(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103597
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】内視鏡用処置具
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086856
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2023505309の分割
【原出願日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2021040175
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉田 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】大圃 研
(57)【要約】
【課題】手技の効率を向上させること。
【解決手段】内視鏡用処置具を、管状部と、管状部の先端面から突出して配置され、操作部の操作に応じて先端面からの突出量が可変するロッド状部材と、送水又は吸引のための器具を接続可能な第1の接続口と、ロッド状部材の先端面に形成された第1の先端開口と、管状部内に、管状部の軸線方向に延びて形成され、先端が第1の先端開口と連通し基端が第1の接続口と連通する第1の管路と、器具を接続可能な第2の接続口と、管状部の先端面に形成された第2の先端開口と、管状部内に軸線方向に延びて形成され、先端が第2の先端開口と連通し基端が第2の接続口と連通する第2の管路と、を備える構成とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部と、
前記管状部の先端面から突出して配置され、操作部の操作に応じて前記先端面からの突出量が可変するロッド状部材と、
送水又は吸引のための器具を接続可能な第1の接続口と、
前記ロッド状部材の先端面に形成された第1の先端開口と、
前記管状部内に、前記管状部の軸線方向に延びて形成され、先端が前記第1の先端開口と連通し基端が前記第1の接続口と連通する第1の管路と、
前記器具を接続可能な第2の接続口と、
前記管状部の先端面に形成された第2の先端開口と、
前記管状部内に前記軸線方向に延びて形成され、先端が前記第2の先端開口と連通し基端が前記第2の接続口と連通する第2の管路と、
を備える、
内視鏡用処置具。
【請求項2】
前記ロッド状部材に形成された貫通路と連通するチューブを更に備え、
前記第1の先端開口は、前記ロッド状部材の先端面に形成された前記貫通路の開口であり、
前記第1の管路は、前記貫通路と前記チューブを含む、
請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項3】
前記貫通路と前記チューブとが連通するように、前記ロッド状部材の基端が前記チューブの先端に差し込まれており、
前記操作部の操作に応じて前記チューブが前記管状部内を前記軸線方向に進退することに伴って前記ロッド状部材も前記軸線方向に進退し、前記管状部の先端面からの前記ロッド状部材の突出量が変わる、
請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項4】
前記管状部の先端面の正面視において、前記ロッド状部材は、前記管状部の先端面の中央領域に位置し、前記第2の先端開口は、前記中央領域の外側に位置する前記管状部の先端面の周辺領域に位置する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項5】
前記第2の先端開口は、前記管状部の先端面に複数形成され、
複数の前記第2の先端開口は、前記正面視において前記ロッド状部材の周囲に等ピッチに並んで位置する、
請求項4に記載の内視鏡用処置具。
【請求項6】
前記管状部は、
シースと、
前記シースの先端開口を塞ぐように前記シースに取り付けられたキャップ状部材と、を含み、
前記キャップ状部材は、
前記ロッド状部材を前記軸線方向に摺動可能に支持し、かつ基端側の開口が前記シースと連通し、先端側の開口が前記キャップ状部材の先端面に形成された、前記キャップ状部材を貫通する第1の貫通路と、
前記第1の貫通路の周囲に前記軸線方向に延びて形成された、前記キャップ状部材を貫通する第2の貫通路と、を有し、
前記第2の貫通路は、前記第2の管路の一部をなし、
前記第2の貫通路の先端側の開口は、前記第2の先端開口であり、前記キャップ状部材の先端面に形成されている、
請求項4又は請求項5に記載の内視鏡用処置具。
【請求項7】
前記管状部は、前記ロッド状部材を前記軸線方向に摺動可能に支持する支持路を含み、
前記支持路は、前記第2の管路の一部をなす、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項8】
前記管状部は、
シースと、
前記シースの先端開口を塞ぐように前記シースに取り付けられたキャップ状部材と、を含み、
前記支持路は、前記キャップ状部材を貫通し、かつ基端側の開口が前記シースと連通し、先端側の開口が前記キャップ状部材の先端面に形成された、第3の貫通路であり、
前記第3の貫通路は、前記第2の管路の一部をなす、
請求項7に記載の内視鏡用処置具。
