(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103545
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】湿度を正確に制御するための加湿器チャンバ温度の制御
(51)【国際特許分類】
A61M 16/16 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61M16/16 A
A61M16/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083250
(22)【出願日】2024-05-22
(62)【分割の表示】P 2022126856の分割
【原出願日】2009-05-27
(31)【優先権主張番号】61/056,335
(32)【優先日】2008-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】タトコフ スタニスラフ
(72)【発明者】
【氏名】クローン クリストファー マルコム
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンズ ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ハン ジャエ チョル
(72)【発明者】
【氏名】オドネル ケヴィン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】サマベル アンドリュー ロバート ドナルド
(57)【要約】
【課題】加熱加湿気体流を使用者に供給するための呼吸補助システムを提供する。
【解決手段】このシステムは、所定量の水を保持及び加熱し、且つ使用時に吸入口ポートを介して気体供給源から気体の流れを受け取る加湿器ユニットを含み、気体の流れは加湿器を通過し、出口ポートを介して出て、このシステムはさらに、加湿器ユニットを出る気体の温度を計測する温度センサと、加湿器ユニットに入る前の気体の温度を計測する周囲温度センサと、気体流の流量を計測する流量センサとを有し、このシステムはまた、温度センサ及び流量センサからのデータを受け取り、且つそれに応じて制御出力を決定するコントローラも有し、制御出力が加湿器ユニットに対するパワーを調整し、それにより加湿器ユニット出口ポートにおいて所望出力が実現される。
【選択図】
図2b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療目的で加熱加湿気体流を使用者に供給するための呼吸補助システムであって、
吸入口ポートと出口ポートとを有する加湿器ユニットであって、前記加湿器ユニットが、使用時に前記吸入口ポートを介して気体供給源からの気体の流れを受け入れるように構成され、前記加湿器ユニットが、使用時に所定量の水を保持及び加熱するようにさらに構成され、使用時、前記気体の流れは前記加湿器ユニットを通過して加熱及び加湿された状態となり、前記加熱加湿気体は前記加湿器ユニット出口ポートを介して前記加湿器ユニットを出る、加湿器ユニットと、
前記加湿器ユニットを出る気体の温度を計測するように構成された出口ポート温度センサと、
気体の温度を前記気体が前記加湿器ユニットに入る前の場所で計測するように構成された周囲温度センサと、
前記システムを通る前記気体流の実流量を計測するように構成された流量センサと、
前記周囲温度センサからの計測温度に関するデータと、前記出口ポート温度センサからの計測温度に関するデータと、前記流量センサからの前記実流量に関するデータとを受け取るように構成されたコントローラであって、前記コントローラがそれに応じて制御出力を決定し、前記制御出力が前記加湿器ユニットに対するパワーを調整し、それにより前記加湿器ユニット出口ポートにおいて所望出力が実現される、コントローラと、
を含む、呼吸補助システム。
【請求項2】
前記制御出力が、所与の流量レベルに対する前記出口ポートにおける目標温度に関するとともに、前記所望出力は目標温度であり、前記制御出力は前記加湿器ユニットに対する前記パワーを調整して、前記出口ポートにおける前記計測温度を前記目標温度と一致させる、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項3】
前記制御出力が、前記コントローラにロードされたルールベースシステムから決定される、請求項1又は2に記載の呼吸補助システム。
【請求項4】
前記制御出力が、前記コントローラにロードされた少なくとも1つの数式から決定される、請求項1又は2に記載の呼吸補助システム。
【請求項5】
前記制御出力が、前記コントローラにロードされたルックアップテーブルから決定される、請求項1又は2に記載の呼吸補助システム。
【請求項6】
前記所望出力が目標露点温度である、請求項1~5のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項7】
前記目標露点温度が31~39℃の範囲である、請求項6に記載の呼吸補助システム。
【請求項8】
前記ユーザ設定目標露点温度が、実質的に44mg H2O/リットル空気の絶対湿度レベルを提供する、請求項6又は7に記載の呼吸補助システム。
【請求項9】
前記所望出力が目標絶対湿度である、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項10】
前記所望出力が目標温度及び相対湿度である、請求項1に記載の呼吸補助システム。
【請求項11】
前記呼吸補助システムがまた、使用者が前記システムを通る気体の所望ユーザ設定流量を設定することを可能にするように構成されたユーザコントロールも有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項12】
前記呼吸補助装置が、使用時に遠隔の集中型供給源から気体の流れを受け取るように構成された制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは前記集中型供給源と前記加湿器ユニットとの間の気体経路に位置し、前記制御ユニットは、前記気体の流れを受け取るとともに、前記加湿器ユニットと前記制御ユニットとの間の気体接続経路を介して前記流れを前記加湿器ユニットに送り込み、前記ユーザコントロールが、使用者が前記制御ユニットを通る所望ユーザ設定流量を設定することを可能にするように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項13】
前記制御ユニットが、前記集中型供給源からの前記気体の流れを大気気体と混合した後にそれらを前記加湿器ユニットに送り込むように構成されたベンチュリをさらに含む、請求項12に記載の呼吸補助システム。
【請求項14】
前記気体供給源が、使用時に前記加湿器ユニットと流体接続される送風器ユニットであり、前記送風器ユニットは、所定範囲の流量にわたる前記気体の流れを前記加湿器ユニットに供給するように構成された調整可能な可変速ファンユニットと、使用者が所望ユーザ設定流量を設定することを可能にするように構成されたユーザコントロールとを有し、前記コントローラは、前記送風器ユニットに対するパワーを制御して前記ユーザ設定流量を生じさせるように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項15】
前記加湿器ユニットが、加熱器ベースを有する加湿器チャンバであり、前記呼吸補助システムが、前記加熱器ベースに熱エネルギーを供給することにより前記加湿器チャンバの内容物を加熱するように構成された加熱用プレートをさらに有し、
前記呼吸補助システムが、前記加熱用プレートの温度を計測し、その温度計測値を前記コントローラに提供するように構成された加熱用プレート温度センサをさらに有し、前記コントローラは、前記計測温度及び前記計測流量の全てを評価することにより前記制御出力を決定する、請求項1~14のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項16】
前記チャンバ気体吐出口温度が目標値に達し、且つ対応する加熱用プレート温度が所与の事前設定時間にわたり前記コントローラのメモリに格納された設定値より高い場合、前記コントローラは前記加湿器ユニットが高い対流熱損失を受けていると評価し、変更された、又は異なるルールセット、数式又はルックアップテーブルに従い前記制御出力を決定する、請求項15に記載の呼吸補助システム。
【請求項17】
前記コントローラが、所与の事前設定時間にわたり前記加熱用プレートによって引き込まれるパワーを計測するようにさらに構成され、前記パワー引き込みが前記コントローラのメモリに格納された値より高い場合、前記コントローラは前記加湿器ユニットが高い対流熱損失を受けていると評価し、変更された、又は異なる制御アルゴリズム、数式又はルックアップテーブルに従い前記制御出力を決定する、請求項15又は16に記載の呼吸補助システム。
【請求項18】
前記コントローラが、所与の事前設定時間にわたり前記加熱用プレートによって引き込まれるパワーを計測し、それを前記コントローラのメモリに格納された事前格納値セットと比較するようにさらに構成され、前記コントローラは、計測されたパワー引き込みが前記事前格納値セットと実質的に同様でない場合、逆線形補正係数を適用する、請求項15又は16に記載の呼吸補助システム。
【請求項19】
前記計測されたデータ値及び前記格納されたデータ値が±2%以内である、請求項18に記載の呼吸補助装置。
【請求項20】
前記周囲温度センサが、実質的に気体が前記加湿器ユニットに入るときの気体の温度を計測するように前記吸入口ポート又はその近傍に位置する、請求項1~19のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項21】
前記周囲温度センサが、実質的に気体が前記呼吸補助システムに入るときの気体の流入前温度を計測するように構成され、前記コントローラが前記流入前温度に補正係数を適用する、請求項1~20のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項22】
前記コントローラが、少なくとも前記ユーザ設定流量と前記流量プローブ又は流量センサからの前記実流量データとを受け取るように構成され、前記コントローラは粗制御パラメータと精制御パラメータとを有し、前記コントローラは前記ユーザ設定流量と前記実流量とを比較し、前記コントローラは、前記実流量が許容範囲内で前記ユーザ設定流量と一致する限り、前記精制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させ、前記許容範囲の値は前記コントローラ内に格納され、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項14~21のいずれか一項に記載の呼吸補助装置。
【請求項23】
前記粗制御パラメータが第1のP.I.D.フィルタであり、前記精制御パラメータが第2のP.I.D.フィルタである、請求項22に記載の呼吸補助システム。
【請求項24】
前記実流量データが前記少なくとも1つの流量プローブにより計測され、前記実流量データが前記ユーザ設定流量データから減算されて、その差を示す信号が前記第1のP.I.D.フィルタ及び第2のP.I.D.フィルタの双方に送られ、前記コントローラは、前記第1のP.I.D.フィルタ又は前記第2のP.I.D.フィルタのいずれかの出力を使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項23に記載の呼吸補助システム。
【請求項25】
前記流量が20~30Hzのサンプルレートでサンプリングされる、請求項24に記載の呼吸補助システム。
【請求項26】
前記サンプルレートが25Hzである、請求項25に記載の呼吸補助システム。
【請求項27】
前記実流量データが、前記ユーザ設定流量データから減算される前に第1のローパスフィルタを通過する、請求項24~26のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項28】
前記第1のローパスフィルタが、呼吸内流量変動を減衰なしに通過させるのに十分な高さのカットオフ周波数を有する、請求項27に記載の呼吸補助システム。
【請求項29】
前記実流量データが平均化フィルタも通過する、請求項22~28のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項30】
前記平均化フィルタが第2のローパスフィルタである、請求項29に記載の呼吸補助システム。
【請求項31】
前記流量プローブからの前記直接的な流量データの代わりに、前記平均化フィルタの出力が前記コントローラにフィードバックされる、請求項29又は30に記載の呼吸補助システム。
【請求項32】
前記コントローラが前記平均化フィルタから前記平均流量を受け取って、それを前記ユーザ設定流量と比較し、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記コントローラのメモリに格納された許容範囲外の値である場合、粗制御パラメータを使用して流量を前記ユーザ設定流量に調整し、前記コントローラは、前記差が前記許容範囲内である場合、精制御パラメータを使用する、請求項29又は30に記載の呼吸補助システム。
【請求項33】
前記許容範囲が3L/分である、請求項32に記載の呼吸補助システム。
【請求項34】
前記許容範囲が可変量であり、前記流量プローブによって計測されるとおりの前記実流量のパーセンテージ値である、請求項32に記載の呼吸補助システム。
【請求項35】
前記パーセンテージ値が1~3%である、請求項34に記載の呼吸補助システム。
【請求項36】
前記パーセンテージ値が3~5%である、請求項34に記載の呼吸補助システム。
【請求項37】
前記パーセンテージ値が5~7%である、請求項34に記載の呼吸補助システム。
【請求項38】
前記パーセンテージ値が7~10%である、請求項34に記載の呼吸補助システム。
【請求項39】
前記コントローラが、補償フィルタと、ローパスフィルタと、ハイパスフィルタと、P.I.D.フィルタとをさらに含み、前記流量プローブからの前記実流量を示す信号が、前記ローパスフィルタと前記ハイパスフィルタとを並列に通過し、前記ローパスフィルタはローパス出力信号を生成し、前記ハイパスフィルタは、前記補償フィルタを通過するハイパス出力信号を生成し、前記ローパス出力信号は前記ユーザ設定流量信号から減算されて前記P.I.Dフィルタに送られ、前記P.I.Dフィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とが加算されて前記ユーザ設定流量と比較され、前記コントローラは、前記出力信号の加算値とユーザ設定流量との差が前記コントローラのメモリに含まれる事前設定許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項14~21のいずれか一項に記載の呼吸補助装置。
【請求項40】
前記コントローラが前記ファンから前記補償フィルタへのフィードバック信号も含み、前記ファンユニットに対する入力信号が、前記P.I.D.フィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とを含む、請求項39に記載の呼吸補助システム。
【請求項41】
前記許容範囲が3L/分である、請求項39又は40に記載の呼吸補助システム。
【請求項42】
前記許容範囲が可変量であり、前記流量プローブによって計測されるとおりの前記実流量のパーセンテージ値である、請求項39又は40に記載の呼吸補助システム。
【請求項43】
前記パーセンテージ値が1~3%である、請求項42に記載の呼吸補助システム。
【請求項44】
前記パーセンテージ値が3~5%である、請求項42に記載の呼吸補助システム。
【請求項45】
前記パーセンテージ値が5~7%である、請求項42に記載の呼吸補助システム。
【請求項46】
前記パーセンテージ値が7~10%である、請求項42に記載の呼吸補助システム。
【請求項47】
前記制御ユニットが、前記遠隔供給源からの前記気体として酸素を受け取るように構成され、前記少なくとも1つの流量プローブが、前記遠隔供給源から受け取る前記気体の流量を計測して、前記流量計測値を前記コントローラに送るように構成され、前記コントローラが、既知のシステム寸法に基づき大気からの前記気体の流量を決定するように構成され、前記コントローラが、前記混和された空気中の酸素の割合を前記流量と前記システム寸法とから決定する、請求項12又は13に記載の呼吸補助システム。
【請求項48】
前記制御ユニットが、前記遠隔供給源からの前記気体として酸素を受け取るように構成され、前記少なくとも1つの流量プローブが、前記遠隔供給源から受け取る前記気体の流量を計測するように構成され、前記システムが、大気から受け取る前記気体の流量を計測するように構成された第2の流量プローブをさらに含み、前記コントローラは、前記混和された空気中の酸素の割合を前記流量から決定する、請求項12又は13に記載の呼吸補助システム。
【請求項49】
使用者が前記ユーザ設定流量を変更すると、それにより前記酸素割合が変更されるように構成されている、請求項47又は48に記載の呼吸補助システム。
【請求項50】
前記コントローラが、少なくとも前記ユーザ設定流量と前記流量プローブからの前記実流量データとを受け取るように構成され、前記コントローラは粗制御パラメータと精制御パラメータとを有し、前記コントローラは前記ユーザ設定流量と前記実流量とを比較し、前記コントローラは、前記実流量が許容範囲内で前記ユーザ設定流量と一致する限り、前記精制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させ、前記許容範囲の値は前記コントローラ内に格納され、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項47~49のいずれか一項に記載の呼吸補助装置。
【請求項51】
前記粗制御パラメータが第1のP.I.D.フィルタであり、前記精制御パラメータが第2のP.I.D.フィルタである、請求項50に記載の呼吸補助システム。
【請求項52】
前記実流量データが前記少なくとも1つの流量プローブにより計測され、前記実流量データが前記ユーザ設定流量データから減算されて、その差を示す信号が前記第1のP.I.D.フィルタ及び第2のP.I.D.フィルタの双方に送られ、前記コントローラは、前記第1のP.I.D.フィルタ又は前記第2のP.I.D.フィルタのいずれかの出力を使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項51に記載の呼吸補助システム。
【請求項53】
前記流量が20~30Hzのサンプルレートでサンプリングされる、請求項52に記載の呼吸補助システム。
【請求項54】
前記サンプルレートが25Hzである、請求項53に記載の呼吸補助システム。
【請求項55】
前記実流量データが、前記ユーザ設定流量データから減算される前に第1のローパスフィルタを通過する、請求項52~54のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項56】
前記第1のローパスフィルタが呼吸内流量変動を減衰なしに通過させるのに十分な高さのカットオフ周波数を有する、請求項55に記載の呼吸補助システム。
【請求項57】
