(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103561
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】回転機器
(51)【国際特許分類】
H02K 7/14 20060101AFI20240725BHJP
F04D 19/02 20060101ALI20240725BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20240725BHJP
F04D 29/64 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H02K7/14 A
F04D19/02
F04D25/08 303
F04D29/64 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085507
(22)【出願日】2024-05-27
(62)【分割の表示】P 2021526170の分割
【原出願日】2020-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2019111612
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】岩田 仁
(72)【発明者】
【氏名】加納 剛
(72)【発明者】
【氏名】大沢 直生
(72)【発明者】
【氏名】山西 生馬
(72)【発明者】
【氏名】西方 俊之
(72)【発明者】
【氏名】清水 道弘
(72)【発明者】
【氏名】天城 雄太
(57)【要約】
【課題】小型化の要求を実現し得る回転機器を提供すること。
【解決手段】軸部材(5)と、軸部材(5)に対して回転可能な筒状の回転体(3)と、回転体(3)を囲む筒状のハウジング(7)と、回転体(3)を軸部材(5)に対して支持する軸受(4)と、回転体(3)の内側にあるステータ(2)と、回転体(3)に設けられた1又は複数の動翼(6)と、を備える、回転機器(1)である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材と、
前記軸部材に対して回転可能な筒状の回転体と、
前記回転体を囲む筒状のハウジングと、
前記回転体の外周面と前記ハウジングとの間に形成された通気路と、
前記回転体を前記軸部材に対して支持する第1軸受及び第2軸受と、
前記回転体の内側にあるステータと、
前記回転体に設けられた1又は複数の動翼と、
前記回転体の外周面に対向する、前記ハウジングの内面に設けられた静翼と、を備え、
前記ハウジングは、前記第1軸受側の開口部と、前記第2軸受側の開口部とを備え、
空気が前記第1軸受側の開口部から取り込まれ、前記第2軸受側の開口部から吹き出され、
前記軸部材の軸方向において、前記動翼と前記静翼とが、所定の間隔を置いて並んで配置され、
前記軸部材の軸方向において、前記静翼は、前記第1軸受側における第1端部と、前記第2軸受側における第2端部と、を備え、
径方向において、前記第2軸受側における第2端部の内周面は、前記回転体の外周面から離れている、回転機器。
【請求項2】
前記軸部材の少なくとも一方の端部乃至その近傍が、前記ハウジングに固定されている、請求項1に記載の回転機器。
【請求項3】
前記第1軸受は、前記軸部材が有する2つの端部のうち、一方の端部側に配置され、
前記第2軸受は、前記軸部材の他方の端部側に配置される、請求項1又は2に記載の回転機器。
【請求項4】
前記軸部材の軸方向において、前記動翼の位置と前記第1軸受の位置とが、少なくとも一部で重なり、かつ、前記静翼の位置と前記第2軸受の位置とが、少なくとも一部で重なる、請求項1~3のいずれかに記載の回転機器。
【請求項5】
前記軸部材の軸方向において、前記1又は複数の動翼が前記第1軸受と前記第2軸受との間に配置されている、請求項1~3のいずれかに記載の回転機器。
【請求項6】
前記第1軸受及び前記第2軸受のいずれか一方の軸受における、前記軸部材に固定される内周輪に対して、他方の軸受の方向への予圧が作用している、請求項1から5のいずれかに記載の回転機器。
【請求項7】
前記軸部材の軸方向において、前記動翼が、前記回転体の中央部に配置されている、請求項1から6のいずれかに記載の回転機器。
【請求項8】
前記動翼は、筒状部と、当該筒状部に設けられた複数の羽根と、を備え、
前記複数の羽根が、前記筒状部の周方向において、所定の間隔で当該筒状部に設けられている、請求項1から7のいずれかに記載の回転機器。
【請求項9】
回転軸方向に配置された第1軸受及び第2軸受を有するモータ部と、
前記モータ部の外周面を囲むハウジングと、
前記モータ部の外周面と前記ハウジングとの間に形成された通気路と、
前記モータ部に設けられた動翼と、
前記ハウジングに設けられた静翼と、を備え、
前記ハウジングは、前記第1軸受側の開口部と、前記第2軸受側の開口部とを備え、
空気が前記第1軸受側の開口部から取り込まれ、前記第2軸受側の開口部から吹き出され、
前記回転軸方向において、前記第1軸受側にある前記動翼と、当該動翼に対して前記第2軸受側にある前記静翼は並んで配置されており、
前記回転軸方向において、前記静翼は、前記第1軸受側における第1端部と、前記第2軸受側における第2端部と、を備え、
径方向において、前記第2軸受側における第2端部の内周面は、前記モータ部の外周面から離れている、回転機器。
【請求項10】
前記回転軸方向において、前記モータ部は、前記第1軸受と前記第2軸受の間にあるマグネットおよびステータを備える、請求項9に記載の回転機器。
【請求項11】
前記モータ部はスペーサを備え、
前記回転軸方向において、前記スペーサは前記第2軸受の位置決めをしている、請求項9に記載の回転機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機器に関し、特に、吸気あるいは送風の目的で風を起こす回転機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な用途や要求される性能に応じて、吸気あるいは送風の目的で風を起こす各種回転機器が開発・製造され、用いられてきた。その中で、風を起こす上での基本的な性能である高速回転化や風量増加といった性能の向上の要求と、装置全体としてのより一層の小型化の要求とがあり、両要求のより高い次元での実現が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、小型化の要求を実現し得る回転機器を提供することを目的の一例とする。また、本発明は、小型化の要求を実現しつつ、風を起こす上での基本性能に優れた回転機器を提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明の回転機器は、
軸部材と、
前記軸部材に対して回転可能な筒状の回転体と、
前記回転体を囲む筒状のハウジングと、
前記回転体を前記軸部材に対して支持する軸受と、
前記回転体の内側にあるステータと、
前記回転体に設けられた1又は複数の動翼と、
を備える。
本発明の回転機器は、前記軸部材の少なくとも一方の端部乃至その近傍が、前記ハウジングに固定されていてもよい。
【0006】
また、本発明の回転機器は、前記回転体の外面に対向する、前記ハウジングの内面には、静翼が設けられていてもよい。
この場合に、前記軸部材の軸方向において、前記動翼と前記静翼が、所定の間隔を置いて並んで配置されていることが好ましい。
【0007】
また、本発明の回転機器は、前記軸受として、第1軸受と第2軸受の2つを備え、
前記第1軸受は、前記軸部材が有する2つの端部のうち、一方の端部側に配置され、
前記第2軸受は、前記軸部材の他方の端部側に配置されていてもよい。
この場合に、前記軸部材の軸方向において、前記動翼の位置と前記第1軸受の位置とが、少なくとも一部で重なり、かつ、前記静翼の位置と前記第2軸受の位置とが、少なくとも一部で重なることが好ましい。
【0008】
また、この場合に、前記軸部材の軸方向において、前記1又は複数の動翼が前記第1軸受と前記第2軸受との間に配置されていることが好ましい。
この場合に、前記第1軸受及び前記第2軸受のいずれか一方の軸受における、前記軸部材に固定される内周輪に対して、他方の軸受の方向への予圧が作用していてもよい。
【0009】
また、本発明の回転機器は、前記軸部材の軸方向において、前記動翼が、前記回転体の中央部に配置されていてもよい。
また、本発明の回転機器は、前記動翼は、筒状部と、当該筒状部に設けられた複数の羽根と、を備え、
前記複数の羽根が、前記筒状部の周方向において、所定の間隔で当該筒状部に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器の断面図である。