【請求項9】
前記第1の管路の少なくとも一部が前記第2の管路内を通っており、
前記管状部内部での前記第2の管路の気密性を確保するシール部材が、前記第1の管路のうち、前記第2の管路内を通る部分の外周に配置される、
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項10】
高周波電流を流すための高周波電源を接続可能な接点部と、
前記管状部内に配置された導電性を有するワイヤと、
を更に備え、
前記ロッド状部材は導電性を有し、
前記ワイヤは、先端が前記ロッド状部材と電気的に接続され、基端が前記接点部と電気的に接続される、
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の内視鏡用処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
早期食道癌、早期胃癌、早期大腸癌等の広範囲に及ぶ病変部を内視鏡を用いて確実に一括切除することが可能な方法として、内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection(以下、「ESD」と記す。))が知られている。ESDの手技は、病変部の切除範囲にマーキングを施し(マーキング処置)、粘膜下層に薬液を局所注射して粘膜病変部を隆起させ(局注処置)、マーキングに従って粘膜病変部の周囲を切開した後、粘膜下層を剥離し(切開・剥離処置)、剥離した潰瘍面や切開、剥離時に発生した出血を止血する(止血処置)、といった処置よりなる。この種の手技では、高周波電流を通電して粘膜等を切除するノズル等を備えた内視鏡用処置具が使用される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の内視鏡用処置具を用いた手技では、例えば、粘膜下層への局注や出血時の止血部位の特定のために送水を行ったり、術視野を確保するために血液や粘液を吸引したりすることがある。特許文献1に例示される従来の内視鏡用処置具では、送水を行う場合、吸引ポンプが内視鏡用処置具に接続されていればこれを外したうえで送水ポンプを内視鏡用処置具に接続し、また、吸引を行う場合、送水ポンプが内視鏡用処置具に接続されていればこれを外したうえで吸引ポンプを内視鏡用処置具に接続する必要がある。このようなポンプの交換作業は手技の効率を低下させる一因となっている。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、手技の効率を向上させることができる内視鏡用処置具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具は、管状部と、管状部の先端面から突出して配置され、操作部の操作に応じて先端面からの突出量が可変するロッド状部材と、送水又は吸引のための器具を接続可能な第1の接続口と、ロッド状部材の先端面に形成された第1の先端開口と、管状部内に、管状部の軸線方向に延びて形成され、先端が第1の先端開口と連通し基端が第1の接続口と連通する第1の管路と、器具を接続可能な第2の接続口と、管状部の先端面に形成された第2の先端開口と、管状部内に軸線方向に延びて形成され、先端が第2の先端開口と連通し基端が第2の接続口と連通する第2の管路と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具は、ロッド状部材に形成された貫通路と連通するチューブを更に備える構成としてもよい。この場合、第1の先端開口は、ロッド状部材の先端面に形成された貫通路の開口である。また、第1の管路は、貫通路とチューブを含む。
【0008】
本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具は、貫通路とチューブとが連通するように、ロッド状部材の基端がチューブの先端に差し込まれた構成としてもよい。この場合、操作部の操作に応じてチューブが管状部内を軸線方向に進退することに伴ってロッド状部材も軸線方向に進退し、管状部の先端面からのロッド状部材の突出量が変わる。
【0009】
管状部の先端面の正面視において、ロッド状部材は、管状部の先端面の中央領域に位置し、第2の先端開口は、中央領域の外側に位置する管状部の先端面の周辺領域に位置する構成としてもよい。
【0010】
また、第2の先端開口は、管状部の先端面に複数形成されていてもよい。この場合、複数の第2の先端開口は、正面視においてロッド状部材の周囲に等ピッチに並んで位置する。
【0011】
また、管状部は、シースと、シースの先端開口を塞ぐようにシースに取り付けられたキャップ状部材と、を含む構成としてもよい。この場合、キャップ状部材は、ロッド状部材を軸線方向に摺動可能に支持し、かつ基端側の開口がシースと連通し、先端側の開口がキャップ状部材の先端面に形成された、キャップ状部材を貫通する第1の貫通路と、第1の貫通路の周囲に軸線方向に延びて形成された、キャップ状部材を貫通する第2の貫通路と、を有する。第2の貫通路は、第2の管路の一部をなす。第2の貫通路の先端側の開口は、第2の先端開口であり、キャップ状部材の先端面に形成されている。
【0012】
また、管状部は、ロッド状部材を軸線方向に摺動可能に支持する支持路を含む構成としてもよい。この場合、支持路は、第2の管路の一部をなす。
