載の自動試験機器。
【請求項56】
前記過渡期間が、1.7マイクロ秒、0.8マイクロ秒、0.6マイクロ秒、または0.5マイクロ秒のうちのいずれかである、請求項51に記載の自動試験機器。
【請求項57】
前記エラーベクトル測定除外期間が前記過渡期間に実質的に等しい、請求項51に記載の自動試験機器。
【請求項58】
前記信号分析器が、前記モバイルデバイスが前記第1のシンボルを送信しているときに前記受信信号に対して第1の高速フーリエ変換を実行することによって前記第1のエラーベクトル振幅測定を取得し、かつ前記モバイルデバイスが前記第2のシンボルを送信しているときに前記受信信号に対して第2の高速フーリエ変換を実行することによって前記第2のエラーベクトル振幅測定を取得するようにさらに構成される、請求項51に記載の自動試験機器。
【請求項59】
前記過渡期間仕様への準拠が、ただ2つの高速フーリエ変換を使用して確立される、請求項58に記載の自動試験機器。
【請求項60】
前記モバイルデバイスを移動させるように構成されたハンドラをさらに備える、請求項51に記載の自動試験機器。
【請求項61】
前記シンボルシーケンスを送信するように前記モバイルデバイスを制御するように構成されたシンボルスケジューラをさらに備える、請求項51に記載の自動試験機器。
【請求項62】
前記第1のエラーベクトル振幅測定が第1の時間窓にわたって行われ、かつ前記第2のエラーベクトル振幅測定が第2の時間窓にわたって行われる、請求項51に記載の自動試験機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2023年1月20日に出願され、「ERROR VECTOR MAGNITUDE EXCLUSION PERIOD FOR ESTABLISHING COMPLIANCE OF USER EQUIPMENT WITH A TRANSIENT PERIOD」と題する、米国仮特許出願第63/480,756号の米国特許法第119条の下での優先権の利益を主張する。
【0002】
背景
分野
本発明の実施形態は、電子システムに関し、特に、無線周波数(RF:radio frequency)電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
無線周波数(RF)通信システムは、アンテナを使用してRF信号を無線通信する。
【0004】
RF通信システムの例には、携帯電話、タブレット、基地局、ネットワークアクセスポイント、ラップトップ、およびウェアラブル電子機器が含まれるが、これらに限定されない。RF信号は、約30kHz~300GHzの範囲、例えば、第5世代(5G)通信規格の周波数範囲1(FR1)の場合は約400MHz~約7.125GHzの範囲、または5G通信規格の周波数範囲2(FR2)の場合は約24.250GHz~約71.000GHzの範囲の周波数を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
特定の実施形態では、本開示は、第5世代セルラユーザ機器を試験する方法に関する。本方法は、モバイルデバイスの送信チェーンを使用して、第1のリソースブロック割り当てを用いて第1のシンボルを送信することと、送信チェーンを使用して、第1のリソースブロック割り当てとは異なる第2のリソースブロック割り当てを用いて第2のシンボルを送信することとを含む。第1のシンボルおよび第2のシンボルは、過渡期間によって分離された電力過渡を有する。本方法は、モバイルデバイスが第1のシンボルおよび第2のシンボルを含むシンボルシーケンスを送信しているときに、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定を取得することに基づいて、モバイルデバイスが過渡期間仕様に準拠していることを確立することをさらに含む。第2のエラーベクトル振幅測定は、エラーベクトル測定除外期間だけ第1のエラーベクトル振幅測定から遅延している。
【0006】
一部の実施形態では、本方法は、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定の最小値に基づいて、過渡期間仕様への準拠を確立することをさらに含む。
【0007】
様々な実施形態では、過渡期間は約2マイクロ秒であり、かつ第2のシンボルのサブキャリア間隔は約60キロヘルツである。
【0008】
いくつかの実施形態では、本方法は、特定のテストケースに対して過渡期間を特定の値に設定することをさらに含む。
【0009】
複数の実施形態では、本方法は、第1のシンボルの窓位置をシンボルシーケンスの巡回プレフィックスに設定することをさらに含む。
【0010】
一部の実施形態では、第1のシンボルは第2のシンボルよりも長い。
様々な実施形態では、エラーベクトル測定除外期間は、第1のシンボルがまだ送信されているときに開始する。
【0011】
いくつかの実施形態では、第2のシンボルのサブキャリア間隔は、60キロヘルツ以上である。
【0012】
一部の実施形態では、本方法は、シンボルシーケンスを、第5世代の周波数範囲1の周波数帯域にわたって送信することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、シンボルシーケンスを、第5世代の周波数範囲2の周波数帯域にわたって送信することをさらに含む。複数の実施形態によれば、第2のシンボルのサブキャリア間隔は、60キロヘルツ、120キロヘルツ、480キロヘルツ、または960キロヘルツのうちの1つである。様々な実施形態によれば、過渡期間は、2マイクロ秒、1マイクロ秒、500ナノ秒、250ナノ秒、または125ナノ秒のうちの1つである。
【0014】
一部の実施形態では、エラーベクトル測定除外期間は過渡期間に実質的に等しい。
いくつかの実施形態では、エラーベクトル測定除外期間は過渡期間よりも短い。複数の実施形態によれば、エラーベクトル振幅緩和に基づいて過渡期間仕様への準拠を確立する。
【0015】
様々な実施形態では、第1のエラーベクトル振幅測定を取得することは、モバイルデバイスが第1のシンボルを送信しているときにキャプチャされたデータに対して第1の高速フーリエ変換を実行することを含み、かつ第2のエラーベクトル振幅測定を取得することは、モバイルデバイスが第2のシンボルを送信しているときにキャプチャされたデータに対して第2の高速フーリエ変換を実行することを含む。
【0016】
複数の実施形態では、第2のリソースブロック割り当ての第1のリソースブロック割り当てに対する比は、少なくとも20対1である。
【0017】
いくつかの実施形態では、モバイルデバイスの送信チェーンは、電力増幅器およびアンテナを含む。
【0018】
様々な実施形態では、本方法は、自動試験機器を使用して実装される。
一部の実施形態では、第1のエラーベクトル振幅測定は第1の時間窓にわたって行われ、かつ第2のエラーベクトル振幅測定は第2の時間窓にわたって行われる。
【0019】
特定の実施形態では、本開示は、第5世代セルラユーザ機器を試験するための自動試験機器に関する。自動試験機器は、第1のリソースブロック割り当てを有する第1のシンボルおよび第2のリソースブロック割り当てを有する第2のシンボルを含むシンボルシーケンスをモバイルデバイスが送信したことに応答して、受信信号を生成するように構成された測定デバイスを含む。第1のシンボルおよび第2のシンボルは、過渡期間によって分離された電力過渡を有する。自動試験機器は、モバイルデバイスがシンボルシーケンスを送信しているときに第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定を取得することに基づいて、モバイルデバイスが過渡期間仕様に準拠していることを確立するために受信信号を分析するように構成された信号分析器をさらに含む。第2のエラーベクトル振幅測定は、エラーベクトル測定除外期間だけ第1のエラーベクトル振幅測定から遅延している。
【0020】
様々な実施形態では、信号分析器は、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定の最小値の決定に基づいて準拠を確立するようにさらに構成される。
【0021】
複数の実施形態では、過渡期間は約2マイクロ秒であり、かつ第2のシンボルのサブキャリア間隔は約60キロヘルツである。
【0022】
いくつかの実施形態では、自動試験機器は、特定のテストケースに対して過渡期間を特定の値に設定するように構成されたシンボルスケジューラをさらに含む。
【0023】
一部の実施形態では、自動試験機器は、第1のシンボルの窓位置を、シンボルシーケンスの巡回プレフィックスに設定するように構成されたシンボルスケジューラをさらに含む。
【0024】
様々な実施形態では、第1のシンボルは第2のシンボルよりも長い。
いくつかの実施形態では、エラーベクトル測定除外期間は、第1のシンボルがまだ送信されているときに開始する。
【0025】
一部の実施形態では、第2のシンボルのサブキャリア間隔は、60キロヘルツ以上である。
【0026】
様々な実施形態では、受信信号の周波数帯域は、第5世代の周波数範囲1内にある。
いくつかの実施形態では、受信信号の周波数帯域は、第5世代の周波数範囲2内にある。一部の実施形態によれば、第2のシンボルのサブキャリア間隔は、60キロヘルツ、120キロヘルツ、480キロヘルツ、または960キロヘルツのうちの1つである。1つ以上の実施形態によれば、過渡期間は、2マイクロ秒、1マイクロ秒、500ナノ秒、250ナノ秒、または125ナノ秒のうちの1つである。
【0027】
様々な実施形態では、エラーベクトル測定除外期間は過渡期間に実質的に等しい。
いくつかの実施形態では、エラーベクトル測定除外期間は過渡期間よりも短い。複数の実施形態では、信号分析器は、エラーベクトル振幅緩和に基づいて準拠を確立するようにさらに構成される。
【0028】
一部の実施形態では、信号分析器は、モバイルデバイスが第1のシンボルを送信しているときに受信信号に対して第1の高速フーリエ変換を実行することによって第1のエラーベクトル振幅測定を取得し、かつモバイルデバイスが第2のシンボルを送信しているときに受信信号に対して第2の高速フーリエ変換を実行することによって第2のエラーベクトル振幅測定を取得するようにさらに構成される。
【0029】
様々な実施形態では、第2のリソースブロック割り当ての第1のリソースブロック割り当てに対する比は、少なくとも20対1である。
【0030】
いくつかの実施形態では、自動試験機器は、モバイルデバイスを移動させるように構成されたハンドラをさらに含む。
【0031】
一部の実施形態では、自動試験機器は、シンボルシーケンスを送信するようにモバイルデバイスを制御するように構成されたシンボルスケジューラをさらに含む。
【0032】
様々な実施形態では、第1のエラーベクトル振幅測定が第1の時間窓にわたって行われ、かつ第2のエラーベクトル振幅測定が第2の時間窓にわたって行われる。
【0033】
特定の実施形態では、本開示は、第5世代セルラユーザ機器を試験する方法に関する。本方法は、モバイルデバイスの送信チェーンを使用して、第5世代の周波数範囲2の無線周波数信号を送信することを含み、無線周波数信号は、過渡期間によって分離された電力過渡を有する第1のシンボルおよび第2のシンボルを含むシンボルシーケンスを含む。本方法は、モバイルデバイスがシンボルシーケンスを送信しているときに、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定を取得することに基づいて、モバイルデバイスが過渡期間仕様に準拠していることを確立することを含み、かつ第2のエラーベクトル振幅測定は、第1のエラーベクトル振幅測定からエラーベクトル測定除外期間だけ遅延し、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定は、第1のシンボルと第2のシンボルとの間のシンボル境界にわたって対称的に共有される。