前記実流量データが平均化フィルタも通過する、請求項52~56のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項58】
前記平均化フィルタが第2のローパスフィルタである、請求項57に記載の呼吸補助システム。
【請求項59】
前記流量プローブからの前記直接的な流量データの代わりに、前記平均化フィルタの出力が前記コントローラにフィードバックされる、請求項57又は請求項58に記載の呼吸補助システム。
【請求項60】
前記コントローラが前記平均化フィルタから前記平均流量を受け取って、それを前記ユーザ設定流量と比較し、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記コントローラのメモリに格納された許容範囲外の値である場合、粗制御パラメータを使用して流量を前記ユーザ設定流量に調整し、前記コントローラは、前記差が前記許容範囲内である場合、精制御パラメータを使用する、請求項57~59のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項61】
前記許容範囲が3L/分である、請求項60に記載の呼吸補助システム。
【請求項62】
前記許容範囲が可変量であり、前記流量プローブによって計測されるとおりの前記実流量のパーセンテージ値である、請求項60に記載の呼吸補助システム。
【請求項63】
前記パーセンテージ値が1~3%である、請求項62に記載の呼吸補助システム。
【請求項64】
前記パーセンテージ値が3~5%である、請求項62に記載の呼吸補助システム。
【請求項65】
前記パーセンテージ値が5~7%である、請求項62に記載の呼吸補助システム。
【請求項66】
前記パーセンテージ値が7~10%である、請求項62に記載の呼吸補助システム。
【請求項67】
前記コントローラが、補償フィルタと、ローパスフィルタと、ハイパスフィルタと、P.I.D.フィルタとをさらに含み、前記流量プローブからの前記実流量を示す信号が、前記ローパスフィルタと前記ハイパスフィルタとを並列に通過し、前記ローパスフィルタはローパス出力信号を生成し、前記ハイパスフィルタは、前記補償フィルタを通過するハイパス出力信号を生成し、前記ローパス出力信号は前記ユーザ設定流量信号から減算されて前記P.I.Dフィルタに送られ、前記P.I.Dフィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とが加算されて前記ユーザ設定流量と比較され、前記コントローラは、前記出力信号の加算値とユーザ設定流量との差が前記コントローラのメモリに含まれる事前設定許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項47~49のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項68】
前記コントローラが前記ファンから前記補償フィルタへのフィードバック信号も含み、従って前記ファンユニットに対する入力信号が、前記P.I.D.フィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とを含む、請求項67に記載の呼吸補助システム。
【請求項69】
前記許容範囲は3L/分である、請求項67又は68に記載の呼吸補助システム。
【請求項70】
前記許容範囲が可変量であり、前記流量プローブによって計測されるとおりの前記実流量のパーセンテージ値である、請求項67又は68に記載の呼吸補助システム。
【請求項71】
前記パーセンテージ値が1~3%である、請求項70に記載の呼吸補助システム。
【請求項72】
前記パーセンテージ値が3~5%である、請求項70に記載の呼吸補助システム。
【請求項73】
前記パーセンテージ値が5~7%である、請求項70に記載の呼吸補助システム。
【請求項74】
前記パーセンテージ値が7~10%である、請求項70に記載の呼吸補助システム。
【請求項75】
チャンバ吐出口露点温度を示すように構成されたディスプレイをさらに有する、請求項1~74のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項76】
前記ディスプレイが、前記チャンバを出る気体の絶対湿度レベルを示すように構成される、請求項74に記載の呼吸補助システム。
【請求項77】
前記ディスプレイが、絶対湿度とチャンバ吐出口露点温度とを示すように構成される、請求項1~74のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項78】
前記呼吸補助システムが、前記呼吸補助システムに入る大気気体の湿度を計測するように構成された湿度センサも有し、前記コントローラが計測された湿度に関するデータを受け取り、
前記コントローラが、前記計測された湿度に関するデータも使用することにより前記制御出力を決定する、請求項1~77のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項79】
前記システムが、前記呼吸補助システムに入る大気気体の圧力を計測するように構成された圧力センサも有し、前記コントローラが計測された圧力に関するデータを受け取り、 前記コントローラが、前記計測された圧力に関するデータも使用することにより前記制御出力を決定する、請求項1~78のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項80】
前記システムが、使用時に前記使用者に供給するため前記出口ポートから前記加熱加湿気体を受け入れるように配置された供給導管及びユーザインタフェースをさらに含み、前記供給導管が、前記導管内の気体を加熱するように構成された加熱用ワイヤを有する、請求項1~79のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項81】
前記呼吸補助システムが、前記患者又はその近傍における前記気体の流れの温度を計測するように構成された患者端温度センサをさらに有し、前記計測された患者端温度は前記コントローラにフィードバックされ、前記コントローラは、前記加熱用ワイヤに対するパワーを調整して前記導管内の前記気体の流れの温度を維持する、請求項80に記載の呼吸補助システム。
【請求項82】
前記コントローラが前記計測された患者端温度データを受け取り、前記コントローラは、前記計測された患者端温度データに関する前記データも使用することにより前記制御出力を決定する、請求項81に記載の呼吸補助システム。
【請求項83】
前記コントローラが、所与の事前設定時間にわたり前記加熱用ワイヤによるパワー引き込みを計測するようにさらに構成され、前記加熱用ワイヤによる前記パワー引き込みが前記コントローラのメモリに格納された値より高い場合、前記コントローラは前記加湿器ユニットが高い対流熱損失を受けていると評価し、変更された、又は異なるルールセット、数式、又はルックアップテーブルに従い前記制御出力を決定する、請求項80~82のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項84】
治療目的で加熱加湿気体流を使用者に供給するための呼吸補助システムであって、
吸入口ポートと出口ポートとを有する加湿器ユニットであって、前記加湿器ユニットが、使用時に前記吸入口ポートを介して気体供給源からの気体の流れを受け入れるように構成され、前記加湿器ユニットが、使用時に所定量の水を保持及び加熱するようにさらに構成され、使用時、前記気体の流れは前記加湿器ユニットを通過して加熱及び加湿された状態となり、前記加熱加湿気体は前記加湿器ユニット出口ポートを介して前記加湿器ユニットを出る、加湿器ユニットと、
使用時に前記使用者に供給するため前記出口ポートから前記加熱加湿気体を受け入れるように配置された供給導管及びユーザインタフェースであって、前記供給導管が、前記導管内の気体を加熱するように構成された加熱用ワイヤを有する、供給導管及びユーザインタフェースと、
前記患者又はその近傍における前記気体の流れの温度を計測するように構成された患者端温度センサと、
前記システムを通る前記気体流の実流量を計測するように構成された流量プローブと、を含み、
前記呼吸補助システムが、前記患者端温度センサからの計測温度に関するデータと、前記流量プローブからの前記実流量に関するデータとを受け取るように構成されたコントローラをさらに含み、前記コントローラがそれに応じて制御出力を決定し、前記制御出力が少なくとも前記加熱用ワイヤに対するパワーを調整して前記導管内の前記気体の流れの温度を維持又は変更し、それにより前記インタフェースにおいて所望の患者端温度及び絶対湿度が実現される、呼吸補助システム。
【請求項85】
前記システムが、気体の温度を前記気体が前記加湿器ユニットに入る前の場所で計測するように構成された周囲温度センサも有し、前記コントローラが、前記周囲温度センサからのデータを受け取り、前記データを使用して前記制御出力を決定するようにさらに構成される、請求項84に記載の呼吸補助システム。
【請求項86】
前記制御出力が、所与の流量レベルに対する前記患者端の目標温度に関係し、前記制御出力は、前記加湿器ユニットに対する前記パワーを調整して、前記患者端の前記計測温度を前記目標温度と一致させる、請求項84又は85に記載の呼吸補助システム。
【請求項87】
前記制御出力が、前記コントローラにロードされたルールベースシステムから決定される、請求項84~86のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項88】
前記制御出力が、前記コントローラにロードされた少なくとも1つの数式から決定される、請求項84~86のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項89】
前記制御出力が、前記コントローラにロードされたルックアップテーブルから決定される、請求項84~86のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項90】
前記所望の湿度が、ユーザ設定目標露点温度である、請求項84~89のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項91】
前記目標温度が31~38℃の範囲である、請求項90に記載の呼吸補助システム。
【請求項92】
前記ユーザ設定目標露点温度が、実質的に44mg H2O/リットル空気の絶対湿度レベルを提供する、請求項90~92のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項93】
前記周囲温度センサが、実質的に気体が前記加湿器ユニットに入るときの気体の温度を計測するように前記吸入口ポート又はその近傍に位置する、請求項84~92のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項94】
前記呼吸補助システムが、前記加湿器ユニットを出る気体の温度を計測するように構成された出口ポート温度センサをさらに含み、
前記コントローラが、前記出口ポート温度センサからの計測温度に関する出口ポートデータを受け取るようにさらに構成され、前記コントローラは前記出口ポートデータをさらに使用することにより前記制御出力を決定する、請求項84~93のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項95】
前記呼吸補助システムが、前記呼吸補助システムに入る大気気体の湿度を計測するように構成された湿度センサも有し、前記コントローラが計測された湿度に関するデータを受け取り、
前記コントローラが、前記計測された湿度に関するデータも使用することにより前記制御出力を決定する、請求項84~94のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項96】
前記システムが、前記呼吸補助システムに入る大気気体の圧力を計測するように構成された圧力センサも有し、前記コントローラが計測された圧力に関するデータを受け取り、 前記コントローラが、前記計測された圧力に関するデータも使用することにより前記制御出力を決定する、請求項84~95のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項97】
チャンバ吐出口露点温度を示すように構成されたディスプレイをさらに有する、請求項84~96のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項98】
前記ディスプレイが、前記チャンバを出る気体の絶対湿度レベルを示すように構成される、請求項97に記載の呼吸補助システム。
【請求項99】
前記ディスプレイが、絶対湿度とチャンバ吐出口露点温度とを示すように構成される、請求項84~96のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項100】
前記呼吸補助装置が、使用時に遠隔の集中型供給源から気体の流れを受け取るように構成された制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは前記集中型供給源と前記加湿器ユニットとの間の気体経路に位置し、前記制御ユニットは、前記気体の流れを受け取るとともに、前記加湿器ユニットと前記制御ユニットとの間の気体接続経路を介して前記流れを前記加湿器ユニットに送り込み、前記制御ユニットは、使用者が所望ユーザ設定流量を設定することを可能にするように構成されたユーザコントロールも有する、請求項84~99のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項101】
前記制御ユニットが、前記集中型供給源からの前記気体の流れを大気気体と混合した後にそれらを前記加湿器ユニットに送り込むように構成されたベンチュリをさらに含む、請求項100に記載の呼吸補助システム。
【請求項102】
前記気体供給源が、使用時に前記加湿器ユニットと流体接続される送風器ユニットであり、前記送風器ユニットは、所定範囲の流量にわたる前記気体の流れを前記加湿器ユニットに供給するように構成された調整可能な可変速ファンユニットと、使用者が所望ユーザ設定流量を設定することを可能にするように構成されたユーザコントロールとを有し、前記コントローラは、前記送風器ユニットに対するパワーを制御して前記ユーザ設定流量を生じさせるように構成される、請求項84~99のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項103】
前記加湿器ユニットは加熱器ベースを有する加湿器チャンバであり、前記呼吸補助システムは、前記加熱器ベースに熱エネルギーを供給することにより前記加湿器チャンバの内容物を加熱するように構成された加熱用プレートをさらに有し、
前記呼吸補助システムが、前記加熱用プレートの温度を計測し、その温度計測値を前記コントローラに提供するように構成された加熱用プレート温度センサをさらに有し、前記コントローラは、前記計測温度及び前記計測流量の全てを評価することにより前記制御出力を決定するとともに、少なくとも前記加熱用プレートに対するパワーを調整することにより、前記計測された出口ポート温度を前記目標温度に一致させる、請求項84~102のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項104】
前記患者端温度が目標値に達し、且つ対応する加熱用プレート温度が所与の事前設定時間にわたり前記コントローラのメモリに格納された設定値より高い場合、前記コントローラは前記加湿器ユニットが高い対流熱損失を受けていると評価し、変更された、又は異なる制御アルゴリズム、数式又はルックアップテーブルに従い前記制御出力を決定する、請求項103に記載の呼吸補助システム。
【請求項105】
前記コントローラが、所与の事前設定時間にわたり前記加熱用ワイヤによるパワー引き込みを計測するようにさらに構成され、前記パワー引き込みが前記コントローラのメモリに格納された値セットより高い場合、前記コントローラは前記加湿器ユニットが高い対流熱損失を受けていると評価し、変更された、又は異なる制御アルゴリズム、数式又はルックアップテーブルに従い前記制御出力を決定する、請求項84~104のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項106】
前記コントローラが、所与の事前設定時間にわたり前記加熱用プレートによって引き込まれるパワーを計測するようにさらに構成され、前記パワー引き込みが前記コントローラのメモリに格納された値セットより高い場合、前記コントローラは前記加湿器ユニットが高い対流熱損失を受けていると評価し、変更された、又は異なる制御アルゴリズム、数式又はルックアップテーブルに従い前記制御出力を決定する、請求項103~105のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項107】
前記コントローラが、所与の事前設定時間にわたり前記加熱用プレートによって引き込まれるパワーを計測し、それを前記コントローラのメモリに格納された事前格納値セットと比較するようにさらに構成され、前記コントローラは、計測されたパワー引き込みが前記事前格納値セットと実質的に同様でない場合、逆線形補正係数を適用する、請求項103に記載の呼吸補助システム。
【請求項108】
前記計測されたデータ値と前記格納されたデータ値とが、±2%以内でなければならない、請求項107に記載の呼吸補助装置。
【請求項109】
治療目的で加熱加湿気体流を使用者に供給するための呼吸補助システムであって、
遠隔供給源から気体の提供を受け取るように構成された制御ユニットと、
吸入口ポートと出口ポートとを有する加湿器ユニットであって、前記加湿器ユニットが、使用時に前記吸入口ポートを介して前記制御ユニットから気体の流れを受け取るように構成され、前記加湿器ユニットが、使用時に所定量の水を保持及び加熱するようにさらに構成され、使用時、前記気体の流れは前記加湿器ユニットを通過して加熱及び加湿された状態となり、前記加熱加湿気体は前記加湿器ユニット出口ポートを介して前記加湿器ユニットを出る、加湿器ユニットと、
少なくとも使用者がユーザ設定流量を設定することが可能であるように構成されたユーザコントロールと、
前記システムを通る実流量を計測して、前記実流量を表す信号を前記コントローラに伝送するように構成された少なくとも1つの流量プローブと、
少なくとも前記ユーザ設定流量と前記流量プローブからの前記実流量データとを受け取るように構成されたコントローラであって、前記コントローラが粗制御パラメータと精制御パラメータとを有し、前記コントローラが前記ユーザ設定流量と前記実流量とを比較し、前記コントローラは、前記実流量が許容範囲内で前記ユーザ設定流量と一致する限り、前記精制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させ、前記許容範囲の値は前記コントローラ内に格納され、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、コントローラと、
を含む、呼吸補助システム。
【請求項110】
前記粗制御パラメータが第1のP.I.D.フィルタであり、前記精制御パラメータが第2のP.I.D.フィルタである、請求項109に記載の呼吸補助システム。
【請求項111】
