(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103548
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】味改善のためのフレーバリング組成物類
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240725BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20240725BHJP
【FI】
A23L27/00 C
A23L27/20 F
A23L27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083498
(22)【出願日】2024-05-22
(62)【分割の表示】P 2023515348の分割
【原出願日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/072252
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521397201
【氏名又は名称】シムライズ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・キーフル
(72)【発明者】
【氏名】マルギット・リービッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ハルムス
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ・ウィーブッシュ
(72)【発明者】
【氏名】トム・ソマーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ・ペーター・ライ
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、調製物における味特性、好ましくは苦味および渋味を改善することができて、経済的プロセスを用いて商業的に生成可能であり、かつ好ましくは、オフノートを呈さない、フレーバリング組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、エリオシトリン、エリオジクチオール-7-O-グルコシドおよびエリオジクチオール、ならびに随意的にネオエリオシトリンを備えるフレーバリング組成物であって、エリオジクチオールが5重量%~79重量%の量で含有され、好ましくは、ネオエリオシトリンが、存在するならば、0.01重量%~40重量%の量で含有され、好ましくは、エリオシトリンが0.01重量%~40重量%の量で含有され、そして、好ましくは、エリオジクチオール-7-O-グルコシドが0.2重量%~60重量%の量で含有されて、各々が前記フレーバリング組成物の乾燥重量に依存する、フレーバリング組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリオシトリン、エリオジクチオール-7-O-グルコシドおよびエリオジクチオール、ならびに随意的にネオエリオシトリンを備えるフレーバリング組成物であって、
エリオジクチオールが5重量%~79重量%の量、好ましくは30~75wt%の量で含有され、
好ましくは、ネオエリオシトリンが、存在するならば、0.01重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~20重量%の量、好ましくは0.25~10重量%の量で含有され、
好ましくは、エリオシトリンが0.01重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~20重量%の量、好ましくは0.25~10重量%の量で含有され、
そして
好ましくは、エリオジクチオール-7-O-グルコシドが0.2重量%~60重量%の量、好ましくは1~40重量%の量で含有されて、
各々が前記フレーバリング組成物の乾燥重量に依存する、
フレーバリング組成物。
【請求項2】
前記化合物類(A)は、化学的または酵素的加水分解によって天然源から得られる、請求項1に記載のフレーバリング組成物。
【請求項3】
前記化合物類(A)は、グレディシア・カスピア、バラノフォラ・インボルクラータ、バラノフォラ・トビラコラ、クリサンセマム・モリフォリウム、クリサンテルム・インジクム、シトラス種、好ましくはC.ベルガミアおよびC.リモン、ドラコケファルム・ルペストレ、ビスクム・リキダムバリコルム、ビスクム・コロラツム、ビスクム・アルチクラツム、ルシアンタス・ジャポニカ、ロホフィツム・レアンドリ、エルショルツィア・ボディニエリ、ウンベルラリア・カリフォルニカ、リコプス・エウロパエウス、ブッドレア・パルビフローラ、エミニウム・スピクラツム、コレオプシス・ティンクトリア、シクロトリチウルン・ニベウム、アルニカ・ロンギフォリア、カリオプテリス・インカナ、メンタ・アクアチカ、インパチエンス・グランデュリフェラからなる群から選択される植物からの天然源から得られる、請求項1~2のいずれか一項、好ましくは請求項2に記載のフレーバリング組成物。
【請求項4】
前記組成物は、
脂肪族フレーバリング物質類、特に、飽和脂肪族アルコール類、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、2-ヘプタノール、オクタノール(1/2/3)、デカノール、不飽和脂肪族アルコール類、例えば、cis-2ペンテノール、cis-3ヘキセノール、trans-2ヘキセノール、trans-3ヘキセノール、cis-2オクテノール、1-オクテン-3-オール、cis-6ノネン-1-オール、trans-2,cis-6ノナジエノール、芳香族アルデヒド類、例えば、飽和芳香族アルデヒド類(例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ホモエリオジクチオール、ヘキサナール、3-メチルヘキサナール、オクタナール、ノナナール)、あるいは、モノまたはマルチ不飽和芳香族アルデヒド類、例えば、2-メチルブタ-2-エナール、trans-2ヘキセナール、cis-3ヘキセナール、cis-4ヘキセナール、trans-2オクテナール、trans-2ノネナール、cis-6ノネナール、trans-2,cis-6ノナジエナール、trans-2デセナール、trans-2,trans-デカジエナール、脂肪族ケトン類、例えば、飽和ケトン類(例えば、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-メチルヘプタン-3-オン、2-デカノン、2-ウンデカノン)、不飽和ケトン類(例えば、1-ペンテン-3-オン、1-ヘキセン-3-オン、5-メチル-3-ヘキセノン、3-ヘプテン-2-オン、1-オクテン-3-オン、2-オクテン-4-オン、3-オクテン-2-オン、3-ノネン-2-オン)、脂肪族ジケトン類および脂肪族ジケトール類、例えば、ジアセチル、アセチルメチルカルビノール、2,3-ヘキサンジオン、脂肪族酸類、例えば、直鎖型飽和酸類、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、分岐型飽和酸類、例えば、2-メチルヘプタン酸、4-エチルオクタン酸、ならびに不飽和酸類、例えば、2-ブテン酸、2-ペンテン酸、4-ペンテン酸、2-メチルペンテン酸、trans-3ヘキセン酸、cis-3ヘキセン酸、3-オクテン酸、リノール酸)、脂肪族エステル類、例えば、飽和エステル類、例えば、メチルアセータート、メチルブチラート、メチル-2-メチルブチラート、メチルヘキサノアート、エチルアセタート、エチルブチラート、エチル-2-メチルブチラート、エチル-3-メチルブチラート、エチルヘキサノアート、エチルデカノアート、イソプロピルアセタート、イソブチルアセタート、イソブチルバレラート、イソアミルアセタート、イソアミルブチラート、イソアミルイソバレラート、ヘキシルアセタート、ヘキシルヘキサノアート、3-オクチルアセタート、および不飽和エステル類、例えば、メチル2-ヘキセノアート、アリルヘキサノアート、cis-3ヘキセニルアセタート、cis-3ヘキセニルブチラート、脂肪族チオール類およびジチオール類(例えば、プロパンチオール、アリルメルカプタン、1-メトキシ-3-ジメチルブタン-3-チオール、ジメチルスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジアリルトリスルフィド、他の脂肪族硫黄化合物類、例えば、2-メルカプト-3-ブタノール、メチルチオプロパナール、3-メルカプト-ペンタノン、4-メトキシ-2-メチル-2-メルカプトブタノン、メチルチオブチラート、メチルチオブチラート、メチル3-メチルチオプロピオナート、脂肪族窒素化合物類、例えば、ブチルアミン、トリメチルアミン、アリルイソチオシアナート、イソプロピルイソチオシアナート、脂環式化合物類、例えば、脂環式ケトン類、例えば、cis-ジャスモン、イソホロン、4-ケトイソホロン、脂環式エステル類、例えば、メチルジャスモナート、ヘジオン、テルペン類、例えば、テルペンアルコール類、例えば、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、αテルピネオール、メントール、8-p-メンテン-1,2-ジオール、フェンコール、ボルネオール、ネロリドール、ホトリエノール、テルペンアルデヒド類、例えば、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、β-シネンサール、テルペンケトン類、例えば、α-イオノン、(D)-カルボン、(L)-カルボン、ノートカトン、ピペリトン、メントン、αダマスコン、βダマシン、ダマセノン、テルペンエステル類、例えば、リナリルアセタート、ゲラニルアセタート、シトロネリルアセタート、カルビルアセタート、フェンキルアセタート、テルペン硫黄化合物類、4-メンタ-8-チオール-3-オン、チオゲラニオール、パラ-メンタ-1-エン-8-チオール、メルカプトp-メンタン-3-オン、テルペン炭化水素類、例えば、D-リモネン、L-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、オシメン、α-テルピネン、γ-テルピネン、β-ビサボレン、バレンセン、テルペンオキシド類、例えば、1,8-シネオール、ローズオキシド、ミントラクトン、メントフラン、芳香族化合物類、例えば、芳香族アルコール類、例えば、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、2-フェニルアルコール、芳香族アルデヒド類、例えば、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、5-メチル-2-フェニルヘキセナール、サリチルアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒド、2-フェニル-2-ブテナール、芳香族酸類、例えば、2-フェニル酢酸、けい皮酸、芳香族エステル類、例えば、ベンジルアセタート、ベンジルサリチラート、アニシルアセタート、メチルフェニルアセタート、メチルベンゾアート、メチルサリチラート、メチルシンナマート、芳香族フェノール類、例えば、フェノール、オルト-クレゾール、パラ-クレゾール、2,3-ジメチルフェニル、2-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、4-ビニールフェノール、グアイアコール、4-ビニルグアイアコール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、芳香族硫黄化合物類、例えば、チオフェノール、ジフェニルジスルフィド、芳香族窒素化合物類、例えば、メチルアントラニラート、メチルN-メチルアントラニラート、芳香族エーテル類、例えば、バニリン、エチルバニリン、アネトール、芳香族オキシド類、例えば、ヘリオトロピン、ジフェニルオキシド、芳香族ラクトン類、例えば、クマリン、ジヒドロクマリン、複素環化合物類、例えば、複素環ラクトン類、例えば、γブチロラクトン、γ-ノナラクトン、γデカラクトン、δデカラクトン、ジャスミンラクトン、δドデカラクトン、アンブレットリド、複素環フラン類、例えば、フルフリルアルコール、フルフラール、2-アセチルフラン、テアスピラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、フルフリルメルカプタン、2-メチル3-フランチオール、2-メチル3-テトラヒドロフランチオール、ジフルフリルスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、複素環ピラン類、例えば、マルトール、エチルマルトール、ローズオキシド、マルトールイソブチラート、複素環ピロール類、例えば、インドール、2-アセチルピロール、ピロリジン、複素環ピラジン類、例えば、2-メチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-メチル3-エチルピラジン、トリメチルピラジン、2-アセチルピラジン、2-メトキシ3-メチルピラジン、2-メトキシ3-エチルピラジン、2-メトキシ3-イソブチルピラジン、2-エチル3-メチルチオピラジン、複素環チアゾール類、例えば、チアゾール、2-メチルチアゾール、4-メチル5-ビニルチアゾール、2-イソブチルチアゾール、2-アセチルチアゾール、