【0034】
一部の実施形態では、本方法は、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定の最小値に基づいて、過渡期間仕様への準拠を確立することをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のシンボルの窓位置をシンボルシーケンスの巡回プレフィックスに設定することをさらに含む。
【0036】
様々な実施形態によれば、第2のシンボルのサブキャリア間隔は、60キロヘルツ、120キロヘルツ、480キロヘルツ、または960キロヘルツのうちの1つである。
【0037】
一部の実施形態では、過渡期間は、1.7マイクロ秒、0.8マイクロ秒、0.6マイクロ秒、または0.5マイクロ秒のうちの1つである。
【0038】
いくつかの実施形態では、エラーベクトル測定除外期間は過渡期間に実質的に等しい。
一部の実施形態では、第1のエラーベクトル振幅測定を取得することは、モバイルデバイスが第1のシンボルを送信しているときにキャプチャされたデータに対して第1の高速フーリエ変換を実行することを含み、かつ第2のエラーベクトル振幅測定を取得することは、モバイルデバイスが第2のシンボルを送信しているときにキャプチャされたデータに対して第2の高速フーリエ変換を実行することを含む。複数の実施形態によれば、過渡期間仕様への準拠は、ただ2つの高速フーリエ変換を使用して確立される。
【0039】
いくつかの実施形態では、モバイルデバイスの送信チェーンは、電力増幅器と、無線周波数信号を送信するように構成されたアンテナとを含む。
【0040】
一部の実施形態では、第1のエラーベクトル振幅測定は第1の時間窓にわたって行われ、かつ第2のエラーベクトル振幅測定は第2の時間窓にわたって行われる。
【0041】
特定の実施形態では、本開示は、第5世代セルラユーザ機器を試験するための自動試験機器に関する。自動試験機器は、モバイルデバイスが第5世代の周波数範囲2で無線周波数信号を送信したことに応答して受信信号を生成するように構成された測定デバイスを含み、無線周波数信号は、過渡期間によって分離された電力過渡を有する第1のシンボルおよび第2のシンボルを含むシンボルシーケンスを含む。自動試験機器は、モバイルデバイスがシンボルシーケンスを送信しているときに第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定を取得することに基づいて、モバイルデバイスが過渡期間仕様に準拠していることを確立するために受信信号を分析するように構成された信号分析器をさらに含む。第2のエラーベクトル振幅測定は、エラーベクトル測定除外期間だけ第1のエラーベクトル振幅測定から遅延し、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定は、第1のシンボルと第2のシンボルとの間のシンボル境界にわたって対称的に共有される。
【0042】
一部の実施形態では、信号分析器は、第1のエラーベクトル振幅測定および第2のエラーベクトル振幅測定の最小値の決定に基づいて準拠を確立するようにさらに構成される。
【0043】
いくつかの実施形態では、自動試験機器は、特定のテストケースに対して過渡期間を特定の値に設定するように構成されたシンボルスケジューラをさらに含む。
【0044】
様々な実施形態では、自動試験機器は、第1のシンボルの窓位置を、シンボルシーケンスの巡回プレフィックスに設定するように構成されたシンボルスケジューラをさらに含む。
【0045】
複数の実施形態では、第2のシンボルのサブキャリア間隔は、60キロヘルツ、120キロヘルツ、480キロヘルツ、または960キロヘルツのうちの1つである。
【0046】
いくつかの実施形態では、過渡期間は、1.7マイクロ秒、0.8マイクロ秒、0.6マイクロ秒、または0.5マイクロ秒のうちの1つである。
【0047】
様々な実施形態では、エラーベクトル測定除外期間は過渡期間に実質的に等しい。
一部の実施形態では、信号分析器は、モバイルデバイスが第1のシンボルを送信しているときに受信信号に対して第1の高速フーリエ変換を実行することによって第1のエラーベクトル振幅測定を取得し、かつモバイルデバイスが第2のシンボルを送信しているときに受信信号に対して第2の高速フーリエ変換を実行することによって第2のエラーベクトル振幅測定を取得するようにさらに構成される。複数の実施形態によれば、過渡期間仕様への準拠は、ただ2つの高速フーリエ変換を使用して確立される。
【0048】
いくつかの実施形態では、自動試験機器は、モバイルデバイスを移動させるように構成されたハンドラをさらに含む。
【0049】
様々な実施形態では、自動試験機器は、シンボルシーケンスを送信するようにモバイルデバイスを制御するように構成されたシンボルスケジューラをさらに含む。
【0050】
一部の実施形態では、第1のエラーベクトル振幅測定は第1の時間窓にわたって行われ、かつ第2のエラーベクトル振幅測定は第2の時間窓にわたって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図2A】キャリアアグリゲーションを使用する通信リンクの一例の概略図である。
【
図2B】
図2Aの通信リンクのためのアップリンクキャリアアグリゲーションの様々な例を示す。
【
図2C】
図2Aの通信リンクのためのダウンリンクキャリアアグリゲーションの様々な例を示す。
【
図3A】多入力多出力(MIMO)通信を使用するダウンリンクチャネルの一例の概略図である。
【
図3B】MIMO通信を使用するアップリンクチャネルの一例の概略図である。
【
図3C】MIMO通信を使用するアップリンクチャネルの別の例の概略図である。
【
図4A】ビームフォーミングで動作する通信システムの一例の概略図である。
【
図4B】送信ビームを提供するためのビームフォーミングの一例の概略図である。
【
図4C】受信ビームを提供するためのビームフォーミングの一例の概略図である。
【
図5A】電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスの一例の概略図である。
【
図5B】電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスの別の例の概略図である。
【
図5C】様々な過渡期間およびサブキャリア間隔(SCS)値の試験シナリオの一例を示す。
【
図5D-1】電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスのエラーベクトル振幅(EVM)測定の第1の例の概略図である。
【
図5D-2】電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスのエラーベクトル振幅(EVM)測定の第1の例の概略図である。
【
図5E】電力過渡の開始およびSCS値の第1の例のEVM定義の表である。
【
図5F】電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスのEVM測定の第2の例の概略図である。
【
図5G】電力過渡の開始およびSCS値の第2の例のEVM定義の表である。
【
図5H】電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスのEVM測定の第3の例の概略図である。
【
図5I】電力過渡の開始およびSCS値の第3の例のEVM定義の表である。
【
図5J】過渡期間能力を検証するためのFR2 EVM測定FFTタイミングの一実施形態の概略図である。
【
図5K】FR2周波数帯域における電力過渡の開始およびSCS値の様々な例についてのEVM定義の一実施形態の表である。
【
図5L】過渡期間能力を検証するためのFR2 EVM測定FFTタイミングの別の実施形態の概略図である。
【
図5M】FR2周波数帯域における電力過渡の開始およびSCS値の様々な例についてのEVM定義の別の実施形態の表である。
【
図6】第5世代(5G)セルラユーザ機器(UE)の過渡期間仕様への準拠を試験するための試験機器の一実施形態の概略図である。
【
図7】モバイルデバイスの一実施形態の概略図である。
【
図8】一実施形態による電力増幅器システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
実施形態の詳細な説明
特定の実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な説明を提示する。しかしながら、本明細書に記載された技術革新は、例えば、特許請求の範囲によって定義および包含されるように、多数の異なる方法で具体化することができる。この説明では、同様の参照番号が同一または機能的に同様の要素を示すことができる図面を参照する。図面に示されている要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。さらに、特定の実施形態は、図面に示されているよりも多くの要素および/または図面に示されている要素のサブセットを含むことができることが理解されよう。さらに、一部の実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の適切な組み合わせを組み込むことができる。
【0053】
国際電気通信連合(International Telecommunication Union)(ITU)は、無線スペクトルの世界的な共通使用を含む、情報および通信技術に関する世界的な問題に責任を負う国際連合(UN)の専門機関である。
【0054】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))は、電波産業会(Association of Radio Industries and Businesses)(ARIB)、情報通信技術委員会(Telecommunications Technology Committee)(TTC)、中国通信標準化協会(China Communications Standards Association)(CCSA)、電気通信産業ソリューション連合(Alliance for Telecommunications Industry Solutions)(ATIS)、電気通信技術協会(Telecommunications Technology Association)(TTA)、欧州電気通信標準化機構(European Telecommunications Standards Institute)(ETSI)、およびインド電気通信標準化協会(Telecommunications Standards Development Society,India)(TSDSI)などの世界中の電気通信標準化団体の間の協働である。
【0055】
ITUの範囲内で動作して、3GPPは、例えば、第2世代(2G)技術(例えば、グローバル移動体通信システム(Global System for Mobile Communications)(GSM(登録商標))およびGSM(登録商標)エボリューションのための拡張データレート(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)(EDGE))、第3世代(3G)技術(例えば、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunications System)(UMTS)および高速パケットアクセス(HSPA))、および第4世代(4G)技術(例えば、ロングタームエボリューション(LTE)およびLTEアドバンスト)を含む様々な移動通信技術のための技術仕様を開発し維持する。
【0056】
