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  • 特開-殺虫混合物の固体製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103519
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】殺虫混合物の固体製剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/113 20060101AFI20240725BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240725BHJP
   A01N 43/36 20060101ALI20240725BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C07D491/113 CSP
A01P7/04
A01N43/36 Z
A01P21/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079485
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2020555855の分割
【原出願日】2019-04-12
(31)【優先権主張番号】18167281.7
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
(71)【出願人】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・エッガー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・プルブス
(72)【発明者】
【氏名】ラモーナ・シファー
(57)【要約】
【課題】製造時に形成される湿式ふるい残渣がごく少量であり、効率的に押し出すことができ、高い懸濁安定性、優れた懸濁性、および有効成分の高いバイオアベイラビリティまたはクチクラへの優れた浸透を有するテトラミン酸誘導体およびこれらのテトラミン酸誘導体の混合物の固体製剤(特に水分散性顆粒)を提供すること。
【解決手段】a.式(I)のテトラミン酸誘導体、b.少なくとも1つの塩基性塩、c.少なくとも1つの分散剤、d.少なくとも1つの湿潤剤、e.少なくとも1つのフィラー、f.少なくとも1つの構造形成剤、g.場合により、錯化剤、h.場合により、さらなる有効成分、およびi.場合により、さらなる慣用的なアジュバントおよび製剤補助剤を含む、水分散性顆粒の形態の固体組成物により、上記課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.式(I)のテトラミン酸誘導体
【化1】
(式中、
WおよびYは独立に、水素、C1~C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって5員または6員ケタールを形成する、場合によりC1~C4-アルキル-またはC1~C4-アルコキシ-C1~C2-アルキル置換されたアルキレンジオキシ基によって置換されたC3~C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化2】
(式中、
Eは金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Mは酸素または硫黄であり、
R1は直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C6-アルキルである)
のうちの1つである)、
b.少なくとも1つの塩基性塩、
c.少なくとも1つの分散剤、
d.少なくとも1つの湿潤剤、
e.少なくとも1つのフィラー、
f.少なくとも1つの構造形成剤、
g.場合により、錯化剤、
h.場合により、さらなる有効成分、および
i.場合により、さらなる慣用的なアジュバントおよび製剤補助剤
を含む、水分散性顆粒の形態の固体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラミン酸誘導体およびこれらのテトラミン酸誘導体の混合物の固体製剤(特に水分散性顆粒)、その製造方法、ならびに存在する有効成分を施用するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術で指定される製剤補助剤を用いたWG製剤の製造は、望まれない特性を有する製剤をもたらす。例えば、有効成分または有効成分混合物の低い融点は、大量の湿式ふるい残渣の形成をもたらし、これらがスプレー液の後の展開時にスプレーノズルの閉塞をもたらす。さらに、1つまたは複数の分散された有効成分は、通常、溶液中で低濃度でのみ利用可能である、ならびに/あるいは1つまたは複数の有効成分のクチクラへの取り込みまたは浸透は不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、驚くべきことに、本製剤が特に有利な特性を有することが分かった。例えば、これらの製造時に形成される湿式ふるい残渣がごく少量であり、これらを効率的に押し出すことができ、これらが特に高い懸濁安定性、優れた懸濁性、および有効成分の高いバイオアベイラビリティまたはクチクラへの優れた浸透を有する。
【0004】
本発明の製剤のさらなる特徴は、これらが、特に貯蔵後においても、高い塩負荷でさえも、優れた懸濁性を有することである。
【0005】
したがって、これらの製剤は、本発明の主題を形成する。本発明はさらに、これらの水分散性顆粒を製造する方法および施用のためのその使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、好ましくは以下を含む、水分散性顆粒(固体製剤)の形態の殺虫固体組成物を提供する:
a.成分としての、式(I)のテトラミン酸誘導体
【化1】
(式中、
WおよびYは独立に、水素、C1~C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって5員または6員ケタールを形成する、場合によりC1~C4-アルキル-またはC1~C4-アルコキシ-C1~C2-アルキル置換されたアルキレンジオキシ基によって置換されたC3~C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化2】
(式中、
Eは金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Mは酸素または硫黄であり、
R1は直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C6-アルキルである)
のうちの1つである)、
b.少なくとも1つの塩基性塩、
c.少なくとも1つの分散剤、
d.少なくとも1つの湿潤剤、
e.少なくとも1つのフィラー、
f.少なくとも1つの構造形成剤、
g.場合により、錯化剤、
h.場合により、さらなる有効成分、および
i.場合により、さらなる慣用的なアジュバントおよび製剤補助剤。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、I-2(変態A)のX線回折パターンを示す。
図2図2は、I-1の変態Aの多形形態のIRスペクトルを示す。
【0008】