前記実流量データが前記少なくとも1つの流量プローブにより計測され、前記実流量データが前記ユーザ設定流量データから減算されて、その差を示す信号が前記第1のP.I.D.フィルタ及び第2のP.I.D.フィルタの双方に送られ、前記コントローラは、前記第1のP.I.D.フィルタ又は前記第2のP.I.D.フィルタのいずれかの出力を使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項110に記載の呼吸補助システム。
【請求項112】
前記流量が20~30Hzのサンプルレートでサンプリングされる、請求項111に記載の呼吸補助システム。
【請求項113】
前記サンプルレートが25Hzである、請求項112に記載の呼吸補助システム。
【請求項114】
前記実流量データが、前記ユーザ設定流量データから減算される前に第1のローパスフィルタを通過する、請求項111~113のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項115】
前記第1のローパスフィルタが、呼吸内流量変動を減衰なしに通過させるのに十分な高さのカットオフ周波数を有する、請求項114に記載の呼吸補助システム。
【請求項116】
前記実流量データが平均化フィルタも通過する、請求項111~115のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項117】
前記平均化フィルタが第2のローパスフィルタである、請求項116に記載の呼吸補助システム。
【請求項118】
前記流量プローブからの前記直接的な流量データの代わりに、前記平均化フィルタの出力が前記コントローラにフィードバックされる、請求項116又は117に記載の呼吸補助システム。
【請求項119】
前記コントローラが前記平均化フィルタから前記平均流量を受け取って、それを前記ユーザ設定流量と比較し、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記コントローラのメモリに格納された許容範囲外の値である場合、粗制御パラメータを使用して流量を前記ユーザ設定流量に調整し、前記コントローラは、前記差が前記許容範囲内である場合、精制御パラメータを使用する、請求項116~118のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項120】
前記許容範囲が3L/分である、請求項119に記載の呼吸補助システム。
【請求項121】
前記許容範囲が可変量であり、前記流量プローブによって計測されるとおりの前記実流量のパーセンテージ値である、請求項119に記載の呼吸補助システム。
【請求項122】
前記パーセンテージ値が1~3%である、請求項121に記載の呼吸補助システム。
【請求項123】
前記パーセンテージ値が3~5%である、請求項121に記載の呼吸補助システム。
【請求項124】
前記パーセンテージ値が5~7%である、請求項121に記載の呼吸補助システム。
【請求項125】
前記パーセンテージ値が7~10%である、請求項121に記載の呼吸補助システム。
【請求項126】
前記コントローラが、補償フィルタと、ローパスフィルタと、ハイパスフィルタと、P.I.D.フィルタとをさらに含み、前記流量プローブからの前記実流量を示す信号が、前記ローパスフィルタと前記ハイパスフィルタとを並列に通過し、前記ローパスフィルタはローパス出力信号を生成し、前記ハイパスフィルタは、前記補償フィルタを通過するハイパス出力信号を生成し、前記ローパス出力信号は前記ユーザ設定流量信号から減算されて前記P.I.Dフィルタに送られ、前記P.I.Dフィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とが加算されて前記ユーザ設定流量と比較され、前記コントローラは、前記出力信号の加算値とユーザ設定流量との差が前記コントローラのメモリに含まれる事前設定許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項109に記載の呼吸補助システム。
【請求項127】
前記コントローラが前記ファンから前記補償フィルタへのフィードバック信号も含み、従って前記ファンユニットに対する入力信号は、前記P.I.D.フィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とを含む、請求項126に記載の呼吸補助システム。
【請求項128】
前記許容範囲が3L/分である、請求項126又は127に記載の呼吸補助システム。
【請求項129】
前記許容範囲が可変量であり、前記流量プローブによって計測されるとおりの前記実流量のパーセンテージ値である、請求項126又は127に記載の呼吸補助システム。
【請求項130】
前記パーセンテージ値が1~3%である、請求項129に記載の呼吸補助システム。
【請求項131】
前記パーセンテージ値が3~5%である、請求項129に記載の呼吸補助システム。
【請求項132】
前記パーセンテージ値が5~7%である、請求項129に記載の呼吸補助システム。
【請求項133】
前記パーセンテージ値が7~10%である、請求項129に記載の呼吸補助システム。
【請求項134】
前記制御ユニットが、前記遠隔供給源及び大気の双方から気体を受け取り、前記大気気体と前記遠隔供給源気体とを混和した後に前記気体を前記加湿器に送り込むようにさらに構成される、請求項109~133のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項135】
前記制御ユニットが前記遠隔供給源からの前記気体として酸素を受け取るように構成され、前記少なくとも1つの流量プローブは、前記遠隔供給源から受け取る前記気体の流量を計測して、前記流量計測値を前記コントローラに送るように構成され、前記コントローラは、既知のシステム寸法に基づき大気からの前記気体の流量を決定するように構成され、前記コントローラは、前記混和された空気中の酸素の割合を決定するルックアップテーブルを含む、請求項134に記載の呼吸補助システム。
【請求項136】
前記制御ユニットが前記遠隔供給源からの前記気体として酸素を受け取るように構成され、前記少なくとも1つの流量プローブは、前記遠隔供給源から受け取る前記気体の流量を計測するように構成され、前記システムが、大気から受け取る前記気体の流量を計測するように構成された第2の流量プローブをさらに含み、前記コントローラは、前記混和された空気中の酸素の割合を決定するルックアップテーブルを含む、請求項135に記載の呼吸補助システム。
【請求項137】
使用者が前記ユーザコントロールを介して前記酸素割合を変更することができるように構成される、請求項135又は136に記載の呼吸補助システム。
【請求項138】
治療目的で加熱加湿気体流を使用者に供給するための呼吸補助システムであって、
供給源から気体を受け取り、前記気体を所定範囲の流量にわたる気体の流れとして供給するように構成された調整可能な可変速ファンユニットと、
吸入口ポートと出口ポートとを有する加湿器ユニットであって、前記加湿器ユニットが、使用時に前記吸入口ポートを介して前記気体の流れを受け取るように構成され、前記加湿器ユニットが、使用時に所定量の水を保持及び加熱するようにさらに構成され、使用時、前記気体の流れは前記加湿器ユニットを通過して加熱及び加湿された状態となり、前記加熱加湿気体は前記加湿器ユニット出口ポートを介して前記加湿器ユニットを出る、加湿器ユニットと、
少なくとも使用者がユーザ設定流量を設定できるように構成されたユーザコントロールと、
前記システムを通る実流量を計測するように構成された流量プローブと、
少なくとも前記ユーザ設定流量と前記流量プローブからの前記実流量データとを受け取るように構成され、且つ前記ファンユニットを制御するようにさらに構成されたコントローラであって、前記コントローラが粗制御パラメータと精制御パラメータとを有し、前記コントローラが前記ユーザ設定流量と前記実流量とを比較し、前記コントローラは、前記実流量が許容範囲内で前記ユーザ設定流量と一致する限り、前記精制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させ、前記許容範囲の値は前記コントローラ内に格納され、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、コントローラと、
を含む、呼吸補助システム。
【請求項139】
前記粗制御パラメータが第1のP.I.D.フィルタであり、前記精制御パラメータが第2のP.I.D.フィルタである、請求項138に記載の呼吸補助システム。
【請求項140】
前記実流量データが前記少なくとも1つの流量プローブにより計測され、前記実流量データが前記ユーザ設定流量データから減算されて、その差を示す信号が前記第1のP.I.D.フィルタ及び第2のP.I.D.フィルタの双方に送られ、前記コントローラは、前記第1のP.I.D.フィルタ又は前記第2のP.I.D.フィルタのいずれかの出力を使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項139に記載の呼吸補助システム。
【請求項141】
前記流量が20~30Hzのサンプルレートでサンプリングされる、請求項140に記載の呼吸補助システム。
【請求項142】
前記サンプルレートが25Hzである、請求項141に記載の呼吸補助システム。
【請求項143】
前記実流量データが、前記ユーザ設定流量データから減算される前に第1のローパスフィルタを通過する、請求項140~143のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項144】
前記第1のローパスフィルタが、呼吸内流量変動を減衰なしに通過させるのに十分な高さのカットオフ周波数を有する、請求項143に記載の呼吸補助システム。
【請求項145】
前記実流量データが平均化フィルタも通過する、請求項138~144のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項146】
前記平均化フィルタが第2のローパスフィルタである、請求項145に記載の呼吸補助システム。
【請求項147】
前記流量プローブからの前記直接的な流量データの代わりに、前記平均化フィルタの出力が前記コントローラにフィードバックされる、請求項145又は146に記載の呼吸補助システム。
【請求項148】
前記コントローラが前記平均化フィルタから前記平均流量を受け取って、それを前記ユーザ設定流量と比較し、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記コントローラのメモリに格納された許容範囲外の値である場合、粗制御パラメータを使用して流量を前記ユーザ設定流量に調整し、前記コントローラは、前記差が前記許容範囲内である場合、精制御パラメータを使用する、請求項145~147のいずれか一項に記載の呼吸補助システム。
【請求項149】
前記許容範囲が3L/分である、請求項148に記載の呼吸補助システム。
【請求項150】
前記許容範囲が可変量であり、前記流量プローブによって計測されるとおりの前記実流量のパーセンテージ値である、請求項148に記載の呼吸補助システム。
【請求項151】
前記パーセンテージ値が1~3%である、請求項150に記載の呼吸補助システム。
【請求項152】
前記パーセンテージ値が3~5%である、請求項150に記載の呼吸補助システム。
【請求項153】
前記パーセンテージ値が5~7%である、請求項150に記載の呼吸補助システム。
【請求項154】
前記パーセンテージ値が7~10%である、請求項150に記載の呼吸補助システム。
【請求項155】
前記コントローラが、補償フィルタと、ローパスフィルタと、ハイパスフィルタと、P.I.D.フィルタとをさらに含み、前記流量プローブからの前記実流量を示す信号が、前記ローパスフィルタと前記ハイパスフィルタとを並列に通過し、前記ローパスフィルタはローパス出力信号を生成し、前記ハイパスフィルタは、前記補償フィルタを通過するハイパス出力信号を生成し、前記ローパス出力信号は前記ユーザ設定流量信号から減算されて前記P.I.Dフィルタに送られ、前記P.I.Dフィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とが加算されて前記ユーザ設定流量と比較され、前記コントローラは、前記出力信号の加算値とユーザ設定流量との差が前記コントローラのメモリに含まれる事前設定許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる、請求項138に記載の呼吸補助システム。
【請求項156】
前記コントローラが前記ファンから前記補償フィルタへのフィードバック信号も含み、従って前記ファンユニットに対する入力信号は、前記P.I.D.フィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とを含む、請求項155に記載の呼吸補助システム。
【請求項157】
前記許容範囲が3L/分である、請求項155又は156に記載の呼吸補助システム。
【請求項158】
前記許容範囲が可変量であり、前記流量プローブによって計測されるとおりの前記実流量のパーセンテージ値である、請求項155又は156に記載の呼吸補助システム。
【請求項159】
前記パーセンテージ値が1~3%である、請求項158に記載の呼吸補助システム。
【請求項160】
前記パーセンテージ値が3~5%である、請求項158に記載の呼吸補助システム。
【請求項161】
前記パーセンテージ値が5~7%である、請求項158に記載の呼吸補助システム。
【請求項162】
前記パーセンテージ値が7~10%である、請求項158に記載の呼吸補助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療目的で加熱加湿気体流を使用者に提供するデバイス内の気体の湿度レベル及び流量を制御するための方法及び装置に関する。本発明は、特に、呼吸加湿療法、高流量酸素療法、CPAP療法、Bi-PAP療法、OPAP療法等のための加湿空気、又は吹送法若しくはキーホール手術に用いられる気体の加湿を提供するデバイス内の気体流の湿度を制御するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
治療目的で加湿された気体の流れを患者に提供するためのデバイス又はシステムは、当該技術分野において周知されている。このタイプの治療(例えば呼吸加湿)を提供するためのシステムは、気体が気体供給源から加湿器チャンバに供給される構造を有する。気体が加湿器チャンバ内の熱水の上又は加熱加湿空気中を通るとき、気体は水蒸気で飽和状態となる。次に、加熱加湿気体は、気体導管及びユーザインタフェースを介して加湿器チャンバより下流の使用者又は患者に供給される。気体供給システムは、別個のユニットから組み立てられているモジュール型システムであってもよく、気体供給源は補助呼吸ユニット又は送風器ユニットである。すなわち、加湿器チャンバ/加熱器及び送風器ユニットは別個の(モジュール型)アイテムである。これらのモジュールは、使用時、気体を送風器ユニットから加湿器ユニットに通過させるため、接続導管を介して直列に接続される。或いは、呼吸補助装置は一体型システムであってもよく、この場合、送風器ユニットと加湿器ユニットとは、使用時、同じハウジング内に収容される。モジュール型システムにおいても、及び一体型システムにおいても、送風器ユニットにより提供される気体は概して周囲大気を供給源とする。第3の一般的な形態の呼吸補助システムは、典型的には病院で使用され、呼吸補助システムがその使用気体の少なくとも一部を、典型的には利用範囲(例えば病室)の外部にある集中型気体供給源から受け取るものである。例えば病室の壁(等)に取り付けられた吸入口との間に、気体導管等が接続される。気体導管は使用時に加湿器チャンバに直接接続されるか、又は必要であれば、ステップダウン制御ユニット等が気体吸入口と加湿器チャンバとの間に直列に接続されてもよい。このタイプの呼吸補助システムは、概して患者又は使用者が酸素療法を必要とし得る場合に使用され、酸素は集中型気体供給源から提供される。気体供給源からの純酸素は、患者又は使用者に供給する前に、例えばステップダウン制御ユニットに位置するベンチュリを使用することにより大気と混和することが一般的である。気体の少なくともいくらかが集中型供給源から供給されるタイプのシステムでは、別個の流れ発生器又は送風器は不要である-気体は圧力下に吸入口から供給され、ステップダウン制御ユニットが圧力及び流れを必要レベルに変更する。
【0003】
大気気体のみを使用する公知の先行技術タイプのモジュール型システムの例が、
図1に示される。
【0004】
典型的な一体型システム及びモジュール型システムでは、大気気体が主「送風器」ユニット又は補助呼吸ユニットに吸い込まれるか、又は他の方法で入り込み、ユニットがその吐出口に気体の流れを提供する。送風器ユニットと加湿器ユニットとは嵌合され、又は他の方法で加湿器ユニットが送風器ユニットと強固に接続される。例えば、加湿器ユニットは、スライドオン接続又はプッシュ接続によって送風器ユニットと嵌合され、それにより加湿器ユニットの主送風器ユニットに対する強固な接続及び所定位置への固定的な保持が確実となる。このタイプのシステムの例は、米国特許第7,111,624号明細書に図示及び記載されるFisher and Paykel Healthcare「スライドオン」ウォータチャンバシステムである。この設計の別の種類がスライドオン又はクリップオン設計であり、この場合チャンバは、使用時に一体型ユニットの一部に囲い込まれる。このタイプの例は、国際公開第2004/112873号パンフレットに記載されている。
【0005】
気体導管及びインタフェースを介して患者に加熱加湿気体の流れを提供するシステムが直面してきた問題の一つは、気体の特性の適切な制御である。明確には、患者に気体を供給するにおいては(すなわち気体がユーザインタフェースから出るときには)、気体が必要な治療を提供するよう厳密に正しい温度、湿度、流量、及び酸素割合(患者が酸素療法を受けている場合)であることが望ましい。的確な又は必要な特性の気体が患者に供給されなければ、その治療方式は無効となり得る。多くの場合に、最も望ましい状況は、水蒸気で飽和した(すなわち実質的に100%の相対湿度の)気体を使用者に一定の流量で供給することである。他のタイプ又は別種の治療方式は、100%未満の相対湿度を要求し得る。呼吸回路は定常状態のシステムではなく、気体が実質的に的確な特性で使用者に供給されることを確実にするのは困難である。所定範囲の周囲温度、周囲湿度レベル、及び供給点における所定範囲の気体流量にわたってこの結果を実現することは、困難であり得る。気体流の温度、流量及び湿度は、全て相互依存的な特性である。一つの特性が変化すると、他の特性も変化し得る。数多くの外部変数が呼吸回路内の気体に影響を及ぼし得るため、気体を実質的に適切な温度、流量及び湿度で使用者に供給することは困難となり得る。一例として、患者又は使用者と加湿器吐出口との間の供給導管は周囲大気条件にさらされており、気体が導管に沿って加湿器チャンバの出口ポートとユーザインタフェースとの間を移動するときに導管内の加熱加湿気体の冷却が起こり得る。この冷却により導管内に「レインアウト」(すなわち、導管の内表面における凝縮液の形成)が生じ得る。レインアウトは、国際公開第01/13981号パンフレットに詳細に説明される理由から、極めて望ましくないものである。
【0006】
