(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103495
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】フマギロール誘導体およびその多形体
(51)【国際特許分類】
C07D 303/04 20060101AFI20240725BHJP
A61K 31/336 20060101ALI20240725BHJP
A61K 31/785 20060101ALI20240725BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240725BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C07D303/04 CSP
A61K31/336
A61K31/785
A61P43/00 111
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074818
(22)【出願日】2024-05-02
(62)【分割の表示】P 2018529646の分割
【原出願日】2016-12-09
(31)【優先権主張番号】62/265,675
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515280399
【氏名又は名称】シンデブルックス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エス.ピーターセン
(57)【要約】
【課題】本発明の開示は、アミノアルキルフマギロールカルバメートの塩および多形体(例えば、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩およびフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩)に関する。
【解決手段】前記多形体は、X線粉末回折法、示差走査熱量測定法、熱重量分析法およびその他の方法によって特徴付けられる。前記多形体および塩は、フマギロール誘導体の製造における中間体(例えば、ポリマーコンジュゲート(polymer-conjugated)フマギロール誘導体)使用することができるとともに、癌などの種々の疾患や症状の治療に用いられることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【請求項2】
約 6.0, 9.0, および 18.0 °2θ におけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体。
【請求項3】
約 6.0, 9.0, 12.3, 12.5, 16.1, および 18.0 °2θ におけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の多形体。
【請求項4】
約 6.0, 9.0, 12.3, 12.5, 13.8, 16.1, 18.0, 20.0, および 25.8 °2θ におけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の多形体。
【請求項5】
約 5.4, 6.0, 9.0, 12.3, 12.5, 13.8, 16.1, 17.3, 18.0, 20.0, 20.8, および 25.8 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の多形体。
【請求項6】
約 5.4, 6.0, 9.0, 12.3, 12.5, 13.8, 16.1, 17.3, 18.0, 20.0, 20.8, 21.5, 22.0, 24.3, および 25.8 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の多形体。
【請求項7】
図1Aに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の多形体。
【請求項8】
図2Aに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の多形体。
【請求項9】
示差走査熱量測定法により測定される、約178℃における発熱事象の開始および約188℃におけるピークをさらに特徴とする、請求項2に記載の多形体。
【請求項10】
熱重量分析法/示差熱分析法により測定される、約181℃における発熱事象の開始および約189℃におけるピークをさらに特徴とする、請求項2に記載の多形体。
【請求項11】
約98%より高い純度を有する、請求項2に記載の多形体。
【請求項12】
約 6.1, 8.6, および 16.4 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体。
【請求項13】
図5Bに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項12に記載の多形体。
【請求項14】
図6Bに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項12に記載の多形体。
【請求項15】
約 8.3, 12.8, および15.7 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体。
【請求項16】
図5Cに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項15に記載の多形体。
【請求項17】
図6Cに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項15に記載の多形体。
【請求項18】
約 5.1, 7.3, および 14.0 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体。
【請求項19】
図5Dに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項18に記載の多形体。
【請求項20】
図6Dに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項18に記載の多形体。
【請求項21】
請求項2、12、15または18に記載の多形体、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項22】
請求項2、12、15または18に記載の多形体の、疾患を治療するための使用。
【請求項23】
請求項2、12、15または18に記載の多形体の、MetAP2を阻害するための使用。
【請求項24】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を含む組成物であって、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩が95%より高い純度を有する、組成物。
【請求項25】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形の反応晶析の方法であって、以下:
(1)tert-ブチルメチルエーテル中のベンゼンスルホン酸の溶液を、tert-ブチルメチルエーテル溶液中のフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメート溶液に添加すること、
(2)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶を前記溶液に添加すること; そして
(3)結晶化された前記フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を溶液から分離すること
を含む、方法。
【請求項26】
前記の種結晶が、工程(1)の溶液中に溶解される前記フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の約1重量%である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
場合により工程1からのフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の溶液を冷却することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
場合により工程1からのフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の溶液に追加のMTBEを加えることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
場合により工程2からのフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の溶液を冷却することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
場合により工程2からのフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の溶液にMTBEを加えることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体を調製する方法であって、以下:
(i)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を一定量のメタノールに添加して溶液を形成させる;
(ii)一定量のtert-ブチルメチルエーテルを前記溶液に加える;
(iii)前記溶液を冷却する;
(iv)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶を前記溶液に添加する;
(v)前記溶液を冷却する;
(vi)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を生成するために前記溶液に追加のtert-ブチルメチルエーテルを加える;そして
(vii)結晶のフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を単離するために溶液を濾過する、
ことを含む、方法。
【請求項32】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体を調製する方法であって、以下:
(i)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩をtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物に溶解し溶液を形成する;
(ii)前記溶液を冷却する;
(iii)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶を前記溶液に添加する;
一定量のtert-ブチルメチルエーテルを前記溶液に加える;
(iv)前記溶液を冷却し続ける;
(v)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を生成するために前記溶液に追加分量のtert-ブチルメチルエーテルを加える;そして
(vi)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を単離するために溶液を濾過する、
ことを含む、方法。
【請求項33】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体を調製する方法であって、以下:
(i)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩をtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物に溶解し溶液を形成する;
(ii)tert-ブチルメチルエーテルを前記溶液に加える;
(iii)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶を前記溶液に添加する;
(iv)追加量のtert-ブチルメチルエーテルを前記溶液に加える;
(v)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を生成するために前記溶液を冷却する;そして
(vi)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を単離するために溶液を濾過する、
ことを含む、方法。
【請求項34】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体を調製する方法であって、以下:
(i)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートを酢酸エチルに溶解し溶液を形成する;
(ii)ベンゼンスルホン酸を前記フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートの酢酸エチル溶液に加える;そして、
(iii)得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を濾過する、
ことを含む、方法。
【請求項35】
前記多形体が形態IIの形態である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ベンゼンスルホン酸が酢酸エチル溶液として添加される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ベンゼンスルホン酸が約8~12℃の温度において添加される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
さらに、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートおよびベンゼンスルホン酸の混合物を約0~5℃へ冷却することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
下記式(I)または式(II)で示される化合物の、疾患の治療のための使用。
【化2】
【化3】
【請求項40】
下記式(III)で示される化合物
【化4】
を製造する方法であって、下記式(I)または式(II)で示される化合物:
【化5】
【化6】
を、下記式(IV)で示される化合物:
【化7】
(式中、xは1~約450の整数であり;yは1~約30の整数であり;nは1~約50の整数であり、およびLGは脱離基である)
と接触させることを含む、方法。
【請求項41】
脱離基が
【化8】
である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
【請求項43】
約 5.6, 8.9, および 15.4°2θ におけるピークを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩の多形体。
【請求項44】
X線粉末回折により測定される、約5.6, 8.9, 11.5, 12.1, 15.4, および20.9°2θ におけるピークをさらに特徴とする、請求項43に記載の多形体。
【請求項45】
X線粉末回折により測定される、約5.6, 8.9, 11.5, 12.1, 15.4, 15.9, 19.7, 20.9, および 23.3におけるピークをさらに特徴とする、請求項43に記載の多形体。
【請求項46】
X線粉末回折により測定される、約5.6, 8.9, 11.5, 12.1, 14.6, 15.4, 15.9, 17.4, 18.1, 19.7, 20.9, および 23.3°2θにおけるピークをさらに特徴とする、請求項43に記載の多形体。
【請求項47】
図10A, 10B, 10C, および 10Dに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項43に記載の多形体。
【請求項48】
熱重量分析法/示差熱分析法により測定される、約181℃における吸熱事象の開始および約186℃におけるピーク、および約191℃における発熱事象をさらに特徴とする、請求項43に記載の多形体。
【請求項49】
DSCにより測定される、約182℃における吸熱事象の開始および約186℃におけるピークをさらに特徴とする、請求項43に記載の多形体。
【請求項50】
疾患の治療のための、請求項43に記載の化合物の使用。
【請求項51】
MetAP2を阻害するための、請求項43に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2015年12月10日に出願された米国仮特許出願第62/265,675号に対する優先権の利益を主張する。
【0003】
本出願は、アミノアルキルフマギロールカルバメートの塩および多形体(例えば、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩およびフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩)に関する。本出願の塩および多形体は、フマギロール誘導体(例えば、ポリマーコンジュゲート(polymer-conjugated)フマギロール誘導体)の製造における安定した中間体として、または治療剤として有用である。
【0004】
フマギリンは、抗菌剤および抗原虫剤として使用されている低分子である。フマギリンの臨床応用およびフマギロール誘導体の臨床応用は毒性によって制限を受けてきた。治療のためのフマギリンポリマーコンジュゲートの形成は、(例えば、アミン修飾フマギロールとフマギロール上のエポキシドとの反応によって)容易に自己縮合または加水分解しない1以上の安定な純粋なフマギリン由来中間体の存在を必要とする。さらに、ポリマー主鎖に共有結合された不純物は、除去するのが困難となる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、純粋で安定なフマギロール誘導体(例えば、式Iおよび式II)を対象とする。前記誘導体は、ポリマー結合フマギロールコンジュゲート(polymer-bound fumagillol conjugates)を製造するための合成中間体として使用することができる。あるいは、誘導体は治療剤として直接使用することができる。