【0013】
また、管状部は、シースと、シースの先端開口を塞ぐようにシースに取り付けられたキャップ状部材と、を含む構成としてもよい。この場合、支持路は、キャップ状部材を貫通し、かつ基端側の開口がシースと連通し、先端側の開口がキャップ状部材の先端面に形成された、第3の貫通路である。第3の貫通路は、第2の管路の一部をなす。
【0014】
本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具は、第1の管路の少なくとも一部が第2の管路内を通っており、管状部内部での第2の管路の気密性を確保するシール部材が、第1の管路のうち、第2の管路内を通る部分の外周に配置される構成としてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具は、高周波電流を流すための高周波電源を接続可能な接点部と、管状部内に配置された導電性を有するワイヤと、を更に備える構成としてもよい。この構成において、ロッド状部材は導電性を有する。また、ワイヤは、先端がロッド状部材と電気的に接続され、基端が接点部と電気的に接続される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、手技の効率を向上させることができる内視鏡用処置具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の構成を示す側断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の構成を示す側断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の一部を拡大して示す拡大図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の一部を拡大して示す拡大図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の一部を拡大して示す拡大図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の一部を拡大して示す拡大図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の一部を拡大して示す拡大図である。
【
図8A】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の管状部先端の斜視図である。
【
図8B】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の管状部先端の斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の管状部先端面の正面視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具に設けられた送水管路を示す断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具に設けられた吸引管路を示す断面図である。
【
図12A】本発明の変形例に係る内視鏡用処置具の管状部先端の斜視図である。
【
図12B】本発明の変形例に係る内視鏡用処置具の管状部先端の斜視図である。
【
図13】本発明の変形例に係る内視鏡用処置具の管状部先端面の正面視図である。
【
図14】本発明の変形例に係る内視鏡用処置具に設けられた送水管路を示す断面図である。
【
図15】本発明の変形例に係る内視鏡用処置具に設けられた吸引管路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具1の構成を示す斜視図である。内視鏡用処置具1は、第1の管路と第2の管路を備え、例えば一方の管路に送水ポンプを接続し他方の管路に吸引ポンプを接続することにより、ポンプを交換することなく送水と吸引の一方を又は両方を同時に行うことができるものである。
【0020】
詳しくは後述するが、内視鏡用処置具1は、第1の管路及び第2の管路の一例として、送水管路60及び吸引管路70を備える。送水管路60の基端に、例えば送水ポンプが接続される。送水ポンプにより洗浄液が供給されると、この洗浄液が送水管路60を介して内視鏡用処置具1の先端から外部に射出される。また、吸引管路70の基端に、例えば吸引ポンプが接続される。吸引ポンプが駆動すると、体腔内の付着物が吸引管路70内に吸引されて、吸引ポンプが備える容器等に入れられる。
【0021】
図1に示されるように、内視鏡用処置具1は、管状部10を備える。以下の説明において、管状部10の軸線方向(長手方向)をZ方向とし、Z方向と直交しかつ互いに直交する二方向をX方向、Y方向とする。互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向は右手系をなす。説明の便宜上、Z方向正側を前側とも呼び、Z方向負側を後側とも呼び、Y方向正側を上側とも呼び、Y方向負側を下側とも呼ぶが、方向の呼称は、構成要素の相対的な位置関係を説明するために便宜的に用いる呼称であり、絶対的な方向を示すものではない。
【0022】
図2及び