本発明では、式、例えば式(I)において、特に明言しない限り、場合により置換された基は、一置換または多置換されていてもよく、多置換の場合の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0009】
さらに、本発明で明言される好ましさの範囲において、さまざまなレベルの好ましさは、順列で互いに組み合わせることができるように理解されるべきであるが、いずれの場合でも、同レベルの好ましさ、特に最も好ましい実施形態/好ましさのレベルがいずれの場合も互いに組み合わされるべきであり、実際にこのような組み合わせとして開示される。
【0010】
必須の成分(任意の成分ではない)のみからなる、上記の組成物も、同様に開示されていると見なされるべきである。
【0011】
パーセンテージ-特に明言しない限り-重量パーセンテージと見なされるべきであり、組成物の重量%は合計が100になるべきである。
【0012】
別に定義されない限り、本発明の文脈における「塩基性」は、pH7超の水溶液中のpHを意味する。
【0013】
水性分散液中の本発明による製剤は、pH7超を有する。
【0014】
好ましい実施形態では、製剤が、好ましくはシリコーン油またはワックス、さらに好ましくは固体担体に吸収されたPDMSに基づく、好ましくは固体形態の少なくとも1つの消泡剤(i)を含む。
【0015】
好ましい消泡剤は、Solvay製のRhodorsil Antimousse EP6703(吸収ポリジメチルシロキサン)である。
【0016】
a)有効成分
好ましい実施形態では、本発明による組成物中の成分a)が、式(I)の化合物
【化3】
(式(I)の化合物は以下の定義を有する:
Wはメチルであり、
Xは塩素またはメチルであり、
Yは塩素、臭素またはメチルであり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員ケタールを形成するアルキレンジオキシ基によって置換された飽和C6シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化4】
(式中、
Mは酸素であり、
Eは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオンであり、
R1は直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C4-アルキルである)
のうちの1つである)
である。
【0017】
さらに好ましい実施形態では、本発明による組成物中の成分a)が、以下を有する式(I)の化合物である
【化5】
【0018】
特に好ましい実施形態では、成分a)が、式
【化6】
の化合物である。
【0019】
b)塩
成分b)は、好ましくは無機塩基性アンモニウム塩を含む群から選択される。
【0020】
さらに好ましくは、b)が、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される。
【0021】
より好ましくは、b)がDAHPである。
【0022】
c)分散剤
本発明の文脈における適切な分散剤は、ポリカルボキシレート型の分散剤、例えば、疎水性修飾くし形ポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリマレイン酸無水物、マレイン酸または無水マレイン酸とオレフィン(イソブチレンまたはジイソブチレンなど)のコポリマー、アクリル酸とイタコン酸のコポリマー、メタクリル酸とイタコン酸のコポリマー、マレイン酸または無水マレイン酸とスチレンのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸とメタクリレートのコポリマー、アクリル酸と酢酸ビニルのコポリマー、スチレンとメタクリル酸のコポリマー、スチレンとメタクリル酸の修飾コポリマー、マレイン酸または無水マレイン酸とアクリル酸のコポリマー、N-メチル脂肪酸(例えば、C8~C18)サルコシネート、カルボン酸、例えば樹脂酸または脂肪酸(例えば、C8~C18)またはこのようなカルボン酸の塩である。上記のコポリマーは、それらの塩、例えばアルカリ金属塩(好ましくはLi、Na、K)、アルカリ土類金属塩(好ましくはCa、Mg)、アンモニウムまたはさまざまなアミンの形態であってもよい。
【0023】
マレイン酸とオレフィンのコポリマーのナトリウム塩(例えば、Geropon T/36/Solvay;Duramax D-305/Dow);およびメタクリル酸とスチレンのコポリマーのナトリウム塩(Tersperse 2700/Huntsman;Atlox Metasperse 500S/Croda)を含む群の分散剤がさらに好ましい。
【0024】
分散剤は、より好ましくは、メタクリル酸とスチレンのコポリマーのナトリウム塩である。
【0025】
Tersperse 2700などの適切な分散剤は、国際公開第2008036865号パンフレットにも記載されている。
【0026】
d)湿潤剤
有用な非イオン性界面活性剤には、農薬組成物で典型的に使用可能なこの種の全ての物質が含まれる。好ましくは、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、直鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの反応生成物、ならびにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンのコポリマー、ならびに(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルのコポリマー、ならびにさらに場合によりリン酸化され、場合により塩基で中和されていてもよいアルキルエトキシレートおよびアルキルアリールエトキシレートが挙げられ、例としてソルビトールエトキシレート、およびポリオキシアルキレンアミン誘導体も挙げられる。
【0027】
適切なアニオン性界面活性剤には、農薬組成物で典型的に使用することができるこの種の全ての物質が含まれる。
【0028】
有用な湿潤剤は、好ましくは、ポリスチレンスルホン酸の塩、ポリビニルスルホン酸の塩、ナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸およびホルムアルデヒドの縮合生成物の塩、ならびにリグノスルホン酸の塩およびアルキル化ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、例えば(登録商標)Morwet EFW、およびジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩、例えば(登録商標)Aerosol OTB、およびエチレンジアミン上のプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックポリマー、例えば(登録商標)Synperonic T 905を含む群から選択されるアニオン性界面活性剤である。
【0029】
本発明の文脈でさらに好ましく適している分散剤(d)は、アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、例えば(登録商標)Morwet EFW、およびジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩、例えば(登録商標)Aerosol OTBの群、より好ましくはアルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、好ましくは(登録商標)Morwet EFWからなる群から選択される湿潤剤である。
