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特開2024-103531ウレタンプレポリマー、粘着剤、貼付材、粘着テープ、ウェアラブルデバイス及びウェアラブルデバイスキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103531
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ウレタンプレポリマー、粘着剤、貼付材、粘着テープ、ウェアラブルデバイス及びウェアラブルデバイスキット
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240725BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240725BHJP
   A61F 13/0246 20240101ALI20240725BHJP
   A61L 15/00 20060101ALI20240725BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240725BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240725BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J7/38
A61F13/0246 501
A61L15/00
C08G18/10
C08G18/48 004
C08G18/72
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024081217
(22)【出願日】2024-05-17
(62)【分割の表示】P 2021501991の分割
【原出願日】2020-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2019036306
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 牧人
(72)【発明者】
【氏名】川崎 波留
(72)【発明者】
【氏名】下間 仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千登志
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩志
(57)【要約】
【課題】透湿性に優れるとともに、皮膚への低粘着と基材への高粘着を両立した粘着剤を得られるウレタンプレポリマー、粘着剤、貼付材、粘着テープ、ウェアラブルデバイス及びウェアラブルデバイスキットの提供。
【解決手段】1分子当たりの平均水酸基数が2.1~3であるオキシアルキレン重合体Aと、1分子当たりの水酸基数が1であるオキシアルキレン重合体Bと、ジイソシアネート化合物とを反応させて得られる水酸基末端ウレタンプレポリマーであって、前記オキシアルキレン重合体Aの数平均分子量が1000~50000であり、オキシアルキレン重合体Bの数平均分子量が5000以上であり、水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%超である、水酸基末端ウレタンプレポリマー、粘着剤、貼付材、粘着テープ、ウェアラブルデバイス及びウェアラブルデバイスキット。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子当たりの平均水酸基数が2.1~3であるオキシアルキレン重合体Aと、1分子当たりの水酸基数が1であるオキシアルキレン重合体Bと、ジイソシアネート化合物とを反応させて得られる水酸基末端ウレタンプレポリマーであって、
前記オキシアルキレン重合体Aの数平均分子量が1000~50000であり、
前記オキシアルキレン重合体Bの数平均分子量が5000以上であり、
前記水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%超である、水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項2】
前記オキシアルキレン重合体Bの数平均分子量が5000超である、請求項1に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項3】
前記オキシアルキレン重合体Aの数平均分子量が5000~30000である、請求項1又は2に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項4】
前記オキシアルキレン重合体Aが、1分子当たりの水酸基数が3であるオキシアルキレン重合体aと、1分子当たりの水酸基数が2であるオキシアルキレン重合体bとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項5】
前記オキシアルキレン重合体aのエチレンオキシド単位含有量が15質量%以上である、請求項4に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項6】
平均水酸基数が3.0未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項7】
前記水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量が12~50質量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマーと、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを反応させて得られる粘着剤であって、
前記粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%以上である、粘着剤。
【請求項9】
80℃における貯蔵弾性率が、4.0×10Pa以下である、請求項8に記載の粘着剤。
【請求項10】
透湿度が3000g/m・day以上である、請求項8又は9に記載の粘着剤。
【請求項11】
ヒトの皮膚に対する粘着力が0.2~1N/15mmである、請求項8~10のいずれか1項に記載の粘着剤。
【請求項12】
フェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差が2N/15mm以上である、請求項8~11のいずれか1項に記載の粘着剤。
【請求項13】
基材と、
前記基材の表面に設けられた、請求項8~12のいずれか1項に記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する貼付材。
【請求項14】
基材と、
前記基材の少なくとも一方の表面に設けられた、請求項8~12のいずれか1項に記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する粘着テープ。
【請求項15】
ウェアラブルデバイス本体と、
前記ウェアラブルデバイス本体の被着面の少なくとも一部に設けられた、請求項8~12のいずれか1項に記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する、ウェアラブルデバイス。
【請求項16】
ウェアラブルデバイス本体と、
前記ウェアラブルデバイス本体を皮膚に貼り付けるための、請求項8~12のいずれか1項に記載の粘着剤、請求項13に記載の貼付材又は請求項14に記載の粘着テープとを含む、ウェアラブルデバイスキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンプレポリマー、粘着剤、貼付材、粘着テープ、ウェアラブルデバイス及びウェアラブルデバイスキットに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に適用する粘着剤は、貼付材の粘着剤層として用いた場合に、皮膚からの発汗による水分が貼付材外部に蒸散されるように、透湿性に優れていることが要求される。
【0003】
特許文献1には、透湿度が5000g/m・day以上の皮膚適用のポリウレタン系粘着剤であって、(1)数平均分子量5,000以上かつ平均官能基数2以上のポリオキシアルキレン構造を含有するポリオールと、(2)数平均分子量1,500~5,000かつ平均官能基数1のポリオキシアルキレン構造を含有するポリオールと、(3)有機ポリイソシアネートと、を反応させて得られる粘着剤が記載されている。上記粘着剤を得るのに使用された全ポリオールの平均官能基数は2~2.6であり、かつ上記粘着剤中の全ポリオールのエチレンオキシド単位の含有量は3~8重量%である。
【0004】
さらに、近年では、ウェアラブルデバイスを皮膚に貼り付けるために粘着剤が用いられ始めており、ウェアラブルデバイス本体に対する高粘着性が要求される一方で、ウェアラブルデバイスを皮膚から取り外す際に皮膚を傷つけぬよう、皮膚に対する低粘着性が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5457446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
皮膚に適用する粘着剤は、透湿性に優れるとともに、皮膚への低粘着性と基材への高粘着性を両立することが求められている。
しかし、特許文献1に記載された粘着剤は、皮膚及び基材のいずれに対しても粘着力が高く、粘着剤を皮膚に適用すると、皮膚から粘着剤を剥がす際に、皮膚を傷つけるおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、透湿性に優れるとともに、皮膚への低粘着と基材への高粘着を両立した粘着剤を得られるウレタンプレポリマー、粘着剤、貼付材、粘着テープ、ウェアラブルデバイス及びウェアラブルデバイスキットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は以下の構成によって解決される。
[1] 1分子当たりの平均水酸基数が2.1~3であるオキシアルキレン重合体Aと、1分子当たりの水酸基数が1であるオキシアルキレン重合体Bと、ジイソシアネート化合物とを反応させて得られる水酸基末端ウレタンプレポリマーであって、
前記オキシアルキレン重合体Bの数平均分子量が5000以上であり、
前記水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%超である、水酸基末端ウレタンプレポリマー。
[2] 前記オキシアルキレン重合体Bの数平均分子量が5000超である、[2]に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
[3] 前記オキシアルキレン重合体Aが、1分子当たりの水酸基数が3であるオキシアルキレン重合体aと、1分子当たりの水酸基数が2であるオキシアルキレン重合体bとを含む、[1]又は[2]に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
[4] 前記オキシアルキレン重合体aのエチレンオキシド単位含有量が15質量%以上である、[3]に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
[5] 平均水酸基数が3.0未満である、[1]~[4]のいずれかに記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
[6] 前記水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量が12~50質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の水酸基末端ウレタンプレポリマーと、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを反応させて得られる粘着剤であって、
前記粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%以上である、粘着剤。
[8] 1分子当たりの平均水酸基数が2.1~3であるオキシアルキレン重合体Aと、1分子当たりの水酸基数が1であるオキシアルキレン重合体Bと、ポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる粘着剤であって、
前記オキシアルキレン重合体Bの数平均分子量が5000以上であり、
前記粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%以上である、粘着剤。
[9] 前記オキシアルキレン重合体Bの数平均分子量が5000超である、[8]に記載の粘着剤。
