(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103538
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】メロシアニン結晶化方法
(51)【国際特許分類】
C07C 253/34 20060101AFI20240725BHJP
C07C 255/31 20060101ALI20240725BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
C07C253/34
C07C255/31
A61K8/40
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024082498
(22)【出願日】2024-05-21
(62)【分割の表示】P 2021500679の分割
【原出願日】2019-07-09
(31)【優先権主張番号】18183223.9
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ウィンクラー,バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン,レベント
(57)【要約】
【課題】改善された色特性を有する、式(1)により示される3-アミノ-2-シクロヘキサン-1-イリデン誘導体を提供すること。また、最終的な応用システムにおける変色を最小化させるメロシアニン化合物の精製及び単離の改善された方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、結晶性メロシアニン化合物を調製する方法に関し、本方法は、メロシアニン化合物を有機極性溶媒中に溶解させる工程を含み、本方法は、酸の存在下で7未満のpHで実施され、残留レベルの有色不純物が除去される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性メロシアニン化合物を調製する方法であって、
(a) 有機極性溶媒にメロシアニン化合物を溶解させる工程、
(b) 工程(a)で得られた溶液から、前記メロシアニン化合物を結晶化させる工程、及び
(c) 工程(b)の結晶化混合物から前記メロシアニン化合物を単離させる工程
を含み、以下の選択肢
(i) 工程(a)で酸A1を添加すること、
(ii) 工程(b)で酸A2を添加すること、又は
(iii) 工程(a)で酸A1、及び工程(b)で酸A2を添加すること
に従って、7未満のpHで実施される、方法。
【請求項2】
前記メロシアニン化合物が、式(1)
【化1】
(式中、
R
1及びR
2は、互いに独立して、水素、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上の-O-で中断されている、及び/又は1つ以上のOHにより置換されており、
R
3は、(C=O)OR
4又は(C=O)NHR
4であり、
R
4は、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上のOHにより置換されている、及び/又は1つ以上の-O-で中断されており、
R
5及びR
6は、互いに独立して、水素、又はC
1~C
12-アルキルである)
により示される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メロシアニン化合物が、工程(a)で、約50~約600g/Lの範囲の濃度で提供される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機極性溶媒が、エステル、ケトン、エーテル、アルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、前記有機極性溶媒が、ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソアミル、3-エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸エチル、1-メトキシ-2-プロパノール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記結晶化混合物からの前記メロシアニン化合物の結晶化が、
- 前記結晶化混合物を冷却すること、
- 前記メロシアニン化合物の種結晶を前記結晶化混合物に添加すること、及び/又は
- 酸A2を添加すること
により引き起こされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸A1及び前記酸A2が、独立して、有機酸、無機酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、前記酸A1及び前記酸A2が、独立して、酢酸、アスパラギン酸、安息香酸、ホウ酸、臭素酸、塩酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、グルタミン酸、乳酸、リンゴ酸、硝酸、スルファミン酸、硫酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酒石酸、リン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記酸A1が、ギ酸であり、
前記酸A2が、メタンスルホン酸である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
選択肢(ii)又は(iii)に従って実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が選択肢(i)に従って実施され、前記有機極性溶媒が好ましくはエステルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸A1及び/又はA2の合計量が、前記結晶化混合物の総重量に基づいて、0.001重量%~50重量%の範囲にある、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記メロシアニン化合物を有機極性溶媒中に溶解させる前記工程(a)が、前記混合物を沸点まで加熱することにより実施され、
前記工程(a)で得られた溶液から前記メロシアニン化合物を結晶化させる前記工程(b)が、前記結晶化混合物を-10℃から前記結晶化混合物の沸点未満までの範囲内の温度に冷却することにより実施される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記結晶性メロシアニン化合物の、分光光度計PE Lambda 650で、DIN EN ISO 4630に従って測定されるガードナー指数が、5未満、好ましくは3.2未満である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法により得ることが可能なメロシアニン化合物の結晶。
【請求項14】
分光光度計PE Lambda 650でDIN EN ISO 4630に従って測定されるガードナー指数が、5未満、好ましくは3.2未満である、及び/又は460nmでの透過率値が90%超である、請求項13に記載の結晶。
【請求項15】
化粧用配合物又は包装における、請求項13又は14に記載の結晶の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度であり、改善された色特性を有するメロシアニン化合物の、改善された結晶化方法を提供する。結晶性メロシアニン(crystalline merocyanine)を調製する方法は、有機極性溶媒中にメロシアニン化合物を溶解させる工程を含み、本方法は、7未満のpHで実施される。
