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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103595
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ポイント付与システムおよび車両
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240725BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086813
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2023002062の分割
【原出願日】2018-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 吉一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
(72)【発明者】
【氏名】大塚 泰治
(57)【要約】
【課題】ユーザに充電しようとする動機を与えることができるポイント付与システムおよび車両を提供する。
【解決手段】ポイント付与システムは、モータとバッテリを備える車両で使用される端末(スマートフォンSP)と、サーバ300とを備える。端末は、ユーザ識別情報をサーバ300に送信するとともに、ゲームアプリが提供するゲームの結果に基づいて、ポイント付与条件を満たすか否かを判定し、少なくともポイント付与条件を満たす場合に判定結果をサーバ300に送信する。サーバ300は、端末から判定結果を受信したことを条件として、判定結果に基づく基本ポイントに所定の倍率を掛けたポイントを、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加えて増加させる。端末は、バッテリへの充電が行われている場合、所定の倍率を、バッテリへの充電が行われていない場合よりも大きくし、設定した所定の倍率をサーバ300に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源としてのモータと前記モータに電力を供給可能なバッテリとを備える車両で使用される端末と、
前記端末と通信可能なサーバと、を備えるポイント付与システムであって、
前記端末は、ゲームアプリケーションプログラムを実行するアプリ実行部と、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を記憶する記憶部とを有し、
前記端末は、前記ユーザ識別情報を前記サーバに送信するとともに、前記ゲームアプリケーションプログラムが提供するゲームの結果に基づいて、ポイント付与条件を満たすか否かを判定し、少なくとも前記ポイント付与条件を満たす場合に判定結果を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記端末から前記ポイント付与条件を満たすという判定結果を受信したことを条件として、前記判定結果に基づく基本ポイントに所定の倍率を掛けたポイントを、前記ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加えて増加させ、
前記端末は、前記車両から取得した充電履歴の情報に基づき前記バッテリへの充電が行われているかを判定し、前記バッテリへの充電が行われている場合、前記所定の倍率を、前記バッテリへの充電が行われていない場合よりも大きくし、設定した所定の倍率を前記サーバに送信する、または、前記サーバは、前記端末から受信した充電状況の情報に基づき前記バッテリへの充電が行われているかを判定し、前記バッテリへの充電が行われている場合、前記所定の倍率を、前記バッテリへの充電が行われていない場合よりも大きくする、ことを特徴とするポイント付与システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイント付与システムおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド自動車や電気自動車において、外部充電の利用の促進を図るため、外部充電の利用の程度を示す利用指標が閾値未満のときに外部充電の利用の程度が低いと判断し、自宅や充電ステーション等の外部充電が可能な充電ポイントでの駐車時に外部充電の利用を促す充電誘導制御を実行するシステムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-178079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のシステムは、外部充電の利用を促す情報を、表示装置に表示したり、スピーカから音声出力したりすることにより外部充電の利用を促すものであるため、ユーザに充電しようとする動機を与える効果があるとは言えなかった。
【0005】
そこで、ユーザに充電しようとする動機を与えることを目的とする。
また、特定の充電スタンドにユーザを誘導することを目的とする。
また、電力消費を抑えた運転をしようとする動機を与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ポイント付与システムは、動力源としてのモータと前記モータに電力を供給可能なバッテリとを備える車両で使用される端末と、前記端末と通信可能なサーバと、を備えるポイント付与システムであって、前記端末は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を前記サーバに送信するとともに、前記バッテリへの充電が行われた場合にポイント付与の指示を前記サーバに送信し、前記サーバは、ポイント付与の指示を受信した場合、ポイントを、前記ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加算する。
シート体験システムは、動力源としてのモータと前記モータに電力を供給可能なバッテリとを備える車両に搭載されるシートであって、シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得するセンサを有するシートと、前記シート本体に座っている着座者に動作の指示を報知する体験指示装置と、前記体験指示装置と通信可能なサーバと、を備えるシート体験システムであって、前記体験指示装置は、前記着座者を特定するためのユーザ識別情報を前記サーバに送信するとともに、前記センサの測定値に基づいて、ポイント付与条件を満たすか否かを判定し、少なくとも前記ポイント付与条件を満たす場合に判定結果を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記体験指示装置から前記ポイント付与条件を満たすという判定結果を受信したことを条件として、前記判定結果に基づく基本ポイントに所定の倍率を掛けたポイントを、前記ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加えて増加させ、前記体験指示装置または前記サーバは、前記バッテリへの充電が行われている場合、前記所定の倍率を、前記バッテリへの充電が行われていない場合よりも大きくする。
【0007】
このような構成によれば、バッテリへの充電が行われている場合に獲得できるポイントが大きくなるので、ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【0008】