【
図2】本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器の透過斜視図である。
【
図3】本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器の軸線xを含む断面の透過断面図である。
【
図5】本発明の一例である第3の実施形態にかかる回転機器の透過斜視図である。
【
図6】本発明の一例である第3の実施形態にかかる回転機器の軸線xを含む断面の透過断面図である。
【
図7】本発明の一例である第4の実施形態にかかる回転機器の透過斜視図である。
【
図8】本発明の一例である第4の実施形態にかかる回転機器の軸線xを含む断面の透過断面図である。
【
図9】本発明の一例である第5の実施形態にかかる回転機器の軸線xを含む断面の断面図である。
【
図11】本発明の一例である第5の実施形態にかかる回転機器におけるロータの内部への冷却用の空気の流れを説明するための説明図(断面図)である。
【
図12】本発明の一例である第6の実施形態にかかる回転機器の軸線xの手前で断ち切った、軸線xと平行な断面の断面図である。
【
図13】本発明の一例である第6の実施形態にかかる回転機器から、中ハウジングを、その内周に設けられた静翼とともに抜き出して、軸線xを含む断面で切り出した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態にかかる回転機器について、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一例である第1の実施形態にかかる回転機器1の断面図である。
なお、本実施形態の説明において、上方乃至下方と云う時は、
図1における上下関係を意味し、重力方向における上下関係とは、必ずしも一致しない。
【0012】
さらに、軸線x方向(以下、「軸方向」ともいう。)において矢印a方向を上側aとし、矢印b方向を下側bとする。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから遠ざかる方向(矢印c方向)を外周側cとし、軸線xに向かう方向(矢印d方向)を内周側dとする。そして、回転軸xを中心とする円周方向(上側aから見た円周方向)の時計回りを周方向e、及び、反時計回りを周方向fとする。なお、周方向e及び周方向fは、
図1において図示されない。
【0013】
また、本実施形態の説明において、回転機器1内で回転する部分を「回転側」と、当該回転側の部材を支持して、自らは回転せず固定される部分を「固定側」と、それぞれ称する場合がある。また、自らは回転せず固定される部分は回転する部分に対して相対的に静止しているので、自らは回転せず固定される部分を静止部と呼称する場合がある。
以上説明した図面の上下関係や、軸線x方向、上側a、下側b、外周側c、内周側d、周方向e及び周方向f等の方向、並びに、「回転側」及び「固定側」等の部分を表す表現は、以降の全ての実施形態において同様である。
【0014】
本実施形態の回転機器1は、軸部材5と、当該軸部材5に対して回転可能な筒状の回転体であるロータ3と、ロータ3を囲む筒状のハウジング7と、ロータ3を軸部材5に対して支持する軸受4と、ロータ3の内側にあるステータ2と、ロータ3に設けられた複数の動翼6と、ロータ3の外面に対向する、ハウジング7の内面に設けられた静翼8と、を備えている。
【0015】
ステータ2は、軸部材5に固定され、軸部材5を軸として外周側cに放射状に延びる磁極部23を有するステータコア21と、磁極部23に巻き回されたコイル22と、を含む。図示のステータ2は、第1軸受41とステータ2との間隙に対して、第2軸受42とステータ2との間隙の方が大きくなるように、ハウジング7内に配置されている。
また、ステータコア21は、珪素鋼板等の磁性体を積み重ねた積層体となっており、軸部材5を取り囲むように同軸上に配された円環部24と、円環部24から外周側cへ向かって径方向に放射状に延びるように形成された複数の磁極部23と、からなる。
【0016】
コイル22は、ステータコア21において、複数の磁極部23の各々の周囲に巻き回されている。ステータコア21とコイル22とは、絶縁体で形成されたインシュレータ(不図示)によって絶縁されている。なお、インシュレータに代えて、ステータコア21の表面に絶縁膜を塗装してコイルと絶縁しても構わない。
【0017】
ロータ3は、ステータ2の外周側cで磁極部23と対向するマグネット31と、マグネット31が内周面に配置される筒状の筒部材32と、を含む。筒部材32は、軸部材5の軸を中心とする円筒状であり、ステータ2を取り囲んだ状態になっている。筒部材32は、筒部材32内部からの磁界の漏れを防ぐ機能を併せ持ち、磁性体により形成されている。なお、筒部材32は、特性上問題がなければ、例えば、アルミニウムやプラスチック等の非磁性体で形成されていても構わない。
【0018】
マグネット31は、ステータ2と対向するように筒部材32の内周面に取り付けられている。マグネット31は環状の形状を有しており、N極に着磁された領域と、S極に着磁された領域とが円周方向に沿って一定周期(又は一定の間隔)で交互に設けられている。マグネット31は環状の一体成形物であってもよいが、複数のマグネットを筒部材32の内周面に並べて取り付けて筒状に配置しても構わない。
【0019】
軸受4は、軸部材5の軸方向において、ステータ2の両側に配置されており、上側aに位置する第1軸受41及び下側bに位置する第2軸受42の2つを有する。即ち、マグネット31とステータ2は、軸部材5の軸方向において、第1軸受41と第2軸受42との間に位置する。第1軸受41及び第2軸受42は、同一構成(形状、構造、大きさ、材質が同一)の部材を用いている。以下、第1軸受41を取り上げて説明するが、第2軸受42についても同様に適用される。
【0020】
第1軸受41は、外周輪41aと、内周輪41bと、外周輪41a及び内周輪41b間に介在するベアリングボール41cと、を備える、いわゆるボールベアリングである。ベアリングボール41cが外周輪41aと内周輪41bとの間で転がることにより、外周輪41aに対する内周輪41bの回転抵抗が大幅に少なくなるようになっている。第1軸受41は、その機能から、例えば、鉄等の硬質の金属やセラミックス等の部材で形成されている。
【0021】
第1軸受41の内周輪41bは、軸部材5に隙間嵌めされた後、接着剤により固定される。よって第1軸受41の内周輪41bと軸部材5との間の間隙には接着剤が充填され、第1軸受41の内周輪41bは軸部材5に対して固定され、軸部材5とともに静止部となる。また、第2軸受の内周輪42bは、軸部材5に圧入により固定されており、軸部材5とともに静止部となる。ここで、軸部材5とハウジング7は、ロータ3に対して(相対的に)静止した部材である。よって、これらを総称して静止部材(静止部)と呼称している。
【0022】
第1軸受41の外周輪41a及び第2軸受42の外周輪42aは、筒部材32の両端部の内周面に固定されている。一方、第1軸受41の内周輪41b及び第2軸受42の内周輪42bは、軸部材5の外周面に固定される。これにより、軸部材5の軸線xを中心軸として、ロータ3が回転可能に構成されている。
図1に示すように、本実施形態において、軸受4(第1軸受41)の径方向における寸法である半径寸法tは、ステータ2の径方向における寸法である半径寸法sに比して、大きくなって(t>s)いる。
【0023】
軸部材5は、軽量化のために、例えばアルミニウムで形成され、中空状態(より詳しくは円筒状態)になっている。本実施形態において、軸部材5は、固定側の部材である。ステータ2、ロータ3、軸受4及び動翼6をハウジング7に対して支持する機能を有する部材なので、当該機能に応じた剛性が求められる。
【0024】
軸部材5の途中(中間部)には、不図示の開口部が設けられており、コイル22に接続された不図示のリード線が、当該開口部から軸部材5内部の空洞に引き込まれ、軸部材5の不図示の端部開口から回転機器1の外部に引き出されるようになっている。
本実施形態にかかる回転機器1において、筒部材32は、その両端部が第1軸受41及び第2軸受42によって閉塞されている。この閉塞された空間内にあるステータ2のコイル22に対して、給電しなければならない。
【0025】
本実施形態にかかる回転機器1では、軸部材5内部の空洞にリード線を通すことによって、筒部材32及び軸受4等により閉塞された空間内とその外部とを電気的に繋いでいる。そのため、当該リード線によって、閉塞された空間内にあるステータ2のコイル22に給電できるようになっている。
【0026】