【0002】
以下の式(1)で示される3-アミノ-2-シクロヘキサン-1-イリデン誘導体は、メロシアニンの化学的分類に属し、光分解及び酸化分解から家庭用品を保護するためのUV吸収剤として、プラスチック添加剤として、好ましくは食品及び医薬品の包装用途に、これらの化合物を透明な食品容器に混合することによる食品の光劣化の防止用に、透明なブリスターホイル又は透明な薬剤容器にUV吸収剤を混合することによるUV-Aに感受性のある薬物の光劣化からの保護用に、写真及び印刷用途のための添加剤として、電子用途のための添加剤として、並びに農業用途における成分の保護用に有用である。
【背景技術】
【0003】
本発明のメロシアニン誘導体は、有色副産物の形成の影響を受ける多段階シーケンス(multi-step sequence)を介して生成される。有色不純物は、最終的な商業的用途において望まれない変色をもたらすという不利な点を有する。望ましくない変色は、典型的には、最終的な市販品(例えば、日焼け止めクリーム配合物又は包装(packaging))において黄変として見られる。最終製品を変色させる前記不純物を含有するメロシアニン生成物の最終製品を変色させる能力は、最終製品へと混合される前のその元の色と相関する。メロシアニン生成物の色は、比色測定法により測定できる。これらのうち、ガードナー指数(Gardner Index)の測定が、特に物質の黄色度を測定する一般的な方法である。メロシアニン生成物試料が有色不純物を多く含有するほど、より高いガードナー指数値を示し、最終的な市販品の形態のより強い変色を引き起こす。したがって、有色不純物の残留レベルを減少させることが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、もはや上記の不利な点を示さず、特に改善された色特性を有する、以下の式(1)により示される3-アミノ-2-シクロヘキサン-1-イリデン誘導体を提供することである。したがって、本発明はまた、最終的な応用システム(final application system)における変色を最小化させるメロシアニン化合物の精製及び単離の改善された方法を提供することを目的とする。
【0005】
この目的は、本発明に従えば、特定の溶媒又は溶媒混合液中でのメロシアニン化合物の結晶化により達成される。
【0006】
驚くべきことに、これらの目的は、
(a) 有機極性溶媒にメロシアニン化合物を溶解させる工程、
(b) 工程(a)で得られた溶液から、メロシアニン化合物を結晶化させる工程、及び
(c) 工程(b)の結晶化混合物からメロシアニン化合物を単離させる工程
を含む、結晶性メロシアニン化合物を調製する方法であって、
以下の選択肢
(i) 工程(a)で酸A1を添加すること、
(ii) 工程(b)で酸A2を添加すること、又は
(iii) 工程(a)で酸A1、及び工程(b)で酸A2を添加すること
に従って、7未満のpHで実施される方法により達成できることが見出された。
【0007】
驚くべきことに、本発明者らは、上で定義されるような結晶性メロシアニン化合物を調製する方法により、そうして得られたメロシアニン結晶が、分光光度計PE Lambda 650でDIN EN ISO 4630に従って測定して、5未満のガードナー指数を有することを発見した。さらに驚くべきことに、そうして達成されたメロシアニン結晶は、優れた純度、及び改善された460nmでの透過率値(好ましくは90%超)を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
したがって、一実施形態に従えば、本発明は、式
【0009】
【化1】
(式中、
R
1及びR
2は、互いに独立して、水素、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上の-O-で中断されている、及び/又は1つ以上のOHにより置換されており、
R
3は、(C=O)OR
4又は(C=O)NHR
4であり、
R
4は、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上のOHにより置換されている、及び/又は1つ以上の-O-で中断されており、
R
5及びR
6は、互いに独立して、水素、又はC
1~C
12-アルキルである)
の結晶性メロシアニン化合物を調製する改善された方法に関する。
【0010】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載されるような結晶性メロシアニン化合物を調製するための本発明の方法に従う方法により得ることが可能な、メロシアニン化合物の結晶に関する。
【0011】
別の態様では、本発明は、分光光度計PE Lambda 650でDIN EN ISO 4630に従って測定されるガードナー指数が5未満であるメロシアニン化合物に関する。
【0012】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載されるような方法によりメロシアニン化合物中の有色不純物の残留レベルを減少させる方法に関する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載されるような結晶性メロシアニン化合物を調製するための本発明の方法に従う方法により得ることが可能な結晶の、化粧用配合物又は包装における使用に関する。
【0014】
式(1)のメロシアニン化合物は、例示的に、式(2)(式中、R1、R2、R5、及びR6が、式(1)と同様に定義される)で表される1-アミノシクロヘキサノン-3の溶液を、硫酸ジメチル又は他の適切なアルキル化剤と反応させた後に、式(3)(式中、R3が式(1)と同様に定義される)の適切なメチレン-活性化合物と、例えば、US-A-4,749,643、WO 2007/071582 A1、WO 2009/027258 A2、又はIP-COM000225139Dに記載されているように反応させることにより調製される。
【0015】
【0016】
式(1)で表される粗メロシアニン生成物は、反応混合物から、標準生成物単離手順、例えば液液分離、濾過、カラムクロマトグラフィー、冷却による結晶化、反応混合物への貧溶媒の添加による結晶化、蒸留による結晶化、又はこれらの単離方法の組み合わせにより得ることができる。
【0017】
本発明の例示的実施形態を詳細に記載する前に、本発明を理解するのに重要な定義を示す。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」及び「an」は、文脈上明確に指示されない限り、それぞれの複数形も含む。本発明の文脈では、「約」という用語は、当業者が当該特徴の技術的な効果を依然として確保すると理解する正確さの区間(interval of accuracy)を表す。その用語は、典型的には、示された数値から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、さらにより好ましくは±5%の偏差を示す。「含む(comprising)」という用語は、限定するものではないことを理解されたい。本発明の目的のために、「からなる(consisting of)」という用語は、「含む(comprising of)」という用語の好ましい実施形態であると考えられる。以下に、群が、少なくとも特定の数の実施形態を含むように定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も包含することを意味する。さらに、本明細書及び特許請求の範囲の「第1の」、「第2の」、「第3の」、又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」等の用語は、同様な要素を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時系列的な順序を記載するために使用されるわけではない。