前記したシート体験システムにおいて、前記体験指示装置または前記サーバは、前記バッテリへの充電が行われている充電スタンドの種類に応じて前記所定の倍率を変更する構成とすることができる。
【0009】
これによれば、充電スタンドの種類に応じて所定の倍率を大きくしたり、小さくしたりすることができる。これにより、特定の充電スタンドにユーザを誘導することができる。
【0010】
前記したシート体験システムにおいて、前記体験指示装置または前記サーバは、前記充電スタンドが、前記車両の使用者の自宅の充電スタンドである自宅充電スタンド以外の場合、前記所定の倍率を、前記自宅充電スタンドの場合よりも大きくする構成とすることができる。
【0011】
これによれば、ユーザに外出時においても積極的に充電しようとする動機を与えることができる。
【0012】
前記したシート体験システムにおいて、前記体験指示装置または前記サーバは、前記バッテリの充電率が第1充電率閾値以上の場合、前記所定の倍率を、前記バッテリの充電率が前記第1充電率閾値未満の場合よりも大きくする構成とすることができる。
【0013】
これによれば、バッテリの充電率を高い状態に維持し続ければ獲得できるポイントが大きくなるので、ユーザに充電しようとする動機を強く与えることができる。
【0014】
前記したシート体験システムにおいて、前記車両は、運転者の操作に応じて、第1運転モードと、前記第1運転モードよりも前記バッテリの電力消費を抑えた第2運転モードとを切替可能に構成されており、前記体験指示装置または前記サーバは、前記第2運転モードが実行されている場合、前記所定の倍率を、前記第1運転モードが実行されている場合よりも大きくする構成とすることができる。
【0015】
これによれば、ユーザにバッテリの電力消費を抑えた運転をしようとする動機を与えることができる。
【0016】
前記したシート体験システムにおいて、前記サーバは、前記車両が前記バッテリへの充電が可能な充電スタンドに到着したことを条件として、所定のポイントを、前記ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加えて増加させる構成とすることができる。
【0017】
これによれば、充電スタンドに行くことでポイントを獲得することができるので、ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【0018】
前記したシート体験システムにおいて、前記体験指示装置は、前記バッテリの充電率が第2充電率閾値以下の場合、当該体験指示装置で実行可能なアプリケーションプログラムのうち、消費電力が消費電力閾値以上のアプリケーションプログラムの使用を禁止する構成とすることができる。
【0019】
これによれば、バッテリの充電率をある程度高い状態に維持するため、ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【0020】
前記したシート体験システムにおいて、前記シートは、運転者が座る運転者シートを含み、前記運転者シートのシート本体は、運転をするときの状態である運転状態と、前記運転状態から少なくとも一部を動かした状態である非運転状態とに切替可能であり、前記体験指示装置は、前記車両が走行している場合、当該体験指示装置で実行可能なアプリケーションプログラムのうち、少なくとも前記運転者シートを前記非運転状態にして使用するアプリケーションプログラムの使用を禁止し、前記バッテリへの充電が行われている場合、前記運転者シートを前記非運転状態にして使用するアプリケーションプログラムの使用を許容する構成とすることができる。
【0021】
これによれば、充電中には運転者でもより多くのアプリケーションプログラムを使用することができるので、ユーザ(運転者)に充電しようとする動機を与えることができる。
【0022】
また、前記した目的を達成するため、車両は、動力源としてのモータと、前記モータに電力を供給可能なバッテリと、シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得するセンサを有するシートと、前記シート本体に座っている着座者に動作の指示を報知する体験指示装置と、を備える車両であって、前記体験指示装置は、前記着座者を特定するためのユーザ識別情報を当該体験指示装置と通信可能なサーバに送信するとともに、前記センサの測定値に基づいて、ポイント付与条件を満たすか否かを判定し、少なくとも前記ポイント付与条件を満たす場合に判定結果を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記体験指示装置から前記ポイント付与条件を満たすという判定結果を受信したことを条件として、前記判定結果に基づく基本ポイントに所定の倍率を掛けたポイントを、前記ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加えて増加させ、前記体験指示装置は、前記バッテリへの充電が行われている場合、前記所定の倍率を、前記バッテリへの充電が行われていない場合よりも大きくすることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、バッテリへの充電が行われている場合に獲得できるポイントが大きくなるので、ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【発明の効果】
【0024】
ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【0025】
また、充電スタンドの種類に応じて所定の倍率を変更することで、特定の充電スタンドにユーザを誘導することができる。
【0026】
また、自宅充電スタンド以外の場合に所定の倍率を大きくすることで、ユーザに外出時にも積極的に充電しようとする動機を与えることができる。
【0027】
また、バッテリの充電率が高い場合に所定の倍率を大きくすること、ユーザに充電しようとする動機を強く与えることができる。
【0028】
また、バッテリの電力消費を抑えた運転モードの場合に所定の倍率を大きくすることで、電力消費を抑えた運転をしようとする動機を与えることができる。
【0029】
また、充電スタンドに到着したことを条件としてポイントを増加させることで、ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【0030】
また、バッテリの充電率が低い場合に消費電力が大きいアプリケーションプログラムの使用を禁止することで、ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【0031】
また、充電中に、走行中は使用が禁止されるアプリケーションプログラムの使用を許容することで、ユーザ(運転者)に充電しようとする動機を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施形態に係るシート体験システムの全体構成を説明する図である。
図2】実施形態に係る車両の全体構成を説明する図である。
図3】シートの構成を説明する図である。
図4】シート制御部とスマートフォンの構成を説明するブロック図である。
図5】サーバの構成を説明するブロック図である。
図6】足を交互に上げた場合の、圧力センサで取得した圧力値の変化を示すグラフである。
図7】圧力値と、圧力値の変動の判定結果と、判定時間を示すタイムチャートである。
図8】スマートフォンとサーバの処理を示すフローチャートである。
図9】アプリ実行可否判定の処理を示すフローチャートである。