所望の特性を有する気体による気体流の供給の実現を促進するため、先行技術のシステムは、呼吸回路全体にわたり様々な位置に設置されたセンサ(例えば温度センサ及び湿度センサ)を使用している。温度センサとしては、信頼性が高く安価なことから、概してサーミスタが用いられる。米国特許第6,895,803号明細書に記載されるものなどの湿度センサは、治療目的で加熱加湿気体を使用者に供給するシステムでの使用に好適である。
【0007】
気体を患者に的確な温度及び湿度で供給することを実現するためには、供給点における気体特性を計測若しくは検知するか、又はシステムの他の場所でとられた計測値から供給点における気体特性を計算若しくは推定することが必要となる。供給点における気体パラメータを直接計測するためには、センサは供給点又はその近傍-患者用導管の端部又はインタフェースの範囲内のいずれかに位置しなければならない。気体供給点又はその近傍に位置するセンサは、気体の状態の最も正確な指標を提供し得る。しかしながら、呼吸回路を設計するときの一つの考慮事項は、呼吸回路に使用される構成要素を、確実に高い信頼性を伴って繰り返し互いに接続したり、接続を外したりできるようにすることである。別の考慮事項は、使用時に患者が支える重量を最小限に抑えることであり、従って導管の患者端におけるセンサの数を最小限に抑えるか、又はそれらの必要性をまとめて取り除くことが望ましい。また、費用及び複雑性(例えば電気接続及び空気圧接続の数の増加)を抑制するため、システムにおけるセンサの総数も最小限に抑えることが望ましい。
【0008】
この問題を解消若しくは回避し、又は気体特性の正確な計測と、複雑性と、費用と、患者が支える重量と、信頼性との妥協点を見出すため、センサをシステム内の他の様々な点に設置して、それらの点で気体のパラメータを計測してもよく、及びコントローラがそれらのセンサの示度を用いることにより、供給点における気体の特性を推定又は計算してもよい。次に、それに従いコントローラがシステムの出力パラメータ(例えば、ファン速度、加湿器チャンバ加熱用プレートのパワー等)を調整する。このタイプの計算が行われるシステム及び方法の一例が国際公開第2001/13981号パンフレットに開示され、これは、導管の患者端にセンサがない装置について記載している。温度センサは、加熱用プレート温度を計測するため加熱用プレートの近位に位置する。加湿器チャンバを通る気体の流れが推定され、次に集中型コントローラにより加熱用プレートに適したパワーレベルが決定される。コントローラは、患者に供給される気体の最適な温度及び湿度を実現するため、加熱用加湿器プレートに対するパワー供給と、導管加熱用ワイヤによって要求されるパワーとを推定する。
【0009】
気体特性を推定するシステム及び方法(国際公開第2001/13981号パンフレットに開示されるシステム及び方法など)の一つの考えられ得る欠点は、用いられる推定及びアルゴリズムが必要な正確さに満たないことである。コントローラによって用いられる計算アルゴリズムの正確さに悪影響を及ぼし得る可変要因は多くある。それらの要因は、アルゴリズムが設計されたときに考慮されていなかった可能性がある。例えば、装置、特に加湿器チャンバは、特に通気された空間において、外部の空気流により生じる対流熱損失(「ドラフト」)を受け得る。空気の流速は、大きさ、方向及び増減頻度が変化する。0.05m/s未満から最高0.6m/sに至る平均気流速度、10%未満から最高70%に至る乱流強度、及び2Hzほどの高さの速度増減頻度が、増減する速度の計測標準偏差の最高90%に寄与することが、室内居住域において特定されている-一例について、HVAC&R Researchの第13巻、第6号-論文題目:「accuracy limitations for low velocity measurements and draft assessment in rooms」、A Melikov、Z Popiolek、及びM.C.G.Silva著を参照のこと。
【0010】
国際公開第2001/13981号パンフレットに開示されるシステムは、実質的にレインアウトを発生させることなく正確に湿度を制御するために必要な制御精度をもたらすことができない可能性が高い。使用者又は製造者は、より低い湿度レベルの気体の供給について、レインアウトの可能性の増加と、使用するセンサの数及び呼吸回路内でのそれらの位置との妥協点を見出さざるを得なくなり得る。例えば、(特に一体型送風器/加湿器呼吸補助システムにおいて)圧縮器又は送風器から加湿器チャンバに供給される流入気体の温度が上昇したとき、所望の露点を実現するようチャンバ温度が正確に補償されなければならない。チャンバに流れ込む空気が暖かく、流れの増加に伴い空気温度が上昇する場合、設定された計算アルゴリズムの不正確さは増し得る。
【0011】
さらに、先行技術のシステムは、しばしば加湿器チャンバ吐出口温度を計測/計算して表示することに留意すべきである。温度は必ずしも気体の湿度状態と直接関係するものではないため、温度示度の表示は、使用者が情報を得た上での判断を下すには、多くの場合に不十分である。これは数多くの要因に起因し、なかでも、網羅的な列挙ではないが、以下が例として挙げられる。
1.流入気体の高温
2.極めて低い、又は極めて高い流量
3.加湿チャンバ付近の周囲空気の対流による加湿器チャンバの冷却
4.チャンバ内での流出気体と流入気体との混合
5.特に周囲温度が低い条件下でのチャンバ壁又は接続管における水の凝縮
6.高湿度における正確な温度計測の問題(「湿球」効果)
7.流入気体の湿度レベルの変動
【0012】
さらに、使用者は常に体温まで加温された気体及び100%湿度を必要とするわけではない。特定の治療方式は高湿度又は100%湿度レベルを要求し得るが、これはマスクを使う使用者にとっては、高湿度で調節された気体によって使用者が皮膚に不快感を覚えることがあるため、望ましくないことがある。
【0013】
このタイプのシステムにおけるさらなる問題は、以下のとおり概説することができる:上記に概説したものなどのシステムでは、ファン速度(モジュール型及び一体型ユニット)又は圧力/流量レベル(病院、遠隔供給源ユニット)は一定のレベルに設定されることが標準的であり、ここでは、それがシステム全体にわたり一定流量を提供することを前提としている(或いは、システムにおいて集中型気体供給源を使用する場合、遠隔供給源からの流入気体の流量は一定のままであることが前提とされる)。一定流量は、上記の概説と同じ、又は同様の理由から望ましい。一定流量はまた、追加的又は補助的な酸素を、それを大気気体と混和して用いるときにも、極めて望ましい。一定流量は、酸素割合を所望のレベルに保つのに役立ち得る。
【0014】
気体特性は相互依存的であるため、流量の変化は、使用者に供給される気体の湿度、温度又は酸素割合の著しい変化につながり得る。しかしながら、システムを通る流れは、気体供給源(例えばファンの速度)とは無関係な数多くの異なる相互依存変数によって影響を受け得る。それらとしては、ユーザインタフェースの使用者に対する位置の変化によって引き起こされる流れ抵抗の増加(又は減少)、使用時の供給導管の曲がり方の変化等を挙げることができる。流量はまた、例えば、インタフェースが異なるサイズ若しくは形状のインタフェースか、又は完全に異なるタイプのインタフェースに取り換えられる場合にも変化し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、気体の流れの湿度、又は温度、又はその双方を制御し、同時に気体を効果的な治療に的確な温度、湿度及び圧力で患者に供給するための、制御精度の向上をもたらすシステム及び方法が必要とされている。また、所望のレベルで実質的に一定の流量を提供するため、使用中のシステムを通じた流れ抵抗の変化を補償するシステムも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、上記の欠点の解消に何らか役に立ち、又は使用者に有益な選択肢を提供する一体型送風器/加湿器システムを提供することである。
【0017】
第1の態様において、本発明は、概して、治療目的で加熱加湿気体流を使用者に供給するための呼吸補助システムにあると言うことができ、この呼吸補助システムは:
吸入口ポートと出口ポートとを有する加湿器ユニットであって、前記加湿器ユニットが、使用時に前記吸入口ポートを介して気体供給源からの気体の流れを受け入れるように構成され、前記加湿器ユニットが、使用時に所定量の水を保持及び加熱するようにさらに構成され、使用時、前記気体の流れは前記加湿器ユニットを通過して加熱及び加湿された状態となり、前記加熱加湿気体は前記加湿器ユニット出口ポートを介して前記加湿器ユニットを出る、加湿器ユニットと、
前記加湿器ユニットを出る気体の温度を計測するように構成された出口ポート温度センサと、
気体の温度を前記気体が前記加湿器ユニットに入る前の場所で計測するように構成された周囲温度センサと、
前記システムを通る前記気体流の実流量を計測するように構成された流量センサと、
前記周囲温度センサからの計測温度に関するデータと、前記出口ポート温度センサからの計測温度に関するデータと、前記流量センサからの前記実流量に関するデータとを受け取るように構成されたコントローラであって、前記コントローラがそれに応じて制御出力を決定し、前記制御出力が前記加湿器ユニットに対するパワーを調整し、それにより前記加湿器ユニット出口ポートにおいて所望出力が実現される、コントローラと、
を含む。
【0018】
第2の態様において、本発明は、概して、治療目的で加熱加湿気体流を使用者に供給するための呼吸補助システムにあると言うことができ、この呼吸補助システムは;
吸入口ポートと出口ポートとを有する加湿器ユニットであって、前記加湿器ユニットが、使用時に前記吸入口ポートを介して気体供給源からの気体の流れを受け入れるように構成され、前記加湿器ユニットが、使用時に所定量の水を保持及び加熱するようにさらに構成され、使用時、前記気体の流れは前記加湿器ユニットを通過して加熱及び加湿された状態となり、前記加熱加湿気体は前記加湿器ユニット出口ポートを介して前記加湿器ユニットを出る、加湿器ユニットと、
使用時に前記使用者に供給するため前記出口ポートから前記加熱加湿気体を受け入れるように配置された供給導管及びユーザインタフェースであって、前記供給導管が、前記導管内の気体を加熱するように構成された加熱用ワイヤを有する、供給導管及びユーザインタフェースと、
前記患者又はその近傍における前記気体の流れの温度を計測するように構成された患者端温度センサと、
前記システムを通る前記気体流の実流量を計測するように構成された流量プローブと、を含み、
前記呼吸補助システムが、前記患者端温度センサからの計測温度に関するデータと、前記流量プローブからの前記実流量に関するデータとを受け取るように構成されたコントローラをさらに含み、前記コントローラがそれに応じて制御出力を決定し、前記制御出力が少なくとも前記加熱用ワイヤに対するパワーを調整して前記導管内の前記気体の流れの温度を維持又は変更し、それにより前記インタフェースにおいて所望の患者端温度及び絶対湿度が実現される。
【0019】
好ましくは前記制御出力は、所与の流量レベルに対する前記出口ポートにおける目標温度に関するとともに、前記所望出力は目標温度であり、前記制御出力は前記加湿器ユニットに対する前記パワーを調整して、前記出口ポートにおける前記計測温度を前記目標温度と一致させる。
【0020】
好ましくは前記制御出力は、前記コントローラにロードされたルールベースシステムから決定される。
【0021】
或いは前記制御出力は、前記コントローラにロードされた少なくとも1つの数式から決定される。
【0022】
或いは前記制御出力は、前記コントローラにロードされたルックアップテーブルから決定される。
【0023】
好ましくは前記所望出力は、目標露点温度である。
【0024】
好ましくは前記目標露点温度は、31~39℃の範囲である。
【0025】
好ましくは前記ユーザ設定目標露点温度は、実質的に44mg H2O/リットル空気の絶対湿度レベルを提供する。
【0026】
或いは前記所望出力は、目標絶対湿度である。
【0027】
或いは前記所望出力は、目標温度及び相対湿度である。
【0028】
好ましくは前記呼吸補助システムは、使用者が前記システムを通る気体の所望ユーザ設定流量を設定することを可能にするように構成されたユーザコントロールも有する。
【0029】
好ましくは前記呼吸補助装置は、使用時に遠隔の集中型供給源から気体の流れを受け取るように構成された制御ユニットをさらに含み、前記制御ユニットは前記集中型供給源と前記加湿器ユニットとの間の気体経路に位置し、前記制御ユニットは、前記気体の流れを受け取るとともに、前記加湿器ユニットと前記制御ユニットとの間の気体接続経路を介して前記流れを前記加湿器ユニットに送り込み、前記ユーザコントロールは、使用者が前記制御ユニットを通る所望ユーザ設定流量を設定することを可能にするように構成される。
【0030】
好ましくは前記制御ユニットは、前記集中型供給源からの前記気体の流れを大気気体と混合した後にそれらを前記加湿器ユニットに送り込むように構成されたベンチュリをさらに含む。
【0031】
好ましくは前記気体供給源は、使用時に前記加湿器ユニットと流体接続される送風器ユニットであり、前記送風器ユニットは、所定範囲の流量にわたる前記気体の流れを前記加湿器ユニットに供給するように構成された調整可能な可変速ファンユニットと、使用者が所望ユーザ設定流量を設定することを可能にするように構成されたユーザコントロールとを有し、前記コントローラは、前記送風器ユニットに対するパワーを制御して前記ユーザ設定流量を生じさせるように構成される。
【0032】
好ましくは前記加湿器ユニットは、加熱器ベースを有する加湿器チャンバであり、前記呼吸補助システムは、前記加熱器ベースに熱エネルギーを供給することにより前記加湿器チャンバの内容物を加熱するように構成された加熱用プレートをさらに有し、
前記呼吸補助システムは、前記加熱用プレートの温度を計測し、その温度計測値を前記コントローラに提供するように構成された加熱用プレート温度センサをさらに有し、前記コントローラは、前記計測温度及び前記計測流量の全てを評価することにより前記制御出力を決定する。
【0033】
好ましくは、前記チャンバ気体吐出口温度が目標値に達し、且つ対応する加熱用プレート温度が所与の事前設定時間にわたり前記コントローラのメモリに格納された設定値より高い場合、前記コントローラは前記加湿器ユニットが高い対流熱損失を受けていると評価し、変更された、又は異なるルールセット、数式又はルックアップテーブルに従い前記制御出力を決定する。
【0034】
好ましくは前記コントローラは、所与の事前設定時間にわたり前記加熱用プレートによって引き込まれるパワーを計測するようにさらに構成され、パワー引き込みが前記コントローラのメモリに格納された値より高い場合、前記コントローラは前記加湿器ユニットが高い対流熱損失を受けていると評価し、変更された、又は異なる制御アルゴリズム、数式又はルックアップテーブルに従い前記制御出力を決定する。
【0035】
好ましくは前記コントローラは、所与の事前設定時間にわたり前記加熱用プレートによって引き込まれるパワーを計測し、それを前記コントローラのメモリに格納された事前格納値セットと比較するようにさらに構成され、前記コントローラは、計測されたパワー引き込みが前記事前格納値セットと実質的に同様でない場合、逆線形補正係数(inversely linear correction factor)を適用する。
【0036】
好ましくは前記計測されたデータ値と前記格納されたデータ値とは、±2%以内である。
【0037】
好ましくは前記周囲温度センサは、実質的に気体が前記加湿器ユニットに入るときの気体の温度を計測するように前記吸入口ポート又はその近傍に位置する。
【0038】
或いは前記周囲温度センサは、実質的に気体が前記呼吸補助システムに入るときの気体の流入前温度を計測するように構成され、前記コントローラが前記流入前温度に補正係数を適用する。
【0039】
好ましくは前記コントローラは、少なくとも前記ユーザ設定流量と前記流量プローブ又は流量センサからの前記実流量データとを受け取るように構成され、前記コントローラは粗制御パラメータと精制御パラメータとを有し、前記コントローラは前記ユーザ設定流量と前記実流量とを比較し、前記コントローラは、前記実流量が許容範囲内で前記ユーザ設定流量と一致する限り、前記精制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させ、前記許容範囲の値は前記コントローラ内に格納され、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる。
【0040】
好ましくは前記粗制御パラメータは第1のP.I.D.フィルタであり、前記精制御パラメータは第2のP.I.D.フィルタである。
【0041】
或いは前記コントローラは、補償フィルタと、ローパスフィルタと、ハイパスフィルタと、P.I.D.フィルタとをさらに含み、前記流量プローブからの前記実流量を示す信号が、前記ローパスフィルタと前記ハイパスフィルタとを並列に通過し、前記ローパスフィルタはローパス出力信号を生成し、前記ハイパスフィルタは、前記補償フィルタを通過するハイパス出力信号を生成し、前記ローパス出力信号が前記ユーザ設定流量信号から減算されて前記P.I.Dフィルタに送られ、前記P.I.Dフィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とが加算されて前記ユーザ設定流量と比較され、前記コントローラは、前記出力信号の加算値とユーザ設定流量との差が前記コントローラのメモリに含まれる事前設定許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる。
【0042】
或いは前記コントローラは、少なくとも前記ユーザ設定流量と前記流量プローブからの前記実流量データとを受け取るように構成され、前記コントローラは粗制御パラメータと精制御パラメータとを有し、前記コントローラは前記ユーザ設定流量と前記実流量とを比較し、前記コントローラは、前記実流量が許容範囲内で前記ユーザ設定流量と一致する限り、前記精制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させ、前記許容範囲の値は前記コントローラ内に格納され、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる。
【0043】
或いは前記コントローラは、補償フィルタと、ローパスフィルタと、ハイパスフィルタと、P.I.D.フィルタとをさらに含み、前記流量プローブからの前記実流量を示す信号が、前記ローパスフィルタと前記ハイパスフィルタとを並列に通過し、前記ローパスフィルタはローパス出力信号を生成し、前記ハイパスフィルタは、前記補償フィルタを通過するハイパス出力信号を生成し、前記ローパス出力信号は前記ユーザ設定流量信号から減算されて前記P.I.Dフィルタに送られ、前記P.I.Dフィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とが加算されて前記ユーザ設定流量と比較され、前記コントローラは、前記出力信号の加算値とユーザ設定流量との差が前記コントローラのメモリに含まれる事前設定許容範囲外である場合、前記粗制御パラメータを使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる。
【0044】