3GPPによって制御される技術仕様は、仕様リリースによって拡張および改訂することができ、仕様リリースは、複数年に及ぶことができ、新しい特徴および進化の幅を指定することができる。
【0057】
一例では、3GPPは、リリース10において、LTEのためのキャリアアグリゲーション(CA)を導入した。当初は2つのダウンリンクキャリアで導入されていたが、リリース14では、3GPPは、最大5つのダウンリンクキャリアと最大3つのアップリンクキャリアとを含むようにキャリアアグリゲーションを拡張した。3GPPリリースによって提供される新しい機能および進化の他の例には、ライセンス支援アクセス(LAA)、拡張LAA(eLAA)、狭帯域モノのインターネット(NB-IOT)、車車間/路車間(Vehicle-to-Everything)(V2X)、および高出力ユーザ機器(HPUE)が含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
3GPPは、リリース15で第5世代(5G)技術のフェーズ1を導入し、リリース16で5G技術のフェーズ2を導入した。その後の3GPPリリースは、5G技術をさらに進化させ、拡張することになる。5G技術は、本明細書では5G新無線(NR)とも呼ばれる。
【0059】
5G NRは、ミリ波スペクトルによる通信、ビームフォーミング能力、高スペクトル効率波形、低レイテンシ通信、マルチ無線ヌメロロジ、および/または非直交多元接続(NOMA)などの様々な機能をサポートするか、サポートする予定である。そのようなRF機能は、ネットワークに柔軟性を提供し、ユーザデータレートを向上させるが、そのような機能をサポートすることは、いくつかの技術的課題を提起することができる。
【0060】
本明細書の教示は、LTEアドバンスト、LTEアドバンストプロ、および/または5G NRなどの高度なセルラ技術を使用する通信システムを含むがこれらに限定されない多種多様な通信システムに適用可能である。
【0061】
図1は、通信ネットワーク10の一例の概略図である。通信ネットワーク10は、マクロセル基地局1と、スモールセル基地局3と、第1のモバイルデバイス2a、無線接続された車両2b、ラップトップ2c、固定無線デバイス2d、無線接続された列車2e、第2のモバイルデバイス2f、および第3のモバイルデバイス2gを含むユーザ機器(UE)の様々な例とを含む。
【0062】
基地局およびユーザ機器の特定の例が
図1に示されているが、通信ネットワークは、多種多様なタイプおよび/または数の基地局およびユーザ機器を含むことができる。
【0063】
例えば、図示の例では、通信ネットワーク10は、マクロセル基地局1およびスモールセル基地局3を含む。スモールセル基地局3は、マクロセル基地局1と比較して、比較的低い電力、より短い範囲、および/またはより少ない同時ユーザで動作することができる。スモールセル基地局3は、フェムトセル、ピコセル、またはマイクロセルと呼ぶこともできる。通信ネットワーク10は、2つの基地局を含むものとして示されているが、通信ネットワーク10は、より多くのもしくはより少ない基地局および/または他のタイプの基地局を含むように実装することができる。
【0064】
ユーザ機器の様々な例が示されているが、本明細書の教示は、携帯電話、タブレット、ラップトップ、IoTデバイス、ウェアラブル電子機器、顧客構内設備(CPE)、無線接続された車両、無線中継機、および/または多種多様な他の通信デバイスを含むがこれらに限定されない多種多様なユーザ機器に適用可能である。さらに、ユーザ機器は、セルラネットワークで動作する現在利用可能な通信デバイスだけでなく、本明細書で説明および特許請求される本発明のシステム、プロセス、方法、およびデバイスで容易に実装可能な今後開発される通信デバイスも含む。
【0065】
図1の図示の通信ネットワーク10は、例えば4G LTEおよび5G NRを含む様々なセルラ技術を使用する通信をサポートする。特定の実装形態では、通信ネットワーク10は、WiFiなどの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を提供するようにさらに適合される。通信技術の様々な例が提供されているが、通信ネットワーク10は、多種多様な通信技術をサポートするように適合させることができる。
【0066】
通信ネットワーク10の様々な通信リンクが
図1に示されている。通信リンクは、例えば、周波数分割複信(FDD)および/または時分割複信(TDD)を使用することを含む、多種多様な方法で二重化することができる。FDDは、信号を送信および受信するために異なる周波数を使用する無線周波数通信の一種である。FDDは、高いデータレートおよび低いレイテンシなどの多くの利点を提供することができる。対照的に、TDDは、信号を送信および受信するためにほぼ同じ周波数を使用し、送信および受信通信が時間的に切り替えられる無線周波数通信の一種である。TDDは、スペクトルの効率的な使用、および送信方向と受信方向との間のスループットの可変割り当てのような多くの利点を提供することができる。
【0067】
特定の実装形態では、ユーザ機器は、4G LTE、5G NR、およびWiFi技術のうちの1つ以上を使用して基地局と通信することができる。特定の実装形態では、拡張ライセンス支援アクセス(eLAA)は、1つ以上のライセンス周波数キャリア(例えば、ライセンスされた4G LTE周波数および/または5G NR周波数)を、1つ以上の非ライセンスキャリア(例えば、ライセンスされていないWiFi周波数)と集約するために使用される。
【0068】
図1に示すように、通信リンクは、UEと基地局との間の通信リンクだけでなく、UE間通信および基地局間通信も含む。例えば、通信ネットワーク10は、セルフフロントホールおよび/またはセルフバックホール(例えば、モバイルデバイス2gとモバイルデバイス2fとの間)をサポートするように実装することができる。
【0069】
通信リンクは、多種多様な周波数にわたって動作することができる。特定の実装形態では、通信は、6ギガヘルツ(GHz)未満の1つ以上の周波数帯域にわたって、および/または6GHzより大きい1つ以上の周波数帯域にわたって、5G NR技術を使用してサポートされる。例えば、通信リンクは、周波数範囲1(FR1)、周波数範囲2(FR2)、またはそれらの組み合わせにサービスすることができる。一実施形態では、1つ以上のモバイルデバイスは、HPUE電力クラス仕様をサポートする。
【0070】
特定の実装形態では、基地局および/またはユーザ機器は、ビームフォーミングを使用して通信する。例えば、高信号周波数を介した通信に関連する高損失などの経路損失を克服するために、ビームフォーミングを使用して信号強度を集束させることができる。特定の実施形態では、1つ以上の携帯電話などのユーザ機器は、5G FR2を含むミリ波周波数帯域でビームフォーミングを使用して通信する。したがって、本明細書で使用される場合、ミリ波信号は、従来のミリ波(30GHz~300GHz)、および24GHz~30GHzの範囲のセンチメートル波周波数を含むことができる。セルラユーザ機器は、例えば、FR2-1(24GHz~52GHz)、FR2-2(52GHz~71GHz)、および/またはFR1(400MHz~7125MHz)を含む広範囲の周波数にわたって、ビームフォーミングおよび/または他の技術を使用して通信することができる。
【0071】
通信ネットワーク10の異なるユーザは、多種多様な方法で、利用可能な周波数スペクトルなどの利用可能なネットワークリソースを共有することができる。
【0072】
一例では、周波数分割多元接続(FDMA)は、周波数帯域を複数の周波数キャリアに分割するために使用される。さらに、1つ以上のキャリアが特定のユーザに割り当てられる。FDMAの例には、シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)および直交FDMA(OFDMA)が含まれるが、これらに限定されない。OFDMAは、利用可能な帯域幅を、異なるユーザに別々に割り当てることができる複数の相互に直交する狭帯域サブキャリアに細分するマルチキャリア技術である。
【0073】
共有アクセスの他の例には、周波数リソースを使用するための特定のタイムスロットがユーザに割り当てられる時分割多元接続(TDMA)、各ユーザに固有のコードを割り当てることによって周波数リソースが異なるユーザ間で共有されるコード分割多元接続(CDMA)、空間分割による共有アクセスを提供するためにビームフォーミングが使用される空間分割多元接続(SDMA)、および多元接続に電力領域が使用される非直交多元接続(NOMA)が含まれるが、これらに限定されない。例えば、NOMAを使用して、同じ周波数、時間、および/またはコードで複数のユーザにサービスすることができるが、電力レベルは異なる。
【0074】
拡張モバイルブロードバンド(eMBB)は、LTEネットワークのシステム容量を増大させるための技術を指す。例えば、eMBBは、少なくとも10Gbpsのピークデータレートおよび各ユーザについて最小100Mbpsを有する通信を指すことができる。超高信頼低レイテンシ通信(uRLLC)は、例えば2ミリ秒未満の非常に低いレイテンシで通信するための技術を指す。uRLLCは、自動運転および/または遠隔手術用途などのミッションクリティカルな通信に使用することができる。大規模機械型通信(mMTC)は、モノのインターネット(IoT)アプリケーションに関連するものなどの日常の物体への無線接続に関連する低コストおよび低データレートの通信を指す。
【0075】
図1の通信ネットワーク10は、eMBB、uRLLC、および/またはmMTCを含むがこれらに限定されない多種多様な高度な通信機能をサポートするために使用することができる。
【0076】
図2Aは、キャリアアグリゲーションを使用する通信リンクの一例の概略図である。キャリアアグリゲーションは、複数の周波数キャリアを介した通信をサポートすることによって通信リンクの帯域幅を広げるために使用することができ、それによって、断片化されたスペクトル割り当てを利用することによってユーザデータレートを増加させ、ネットワーク容量を向上させる。
【0077】
図示の例では、通信リンクは、基地局21とモバイルデバイス22との間に提供される。
図2Aに示すように、通信リンクは、基地局21からモバイルデバイス22へのRF通信に使用されるダウンリンクチャネルと、モバイルデバイス22から基地局21へのRF通信に使用されるアップリンクチャネルとを含む。
【0078】
図2Aは、FDD通信の文脈におけるキャリアアグリゲーションを示す、キャリアアグリゲーションは、TDD通信のためにも使用することができる。
【0079】
特定の実装形態では、通信リンクは、ダウンリンクチャネルおよびアップリンクチャネルに非対称データレートを提供することができる。例えば、通信リンクを使用して、比較的高いダウンリンクデータレートをサポートし、モバイルデバイスからクラウドにデータをアップロードするための比較的遅いデータレートを提供しながら、モバイルデバイスへのマルチメディアコンテンツの高速ストリーミングを可能にすることができる。
【0080】
図示された例では、基地局21およびモバイルデバイス22は、キャリアアグリゲーションを介して通信し、キャリアアグリゲーションは、通信リンクの帯域幅を選択的に増加させるために使用することができる。キャリアアグリゲーションは、同じ動作周波数帯域内の連続したキャリアが集約される連続したアグリゲーションを含む。キャリアアグリゲーションはまた、不連続であることができ、周波数が分離された、共通の帯域または異なる帯域にあるキャリアを含むことができる。
【0081】
図2Aに示す例では、アップリンクチャネルは、3つの集約されたコンポーネントキャリアf
UL1、f
UL2、およびf
UL3を含む。さらに、ダウンリンクチャネルは、5つの集約されたコンポーネントキャリアf