[10] 前記オキシアルキレン重合体Aが、1分子当たりの水酸基数が3であるオキシアルキレン重合体aと、1分子当たりの水酸基数が2であるオキシアルキレン重合体bとを含む、[8]又は[9]に記載の粘着剤。
[11] 前記オキシアルキレン重合体aのエチレンオキシド単位含有量が15質量%以上である、[10]に記載の粘着剤。
[12] 前記粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量が12~50質量%である、[8]~[11]のいずれかに記載の粘着剤。
[13] 80℃における貯蔵弾性率が、4.0×10Pa以下である、[8]~[12]のいずれかに記載の粘着剤。
[14] 透湿度が3000g/m・day以上である、[8]~[13]のいずれかに記載の粘着剤。
[15] ヒトの皮膚に対する粘着力が0.2~1N/15mmである、[8]~[14]のいずれかに記載の粘着剤。
[16] フェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差が2N/15mm以上である、[8]~[15]のいずれかに記載の粘着剤。
[17] 基材と、
前記基材の表面に設けられた、[8]~[16]のいずれかに記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する貼付材。
[18] 基材と、
前記基材の少なくとも一方の表面に設けられた、[8]~[16]のいずれかに記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する粘着テープ。
[19] ウェアラブルデバイス本体と、
前記ウェアラブルデバイス本体の被着面の少なくとも一部に設けられた、[8]~[16]のいずれかに記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する、ウェアラブルデバイス。
[20] ウェアラブルデバイス本体と、
前記ウェアラブルデバイス本体を皮膚に貼り付けるための、[8]~[16]のいずれかに記載の粘着剤、[17]に記載の貼付材又は[18]に記載の粘着テープとを含む、ウェアラブルデバイスキット。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、透湿性に優れるとともに、皮膚への低粘着と基材への高粘着を両立した粘着剤を得られるウレタンプレポリマー、粘着剤、貼付材、粘着テープ、ウェアラブルデバイス及びウェアラブルデバイスキットを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書における、用語の定義や意味は以下の通りである。
「オキシアルキレン重合体」とは、ポリオキシアルキレン鎖を有する重合体のことである。また、アルキレンオキシドに基づく繰り返し単位を「アルキレンオキシド単位」という。
「水酸基末端ウレタンプレポリマー」は、水酸基を有する有機化合物とジイソシアネート化合物とを反応させて得られる、分子鎖の末端の少なくとも一部に水酸基を有し、分子鎖中にウレタン結合を有する化合物をいう。また、本明細書において、「イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー」は、1分子中に2個以上の水酸基を有する有機化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる、分子鎖の末端の少なくとも一部にイソシアネート基を有し、分子鎖中にウレタン結合を有する化合物をいう。
オキシアルキレン重合体の数平均分子量(以下、「Mn」という。)及び分子量分布(以下、「Mw/Mn」という。)は、以下に記載する方法により測定して得られた値である。
分子量測定用の標準試料として重合度の異なる単分散ポリプロピレングリコール重合体の数種類について、市販のGPC測定装置(HLC-8320GPC、東ソー社製)を用いて測定し、ポリプロピレングリコールの分子量と保持時間との関係をもとに検量線を作成し、測定試料であるオキシアルキレン重合体をテトラヒドロフランで0.5質量%に希釈し、0.5μmのフィルターに通過させた後、該測定試料について、上記GPC測定装置を用いて測定する。上記検量線を用いて、測定試料のGPCスペクトルをコンピュータ解析することにより、測定試料のMn及び質量平均分子量(以下、Mwという。)を求める。
分子量分布は、MwをMnで除した値である。
オキシアルキレン重合体の不飽和度は、JIS-K1557-6の方法に従って測定した値である。
オキシアルキレン重合体の水酸基価は、JIS K 0070:1992の「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の滴定法に従って、測定して算出した値である。
【0011】
[水酸基末端ウレタンプレポリマー]
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーは、オキシアルキレン重合体Aと、オキシアルキレン重合体Bと、ジイソシアネート化合物とを反応させたものである。オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bが有する水酸基と、ジイソシアネート化合物が有するイソシアネート基との反応によって、オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bとジイソシアネート化合物との間でウレタン結合が形成される。オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bが有する水酸基のうち、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基と未反応のまま残存した水酸基が、ウレタンプレポリマーの分子鎖の末端の水酸基となる。
【0012】
<オキシアルキレン重合体A>
オキシアルキレン重合体A(以下、重合体Aともいう)は、1分子当たりの平均水酸基数が2.1~3であるオキシアルキレン重合体である。
【0013】
オキシアルキレン重合体Aの1分子当たりの平均水酸基数は、2.1~3であれば特に限定されないが、2.2~2.8がより好ましい。平均水酸基数が上記範囲内であれば、透湿性により優れ、皮膚への低粘着と基材への高粘着を両立しやすい。
オキシアルキレン重合体Aの平均水酸基数が2.1~3の範囲内であると、得られる粘着剤の皮膚に対する粘着力及び基材に対する粘着力を適度な範囲としやすく、皮膚から剥離した際の糊残りが小さく好ましい。なお、糊残りとは、皮膚に粘着剤を貼り付けてから剥がした時に皮膚に粘着剤が残存することをいう。
【0014】
オキシアルキレン重合体Aの1分子当たりの平均水酸基数は、13C-NMR(核磁気共鳴)を用いて開始剤の種類とモル比を特定することにより、算出したものである。13C-NMRによる分析では、開始剤に特徴的なピークが見られるため、ピークの位置とピーク面積から、開始剤の種類とモル比を特定できる。
通常、オキシアルキレン重合体の1分子当たりの水酸基数は、そのオキシアルキレン重合体の合成をする際に使用した開始剤の1分子当たりの水酸基数に一致する。開始剤として、例えば、グリセリンを用いてオキシアルキレン重合体を合成した場合は、通常、1分子当たりの水酸基数が3のオキシアルキレン重合体が得られる。また、開始剤として、例えば、ペンタエリスリトールを用いてオキシアルキレン重合体を合成した場合は、通常、1分子当たりの水酸基数が4のオキシアルキレン重合体が得られる。また、開始剤として、例えば、ジプロピレングリコールを用いてオキシアルキレン重合体を合成した場合は、通常、1分子当たりの水酸基数が2のオキシアルキレン重合体が得られる。
オキシアルキレン重合体Aの1分子当たりの平均水酸基数は、開始剤の種類に基づく1分子当たりの水酸基数と開始剤のモル分率から算出したものである。例えば、グリセリンが30モル%、ジプロピレングリコールが70モル%である場合、平均水酸基数は、3×0.3+2×0.7=2.3となる。
【0015】
オキシアルキレン重合体Aを合成する際に用いるアルキレンオキシドは、特に限定されないが、炭素数2~5のアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選択される1種以上がより好ましく、プロピレンオキシド単独又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの併用がさらに好ましい。
プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用の場合、エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位の配列は、ランダムでもよいし、ブロックでもよい。
アルキレンオキシドとしてエチレンオキシド及びエチレンオキシド以外のアルキレンオキシドを併用する場合のエチレンオキシドとエチレンオキシド以外のアルキレンオキシドのモル比は、特に限定されないが、オキシアルキレン重合体Aのエチレンオキシド単位含有量が後述する範囲内となるモル比であることが好ましい。エチレンオキシド単位含有量が多いほど、オキシアルキレン重合体Aの親水性が向上し、エチレンオキシド単位含有量が少ないほど、オキシアルキレン重合体Aの結晶性が低下する傾向がある。
【0016】
オキシアルキレン重合体Aのエチレンオキシド単位含有量は、特に限定されないが、0~80質量%が好ましく、0~60質量%がより好ましく、5~55質量%がさらに好ましく、12~50質量%がいっそう好ましい。オキシアルキレン重合体Aのエチレンオキシド単位含有量がこの範囲内であると、オキシアルキレン重合体Aが非結晶となりやすいため取り扱いやすく、得られる粘着剤の皮膚に対する粘着性がより適度なものとなる。
【0017】
オキシアルキレン重合体Aのエチレンオキシド単位含有量は、13C-NMRを用いてオキシアルキレン鎖のモノマー組成を求めることにより、算出したものである。例えば、オキシアルキレン重合体Aがプロピレンオキシド単位とエチレンオキシド単位からなるポリオールである場合、プロピレンオキシド単位中のメチル基のシグナルとプロピレンオキシド単位中及びエチレンオキシド単位中のメチレン基のシグナルの面積比から、エチレンオキシド単位含有量を求めることができる。
【0018】
オキシアルキレン重合体AのMnは、特に限定されないが、1000~50000が好ましく、5000~30000がより好ましい。オキシアルキレン重合体AのMnがこの範囲内であると、得られる粘着剤の柔軟性がより良好なものとなる。また、得られる粘着剤の粘着力と糊残りがより適度なものとなる。
2種以上のオキシアルキレン重合体Aを含む場合、それぞれのオキシアルキレン重合体AのMn、Mw/Mn、不飽和度、及び平均官能基数が上記範囲内であることが好ましい。
【0019】
オキシアルキレン重合体Aは、1分子当たりの水酸基数が3であるオキシアルキレン重合体a(以下、「重合体a」という。)と、1分子当たりの水酸基数が2であるオキシアルキレン重合体b(以下、「重合体b」という。)とを含むことが好ましい。オキシアルキレン重合体Aが重合体aと重合体bの両方を含むと、皮膚に対する粘着力及び基材に対する粘着力をより適度な範囲としやすい。
【0020】
重合体aは2種以上であってもよい。
重合体aのエチレンオキシド単位含有量は、特に限定されないが、0質量%以上が好ましく、10~80質量%がより好ましく、15~60質量%がさらに好ましく、15~30質量%がいっそう好ましい。2種以上の重合体aを含む場合のエチレンオキシド単位含有量は、それらの加重平均によって算出された値が上記範囲内であることが好ましい。
また、重合体aのMnは、特に限定されないが、1000~50000が好ましく、5000~30000がより好ましく、8000~25000がさらに好ましい。2種以上の重合体aを含む場合のMnは、それぞれの重合体aのMnが上記範囲内であることが好ましい。
重合体aのMw/Mnは、特に限定されないが、1.20未満が好ましく、1.13未満がさらに好ましく、1.10未満が特に好ましい。重合体aの分子量分布を1.20未満とすることで、反応性が良好となりやすく、後述のウレタンプレポリマーをより効率よく製造でき、得られたウレタンプレポリマーの粘度がより低下しやすい。
重合体aの不飽和度は、0.015meq/g以下であることが好ましく、0.013meq/g以下がより好ましく、0.008meq/g以下がさらに好ましい。オキシアルキレン重合体aの不飽和度は、ゼロであってもよい。重合体aの不飽和度が上記上限値以下であれば、得られるプレポリマーの硬化性がより良好であり、皮膚に対する糊残りがより低減される。
2種以上のオキシアルキレン重合体aを含む場合、それぞれの重合体aのMn、Mw/Mn、及び不飽和度が上記範囲内であることが好ましい。