図10】倍率設定の処理を示すフローチャートである。
図11】位置情報に基づき第2条件を判定する場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のシート体験システムSYSは、シートSと、シート制御部100と、体験指示装置の一例としてのスマートフォンSPと、サーバ300とを備えてなる。
【0034】
シートSは、シート本体S0と、シート本体S0に設けられ、シート本体S0に座っている着座者の動作を検出するための測定値を取得するセンサの一例としての圧力センサPS(PS1~PS6。図3参照。)と、圧力センサPSから測定値を取得可能に圧力センサPSと接続されたシート制御部100とを備える。
【0035】
スマートフォンSPは、シート制御部100と近距離無線通信により通信可能に接続され、シート本体S0に座っている着座者に動作の指示を報知するとともに、着座者を特定するためのユーザ識別情報を記憶している。具体的には、スマートフォンSPは、インストールされたアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」という。)を実行することにより、例えば、シート本体S0上でゲームを提供可能に構成され、ゲーム進行の際に、画像または/および音声により、着座者に動作の指示を報知するようになっている。また、スマートフォンSPは、インターネットNに接続され、外部の機器とインターネット通信が可能となっている。
【0036】
サーバ300は、インターネットNに接続されており、インターネットNを介してスマートフォンSPと通信可能となっている。
【0037】
図2に示すように、本実施形態のシートSは、車両CRに搭載された車両用シートである。シートSは、運転者が座る運転者シートSDを含む。車両CRには、複数のシート本体S0が搭載されており、各シート本体S0が、1つのシート制御部100に接続されている。本実施形態の車両CRは、動力源としてのモータMと、モータMに電力を供給可能なバッテリBTと、シートSと、車両CRに持ち込まれて車両CRとともに移動可能なスマートフォンSPと、車両制御部10とを備える。なお、車両CRは、モータMだけを動力源とする電気自動車であってもよいし、モータMを含む2つ以上の動力源を有するハイブリッド自動車であってもよい。
【0038】
車両制御部10は、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで車両CRを制御する。車両制御部10には、車両CRを制御するため、各種の情報が入力される。例えば、車両CRが走行中であるか否かの情報、バッテリBTへの充電履歴の情報、バッテリBTの充電率の情報、バッテリBTへの充電が行われている場合における充電スタンドCSの情報等である。充電スタンドCSは、バッテリBTへの充電が可能な充電装置BCを備える施設であり、充電スタンドCSの情報は、例えば、バッテリBTに充電装置BCが接続されたときに充電装置BCから取得してもよいし、充電スタンドCSおよび車両CRの位置情報から取得してもよい。車両制御部10に入力された情報は、記憶部19(図4参照)に記憶される。
【0039】
また、本実施形態において、車両CRは、運転者の操作に応じて、第1運転モードの一例としての通常運転モードと、第2運転モードの一例としてのエコ運転モードとを切替可能に構成されている。エコ運転モードは、運転者が、通常運転モードよりもバッテリBTの電力消費を抑えた運転操作、例えば、アクセル操作やブレーキ操作等を行った場合に実行される運転モードである。車両制御部10は、実行されている運転モードの情報を記憶部19(図4参照)に記憶させる。
【0040】
図3に示すように、シート本体S0は、シートクッションS1およびシートバックS2を有している。各シート本体S0のシートバックS2は、図示しないリクライニング機構を介してシートクッションS1に対し前後に回動可能に支持されている。このため、シート本体S0は、シートバックS2を後ろに倒したリクライニング状態と、着座者が座るときの状態であってシートバックS2を起こした着座状態とに切替可能である。この点を運転者シートSDについて言えば、着座状態は、運転者が運転をするときの姿勢をとるための状態である「運転状態」に相当し、リクライニング状態は、運転状態からシート本体S0の少なくとも一部を動かした状態である「非運転状態」に相当する。なお、ここでのリクライニング状態(非運転状態)は、例えば、ステアリングに手が届かない状態のような、運転者が運転操作を行うことができない状態である。
【0041】
圧力センサPS1~PS3は、シートクッションS1の表皮の下に設けられ、圧力センサPS4~PS6は、シートバックS2の表皮の下に設けられている。各圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0の左右の中心に対して左右対称に一対ずつ設けられている。
【0042】
圧力センサPS1,PS2は、シートクッションS1における着座者の臀部に対応する位置に配置されている。詳しくは、圧力センサPS1は、着座者からの荷重が最も大きくかかる着座者の坐骨の最下部に対応する位置に配置され、圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前の位置に配置されている。圧力センサPS1,PS2は、着座者の臀部からの圧力の測定値(以下、「圧力値」ともいう。)を取得する。
圧力センサPS3は、圧力センサPS1,PS2から前方に大きく離れた位置、具体的には、着座者の大腿に対応する位置に配置されている。圧力センサPS3は、着座者の大腿からの圧力の測定値を取得する。
【0043】
圧力センサPS4,PS5は、シートバックS2の下部に配置されている。詳しくは、圧力センサPS4は、着座者の腰の後ろに対応する位置に配置され、圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上の位置に配置されている。圧力センサPS4,PS5は、着座者の腰からの圧力の測定値を取得する。
圧力センサPS6は、圧力センサPS4,PS5から上方に大きく離れた位置、具体的には、着座者の背中の上部に対応する位置に配置されている。圧力センサPS6は、着座者の背中の上部に対応する位置からの圧力の測定値を取得する。
【0044】
シート制御部100には、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。シート制御部100は、各シート本体S0の圧力センサPS1~PS6から圧力値を取得して、近距離通信機3Aを介してスマートフォンSPに送信するように構成されている。
【0045】
なお、圧力センサPS1~PS6は、例えば、外部からの圧力によって電気抵抗が変化する素子であり、圧力値が大きい程、検出信号の電圧が高くなる(もしくは低くなる)。そのため、圧力値の大小は、実際には、電圧値の大小によって比較するが、本明細書においては、理解の容易のため、圧力値の大小で比較する形で説明する。
【0046】
図4に示すように、シート制御部100は、測定値取得部110と、車両情報取得部120と、処理部170と、通信部180と、記憶部190とを有している。シート制御部100は、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各機能部が実現されている。
【0047】
測定値取得部110は、各圧力センサPS1~PS6から、一定の制御サイクルごとに圧力の測定値を取得する機能を有する。測定値取得部110が取得した測定値は、記憶部190に記憶され、処理部170で利用される。なお、記憶部190は、計算、処理等に必要なデータを適宜記憶するために使用される。
