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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103622
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】燃料電池システムおよび燃料電池船
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240725BHJP
   H01M 8/0444 20160101ALI20240725BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240725BHJP
   B63H 20/00 20060101ALI20240725BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240725BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04 J
H01M8/0444
H01M8/04746
B63H20/00 820
H01M8/10 101
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087564
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2020201097の分割
【原出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛広
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康義
(72)【発明者】
【氏名】山口 安美
(72)【発明者】
【氏名】平岩 琢也
(72)【発明者】
【氏名】木村 行彦
(57)【要約】
【課題】不活性ガスの混入による燃料濃度の低下が燃料電池の発電に対して与える影響を軽減できる。
【解決手段】燃料電池システム5は、推進装置9または補機11に電力を供給する燃料電池51と、燃料ガスが流れる燃料ガス配管41と、燃料ガス配管41に接続され、燃料ガスのパージ時に不活性ガスが導入される不活性ガス配管43と、不活性ガス配管43に配置され、逆流を規制する逆流規制部31と、燃料ガスの流量を調節可能である流量調節部63と、燃料ガス配管41中への不活性ガスの混入を検出する検出部29と、流量調節部63を制御する制御部171とを備える。燃料ガスが燃料ガス配管41に供給されているときに、検出部29の検出結果が、不活性ガスの混入を示す場合、制御部171は、燃料電池51の燃料利用率が低減されるように流量調節部63を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体に推進力を発生させる推進装置、または船内に設けられた補機、に電力を供給する燃料電池と、
前記燃料電池に供給する燃料ガスが流れる燃料ガス配管と、
前記燃料ガス配管に接続され、不活性ガスによる前記燃料ガスのパージ時に前記不活性ガスが導入される不活性ガス配管と、
前記不活性ガス配管に配置され、前記不活性ガスおよび前記燃料ガスの逆流を規制する逆流規制部と、
前記燃料電池へ供給する前記燃料ガスの流量を調節可能な流量調節部と、
前記不活性ガスが前記不活性ガス配管から前記逆流規制部を通って前記燃料ガス配管中の前記燃料ガスに混入したことを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記燃料ガスの流量を調節するように前記流量調節部を制御する制御部と
を備え、
前記燃料ガスが前記燃料ガス配管に供給されているときに、前記検出部の検出結果が、前記不活性ガスが前記燃料ガスに混入したことを示す場合、前記制御部は、前記燃料電池の燃料利用率が低減されるように前記流量調節部を制御する、燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料ガスが前記燃料ガス配管に供給されているときに、前記検出部の検出結果が、前記不活性ガスが前記燃料ガスに混入したことを示す場合、前記制御部は、前記不活性ガスが前記燃料ガスに混入する前よりも前記燃料利用率が低減されるように前記流量調節部を制御する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料ガスが前記燃料ガス配管に供給されているときに、前記検出部の検出結果が、前記不活性ガスが前記燃料ガスに混入したことを示す場合、
前記制御部は、
前記燃料ガス配管の流路容積と、前記燃料ガスを貯留する燃料ガスタンクの容積と、前記不活性ガス配管の流路容積とに基づいて、前記燃料電池の前記燃料利用率の低減率を算出し、当該低減率に応じて前記燃料利用率が低減されるように前記流量調節部を制御する、請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システムと、
前記船体と、
前記推進装置と、
前記補機と
を備える、燃料電池船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムおよび燃料電池船に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている舶用防爆パージガス供給システムは、水素源供給管と、燃料電池と、圧縮機と、窒素ガス発生装置と、窒素ガスパージ手段とからなる。水素源供給管は、液化石油ガス、液化石油ガス、液化天然ガス、石油類、アルコール類、および、水素などの易爆発性物質の船内貯蔵庫に接続され、燃料電池に易爆発性物質を供給するための管路である。船内貯蔵庫は、易爆発性物質を貯蔵するので、防爆を担保するために窒素ガスによるパージを要する。燃料電池は、水素ガスによって電力を発生させる。圧縮機は、燃料電池が排気する窒素リッチガスを圧縮する。窒素ガス発生装置は、圧縮機が吐出する窒素リッチガスを原料とする。窒素ガスパージ手段は、窒素ガス発生装置が発生させる窒素ガスを船内貯蔵庫に防爆目的で供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-225140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料電池で駆動する燃料電池船では、燃料ガスタンクの保守および点検のために、燃料ガスタンクの燃料ガスを不活性ガスでパージすることが要求される場合がある。そして、パージ後に燃料ガスが燃料ガスタンクに充填される。
【0005】
しかしながら、不活性ガス配管および燃料ガス配管の内圧によっては、不活性ガス配管に残留した不活性ガスが、燃料ガス配管に流入し、燃料ガスに混入する可能性がある。その結果、燃料ガスの燃料濃度が低下して、燃料電池の発電性能が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、不活性ガスの混入による燃料濃度の低下が燃料電池の発電に対して与える影響を軽減できる燃料電池システムおよび燃料電池船を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、燃料電池システムは、燃料電池と、燃料ガス配管と、不活性ガス配管と、逆流規制部と、流量調節部と、検出部と、制御部とを備える。前記燃料電池は、船体に推進力を発生させる推進装置、または船内に設けられた補機、に電力を供給する。前記燃料ガス配管は、前記燃料電池に供給する燃料ガスが流れる。前記不活性ガス配管は、前記燃料ガス配管に接続され、不活性ガスによる前記燃料ガスのパージ時に前記不活性ガスが導入される。前記逆流規制部は、前記不活性ガス配管に配置され、前記不活性ガスおよび前記燃料ガスの逆流を規制する。前記流量調節部は、前記燃料電池へ供給する前記燃料ガスの流量を調節可能である。前記検出部は、前記不活性ガスが前記不活性ガス配管から前記逆流規制部を通って前記燃料ガス配管中の前記燃料ガスに混入したことを検出する。前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記燃料ガスの流量を調節するように前記流量調節部を制御する。前記燃料ガスが前記燃料ガス配管に供給されているときに、前記検出部の検出結果が、前記不活性ガスが前記燃料ガスに混入したことを示す場合、前記制御部は、前記燃料電池の燃料利用率が低減されるように前記流量調節部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不活性ガスの混入による燃料濃度の低下が燃料電池の発電に対して与える影響を軽減できる燃料電池システムおよび燃料電池船を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る燃料電池船の概略構成を示す図である。
図2】実施形態1に係る燃料電池システムおよび燃料ガス供給システムを示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る燃料ガス調節方法を示すフローチャートである。
図4】実施形態1の変形例に係る燃料ガス調節方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2に係る燃料電池システムおよび燃料ガス供給システムを示すブロック図である。
図6】本発明の実施形態3に係る燃料電池システムおよび燃料ガス供給システムを示すブロック図である。
図7】本発明の実施形態4に係る燃料電池システムおよび燃料ガス供給システムを示すブロック図である。
図8】本発明の実施形態5に係る燃料電池システムおよび燃料ガス供給システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
(実施形態1)
図1図3を参照して、本発明の実施形態1に係る燃料電池船100を説明する。まず、図1を参照して、実施形態1に係る燃料電池船100を説明する。図1は、燃料電池船100の概略構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、燃料電池船100は、船体1と、キャビン3と、燃料電池システム5と、燃料ガス供給システム6と、蓄電池システム7と、推進装置9と、複数の補機11と、排気ファン13と、ダクト15と、制御装置17とを備える。船体1の上面にはキャビン3が配置される。