【0021】
重合体bは2種以上であってもよい。
重合体bのエチレンオキシド単位含有量は、特に限定されないが、0質量%以上が好ましく、10~80質量%以上がより好ましく、15~60質量%がさらに好ましく、15~30質量%がいっそう好ましい。2種以上の重合体bを含む場合のエチレンオキシド単位含有量は、それらの加重平均によって算出された値が上記範囲内であることが好ましい。
また、オキシアルキレン重合体bのMnは、特に限定されないが、1000~50000が好ましく、5000~30000がより好ましく、8000~25000がさらに好ましい。2種以上の重合体bを含む場合のMnは、それぞれの重合体bのMnが上記範囲内であることが好ましい。
重合体bのMw/Mnは、特に限定されないが、1.20未満が好ましく、1.13未満がさらに好ましく、1.10未満が特に好ましい。オキシアルキレン重合体aの分子量分布を1.20未満とすることで、反応性が良好となりやすく、後述のウレタンプレポリマーをより効率よく製造でき、得られたウレタンプレポリマーの粘度がより低下しやすい。
重合体bの不飽和度は、0.015meq/g以下であることが好ましく、0.013meq/g以下がより好ましく、0.008meq/g以下がさらに好ましい。オキシアルキレン重合体bの不飽和度は、ゼロであってもよい。重合体bの不飽和度が上記上限値以下であれば、得られるプレポリマーの硬化性がより良好であり、皮膚に対する糊残りがより低減される。
2種以上の重合体bを含む場合、それぞれの重合体bのMn、Mw/Mn、及び不飽和度が上記範囲内であることが好ましい。
【0022】
重合体aと重合体bの合計の質量に対する重合体aの含有割合は、特に限定されないが、5~95質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、15~60質量%がさらに好ましい。重合体aと重合体bの合計の質量に対する重合体aの含有割合がこの範囲内であると、得られる粘着剤を皮膚から剥離した際の糊残りが小さく好ましい。
【0023】
オキシアルキレン重合体Aに含まれる重合体aと重合体bの割合は、以下のようにして算出することができる。
JIS K 0070:1992の「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の滴定法に従って、オキシアルキレン重合体Aの水酸基価を算出する。また、GPCを測定し、オキシアルキレン重合体を標準物質として得られる検量線を用いて解析することで、オキシアルキレン重合体Aのオキシアルキレン重合体換算数平均分子量を算出する。
上記のようにして得られた水酸基価とMnとを、「(水酸基価×Mn)/56100」の式に当てはめて、平均水酸基数を算出する。
次いで、13C-NMRにより、例えば、グリセリンに由来する3級炭素の有無等を確認することにより、オキシアルキレン重合体Aに含まれる開始剤の種類を特定し、上記平均官能基数と開始剤の種類の情報から、それぞれの開始剤に由来する単位の含有割合を求めることにより、オキシアルキレン重合体Aに含まれる重合体aと重合体bの割合を算出する。
【0024】
オキシアルキレン重合体Aは、1分子当たりの平均水酸基数が2.1~3となる限り、重合体a、重合体b及びオキシアルキレン重合体B以外のオキシアルキレン重合体を含んでもよい。このようなオキシアルキレン重合体a、オキシアルキレン重合体b及びオキシアルキレン重合体B以外のオキシアルキレン重合体としては、1分子当たりの水酸基数が4以上のオキシアルキレン重合体及びMnが5000未満の1分子当たりの水酸基数が1であるオキシアルキレン重合体が挙げられる。
オキシアルキレン重合体Aにおける、重合体a及び重合体bの合計の質量の割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。
【0025】
オキシアルキレン重合体Aの製造方法は、特に限定されないが、1分子当たりの水酸基数が3である重合体a及び1分子当たりの水酸基数が2である重合体bをそれぞれ合成してから混合する方法、並びに1分子当たりの水酸基数が3である重合体a及び1分子当たりの水酸基数が2である重合体bの混合物としてオキシアルキレン重合体Aを合成する方法が挙げられる。
【0026】
オキシアルキレン重合体Aを合成するには、触媒の存在下で、1分子中に2個以上の水酸基を有する開始剤に、アルキレンオキシドを開環付加させることが好ましい。
【0027】
重合体bを合成するためには、1分子中に2個の水酸基を有する開始剤を用いる。重合体bを合成するための1分子中に2個の水酸基を有する開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上が好ましく、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選択される1種以上がより好ましく、プロピレングリコールがいっそう好ましい。プロピレングリコールは低コストで入手可能であり、重合体bの合成コストを低減できる。
【0028】
重合体aを合成するためには、1分子中に3個の水酸基を有する開始剤を用いる。重合体aを合成するための開始剤としては、グリセリンが好ましい。グリセリンは低コストで入手可能であり、オキシアルキレン重合体aの合成コストを低減できる。
【0029】
オキシアルキレン重合体Aが含んでもよい1分子当たりの水酸基数が4以上のオキシアルキレン重合体を合成するためには、1分子中に4個以上の水酸基を有する開始剤を用いる。1分子中に4個以上の水酸基を有する開始剤としては、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール等の4価以上の多価アルコール類、並びにグルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、蔗糖及びメチルグルコシド等の糖類又はその誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
オキシアルキレン重合体Aが含んでもよい1分子当たりの水酸基数が1のオキシアルキレン重合体を合成するためには、1分子中に1個の水酸基を有する開始剤を用いる。1分子中に1個の水酸基を有する開始剤は、後述するオキシアルキレン重合体Bを合成する際に用いることができる開始剤と同様である。ただし、オキシアルキレン重合体Aが含んでもよい1分子当たりの水酸基数が1のオキシアルキレン重合体のMnは5000未満である。
【0031】
オキシアルキレン重合体Aを1分子当たりの水酸基数が異なるオキシアルキレン重合体の混合物として合成するには、1分子中の水酸基数が異なる開始剤を混合して用いる。ただし、得られるオキシアルキレン重合体の平均水酸基数が2.1~3となるように、使用する開始剤の種類及び量を設定する。
【0032】
重合体a、重合体b、1分子当たりの水酸基数が4以上であるオキシアルキレン重合体及びMnが5000未満の1分子当たりの水酸基数が1であるオキシアルキレン重合体の合成に用いるアルキレンオキシドは、上述したオキシアルキレン重合体Aを合成する際に用いるアルキレンオキシドと同様である。
【0033】
開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させる触媒としては、従来公知の触媒を用いることができる。例えば、KOHのようなアルカリ触媒、有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物-ポルフィリン錯体触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、ホスファゼン化合物からなる触媒が挙げられる。
複合金属シアン化物錯体触媒を用いてオキシアルキレン重合体Aを得る場合、得られるオキシアルキレン重合体Aの分子量分布を狭くすることができ、粘度の低いオキシアルキレン重合体Aが得られやすい点から好ましい。
複合金属シアン化物錯体は、従来公知の化合物を用いることができ、複合金属シアン化物錯体を用いた重合体の製造方法も公知の方法を採用することができる。例えば、国際公開第2003/062301号、国際公開報第2004/067633号、特開2004-269776号公報、特開2005-015786号公報、国際公開第2013/065802号、特開2015-010162号公報等に開示される化合物及び製造方法を用いることができる。
開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させてオキシアルキレン重合体Aを得る方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、国際公開第2011/125951号、特許第5648797号公報等に開示される製造方法を用いることができる。
【0034】
<オキシアルキレン重合体B>
オキシアルキレン重合体Bは、1分子当たりの水酸基数が1であり、Mnが5000以上のオキシアルキレン重合体である。オキシアルキレン重合体BのMnは5000超であることが好ましい。
【0035】
オキシアルキレン重合体Bの1分子当たりの水酸基数は1である。オキシアルキレン重合体Bの水酸基数は、13C-NMRを用いて測定できる。具体的には、13C-NMRにより得られるピークから、開始剤の種類を特定し、その開始剤が1分子中に1個の水酸基を有する開始剤であれば、水酸基数が1であることがわかる。
【0036】
オキシアルキレン重合体Bは、1分子中に1個の水酸基を有する開始剤に1種以上のアルキレンオキシドを開環付加させた構造を有する。
アルキレンオキシドの炭素数は、特に限定されないが、2~5が好ましく、2~3がより好ましい。開始剤に2種以上のアルキレンオキシドを開環付加させる場合、各アルキレンオキシドに由来する単位の配列は、ランダムでもよく、ブロックでもよい。
アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシドを単独で用いるか、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを併用することが好ましい。プロピレンオキシド及びエチレンオキシドを併用する場合のプロピレンオキシドとエチレンオキシドのモル比は、特に限定されないが、オキシアルキレン重合体Bのエチレンオキシド単位含有量を後述する範囲内とすることが好ましい。プロピレンオキシド単位含有量が多いほどオキシアルキレン重合体Bの結晶性が低下し、エチレンオキシド単位含有量が多いほどオキシアルキレン重合体Bの親水性が向上する傾向がある。
【0037】
オキシアルキレン重合体Bは2種以上であってもよい。
オキシアルキレン重合体Bのエチレンオキシド単位含有量は、特に限定されないが、0~80質量%が好ましく、0~60質量%がより好ましく、5~55質量%がさらに好ましく、10~50質量%がいっそう好ましい。オキシアルキレン重合体Bのエチレンオキシド単位含有量がこの範囲内であると、得られる粘着剤の皮膚に対する粘着性及び透湿性がより適度なものとなる。
オキシアルキレン重合体Bのエチレンオキシド単位含有量は、オキシアルキレン重合体Aと同様に算出できる。2種以上のオキシアルキレン重合体Bを含む場合のエチレンオキシド単位含有量は、それらの加重平均によって算出された値が上記範囲内であることが好ましい。
【0038】
オキシアルキレン重合体BのMnは、5000以上であれば特に限定されないが、5000~50000が好ましく、5000超50000以下がより好ましく、8000~30000がさらに好ましい。オキシアルキレン重合体BのMnが5000以上であると、得られる粘着剤の柔軟性及び皮膚に貼り付けた際の皮膚への追従性がより良好となる。オキシアルキレン重合体BのMnが5000超であると、得られる粘着剤の柔軟性がさらに良好なものとなる。また、得られる粘着剤を皮膚に貼り付けた際の皮膚への追従性がさらに良好なものとなる。
オキシアルキレン重合体BのMw/Mnは、特に限定されないが、1.20未満が好ましく、1.13未満がさらに好ましく、1.10未満が特に好ましい。オキシアルキレン重合体Bの分子量分布を1.20未満とすることで、反応性が良好となりやすく、後述のウレタンプレポリマーをより効率よく製造でき、得られたウレタンプレポリマーの粘度がより低下しやすい。
オキシアルキレン重合体Bの不飽和度は、0.015meq/g以下であることが好ましく、0.013meq/g以下がより好ましく、0.008meq/g以下がさらに好ましい。オキシアルキレン重合体Bの不飽和度は、ゼロであってもよい。オキシアルキレン重合体Bの不飽和度が上記上限値以下であれば、得られるプレポリマーの硬化性がより良好であり、皮膚に対する糊残りがより低減される。オキシアルキレン重合体BのMnは、オキシアルキレン重合体Aと同様に測定できる。