【0048】
車両情報取得部120は、車両制御部10から車両CRの情報を取得する機能を有する。本実施形態において、車両CRの情報は、車両CRが走行中であるか否かの情報、バッテリBTへの充電履歴の情報、バッテリBTの充電率の情報、充電スタンドCSの情報、運転モードの情報等である。車両情報取得部120が取得した車両CRの情報は、記憶部190に記憶され、処理部170で利用される。
【0049】
処理部170は、測定値取得部110で取得した測定値を、A/D変換する。そして、デジタル化した測定値を、通信部180を介してスマートフォンSPに送信する。また、処理部170は、車両情報取得部120で取得した車両CRの情報を、通信部180を介してスマートフォンSPに送信する。
【0050】
スマートフォンSPは、アプリ実行部210と、第1条件判定部220と、第2条件判定部230と、倍率設定部240と、指示送信部250とを有している。また、スマートフォンSPは、インターネット通信部280と、記憶部290とを有している。スマートフォンSPは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各機能部が実現されている。スマートフォンSPは、図示しない近距離通信機能を有して、シート制御部100と通信可能である。また、スマートフォンSPは、インターネット通信部280を介してインターネットNに接続可能であり、予め設定された通信設定に基づいてサーバ300(図1参照)と通信可能となっている。
【0051】
アプリ実行部210は、スマートフォンSPにインストールされているアプリを実行する。例えば、アプリのうち、ゲームアプリは、起動されると、ゲームの進行・終了を実行する。そして、スマートフォンSPは、ゲームの終了後、第1条件判定部220および第2条件判定部230により、ポイント付与の条件を判定させ、ポイント付与の条件を満たす場合に、サーバ300にポイント付与の指示を送信する。
【0052】
スマートフォンSPにインストールされているゲームアプリは、アプリ実行部210で実行されると、スマートフォンSPのディスプレイDSP(図3参照)および図示しないスピーカを介して着座者に動作の指示を与え、ゲームを提供する。ここでの動作の指示の内容は特に限定されないが、例えば、足を交互に上げることを指示したり、上体を左右にひねったりすること等である。指示は、ゲームの最初に、説明として文字または音声により伝えてもよいし、ゲームの進行に応じてディスプレイDSP上に動かすべき場所を画像で示してもよい。
【0053】
本実施形態においては、ゲームの内容等は重要ではないので、簡単な例として、10秒間、素速く足を交互に上げさせて、10秒間の歩数(足を上げた回数)を競うゲームとする。
【0054】
図6は、シートSにおいて着座者が足を交互に上げた場合の圧力センサPS3の測定値の例である。P3は、右の圧力センサPS3の圧力値、P3は、左の圧力センサPS3の圧力値を示す。この測定値のように、足を交互に上げると、一時的にP3およびP3が小さくなるので、P3およびP3のピークを検出し、ピークを検出したときに、一歩進んだと判定するとよい。なお、ピークの検出は、例えば、次のように行うことができる。その着座者が座っているとき(ゲームの競技を開始する前)のP3およびP3の平均値P3を算出しておき、この平均値P3から所定割合小さい値をしきい値P3thとして設定しておく。そして、P3またはP3がしきい値P3thを下回った後、値が上昇に転じたときにピークに達したと判定することができる。
【0055】
アプリ実行部210は、ゲームアプリが立ち上げられた後、所定のゲームの案内を音声または画像により着座者に提供し、競技開始の合図を音声および画像で報知するとともに、タイマをスタートする。そして、タイマのスタート後、10秒間の間、シート制御部100から受信した圧力値に基づいてピークを検出する。そして、歩数、すなわち、ピークの数をゲームの結果である「歩数」としてディスプレイDSP上に提示する。
【0056】
第1条件判定部220は、圧力センサPS3の測定値に基づいて、ポイント付与条件としての第1条件を満たすか否かを判定する。本実施形態においては、第1条件を、ゲームの結果である歩数が所定歩数以上(例えば40歩以上)であることとする。第1条件判定部220は、判定結果を随時記憶部190に記憶させる。
【0057】
第2条件判定部230は、第1条件とは別の第2条件を満たすか否かを判定する。本実施形態においては、第2条件を、圧力センサPS3の測定値から、着座者の動作の大きさが所定未満である時間が所定時間以上であることとする。より具体的には、この所定時間は、累積の時間であり、圧力センサPS3の測定値の変動が所定未満である時間の累積である判定時間TJが所定時間(しきい値TJth)以上であることとする。
【0058】
この変動の判定は、例えば、次のようにして行うことができる。図7は、着座者が座っている時の圧力P3およびP3の変化と、変動の有無の判定結果と、判定時間TJのタイムチャートである。変動の有無は判定時を基準として、直前の所定期間TPの間におけるP3およびP3の最大値および最小値の差が所定値以上である場合に変動があるとし(図7において1とする。)、所定値未満である場合に変動がない(図7において0とする。)とする。図7の例では、時刻t1においてその直前における所定期間TPの間のP3およびP3の最大値および最小値の差が所定値以上となったことで変動判定が1となり、時刻t2において、直前の所定期間TPの間におけるP3およびP3の最大値および最小値の差が所定値未満となって変動判定が0となっている。
【0059】
第2条件判定部230は、この変動判定をするとともに、変動判定が0である時は、判定時間TJをカウントアップし、変動判定が1である場合は、判定時間TJのカウントアップを停止する。そして、判定時間TJがしきい値TJthに達したときに第2条件が満たされたと判定する。そして、サーバ300においてポイントが付与(増加)された後、判定時間TJをリセットする(t3)。
第2条件判定部230は、変動判定、判定時間を随時記憶部290に記憶させる。
【0060】
倍率設定部240は、サーバ300においてポイントが付与される際に基本ポイントPaに掛けられる所定の倍率Bを設定する。具体的には、倍率設定部240は、バッテリBTへの充電が行われている場合、倍率Bを、バッテリBTへの充電が行われていない場合よりも大きくする。本実施形態において、倍率設定部240は、バッテリBTへの充電が行われていない場合、倍率Bを1~1.5倍に設定し、バッテリBTへの充電が行われている場合、倍率Bを2~3倍に設定する。なお、本実施形態における倍率Bの具体的な値はいずれも一例である。
【0061】
また、倍率設定部240は、バッテリBTへの充電が行われている充電スタンドCSの種類に応じて倍率Bを変更する。具体的には、倍率設定部240は、充電スタンドCSが、車両CRの使用者(所有者を含む)の自宅の充電スタンドCSである自宅充電スタンドCS1以外の場合、すなわち、自宅以外の外部充電スタンドCS2の場合、倍率Bを、自宅充電スタンドCS1の場合よりも大きくする。本実施形態において、倍率設定部240は、1つの例として、充電スタンドCSが自宅充電スタンドCS1の場合、倍率Bを2倍に設定し、充電スタンドCSが外部充電スタンドCS2の場合、倍率Bを2.5倍に設定する。また、倍率設定部240は、他の例として、充電スタンドCSが自宅充電スタンドCS1の場合、倍率Bを2.5倍に設定し、充電スタンドCSが外部充電スタンドCS2の場合、倍率Bを3倍に設定する。