以上のように構成された回転機器1におけるモータ部分(ステータ2、ロータ3、軸受4及び軸部材5で構成される部分を云う。以下同じ。)は、軸部材5に固定されたステータ2に対して、ステータ2を取り囲むロータ3が回転可能となっており、いわゆるアウターロータ型のブラシレスモータを構成する。一般的なアウターロータ型のブラシレスモータでは、ロータに固定された軸部材が回転し、軸部材によって回転力が取り出されるようになっているが、本実施形態にかかる回転機器1では、軸部材5は固定側の部材であり、ロータ3から直接回転力が取り出されるように構成されている。
【0027】
ハウジング7は、円筒状の形状を有する部材であり、例えば、プラスチックあるいは金属等で形成されている。ハウジング7における軸方向の両端は、不図示ではあるが、開口部(以下、上側aの開口部を「上端開口部」、下側bの開口部を「下端開口部」と称する。)になっている。ハウジング7の内周面と、筒部材32の外周面と、の間には、上端開口部から下端開口部に連通する空間77が通気路として形成されている。
【0028】
ロータ3の筒部材32の外周面には、軸部材5の軸方向(軸線x方向)における第1軸受41と重なる領域に、ハウジング7の内周面に向けて(外周側cへ)突出した動翼6が取り付けられている。動翼6は、筒部材32の外周面の周方向に所定の間隔で並んだ複数の羽根を備え、ロータ3の回転に連れ回るようになっており、動翼6の回転によって、その回転方向に応じて、空間77に上下いずれかの方向に向けて、空気が生じるようになっている。本実施形態の回転機器1においては、当該回転機器1を駆動させて動翼6を時計回りの周方向eに回転させることで、上端開口部から取り込んだ空気が下端開口部から吹き出すように構成されている。
【0029】
本実施形態の回転機器1では、動翼6のロータ3における軸線x方向位置が、上側aに偏っている。動翼6が、空気を取り入れる側の上端開口部に近いため、本実施形態の回転機器1は、空気の吸込み効率が高い。一方、動翼6の軸線x方向位置が上側aに偏っているため、ロータ3の重心位置をこれに合わせて上側aに偏らせるべく、マグネット31の軸線x方向位置も上側aに偏らせている。
【0030】
即ち、マグネット31と第2軸受42との間よりも、マグネット31と第1軸受41との間の方が、距離が近くなるような軸線x方向位置に、マグネット31を配している。マグネット31の軸線x方向位置を、動翼6の軸線x方向位置に近づけることで、ロータ3の重心位置と動翼6の軸線x方向における位置とが近づくため、ロータ3の回転を安定化し易い。ロータ3の回転の安定化は、ロータ3の高速回転化や回転機器1としての送風量の増加をもたらすことが見込まれる。
【0031】
ハウジング7は、モータ部分と動翼6とが収容された底部を有する筒状の本体部(以下、「ハウジング本体部」と称する。)78と、ハウジング本体部78の上部開口部を覆う蓋体71と、を含む。
蓋体71は、扁平な円筒状の筒状部(以下、「蓋筒状部」と称する。)71bと、蓋筒状部71bの上端から内周側dに向かう複数(例えば4本)のスポーク部(以下、「蓋スポーク部」と称する。)71aと、蓋スポーク部71aが繋がる円盤部(板部)71cと、を含む。蓋体71の上端における蓋スポーク部71a及び円盤部71c以外の領域が、上端開口部を構成している。
【0032】
一方、ハウジング本体部78は、円筒状の筒状部(以下、「ハウジング筒状部」と称する。)72と、静翼8の内周部と繋がるドーナツ状の支持部(以下、下方支持部と呼称する)74と、を含む。ハウジング本体部78の下端における下方支持部74以外の領域が、下端開口部を構成している。
【0033】
下方支持部74は、円環状の底面部74bと、底面部74bの外周側cの外周端から上側aに立ち上がる筒状部(以下、「外側筒状部」と称する。)74aと、底面部74bの内周側dの内周端から上側aに僅かに立ち上がる筒状部(以下、「内側筒状部」と称する。)74cと、を含む。なお、円環状の底面部74bは、内側筒状部74cを静翼8の内周部に繋げる連結部となっている。
【0034】
内側筒状部74cの内径は、軸部材5の端部と略同径、乃至、軸部材5の端部より僅かに小径となっており、軸部材5の端部が圧入されるようになっている。また、内側筒状部74cの上端は、第2軸受42の内周輪42bに接触し、第2軸受42の内周輪42bを押さえて位置決めしている。
【0035】
底面部74bの下側b側の面には、ハウジング7を支持するステージ75が、他の部材としての接合板76を介して接合されている。ステージ75は、下方から見て円環状の形状であり、回転機器1を他部材に支持させたり、載置させたりする際の接続部材、あるいは、支持台(足)として機能する。
【0036】
外側筒状部74aは、ハウジング筒状部72の内周面と、一定の間隔を保持して対向している。この外側筒状部74aとハウジング筒状部72との間には、静翼8が配されている。静翼8が配される位置は、軸部材5の軸方向(軸線x方向)における第2軸受42と重なる領域である。
【0037】
この静翼8とは、動翼6によって生じた下方に向いた風の流れを整流する機能を有する部材である。静翼8の形状としては、軸部材5の軸方向と平行に流路が複数並ぶように仕切る板状の形状であり、具体的には例えば、軸線xを中心軸とする径の異なる円筒状の板状の形状が、径方向に年輪状に配置された形状や、軸部材5の軸方向と平行な直管が多数並ぶように板状の形状で仕切る形状が挙げられる。後者については、上方または下方から見た穴の形状が、碁盤目状、ハニカム状、円が敷き詰められた形状、三角形が敷き詰められた形状、その他多角形が敷き詰められた形状等を挙げることができる。また、必要に応じて、流路の方向が、軸部材5の軸方向に対して斜めになるようにしても構わない。
【0038】
本実施形態においては、動翼6と静翼8が、軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、所定の間隔を置いて並んで配置されている。動翼6と静翼8とを所定の間隔を置くことで、空気の流れが有効に整流される。したがって、高い風圧で、より多量の空気を下端開口部から吐出することができる。
【0039】
動翼6と静翼8との間の「所定の間隔」としては、あまり近過ぎても整流効果が十分ではなく、あまり遠過ぎても風圧が低下してしまい、ともに好ましくない。「所定の間隔」の好ましい値としては、動翼6や静翼8の径、ハウジング7とロータ3との距離、動翼6の回転速度等種々の条件によって異なってくるが、大略、動翼6の付け根(筒部材32の外周面)から先端(外周側cの端部)までの長さL以上で、長さLの5倍(5L)以下の範囲程度から選択することが好ましく、2L以上4L以下の範囲程度から選択することがより好ましい。
【0040】
蓋体71における円盤部71cの下側b側の部分には、軸部材5の端部と嵌合するリング状のリブ71dが形成されている。このリブ71dの内側の凹部に軸部材5の端部を嵌合させることで、軸部材5の端部の位置決めをすることができる。ドーナツ状の固定部材92の孔に軸部材5を貫通させておき、この固定部材92を蓋体71における円盤部71cの下側b側の部分に、リブ71dに固定部材92が被さるように、固定することで、軸部材5の端部を位置決めすることができる。
【0041】
固定部材92の下面と第1軸受41の内周輪41bの上面との間には、弾性部材である皿ばね91が介在している。固定部材92によって上方から押え付けられた状態で固定された皿ばね91は、その弾性力により、第1軸受41の内周輪41bを下方に付勢する。即ち、皿ばね91と固定部材92の組み合わせにより、第1軸受41の内周輪41bに対して、第2軸受42の方向への予圧が作用している。
【0042】
この予圧の作用によって、軸部材5に隙間嵌めされた第1軸受41が備える内周輪41bを位置決めした状態で、接着剤などで軸部材5に第1軸受41の内周輪41bを固定することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、上側aの第1軸受41の内周輪41bに、第2軸受42の方向への予圧が作用する例を挙げているが、その逆の構成、即ち、下側bの第2軸受42の内周輪42bに、第1軸受41の方向への予圧が作用するようにしても、本実施形態と同様の効果が奏される。
【0044】
蓋筒状部71bの下端には、外周側cで下側bに向けて突出した突部71baと、内周側dで下側bの端部から上側aに向けて切り欠かれた切欠部71bbが形成されている。また、ハウジング筒状部72の上端には、内周側dで上側aに向けて突出した突部72aと、外周側cで上側aの端部から下側bに向けて切り欠かれた切欠部72bが形成されている。
【0045】
蓋体71の蓋筒状部71bとハウジング本体部78のハウジング筒状部72とは、蓋筒状部71bの突出部(以下、突部と呼称する)71baをハウジング筒状部72の凹部(以下、切欠部と呼称する)72bに、及び、ハウジング筒状部72の突部72aを蓋筒状部71bの切欠部71bbに相互に係合させることにより連結される。