2種以上のオキシアルキレン重合体Bを含む場合、それぞれのオキシアルキレン重合体BのMn、Mw/Mn、及び不飽和度が上記範囲内であることが好ましい。
【0039】
オキシアルキレン重合体Bを合成するには、触媒の存在下で、1分子中に1個の水酸基を有する開始剤に、アルキレンオキシドを開環付加させることが好ましい。
オキシアルキレン重合体Bを合成するための1分子中に1個の水酸基を有する開始剤としては、炭素数が2~4の1価アルコールが好ましく、プロパノール(n-プロピルアルコール)、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール(n-ブチルアルコール)、2-ブタノール(sec-ブチルアルコール)、2-メチル-1-プロパノール(イソブチルアルコール)及び2-メチル-2-プロパノール(tert-ブチルアルコール)からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、1-ブタノール(n-ブチルアルコール)、2-ブタノール(sec-ブチルアルコール)、2-メチル-1-プロパノール(イソブチルアルコール)及び2-メチル-2-プロパノール(tert-ブチルアルコール)からなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましい。炭素数が2~4のアルコールは低コストで入手可能であり、オキシアルキレン重合体Bの合成コストを低減できる。
【0040】
触媒としては、オキシアルキレン重合体Aの場合と同様に、DMC触媒を用いることが好ましい。ただし、オキシアルキレン重合体BのMnは5000以上であるから、合成するオキシアルキレン重合体のMnが5000以上となるように、反応時間等の反応条件を調節する。
【0041】
<ジイソシアネート化合物>
上記オキシアルキレン重合体A及び上記オキシアルキレン重合体Bと反応させて、本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーを得るために用いるジイソシアネート化合物は、1分子中に2個のイソシアネート基を有する有機化合物であれば特に限定されない。
【0042】
ジイソシアネート化合物は、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物及び芳香脂肪族ジイソシアネート化合物からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0043】
脂肪族ジイソシアネート化合物は、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の直鎖脂肪族ジイソシアネート、並びに2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート及び3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート等の分岐脂肪族ジイソシアネートであるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ジイソシアネート化合物としては、得られるポリウレタン(粘着剤)のガラス転移温度がより高くなり、引張強さ及び破断時の伸び率がより優れる点から、直鎖脂肪族ジイソシアネートが好ましく、炭素数4~8の直鎖脂肪族ジイソシアネートがより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)がさらに好ましい。
【0044】
脂環式ジイソシアネート化合物は、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート及び1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンであるが、これらに限定されるものではない。脂環式ジイソシアネート化合物としては、得られるポリウレタン(粘着剤)のガラス転移温度がより高くなり、引張強さ及び破断時の伸び率がより優れる点から、イソホロンジイソシアネート及び4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのいずれか一方又は両方が好ましく、イソホロンジイソシアネートがより好ましい。
【0045】
芳香族ジイソシアネート化合物は、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート及び1,4-フェニレンジイソシアネートであるが、これらに限定されるものではない。芳香族ジイソシアネート化合物としては、得られるポリウレタンのガラス転移温度がより高くなる点から、ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)がより好ましい。
【0046】
芳香脂肪族ジイソシアネート化合物は、例えば、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート及びα,α,α,α-テトラメチルキシリレンジイソシアネートであるが、これらに限定されるものではない。芳香脂肪族ジイソシアネート化合物としては、得られるポリウレタンの破断時の伸び率がより優れる点から、α,α,α,α-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが好ましい。
【0047】
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造に用いるジイソシアネート化合物は、得られるポリウレタンの引張強さ及び破断時の伸び率がより優れる点から、脂肪族ジイソシアネート化合物及び脂環式ジイソシアネート化合物からなる群から選択される1種以上が好ましく、脂肪族ジイソシアネート化合物がより好ましく、炭素数4~6である脂肪族ジイソシアネート化合物がさらに好ましく、HDI及びこれらの変性体からなる群から選択される1種以上がいっそう好ましく、HDI又はHDIのイソシアヌレート変性体がよりいっそう好ましい。
【0048】
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーを製造するためのジイソシアネート化合物としては、上述した脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物又は芳香脂肪族ジイソシアネート化合物をジオールにてプレポリマー化した2官能のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを用いてもよい。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造するためのジオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールであるが、これらに限定されるものではない。ジオールとしては、得られるポリウレタン(粘着剤)のガラス転移温度がより高くなる点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される1種以上が好ましく、プロピレングリコールがより好ましい。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを製造する際のイソシアネートインデックスは100超とする。イソシアネートインデックスは、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数をジオールの水酸基のモル数で除して100倍した値である。
2官能のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの市販品としては、例えば、デュラネートD101、デュラネートD201及びデュラネートA201H(いずれも旭化成社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
<水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造方法>
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造方法は、特に限定されないが、オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bと、ジイソシアネート化合物とを、イソシアネートインデックスが100未満となる比率で反応させる方法が挙げられる。イソシアネートインデックスは、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数をオキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bの水酸基の合計モル数で除して100倍した値である。
オキシアルキレン重合体Aとオキシアルキレン重合体Bの合計の質量に対するオキシアルキレン重合体Aの含有割合は、特に限定されないが、10~95質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましい。オキシアルキレン重合体Aとオキシアルキレン重合体Bの合計の質量に対するオキシアルキレン重合体Aの含有割合がこの範囲内であると、得られる粘着剤の透過性と皮膚と基材への粘着性のバランスをより良好に保つことができる。
水酸基末端ウレタンプレポリマーの平均水酸基数は、3.0未満が好ましく、1.7~2.9がより好ましく、1.7~2.5がさらに好ましく、1.8~2.4が特に好ましい。水酸基末端ウレタンプレポリマーの平均水酸基数がこの範囲内であると、得られる粘着剤の透過性と皮膚と基材への粘着性のバランスをより良好に保つことができる。
水酸基末端ウレタンプレポリマーの「平均水酸基数f」は下記式(I)によって得られた値である。
f=(1000f/Mn)/[{(1000/Mn)-(不飽和度/f)}+不飽和度] ・・・(I)
ただし、fはオキシアルキレン重合体を製造するときに原料として用いた開始剤1分子あたりの活性水素原子の数である。
また、複数のオキシアルキレン重合体を併用した場合の「平均官能基数fave」は、下記式(II)のとおり算出できる。
ave=Σ(f×W/Mn)/Σ(W/Mn) ・・・(II)
ただし、fはそれぞれのオキシアルキレン重合体において原料として用いた開始剤1分子あたりの活性水素原子の数、Wはそれぞれのオキシアルキレン重合体の質量部、Mnはそれぞれのオキシアルキレン重合体におけるMnを表す。
【0050】
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造には、必要に応じて、触媒を用いることができる。
触媒は、3級アミン系化合物及び有機金属系化合物から選択される1種以上を用いることが好ましい。
3級アミン系化合物は、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン及び1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7(DBU)であるが、これらに限定されるものではない。
有機金属系化合物は、錫系化合物及び非錫系化合物から選択される1種以上が好ましい。
錫系化合物は、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート及び2-エチルヘキサン酸錫であるが、これらに限定されるものではない。
非錫系化合物は、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート及びブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系化合物、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛及びナフテン酸鉛等の鉛系化合物、2-エチルヘキサン酸鉄及び鉄アセチルアセトネート等の鉄系化合物、安息香酸コバルト及び2-エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系化合物、ナフテン酸亜鉛及び2-エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系化合物、並びにナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系化合物が挙げられる。
触媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用できる。
触媒を使用する場合の触媒の使用量は、特に限定されないが、オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bとジイソシアネート化合物との合計100質量部に対して、0.01~1.0質量部が好ましい。