【0062】
また、倍率設定部240は、ゲームアプリを開始したときにバッテリBTへの充電が行われていて、充電開始時のバッテリBTの充電率が第1充電率閾値(例えば、80%)以上の場合、倍率Bを、バッテリBTの充電率が第1充電率閾値未満の場合よりも大きくする。本実施形態において、倍率設定部240は、充電率が80%未満の場合、倍率Bを2倍に設定し、充電率が80%以上の場合、倍率Bを2.5倍に設定する。
【0063】
また、倍率設定部240は、ゲームアプリを開始したときに車両CRが走行していて、エコ運転モードが実行されていた場合、倍率Bを、通常運転モードが実行されていた場合よりも大きくする。本実施形態においてとして、倍率設定部240は、通常運転モードが実行されている場合、倍率Bを1倍に設定し、エコ運転モードが実行されている場合、倍率Bを1.5倍に設定する。
【0064】
指示送信部250は、第1条件判定部220および第2条件判定部230による判定の結果、第1条件と第2条件の両方を満たす場合には、サーバ300に判定結果としてのポイント付与の指示を送信する。また、指示送信部250は、サーバ300にポイント付与の指示を送信する際に、記憶部290に記憶されたユーザを識別するためのユーザ識別情報を送信する。ユーザ識別情報は、ユーザを識別できるユニークなデータであれば特に限定されず、単なる数字、英数字の羅列や、メールアドレス、電話番号等とすることができる。また、指示送信部250は、サーバ300にポイント付与の指示を送信する際に、倍率設定部240により設定された倍率Bの情報を送信する。
【0065】
また、指示送信部250は、車両CRが充電スタンドCSに到着したことを条件として、サーバ300にボーナスポイント付与の指示を送信する。具体的には、指示送信部250は、到着した当該充電スタンドCSにおいてバッテリBTへの充電が開始されたときに付与判定フラグF1が0の場合、サーバ300にボーナスポイント付与の指示を送信する。そして、指示送信部250は、ボーナスポイント付与の指示を送信した後、付与判定フラグF1を1にする。付与判定フラグF1は、例えば、午前零時になった段階で0にリセットされる。すなわち、本実施形態において、指示送信部250は、1日1回だけ、車両CRが充電スタンドCSに到着して充電が開始された場合に、サーバ300にボーナスポイント付与の指示を送信する。
【0066】
また、本実施形態において、アプリ実行部210は、開始が選択されたアプリについて、実際に実行する前に、実行の可否を判定する。具体的には、アプリ実行部210は、バッテリBTの充電率が第2充電率閾値(例えば、30%)以下の場合、スマートフォンSPで実行可能なアプリのうち、消費電力PWが消費電力閾値PWth以上のアプリの使用を禁止する。より具体的には、アプリ実行部210は、前述したゲームアプリの開始が選択された場合に、バッテリBTの充電率が30%以下で、当該ゲームアプリの消費電力PWが消費電力閾値PWth以上の場合、可否判定フラグF2を1にして当該ゲームアプリの実行を禁止し、その使用を禁止する。
【0067】
また、アプリ実行部210は、車両CRが走行している場合、スマートフォンSPで実行可能なアプリのうち、運転者シートSDをリクライニング状態にして使用するアプリの使用を禁止する。運転者シートSDをリクライニング状態にして使用するアプリとしては、例えば、運転者シートSDをリクライニング状態として運転者にストレッチ体操を行わせるようなアプリ等である。より具体的には、アプリ実行部210は、そのようなアプリの開始が選択された場合に、車両CRが走行している場合、可否判定フラグF2を1にして当該アプリの実行を禁止する。
【0068】
逆に言うと、アプリ実行部210は、バッテリBTへの充電が行われている場合等、車両CRが走行していない場合、さらに言えば、車両CRがある程度長時間停止している場合には、運転者シートSDをリクライニング状態にして使用するアプリの使用を許容する。アプリ実行部210は、アプリの実行を許容する場合には、可否判定フラグF2を0とし、これにより、アプリの実行が開始される。
【0069】
図5に示すように、サーバ300は、ポイント付与部310と、インターネット通信部380と、記憶部390とを有する。サーバ300は、インターネット通信部380を介してインターネットNに接続され、インターネットNを介してスマートフォンSPと通信可能である。記憶部390は、サーバ300の動作に必要なデータを適宜記憶するとともに、ユーザ識別情報と関連づけてポイント(ユーザ識別情報により特定されるユーザのポイント)を記憶している。
【0070】
ポイント付与部310は、スマートフォンSPからポイント付与指示を受信した場合に、ポイント付与指示に含まれるユーザ識別情報に対応するポイントを所定量増加させる。
【0071】
サーバ300がポイント付与指示を受信する場合というのは、第1条件が満たされたとともに第2条件が満たされた場合である。サーバ300は、スマートフォンSPから少なくとも第1条件を満たすという判定結果(ポイント付与指示)を受信したことを条件(必要条件)として、ポイント付与指示に基づく基本ポイントPaに倍率Bを掛けたポイントを、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加えて増加させる。基本ポイントPaは、一定値であってもよいし、時間、時期、ユーザの種類等に応じて異ならせてもよい。また、基本ポイントPaがポイント付与指示に基づくとは、例えば、ポイント付与指示に含まれる、実行したゲームアプリの種類(ゲームの種類)、難易度等の情報に応じて、基本ポイントPaの値を異なる値としてもよいということである。サーバ300は、第1条件を満たすとともに第2条件を満たす場合(つまり、ポイント付与指示を受信した場合)にポイントを増加させ、第1条件を満たすが第2条件を満たさない場合には、ポイントを増加させない。
【0072】
また、サーバ300は、車両CRが充電スタンドCSに到着したことを条件として、所定のボーナスポイントPbを、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加えて増加させる。具体的には、サーバ300は、ボーナスポイント付与指示を受信した場合、ボーナスポイントPbをユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加算する。ボーナスポイントPbは、一定値であってもよいし、時間、時期、充電スタンドCSの種類、充電スタンドCSまでの移動距離、ユーザの種類等に応じて異ならせてもよい。
【0073】
ポイント付与部310は、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させた場合には、その旨をスマートフォンSPに送信する。
【0074】
以上のような構成のシート体験システムSYSの概略の動作を図8図10のフローチャートを参照して説明する。
図8に示すように、スマートフォンSPは、時刻が午前零時になった場合(S101,Yes)、付与判定フラグF1を0にリセットする(S102)。スマートフォンSPは、ユーザによりゲームアプリの開始が選択されたか否か判定する(S103)。ゲームアプリの開始が選択されていない場合(S103,No)、ステップS112に進む。
【0075】