【0046】
このように、本実施形態においては、ハウジング7がハウジング本体部78と蓋体71とが別体となっていて、蓋体71がハウジング本体部78から取り外せて、かつ、取り付けられるようになっている。蓋体71を取り外した状態で、動翼6が取り付けられたモータ部分をハウジング本体部78の内部に仮留めした後に、蓋体71を取り付けることで、本実施形態の回転機器1を製造することができる。モータ部分のハウジング本体部78への仮留めは、内側筒状部74cに軸部材5の端部を圧入することで為される。
【0047】
蓋体71とハウジング本体部78との間の結合方法としては、従来公知の方法、例えば、嵌合、螺合、係止、ビス留め、クリップ留め、テープ貼付、接着及び溶着等のいずれの方法であってもよい。ただし、蓋体71をハウジング本体部78に取り付けた後に、再度取り外せるようにしておけば、回転機器1が故障等した場合に、修理あるいは交換することができる。その観点からは、嵌合、螺合、係止、ビス留め、クリップ留めまたはテープ貼付が好ましい。
【0048】
以上の如き本実施形態にかかる回転機器1は、軸部材5が固定側で、当該軸部材5に対して、軸受4を介して回転体であるロータ3を回転させる構成なので、
図1に示すように、ステータ2の半径寸法sを軸受4の半径寸法tに比して小さく(t>s)することができている。そのため、ステータ2をごく小型のものにすることができる。
【0049】
ロータ3に当たる回転体と軸部材5に当たるシャフトとが固定されて共に回転する従来のアウターロータ型のブラシレスモータの構成による回転機器では、回転体の内部に位置する固定側であるステータと軸部材との間に軸受を配さなければならないことから、ステータの半径寸法sは、軸受4の半径寸法tに比して必然的に大きく(t<s)なってしまう。
【0050】
しかし、本実施形態の構成を具備すれば、ステータの半径寸法sを軸受の半径寸法tに比して小さく(t>s)することも、あるいは、両者を同じ(t=s)にすることも可能であり、回転機器全体の小型化を実現することができる。
【0051】
本実施形態にかかる回転機器1は、回転体であるロータ3の外周面に動翼6を設け、それを囲うように筒状のハウジング7を設けた構成にすることで、ハウジング7の両端開口部の一方を吸気口、他方を吐出口とし、ハウジング7の内部空間にモータ部分や動翼6を収納することができている。特に、空気が流れる流路(風路と呼称する場合もある)に動翼6が位置するため、省スペース化でき、回転機器全体の小型化を実現することができる。
【0052】
また、本実施形態にかかる回転機器1では、上端開口部から下端開口部に連通する空間77は、蓋スポーク部71a及び静翼8以外の部材により、空気の流れを阻害しないよう、空洞になっている。さらに、空間77は、円柱状のモータが占める空間を除き、直管状なので、空気がまっすぐに流れることができる。そのため、動翼6を回転させることによって、空気を、上端開口部から下端開口部に向けて、まっすぐに送り出すことができる。したがって、本実施形態にかかる回転機器1によれば、空気を効率的に送り出すことができ、強風及び大風量の供給を実現することができる。
【0053】
また、動翼6の下流(軸受42側)にあるハウジング筒状部72の部分に、整流のための静翼8を設けようとした場合に、静翼8も、そのままハウジング7の内部空間に納めることができ、省スペース化でき、回転機器のサイズアップを抑制することができる。このとき、静翼8による空気をさらに整流するためには、動翼6と静翼8との間をある程度離す(所定の間隔とする)ことが望まれる。本実施形態の構成によれば、ハウジング7の内部で、軸部材5の軸方向に動翼6と静翼8とを並べることができ、両者間の間隔を適度に調整し易い。そのため、本実施形態によれば、空気の整流効率を高く設計することが可能である。
【0054】
本実施形態においては、軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、動翼6の位置と第1軸受41の位置とが一部で重なり、かつ、静翼8の位置と第2軸受42の位置とが一部で重なる。第1軸受41の位置と少なくとも一部で重なるような位置に動翼6の位置を配することで、空気を取り入れる側の上端開口部に近づけて、空気の吸込み効率を高められるとともに、第2軸受42の位置と少なくとも一部で重なるような位置に静翼8を配することで、動翼6と静翼8との間隔を確保することができ、小型でありながら、静翼による整流効率を高くすることができる。
【0055】
また、回転する軸部材がモータから突出する従来のモータの構成による回転機器では、軸部材の一方側が支持されつつ回転し、突出した他端側から回転力を取り出すことになるため、回転のブレが生じやすいが、本実施形態にかかる回転機器1は、軸受4で支持されたロータ3自体が回転体として回転するため、ロータ3の回転が安定する。
【0056】
また、本実施形態にかかる回転機器1は、ロータ3の両端部に第1軸受41及び第2軸受42がそれぞれ固定されて、回転体となるロータ3が支持されているので、軸部材5に対してロータ3の回転が安定する。特に、回転体であるロータ3の構成部材であり、所定の重量を有するマグネット31が、軸部材5の軸方向において、ロータ3を回転可能に支持する第1軸受41と第2軸受42との間にあるので、軸方向におけるバランスが良好になり、ロータ3の回転が安定化する。
【0057】
なお、軸受の配される位置としては、本実施形態の如く、回転体の両端部であることがより望ましいが、回転体の両端部近傍であれば、軸部材に対する回転体の回転は十分に安定した状態になる。ここで云う「近傍」とは、回転体の両端部寄りの位置であればよく、数値で明確に定義できるものではないが、例えば、回転体の軸方向における両端から20%の長さの領域、好ましくは両端から10%の長さの領域は、「両端部近傍」の概念に含まれる。
【0058】
さらに、本実施形態にかかる回転機器1においては、第1軸受41と第2軸受42とが同一構成の部材であるため、軸受4の一部である外周輪41a,42aとロータ3とからなる回転部分の軸方向のバランスが良好になり、さらには、回転機器1全体としての軸方向のバランスが良好になるため、かかる観点からも、ロータ3の回転が安定化する。
【0059】
以上のように、本実施形態にかかる回転機器1は、装置全体の小型化を実現できるとともに、ロータ3の回転にブレが生じ難く、高精度の安定化を達成することができる。
また、ロータ3の回転の安定化は、回転ムラが生じ難くなることを意味するため、回転機器1の高トルク化を実現することもできる。即ち、本実施形態にかかる回転機器1は、小型化を実現しながら、回転機器としての特性に優れたものを提供することができる。
【0060】
以上説明した第1の実施形態では、軸部材5の上下両端部が、ハウジング7に固定されている構成を例に挙げているが、固定側の軸部材5が何らかの形でハウジング7に固定されればよいので、少なくとも一方の端部乃至その近傍がハウジングに固定されていれば構わない。
【0061】
また、第1の実施形態では、円盤部71cの下側b側の部分に固定部材92を固定し、さらに固定部材92によって皿ばね91が上方から押さえ付けられた状態で固定されているが、この構成に限定されない。必要に応じて固定部材92及び皿ばね91の双方またはその一方を設けなくても構わない。
【0062】
また、必要に応じて、軸部材5の軸方向において、第2軸受42とマグネット31との間にスペーサを設け、このスペーサを用いて、軸部材の軸方向における筒部材32の内面における第2軸受42の位置決めをしても構わない。この場合、マグネット31の第2軸受42側の端部のうち、ステータ2寄りの部位を第2軸受42側に突出するように配置して、スペーサを支持する構成にしても構わない。
また、必要に応じて、軸部材5の軸方向において、第2軸受42とマグネット31との間に、スペーサを設けなくても構わない。
【0063】
また、第1の実施形態では、回転機器1がハウジング7を備えているが、必要に応じて、ハウジング7を設けなくても構わない。よって、本願における回転機器1はハウジング7を備えている、またはハウジング7を備えていない構成を含んでいる。また、本願には、軸部材と、前記軸部材に対して回転可能な筒状の回転体と、前記回転体を前記軸部材に対して支持する軸受と、前記回転体の内側にあるステータと、前記回転体に設けられた1又は複数の動翼と、を備える回転機器が開示されている。また、この回転機器によれば小型化を図ることができる。さらに、この回転機器は、筒部材の内面に取り付けられたマグネットを備え、第1軸受側におけるマグネットの端部は第1軸受側におけるステータの端部より第2軸受側にあり、第2軸受側におけるマグネットの端部は第2軸受側におけるステータの端部より第2軸受側にあり、軸部材の軸方向において、動翼は第1軸受又は第1軸受側におけるマグネットの端部に重なる位置にあることが開示されている。また、回転機器は、軸部材の軸方向において、動翼の一部と重なる位置に設けられたマグネットの一部(例えば第1軸受側の端部)を備えていることが開示されている。この回転機器によれば、軸方向におけるバランスを良好にすることができる。