【0013】
制御装置17は、燃料電池システム5、燃料ガス供給システム6、蓄電池システム7、推進装置9、複数の補機11、および、排気ファン13を制御する。制御装置17は、例えば、1つまたは2以上のコンピューターによって構成される。コンピューターは、例えば、ECU(Electronic Control Unit)である。制御装置17には、バッテリーから電力が供給される。
【0014】
具体的には、制御装置17は、制御部171と、記憶部173とを有する。制御部171は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。記憶部173は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部173は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶部173は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶部173は、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体の一例に相当する。
【0015】
制御部171のプロセッサーは、記憶部173の記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、燃料電池システム5、燃料ガス供給システム6、蓄電池システム7、推進装置9、複数の補機11、および、排気ファン13を制御する。
【0016】
燃料電池システム5は、主電源として機能する。燃料電池システム5は、燃料ガスを消費して電力(具体的には直流電力)を発生する。そして、燃料電池システム5は、推進装置9、燃料ガス供給システム6、補機11、および、排気ファン13に電力を供給する。また、燃料電池システム5は、蓄電池システム7を充電するための電力を、蓄電池システム7に供給する。
【0017】
燃料ガス供給システム6は、燃料ガスを貯留する。そして、燃料ガス供給システム6は、燃料ガスを燃料電池システム5に供給する。
【0018】
燃料ガスは、典型的には、水素ガスである。
【0019】
蓄電池システム7は、補助電源として機能する。蓄電池システム7は、燃料電池システム5によって供給される電力の不足を補うために、蓄電した電力(具体的には直流電力)を、推進装置9、燃料ガス供給システム6、補機11、および、排気ファン13に供給する。蓄電池システム7は、制御装置17に電力を供給してもよい。蓄電池システム7は蓄電池を有する。蓄電池は、例えば、リチウム二次電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、または、ニッケル・水素蓄電池である。なお、蓄電池システム7を主電源とし、燃料電池システム5を蓄電池システム7への充電用電源として使用する方式、つまり、燃料電池システム5をレンジエクステンダーとして使用する方式を採用してもよい。
【0020】
推進装置9は、電力によって駆動され、船体1に推進力を発生させる。推進装置9は、電力変換装置91と、推進モーター93と、プロペラ95とを有する。電力変換装置91は、燃料電池システム5から供給される電力を、推進モーター93の規格に応じた電力に変換する。例えば、電力変換装置91は、直流電力を交流電力に変換する。この場合、例えば、電力変換装置91は、インバーターを有する。推進モーター93は、電力変換装置91から供給される電力(例えば交流電力)によって駆動される。推進モーター93が駆動されると、推進モーター93の回転力がプロペラ95に伝達される。その結果、プロペラ95が回転して、船体1に推進力が発生する。
【0021】
排気ファン13は、電力によって駆動され、ダクト15を通して、船体1の内部から外部への排気を行う。
【0022】
補機11は、電力によって駆動する機器であって、推進装置9および制御装置17と異なる機器である。補機11は、例えば、コンプレッサー、電磁弁、ポンプ、照明機器、または、空調機器である。ただし、補機11の種類は特に限定されない。
【0023】
次に、図2を参照して、燃料電池システム5および燃料ガス供給システム6について説明する。図2は、燃料電池システム5および燃料ガス供給システム6を示すブロック図である。
【0024】
図2に示すように、燃料電池船100は、燃料ガス配管41と、不活性ガス配管43と、酸化剤ガス配管45と、配管47と、継手JT1と、継手JT2とをさらに備える。
【0025】
燃料電池システム5は、燃料電池51と、流量調節部53と、酸化剤ガス供給部55とを含む。
【0026】
なお、例えば、燃料電池51、流量調節部53、燃料ガス配管41の一部(具体的には、第3燃料ガス配管413の一部)、および、酸化剤ガス配管45の一部は、燃料電池収容体(不図示)に収容される。燃料電池収容体は、例えば、容器、チャンバー、または、ボックスである。燃料電池収容体の素材は、例えば、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)または鉄板である。燃料電池収容体は、例えば、甲板1aの下方または甲板1a上に配置される。
【0027】
燃料ガス供給システム6は、燃料ガス導入口21と、第1逆流規制部23と、不活性ガス導入口25と、開閉部27と、検出部29と、第2逆流規制部31と、開閉部33と、燃料ガスタンク61と、流量調節部63とを含む。第2逆流規制部31は、本発明の「逆流規制部」の一例に相当する。
【0028】
検出部29は、第1圧力検出部291と、第2圧力検出部292とを含む。燃料ガスタンク61は、タンク本体611と、バルブユニット612と、温度検出部613とを含む。バルブユニット612は、逆流規制部B1と、開閉部B2とを含む。流量調節部63は、第3圧力検出部631と、減圧部632と、開閉部633とを含む。
【0029】
なお、例えば、第2圧力検出部292、燃料ガスタンク61、流量調節部63、および、燃料ガス配管41の一部(具体的には、第1燃料ガス配管411の一部および第2燃料ガス配管412の一部)は、燃料収容体(不図示)に収容される。燃料収容体は、例えば、容器、チャンバー、または、ボックスである。燃料収容体の素材は、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)または鉄板である。燃料収容体は、例えば、甲板1aの下方または甲板1a上に配置される。
【0030】
以下、燃料ガス導入口21および不活性ガス導入口25の側が、ガスの流れの上流を示し、燃料電池51の側が、ガスの流れの下流を示す。ガスは、燃料ガスまたは不活性ガスである。
【0031】
次に、引き続き図2を参照して、燃料ガス配管41および不活性ガス配管43の接続関係および各要素の配置を説明する。
【0032】
燃料ガス配管41の一端は、燃料ガス導入口21に接続される。燃料ガス配管41の他端は、燃料電池51に接続される。燃料ガス配管41には、燃料電池51に供給する燃料ガスが流れる。燃料ガス配管41には、第1逆流規制部23、継手JT1、第2圧力検出部292、燃料ガスタンク61、流量調節部63、継手JT2、および、流量調節部53が配置される。
【0033】
具体的には、燃料ガス配管41は、第1燃料ガス配管411と、第2燃料ガス配管412と、第3燃料ガス配管413とを含む。
【0034】
第1燃料ガス配管411には燃料ガスが流れる。第1燃料ガス配管411の一端は、燃料ガス導入口21に接続され、第1燃料ガス配管411の他端は、燃料ガスタンク61に接続される。従って、第1燃料ガス配管411は、燃料ガスタンク61に燃料ガスを供給する。具体的には、第1燃料ガス配管411の他端は、燃料ガスタンク61の逆流規制部B1に接続される。
【0035】
第1燃料ガス配管411には、第1逆流規制部23、第2圧力検出部292、および、継手JT1が配置される。第1逆流規制部23は、燃料ガス導入口21と継手JT1との間に配置される。つまり、第1逆流規制部23は、継手JT1よりも上流に配置される。例えば、第1逆流規制部23は、燃料ガス導入口21の近傍に配置される。第2圧力検出部292は、継手JT1と燃料ガスタンク61の開閉部B2との間に配置される。
【0036】
第2燃料ガス配管412には燃料ガスが流れる。第2燃料ガス配管412の一端は、燃料ガスタンク61に接続され、第2燃料ガス配管412の他端は、継手JT2を介して第3燃料ガス配管413の一端に接続される。従って、第2燃料ガス配管412は、燃料ガスタンク61からの燃料ガスを、第3燃料ガス配管413を介して燃料電池51に供給する。具体的には、第2燃料ガス配管412の一端は、燃料ガスタンク61の開閉部B2に接続され、第2燃料ガス配管412の他端は、継手JT2に接続される。
【0037】
第2燃料ガス配管412には、流量調節部63が配置される。具体的には、流量調節部63の第3圧力検出部631、減圧部632、および、開閉部633は、第2燃料ガス配管412において、燃料ガスタンク61の開閉部B2と継手JT2との間に配置される。更に具体的には、流量調節部63の第3圧力検出部631、減圧部632、および、開閉部633は、上流から下流に向かって、第3圧力検出部631、減圧部632、および、開閉部633の順番で、第2燃料ガス配管412に配置される。
【0038】
第3燃料ガス配管413には燃料ガスが流れる。第3燃料ガス配管413の一端は、継手JT2に接続される。つまり、第3燃料ガス配管413の一端は、継手JT2を介して第2燃料ガス配管412の他端に接続され、第3燃料ガス配管413の他端は、燃料電池51に接続される。第3燃料ガス配管413には、流量調節部53が配置される。第3燃料ガス配管413は、燃料ガスタンク61および第2燃料ガス配管412からの燃料ガスを燃料電池51(具体的には、アノード極)に供給する。
【0039】
酸化剤ガス配管45には酸化剤ガスが流れる。酸化剤ガス配管45は、酸化剤ガス供給部55と燃料電池51とを接続する。従って、酸化剤ガス配管45は、酸化剤ガス供給部55からの酸化剤ガスを燃料電池51(具体的にはカソード極)に供給する。
【0040】
典型的には、酸化剤ガスは、空気であり、酸化剤は、酸素である。
【0041】