そのように使用される用語が適切な状況下で交換可能であること、及び本明細書に記載された本発明の実施形態が、本明細書に記載又は例示された以外の順序で操作可能であることを理解されたい。「第1の」、「第2の」、「第3の」、又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「(i)」、「(ii)」等の用語が、方法、使用、分析の工程に関係する場合、工程間に時間コヒーレンス又は時間間隔コヒーレンスは存在しない。すなわち、本明細書で上記又は下記の用途において別途指示がない限り、工程を同時に実施してよく、又はそのような工程間に秒、分、時、日、週、月、さらには年の時間間隔があってもよい。本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、試薬等は変更し得るため、本発明はこれらに限定されないことを理解されたい。さらに、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図していないことも理解されたい。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0019】
「粗メロシアニン生成物」及び「粗メロシアニン材料」という用語は、結晶性メロシアニン化合物を調製する方法の工程(a)で添加されるメロシアニン化合物を指し、したがって、本発明に従う結晶化方法が実施される前に、例えば多段階シーケンスを介して得られるメロシアニン化合物を指す。本発明に従う結晶化方法を実施する前に、粗メロシアニン生成物を、多段階シーケンス合成後に、任意の他の可能な精製方法により精製してもよい。しかしながら、本発明に従う結晶化方法はまた、多段階シーケンス合成後に粗メロシアニン生成物を得た後、従来の精製方法を用いることなく直接実施してもよい。
【0020】
「結晶化混合物」という用語は、方法の特定の工程における全ての成分を含む、総重量%(重量%)の混合物を指す。
【0021】
上記の可変要素の定義で言及された有機部分は、個々の基員(group member)を別個に列挙するための集合名である。接頭辞Cn~Cmは、それぞれの場合において、基中の可能な炭素原子数を示す。
【0022】
可変要素に関して、メロシアニン化合物の特に好ましい実施形態は、式(1)の化合物のものに相当する。
【0023】
式(1)の化合物の可変要素は、以下の意味を有し、これらの意味は、それら自体でも、互いに組合せても、式
【0024】
【化3】
(式中、
R
1及びR
2は、互いに独立して、水素、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上の-O-で中断されている、及び/又は1つ以上のOHにより置換されており、
R
3は、(C=O)OR
4又は(C=O)NHR
4であり、
R
4は、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上のOHにより置換されている、及び/又は1つ以上の-O-で中断されており、
R
5及びR
6は、互いに独立して、水素、又はC
1~C
12-アルキルである)
の化合物の好ましい実施形態である。
【0025】
「C1~C22-アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、それぞれの場合において、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、n-オクチル、1,1,3,3-テトラ-メチルブチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、n-オクタデシル、アイコシル、又はドデシルを表す。
【0026】
「C2~C22-アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、それぞれの場合において、少なくとも1つの単価不飽和炭化水素基(singly unsaturated hydrocarbon radical)、すなわち少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する炭化水素基を有する、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、例えば直鎖C2~C12-アルケニル、又は好ましくは分岐C3~C12-アルケニルを表す。他の例は、ビニル、アリル、2-プロペン-2-イル、2-ブテン-1-イル、3-ブテン-1-イル、1,3-ブタジエン-2-イル、2-シクロブテン-1-イル、2-ペンテン-1-イル、3-ペンテン-2-イル、2-メチル-1-ブテン-3-イル、2-メチル-3-ブテン-2-イル、3-メチル-2-ブテン-1-イル、1,4-ペンタジエン-3-イル、2-シクロペンテン-1-イル、2-シクロヘキセン-1-イル、3-シクロヘキセン-1-イル、2,4-シクロヘキサジエン-1-イル、1-p-メンテン-8-イル、4(10)-ツジェン-10-イル、2-ノルボルネン-1-イル、2,5-ノルボルナジエン-1-イル、7,7-ジメチル-2,4-ノルカラジエン-3-イル、又はヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、若しくはドデケニルの異なる異性体のような、C1~C12-アルキルである。
【0027】
「C2~C22-アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、それぞれの場合において、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する炭化水素基を表し、鎖は、直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル(2-プロピン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イルとも呼ばれる)、1-プロピン-1-イル(プロパ-1-イン-1-イルとも呼ばれる)、1-メチルプロパ-2-イン-1-イル、2-ブチン-1-イル、3-ブチン-1-イル、1-ペンチン-1-イル、3-ペンチン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、1-メチルブタ-2-イン-1-イル、1-エチルプロパ-2-イン-1-イル等であってもよい。
【0028】
「C3~C22-シクロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、それぞれの場合において、単環式又は多環式の脂環式基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、トリメチルシクロヘキシル、又は好ましくはシクロヘキシルを表す。
【0029】
「C3~C22-シクロアルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、それぞれの場合において、単環式又は多環式の単価不飽和非芳香族基を表す。シクロアルケニル基は、二重結合を形成する炭素原子を介して、又は単結合を形成する炭素原子を介して、好ましくは二重結合を形成する炭素原子を介して、分子の残りの部分に結合されてもよい。例となるシクロアルケニル基は、シクロプロペン-1-イル、シクロヘキセン-1-イル、シクロヘプテン-1-イル、又はシクロオクテン-1-イルを含む。
【0030】