ゲームアプリの開始が選択された場合(S103,Yes)、スマートフォンSPは、ゲームアプリの実行の可否を判定する(S200)。図9に示すように、アプリ実行可否判定の処理において、スマートフォンSPは、バッテリBTの充電率が30%以下であるか否か判定する(S201)。充電率が30%以下である場合(S201,Yes)、スマートフォンSPは、ゲームアプリの消費電力PWが消費電力閾値PWth以上であるか否か判定する(S202)。消費電力PWが消費電力閾値PWth以上である場合(S202,Yes)、スマートフォンSPは、可否判定フラグF2をゲームアプリの実行の禁止を意味する1とし(S205)、アプリ実行可否判定の処理を終了する。
【0076】
ステップS201において充電率が30%を超える場合(S201,No)、または、ステップS202において消費電力PWが消費電力閾値PWth未満の場合(S202,No)、スマートフォンSPは、車両CRが走行中であるか否か判定する(S203)。車両CRが走行中である場合(S203,Yes)、スマートフォンSPは、ゲームアプリが運転者シートSDをリクライニング状態とする必要があるアプリであるか否か判定する(S204)。リクライニング状態とする必要のあるアプリである場合(S204,Yes)、スマートフォンSPは、可否判定フラグF2を1とし(S205)、アプリ実行可否判定の処理を終了する。
【0077】
ステップS203において車両CRが走行中でない場合(S203,No)、または、ステップS204においてリクライニング状態とする必要のないアプリである場合(S204,No)、スマートフォンSPは、可否判定フラグF2を0とし(S206)、アプリ実行可否判定の処理を終了する。
【0078】
図8に戻って、スマートフォンSPは、可否判定フラグF2が0であるか否か判定する(S104)。可否判定フラグF2が0でない場合(1である場合)(S104,No)、スマートフォンSPは、ゲームアプリを開始せず、ステップS112に進む。可否判定フラグF2が0である場合(S104,Yes)、スマートフォンSPは、ゲームアプリを開始する。これにより、スマートフォンSPは、前述したような足上げ運動のゲームの進行を開始する。
【0079】
そして、ゲームが終了すると(S105,Yes)、スマートフォンSPは、歩数が40以上か否か(第1条件が満たされたか)判定する(S106)。歩数が40未満の場合(S106,No)、ステップS112に進む。歩数が40以上の場合(S106,Yes)、スマートフォンSPは、判定時間TJがしきい値TJth以上か否か判定する(S107)。判定時間TJがしきい値TJth未満の場合(S107,No)、ステップS112に進む。判定時間TJがしきい値TJth以上の場合(S107,Yes)、スマートフォンSPは、倍率Bを設定する(S300)。
【0080】
図10に示すように、倍率設定の処理において、スマートフォンSPは、シート制御部100を介して車両制御部10から取得したバッテリBTへの充電履歴の情報に基づき、ゲームアプリ開始時にバッテリBTへの充電が行われていたか否か判定する(S301)。充電が行われていなかった場合(S301,No)、スマートフォンSPは、ゲームアプリ開始時に車両CRが走行中であったか否か判定する(S302)。車両CRが走行中でなかった場合(S302,No)、スマートフォンSPは、倍率Bを1倍とし(S304)、倍率設定の処理を終了する。
【0081】
ステップS302において車両CRが走行中であった場合(S302,Yes)、スマートフォンSPは、エコ運転モードであったか否か判定する(S303)。エコ運転モードでなかった場合(通常運転モードであった場合)(S303,No)、スマートフォンSPは、倍率Bを1倍とし、倍率設定の処理を終了する。ステップS303においてエコ運転モードであった場合(S303,Yes)、スマートフォンSPは、倍率Bを1.5倍とし(S305)、倍率設定の処理を終了する。
【0082】
ステップS301においてゲームアプリ開始時にバッテリBTへの充電が行われていた場合(S301,Yes)、スマートフォンSPは、充電開始時のバッテリBTの充電率が80%以上であったか否か判定する(S306)。充電率が80%以上でなかった場合(S306,No)、スマートフォンSPは、倍率Bを2倍とし(S307)、ステップS309に進む。ステップS306において充電率が80%以上であった場合(S306,Yes)、スマートフォンSPは、倍率Bを2.5倍とし(S308)、ステップS309に進む。
【0083】
ステップS309において、スマートフォンSPは、充電スタンドCSが自宅充電スタンドCS1であるか否か判定する(S309)。充電スタンドCSが自宅充電スタンドCS1である場合(S309,Yes)、倍率設定の処理を終了する。充電スタンドCSが自宅充電スタンドCS1でない場合(外部充電スタンドCS2である場合)(S309,No)、スマートフォンSPは、倍率Bに0.5を加算して(S310)、倍率設定の処理を終了する。これにより、充電開始時の充電率が80%未満の場合には、倍率Bは2.5倍(2+0.5)となり、充電開始時の充電率が80%以上の場合には、倍率Bは3倍(2.5+0.5)となる。
【0084】
図8に戻って、スマートフォンSPは、サーバ300にポイント付与指示を送信する(S108)。このとき、スマートフォンSPは、サーバ300にユーザ識別得情報と設定した倍率Bの情報も送信する。サーバ300は、ポイント付与指示を受信して、基本ポイントPaに倍率Bを掛けたポイントを、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加算して増加させる(S109)。そして、サーバ300は、ポイント付与完了通知をスマートフォンSPに送信する(S110)。スマートフォンSPは、ポイント付与完了通知を受信すると、判定時間TJをリセットして(S111)、ステップS112に進む。
【0085】
ステップS112において、スマートフォンSPは、バッテリBTへの充電が開始されたときに付与判定フラグF1が0であったか否か判定する(S112)。付与判定フラグF1が0でなかった場合(1であった場合)(S112,No)、処理を終了する。付与判定フラグF1が0であった場合(S112,Yes)、スマートフォンSPは、サーバ300にボーナスポイント付与指示を送信する(S113)。サーバ300は、ボーナスポイント付与指示を受信して、ボーナスポイントPbを、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加算して増加させる(S114)。そして、サーバ300は、ポイント付与完了通知をスマートフォンSPに送信する(S115)。スマートフォンSPは、ポイント付与完了通知を受信すると、付与判定フラグF1を1とし(S116)、処理を終了する。
【0086】
以上のように、本実施形態のシート体験システムSYSによれば、バッテリBTへの充電が行われている場合、倍率Bを、充電が行われていない場合よりも大きくするので、バッテリBTへの充電が行われている場合に獲得できるポイントが大きくなる。これにより、ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【0087】
また、充電スタンドCSの種類に応じて倍率Bを変更するので、充電スタンドCSの種類に応じて所定の倍率Bを大きくしたり、小さくしたりすることができる。これにより、特定の充電スタンドCSにユーザを誘導することができる。
【0088】
また、充電スタンドCSが外部充電スタンドCS2の場合、倍率Bを、自宅充電スタンドCS1の場合よりも大きくするので、ユーザに外出時においても積極的に充電しようとする動機を与えることができる。