不活性ガス配管43には、不活性ガスが流れる。具体的には、不活性ガス配管43には、燃料ガス導入口21から燃料ガス配管41に燃料ガスが導入される時間帯と異なる時間帯に不活性ガスが導入される。更に具体的には、不活性ガス配管43には、不活性ガスによる燃料ガスのパージ時に不活性ガスが導入される。この点の詳細は後述する。
【0042】
典型的には、不活性ガスは、窒素である。
【0043】
不活性ガス配管43の一端は、不活性ガス導入口25に接続され、不活性ガス配管43の他端は、継手JT1を介して燃料ガス配管41に接続される。具体的には、不活性ガス配管43の他端は、継手JT1を介して第1燃料ガス配管411に接続される。つまり、不活性ガス配管43の他端は、継手JT1に接続される。継手JT1は、不活性ガス配管43と燃料ガス配管41(具体的には、第1燃料ガス配管411)との接続箇所である。
【0044】
不活性ガス配管43には、開閉部27、第1圧力検出部291、および、第2逆流規制部31が配置される。具体的には、開閉部27、第1圧力検出部291、および、第2逆流規制部31は、不活性ガス配管43において、不活性ガス導入口25と継手JT1との間に配置される。更に具体的には、開閉部27、第1圧力検出部291、および、第2逆流規制部31は、上流から下流に向かって、開閉部27、第1圧力検出部291、および、第2逆流規制部31の順番で、不活性ガス配管43に配置される。
【0045】
開閉部27、第1圧力検出部291、および、第2逆流規制部31は、継手JT1よりも上流に配置される。開閉部27は、例えば、不活性ガス導入口25の近傍に配置される。開閉部27および第1圧力検出部291は、第2逆流規制部31よりも上流に配置される。第1圧力検出部291は、開閉部27と第2逆流規制部31との間に配置される。
【0046】
配管47は、継手JT2に接続される。従って、配管47は、継手JT2を介して燃料ガス配管41に接続される。具体的には、配管47は、継手JT2を介して、第2燃料ガス配管412および第3燃料ガス配管413に接続される。配管47には、開閉部33が配置される。
【0047】
次に、引き続き図2を参照して、燃料電池システム5の動作を説明する。燃料電池51は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により電力(具体的には直流電力)を発電する。
【0048】
燃料電池51は、電力を、推進装置9、燃料ガス供給システム6、排気ファン13、および、補機11に供給する。なお、燃料電池51は、電力を、DC/DCコンバーター等の回路を介して間接的に、推進装置9、燃料ガス供給システム6、排気ファン13、および、補機11に供給してもよい。
【0049】
具体的には、燃料電池51は、積層された複数のセルによって構成される燃料電池スタックである。例えば、燃料電池51の各セルは、固体高分子電解質膜と、アノード極と、カソード極と、一対のセパレータとを有する。アノード極とカソード極とは、固体高分子電解質膜を挟む。アノード極は、負極(燃料極)である。アノード極は、アノード触媒層およびガス拡散層を含む。カソード極は、正極(空気極)である。カソード極は、カソード触媒層およびガス拡散層を含む。アノード極と固体高分子電解質膜とカソード極とは、膜-電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を構成する。一対のセパレータは、膜-電極接合体を挟む。各セパレータは複数の溝を有する。一方のセパレータの各溝は、燃料ガスの流路を形成する。他方のセパレータの各溝は、酸化剤ガスの流路を形成する。
【0050】
流量調節部53は、燃料ガス配管41(具体的には、第3燃料ガス配管413)の流路を開放または閉塞する。具体的には、流量調節部53は、燃料電池51への燃料ガスの供給と供給停止とを切り替える。従って、流量調節部53は、燃料電池51に供給する燃料ガスを遮断することが可能である。典型的には、流量調節部53は、開閉弁である。
【0051】
燃料ガス配管41(具体的には、第3燃料ガス配管413)は、流量調節部53を通過した燃料ガスを燃料電池51(具体的にはアノード極)に案内する。
【0052】
酸化剤ガス供給部55は、燃料電池51(具体的にはカソード極)に対して酸化剤ガスを供給する。典型的には、酸化剤ガス供給部55は、エアコンプレッサーであり、酸化剤ガスを圧縮して、圧縮された酸化剤ガスを燃料電池51に供給する。
【0053】
酸化剤ガス配管56は、酸化剤ガス供給部55から供給される圧縮された酸化剤ガスを、燃料電池51(具体的にはカソード極)へ案内する。
【0054】
次に、引き続き図2を参照して、燃料ガス供給システム6の動作を説明する。第1逆流規制部23は、燃料ガスの逆流を規制する。逆流は、燃料ガス導入口21に向かう方向、つまり、逆方向に燃料ガスが流れることを示す。第1逆流規制部23は、典型的には、逆止弁である。例えば、燃料ガス導入口21および第1逆流規制部23は一体化されてレセプタクルを構成する。
【0055】
開閉部27は、不活性ガス配管43の上流側において、不活性ガス配管43の流路を開放または閉塞する。開閉部27は、例えば、不活性ガス導入口25の近傍に配置される。開閉部27は、典型的には、開閉弁である。
【0056】
第1圧力検出部291は、開閉部27よりも下流であって、第2逆流規制部31よりも上流の位置で、不活性ガス配管43の内部圧力(以下、「内部圧力P1」と記載)を検出する。内部圧力P1は、不活性ガス配管43の流路内の圧力を示す。具体的には、第1圧力検出部291は、不活性ガス配管43のうちの配管431の内部圧力P1を検出する。配管431は、不活性ガス配管43のうち、開閉部27と第2逆流規制部31との間の配管である。従って、具体的には、不活性ガス配管43の内部圧力P1は配管431の内部圧力を示す。そして、第1圧力検出部291は、内部圧力P1を示す信号を制御部171に出力する。第1圧力検出部291は、典型的には、圧力センサーである。
【0057】
以下、不活性ガス配管43のうちの配管431を「不活性ガス配管431」と記載する場合がある。
【0058】
第2逆流規制部31は、継手JT1よりも上流の位置で、不活性ガスおよび燃料ガスの逆流を規制する。逆流は、不活性ガスおよび燃料ガスが逆方向BWに流れることを示す。逆方向BWは、第2逆流規制部31から不活性ガス導入口25に向かう方向を示す。一方、順流は、不活性ガスが順方向FWに流れることを示す。順方向FWは、不活性ガス導入口25から第2逆流規制部31に向かう方向を示す。第2逆流規制部31は、典型的には、逆止弁である。
【0059】
第2圧力検出部292は、継手JT1よりも下流の位置で、燃料ガス配管41の内部圧力(以下、「内部圧力P2」と記載)を検出する。内部圧力P2は、燃料ガス配管41の流路内の圧力を示す。具体的には、燃料ガス配管41の内部圧力P2は、第1燃料ガス配管411の内部圧力である。つまり、内部圧力P2は、第1燃料ガス配管411の流路内の圧力を示す。従って、第2圧力検出部292は、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2を検出する。そして、第2圧力検出部292は、内部圧力P2を示す信号を制御部171に出力する。第2圧力検出部292は、典型的には、圧力センサーである。なお、第2圧力検出部292が第1燃料ガス配管411の内部圧力P2を検出できる限りにおいては、第2圧力検出部292の配置は特に限定されない。例えば、第2圧力検出部292は、不活性ガス配管43のうち、第2逆流規制部31と継手JT1との間の位置で内部圧力P2を検出してもよい。例えば、第2圧力検出部292は、第1燃料ガス配管411のうち、第1逆流規制部23と継手JT1との間の位置で内部圧力P2を検出してもよい。
【0060】
燃料ガスタンク61は、燃料ガスを貯留する。具体的には、タンク本体611が、燃料ガスを貯留する。逆流規制部B1は、タンク本体611の入口において、タンク本体611に貯留された燃料ガスの逆流を規制する。逆流は、タンク本体611から第1燃料ガス配管411に燃料ガスが流れることを示す。逆流規制部B1は、典型的には、逆止弁である。開閉部B2は、タンク本体611の出口流路を開放または閉塞する。つまり、開閉部B2は、タンク本体611の出口において、タンク本体611から第2燃料ガス配管412への燃料ガスの導入と導入停止とを切り替える。開閉部B2は、典型的には、開閉弁である。温度検出部613は、タンク本体611に貯留された燃料ガスの温度を検出して、温度を示す信号を制御部171に出力する。温度検出部613は、典型的には、温度センサーである。
【0061】
流量調節部63は、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量を調節可能である。つまり、流量調節部63は、燃料ガスタンク61から供給される燃料ガスの流量を調節して、燃料ガスを、第3燃料ガス配管413を介して燃料電池51に供給する。具体的には、流量調節部63は、開閉部633によって、第2燃料ガス配管412の流路を閉塞することで、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量をゼロにする。または、流量調節部63は、開閉部633によって、第2燃料ガス配管412の流路を開放することで、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量を所定流量にする。
【0062】
具体的には、流量調節部63において、第3圧力検出部631は、第2燃料ガス配管412の内部圧力(以下、「内部圧力P3」と記載)を検出する。内部圧力P3は、第2燃料ガス配管412の流路内の圧力を示す。そして、第3圧力検出部631は、内部圧力P3を示す信号を制御部171に出力する。第3圧力検出部631は、典型的には、圧力センサーである。
【0063】
制御部171は、第2燃料ガス配管412の内部圧力P3に基づいて、減圧部632を制御する。そして、減圧部632は、燃料ガスタンク61から供給される燃料ガスの圧力を調圧する。例えば、減圧部632は、燃料ガスタンク61から供給される燃料ガスの圧力を減圧する。従って、流量調節部63は「圧力調節部」と捉えることができる。
【0064】
また、減圧部632は、リリーフ弁としての機能も有する。つまり、減圧部632は、第2燃料ガス配管412の内部圧力P3が設定値以上に高くなった場合に開くことで、第2燃料ガス配管412の内部圧力P3が高くなりすぎないように調圧する。減圧部632は、典型的には、リリーフ弁一体型の減圧弁である。なお、減圧部632が減圧弁であり、減圧部632とは別個にリリーフ弁が設けられていてもよい。