【0030】
e)フィラー
有用な不活性フィラー材料は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。炭酸塩、ケイ酸塩および酸化物などの無機粒子、ならびに尿素-ホルムアルデヒド縮合物およびセルロースなどの有機物質も好ましい(例えば、Ulmerweiss 6AL、Celite 209、Argirec B21およびB22、Bentone EW、Luz2タルク、Etiquette Violette)。例としては、カオリン、ルチル、二酸化ケイ素、微細シリカ、シリカゲル、ならびに天然および合成ケイ酸塩、ならびにタルクも挙げられる。
【0031】
フィラーはさらに好ましくは、カオリン、ルチルおよび二酸化ケイ素を含む群から選択される。カオリンが特に好ましい。
【0032】
f)構造形成剤
本発明による製剤は、構造形成剤をさらに含み得る。特にポリアクリル酸およびその塩、ならびに特に架橋ポリアクリレート、ならびにポリウレタンおよび誘導体化ポリウレタンおよびその塩がこの目的に適している。このような適切なアクリレートの例は、(ポリ)メタクリレート、(ポリ)メチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、(ポリ)エトキシエチルメタクリレートおよびPergopak(登録商標)Mである。Pergopak(登録商標)Mは、Albemarle Corporation、Baton Rouge、LA、米国製のポリメチル尿素樹脂である。
【0033】
構造形成剤は、より好ましくはポリメチル尿素樹脂、特にPergopak(登録商標)Mである。
【0034】
g)錯化剤
本発明の文脈において、全ての慣用的な錯化剤が適切であるが、錯化剤は、特に、エチレンジアミン四酢酸、グルコン酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ならびに上記の塩および/または水和物あるいはこれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0035】
特に好ましい錯化剤は、Na4EDTA(エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム)、例えばBASF製のTrilon(登録商標)B Powderである。
【0036】
h)さらなる有効成分
製剤は、原則として、好ましくは殺虫剤、除草剤、殺真菌剤および宿主防御誘導剤の群から選択される1つまたは複数のさらなる活性農薬成分を含み得る。
【0037】
さらに好ましい有効成分は、殺虫剤の群から、なおさらに好ましくはイミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、シアントラニリプロール、クロラントラニリプロール、フルベンジアミド、テトラニリプロール、シクラニリプロール;スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、アバメクチン、アクリナトリン、クロルフェナピル、エマメクチン、エチプロール、フィプロニル、フロニカミド、フルピラジフロン、インドキサカルブ、メタフルミゾン、メトキシフェノジド、ミルベマイシン、ピリダベン、ピリダリル、シラフルオフェン、スピノサド、スルホキサフロル、トリフルムロンを含む群から選択される1つまたは複数である。
【0038】
エチプロールおよびフルピラジフロンを含む群から選択される1つまたは複数のさらなる有効成分が特に好ましい。
【0039】
i)アジュバントおよび製剤補助剤
有用な発泡防止剤は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。シリコーン油ベースの消泡剤およびステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0040】
固体基板上に吸収されたポリジメチルシロキサンが特に好ましい。Rhodorsil Antimousse EP 6703が一例である。
【0041】
有用な保存剤には、この種の農薬組成物でこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質が含まれる。例としては、Preventol(登録商標)(Lanxess AG製)およびProxel(登録商標)が挙げられる。
【0042】
有用な抗酸化剤は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。ブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
【0043】
有用な色素は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。例としては、二酸化チタン、黒色顔料、酸化亜鉛および青色顔料、およびPermanent Red FGRも挙げられる。
【0044】
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む水分散性顆粒の形態の殺虫固体組成物を提供する:
a.式(I)の化合物
【化7】
(式(I)の化合物は以下の定義を有する:
Wはメチルであり、
Xは塩素またはメチルであり、
Yは塩素、臭素またはメチルであり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員ケタールを形成するアルキレンジオキシ基によって置換された飽和C6シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化8】
(式中、
Mは酸素であり、
Eは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオンであり、
R1は直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C4-アルキルである)
のうちの1つである)、
b.少なくとも1つの無機塩基性アンモニウム塩、
c.少なくとも1つのポリカルボキシレート型の分散剤、
d.少なくとも1つのアニオン性湿潤剤、
e.少なくとも1つの不活性フィラー、
f.少なくとも1つの構造形成剤、
g.少なくとも1つの錯化剤、
h.場合により、さらなる活性殺虫成分、
i.場合により、さらなるアジュバント。
【0045】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む水分散性顆粒の形態の殺虫固体組成物を提供する:
a.以下の化合物から選択される式(I)の化合物:
【化9】
【0046】
b.炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つの無機塩基性アンモニウム塩、
c.ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリマレイン酸無水物を含む疎水性修飾くし形ポリマー、マレイン酸または無水マレイン酸とオレフィンのコポリマー、アクリル酸とイタコン酸のコポリマー、メタクリル酸とイタコン酸のコポリマー、マレイン酸または無水マレイン酸とスチレンのコポリマー、およびマレイン酸または無水マレイン酸とスチレンの修飾コポリマー、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、スチレンとメタクリル酸のコポリマー、スチレンとメタクリル酸の修飾コポリマー、アクリル酸とメタクリレートのコポリマー、アクリル酸と酢酸ビニルのコポリマー、マレイン酸または無水マレイン酸とアクリル酸のコポリマー、N-メチル脂肪酸(例えば、C8~C18)サルコシネート、カルボン酸、例えば樹脂酸または脂肪酸(例えば、C8~C18)またはこのようなカルボン酸の塩、ならびにこれらのコポリマーの塩を含む群から選択されるポリカルボキシレート型の少なくとも1つの分散剤、