フレーバリング原材料類およびフレーバリング調製物類、例えば、原材料類、例えば、シトラス(例えば、レモン、ライム、マンダリン、ベルガモット、グレープフルーツ、ビターオレンジ、ピールまたは精油類)、ハーブ類(ディル、パセリ、クミン、ローズマリー、セージ、クラリセージ、バジル、タラゴン、タイム、オレガノ、セイボリー、マジョラム、すべてのスパイス、メース、ナツメグ、クローブリーフ、クローブバッド、キャラウェイ、シナモンリーフ、シナモンバーク、カッシア、カルダモン、ジンジャー、ガランガル、ターメリック、コリアンダーシード、コリアンダーリーフ、フェヌグリーク、ジュニパーベリー、ワームウッド、ローレルリーフ、ユーカリ、ホワイトペッパー、グリーンペッパー、ホワイトペッパー、キャロットシード、セロリシード、ラベージリーフ、アサフェティダ、オニオン、ニラ、ニンニク、マスタード、セイヨウワサビ、ピーマン、パプリカ、海草、バレリアン油、ファーニードル、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、ブチューリーフ、ブラックカラントバッド、フェンネル、スターアニス、ジャンブ、ロングペッパー、ダバナ、オリス、ミモザ、カシー、バイオレットリーフ、ホーリーフ、ジャスミン、イランイラン、カナンガ、オスマンサス、アンゼリカ、クラリセージ、アンブレットシード、ホップ、カモミル、ラベンダー、ローズ、ゼラニウム、シトロネラ、パルマローザ、リツエアクベバ、レモングラス、タゲテス、ネロリ、プチグレイン、マテ、コニャック油、コーヒー、コーラナッツ、ココア、グリーンティー、ブラックティー、ホワイトティー、ゲンチアナ、トゥルーバーム、ベンゾエ樹脂、ペルーバーム、カスカリラ、ガルバナム、ベチバー、ラブダナム、パチョリ、サンダルウッド、シダーウッド、ガイアックウッド、オークウッド、マッソイバーク、バニラポッド、トンカビーンからの精油類、コンクリート類、アブソリュート類、エキストラクトまたはチンクチュア類、ならびにそれらの濃縮留分類、
ジュース濃縮物類、例えば、原材料類、例えば、シトラス(レモン、ライム、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ)、リンゴ、セイヨウナシ、マルメロ、セイヨウカリン、赤いフルーツ類(ラズベリー、ストロベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、アメランキア(ジューンプラム)、ローズヒップ、クランベリー、プラム、プルーン、レッドおよびブラックカラントなど)、黄色いフルーツ類(モモ、アプリコット、ネクタリン、バナナなど)、熱帯フルーツ類(マンゴー、パッションフルーツ、パイナップル、ライチなど)、野菜類(例えば、キュウリ、トマト)およびスパイス類(例えば、ショウガ)からのオレンジジュース、レモンジュース、イチゴ、チェリージュース、またはパッションフルーツジュース濃縮物類、水相および回収物、
アセトフェノン、アリルカプロアート、α-イオノン、β-イオノン、アニスアルデヒド、アニシルアセタート、アニシルホルマート、ベンズアルデヒド、ベンゾチアゾール、ベンジルアセタート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、β-イオノン、ブチルブチラート、ブチルカプロアート、ブチリデンフタリド、カルボン、カンフェン、カリオフィレン、シネオール、シンナミルアセタート、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、シトロネリルアセタート、シクロヘキシルアセタート、シメン、ダマスコン、デカラクトン、ジヒドロクマリン、ジメチルアントラニラート、ドデカラクトン、エトキシエチルアセタート、エチル酪酸、エチルブチラート、エチルカプラート、エチルカプロアート、エチルクロトナート、エチルフラネオール、エチルグアイアコール、エチルイソブチラート、エチルイソバレラート、エチルラクタート、エチルメチルブチラート、エチルプロピオナート、オイカリプトール、オイゲノール、エチルヘプチラート、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、γ-デカラクトン、ゲラニオール、ゲラニルアセタート、ゲラニルアセタート、グレープフルーツアルデヒド、メチルジヒドロジャスモナート(例えば、Hedion(登録商標))、ヘリオトロピノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、trans-2-ヘプテナール、cis-4-ヘプテナール、trans-2-ヘキセナール、cis-3-ヘキセノール、trans-2-ヘキセン酸、trans-3-ヘキセン酸、cis-2-ヘキセニルアセタート、cis-3-ヘキセニルアセタート、cis-3-ヘキセニルカプロアート、trans-2-ヘキセニルカプロアート、cis-3-ヘキセニルホルマート、cis-2-ヘキシルアセタート、cis-3-ヘキシルアセタート、trans-2-ヘキシルアセタート、cis-3-ヘキシルホルマート、パラ-ヒドロキシベンジルアセトン、イソアミルアルコール、イソアミルイソバレラート、イソブチルブチラート、イソブチルアルデヒド、イソオイゲノールメチルエーテル、イソプロピルメチルチアゾール、ラウリン酸、レブリン酸、リナロール、リナロールオキシド、リナリルアセタート、メントール、メントフラン、メチルアントラニラート、メチルブタノール、メチル酪酸、2-メチルブチルアセタート、メチルカプロアート、メチルシンナマート、5-メチルフルフラール、3,2,2-メチルシクロペンテノロン、6,5,2-メチルヘプテノン、メチルジヒドロジャスモナート、メチルジャスモナート、2-メチルメチルブチラート、2-メチル-2-ペンテノール酸、メチルチオブチラート、3,1-チルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセタート、ネロール、ネロールアセタート、trans,trans-2,4-ノナジエナール、2,4-ノナジエノール、2,6-ノナジエノール、2,4-ノナジエノール、ノートカトン、δーオクタラクトン、γーオクタラクトン、2-オクタノール、3-オクタノール、1,3-オクテノール、1-オクチルアセタート、3-オクチルアセタート、パルミチン酸、パラアルデヒド、フェランドレン、ペンタンジオン、フェネチルアセタート、フェネチルアルコール、フェネチルイソバレラート、ピペロナール、プロピオンアルデヒド、プロピルブチラート、プレゴン、プレゴール、シネンサール、スルフロール、テルピネン、テルピネオール、テルピノレン、8,3-sチオメンタノン、4,4,2-チオメチルペンタノン、チモール、δ-ウンデカラクトン、γ-ウンデカラクトン、バレンセン、吉草酸、バニリン、アセトイン、エチルバニリン、エチルバニリンイソブチラート(=3-エトキシ-4-イソブチリルオキシベンズアルデヒド)、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよびその誘導体類(ここでは好ましくは、ホモフラネオール(=2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン)、ホモフロノール(=2-エチル-5-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよび5-エチル-2-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)、マルトールおよびマルトール誘導体類(ここでは好ましくは、エチルマルトール)、クマリンおよびクマリン誘導体類、γ-ラクトン類(ここでは好ましくは、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン)、δ-ラクトン類(ここでは好ましくは、4-メチル-δ-デカラクトン、マッソイラクトン、δ-デカラクトン、ツベロラクン)、メチルソルバート、ジバニリン、4-ヒドロキシ-2(または5)-エチル-5(または2)-メチル-3(2H)フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、酢酸イソアミルエステル、酪酸エチルエステル、酪酸-n-ブチルエステル、酪酸イソアミルエステル、3-メチル-酪酸エチルエステル、n-ヘキサン酸エチルエステル、n-ヘキサン酸アリルエステル、n-ヘキサン酸-n-ブチルエステル、n-オクタン酸エチルエステル、エチル-3-メチル-3-フェニルグリシダート、エチル-2-trans-4-cis-デカジエノアート、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキサン、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アルおよびフェニルアセトアルデヒド、2-メチル-3-(メチルチオ)フラン、2-メチル-3-フランチオール、ビス(2-メチル-3-フリル)ジスルフィド、フルフリルメルカプタン、メチオナール、2-アセチル-2-チアゾリン、3-メルカプト-2-ペンタノン、2,5-メチル-3-フランチオール、2,4,5-トリメチルチアゾール、2-アセチルチアゾール、2,4-ジメチル-5-エチルチアゾール、2-アセチル-1-ピロリン、2-メチル-3-エチルピラジン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2-エチル-3,6-ジメチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、3-イソプロピル-2-メトキシピラジン、3-イソブチル-2-メトキシピラジン、2-アセチルピラジン、2-ペンチルピリジン、(E,E)-2,4-デカジエナール、(E,E)-2,4-ノナジエナール、(E)-2-オクテナール、(E)-2-ノネナール、2-ウンデセナール、12-メチルトリデカナール、1-ペンテン-3-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、グアイアコール、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、3-ヒドロキシ-4-メチル-5-エチル-2(5H)-フラノン、シンナムアルデヒド、シンナミルアルコール、メチルサリチラート、イソプレゴール、およびこれらの物質類の(ここでは明示的に述べられない)立体異性体類、鏡像異性体類、位置異性体類、ジアステレオマー類、cis/trans異性体類またはエピマー類
からなる群から選択される少なくとも1つの追加のフレーバリング物質を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のフレーバリング組成物。
【請求項5】
前記組成物は、
天然甘味料類、好ましくは、植物抽出物類、例えば、甘味炭水化物類(例えば、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メレジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、D-アルロース、マルトデキストリン)、糖アルコール類(例えば、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチトール、デュルシトール、ラクチトール)、タンパク質類(例えば、ミラクリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリン)、D-アミノ酸類(例えば、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン)、あるいはこれらのアミノ酸類および/またはタンパク質類を含有する天然源から得られる抽出物類もしくは留分類、ならびにこれらのアミノ酸類および/またはタンパク質類の生理的に許容可能な塩類、特に、それらのナトリウム、カリウム、カルシウムまたはアンモニウム塩類、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユノシド1、バイユノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、フロレチン、フィロズルシン、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスラジン、ポリポドシドA、ストロギン1、ストロギン2、ストロギン4、セリグエアニンA、ジヒドロクエルセチン-3-アセタート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI-V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノズルコシド、カルノシフロシド、ヘスペレチン、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド類、例えば、モグロシドV、ヘルナンズルシン、モナチン、グリシルレチン酸およびとその誘導体類、特に、グリチルリチン、好ましくは、グリチルリチンアンモニウム塩、抽出物類またはかかる抽出物類の濃縮留分類、例えば、タウマトコックスまたはステビア亜種、特に、ステビア・レバウディアナの抽出物類、スウィングル抽出物類、特に、モモルディカもしくは羅漢果またはLuo-Han-Guo、グルシリザ亜種、特に、グルシリジア・グラブラの抽出物類、ハイドランジア・マクロフィラ亜種、特に、ハイドランジア・マクロフィラ・セラタの抽出物類、ルブス亜種、特に、ルブス・スアウィッシムスの抽出物類、リピア・デュルキスの抽出物類、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを備える、ミセチア・バランサエの抽出物類を含む、天然に発生する甘味物質類、