好ましくは前記コントローラは、前記ファンから前記補償フィルタへのフィードバック信号も含み、前記ファンユニットに対する入力信号は、前記P.I.D.フィルタからの出力信号と前記補償フィルタからの出力信号とを含む。
【0045】
好ましくは前記実流量データは、前記少なくとも1つの流量プローブにより計測され、前記実流量データは前記ユーザ設定流量データから減算されて、その差を示す信号が前記第1のP.I.D.フィルタ及び前記第2のP.I.D.フィルタの双方に送られ、前記コントローラは、前記第1のP.I.D.フィルタ又は前記第2のP.I.D.フィルタのいずれかの出力を使用して前記ファンの出力を調整することにより前記実流量を前記ユーザ設定流量と一致させる。
【0046】
好ましくは前記流量は、20~30Hzのサンプルレートでサンプリングされる。
【0047】
さらにより好ましくは、前記サンプルレートは25Hzである。
【0048】
好ましくは前記実流量データは、前記ユーザ設定流量データから減算される前に第1のローパスフィルタを通過する。
【0049】
好ましくは前記第1のローパスフィルタは、呼吸内流量変動を減衰なしに通過させるのに十分な高さのカットオフ周波数を有する。
【0050】
好ましくは前記実流量データは、平均化フィルタも通過する。
【0051】
好ましくは前記平均化フィルタは、第2のローパスフィルタである。
【0052】
好ましくは前記流量プローブからの前記直接的な流量データの代わりに、前記平均化フィルタの出力が前記コントローラにフィードバックされる。
【0053】
好ましくは前記コントローラは、前記平均化フィルタからの前記平均流量を受け取って、それを前記ユーザ設定流量と比較し、前記コントローラは、前記ユーザ設定流量と前記実流量との差が前記コントローラのメモリに格納された許容範囲外の値である場合、粗制御パラメータを使用して流量を前記ユーザ設定流量に調整し、前記コントローラは、前記差が前記許容範囲内である場合、精制御パラメータを使用する。
【0054】
好ましくは、前記許容範囲は3L/分である。
【0055】
或いは、前記許容範囲は可変量であり、前記流量プローブによって計測されるとおりの前記実流量のパーセンテージ値である。
【0056】
好ましくは前記パーセンテージ値は、1~3%である。
【0057】
或いは前記パーセンテージ値は、3~5%である。
【0058】
或いは前記パーセンテージ値は、5~7%である。
【0059】
或いは前記パーセンテージ値は、7~10%である。
【0060】
好ましくは前記制御ユニットは、前記遠隔供給源からの前記気体として酸素を受け取るように構成され、前記少なくとも1つの流量プローブは、前記遠隔供給源から受け取る前記気体の流量を計測して、前記流量計測値を前記コントローラに送るように構成され、前記コントローラは、既知のシステム寸法に基づき大気からの前記気体の流量を決定するように構成され、前記コントローラは、前記混和された空気中の酸素の割合を前記流量と前記システム寸法とから決定する。
【0061】
好ましくは前記制御ユニットは、前記遠隔供給源からの前記気体として酸素を受け取るように構成され、前記少なくとも1つの流量プローブは、前記遠隔供給源から受け取る前記気体の流量を計測するように構成され、前記システムは、大気から受け取る前記気体の流量を計測するように構成された第2の流量プローブをさらに含み、前記コントローラは、前記混和された空気中の酸素の割合を前記流量から決定する。
【0062】
好ましくは前記システムは、使用者が前記ユーザ設定流量を変更すると、それにより前記酸素割合が変更されるように構成されている。
【0063】
好ましくは前記システムは、チャンバ吐出口露点温度を示すように構成されたディスプレイをさらに有する。
【0064】
或いは前記ディスプレイは、前記チャンバを出る気体の絶対湿度レベルを示すように構成される。
【0065】
或いは前記ディスプレイは、絶対湿度とチャンバ吐出口露点温度とを示すように構成される。
【0066】
好ましくは前記呼吸補助システムは、前記呼吸補助システムに入る大気気体の湿度を計測するように構成された湿度センサも有し、前記コントローラは計測された湿度に関するデータを受け取り、
前記コントローラは、前記計測された湿度に関するデータも使用することにより前記制御出力を決定する。
【0067】
好ましくは前記システムは、前記呼吸補助システムに入る大気気体の圧力を計測するように構成された圧力センサも有し、前記コントローラは計測された圧力に関するデータを受け取り、
前記コントローラは、前記計測された圧力に関するデータも使用することにより前記制御出力を決定する。
【0068】
好ましくは前記システムは、使用時に前記使用者に供給するため前記出口ポートから前記加熱加湿気体を受け入れるように配置された供給導管及びユーザインタフェースをさらに含み、前記供給導管は、前記導管内の気体を加熱するように構成された加熱用ワイヤを有する。
【0069】
好ましくは前記呼吸補助システムは、前記患者又はその近傍における前記気体の流れの温度を計測するように構成された患者端温度センサをさらに有し、計測された患者端温度は前記コントローラにフィードバックされ、前記コントローラは、前記加熱用ワイヤに対するパワーを調整して前記導管内の前記気体の流れの温度を維持する。
【0070】
好ましくは前記コントローラは、前記計測された患者端温度データを受け取り、前記コントローラは、計測された患者端温度データに関する前記データも使用することにより前記制御出力を決定する。
【0071】
好ましくは前記コントローラは、所与の事前設定時間にわたり前記加熱用ワイヤによるパワー引き込みを計測するようにさらに構成され、前記加熱用ワイヤによる前記パワー引き込みが前記コントローラのメモリに格納された値より高い場合、前記コントローラは前記加湿器ユニットが高い対流熱損失を受けていると評価し、変更された、又は異なるルールセット、数式、又はルックアップテーブルに従い前記制御出力を決定する。
【0072】
本発明はまた、概して、個別に、又はまとめて本願の明細書に述べられ、又は示される部品、要素及び特徴、並びに任意の2つ以上の前記部品、要素及び特徴の、任意の、又は全ての組み合わせにあると言うこともでき、本発明が関わる技術分野において等価であることが公知である具体的な完全体(integer)が本明細書に記載される場合、かかる公知の等価物は、個別に記載されているかのように本明細書に援用されるものと見なされる。
【0073】
用語「~を含む(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、「~の少なくとも一部をなす」を意味し、すなわちこの用語を含む本明細書の記述を解釈するとき、各記述のなかでこの用語によって始まる特徴は全て存在する必要があり、しかしながら他の特徴もまた存在し得る。
【0074】
ここで本発明の好ましい一形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】公知の先行技術タイプのモジュール型送風器/加湿器呼吸補助システムから加湿空気を受け取っている使用者の概略図を示す。
【
図2a】本発明の一変形例から加湿空気を受け取っている使用者の概略図を示し、使用者は鼻マスクを装用してモジュール型送風器/加湿器呼吸補助システムから空気を受け取っている。
【
図2b】本発明の別の変形例から加湿空気を受け取っている使用者の概略図を示し、ここで使用者は鼻カニューラを装用してモジュール型送風器/加湿器呼吸補助システムから空気を受け取っている。
【
図3】本発明の別の変形例から加湿空気を受け取っている使用者の概略図を示し、ここで使用者は鼻マスクを装用して一体型送風器/加湿器呼吸補助システムから空気を受け取っている。
【
図4】本発明の別の変形例から加湿空気を受け取っている使用者の概略図を示し、ここで使用者は鼻カニューラを装用し、呼吸補助システムは壁吸入口を介して集中型供給源から気体を受け取って、それを制御ユニットに提供しており、制御ユニットはその気体を、制御ユニットの下流にそれと直列に並んだ加湿器チャンバに提供する。
【
図5】
図2又は
図3の呼吸補助システムで使用されるデータセットのグラフ図を示し、このグラフは、所定範囲の周囲大気温度にわたる7つの異なる一定流量を表す曲線、並びに所与の流量及び周囲温度に対する所定範囲の目標温度を示し、データは使用時にシステムコントローラにロードされる。
【
図6】
図2、
図3又は
図4の呼吸補助システムで使用される代替的なデータセットのグラフ図を示し、この代替的なデータは、
図5にグラフで示されるテーブルからの同等のデータと比較されるか、又はそれと共に使用され、グラフ線は、周囲空気の移動がほとんどない場合の所定範囲の周囲大気温度に対する2つの異なる定常流量を表す曲線、並びに所与の流量及び周囲温度に対する所定範囲の目標温度を示し、及び加湿チャンバからの対流熱損失が高い場合の所定範囲の周囲温度にわたる同じ定常流量が示され、ルックアップテーブルからのデータは使用時にシステムコントローラにロードされる。
【
図7】
図2、
図3又は
図4の呼吸補助システムで使用するのに好適なコントローラと、
図2、
図3、又は
図4に示されるとおりの好ましい形態の呼吸補助システムの他の構成要素との間の接続の一部の概略図を示す。
【
図8a】
図2、
図3又は
図4に示されるものなどの呼吸補助システムを使用して、周囲温度が高い条件下で流量、露点、チャンバ出口又はチャンバ吐出口温度を計測した実験データのグラフを示す。
【
図8b】低い周囲温度条件についての、
図8aと同様のグラフを示す。
【
図9】システムの幾何学的形状が変化しても流量が実質的に一定のまま保たれるようにシステムを通る流量を調整するため
図2又は
図3の呼吸補助システムによって用いられる制御システム用プログラミングの一部の概略図を示し、制御機構は2つのP.I.D.制御フィルタを含み、一つは設定流量からの大きい偏差に対するもので、一つは小さい偏差に対するものであり、制御機構はまた、フィードバック経路に位置して計測流量を設定流量と比較する平均化フィルタも含む。
【
図10a】平均流量及び呼吸内流量をローパスフィルタで制御することができるように、
図2又は
図3の呼吸補助システムによって用いられる制御システム用プログラミングの一部の概略図を示し、ローパスフィルタは、同様にプログラミングの一部として組み込まれ、粗流量制御を使用するか、又は精流量制御を使用するかを決定するために用いられる。
【
図10b】
図2又は
図3のシステムにおける流量制御を向上させるためデュアルフィードバックループを組み込む制御システム用プログラミングの一部の概略図を示し、デュアルフィードバックループにより、平均流量及び呼吸内流量を制御することができる別個の制御フィルタが可能となる。
【
図11】
図10bのシステムの概略図を示し、
図2、
図3及び
図4に示される呼吸システムの非線形性の補償を補助するため、流れ発生器から補償フィルタへのさらなるフィードバック経路が加わっている。
【
図12】いくつかの例示的インタフェースについてのモータ速度のグラフを示し、マスク又は鼻カニューラのいずれについても湿度を適切なレベルに制御することができることを実証している(マスク及び鼻カニューラは異なるモータ速度を必要とし、システムは高速及び低速の双方において安定したまま保たれ、適切な湿度レベルをもたらす)。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本発明の第1の変形例又は実施形態に係るモジュール型補助呼吸ユニット及び加湿器システム1から空気を受け取っている使用者2の概略図が、
図2a及び
図2bに示される。システム1は、治療目的で(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸の発生の低減、CPAP療法の提供、又は治療目的での加湿の提供などのため)加熱加湿気体の加圧流を使用者2に提供する。システム1について以下に詳細に説明する。
【0077】
補助呼吸ユニット又は送風器ユニット3は、内部圧縮器ユニット、一般に流量制御機構と称することができる流れ発生器又はファンユニット13を有する。大気からの空気は、大気吸入口40を介して送風器ユニット3のハウジングに入り、ファンユニット13を通じて引き込まれる。ファンユニット13の出力は調整可能である-ファン速度は可変である。加圧された気体流はファンユニット13及び送風器ユニット3を出ると、接続導管4を介して加湿器チャンバ5まで進み、入口ポート又は吸入口ポート23を介して加湿器チャンバ5に入る。加湿器チャンバ5は使用時に所定量の水20を含む。好ましい実施形態において、使用時に加湿器チャンバ5は、加熱用プレート12を有する加湿器ベースユニット21の上面に位置する。加熱用プレート12に電力が供給されるとチャンバ5の底面が加熱され、ひいてはチャンバ5の内容物が加熱される。チャンバ5内の水は加熱されるに従い気化し、加湿器チャンバ5内の気体(水20の表面より上にある)は加熱及び加湿された状態となる。吸入口ポート23を介して加湿器チャンバ5に入る気体流は加熱された水の上を通過し(又はこれらの加熱加湿気体の中を通り抜け-チャンバ及び流量が大きい場合に該当)、それに従い加熱及び加湿された状態となる。次に気体流は出口ポート又は吐出口ポート9を介して加湿器チャンバ5を出て、供給導管6に入る。本明細書で本発明に関連して「加湿器ユニット」を参照するとき、それは、少なくともチャンバ5と、適切であるならばベースユニット21及び加熱用プレート12とを意味するものと解釈されるべきである。加熱加湿気体は供給導管6の長さに沿って送られ、ユーザインタフェース7を介して患者又は使用者2に提供される。導管6は、加熱用ワイヤ(図示せず)等を介して加熱されてもよく、これはレインアウトの防止に役立ち得る。
図2aに示されるユーザインタフェース7は、使用者2の鼻を取り囲んで覆う鼻マスクである。しかしながら、鼻カニューラ(
図2bに示されるとおり)、フルフェイスマスク、気管取り付け具、又は任意の他の好適なユーザインタフェースが、図示される鼻マスクに代えて用いられ得ることに留意すべきである。集中型コントローラ又は制御システム8が、送風器ケーシング(コントローラ8a)又は加湿器ベースユニット(コントローラ8b)のいずれかに位置する。このタイプのモジュール型システムでは、別個の送風器コントローラ8aと加湿器コントローラ8bとを使用することが好ましく、コントローラ8a、8bを、使用時に互いに交信することができるように(例えばケーブル等によって)接続することが最も好ましい。制御システム8は、加湿器ベースユニット21、又は送風器ユニット3、又はその双方のいずれかに位置するユーザコントロール11を介してユーザ入力信号を受け取る。好ましい実施形態において、コントローラ8はまた、システム1の全体にわたり様々な場所に位置するセンサからの入力も受け取る。
図7は、コントローラ8への入力及びコントローラ8からの出力の一部の概略図を示す。可能な全ての接続並びに入力及び出力が示されているわけではないことに留意すべきである-
図7は接続の一部を表し、代表的な例である。センサ及びそれらの位置については、以下でさらに詳細に説明する。コントロール11からのユーザ入力とセンサから受け取った信号とに応じて制御システム8は制御出力を決定し、制御出力は好ましい実施形態では、加湿器チャンバ加熱用プレート12に対するパワー及びファン13の速度を調整する信号を送る。コントローラが制御出力をどのように決定するかを決めるプログラミングについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0078】
本発明の第2の形態に係る一体型送風器/加湿器システム100から空気を受け取っている使用者2の概略図が、
図3に示される。このシステムは、加湿器チャンバ105が送風器ユニット103と一体化されて一体型ユニット110を形成していることを除き、
図2に図示され、且つ上記に記載されるモジュール型システム1と極めて類似した形で動作する。一体型ユニット110のケーシング内部に位置するファンユニット113により、加圧された気体流が提供される。加湿器チャンバ105内の水120が、加熱用プレート112(これは、この実施形態では送風器ユニット103の構造の一体部分である)により加熱される。空気は入口ポート123を介して加湿器チャンバ105に入り、出口ポート109を介して加湿器チャンバ105を出る。気体流は供給導管106及びインタフェース107を介して使用者2に提供される。コントローラ108は一体型ユニット100の外部シェル内に収容されている。ユーザコントロール111はユニット100の外表面に位置する。
【0079】
別の形態の呼吸補助システム200から空気を受け取っている使用者2の概略図が、
図4に示される。システム200は、概して遠隔供給源システムとして特徴付けることができ、壁吸入口1000を介して遠隔供給源から空気を受け取る。壁吸入口1000は吸入導管201を介して制御ユニット202に接続され、制御ユニット202が吸気口1000から気体を受け取る。制御ユニット202はセンサ250、260、280、290を有し、これらはそれぞれ、流入気体流の湿度、温度及び圧力並びに流量を計測する。次に気体の流れは加湿器チャンバ205に提供され、その気体流は上記の概説と同じように加熱及び加湿され、使用者に提供される。システム200などの遠隔供給源システムについて「加湿器ユニット」を参照するとき、それは、制御ユニット202を組み込むものを意味すると解釈されるべきであることに留意しなければならない-遠隔供給源からの気体は吸入口に直接接続されても、又は制御ユニット202を介して(圧力の低減等のため)接続されてもよいが、制御ユニット及び加湿器チャンバは、全体的な「加湿器ユニット」に属するものとして解釈されるべきである。必要であれば、システム200は、O
2供給源として集中型供給源を有するか、又は制御ユニット202に位置するベンチュリ90等を介して大気を集中型供給源から流入するO
2と混和することにより、O
2又はO
2画分を使用者に提供することができる。制御ユニット202はまた、システム200を通る気体の流量を調整するための流量制御機構として働くバルブ又は同様の機構も有することが好ましい。
【0080】
センサ
図2、
図3及び
図4に示されるモジュール型及び一体型システム1、100及び200は、システム全体にわたる各場所に位置するセンサを有する。それらについて、以下に呼吸補助システム1に関連して説明する。
【0081】
図2に示されるとおりの好ましい形態のモジュール型システム1は、少なくとも以下のセンサを以下の好ましい位置に有する:
1)送風器ケーシングの内部、近傍、又はその上に位置し、大気からの流入空気の温度を計測するように配置又は構成された周囲温度センサ60。温度センサ60は、ファンユニット13の後ろ(下流)の気体流中、且つ可能な限り加湿器チャンバへの吸入口又は入口の近くに位置することが最も好ましい。
2)チャンバ出口ポート9に位置するか、又は供給導管6の装置端(患者端の反対側)に位置する加湿器ユニット出口ポート温度センサ63。吐出口温度センサ63は、気体流がチャンバ5を出るときのその温度を計測するように配置又は構成される(いずれの配置においても、出口ポート温度センサ63はチャンバ出口ポート9より近位にあることが考えられ得る)。
【0082】
同様に、センサは、
図3に示される一体型システム100及び
図4のシステム200においても実質的に同じ位置に配置される。例えば、