【0064】
また、必要に応じて、ハウジング筒部72と下方支持部74とを一体に形成したり、1つの部材で形成したりすることが挙げられる。
【0065】
また、第1の実施形態では、ロータ3の筒部材32の外周面には、軸部材5の軸方向(軸線x方向)における第1軸受41と重なる領域に、ハウジング7の内周面に向けて(外周側cへ)突出した動翼6が取り付けられている。これに限定されず、動翼6はロータ3の筒部材32の外周面に直接、あるいは、他の部材を介して取り付けられていても構わない。
【0066】
また、第1の実施形態では、ロータ3の筒部材32の外周面には、軸部材5の軸方向(軸線x方向)における第1軸受41と重なる領域に、ハウジング7の内周面に向けて(外周側cへ)突出した動翼6が周方向に複数取り付けられている。これに限定されず、複数の動翼を軸部材5の軸方向に並べて配置しても構わない。
【0067】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の一例である第2の実施形態にかかる回転機器201の透過斜視図であり、
図3は、回転機器201の軸線xを含む断面の透過断面図である。
図2及び
図3において、ハウジング207が、想像線(二点鎖線)で描かれることで、透過状態で示されている。
【0068】
また、
図4は、回転機器201の軸線x方向と垂直な断面(
図2におけるA-A断面)の断面図である。なお、
図4においては、ハウジング207を示す想像線が省略されている。
本実施形態にかかる
図2、
図3及び
図4においては、第1の実施形態と同一の構成の部材に同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。以下の説明においては、主に、本実施形態に特有の構成を中心に説明する。
以下の実施形態に記載される、吸引口、排出口は通気口であり、空気の方向に対応させる関係上、便宜上、吸引口、排出口として記載している。空気の方向により、吸引口は排出口になり、排出口は吸引口にもなり、各実施形態における吸引口及び排出口の記載により本発明は限定されない。
【0069】
本実施形態にかかる回転機器201においては、ハウジング207が、筒状の第1ハウジング(以下、上ハウジングと呼称する)207aと第2ハウジング(以下、下ハウジングと呼称する)207bの2部材により構成される。上ハウジング207a及び下ハウジング207bを
図2及び
図3に示すように嵌合させて固定することによって、一体化したハウジング207が構成される。
【0070】
ハウジング207の内部には、回転機器201の構成部品の一部が収容されており、軸部材5が、上ハウジング207aの上端部及び下ハウジング207bの下端部に固定されている。これらハウジング207及び軸部材5は、固定側の部材を構成している。また、上ハウジング207aの上端部及び下ハウジング207bの下端部には、上端開口部275と下端開口部276が設けられ、上側開口部275と下側開口部276はそれぞれ軸部材5を囲んでいる。
【0071】
本実施形態にかかる回転機器201においては、動翼206が、ロータ203の外周面における、軸線x方向の中央部に取り付けられている。動翼206は、周方向において、筒状部261の外周面に複数の羽根262が所定の間隔で設けられており、放射状に延びている。また、
図4に示されるように、軸線x方向の一方側(
図4においては上側a)から見ると、それぞれの動翼206の一部が重なって、隙間なく配置された状態になっている。
【0072】
動翼206は、ロータ203とともに回転し、回転した動翼206によって、動翼206の回転に応じて、空気の流れが生じる。この空気の流れは、ハウジング207とロータ203との間の空間277において、軸部材5の軸方向における上方向及び下方向のいずれかの方向に向けて、生じるようになっている。
【0073】
本実施形態の回転機器201においては、回転機器201を駆動させて動翼206を反時計回りの周方向fに回転させることで、上端開口部275から取り込んだ空気が下端開口部276から吹き出すように構成されている。
【0074】
軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、動翼206が、ロータ203(回転体)の外周面の中央部に配置されている。ロータ203の中央の位置は、軸部材5の軸方向において、ロータ203に生じた振動の振幅が比較的小さいため、ロータ203に生じた振動がハウジング207へと伝搬しにくくなり、回転機器全体における振動の発生を抑制することができる。
【0075】
ロータ203の筒部材232には、通気口としての吸引口233と通気口としての排出口234が設けられている。軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、吸引口233は、第1軸受(軸受)41と動翼206との間にある筒部材232の部分に設けられている。排出口234は、第2軸受(軸受)42と動翼206との間にある筒部材232の部分に設けられている。吸引口233及び排出口234は、周方向efが長手となる長方形の形状に形成されている。複数の吸引口233と複数の排出口234はそれぞれ周方向efに等間隔に並んでいる。なお、ロータ203の回転方向に応じて、吸引口233が排出口になり、排出口234は吸引口になっても構わない。
【0076】
動翼206の回転によって、下方向(矢印b方向)に向けて、空間277に生じた空気の影響により、吸引口233からロータ203の内部に空気が吸引され、排出口234から空気が排出される。吸引口233から取り込まれた空気は、ロータ3の内部で、ステータコア21及びコイル22を備えるステータ2を冷却しながら、ステータコア21の複数の磁極部23の間や、マグネット31とステータ2との間に形成された磁気ギャップGを通り、排出口234から排出される。
【0077】
したがって、本実施形態にかかる回転機器201においては、多くの冷却用の空気をロータ203内部に送り込むことができ、加熱したコイルを備えるステータ2を効率的に冷却することができる。
その他、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の構成については、同様の作用が生じ、同様の効果が奏される。
【0078】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の一例である第3の実施形態にかかる回転機器301の透過斜視図であり、
図6は、回転機器301の軸線xを含む断面の透過断面図である。
なお、本実施形態にかかる
図5及び
図6においては、第1の実施形態乃至第2の実施形態と同一の構成の部材に同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。以下の説明においては、本実施形態のうち、主に、上記実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0079】
本実施形態にかかる回転機器301においては、2つの動翼306a,306bが、ロータ303の外周面における、軸線x方向の上下2箇所に取り付けられている。それぞれの動翼306a,306bは、同一形状であり、第2の実施形態における動翼206と同様、筒状部361a,361bの外周に複数の羽根362a,362bが所定の間隔で放射状に設けられた構成である。その他の構成についても、第2の実施形態における動翼206と同様になっている。
【0080】
動翼306a,306bは、ロータ303とともに回転し、動翼306a,306bの回転によって空気の流れが生じ、空間377に上下いずれかの方向に向けて、空気が流れるようになっている。2つの動翼306a,306bがあることで、風量と風速を高めることができる。
本実施形態の回転機器301においては、回転機器301を駆動させて動翼306a,306bを反時計回りの周方向fに回転させることで、上端開口部275から取り込んだ空気が下端開口部276から吹き出すように構成されている。
【0081】