DL1、f
DL2、f
DL3、f
DL4およびf
DL5を含む。コンポーネントキャリアアグリゲーションの一例が示されているが、アップリンクおよび/またはダウンリンクのために、より多くのまたはより少ないキャリアを集約することができる。さらに、所望のアップリンクデータレートおよびダウンリンクデータレートを達成するために、集約されたキャリアの数を経時的に変化させることができる。
【0082】
例えば、特定のモバイルデバイスとのアップリンク通信および/またはダウンリンク通信のための集約されたキャリアの数は、経時的に変化することができる。例えば、集約されたキャリアの数は、デバイスが通信ネットワークを移動するにつれて、および/またはネットワーク使用が経時的に変化するにつれて変化することができる。
【0083】
図2Bは、
図2Aの通信リンクのためのアップリンクキャリアアグリゲーションの様々な例を示す。
図2Bは、第1のキャリアアグリゲーションシナリオ31、第2のキャリアアグリゲーションシナリオ32、および第3のキャリアアグリゲーションシナリオ33を含み、これらは3つのタイプのキャリアアグリゲーションを概略的に示す。
【0084】
キャリアアグリゲーションシナリオ31~33は、第1のコンポーネントキャリアf
UL1、第2のコンポーネントキャリアf
UL2、および第3のコンポーネントキャリアf
UL3に対する異なるスペクトル割り当てを示す。
図2Bは、3つのコンポーネントキャリアを集約する文脈において示されているが、キャリアアグリゲーションは、より多くのまたはより少ないキャリアを集約するために使用することができる。さらに、アップリンクの文脈において示されているが、アグリゲーションシナリオはダウンリンクにも適用可能である。
【0085】
第1のキャリアアグリゲーションシナリオ31は、周波数および共通周波数帯域において隣接するコンポーネントキャリアが集約される、帯域内隣接キャリアアグリゲーションを示す。例えば、第1のキャリアアグリゲーションシナリオ31は、連続しており、第1の周波数帯域BAND1内に位置するコンポーネントキャリアfUL1、fUL2、およびfUL3のアグリゲーションを示す。
【0086】
引き続き
図2Bを参照すると、第2のキャリアアグリゲーションシナリオ32は、周波数が隣接しておらず、共通の周波数帯域にある2つ以上のコンポーネントキャリアが集約される、帯域内不連続キャリアアグリゲーションを示す。例えば、第2のキャリアアグリゲーションシナリオ32は、連続していないが、第1の周波数帯域BAND1内に位置するコンポーネントキャリアf
UL1、f
UL2、およびf
UL3のアグリゲーションを示す。
【0087】
第3のキャリアアグリゲーションシナリオ33は、周波数が隣接しておらず、複数の周波数帯域にあるコンポーネントキャリアが集約される、帯域間不連続キャリアアグリゲーションを示す。例えば、第3のキャリアアグリゲーションシナリオ33は、第1の周波数帯域BAND1のコンポーネントキャリアfUL1およびfUL2と、第2の周波数帯域BAND2のコンポーネントキャリアfUL3とのアグリゲーションを示す。
【0088】
図2Cは、
図2Aの通信リンクのためのダウンリンクキャリアアグリゲーションの様々な例を示す。例は、第1のコンポーネントキャリアf
DL1、第2のコンポーネントキャリアf
DL2、第3のコンポーネントキャリアf
DL3、第4のコンポーネントキャリアf
DL4、および第5のコンポーネントキャリアf
DL5の異なるスペクトル割り当てのための様々なキャリアアグリゲーションシナリオ34~38を示す。
図2Cは、5つのコンポーネントキャリアを集約する文脈において示されているが、キャリアアグリゲーションは、より多くのまたはより少ないキャリアを集約するために使用することができる。さらに、ダウンリンクの文脈において示されているが、アグリゲーションシナリオはアップリンクにも適用可能である。
【0089】
第1のキャリアアグリゲーションシナリオ34は、連続しており、同じ周波数帯域内に位置するコンポーネントキャリアのアグリゲーションを示す。さらに、第2のキャリアアグリゲーションシナリオ35および第3のキャリアアグリゲーションシナリオ36は、不連続であるが同じ周波数帯域内に位置するアグリゲーションの2つの例を示す。さらに、第4のキャリアアグリゲーションシナリオ37および第5のキャリアアグリゲーションシナリオ38は、周波数が隣接しておらず、複数の周波数帯域にあるコンポーネントキャリアが集約されるアグリゲーションの2つの例を示す。集約されたコンポーネントキャリアの数が増加するにつれて、可能性のあるキャリアアグリゲーションシナリオの複雑さも増加する。
【0090】
図2A~
図2Cを参照すると、キャリアアグリゲーションに使用される個々のコンポーネントキャリアは、例えば、同じ帯域または複数の帯域の周波数キャリアを含む、様々な周波数のものとすることができる。さらに、キャリアアグリゲーションは、個々のコンポーネントキャリアがほぼ同じ帯域幅のものである実装形態、および個々のコンポーネントキャリアが異なる帯域幅を有する実装形態に適用可能である。
【0091】
特定の通信ネットワークは、特定のユーザデバイスに、アップリンクのための一次コンポーネントキャリア(PCC)またはアンカーキャリアと、ダウンリンクのためのPCCとを割り当てる。さらに、モバイルデバイスがアップリンクまたはダウンリンクのために単一の周波数キャリアを使用して通信するとき、ユーザデバイスはPCCを使用して通信する。アップリンク通信のための帯域幅を拡張するために、アップリンクPCCは、1つ以上のアップリンク二次コンポーネントキャリア(SCC)と集約することができる。さらに、ダウンリンク通信のための帯域幅を拡張するために、ダウンリンクPCCは、1つ以上のダウンリンクSCCと集約することができる。
【0092】
特定の実装形態では、通信ネットワークは、コンポーネントキャリアごとにネットワークセルを提供する。さらに、一次セルは、PCCを使用して動作することができ、その一方で、二次セルは、SCCを使用して動作することができる。一次セルおよび二次セルは、例えば、キャリアの周波数および/またはネットワーク環境の違いに起因して、異なるカバレッジエリアを有し得る。
【0093】
ライセンス支援アクセス(LAA)は、モバイルオペレータに関連付けられたライセンスされた周波数キャリアが、WiFiなどのライセンスされていないスペクトル内の周波数キャリアと集約されるダウンリンクキャリアアグリゲーションを指す。LAAは、通信リンクに関連付けられた制御およびシグナリング情報を搬送するライセンスされたスペクトルにおいてダウンリンクPCCを使用し、一方、ライセンスされていないスペクトルは、利用可能な場合、より広いダウンリンク帯域幅のために集約される。LAAは、WiFiユーザを回避するために、および/またはWiFiユーザと共存するために、二次キャリアの動的調整によって動作することができる。拡張ライセンス支援アクセス(eLAA)は、ダウンリンクとアップリンクとの両方のために、ライセンスされたスペクトルとライセンスされていないスペクトルとを集約するLAAの進化を指す。さらに、NR-Uは、5GHz帯域(5150~5925MHz)および/または6GHz帯域(5925MHz~7125MHz)にわたってLAA/eLAAの上で動作することができる。
【0094】
図3Aは、多入力多出力(MIMO)通信を使用するダウンリンクチャネルの一例の概略図である。
図3Bは、MIMO通信を使用するアップリンクチャネルの一例の概略図である。
【0095】
MIMO通信は、共通の周波数スペクトルにわたって複数のデータストリームを同時に通信するために複数のアンテナを使用する。特定の実装形態では、データストリームは、受信機でのデータ受信を強化するために異なる基準信号で動作する。MIMO通信は、より高いSNR、改善された符号化、および/または無線環境の空間多重化の違いによる信号干渉の低減から利益を得る。
【0096】
MIMO順序は、発信または受信されるいくつかの別個のデータストリームを指す。例えば、ダウンリンク通信のためのMIMO順序は、基地局の送信アンテナの数、およびモバイルデバイスなどのUEのための受信アンテナの数によって記述することができる。例えば、2×2DL MIMOは、2つの基地局アンテナおよび2つのUEアンテナを使用するMIMOダウンリンク通信を指す。さらに、4×4DL MIMOは、4つの基地局アンテナおよび4つのUEアンテナを使用するMIMOダウンリンク通信を指す。
【0097】
図3Aに示す例では、基地局41のM個のアンテナ43a、43b、43c、…43mを使用して送信し、モバイルデバイス42のN個のアンテナ44a、44b、44c、…44nを使用して受信することによって、ダウンリンクMIMO通信が提供される。したがって、
図3Aは、m×nDL MIMOの例を示す。
【0098】
同様に、アップリンク通信のためのMIMO順序は、モバイルデバイスなどのUEの送信アンテナの数、および基地局の受信アンテナの数によって記述することができる。例えば、2×2UL MIMOは、2つのUEアンテナおよび2つの基地局アンテナを使用するMIMOアップリンク通信を指す。さらに、4×4UL MIMOは、4つのUEアンテナおよび4つの基地局アンテナを使用するMIMOアップリンク通信を指す。
【0099】
図3Bに示す例では、アップリンクMIMO通信は、モバイルデバイス42のN個のアンテナ44a、44b、44c、…44nを使用して送信し、基地局41のM個のアンテナ43a、43b、43c、…43mを使用して受信することによって提供される。したがって、
図3Bは、n×mUL MIMOの例を示す。
【0100】
MIMOのレベルまたは順序を増加させることにより、アップリンクチャネルおよび/またはダウンリンクチャネルの帯域幅を増加させることができる。
【0101】
MIMO通信は、FDD通信リンクおよびTDD通信リンクなどの様々なタイプの通信リンクに適用可能である。
【0102】
図3Cは、MIMO通信を使用するアップリンクチャネルの別の例の概略図である。
図3Cに示す例では、アップリンクMIMO通信は、モバイルデバイス42のN個のアンテナ44a、44b、44c、…44nを使用して送信することによって提供される。アップリンク送信の追加の第1の部分は、第1の基地局41aのM個のアンテナ43a1、43b1、43c1、…43m1を使用して受信され、アップリンク送信の第2の部分は、第2の基地局41bのM個のアンテナ43a2、43b2、43c2、…43m2を使用して受信される。さらに、第1の基地局41aおよび第2の基地局41bは、有線、光、および/または無線リンクを介して互いに通信する。
【0103】
図3CのMIMOシナリオは、MIMO通信を容易にするために複数の基地局が協働する例を示す。
【0104】
図4Aは、ビームフォーミングで動作する通信システム110の一例の概略図である。通信システム110は、トランシーバ105と、信号調整回路104a1、104a2…104an、104b1、104b2…104bn、104m1、104m2…104mnと、アンテナ素子103a1、103a2…103an、103b1、103b2…103bn、103m1、103m2…103mnを含むアンテナアレイ102とを含む。
【0105】
ミリ波キャリアを使用して通信する通信システムは、信号の送信および/または受信のためのビームの形成および指向性を提供するためにアンテナアレイを使用することができる。
【0106】
例えば、図示の実施形態では、通信システム110は、この実施形態では、各々が別個の信号調整回路によって制御されるm×n個のアンテナ素子のアレイ102を含む。楕円によって示されているように、通信システム110は、任意の適切な数のアンテナ素子および信号調整回路で実装することができる。
【0107】