【0006】
本出願はアミノアルキルフマギロールカルバメートの塩、例えばフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩、(1R、4R)-4 - (((((3R、4S、5S、6R)-5-メトキシ-4 - ((2R、3R)-2-メチル-3-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル) オキシラン-2-イル)-1-オキサスピロ[2.5]オクタン-6-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)シクロヘキサン-1-アミニウムベンゼンスルホネートとしても知られている、およびフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩、(1R、4R)-4 - (((((3R、4S、5S、6R)-5-メトキシ-4 - ((2R、3R)-2-メチル-3-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル) オキシラン-2-イル)-1-オキサスピロ[2.5]オクタン-6-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)シクロヘキサン-1-アミニウム1-ヒドロキシ-2-ナフトエートとしても知られている、を対象とする。本開示はまた、これら両方の塩の安定で純粋な結晶多形を提供する。本明細書で提供される塩および多形は安定であり、フマギロール誘導体(例えば、ポリマーコンジュゲートフマギロール誘導体)の製造における中間体として使用することができる。これらの誘導体は、多くの疾患の治療において治療薬として有用である。さらに、前記の塩および多形は、治療薬として直接使用することができる。
【0007】
1の態様において、本開示は、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I):
【化1】
を記載する。
【0008】
1の態様において、本開示は、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I)(例えば、形態I、形態II、形態IIIおよび形体IV)を提供する。
【0009】
1の態様において、本開示は、約6.0, 9.0, および 18.0°2θ におけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩多形体(形態II)を提供する。1以上の実施形態において、形態IIの多形体は、示差走査熱量測定法により測定した、約178℃における発熱事象の開始および約188℃におけるピークを特徴とする。1以上の実施形態において、形態IIの多形体は、熱重量分析法/示差熱分析法(TG/DTA)により測定した、約181℃における発熱事象の開始および約189℃におけるピークを特徴とする。1以上の実施形態において、形態IIは、
図5Aまたは6Aに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0010】
1の態様において、本開示は、約 6.1, 8.6, および 16.4°2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩多形体(形態I)を提供する。いくつかの実施形態において、形態Iは、
図5Bまたは6Bに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0011】
1の態様において、本開示は、約8.3, 12.8 および 15.7°2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩多形体(形態III)を提供する。いくつかの実施形態において、形態IIIは、
図5C または 6Cに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0012】
1の態様において、本開示は、約5.1, 7.3 および 14.0 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩多形体(形態IV)を提供する。いくつかの実施形態において、形態IVは、
図5D または 6Dに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0013】
別の態様において、本開示は、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩(式II):
【化2】
を記載する。
【0014】
別の実施形態において、本開示は、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩(式II)(例えば、形態A)を記載する。
【0015】
1の態様において、本開示は、約 5.6, 8.9,および 15.4 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩多形体(形態A)を提供する。1以上の実施形態において、形態Aの多形体は、示差走査熱量測定法により測定した場合、約182℃における吸熱の開始および約186℃におけるピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、形態Aの多形体は、熱重量分析法/示差熱分析法(TG/DTA)により測定した場合、約186℃におけるピークを伴う約181℃における吸熱の開始および約191 °C(ピーク)における発熱を特徴とする。
【0016】
別の態様において、本開示は、下記:
(i)工程1:フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を、場合によりMTBEを含むメタノール中に溶解させ、溶液を形成させる;
(ii)工程2:場合により、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶(例えば、約1重量%)を前記溶液に添加する;
(iii)工程3:場合により、結晶化されたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を前記溶液から分離する、
工程を含む、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I)の多形体の調製方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記方法は場合により、工程1の後であるが工程2の前に、工程1Aおよび/または1B:
工程1A:前工程より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩溶液を冷却する;
工程1B:前工程より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩溶液に追加のMTBEを添加する;
をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記方法は場合により、工程2の後であるが工程3の前に、工程2Aおよび/または2B:
工程2A:前工程より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩溶液を冷却する;
工程2B:前工程より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩溶液にMTBEを添加する;
をさらに含む。
【0019】
1以上の実施形態において、前記方法は、工程1、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1B、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1B、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1B、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A,工程1B、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1B、工程1A、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A、工程1B、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A、工程1B、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、工程1、工程1B、工程1A、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1B、工程1A、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程2A、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A、工程1B、工程2、工程2A、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A、工程1B、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1B、工程2、工程2A、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1B、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A、工程1B、工程2、工程2A、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1A、工程1B、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1B、工程1A、工程2、工程2A、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1、工程1B、工程1A、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。
【0020】
1以上の実施形態において、本開示は、下記:
(i)工程1’:ベンゼンスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸のtert-ブチルメチルエーテルまたは酢酸エチル中の溶液)をフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の溶媒中(例えば、tert-ブチルメチルエーテル、メタノール、tert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの組合せ、または酢酸エチル)の溶液に添加する。この添加は、後に(例えば、濾過により)単離される沈殿を形成することができる。フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を含む前記沈殿は、上記の工程1のさらなる再結晶のため、後に溶媒中に再度溶解されることができる、
ことを含む、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形の反応晶析の方法を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記工程はさらに、上記の工程1A、工程1B、工程2、工程2A、工程2Bおよび工程3より選択される1以上の工程を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程2および工程3をを含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B,工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程1B、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程1A、工程2および工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程1B、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程1B,工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程1A、工程2、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程1A、工程2、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程2、工程2A、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程2、工程2A、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程2、工程2A、工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程1B、工程2、工程2A、2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1A、工程1B、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程1A、工程2、工程2A,工程2Bおよび工程3を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、工程1’、工程1B、工程1A、工程2、工程2B、工程2Aおよび工程3を含む。
【0024】
1以上の実施形態において、ベンゼンスルホン酸は適切な溶媒中(例えば、MTBE、メタノールまたはそれらの組合せ)の溶液として、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメート溶液の溶液へ添加される。
【0025】
1以上の実施形態において、工程1A, 1B, 2A および 2Bの1つまたは組合せを追加することで、結果として得られる多形体の収率および/または純度を向上させることができる。
【0026】
1の態様において、本開示は、式III:
【化3】
(式中、AAは天然に存在するまたは非天然のアミノ酸であり、xは1~約450の整数であり;yは1~約30の整数であり;nは1~約50の整数である)
により示される化合物の製造方法を提供する。例えば、式IIIで示される化合物は、化合物1:
【化4】
であってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記方法は、式(I)または式(II)で示される化合物:
【化5】
【化6】
を、式(IV)で示される化合物:
【化7】
(式中、x、yおよびnはそれぞれ上記で定義されるとおりであり、LGは脱離基(例えば、パラ‐ニトロフェニル基である)、
と接触させることを含む。
【0028】
他の態様において、本開示は、式Iまたは式IIで示される化合物の酢酸エチルからの結晶化を提供する。
【0029】
他の態様において、本開示は、式Iまたは式IIで示される化合物の疾患の治療のための使用を提供する。
【0030】
1以上の実施形態において、本開示は、高純度の式Iまたは式IIで示される化合物を含む組成物を提供する。
【0031】
1以上の実施形態において、本開示は、式Iの多形体および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。1以上の実施形態において、本開示は、式Iの多形形態IIおよび薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0032】
1以上の実施形態において、本開示は、式IIの多形体および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。1以上の実施形態において、本開示は、式IIの多形形態Aおよび薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0033】
本明細書で提供されるフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩およびフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩の多形体は、対応する遊離塩基、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートよりも安定であり、また前記遊離塩基よりも高純度で単離することができる。さらに、前記多形体(例えば、形態II)は、ヘミ酒石酸塩を含む、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートの特定の他の酸塩よりも安定である。それらの高められた純度および改善された安定性のために、本明細書で提供される塩および多形体は、ポリマーコンジュゲートフマギロール誘導体の合成における中間体として使用することができる。ポリマーコンジュゲートは、その後、MetAP2に関連する疾患などの疾患の治療のための治療剤として使用することができる。さらに、塩および多形は、治療剤として使用することができる。
【0034】
別の態様では、本開示は、式Iまたは式IIの化合物またはそれらの多形体の、MetAP2の活性を阻害または低下させるための使用を提供する。1以上の実施形態において、MetAP2阻害剤の活性は、癌などの疾患の発症および進行に影響し得る。
【0035】