合成甘味料類、好ましくは、マガップ、ナトリウムシクラマートまたはシクラミン酸の他の生理的に許容可能な塩類、アセスルファムK、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム、スーパーアスパルタム、ネオタム、アリタム、アドバンタム、ペリラルチン、スクラロース、ラグドゥネーム、カレラーム、スクロノネートもしくはスクロオクテートまたはそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される、合成甘味物質類
からなる群から選択される少なくとも1つの甘味物質を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のフレーバリング組成物。
【請求項6】
調製物における/調製物の少なくとも1つの望まれない味特性をマスキングするおよび/または低減するためのフレーバリング組成物の使用であって、好ましくは、前記少なくとも1つの望まれない味特性は、苦さ、渋さ、金属的な味、酸っぱい、発酵された、エンドウ豆のようなおよびイースティーからなる群から選択され、
好ましくは、前記フレーバリング組成物は、前記調製物の総重量によって、0.05重量%の量で、より好ましくは0.02重量%の量で、および特に好ましくは0.001重量%~0.01重量%の量で用いられる、
請求項1~5のいずれか一項に記載のフレーバリング組成物の使用。
【請求項7】
前記調製物は、消費に適した調製物類、好ましくは食糧、楽しみのための調製物類、飲料類、半完成品類および口腔衛生製品類からなる群から選択される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
調製物における/調製物の少なくとも1つの望まれない味特性をマスキングするおよび/または低減するための方法であって、
a)好ましくは、消費に適した調製物類、好ましくは食糧、楽しみのための調製物類、飲料類、半完成品類および口腔衛生製品類からなる群から選択される、少なくとも1つの調製物を提供するステップと、
b)請求項1~5のいずれか一項に記載のフレーバリング組成物を提供するステップと、
c)ステップa)において提供された前記調製物とステップb)において提供された前記フレーバリング組成物とを接触させて混合するステップと、
d)改善された味をもつ調製物を得るステップと
を含むか、またはそれらからなる、方法。
【請求項9】
(i)グレディシア・カスピア、バラノフォラ・インボルクラータ、バラノフォラ・トビラコラ、クリサンセマム・モリフォリウム、クリサンテルム・インジクム、シトラス種、好ましくはC.ベルガミアおよびC.リモン、ドラコケファルム・ルペストレ、ビスクム・リキダムバリコルム、ビスクム・コロラツム、ビスクム・アルチクラツム、ルシアンタス・ジャポニカ、ロホフィツム・レアンドリ、エルショルツィア・ボディニエリ、ウンベルラリア・カリフォルニカ、リコプス・エウロパエウス、ブッドレア・パルビフローラ、エミニウム・スピクラツム、コレオプシス・ティンクトリア、シクロトリチウルン・ニベウム、アルニカ・ロンギフォリア、カリオプテリス・インカナ、メンタ・アクアチカ、インパチエンス・グランデュリフェラからなる群から選択される前記植物類のうちの少なくとも1つからの天然抽出物を提供するステップと、
(ii)少なくとも1つのヒドロラーゼを提供するステップと、
(iii)ステップ(i)において提供された前記天然抽出物をステップii)において提供された前記少なくとも1つのヒドロラーゼと混合するステップと、
(iv)ステップiii)において得られた前記混合物を20~60℃の、好ましくは40~60℃の範囲内の温度において、
随意的に、攪拌のもとで0.5~48時間の、好ましくは2~24時間の、好ましくは4~12時間の継続時間にわたってインキュベートするステップと、
(v)請求項1~3のいずれか一項に記載のフレーバリング組成物を得るステップと、
(vi)随意的に:前記得られたステップ(v)のフレーバリング組成物を精製するステップと、
および随意的に:
(vii)好ましくは請求項4および5に定義されるような、前記フレーバリング組成物に追加のフレーバリングおよび/または甘味物質類を添加するステップと、
(viii)請求項1~5のいずれか一項に記載の、好ましくは請求項4または請求項5に記載のフレーバリング組成物を得るステップと
を含むか、またはそれらからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のフレーバリング組成物を製造するための方法。
【請求項10】
(i)グレディシア・カスピア、バラノフォラ・インボルクラータ、バラノフォラ・トビラコラ、クリサンセマム・モリフォリウム、クリサンテルム・インジクム、シトラス種、好ましくはC.ベルガミアおよびC.リモン、ドラコケファルム・ルペストレ、ビスクム・リキダムバリコルム、ビスクム・コロラツム、ビスクム・アルチクラツム、ルシアンタス・ジャポニカ、ロホフィツム・レアンドリ、エルショルツィア・ボディニエリ、ウンベルラリア・カリフォルニカ、リコプス・エウロパエウス、ブッドレア・パルビフローラ、エミニウム・スピクラツム、コレオプシス・ティンクトリア、シクロトリチウルン・ニベウム、アルニカ・ロンギフォリア、カリオプテリス・インカナ、メンタ・アクアチカ、インパチエンス・グランデュリフェラからなる群から選択される前記植物類のうちの少なくとも1つからの天然抽出物を提供するステップと、
(ii)少なくとも1つの天然の不揮発性有機酸、好ましくは、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される酸を提供するステップと、
(iii)ステップ(i)において提供された前記天然抽出物をステップii)において提供された前記少なくとも1つの天然の不揮発性有機酸と混合するステップと、
(iv)ステップiii)において得られた前記混合物を100~160℃の、好ましくは110~150℃の範囲内の温度において、4~48時間の、好ましくは8~40時間の、好ましくは12~36時間の継続時間にわたってインキュベートするステップと、
(v)請求項1~3のいずれか一項に記載のフレーバリング組成物を得るステップと、
(vi)随意的に:前記得られたステップ(v)のフレーバリング組成物を精製するステップと、
および随意的に:
(vii)好ましくは請求項4および5に定義されるような、前記フレーバリング組成物に追加のフレーバリングおよび/または甘味物質類を添加するステップと、
(viii)請求項1~5のいずれか一項に記載の、好ましくは請求項4または請求項5に記載のフレーバリング組成物を得るステップと
を含むか、またはそれらからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のフレーバリング組成物を製造するための方法。
【請求項11】
ステップ(i)において提供される前記天然抽出物は、好ましくは、C.ベルガミアおよびC.リモンから選択される、シトラス抽出物である、請求項9または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(ii)において提供される前記ヒドロラーゼは、グルコシダーゼまたはラムノシダーゼである、請求項9または11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか一項に記載の方法によって得られる、または得ることが可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載のフレーバリング組成物。
【請求項14】
前記使用されるフレーバリング組成物は、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法によって得られる、または得ることが可能である、請求項6または7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記提供されるフレーバリング組成物は、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法によって得られる、または得ることが可能である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味改善のためのエリオシトリン、エリオジクチオール-7-O-グルコシドおよびエリオジクチオールを備えるフレーバリング組成物類に関する。さらに、本発明は、かかるフレーバリング組成物類を生成するための方法だけでなく、味改善のためのそれらの使用ならびに調製物における味特性を改善するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
食品、飲料類または衛生製品類のような調製物類において味特性を改善するための新しい物質類または組成物類に対するニーズは、絶えず高い。不快な味を有する、様々な物質類、例えば、苦い物質類、酸味が強い物質類および渋い物質類が食品および飲料類中に存在する可能性があり、これらは、一方では、適度に望ましく、特徴的である(例えば、ティーまたはコーヒー中のカフェイン、赤ワインまたはグリーンティー中のタンニン類、いわゆるビターレモン飲料類中のキニーネ、豆乳中のサポニン類もしくはイソフラボノイド類またはそれらのグリコシド類、ビール中のホップ抽出物類、甘いフルーツジュース類中のフルーツ酸類または可食性酸類)。しかし他方では、価値を大きく低減しかねない。不快な味は、しばしば不快なにおいによってさらに強められ、例えば、苦くて渋い味をしばしば有する、豆乳では、「豆くさい」と一般に記述される注釈が、不快であるとも記述される。
【0003】
苦味は、往々にして、特定の物質類によってもたらされ、それらが(舌上のいわゆる味蕾に見られる)味細胞上の特別の苦味受容体類に結合し、神経化学的なカスケードを介して、信号を脳へ送り、脳が防御応答およびネガティブな味印象を生じさせる(非特許文献1参照)。
【0004】
渋味は、収れん剤類、例えば、金属塩またはタンニン類による唾液中のプロリンに富んだタンパク質の沈殿によってもたらされる。「潤滑剤」としての役割を果たす通常は均質な唾液が、その際には変性タンパク質を含有し、それが潤滑性を低下させて、その結果、渋いとしても経験される、ざらざらした、または乾いた感覚を口中に残す(非特許文献2)。
【0005】
酸味は、プロトン酸によってもたらされる。いわゆる滴定プロトン濃度がそのときには酸っぱい印象に対してpHよりも決定的であり、例えば、リンゴ酸溶液と同じpHをもつ塩酸溶液は、比較したときにはるかに酸味の少ない味がする。一般に、嫌な酸味は、甘いフレーバリング材料類、主として砂糖と組み合わせることによって、あるいはさらに塩っぱい味がする物質類、主として塩化ナトリウムによってかなり和らげられるが、一方で酸味は、苦いかまたは渋い味がする物質類によってずっとより不快であると知覚される。
【0006】
これらの味印象を修正するための知られた味調節物質類にエリオジクチオールおよびホモエリオジクチオールがある。エリオジクチオールの苦味マスキング活性は、特許文献1に最初に記載された。ここでは、エリオジクチオールのための供給源としてエリオディクチオン・カリフォルニカム(Eriodictyon californicum)が指定された。この出願は、エリオジクチオールが得られるであろう製造についても、または天然源についても情報を開示しない。また、エリオジクチオールが他の味調節物質類と共存する場合にそれがどのような効果を有するかは記載されていない。
【0007】
エリオジクチオールは、フラバノンである。フラバノン類は、特許文献2に記載されるように、一般に、それぞれのフラバノングリコシド類の有機酸触媒加水分解によって得ることができる。しかしながら、この出願は、容易に回収できる、ヘスペリジンおよびフロリジンなどの90%以上純粋な成分類の加水分解を開示するに過ぎない。しかしながら、純度のより低い材料類の加水分解およびその精製については情報が開示されなかった。純度のより低い材料類の加水分解が生成物にフェノールのようなオフノートを付与する望ましくない副成分類を形成することは、よく知られている。従って、開示される方法は、天然源からエリオジクチオールを経済的に生成するための方法を教示しない。
【0008】
特許文献3は、抗酸化物類および抗炎症剤類としての使用のためにレモンから作られた、エリオシトリンおよびエリオジクチオールに富んだ組成物類を記載する。この組成物の味調節特性について、ならびに製造プロセスについて情報は開示されない。
【0009】