信号送信に関して、信号調整回路は、アンテナ素子から放射された信号が建設的干渉および相殺的干渉を使用して合成され、アンテナアレイ102から離れた所与の方向により強い信号強度で伝搬するビーム様品質を示す集約送信信号を生成するように、送信信号をアンテナアレイ102に提供することができる。
【0108】
信号受信の文脈では、信号調整回路は、信号が特定の方向からアンテナアレイ102に到達しているときにより多くの信号エネルギーが受信されるように、受信信号を処理する(例えば、受信信号位相を別々に制御することによって)。したがって、通信システム110はまた、信号を受信するための指向性を提供する。
【0109】
送信ビームまたは受信ビームへの信号エネルギーの相対的な集中は、アレイのサイズを大きくすることによって高めることができる。例えば、より多くの信号エネルギーが送信ビームに集束されると、信号は、RF通信に十分な信号レベルを提供しながら、より長い範囲にわたって伝搬することができる。例えば、送信ビームに集束された信号エネルギーの大部分を有する信号は、高い実効等方放射電力(EIRP)を示すことができる。
【0110】
図示の実施形態では、トランシーバ105は、信号調整回路に送信信号を提供し、信号調整回路から受信した信号を処理する。
図4Aに示すように、トランシーバ105は、信号調整回路のための制御信号を生成する。制御信号は、送信信号および/または受信信号の利得および位相を制御してビームフォーミングを制御するなど、様々な機能に使用することができる。
【0111】
図4Bは、送信ビームを提供するためのビームフォーミングの一例の概略図である。
図4Bは、第1の信号調整回路114aと、第2の信号調整回路114bと、第1のアンテナ素子113aと、第2のアンテナ素子113bとを含む通信システムの一部を示す。
【0112】
2つのアンテナ素子および2つの信号調整回路を含むものとして示されているが、通信システムは、追加のアンテナ素子および/または信号調整回路を含むことができる。例えば、
図4Bは、
図4Aの通信システム110の一部の一実施形態を示す。
【0113】
第1の信号調整回路114aは、第1の移相器130aと、第1の電力増幅器131aと、第1の低雑音増幅器(LNA)132aと、電力増幅器131aまたはLNA132aの選択を制御するスイッチとを含む。さらに、第2の信号調整回路114bは、第2の移相器130bと、第2の電力増幅器131bと、第2のLNA132bと、電力増幅器131bまたはLNA132bの選択を制御するスイッチとを含む。
【0114】
信号調整回路の一実施形態が示されているが、信号調整回路の他の実装形態も可能である。例えば、一例では、信号調整回路は、1つ以上の帯域フィルタ、デュプレクサ、および/または他の構成要素を含む。
【0115】
図示の実施形態では、第1のアンテナ素子113aと第2のアンテナ素子113bとは距離dだけ離れている。さらに、
図4Bは角度Θで注釈が付けられており、角度Θは、この例では、送信ビーム方向がアンテナアレイの平面に実質的に垂直である場合には約90°の値を有し、送信ビーム方向がアンテナアレイの平面に実質的に平行である場合には約0°の値を有する。
【0116】
アンテナ素子113a、113bに提供される送信信号の相対位相を制御することにより、所望の送信ビーム角度Θを達成することができる。例えば、第1の移相器130aが0°の基準値を有するとき、第2の移相器130bは、約-2πf(d/ν)cosΘラジアンの位相シフトを提供するように制御することができ、fは送信信号の基本周波数であり、dはアンテナ素子間の距離であり、νは放射波の速度であり、πは数学定数piである。
【0117】
特定の実装形態では、距離dは約1/2λであるように実装され、λは送信信号の基本成分の波長である。そのような実装形態では、第2の移相器130bは、送信ビーム角Θを達成するために約-πcosΘラジアンの位相シフトを提供するように制御することができる。
【0118】
したがって、移相器130a、130bの相対位相を制御して送信ビームフォーミングを提供することができる。特定の実装形態では、ベースバンドプロセッサおよび/またはトランシーバ(例えば、
図4Aのトランシーバ105)は、ビームフォーミングを制御するために、1つ以上の移相器の位相値および1つ以上の制御可能増幅器の利得値を制御する。
【0119】
図4Cは、受信ビームを提供するためのビームフォーミングの一例の概略図である。
図4Cは、
図4Cが送信ビームではなく受信ビームの文脈におけるビームフォーミングを示すことを除いて、
図4Bと同様である。
【0120】
図4Cに示すように、第1の移相器130aと第2の移相器130bとの間の相対位相差は、所望の受信ビーム角Θを達成するために、-2πf(d/ν)cosΘラジアンにほぼ等しくなるように選択することができる。距離dが約1/2λに対応する実装形態では、位相差は、受信ビーム角Θを達成するために-πcosΘラジアンにほぼ等しくなるように選択することができる。
【0121】
ビームフォーミングを提供するための位相値の様々な式が提供されているが、アンテナアレイの実装形態、信号調整回路の実装形態、および/または無線環境に基づいて選択された位相値など、他の位相選択値も可能である。
【0122】
過渡期間との準拠を確立するためのEVM除外期間の例
より短い過渡期間(tp)能力は、5G FR1の周波数帯域で現在サポートされている5G NRユーザ機器(UE)の1つの機能である。この能力は、サポートされている各FR1周波数帯域について、UEによって基地局(BTS)に宣言される。例えば、UEは、2μs tp、4μs tp、または7μs tpの能力を宣言することができ、UEがいかなるtp能力もシグナリングしない場合、デフォルトの10μs tp能力が適用される。
【0123】
60kHzのサブキャリア間隔(SCS)で構成されたネットワークの場合、より短い過渡期間能力は、BTSが3GPP TS38.101-1で指定されたシンボルブランキングを用いてUEをスケジューリングすることを回避するのを助ける場合があり、したがって、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)のアップリンクスループットおよび/またはレイテンシを強化する場合がある。
【0124】
さらに、サウンディング基準シグナリング(SRS)のオン/オフタイムマスクの場合、より短い過渡期間能力を有するUEは、シンボルブランキングを回避するのに役立ち、したがって、BTSが、より速い過渡期間能力をサポートしないUEよりも速いレートでチャネルサウンディングを実行するのに役立つ場合がある。より高速のチャネルサウンディングにより、スペクトル効率を向上させ、および/またはスループット性能を改善することができる。
【0125】
したがって、短い過渡期間能力は、SCS60kHzおよび他のSCS値に対するシステム性能を大幅に改善することができる。SRSアンテナ切り替えのために、より短いtp能力は、許可されたすべてのSCS値(例えば、15kHz、30kHz、および60kHz)におけるシンボルブランキングを回避してもよい。
【0126】
図5Aは、電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスの一例の概略図である。過渡期間(tp)は、電力過渡に関連付けられたシンボル送信を、(例えば、長いサブスロットNと長いサブスロットN+1の送信のタイムマスク間で)分離する。例えば、高出力電力レベルの過渡は、例えば、UE送信アンテナにおいて13dBの電力ステップをトリガする1RBから20RBへの、突然のアップリンク(UL)リソースブロック(RB)割り当て変更を実行するようにUEに要求することによってトリガされる。
【0127】
図5Bは、電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスの別の例の概略図である。送信シンボルシーケンスは、様々な宣言されたtp能力について示された注釈を有するSCS15kHzのシナリオの第1のシンボル(シンボル#13)および第2のシンボル(シンボル#0)を示す。
【0128】
UE適合性試験の場合、メトリックエラーベクトル振幅(EVM)試験を使用して、UEが宣言された過渡期間を満たすことを検証することができる。
【0129】
適合は、
図5Bに示すようなON-ONタイムマスクを使用して実行される。UE過渡応答が宣言された過渡期間能力を満たすことを検証するために、持続時間が宣言された過渡期間能力と一致するEVM測定除外期間(ep)を作成することによって適合性試験を実行することができる。測定除外期間は、試験機器(例えば、EVM分析器)がEVMを考慮および/または測定しない時間窓である。
【0130】
したがって、EVMは、UEが宣言された過渡期間能力を超えるときに任意の残留過渡が劣化したEVM性能として現れるように、EVM除外期間の前および後に測定される。
【0131】
各過渡期間能力について、過渡期間の開始(tpstart)は、シンボルシーケンスのスロット/サブスロット境界に対してEVM除外期間が開始する時間を示す。さらに、EVM除外期間は、tpstart+tpで終了する。例えば、tp=2μs能力を宣言するUEの場合、スロット/サブスロット境界に対してtpstart=-0.5μsであり、したがって、EVM除外期間は、スロット/サブスロット境界に対して-0.5μsで開始し、+1.5μsで終了する。
【0132】
図5Cは、様々な過渡期間およびSCS値の試験シナリオの一例を示す。
3GPP TS38.101-1規格は、UE過渡期間能力がSCSに依存せず、周波数帯域のみに依存すると仮定している。したがって、3GPP TS38.101-1規格は、tp=2μs能力についてSCS30kHzをサポートしないUEがSCS15kHzでの適合性について試験されることを除いて、tp=7μs能力については15kHzで、tp=4μs能力については15kHzで、tp=2μs能力についてはSCS30kHzで、FR1過渡期間能力を検証する。そのようなシナリオは、
図5Cにおいて右上から左下の斜線(diagonally forward slashed)を付したチェックボックスによって示されている。
【0133】
しかしながら、より短い過渡期間能力をサポートするUEのためにSCS60kHzでシンボルブランキングが除去される場合、3GPP TS38.101-1は、UEが過渡期間能力に準拠していることを検証するためのメカニズムを提供しない。
【0134】
FR1帯域での動作のために、より短い過渡期間能力は、特に2μsの短い過渡能力を報告するUEのために、ON/OFFタイムマスクにおけるシンボルブランキングが使用されないシナリオにおいて、SCS60kHzで大きな利点をもたらし得る。
【0135】
FR1では、EVM除外期間は、スロット境界の前に位置するシンボルおよび過渡が発生するスロット境界に続く第1のシンボルにおける高速フーリエ変換(FFT)を含む2つのEVM測定を使用して作成される。
【0136】
【0137】
FR2周波数帯域で動作する場合、FR1と同じ問題が発生する(例えば、ON-ONタイムマスクにおけるシンボルブランキングに起因する)。ミニスロット(短いサブスロット)は、FR1周波数帯域よりもミリ波(mmw)周波数帯域で展開される可能性が高いため、より短い過渡期間が可能なUEの必要性はさらに望ましい場合がある。ショートサブスロット/ミニスロットは、14シンボル未満を含み、スロット当たり2シンボルのみを含むスロットである。したがって、このシナリオでは、各シンボルの完全性が保証されることが特に望ましい。
【0138】
より短い過渡期間能力は、帯域ごとの能力であるので、例えば、FR1帯域においてtp=2μsの能力を宣言するUEは、SCS60kHzで構成されたネットワークに展開される場合がある。FR1についてはTS38.101-1から、FR2についてはTS38.101-2から、シンボルブランキングが除去されると、関係者(例えば、UE製造業者および/または通信事業者)は、そのようなネットワークにおけるUEパフォーマンスが検証されることを要求する場合がある。