ロータ303の径方向において、動翼306aは軸受41に対してハウジング207側にある筒部材332の外周面に配置されている。また、ロータ303の径方向において、動翼306bは軸受42に対してハウジング207側にある筒部材332の外周面に配置されている。また、これら動翼306aと動翼306bは、軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、ロータ303(回転体)の中央部から等距離に配置されている。
【0082】
軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、動翼306aの位置と第1軸受41の位置とが重なっており、かつ、動翼306bの位置と第2軸受42の位置とが重なっている。第1軸受41の位置と少なくとも一部で重なるような位置に動翼306aを配置することで、空気を取り入れる側の上端開口部275に近づけて、空気の吸込み効率を高めることができる。また、第2軸受42の位置と少なくとも一部で重なるような位置に動翼306bを配置することで、空気を吹き出す側の下端開口部276に近づけて、空気の吹き出し効率を高めることができる。
【0083】
また、動翼306a及び動翼306bによる空気が流れる方向(即ち、軸部材5の軸方向(軸線x方向)と同じ。)において、動翼306aに対して動翼306b側の位置に吸引口233が設けられ、動翼306bに対して動翼306a側の位置に排出口234が設けられている。
【0084】
例えば、上端開口部275から取り込まれ動翼306aにより送り込まれた空気は、動翼306aに対して動翼306b側における空間377の一部である領域では、比較的高圧になる。比較的高圧になった領域に吸引口233が設けられているので、ハウジング207とロータ303の間を通過する空気の流れ(以下、「メインの空気の流れ」と称する場合がある。)とは別に、吸引口233からロータ303の内部の空間に押し込まれるように、ロータ303内部の冷却用の空気(以下、単に「冷却用の空気」と称する場合がある。)が効率的にロータ303内に吸引される。また、動翼306bにより下端開口部276へと空気が送り出されて、動翼306bに対して動翼306a側における空間377の他の一部である領域では比較的低圧になる。比較的低圧になった空間377の他の一部である領域に排出口234が設けられているので、ロータ303の内部から引き出されるように、冷却用の空気がロータ303の外部へ効率的に排出される。
【0085】
したがって、本実施形態にかかる回転機器301においては、より多くの冷却用の空気をロータ303内部に送り込むことができ、加熱するコイルを備えるステータ2をより効率的に冷却することができる。
その他、本実施形態においても、第1の実施形態、あるいは第2の実施形態と同様の構成については、同様の作用が生じ、同様の効果が奏される。
【0086】
[第4の実施形態]
図7は、本発明の一例である第4の実施形態にかかる回転機器401の透過斜視図であり、
図8は、回転機器401の軸線xを含む断面の透過断面図である。
なお、本実施形態にかかる
図7及び
図8においては、第1の実施形態乃至第2の実施形態と同一の構成の部材に同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。以下の説明においては、主に、本実施形態に特有の構成を中心に説明する。
【0087】
本実施形態にかかる回転機器401においては、動翼406が、ロータ203の外周面における、軸線x方向の上方(第1軸受41側)の部分に取り付けられている。動翼406は、第2の実施形態における動翼206と同様であり、筒状部461の外周面に複数の羽根462が所定の間隔で配置されており、径方向において放射状に延びた構成である。その他の構成についても、第2の実施形態における動翼206と同様になっている。
【0088】
本実施形態にかかる回転機器401においては、軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、動翼406の位置が軸受41の位置と重なっており、径方向において、動翼406の一部は筒部材232を介して軸受41と対向している。また、軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、リング部材409(以下、バランスリングと呼称する)が筒部材232に設けられている。このバランスリング409の位置が軸受42の位置と重なっており、径方向において、バランスリング409の一部は筒部材232を介して軸受42と対向している。
【0089】
また、軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、ロータ203(回転体)の中央部を中心として、動翼406と対称の位置に、バランスリング409が配置されている。バランスリング409の重量は、軸部材5の軸方向において、ロータ203の両端部における重量が同じになるように調整されている。または、バランスリングの重量は、動翼406と同じになるように調整されている。そのため、回転側の部材(ロータ203、動翼406及びバランスリング409等)について、軸部材5の軸方向(軸線x方向)における重心の位置は、たとえばロータ203の中央になるように調整されている。バランスリングは、例えば樹脂部材や、金属部材など、ウエイトとなる部材で形成されている。
【0090】
軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、動翼406の位置と第1軸受41の位置とが重なっている。第1軸受41の位置と少なくとも一部で重なるような位置に動翼406を配することで、空気を取り入れる側の上端開口部275に近づけて、空気の吸込み効率を高めることができる。
【0091】
また、軸部材5の軸方向において、動翼406による空気の方向(即ち、軸部材5の軸方向(軸線x方向)と同じ。)において、動翼406に対してバランスリング409側の位置に吸引口233が設けられている。
【0092】
したがって、本実施形態にかかる回転機器401においては、より多くの冷却用の空気をロータ203の内部空間に送り込むことができ、加熱したコイルを有するステータ2をより効率的に冷却することができる。
その他、本実施形態においても、第1の実施形態、あるいは第2の実施形態と同様の構成については、同様の作用が生じ、同様の効果が奏される。
【0093】
[第5の実施形態]
図9は、本発明の一例である第5の実施形態にかかる回転機器501の軸線xを含む断面の断面図である。また、
図10は、回転機器501の軸線x方向と垂直な断面(
図9におけるB-B断面)の断面図である。
【0094】
なお、本実施形態にかかる
図9及び
図10においては、第3の実施形態(さらには、第1の実施形態乃至第2の実施形態)と同一の構成の部材に同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。以下の説明においては、主に、本実施形態に特有の構成を中心に説明する。
【0095】
本実施形態にかかる回転機器501においては、第3の実施形態にかかる回転機器301と、ハウジング507の構成のみが異なっている。即ち、本実施形態において、ハウジング507は、凹状の第1ハウジング(以下、上ハウジングと呼称する)507aと、筒状の第2ハウジング(以下、中ハウジングと呼称する)507bと、凹状の第3ハウジング(以下、下ハウジングと呼称する)507cの3つの部材により構成される。また上ハウジング507aにおいて、ハウジング507の一方の端部となる上部には、上端開口部275が形成されている。また、下ハウジング507cにおいて、ハウジング507の他方の端部となる下部には、下端開口部276が形成されている。上ハウジング507a、中ハウジング507b及び下ハウジング507cを
図9に示すように嵌合させて固定することによって、一体化したハウジング507が構成される。
【0096】
動翼306aは、上ハウジング507aに取り囲まれた状態で配置されている。動翼306bは、下ハウジング507cに取り囲まれた状態で配置される。したがって、第3の実施形態と同一の構成であるならば、中ハウジング507bとロータ203との間の空間577には、開放された空間となる空洞が広がっている。本実施形態においては、この空間577に静翼579が設けられている。この静翼579は、例えば、2つの動翼306a,306bの間に位置するハウジング307の内周面の一部分、または第4の実施形態における動翼406とバランスリング409との間に位置するハウジング207の内周面の一部分に設けられており、このような静翼を、以下「中間静翼」と称する。
【0097】
図10に示されるように、中間静翼579は、中ハウジング507bの内周面の一部から軸線x方向に向けて延在し、中ハウジング507bの内周面の一部からロータ203に向かって延びている。また、中間静翼579は、軸線xと平行な面で構成された板状の形状であり、周ef方向に等間隔に複数(本実施形態では8個)設けられている。中間静翼579が設けられることで、空間577は、複数の中間静翼579により、空気が流れる流路に沿って複数(本実施形態では8つ)の風の通り道(以下、「風路」と称する。)に仕切られる。