特許文献4は、溶媒抽出とそれに続くポリマー樹脂上の吸着によって、シトラスフルーツからエリオシトリンに富んだ抽出物類を得るための方法を記載する。しかしながら、得られた生成物は、中国植物薬のようなにおいを示した。ポリフェノールを含む材料類が、プロセスおよび貯蔵条件によっては、オフノートおよび褐変を示すことは、よく知られている。この出願は、オフノートのないレモン抽出物を生成するためのプロセスもまたは味調節機能性を付与するためのプロセスもいずれも開示しない。
【0010】
特許文献5は、溶媒抽出とそれに続く樹脂吸着によって、シトラスフルーツからエリオシトリンに富んだ抽出物を得るためのプロセスを記載する。この特許出願の発明者らは、フェノールホルムアルデヒトで修飾された樹脂を用いることによってポリマー樹脂を用いたときのオフノート問題に対処している。ここではエリオシトリンが、表面上へ物理的にだけでなく、塩基性アミノ基および弱酸性フェノール基類に起因するイオン交換によって化学的にも吸着される。オフノートは、このプロセスによって低減された。しかしながら、この発明は、エリオシトリンより活性な化合物類を含有する本発明による味調節組成物を開示しない。
【0011】
特許文献6は、エリオジクチオールおよびエリオシトリンを備える組成物類を記載する。しかしながら、苦味マスキングに対する(相乗的な)効果は、記載されていない。
【0012】
特許文献7は、エリオシトリンおよびネオエリオシトリンを備える組成物類を記載する。しかしながら、組成物は、炎症および/またはメタボリック症候群を処置するための医療目的を対象とする。苦味マスキングに対する(相乗的な)効果は、記載されていない。
【0013】
非特許文献3は、ベルガモットピール中のエリオシトリンおよびネオエリオシトリンを記載する。しかしながら、苦味マスキングに対する(相乗的な)効果は、記載されていない。
【0014】
特許文献8は、食品および飲料組成物類における苦味マスキング剤としてのエリオジクチオールおよび/またはホモエリオジクチオールの使用を記載する。しかしながら、エリオジクチオールの苦味マスキング効果の相乗的な改善は、記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州公開特許第1258200A2号
【特許文献2】欧州公開特許第2017272A2号
【特許文献3】米国登録特許第10596185B2号
【特許文献4】日本公開特許2000217560A
【特許文献5】欧州公開特許第2223930A1号
【特許文献6】欧州公開特許第1783193A1号
【特許文献7】米国公開特許第2017/0014439A1号
【特許文献8】欧州公開特許第2756765A1号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】ウォルフガング・マイヤーホフ(Wolfgang Meyerhof),「生理学、生化学および薬理学レビュー(Reviews of Physiology,Biochemistry and Pharmacology)2005,154,p.37-72
【非特許文献2】イザベル・レッシャーブ(Isabelle Lesschaeve)、アン・C・ノーブル(Ann C.Noble),American Journal of Clinical Nutrition 2005,81,p.330S-335S
【非特許文献3】マンダラリ(Mandalari)ら、「ベルガモット(シトラス・ベルガミア・リッソ (Citrus bergamia Risso))ピールからのフラボノイド類およびペクチン類、精油抽出の主要副生成物のキャラクタリゼーション(Characterization of Flavonoids and Pectins from Bergamot (Citrus bergamia Risso) Peel, a Major Byproduct of Essential Oil Extraction),JOURNAL OF AGRICULTURAL AND FOOD CHEMISTRY,vol.54,no.1,p.14 2005年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の主要な目的は、調製物における味特性、好ましくは苦味および渋味を改善することができて、経済的プロセスを用いて商業的に生成可能であり、かつ好ましくは、オフノートを呈さない、フレーバリング組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、主として、本発明の第1の態様において、エリオシトリン、エリオジクチオール-7-O-グルコシドおよびエリオジクチオール、ならびに随意的にネオエリオシトリンを備えるフレーバリング組成物を提供することによって解決された。ここで
ネオエリオシトリンが、存在するならば、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量で含有され、
エリオシトリンが0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量で含有され、
エリオジクチオール-7-O-グルコシドが0.2重量%~60重量%の量、好ましくは1~40重量%の量で含有されて、
エリオジクチオールが5重量%~79重量%の量、好ましくは10~77重量%の量、好ましくは20~76重量%の量、好ましくは30~75重量%の量で含有され、各々がフレーバリング組成物の乾燥重量に依存する。
【0019】
上記のすべての重量百分率は、フレーバリング組成物の乾燥重量に基づく。これは、重量百分率を決定するときに水または溶媒類が除外されることを意味する。従って、好ましくは、乾燥重量は、乾燥重量が決定されるべき組成物の総重量から水分含有量を差し引くことによって測定される。好ましくは、水分含有量は、カール・フィッシャー滴定、乾燥減量法によって、またはハロゲン水分分析器によって決定される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態において、フレーバリング組成物は、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のネオエリオシトリン、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のエリオシトリン、0.2重量%~60重量%の量、好ましくは1~40重量%の量のエリオジクチオール-7-O-グルコシド、および5重量%~90重量%の量、好ましくは30~80重量%の量のエリオジクチオールを備える。
【0021】
本発明の別の実施形態において、フレーバリング組成物は、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10%の量のネオエリオシトリン、および0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のエリオシトリンを備える。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態において、フレーバリング組成物は、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のネオエリオシトリン、および0.2重量%~60重量%の量、好ましくは1~40重量%の量のエリオジクチオール-7-O-グルコシドを備える。
【0023】
本発明の一実施形態において、フレーバリング組成物は、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のネオエリオシトリン、および5重量%~90重量%の量、好ましくは30~80重量%の量のエリオジクチオールを備える。
【0024】
本発明の別の実施形態において、フレーバリング組成物は、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のエリオシトリン、および0.2重量%~60重量%の量、好ましくは1~40重量%の量のエリオジクチオール-7-O-グルコシドを備える。
【0025】
本発明の別の実施形態において、フレーバリング組成物は、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のエリオシトリン、および5重量%~90重量%の量、好ましくは30~80重量%の量のエリオジクチオールを備える。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態において、フレーバリング組成物は、0.2重量%~60重量%の量、好ましくは1~40重量%の量のエリオジクチオール-7-O-グルコシド、および5重量%~90重量%の量、好ましくは30~80重量%の量のエリオジクチオールを備える。
【0027】
本発明の一実施形態において、フレーバリング組成物は、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のネオエリオシトリン、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のエリオシトリン、および0.2重量%~60重量%の量、好ましくは1~40重量%の量のエリオジクチオール-7-O-グルコシドを備える。
【0028】
本発明の特に好ましい実施形態において、フレーバリング組成物は、0.1重量%~40重量%の量、好ましくは0.1~10重量%の量のエリオシトリン、0.2重量%~60重量%の量、好ましくは1~40重量%の量のエリオジクチオール-7-O-グルコシド、および5重量%~90重量%の量、好ましくは30~80重量%の量のエリオジクチオールを備える。
【0029】
本発明の別の実施形態において、フレーバリング組成物は、0.1重量%~40重量%、好ましくは0.1~10重量%のネオエリオシトリン、0.2重量%~60重量%、好ましくは1~40重量%のエリオジクチオール-7-O-グルコシド、および5重量%~90重量%、好ましくは30~80重量%のエリオジクチオールを備える。
【0030】
ネオエリオシトリン(I)は、フラバノン エリオジクチオールと、二糖 ネオヘスペリドース(2-O-(α-L-ラムノピラノシル)-β-D-グルコピラノシド)との7-O-グリコシドである。用語「ネオ」は、グリコシル部分を指す。
【0031】
【0032】
エリオシトリン(II)は、グリコシド結合を介して7位においてルチノース 6-O-(α-L-ラムノピラノシル)-β-D-グルコピラノシル部分によって置換されたエリオジクチオールからなるエリオジクチオールの二糖誘導体である。本質的に、エリオシトリンは、抗酸化剤としての役割を有する。
【0033】
【0034】
エリオジクチオール-7-O-グルコシド(III)は、C7位において炭水化物部分にO-グリコシド結合されたフラボノイド部分をもつエリオジクチオールの誘導体である。
【0035】
【0036】
エリオジクチオール(IV)は、ヤーバサンタ(yerba santa)(エリオディクチオン・カリフォルニカム)から抽出されたそれぞれ5,7,3’および4’位においてヒドロキシ基によって置換されたフラバノンである。
【0037】
【0038】
驚くべきことに見出されたのは、本発明によるフレーバリング組成物が、かかる組み合わせにおいて、ある一定の味特性類を相乗的に改善し、好ましくは、調製物類における、苦さ、渋さ、金属的な、酸っぱい、発酵された、エンドウ豆のようなおよびイースティーな味を、それぞれネオエリオシトリン、エリオシトリン、エリオジクチオール-7-O-グルコシドによって、およびエリオジクチオール単独で伝えられる味改善よりもずっと強くマスキングすることが可能なことである。
【0039】
物質の名称と構造式との間に非一貫性があるときにはいつでも、構造式が参照されると考えるべきである。先に示されたような構造類は、本質的に、立体異性体類として発生しうるので、RおよびS鏡像異性型も本発明の観点から含まれる。さらに、グルコシド類は、α-またはβ-グルコシド結合としてフラボノイド部分へ結合することができる。従って、これらも、本発明の観点から先に列挙されたような化合物類および構造類によって記述される。
【0040】
本発明の一実施形態は、フレーバリング組成物に関し、化合物類(A)は、化学的または酵素的加水分解によって天然源から得られる。
【0041】
「天然源」は、本発明の観点から、天然に育成された、人間によって始められたいずれかの人為的な化学反応で生成されたものではない、任意の材料を意味する。「天然源」は、好ましくは、本発明の観点から植物類として理解されるべきである。
【0042】
化学的加水分解は、化学結合が水分子の添加によって切断されるプロセスである。この反応を、例えば、高温下で行うことができる。
【0043】
酵素的加水分解は、化学結合が水の添加とともに酵素の助けを借りて切断されるプロセスである。加水分解反応を行うことが可能な酵素類は、ヒドロラーゼ類と呼ばれる。
【0044】