【0139】
本明細書では、UEが過渡期間能力に準拠していることを検証するためのEVM試験のための装置および方法が提供される。本明細書の教示は、様々なSCS値、過渡期間、および周波数帯域に対する適合性試験を提供することができる。
【0140】
例えば、一例では、tp=2μsおよびSCS60kHz(
図5Cにおいて左上から右下の斜線(diagonally back slashed)を付したチェックボックスによって示される)のFR1での準拠検証は、本明細書のUE準拠検証方式を使用して達成される。
【0141】
さらに、特定の過渡期間SCSシナリオ(例えば、
図5Cにおいて「X」でマークされた空白ボックスによって示される)は、FFT
l_tpが巡回プレフィックス(CP)長を超えるためにEVM測定除外期間が宣言されたtp能力と一致することができない適合性テストケースを示す。
【0142】
この問題に対処するために、過渡期間に対してEVM除外期間を短縮し、EVM緩和を可能にすることによってEVM除外期間を作成することができない場合でも、UE能力を検証することができる。したがって、FR1の文脈では、そのような技術は、tp=4μs/SCS30kHz、およびtp=2μs/SCS60kHzなどのシナリオの検証を可能にする。
【0143】
さらに、FR2に関して、前述の技術は、UE適合性試験を提供するために使用することができる。そのようなFR2シナリオは、例えば、tp=2μsおよびtp=1μsのSCS60kHz、tp=1μsおよびtp=500nsのSCS120kHz、tp=500nsおよびtp=250nsのSCS480kHz、ならびに/またはtp=500nsおよびtp=125nsのSCS960kHzを含むことができる。
【0144】
3GPPは、FR2および/またはFR2非地上波ネットワーク(FR2-NTN)におけるより短い過渡期間能力のためのいかなる技術または要件も定義していない。したがって、上記の技術は、5GのFRおよびFR-NTN適合性試験を提供する。さらに、6Gでは、超高信頼低レイテンシ(HRLLC)機能は、より短い過渡期間能力が重要な役割を果たす場合がある新しい周波数範囲(7~24GHzおよび71GHzを超えるなど)でミニスロットスケジューリング(例えば、2シンボル長)を利用することを予想することができる。
【0145】
図5Dは、電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスのEVM測定の第1の例の概略図である。図面サイズのために、
図5Dは、
図5D-1および
図5D-2のように図面の用紙にわたって分割されており、これらは本明細書では集合的に
図5Dと呼ばれる。
【0146】
図5Eは、電力過渡の開始およびSCS値の第1の例のEVM定義の表(表1)である。
SCS60kHzのFR1帯域でtp=2μs能力を宣言するUEを検証するために、表1のEVM式を採用することによって2μsの持続時間のEVM測定除外期間が作成される。表1には、2μsの過渡期間を報告するUEのためのEVM定義、およびFR1周波数帯域におけるSCS60kHzネットワークへの影響の検証が示されている。
【0147】
【0148】
図5Fは、電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスのEVM測定の第2の例の概略図である。
【0149】
図5Gは、電力過渡の開始およびSCS値の第2の例のEVM定義の表(表2)である。
【0150】
【0151】
引き続き
図5Fおよび
図5Gを参照すると、表2のEVM式を採用し、負の値のtp
startに対して1μsの持続時間のEVM測定除外期間を作成することができる。例えば、ここでは、tp=2usおよびtp=4usのFR1 tp
start値からスケーリングすることによって、-250nsとしてtp
startが提案される。
【0152】
【0153】
図5Hは、電力過渡を収容するための過渡期間を含む送信シンボルシーケンスのエラーベクトル振幅(EVM)測定の第3の例の概略図である。
【0154】
図5Iは、電力過渡の開始およびSCS値の第3の例のEVM定義の表(表3)である。
図5Hおよび
図5Iを参照すると、FFT
l tp
start位置はCP長の100%を超えるので、OFDMシンボル#0でこのFFTを使用してEVMを測定することはできない。したがって、4μsの長い除外期間をSCS30kHzで作成することはできず、UE tp能力はこの様式では検証することはできない。
【0155】
SCS30kHzで、FR1帯域においてtp=4μs能力を宣言するUEを検証するために、表3のEVM式の採用および後続の第1のシンボルの許容EVM緩和率(例えば、256QAMおよび64QAMについてそれぞれ10%および7%、または他の適切な値)と共に、3.3μsの持続時間の短縮EVM測定除外期間を使用することができる。
【0156】
したがって、UE能力は、それにもかかわらず、過渡期間に対してEVM除外期間を短縮し、EVM緩和を可能にすることによって検証することができる。
【0157】
以下の表A、B、C、D、およびEは、FR2の過渡期間能力のEVM測定の例示的なパラメータに関する。
【0158】
表Aは、SCS60kHzの通常のCPのEVM窓長「W」の例である。
【0159】
【0160】
表Bは、SCS120kHzの通常のCPのEVM窓長「W」の例である。
【0161】
【0162】
表Cは、様々なFR2帯域のtpおよびtpstart値の一例である。
【0163】
【0164】
表Dは、SCS480kHzの通常のCPのEVM窓長「W」の例である。
【0165】
【0166】
表Eは、SCS960kHzの通常のCPのEVM窓長「W」の例である。
【0167】
【0168】
3GPP TS38.101-2は、SCS60kHz(表A)およびSCS120kHz(表B)のEVM窓長「W」を定義しているが、SCS240、480および960kHzのEVM窓を提供している。
【0169】
上記の表は、FR2のEVM測定のためのパラメータの例示的な値を提供する。例えば、UEが0.0625、0.125、0.25、0.5、1、または2μsの過渡期間(tp)をシグナリングする場合、過渡期間開始位置は表Cのtpstartによって与えられる。
【0170】
さらに、表Dは、480kHzのSCSの通常のCPのEVM窓「W」長さを指定し、表Eは、960kHzのSCSの通常のCPのEVM窓「W」長さを指定する。
【0171】
【0172】
図5Jは、過渡期間能力を検証するためのFR2 EVM測定FFTタイミングの一実施形態の概略図である。
【0173】
この例では、シンボル境界にわたる非対称EVM除外期間が使用される。さらに、測定EVM FFT窓開始位置(およびパラメータtpstart)のセットがSCSごとに指定され、UE短縮過渡期間能力が宣言される。
【0174】
引き続き
図5Jを参照すると、UEは、0.125μs、0.25μs、0.5μs、1μs、または2μsのより短い過渡期間(tp)をシグナリングすることができ、対応する過渡期間開始位置は、上記の表Cのtp
startによって与えられる。そのような技術は、FR2周波数範囲およびFR2非地上波ネットワーク(FR2-NTN)周波数範囲(例えば、TS38.101-5に規定されている)の両方で動作するUEに適用することができる。
【0175】
図示の実施形態によれば、EVM分析器は、過渡期間能力への準拠を検証するために4つのFFTを計算することができる。
【0176】
【0177】
図5Kは、FR2周波数帯域における電力過渡の開始およびSCS値の様々な例についてのEVM定義の一実施形態の表である。EVM定義は、
図5Jの技術に従って使用することができる。
【0178】
図5Jおよび
図5Kを参照すると、図示の技術は、非対称共有EVM除外期間の制約の下で、UEのより短い過渡期間宣言を検証することを可能にする。
【0179】
電力過渡に続くOFDMシンボル#0におけるFFTl_tpの開始タイミングは、通常のCP長の0%未満である。このシンボルにおけるCP長は、電力過渡に先行するシンボルに使用される通常のCP長よりも大きいため、これは技術的に問題ではない。
【0180】
しかしながら、いくつかの基地局および試験機器ベンダーは、EVM測定FFTをそのような低い開始タイミング位置に配置することをサポートしない場合がある。例えば、
図5Kの表におけるSCS480kHzでのtp=0.5μsの検証は、FFTl_tp開始位置を通常のCP長の約-100%に配置する。
【0181】
さらに、電力過渡に先行するOFDMシンボル#13におけるFFTh_tpの開始タイミングは、重み付け重複加算(weighted overlap and add)(WOLA)効果によるEVM劣化をもたらし得る。しかしながら、OFDMサブキャリアに適用される時間窓処理フィルタリングの量は、変調次数に応じて動的に調整することができるため、WOLAは必ずしも問題ではない場合がある。
【0182】
例えば、表8.5のSCS480kHzにおけるtp=0.5μsの検証は、FFTh_tp開始位置を、通常のCP長の約15%に配置する。時間窓処理が25%CP長に設定される場合、WOLAによるEVM劣化が予想される。
【0183】
上記を考慮して、対称的に共有される測定EVM除外期間を作成することが望まれる。
図5Lおよび
図5Mは、一般に、特定の試験機器ベンダーによってサポートされない可能性があるFFT開始位置を有利に回避するそのような技術に関する。
【0184】
図5Lは、過渡期間能力を検証するためのFR2 EVM測定FFTタイミングの別の実施形態の概略図である。
【0185】
FR2では、伝搬距離が短いこと、および/または基地局からの狭いビーム幅の使用に起因する見通し内伝搬条件に近いことに起因して、無線チャネル遅延スプレッドはFR1よりも小さくなり得る。これらの条件下では、EVM測定除外期間はもはやシンボル境界にわたって非対称に共有される必要はない。
【0186】
むしろ、シンボル境界にわたって対称的に共有されるEVM除外期間は、静的EVM FFTlowおよびFFThigh EVM測定窓を再使用することによって作成することができる。そのような解決策は、
図5Jの解決策よりも単純であり、試験機器がシンボルごとにカスタムFFT開始位置シンボルを使用することを必要としない。さらに、そのような技術は、FR2 mmW基地局のためのFFT構成をより反映する可能性が高い。
【0187】
図示の実施形態によれば、EVM分析器は、過渡期間能力への準拠を検証するために2つのFFTを計算することができる。
【0188】
【0189】
表Fは、本技術によるFR2に対する適合性/EVM除外期間のSCSの一例である。
【0190】
【0191】
この解決策は、過渡期間専用のカスタム測定FFTを必要としないため、試験機器によって事実上サポートされる。さらに、この技術は、最大出力電力でUE EVMを検証するために、2つの測定FFT窓のみに依存する(例えば、電力過渡が発生していない場合)。
【0192】
図5Mは、FR2周波数帯域における電力過渡の開始およびSCS値の様々な例についてのEVM定義の別の実施形態の表である。EVM定義は、
図5Lの技術に従って使用することができる。
【0193】
図6は、5GセルラUEの過渡期間仕様への準拠を試験するための試験機器の一実施形態の概略図である。
【0194】
試験機器300は、測定デバイス301(例えば、アンテナ、プローブ、および/またはEVM測定のための他の構造)と、信号分析器302と、シンボルスケジューラ303と、ハンドラ304と、コントローラ306と、温度ユニットまたはコントローラ307とを含む。試験機器300は、5G FR1 UEおよび/または5G FR2 UEなどの被試験デバイスを迅速に試験するために使用される。試験機器300は、本明細書では自動電子試験システムまたは自動試験機器(ATE)とも呼ばれる。