「1つ以上の-O-で中断されている」という用語は、好ましくは、任意のエーテル基、例えば、メトキシエチル、エトキシプロピル、2-エトキシエチル、3-メトキシプロピル、2-ブトキシエチル、又は2-(2-メトキシエトキシ)エチルを指す。
【0031】
「1つ以上のOHにより置換されている」という用語は、好ましくは、「ヒドロキシ置換アルキル」、例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシヘプチル、ヒドロキシオクチル、ヒドロキシノニル、又はヒドロキシデシルを指す。
【0032】
「脂肪族」という用語は、任意の非芳香族炭化水素基を指し、構成炭素原子が直鎖、分岐鎖、若しくは環式であってもよく、及び/又はヘテロ原子が炭素鎖に結合されてもよい。さらに、これらの脂肪族基は、1つ以上の同じ又は異なる置換基で置換され得る。
【0033】
本発明の意味において、「高純度」という用語は、最終精製生成物の総重量に基づいて、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも97重量%の純度を有する化合物を指し、残りの重量%は、不純物に相当する。
【0034】
本発明のメロシアニン化合物は、E,E-、E,Z-、又はZ,Z-幾何異性体の形態であってもよい。
【0035】
一実施形態では、本発明は、以下に図示され、MC01~MC10、M15、及びM27と略された式(1)の結晶性メロシアニン化合物を調製する方法に関する。
【0036】
本発明に従うメロシアニンの例は、表Aに列挙される:
【0037】
【0038】
本発明の最も好ましいメロシアニン誘導体は、以下の化合物、及びそれらのE,E-、E,Z-、又はZ,Z-幾何異性体形態の群から選択される:
【0039】
【0040】
本発明の1つの特定の実施形態に従えば、メロシアニン化合物は、2-エトキシエチル(2Z)-シアノ{3-[(3-メトキシプロピル)アミノ]シクロヘキサ-2-エン-1-イリデン}エタノエートである。
【0041】
本発明の一実施形態に従えば、メロシアニン化合物は、工程(a)において、約50~約600g/L、好ましくは約100~約580g/L、より好ましくは約200~約550g/Lの範囲の濃度で提供される。
【0042】
有機極性溶媒と酸A1及び/又はA2との重量比は、約500:1~約0.5:1、好ましくは約400:1~約0.8:1、より好ましくは約350:1~約1:1である。
【0043】
本発明に従えば、結晶性メロシアニン化合物を調製する方法は、
(a) 有機極性溶媒にメロシアニン化合物を溶解させる工程、
(b) 工程(a)で得られた溶液から、メロシアニン化合物を結晶化させる工程、及び
(c) 工程(b)の結晶化混合物からメロシアニン化合物を単離させる工程
を含み、
ここで、本方法は、7未満のpHで実施される。
【0044】
工程(a)では、メロシアニン化合物(すなわち粗メロシアニン生成物)を、有機極性溶媒に溶解させる。本発明の一実施形態に従えば、有機溶媒は、エステル、ケトン、エーテル、アルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
適切なエステル溶媒は、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸ヘキシル、酢酸エトキシプロピル、プロピオン酸エステル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酪酸エステル、酪酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸ブチル、及びアジピン酸ジメチル、又はそれらの混合物であってもよい。好ましくは、ギ酸エステル、酢酸エステル、又はプロピオン酸エステル系溶媒から選択されるエステル系溶媒が使用される。
【0046】
さらに、適切なのは、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メシチルオキシド、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロンのようなケトン、又はそれらの混合物である。
【0047】
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ-sec-ブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、メタジオキサンのようなエーテル溶媒、並びにメチルグリコール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、メチルジグリコール、ブチルジグリコール、エチルグリコール、エチルトリグリコール、ブチルテトラグリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ブチルトリグリコール、メトキシプロパノール、イソブトキシプロパノール、メチルジプロピレングリコール、メトキシブタノール、及び1,1-ジメトキシエタンのようなグリコールエーテルが適している。
【0048】
適切なアルコール溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、又はそれらの混合物であり得る。好ましくは、イソプロパノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、tert-オクチルアルコール、又はそれらの混合物が使用される。
【0049】
好ましい実施形態では、有機極性溶媒は、ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソアミル、3-エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸エチル、1-メトキシ-2-プロパノール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
工程(a)において得られた溶液の温度は、約0℃からこの工程で使用される溶媒又は溶媒混合液の沸点まで、好ましくは約20℃~100℃、最も好ましくは30℃~80℃の範囲であってもよい。
【0051】
一実施形態では、粗メロシアニン生成物を最初に融解させ、その後、有機極性溶媒に溶解させてもよい。この点に関して、融解物は、通常、有機極性溶媒を添加する前に最初に冷却する必要がある。
【0052】
場合によっては、酸A1を、方法の工程(a)で添加することが好都合であり得る。したがって、酸A1を、メロシアニン化合物を溶解させる前又は溶解させた後に、有機極性溶媒に添加してもよい。
【0053】
他の場合では、酸A2を、例えば工程(b)における結晶化工程の他の任意の段階で添加することが好都合であり得る。酸A2は、例示的に、工程(a)において得られた結晶化混合物を冷却した後に、粗メロシアニン溶液にシーディング(seeding)した後に、又は結晶化中に、結晶化している混合物へと添加してもよい。
【0054】
他の場合では、酸A1を方法の工程(a)で添加し、酸A2を方法の工程(b)で添加することが好都合であり得る。これにより、酸A1を、有機極性溶媒に、メロシアニン化合物を溶解させる前又は後に添加してもよく、酸A2を、工程(a)において得られた結晶化混合物を冷却した後に、粗メロシアニン溶液にシーディングした後に、又は結晶化中に、結晶化している混合物へと添加してもよい。
【0055】
工程(a)で得られた溶液から、メロシアニン化合物の結晶化を引き起こす工程は、全ての一般的な結晶化方法、例えば、メロシアニン化合物が溶解しにくい溶媒を結晶化混合物に添加すること、結晶化混合物を冷却すること、溶媒を結晶化混合物から蒸発させること、メロシアニン化合物の種結晶(seeding crystal)を結晶化混合物に添加すること、又はそれらを合わせたものにより達成されてもよい。