本発明の別の実施形態において、フレーバリング組成物の化合物類(A)は、グレディシア・カスピア(Gleditsia caspia:カスピ海アメリカサイカチ)、バラノフォラ・インボルクラータ(Balanophora involucrate)、バラノフォラ・トビラコラ(Balanophora tobiracola:キイレツチトリモチ)、クリサンセマム・モリフォリウム(Chrysanthemum morifolium:キク)、クリサンテルム・インジクム(Chrysanthellum indicum)、シトラス種、好ましくはC.ベルガミア(C. bergamia)およびC.リモン(C. limon)、ドラコケファルム・ルペストレ(Dracocephalum rupestre)、ビスクム・リキダムバリコルム(Viscum liquidambaricolum)、ビスクム・コロラツム(Viscum coloratum)、ビスクム・アルチクラツム(Viscum articulatum:フラットスティックヤドリギ)、ルシアンタス・ジャポニカ(Lasianthus japonica)、ロホフィツム・レアンドリ(Lophophytum leandri)、エルショルツィア・ボディニエリ(Elsholtzia bodinieri)、ウンベルラリア・カリフォルニカ(Umbellularia californica:カリフォルニアゲッケイジュ)、リコプス・エウロパエウス(Lycopus europaeus:ヒメサルダヒコ)、ブッドレア・パルビフローラ(Buddleja parviflora)、エミニウム・スピクラツム(Eminium spiculatum)、コレオプシス・ティンクトリア(Coreopsis tinctoria:ハルシャギク)、シクロトリチウルン・ニベウム(Cyclotrichiurn niveum)、アルニカ・ロンギフォリア(Arnica longifolia)、カリオプテリス・インカナ(Caryopteris incana:ダンギク)、メンタ・アクアチカ(Mentha aquatica:ヌマハッカ)、インパチエンス・グランデュリフェラ(Impatiens glandulifera)からなる群から選択される植物からの天然源から得られる。
【0045】
本発明の観点から、特に好ましいのは、フレーバリング組成物が、特に好ましくはシトラス・ベルガミアおよびシトラス・リモンの、シトラス源から得られることである。さらに、フレーバリング組成物が化学的または酵素的加水分解によってシトラス抽出物から得られるのであれば、好ましい。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態は、フレーバリング組成物に関し、その組成物は、以下の物質類などからなる群から選択される少なくとも1つの追加のフレーバリング物質を備える、すなわち、
脂肪族フレーバリング物質類、特に、飽和脂肪族アルコール類、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、2-ヘプタノール、オクタノール(1/2/3)、デカノール、不飽和脂肪族アルコール類、例えば、cis-2ペンテノール、cis-3ヘキセノール、trans-2ヘキセノール、trans-3ヘキセノール、cis-2オクテノール、1-オクテン-3-オール、cis-6ノネン-1-オール、trans-2,cis-6ノナジエノール、芳香族アルデヒド類、例えば、飽和芳香族アルデヒド類(例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ホモエリオジクチオール、ヘキサナール、3-メチルヘキサナール、オクタナール、ノナナール)、あるいは、モノまたはマルチ不飽和芳香族アルデヒド類、例えば、2-メチルブタ-2-エナール、trans-2ヘキセナール、cis-3ヘキセナール、cis-4ヘキセナール、trans-2オクテナール、trans-2ノネナール、cis-6ノネナール、trans-2,cis-6ノナジエナール、trans-2デセナール、trans-2,trans-デカジエナール、脂肪族ケトン類、例えば、飽和ケトン類(例えば、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-メチルヘプタン-3-オン、2-デカノン、2-ウンデカノン)、不飽和ケトン類(例えば、1-ペンテン-3-オン、1-ヘキセン-3-オン、5-メチル-3-ヘキセノン、3-ヘプテン-2-オン、1-オクテン-3-オン、2-オクテン-4-オン、3-オクテン-2-オン、3-ノネン-2-オン)、脂肪族ジケトン類および脂肪族ジケトール類、例えば、ジアセチル、アセチルメチルカルビノール、2,3-ヘキサンジオン、脂肪族酸類、例えば、直鎖型飽和酸類、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、分岐型飽和酸類、例えば、2-メチルヘプタン酸、4-エチルオクタン酸、ならびに不飽和酸類、例えば、2-ブテン酸、2-ペンテン酸、4-ペンテン酸、2-メチルペンテン酸、trans-3ヘキセン酸、cis-3ヘキセン酸、3-オクテン酸、リノール酸)、脂肪族エステル類、例えば、飽和エステル類、例えば、メチルアセータート、メチルブチラート、メチル-2-メチルブチラート、メチルヘキサノアート、エチルアセタート、エチルブチラート、エチル-2-メチルブチラート、エチル-3-メチルブチラート、エチルヘキサノアート、エチルデカノアート、イソプロピルアセタート、イソブチルアセタート、イソブチルバレラート、イソアミルアセタート、イソアミルブチラート、イソアミルイソバレラート、ヘキシルアセタート、ヘキシルヘキサノアート、3-オクチルアセタート、および不飽和エステル類、例えば、メチル2-ヘキセノアート、アリルヘキサノアート、cis-3ヘキセニルアセタート、cis-3ヘキセニルブチラート、脂肪族チオール類およびジチオール類(例えば、プロパンチオール、アリルメルカプタン、1-メトキシ-3-ジメチルブタン-3-チオール、ジメチルスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジアリルトリスルフィド、他の脂肪族硫黄化合物類、例えば、2-メルカプト-3-ブタノール、メチルチオプロパナール、3-メルカプト-ペンタノン、4-メトキシ-2-メチル-2-メルカプトブタノン、メチルチオブチラート、メチルチオブチラート、メチル3-メチルチオプロピオナート、脂肪族窒素化合物類、例えば、ブチルアミン、トリメチルアミン、アリルイソチオシアナート、イソプロピルイソチオシアナート、脂環式化合物類、例えば、脂環式ケトン類、例えば、cis-ジャスモン、イソホロン、4-ケトイソホロン、脂環式エステル類、例えば、メチルジャスモナート、ヘジオン、テルペン類、例えば、テルペンアルコール類、例えば、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、αテルピネオール、メントール、8-p-メンテン-1,2-ジオール、フェンコール、ボルネオール、ネロリドール、ホトリエノール、テルペンアルデヒド類、例えば、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、β-シネンサール、テルペンケトン類、例えば、α-イオノン、(D)-カルボン、(L)-カルボン、ノートカトン、ピペリトン、メントン、αダマスコン、βダマシン、ダマセノン、テルペンエステル類、例えば、リナリルアセタート、ゲラニルアセタート、シトロネリルアセタート、カルビルアセタート、フェンキルアセタート、テルペン硫黄化合物類、4-メンタ-8-チオール-3-オン、チオゲラニオール、パラ-メンタ-1-エン-8-チオール、メルカプトp-メンタン-3-オン、テルペン炭化水素類、例えば、D-リモネン、L-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、オシメン、α-テルピネン、γ-テルピネン、β-ビサボレン、バレンセン、テルペンオキシド類、例えば、1,8-シネオール、ローズオキシド、ミントラクトン、メントフラン、芳香族化合物類、例えば、芳香族アルコール類、例えば、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、2-フェニルアルコール、芳香族アルデヒド類、例えば、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、5-メチル-2-フェニルヘキセナール、サリチルアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒド、2-フェニル-2-ブテナール、芳香族酸類、例えば、2-フェニル酢酸、けい皮酸、芳香族エステル類、例えば、ベンジルアセタート、ベンジルサリチラート、アニシルアセタート、メチルフェニルアセタート、メチルベンゾアート、メチルサリチラート、メチルシンナマート、芳香族フェノール類、例えば、フェノール、オルト-クレゾール、パラ-クレゾール、2,3-ジメチルフェニル、2-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、4-ビニールフェノール、グアイアコール、4-ビニルグアイアコール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、芳香族硫黄化合物類、例えば、チオフェノール、ジフェニルジスルフィド、芳香族窒素化合物類、例えば、メチルアントラニラート、メチルN-メチルアントラニラート、芳香族エーテル類、例えば、バニリン、エチルバニリン、アネトール、芳香族オキシド類、例えば、ヘリオトロピン、ジフェニルオキシド、芳香族ラクトン類、例えば、クマリン、ジヒドロクマリン、複素環化合物類、例えば、複素環ラクトン類、例えば、γブチロラクトン、γ-ノナラクトン、γデカラクトン、δデカラクトン、ジャスミンラクトン、δドデカラクトン、アンブレットリド、複素環フラン類、例えば、フルフリルアルコール、フルフラール、2-アセチルフラン、テアスピラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、フルフリルメルカプタン、2-メチル3-フランチオール、2-メチル3-テトラヒドロフランチオール、ジフルフリルスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、複素環ピラン類、例えば、マルトール、エチルマルトール、ローズオキシド、マルトールイソブチラート、複素環ピロール類、例えば、インドール、2-アセチルピロール、ピロリジン、複素環ピラジン類、例えば、2-メチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-メチル3-エチルピラジン、トリメチルピラジン、2-アセチルピラジン、2-メトキシ3-メチルピラジン、2-メトキシ3-エチルピラジン、2-メトキシ3-イソブチルピラジン、2-エチル3-メチルチオピラジン、複素環チアゾール類、例えば、チアゾール、2-メチルチアゾール、4-メチル5-ビニルチアゾール、2-イソブチルチアゾール、2-アセチルチアゾール、
フレーバリング原材料類およびフレーバリング調製物類、例えば、原材料類、例えば、シトラス(例えば、レモン、ライム、マンダリン、ベルガモット、グレープフルーツ、ビターオレンジ、ピールまたは精油類)、ハーブ類(ディル、パセリ、クミン、ローズマリー、セージ、クラリセージ、バジル、タラゴン、タイム、オレガノ、セイボリー、マジョラム、すべてのスパイス、メース、ナツメグ、クローブリーフ、クローブバッド、キャラウェイ、シナモンリーフ、シナモンバーク、カッシア、カルダモン、ジンジャー、ガランガル、ターメリック、コリアンダーシード、コリアンダーリーフ、フェヌグリーク、ジュニパーベリー、ワームウッド、ローレルリーフ、ユーカリ、ホワイトペッパー、グリーンペッパー、ホワイトペッパー、キャロットシード、セロリシード、ラベージリーフ、アサフェティダ、オニオン、ニラ、ニンニク、マスタード、セイヨウワサビ、ピーマン、パプリカ、海草、バレリアン油、ファーニードル、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、ブチューリーフ、ブラックカラントバッド、フェンネル、スターアニス、ジャンブ、ロングペッパー、ダバナ、オリス、ミモザ、カシー、バイオレットリーフ、ホーリーフ、ジャスミン、イランイラン、カナンガ、オスマンサス、アンゼリカ、クラリセージ、アンブレットシード、ホップ、カモミル、ラベンダー、ローズ、ゼラニウム、シトロネラ、パルマローザ、リツエアクベバ、レモングラス、タゲテス、ネロリ、プチグレイン、マテ、コニャック油、コーヒー、コーラナッツ、ココア、グリーンティー、ブラックティー、ホワイトティー、ゲンチアナ、トゥルーバーム、ベンゾエ樹脂、ペルーバーム、カスカリラ、ガルバナム、ベチバー、ラブダナム、パチョリ、サンダルウッド、シダーウッド、ガイアックウッド、オークウッド、マッソイバーク、バニラポッド、トンカビーンからの精油類、コンクリート類、アブソリュート類、エキストラクトまたはチンクチュア類、ならびにそれらの濃縮留分類、
ジュース濃縮物類、例えば、原材料類、例えば、シトラス(レモン、ライム、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ)、リンゴ、セイヨウナシ、マルメロ、セイヨウカリン、赤いフルーツ類(ラズベリー、ストロベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、アメランキア(ジューンプラム)、ローズヒップ、クランベリー、プラム、プルーン、レッドおよびブラックカラントなど)、黄色いフルーツ類(モモ、アプリコット、ネクタリン、バナナなど)、熱帯フルーツ類(マンゴー、パッションフルーツ、パイナップル、ライチなど)、野菜類(例えば、キュウリ、トマト)およびスパイス類(例えば、ショウガ)からのオレンジジュース、レモンジュース、イチゴ、チェリージュース、またはパッションフルーツジュース濃縮物類、水相および回収物、