本実施形態によれば、中間静翼579によって空間577が複数の風路に仕切られることで、空気の流れが整流され、風量をアップさせることができる。
【0098】
また、本実施形態にかかる回転機器501においては、第2~第4の実施形態と同様、ロータ203の筒部材232に、吸引口233と排出口234がそれぞれ設けられている。この吸引口233及び排出口234と中間静翼579とが組み合わされることによって、ロータ3の内部へ冷却用の空気をより効率的に取り込むことができる。
【0099】
図11に、ロータ3の内部への冷却用の空気の流れを説明するための説明図を示す。
図11は、
図9と同様の透過断面図である。
動翼306a及び動翼306bによるメインの空気の方向(即ち、軸部材5の軸方向(軸線x方向)と同じ。)において、動翼306aに対して動翼306b側の位置に吸引口233が設けられ、動翼306bに対して動翼306a側の位置に排出口234が設けられている。軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、吸引口233の位置は中間静翼579の上端部の位置と重なり、排出口234の位置は中間静翼579の下端部の位置と重なっている。
【0100】
上端開口部275から取り込まれ動翼306aにより送り込まれた空気は、動翼306aに対して動翼306b側における空間577の一部の領域へと流れる。この領域に流れ込んだ空気は、複数の中間静翼579により仕切られた空間を通過して整流され、メインの空気とは別に、この領域に設けられた吸引口233からロータ203の内部に、空気が整流された状態で押し込まれ、ステータ2を冷却する。
【0101】
よって、
図11の点線矢印で示されるように、ロータ203の内部に空気がより効率的に吸引される。吸引口233から取り込まれた冷却用の空気は、
図11の実線矢印で示されるように、ロータ203の内部で、ステータコア21及びコイル22からなるステータ2を冷却しながら、ステータ2に形成された間隙(例えば、複数の磁極部23間の間隙、ステータコア21とマグネット31との間の間隙G)を通り、軸受42に向けて流れていく。
【0102】
一方、メインの空気では、動翼306bにより下端開口部276へと空気が送り出されて、動翼306bに対して動翼306a側にある空間577の一部の領域へと流れる。この領域に流れ込んだ空気は、複数の中間静翼579により仕切られた空間を通過して整流され、さらに動翼306bにより空気が下端開口部276へと排出される。よって、
図11の点線矢印で示されるように、ロータ203の内部から排出される冷却用の空気とともに、メインの空気がより効率的に排出される。
【0103】
したがって、本実施形態にかかる回転機器501においては、より一層多くの冷却用の空気をロータ203内部に送り込むことができ、加熱したコイルを有するステータ2をより一層効率的に冷却することができる。
その他、本実施形態においても、第1の実施形態、第2の実施形態、あるいは第3の実施形態と同様の構成については、同様の作用が生じ、同様の効果が奏される。
【0104】
[第6の実施形態]
図12は、本発明の一例である第6の実施形態にかかる回転機器601の軸線xの手前で断ち切った、軸線xと平行な断面の透過断面図である。本実施形態にかかる回転機器601においては、第5の実施形態にかかる回転機器501と、中ハウジングの内周面に設けられた静翼の構成のみが異なっている。
【0105】
したがって、本実施形態にかかる
図12においては、第5の実施形態と同様、第3の実施形態(さらには、第1の実施形態乃至第2の実施形態)と同一の構成の部材に同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。以下の説明においては、主に、本実施形態に特有の構成を中心に説明する。
【0106】
本実施形態におけるハウジング607は、第5の実施形態と同様、上ハウジング507aと、筒状の中ハウジング607bと、下ハウジング507cの3部材により構成される。上ハウジング507a、中ハウジング607b及び下ハウジング507cを
図12に示すように嵌合させて固定することによって、一体化したハウジング607が構成される。
【0107】
図13は、本実施形態にかかる回転機器601から、中ハウジング607bを、その内周面に設けられた中間静翼(静翼)679a,679bとともに抜き出して、軸線xを含む断面で切り出した断面図である。
図13に示されるように、中間静翼679a,679bは、第5の実施形態と同様に板状の形状であり、中ハウジング607bの内周面から軸線x方向に向けて延在している。また、ロータ203の径方向において、中間静翼679a,679bは、中ハウジング607bの内周面からロータ203に向けて延在している。しかし、中間静翼679a,679bは、第5の実施形態とは異なり、軸線xに対して傾斜した面を有している。
【0108】
中間静翼679aは、上方(軸受41側にある中ハウジング607bの一部分)から下方(軸受42側にある中ハウジング607bの他の一部分)に向けて反時計回り(周方向f)に傾斜して設けられ、中間静翼679bは、上方から下方に向けて時計回り(周方向e)に傾斜して設けられている。
【0109】
中間静翼679a及び中間静翼679bは、周方向efに交互に配置されており、傾斜の方向が互い違いになっている。具体的には、ロータ203の周方向において、中間静翼679aのうち、一方の端部679a1(軸受41又は動翼306a側における端部)の位置は、他方の端部(軸受42又は動翼306b側における端部)の位置と異なっている。同様に、ロータ203の周方向において、中間静翼679bのうち、一方の端部679b1(軸受41又は動翼306a側における端部)の位置は、他方の端部679b2(軸受42又は動翼306b側における端部)の位置と異なっている。
【0110】
また、ロータ203の周方向において、中間静翼679aの一方の端部679a1は中間静翼679bの一方の端部679b1に近接しており、中間静翼679aの他方の端部679a2は中間静翼679bの他方の端部679b2に離間している。言い換えれば、ロータ203の周方向において、中間静翼679aの一方の端部679a1と中間静翼679bの一方の端部679b1との間の距離は、中間静翼679aの他方の端部679a2と中間静翼679bの他方の端部679b2との間の距離より小さい。
【0111】
中間静翼679a及び中間静翼679bが設けられることで、空間677は、メインの空気の流路に沿って複数(本実施形態では8つ)の風路に仕切られる。
本実施形態によれば、中間静翼679a,679bによって空間677が複数の風路677x,677yに仕切られることで、空気の流れが整流され、風量をアップさせることができる。
【0112】
ロータ203の周方向における、中間静翼679aとその周方向f側の隣の中間静翼679bとの間の風路677xの幅は、空気が流れる方向にむけて狭まるように形成されている。一方、ロータ203の周方向における、中間静翼679aとその周方向e側の隣の中間静翼679bとの間の風路677yの幅は、空気が流れる方向にむけて拡大するように形成されている。すなわち、互いに隣接する中間静翼679a、679bで形成される風路677xにおいて、軸受41又は動翼306a側における風路677xは広く、軸受42又は動翼306b側における風路677xは狭い。
【0113】
動翼306a及び動翼306bによるメインの空気の方向(即ち、軸部材5の軸方向(軸線x方向)と同じ。)において、動翼306aの位置に対して動翼306b側の通気口633が設けられ、動翼306bの位置に対して動翼306a側に通気口634が設けられている。通気口633は、第2~第5の実施形態における吸引口233と、通気口634は、第2~第5の実施形態における排出口234と、それぞれ同一のものである。軸部材5の軸方向(軸線x方向)において、通気口633の位置は中間静翼679a,679bの上端部の位置と重なり、通気口634の位置は中間静翼679a,679bの下端部の位置と重なっている。
【0114】
風路677yでは、上流(軸受41又は動翼306a側)における風路677y内の空気は密となっており、下流(軸受42又は動翼306b側)における風路677y内の空気は疎となっている。そのため、風路677yは下流に向けて広がっているので、空気が密な状態から疎な状態になり、膨張されて、下端部側(軸受42又は動翼306b側)における風路677yでの圧力は低圧になり、上端部側(軸受41又は動翼306a側)における風路677yでの圧力は相対的に高圧になる。この圧力差によって、相対的に高圧になっている風路677y内の空気が通気口633を介してロータ203内に冷却用の空気が取り込まれ、相対的に低圧になっている風路677y内の空気が通気口634を介してロータ203の外に冷却用の空気が排出される。