1の態様では、本開示は、有効量の式I、式IIまたは式IIIの化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、疾患の治療方法を提供する。
【0036】
1の態様では、本開示は、疾患の治療のための医薬品の製造における式I、式IIまたは式IIIの化合物の使用を提供する。
【0037】
1の態様では、本開示は、疾患の治療のための式I、式IIまたは式IIIの化合物を提供する。
【0038】
前記疾患は、例えば、癌または代謝疾患であることができる、
【0039】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本出願が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において、単数形には、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含まれる。本明細書に記載されているものと類似または等価な方法および材料を本出願の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参考として援用される。本明細書に引用された参考文献は、本出願の先行技術であると認められるものではない。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および実施例は例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。本明細書で開示される技術のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことにより当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】
図1Aは、式I(フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)の形態II多形体サンプルのXRPDスペクトル(上)を、参照スペクトル(下)とともに示す。
【0041】
【
図1B】
図1Bは、式Iの形態II多形体サンプルのDSC曲線を示す。
【0042】
【
図1C】
図1Cは、式Iの形態II多形体サンプルのTG/DTAプロットを示す。TGプロットは上の線、DTAプロットは下の線である。
【0043】
【
図2A】
図2Aは、
図1Aと同様に、式Iの形態II多形体サンプルのXRPDスペクトル(上)を、参照スペクトル(下)とともに示す。
【0044】
【
図2B】
図2Bは、式Iの形態II多形体サンプルのDSC曲線を示す。
【0045】
【
図2C】
図2Cは、式Iの形態II多形体サンプルのTG/DTAプロットを示す。TGプロットは上の線、DTAプロットは下の線である。
【0046】
【
図3A-3C】
図3Aは、本明細書中でCooling-1として記載される冷却方法により調製された、式Iの形態II多形体の第1のサンプルのXRPDスペクトルである。
図3Bは、本明細書中でCooling-1として記載される冷却方法により調製された、式Iの形態II多形体の第2のサンプルのXRPDスペクトルである。
図3Cは、本明細書中でCooling-1として記載される冷却方法により調製された、式Iの形態II多形体の第3のサンプルのXRPDスペクトルである。
【0047】
【
図4A-4C】
図4Aは、本明細書中でAntisol-1として記載される貧溶媒の方法により調製された、式Iの形態II多形体の第1のサンプルのXRPDスペクトルである。
図4Bは、本明細書中でAntisol-1として記載される貧溶媒の方法により調製された、式Iの形態II多形体の第2のサンプルのXRPDスペクトルである。
図4Cは、本明細書中でAntisol-1として記載される貧溶媒の方法により調製された、式Iの形態II多形体の第3のサンプルのXRPDスペクトルである。
【0048】
【
図5A-5D】
図5Aは、式Iの形態II多形体サンプルのXRPDスペクトルを示す。
図5Bは、式Iの形態I多形体サンプルのXRPDスペクトルを示す。
図5Cは、式Iの形態III多形体サンプルのXRPDスペクトルを示す。
図5Dは、式Iの形態IV多形体サンプルのXRPDスペクトルを示す。
【0049】
【
図6A】
図6Aは、式Iの形態II多形体サンプルのXRPDスペクトルをピークの選択を付して示す。ピークのリストは表2, 3, 4, 5, 6 および 7に示す。
【0050】
【
図6B】
図6Bは、式Iの形態I多形体サンプルのXRPDスペクトルをピークの選択を付して示す。ピークのリストは表1に示す。
【0051】
【
図6C】
図6Cは、式Iの形態III多形体サンプルのXRPDスペクトルをピークの選択を付して示す。ピークのリストは表9に示す。
【0052】
【
図6D】
図6Dは、式Iの形態IV多形体サンプルのXRPDスペクトルをピークの選択を付して示す。ピークのリストは表10に示す。
【0053】
【
図7】
図7は、式Iの
1H NMRスペクトルを、溶媒の不純物とともに示す。
【0054】
【
図8】
図8は、式Iの形態II多形体の、SXRD解析による単一分子の図を示す。
【0055】
【0056】
【
図10A-10D】
図10Aは、アセトニトリルより結晶化された、式II(フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩)の形態A多形体サンプルのXRPDスペクトルを示す。
図10Bは、酢酸エチルより結晶化された、式IIの形態A多形体サンプルのXRPDスペクトルを示す。
図10Cは、メチルエチルケトンより結晶化された、式IIの形態A多形体サンプルのXRPDスペクトルを示す。
図10Dは、テトラヒドロフランより結晶化された、式IIの形態A多形体サンプルのXRPDスペクトルを示す。
【0057】
【
図10E】
図10Eは、式IIの形態A多形体サンプルのXRPDスペクトルをピークの選択を付して示す。
【0058】
【
図11】
図11は、式IIの形態A多形体サンプルのDSC曲線を示す。
【0059】
【
図12】
図12は、式Iの形態II多形体サンプルのTG/DTAプロットを示す。TGプロットは左から右へ下降する線、DTAプロットは左から右へ上昇する線である。
【0060】
【0061】
【
図14A】
図14Aは、固体化合物より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのヒドロキシナフトエ酸塩(式II)のHPLC分析を示す。同一のプロットを低分解能(上段)および高分解能(下段)に示す。
【0062】
【
図14B】
図14Bは、固体化合物より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのヒドロキシナフトエ酸塩(式II)のHPLC分析を示す。同一のプロットを低分解能(上段)および高分解能(下段)に示す。
【0063】
【
図15A】
図15Aは、式IのB細胞リンパ腫細胞における効果を、濃度関数として示す。
【0064】
【
図15B】
図15Bは、式Iの外套細胞リンパ腫細胞における効果を、濃度関数として示す。
【0065】
【
図15C】
図15Cは、式Iのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞における効果を、濃度関数として示す。
【0066】
【
図15D】
図15Dは、式Iの骨髄腫細胞における効果を、濃度関数として示す。発明の詳細な説明本出願の多形体
【0067】
本開示は、アミノアルキルフマギロールカルバメートの塩(例えば、ベンゼンスルホン酸塩およびヒドロキシナフトエ酸塩)およびその多形体に関する。具体的には、本開示は、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバミン酸ベンゼンスルホン酸塩(式I)およびフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩(式II)の結晶多形を記載する。式Iの結晶多形体は、I型、II型、III型またはIV型であり得る。いくつかの実施形態において、多形体はII型である。いくつかの実施形態では、多形体は溶媒和物である。本開示はまた、式IIの多形形態Aを提供する。本明細書に記載の結晶多形体は、フマギロールのポリマーコンジュゲート誘導体の合成における中間体として、または治療剤として使用することができる。
【0068】
1以上の実施形態において、本開示は、式Iまたは式IIの高純度の化合物を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、医薬担体をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、式IまたはIIの化合物は、高純度であり、例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、99.5%、約99.9%、または約99.99%より高い純度を有する。式IまたはIIの化合物(例えば、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートまたはフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩のベンゼンスルホン酸塩)は、結晶化により、高純度(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、99.5%、約99.9%、または約99.99%より高い純度)で得ることができる。理論に拘束されることを示すものではないが、遊離塩基(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメート遊離塩基)またはフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートの特定の他の塩については、かなりの量の不純物、例えば遊離塩基の自己縮合の生成物のため、式IまたはII等の高純度化合物を達成することは困難である。
【0069】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の多形体または式IまたはIIは、溶媒和物を含む。溶媒和物中に存在する溶媒は、例えば、多形体が結晶化される有機溶媒、または水であり得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、水またはMTBEであり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の多形体は、MTBEなどの10%未満の溶媒(例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の溶媒)を含む。いくつかの実施形態において、多形体は、1%未満の水分(例えば、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満または0.1%未満)を含む。MTBEに加えて、溶媒は、酢酸エチルのような再結晶プロセスで使用される有機溶媒であってもよい。
【0070】
本明細書で定義されるように、「XRPD」または「XPD」は、粉末X線回折を意味すると理解される。略語「DSC」は示差走査熱量測定を意味すると理解される。略語「TG」は、熱重量測定を意味すると理解される。略語「DTA」は、示差熱分析を意味すると理解され、略語「TG / DTA」は、熱重量分析/示差熱分析を意味すると理解される。
【0071】
本明細書で定義されるように、「GMP」は製造管理および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)を意味する。
【0072】
本明細書で使用されるように、「MTBE」はメチルtert-ブチルエーテル、tBMEとしても知られている、を意味する。
【0073】
本明細書で定義するように、「純粋な」とは、化合物が化学的な構成において均一であることを意味すると理解される。純粋な化合物は、例えば5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満などの、多量の別の化学的構成の分子を含有しないことが理解される。場合によっては、溶媒(例えば、MTBEおよび酢酸エチルのような有機溶媒、および水のような無機溶媒)を除いて、純度が測定される。
【0074】
本明細書で定義されるように、「安定な」または「安定性」は、化合物がある期間純粋に保たれる能力に関する。安定な化合物は、長期保存(例えば、1ヶ月超、6ヶ月超、または1年超)にもかかわらず、その純度を維持する(例えば、望ましくない化学式の分子を有さない)ものであり得る。安定な化合物はまた、高温または湿度のような条件にもかかわらず純粋なままである化合物であり得る。
式I:フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩
形態I、式I
【0075】
形態Iのフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I)は、例えば約50℃でアセトニトリルから、そして例えば約5℃でジクロロメタンから結晶化することができる。いくつかの実施形態では、式Iの形態Iは、XRPDによって測定される約6.1,8.6および16.4°2θにピークを有する。 例えば、式IのI型は、約6.1,8.6,12.3,16.4,17.4および18.4°2θにピークを有することができる。例えば、式Iの形態Iは、約6.1,8.6,10.7,12.3,16.4,17.4,18.4,20.5および23.8°2θにピークを有することができる。例えば、式Iの形態Iは、約6.1,8.6,10.7,12.3,15.1,16.4,17.4,18.4,20.5,22.4,23.8および24.7°2θにピークを有することができる。例えば、式Iの形態Iは、表1に列挙されるピークを有することができる。いくつかの実施形態において、式Iの形態Iは、
図5Bまたは6Bに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。
【表1】
形態II、式I
【0076】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I)の形態IIは、多くの溶媒から結晶化することができる。前記溶媒は、限定されるものではないが、アセトン、アニソール、1-ブタノール、シクロヘキサン、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルテトラヒドロフラン、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフランおよびトルエンおよびそれらの混合物を含む。
【0077】
形態II多形体の種々のバッチを以下に記載する。
【0078】
バッチ「GMP-1」は、65グラムスケールで製造管理および品質管理に関する基準(GMP)を用いて製造された。結晶は、偏光顕微鏡(PLM)によって特徴付けられる棒状の形態を有していた。
【0079】
バッチ「GMP-2」は、60グラムスケールで製造管理および品質管理に関する基準(GMP)を用いて製造された。結晶は、偏光顕微鏡(PLM)によって特徴付けられる棒状の形態を有していた。
【0080】
バッチ「Cooling-1」は、以下の実施例3に示すように、8グラムスケールで製造された。このバッチは、フマルギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩をメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)とメタノールの50:50混合物39mLに溶解することによって製造した。化合物を50℃で溶解し、追加のMTBEを添加する前に、5℃にゆっくりと冷却した。3つの試料を(i)追加のMTBEを添加する前、(ii)30mLのMTBEを添加した後、および(iii)60mLのMTBEを添加した後の時点で、バッチCooling-1から採取した。バッチCooling-1から採取した前記3つの試料のXRPDスペクトルをそれぞれ
図3A、3Bおよび3Cに示す。
【0081】
バッチ「Antisol-1」は、以下の実施例4に示すように、8グラムスケールで製造された。このバッチは、フマルギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩をメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)とメタノールの50:50混合物39mLに溶解することによって製造した。化合物を50℃で溶解し、5℃に冷却する前に、追加のMTBEを添加した。3つの試料を(i)追加のMTBEを添加する前、(ii)30mLのMTBEを添加した後、および(iii)60mLのMTBEを添加した後の時点で、Antisol-1から採取した。バッチAntisol-1から採取した前記3つの試料のXRPDスペクトルをそれぞれ
図4A、4Bおよび4Cに示す。
【0082】
1の態様において、本開示は、約6.0, 9.0, 及び18.0(例えば、約5.96, 9.00, および 18.02)°2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンを特徴とする、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体を提供する。
【0083】