【0051】
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造には、必要に応じて、溶媒を用いることができる。
溶媒は、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン、酢酸エチル等のエステル、並びにトルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素から選択される1種以上が好ましい。
溶媒は、2種以上を組み合わせて使用してよい。
溶媒を使用する場合の溶媒の使用量は、特に限定されないが、オキシアルキレン重合体とジイソシアネート化合物との合計100質量部に対して、50~500質量部が好ましい。
【0052】
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造方法としては、例えば、以下に掲げる方法が挙げられる。
製造方法1:ジイソシアネート化合物、オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体B、触媒並びに溶媒を一括してフラスコに仕込む方法
製造方法2:オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体B、触媒並びに溶媒をフラスコに仕込み、これにジイソシアネート化合物を滴下添加する方法
これらの方法のうちでも、原料中の低分子成分を優先的に反応させ、分子量分布をより狭くでき、反応制御がより容易であるから、製造方法2が好ましい。
【0053】
反応温度は、100℃未満が好ましく、85~95℃がより好ましい。反応温度を100℃未満にするとウレタン反応以外の副反応を抑制しやすいため、所望のプレポリマーを得やすい。
【0054】
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーを製造する際のイソシアネートインデックスは、30~95が好ましく、40~95がより好ましく、50~95がさらに好ましい。イソシアネートインデックスがこの範囲内であると、適度な分子鎖長を有する水酸基末端ウレタンプレポリマーを製造できるため、生産性がより向上する。
【0055】
反応終了後には、反応停止剤を添加して、上記触媒を不活性化させることが好ましい。反応停止剤としては、例えば、アセチルアセトンが挙げられるが、これに限定されるものではない。反応停止剤は2種以上を併用してもよい。
【0056】
<水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量>
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量は、10質量%以上であり、10~80質量%が好ましく、12~50質量%がより好ましい。本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%以上であると、得られる粘着剤の皮膚に対する低粘着性と、基材に対する高粘着性を両立できる。
【0057】
[粘着剤]
本発明の粘着剤は、1分子当たりの平均水酸基数が2.1~3であるオキシアルキレン重合体Aと、1分子当たりの水酸基数が1であり、数平均分子量が5000以上であるオキシアルキレン重合体Bとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られる、エチレンオキシド単位の含有量が10質量%以上である粘着剤であるか又は、本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーと、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含む硬化剤(以下、単に「硬化剤」という場合がある。)とを反応させて得られる粘着剤である。
上記ポリイソシアネート化合物とは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であって、上述したジイソシアネート化合物及び後述する1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物のことである。
【0058】
本発明の粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量は、10質量%以上であり、10~80質量%が好ましく、12~50質量%がより好ましい。本発明の粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%以上であると、透湿性がより良好になり、高極性の基材に対する粘着性がより向上し、また湿潤状態で角質が剥離されにくい。
本発明の粘着剤の25℃における貯蔵弾性率は、1.0×10Pa~5.0×10Paが好ましく、2.0×10Pa~4.8×10Paがより好ましく、2.0×10Pa~3.0×10Paがさらに好ましく、2.0×10Pa~2.5×10Paが特に好ましく、2.0×10Pa~1.0×10Paが最も好ましい。本発明の粘着剤における貯蔵弾性率が、上記範囲内であると、皮膚に対する密着性がより良好になり、糊残りしにくく、より良好な皮膚粘着力が得られる。
本発明の粘着剤の80℃における貯蔵弾性率は、4.0×10Pa以下が好ましく、5.0×10Pa以上3.0×10Pa未満が好ましく、1.0×10Pa~6.0×10Paがより好ましく、1.0×10Pa~4.0×10Paがさらに好ましく、2.0×10Pa~1.0×10Paが特に好ましい。本発明の粘着剤における貯蔵弾性率が、上記範囲内であると、皮膚に対する密着性がより良好になり、糊残りしにくく、より良好な皮膚粘着力が得られる。
【0059】
<粘着剤の製造方法>
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーと、硬化剤とを反応させて粘着剤を製造する方法について説明する。
【0060】
硬化剤は1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物の他に、1分子中に2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(ジイソシアネート化合物)を含んでもよい。
上記ジイソシアネート化合物としては、上述したジイソシアネート化合物及び上述した2官能のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが挙げられる。上記1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、上述したジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体、上述したジイソシアネート化合物のビウレット変性体、上述したジイソシアネート化合物のアロファネート変性体、上述したジイソシアネート化合物と1分子中に3個以上の水酸基を有するポリオールとを反応させて得られる、3官能以上のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(アダクト変成体)が挙げられる。イソシアヌレート変性体としては、例えば、コロネートHX(東ソー株式会社製)が挙げられる。ビウレット変性体としては、例えば、デュラネート24A-100(旭化成株式会社製)が挙げられる。3官能以上のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの市販品としては、例えば、コロネートL、コロネートL-55E及びコロネートL-45E(いずれも東ソー社製)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
水酸基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とを反応させて本発明の粘着剤を製造する際のイソシアネートインデックスは、100超であり、105~160がより好ましい。イソシアネートインデックスは、硬化剤のイソシアネート基のモル数を水酸基末端ウレタンプレポリマーの水酸基のモル数で除して100倍した値である。
【0062】
水酸基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とを反応させて本発明の粘着剤を製造する際には、必要に応じて、触媒を用いることができる。触媒の種類は、上述した触媒が好ましい。また、触媒の使用量は、水酸基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤の合計100質量部に対して、0.01~1.0質量部が好ましい。反応終了後には、反応停止剤を添加して、触媒を不活性化させることが好ましい。
【0063】
水酸基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とを反応させて本発明の粘着剤を製造する際には、必要に応じて、溶媒を用いることができる。溶媒の種類は、上述した溶媒が好ましい。また、溶媒の使用量は、水酸基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤の合計100質量部に対して、50~500質量部が好ましい。
【0064】
水酸基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とを反応させる際の温度は、100℃未満が好ましく、85~95℃がより好ましい。
【0065】
上記オキシアルキレン重合体Aと、上記オキシアルキレン重合体Bと、ポリイソシアネート化合物とを反応させて粘着剤を製造する方法について説明する。
【0066】
この製造方法における、上記ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物及び1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物から選択できる。例えば、上記オキシアルキレン重合体A及び上記オキシアルキレン重合体Bと反応させるポリイソシアネート化合物として、上述したジイソシアネート化合物及び上述した硬化剤として使用できるポリイソシアネート化合物の1種類以上を使用できる。
【0067】
この製造方法におけるイソシアネートインデックスは、100超であり、105~160がより好ましい。イソシアネートインデックスは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数をオキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bの水酸基の合計モル数で除して100倍した値である。
【0068】
オキシアルキレン重合体Aとオキシアルキレン重合体Bとポリイソシアネート化合物とを反応させて本発明の粘着剤を製造する際には、必要に応じて、触媒を用いることができる。触媒の種類は、上述した触媒が好ましい。また、触媒の使用量は、オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bとポリイソシアネート化合物との合計100質量部に対して、0.01~1.0質量部が好ましい。反応終了後には、反応停止剤を添加して、触媒を不活性化させることが好ましい。
【0069】
オキシアルキレン重合体Aとオキシアルキレン重合体Bとポリイソシアネート化合物とを反応させて本発明の粘着剤を製造する際には、必要に応じて、溶媒を用いることができる。溶媒の種類は、上述した溶媒が好ましい。また、溶媒の使用量は、オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bとポリイソシアネート化合物との合計100質量部に対して、50~500質量部が好ましい。
【0070】
オキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bとポリイソシアネート化合物とを反応させる際の温度は、100℃未満が好ましく、85~95℃がより好ましい。
【0071】
<粘着剤に配合してもよい成分>
本発明の粘着剤には、さらに、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤及びレベリング剤等の各種添加剤のうち1つ以上を配合してもよい。
【0072】
可塑剤は、特に限定されないが、他の成分との相溶性の観点から、炭素数8~30の脂肪酸エステル又はリン酸エステル等が好ましい。本発明の粘着剤が可塑剤を含むと、被着体に対する粘着剤の濡れ性がより向上する。