図3の一体型システムについて、周囲温度センサ160は、送風器ケーシング内の気体流中、加湿器チャンバ入口ポート123の直前(上流)に位置する。チャンバ出口ポート温度センサ163は、チャンバ出口ポート109のいずれかに位置し、気体流がチャンバ105を出るときのその温度を計測するように配置される(いずれの配置においても、出口ポート温度センサ163はチャンバ出口ポート109より近位にあることが考えられ得る)。或いは、いずれの実施形態についても、このセンサは供給導管106の装置端(患者端の反対側)に位置することができる。
図4に示される呼吸補助システムについても同様の符号体系-周囲温度センサ260、ファンユニット213、チャンバ出口ポート209に位置するチャンバ出口ポート温度センサ263等-が用いられる。
【0083】
また、呼吸補助システム1(及び100、200)は、加熱用プレートの温度を計測するように配置された、加熱用プレート12に隣接して位置する加熱用プレート温度センサ62も有することが好ましい。加熱用プレート温度センサを有する1つ又は複数の呼吸補助システムは、センサが加熱用プレートの状態についての直接的な指示を提供するため、好ましい。しかしながら、1つ又は複数のシステムについて、加熱用プレート温度センサを有することが本発明の実施化のために絶対に必要というわけではない。
【0084】
また、システムが、ファンユニット13の上流に位置し、且つ気体の流れを計測するように配置された流量プローブ-システム1における流量プローブ61-も有することが最も好ましい。流量プローブの好ましい位置はファンユニットの上流であるが、流量プローブはファンの下流に位置しても、又は他の適した場所のどこに位置してもよい。さらに、流量プローブはシステムの一部を形成することが好ましいが、流量プローブがシステムの一部であることが本発明の実施化に絶対に必要というわけではない。
【0085】
ここで、呼吸補助システム1のレイアウト及び動作について以下に詳細に説明する。システム100と200との動作及びレイアウトは実質的に同じであり、必要な場合を除き詳細は説明しないものとする。
【0086】
呼吸補助システム1について、センサの示度は全て制御システム8にフィードバックされる。制御システム8はまた、ユーザコントロール11からの入力も受け取る。
【0087】
別の代替的な追加のセンサ及びそれらのレイアウトについては、さらなる詳細を後述する。
【0088】
湿度制御方法
最も好ましい実施形態において、制御システム8は、コントローラに事前にロードされた少なくとも1つのデータセットを有する。データセットを形成するデータは、特定の構成要素を有する特定のシステム構成について、制御された条件下(例えば試験区域又は実験室)で事前に計測又は事前に計算される(例えば、個々の特定の送風器ユニット及び加湿器ユニットを有する、システム1又はシステム100、又はシステム200を使用してデータが収集される)。データは、使用時に典型的に直面するであろう多くの条件範囲のもとで収集され、次に事前に計測された(事前に設定された)データが、プロダクションシステムについてはコントローラ8に統合ソフトウェア又はハードウェアとして、又は湿度制御については例えばファジー理論アルゴリズムで使用されるデータとしてロードされる。
【0089】
システム1での使用に特に好適なデータセットが、
図5にグラフとして示される。X軸は、所定範囲の周囲温度、18℃~35℃を示す。使用時、呼吸補助システムにおけるチャンバ5の前又は上流の気体の周囲温度が周囲温度センサ60により計測され、その周囲温度データがコントローラ8に中継される。温度センサ60は、気体がチャンバ5に入る直前の気体の周囲温度を計測することが最も好ましい。データセットを作成するため、典型的なシステム1は、周囲温度を所定範囲の温度にわたり既知の一定レベルに保つことができる環境に置かれる。
【0090】
使用時に好ましい形態において、使用者はコントロール11を調整することにより流量を選択する。コントローラ8はユーザコントロール11から入力を受け取り、ファン速度を調整してその要求流量に実質的に一致させる(ファンの速度を、個々の呼吸回路構成について実質的に必要流量に対応することが分かっている速度に変更することによるか、又は流量プローブ61を用いて流量を計測し、コントローラ8を介したフィードバック機構を用いることにより流量を必要な、又は要求されるレベルに調整することによる)。
図5のグラフには、7つの異なる一定ファン速度についての7つの異なる一定流量が示される。線70~76は、以下のとおりの異なる流量に対応する:線70-流量15リットル/分。線71-20リットル/分の流量。線72-25リットル/分の流量。線73-30リットル/分の流量。線74-35リットル/分の流量。線75-40リットル/分の流量。線76-45リットル/分の流量。
【0091】
Y軸は目標チャンバ温度の範囲を示す。すなわち、任意の所与のファン速度(流量及び圧力)、及び任意の所与の周囲温度に対し、チャンバ5内の水20の上側にある気体について「最良」、又は「理想」目標吐出口温度-Y軸上に示されるとおりの目標吐出口温度がある。この「理想」温度が、所与の一定流量及び一定周囲温度に対する露点温度である。すなわち、気体が必要な飽和度(必要とされる湿度レベル)でチャンバ5を出て、次に効果的な治療に的確な温度及び圧力で使用者2に供給され得る温度である。気体がチャンバ5を出るとき、チャンバ出口ポート温度センサ63により気体温度が計測される。コントローラ8は、チャンバ出口温度センサ63により計測された温度データと、チャンバ5に入る気体の温度に関する(周囲温度センサ60により計測されるとおりの)データとを受け取るように構成される。上記に概説したとおり、流量は予め一定の値に設定されているため、コントローラ8は一定流量を既に「知っている」。コントローラ8は流量及び周囲温度の双方を「知っている」ため、例えば、事前にロードされたデータセット(例えば
図5にグラフで示されるデータ)に組み込まれた範囲から「理想」目標吐出口温度を求めることができる。次にコントローラ8は、チャンバ出口温度の計測値を、所与の既知の流量及び周囲温度に対する「理想」目標チャンバ温度と比較する。目標温度の計測値が「理想」目標値と一致しない場合、コントローラ8は好適な制御出力を生成又は決定し、それに従い加熱用プレートに対するパワーを調整して、パワーを増加させてチャンバ5内の気体の温度を上昇させるか、又はパワーを減少させて気体温度を低下させるかする。コントローラ8は、このようにパワーを調整することで、吐出口又は出口ポートで計測された温度を必要な目標温度と一致させる。好ましい実施形態において、コントローラ8が出力特性を調整する機構は、比例-積分-微分コントローラ(P.I.D.コントローラ)又は当該技術分野において公知の多くの同様の機構のうちのいずれか一つを介する。
【0092】
コントローラはまた、例えば、コントローラ8にロードされたファジー理論制御アルゴリズムか、又は計測温度及び流量データを式中の変数として利用する数式を用いることにより、好適な制御出力を生成又は決定してもよい。
【0093】
数式の例を以下に示す。これらは、概して、15~45リットル/分の流量の範囲について
図5にグラフで示されるデータに対応する。
【0094】
【0095】
例:使用者2の治療方式により、ある流量及び圧力、例えば45リットル/分の流量が指定される。送風器又はファンユニット13の速度が、この流量で気体を供給するように(コントロール11を介して)設定される。流量プローブ61がシステムの一部である場合、この流量は、リアルタイム流量示度を流量センサ又は流量プローブ61からコントローラ8にフィードバックし、必要に応じてコントローラ8がファン速度を調整することにより、動的に調整され得る。これは、以下に詳細に記載するとおりの、コントロール8の一部を含むP.I.D.コントローラ等を介して行うことができる。流量は動的に調整及び監視されることが好ましい。しかしながら、流量プローブがシステムの一部でない場合、流量はファン速度から推定又は計算され、且つ一定のファンパワーレベルに対して一定であることが仮定される。45リットル/分の流量は、
図5のグラフ上では線76によって示される。この例では、使用者2は周囲温度が実質的に30℃の寝室に寝ている。30℃の空気が呼吸補助装置に入り、その空気は、ファン及びケーシング内の接続通路を通過するとき、僅かに温まる。加湿器チャンバに入る直前の空気の温度が、周囲温度センサ60により計測される。周囲温度及び流量は既知であるため、コントローラ8は、
図5のグラフのY軸上に示されるとおりの、必要な目標温度を計算することができる。この特定の例については、チャンバ目標温度は42℃であることが見て分かる。チャンバ出口温度センサ63が、チャンバ5を出るときの気体の温度を計測する(出口点における気体温度は、チャンバ内容物20の上側の空間内にある気体と実質的に同じ温度であり得る)。チャンバ出口温度センサ63により計測したときの気体温度が42℃でない場合、コントローラ8は好適な制御出力を決定及び生成し、それに従い制御出力が加熱用プレート12に対するパワーを変更する。上記のとおり、周囲温度センサ60により計測したときの周囲温度が変化した場合、それがコントローラ8にフィードバックされ、P.I.D.制御アルゴリズム等を使用して出力が適宜変更される。
【0096】
先行技術に開示されるシステムに対するこのシステムの利点の一つは、以下のとおりである:先行技術のシステムでは、周囲温度が目標露点温度に近づくに従い、加熱用プレートが引き込むパワーが少なくなり、加湿器チャンバ内の水の温度がそれほど上昇しなくなる。そのため、気体がチャンバを出るときに完全には飽和していないことが起こりがちである。上記に概説される方法は、周囲温度又はより好ましくはチャンバ吸入口温度の値と、チャンバ出口温度と、既知の構成のシステムについての流量とを用いることにより、設定流量及び特定の周囲温度に対する気体飽和及び使用者への供給に実質的に最良又は「理想」温度であると考えられる目標チャンバ出口温度を生じさせることで、この問題を解消する。
【0097】
別の利点は、システム1が、精密な湿度センサを必要とすることなく湿度レベルを正確に制御し得ることである。
【0098】
別の利点は、気体が圧縮器又は送風器から加湿器チャンバに供給され、その流入気体の温度が高いとき、チャンバ温度が、所望の露点を実現するよう正確に補償され得ることである。これは、チャンバに入る空気又は気体が温かい場合、また、温度が流量の増加に伴い上昇する状況下においても、特に有利である。動作中、任意の流れ発生器により大気からの吸入口と吐出口との間に空気温度の上昇が生じる。この温度変化は、ある種の流れ発生器において一層顕著であり得る。システムの構成要素の温度は、システムが最初に起動された時点とその後しばらくした時点との間で(例えば、1~2時間など、適度に長い時間にわたり)変化し得る。すなわち、システムの構成要素はシステムが動作しているときに昇温し得るため、システムは定常状態の動作に達するまでにいくらか時間がかかる。そうした構成要素が、空気がシステムに入る場所と、空気がチャンバに入る場所との間の空気経路内に、又はそれに隣接して位置する場合、その気体の温度は変化することになる-気体がその経路に沿って進むに従い、そうした構成要素から気体への熱移動がいくらかあることになる。従って、システムが定常状態の動作に達したときのシステムへの流入点における気体の温度は、チャンバへの流入点における気体の温度と異なり得るため、気体がチャンバに入るときの気体の温度を計測することで、制御計算に温度計測誤差が入り込む可能性が低くなるものと理解され得る。しかしながら、一般には、チャンバへの流入点で気体温度を計測することが最も好ましいとはいえ、ほとんどの場合には大気気体温度の計測も許容されることが分かっている。
【0099】
上記の方法は、一体型装置100、又は装置200についても実質的に同様であり、しかしながら、装置は少し異なる構成を有するため、事前に設定され、又は事前に計測されてルックアップテーブルに事前にロードされる値は異なり得る。他の形態では、使用者が圧力変化率を選択してもよい(及びデータセットは、流量値ではなく、圧力値が修正され得る)。
【0100】
上記の装置及び方法は、先行技術において公知のシステム及び方法と比べて、使用者2に対する供給点における気体特性の制御性の向上をもたらすことが分かっている。上記のシステム及び方法は、先行技術の方法及び装置の問題点を解消するのに何らか役立つ。上記のシステム及び方法は、チャンバ出口において完全に飽和した気体を生じさせることを目的として出力特性を制御する-すなわち、チャンバを出る気体は、所与の温度に対して露点に達しているか、又は露点に極めて近い。システム出力特性は、チャンバ出口温度ではなく、目標露点温度に対して変更される。
【0101】
システムがユーザディスプレイを有する場合、チャンバ吐出口温度ではなく、露点(或いは絶対湿度、又は露点及び絶対湿度の双方)を表示することができる。上記に概説されるとおり、チャンバ吐出口温度は、加湿器チャンバを出る気体の湿度レベルの不正確な指標であり得る。これは、
図2のものと実質的に同様のモジュール型システムで実験的に検証されている。データは、約15リットル/分から約45リットル/分までの全範囲の流量にわたり計測した。チャンバ吐出口温度及びチャンバ吐出口における露点が、計測データの一部をなした。データは、一つの実質的に一定の周囲温度(しかしながら、不確かさを排除するため、これもまた試験全体にわたり計測した)に対して計測した。収集したデータを
図8a及び
図8bにグラフで示し、これは、X軸上の時間に対してY軸上に流量を示す。
図8aのグラフでは、高い周囲温度の条件に対するデータを集めた。計測流量は、グラフ上では点801によって示す。線802は周囲温度を示す。線803は計測されたチャンバ吐出口温度を示す。線804aは計測露点(計測Td)を示す。線805aは表示露点(表示Td)を示す。見て分かるとおり、周囲温度は実質的に同じまま保たれている(時間が経つと僅かに上昇する)。チャンバ吐出口温度は39℃から41℃まで変化する。計測された実際の吐出口露点は実質的に一定レベル付近を増減する。しかしながら、これらの増減又は変動は、主に流量の遷移中に起こる。表示される露点は、全ての流量範囲について一定のまま保たれる。
【0102】
図8bは
図8aと同様のグラフを示すが、低い周囲温度(すなわち、18~20℃)及び45~15リットル/分の範囲にわたる流量の条件に対するものである。チャンバ吐出口温度は露点に極めて近いため表示しない。好ましい形態では、温度が30℃に達するときにのみ露点が表示されることに留意すべきである。湿度が低過ぎるときは、患者は加湿器を使用すべきでない。周囲温度の揺動によって計測露点に過渡的な挙動が現れたことが見て分かる。しかしながら、それにもかかわらず、線805bによって示されるとおりの表示露点(表示Td)は、実際の露点(計測Td、線804bによって示されるとおり)を極めて一貫して「追尾」していることが見て分かる。
図8bのグラフで見て分かるとおり、12分において、流量が一時的に45リットル/分から15リットル/分に変わり、小さいオーバーシュートが引き起こされたことに留意すべきである。45~40リットル/分の高い流量では、加熱用プレートは目標温度を維持することができず、湿度出力はTd37℃未満に低下した。これは表示露点に反映される。
【0103】
ここで、気体特性の制御性の向上を加えるさらに好ましい変形例及び実施形態を説明する。
【0104】
さらなる代替的センサレイアウト
上記に概説される装置及び方法の変形例において、システム(システム1又はシステム100又はシステム200)はまた、以下に概説するとおりの追加のセンサも有する。
【0105】
1)患者端温度センサ15(又は115又は215)は、供給導管6の患者端(或いはインタフェース7内か、又はその上)、すなわち患者又は供給点のところか、又はその近傍に位置する。本明細書において読解されるとき、「患者端」又は「ユーザ端」は、供給導管(例えば供給導管6)のユーザ端の近傍、又は患者インタフェース7内、若しくはその上を意味するものと解釈されるべきである。これは、特に他に具体的な場所が明記されない限り適用される。いずれの配置においても、患者端温度センサ15は使用者又は患者2のところ、又はその近傍にあると考えることができる。患者端温度センサ15の示度はコントローラ8にフィードバックされ、供給点における気体の温度がチャンバ出口における気体の目標患者温度(目標患者温度は、チャンバ出口における目標露点温度である)と実質的に一致することを確実にするために使用される。患者端温度センサ15の示度が、気体が供給導管6の長さを進むに従い気体温度が降下していることを示す場合、コントローラ8は導管加熱用ワイヤ(
図2aでワイヤ75として示される-図示されないが、
図3及び
図4に示される代替的な好ましい形態の呼吸補助システム200及び400、並びに
図2bに示されるシステムに存在する)に対するパワーを増加させて気体温度を維持することができる。導管加熱用ワイヤ75に対して利用可能なパワーによって供給点における気体をチャンバ出口9における露点温度と等しくさせることができない場合、コントローラ8は目標チャンバ出口温度を(露点温度未満に)低下させる。コントローラ8は、患者端温度センサ15により計測するとき導管加熱用ワイヤが患者に供給することのできる最高の気体温度又はその近傍のレベルまで、チャンバ出口温度を下げる。コントローラ8は、所定のデータセットがロードされており、そのデータ(これは
図5にグラフ形式で示されるものと同様である)を用いて加熱用プレート、又は導管加熱用ワイヤ、又はその双方に対するパワーを調整する。一定の流量レベル及び周囲温度センサ60により計測されるとおりの計測周囲温度(これは変化し得る)に対し、理想患者端温度が存在する。コントローラ8は、加熱用プレート及び導管の1つ又は複数のパワー出力を調整し、導管の患者端における温度(温度センサ15により計測されるとおり)をこの理想温度と一致させる。
【0106】
システム内の気体の他の条件-気体条件-が既知である場合、上記の方法の正確さをさらに改良することができる。例えば、送風器への流入気体の湿度レベル、又は流入気体の気体圧力が既知である場合である。これを実現するため、上記のシステム1、100及び200の代替的実施形態は、流入気体経路に位置する気体条件センサ(例えば湿度センサ又は圧力センサ)も有し得る。モジュール型システム1については、大気吸入口40の近位に位置する湿度センサ50が示される。一体型システム100については、これは湿度センサ150(及びその他)として示される。上記に概説した制御方法と同様に、コントローラ8には湿度レベルデータセットが事前にロードされる。一定流量、及び既知の周囲又は外部湿度レベルに対し、チャンバ出口における(又は使用者に対する供給点における)理想気体温度が存在する。データセットは、
図5にグラフ形式で示される値と同じように、所定範囲の周囲湿度及び流量に対するそうした理想値を含む。コントローラ8は、加熱用プレート、又は加熱用ワイヤ、又はその双方のパワー出力を調整し、計測されたチャンバ出口温度(又は患者端温度)を、コントローラのメモリ内のデータセットから検索した「理想」温度と一致させる。同じように、加湿チャンバ送風器に対する流入気体の圧力レベルが既知の場合、加湿チャンバに至る流入気体経路内に圧力センサを設置して、上記の方法の正確さを改良することができる(モジュール型システムについては、
図2の流入気体経路に示される圧力センサ80。一体型システムについては、
図3の流入気体経路に圧力センサ180が示される。集中型気体供給源システムについては、