1の実施形態では、形態IIは、約6.0, 9.0, および18.0°2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。1の実施形態では、形態IIは、約6.0, 9.0, 12.3, 12.5, 16.1, および18.0 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。他の実施形態では、形態IIは、約6.0, 9.0, 12.3, 12.5, 13.8, 16.1, 18.0, 20.0, および 25.8 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。他の実施形態では、形態IIは、約5.4, 6.0, 9.0,12.3, 12.5, 13.8, 16.1, 17.3, 18.0, 20.0, 20.8, および25.8 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。他の実施形態では、形態IIは、約5.4, 6.0, 9.0, 12.3, 12.5, 13.8, 16.1, 17.3, 18.0, 20.0, 20.8, 21.5, 22.0, 24.3, および25.8 °2θにおけるピークを含む、Cu Kα照射を用いたX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。他の実施形態では、式Iの形態IIは表2~7に挙げられるピークのいずれかを含むX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。
【0084】
1以上の実施形態では、形態IIは、
図1Aに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。1以上の実施形態では、形態IIは、
図2Aに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。1以上の実施形態では、形態IIは、
図3A、3Bまたは3Cに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。1以上の実施形態では、形態IIは、
図4A、4Bまたは4Cに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。1以上の実施形態では、形態IIは、
図5Aに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。1以上の実施形態では、形態IIは、
図6Aに示すものと実質的に同様のX線粉末回折パターンをさらに特徴とする。
【0085】
1以上の実施形態において、形態IIの多形体は、示差走査熱量測定法により測定した場合、約178℃における発熱事象の開始および約188℃におけるピークをさらに特徴とする。
図1Bおよび
図2Bは式Iの形態IIのDSCプロットを示す。1以上の実施形態において、形態IIの多形体は、熱重量分析法/示差熱分析法により測定した場合、約181℃における発熱事象の開始および約189℃におけるピークをさらに特徴とする。
図1Cおよび
図2Cは式Iの形態IIの試料のTG/DTAプロットを示す。
【0086】
本出願の表および図に示されるように、ピーク(位置2θ)のすべての値が、本出願の多形の異なるロットと一致するとはかぎらない。当業者は、同一の形態の多形体で異なるロットでさえ、わずかに異なる特徴付けデータを生成する可能性があるが、明らかに異なることはないと理解するであろう。例えば、与えられた測定を行うために使用される機器の較正におけるわずかな変動、または測定間の相対湿度のわずかな変動は、ロット間にわずかな差異を示すデータを生じさせる可能性がある。したがって、当業者は、例えば、本出願の多形体を適切に特徴付けるための信号間の矛盾を最小限に抑えるために、彼または彼女の機器を較正し、繰り返し測定を行うことができるであろう。しかし、バッチ間の差異に若干の差があるにもかかわらず、本出願の多形体は、上記のような特徴的なピーク(例えば、約6.0,9.0および18.0°2θ、例えば± 0.2°2θ)により同定され特徴づけられる。
XPRD
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0087】
表8は、式IのロットGMP-1およびGMP-2の偏光分析データを示す。
【表8】
単結晶X線解析(SXRD)
【0088】
式Iの結晶構造を
図8に示す。すべての非水素原子は、30%の存在確率レベルに設定された熱楕円体で示されている。
【0089】
2つの関連するベンゼンスルホネートアニオンのみを有する2つの完全な式単位のプロトン化されたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートを含む非対称単位が見出された。精密化の間、分子「B」アルケン部分の炭素原子C(20B)、C(21B)、C(22B)およびC(23B)の大きな熱変位楕円体が認められた。
【0090】
ベンジル環C(24B)<C(29B)についても大きな熱変位楕円体を示す硫黄原子S(1B)を中心とするベンゼンスルホネート「分子B」に対するさらなる不規則性が認められた。S(1B)を中心とするこの分子のスルホネート部分の回転障害が認められ、0.78:0.22の占有率がうまく一致し、- O(6B)およびS(1B) - O(8C)の距離は1.48(1)、S(1B) - O(7C)については1.44(1)と固定された。
【0091】
単位格子の約1.5%が約168Å3および812Å3を測定する2つの溶媒ボイドによって占有され、電子密度はそれぞれ74および137電子に等しいことが分かった。理論に拘束されることを示すものではないが、これらは無秩序な溶媒分子から生じる可能性が最も高い。したがって、これらのボイド内の電子密度は、小さなモル分率の溶媒分子でモデル化された。0.27当量の水、0.12当量のメタノールおよび0.06当量のMTBEを含む。 これらのうち、部分的に占有されたメタノールおよび2つの部分的に占められた水分子は、単位格子起源で精製された。
【0092】
観測されたデータの消光効果を補正するために、0.00031(3)の消光補正を適用し、全ての水素原子を計算された位置に配置し、全てのCH、CH2、 NH、NH3基に対して1.2倍のUisoを固定し、すべてのCH3基に対して1.5倍のUisoを固定したライディングモデルを用いて精密化した。
【0093】
最も高い残留フーリエピークは0.80 e. Å3 C(30)から約 1.1 Å3であった。理論に拘束されることを示すものではないが、これはO(9)を中心とするモデル化されたMTBE分子によって占有される溶媒の空隙に存在するさらなるディスオーダーに起因するようである。最も深いフーリエホールは-0.41 e. Å、H(9AA)から約 1.54 Åであった。
【0094】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形形態IIIは、エタノールおよびイソプロパノールから、例えば約50℃~約5℃で結晶化することができる。いくつかの実施形態では、式Iの形態IIIは、約8.3、12.8、および15.7、°2θにXRPDピークを有する。いくつかの実施形態では、式IのIII型は、約8.3,12.8,14.3,15.7,18.5および21.8°2θにXRPDピークを有する。いくつかの実施形態では、式IのIII型は、約8.3,12.8,14.3,15.7,17.6,18.5,21.0,21.8および23.5°2θにXRPDピークを有する。いくつかの実施形態では、式IのIII型は、約8.3,12.8,14.3,15.7,17.6,18.5,19.3,20.3,21.0,21.8,23.5および24.1°2θにXRPDピークを有する。いくつかの実施形態では、式IのIII型は、約8.3,9.0,12.8,14.3,15.7,17.6,18.5,19.3,20.3,21.0,21.8,22.2,23.5,24.1および25.0°2θにXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、形態IIIは、
図5Cまたは6Cに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、式IのIII型は、表9に列挙されるXRPDピークを有する。
【表9】
式I、形態IV
【0095】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形形態IVは、イソプロパノールと水(10%)との混合物から、例えば約0℃~約5℃で結晶化させることができる。いくつかの実施形態において、形態IVは、約5.1,7.3および14.0°2θにXRPDピークを有する。いくつかの実施形態では、形態IVは、約5.1,7.3,14.0,18.2,18.9および24.1°2θにXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、形態IVは、約5.1,7.3,14.0,17.1,18.2,18.9,23.5,24.1および24.7°2θにXRPDピークを有する。いくつかの実施形態において、形態IVは、
図5Dまたは6Dに示されるものと実質的に同様のX線回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、式Iの形態IVは、表10に列挙されるXRPDピークを有する。
【表10】
【0096】
本出願の多形体は、高純度を有することができる。1つ以上の実施形態において、純度は、核磁気共鳴(例えば、
1H NMR)によって測定することができる。代表的な
1H NMR条件を以下の実験セクションに示す。いくつかの実施形態では、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩は、
図7に示すような
1H NMRスペクトルを有することができる。フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩は、以下に示すように
1H NMRスペクトルを有することができる。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.89-7.87 (2H, m, ArH), 7.47-7.45 (3H, m, ArH), 5.45 (1H, br s, CH), 5.21 (1H, t, J = 6.8 Hz, CH), 3.63 (1H, dd, J = 11.3 2.8 Hz, CH), 3.45 (3H, s, OCH
3), 3.36-3.30 (1H, br m), 2.97 (1H, d, J = 4.1 Hz), 2.92 (1H, t, J = 11.7 Hz), 2.59 (1H, t, J = 6.1 Hz, CH), 2.55 (1H, d, J = 4.1 Hz), 2.40-2.35 (1H, m), 2.20-2.14 (1H, m), 2.08-1.93 (8H, m), 1.84 (1H, d, J = 12.9), 1.74 (3H, s, =CCH
3), 1.67 (3H, s, =CCH
3), 1.48-1.38 (2H, m), 1.28-1.24 (1H, m), 1.22 (2H, s), 1.07 (3H, t, J = 12.6 Hz).
【0097】
1つ以上の実施形態において、純度は、蒸発光散乱検出器(ELSD)または荷電エアロゾル検出器(CAD)を使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定することができる。代表的なHPLC実験条件を以下の実験セクションに示す。いくつかの実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩は、約8.75分の保持時間を有する。
【0098】
1対のHPLCプロットを
図9に示す。
図9および11に示すように、以下のピークがHPLC分析を用いて観察され、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメート ベンゼンスルホン酸塩は純度99%以上であった。
【表11】
【0099】
1以上の実施形態において、塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、約90%を超える純度(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、約99.9%、または約99.99%)を有する。1以上の実施形態において、塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、約95%より高い純度を有する。1以上の実施形態において、塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、約97%より高い純度を有する。1以上の実施形態において、塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、約98%より高い純度を有する。1以上の実施形態において、塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、約99.1%(例えば、約99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%)より高い純度を有する。
【0100】
1以上の実施形態において、塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、0.5%未満のアミノシクロヘキシル不純物を含む。1以上の実施形態において、塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、または0.1%未満のアミノシクロヘキシル不純物を含む。
形態II:フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩
【0101】
いくつかの実施形態において、本開示はフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩の多形体を提供する。
形態A、式II
【0102】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩の形態Aは、多くの溶媒から結晶化することができる。これらの溶媒としては、限定されるものではないが、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルエチルケトンおよびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0103】
1の態様において、本開示は、約5.6, 8.9, および 15.4°2θにおけるX線粉末回折(X線粉末回折)パターンによって特徴付けられる、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩(式II)の多形体(形態A)を提供する。1の態様において、前記の多形体は、約5.6, 8.9, 11.5, 12.1, 15.4,および20.9 °2θにおけるパターンを特徴とする。1の態様において、前記の多形体は、約5.6, 8.9, 11.5, 12.1, 15.4, 15.9, 19.7, 20.9,および23.3°2θにおけるパターンを特徴とする。1の態様において、前記の多形体は、約5.6, 8.9, 11.5, 12.1, 14.6, 15.4, 15.9, 17.4, 18.1, 19.7, 20.9,および23.3°2θにおけるパターンを特徴とする。1の態様において、前記多形体は、表12又は13に挙げられるピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0104】
1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩の形態Aは、
図10A~
図10Eのいずれか1つに記載のものと実質的に同様のX線回折パターンによってさらに特徴づけられる。
【0105】
1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩の形態Aは、DSCによって測定される、約182℃における吸熱開始および約186℃のピークをさらに特徴とする。
図11は、式IIのA型の試料の示差走査熱量測定曲線を示す。
【0106】
1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートヒドロキシナフトエ酸塩の形態Aは、熱重量分析/示差熱分析により測定される約186℃における吸熱開始および約187℃でのピークおよび約191℃(ピーク)の発熱を特徴とする。
図12は、式IIのA型の試料の熱重量分析/示差熱分析プロットを示す。
XPRD
【表12】
【表13】
【0107】
1以上の実施形態において、式IIの化合物は、
図13に示されるような
1H NMRスペクトルを有することができる。いくつかの実施形態において、式IIの化合物は、下記の
1H NMRスペクトルを有することができる:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 8.39 (1H, d, J = 8.2 Hz, ArH), 7.83 (1H, d, J = 8.8 Hz, ArH), 7.76 (1H, d, J = 8.2 Hz, ArH), 7.54-7.46 (2H, td, J = 27.2 7.3 Hz), 7.23 (1H, d, J = 8.5 Hz), 5.45 (1H. br s), 5.19 (1H, t, J = 6.8 Hz, CH), 3.69 (1H, dd, J = 11.7 2.2 Hz, CH), 3.48 (3H, s, OCH
3), 3.19 (1H, t, J = 10.9 Hz), 2.91 (1H, d, J = 3.8 Hz), 2.84 (1H, t, J = 6.3 Hz), 2.46 (1H, d, J = 4.1 Hz, CH), 2.42 (1H, t, J = 7.9 Hz), 2.29 (1H, d, J = 9.8 Hz), 2.20-2.03 (7H, m), 1.98-1.91 (2H, m), 1.77 (3H, s, =CCH
3), 1.68 (3H, s, =CCH
3), 1.52-1.36 (4H, m), 1.20 (3H, s, CCH
3), 0.88 (1H, d, J = 13.2 Hz).