図3は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具1の構成を示す側断面図である。
図2は、管状部10の中心軸を含むYZ断面を示す。
図3は、管状部10の中心軸を含むXZ断面を示す。
図4は、
図2の部分PAを拡大して示す拡大図である。
図5A及び
図5Bは、
図2の部分PBを拡大して示す拡大図である。
図6は、
図3の部分PCを拡大して示す拡大図である。
図7は、
図3の部分PDを拡大して示す拡大図である。
図8A及び
図8Bは、管状部10の先端の斜視図である。
図9は、管状部10の先端面10AをZ方向正側からみたときの図(言い換えると、先端面10Aの正面視図)である。
【0023】
管状部10は、不図示の内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入可能なシース11、シース11の先端開口に嵌合されたストッパ12、シース11の基端を保持するとともに各構成要素を保持する筐体部13を備える。
【0024】
シース11は、可撓性を有する樹脂製の絶縁性チューブである。シース11は、例えばPEEK(polyetheretherketone)やPTFE(polytetrafluoroethylene)で構成される。
【0025】
ストッパ12は、シース11の内径と略同一の外径を有するキャップ状部材であり、その外周面に抜け止め突起が形成されている。ストッパ12は、シース11の先端開口からシース11内に圧入されてシース11の内面と嵌合する。すなわち、ストッパ12は、シース11の先端開口を塞ぐようにシース11に取り付けられる。
ストッパ12は、絶縁性部材であり、例えばセラミックスで構成される。なお、ストッパ12の先端面が管状部10の先端面10Aである。そのため、管状部10の先端面10Aは、ストッパ12の先端面10Aと呼ぶこともある。
【0026】
ストッパ12には、その中心部分をZ方向に延びて貫通する貫通路121が形成されている。貫通路121の周囲には、貫通路121と平行に延びてストッパ12を貫通する複数の貫通路122が形成されている。本実施形態では、貫通路121の周囲に等ピッチ(具体的には90度ピッチ)で並ぶ4つの貫通路122が形成されているが、貫通路122の数はこれに限らない。貫通路122は、1つであってもよく、2つ又は3つ若しくは5つ以上あってもよい。貫通路122の先端側の開口を「先端開口122A(第2の先端開口)」と記す。
【0027】
筐体部13には、Z方向に延びて貫通する貫通路131が形成されている。貫通路131の先端には、シース11の基端が差し込まれている。貫通路131に差し込まれたシース11の基端は、貫通路131の内壁面に接着等により固着されている。
【0028】
内視鏡用処置具1は、スライダ20(操作部)を備える。筐体部13の貫通路131の基端には、スライダ20の先端が取り付けられている。スライダ20の先端外径は、貫通路131の径(内径)よりも僅かに小さい。そのため、スライダ20は、貫通路131内をZ方向に摺動可能となっている。なお、スライダ20の先端外周面には抜け止め突起が形成されている。そのため、スライダ20が貫通路131から外れることはない。
【0029】
スライダ20には、Z方向に延びて貫通する貫通路201が形成されている。貫通路201の先端には、チューブ30の基端が差し込まれている。貫通路201に差し込まれたチューブ30の基端は、貫通路201の内壁面に接着等により固着されている。
【0030】
基端がスライダ20の貫通路201に差し込まれたチューブ30は、筐体部13の貫通路131を通ってシース11の先端近傍に至るまで、Z方向に延びて配置されている。チューブ30は、可撓性を有する樹脂製の絶縁性チューブである。チューブ30は、例えばPEEKやPTFEで構成される。
【0031】
筐体部13の側部には、不図示の高周波電源と接続可能なプラグ40(接点部)が設けられている。プラグ40の基端には、導電性部材であるワイヤ41の基端が電気的に接続されている。ワイヤ41は、筐体部13の貫通路131を通ってシース11の先端付近に至るまで、管状部10内に配線されている。シース11の先端付近に配置されたワイヤ41の先端は、高周波ナイフ50(ロッド状部材)と電気的に接続されている。プラグ40とワイヤ41は、例えば半田等の接合材やロー付け、レーザ溶接等により接合されている。ワイヤ41と高周波ナイフ50も半田等の接合材やロー付け、レーザ溶接等により接合されている。
【0032】
ストッパ12の貫通路121には、高周波ナイフ50(ロッド状部材)が挿通されている。高周波ナイフ50は、SUS等のロッド状の金属製部材である。高周波ナイフ50には、高周波電源からプラグ40及びワイヤ41を介して高周波電流が供給される。高周波ナイフ50に通電された高周波電流により、体腔内組織の切開・剥離処理等が可能となる。
【0033】
シース11の先端付近に配置されたチューブ30の先端に、高周波ナイフ50の基端が差し込まれている。高周波ナイフ50の基端外径がチューブ30の内径よりも僅かに大きい。そのため、チューブ30の先端は、高周波ナイフ50の基端外周面に密着するように弾性変形し、高周波ナイフ50の基端を気密に覆った状態となっている。
【0034】