【0065】
開閉部633は、第2燃料ガス配管412の流路を開放または閉塞する。つまり、開閉部633は、燃料電池51への燃料ガスの供給と供給停止とを切り替える。開閉部633は、典型的には、開閉弁である。
【0066】
次に、引き続き図2を参照して、燃料ガスタンク61に燃料ガスを充填する動作を説明する。燃料ガスタンク61に燃料ガスを充填する際には、不活性ガス導入口25には、不活性ガスが供給されない。この場合、開閉部27は、不活性ガス配管43の流路を閉塞している。また、燃料ガスタンク61の開閉部B2は、タンク本体611の出口流路を閉塞している。なお、開閉部633、流量調節部53、および、開閉部33の状態は、特に限定されず、開いていてもよいし、閉じていてもよい。
【0067】
燃料ガスタンク61に燃料ガスを充填する際には、不活性ガス導入口25に不活性ガスが供給されていない状態で、燃料ガス導入口74には、高圧の燃料ガスが供給される。この場合の燃料ガスの圧力は、例えば、82MPaである。その結果、燃料ガスは、第1逆流規制部23、第1燃料ガス配管411、および、逆流規制部B1を通って、燃料ガスタンク61に充填される。
【0068】
なお、例えば、まず、第1燃料ガス配管411に配置されるバルブ(不図示)を閉じて、燃料ガス導入口21から第1燃料ガス配管411に高圧の燃料ガスを充填してもよい。次に、当該バルブを開放することで、第1燃料ガス配管411から燃料ガスタンク61に燃料ガスを充填してもよい。この場合、例えば、当該バルブは、第1燃料ガス配管411において、燃料ガスタンク61の近傍に配置される。
【0069】
次に、引き続き図2を参照して、燃料ガスタンク61から燃料電池51に燃料ガスを供給する動作を説明する。燃料電池51に燃料ガスを充填する際には、燃料ガスタンク61の開閉部B2は、タンク本体611の出口流路を開放する。また、流量調節部63の開閉部633が、第2燃料ガス配管412の流路を開放する。さらに、燃料電池システム5の流量調節部53が、第3燃料ガス配管413の流路を開放する。その結果、燃料ガスが、燃料ガスタンク61から、第2燃料ガス配管412および第3燃料ガス配管413を通って、燃料電池51に供給される。なお、燃料電池51に燃料ガスを充填する際には、開閉部27は不活性ガス配管43の流路を閉塞し、開閉部33は配管47の流路を閉塞している。
【0070】
次に、引き続き図2を参照して、不活性ガスによる燃料ガスのパージを説明する。不活性ガスによって燃料ガスをパージする際には、燃料ガスタンク61の開閉部B2は、タンク本体611の出口流路を開放し、流量調節部63の開閉部633は、第2燃料ガス配管412の流路を開放し、燃料電池システム5の流量調節部53は、第3燃料ガス配管413の流路を閉塞している。また、開閉部33は、配管47の流路を開放している。そして、燃料ガス導入口21に燃料ガスが供給されていない状態において、不活性ガス導入口25に、不活性ガスが供給される。この場合の不活性ガスの圧力は、例えば、14.7MPaである。
【0071】
そして、開閉部27が不活性ガス配管43の流路を開放すると、不活性ガスが、第2逆流規制部31および不活性ガス配管43から、第1燃料ガス配管411に供給され、燃料ガスタンク61を通って、第2燃料ガス配管412に供給される。さらに、不活性ガスは、第2燃料ガス配管412から、配管47を通って排出される。その結果、第1燃料ガス配管411に残留する燃料ガス、燃料ガスタンク61に残留する燃料ガス、および、第2燃料ガス配管412に残留する燃料ガスが、不活性ガスでパージされる。
【0072】
なお、燃料電池システム5の流量調節部53が第3燃料ガス配管413の流路を開放し、開閉部33が配管47の流路を閉塞していてもよい。この場合は、開閉部27が不活性ガス配管43の流路を開放すると、不活性ガスが、第2逆流規制部31および不活性ガス配管43から、第1燃料ガス配管411に供給され、燃料ガスタンク61を通って、第2燃料ガス配管412に供給される。さらに、不活性ガスは、第2燃料ガス配管412から、第3燃料ガス配管413を通って、燃料電池51に供給されて排出される。その結果、燃料ガス配管41に残留する燃料ガス、燃料ガスタンク61に残留する燃料ガス、および、燃料電池51に残留する燃料ガスが、不活性ガスでパージされる。
【0073】
次に、引き続き図2を参照して、不活性ガス配管431に残留する不活性ガスが、燃料ガス配管41中の燃料ガスに混入する可能性と、不活性ガスが燃料ガスに混入した場合の制御を説明する。
【0074】
燃料電池51の発電による燃料ガスの消費によって、燃料ガスタンク61の内部圧力が低下する。この場合、例えば、燃料ガスタンク61の内部圧力が第1燃料ガス配管411の内部圧力P2以下になると、逆流規制部B1が開いて、第1燃料ガス配管411からタンク本体611へのガスの流入が可能になる。
【0075】
さらに、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2が低下して、内部圧力P2が不活性ガス配管431の内部圧力P1以下になると、第2逆流規制部31が開いて、不活性ガス配管431に残留している不活性ガスが、第1燃料ガス配管411に流入する可能性がある。この場合、第1燃料ガス配管411中の燃料ガスに不活性ガスが混入して、燃料ガスの濃度が低下する。
【0076】
従って、不活性ガスによって濃度の低下した燃料ガスが、第1燃料ガス配管411から燃料ガスタンク61に流入する可能性がある。その結果、燃料ガスタンク61から、濃度の低下した燃料ガスが燃料電池51に供給され、燃料電池51の発電性能が低下する可能性がある。
【0077】
そこで、実施形態1では、検出部29は、不活性ガスが不活性ガス配管431から第2逆流規制部31を通って燃料ガス配管41中の燃料ガスに混入したことを検出する。
【0078】
具体的には、検出部29は、物理量(以下、「物理量PY」と記載)を検出する。物理量PYは、不活性ガスが不活性ガス配管431から第2逆流規制部31を通って燃料ガス配管41中の燃料ガスに混入したことを示すことの可能な物理量である。不活性ガスが燃料ガスに混入することは、燃料ガス配管41中の燃料ガスの燃料濃度が低下することを示す。従って、物理量PYは、燃料ガス配管41中の燃料ガスの燃料濃度が低下したことを示すことの可能な物理量である。燃料濃度は、典型的には、水素濃度である。
【0079】
具体的には、物理量PYは、不活性ガスが不活性ガス配管431から第2逆流規制部31を通って第1燃料ガス配管411中の燃料ガスに混入したことを示すことの可能な物理量である。不活性ガスが燃料ガスに混入することは、第1燃料ガス配管411中の燃料ガスの燃料濃度が低下することを示す。従って、物理量PYは、第1燃料ガス配管411中の燃料ガスの燃料濃度が低下したことを示すことの可能な物理量である。
【0080】
物理量PYは、実施形態1では、「圧力」である。物理量PYの詳細は後述する。
【0081】
制御部171は、検出部29の検出結果に基づいて、燃料ガスの流量を調節するように流量調節部63および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、実施形態1によれば、制御部171は、不活性ガスの混入に起因して燃料ガスの燃料濃度が低下した場合に、燃料電池51に供給する燃料ガスの流量を調節することができる。その結果、不活性ガスの混入に起因する燃料濃度の低下が燃料電池51の発電に対して与える影響を軽減できる。
【0082】
特に、実施形態1では、検出部29の検出結果が、不活性ガスが燃料ガスに混入したことを示す場合、制御部171は、燃料ガスの流量をゼロにするように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。つまり、検出部29の検出結果が、不活性ガスが燃料ガスに混入したことを示す場合、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、燃料電池51への燃料ガスの供給が停止され、燃料電池51は発電を停止する。その結果、燃料濃度の低下が燃料電池51の発電に対して与える影響を防止できる。つまり、燃料電池51を停止させるため、そもそも、燃料濃度の低下は、燃料電池51の発電に対して影響を与えない。
【0083】
例えば、発電性能が低下した燃料電池51の発電を停止することで、蓄電池システム7から推進装置9に必要な全ての電力を供給したり、別の燃料電池から推進装置9に必要な全ての電力を供給したりすることができる。
【0084】
具体的には、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1と、燃料ガス配管41(具体的には第1燃料ガス配管411)の内部圧力P2とに基づいて、燃料ガスの流量を調節するように流量調節部63および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。内部圧力P1と内部圧力P2とは、物理量PYであり、不活性ガスが不活性ガス配管431から第2逆流規制部31を通って燃料ガス配管41中の燃料ガスに混入したことを示すことが可能である。従って、圧力(内部圧力P1および内部圧力P2)を検出する簡素な構成によって、不活性ガスが燃料ガスに混入したか否かを判定することで、燃料電池51に供給する燃料ガスの流量を調節できる。
【0085】
更に具体的には、燃料ガス配管41の内部圧力P2は、第1燃料ガス配管411の内部圧力である。そして、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足するか否かを判定する。順方向通過条件は、第2逆流規制部31の上流から下流に向かって、不活性ガスが第2逆流規制部31を通過するための条件である。つまり、順方向通過条件は、不活性ガスが順方向FWに第2逆流規制部31を通過するための条件である。
【0086】
順方向通過条件は、不活性ガス配管431の内部圧力P1が、閾値TH以上になったことである。つまり、不活性ガス配管431の内部圧力P1が閾値TH以上になった場合(P1≧TH)、不活性ガスは、第2逆流規制部31の上流から下流に向かって第2逆流規制部31を通過する。従って、不活性ガスは、不活性ガス配管431から第1燃料ガス配管411に流入する。つまり、内部圧力P1および内部圧力P2が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足したことは、不活性ガスが第1燃料ガス配管411中の燃料ガスに混入したことを示す。