【0056】
本発明の一実施形態では、結晶化混合物からのメロシアニン化合物の結晶化は、
- 結晶化混合物を冷却すること、
- メロシアニン化合物の種結晶を結晶化混合物に添加すること、及び/又は
- 酸A2を添加すること
により引き起こされる。
【0057】
工程(b)で適用される温度は、約-10℃から結晶化混合物の沸点未満まで、好ましくは約-5℃~100℃、より好ましくは-5℃~70℃の範囲であってよい。
【0058】
シーディングは、種結晶を添加することにより実施されてよく、その種結晶は、いかなる公知の方法で添加されてもよい。種結晶は、例示的に、結晶化混合物を撹拌しながら添加されてもよい。一般に、結晶化混合物に添加される種結晶の量は、結晶化混合物の総重量に基づいて、約0.01重量%~約2重量%、好ましくは約0.05重量%~約1.8重量%の範囲である。
【0059】
本発明に従えば、酸A1及び/又は酸A2は、以下の選択肢:
(i) 工程(a)で酸A1を添加すること、
(ii) 工程(b)で酸A2を添加すること、又は
(iii) 工程(a)で酸A1を添加し、及び工程(b)で酸A2を添加すること
により添加され、それにより、結晶化混合物のpHが7未満になる。
【0060】
本発明に従えば、任意の適切な酸を酸A1及び酸A2として使用できる。本発明に従えば、酸A1及び酸A2は、独立して、有機酸、無機酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され、任意の適切な量を使用してよい。好ましくは、酸A1及び酸A2は、独立して、酢酸、アスパラギン酸、安息香酸、ホウ酸、臭素酸、塩酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、グルタミン酸、塩酸、乳酸、リンゴ酸、硝酸、スルファミン酸、硫酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酒石酸、リン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、塩酸、ギ酸、又は酢酸が使用される。メタンスルホン酸のようなスルホン酸が、さらにより好ましい。
【0061】
1つの特定の実施形態では、酸A1はギ酸であり、酸A2はメタンスルホン酸である。
【0062】
本発明の一実施形態では、方法は、選択肢(i)に従って実施される。したがって、酸A1は、工程(a)で添加される。特定の一実施形態では、方法は、選択肢(i)に従って実施され、有機極性溶媒は、好ましくはエステルである。
【0063】
本発明の別の実施形態では、方法は、選択肢(ii)又は(iii)に従って実施される。したがって、酸A2が工程(b)で添加されるか、又は酸A1が工程(a)で添加されて酸A2が工程(b)で添加される。
【0064】
酸A1及び/又はA2の合計量は、結晶化混合物の総重量に基づいて、0.001重量%~50重量%、好ましくは0.01重量%~20重量%、さらにより好ましくは0.10重量%~10重量%の範囲にある。
【0065】
工程(b)は、撹拌しながら実施されてもよい。撹拌が結晶化方法に干渉しない様式で実施される限り、撹拌は結晶化中に行われる。
【0066】
結晶化が起こる場合、撹拌時間を変化させてもよい。撹拌時間は、2~30時間、好ましくは4~20時間、さらにより好ましくは5~15時間の範囲内であってよい。
【0067】
特定の実施形態では、本発明は、メロシアニン化合物を有機極性溶媒に溶解させる工程(a)を、混合物を沸点まで加熱することにより実施し、工程(a)で得られた溶液からメロシアニン化合物を結晶化させる工程(b)を、結晶化混合物を-10℃から結晶化混合物の沸点未満の範囲内の温度まで冷却することにより実施する方法に関する。
【0068】
別の特定の実施形態では、本発明は、メロシアニン化合物を有機極性溶媒に溶解させる工程(a)を、混合物を沸点まで加熱することにより実施し、工程(a)で得られた溶液からメロシアニン化合物を結晶化させる工程(b)を、粗メロシアニン溶液を含む結晶化混合物にシーディングすることにより実施する方法に関する。
【0069】
別の特定の実施形態では、本発明は、メロシアニン化合物を有機極性溶媒に溶解させる工程(a)を、混合物を沸点まで加熱することにより実施し、工程(a)で得られた溶液からメロシアニン化合物を結晶化させる工程(b)を、結晶化混合物を-10℃から結晶化混合物の沸点未満の範囲内の温度まで冷却し、加えて、粗メロシアニン溶液を含む結晶化混合物にシーディングすることにより実施する方法に関する。
【0070】
工程(c)では、結晶性メロシアニン化合物を、任意の従来の方法、例えば溶媒の濾過、遠心分離、又は蒸発により、混合物から単離してもよい。濾過又は遠心分離による単離が好ましい。
【0071】
本発明は、本明細書に記載されるような方法により、メロシアニン化合物中の有色不純物の残留レベルの減少をもたらす。
【0072】
通常、得られたメロシアニン化合物の結晶は、工程(c)での単離後に、任意選択的な工程(d)において乾燥される。乾燥は、任意の公知の方法、例えば、溶媒での洗浄、室温又は任意のより高い温度での乾燥、凍結乾燥、真空下等によって実施し得る。工程(c)下で、得られた材料を50℃超の温度で、真空下で乾燥させることが好ましい。
【0073】
特定の実施形態では、本発明は、上記の方法であって、結晶性メロシアニン化合物の、分光光度計PE (PerkinElmer) Lambda 650でDIN EN ISO 4630に従って測定されるガードナー指数が、5未満、好ましくは3.2未満である、方法に関する。
【0074】
本発明はさらに、本発明の方法により得ることが可能なメロシアニン化合物の結晶に関する。
【0075】
一実施形態では、本発明の方法で得ることが可能なメロシアニン化合物の結晶は、分光光度計PE (PerkinElmer) Lambda 650でDIN EN ISO 4630に従って測定されるガードナー指数が、5未満、好ましくは3.2未満である。別の実施形態では、本発明の方法により得ることが可能なメロシアニン化合物の結晶は、460nmでの透過率値が90%超である。本発明の特定の実施形態では、本発明の方法で得ることが可能なメロシアニン化合物の結晶は、分光光度計PE (PerkinElmer) Lambda 650でDIN EN ISO 4630に従って測定されるガードナー指数が、5未満、好ましくは3.2未満であり、460nmでの透過率値が90%超である。
【0076】
得られたメロシアニン化合物の結晶は、さらに好ましくは、より高い純度を有する。
【0077】
本発明の方法により得られたメロシアニン化合物の結晶は、低い変色特性を示す。メロシアニン化合物の結晶を粗メロシアニン生成物と比較するために、ガードナー指数、及び460nmの波長での%透過率を測定することができる。本発明の方法により得られたメロシアニン化合物の結晶は、典型的には3.2未満、多くの用途に対して望ましくは3.0未満の著しく低いガードナー指数を示す。これに対して、粗メロシアニン材料は、5を超えるガードナー指数を示す。
【0078】
460nmの波長で測定された、本発明の方法により得られたメロシアニン化合物の結晶の決定された%透過率の値は、粗メロシアニン材料と比較して著しく高く、光の可視領域における吸収特性がより低いことを示す。本発明に従うメロシアニン化合物の結晶が460nmにおいて90%以上の%透過率値を示す一方で、粗メロシアニン材料は、典型的には、10%以下の値を有する。
【0079】
一実施形態では、本発明は、式
【0080】
【化5】
(式中、
R
1及びR
2は、互いに独立して、水素、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上の-O-で中断されている、及び/又は1つ以上のOHにより置換されており、