d.アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩およびジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性湿潤剤、
e.炭酸塩、ケイ酸塩および酸化物、ならびに尿素-ホルムアルデヒド縮合物およびセルロースも含む群から選択される少なくとも1つの不活性フィラー、
f.ポリアクリル酸およびその塩、架橋ポリアクリレートおよびポリ尿素、ポリウレタンならびに誘導体化ポリ尿素およびポリウレタンを含む群から選択される少なくとも1つの構造形成剤、
g.エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グルコン酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレンジアミン五酢酸、ならびにこれらの化合物の塩および/または水和物を含む群から選択される少なくとも1つの錯化剤、
h.場合により、さらなる活性殺虫成分、
i.場合により、さらなるアジュバント。
【0047】
特に好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む水分散性顆粒の形態の殺虫固体組成物を提供する:
a.以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化10】
b.硫酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つの無機塩基性アンモニウム塩、
c.メタクリル酸とスチレンのコポリマー、およびメタクリル酸とスチレンの修飾コポリマーのナトリウム塩を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
d.アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性湿潤剤、
e.カオリン、ルチルおよび二酸化ケイ素を含む群から選択される少なくとも1つの不活性フィラー、
f.ポリメチル尿素樹脂を含む群から選択される少なくとも1つの構造形成剤、
g.EDTAならびにその塩および水和物、特に四ナトリウム塩を含む群から選択される少なくとも1つの錯化剤、
h.場合により、さらなる活性殺虫成分、
i.場合により、さらなるアジュバント。
【0048】
代替実施形態では、上記の実施形態では、さらなる活性殺虫成分(g)が必ず存在し、好ましくはイミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、シアントラニリプロール、クロラントラニリプロール、フルベンジアミド、テトラニリプロール、シクラニリプロール;スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、アバメクチン、アクリナトリン、クロルフェナピル、エマメクチン、エチプロール、フィプロニル、フロニカミド、フルピラジフロン、インドキサカルブ、メタフルミゾン、メトキシフェノジド、ミルベマイシン、ピリダベン、ピリダリル、シラフルオフェン、スピノサド、スルホキサフロル、トリフルムロンを含む群から;より好ましくはエチプロールおよびフルピラジフロンを含む群から選択される。
【0049】
代替実施形態では、さらなるアジュバントが上記の実施形態で必ず存在し、好ましくはシリコーン油ベースの消泡剤、さらに好ましくは固体基板上に吸収されたポリジメチルシロキサンである。
【0050】
単一製剤:
ただ1つの有効成分を含む本発明による組成物中の有効成分(成分a/式I/I-2の化合物)の割合は、
好ましくは0.1~25重量%、
さらに好ましくは2~10重量%、
より好ましくは4~8重量%
である。
【0051】
ただ1つの有効成分を含む本発明による組成物中の塩(成分b)の割合は、
好ましくは20~75重量%、
さらに好ましくは50~68重量%、
より好ましくは60~66重量%
である。
【0052】
ただ1つの有効成分を含む本発明による組成物中の分散剤(成分c)の割合は、
好ましくは1~20重量%、
さらに好ましくは5~15重量%、
より好ましくは8~12重量%
である。
【0053】
ただ1つの有効成分を含む本発明による組成物中の湿潤剤(成分d)の割合は、
好ましくは0.5~15重量%、
さらに好ましくは1~10重量%、
より好ましくは1.5~2.5重量%
である。
【0054】
ただ1つの有効成分を含む本発明による組成物中のフィラー(成分e)の割合は、
好ましくは0.5~70重量%、
さらに好ましくは5~25重量%、
より好ましくは10~22重量%
である。
【0055】
ただ1つの有効成分を含む本発明による組成物中の構造形成剤(成分f)の割合は、
好ましくは0.5~15重量%、
さらに好ましくは1~10重量%、
より好ましくは3~8重量%
である。
【0056】
ただ1つの有効成分を含む本発明による組成物中の錯化剤(成分g)の割合は、
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0.1~2重量%、
より好ましくは0.1~1重量%
である。
【0057】
本発明による組成物中のさらなるアジュバント(成分i)(存在する場合)の割合は、
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0~8重量%、
より好ましくは0~5重量%
である。
【0058】
成分i)が、例えば消泡剤として、代替実施形態で必ず存在する場合、本発明の固体製剤中のその割合は、0.1~5重量%である。
【0059】
本発明の好ましい実施形態は、成分
a)0.1~25重量%と、
b)20~75重量%と、
c)1~20重量%と、
d)0.5~15重量%と、
e)0.5~70重量%と、
f)0.5~15重量%と、
g)0~10重量%と
を含む組成物である。
【0060】
本発明のさらに好ましい実施形態は、成分
a)2~10重量%と、
b)50~68重量%と、
c)5~15重量%と、
d)1~10重量%と、
e)5~25重量%と、
f)1~10重量%と、
g)0.1~2重量%と
を含む組成物である。
【0061】
本発明のなおさらに好ましい実施形態は、成分
a)4~8重量%と、
b)60~66重量%と、
c)8~12重量%と、
d)1.5~2.5重量%と、
e)10~22重量%と、
f)3~8重量%と、
g)0.1~1重量%と
を含む組成物である。
【0062】
成分i)が必ず存在する代替実施形態では、成分を
a)4~8重量%
b)60~66重量%
c)8~12重量%
d)1.5~2.5重量%
e)10~22重量%
f)3~8重量%
g)0.1~1重量%
i)0.1~5重量%
で含有する固体組成物が好ましい。
【0063】
混合製剤:
本発明による組成物中の有効成分(成分a/式I/I-2の化合物)の割合は、
好ましくは1~10重量%、
さらに好ましくは1~7重量%、
より好ましくは1.5~5重量%
である。
【0064】