【0108】
1以上の実施形態において、式IIの化合物は、
図14Aおよび14Bに示されるようなHPLCプロットを有することができる。
図14Aに示すように、上段プロットは母液の低分解能プロットであり、下段プロットはより高分解能で同様の分析を示す。
図14Aに対応するピークを以下の表14Aに示す。
図14Bに示すように、上段プロットは固体式II生成物の低分解能プロットであり、下段プロットはより高分解能で同じ分析を示す。
図14Bに対応するピークを以下の表14Bに示す。
【表14】
【表15】
【0109】
1以上の実施形態において、本明細書に提示される塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩およびヒドロキシナフトエ酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態IIおよび形態A)は、以下の化合物2を0.5%未満含む:
【化8】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満または0.1%未満の化合物2を含む。
【0110】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II及び形態A)は、0.5%未満の化合物3を含む。
【化9】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満または0.1%未満の化合物3を含む。
【0111】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II及び形態A)は、0.5%未満の化合物4を含む。
【化10】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満または0.1%未満の化合物4を含む。
【0112】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II及び形態A)は、0.5%未満の化合物5を含む。
【化11】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満または0.1%未満の化合物5を含む。
【0113】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II及び形態A)は、0.5%未満の化合物6を含む。
【化12】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II)は、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満または0.1%未満の化合物6を含む。
【0114】
1以上の実施形態において、前記の塩(すなわち、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートのベンゼンスルホン酸塩)および本出願の多形体(例えば、形態II及び形態A)は高度に安定である。本明細書で定義される安定性は、化合物が長期間に亘り確実な、好ましくは高レベルの純度で維持されるものして理解される。いくつかの実施形態において、安定性は、少なくとも6ヶ月間95%を超える純度のままであると定義することができる。いくつかの実施形態では、本出願の多形体は、長時間)さらには高い温度および/または相対湿度においてさえも、それらの純度を保持することができる。いくつかの実施形態では、本出願の多形体は、1か月を超える、2か月を超える、3か月を超える又は6か月を超える、さらには高い温度(例えば、25℃を超える、30℃を超える、35度を超える)および/または相対湿度(例えば、50% RHを超える、 60% RHを超える、75% RHを超える又は90% RHを超える)においてさえも、それらの純度を保持することができる。いくつかの実施形態において、開示の化合物(例えば、式Iの形態IIおよび式IIの形態A)はまた、低温でも長期間に亘純度を保持したままである。例えば、開示の化合物は‐20℃において6か月またはそれ以上、または約0~5℃において6か月またはそれ以上、純度を保持することができる。
【0115】
いくつかの実施形態において、本出願の多形体は、少なくとも1か月;少なくとも2か月;少なくとも3か月;少なくとも4か月;少なくとも5か月;少なくとも6か月;少なくとも1年;および少なくとも2年の間、純度を保持することができる。いくつかの実施形態において、本出願の多形体は、約 25 °C; 約30°C; 約35°C; 約40°C; 約45°C; および約50 °Cにおいて、純度を保持することができる。いくつかの実施形態において、本出願の多形体は、約60%相対湿度; 約 65% 相対湿度; 約 70% 相対湿度; 約 75% 相対湿度; 約 80% 相対湿度; 約 85% 相対湿度; 約 90% 相対湿度; 約 90% 相対湿度; 約 95% 相対湿度; および約 100% 相対湿度において、純度を保持することができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、約 5 °C ± 3 °C, 約 25 °C ± 2 °C および 60% 相対湿度 ± 5% 相対湿度, 約 30 °C ± 2 °C および 65% 相対湿度± 5% 相対湿度, および 約 40 °C ± 2 °C および 75% 相対湿度± 5% 相対湿度において安定である。
【0117】
以下の表15は、25℃、相対湿度60%で6ヶ月間保管された後の式Iの形態IIの純度データを示し、以下の表16は、40°C、相対湿度75%で6ヶ月間保管された後の式IのII型の純度データを示す。以下に示すように、化合物は、25℃および相対湿度60%で6ヶ月間保持した後、99%を超える純度を維持することができる。化合物は、40℃、相対湿度75%で6ヶ月間保持した後、95%を超える純度を維持することができる。
表15. 25 °C, 60% 相対湿度(RH)での式I化合物の形態IIの安定性
【表16】
表16.40°C, 75% 相対湿度(RH)での式I化合物の形態IIの安定性
【表17】
多形体の調製方法
【0118】
式Iの多形形態IIは、多数の異なる溶媒からフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を再結晶化することによって調製することができる。いくつかの好ましい実施形態では、形態IIの多形体は、MTBEおよび/またはメタノールの混合物から調製される。いくつかの実施形態では、メタノールに対するMTBEの比は50:50である。フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を再結晶化して形態II多形体を製造する2つの方法を以下に示す。
【0119】
以下に示す実施形態のいずれかにおいて、メタノール対メチルtert-ブチルエーテルの比は、1:99~99:1の間の任意の比とすることができる。以下に記載される実施形態のいずれかにおいて、工程1は、任意の温度(例えば、約25℃~約60℃;または約40℃~約60℃の間)で行うことができる。以下の実施形態のいずれにおいても、工程1Aは、溶液を約25℃(例えば、約40℃の温度)に冷却することを含むことができる。いくつかの実施形態において、工程1Aは、溶液を約0℃~10℃(例えば、約2℃~約8℃)の間に冷却することを含むことができる。いくつかの実施形態では、工程2Aは溶液をさらに冷却することを含むことができる。 例えば、工程1Aでは溶液を約25℃に冷却し、工程2Aでは溶液をさらに約2℃~約8℃に冷却することができる。 いくつかの実施形態では、工程1Aは省略され、工程2Aは、約40℃~約25℃または約2℃~8℃の間で溶液を冷却することを含むことができる。
【0120】
いくつかの実施形態において、本開示は、下記:
(i)工程1:フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を、場合によりMTBEを含むメタノール中に溶解させ、溶液を形成させる;
(ii)工程2:場合によりフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶(例えば、約1重量%)を前記溶液に添加する;
(iii)工程3:場合により、結晶化されたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を前記溶液から分離する、
工程を含む、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I)の多形体(形態II)の調製方法を提供する。
【0121】
いくつかの実施形態において、前記方法は場合により、工程1の後であるが工程2の前に、工程1Aおよび/または1B:
工程1A:前工程より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩溶液を冷却する;
工程1B:前工程より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩溶液に追加のMTBEを添加する;
をさらに含む。
【0122】
いくつかの実施形態において、前記方法は場合により、工程2の後であるが工程3の前に、工程2Aおよび/または2B:
工程2A:前工程より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩溶液を冷却する;
工程2B:前工程より得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩溶液にMTBEを添加する;
をさらに含む。
【0123】
1の実施形態において、工程1は、環境温度または室温(例えば、約20℃~約25℃)で行われる。1の実施形態において、工程1は、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を、溶解を促進させるため、場合によりMTBEを含むメタノール中で加温(例えば、約38~50℃または約40℃へ)することを含む。
【0124】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I)の多形体は、上述のように、工程1,2および3ならびに工程1A、1B、2Aおよび2Bの任意の組合せを実施することによって調製することができる。
【0125】
1の実施形態において、本開示は、以下:
(1)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を一定量のメタノールに添加して溶液を形成させる;
(1B)一定量のtert-ブチルメチルエーテルを前記溶液に加える;
(1A)前記溶液を冷却する;
(2)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶(例えば、約1重量%)を前記溶液に添加する;
(2A)前記溶液を冷却する;
(2B)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を生成するために前記溶液に追加のtert-ブチルメチルエーテルを加える;そして
(3)結晶のフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を単離するために溶液を濾過する、
ことを含む、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(例えば、形態II)の多形体を調製する方法を提供する。
【0126】
上記態様のいずれかの1つ以上の実施形態において、工程(1)におけるメタノールとフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバミン酸ベンゼンスルホン酸塩との比は約5:3である(リットル/モル)。1以上の実施形態において、約1リットルのメタノールを使用して、工程(i)においてフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩約0.6モルを溶解する。上記方法の1つ以上の実施形態において、工程(1)の混合物を約38~50℃に加温して溶液を形成する。上記の方法の1つ以上の実施形態において、工程(1)の混合物を例えば約40℃に加温して溶液を形成する。
【0127】
1つ以上の実施形態において、工程(1B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの容積は、工程(1)で使用されるメタノールの容量の約1~1.5倍である。1以上の実施形態において、工程(1B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの容量は、工程(1)で使用されるメタノールの容量の約1.25倍である。1以上の実施形態において、溶液はtert-ブチルメチルエーテルの添加後に濁り(曇り)を生ずる。
【0128】
1以上の実施形態において、工程(1A)は溶液を約30~36℃に冷却することを含む。1以上の実施形態において、工程(1A) は溶液を約35℃に冷却することを含む。1以上の実施形態において、工程(1A)はゆっくり行われる。1以上の実施形態において、冷却は約1時間で完了する。
【0129】
1以上の実施形態において、工程(2)において添加されるフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶(例えば、約1重量%)は、添加される前に粉砕される。
【0130】
1以上の実施形態において、工程(2A)は、溶液を約2~8℃に冷却することを含む。1以上の実施形態において、工程(2A)は、溶液の温度を(例えば、約2~8℃で)一定時間(例えば、約5~20分)維持することをさらに含む。1以上の実施形態において、工程(2A)は、溶液の温度を(約2~8℃で)約10分間維持することをさらに含む。
【0131】
1以上の実施形態において、工程(2B)で添加される追加のtert-ブチルメチルエーテルの容量は、工程(1)で使用されるメタノールの容量の約4~8倍である。1以上の実施形態において、工程(2B)で添加される追加のtert-ブチルメチルエーテルの容量は、工程(1)で使用されるメタノールの容量の約6.5倍である。1以上の実施形態において、工程(2B)の温度は約2~8℃に維持される。1以上の実施形態において、工程(2B)の温度は、一定時間(例えば、約1時間)約2~8℃に維持される。
【0132】