【0087】
閾値THは、固定値ではなく、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2に依存する変動値である。具体的には、閾値THは、燃料ガス配管41の内部圧力P2から、第2逆流規制部31に予め設定されたマージン値MVを差し引いた値である(TH=P2-MV)。マージン値MVは、0以上の実数である。なお、第2逆流規制部31が逆止弁の場合、マージン値MVは、逆止弁のクラッキング差圧であってもよい。
【0088】
不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足したと判定した場合、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、燃料電池51への燃料ガスの供給が停止され、燃料電池51は発電を停止する。
【0089】
実施形態1によれば、不活性ガス配管431の内部圧力P1と第1燃料ガス配管411の内部圧力P2とを検出することで、不活性ガスが第2逆流規制部31を通って第1燃料ガス配管411に流入したことを精度良く検出できる。
【0090】
次に、図2および図3を参照して、実施形態1に係る燃料ガス調節方法を説明する。図3は、燃料ガス調節方法を示すフローチャートである。図3に示すように、燃料ガス調節方法は、ステップS1~ステップS3を含む。
【0091】
図2および図3に示すように、ステップS1において、制御部171は、検出部29から検出結果を取得する。具体的には、制御部171は、第1圧力検出部291から不活性ガス配管431の内部圧力P1を示す情報を取得するとともに、第2圧力検出部292から第1燃料ガス配管411の内部圧力P2を示す情報を取得する。
【0092】
次に、ステップS2において、制御部171は、検出部29の検出結果に基づいて、第1燃料ガス配管411中の燃料ガスに不活性ガスが混入したか否かを判定する。具体的には、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足するか否かを判定する。
【0093】
ステップS2で否定判定された場合(No)、処理は終了する。否定判定は、燃料ガスに不活性ガスが混入していないと判定されたこと、つまり、内部圧力P1、P2が順方向通過条件を満足していないと判定されたことを示す。
【0094】
一方、ステップS2で肯定判定された場合(Yes)、処理はステップS3に進む。肯定判定は、燃料ガスに不活性ガスが混入したと判定されたこと、つまり、内部圧力P1、P2が順方向通過条件を満足したと判定されたことを示す。
【0095】
次に、ステップS3において、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止する。その結果、燃料電池51は発電を停止する。そして、処理は終了する。
【0096】
なお、実施形態1において、燃料ガス供給システム6は、第2圧力検出部292を備えていなくてもよい。この場合は、第3圧力検出部631が、本発明の「第2圧力検出部」として機能する。第3圧力検出部631が、本発明の「第2圧力検出部」として機能する場合、開閉部B2は、タンク本体611の出口流路を開放する。従って、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2と第2燃料ガス配管412の内部圧力P3とは略一致する。
【0097】
具体的には、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1と、燃料ガス配管41の内部圧力P3とに基づいて、燃料ガスの流量を調節するように流量調節部63および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。内部圧力P1と内部圧力P3とは、物理量PYであり、不活性ガスが不活性ガス配管43から第2逆流規制部31を通って燃料ガス配管41中の燃料ガスに混入したことを示すことが可能である。
【0098】
更に具体的には、燃料ガス配管41の内部圧力P3は、第2燃料ガス配管412の内部圧力である。つまり、第3圧力検出部631は、第2燃料ガス配管412の内部圧力P3を検出する。
【0099】
そして、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1および第2燃料ガス配管412の内部圧力P3が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足するか否かを判定する。
【0100】
順方向通過条件は、内部圧力P1、P2を使用する場合の順方向条件と同様であり、不活性ガス配管431の内部圧力P1が、閾値TH以上になったことである。ただし、閾値THは、固定値ではなく、内部圧力P3に依存する変動値である。具体的には、閾値THは、内部圧力P3から、第2逆流規制部31に予め設定されたマージン値MVを差し引いた値である(TH=P3-MV)。マージン値MVは、0以上の実数である。
【0101】
不活性ガス配管431の内部圧力P1および第2燃料ガス配管412の内部圧力P3が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足したと判定した場合、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、燃料電池51への燃料ガスの供給が停止され、燃料電池51は発電を停止する。
【0102】
不活性ガス配管431の内部圧力P1と第2燃料ガス配管412の内部圧力P3とを検出することで、不活性ガスが第2逆流規制部31を通って第1燃料ガス配管411に流入したことを容易に検出できる。
【0103】
(変形例)
図2を参照して、実施形態1の変形例を説明する。変形例は、不活性ガスが燃料ガスに混入した場合に、燃料ガスの流量を増加させる点で、実施形態1と主に異なる。以下、変形例が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0104】
変形例では、燃料ガス供給システム6は、流量調節部(以下、本明細書において、「流量調節部FL」と記載する。不図示)をさらに含む。流量調節部FLは、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量を調節可能である。つまり、流量調節部FLは、燃料ガスタンク61から供給される燃料ガスの流量を調節して、燃料ガスを、第3燃料ガス配管413を介して燃料電池51に供給する。流量調節部FLは、燃料電池51よりも上流に配置される。流量調節部FLは、例えば、コンプレッサーである。
【0105】
図2に示す検出部29の検出結果が、不活性ガスが燃料ガスに混入したことを示す場合、制御部171は、不活性ガスが燃料ガスに混入する前の燃料利用率よりも、燃料電池51の燃料利用率を低減するように流量調節部FLを制御する。燃料利用率は、(燃料電池51の発電反応に寄与する燃料ガスの流量)/(燃料電池51に供給する燃料ガスの流量)、によって表される。従って、燃料電池51に供給する燃料ガスの流量を増加すると、燃料利用率が低減する。換言すれば、燃料利用率を低減させることは、燃料電池51に供給する燃料ガスの流量を増加することに相当する。
【0106】
すなわち、検出部29の検出結果が、不活性ガスが燃料ガスに混入したことを示す場合、制御部171は、不活性ガスが燃料ガスに混入する前の燃料ガスの流量よりも、燃料電池51への燃料ガスの流量を増加するように流量調節部FLを制御する。従って、燃料電池51への燃料ガスの流量が増加する。その結果、不活性ガスの混入によって燃料ガスの燃料濃度が低下した場合であっても、燃料電池51の発電性能が低下することを抑制できる。つまり、燃料濃度の低下が燃料電池51に対して与える影響を軽減できる。従って、燃料電池船100の安定した運航を継続できる。
【0107】
具体的には、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足するか否かを判定する。順方向通過条件は、内部圧力P1、P2を使用する場合の実施形態1の順方向通過条件と同じである。
【0108】
不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足したと判定した場合、制御部171は、内部圧力P1、P2が順方向通過条件を満足していない時の燃料ガスの流量よりも、燃料電池51への燃料ガスの流量を増加するように流量調節部FLを制御する。従って、燃料電池51の発電性能が低下することを抑制できる。
【0109】
次に、図2および図4を参照して、実施形態1の変形例に係る燃料ガス調節方法を説明する。図4は、変形例に係る燃料ガス調節方法を示すフローチャートである。図4に示すように、燃料ガス調節方法は、ステップS11~ステップS14を含む。
【0110】
ステップS11およびステップS12は、それぞれ、図3に示すステップS1およびステップS2と同様であり、説明を省略する。
【0111】
ステップS12で肯定判定された場合(Yes)、処理はステップS13に進む。肯定判定は、燃料ガスに不活性ガスが混入したと判定されたこと、つまり、内部圧力P1、P2が順方向通過条件を満足したと判定されたことを示す。
【0112】
次に、ステップS13において、制御部171は、第1燃料ガス配管411の流路容積Vh2と、燃料ガスタンク61の容積Vtnkと、不活性ガス配管43の流路容積Vn2とに基づいて、燃料電池51の燃料利用率の低減率R_Ufを算出する。具体的には、制御部171は、式(1)、式(2)、および、式(3)によって、燃料利用率の低減率R_Ufを算出する。
【0113】
R_Uf=Ch2/Ch2_NM …(1)
【0114】
Ch2=(Vh2+Vtk)/(Vn2+Vh2+Vtk) …(2)
【0115】
Ch2_NM=1 …(3)
【0116】