本発明による組成物中の塩(成分b)の割合は、
好ましくは20~75重量%、
さらに好ましくは30~60重量%、
より好ましくは30~50重量%
である。
【0065】
本発明による組成物中の分散剤(成分c)の割合は、
好ましくは1~20重量%、
さらに好ましくは5~15重量%、
より好ましくは8~12重量%
である。
【0066】
本発明による組成物中の湿潤剤(成分d)の割合は、
好ましくは0.5~15重量%、
さらに好ましくは1~10重量%、
より好ましくは1.5~2.5重量%
である。
【0067】
本発明による組成物中のフィラー(成分e)の割合は、
好ましくは0.5~70重量%、
さらに好ましくは5~25重量%、
より好ましくは10~22重量%
である。
【0068】
本発明による組成物中の構造形成剤(成分f)の割合は、
好ましくは0.5~15重量%、
さらに好ましくは1~10重量%、
より好ましくは3~8重量%
である。
【0069】
本発明による組成物中の錯化剤(成分g)の割合は、
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0.1~2重量%、
より好ましくは0.1~1重量%
である。
【0070】
本発明による組成物中の有効成分(成分h)(存在する場合)の割合は、
好ましくは1~60重量%、
さらに好ましくは10~40重量%、
より好ましくは10~35重量%
である。
【0071】
本発明による組成物中のさらなるアジュバント(成分i)(存在する場合)の割合は、
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0~8重量%、
より好ましくは0~5重量%
である。
【0072】
成分i)が、例えば消泡剤として、代替実施形態で必ず存在する場合、本発明の固体製剤中のその割合は、0.1~5重量%である。
【0073】
G=水素(a)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が、上記の組成物で特に好ましく使用可能である。
【0074】
G=E(d)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が、同様に最も好ましく使用可能である。
【0075】
化合物I-2は、好ましくはその最も熱力学的に安定な多形構造の形態で使用される。この結晶構造およびさらなる物理データは以下の通り決定した:
試料調製:
化合物I-2(C19H22ClNO4/MW=363.84g/mol)をメタノールから結晶化させ、室温で乾燥させて、変態Aを得た。
【0076】
I-2の変態Aは、25℃でCu-Kα1放射線(1.5406Å)を使用して記録された対応する回折図に基づくX線粉末回折法によって特徴付けることができる(図1)。
【0077】
本発明による変態Aは、図1および表2a)に示されるように、少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、さらに好ましくは少なくとも7個、なおさらに好ましくは少なくとも10個、最も好ましくは全ての反射を示す。表2b)は、変態Aの全ての測定された反射を示している。
本発明による変態Aはさらに、図1に示されるX線回折図を特徴とする。
【0078】
変態Aの単結晶の結晶学的研究は、結晶構造が単斜晶系であることを示した。単位胞はP21/c空間群を有する。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
I-1の変態Aの多形形態は、4cm-1の分解能でダイアモンドATR装置を使用して25℃で記録された対応するスペクトルから、IR分光法によって決定することができる(図2)。本発明の変態Aは、図2に見られ、表2cに記載されるように、少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、さらに好ましくは少なくとも7個、より好ましくは全てのバンドを示す。
【0082】
【表3】
【0083】
上記の変態Aに加えて、化合物I-2は、さらなる多形形態およびまた擬多形(pseudopolymorphous)形態(水和物、溶媒和物等)でも存在し得る。
【0084】
本発明による製剤の施用量は、比較的広範囲内で変えることができる。これは、それぞれの有効成分および組成物中のそれらの含有量によって導かれる。
【0085】
本発明による組成物の助けにより、殺虫有効成分混合物を、植物および/またはそれらの生息地に特に有利な方法で配置することができる。
【0086】
本発明による組成物を使用して、全ての植物および植物の部分を処理することができる。本文脈における植物は、所望のおよび望まれない野生植物または作物植物(天然に存在する作物植物を含む)などの全ての植物および植物集団を含むと理解される。作物植物は、従来の育種および最適化方法によって、またはトランスジェニック植物を含むならびに植物育種家の権利によって保護可能または保護不可能な植物栽培品種を含むバイオテクノロジーおよび遺伝子工学方法またはこれらの方法の組み合わせによって得ることができる植物であり得る。植物の部分は、例として、葉、針葉、柄、茎、花、子実体、果実および種子、ならびに塊茎、根および根茎も挙げられる、苗条、葉、花および根などの地上および地下の植物の全ての部分および器官を意味すると理解されるべきである。植物部分はまた、収穫された材料ならびに栄養性および生殖性の繁殖材料、例えば、挿し穂、塊茎、根茎、シュートおよび種子を含む。
【0087】
好ましくは、式(I)の化合物は、以下の有害生物科の動物有害生物に対して、スプレー施用によって、ただし灌注、浸漬または点滴施用後にも本発明による製剤で使用される:
ワタムシ(ペムフィギダエ(Pemphigidae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、葉野菜、根菜および塊茎野菜ならびに観賞植物などの作物の、エリオソマ属種(Eriosoma spp.)、ペムフィグス属種(Pemphigus spp)が好ましい。
【0088】
ブドウシラミ(ブドウネアブラムシ(Phylloxeridae))科から:ブドウ、堅果類、柑橘類のフィロキセラ属(Phylloxera)種が好ましい。
【0089】
キジラミ(キジラミ(Psyllidae))科から:例えば、仁果類、核果類、柑橘類、野菜、ジャガイモなどの作物、熱帯作物のサイラ属種(Psylla spp.)、パラトリオザ属種(Paratrioza spp.)、テナラファラ属種(Tenalaphara spp.)、ジアフォリナ属種(Diaphorina spp.)、トリオザ属種(Trioza spp.)が好ましい。
【0090】
カタカイガラムシ(カタカイガラムシ(Coccidae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、オリーブ、ブドウ、コーヒー、茶、熱帯作物、観賞植物、野菜などの多年生作物のセロプラステス属種(Ceroplastes spp.)、ドロシカ属種(Drosicha spp.)、プルビナリア属種(Pulvinaria spp.)、プロトプルミナリア属種(Protopulminaria spp.)、サイセチア属種(Saissetia spp.)、コッカス属種(Coccus spp.)が好ましい。
【0091】