1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形は、工程(3)の後にtert-ブチルメチルエーテルでさらに洗浄される。1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、さらに真空下で乾燥されることができる。1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、約40℃でさらに真空中で乾燥されることができる。
【0133】
1以上の実施形態では、形態IIおよび形態Aの生成のための、本明細書に提供される工程、またはそれらの組合せ(例えば、工程1、工程1'、工程1A、工程1B、工程2、工程2A、工程2B、工程3)は、純度の増加および/または収率の増加をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される工程の適用は、工程1,2および3を単に適用することよりも収率を改善することができる。例えば、本明細書の工程の適用により、約10%、約20%、約30%、40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%で収率を向上させることができる。形態IIまたは形態Aの収率は、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%または約99.9%またはそれ以上であることができる。さらに、本明細書で提供される方法(例えば、工程1、工程1 '、工程1A、工程1B、工程2、工程2A、工程2B、工程3)を適用することによって、形態IIまたは形態Aの純度を向上させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される工程の適用は、工程1,2および3を単純に適用することより純度を改善することができる。例えば、本明細書の工程の適用により、約10%、約20%、約30% 40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%で純度を向上させることができる。形態IIまたは形態Aの純度は、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%または約99.9%またはそれ以上である。
【0134】
1の実施形態において、本開示は、以下:
(1)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩をtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物に溶解し溶液を形成する;
(1A)前記溶液を冷却する;
(2)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶(例えば、約1重量%)を前記溶液に添加する;
一定量のtert-ブチルメチルエーテルを前記溶液に加える;
(2A)前記溶液を冷却し続ける;
(2B)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を生成するために前記溶液に追加分量のtert-ブチルメチルエーテルを加える;そして
(3)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を単離するために溶液を濾過する、
ことを含む、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(例えば、形態II)の多形体を調製する方法を提供する。
【0135】
1以上の実施形態において、工程(1)におけるtert-ブチルメチルエーテルとメタノールとの比は、約50:50~約20:80の間である。1以上の実施形態では、前記比は約50:50である。1以上の実施形態において、溶解は約40~60℃で行われる。1以上の実施形態において、溶解は約50℃で行われる。1以上の態様において、工程(i)で製造されたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の溶液を約15分~1時間撹拌する。1以上の実施形態では、工程(1)で製造されたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の溶液を50℃で約30分間撹拌して冷却前に確実に溶解させる。
【0136】
1以上の実施形態において、工程(1A)は、約0.1~0.5℃/分の速度での冷却を含む。 1以上の実施形態において、工程(1A)は約0.2℃/分の速度での冷却を含む。1以上の実施形態において、工程(ii)は、約30~45℃に冷却することを含む。1以上の実施形態において、工程(1A)は約37℃に冷却することを含む。
【0137】
1以上の実施形態において、工程(2)において添加されるフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶(例えば、約1重量%)は、添加される前に粉砕される。
【0138】
1以上の実施形態において、工程(2A)は、約0.1~0.5℃/分の速度での冷却を含む。1以上の実施形態において、工程(2A)は、約0.2℃/分の速度での冷却を含む。1以上の実施形態において、工程(2A)は、10℃未満まで冷却する工程を含む。1以上の実施形態において、工程(2A)は約5℃に冷却することを含む。
【0139】
1以上の実施形態において、工程(2B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの量は、工程(1)で使用されるtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物の量の約10~50%である。1以上の実施形態において、工程(2B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの量は、工程(1)で使用されるtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物の量の約15%である。1以上の実施形態において、工程(2B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの量は、工程(1)で使用されるtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物の量の約30%である。
【0140】
1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、工程(3)の後にtert-ブチルメチルエーテルでさらに洗浄される。1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、真空下でさらに乾燥することができる。1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、約40℃で、真空下でさらに乾燥することができる。
【0141】
1以上の実施形態において、本開示は、以下:
(1)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩をtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物に溶解し溶液を形成する;
(1B)tert-ブチルメチルエーテルを前記溶液に加える;
(2)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶(例えば、約1重量%)を前記溶液に添加する;
(2B)追加のtert-ブチルメチルエーテルを前記溶液に加える;
(2A)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を生成するために前記溶液を冷却する;そして
(3)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態を単離するために溶液を濾過する、
ことを含む、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体(例えば、形態II)を調製する方法を開示する。
【0142】
1以上の実施形態において、工程(1)におけるtert-ブチルメチルエーテルとメタノールとの比は、約50:50~約20:80の間である。1以上の実施形態において、前記の比は約50:50である。1以上の実施形態において、前記溶解は約40~60℃で行われる。1以上の実施形態において、溶解は約50℃で行われる。1以上の態様において、工程(1)で製造されたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の溶液を約15分~1時間撹拌する。1以上の実施形態では、工程(1)で製造されたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の溶液を50℃で約30分間撹拌し、冷却前に確実に溶解させる。
【0143】
1以上の実施形態において、工程(1B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの容量は、工程(1)で使用されるメタノールの容量の約1~1.5倍である。1以上の実施形態において、工程(1B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの容量は、工程(1)で使用されるメタノールの容量の約1.25倍である。1以上の実施形態において、溶液はtert-ブチルメチルエーテルの添加後に濁り(曇り)を生ずる。
【0144】
1以上の実施形態において、工程(2)において添加されるフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の種結晶(例えば、約1重量%)は、添加される前に粉砕される。
【0145】
1以上の実施形態において、工程(2B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの量は、工程(1)で使用されるtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物の量の約10~50%である。1以上の実施形態において、工程(2B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの量は、工程(1)で使用されるtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物の量の約15%である。1以上の実施形態において、工程(2B)で添加されるtert-ブチルメチルエーテルの量は、工程(1)で使用されるtert-ブチルメチルエーテルおよびメタノールの混合物の量の約30%である。
【0146】
1以上の実施形態において、工程(2A)は、約0.1~0.5℃/分の速度での冷却を含む。1以上の実施形態において、工程(2A)は、約0.2℃/分の速度での冷却を含む。1以上の実施形態において、工程(2A)は、10℃未満まで冷却する工程を含む。1以上の実施形態において、工程(2A)は約5℃に冷却することを含む。
【0147】
1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、工程(3)の後にtert-ブチルメチルエーテルでさらに洗浄される。1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、真空下でさらに乾燥することができる。1以上の実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、約40℃で、真空下でさらに乾燥することができる。
冷却再結晶
【0148】
いくつかの実施形態において、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形形態IIは、(trans-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩をMTBEおよびメタノール中で約50℃で混合し、得られた混合物を冷却した後、混合物にMTBEを加えて結晶化を完了させることにより、MTBEとメタノールの混合物から結晶化させることができる。いくつかの実施形態において、MTBEとメタノールの混合物は50:50の混合物である。メタノールに対するMTBEの比は、1:99~99:1の間の任意の比とすることができる。いくつかの好ましい実施形態では、メタノールに対するMBTEの比は約8:2未満である。いくつかの実施形態において、メタノールに対するMBTEの比は、約8:2~約9:1である。いくつかの実施形態において、得られるフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の純度は、著しくより多量のMBTEが使用される場合、悪影響を受ける可能性がある。いくつかの実施形態では、得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の純度は、MBTEのメタノールに対する比が約9:1より大きい場合、悪影響を受ける可能性がある。いくつかの実施形態では、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩は、約50℃の温度で溶解される。フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩はまた、約40℃、約35℃、約25℃、または50℃~5℃の間の任意の特定の温度で溶解することができる。冷却再結晶の手順によって生成された材料のXRPDスペクトルを
図3に示す。
図3Aは、第1のサンプルからの物質(すなわち、さらなるMTBEの添加前)のXRPDスペクトルを示し、
図3Bは、第2のサンプルからの物質(すなわち、30mLのMTBEの添加後)を示す。
図3Cは、乾燥された最終物質のXRPDスペクトルを示す。
貧溶媒による再結晶
【0149】
いくつかの実施形態では、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形形態IIは、MTBEとメタノールの混合物から、固体のフマギル-6-イルN-(trans-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩をMTBEおよびメタノール中に約50℃で添加し、得られた混合物を冷却し結晶化を完了させる前に、追加のMTBEを加えることにより、MTBEとメタノールの混合物から結晶化させることができる。メタノールに対するMTBEの比は、1:99~99:1の間の任意の比とすることができる。いくつかの実施形態では、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩は、約50℃の温度で溶解される。フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩はまた、約40℃、約35℃、約25℃、または50℃~5℃の間の任意の特定の温度で溶解することができる。