このように、高周波ナイフ50とスライダ20は、筐体部13の貫通路131及びシース11内に挿通されたチューブ30を介して機械的に連結されている。術者がスライダ20をZ方向正側又はZ方向負側に動かすことにより、スライダ20の貫通路201に取り付けられたチューブ30及びチューブ30の先端に取り付けられた高周波ナイフ50が一体となってZ方向に進退する。これにより、高周波ナイフ50がストッパ12の貫通路121内をZ方向に摺動し、スライダ20に対する術者の操作に応じてストッパ12の先端面10Aからの突出量が変化する。
【0035】
すなわち、スライダ20の操作に応じてチューブ30が管状部10内をZ方向に進退することに伴って高周波ナイフ50もZ方向に進退し、管状部10の先端面10Aからの高周波ナイフ50の突出量が変わる。
【0036】
このように、キャップ状部材の一例であるストッパ12は、ロッド状部材の一例である高周波ナイフ50をZ方向に摺動可能に支持する貫通路121を有する構成となっている。貫通路121は、第1の貫通路の一例であり、高周波ナイフ50をZ方向に摺動可能に支持する。貫通路121は、ストッパ12をZ方向に貫通しており、基端側の開口がシース11と連通し、先端側の開口がストッパ12の先端面10Aに形成されている。また、貫通路122は、ストッパ12をZ方向に貫通する第2の貫通路の一例であり、貫通路121の周囲にZ方向に延びて形成されている。貫通路122は、第2の管路の一例である吸引管路70の一部をなす。貫通路122の先端側の開口は、第2の先端開口の一例である先端開口122Aであり、ストッパ12の先端面10Aに形成されている。
【0037】
スライダ20をZ方向負側に動かすと、高周波ナイフ50もZ方向負側に移動する。高周波ナイフ50の先端側面には、その全周に亘って側方に突出する突起部材501が形成されている。突起部材501の外径は、ストッパ12の貫通路121の径(内径)よりも大きい。そのため、高周波ナイフ50をZ方向負側に移動させると、突起部材501が管状部10の先端面10Aに当たる(
図5A及び
図8A参照)。これにより、高周波ナイフ50のZ方向負側への移動が規制される。このとき、先端面10Aからの高周波ナイフ50の突出量が最小となる。
【0038】
スライダ20をZ方向正側に動かすと、高周波ナイフ50もZ方向正側に移動する。高周波ナイフ50をZ方向正側に移動させると、高周波ナイフ50の外周面に形成された段部502がストッパ12の基端面12Aに当たる(
図5B参照)。これにより、高周波ナイフ50のZ方向正側への移動が規制される。このとき、管状部10の先端面10Aからの高周波ナイフ50の突出量が最大となる。なお、高周波ナイフ50は、後述する貫通路503が形成された内筒の基端に外筒を被せて互いを溶接した構成となっている。この外筒の一端部が段部502をなす。
【0039】
このように、術者は、スライダ20を操作することにより、管状部10の先端面10Aから突出して配置された高周波ナイフ50の、先端面10Aからの突出量を可変させることができる。術者は、手技内容(マーキング、局注、切開、剥離、止血等)に応じてスライダ20を操作し、高周波ナイフ50を適切な量だけ先端面10Aから突出させる。
【0040】
例えばマーキング処置の際、術者は、高周波ナイフ50をナイフ後退位置(
図5A及び
図8A参照)まで後退させた状態で、先端面10Aを病変部周辺の粘膜に押し当てて、高周波ナイフ50に高周波電流を通電する。これにより、病変部周辺にマーキング痕が形成される。
【0041】
なお、マーキング処置をはじめとする各種処置中、体腔内に付着した血液や粘液のせいで術視野を確保し難い場合がある。この場合、術者は、高周波ナイフ50に形成された先端開口503A(又は管状部10の先端面10Aに形成された先端開口122A)から血液や粘液を吸引させることにより、術視野を確保することができる。なお、内視鏡用処置具1内に設けられた吸引管路(第1の管路と第2の管路の一方)の具体的構成については後述する。
【0042】
局注は、切開対象となる病変部の粘膜下層に液体を局所注射して、切開対象である病変部の粘膜を浮き上がらせる処置である。この局注処置の際、術者は、高周波ナイフ50をナイフ前進位置(
図5B及び
図8B参照)まで前進させて高周波電流を通電させた状態で、高周波ナイフ50を粘膜下層に差し込むための孔を穿つ。術者は、次いで、高周波ナイフ50を粘膜下層に差し込むと、高周波ナイフ50の先端開口503A(第1の先端開口)から薬液を粘膜下層に注入する。
【0043】
なお、管状部10の先端面10Aに形成された先端開口122Aから粘膜下層に薬液を注入することもできる。この場合、術者は、高周波ナイフ50をナイフ前進位置(
図5B及び
図8B参照)まで前進させて高周波電流を通電させた状態で、管状部10の先端面10Aを粘膜下層に差し込むための孔を穿つ。術者は、次いで、高周波ナイフ50をナイフ後退位置(
図5A及び
図8A参照)まで後退させた状態で、先端面10Aを粘膜下層に差し込む。術者は、先端面10Aを粘膜下層に差し込むと、先端開口122Aから薬液を粘膜下層に注入する。
【0044】
なお、内視鏡用処置具1内の送水管路(第1の管路と第2の管路の他方)の具体的構成については後述する。
【0045】
切開処置の際、術者は、内視鏡画像によって高周波ナイフ50とマーキング痕の位置を確認しながら、高周波ナイフ50をナイフ前進位置(
図5B及び