【0195】
図6は、一実施形態による試験機器を示しているが、本明細書の教示は、多種多様な方法で実装される試験機器に適用可能である。
【0196】
試験機器300は、製造スループットを改善し、および/または製造もしくは部分製造後の被試験デバイスの放射準拠の迅速な試験を提供する。
【0197】
試験機器300を使用して、被試験デバイス308(例えば、モバイルデバイスまたはUE)の無線放射性能を試験して、被試験デバイス308が所定の性能仕様およびパラメータ内で動作することを確実にすることができる。試験機器300は、自動化を使用して、被試験デバイス(被試験デバイス308など)に対する測定を素早く実行し、試験結果を評価する。試験機器300を使用して、試験時間を短縮し、製造組立ラインの問題を改善もしくは識別し、および/または顧客および/もしくはエンドユーザに届く不良デバイスの数を減らすことができる。
【0198】
測定デバイス301は、被試験デバイス308から無線で送信されたRF信号を受信するように動作する。例えば、試験機器300は、送信されたシンボルに対応する、被試験デバイス308のアンテナからの電磁線放射を検知するために測定デバイス301を使用することができる。測定デバイス301は、ワイヤプローブ、進行波アンテナ、反射器アンテナ、マイクロストリップアンテナ、アパーチャアンテナ、および/または任意の他の適切なタイプの測定デバイスを含むがこれらに限定されない多種多様なタイプの1つ以上のプローブおよび/または1つ以上のアンテナを含むことができる。特定の実装形態では、測定デバイス301は、1つ以上のアンテナアレイを含む。
【0199】
信号分析器302は、測定デバイス301を介して被試験デバイス308から受信したRF信号を分析するために使用することができる。例えば、信号分析器302は、受信RF信号を処理して、FFTを使用してEVMについて分析することができるスペクトルコンテンツを含むがこれに限定されない多種多様なRF信号特性を検出するために使用することができる。
【0200】
ハンドラ304は、例えば、被試験デバイス308を試験プラットフォームの上または外に移動させることを含む、被試験デバイス308を物理的に移動または位置決めするために使用することができる。
【0201】
特定の実装形態では、ハンドラ304は、被試験デバイス308を移動させるのに役立つ機械的アームと、真空吸引を使用して被試験デバイス308をハンドラ304に保持するためのプランジャとを含むことができる。しかしながら、例えば、ハンドラ304が他の方法で被試験デバイス308を固定する実装形態を含む、ハンドラ304の他の実装形態を使用することができる。
【0202】
ハンドラ304は、被試験デバイス308を試験機器300の構成要素に対して所望の位置および/または配向に位置決めするのに役立つ。例えば、ハンドラ304を使用して、被試験デバイス308を測定デバイス301に対して所望の位置に配置することができ、それによって、測定デバイスが、被試験デバイス308から特定の方向および/または距離で放射されたRF波を受信することを可能にする。
【0203】
ハンドラ304を使用して被試験デバイス308を試験機器300に対して位置決めすることができるが、追加的および/または代替的に、試験機器300は、被試験デバイス308に対する試験機器300の構成要素の位置を制御するための可動および/または回転部品を含むことができる。一例では、測定デバイス301は、可動構成要素内または可動構成要素上に含まれる。
【0204】
シンボルスケジューラ303は、被試験デバイス308の送信チェーンを介した送信シンボルの送信を命令および/または制御するために使用される。例えば、シンボルスケジューラ303は、シンボルシーケンス内の送信されたシンボルの数、シーケンス内の各シンボルに割り当てられたRB、および/または被試験デバイス308によって送信されたシンボルシーケンスの他のパラメータを命令および/または制御することができる。
【0205】
温度ユニット307は、試験機器300および/または被試験デバイス308の温度を制御および/または監視するために使用することができ、それによって制御された試験環境を提供し、および/または測定を温度に対して追跡することを可能にする。特定の実装形態では、試験機器300は、2つ以上の異なる温度でEVM試験を実行する。
【0206】
コントローラ306は、測定デバイス301、信号分析器302、シンボルスケジューラ303、ハンドラ304、および/または温度ユニット307などの試験機器300の構成要素に関連する様々な制御機能を同期および/または提供するために使用することができる。
【0207】
特定の実装形態では、試験機器300は、コンピュータ処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、マイクロコントローラ、および/またはデータを処理し、試験機器300の動作を制御するのに適した他の適切な電子ハードウェアを含む。特定の実装形態では、そのようなハードウェアは、ソフトウェアの実行に部分的に基づいて動作する。さらに、一般的なハードウェアおよび/またはソフトウェアを使用して、
図6に示す特定の構成要素(例えば、信号分析器302、シンボルスケジューラ303、および/またはコントローラ306)を実装することができる。
【0208】
試験機器300は、明確にするために特定の構成要素を含むものとして図示および説明されているが、試験機器300は、他の方法で修正または適合させることができる。例えば、試験機器300は、電源、センサ、デジタル信号処理機器、ならびに/またはケーブルおよび相互接続部などの追加の構成要素をさらに含むことができる。
【0209】
図7は、モバイルデバイス800の一実施形態の概略図である。モバイルデバイス800は、ベースバンドシステム801と、トランシーバ802と、フロントエンドシステム803と、アンテナ804と、電力管理システム805と、メモリ806と、ユーザインターフェース807と、バッテリ808とを含む。
【0210】
モバイルデバイス800は、2G、3G、4G(LTE、LTEアドバンスト、LTEアドバンストプロを含む)、5Gアドバンストを含む5G NR、WLAN(例えば、WiFi)、WPAN(例えば、Bluetooth(登録商標)およびZigBee(登録商標))、WMAN(例えば、WiMax)、および/またはGPS技術を含むがこれらに限定されない多種多様な通信技術を使用して通信するために使用することができる。
【0211】
トランシーバ802は、送信用のRF信号を生成し、アンテナ804から受信した到来RF信号を処理する。RF信号の送信および受信に関連する様々な機能は、
図7ではトランシーバ802としてまとめて表されている1つ以上の構成要素によって達成することができることが理解されよう。一例では、特定のタイプのRF信号を処理するために別個の構成要素(例えば、別個の回路またはダイ)を設けることができる。
【0212】
フロントエンドシステム803は、アンテナ804に送信される、および/またはアンテナ804から受信される信号を調整するのに役立つ。図示の実施形態では、フロントエンドシステム803は、アンテナ同調処理回路810と、電力増幅器(PA)811と、低雑音増幅器(LNA)812と、フィルタ813と、スイッチ814と、信号分割/合成処理回路815とを含む。しかしながら、他の実装形態も可能である。
【0213】
例えば、フロントエンドシステム803は、限定はしないが、送信用の信号の増幅、受信信号の増幅、信号のフィルタリング、異なる帯域間の切り替え、異なる電力モード間の切り替え、送信モードと受信モードとの間の切り替え、信号の二重化、信号の多重化(例えば、ダイプレキシングまたはトリプレキシング)、またはそれらの何らかの組み合わせを含む、いくつかの機能を提供することができる。
【0214】
特定の実装形態では、モバイルデバイス800はキャリアアグリゲーションをサポートし、それによってピークデータレートを増加させる柔軟性を提供する。キャリアアグリゲーションは、周波数分割複信(FDD)と時分割複信(TDD)との両方に使用することができ、複数のキャリアまたはチャネルを集約するために使用されてもよい。キャリアアグリゲーションは、同じ動作周波数帯域内の連続したキャリアが集約される連続したアグリゲーションを含む。キャリアアグリゲーションはまた、不連続であることができ、周波数が分離された、共通の帯域または異なる帯域にあるキャリアを含むことができる。
【0215】
アンテナ804は、多種多様なタイプの通信に使用されるアンテナを含むことができる。例えば、アンテナ804は、多種多様な周波数および通信規格に関連する信号を送信および/または受信するためのアンテナを含むことができる。
【0216】
特定の実装形態では、アンテナ804は、MIMO通信および/またはスイッチドダイバーシティ通信をサポートする。例えば、MIMO通信は、単一の無線周波数チャネルを介して複数のデータストリームを通信するために複数のアンテナを使用する。MIMO通信は、より高い信号対雑音比、改善された符号化、および/または無線環境の空間多重化の違いによる信号干渉の低減から利益を得る。スイッチドダイバーシティは、特定の時間における動作のために特定のアンテナが選択される通信を指す。例えば、スイッチを使用して、観測されたビット誤り率および/または信号強度インジケータなどの様々な要因に基づいて、アンテナのグループから特定のアンテナを選択することができる。
【0217】
モバイルデバイス800は、特定の実装形態ではビームフォーミングで動作することができる。例えば、フロントエンドシステム803は、アンテナ804を使用した信号の送信および/または受信のためのビームの形成および指向性を提供するために、制御可能な利得を有する増幅器および制御可能な位相を有する移相器を含むことができる。例えば、信号送信の文脈では、アンテナ804に提供される送信信号の振幅および位相は、アンテナ804からの放射信号が建設的干渉および相殺的干渉を使用して合成され、所与の方向により強い信号強度で伝搬するビーム様品質を示す集約送信信号を生成するように制御される。信号受信の文脈では、振幅および位相は、信号が特定の方向からアンテナ804に到達しているときにより多くの信号エネルギーが受信されるように制御される。特定の実装形態では、アンテナ804は、ビームフォーミングを向上させるためにアンテナ素子の1つ以上のアレイを含む。
【0218】
ベースバンドシステム801は、音声およびデータなどの様々なユーザ入力および出力(I/O)の処理を容易にするためにユーザインターフェース807に結合される。ベースバンドシステム801は、トランシーバ802に送信信号のデジタル表現を提供し、トランシーバ802は、送信のためのRF信号を生成するために処理する。ベースバンドシステム801はまた、トランシーバ802によって提供される受信信号のデジタル表現を処理する。
図7に示すように、ベースバンドシステム801は、モバイルデバイス800の動作を容易にするためにメモリ806に結合される。
【0219】
メモリ806は、モバイルデバイス800の動作を容易にするために、および/またはユーザ情報の記憶を提供するために、データおよび/または命令を記憶するなど、多種多様な目的に使用することができる。
【0220】
電力管理システム805は、モバイルデバイス800のいくつかの電力管理機能を提供する。特定の実装形態では、電力管理システム805は、電力増幅器811の供給電圧を制御するPA供給制御回路を含む。例えば、電力管理システム805は、電力増幅器811のうちの1つ以上に提供される供給電圧を変更して、電力付加効率(PAE)などの効率を改善するように構成することができる。