図4Aは、第1のサンプル(すなわち、約30mLのMTBEを添加した後)からの物質のXRPDスペクトルを示し、
図4Bは、第2のサンプル(すなわち、60mLのMTBEを添加した後)からの物質のXRPDスペクトルを示す。
図4Cは、乾燥された最終物質のXRPDスペクトルを示す。
酢酸エチルからの結晶化
【0150】
いくつかの実施形態では、式Iおよび/または式IIは、酢酸エチルから直接結晶化することができる(例えば、以下の実施例5に記載されるように)。いくつかの実施形態において、式Iおよび/または式IIの遊離塩基を、水層を塩基性化し遊離塩基を有機溶媒中に戻して抽出する前に、酸性化し水層に抽出することなく、酢酸エチルから直接結晶化されることができる。これは、場合によりメタノールおよび/またはからの再結晶よりも操作が簡単であるという利点を有する。最終生成物(すなわち、式Iおよび/または式II)の純度をなお維持しながら、より少ない有機溶媒を使用するという利点を有することができる。
【0151】
その結果、いくつかの実施形態において、本開示は、以下:
(i)フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートを酢酸エチルに溶解し溶液を形成する;
(ii)ベンゼンスルホン酸を前記フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートの酢酸エチル溶液に加える;そして、
(iii)得られたフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を濾過する、
ことを含む、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の多形体(例えば、形態II)を調製する方法を提供する。
【0152】
いくつかの実施形態において、ベンゼンスルホン酸は、酢酸エチル中の溶液として添加される。いくつかの実施形態において、ベンゼンスルホン酸は、約8~12℃の温度で添加される。いくつかの実施形態では、この方法は、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートおよびベンゼンスルホン酸の混合物を約0~5℃に冷却することをさらに含む。したがって、いくつかの実施形態では、酢酸エチルからの結晶化は反応性結晶化である。いくつかの実施形態において、ベンゼンスルホン酸/酢酸エチル溶液を添加する前の酢酸エチル遊離塩基溶液中の水含有量は、1.0~1.3%の範囲である。
【0153】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I)の合成
以下のスキーム1に示すように、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩は、フマギル-6-イル、p-ニトロフェニルカーボネートを過剰量のトランス-1,4-ジアミノシクロヘキサンで処理することにより製造することができる。前記遊離塩基生成物を最終的にMTBE中に抽出し、以下の実施例1に示すようにベンゼンスルホン酸で処理する。
スキーム1.フマギル-6-イル、p-ニトロフェニルカーボネートからの、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の合成
【化13】
【0154】
理論に拘束されることを示すものではないが、式Iの遊離塩基形態、すなわちフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートは、第1級アミンおよび2つのエポキシドの両方の存在のために本質的に不安定である。さらに、式Iのヘミ酒石酸塩(図示せず)は、上に示した有意な量の自己縮合生成物、化合物2および化合物3ならびに加水分解生成物である化合物4を含有することが見出された。ヘミ酒石酸塩およびベンゼンスルホン酸塩はまた、フマギリン(天然物)出発物質である化合物5(上に示した)に関連する不純物を含んでいた。広範な実験検討によっても、ヘミ酒石酸塩中の不純物レベルを薬学的に許容可能なレベルまで低下させることができなかった。したがって、本開示のフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩およびその多形体(例えば、形態II)は、対応するヘミ酒石酸塩および遊離塩基よりも安定であると理解される。
【0155】
上記の遊離塩基および他の塩形態とは対照的に、本明細書に記載の多形体(例えば、形態II)は、例えば、医薬物質の評価のためのICH標準によって確立された標準温度および圧力において安定である。したがって、本明細書に記載の多形体は、以下に示すような安定な化学中間体として使用することができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、本開示は、実施例1および/または実施例5に記載の対応する遊離塩基からの式Iの化合物の反応性結晶化を提供する。この方法は、いくつかの実施形態において自己縮合を受ける遊離塩基エポキシドの単離を回避する。
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の使用
【0157】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I)は、式IIIの化合物のようなフマギロールまたはフマギリンのポリマーコンジュゲート誘導体の合成における中間体として有用である:
【化14】
【0158】
1以上の態様において、本開示は、化合物1
【化15】
を製造する方法であって、下記式(I)または式(II)で示される化合物:
【化16】
【化17】
を、下記式(IV)で示される化合物:
【化18】
(式中、xは1~約450の整数であり;yは1~約30の整数であり;nは1~約50の整数であり、およびLGは脱離基であり、1の実施形態において、前記脱離基LGは、
【化19】
である)
と接触させることを含む、方法を提供する。
【0159】
式IIIの化合物は、以下のスキーム2に従って式Iの化合物から製造することができる。以下のスキーム2に示すように、式IをHPMAコポリマー(これはそれ自体がアミノ酸鎖に結合している)で処理する。アミノ酸鎖は適切な脱離基(LG、例えばパラ - ニトロフェニル)を有し、反応は適切な溶媒(例えばDMF)の存在下で行われる。
スキーム2.式Iから式IIIの化合物Iの製造例
【化20】
【0160】
上記の化合物2,3,4および5等のような、式IまたはIIの化合物の合成中の特定の不純物も、式IまたはIIと同じ方法で反応させてポリマーに結合させることができる。これは反応に干渉し、またポリマー結合不純物が除去することが困難であるため、式IIIの純度を低下させる可能性がある。上記のような本出願の多形体は、高純度を有し、特に最小量の化合物2,3,4および5を含む。したがって、本出願の多形体は、化合物の調製のための中間体として特に適切であり、式IIIを良好な収率および高純度で製造するために使用することができる。理論に拘束されることを示すものではないが、式IIIの化合物の中間体として本明細書に提示される塩(例えば、式Iまたは式II)の使用は、対応する遊離塩基の使用と比較してより高い収率およびより高い純度を提供し得る。
【0161】
式Iまたは式IIの化合物および本出願の多形体は、MetAP2の阻害に有用であり得る。いくつかの実施形態において、式Iまたは式IIの化合物または本出願の多形体は、MetAP2の阻害剤として使用することができる。したがって、式Iまたは式IIの化合物または本出願の多形体(例えば、形態II、形態A)は、MetAP2が関与する疾患または状態(例えば、疾患または症状の発症、調節および/または進行)、例えば、癌(例えば、リンパ腫のような血液学的癌)を処置するために使用されることができる。例えば、
図15は、癌細胞に対する本開示の化合物の効果を示す。
図15Aは、B細胞リンパ腫細胞に対する式Iの効果を濃度関数として示す。
図15Bは、外套細胞リンパ腫細胞に対する式Iの効果を濃度関数として示す。
図15Cは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞に対する式Iの効果を濃度関数として示す。
図15Dは、骨髄腫細胞に対する式Iの効果を濃度関数として示す。
【0162】
本開示の別の態様は、式Iおよび/または式IIの化合物および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0163】
本開示の別の態様は、本出願の多形体(例えば、式Iの多形体形態II)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0164】
本出願の1以上の化合物または多形体を哺乳動物に提供する際に、投与される化合物または多形体の投与量は、哺乳動物の年齢、体重、身長、性別、一般的な医学状態、以前の病歴、疾患の進行、腫瘍の負担、投与経路、処方などに依存する。例えば、本明細書に記載の治療を必要とする哺乳動物のための本開示の化合物の適切な用量は、体重1キログラムあたり約0.01mg~約2000mg化合物の範囲である。さらに、式IIの場合、ポリマーに結合する効果のために、薬剤は、特定の障害の治療において典型的に使用されるよりも低用量で投与され得る。驚くべきことに、いくつかの実施形態において、本開示のポリマーコンジュゲートは、対応する低分子よりも、重量/重量基準で高活性である。
【0165】
本開示は、以下の実施例によってさらに説明されるが、本明細書に記載された特定の手順の範囲または思想におけるこの開示を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例は、特定の実施形態を説明するために提供され、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本開示の意図および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に示唆され得る様々な他の実施形態、改変および等価物が、手段に与えられ得ることがさらに理解されるべきである。すべての溶媒および他の化学試薬は、商業的供給源(例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO))から得られ、別段の記載がない限り、さらなる精製を行わずに使用された。
略語
【0166】
【0167】
別段の特定がない限り、XRPD分析は、3~35°2θの間で試料を走査する、パノラミックX'pertプロ(panalytical X’pert pro)で実施した。材料を穏やかに粉砕し、マイラーポリマーフィルムを有するマルチウェルプレート上に載せてサンプルを支持した。次にマルチウェルプレートを透過モードで動作する回折計に装填し、以下の実験条件を用いて分析した:
加工前原データ: XRD measurement (*.XRDML)
スキャン軸(Scan Axis):ゴニオ
開始位置(Start Position)[°2θ]: 3.0066
終了位置(End Position)[°2θ]: 34.9866
ステップサイズ[°2θ]: 0.0130
スキャンステップ時間[s]: 18.8700
スキャンタイプ:連続
PSDモード: Scanning
PSD長さ[°2θ]: 3.35
オフセット[°2θ]: 0.0000
発散スリットタイプ:固定
発散スリットサイズ[°]: 1.0000
測定温度[°C]: 25.00
陽極材料: Cu
K-α1[Å]: 1.54060
K-α2[Å]: 1.54443
K-β[Å]: 1.39225
K-A2 / K-A1 比: 0.50000
発生機設定(Generator Setting): 40 mA, 40 kV
ゴニオメーター半径 [mm]: 240.00
照射距離-発散スリット(Dist. Focus-Diverg. Slit)[mm]: 91.00
入射光モノクロメーター(Incident Beam Monochromator): No
スピニング: No
熱重量分析および示差熱分析(TGA / DTA)
【0168】
特段の指定がない限り、TG / DTAは以下の手順によって実施した。 約3mgの材料を開放アルミニウムパンに秤量し、熱重量/示差熱分析同時装置(TG / DTA)に入れ、室温に保持した。次いで、試料を25℃から300℃まで10℃/分の速度で加熱し、その間に試料重量の変化を任意の示差熱事象(DTA)と共に記録した。充填ガスとして300cm3/分の流量で窒素を使用した。
示差走査熱量測定(DSC)
【0169】
特段の指定がない限り、以下の手順でDSCを実施した。約2mgの材料をアルミニウムDSCパンに秤量し、穿孔したアルミニウム蓋を用いて非気密に密閉した。次いで、サンプルパンを冷却し、20℃に保持したSeiko DSC6200(冷却器を備えている)に装填した。一旦、安定した熱流応答が得られたら、サンプルおよび参照物を10℃/分の速度で220℃に加熱し、得られた熱流応答をモニターした。試料を20℃に戻し冷却し、220℃に再加熱し、得られた熱流応答をモニターした。
偏光顕微鏡法(PLM)
【0170】
約1mgの固体をガラス顕微鏡スライドに加えた。固体を一滴のシリコンオイルに懸濁し、ガラスカバースライドで覆った。サンプルを、20倍の倍率で偏光および非偏光で分析した。
偏光分析法
【0171】
各試料について10mg/mLのメタノール溶液を調製した。100μLのアリコートを各溶液から採取し、1mg/mLのメタノール溶液を調製するために使用した。10mg/mL溶液に対して行った試験の結果を確認するために前記希釈溶液を使用した。
【0172】
分析は、Schmidt and Haensch Polartronic H532偏光計で行った。試料を100mmセルで分析した。試料は、波長589nm、温度26℃の光を用いて分析した。比旋光度は以下の式で計算した。
【0173】
αD26=(測定角×100)/(濃度×透過長)
X線単結晶解析(SXRD)
【0174】
SXRD分析は、Agilent Technologies(Dual Source)SuperNova回折計で単色MoKα(λ=0.71073Å)放射を用いて行った。回折計にはOxford Cryosystemsの低温装置が取り付けられており、120(10)Kでデータ収集を行うことができた。収集されたデータは、CrysAlisProの一部として実装された多面結晶モデルによるガウス積分ソフトウェアパッケージ(Agilent Technologies、2014)に基づく吸収効果のため補正された。