図4の流入気体経路に圧力センサ280が示される)。データセットのデータを、一定流量と、周囲温度と、別の気体条件(例えば湿度又は圧力)との条件に対してグラフでプロットしたならば、グラフは三軸-X、Y及びZ上にプロットされる必要がある-グラフはプロットされるとき「三次元」であることに留意すべきである。
【0107】
呼吸補助システムのレイアウト又は構造に関する別の変形例は、以下に概説するとおりである:
いくつかの実施形態において、気体はチャンバを41℃で出ることが意図される。気体が主供給管又は主供給導管に沿ってインタフェースに向かって進むに従い、気体はチャンバ出口における41℃から主供給ホース6の端部における44℃まで加熱される。主供給ホースの端部において、気体は、加熱されていない細い副供給ホース-例えば
図2bに示されるとおりの6aに入る。気体は、副ホース6aを通過するに従い44℃の温度から冷却され、ユーザインタフェース7に入るときには37℃になる。37℃は、患者に最適な供給温度であると考えられる。
【0108】
ここで、追加のセンサを伴う、又は伴わない、上記に概説した方法の更なる改良について説明する。
【0109】
流れ発生器の対流熱損失及び熱利得の補償
先行技術の節に概説したとおり、当該技術分野において知られている一つの問題は、出力特性に影響を及ぼし得る変数が多数あるときのシステムの出力特性の正確な制御である。気体出力特性に影響を有する変数のうちの一つは、加湿器チャンバ5からの対流熱損失であることが分かっている。この対流は、室内の温度勾配などの自然要因-「自然対流若しくは自由対流」によるか、又は気体の強制的な移動-「強制対流」により引き起こされ得る。強制対流は、例えば、換気装置又は空調装置により引き起こされ得る。加湿器チャンバの対流冷却は、実質的に加湿器チャンバ吐出口における露点温度に影響を及ぼし得る。加湿器チャンバ-例えばシステム1のチャンバ5-の外表面上の空気の流れはチャンバ内部の温度の降下を引き起こし得る。これを補償するため、加熱用プレートにおいて、チャンバ5の内容物の温度を上昇させるより多くのパワーが必要とされる。チャンバ吐出口における出力温度は吐出口温度センサ63により計測され、コントローラ8がチャンバ吐出口における温度の降下を記録するとき、温度損失がコントローラ8によって「確認」される。コントローラ8は、加熱用プレート12に対するパワーを増加させることによってそれを補償し得る(加熱用プレート温度センサ62により計測される加熱用プレート温度が対応して上昇することに伴う)。このパワー増加の効果は、水から気体への熱伝達率及びチャンバ内の気体の水分圧が上昇し、結果的に露点温度の上昇があることである。
【0110】
沸騰していない水の蒸発は、低物質移動速度理論(Low Mass Transfer Rate Theory)によって規定され、物質(水)の移動は熱移動に直接的に関係する。そのため、蒸発を左右するのは、流入気体の温度(及び程度は低いが、その湿度)、水の温度、流量及び圧力である。流量は、水上の気体の流量を決定するのみならず、水の移動も決定する。例えば、水を撹拌すると(強制対流)、蒸発が増加する。蒸発率は、加熱用プレートコントローラが遷移モードにある間により高い。遷移モードは、加熱用プレート内の温度のより大きい揺動によって特徴付けられ、ヌセルト数、及びその物質移動類似形のシャーウッド数が上昇することにより水の乱流(自由対流)の増加を引き起こす可能性がある。これは高い周囲温度でより顕著であり、又はより詳細には、加湿器に入る気体が高温である条件下において、且つチャンバ吐出口気体温度が露点より著しく高いときに顕著である。対流熱損失により露点は気体の温度の近くまで上昇する。
【0111】
チャンバ吐出口温度が露点を超えて上昇すると、制御システムに不安定性がもたらされる。流量又は対流熱損失の任意の増減により、物質(水)の移動、続いて気体の湿度の急速な上昇が引き起こされる。この不安定性は、
図8aにおいて、高い周囲温度の空気の計測露点(804)が反復し、一方チャンバ吐出口における計測温度(803)は比較的安定したまま保たれていることに説明される。
【0112】
これは、流れ発生器及び加湿器の双方を組み込み(CPAP送風器、BiPAP又は非侵襲性換気装置等-例えば、
図1、
図2及び
図3を参照)、且つ典型的には目標とする露点が、体温に近い37℃の露点ではなく(露点37℃に伴う高湿度は、典型的には高流量療法及び侵襲性換気において使用される)、31~32度である呼吸補助デバイスにおける湿度出力制御の典型的な問題である。流れ発生器によりチャンバ吸入口の温度は上昇し、通常の周囲温度(22~24℃)を数度上回る。吸入口温度は31~32℃に極めて近くなり、又はさらにはそれを超えるまでになり得る。周囲(大気)温度の上昇により、問題は大幅に悪化する。チャンバ吸入口温度が上昇すると、31~32℃の露点を実現するためには、空気を約36~41℃又はさらにはそれより高くまで(流量に依存)加熱することが必要となる。患者の生理学的呼吸又は機械的な換気もまた、加湿チャンバ内の流れ、結果としてチャンバ内の空気の露出時間に影響を及ぼし得る。これらの条件が全て組み合わさることで、チャンバ吐出口には可変の湿度出力が生じる。加湿チャンバが環境に露出されている場合(実際にはそのような場合が通常である)、対流熱損失によっても湿度出力は大きく変わり得る。
【0113】
対流熱損失(「ドラフト」)は、換気機器、特に加湿器チャンバの上又は周囲の空気流によって作り出される。これは、チャンバが、特に通気されている空間に、少なくとも部分的に露出されている設計に特に顕著であり得る。空気の流速は、大きさ、方向及び増減頻度が変化する。0.05m/s未満から最高0.6m/sに至る平均気流速度、10%未満から最高70%に至る乱流強度、及び2Hzほどの高さの速度増減頻度が、増減する速度の計測標準偏差の最高90%に寄与することが、室内居住域において特定されている。
【0114】
対流熱損失はまた、チャンバにわたる流れ強度又は乱流強度(又は双方)を計測することにより推定することもできる。これは、熱、レーザー、又は音波による測風法を用いて実現することができ、機器(例えば加湿器ベースユニット21)に、加湿器チャンバ5又はその近傍の流れ又は乱流を計測するためのセンサが取り付けられる。
【0115】
精密な湿度制御のため、対流熱損失は補償することが望ましい。この補償は、コントローラ8が1つ又は複数の「対流補償」データセットに頼るという利点を有する場合、又はコントローラが代替的な「対流補償」方法の利点を有する場合、より容易に行われる。コントローラはファジー理論型ルールベースシステムによりプログラムされてもよい。
【0116】
図5にグラフで示されるデータセットは、対流熱損失がほとんどないか全くない条件下で計算される。このデータは、周囲空気の移動が少ない条件下で使用するのに好適である。上記に概説される装置及び方法の代替的な形態、又は変形例では、コントローラ8は、対流熱損失が特定のレベルに達すると-例えば、コントローラ8が、加熱用プレート温度センサ62により計測されるとおりの加熱用プレート温度の大きい階段状変化を察知した場合、入力として代替的なデータを用いるように切り換える。例えば、データは、ファジー理論制御アルゴリズム、1つ又は複数の数式等の入力として用いられ得る。
【0117】
図6は、使用中に周囲条件が「高い対流」条件に変化した場合、又はその時点-使用中、装置、特に加湿器チャンバ上に空気の流れがあり、結果として低い対流熱損失条件からの高い対流熱損失条件への変化があった場合-において用いられるデータの一部を示す。
図6の代替的なデータは、
図5に示されるテーブルと同じ方法で作成されるが、事前に計測されて事前にロードされる条件(流量及び周囲温度)は、少なくともチャンバ5(又は105又は205)が高レベルの対流熱損失を受けている場合のシステムについてのものである。それに従い目標温度が変化する。
図6には、「高い対流熱損失」条件において使用される代替的データの一部が示される。15リットル/分(501)及び45リットル/分(502)の定常流量を表す2つの曲線501及び502が示される。
図5に示されるデータと同じように、所定範囲の周囲温度(X軸)と、所与の定常流量及び周囲温度に対する所定範囲の目標チャンバ出口温度(Y軸)とが示される。比較する目的から、
図5からの2つの同等の定常流量線(15リットル/分及び45リットル/分)も、このグラフ上に線503(15リットル/分)及び線504(45リットル/分)として示す。装置が「高い流量」条件を受けると、Y軸上に示されるとおりの目標チャンバ吐出口温度は、装置が「低ドラフト」すなわち低レベルの対流熱損失条件を受けるときより低下することが見て分かる。
【0118】
同様に、代替的なルールセットを計算してコントローラ8に事前にロードすることができる。コントローラは、上記に概説される1つ又は複数の方法により計測又は評価されるとおりの周囲条件に応じて-例えば、加熱用プレート温度センサ62により計測されるとおりの加熱用プレート温度の大きな階段状変化を察知するコントローラ8によって評価される特定のレベルに対流熱損失が達したとき、代替的なファジー理論ルールセットを切り換えることができる。
【0119】
低い対流熱損失を表すデータを使用するべきか、又は高い対流熱損失を表すデータを使用するべきかをコントローラ8が評価するためには、熱損失の評価が必要となる。好ましい実施形態において、これは、的確なチャンバ出口温度を維持するため加熱用プレート12において必要とされるパワーから計算される。コントローラ8には、既知の周囲温度及び流量に対する加熱用プレートパワーのデータ値が事前にロードされている(或いは、コントローラはファジー理論ルールセットを利用する)。コントローラ8は、加湿器チャンバが高い対流熱損失の条件で動作しているのか、又は低い対流熱損失の条件で動作しているのかを評価し、それに従いその制御出力を(例えばファジー理論ルールセットを利用して動作条件を変更することにより)調整又は変更する。「最も高い対流熱損失」の条件は、制御されるチャンバ吐出口温度が露点に近く、チャンバをそれ以上冷却しても湿度が上昇しないときの条件(動きの速い空気)と定義される。「低い対流熱損失」は、制御されるチャンバ吐出口温度が上昇して露点温度を上回るときの条件(静止した空気)と定義される。これは、さらに以下のように説明される:
【0120】
通常、コントローラ8は「低い対流熱損失」(静止空気、すなわち低い対流熱損失)のアルゴリズム又はルールセットを使用する。チャンバ5が対流によって外部から冷却されると(「高い対流熱損失」)、湿度出力が上昇する。上記に概説される(すなわち
図5に示されるデータを用いる)方法の目標チャンバ吐出口温度は、加熱用プレート温度範囲及び/又は加熱用プレートのデューティサイクルに対応するルックアップテーブルデータ(又はルールセット)を用いる。チャンバ気体吐出口温度が目標値に達し、対応する加熱用プレート温度が所与の時間にわたり設定限度より高い場合、コントローラ8は「高い対流熱損失」を表すデータに切り換える(この切換えはまた、ファジー理論ルールセットのルールの一つとして組み込まれてもよい)。加熱用プレート温度センサを有しないシステムが用いられる場合、加熱用プレート温度に代えて、加熱用プレートパワーデューティサイクルを用いて切換えポイント-すなわち、目標チャンバ気体吐出口温度が達成され、且つ前記加熱用プレートによるパワー引き込みが所与の時間にわたり設定値より高い場合-を計算し得ることに留意すべきである。
【0121】
コントローラ8は、目標チャンバ気体吐出口温度を適当な値だけ低下させる。
【0122】
例:好ましい実施形態において、
図3のシステム100について、チャンバ気体吐出口温度が39.5℃の目標値に達し、且つ対応する加熱用プレート温度(又は計算されたパワー)が5分間にわたり60~65℃より高い場合、コントローラ8は、目標チャンバ気体吐出口温度を0.25℃ずつ低下させる制御出力を決定する。
【0123】
この新しい値はまた、対応する新しい加熱用プレート温度及び/又はデューティサイクル(すなわちチャンバ気体吐出口温度38.4℃及び加熱プレート温度87℃)も有する。そのため、目標露点温度が、対応する適切な加熱プレート温度を有するまで(コントローラ8のファジー理論アルゴリズムにより)漸減される。加熱用プレート温度が対応するチャンバ気体吐出口温度と比べて大幅に高い場合、新しい目標値により速く近づく。例えば、加熱用プレート温度が10℃超高い場合、より短い時間(すなわち0.5℃低下)で新しい目標値に達する等である。この目標チャンバ気体吐出口温度の降下は流量及び/又は周囲/気体チャンバ吸入口温度によって異なり得る。例えば、45リットル/分の流量及び23℃の周囲温度では、この降下は、加熱用プレート温度の5℃ごとに0.1℃であり得る。周囲温度30℃では、降下は加熱用プレート温度の5℃ごとに0.7℃であり得る。さらに、目標温度の降下は非線形であり得る。
【0124】
代替的実施形態では、加熱用プレート温度、加熱用プレートデューティサイクル、加熱用プレートパワー、加熱管のデューティサイクル、又は加熱管パワーを使用して対流熱損失を推定することができる。加熱管は表面積がより大きく、従って対流の変化により速く反応する。
【0125】
対流熱損失が増加後に減少しているときも、上記に概説したものと同じ原理が逆にして適用される。時間制限及びチャンバ気体吐出口温度の増加又は減少幅は異なり得る。
【0126】
表示露点は、遷移時間中に実際の露点に追随するように補正されてもよい。
【0127】
他の代替的実施形態において、種々のレベルの対流熱損失に対して複数のデータセットを用いることができ、コントローラ8は、例えばファジー理論制御アルゴリズム、数式等を使用することにより、そのデータセットのうちの1つ、いくつか又は全てを用いて種々の対流熱損失範囲に対する制御出力を決定する。
【0128】
さらに別の代替的実施形態において、単一のデータセットを使用し、目標チャンバ吐出口温度を以下のとおり修正することにより、複数のデータセットの使用を回避することができる。流量、周囲温度及び加熱用プレートパワーが用いられるか、又は加熱用プレート温度が既知である場合、目標チャンバ吐出口温度は、任意の所与の周囲温度及び流量に対する加熱用プレートパワー(又は温度)の(既知の変化する)レベルに従い修正することができる。このようにして、例えば、用いられる加熱用プレートパワーから「ドラフト」又は対流熱損失のレベルを計算することができる。目標チャンバ吐出口温度は、例えば
図5のグラフを作成するために使用されたデータセットのデータに補正係数又は補正アルゴリズムを適用することにより、所定範囲の対流熱損失条件に対して正確な露点制御をもたらすように修正される。例えば、加熱用プレートパワーを用いる場合、計算は以下のとおり行うことができる:任意の所与の目標チャンバ吐出口温度に対する必要な加熱用プレートパワー及び低い対流熱損失条件に対する流量は既知であり、これらの値はコントローラ8のメモリに格納されている。使用時、コントローラ8は、加熱用プレートにより使用されるパワーに関するデータを受け取り、それを格納されたデータと比較する。計測されたデータ値と格納されたデータ値とが実質的に同様でない場合(好ましい形態では±2%以内)、コントローラは逆線形補正係数を適用する。例えば、計測された加熱用プレートパワーが格納された値より10%大きい場合(高い対流熱損失条件を示す)、コントローラは目標チャンバ吐出口温度を10%だけ低下させる。
【0129】
上記の例で概説したとおりの加熱用プレートパワーの代わりに、加熱用プレート温度又は上記に概説される他の方法(例えば、加熱用プレート温度、導管パワー等)のいずれかが用いられ得ることに留意すべきである。
【0130】
同様に、気体の条件のうちの1つ又は複数が既知である場合、コントローラ8のメモリに格納された(周囲条件)データに補正アルゴリズム又は補正係数を適用することができる。データを計測及びロードした周囲条件(例えば湿度及び圧力)は既知である。計測された気体条件がこれらのベースライン条件から特定のパーセンテージだけ(例えば2%超)偏差している場合、コントローラは目標チャンバ吐出口温度に対し補正係数を適用することができる。
【0131】
図1、
図2及び
図3に概略的に示される送風器と加湿器とが連結された実施形態において、チャンバ吸入口温度は、通常、流れ発生器からの流量、又は圧力、又はその双方の増加に伴い上昇する。1つ又は複数のファジー理論アルゴリズムを使用して、周囲温度又はチャンバ入口/吸入口温度とモータ速度とに従い補正チャンバ吸入口温度を定義することができる。モータ速度の増加は、通常チャンバ吸入口温度の上昇を伴う。さらに、コントローラが既知のモータ速度を使用して、供給導管の患者端に取り付けられた既知のインタフェースに従い湿度及び温度レジームを定義することができる。例えば、アルゴリズムにおいて、マスクインタフェース(鼻カニューラと対比される)に関連する低いモータ速度を使用することにより、システムからの湿度出力をマスクに適したレベルに制御することができる。マスクが使用される場合、31℃の露点が必要とされる。細い若しくは太い鼻カニューラ、又は気管取り付け具は、37℃の露点を必要とする。これは
図12に示され、
図12は、いくつかの例示的なインタフェースに対するモータ速度のグラフを示す-鼻カニューラ用途に必要なファンRPMはより高く、マスク用途に必要なファンRPMはより低い。モータのRPM出力は、上記に概説される制御方法を用いることによって一層安定的に保つことができる。
図12に示される実験結果は、マスクについても、又は鼻カニューラについても、湿度を適切なレベルに制御し得ることを実証している(マスクと鼻カニューラとは異なるモータ速度を必要とし、このシステムは高速及び低速の双方で安定して維持され、適切な湿度レベルをもたらす)。x軸は使用時間(秒)を示す。y軸はモータ速度(RPM)を示す。線1201は、細い鼻カニューラと共に使用したときのシステムのモータ速度を示す。線1202は、太い鼻カニューラと共に使用したときのシステムのモータ速度を示す。線1203は、気管インタフェースと共に使用したときのシステムのモータ速度を示す。線1204は、マスクと共に使用したときのシステムのモータ速度を示す。
【0132】
他にも可能な方法があり、それによれば、使用中に送風器が徐々に加温され、又は昇温することに伴う送風器の「自己加熱」効果の遅延を補償することができる。
【0133】
第一に、所定時間(例えば1時間、2時間等)の定常稼働後、湿度制御アルゴリズムは、使用する変数をチャンバ吐出口温度から加熱用プレート温度に切り換えることができる。
【0134】
第二に、制御アルゴリズムに時間要素を実装することができる(例えば1時間の稼動後、目標チャンバ吐出口温度を例えば0.5℃だけ上昇させることができる)。
【0135】
第三に、「昇温補償係数」を使用することができる。この係数は、稼動時間と、加熱器のデューティサイクルと、加熱用プレート温度とを使用して計算することができる。定常流量及び周囲温度の条件下において、デューティサイクル又は加熱用プレート温度が時間の経過に伴い変化する場合、それは、送風器から入る空気が時間に伴い熱くなっていて、それを補償しなければならないことを示す。
【0136】
一定流量の制御