【0089】
また、バッテリBTの充電率が高い場合、倍率Bを、バッテリBTの充電率が低い場合よりも大きくするので、バッテリBTの充電率を高い状態に維持し続ければ獲得できるポイントが大きくなる。これにより、ユーザに充電しようとする動機を強く与えることができる。
【0090】
また、エコ運転モードが実行されている場合、倍率Bを、通常運転モードが実行されている場合よりも大きくするので、ユーザにバッテリBTの電力消費を抑えた運転をしようとする動機を与えることができる。
【0091】
また、車両CRが充電スタンドCSに到着したことを条件として、ボーナスポイントPbを、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントに加えて増加させるので、充電スタンドCSに行くことでポイントを獲得することができる。これにより、ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【0092】
また、バッテリBTの充電率が低い場合、消費電力PWが大きいアプリの使用を禁止するので、バッテリBTの充電率をある程度高い状態に維持するため、ユーザに充電しようとする動機を与えることができる。
【0093】
また、車両CRが走行している場合に運転者シートSDをリクライニング状態にして使用するアプリの使用を禁止し、バッテリBTへの充電が行われている場合にそのようなアプリの使用を許容するので、充電中には運転者でもより多くのアプリを使用することができる。これにより、ユーザ(運転者)に充電しようとする動機を与えることができる。また、充電中には多様なアプリが使えるので、楽しむことができる。
【0094】
また、サーバ300は、スマートフォンSPから第1条件を満たすという判定結果を受信したことを条件として、ユーザ識別情報と対応して記憶しているポイントを増加させるので、着座者は、ポイントを取得することを目的として、スマートフォンSPを積極的に利用するモチベーションを持つことができる。これにより、圧力センサPSが設けられたシートSを有効に利用することができる。
【0095】
また、ポイントの取得というモチベーションがあると、着座者は、ポイント取得のためにスマートフォンSPを使用し続けたりする可能性があるが、ポイントの付与のために第2条件を満たすことを要件とすることで、必要以上のスマートフォンSPのゲームの利用を抑制することができる。
【0096】
また、逆に言うと、着座者は、しばらくじっと座っていた後には、ポイントを取得することができるので、ポイント取得のために足を上げるゲームをすることになり、長時間車内でじっとしていることによる血行の滞りを抑制し、健康の増進を図ることをできる。
【0097】
そして、本実施形態によれば、圧力センサPSの測定値から第2条件を判定することで、シート本体S0上の着座者の着座状況または動作に基づいてポイントの付与を決定することができる。このため、車内における着座者の動作を、ポイント付与というモチベーションを介して間接的にコントロールして、健康の増進を図ることができる。
【0098】
以上に実施形態について説明したが、実施形態において、一部構成を変更して実施することもできる。
例えば、前記実施形態においては、充電スタンドCSの種類によって倍率Bを変更する形態の例として、充電スタンドCSが、外部充電スタンドCS2の場合、倍率Bを、自宅充電スタンドCS1の場合よりも大きくする形態を説明したが、これに限定されない。
【0099】
他の例として、シート体験システムSYSの運営企業と提携する提携企業が充電スタンドCS(CS3)を運営している場合、スマートフォンSPは、充電スタンドCSが、提携企業が運営する充電スタンドCS3の場合、倍率Bを、提携企業以外の企業が運営する充電スタンドCS4の場合よりも大きくするようにしてもよい。これによれば、提携企業が運営する充電スタンドCS3にユーザを誘導することができる。
【0100】
また、充電スタンドCSとして、混雑している充電スタンドCS5と、比較的空いている充電スタンドCS6がある場合、スマートフォンSPは、充電スタンドCSが、空いている充電スタンドCS6の場合、倍率Bを、混雑している充電スタンドCS5の場合よりも大きくするようにしてもよい。これによれば、空いている充電スタンドCS6にユーザを誘導することができるので、充電スタンドCSを全体として有効に活用することができる。
【0101】
また、前記実施形態においては、車両CRが走行している場合、運転者シートSDをリクライニング状態にして使用するアプリに限定して、その使用を禁止したが、車両が走行している場合、例えば、運転者が使用するスマートフォンにおいて、すべてのアプリの使用を禁止してもよい。
【0102】
また、前記実施形態においては、非運転状態としてリクライニング状態を例示したが、運転状態からシート本体の少なくとも一部を動かした状態である非運転状態は、例えば、シート本体の全体を180°回転させて後ろ向きにした状態等であってもよい。
【0103】
また、バッテリへの充電が行われている場合には、消費電力PWが第2の消費電力閾値PWth2以上のアプリの使用を禁止するようにしてもよい。
【0104】
また、着座者に動作の指示を与え、シート本体に設けられたセンサの測定値に基づいてポイント付与条件を満たすか判定するアプリは、車両のバッテリの電力も消費するので、スマートフォン等に車両のバッテリの充電量とアプリの消費電力を表示するようにしてもよい。この場合、アプリを使用した場合の走行可能距離数と、アプリを使用しない場合の走行可能距離数とを表示するようにしてもよい。
【0105】
また、前記実施形態においては、車両CRが充電スタンドCSに到着して充電が開始された場合にボーナスポイントを付与したが、車両が充電スタンドに到着した場合に、例えば、車両と充電スタンドの位置情報に基づいてボーナスポイント付与してもよい。また、前記実施形態においては、1日1回だけ、充電スタンドに到着したことを条件としてボーナスポイントを付与したが、例えば、1日の中で複数の充電スタンドに行った場合において、すでにボーナスポイントが付与された充電スタンドとは別の充電スタンドに到着した場合には、さらにボーナスポイントを付与してもよい。
【0106】
また、前記実施形態においては、第1運転モードとして通常運転モードを例示し、第2運転モードとしてエコ運転モードを例示したが、例えば、第1運転モードが電力消費を抑える性能よりも車両の加速性能等を重視したモードであり、第2モードが通常のモードであってもよい。
【0107】
また、前記実施形態においては、ユーザ識別情報を体験指示装置のとしてのスマートフォンSPが記憶していたが、ユーザ識別情報は、体験指示装置に記憶されている必要はない。例えば、ユーザ識別情報は、サーバのポイント付与システムにアクセスするための、体験識別装置に入力されてサーバに送信されたユーザのIDとパスワードの情報等であってもよい。これによれば、例えば、1台の体験指示装置を使用するユーザが別のユーザに変わっても、ユーザごとに個別にポイントを付与することができる。
【0108】
また、前記実施形態においては、倍率の設定を体験指示装置としてのスマートフォンSPが実行していたが、倍率の設定は、サーバ300が実行してもよい。すなわち、サーバが、体験指示装置等からを受信したバッテリの充電状況の情報等に基づいて倍率を設定するようにしてもよい。
【0109】