炭素数8~30の脂肪酸エステルは、例えば、炭素数6~18の一塩基酸又は多塩基酸と炭素数18以下の分岐アルコールとのエステル、炭素数14~18の不飽和脂肪酸又は分岐酸と4価以下のアルコールとのエステル、炭素数6~18の一塩基酸又は多塩基酸とポリアルキレングリコールとのエステル、不飽和部位を過酸化物等でエポキシ化した脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0073】
リン酸エステルは、例えば、亜リン酸又はリン酸と炭素数2~18の直鎖又は分岐アルコールとのエステル化合物が挙げられる。
【0074】
酸化防止剤は、特に限定されないが、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤が好ましく、皮膚感作性が低い点で、フェノール系酸化防止剤がより好ましい。本発明の粘着剤が酸化防止剤を含むと、粘着剤の熱劣化を抑制できる。
【0075】
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等のモノフェノール系酸化防止剤、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のビスフェノール系酸化防止剤及び1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等の高分子型フェノール系酸化防止剤が挙げられる。
【0076】
アミン系酸化防止剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンエタノールの重縮合物、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物等が挙げられる。
【0077】
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、例えば、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート及びジステアリル3,3’-チオジプロピオネートが挙げられる。
リン系酸化防止剤の具体例としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト及びフェニルジイソデシルホスファイトが挙げられる。
【0078】
帯電防止剤は、特に限定されないが、無機塩、イオン液体及び界面活性剤が挙げられる。本発明の粘着剤が帯電防止剤を含むと静電気放電を抑制し、例えば、ウェアラブルデバイスに組み込まれた電子部品等の破損を防止し易い。
無機塩は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、過塩素酸リチウム、塩化アンモニウム、塩素酸カリウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及びチオシアン酸ナトリウムが挙げられる。
イオン液体は、カチオンとアニオンの塩であり、カチオンは、例えば、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン又はアンモニウムイオンが好ましい。
界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、アルキルスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0079】
充填剤は、例えば、タルク、炭酸カルシウム及び酸化チタンが挙げられる。
【0080】
紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0081】
光安定剤は、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線安定剤が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、[ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート]、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記紫外線安定剤としては、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2’-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)]-n-ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-リン酸モノエチレート、ニッケル-ジブチルジチオカーバメート、ベンゾエートタイプのクエンチャー及びニッケル-ジブチルジチオカーバメート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
<透湿度>
本発明の粘着剤の透湿度は、3000g/m・day以上が好ましく、3500g/m・day以上がより好ましく、4000g/m・day以上がさらに好ましい。透湿度の上限は特に限定されない。
本発明の粘着剤の透湿度は、試験片を通過する水蒸気の1m当たり1日当たりの量として求める。
試験片は以下のとおり作製する。
水酸基末端ウレタンプレポリマー又はオキシアルキレン重合体A及びオキシアルキレン重合体Bと硬化剤とを混合し、剥離処理を施したポリエステルフィルム(剥離体、厚み50μm)上にナイフコータを用い乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、次いで100℃で3分間硬化乾燥させて、上記剥離体上に粘着剤層を形成する。得られた粘着剤層の上に、粘着剤の透湿度に影響しない目の粗いナイロンネットを貼り付けた後、熱風乾燥機中に50℃の雰囲気下で3日間保存して粘着剤層の架橋反応を完結させ、剥離体を剥がして、試験片を作製する。
透湿度の測定は、40℃雰囲気下、試験片により隔てられる一方側の空間の相対湿度を90%とし、他方側の空間を吸湿剤によって乾燥状態に保ったときに、24時間(1日)に試験片を通過する水蒸気の質量(g)を測定し、試験材料1m当たりに換算する。測定はJIS Z 0208:1976 防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に従って行い、カップの内径より約10mm大きい直径の円形の試験片を約50gの塩化カルシウム吸湿剤を入れたカップに被せ、さらに試験片がずれないようにゴムパッキンとリングを被せてネジ止めする。この試験片の総質量を測定した後、40℃、90%RH雰囲気下の恒温恒湿槽中に入れ、一定時間毎の質量変化を測定し、以下の式に従って透湿度を求める。
透湿度(g/m・day)=W×240000/S
ただし、Sは透湿面積(cm)を表し、Wは1時間当たりの質量増加(g/hr)を表す。
【0083】
<フェノール樹脂に対する粘着力>
本発明の粘着剤のフェノール樹脂に対する粘着力は、2.5N/15mm以上が好ましく、3N/15mm以上がより好ましい。
本発明の粘着剤のフェノール樹脂に対する粘着力は、JIS Z 0237:2009の粘着テープ・粘着シート試験方法の「10 粘着力」に記載された試験方法に従い、25℃雰囲気下でベークライトパネル(フェノール樹脂板、住友ベークライト社製、PL-1102)に15mm幅の試験片を貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着し、20分放置後、剥離角度90度又は180度、剥離速度300mm/分の剥離力を測定して得られる粘着力である。
【0084】
<ヒトの皮膚に対する粘着力>
本発明の粘着剤のヒトの皮膚に対する粘着力は、0.2~1N/15mmが好ましく、0.3~0.7N/15mmがより好ましい。
本発明の粘着剤のヒトの皮膚に対する粘着力は、上述したフェノール樹脂に対する粘着力の測定方法において、ベークライトパネルの代わりにヒトの手の甲を用いて測定して得られる粘着力である。ヒトの手の甲は、イソプロピルアルコールで脱脂した後、風乾してから用いる。
【0085】
<フェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差>
本発明の粘着剤のフェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差は、2N/15mm以上が好ましく、2.5N/15mm以上がより好ましい。
フェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差は、以下の式により算出したものである。
「フェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差」=「フェノール樹脂に対する粘着力」-「ヒトの皮膚に対する粘着力」
【0086】
[二液型粘着剤]
本発明の粘着剤は、本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーを含む第1剤と、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含む第2剤と、を含む二液型粘着剤であってもよい。
第1剤と第2剤とを混合することにより、ウレタン結合の形成が進行して、ポリウレタンを含む粘着剤が得られる。
上記1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含む第2剤は、上述した硬化剤と同様である。
第1剤又は第2剤には、さらに、触媒、溶媒、上述した粘着剤に配合してもよい成分等を含んでもよい。
第1剤及び第2剤は、それぞれ別の容器に収容される。容器は、チューブ、瓶等、様々なものを利用できる。
本発明の二液型粘着剤の販売形態は、第1剤及び第2剤を含む形態のほか、第1剤を含むが、第2剤を含まない形態であってもよい。第2剤を含まない販売形態では、ユーザーが別途用意した硬化剤を用いることができ、ユーザーの自由度が高くなる。
【0087】
[貼付材]
本発明の貼付材は、基材と、その基材の表面に設けられた、本発明の粘着剤を含む粘着剤層と、を有する。
本発明の貼付材の形態は、基材フィルムの一方の面に粘着剤層が設けられ、粘着剤層の粘着面を覆って剥離可能に積層された剥離ライナーを有することが好ましい。
【0088】
上記基材フィルムの厚さは、特に限定されないが、1~9μmが好ましく、3~9μmがより好ましい。基材フィルムの厚さがこの範囲内であると、貼付材が破断する可能性を小さくできるとともに、貼付材の皮膚表面への追従性を確保できる。上記基材フィルムの材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルウレタン及びポリエステルウレタン等のウレタン系ポリマー、ポリエーテルポリアミドブロックポリマー等のアミド系ポリマー、ポリアクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン/酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ポリマー、ポリエーテルポリエステル等のエステル系ポリマーが挙げられる。基材フィルムの材料としては、透湿性の点から、ウレタン系ポリマー又はアミド系ポリマーが好ましい。基材フィルムの材料は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、異なる材料から製造された基材フィルムを積層した積層フィルムでもよい。基材フィルムは、織布、不織布、編布又はネット等の布帛と積層できる。粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、10~50μmが好ましく、15~35μmがより好ましい。粘着剤層の厚さがこの範囲内であると、粘着剤層の皮膚表面への密着性がより良好となる。
【0089】
本発明の貼付材は、粘着剤層の表面の汚染を防ぐために、使用するまで粘着剤層表面を剥離ライナーにて被覆しておくことが好ましい。この剥離ライナーは、一般的に皮膚又は皮膚へ貼付する粘着テープに用いられるものを使用できる。具体的には、上質紙、グラシン紙若しくはパーチメント紙等の表面にシリコーン樹脂若しくはフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたもの、又は上質紙に樹脂をアンカーコートしたもの若しくは上質紙をポリエチレンラミネートしたもの等の表面にシリコーン樹脂若しくはフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものを使用できる。
【0090】