アセトフェノン、アリルカプロアート、α-イオノン、β-イオノン、アニスアルデヒド、アニシルアセタート、アニシルホルマート、ベンズアルデヒド、ベンゾチアゾール、ベンジルアセタート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、β-イオノン、ブチルブチラート、ブチルカプロアート、ブチリデンフタリド、カルボン、カンフェン、カリオフィレン、シネオール、シンナミルアセタート、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、シトロネリルアセタート、シクロヘキシルアセタート、シメン、ダマスコン、デカラクトン、ジヒドロクマリン、ジメチルアントラニラート、ドデカラクトン、エトキシエチルアセタート、エチル酪酸、エチルブチラート、エチルカプラート、エチルカプロアート、エチルクロトナート、エチルフラネオール、エチルグアイアコール、エチルイソブチラート、エチルイソバレラート、エチルラクタート、エチルメチルブチラート、エチルプロピオナート、オイカリプトール、オイゲノール、エチルヘプチラート、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、γ-デカラクトン、ゲラニオール、ゲラニルアセタート、ゲラニルアセタート、グレープフルーツアルデヒド、メチルジヒドロジャスモナート(例えば、Hedion(登録商標))、ヘリオトロピノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、trans-2-ヘプテナール、cis-4-ヘプテナール、trans-2-ヘキセナール、cis-3-ヘキセノール、trans-2-ヘキセン酸、trans-3-ヘキセン酸、cis-2-ヘキセニルアセタート、cis-3-ヘキセニルアセタート、cis-3-ヘキセニルカプロアート、trans-2-ヘキセニルカプロアート、cis-3-ヘキセニルホルマート、cis-2-ヘキシルアセタート、cis-3-ヘキシルアセタート、trans-2-ヘキシルアセタート、cis-3-ヘキシルホルマート、パラ-ヒドロキシベンジルアセトン、イソアミルアルコール、イソアミルイソバレラート、イソブチルブチラート、イソブチルアルデヒド、イソオイゲノールメチルエーテル、イソプロピルメチルチアゾール、ラウリン酸、レブリン酸、リナロール、リナロールオキシド、リナリルアセタート、メントール、メントフラン、メチルアントラニラート、メチルブタノール、メチル酪酸、2-メチルブチルアセタート、メチルカプロアート、メチルシンナマート、5-メチルフルフラール、3,2,2-メチルシクロペンテノロン、6,5,2-メチルヘプテノン、メチルジヒドロジャスモナート、メチルジャスモナート、2-メチルメチルブチラート、2-メチル-2-ペンテノール酸、メチルチオブチラート、3,1-チルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセタート、ネロール、ネロールアセタート、trans,trans-2,4-ノナジエナール、2,4-ノナジエノール、2,6-ノナジエノール、2,4-ノナジエノール、ノートカトン、δーオクタラクトン、γーオクタラクトン、2-オクタノール、3-オクタノール、1,3-オクテノール、1-オクチルアセタート、3-オクチルアセタート、パルミチン酸、パラアルデヒド、フェランドレン、ペンタンジオン、フェネチルアセタート、フェネチルアルコール、フェネチルイソバレラート、ピペロナール、プロピオンアルデヒド、プロピルブチラート、プレゴン、プレゴール、シネンサール、スルフロール、テルピネン、テルピネオール、テルピノレン、8,3-sチオメンタノン、4,4,2-チオメチルペンタノン、チモール、δ-ウンデカラクトン、γ-ウンデカラクトン、バレンセン、吉草酸、バニリン、アセトイン、エチルバニリン、エチルバニリンイソブチラート(=3-エトキシ-4-イソブチリルオキシベンズアルデヒド)、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよびその誘導体類(ここでは好ましくは、ホモフラネオール(=2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン)、ホモフロノール(=2-エチル-5-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよび5-エチル-2-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)、マルトールおよびマルトール誘導体類(ここでは好ましくは、エチルマルトール)、クマリンおよびクマリン誘導体類、γ-ラクトン類(ここでは好ましくは、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン)、δ-ラクトン類(ここでは好ましくは、4-メチル-δ-デカラクトン、マッソイラクトン、δ-デカラクトン、ツベロラクン)、メチルソルバート、ジバニリン、4-ヒドロキシ-2(または5)-エチル-5(または2)-メチル-3(2H)フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、酢酸イソアミルエステル、酪酸エチルエステル、酪酸-n-ブチルエステル、酪酸イソアミルエステル、3-メチル-酪酸エチルエステル、n-ヘキサン酸エチルエステル、n-ヘキサン酸アリルエステル、n-ヘキサン酸-n-ブチルエステル、n-オクタン酸エチルエステル、エチル-3-メチル-3-フェニルグリシダート、エチル-2-trans-4-cis-デカジエノアート、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキサン、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アルおよびフェニルアセトアルデヒド、2-メチル-3-(メチルチオ)フラン、2-メチル-3-フランチオール、ビス(2-メチル-3-フリル)ジスルフィド、フルフリルメルカプタン、メチオナール、2-アセチル-2-チアゾリン、3-メルカプト-2-ペンタノン、2,5-メチル-3-フランチオール、2,4,5-トリメチルチアゾール、2-アセチルチアゾール、2,4-ジメチル-5-エチルチアゾール、2-アセチル-1-ピロリン、2-メチル-3-エチルピラジン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2-エチル-3,6-ジメチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、3-イソプロピル-2-メトキシピラジン、3-イソブチル-2-メトキシピラジン、2-アセチルピラジン、2-ペンチルピリジン、(E,E)-2,4-デカジエナール、(E,E)-2,4-ノナジエナール、(E)-2-オクテナール、(E)-2-ノネナール、2-ウンデセナール、12-メチルトリデカナール、1-ペンテン-3-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、グアイアコール、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、3-ヒドロキシ-4-メチル-5-エチル-2(5H)-フラノン、シンナムアルデヒド、シンナミルアルコール、メチルサリチラート、イソプレゴール、およびこれらの物質類の(ここでは明示的に述べられない)立体異性体類、鏡像異性体類、位置異性体類、ジアステレオマー類、cis/trans異性体類またはエピマー類。
【0047】
本発明の別の実施形態は、フレーバリング組成物に関し、その組成物は、以下の甘味料類からなる群から選択される少なくとも1つの甘味物質を備える、すなわち、
天然甘味料類、好ましくは、植物抽出物類、例えば、甘味炭水化物類(例えば、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メレジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、D-アルロース、マルトデキストリン)、糖アルコール類(例えば、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチトール、デュルシトール、ラクチトール)、タンパク質類(例えば、ミラクリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリン)、D-アミノ酸類(例えば、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン)、あるいはこれらのアミノ酸類および/またはタンパク質類を含有する天然源から得られる抽出物類もしくは留分類、ならびにこれらのアミノ酸類および/またはタンパク質類の生理的に許容可能な塩類、特に、それらのナトリウム、カリウム、カルシウムまたはアンモニウム塩類、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユノシド1、バイユノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、フロレチン、フィロズルシン、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスラジン、ポリポドシドA、ストロギン1、ストロギン2、ストロギン4、セリグエアニンA、ジヒドロクエルセチン-3-アセタート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI-V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノズルコシド、カルノシフロシド、ヘスペレチン、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド類、例えば、モグロシドV、ヘルナンズルシン、モナチン、グリシルレチン酸およびとその誘導体類、特に、グリチルリチン、好ましくは、グリチルリチンアンモニウム塩、抽出物類またはかかる抽出物類の濃縮留分類、例えば、タウマトコックス(Thaumatococcus)またはステビア(Stevia)亜種、特に、ステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana)の抽出物類、スウィングル抽出物類、特に、モモルディカ(Momordica)もしくは羅漢果(Siratia grosvenorii)またはLuo-Han-Guo、グルシリザ(Glycyrrhiza)亜種、特に、グルシリジア・グラブラ(Glycyrrhyzia glabra)の抽出物類、ハイドランジア・マクロフィラ(Hydrangea macrophylla)亜種、特に、ハイドランジア・マクロフィラ・セラタ(Hydrangea macrophlly serrata)の抽出物類、ルブス(Rubus)亜種、特に、ルブス・スアウィッシムス(Rubus suavissimus)の抽出物類、リピア・デュルキス(Lippia dulcis)の抽出物類、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを備える、ミセチア・バランサエ(Mycetia balansae)の抽出物類を含む、天然に発生する甘味物質類、
合成甘味料類、好ましくは、マガップ、ナトリウムシクラマートまたはシクラミン酸の他の生理的に許容可能な塩類、アセスルファムK、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム、スーパーアスパルタム、ネオタム、アリタム、アドバンタム、ペリラルチン、スクラロース、ラグドゥネーム、カレラーム、スクロノネートもしくはスクロオクテートまたはそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される、合成甘味物質類。
【0048】
本発明の観点から特に好ましいのは、本発明によるフレーバリング組成物がアルロース、スクロース、トレハロース、フロレチン、ナリンゲニン、ヘスペレチン、ルブソシド、ステビオールグリコシド類(好ましくは、レバウジオシドA、レバウジオシドDおよびレバウジオシドM)、モグロシドV、フィロズルシンならびにヘスペレチンジヒドロカルコンからなる群から選択される少なくとも1つの追加の甘味料を備えることである。
【0049】
本発明の別の態様は、調製物における/調製物の少なくとも1つの望まれない味特性をマスキングするおよび/または低減するための本発明によるフレーバリング組成物の使用に関し、好ましくは、フレーバリング組成物は、調製物の総重量によって、0.05重量%の量で、より好ましくは0.02重量%の量で、および特に好ましくは、0.001重量%~0.01重量%の量で用いられる。
【0050】