式(1)において、Ch2は、不活性ガス(具体的には窒素)が不活性ガス配管431から第1燃料ガス配管411に流入した状態での経路全体における燃料ガスの燃料濃度(具体的には水素濃度)を示す。つまり、Ch2は、不活性ガスが燃料ガスに混入した状態での経路全体における燃料ガスの燃料濃度(具体的には水素濃度)を示す。この場合の「経路全体」とは、不活性ガス配管43と第1燃料ガス配管411と燃料ガスタンク61との全体のことである。
【0117】
また、式(1)において、Ch2_NMは、通常時の411の経路全体における燃料ガスの燃料濃度(具体的には水素濃度)を示す。この場合の「経路全体」とは、第1燃料ガス配管411と燃料ガスタンク61との全体のことである。また、「通常時」とは、不活性ガスが燃料ガスに混入していない時、つまり、内部圧力P1および内部圧力P2が順方向通過条件を満足していない時を示す。
【0118】
式(1)に示すように、燃料利用率の低減率R_Ufは、通常時の燃料濃度Ch2_NMに対する不活性ガス混入時の燃料濃度Ch2の比率によって表される。変形例では、式(3)に示すように、通常時の燃料濃度Ch2_NMを「1」、つまり、100%に設定する。
【0119】
不活性ガス混入時の燃料濃度Ch2は、式(2)によって表される。なぜなら、不活性ガスが、不活性ガス配管431から第2逆流規制部31を通って第1燃料ガス配管411に流入を開始する時は、不活性ガス配管431と第1燃料ガス配管411とが連通することで、不活性ガス配管431の内部圧力P1が、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2と略同一になるからである。
【0120】
一例として、不活性ガス配管43の内径が5.305mm、不活性ガス配管43の長さが5m、第1燃料ガス配管411の内径が3mm、第1燃料ガス配管411の長さが5m、Vn2=0.11L、Vh2=0.04L、Vtk=60L、である場合、式(2)から、不活性ガス混入時の燃料濃度Ch2は、「0.998」、つまり、99.8%である。よって、式(1)から、燃料利用率の低減率R_Ufは、「0.998」、つまり、99.8%である。
【0121】
低減率R_Ufは、通常時の燃料利用率に対する目標燃料利用率の割合を示す。目標燃料利用率は、低減後における目標の燃料利用率である。
【0122】
次に、ステップS14において、制御部171は、ステップS13で算出した低減率R_Ufに基づいて、通常時の燃料ガスの流量よりも、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量を増加するように、流量調節部FLを制御する。つまり、制御部171は、「通常時の燃料利用率×低減率R_Uf」によって示される目標燃料利用率になるように、流量調節部FLを制御する。従って、流量調節部FLは、目標燃料利用率になるように、燃料電池51への燃料ガスの流量を増加する。つまり、通常時の燃料濃度Ch2_NMに対して低下した分だけ、燃料利用率を低減させる。その結果、燃料電池51の発電性能が低下することを抑制できる。
【0123】
なお、変形例において、燃料ガス供給システム6は、第2圧力検出部292を備えていなくてもよい。この場合は、第3圧力検出部631が、本発明の「第2圧力検出部」として機能する。第3圧力検出部631が、本発明の「第2圧力検出部」として機能する場合、開閉部B2は、タンク本体611の出口流路を開放する。従って、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2と第2燃料ガス配管412の内部圧力P3とは略一致する。
【0124】
具体的には、制御部171は、不活性ガス配管43の内部圧力P1および第2燃料ガス配管412の内部圧力P3が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足するか否かを判定する。順方向通過条件は、内部圧力P1、P3を使用する場合の実施形態1の順方向通過条件と同じである。
【0125】
不活性ガス配管43の内部圧力P1および第2燃料ガス配管412の内部圧力P3が、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足したと判定した場合、制御部171は、内部圧力P1、P3が順方向通過条件を満足していない時の燃料ガスの流量よりも、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量を増加するように流量調節部FLを制御する。従って、燃料電池51の発電性能が低下することを抑制できる。
【0126】
(実施形態2)
図5を参照して、本発明の実施形態2に係る燃料電池船100を説明する。実施形態2は、燃料ガス配管41の内部圧力P2の推定値(以下、「推定値PX」と記載)を制御に利用する点で、実施形態1と主に異なる。実施形態2に係る燃料電池船100の構成は、図1に示す燃料電池船100の構成と同様である。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0127】
図5は、実施形態2に係る燃料電池システム5および燃料ガス供給システム6Aを示すブロック図である。図5に示すように、燃料電池船100は、燃料ガス供給システム6Aを含む。燃料ガス供給システム6Aは、検出部29Aを備える。検出部29Aは、不活性ガスが不活性ガス配管431から第2逆流規制部31を通って燃料ガス配管41中の燃料ガスに混入したことを検出する。具体的には、検出部29Aは、物理量PYを検出する。物理量PYは、不活性ガスが不活性ガス配管431から第2逆流規制部31を通って燃料ガス配管41(具体的には第1燃料ガス配管411)中の燃料ガスに混入したことを示すことの可能な物理量である。そして、制御部171は、検出部29Aの検出結果に基づいて、燃料ガスの流量を調節するように流量調節部63および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。この点は、実施形態1と同様である。従って、実施形態2では、実施形態1と同様に、不活性ガスの混入に起因する燃料濃度の低下が燃料電池51の発電に対して与える影響を軽減できる。
【0128】
具体的には、検出部29Aは、第1圧力検出部291を含む。ただし、検出部29Aは、図2に示す第2圧力検出部292を備えていない。従って、実施形態2では、燃料ガス供給システム6Aの構成を簡素化できる。
【0129】
実施形態2では、第1圧力検出部291が検出する不活性ガス配管431の内部圧力P1が、物理量PYである。
【0130】
また、制御部171は、燃料ガス配管41の流路容積(具体的には第1燃料ガス配管411の流路容積)と、燃料電池51への燃料ガスの供給量とに基づいて、燃料ガス配管41(具体的には第1燃料ガス配管411)の内部圧力P2の推定値PXを算出する。そして、制御部171は、不活性ガス配管43の内部圧力P1と、燃料ガス配管41の内部圧力P2の推定値PXとに基づいて、燃料ガスの流量を調節するように流量調節部63および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、内部圧力P1を検出する簡素な構成によって、不活性ガスが燃料ガスに混入したか否かを判定することで、燃料電池51に供給する燃料ガスの流量を調節できる。
【0131】
更に具体的には、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXが、第2逆流規制部31の順方向通過条件(P1≧TH)を満足するか否かを判定する。内部圧力P1および内部圧力P2の推定値PXが、順方向通過条件を満足したことは、不活性ガスが第1燃料ガス配管411中の燃料ガスに混入したことを示す。順方向通過条件は、内部圧力P1、P2を使用する実施形態1の順方向通過条件と同様である。ただし、実施形態2の順方向通過条件では、閾値THは、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXに依存する変動値である。具体的には、閾値THは、燃料ガス配管41の内部圧力P2の推定値PXから、第2逆流規制部31に予め設定されたマージン値MVを差し引いた値である(TH=PX-MV)。マージン値MVは、0以上の実数である。なお、第2逆流規制部31が逆止弁の場合、マージン値MVは、逆止弁のクラッキング差圧であってもよい。
【0132】
実施形態1によれば、不活性ガス配管431の内部圧力P1を検出するだけで、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXを利用して、不活性ガスが第2逆流規制部31を通って第1燃料ガス配管411に流入したことを容易に検出できる。
【0133】
不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXが、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足したと判定した場合、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、燃料電池51への燃料ガスの供給が停止され、燃料電池51は発電を停止する。
【0134】
なお、実施形態2に係る燃料ガス調節方法は、図3に示す燃料ガス調節方法と同様である。ただし、実施形態2では、ステップS1において、制御部171は、第1圧力検出部291から不活性ガス配管431の内部圧力P1を示す情報を取得する。また、制御部171は、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXを算出する。また、ステップS2において、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXが、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足するか否かを判定する。
【0135】
(変形例)
図5を参照して、実施形態2の変形例を説明する。変形例は、不活性ガスが燃料ガスに混入した場合に、燃料ガスの流量を増加させる点で、実施形態2と主に異なる。以下、変形例が実施形態2と異なる点を主に説明する。
【0136】
変形例では、図5に示す検出部29Aの検出結果が、不活性ガスが燃料ガスに混入したことを示す場合、制御部171は、不活性ガスが燃料ガスに混入する前の燃料ガスの流量よりも、燃料電池51への燃料ガスの流量を増加するように流量調節部FLを制御する。この点は、実施形態2と同様である。従って、不活性ガスの混入によって燃料ガスの燃料濃度が低下した場合であっても、燃料電池51の発電性能が低下することを抑制できる。