本発明の貼付材は、上記基材フィルムの、粘着剤層が形成された面と反対側の面において、担持フィルムを剥離可能に積層できる。担持フィルムの素材は、特に限定されないが、プラスチックフィルム及び紙が好ましい。特に、透明性を有するプラスチックフィルムは、貼付場所を貼付材を介して見ながら皮膚に貼り付けられるため、カテーテル等の医療器具を固定する際には、その有用性が特に顕著となる。担持フィルムを基材フィルムの背面に剥離可能に貼り合わせるには、インフレーション成型、押出ラミネート成型、積層成型又はキャスティング等の方法を用いることができる。担持フィルムの厚さは、素材によっても異なるが、通常、15~200μm程度が好ましく、20~100μm程度がより好ましい。
【0091】
[粘着テープ]
本発明の粘着テープは、基材と、その基材の少なくとも一方の表面に設けられた、本発明の粘着剤を含む粘着剤層と、を有する。
本発明の粘着テープでは、粘着剤層は、基材の表面の一方にのみ設けられていてもよいし、基材の表面の両方に設けられていてもよい。
【0092】
本発明の粘着テープの一形態は、基材フィルムの一方の面に粘着剤層が設けられ、粘着剤層の粘着面を覆って剥離可能に積層された剥離ライナーを有することが好ましい。この形態を、特に、片面粘着テープという。
基材フィルム及び剥離ライナーは、本発明の貼付材と同様である。また、粘着剤層の厚さは、本発明の貼付材における粘着剤層の厚さと同様である。
この形態の粘着テープは、皮膚表面に固定しようとする物品の少なくとも一部を粘着テープで覆う形で、皮膚表面に固定しようとする物品を皮膚表面に固定するために用いることができる。
【0093】
本発明の粘着テープの別の形態は、基材フィルムの両方の面に粘着剤層が設けられ、粘着剤層の粘着面を覆って剥離可能に積層された剥離ライナーを有することが好ましい。この形態を、特に、両面粘着テープという。
基材フィルム及び剥離ライナーは、本発明の貼付材と同様である。また、粘着剤層の厚さは、本発明の貼付材における粘着剤層の厚さと同様である。
この形態の粘着テープは、皮膚表面に固定しようとする物品の皮膚表面に接する部分の少なくとも一部と皮膚表面との間に粘着テープが介在する形で、皮膚表面に固定しようとする物品を皮膚表面に固定するために用いることができる。
【0094】
本発明の粘着テープのさらに別の形態は、剥離可能な基材フィルムの一方の面に粘着剤層が設けられ、粘着剤層の粘着面を覆って剥離可能に積層された剥離ライナーを有することが好ましい。この形態を、特に、粘着剤転写テープという。
剥離可能な基材フィルムは、本発明の貼付材に使用可能な基材フィルムの表面にシリコーン樹脂又はフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものが好ましい。剥離ライナーは、本発明の貼付材と同様である。また、粘着剤層の厚さは、本発明の貼付材における粘着剤層の厚さと同様である。
この形態の粘着テープは、皮膚表面に固定しようとする物品の皮膚表面に接する部分の少なくとも一部と皮膚表面との間に粘着剤層が介在する形で、皮膚表面に固定しようとする物品を皮膚表面に固定するために用いることができる。皮膚表面に固定しようとする物品と皮膚表面との間には粘着剤層のみが介在し、基材フィルムが存在しないので、物品と皮膚表面との密着性をより良好なものとすることができる。
【0095】
[ウェアラブルデバイス、ウェアラブルデバイスキット]
本発明のウェアラブルデバイスは、ウェアラブルデバイス本体と、そのウェアラブルデバイス本体の被着面の少なくとも一部に設けられた、本発明の粘着剤を含む粘着剤層と、を有する。
また、本発明のウェアラブルデバイスキットは、ウェアラブルデバイス本体と、そのウェアラブルデバイス本体を哺乳類の皮膚に貼り付けるための、本発明の粘着剤、本発明の貼付材又は本発明の粘着テープと、を含む。
【0096】
ウェアラブルデバイスは、特に限定されないが、例えば、心拍、心拍変動、心拍間隔、心拍波形、心電位、筋電活動、活動量、血圧、体表温、脳波、脳波間隔又は呼吸間隔等のセンサーが挙げられる。
【0097】
ウェアラブルデバイス本体の被着面の少なくとも一部に設ける粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、10~50μmが好ましく、15~40μmがより好ましい。粘着剤層の厚さがこの範囲内であると、ウェアラブルデバイス本体を皮膚に貼り付けた際にウェアラブルデバイス本体がより脱落しにくく、皮膚から剥がす際に貼付面をより傷めにくい。
【0098】
ウェアラブルデバイス本体は、本発明の貼付材又は本発明の粘着テープを用いて皮膚に貼り付けることもできる。
貼付材と皮膚との間にウェアラブルデバイス本体を挟み込む形で皮膚にウェアラブルデバイスを貼り付けることができる。
粘着テープが片面粘着テープである場合は、粘着テープと皮膚との間にウェアラブルデバイス本体を挟み込む形で皮膚にウェアラブルデバイスを貼り付けることができる。
粘着テープが両面テープである場合は、ウェアラブルデバイス本体と皮膚との間に粘着テープが介在する形で皮膚にウェアラブルデバイスを貼り付けることができる。
粘着テープが粘着剤転写テープである場合は、ウェアラブルデバイス本体の被着面の少なくとも一部に粘着剤層を転写して、ウェアラブルデバイス本体と皮膚との間に粘着剤層のみが介在する形で皮膚にウェアラブルデバイスを貼り付けることができる。
上記皮膚は、哺乳類の皮膚が好ましく、陸生哺乳類の皮膚がより好ましく、ヒトの皮膚がさらに好ましい。ヒトの皮膚は口唇粘膜を包含してよい。
【実施例0099】
以下では例示により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変形が可能である。
【0100】
[オキシアルキレン重合体の合成]
(合成例1:重合体A1の合成)
開始剤として、グリセリンを用いた。
まず、耐圧反応容器内に、開始剤を1000gと、TBA-DMC触媒スラリーを投入して反応液とした。TBA-DMC触媒スラリーの投入量は、反応液中におけるTBA-DMC触媒の金属の濃度が46ppmとなる量とした。
次いで、耐圧反応容器内を窒素置換した後、反応液を撹拌しながら加熱し、135℃に達したら加熱を止め、撹拌を続けながら、プロピレンオキシドの120g(開始剤100質量部に対して12質量部)を耐圧反応容器内に供給して反応させた。
反応液の温度上昇が止まった後に135℃まで冷却を行い、反応液を撹拌しながら、プロピレンオキシド4728gを耐圧反応容器内に供給した。内圧の変化がなくなり、反応が終了したことを確認した後、合成吸着剤(キョーワド600S、協和化学工業社製)を用いて触媒中和、除去作業を行った。
こうして得られた重合体A1の水酸基数、水酸基価、Mn、Mw/Mn、不飽和度、オキシエチレン単位(以下、「EO単位」という。)の含有量を表1に示す。なお、これらの値は、上述の方法により測定した値である。以下の合成例において得られた重合体についても同様に表1に示す。
【0101】
(合成例2:重合体A2の合成)
プロピレンオキシドのうち20質量%をエチレンオキシドに変更した点を除き、合成例1と同様にして、重合体A2を合成した。
【0102】
(合成例3:重合体A3の合成)
プロピレンオキシドのうち80質量%をエチレンオキシドに変更した点を除き、合成例1と同様にして、重合体A3を合成した。
【0103】
(合成例4:重合体A4の合成)
開始剤をグリセリンからプロピレングリコールに変更した点を除き、合成例1と同様にして、重合体A4を合成した。
【0104】
(合成例5:重合体A5の合成)
開始剤をグリセリンからプロピレングリコールに変更した点を除き、合成例2と同様にして、重合体A5を合成した。
【0105】
(合成例6:重合体B1の合成)
開始剤をグリセリンから1-ブタノールに変更した点を除き、合成例1と同様にして、重合体B1を合成した。
【0106】
(合成例7:重合体B2の合成)
開始剤をグリセリンから1-ブタノールに変更した点を除き、合成例2と同様にして、重合体B2を合成した。
【0107】
【表1】
【0108】
<水酸基価>
JIS K 0070:1992の「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」の滴定法に従って、オキシアルキレン重合体Aの水酸基価を算出する。
【0109】
<水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造>
[製造例1]
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた反応容器に、表2に示すとおり、重合体A1の30質量部と、重合体A4の70質量部と、トルエン及び酢酸エチル100質量部を加えた。次いで、ウレタン化触媒(ジブチル錫ジラウレート、東京化成工業社製)0.03質量部を加え、40℃で混合してから、ジイソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネート(デュラネート50M、旭化成社製、表1では「HDI」と記す。)1.51質量部を加え、80℃で反応させた。イソシアネートインデックスは80であった。反応により発熱が起こり、内温が約80℃どなり、粘度も時間とともに上昇した。適時酢酸エチルを加えて希釈しながら80℃に保って7時間反応させ、均一透明な液体として、平均水酸基数が2.3である水酸基末端ウレタンプレポリマー(「ウレタンプレポリマーU1」ともいう。)を得た。
【0110】
[製造例2]
表2に示すとおり、重合体A1、A4の代わりに、重合体A2の30質量部と、重合体A5の40質量部と、重合体B1の30質量部とを用いた点、及びジイソシアネート化合物として、D201(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー、旭化成社製)5.00質量部を用いた点を除き、製造例1と同様にして、平均水酸基数が2.1である水酸基末端ウレタンプレポリマー(「ウレタンプレポリマーU2」ともいう。)を製造した。
[製造例3]
表2に示すとおり、重合体B1の代わりに、重合体B2の30質量部を用いた点、及びジイソシアネート化合物として、D201の4.91質量部を用いた点を除き、製造例2と同様にして、平均水酸基数が2.0である水酸基末端ウレタンプレポリマー(「ウレタンプレポリマーU3」ともいう。)を製造した。
[製造例4]
表2に示すとおり、重合体A2の代わりに、重合体A3の30質量部を用いた点、及びジイソシアネート化合物として、D201の4.77質量部を用いた点を除き、製造例3と同様にして、平均水酸基数が1.9である水酸基末端ウレタンプレポリマー(「ウレタンプレポリマーU4」ともいう。)を製造した。
【0111】
<粘着剤の製造>
[例1]
表3に示すとおり、ウレタンプレポリマーU1の100質量部と硬化剤(コロネートL、東ソー社製品名)2質量部とを均一に混合した後脱泡し、剥離処理を施したポリエステルフィルム(剥離体、厚み50μm)上にナイフコータを用い乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、次いで100℃で3分間硬化乾燥させた。得られた粘着剤層の上に、厚さ38μmのポリエステルフィルム(支持体)を貼り合わせた後、熱風乾燥機中に50℃の雰囲気下で3日間保存して粘着剤層の架橋反応を完結させて、粘着剤を作製した。得られた粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量は0質量%であった。
【0112】
[例2]
表3に示すとおり、ウレタンプレポリマーU1の代わりにウレタンプレポリマーU2を用いた点を除いて、例1と同様にして、粘着剤を製造した。得られた粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量は14質量%であった。
【0113】
[例3]
表3に示すとおり、水酸基末端ウレタンプレポリマーとして、ウレタンプレポリマーU3を用いた点を除いて、例1と同様にして、粘着剤を製造した。得られた粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量は20質量%であった。
[例4]
【0114】
表3に示すとおり、水酸基末端ウレタンプレポリマーとして、ウレタンプレポリマーU4を用いた点を除いて、例1と同様にして、粘着剤を製造した。得られた粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量は38質量%であった。
[例5]
表3に示すとおり、硬化剤であるコロネートLの代わりに、デュラネートE-402-80B(旭化成社製品名)の4質量部を用いた点を除いて、例3と同様にして、粘着剤を製造した。得られた粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量は20質量%であった。
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】