マルカイガラムシ(マルカイガラムシ(Diaspididae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、アーモンド、ピスタチオ、堅果類、オリーブ、茶、観賞植物、ブドウ、熱帯作物などの作物のクアドラスピジオツス属種(Quadraspidiotus spp.)、アオニジエラ属種(Aonidiella spp.)、レピドサフェス属種(Lepidosaphes spp.)、アスピジオツス属種(Aspidiotus spp.)、アスピス属種(Aspis spp.)、ジアスピス属種(Diaspis spp.)、パルラトリア属種(Parlatoria spp.)、プセウダウラカスピス属種(Pseudaulacaspis spp.)、ウナスピス属種(Unaspis spp.)、ピナスピス属種(Pinnaspis spp.)、セレナスピダス属種(Selenaspidus spp.)が好ましい。
【0092】
ハカマカイガラムシ(ハカマカイガラムシ(Ortheziidae))科から:柑橘類、仁果類、核果類のオルテジア属種(Orthezia spp.)が好ましい。
【0093】
コナカイガラムシ(コナカイガラムシ(Pseudococcidae))科から:例えば柑橘類、核果類および仁果類、茶、ブドウ、野菜、観賞植物および熱帯作物などの作物のペリセルガ(Pericerga)、シュードコッカス属種(Pseudococcus spp)、プラノコッカス属種(Planococcus spp.)、ジスミコッカス属種(Dysmicoccus spp.)が好ましい。
【0094】
コナジラミ(コナジラミ(Aleyrodidae))科から:例えば野菜、ジャガイモ、メロン、ジャガイモ、タバコ、柔らかい果実、柑橘類、観賞植物、綿、大豆および熱帯作物などの作物のタバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ミカンワタコナジラミ(Aleurothrixus floccosus)、アレウロデス属種(Aleurodes spp.)、ジアレウロデス属種(Dialeurodes spp.)、ヤマモモコナジラミ(Parabemisia myricae)がさらに好ましい。
【0095】
さらに、アブラムシ(アブラムシ(Aphididae))科から:
タバコ、核果類、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎および根菜類、メロン、ジャガイモ、観賞植物、香辛料のミズス属種(Myzus spp.)、
野菜のエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)、
タバコ、柑橘類、仁果類、核果類、メロン、イチゴ、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎、茎および根菜類、鑑賞植物、ジャガイモ、カボチャ、香辛料のアフィス属種(Aphis spp.)、
イチゴのバラミドリアブラムシ(Rhodobium porosum)、
葉菜類のレタスヒゲナガアブラムシ(Nasonovia ribisnigri)、
観賞植物、ジャガイモ、葉菜類および果菜類、イチゴのマクロシフム属種(Macrosiphum spp.)、
ホップのホロドン・フムリ(Phorodon humuli)、
葉菜類のダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、
柑橘類、核果類、アーモンド、堅果類、香辛料のトキソプテラ属種(Toxoptera spp.)、
柑橘類、ジャガイモ、果菜類および葉菜類のアウラコルツム属種(Aulacorthum spp.)、
野菜のアヌラフィス・カルドゥイ(Anuraphis cardui)、
ヒマワリのブラキカウズス・ヘリクリシイ(Brachycaudus helycrisii)、
野菜のエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)
が好ましい。
【0096】
同様に、アザミウマ(アザミウマ(Thripidae))科から:例えば、果実、綿、ブドウ、茶、堅果類、熱帯作物、観賞植物、針葉樹、タバコ、香辛料、野菜、柔らかい果実、メロン、柑橘類およびジャガイモなどの作物のアナホスリップス属種(Anaphothrips spp.)、バリオスリップス属種(Baliothrips spp.)、カリオスリップス属種(Caliothrips spp.)、フランクリニエラ属種(Frankliniella spp.)、ヘリオスリップス属種(Heliothrips spp.)、ヘルシノスリップス属種(Hercinothrips spp.)、リピホロスリップス属種(Rhipiphorothrips spp.)、シルトスリップス属種(Scirtothrips spp.)、カコスリップス属種(Kakothrips spp.)、セレノスリップス属種(Selenothrips spp.)およびスリップス属種(Thrips spp.)が好ましい。
【0097】
さらに、リーフマイナーフライ(ハモグリバエ(Agromyzidae))およびルートマゴットフライ(ハナバエ(Anthomyiidae))科から:例えば、野菜、メロン、ジャガイモ、堅果類、観賞植物などの作物のアグロミザ属種(Agromyza spp.)、アマウロミザ属種(Amauromyza spp.)、クキイエバエ属種(Atherigona spp.)、クロロプス属種(Chlorops spp.)、リリオミザ属種(Liriomyza spp.)、オシネラ属種(Oscinella spp.)、ペゴミイア属種(Pegomyia spp.)が好ましい。
【0098】
ヨコバイ(ヨコバイ(Cicadellidae))およびウンカ(ウンカ(Delphacidae))科から:例えば、柑橘類、果実、ブドウ、ジャガイモ、野菜、鑑賞植物、針葉樹、メロン、柔らかい果実、茶、堅果類、イネおよび熱帯作物などの作物のキルクリフェラ属種(Circulifer spp.)、ダルブス属種(Dalbus spp.)、エムポアスカ属種(Empoasca spp.)、エリトロネウラ属種(Erythroneura spp.)、ホマロディスカ属種(Homalodisca spp.)、イオディオスコパス属種(Iodioscopus spp.)、ラオデルファクス属種(Laodelphax spp.)、ツマグロヨコバイ属種(Nephotettix spp.)、トビイロウンカ属種(Nilaparvata spp.)、オンコメトピア属種(Oncometopia spp.)、ソガテラ属種(Sogatella spp.)が好ましい。
【0099】
リーフマイナーモス(ホソガ(Gracillariidae))科から:
仁果類、核果類、ブドウ、堅果類、柑橘類、針葉樹、ジャガイモ、コーヒーなどの作物のカロプティリア属種(Caloptilia spp.)、グラシラリア属種(Gracillaria spp.)、リトコレチス属種(Lithocolletis spp.)、ロイコプテラ属種(Leucoptera spp.)、フトリマエア属種(Phtorimaea spp.)、フィロクニスチス属種(Phyllocnistis spp.)が好ましい。
【0100】
タマバエ(タマバエ(Cecidomyiidae))科から:
柑橘類、仁果類、核果類、野菜、ジャガイモ、香辛料、柔らかい果実、針葉樹、ホップなどの作物のコンタリニア属種(Contarinia spp.)、ダシネウラ属種(Dasineura spp.)、ディプロシス属種(Diplosis spp.)、プロディプロシス属種(Prodiplosis spp.)、テコディプロシス属種(Thecodiplosis spp.)、シトディプロシス属種(Sitodiplosis spp.)、ハプロディプロシス属種(Haplodiplosis spp.)が好ましい。