【0175】
前記構造は、直接法(SHELXS97)1によって解析され、OLEX2ソフトウェアパッケージを介してインターフェースされたF2(SHELXL97)1で完全最小二乗精密化によって展開された。本報告のために作成された画像は、ローカルプログラムを介して行われた。
【0176】
三方晶系(trigonal)空間群R3においてデータを収集し、解明し、精密化(refined)した。PLATON3のADDSYMM2ルーチンを使用したより高い対称性の検索は、より高い対称性を明らかにしなかった。
【0177】
全ての完全に占有された非水素原子は、フーリエマップ内に配置され、それらの位置は、それらの熱的挙動を記述するために異方性楕円体として精密化する前に精密化された。
1H 核磁気共鳴(1H NMR)
【0178】
1H NMRスペクトルは、Bruker PRO500(500MHz)分光計またはBruker AVA500(500MHz)分光計で記録した。化学シフト(δ)は、残留プロトン化溶媒を内部標準(7.26ppmのCDCl3)としてテトラメチルシランの百万分率(ppm)低磁場(downfield)で引用されている。実験は重水素化クロロホルム中で行い、各試料は約10mMの濃度で調製した。
高速液体クロマトグラフィー (HPLC)
【0179】
別段の特定がない限り、以下の実験条件を用いてHPLCを実施した:
カラム: Agilent Eclipse XDB C18 5μm, 150x4.6 mm column
移動相A: 0.1% Trifluoroacetic Acid
移動相B: 0.1% Trifluoroacetic Acid in Acetonitrile
希釈(diluent)1:1 水:アセトニトリル
流速: 1.0 mL/min
実行時間(runtime): 24分
検出器: Evaporative Light Scattering Detector (ELSD)
検出圧力: 3.6 bar
検出ゲイン: 8
検出温度: 50 °C
検出ガス: 窒素
カラム温度: 25°C
オートサンプラー温度: 5 °C
投入体積: 10 μL (サンプル体積は必要に応じて調整されてもよい)
濃度勾配(gradient)プログラム:
【表19】
【0180】
実施例1-フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の合成および反応晶析
【化21】
【0181】
酢酸エチル(2.8L)に溶解したトランス-1,4-ジアミノシクロヘキサン(102.2g、895mmol、4.9当量)の溶液を0~5℃に冷却した。フマギル-6-イルp-ニトロフェニルカーボネート(80.8g、181mmol、1当量)を酢酸エチル(3.2L)に溶解し、0~5℃の温度に維持しながらトランス-1,4-ジアミノシクロヘキサンの攪拌溶液に30~90分かけて加えた。HPLC-UVによる工程内管理下(in-process control)、カーボネートが出発濃度の2%未満になるまで、反応混合物を0~5℃で少なくとも120分間撹拌した。バッチを濾過して固体の副生成物を除去し、固体を酢酸エチル(2×1.2L)で洗浄した。酢酸エチル溶液を水(0.5L)で洗浄し、水相を廃棄した。酢酸エチルを水(1.6L)および10%クエン酸(0.24L)の溶液で抽出した。水相のpHは約6であり、酢酸エチルを廃棄した。前記水溶液を、1N炭酸ナトリウム(0.87L)を用いてpH10.3に調整した。遊離塩基の形態の生成物をMTBE(4×1.6L)中に抽出した。有機相を乾燥剤としての硫酸ナトリウム(4×128g)で乾燥させた。有機抽出物を合わせ、濾過して乾燥剤を除去した。乾燥剤をMTBE(1.4L)で洗浄した。MTBE中のフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメート(遊離塩基)を0-5℃に冷却し、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(0.8g)を種として加えた。バッチを0~5℃に維持しながら、MTBE(0.43L)中のベンゼンスルホン酸(17.7g、0.62当量)の溶液をゆっくり添加した。バッチを-20℃に冷却した。固体を濾過により集め、MTBE(0.5L)で洗浄し、減圧下35℃以下で乾燥して、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(68.3g、62%、式I)を得た。
実施例2-フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の再結晶
【0182】
メタノール(200mL)中のフマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(68.3 g, 118 mmole, 式I)の撹拌懸濁液を、透明な溶液が得られるまで40℃で加温した。バッチ温度を40℃で維持しながら、溶液が濁るまでMTBE(250mL)をゆっくり加えた。バッチを1時間かけて35℃に冷却した。フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(684mg、1.2ミリモル、1重量%)の種を入れた。バッチを5℃ごとのステップで冷却し(cooled in 5 °C steps)、バッチが2~8℃に達するまで、各ステップで30分間放置し、2~8℃で10分間保持した。追加のMTBE(合計8.8容量)を60分かけて添加し、バッチを2~8℃で少なくとも60分間保持した。固体を濾過により集め、MTBE(410mL)で洗浄し、減圧下35℃以下で乾燥させて、所望の生成物(64.6g、95%)を形態IIの多形体として得た。
実施例3.フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の冷却結晶化
【0183】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(8.1992g)を39mLのMTBE:メタノール(50:50)に溶解して、約210mg / mLの初期濃度を得た。溶液を50℃で30分間撹拌し、集束ビーム反射率測定(FBRM)によってモニターして溶解を確実にした。溶液を0.2℃/分の速度で5℃に冷却した。37℃で、0.08g(約1%)の種物質を乳鉢と乳棒を用いて穏やかに粉砕し、混合物に加えた。溶液の温度が5℃に達したところで試料を採取し、30mLのMTBEが添加されるまでMTBEを30mL/時間の速度で添加した。第2のサンプルを採取し、60mLが添加されるまでMTBEの添加を続けた。次いで、結晶化をさらに15分間撹拌した。最終スラリーを濾過し、得られた物質を40℃で約16時間真空乾燥した。
【0184】
上記の手順によって生成された物質のXRPDスペクトルを
図3に示す。
図3Aは、第1のサンプル(すなわち、さらなるMTBEの添加前)からの物質のXRPDスペクトルを示し、
図3Bは、第2のサンプル(すなわち30mLのMTBEを添加後)からの物質のXRPDスペクトルを示す。
図3Cは、乾燥された最終生成物のXRPDスペクトルを示す。
実施例4-フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の貧溶媒(antisolvent)結晶化
【0185】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(8.0514g)を39mLのMTBE:メタノール(50:50)に溶解して、約210mg/mLの初期濃度を得た。溶液を50℃で30分間撹拌し、集束ビーム反射率測定(FBRM)によってモニターして溶解を確実にした。MTBEの分割量(aliquot)を30mL/時間の速度で容器に添加した。10.4mLのMTBEを加えた後、0.08g(約1%)の種物質を乳鉢と乳棒で穏やかに粉砕し、混合物に加えた。30mLのMTBEを加えた後、サンプルを採取した。MTBEの添加を継続し、60mLのMTBEの添加後に第2のサンプルを採取した。次いで、溶液を0.2℃/分の速度で5℃に冷却した。次いで、結晶化物をさらに15分間撹拌した。最終スラリーを濾過し、得られた物質を40℃で約16時間真空乾燥させた。
【0186】
上記の手順によって生成された物質のXRPDスペクトルを
図4に示す。
図4Aは、第1のサンプル(すなわち、約30mlのMTBEの添加後)からの物質のXRPDスペクトルを示し、
図4Bは、第2のサンプル(すなわち約60mlのMTBEの添加後)からの物質のXRPDスペクトルを示す。
図4Cは、乾燥された最終生成物のXRPDスペクトルを示す。
実施例5-フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の合成および酢酸エチルからの結晶化
【0187】
フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩を以下に示すように調製した。以下の表17に記載の手順は、実施例1の記載のように、水層を塩基性化し有機相に戻した遊離塩基を抽出する前に、式Iの遊離塩基をまず酸性化して水層に抽出することなく、直接式I化合物を精製可能であることを示す。
【表20】
【0188】
上記の表17に示されているように、工程18の含水率は1~1.3%に維持される。理論に拘束されることを示すものではないが、含水率をこの範囲に保つことは、式Iの化合物の酢酸エチルからの直接的な結晶化を良好な純度(例えば95%超)で促進するのに役立つ。工程29に示すように、この方法を用いて実施例1の方法と比較して収率を約10~15%増加させた。
【0189】
上記の手順を用いた物質の分量を以下の表18に示す。
表18. フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の合成における物質量
【表21】
【0190】
表18に示すように、ベンゼンスルホン酸1水和物(すなわち、約12~13%の水および約1~2%の不純物)を工程20で使用した。理論に拘束されことを示すものではないが、約0.78~0.8当量のベンゼンスルホン酸を用いた場合、最高収率および最高純度の式Iが得られることが見出された。
【0191】
理論に拘束されることを示すものではないが、工程26および27の酢酸エチルのトリチュレーションおよび洗浄は、式Iの水分解の危険性を最小限に抑えるために、乾燥前に水含有量を許容可能なレベルまで低下させるために行われた。
実施例6.-フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩の合成のための工程内管理
【0192】
前記実施例に使用したHPLC条件を以下に明記する:
【表22】
【0193】
以下の表19は、フマギル-6-イルN-(トランス-4-アミノシクロヘキシル)カルバメートベンゼンスルホン酸塩(式I)の各種バッチについての高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)測定としての工程内管理下の結果を示す。 式Iは、16.18分の保持時間および1の相対保持時間を有した。化合物2および化合物4を含む様々な不純物は、表19の保持時間によって定義される。
【0194】
表19に示すように、ロット1~3は対照標準である。ロット1は、実施例1の方法によって製造した。ロット2およびロット3は比較バッチであり、ロット3はメタノールおよびメチルtert-ブチルエーテルを用いて再結晶化した。
【0195】
ロット4~10は、上記の実施例5に記載のプロセスの間に測定された工程内管理である。ロット4は、表17の工程11の1時間後に採取したHPLCデータを与える。ロット5は、工程17のNa
2SO
4乾燥後のHPLCデータを与える。ロット6は、工程25の濾過後のHPLCデータを与える。ロット7は、式Iを酢酸エチルで1回洗浄した後のHPLCデータを与える。ロット8は、式Iを酢酸エチルで2回洗浄した後のHPLCデータを与える。ロット9は、式Iを濾過し、10時間乾燥させた後のHPLCデータを与える。ロット10は、式Iを濾過し、24時間乾燥させた後のHPLCデータを与える。ロット10の分析に記載されているように、24時間乾燥後の式Iの純度は、メタノール/メチルtert-ブチルエーテルから再結晶することなく実施例1の方法により製造されたロット1と同じであった。
【表23-1】
【表23-2】
実施例7-式Iの血液腫瘍細胞株の阻害
【0196】
ヒト血液学的腫瘍細胞系のパネルに対する単一薬剤としての式Iの半数最大阻害濃度(IC50)を調査した。すべての細胞株を、5~10%FBSを補充したそれぞれの適切な増殖培地で増殖させ、37℃で5%CO2の雰囲気中で飼育した。
単一薬剤研究
細胞生存率アッセイ-72時間の連続曝露時間
【0197】
1.0時間:細胞を、96穴マイクロタイタープレート中の増殖培地に200μLの体積で播種した。細胞を加湿インキュベーター内で37℃、24時間インキュベートした。
【0198】
2.24時間:試験薬剤の薬物用量は、HPD300デジタルディスペンサーを使用して得られた。簡潔には、デジタルディスペンサーは、正確な容量のDMSO溶媒中の試験薬剤を、ウェルを含む培地に添加した。対照ウェルには、試験薬剤ウェルが受けたのと同容量のDMSOを与えた。薬物投与後、細胞を加湿インキュベーター内で37℃、72時間、表20に記載の濃度および希釈度で暴露した。
【0199】
3.72時間:72時間の曝露後、滅菌水とCellTiter-Glo(登録商標)試薬の1:1混合物100μlを各ウェルに添加した。プレートを室温で60分間インキュベートする。インキュベーション後、照度計を用いて発光を記録した。結果を以下の表21および
図15A、15B、15Cおよび15Dに示す。
【表24】
【表25】
エンドポイント
【0200】
IC50決定:データは、発光シグナルから計算した未処理(ビヒクル)対照の細胞増殖率として表す。試験薬剤の平均発光値を未処理対照の平均発光値で割ることにより、細胞の生存率を決定した。Prism 6ソフトウェア(GraphPad Software、Inc.)を用いて、非線形回帰分析を使用してデータを曲線適合することにより、試験薬剤およびコントロールの阻害濃度値を推定した。
【0201】
均等
本開示は、上記の特定の実施形態と関連して記載されてきたが、当業者には、多くの代替、改変および他の変形が明らかであろう。そのような代替形態、改変形態および変形形態は全て、本開示の意図および範囲内に入るものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【外国語明細書】