【0137】
具体的には、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXが、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足するか否かを判定する。順方向通過条件は、内部圧力P1および推定値PX使用する場合の実施形態2の順方向通過条件と同じである。
【0138】
不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXが、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足したと判定した場合、制御部171は、内部圧力P1および推定値PXが順方向通過条件を満足していない時の燃料ガスの流量よりも、燃料電池51への燃料ガスの流量を増加するように流量調節部FLを制御する。従って、燃料電池51の発電性能が低下することを抑制できる。
【0139】
なお、実施形態2の変形例に係る燃料ガス調節方法は、図4に示す燃料ガス調節方法と同様である。ただし、実施形態2の変形例では、ステップS11において、制御部171は、第1圧力検出部291から不活性ガス配管431の内部圧力P1を示す情報を取得する。また、制御部171は、第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXを算出する。また、ステップS12において、制御部171は、不活性ガス配管431の内部圧力P1および第1燃料ガス配管411の内部圧力P2の推定値PXが、第2逆流規制部31の順方向通過条件を満足するか否かを判定する。
【0140】
(実施形態3)
図6を参照して、本発明の実施形態3に係る燃料電池船100を説明する。実施形態3は、燃料電池51が発電する電力に起因する電気量(以下、「電気量EA」と記載)を制御に利用する点で、実施形態1と主に異なる。実施形態3に係る燃料電池船100の構成は、図1に示す燃料電池船100の構成と同様である。以下、実施形態3が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0141】
図6は、実施形態3に係る燃料電池システム5Aおよび燃料ガス供給システム6Bを示すブロック図である。図6に示すように、燃料電池船100は、燃料電池システム5Aおよび燃料ガス供給システム6Bを備える。
【0142】
燃料ガス供給システム6Bは、図2に示す検出部29を有しない。従って、実施形態3によれば、燃料ガス供給システム6Bの構成を簡素化できる。
【0143】
燃料電池システム5Aは、検出部29Bを備える。検出部29Bは、不活性ガスが不活性ガス配管431から第2逆流規制部31を通って燃料ガス配管41中の燃料ガスに混入したことを検出する。具体的には、検出部29Bは、燃料電池51が発電する電力に起因する電気量EAを検出する。
【0144】
電気量EAは、不活性ガスが燃料ガスに混入したことを示すことの可能な物理量PYである。つまり、電気量EAは、燃料ガス配管41中の燃料ガスの燃料濃度が低下したことを示すことの可能な物理量PYである。なぜなら、燃料濃度が低下すると、燃料電池51の発電性能が低下するため、発電性能の低下に応じて、燃料電池51が発電する電力に起因する電気量EAも変化するからである。
【0145】
電気量EAは、実施形態1では、「電圧」または「電流」である。電気量EAの詳細は後述する。
【0146】
制御部171は、燃料電池51の電力に起因する電気量EAに基づいて、燃料ガスの流量を調節するように流量調節部63および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、実施形態3によれば、制御部171は、不活性ガスの混入に起因して燃料ガスの燃料濃度が低下した場合に、燃料電池51に供給する燃料ガスの流量を調節することができる。その結果、不活性ガスの混入に起因する燃料濃度の低下が燃料電池51の発電に対して与える影響を軽減できる。この点は、実施形態1と同様である。
【0147】
特に、実施形態3では、検出部29Bの検出結果が、不活性ガスが燃料ガスに混入したことを示す場合、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。
【0148】
具体的には、検出部29Bは、電流計290と、電圧計293とを含む。電流計290は、燃料電池51の出力電流を検出して、出力電流の電流値を示す信号を制御部171に出力する。電圧計293は、燃料電池51の出力電圧を検出して、出力電圧の電圧値を示す信号を制御部171に出力する。
【0149】
燃料電池51の出力電流および出力電圧の各々は、燃料電池51が発電する電力に起因する電気量EAの一例である。燃料濃度が低下すると、燃料電池51の出力電圧が低下する。従って、燃料電池51が出力する電力を一定に制御する場合は、燃料濃度が低下して燃料電池51の出力電圧が低下すると、出力電流を増加させる。換言すれば、燃料電池51が出力する電力を一定に制御する場合は、燃料濃度が低下すると、燃料電池51の出力電流が増加する。なお、電力は電圧と電流との積によって表される(電力=電圧×電流)。
【0150】
そこで、制御部171は、燃料電池51の出力電流の電流値が、電流閾値THA以上であるか否かを判定する。燃料電池51の出力電流の電流値が電流閾値THA以上であることは、不活性ガスが第1燃料ガス配管411中の燃料ガスに混入したことを示す。電流閾値THAは、実験的および/または経験的に定められる。
【0151】
燃料電池51の出力電流の電流値が、電流閾値THA以上であると判定した場合、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、燃料電池51への燃料ガスの供給が停止され、燃料電池51は発電を停止する。
【0152】
または、制御部171は、燃料電池51の出力電圧の電圧値が、電圧閾値THB以下であるか否かを判定する。燃料電池51の出力電圧の電圧値が電圧閾値THB以下であることは、不活性ガスが第1燃料ガス配管411中の燃料ガスに混入したことを示す。電圧閾値THBは、実験的および/または経験的に定められる。
【0153】
燃料電池51の出力電圧の電圧値が、電圧閾値THB以下であると判定した場合、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、燃料電池51への燃料ガスの供給が停止され、燃料電池51は発電を停止する。
【0154】
なお、燃料電池システム5Aは、電流計290および電圧計293のうちの少なくとも1つを備えていればよい。
【0155】
また、実施形態3に係る燃料ガス調節方法は、図3に示す燃料ガス調節方法と同様である。ただし、実施形態3では、ステップS1において、制御部171は、電流計290から燃料電池51の出力電流の電流値を取得する。または、制御部171は、電圧計293から燃料電池51の出力電圧の電圧値を取得する。さらに、ステップS2において、制御部171は、燃料電池51の出力電流の電流値が、電流閾値THA以上であるか否かを判定する。または、制御部171は、燃料電池51の出力電圧の電圧値が、電圧閾値THB以下であるか否かを判定する。
【0156】
(変形例)
図6を参照して、実施形態3の変形例を説明する。変形例は、不活性ガスが燃料ガスに混入した場合に、燃料ガスの流量を増加させる点で、実施形態3と主に異なる。以下、変形例が実施形態3と異なる点を主に説明する。
【0157】
図6に示す燃料電池51の出力電流の電流値が、電流閾値THA以上であると判定した場合、制御部171は、不活性ガスが燃料ガスに混入する前の燃料ガスの流量よりも、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量を増加するように流量調節部FLを制御する。従って、不活性ガスの混入によって燃料ガスの燃料濃度が低下した場合であっても、燃料電池51の発電性能が低下することを抑制できる。
【0158】
または、燃料電池51の出力電圧の電圧値が、電圧閾値THB以下であると判定した場合、制御部171は、不活性ガスが燃料ガスに混入する前の燃料ガスの流量よりも、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量を増加するように流量調節部FLを制御する。従って、不活性ガスの混入によって燃料ガスの燃料濃度が低下した場合であっても、燃料電池51の発電性能が低下することを抑制できる。
【0159】
なお、燃料電池システム5Aは、電流計290および電圧計293のうちの少なくとも1つを備えていればよい。
【0160】
また、実施形態3の変形例に係る燃料ガス調節方法は、図4に示す燃料ガス調節方法と同様である。ただし、実施形態3の変形例では、ステップS11において、制御部171は、電流計290から燃料電池51の出力電流の電流値を取得する。または、制御部171は、電圧計293から燃料電池51の出力電圧の電圧値を取得する。さらに、ステップS12において、制御部171は、燃料電池51の出力電流の電流値が、電流閾値THA以上であるか否かを判定する。または、制御部171は、燃料電池51の出力電圧の電圧値が、電圧閾値THB以下であるか否かを判定する。
【0161】
(実施形態4)
図7を参照して、本発明の実施形態4に係る燃料電池船100を説明する。実施形態4は、燃料ガス配管41中の燃料ガスの燃料濃度を検出する点で、実施形態1と主に異なる。実施形態1に係る燃料電池船100の構成は、図1に示す燃料電池船100の構成と同様である。以下、実施形態4が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0162】
図7は、実施形態4に係る燃料電池システム5および燃料ガス供給システム6Cを示すブロック図である。図6に示すように、燃料電池船100は、燃料ガス供給システム6Cを備える。燃料ガス供給システム6Cは、検出部29Cを含む。従って、燃料ガス供給システム6Cは、図2に示す検出部29を含まない。
【0163】