【0101】
同様に、ミバエ(ミバエ(Tephritidae))科から:
野菜、柔らかい果実、メロン、仁果類および核果類、鑑賞植物、ジャガイモ、ブドウ、熱帯作物、柑橘類、オリーブなどの作物のアナストレファ属種(Anastrepha spp.)、ケラチチス属種(Ceratitis spp.)、ダクス属種(Dacus spp.)、ラゴレチス属種(Rhagoletis spp.)が好ましい。
【0102】
さらに、ハダニ(ハダニ(Tetranychidae))およびフシダニ(フシダニ(Eriophydae))科から:
野菜、ジャガイモ、観賞植物、柑橘類、ブドウ、針葉樹などの作物のナミハダニ属種(Tetranychus spp.)、マルハダニ属種(Panonychus spp.)、アクロプス属種(Aculops spp.)が好ましい。
【0103】
本発明による組成物による植物および植物の部分の本発明による処理は、慣用的な処理方法、例えば灌注、浸漬、噴霧、蒸発、霧化、散布、塗布により、播種材料の場合、特に種子の場合には、1種または複数のコートを塗布することによって、直接または組み合わせが周囲、環境もしくは貯蔵空間に作用することを可能にすることによって行われる。
【0104】
有効成分は、好ましくはスプレー施用によって施用される。あるいは、有効成分は、灌注、点滴または浸漬施用によって施用される。
【0105】
好ましくは、処理される植物は、綿、大豆、タバコ、野菜、香辛料、鑑賞植物、針葉樹、柑橘類植物、果実、熱帯作物、堅果類およびブドウからなる群から選択される。
【0106】
好ましくは、本発明による組成物は、ワタムシ、ブドウシラミ、キジラミ、カタカイガラムシ、マルカイガラムシ、ハカマカイガラムシ、コナカイガラムシ、コナジラミ、アブラムシ、アザミウマ、ヨコバイ、ウンカ、リーフマイナーフライ、タマバエ、ミバエ、リーフマイナーモス、ハダニ、フシダニの科の有害生物に対して作用する。
【0107】
本発明による組成物を、1つまたは複数の有効成分および製剤補助剤からなる粉末状混合物を湿らせ、次いで、低圧押出しによって造粒し、次いで、湿った顆粒を乾燥させることによって製造することができることも分かった。給湿、押出および乾燥に関連する装置は、当業者に知られている。製造の過程で、製品がさらされる温度が全てのプロセスステップで60℃未満、好ましくは50℃未満に保たれるように特に確保すべきである。
【0108】
この方法もまた、本発明の主題の一部を形成する。
【0109】
本発明による組成物による植物および植物の部分の本発明による処理は、慣用的な処理方法、例えば浸漬、噴霧、蒸発、霧化、散布、塗布により、播種材料の場合、特に種子の場合には、1種または複数のコートを塗布することによって、直接または組み合わせが周囲、環境もしくは貯蔵空間に作用することを可能にすることによって行われる。
【0110】
以下の実施例は、本発明の主題を限定することなく説明する。
【0111】
実施例
1.懸濁性
1.a)単一製剤の懸濁性
製剤中高塩濃度で良好な懸濁性を達成するために、以下の分散補助剤を以下通り試験した:
化合物I-2 0.96g、リン酸水素二アンモニウム(DAHP)13g、Morwet EFW(湿潤剤)0.4g、Pergopak M 1g、Trilon B Powder 0.1g、カオリンW 2.54gおよび分散補助剤2gの混合物20gを、IKA A 10分析ミル(20000rpm)で2分間粉砕し、重量測定懸濁性について試験した。
【0112】
【表4】
【0113】
懸濁性の決定
水中1%懸濁液(CIPAC C)を250mlメスシリンダーに分散させる。混合物を30分間平衡化する。その後、懸濁液の上部9/10を除去する。残りの1/10を乾燥させ、残渣を重量測定で測定する。懸濁性を
10/9*100*(試料の量[g]*割合a.i.[%]/100-残渣[g])/(試料の量[g]*割合a.i.[%]/100)
として定義する。
【0114】
よって、100%の値は、試料体積全体の全ての不溶性成分の均質な分布に対応する。
【0115】
良好な目視評価は、沈降物および凝集物がないことを意味する。
【0116】
1.b)単一および混合製剤の懸濁性および安定性
高温での貯蔵後の単一および混合製剤での懸濁性実験.
【0117】
化合物I-2(実施例12では異なる)、場合により第2の有効成分、リン酸水素二アンモニウム(DAHP)、Morwet EFW、Pergopak M、場合によりTrilon B Powder、カオリンW、分散補助剤および消泡剤の混合物1kgを、当業者に知られている方法で、Hosokawa 100 AS 4’’エアジェットミル(インジェクター空気5.5bar、粉砕空気4.5 bar、スループット100g/分)で粉砕し、水(約14重量%)で湿らせ、Fuji Paudalドーム押出機(ダイサイズ0.8mm)を使用して押し出してWGを得て、流動層乾燥機でさらに乾燥させる。
【0118】
【表5】
【0119】
2.製造性
2.a)造粒方法の実験
より低い熱応力による適切な造粒方法としての押出によるWGの調製.
【0120】
a)化合物I-2、第2の有効成分、リン酸水素二アンモニウム(DAHP)、Morwet EFW、Pergopak M、Trilon B Powder、カオリンWおよび分散補助剤の混合物を、当業者に知られている方法で、Hosokawa 100 AS 4’’エアジェットミル(インジェクター空気5.5bar、粉砕空気4.5 bar、スループット100g/分)で粉砕し、水(約14重量%)で湿らせ、Fuji Paudalドーム押出機(ダイサイズ1mm)を使用して押し出してWGを得て、流動層乾燥機でさらに乾燥させる。
【0121】
b)化合物I-2、DAHP、Geropon T36、Geropon SDS、Trilon B PowderおよびReax 88Aの混合物を水に分散させて50%スラリーを得て、当業者に知られている方法で、ビーズミルで粉砕し、次いで、噴霧乾燥(Niro SD 6.3噴霧乾燥機)によってまたは流動層造粒機(Niro Aeromatic MP1)によって乾燥させる。
【0122】
【表6】
【0123】
噴霧乾燥または流動層によって、噴霧液のpHが下がりすぎる(7未満)。
【0124】
2.b)WGの押出性の最適化
化合物I-2、第2の有効成分、Morwet EFW、Pergopak M、場合によりTrilon B Powder、Tersperse 2700、DAHPおよび場合によりカオリンWの混合物を、当業者に知られている方法で、Hosokawa 100 AS 4’’エアジェットミル(インジェクター空気5.5bar、粉砕空気4.5 bar、スループット100g/分)で粉砕し、水(約14重量%)で湿らせ、Fuji Paudalドーム押出機(ダイサイズ0.8または1mm)を使用して押し出してWGを得て、流動層乾燥機でさらに乾燥させる。
【0125】
【表7】
【0126】
比較実施例20および21から明らかなように、フィラーの量が不十分であるまたは塩の量が多すぎる場合には、押出物または十分な品質の押出物を得ることができない。
【0127】
実施例22は、有効成分組み合わせの場合に、フィラーの最適含有量を調整しなければならないことを示している。
【0128】
3)有効成分の溶解度
塩の量の関数としての溶解度を改善することにより、噴霧液中の有効成分の利用可能性を増加させる試み.