図8B参照)まで前進させる。術者は、この状態で高周波電流を高周波ナイフ50に通電し、高周波ナイフ50をマーキング痕に沿って移動させて全周切開を行う。この際、突起部材501が粘膜内に嵌まり込み、一種の抜け止めとして機能する。そのため、切開中、高周波ナイフ50が粘膜から不用意に抜けることがない。
【0046】
剥離処置の際、術者は、高周波ナイフ50をナイフ前進位置(
図5B及び
図8B参照)まで前進させて高周波電流を通電させた状態で、切開した病変部を持ち上げながら、切開した病変部の粘膜下層を焼灼して剥離していく。剥離処置中も切開処置中と同様に、突起部材501が粘膜内に適度に引っ掛かる。そのため、高周波ナイフ50が滑って粘膜から不用意に抜けることがない。
【0047】
止血処置の際、術者は、高周波ナイフ50をナイフ後退位置(
図5A及び
図8A参照)まで後退させた状態で、高周波ナイフ50を出血した潰瘍部や粘膜に押し当て、高周波ナイフ50に高周波電流を通電して焼灼する。
【0048】
なお、止血処置は、病変部を剥離した後の潰瘍部を止血する場合に限らず、切開、剥離処置中に出血した箇所を止血する場合にも行われる。このような止血処置によって高周波ナイフ50に付着した血液や粘液を除去するため、術者は、先端開口122Aから洗浄液を噴射させて高周波ナイフ50を洗浄することができる。また、体腔内に付着した血液や粘液のせいで出血箇所を視認し難い場合がある。この場合、術者は、先端開口503Aから体腔内に液体を吹き付けて血液や粘液を除去しつつこれら血液や粘液を先端開口122Aから吸引することができる。これにより、術者は、止血箇所を視認しやすくなる。なお、上記に代えて、先端開口122Aから体腔内に液体を吹き付けて血液や粘液を除去しつつこれら血液や粘液を先端開口503Aから吸引してもよい。
【0049】
内視鏡用処置具1内に設けられた送水管路60の具体的構成を説明する。
図10は、送水管路60を示す内視鏡用処置具1の断面図である。
図10中、ハッチングで示される領域が送水管路60である。
図10に示されるように、送水管路60は、スライダ20に形成された貫通路201、チューブ30、及び高周波ナイフ50に形成された貫通路503によって構成される。貫通路503は、高周波ナイフ50をZ方向に延びて貫通する貫通路である。
【0050】
スライダ20の貫通路201の基端は、器具を接続可能な接続口201A(第1の接続口)となっている。接続口201Aに接続可能な器具は、送水又は吸引のための器具であり、例えば送水ポンプ、吸引ポンプ、シリンジ等である。
【0051】
図10に示されるように、スライダ20の貫通路201とチューブ30とが連通し、チューブ30と高周波ナイフ50の貫通路503とが連通する。そのため、例えば接続口201Aに送水ポンプが接続された場合、接続口201Aを介して貫通路201に供給された洗浄液等がチューブ30及び貫通路503を流れて、高周波ナイフ50の先端面に形成された先端開口503A(貫通路503の先端側の開口)から外部に噴射される。これにより、粘膜下層に薬液を注入したり付着物(血液や粘液)を除去したりすることができる。
【0052】
なお、接続口201Aに吸引ポンプを接続することにより、送水管路60を吸引管路として機能させることができる。この場合、例えば体腔内に付着した血液や粘液等の付着物が先端開口503Aを介して貫通路503内に吸引される。貫通路503内に吸引された付着物は、チューブ30及び貫通路201を介して吸引ポンプが備える容器等に入れられる。
【0053】
内視鏡用処置具1内に設けられた吸引管路70の具体的構成を説明する。
図11は、吸引管路70を示す内視鏡用処置具1の断面図である。
図11中、ハッチングで示される領域が吸引管路70である。
【0054】
ここで、筐体部13には、貫通路131を斜め上方に分岐する貫通路132が形成されている。貫通路131から分岐した貫通路132の基端は、器具を接続可能な接続口132A(第2の接続口)となっている。接続口132Aには、スライダ20の接続口201Aと同様に、送水又は吸引のための器具を接続することができる。
【0055】
図11に示されるように、吸引管路70は、貫通路131、132、シース11、及びストッパ12に形成された複数の貫通路122によって構成される。より詳細には、送水管路60の一部をなすチューブ30が貫通路131及びシース11内を通っている。そのため、貫通路131のうち、貫通路131の内壁面とチューブ30の外周面によって規定される管路が吸引管路70の一部をなす。また、シース11のうち、シース11の内周面とチューブ30の外周面によって規定される管路が吸引管路70の一部をなす。
【0056】
図11に示されるように、貫通路132と貫通路131とが連通し、貫通路131とシース11とが連通し、シース11と各貫通路122とが連通する。そのため、例えば接続口132Aに吸引ポンプが接続された場合、体腔内の付着物がストッパ12の先端面10Aに形成された先端開口122Aを介して貫通路122内に吸引される。貫通路122内に吸引された付着物は、シース11、貫通路131及び132を介して吸引ポンプが備える容器等に入れられる。
【0057】