本発明による使用の一実施形態は、本発明によるフレーバリング組成物の使用に関し、その調製物は、消費に適した調製物類、好ましくは食糧、楽しみのための調製物類、飲料類、半完成品類および口腔衛生製品類からなる群から選択される。
【0051】
好ましくは、少なくとも1つの望まれない味特性は、苦さ、渋さ、金属的な味、酸っぱい、発酵された、エンドウ豆のようなおよびイースティーからなる群から選択される。
【0052】
苦さ、渋さおよび酸味は、先に定義されたような味印象である。金属的な味は、例えば、銅、亜鉛および/またはマグネシウムを含有するマルチビタミン調製物類のような、重金属類の含有量を有する調製物類において知覚されうる。また、いくつかの薬物類は、口腔中で金属的な味を伝えうる。レバウジオシドAなどの甘味グリコシド類のオフテーストは、苦いと金属的との組み合わせとして記述される。
【0053】
発酵された味は、発酵された、すなわち、微生物学的に変換された調製物類を消費するときに知覚可能である。その味は、部分的に酸っぱく、部分的に風味があるとして記述され、ある一定の調製物類には望ましいが、望まれず不快であると知覚される可能性もある。
【0054】
エンドウ豆のような味印象は、この味が望まれない調製物、例えば、タンパク質に富んだ食品調節物類における豆類の味を記述する。
【0055】
イースティーな味は、特に、パン、スパークリングワインまたはビールなど、酵母を用いて調製された調節物類に存在する。ある一定の調節物類では、このイースティーな味が望まれるが、他の調節物類においては、または高レベルの酵母では不快であると知覚される。
【0056】
本発明の別の態様は、調製物における/調製物の少なくとも1つの望まれない味特性をマスキングするおよび/または低減するための方法に関し、その方法は、
a)好ましくは、消費に適した調製物類、好ましくは食糧、楽しみのための調製物類、飲料類、半完成品類および口腔衛生製品類からなる群から選択される、少なくとも1つの調製物を提供するステップと、
b)本発明によるフレーバリング組成物を提供するステップと、
c)ステップa)において提供された調製物とステップb)において提供されたフレーバリング組成物とを接触させて混合するステップと、
d)改善された味をもつ調製物を得るステップと
を含むか、またはそれらからなる。
【0057】
本発明の観点から特に好ましいのは、望まれない味特性が苦さ、渋さ、金属的な味、酸っぱい、発酵された、エンドウ豆のようなおよびイースティーからなる群から選択されることである。
【0058】
好ましい実施形態において、フレーバリング組成物は、本明細書に開示されるような、フレーバリング組成物を生成するための方法によって生成され、または生成可能である。
【0059】
本発明のさらに別の態様は、本発明によるフレーバリング組成物を製造するための方法に関し、その方法は、
(i)グレディシア・カスピア、バラノフォラ・インボルクラータ、バラノフォラ・トビラコラ、クリサンセマム・モリフォリウム、クリサンテルム・インジクム、シトラス種、好ましくはC.ベルガミアおよびC.リモン、ドラコケファルム・ルペストレ、ビスクム・リキダムバリコルム、ビスクム・コロラツム、ビスクム・アルチクラツム、ルシアンタス・ジャポニカ、ロホフィツム・レアンドリ、エルショルツィア・ボディニエリ、ウンベルラリア・カリフォルニカ、リコプス・エウロパエウス、ブッドレア・パルビフローラ、エミニウム・スピクラツム、コレオプシス・ティンクトリア、シクロトリチウルン・ニベウム、アルニカ・ロンギフォリア、カリオプテリス・インカナ、メンタ・アクアチカ、インパチエンス・グランデュリフェラからなる群から選択される植物類のうちの少なくとも1つからの天然抽出物を提供するステップと、
(ii)少なくとも1つのヒドロラーゼを提供するステップと、
(iii)ステップ(i)において提供された天然抽出物をステップii)において提供された少なくとも1つのヒドロラーゼと混合するステップと、
(iv)ステップiii)において得られた混合物を20~60℃の、好ましくは40~60℃の範囲内の温度において、随意的に、攪拌のもとで0.5~48時間の、好ましくは2~24時間の、好ましくは4~12時間の継続時間にわたってインキュベートするステップと、
(v)本発明によるフレーバリング組成物を得るステップと、
(vi)随意的に:得られたステップ(v)のフレーバリング組成物を精製するステップと、
および随意的に:
(vii)好ましくは本明細書に定義されるような、フレーバリング組成物に追加のフレーバリングおよび/または甘味物質類を添加するステップと、
(viii)好ましくは本明細書に定義されるような追加のフレーバリングおよび/または甘味物質類を備える、本発明によるフレーバリング組成物を得るステップと
を含むか、またはそれらからなる。
【0060】
さらに、本発明は、本発明によるフレーバリング組成物を製造するための方法に関し、その方法は、
(i)グレディシア・カスピア、バラノフォラ・インボルクラータ、バラノフォラ・トビラコラ、クリサンセマム・モリフォリウム、クリサンテルム・インジクム、シトラス種、好ましくはC.ベルガミアおよびC.リモン、ドラコケファルム・ルペストレ、ビスクム・リキダムバリコルム、ビスクム・コロラツム、ビスクム・アルチクラツム、ルシアンタス・ジャポニカ、ロホフィツム・レアンドリ、エルショルツィア・ボディニエリ、ウンベルラリア・カリフォルニカ、リコプス・エウロパエウス、ブッドレア・パルビフローラ、エミニウム・スピクラツム、コレオプシス・ティンクトリア、シクロトリチウルン・ニベウム、アルニカ・ロンギフォリア、カリオプテリス・インカナ、メンタ・アクアチカ、インパチエンス・グランデュリフェラからなる群から選択される植物類のうちの少なくとも1つからの天然抽出物を提供するステップと、
(ii)少なくとも1つの天然の不揮発性有機酸、好ましくは、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される酸を提供するステップと、
(iii)ステップ(i)において提供された天然抽出物をステップii)において提供された少なくとも1つの天然の不揮発性有機酸と混合するステップと、
(iv)ステップiii)において得られた混合物を100~160℃の、好ましくは110~150℃の範囲内の温度において、4~48時間の、好ましくは8~40時間の、好ましくは12~36時間の継続時間にわたってインキュベートするステップと、
(v)本発明によるフレーバリング組成物を得るステップと、
(vi)随意的に:得られたステップ(v)のフレーバリング組成物を精製するステップと、
および随意的に:
(vii)好ましくは本明細書に定義されるような、フレーバリング組成物に追加のフレーバリングおよび/または甘味物質類を添加するステップと、
(viii)好ましくは本明細書に定義されるような、本発明によるフレーバリング組成物を得るステップと
を含むか、またはそれらからなる。
【0061】
さらに、本発明は、本発明によるフレーバリング組成物を製造するための方法に関し、その方法は、
(i)グレディシア・カスピア、バラノフォラ・インボルクラータ、バラノフォラ・トビラコラ、クリサンセマム・モリフォリウム、クリサンテルム・インジクム、シトラス種、好ましくはC.ベルガミアおよびC.リモン、ドラコケファルム・ルペストレ、ビスクム・リキダムバリコルム、ビスクム・コロラツム、ビスクム・アルチクラツム、ルシアンタス・ジャポニカ、ロホフィツム・レアンドリ、エルショルツィア・ボディニエリ、ウンベルラリア・カリフォルニカ、リコプス・エウロパエウス、ブッドレア・パルビフローラ、エミニウム・スピクラツム、コレオプシス・ティンクトリア、シクロトリチウルン・ニベウム、アルニカ・ロンギフォリア、カリオプテリス・インカナ、メンタ・アクアチカ、インパチエンス・グランデュリフェラからなる群から選択される植物類のうちの少なくとも1つからの天然抽出物を提供するステップと、
(ii)少なくとも1つの天然の不揮発性有機酸、好ましくは、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される酸を提供するステップと、
(iii)ステップ(i)において提供された天然抽出物をステップii)において提供された少なくとも1つの天然の不揮発性有機酸と混合するステップと、
(iv)ステップiii)において得られた混合物を100~160℃の、好ましくは110~150℃の範囲内の温度において、4~48時間の、好ましくは8~40時間の、好ましくは12~36時間の継続時間にわたってインキュベートするステップと、
(v)本発明によるフレーバリング組成物を得るステップと、
(vi)随意的に:得られたステップ(v)のフレーバリング組成物を精製するステップと、
(vii)少なくとも1つのヒドロラーゼを提供するステップと、
(viii)ステップ(v)またはステップ(vi)において得られた組成物をステップ(vii)において提供された少なくとも1つのヒドロラーゼと混合するステップと、
(ix)ステップ(viii)において得られた混合物を20~60℃の、好ましくは40~60℃の範囲内の温度において、随意的に攪拌のもとで、0.5~48時間の、好ましくは2~24時間の、好ましくは4~12時間の継続時間にわたってインキュベートするステップと、
(x)本発明によるフレーバリング組成物を得るステップと、
(xi)随意的に:得られたステップ(x)のフレーバリング組成物を精製するステップと、
および随意的に:
(xii)好ましくは本明細書に定義されるような、フレーバリング組成物に追加のフレーバリングおよび/または甘味物質類を添加するステップと、
(xiii)好ましくは本明細書に定義されるような追加のフレーバリングおよび/または甘味物質類を備える、本発明によるフレーバリング組成物を得るステップと
を含むか、またはそれらからなる。
【0062】
上記の方法のステップ(v)およびステップ(x)において、本発明によるフレーバリング組成物が得られる。いずれの場合も、そのフレーバリング組成物は、本発明による。しかしながら、上記の方法のステップ(x)において得られる組成物では、エリオジクチオールの量がさらに増加される。
【0063】
好ましくは、本テキストでは、上記の方法に照らして、用語「本発明による組成物」は、ステップ(v)において得られる組成物を指す。
【0064】
好ましくは、本テキストでは、上記の方法に照らして、用語「本発明による組成物」は、ステップ(x)において得られる組成物を指す。
【0065】
好ましくは、本テキストでは、上記の方法に照らして、用語「本発明による組成物」は、ステップ(v)および(x)において得られる組成物を指す。
【0066】
好ましくは、ステップ(ii)または(vii)において少なくとも1つの天然の不揮発性有機酸を提供する本発明による方法においては、ステップ(iv)におけるインキュベーションが2~6.5barの範囲内の、好ましくは3~6barの範囲内の、好ましくは3.5~5.5barの範囲内の、好ましくは4~5barの範囲内の圧力で行われる。
【0067】
本発明の観点から、本発明による方法のステップvi)における精製が吸収、吸着、クロマトグラフィー、結晶化、沈殿、液体間抽出、固体・液体間抽出、ろ過、乾燥または凍結乾燥からなる群から選択される少なくとも1つの方法によって実施されることが好ましい。フレーバリング組成物を製造するための方法の観点から、吸収、吸着、クロマトグラフィー、結晶化、沈殿、液体間抽出、固体・液体間抽出、ろ過、乾燥または凍結乾燥から選択される方法の組み合わせが用いられることが特に好ましい。
【0068】
本発明によるフレーバリング組成物を製造するための方法の一実施形態は、ステップ(i)において提供される天然抽出物が、好ましくはC.ベルガミアおよびC.リモンから選択される、シトラス抽出物である、方法に関する。
【0069】
本発明によるフレーバリング組成物を製造するための方法の別の実施形態は、ステップ(ii)またはステップ(vii)において提供されるヒドロラーゼがグルコシダーゼおよび/またはラムノシダーゼである、方法に関する。
【0070】
グルコシダーゼは、糖モノマー間の炭水化物結合を切断することによって複雑な炭水化物類を分解することが可能な酵素である。
【0071】
ラムノシダーゼは、末端の非還元性L-ラムノースの加水分解を触媒する酵素である。
【0072】
本発明の別の態様は、本発明によるフレーバリング組成物を製造するための方法によって得られる、または得ることが可能である、本発明によるフレーバリング組成物に関する。
【0073】
また、本発明は、本明細書に記載されるようなフレーバリング混合物の使用に関し、使用されるフレーバリング組成物は、本発明によるフレーバリング組成物を製造するための方法によって得られる、または得ることが可能である。
【0074】
本発明は、例示的な非限定の例によってさらに特徴付けられる。
【実施例0075】
[実施例1]
対比較テスト
訓練パネルに苦味物質類カフェイン(500mg/kg)、キニーネ(10mg/kg)およびナリンギン(100mg/kg)を含む異なるサンプル類が与えられた。カフェインは、コーヒーおよびコーヒー・タイプの飲料類の苦みの素であり、キニーネは、フレーバートニック類またはエナジードリンク類への食品添加物として用いられ、ナリンギンは、グレープフルーツジュースの苦みの素である。各テストは、異なる量の苦味マスキング物質類またはそれらの混合物を含む。テスト中に、パネリストは、任意の嗅覚印象を除外するためにノーズ・クリップを装着する。これらのテストは、苦味-デュオテスト(duo tests)と呼ばれる。