検出部29Cは、不活性ガスが不活性ガス配管431から第2逆流規制部31を通って燃料ガス配管41中の燃料ガスに混入したことを検出する。具体的には、検出部29Cは、燃料ガス配管41中の燃料ガスの燃料濃度を検出して、燃料濃度を示す信号を制御部171に出力する。更に具体的には、検出部29Cは、第1燃料ガス配管411中の燃料ガスの燃料濃度を検出して、燃料濃度を示す信号を制御部171に出力する。検出部29Cは、典型的には、濃度センサーである。
【0164】
燃料ガス配管41中の燃料濃度(第1燃料ガス配管411中の燃料濃度)は、不活性ガスが燃料ガスに混入したことを示すことの可能な物理量PYである。
【0165】
制御部171は、検出部29Cによって検出された燃料濃度に基づいて、燃料ガスの流量を調節するように流量調節部63および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、実施形態4によれば、制御部171は、不活性ガスの混入に起因して燃料ガスの燃料濃度が低下した場合に、燃料電池51に供給する燃料ガスの流量を調節することができる。その結果、不活性ガスの混入に起因する燃料濃度の低下が燃料電池51の発電に対して与える影響を軽減できる。この点は、実施形態1と同様である。
【0166】
特に、実施形態4では、検出部29Cによって検出された燃料濃度が、濃度閾値THC以下か否かを判定する。濃度閾値THCは、実験的および/または経験的に定められる。
【0167】
そして、燃料ガスの燃料濃度が、濃度閾値THC以下であると判定した場合、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、燃料電池51への燃料ガスの供給が停止され、燃料電池51は発電を停止する。燃料ガスの燃料濃度が濃度閾値THC以下であると判定されたことは、燃料ガスに不活性ガスが混入したことを示す。
【0168】
なお、実施形態4に係る燃料ガス調節方法は、図3に示す燃料ガス調節方法と同様である。ただし、実施形態4では、ステップS1において、制御部171は、検出部29Cから燃料ガスの燃料濃度を取得する。また、ステップS2において、制御部171は、検出部29Cによって検出された燃料濃度が、濃度閾値THC以下か否かを判定する。
【0169】
ここで、検出部29Cは、燃料ガス配管41中の不活性ガスの濃度を検出して、不活性ガスの濃度を示す信号を制御部171に出力してもよい。具体的には、検出部29Cは、第1燃料ガス配管411中の不活性ガスの濃度を検出して、不活性ガスの濃度を示す信号を制御部171に出力してもよい。検出部29Cは、典型的には、濃度センサーである。
【0170】
燃料ガス配管41中の不活性ガスの濃度(第1燃料ガス配管411中の不活性ガスの濃度)は、不活性ガスが燃料ガスに混入したことを示すことの可能な物理量PYである。
【0171】
制御部171は、検出部29Cによって検出された不活性ガスの濃度が、濃度閾値THD以上か否かを判定する。濃度閾値THDは、実験的および/または経験的に定められる。
【0172】
そして、不活性ガスの濃度が、濃度閾値THD以上であると判定した場合、制御部171は、燃料電池51への燃料ガスの供給を停止するように流量調節部63(具体的には開閉部633)および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、燃料電池51への燃料ガスの供給が停止され、燃料電池51は発電を停止する。
【0173】
(変形例)
図7を参照して、実施形態4の変形例を説明する。変形例は、不活性ガスが燃料ガスに混入した場合に、燃料ガスの流量を増加させる点で、実施形態4と主に異なる。以下、変形例が実施形態4と異なる点を主に説明する。
【0174】
図7に示す検出部29Cによって検出された燃料濃度が、濃度閾値THC以下であると判定した場合、制御部171は、燃料濃度が濃度閾値THC以下と判定される前の燃料ガスの流量よりも、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量を増加するように流量調節部FLを制御する。従って、不活性ガスの混入によって燃料ガスの燃料濃度が低下した場合であっても、燃料電池51の発電性能が低下することを抑制できる。
【0175】
なお、実施形態4の変形例に係る燃料ガス調節方法は、図4に示す燃料ガス調節方法と同様である。ただし、実施形態4の変形例では、ステップS11において、制御部171は、検出部29Cから燃料濃度を取得する。また、ステップS12において、制御部171は、燃料濃度が濃度閾値THC以下であるか否かを判定する。
【0176】
ここで、検出部29Cは、燃料ガス配管41中の不活性ガスの濃度(第1燃料ガス配管411中の不活性ガスの濃度)を検出して、不活性ガスの濃度を示す信号を制御部171に出力してもよい。そして、不活性ガスの濃度が、濃度閾値THD以上であると判定した場合、制御部171は、燃料電池51へ供給する燃料ガスの流量を増加するように流量調節部FLを制御してもよい。
【0177】
(実施形態5)
図8を参照して、本発明の実施形態5に係る燃料電池船100を説明する。実施形態5は、複数の燃料ガスタンク61を備える点で、実施形態1と主に異なる。実施形態5に係る燃料電池船100の構成は、図1に示す燃料電池船100の構成と同様である。以下、実施形態5が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0178】
図8は、実施形態5に係る燃料電池システム5および燃料ガス供給システム6Dを示すブロック図である。図8に示すように、燃料ガス供給システム6Dは、複数の燃料ガスタンク61を含む。図8の例では、燃料ガス供給システム6Dは、燃料ガスタンク61A~61Dを含む。第1燃料ガス配管411は、配管411aと、配管411bとを含む。第2燃料ガス配管412は、配管412aと、配管412bとを含む。また、燃料電池船100は、継手JT1~継手JT4を含む。
【0179】
配管411aは、燃料ガス導入口21から延びており、燃料ガスタンク61Aおよび燃料ガスタンク61Bに接続される。具体的には、配管411aは、燃料ガスタンク61Aおよび燃料ガスタンク61Bの逆流規制部B1に接続される。配管411bは、継手JT3を介して配管411aに接続され、燃料ガスタンク61Cおよび燃料ガスタンク61Dに接続される。具体的には、配管411bは、燃料ガスタンク61Cおよび燃料ガスタンク61Dの逆流規制部B1に接続される。
【0180】
配管412aは、燃料ガスタンク61Aおよび燃料ガスタンク61Bに接続され、継手JT2まで延びている。具体的には、配管412aは、燃料ガスタンク61Aおよび燃料ガスタンク61Bの開閉部B2に接続される。配管412bは、燃料ガスタンク61Cおよび燃料ガスタンク61Dから延びており、継手JT4を介して配管412aに接続される。具体的には、配管412bは、燃料ガスタンク61Cおよび燃料ガスタンク61Dの開閉部B2に接続される。
【0181】
実施形態5では、実施形態1と同様に、制御部171は、検出部29の検出結果に基づいて、燃料ガスの流量を調節するように流量調節部63および流量調節部53のうちの少なくとも一方を制御する。従って、実施形態5によれば、実施形態1と同様に、制御部171は、不活性ガスの混入に起因して燃料ガスの燃料濃度が低下した場合に、燃料電池51に供給する燃料ガスの流量を調節することができる。その結果、不活性ガスの混入に起因する燃料濃度の低下が燃料電池51の発電に対して与える影響を軽減できる。
【0182】
その他、実施形態5において、燃料ガスタンク61への燃料ガスの充填手順、不活性ガスによる燃料ガスのパージ手順、および、燃料電池51への燃料ガスの供給手順は、それぞれ、実施形態1に係る燃料ガスタンク61への燃料ガスの充填手順、不活性ガスによる燃料ガスのパージ手順、および、燃料電池51への燃料ガスの供給手順と同様である。
【0183】
なお、実施形態1の変形例に係る燃料ガス供給システム6、実施形態2およびその変形例に係る燃料ガス供給システム6A、実施形態3およびその変形例に係る燃料ガス供給システム6B、並びに、実施形態4およびその変形例に係る燃料ガス供給システム6Cが、複数の燃料ガスタンク61を備えていていもよい。
【0184】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び実施例について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。例えば、下記(1)~(7)の変形が可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0185】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0186】
<発明の付記>
本発明の一局面によれば、燃料電池船は、推進装置と、燃料電池と、燃料ガス配管と、不活性ガス配管と、逆流規制部と、流量調節部と、検出部と、制御部とを備える。推進装置は、船体に推進力を発生させる。燃料電池は、前記推進装置に電力を供給する。燃料ガス配管には、前記燃料電池に供給する燃料ガスが流れる。不活性ガス配管は、前記燃料ガス配管に接続され、不活性ガスによる前記燃料ガスのパージ時に前記不活性ガスが導入される。逆流規制部は、前記不活性ガス配管に配置され、前記不活性ガスおよび前記燃料ガスの逆流を規制する。流量調節部は、前記燃料電池へ供給する前記燃料ガスの流量を調節可能である。検出部は、前記不活性ガスが前記不活性ガス配管から前記逆流規制部を通って前記燃料ガス配管中の前記燃料ガスに混入したことを検出する。制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記燃料ガスの流量を調節するように前記流量調節部を制御する。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明は、燃料電池船に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0188】
29、29A~29C 検出部
31 第2逆流規制部(逆流規制部)
41 燃料ガス配管
43 不活性ガス配管
51 燃料電池
53、63 流量調節部
61、61A~61D 燃料ガスタンク
100 燃料電池船
171 制御部
291 第1圧力検出部
292 第2圧力検出部
411 第1燃料ガス配管
412 第2燃料ガス配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8