なお、接続口132Aに送水ポンプを接続することにより、吸引管路70を送水管路として機能させることができる。この場合、接続口132Aを介して貫通路132に供給された洗浄液等が貫通路131、シース11及び貫通路122を流れて、各先端開口122Aから外部に噴射される。これにより、粘膜下層に薬液を注入したり付着物を除去したりすることができる。
【0058】
このように、別個独立した2つの管路を内視鏡用処置具1に設けることにより、ポンプを交換することなく送水又は吸引を行うことができる。また、送水と吸引の両方を同時に行うこともできる。例えば吸引ポンプを常時動作させて血液や粘液を常時吸引しながら局注等の各種処置を行うこともできる。すなわち、送水と吸引を同時に行える構成としたことにより、ESDの処置中、良好な術視野を常時確保できるようになる。
【0059】
また、高周波ナイフ50に高周波電流が通電されると、高周波ナイフ50のうち粘膜と接触する部分に、例えば、焼灼によって熱凝固したヘモグロビンや蛋白質等の付着物が付着する可能性がある。例えば吸引ポンプを常時動作させて高周波ナイフ50周囲の血液や粘液を常時吸引しながら局注等の各種処置を行うことより、上記付着物を減らすことができる。すなわち、送水と吸引を同時に行える構成としたことにより、ESDの処置中に高周波ナイフ50に付着し得る熱凝固物を減らすことができる。
【0060】
スライダ20の操作時にチューブ30がZ方向に進退できるように、貫通路131の内壁面と、貫通路131内に配置されたチューブ30の外周面との間に僅かながら隙間を形成する必要がある。しかし、このような隙間があると、管状部10内部での貫通路131の気密性を確保することができない。そこで、本実施形態では、この隙間を気密に封止するOリング80(シール部材)がチューブ30の外周に嵌められている。すなわち、管状部10内部での吸引管路70の気密性を確保するOリング80が、送水管路60のうち、吸引管路70内を通る部分の外周(貫通路131内を通るチューブ30の一部分の外周)に配置される。
【0061】
なお、Oリング80を嵌めることにより、チューブ30の外周面とOリング80との間に摩擦抵抗が生じる。この摩擦抵抗により、スライダ20は、操作された際、適度な負荷をもってZ方向に移動するようになる。そのため、術者は、スライダ20を微量に移動させやすくなり、高周波ナイフ50の突出量を調整しやすくなる。
【0062】
図9に示されるように、管状部10の先端面10Aの正面視において、先端面10Aの中央領域に、高周波ナイフ50が位置する。また、この中央領域の外側に位置する先端面10Aの周辺領域(言い換えると、高周波ナイフ50の周囲)に、4つの先端開口122Aが等ピッチに並んで位置する。このように、高周波ナイフ50と先端開口122Aとが正面視において重ならずに位置しており、例えば高周波ナイフ50をナイフ後退位置(
図5A及び
図8A参照)まで後退させた場合にも、先端開口122Aが高周波ナイフ50によって塞がれることがない。そのため、常時、送水と吸引の両方を行うことができる。
【0063】
図9に示されるように、正面視において突起部材501の外周と先端開口122Aとが接する配置関係となっていることにより、先端開口122Aが高周波ナイフ50に塞がれないようにしつつ、先端開口122A(及び貫通路122)の径を大きく確保することができる。
【0064】
なお、先端開口122Aが高周波ナイフ50に多少塞がれても送水と吸引の両方を同時に行うことはできる。先端開口122A(及び貫通路122)の径をより大きくするため、正面視において先端開口122Aの一部が高周波ナイフ50と重なる(言い換えると、正面視において先端開口122Aの一部が突起部材501に隠れる)配置構成としてもよい。
【0065】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【0066】
上記実施形態では、ストッパ12の貫通路122及び高周波ナイフ50の貫通路503は軸線直交方向の断面形状が略真円となっているが、貫通路122及び503の形状はこれに限らない。貫通路122及び503は、軸線直交方向の断面形状が例えば楕円や角柱等の別の形状であってもよい。
【0067】
【0068】
図12A、
図12Bは、それぞれ、
図8A、
図8Bと同様の図であり、本変形例に係る管状部10の先端の斜視図である。
図13は、
図9と同様の図であり、本変形例に係る管状部10の先端面10AをZ方向正側からみたときの図(言い換えると、先端面10Aの正面視図)である。
図14は、
図10と同様の図であり、本変形例に係る送水管路60を示す内視鏡用処置具1の断面図である。
図15は、
図11と同様の図であり、本変形例に係る吸引管路70を示す内視鏡用処置具1の断面図である。
【0069】
なお、本変形例では、上記実施形態と重複する説明については適宜省略する。また、本変形例では、管状部10の先端より後方の送水管路60及び吸引管路70の構成が上記実施形態と実質的に変わらない。そのため、
図14、
図15では、それぞれ、管状部10の先端部分の送水管路60、吸引管路70のみ示す。
【0070】
本変形例では、ストッパ12の貫通路121’が、ロッド状部材の一例である高周波ナイフ50をZ方向に摺動可能に支持する支持路の一例であるとともに、第2の管路の一例である吸引管路70の一部をなしている(
図12B、
図14、
図15等参照)。
図14及び