本発明の最も好ましい形態において、システム1、100又は200は流量制御システムも有し、これは、システムを通る流量を制御し、それを使用者が設定する所望のレベルに可能な限り近く合わせておくように構成される。上記に概説したとおり、システム内の気体の流量と湿度とは互いに関連している。上記に概説したとおり、先行技術のシステムでは、ファンは一定の速度に設定されることが標準的であり、ファン速度が一定に保たれるならば流量は実質的に一定に保たれること、又は患者に対する供給点の圧力は一定であることが前提とされる。しかしながら、ファンに対するパワーが一定のままであったとしても、又はファン速度が一定のままであったとしても、流量はシステム内の変化によって影響を受け得る(これは湿度に影響を及ぼす)。これは、導管、又はインタフェース、又はその双方の流れ抵抗が比較的低い場合に特に該当する。計測流量又は実流量の大きさと、それに対するユーザ設定流量の大きさとの差又は偏差は、「大きい偏差」又は「小さい偏差」として特徴付けることができる。好ましい実施形態では、実流量と所望(ユーザ設定)流量との差により、コントローラ8が実流量を所望流量と一致させるために精制御を使用するか、又は粗制御を使用するかが決定される。
【0137】
例えば、システム1の好ましい形態において、システムが最初にオンにされ、又は起動されたとき、システムは使用前に「ウォームアップ」する。システムがウォームアップするに従い、流量はユーザ設定点に近付く。使用者は、概してウォームアップ期間中はそのインタフェースを装用しておらず、インタフェースが供給導管に接続されていないこともある。使用者がそのインタフェースを着けると、又はインタフェースを導管と接続すると、流れ抵抗が増加することに伴い流量が低下する。これは使用者に不快感を引き起こし得る。他の望ましくない副次的な影響-例えば、供給される酸素濃度の変化、又は供給される湿度の変化もまた起こり得る。流れ抵抗の増加による流量の変化は大きく、すなわち全体の流量のうち大きい比率又は割合であり、結果として計測流量のユーザ設定流量との大きい偏差が生じ得る。大きい流量偏差の別の例は、例えば、ユーザインタフェースが例えばフルフェイスマスクから鼻マスク又は鼻カニューラに変更又は交換される場合であり得る。ユーザ設定流量からの大きい偏差として特徴付けられ得る流量の変化があり得る-計測流量とユーザ設定流量との差は大きいものであり得る。大きい偏差はまた、例えば小口径の鼻カニューラが大口径のカニューラに交換される場合にも起こり得る。
【0138】
対照的に、システムを通る流量の変化には、「小さい偏差」として特徴付けることのできる変化がある。ユーザ設定流量からの「小さい偏差」を引き起こすシステムの変化のいくつかの例は、以下のとおりである:供給導管の幾何学的形状が変化する場合(例えば使用者が就寝中に寝返りを打ったり、供給導管の撓み方又は曲がり方を変えたりする場合)、小さい相対的な、又は小さい流量の変化又は変化率があり得るとともに、実流量のユーザ設定流量からの偏差もまた小さいものであり得る。ユーザ設定流量からの小さい偏差はまた、例えば、使用者の顔に対する、又は使用者の鼻孔におけるユーザインタフェースの位置が変化する場合にも起こり得る。
【0139】
本明細書の目的上、基本流量は以下のとおり設定される:使用者により「ユーザ設定流量」を定義する。システムを通る流量が計測され、連続的に、又は定期的に「実流量」が(例えば流量プローブ61を介して)得られる。計測された実流量が所定の許容範囲-例えば3リットル/分以内でユーザ設定流量に一致する限り、コントローラ8は流量を許容範囲内にあるものとして特徴付ける-すなわち、実際の計測流量とユーザ設定流量との間に「大きい偏差」はない。計測流量がユーザ設定流量と、設定された基本流量からの3リットル/分又はそれ以上の所定の許容範囲より大きく異なる場合、コントローラ8は、上記の概説と同じような方法でそれを「大きい偏差」と特徴付ける。対照的に、計測流量とユーザ設定流量との差が3リットル/分より小さい場合、それは小さい偏差として特徴付けられる。また、代替的実施形態では、コントローラは、上記の好ましい実施形態の3リットル/分のような実験によって得られる変化ではなく、ユーザ設定流量からの偏差率により動作し得ることも留意すべきである。
【0140】
好ましい実施形態において、コントローラ8にロードされる制御システム又は制御アルゴリズムは、大きい偏差があるのか、又は小さい偏差があるのかに応じて、粗制御と精制御とを切り換えるように設計される。コントローラが流量の大きい偏差又は階段状変化を「確認」した場合、コントローラは粗制御パラメータを使用して流量を使用者による設定流量に戻す。流量がゆっくりと変化している場合、又は流量に小さい偏差がある場合、コントローラ8は精制御パラメータを使用して流量を調整する。
【0141】
ノイズ又はシステムで呼吸する患者に関連したシステム偏差又は計測偏差によって粗制御が作動することを回避するため、使用される実際の計測流量は、瞬間的に計測される流量ではなく、数回の呼吸周期より長い時間にわたる計算された平均流量である。
【0142】
コントローラ8の一部として組み込まれ、且つ加湿療法を受けている使用者に一定流量を供給することを目的としてシステム1(又は100、又は200)上で流量を平滑化する働きをする、事前にロードされた1つ若しくは複数の制御システム(又は1つ若しくは複数の制御アルゴリズム、又はファジー理論ルールセット)が、流量を設定して既知とすることが可能なため、有用である。この流量は、使用されるインタフェース、使用者に対するインタフェースの装着、及び使用者の呼吸の深さとは無関係である。これは、使用者が、例えばシステム200を使用することによりO2療法を受けている場合に特に有用である。例えば集中型気体供給源により提供される(壁吸入口及び導管を介して加湿器チャンバに提供される)O2の流量が既知(流量プローブにより計測される)であり、且つ別個の大気供給源からの流量が既知(別個の流量プローブにより計測されるか、又はコントローラ内のアルゴリズムを用いてシステム寸法(例えばベンチュリ寸法)と計測流量とから計算されるかのいずれか)である場合、コントローラ208にあるルックアップテーブルは、混和された加湿空気中のO2割合を計算することができる。例えば、カニューラインタフェースと気管インタフェースとの空気流の差は、典型的には同じ使用者について5リットル/分以上である。大気及び集中型供給源からの別々の流量が既知である場合、O2割合は、これらのインタフェースのいずれに対してもO2センサを必要とすることなくユーザコントロール11を介して既知の値に設定することができる。また、コントローラ208にフィードバックし、且つインタフェース又は患者の呼吸パターンに関係なく流量を設定する流量センサを有するシステムを有することにより、湿度を本明細書に概説されるとおり厳密に制御することができる。従って、事前設定流量により、呼吸補助システムは、酸素センサ又は湿度センサを必要とすることなく厳密な酸素割合及び湿度を供給することができる。精密な流量制御により、混和された酸素の精密な供給が可能となる。精密な流量制御はまた、患者に供給される気体(例えば混和された酸素)における湿度レベルの精密な制御も可能とする。
【0143】
制御システム300の動作を示す概略図が、
図9に示される。好ましい形態において、コントローラ8(又は108又は208)には制御システム300がロードされる。コントローラ8は、粗制御パラメータ又は大きい偏差制御パラメータとしてP.I.D.フィルタ313からのP.I.D.制御アルゴリズムを使用する。フィルタ313には、「P」すなわち比例部が301として示され、「I」すなわち積分部が302として示され、及び「D」すなわち微分部が303として示される。制御サブシステム又はアルゴリズムにおいて、ファンユニット13が示され、ファンユニット13の下流に流量プローブ61が示される。コントロール11からのユーザ入力が矢印304として示される。制御システム又はサブシステムの出力からフロントエンド又は入力端に戻るフィードバック信号307aが示され、これはユーザ設定流量を示す信号-ユーザ入力304-と共にフィルタ313に送られる(本明細書において語句「ユーザ設定流量」が使用されるとき、ユーザ入力信号304を意味するものと解釈され得ることに留意すべきである)。矢印311はファンユニット13への入力を示し、これはP.I.D.フィルタ313(大きい偏差制御フィルタ313a又は小さい偏差制御フィルタ313bのいずれか)からの出力又は信号である。
【0144】
図9から、フィルタ313は「大きい偏差制御フィルタ」(313a)と「小さい偏差制御フィルタ」(313b)とに分割されることが見て分かる。コントローラ8は、上記に概説されるパラメータに応じて2つのフィルタを切り換える。
【0145】
粗い流量制御又は「大きい偏差」制御は、加熱用プレート温度、又は管の温度、又はその双方を入力として使用することにより実現され得ることに留意すべきである。温度の変化が特定の変化率(大きい偏差)を上回る場合、コントローラは粗制御を開始する。コントローラはまた、加熱用プレート又は加熱用ワイヤ(又はその双方)のパワー又はデューティサイクルを用いてもよく、及びルックアップテーブル、式又はファジー理論アルゴリズムを用いてもよい(この流量制御は、スタンドアロンとして、又はバックアップ制御システムとして用いることができる)。これは酸素療法に対しては正確さが不十分であり得るが、手術用の加湿又は高流量療法(O2なし)において実施できる可能性がある。
【0146】
また、酸素センサ(濃O2空気)からのデータを流量制御のファジー理論に対する入力として使用することもできる(O2%の変化が流量変化に反映され得る)。
【0147】
上記の流量制御方法及びシステムは、以下に記載するとおり、吸息-呼息周期中の流量を制御するようにさらに改良することができる。
【0148】
呼吸内制御
上記の流量制御方法は、平均流量-すなわち複数の呼吸周期(例えば3回以上の吸息-呼息サイクル)にかかるより長い時間にわたる平均の流量に対処するものである。一呼吸(吸息/呼息)を行う間に一定流量を維持するための制御システムを実現することが必要とされている。これを実現し得る好ましい方法を以下に説明する。
【0149】
導管を通る流量は、患者が吸入及び呼出を行うに従い(すなわち単一の呼吸又は呼吸周期の間に)変化し得る。一呼吸を行う間に変化し得る流量のパーセンテージ量は、多くの要因-例えば、管/インタフェースの組み合わせの抵抗性、鼻孔内のカニューラの周りの漏出性又は密閉性及び行われる呼吸の大きさに依存する。導管とカニューラとの組み合わせの抵抗性が極めて高いとき、呼吸を行う間に一定流量を維持するための制御システムは必要でない可能性がある。しかしながら、システム1、100、又は200と共に使用される鼻カニューラなどの抵抗性が低いインタフェースは、制御システムを必要とする可能性が高い-流量の変動は比較的大きいものであり得る。
【0150】
ある場合には、流量の変動が実際には有益となり得る-それにより、使用者が呼吸するために必要な負荷が減少し得るとともに、呼息中の鼻における圧力が、それ以外の場合に一定流量デバイスについてあり得る圧力より低いため、使用者にとってより快適であり得る。別の場合には、管を通じてより一定した流量を有することが有益であり得る。これにより呼息中により高い圧力が得られ、より高いPEEPが生じる。これは、一部の呼吸器疾患の治療に有用且つ有利である。抵抗性が比較的低い管(及び送風器の背圧が低い)については、吸息と呼息との間の流量変化は、例えば5L/分以上と比較的大きいものであり得る。この変化は、ユーザ設定流量が比較的低いとき、より大きくなる。呼吸中の流量の制御は、概して平均流量の制御より困難である。これは、送風器ユニット13の一部として使用されるモータの時間応答が、多くの場合に呼吸速度と同程度であることが理由である。呼吸補助システム1などの呼吸システムがあらゆる動作条件において安定していることを確実にしながらも、十分に速い応答を維持するように注意を払う必要がある。これは、制御パラメータを慎重に選択することによって行われる。例えばP.I.D.システムが用いられる場合、P、I及びDゲインは極めて慎重に設定されなければならない。
【0151】
図10aを参照する以下のとおりの好ましい形態において、呼吸内制御方法が実現される。
【0152】
第一に、流量は、呼吸内変動を捕捉することが可能なレートでサンプリングされる。好ましい実施形態において、このサンプルレートは25Hzの領域にある(例えば20~30Hz-すなわち、流量は流量プローブ61(又は161又は261)によって毎秒20~30回計測される)。呼吸補助システム1の好ましい形態において使用される流量プローブ61は、この応答を実現するのに十分な速さで変化に応答することが可能でなければならない。上記に概説したとおり、P.I.D.制御アルゴリズムが、コントローラ8で使用するために事前にロードされる。「D」すなわち微分項303a又は303bの問題は、小さい計測値又はプロセスノイズが大きい出力変化を引き起こし得ることである。本発明の好ましい形態では、十分に速い応答を確保するため、このフィルタは存在しない。或いは、
図10aに示されるとおり、呼吸内流量変動を減衰なしに、又はほぼ減衰なしに通過させるのに十分な高さのカットオフ周波数を有するローパスフィルタ321が用いられる。これにより精制御システムの応答時間が増加し、従って平均及び呼吸内の双方の変動が補償されるようになる。使用される流量の全範囲にわたり、且つ使用されるあらゆる患者インタフェースに対し、使用者に不快感をもたらし得るオーバーシュート及び揺動のような望ましくない影響が生じないことを確実にする制御フィルタのパラメータの選択が確実に行われるように、注意を払う必要がある。
【0153】
システムはまた、フィルタ321が存在することなしに使用されてもよい。しかしながら、このフィルタを取り除くと、より精密な流量センサを用いる必要があり得る。使用されるゲインは、ノイズが挙動に悪影響を及ぼさないことを確実にするよう十分に小さくしておく必要がある-これにより、結果としてパフォーマンスが理想的ではなくなり、例えば流量が所望するほど一定ではなくなり得る。
【0154】
上記に概説したとおり、コントローラ8は、流量プローブ61から常に入力を受け取ることにより精制御又は粗制御のいずれかを使用し、この流量プローブ61は、好ましい実施形態において、流量を毎秒20~30回サンプリングする。瞬間的な流量を用いることにより、数回の呼吸周期より長い時間にわたる平均流量が、例えばローパスフィルタ320を使用して計算され、ローパスフィルタ320は、ユーザ設定流量又は所望流量からの平均流量の偏差を計算するために用いられる。好ましい実施形態において、計測された平均流量が、例えば3リットル/分より高い事前設定値だけユーザ設定流量又は所望流量と異なる場合、コントローラ8は粗制御パラメータ又は「大きい流量偏差」313aを用いて流量をユーザ設定レベルに調整する。平均流量がその平均と15%の比率だけ、すなわち3リットル/分より大きく偏差している場合、コントローラ8又は108は粗制御を開始する。その他の場合、精制御又は小さい流量偏差313bが用いられる。
【0155】
粗制御中に安定した動作が維持されることを確実にするため、
図10aに示される瞬間的に計測された流量ではなく、フィルタ320の出力を使用して得られた平均流量をコントローラにフィードバックすることができる。
【0156】
変形例又は第2の好ましい形態又は実施形態では、コントローラ8は、
図10bに示されるとおり、信号307a(実流量を示す信号)をローパスフィルタ308及びハイパスフィルタ309に並列に通過させることにより、呼吸周期から生じた流量の変動を補償する。ローパスフィルタは出力信号307bを生成する。ハイパスフィルタ309は出力信号315を生成し、これは補償フィルタ306にフィードバックされる。P.I.Dコントローラからの出力信号311及び補償フィルタ306からの出力信号312aを使用してファンユニット13におけるファンの速度が制御される。これは、平均に対するP.I.D.フィルタ313を呼吸内制御フィルタとは独立して設定することが可能になるという利点を有する。これにより、安定的でロバストな制御システムを設計することがより容易となる。
【0157】
図10bに示されるデュアルフィードバックループにより、平均流量及び呼吸内流量を制御することができる別個のP.I.D.ゲインが可能となる。平均流量の調整に精制御を使用するか、又は粗制御を使用するかについての決定は、先述のとおり、ユーザ設定流量からのローパスフィルタの出力307bの偏差を調べることによって行われる。
【0158】
先行技術のシステムが直面するさらに別の難点は、呼吸補助システムが非線形システムである-システムに対する開ループゲインが呼吸補助システムの状態に伴い変化することである。すなわち、送風器圧力又はモータ速度の所与の変化により、呼吸補助システムの現在の状態に応じた流量の変化が生じ得る。例えば、送風器ユニット3が高い流量条件で動作していて、且つ使用者の呼出によって流量全体がある量だけ変化する場合、この変化を補償するのに必要な圧力又はモータ速度の変化は、送風器ユニット3が低い流量で動作していたならば必要となったであろうものとは異なり得る。これにより安定性に関して問題が生じ、先行技術の制御システムはある流量値又はモータ速度において不安定になる可能性がある。また、呼吸内変動を適切に補償するには応答時間が遅過ぎる状態になり得る可能性もある。これは、応答時間が外乱の応答時間と同様であるシステム、例えば流量の変動速度がファンユニット13の時間応答と同様であるシステムにおいて、特に問題となり得る。
【0159】
これらの影響の解消に役立つよう修正することのできる様々な異なるコントローラがある。一つの方法は、システムの状態に従い変化するパラメータを有する制御フィルタを含むコントローラを使用することである。例えば、P.I.D.コントローラが使用される場合、P、I及びDパラメータは一定ではなく、平均(若しくはさらには瞬間)流量、又は送風器圧力又はモータ速度に従うか、又はユーザ設定流量に従うものであり得る。
【0160】
図11は、これがどのように実現され得るかについての概略図を示す。制御システムは、
図10に示され、且つ上記に説明されるものと同じであるが、流れ発生器又はファンユニット13から補償フィルタ306へのフィードバック信号316が追加されている。従って、この変形例におけるファンユニット13に対する入力信号は、P.I.D.フィルタ313からの出力信号311と、補償フィルタ306からの信号312bとであり得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療目的で加熱加湿気体流を使用者に供給するための呼吸補助システムであって、
吸入口ポートと出口ポートとを有する加湿器ユニットであって、前記加湿器ユニットが、使用時に前記吸入口ポートを介して気体供給源からの気体の流れを受け入れるように構成され、前記加湿器ユニットが、使用時に所定量の水を保持及び加熱するようにさらに構成され、使用時、前記気体の流れは前記加湿器ユニットを通過して加熱及び加湿された状態となり、前記加熱加湿気体は前記加湿器ユニット出口ポートを介して前記加湿器ユニットを出る、加湿器ユニットと、
前記加湿器ユニットを出る気体の温度を計測するように構成された出口ポート温度センサと、
気体の温度を前記気体が前記加湿器ユニットに入る前の場所で計測するように構成された周囲温度センサと、
前記システムを通る前記気体流の実流量を計測するように構成された流量センサと、
前記周囲温度センサからの計測温度に関するデータと、前記出口ポート温度センサからの計測温度に関するデータと、前記流量センサからの前記実流量に関するデータとを受け取るように構成されたコントローラであって、前記コントローラがそれに応じて制御出力を決定し、前記制御出力が前記加湿器ユニットに対するパワーを調整し、それにより前記加湿器ユニット出口ポートにおいて所望出力が実現される、コントローラと、
を含む、呼吸補助システム。
【外国語明細書】