表2中、重合体、ジイソシアネート化合物及び触媒の配合量は、質量部で表す。また、「イソシアネートインデックス」は、水酸基末端ウレタンプレポリマーを製造する際に用いたジイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数をオキシアルキレン重合体の水酸基の合計モル数で除して100倍した値であり、「EO単位含有量」は、水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位の質量割合(単位:質量%)である。「-」はその成分を配合していないことを示す。
表3中、ウレタンプレポリマー、及び硬化剤の配合量は、質量部で表す。「EO単位含有量」は、粘着剤中のエチレンオキシド単位の割合(単位:質量%)である。「-」はその成分を配合していないことを示す。
【0118】
[粘着剤の特性評価]
例1~5の粘着剤について透湿度、フェノール樹脂に対する粘着力、ヒトの皮膚に対する粘着力、フェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差、及び貯蔵弾性率を評価した。結果は表3に示した。試験片は、特に記載していない場合、貼付材を元巻きの流れ方向が長辺(MD方向)となるように15mm幅×60mm長さにカットして作製した。また、貼付材から担持体と剥離体を剥がして測定した。
【0119】
<透湿度>
透湿度は、24時間(1day)で試験片を通過する水蒸気の1m当たりの質量として求めた。
製造したウレタンプレポリマー100質量部と硬化剤(コロネートL(東ソー社製品名)又はデュラネートE402-80B(旭化成社製品名))とを表3に記載した量を用いて、均一に混合した後脱泡し、剥離処理を施したポリエステルフィルム(剥離体、厚み50μm)上にナイフコータを用いて乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、次いで100℃で3分間硬化乾燥させて、上記剥離体上に粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の上に、粘着剤の透湿度に影響しない目の粗いナイロンネットを貼り付けた後、熱風乾燥機中に50℃の雰囲気下で3日間保存して粘着剤層の架橋反応を完結させ、剥離体を剥がして、試験片を作製した。
透湿度は、40℃雰囲気下、試験片により隔てられる一方側の空間の相対湿度を90%とし、他方側の空間を吸湿剤によって乾燥状態に保ったときに、24時間(1日)に試験片を通過する水蒸気の質量(g)を測定し、試験材料1m当たりに換算して求めた。測定はJIS Z 0208:1976の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に従って行い、カップの内径より約10mm大きい直径の円形の試験片を約50gの塩化カルシウム吸湿剤を入れたカップに被せ、さらに試験片がずれないようにゴムパッキンとリングを被せてネジ止めした。この試験片の総質量を測定した後、40℃、90%RH雰囲気下の恒温恒湿槽中に入れ、一定時間毎の質量変化を測定し、以下の式に従って透湿度を求めた。
透湿度(g/m・day)=W×240000/S
式中、Sは透湿面積(cm)を、Wは1時間当たりの質量増加(g/hr)を表す。
以下の基準により、透湿度を評価した。
A・・・5000g/m・day以上
B・・・4000g/m・day以上5000g/m・day未満
C・・・3000g/m・day以上4000g/m・day未満
D・・・3000g/m・day未満
表3の「透湿度」の欄に、算出した透湿度及び透湿度の評価結果を示す。
【0120】
<フェノール樹脂に対する粘着力>
JIS Z 0237:2009の粘着テープ・粘着シート試験方法の「10 粘着力」に記載された試験方法に従い、25℃雰囲気下でベークライトパネル(フェノール樹脂板、住友ベークライト社製、PL-1102)に15mm幅の試験片を貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着し、20分放置後、剥離角度90度又は180度、剥離速度300mm/分の剥離力を測定した。
以下の評価基準により、フェノール樹脂に対する粘着力を評価した。
A・・・3.0N/15mm以上
B・・・2.5N/15mm以上3.0N/15mm未満
C・・・2.0N/15mm以上2.5N/15mm未満
D・・・2.0N/15mm未満
表3の「対フェノール樹脂粘着力」の欄に、測定したフェノール樹脂に対する粘着力及びフェノール樹脂に対する粘着力の評価結果を示す。
【0121】
<ヒトの皮膚に対する粘着力>
ベークライトパネルの代わりにヒトの手の甲を用いて、フェノール樹脂に対する粘着力と同様にして測定を行った。ヒトの手の甲は、イソプロピルアルコールで脱脂した後、風乾してから用いた。
以下の評価基準により、ヒトの皮膚に対する粘着力を評価した。
A・・・0.2~1.0N/15mm
D・・・0.2N/15mm未満、又は1.0N/15mm超
表3の「対皮膚粘着力」の欄に、測定したヒトの皮膚に対する粘着力及びヒトの皮膚に対する粘着力の評価結果を示す。
【0122】
<フェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差>
以下の式によりフェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差を算出した。
「フェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差」=「フェノール樹脂に対する粘着力」-「ヒトの皮膚に対する粘着力」
以下の基準により、フェノールに対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差を評価した。
A・・・2.5N/15mm以上
B・・・2.0N/15mm以上2.5N/15mm未満
C・・・1.5N/15mm以上2.0N/15mm未満
D・・・1.5N/15mm未満
表3の「粘着力の差」の欄に、算出したフェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差及びフェノールに対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差の評価結果を示す。
【0123】
<貯蔵弾性率>
製造したウレタンプレポリマー100質量部と硬化剤(コロネートL(東ソー社製品名)又はデュラネートE402-80B(旭化成社製品名))とを表3に記載した量で用いて、均一に混合した後脱泡し、剥離処理を施したポリエステルフィルム(剥離体、厚み50μm)上にナイフコータを用いて乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、次いで100℃で3分間硬化乾燥させて、上記剥離体上に粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の上に、剥離体を貼り付けた後、熱風乾燥機中に50℃の雰囲気下で3日間保存して粘着剤層の架橋反応を完結させた。剥離体を剥がして、幅4cm×長さ30cmの大きさとして、直径約3mmの長さ4cmの円柱状に丸めたものを試験サンプルとした。貯蔵弾性率E’は、得られた試験サンプルの歪み1%の条件下における貯蔵弾性率E’(kPa)を、次の測定条件で測定して得られた値である。25℃及び80℃における貯蔵弾性率を表3に示す。
測定装置:動的粘弾性測定装置(EXSTAR 6000 DMS 6100,セイコーインスツル社製品名)
モード:引張モード
温度範囲:-80~130℃
昇温速度:3℃/min
測定周波数:1Hz
【0124】
[結果の説明]
表3中、例2~5が本発明の実施例に該当し、例1は本発明の比較例に該当する。
透湿度の評価がA、B又はCであれば、粘着剤の透湿性が優れる。
対フェノール樹脂粘着力の評価がA、B又はCであり、対皮膚粘着力の評価がAであり、粘着力の差の評価がA、B又はCであれば、皮膚への低粘着と基材への高粘着を両立できている。
従って、例2~5の粘着剤は、透湿性に優れるとともに、皮膚への低粘着と基材への高粘着を両立できている。これに対して、例1の粘着剤は、透湿度が低く、皮膚に対する粘着性が低かった。これは、EO単位含有量が低く、粘着剤の極性が低かったことによると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明のウレタンプレポリマーを用いる粘着剤は、優れた透湿性を有するとともに、皮膚に対する低粘着性及び基材に対する高粘着性を備えることから、各種のウェアラブルデバイス用を取り付けるための粘着剤として特に好ましく用いることができる。
なお、2019年2月28日に出願された日本特許出願2019-036306号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子当たりの平均水酸基数が2.1~3であるオキシアルキレン重合体Aと、1分子当たりの水酸基数が1であるオキシアルキレン重合体Bと、ジイソシアネート化合物とを反応させて得られる水酸基末端ウレタンプレポリマーであって、
前記オキシアルキレン重合体Aの数平均分子量が8470~50000であり、
前記オキシアルキレン重合体Bの数平均分子量が5000以上であり、
前記水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%超であり、前記オキシアルキレン重合体Aと前記オキシアルキレン重合体Bの合計の質量に対する前記オキシアルキレン重合体Aの含有割合が20~80質量%である、水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項2】
前記オキシアルキレン重合体Bの数平均分子量が5000超である、請求項1に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項3】
前記オキシアルキレン重合体Aの数平均分子量が8470~30000である、請求項1又は2に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項4】
前記オキシアルキレン重合体Aが、1分子当たりの水酸基数が3であるオキシアルキレン重合体aと、1分子当たりの水酸基数が2であるオキシアルキレン重合体bとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項5】
前記オキシアルキレン重合体aのエチレンオキシド単位含有量が15質量%以上である、請求項4に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項6】
平均水酸基数が3.0未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項7】
前記水酸基末端ウレタンプレポリマー中のエチレンオキシド単位含有量が12~50質量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の水酸基末端ウレタンプレポリマーと、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とを反応させて得られる粘着剤であって、
前記粘着剤中のエチレンオキシド単位含有量が10質量%以上である、粘着剤。
【請求項9】
80℃における貯蔵弾性率が、4.0×10Pa以下である、請求項8に記載の粘着剤。
【請求項10】
透湿度が3000g/m・day以上である、請求項8又は9に記載の粘着剤。
【請求項11】
ヒトの皮膚に対する粘着力が0.2~1N/15mmである、請求項8~10のいずれか1項に記載の粘着剤。
【請求項12】
フェノール樹脂に対する粘着力とヒトの皮膚に対する粘着力の差が2N/15mm以上である、請求項8~11のいずれか1項に記載の粘着剤。
【請求項13】
基材と、
前記基材の表面に設けられた、請求項8~12のいずれか1項に記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する貼付材。
【請求項14】
基材と、
前記基材の少なくとも一方の表面に設けられた、請求項8~12のいずれか1項に記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する粘着テープ。
【請求項15】
ウェアラブルデバイス本体と、
前記ウェアラブルデバイス本体の被着面の少なくとも一部に設けられた、請求項8~12のいずれか1項に記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する、ウェアラブルデバイス。
【請求項16】
ウェアラブルデバイス本体と、
前記ウェアラブルデバイス本体を皮膚に貼り付けるための、請求項8~12のいずれか1項に記載の粘着剤、請求項13に記載の貼付材又は請求項14に記載の粘着テープとを含む、ウェアラブルデバイスキット。