図15に示されるように、貫通路121’は、ストッパ12をZ方向に貫通する第3の貫通路の一例でもあり、基端側の開口がシース11と連通し、先端側の開口がストッパ12の先端面10Aに形成されている。貫通路121’の先端側の開口を「先端開口121A’」と記す。
【0071】
より具体的には、貫通路121’は、XY断面においてプラス状(言い換えると、+のような形状)に形成された、単一の貫通路となっている。高周波ナイフ50は、XY断面においてX方向に延びる部分とY方向に延びる部分とが交差する部分(言い換えると、XY断面における貫通路121’の中心領域)で、貫通路121’をZ方向に貫通するように配置される。
【0072】
本変形例において、送水管路60は、上記実施形態と同様に、スライダ20に形成された貫通路201、チューブ30、及び高周波ナイフ50に形成された貫通路503によって構成される。
【0073】
これに対し、吸引管路70の構成は、上記実施形態と異なる。本変形例において、吸引管路70は、筐体部13の貫通路131、132、シース11、及び貫通路121’によって構成される。そのため、例えば接続口132Aに吸引ポンプが接続された場合、体腔内の付着物がストッパ12の先端面10Aに形成された先端開口121A’を介して貫通路121’内に吸引される。貫通路121’内に吸引された付着物は、シース11、貫通路131及び132を介して吸引ポンプが備える容器等に入れられる。
【0074】
本変形例では、高周波ナイフ50をZ方向に摺動可能に支持する貫通路121’が吸引管路70の一部を兼ねる構成とすることにより、上記実施形態の構成(すなわち、貫通路121の周囲に貫通路122を形成する構成)と比べて、例えば管状部10の外径を小さく抑えることができる。また、管状部10の先端部分における吸引管路70の容積を増やすことができる。吸引管路70の容積を増やすことにより、例えば単位時間当たりに吸引可能な付着物の量を増やすことができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部と、
前記管状部の先端面から突出して配置され、操作部の操作に応じて前記先端面からの突出量が可変するロッド状部材と、
送水又は吸引のための器具を接続可能な第1の接続口と、
前記ロッド状部材の先端面に形成された第1の先端開口と、
前記管状部内に、前記管状部の軸線方向に延びて形成され、先端が前記第1の先端開口と連通し基端が前記第1の接続口と連通する第1の管路と、
前記器具を接続可能な第2の接続口と、
前記管状部の先端面に形成された第2の先端開口と、
前記管状部内に前記軸線方向に延びて形成され、先端が前記第2の先端開口と連通し基端が前記第2の接続口と連通する第2の管路と、
を備え、
前記管状部は、
シースと、
前記シースの先端開口を塞ぐように前記シースに取り付けられたキャップ状部材と、を含み、
前記キャップ状部材は、前記キャップ状部材を先端から基端まで前記軸線方向に貫通する貫通路が形成され、
前記貫通路は、
断面視において、中央に位置する第1の貫通領域と、前記第1の貫通領域から外方に延びる第2の貫通領域と、を有する形状となっており、
前記第1の貫通領域を有する部分において、前記ロッド状部材を前記軸線方向に摺動可能に支持し、
前記第2の管路の一部をなし、
前記貫通路の先端側の開口は、前記第2の先端開口であり、前記キャップ状部材の先端面に形成されている、
内視鏡用処置具。
【請求項2】
前記貫通路は、断面視において、前記第1の貫通領域から放射状に延びた複数の前記第2の貫通領域を有する形状となっている、
請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項3】
前記ロッド状部材に形成された、前記貫通路とは別の貫通路、と連通するチューブを更に備え、
前記第1の先端開口は、前記ロッド状部材の先端面に形成された前記別の貫通路の開口であり、
前記第1の管路は、前記別の貫通路と前記チューブを含む、
請求項1または請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項4】
前記別の貫通路と前記チューブとが連通するように、前記ロッド状部材の基端が前記チューブの先端に差し込まれており、
前記操作部の操作に応じて前記チューブが前記管状部内を前記軸線方向に進退することに伴って前記ロッド状部材も前記軸線方向に進退し、前記管状部の先端面からの前記ロッド状部材の突出量が変わる、
請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【請求項5】
前記第1の管路の少なくとも一部が前記第2の管路内を通っており、
前記管状部内部での前記第2の管路の気密性を確保するシール部材が、前記第1の管路のうち、前記第2の管路内を通る部分の外周に配置される、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項6】
高周波電流を流すための高周波電源を接続可能な接点部と、
前記管状部内に配置された導電性を有するワイヤと、
を更に備え、
前記ロッド状部材は導電性を有し、
前記ワイヤは、先端が前記ロッド状部材と電気的に接続され、基端が前記接点部と電気的に接続される、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の内視鏡用処置具。