【0221】
図7に示すように、電力管理システム805は、バッテリ808からバッテリ電圧を受け取る。バッテリ808は、例えばリチウムイオン電池を含む、モバイルデバイス800で使用するための任意の適切なバッテリとすることができる。
【0222】
図8は、一実施形態による電力増幅器システム860の概略図である。図示の電力増幅器システム860は、ベースバンドプロセッサ841と、送信機/観測受信機842と、電力増幅器(PA)843と、方向性結合器844と、フロントエンド処理回路845と、アンテナ846と、PAバイアス制御回路847と、PA供給制御回路848とを含む。図示の送信機/観測受信機842は、I/Q変調器857と、ミキサ858と、アナログデジタル変換器(ADC)859とを含む。特定の実装形態では、送信機/観測受信機842はトランシーバに組み込まれる。電力増幅器システム860は、UEに含まれることができ、本明細書のシンボルを送信することができる送信チェーンの一例に対応する。送信チェーンの一例が示されているが、RF信号を送信するために任意の適切な送信チェーンを使用することができる。
【0223】
ベースバンドプロセッサ841は、所望の振幅、周波数、および位相の正弦波または信号を表すために使用することができる同相(I)信号および直交位相(Q)信号を生成するために使用することができる。例えば、I信号を使用して正弦波の同相成分を表すことができ、Q信号を使用して正弦波の直交位相成分を表すことができ、これは正弦波の等価表現とすることができる。特定の実装形態では、I信号およびQ信号は、デジタル形式でI/Q変調器857に提供することができる。ベースバンドプロセッサ841は、ベースバンド信号を処理するように構成された任意の適切なプロセッサとすることができる。例えば、ベースバンドプロセッサ841は、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコア、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。さらに、いくつかの実装形態では、2つ以上のベースバンドプロセッサ841を電力増幅器システム860に含めることができる。
【0224】
I/Q変調器857は、ベースバンドプロセッサ841からI信号およびQ信号を受信し、I信号およびQ信号を処理してRF信号を生成するように構成することができる。例えば、I/Q変調器857は、I信号およびQ信号をアナログ形式に変換するように構成されたデジタルアナログ変換器(DAC)と、I信号およびQ信号をRFにアップコンバートするためのミキサと、アップコンバートされたI信号およびQ信号を電力増幅器843による増幅に適したRF信号に合成するための信号合成器とを含むことができる。特定の実装形態では、I/Q変調器857は、その中で処理される信号の周波数コンテンツをフィルタリングするように構成された1つ以上のフィルタを含むことができる。
【0225】
電力増幅器843は、I/Q変調器857からRF信号を受信することができ、イネーブルされると、増幅されたRF信号をフロントエンド処理回路845を介してアンテナ846に提供することができる。
【0226】
フロントエンド処理回路845は、多種多様な方法で実装することができる。一例では、フロントエンド処理回路845は、1つ以上のスイッチ、フィルタ、デュプレクサ、マルチプレクサ、および/または他の構成要素を含む。別の例では、増幅されたRF信号をアンテナ846に直接提供する電力増幅器843のために、フロントエンド処理回路845は省略される。
【0227】
方向性結合器844は、電力増幅器823の出力信号を検知する。さらに、方向性結合器844からの検知された出力信号はミキサ858に供給され、ミキサ858は、検知された出力信号に制御された周波数の基準信号を乗算する。ミキサ858は、検知された出力信号の周波数成分をダウンシフトすることによってダウンシフト信号を生成するように動作する。ダウンシフト信号はADC859に提供することができ、ADC859は、ダウンシフト信号をベースバンドプロセッサ841による処理に適したデジタルフォーマットに変換することができる。電力増幅器843の出力からベースバンドプロセッサ841へのフィードバック経路を含むことは、いくつかの利点を提供することができる。例えば、ベースバンドプロセッサ841をこのように実装することは、電力制御を提供すること、送信機の障害を補償すること、および/または、デジタルプリディストーション(DPD)を実行することを支援することができる。電力増幅器のための検知経路の一例が示されているが、他の実装形態も可能である。
【0228】
PA供給制御回路848は、ベースバンドプロセッサ841から電力制御信号を受信し、電力増幅器843の供給電圧を制御する。図示の構成において、PA供給制御回路848は、電力増幅器843の入力段に電力を供給するための第1の供給電圧VCC1と、電力増幅器843の出力段に電力を供給するための第2の供給電圧VCC2とを生成する。PA供給制御回路848は、第1の供給電圧VCC1および/または第2の供給電圧VCC2の電圧レベルを制御して、電力増幅器システムのPAEを向上させることができる。
【0229】
PA供給制御回路848は、様々な電力管理技術を使用して、供給電圧のうちの1つ以上の電圧レベルを経時的に変化させて、電力増幅器の電力付加効率(PAE)を改善し、それによって電力散逸を低減することができる。
【0230】
電力増幅器の効率を改善するための1つの技術は、平均電力トラッキング(APT)であり、DC-DCコンバータを使用して、電力増幅器の平均出力電力に基づいて電力増幅器の供給電圧を生成する。電力増幅器の効率を改善するための別の技術は、エンベロープトラッキング(ET)であり、電力増幅器の供給電圧は、RF信号の包絡線に対して制御される。したがって、RF信号のエンベロープの電圧レベルが増加すると、電力増幅器の供給電圧の電圧レベルを増加させることができる。同様に、RF信号のエンベロープの電圧レベルが減少すると、電力増幅器の供給電圧の電圧レベルを減少させて電力消費を低減することができる。
【0231】
特定の構成では、PA供給制御回路848は、APTモードおよびETモードを含む複数の供給制御モードで動作することができるマルチモード供給制御回路である。例えば、ベースバンドプロセッサ841からの電力制御信号は、特定の供給制御モードで動作するようにPA供給制御回路848に命令することができる。
【0232】
図8に示すように、PAバイアス制御回路847は、ベースバンドプロセッサ841からバイアス制御信号を受信し、電力増幅器843のためのバイアス制御信号を生成する。図示の構成において、バイアス制御回路847は、電力増幅器843の入力段および電力増幅器843の出力段の両方のためのバイアス制御信号を生成する。しかしながら、他の実装形態も可能である。
【0233】
結論
文脈が明らかにそうでないことを要求しない限り、明細書および特許請求の範囲を通して、「含む、備える(comprise)」、「含む、備える(comprising)」などの単語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「含むが、限定されない(including,but not limited to)」という意味である。本明細書で一般的に使用される「結合された(coupled)」という用語は、直接接続されるか、または1つ以上の中間要素によって接続され得る2つ以上の要素を指す。同様に、本明細書で一般的に使用される「接続された(connected)」という用語は、直接接続され得るか、または1つ以上の中間要素によって接続され得る2つ以上の要素を指す。さらに、「本明細書」、「上記」、「以下」という単語、および同様の意味の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指すものとし、本出願の特定の部分を指すものではない。文脈が許す場合、単数または複数を使用する上記の詳細な説明の単語はまた、それぞれ複数または単数を含んでもよい。2つ以上の項目のリストに関連する「または」という単語は、その単語の以下の解釈のすべて、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目のすべて、およびリスト内の項目の任意の組み合わせを網羅する。
【0234】
さらに、本明細書で使用される条件付き言語、とりわけ、「してもよい(may)」、「してもよい(could)」、「してもよい(might)」、「することができる(can)」、「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「など(such as)」などは、特に明記しない限り、または使用される文脈内で他の意味で理解されない限り、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/または状態を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることを意図している。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素および/または状態が1つ以上の実施形態に何らかの形で必要とされることも、1つ以上の実施形態が、著者の入力またはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/または状態が任意の特定の実施形態に含まれるか、または実行されるべきかを決定するための論理を必然的に含むことを意味することも意図するものではない。
【0235】
本発明の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、または本発明を上記に開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本発明の具体的な実施形態および例を例示目的で上に記載したが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な均等な変更が可能である。例えば、プロセスまたはブロックは所与の順序で提示されるが、代替的な実施形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを実行してもよく、または異なる順序のブロックを有するシステムを使用してもよく、いくつかのプロセスまたはブロックは、削除、移動、追加、細分化、組み合わせ、および/または修正されてもよい。これらのプロセスまたはブロックの各々は、様々な異なる方法で実装されてもよい。また、プロセスまたはブロックは、直列に実行されるものとして示されている場合があるが、これらのプロセスまたはブロックは、代わりに並列に実行されてもよく、または異なる時間に実行されてもよい。
【0236】
本明細書で提供される本発明の教示は、必ずしも上述のシステムではない他のシステムに適用することができる。上述した様々な実施形態の要素および動作を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。
【0237】
本発明の特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は単に例として提示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具体化されてもよく、さらに、本開示の趣旨を逸脱することなく、本明細書に記載の方法およびシステムの形態の様々な省略、置換および変更を行ってもよい。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本開示の範囲および精神に含まれるような形態または修正を包含することを意図している。
【外国語明細書】