R
3は、(C=O)OR
4又は(C=O)NHR
4であり、
R
4は、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上のOHにより置換されている、及び/又は1つ以上の-O-で中断されており、
R
5及びR
6は、互いに独立して、水素、又はC
1~C
12-アルキルである)
の結晶性メロシアニン化合物であって、
結晶性メロシアニン化合物は、分光光度計PE Lambda 650でDIN EN ISO 4630に従って測定されるガードナー指数が、5未満、好ましくは3.2未満である結晶性メロシアニン化合物に関する。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、式
【0082】
【化6】
(式中、
R
1及びR
2は、互いに独立して、水素、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上の-O-で中断されている、及び/又は1つ以上のOHにより置換されており、
R
3は、(C=O)OR
4又は(C=O)NHR
4であり、
R
4は、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上のOHにより置換されている、及び/又は1つ以上の-O-で中断されており、
R
5及びR
6は、互いに独立して、水素、又はC
1~C
12-アルキルである)
の結晶性メロシアニン化合物であって、
結晶性メロシアニン化合物は、460nmでの透過率値が90%超である、結晶性メロシアニン化合物に関する。
【0083】
さらに別の実施形態では、本発明は、式
【0084】
【化7】
(式中、
R
1及びR
2は、互いに独立して、水素、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上の-O-で中断されている、及び/又は1つ以上のOHにより置換されており、
R
3は、(C=O)OR
4又は(C=O)NHR
4であり、
R
4は、C
1~C
22-アルキル、C
2~C
22-アルケニル、C
2~C
22-アルキニル、C
3~C
22-シクロアルキル、又はC
3~C
22-シクロアルケニルであり、前述の部分は、任意選択で1つ以上のOHにより置換されている、及び/又は1つ以上の-O-で中断されており、
R
5及びR
6は、互いに独立して、水素、又はC
1~C
12-アルキルである)
の結晶性メロシアニン化合物であって、
結晶性メロシアニン化合物は、分光光度計PE Lambda 650でDIN EN ISO 4630に従って測定されるガードナー指数が、5未満、好ましくは3.2未満であり、結晶性メロシアニン化合物は、460nmでの透過率値が90%超である、結晶性メロシアニン化合物に関する。
【0085】
式(1)の結晶性メロシアニン化合物は、さらに好ましくは、より高い純度を有する。
【0086】
本発明はさらに、本発明の方法により得ることが可能なメロシアニン化合物の結晶の使用、及び本発明に従う式(1)の結晶性メロシアニン化合物の使用に関する。特に、本発明は、本発明の方法により得ることが可能なメロシアニン化合物の化粧用配合物又は包装における使用に関する。さらに、本発明は、本発明に従う式(1)の結晶性メロシアニン化合物の化粧用配合物又は包装における使用に関する。好ましくは、そのような化合物は、UV吸収剤として使用される。
【0087】
本発明に従う方法により得ることが可能なメロシアニン化合物の結晶、及び本発明に従う式(1)の結晶性メロシアニン化合物は、他のあらゆるUV吸収剤と混合できる。
【0088】
一実施形態では、本発明の結晶は、化粧用配合物、例えば、スキンケア製品、浴用及びシャワー用添加剤(bath and shower additive)、フレグランス及び発香性物質(odoriferous substance)を含有する調製物、ヘアケア製品、歯磨剤、消臭及び発汗抑制調製物(deodorizing and antiperspirant preparation)、装飾用調製物(decorative preparation)、並びに光保護配合物(light protection formulation)中で、単一成分として、又は他のUV吸収剤と混合して使用される。
【0089】
本発明の光保護配合物は、例示的に、サンミルク(sun milk)、ローション、クリーム、若しくはオイル、日焼け止め若しくはトロピカル(tropical)、プレタニング調製物、又はアフターサン調製物である。特に、結晶は、光保護配合物に使用される。
【0090】
一実施形態では、本発明の結晶は、単一成分として、又は他のUV吸収剤と混合して、包装中で、好ましくは透明包装中で、例えば食品の保護又は薬剤梱包用途のための透明包装中で、使用される。
【0091】
別の実施形態では、本発明の結晶は、単一成分として、又は他のUV吸収剤と混合して、写真記録材料中で、使用される。
【0092】
本発明の結晶の改善されたUV-A及びUV-B吸収特性により、本発明の包装で包装された製品は、UV-A及びUV-B線から優位に保護される。
【0093】
分析方法:
ガードナー指数
したがって、ガードナー指数は、通常、典型的なデバイスで測定されてよい。本発明において、ガードナー指数は、分光光度計PE (PerkinElmer) Lambda 650でDIN EN ISO 4630に従って測定される。
【0094】
HPLC標準法
DAD検出による液体クロマトグラフィーを実施した。
カラムとして、Zorbax Eclipse XDB-C18 1.8μ、4.6×100mm (Agilent)を使用した。
移動相A: 水及び0.05%ギ酸。
移動相B: アセトニトリル及び0.05%ギ酸。
適用される標準HPLC勾配は、表Bに示される。
【0095】
【0096】
流量は0.7ml/分、注入体積は3μL、温度は47℃であった。検出は、230nmの波長で実施した。
【0097】
%透過率460nm
分光光度計としてLamda 35、及びサーモスタットとしてPolystat CC3 - Huber G3を使用した。
【0098】
以下のパラメーターを選択した:
波長: 460nm
セルタイプ:石英、10mm
測定モード: 透過
サイクルの回数: 1
レスポンス: 2
ランプ: 2
スリット: 2.00nm
温度: 25℃
試験溶液: エタノール中1.00%w/v
リファレンス: (ベースライン/リファレンス光): 対応するブランク溶液を使用する
溶媒: エタノール - 無水変性分光光度法グレード、90%、5%メタノール、5%イソ-プロパノール - Alfa Aesar Art.Nr. 22931
【0099】
約50.0mgの対応する試料を、5.00mLメスフラスコへと計り入れ、印までエタノールで満たして、エタノール中1%w/v溶液を得た。必要に応じて、試料を、超音波槽で1~2分間処理した。
【0100】
純度
純度を、上記のHPLC標準法により測定した。
【0101】
本発明は、以下の実施例によりさらに例示される。
【実施例0102】
メロシアニンUV吸収剤の結晶化
【0103】
[比較例:酸無しでの式MC03の化合物の結晶化]
30.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.7及び純度95.4%の粗生成物)を、70.0gの酢酸n-ブチルに、64℃で溶解させた。撹拌しながら53℃に冷却し、その後0.16gの結晶性化合物MC03をシーディングした。その後、温度を、15.3時間の間に10℃に低下させた。10℃の温度を、0.5時間維持した。その後、懸濁液をブフナー漏斗に移し、母液を吸引分離した。濾過ケーキを、30.0gの酢酸ブチルですすいだ。その後、30.0gの酢酸ブチルを添加し、ケーキを、スパチュラを使用して洗浄液中で再度スラリー化し、洗浄液を吸引分離した。最後に、結晶を、30.0gの酢酸ブチルですすいだ。その後、結晶を真空オーブン中で85℃、20mbarで16時間乾燥させ、式MC03の純生成物25.1g(収率87.1%)を得た。ガードナー指数:7.7、%T460nm:2.4、純度:98.8%。