【0129】
試料19の6つの試料(実施例2b参照)を水50gに分散させ、有効成分0.12または0.24g/lの濃度を達成した。混合物を撹拌し、各場合で30分後、2時間後および5時間後、完全に遠心分離し、上清中の溶解した有効成分の割合をHPLCによって決定した。
【0130】
【表8】
【0131】
本発明による製剤によってのみ、噴霧液中の有効成分の実質的に完全な溶解度が存在する。
【0132】
4)バイオアベイラビリティ
植物への浸透の測定
この試験では、リンゴの木の葉の酵素的に単離されたクチクラを通した有効成分の浸透を測定した。
【0133】
ゴールデンデリシャス品種のリンゴの木から完全に発達した状態で切り取られた葉を使用した。クチクラを、
-最初に、下側に色素で印を付け、打ちぬいた葉ディスクを、真空浸潤によってpH3~4に緩衝化されたペクチナーゼ溶液(0.2%~2%)で満たし、
-次いで、アジ化ナトリウムを添加し、
-次いで、このように処理された葉ディスクを、元の葉の構造が溶解するまで、および非細胞クチクラが剥離するまで、放置する
ことによって単離した。
【0134】
その後、気孔および毛のない上葉側のクチクラのみをさらなる手順に使用した。これらを水とpH7の緩衝液で交互に繰り返し洗浄した。得られたきれいなクチクラを最後にTeflon(登録商標)シートに適用し、滑らかにし、穏やかな気流で乾燥させた。
【0135】
次のステップでは、このようにして得られたクチクラ膜を、膜輸送試験のためにステンレス鋼拡散セル(=輸送チャンバー)に入れた。この目的のために、クチクラを、ピンセットを使用して、シリコングリースが塗られた拡散セルの端の中央に配置し、同様にグリースが塗られたリングで密封した。配置は、クチクラの外側の形態が外側、すなわち、空気の方に向けられ、元の内側が拡散セルの内側に面するように選択した。
【0136】
拡散セルを30%エチレングリコール/水溶液で満たした。浸透を測定するために、以下の組成のスプレー液それぞれ10μlをクチクラの外側に施用した。スプレー液は、適度な水硬度の地元の水道水で作った。
【0137】
スプレー液を施用した後、水を蒸発させ、チャンバーを反転させ、これらを恒温槽に入れ、ここでは、クチクラの上の温度および空気湿度がクチクラを有する溶射膜上への穏やかな気流を介して調節可能であった(20℃、60%rh)。一定量を一定の間隔でオートサンプラーによって採取し、有効成分含有量をHPLCによって測定した。
【0138】
実験結果を以下の表に示す。報告される数値は、8~10の測定値の平均値である。
【0139】
試料1と、DAHPではなく、同じ濃度のリン酸二水素アンモニウム(ADHP)を含む比較試料(試料25)を分析した。
【0140】
【表9】
【0141】
試料25が示すように、pH7未満では、有効成分の浸透/バイオアベイラビリティがもはや十分ではない、または明らかに低下している。pH、したがって塩基性塩の使用は、AI浸透に重大な効果を及ぼす。
【0142】
使用した材料
Kraftsperse(登録商標)EDF-350、(登録商標)DD-5、Kraftsperse(登録商標)DD-8、Kraftsperse(登録商標)DW-8、Kraftsperse(登録商標)EDF-450、Reax(登録商標)88BおよびReax(登録商標)907は、Ingevity、North Charleston、SC、米国製のリグノスルホネートである。
【0143】
Geropon(登録商標)TA/72、T/36はSolvay製のポリカルボン酸ナトリウム塩である。
【0144】
Oparyl(登録商標)MT 804は、Giovanni Bozzetto S.p.A.、Filago、イタリア製のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩である。
【0145】
Oparyl(登録商標)DT 530は、Giovanni Bozzetto S.p.A.、Filago、イタリア製のナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合物、ナトリウム塩である。Pergopak(登録商標)Mは、Albemarle Corporation、Baton Rouge、LA、米国製のポリメチル尿素樹脂である。
【0146】
Rhodorsil(登録商標)EP 6703は、Rhodia、Boulogne、フランス製のデンプン上のポリジメチルシロキサンである。
【0147】
Celite(登録商標)209 Sは、Lehmann&Voss、Hamburg、ドイツ製の珪藻土である。
【0148】
Luzenac 2タルクは、Luzenac Europe、Paris、フランス製のヒドロケイ酸マグネシウムである。
【0149】
カオリンWは、Erbsloh Lohrheim GmbH&Co.KG、Lohrheim、ドイツ製のヒドロケイ酸アルミニウムである。
【0150】
Borresperse(登録商標)NaおよびUfoxane(登録商標)3 Aは、Borregaard、Sarpsborg、ノルウェー製のリグノスルホネートである。
【0151】
Morwet(登録商標)D 425は、Akzo Nobel、Stenungsund、スウェーデン製のナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合物、ナトリウム塩である。
【0152】
Tersperse(登録商標)aは、Huntsman、The Woodlands、Texas、米国製のナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合物、ナトリウム塩である。
【0153】
Baykanol(登録商標)SLは、Lanxess、Leverkusen、ドイツ製のアルキルアリールスルホネートである。
【0154】
Rhodorsil Antimousse EP 6703(登録商標)は、Solvay製の吸収されたポリジメチルシロキサンである。
図1
図2
【外国語明細書】