また、前記実施形態においては、圧力センサPS3の測定値の変動が所定未満である時間の累積である判定時間TJが所定時間(しきい値TJth)以上である場合に第2条件を満たすとしたが、判定時間TJは、圧力センサPS3の測定値の変動が所定未満である状態の継続時間であってもよく、この判定時間TJが所定時間以上である場合に、第2条件を満たすと判定してもよい。この場合、スマートフォンSPは、図7の判定時間TJ1(破線)のグラフのように、変動判定が1となった場合には、判定時間TJをリセットする。
【0110】
また、前記実施形態においては、第1条件の判定(ゲームの処理)および第2条件の判定に圧力センサPS3のみを用いていたが、他の圧力センサPS1,PS2,PS4~PS6を用いてもよい。
【0111】
また、前記実施形態においては、第2条件の判定を体験指示装置としてのスマートフォンSPが実行していたが、第2条件の判定に必要な情報を体験指示装置からサーバ300に送信し、第2条件の判定は、サーバ300が実行してもよい。この場合には、判定時間TJのリセットは、サーバ300が行うとよい。
【0112】
前記実施形態においては、センサの測定値に基づいて第2条件を判定していたが、スマートフォンSPは、シートSの位置情報に基づいて、第2条件を満たすか否かを判定してもよい。
位置情報に基づき第2条件を判定する場合、例えば、スマートフォンSPは、位置情報に基づき、シートSの移動距離を算出し、当該移動距離が、所定距離以上である場合に、第2条件を満たすと判定することができる。
位置情報は、通常のスマートフォンが備えているGPS(Global Positioning System)から取得すればよい。もっとも、車両CRまたはシート本体S0にGPSを設け、当該GPSから位置情報を取得してもよい。
そして、スマートフォンSPは、前回、ポイントの付与を指示したときの位置情報(前回位置Gとする。)を記憶部290に記憶しておき、ゲーム終了時の位置と、記憶している前回位置Gとの距離を移動距離Dとして算出する。そして、第2条件判定部230は、移動距離Dが所定のしきい値Dth以上であれば第2条件を満たしたと判定する。
【0113】
この場合のフローチャートが図11である。
図11のフローチャートは、図8のフローチャートに対して、ステップS107とS111を変更したものである。
スマートフォンSPにおいてゲームが終了し(S105,Yes)、第1条件判定部220が、歩数が40以上であると判定すると(S106,Yes)、第2条件判定部230は、移動距離Dを前回位置Gと現在位置との直線距離により算出し、移動距離Dがしきい値Dth以上であるか否か判定する(S127)。そして、D<Dthであれば(S127,No)、ステップS112に進み、D≧Dthであれば(S127,Yes)、倍率Bを設定する(S300)。
【0114】
そして、サーバ300がポイント付与完了通知をスマートフォンSPに送信し(S110)、スマートフォンSPは、ポイント付与完了通知を受信すると、前回位置Gをリセット、すなわち、現在位置に置き換えて記憶部290に記憶させる(S129)。
【0115】
このようにして、位置情報に基づいて、前回位置Gからしきい値Dth以上移動したことを第2条件として、第1条件および第2条件を満たす場合にポイントを付与することができる。これにより、ポイント取得のための必要以上のスマートフォンSPの利用を抑制することができる。また、人の移動を活性化して、経済の発展に資することができる。
【0116】
なお、この形態において、移動距離Dは、直線距離ではなく、道のりで算出してもよい。この場合には、スマートフォンSPは、所定時間毎に、移動距離(所定時間前の位置と現在位置の直線距離)を計算し、その移動距離を積算して移動距離Dを算出すればよい。
【0117】
また、この形態において、移動距離の算出および判定は、体験指示装置(スマートフォンSP)が行うのではなく、サーバが行ってもよい。例えば、サーバが、位置情報を定期的に体験指示装置から取得し、移動距離Dを算出し、移動距離Dがしきい値Dth以上であるか(第2条件を満たすか)を判定してもよい。
【0118】
また、この形態において、移動距離Dが所定距離以上であることを第2条件としたが、位置情報に基づいて、着座者(シートS)が特定のエリアにいることを第2条件とすることもできる。このように、シートSの位置から第2条件を設定することで、特定のエリアで集客をして地域振興を図ることもできる。
【0119】
また、本発明は、さらに他の構成で実施することもできる。
例えば、位置情報に基づいて、高速道路で渋滞に会っていることを第2条件としてもよい。このような構成によれば、高速道路で渋滞に会って、時間を持てあましている場合に、体を動かして健康の増進を図ることができる。
【0120】
また、シートを特定の目的で使用、例えば、トレーニングマシンとして使用していることを第2条件とすることもできる。この場合にも、シートにより健康の増進を図ることができる。
【0121】
また、体験指示装置のアプリにおいて、足を動かすことを指示し、ユーザ毎に設定した一日の目標歩数を達成したことを第2条件とすることもできる。この場合にも、着座者が積極的に足を動かすモチベーションを持つことができ、健康の増進を図ることができる。
【0122】
また、サーバは、第2条件が満たされていない場合にポイントを付与しても構わない。この場合であっても、第1条件が満たされている場合にポイントが付与されることで、着座者は、センサが設けられたシートを有効に利用するモチベーションを持つことができる。
【0123】
また、ポイント付与のために、さらに別の条件を満たすことを要件とすることもできる。例えば、仲間同士で同じタイミングでシートの体験をしていることを要件としてもよい。また、このような要件を、ポイント付与のための要件とするのではなく、この要件を満たすと、さらにポイントが加算されるように構成してもよい。このため、ユーザの使用する体験指示装置(ユーザ識別情報)と、友人のユーザが使用する体験指示装置(ユーザ識別情報)とが、友人関係であるという関連付けのデータをサーバに記憶しておくとよい。
【0124】
前記実施形態においては、センサとして圧力センサを例示したが、センサは、他の種類のセンサ、例えば、静電容量センサ等であってもよい。また、センサは、温度センサ等であってもよい。
【0125】
前記実施形態においては、無線通信によりシート制御部とスマートフォンを接続していたが、有線の通信により接続されていてもよい。
【0126】
前記実施形態においては、体験指示装置としてスマートフォンSPを例示したが、体験指示装置は、タブレット型コンピュータやノートパソコン等であってもよい。また、体験指示装置は、携帯型の端末ではなく、車両に固定的に設置されたナビゲーションシステムであってもよい。すなわち、従来のナビゲーションシステムに、動作の指示をする、ゲーム的な機能を持たせて体験指示装置として利用することもできる。また、体験指示装置は、相互に通信可能な複数の機器から構成されていてもよい。また、体験指示装置は、一部または全部が、外見的に、シート制御部と一体に構成されていてもよい。
【0127】
前記実施形態においては、自動車等の車両に搭載される車両用シートを例示したが、車両以外の船舶、航空機等の乗物用シートであってもよい。
【0128】
また、本明細書に記載した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0129】
300 サーバ
BT バッテリ
CR 車両
CS 充電スタンド
M モータ
PS 圧力センサ
S シート
S0 シート本体
SD 運転者シート
SP スマートフォン
SYS シート体験システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11