【0104】
[実施例1:エーテル溶媒中でのギ酸及びメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
50.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.7及び純度95.8%の粗生成物)を、加熱ジャケットを備える滴下漏斗に移した。ジャケットを、粗生成物が完全に融解されるまで120℃に加熱した。粗生成物融解物を含む漏斗を、反応容器の底に、アンカーインペラー、温度計、冷却ジャケット、及び出口スピンドルを備えた反応容器に配置した。
【0105】
111.8gのジイソプロピルエーテル及び35.5gのギ酸を反応器に添加し、撹拌しながら32℃に加熱した。15分間の間に、反応器中の混合物の温度を32℃に保ち、撹拌速度を350回転/分に維持しながら、粗生成物融解物を添加した。その後、0.64gのメタンスルホン酸及び1.11gの結晶性化合物MC03を、混合物に添加した。撹拌速度を200rpmに下げ、加熱温度を30℃から29℃に1時間の間に低下させた。その後、冷却温度を、240分間の間に19℃に直線的に低下させ、その後、冷却温度を、648分間の間に-8℃に低下させ、内部温度を-5℃にした。-5℃の内部温度を、0.5時間維持した。その後、懸濁液をブフナー漏斗に移し、母液を吸引分離した。濾過ケーキを、44.4gのジイソプロピルエーテル/ギ酸(95:5)ですすいだ。その後、濾過ケーキを、133.2gのジイソプロピルエーテルで、4回に分けて洗浄し、第2の部分を使用して、ケーキを洗浄液中で再度スラリー化した後に吸引分離した。洗浄した生成物結晶を真空オーブン中で65℃、20mbarで16時間乾燥させ、39.6gの結晶化生成物(収率80.4%)を得た。ガードナー指数=3.0、%T460nm:93.3。
【0106】
[実施例2:エーテル溶媒中でのギ酸及びメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
26.1gの化合物MC03(ガードナー指数8.6及び純度95.9%の粗生成物)を、17.7gのギ酸及び55.8gのジイソプロピルエーテルに、50℃で溶解させた後、0.32gのメタンスルホン酸を添加した。撹拌しながら32℃に冷却し、その後1.25gの化合物MC03をシーディングした。その後、冷却温度を、912分間の間に-8℃に低下させた。-8℃の冷却温度を、0.5時間維持した。その後、懸濁液をブフナー漏斗に移し、母液を吸引分離した。濾過ケーキを、50.0gのジイソプロピルエーテル/ギ酸(95:5)ですすいだ。その後、濾過ケーキを、150.0gのジイソプロピルエーテルで、4回に分けて洗浄した。洗浄した生成物結晶を真空オーブン中で65℃、20mbarで16時間乾燥させ、21.5gの結晶化生成物(収率80.9%)を得た。ガードナー指数:2.7、%T460nm:96.1。
【0107】
[実施例3:エステル溶媒中でのメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
25.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.6及び純度95.3%の粗生成物)を、75.0gの酢酸ブチルに、54℃で溶解させた。46℃の温度に冷却した後、0.30gのメタンスルホン酸、及びシーディング用の0.13gの結晶性MC03を添加した。その後、冷却温度を-8℃に低下させ、混合物の温度を-5℃にした。-8℃の冷却温度を、0.5時間維持した。その後、結晶を濾過により単離し、110.0gの酢酸ブチルで、3回に分けて洗浄した。その後、生成物結晶を、65℃、20mbarで16時間乾燥させ、20.0gの式MC03の結晶性生成物(収率83.3%)を得た。ガードナー指数:2.7、%T460nm:98.2。
【0108】
[実施例4:エステル溶媒中でのギ酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
20.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.6及び純度95.3%の粗生成物)を、70.0gの酢酸ブチル及び10.0gのギ酸に、49℃で溶解させた。26℃の温度に冷却した後、シーディング用の0.10gの結晶性MC03を添加した。その後、冷却温度を7℃に低下させ、混合物の温度を10℃にした。7℃の冷却温度を、0.5時間維持した。その後、結晶を濾過により単離し、40.0gのジイソプロピルエーテルですすいだ。その後、50.0gのジイソプロピルエーテルを添加し、ケーキを、スパチュラを使用して洗浄液中で再度スラリー化し、洗浄液を吸引分離した。最後に、結晶を、50.0gのジイソプロピルエーテルですすいだ。その後、結晶を真空オーブン中で65℃、20mbarで64時間乾燥させ、9.14gの純生成物(収率47.4%)を得た。ガードナー指数:2.8、%T460nm:97.9。
【0109】
[実施例5:エステル溶媒中でのメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
20.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.6及び純度95.3%の粗生成物)を、80.0gの酢酸n-プロピルに、55℃で溶解させた。41℃の温度に冷却した後、0.24gのメタンスルホン酸、及びシーディング用の0.10gの式MC03の結晶を添加した。その後、冷却温度を-8℃に低下させ、混合物の温度を-5℃にした。-8℃の冷却温度を、0.5時間維持した。その後、結晶を濾過により単離し、冷却した30.0gの酢酸n-プロピルですすいだ(洗浄液の温度は5℃であった)。その後、冷却した40.0gの酢酸プロピルを添加し、ケーキを、スパチュラを使用して洗浄液中で再度スラリー化し、洗浄液を吸引分離した。最後に、結晶を、冷却した40.0gの酢酸プロピルですすいだ。その後、結晶を真空オーブン中で65℃、20mbarで64時間乾燥させ、14.81gの純生成物(収率77.2%)を得た。ガードナー指数:2.8、%T460nm:97.4。
【0110】
[実施例6:ケトン溶媒中でのメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
30.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.7及び純度95.4%の粗生成物)を、70.0gのメチルイソブチルケトンに、49℃で溶解させた。43℃の温度に冷却した後、0.36gのメタンスルホン酸、及びシーディング用の0.16gのMC03結晶を添加した。その後、冷却温度を7℃に低下させ、混合物の温度を11℃にした。7℃の冷却温度を、0.5時間維持した。その後、結晶を、濾紙を備えたブフナー漏斗を使用する濾過により単離し、冷却した30.0gのメチルイソブチルケトンですすいだ(洗浄液の温度は14℃であった)。その後、30.0gのメチルイソブチルケトンを添加し、ケーキを、スパチュラを使用して洗浄液中で再度スラリー化し、洗浄液を吸引分離した。最後に、結晶を、冷却した30.0gのメチルイソブチルケトンですすいだ。その後、結晶を真空オーブン中で70℃、20mbarで2時間乾燥させ、その後80℃、20mbarで16時間乾燥させて、17.8gの純生成物(収率61.6%)を得た。ガードナー指数:2.9、%T460nm:96.9。