【0076】
第1の試験では、上述の苦味サンプル類が95%以上の純度の10mg/kgのエリオジクチオール-7-O-グルコシドと混合された。苦味低減効果は、著しくないことが観測された(p<0.05)。データは、表1に示される。50mg/kg超の濃度では、エリオジクチオール-7-O-グルコシドは、苦いノートさえ示す。
【0077】
【0078】
第2のテストでは、苦味剤類が95%以上の純度の50mg/kgのエリオシトリンと混合されて、苦味マスキング効果がパネルによって評価された。苦味マスキング効果は、著しくないことが観測された(p>0.05)。データは、表2に示される。
【0079】
【0080】
別の試験は、10mg/kgのキニーネおよび50mg/kgのエリオジクチオール(ED)のみを含むか、あるいはエリオジクチオール-7-O-グルコシド(EDMG)およびネオエリオシトリン(NEC)、エリオシトリン(EC)を含有する発明に係わるフレーバリング組成物を含むサンプル類を用いてセットアップされた。EDMG、ECおよびEDの相乗的な効果が、純粋なエリオジクチオールと比較して、味マスキング活性を著しく改善することがわかった。エリオシトリンの代わりにネオエリオシトリンを用いたときに同じ効果が観測された。重量%は、フレーバリング組成物の乾燥重量に基づく。結果は、表3に示される。
【0081】
【0082】
[実施例2]
レモンピール抽出物からのフレーバリング組成物の製造
レモンピール抽出物(300g)および酒石酸(39g)が水/アセトン(2700g)中に溶解される。その混合物がオートクレーブ中に満たされる。加水分解は、120℃の温度および5barの圧力に達した後に開始する。反応は、35時間後に終了する。得られた黒い液体は、冷却された後に、オートクレーブから移された。
【0083】
水を添加することによって、目標化合物類が沈殿される。固相は、ろ過によって分離される。全体として、乾燥後に、エリオジクチオール(56.10g)、エリオジクチオール-7-O-グルコシド(33.06g)およびエリオシトリン(0.68g)を備える、126gの固相生成物が得られる。
【0084】
沈殿された抽出物の精製は、固相上の吸着/吸収による目標化合物類の分離によって行われる。この特定の例では、沈殿された抽出物が活性炭材料上の吸着、および種々の溶媒類を用いた溶離による目標化合物類の回収によって浄化される。活性炭を用いたカラム(表面:1400m2/g;ベッドボリューム:370kg/m 粒径:7~75μm;粒径d50=30pm)がベッドボリュームの7.5倍の水/アセトンでコンディショニングされる。沈殿された抽出物がコンディショニングされたカラムを通してリンスされる。3.5:1のベッドボリューム比による生成物溶液の第1のパスが引き出された。この第1のパスは、第1の留分と呼ばれる。目標化合物類は、固定相上に吸着されている。次に、それらの成分類が水、メタノール、エタノール、プロパン-2-オール、エチルアセタートおよびt-メチルブチルエーテルで段階的に脱離される。溶離は、カラムボリュームに対して4:1の溶離剤比で生じる。これらの留分類は、茶色っぽいないしわずかに黄色から透明無色である。最も高い含有量のエリオシトリンおよび、エリオジクチオール-7-O-グルコシドが水およびメタノールを用いた留分類中に、好ましくはメタノールを用いた留分類中に溶離される。着色が最も少ない最も高い収量のエリオジクチオールがメタノール留分中に溶離される。エリオジクチオールの溶離をエタノール、プロパン-2-オールおよびエチルアセタートを用いて同様に行うことができる。メタノール留分は、エリオジクチオール(58.0g)、エリオジクチオール-7-O-グルコシド(41.7g)およびエリオシトリン(0.3g)を含有した。
【0085】
本明細書に記載されるようなメタノールを用いるのと同じ純度を達成するために、メタノール以外の溶媒類、溶媒類の混合物および異なるCV比を用いることができる。カラムボリューム比(CV)は、カラムのベッドボリュームとカラムを通って流れる溶液のボリュームとの比である。生成物が官能パネル(n=20)によって評価された。苦味マスキング活性が実施例1に従って査定されて、レモンピール抽出物は、キニーネ・モデル溶液の苦さを著しくマスキングすることが可能なことが観測された。
【0086】
[実施例3]
レモンピール抽出物からのフレーバリング組成物の製造
レモンピール抽出物(100g)およびクエン酸(13g)が水/アセトン(900g)中に溶解される。その混合物がオートクレーブ中に満たされる。加水分解は、120℃の温度および5barの圧力に達した後に開始する。反応は、35時間後に終了する。得られた黒い液体は、冷却された後に、オートクレーブから移された。目標化合物類が水を添加することによって沈殿される。固体留分がろ過によって分離される。全体として、乾燥後に、エリオジクチオール(18.30g)、エリオジクチオール-7-O-グルコシド(10.89g)およびエリオシトリン(0.22g)からなる42gの生成物が得られる。
【0087】
粗生成物(42g)が室温においてメタノール(168g)中に溶解される。その溶液が攪拌されて、水(630g)およびエリオジクチオール(14.56g)、エリオジクチオール-7-O-グルコシド(6.21g)ならびにエリオシトリン(0.04g)沈殿物類を添加することにより貧溶媒晶析が進められる。濃度および温度の変動によって、エリオジクチオール(18.30g)、エリオジクチオール-7-O-グルコシド(10.89g)およびエリオシトリン(0.22g)比が異なる、異なる留分類を得ることができる。
【0088】
[実施例4]
レモンピール抽出物からのフレーバリング組成物の製造
レモンピール抽出物(30g)およびクエン酸(16.4g)が水/アセトン(270g)中に溶解される。その混合物がオートクレーブ中に満たされる。加水分解は、120℃の温度および4barの圧力に達した後に開始する。反応は、18時間後に終了する。得られた黒い液体は、冷却された後に、オートクレーブから移された。2次成分類が水を添加することにより沈殿されて、ろ過により分離。目標化合物類が水を添加することによって沈殿される。固体留分がろ過によって分離される。全体として、乾燥後に、エリオジクチオール(7.21g)、エリオジクチオール-7-O-グルコシド(0.40g)およびエリオシトリン(0.03g)を備える11gの生成物が得られる。
【0089】
[実施例5]
酵素的加水分解によるレモンピール抽出物からのフレーバリング組成物の製造
わずかに酸性化された20g/Lのレモンピール抽出物溶液が、25mL/LのVegazym P-CS(エルブスレー社,ガイゼンハイム(Erbsloeh, Geisenheim))、ラムノシダーゼおよびグルコシダーゼ活性を呈する市販の酵素調製物を用いて、水道水中で攪拌しながら40℃で24時間にわたって加水分解された。反応ボリュームの40%のエチルアセタートを用いて、10分間攪拌し、続いて17,000xgで20分間の遠心分離を介して相を分離することによって生成物が3回抽出された。複合有機相が反応ボリュームの40%の水道水で2回洗浄されて、その後に真空下で乾燥された。24時間後に得られた加水分解生成物は、0.01重量%のエリオシトリン12.8重量%のエリオジクチオール-7-O-グルコシド、69.5重量%のエリオジクチオールを含有した。
【0090】
粗抽出物の精製は、沈殿によって行われる。粗抽出物が40℃のエタノール中に溶解されて、水を添加することにより目標化合物類が沈殿される。ろ過後に、生成物は、0.01重量%のエリオシトリン3.90重量%のエリオジクチオール-7-O-グルコシド、76.24重量%のエリオジクチオールを含有した。
【0091】
[実施例6]
クエン酸を用いた加水分解および酵素的加水分解によるレモンピール抽出物からのフレーバリング組成物の製造
レモンピール抽出物(300g)および酒石酸(39g)が水/アセトン(2700g)中に溶解される。その混合物がオートクレーブ中に満たされる。加水分解は、120℃の温度および5barの圧力に達した後に開始する。反応は、35時間後に終了する。得られた黒い液体は、冷却された後に、オートクレーブから移された。
【0092】
水を添加することによって、目標化合物類が沈殿される。固体材料がろ過によって得られ、酵素的加水分解がVegazym P-CSを50ml/Lで用いて50℃で24時間にわたってスイッチされる。目標化合物類がエチルアセタートを用いた抽出および濃縮によって回収される。その抽出物は、0.01重量%のエリオシトリン3.4重量%のエリオジクチオール-7-O-グルコシド、72.6重量%のエリオジクチオールを含有した。
【0093】
[実施例7]
ヴィーガンパテの味改善
以下の成分類、すなわち、水、マメ科タンパク質単離物、ヒマワリ油、マメ科タンパク濃縮物、ヤシ油、メチルセルロース、繊維、塩、澱粉、乳酸およびナトリウムジアセタートを含有するヴィーガンパテが生成された。水、増粘剤および澱粉が水と混合されて、pHが調整され、次にタンパク質、続いて繊維および油成分類が添加される。最後に、表4による味マスキング成分が添加される。これらの成分類が十分に混合されて、生地からパテが形成される。パテは、オーブンにおいて200℃で焼かれた。パテを冷却した後に、パテがスライスされて、パネルによるブラインド・テイスティングのためにサンプル類が符号化された。
【0094】
【0095】
ヴィーガンパテは、パンのような、ロースティーなノートを伴う苦い、渋い味がした(表4、no.1)。特許文献1に記載されるような苦味マスキング化合物類エリオジクチオールおよびホモエリオジクチオールの添加は、味プロファイルを改善したが、ホモエリオジクチオールは、エリオジクチオールよりいっそう苦さを低減した。しかしながら、レモンピール抽出物からの本発明に係わるフレーバリング組成物の味改善および苦味マスキング特性が最良の性能を示した。
【0096】
[実施例8]
フレーバリング組成物類
前記混合物と味調節官能効果を付与するためのさらなる味調節化合物類とを比較することができる。ナリンゲニンおよびヘスペレチンが例として用いられて、表5に結果が示される。3部ヘスペレチン、2部ナリンゲニン、および2部の本発明に係わるシトラス加水分解産物(55重量% ED、11.1重量% EDMG、1.5重量% EC)を備えるマスキング混合物が、ナリンゲニン、ヘスペレチンおよびホモエリオジクチオール(No.1~3、表5)に対して、50mg/kg用量でテストされた。それらの化合物類とこの混合物がすべて、苦味剤として添加された500mg/kgのカフェインとともに水に溶解された。パネリストらは、1つのサンプル対のうちの各サンプルの苦味強度を1~100のスケールで等級付けするように依頼された。結果は、このマスキング混合物がカフェイン溶液の苦さを著しく(t検定=0.0039)マスキングしていることを示す(No.4、表5)。味マスキング活性は、ホモエリオジクチオールより高く(直接比較テストno.3、表5において、-6.1%低減)、ヘスペレチンよりも高く(直接比較テストno.2、表5において、-16.4%低減)、かつナリンゲニンに対する直接比較において最も高い(テストno.1、表5,-21.7%低減)。これは、ナリンゲニンおよびヘスペレチンのみでは効力のある苦味マスキング化合物類ではないが、本発明に係わるシトラス加水分解産物と一緒に処方されると、それらが著しい苦味マスキング活性を発現させること、およびそのときには、そのマスキング混合物がおよそ5mg/kgのエリオジクチオールを含有するに過ぎないにも係わらず、苦味マスキング活性は、少なくともホモエリオジクチオールより高いことを実証する。前記混合物は、本発明に係わるシトラス加水分解産物と、他のシトラスフルーツ類のうちでもオレンジ(ヘスペレチンを生じさせる)、グレープフルーツもしくはベルガモット(ナリンゲニンを生じさせる)またはビターオレンジおよびライムからの加水分解産物類とを混合することによって得ることができる。
【0097】
【0098】
[実施例9]
タンパク質食品の味改善
0.5gのアガール・アガール(CEROアガール・アガール・ゲリジウム(Agar Agar Gelidium)タイプ8952)に100gの温水を添加して、55℃において750rpmで攪拌し、最後に10重量%のエンドウ豆(調製物1)および大豆タンパク質(調製物2)濃縮物を添加することによって、タンパク質に富んだ食品が生成された。混合物類がホモジナイズされて、最後にカップ中に満たされた。サンプルは、8℃まで20分間冷却することによって濃くなり、均質かつ安定なマトリックスを形成した。各サンプルが、発明に係わる組成物、すなわち、表3からのサンプルno.4によるレモンピール加水分解産物を含むサンプルに対して、ペアワイズにテイスティングされた。これらのサンプル類が符号化されて、5人のフレーバリストによりテイスティングされた。官能属性の強度が0~10のスケールで決定された。
【0099】
【0100】
【0101】
官能データは、苦い、渋い、酸っぱい、およびエンドウ豆のさやの味のようなオフテーストを表3からのサンプルno.4による100mg/kgのレモンピール加水分解産物を添加することによって低減できることを示す。