【0115】
風路677xでは、通気口633,634を通過する冷却用の空気の流れが、風路677yと逆向きになる。
風路677xでは、下流(軸受42又は動翼306b側)における風路677x内の空気は密になっており、上流(軸受41又は動翼306a側)における風路677x内の空気は疎となっている。
【0116】
そのため、風路677xは上流に向けて広がっているので、空気が疎な状態から密な状態になり、圧縮されて、下端部側(軸受42又は動翼306b側における風路677xでの圧力は相対的に高圧になり、上端部側(軸受41又は動翼306a側)における風路677xでの圧力は相対的に低圧になる。この圧力差によって、相対的に高圧になっている風路677x内の空気が通気口634を介してロータ203内に冷却用の空気が取り込まれ、相対的に低圧になっている風路677x内の空気が通気口633を介してロータ203の外に冷却用の空気が排出される。
【0117】
以上のように、本実施形態にかかる回転機器601では、周方向efにおいて、異なる2つの傾斜の方向が互い違いに並んだ配列を構成する、複数の中間静翼679a及び複数の中間静翼679bにより、風路677x,677yの幅が、空気の進行方向において漸次変化している。そのため、それぞれの風路677x,677yにおいて、空気の流れの上流と下流とで圧力差が生じる。圧力差が大きくなった風路677x,677yの上端部及び下端部に通気口633,634が配置されていることで、通気口633,634を通じて冷却用の空気がロータ203の内部に強制的に取り込まれ、あるいは排出されるようになっている。
【0118】
したがって、本実施形態にかかる回転機器601においては、より一層多くの冷却用の空気を強制的にロータ203内部に送り込むことができ、加熱するコイルを有するステー
タ2を効率的に冷却することができる。
その他、本実施形態においても、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、あるいは第5の実施形態と同様の構成については、同様の作用が生じ、同様の効果が奏される。
【0119】
以上、本発明の回転機器について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の回転機器は、上記の実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、各実施形態に特有の構成を組み合わせても構わない。例を挙げると、第1の実施形態に特有の構成(皿ばね91によって第1軸受41の内周輪41bに予圧を作用させる構成等)を、第2~第6の実施形態に適用しても構わない。
【0120】
また、上下一対の動翼306a,306bを備える例を挙げて説明した第5の実施形態や第6の実施形態に特有の中間静翼579や中間静翼679a,679bを(ハウジング507やハウジング607とともに)第4の実施形態に適用しても構わない。第4の実施形態は、上方の動翼406と下方のバランスリング409とが対を成す点があり、動翼406とバランスリング409の間には、中間静翼579や中間静翼679,679bを設けることができる空間477がある。
【0121】
また、空気は冷媒などの気体であっても構わない。
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の回転機器を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0122】
1…回転機器、2…ステータ、3…ロータ(回転体)、4…軸受、5…軸部材、6…動翼、7…ハウジング、8…静翼、21…ステータコア、22…コイル、23…磁極部、24…円環部、31…マグネット、32…筒部材、41…第1軸受(軸受)、41a,42a…外周輪、41b,42b…内周輪、41c,42c…ベアリングボール、42…第2軸受(軸受)、71…蓋体、71a…蓋スポーク部、71b…蓋筒状部、71ba…突部、71bb…切欠部、71c…円盤部、71d…リブ、72…ハウジング筒状部、72a…突部、72b…切欠部、74…下方支持部、74a…外側筒状部、74b…底面部、74c…内側筒状部、77…空間、78…ハウジング本体部、91…皿ばね、92…固定部材、201…回転機器201、203…ロータ、206…動翼、207…ハウジング、207a…上ハウジング、207b…下ハウジング、232…筒部材、233…吸引口、234…排出口、261…筒状部、262…羽根、275…上端開口部、276…下端開口部、277…空間、301…回転機器201、303…ロータ、306a,306b…動翼、361a,361b…筒状部、362a,362b…羽根、377…空間、401…回転機器、403…ロータ、406…動翼、409…バランスリング(リング部材)、461…筒状部、462…羽根、501…回転機器、507…ハウジング、507a…上ハウジング、507b…中ハウジング、507c…下ハウジング、577…空間、579…中間静翼(静翼)、601…回転機器、607…ハウジング、607b…中ハウジング、633…通気口、634…通気口、677…空間、677x,677y…風路、679a,679b…中間静翼(静翼)。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸方向に配置された第1軸受および第2軸受を有するモータ部と、
前記モータ部の外周面を囲むハウジングと、
前記モータ部の外周面と前記ハウジングとの間に形成された通気路と、
前記モータ部に設けられた動翼と、
前記ハウジングに設けられた静翼と、を備え、
前記ハウジングは、前記第1軸受側の開口部と、前記第2軸受側の開口部とを備え、
空気が前記第1軸受側の開口部から取り込まれ、前記第2軸受側の開口部から吹き出され、
前記回転軸方向において、前記第1軸受と重なる領域にある前記動翼と、当該動翼に対して前記第2軸受側にある前記静翼は並んで配置されており、
前記回転軸方向において、前記静翼は、前記第1軸受側における第1端部と、前記第2軸受側における第2端部と、を備え、
径方向において、前記第2軸受側における第2端部の内周面は、前記モータ部の外周面から離れている、回転機器。
【請求項2】
回転軸方向に配置された第1軸受および第2軸受を有するモータ部と、
前記モータ部の外周面を囲むハウジングと、
前記モータ部の外周面と前記ハウジングとの間に形成された通気路と、
前記モータ部に設けられた動翼と、
前記ハウジングに設けられた静翼と、を備え、
前記ハウジングは、前記第1軸受側の開口部と、前記第2軸受側の開口部とを備え、
空気が前記第1軸受側の開口部から取り込まれ、前記第2軸受側の開口部から吹き出され、
前記回転軸方向において、前記第1軸受と重なる領域にある前記動翼と、当該動翼に対して前記第2軸受側にある前記静翼は並んで配置されており、
前記回転軸方向において、前記静翼は、前記第1軸受側における第1端部と、前記第2軸受側における第2端部と、を備え、
径方向において、前記第1軸受側における第1端部の内周面は、前記モータ部の外周面から離れている、回転機器。
【請求項3】
回転軸方向に配置された第1軸受および第2軸受を有するモータ部と、
前記モータ部の外周面を囲むハウジングと、
前記モータ部の外周面と前記ハウジングとの間に形成された通気路と、
前記モータ部に設けられた動翼と、
前記ハウジングに設けられた静翼と、を備え、
前記ハウジングは、前記第1軸受側の開口部と、前記第2軸受側の開口部とを備え、
空気が前記第1軸受側の開口部から取り込まれ、前記第2軸受側の開口部から吹き出され、
前記回転軸方向において、前記第1軸受側にある前記動翼と、当該動翼に対して前記第2軸受側にある前記静翼は並んで配置されており、
前記回転軸方向において、前記静翼は、前記第1軸受側における第1端部と、前記第2軸受側における第2端部と、を備え、
径方向において、前記第1軸受側における第1端部の内周面は、前記モータ部の外周面から離れており、
径方向において、前記第2軸受側における第2端部の内周面は、前記モータ部の外周面から離れている、回転機器。
【請求項4】
前記回転軸方向において、前記モータ部は、前記第1軸受と前記第2軸受の間にあるマグネットおよびステータを備える、請求項1から3のいずれかに記載の回転機器。
【請求項5】
前記モータ部はスペーサを備え、
前記回転軸方向において、前記スペーサは前記第2軸受の位置決めをしている、請求項1から3のいずれかに記載の回転機器。