【0111】
[実施例7:エステル溶媒中でのメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
30.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.7及び純度95.4%の粗生成物)を、70.0gの酢酸イソアミルに、68℃で溶解させた。58℃の温度に冷却した後、0.36gのメタンスルホン酸、及びシーディング用の0.16gのMC03結晶を添加した。その後、冷却温度を7℃に17時間の間に低下させ、混合物の温度を10℃にした。7℃の冷却温度を、0.5時間維持した。その後、結晶を、濾紙を備えたブフナー漏斗を使用する濾過により単離し、冷却した30.0gの酢酸イソアミルですすいだ(洗浄液の温度は14℃であった)。その後、冷却した30.0gの酢酸イソアミルを添加し、ケーキを、スパチュラを使用して洗浄液中で再度スラリー化し、洗浄液を吸引分離した。最後に、結晶を、冷却した30.0gの酢酸イソアミルですすいだ。その後、結晶を真空オーブン中で、70℃、20mbarで2時間、その後85℃、20mbarで16時間乾燥させて、26.0gの純生成物(収率90.2%)を得た。ガードナー指数:2.9、%T460nm:96.3。
【0112】
[実施例8:エステル溶媒中でのメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
36.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.7及び純度95.4%の粗生成物)を、60.0gの3-エトキシプロピオン酸エチルに、64℃で溶解させた。52℃の温度に冷却した後、3.00gの3-エトキシプロピオン酸エチル中の0.41gのメタンスルホン酸からなる溶液を、漏斗を介して添加し、その後に1.00gの3-エトキシプロピオン酸エチルですすいだ。温度を50℃に低下させ、0.18gのMC03結晶をシーディング用に添加した。その後、冷却温度を-1℃に17時間の間に低下させ、混合物の温度を5℃にした。-1℃の冷却温度を、1時間維持した。その後、結晶を、濾紙を備えたブフナー漏斗を使用する濾過により単離し、母液を吸引分離した。その後、濾過ケーキを、40.0gの母液ですすいだ(洗浄液の温度は9℃であった)。その後、冷却した30.0gの3-エトキシプロピオン酸エチルを添加し(洗浄液の温度は9℃であった)、ケーキを、スパチュラを使用して洗浄液中で再度スラリー化し、洗浄液を吸引分離した。最後に、結晶を、冷却した30.0gの3-エトキシプロピオン酸エチルですすいだ。その後、結晶を真空オーブン中で85℃、20mbarで64時間乾燥させ、29.9gの純生成物(収率86.6%)を得た。ガードナー指数:2.9、%T460nm:95.3、純度:98.1%。
【0113】
[実施例9:エステル溶媒中でのメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
38.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.7及び純度95.4%の粗生成物)を、62.0gの酢酸イソブチルに、75℃で溶解させた。54℃の温度に冷却した後、0.385gのメタンスルホン酸、及びシーディング用の0.18gのMC03結晶を添加した。その後、冷却温度を5℃に16.3時間の間に低下させ、混合物の温度を10℃にした。5℃の冷却温度を、3時間維持した。その後、結晶を、濾紙を備えたブフナー漏斗を使用する濾過により単離し、母液を吸引分離した。その後、濾過ケーキを、40.0gの母液ですすいだ(洗浄液の温度は11℃であった)。その後、冷却した30.0gのイソブチルアセテートを添加し(洗浄液の温度は10℃であった)、ケーキを、スパチュラを使用して洗浄液中で再度スラリー化し、洗浄液を吸引分離した。最後に、結晶を、冷却した30.0gの酢酸イソブチルですすいだ。その後、結晶を真空オーブン中で85℃、20mbarで16時間乾燥させ、33.4gの純生成物(収率91.6%)を得た。ガードナー指数:2.9、%T460nm:96.0。
【0114】
[実施例10:エステル溶媒中でのメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
34.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.7及び純度95.4%の粗生成物)を、63.0gのプロピオン酸エチル及び0.7gのトルエンに、65℃で溶解させた。46℃の温度に冷却した後、2.0gのプロピオン酸エチルに溶解させた0.385gのメタンスルホン酸を、漏斗を介して添加し、その後、漏斗を1.0gのプロピオン酸エチルですすいだ。混合物に0.18gのMC03結晶をシーディングした後、冷却温度を40℃に3時間の間に低下させ、その後、20℃に5時間の間に低下させ、最後に、0℃に4時間の間に低下させて、最終的な混合物の温度を5℃にした。5℃の冷却温度を、0.5時間維持した。その後、結晶を、濾紙を備えたブフナー漏斗を使用する濾過により単離し、母液を吸引分離した。その後、濾過ケーキを、40.0gの母液ですすいだ(洗浄液の温度は9℃であった)。その後、冷却した30.0gのプロピオン酸エチルを添加し(洗浄液の温度は9℃であった)、ケーキを、スパチュラを使用して洗浄液中で再度スラリー化し、洗浄液を吸引分離した。最後に、結晶を、冷却した30.0gのプロピオン酸エチルですすいだ。その後、結晶を真空オーブン中で85℃、20mbarで16時間乾燥させ、27.7gの純生成物(収率84.9%)を得た。ガードナー指数:2.7、%T460nm:97.5、純度:98.0%。
【0115】
[実施例11:アルコール溶媒中でのメタンスルホン酸を用いる式MC03の化合物の結晶化]
30.0gの化合物MC03(ガードナー指数10.7及び純度95.4%の粗生成物)を、70.0gの1-メトキシ-2-プロパノールに、60℃で溶解させた。36℃の温度に冷却した後、0.36gのメタンスルホン酸、及びシーディング用の0.16gのMC03結晶を添加した。冷却温度を7℃に9.7時間の間に低下させ、最終的な混合物の温度を10℃にした。7℃の冷却温度を、0.5時間維持した。その後、結晶を、濾紙を備えたブフナー漏斗を使用する濾過により単離し、母液を吸引分離した。その後、濾過ケーキを、冷却した30.0gの1-メトキシ-2-プロパノールですすいだ(洗浄液の温度は14℃であった)。その後、冷却した30.0gの1-メトキシ-2-プロパノールを添加し(洗浄液の温度は14℃であった)、ケーキを、スパチュラを使用して洗浄液中で再度スラリー化し、洗浄液を吸引分離した。最後に、結晶を、冷却した30.0gの1-メトキシ-2-プロパノールですすいだ。その後、結晶を真空オーブン中で85℃、20mbarで16時間乾燥させ、12.0gの純生成物(収率41.5%)を得た。ガードナー指数:2.8、%T460nm:97.4。
【0116】
本発明(実施例1~11)の結晶化メロシアニン化合物の色特性、460nmでの透過率、及び純度の、酸の非存在下で結晶化した基準のメロシアニン(比較例)との比較を、表Cに列挙する:
【0117】
【0118】
有機極性溶媒中で、酸の非存在下で結晶化した比較例の結晶化メロシアニン化合物は、5を超える高いガードナー指数、10未満の低い460nmでの%透過率値で記載される著しくより高い黄変特性を示す。これとは対照的に、酸の存在下で本発明に従って結晶化した実施例1~11のメロシアニン化合物は、3.2未満の低いガードナー指数、及び90%を超える460nmでの高い%透過率値で示される著しくより良い色特性を示す。