(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103630
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】多焦点マルチカメラ内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20240725BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61B1/045 622
A61B1/00 735
A61B1/00 731
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087628
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2022110645の分割
【原出願日】2015-07-21
(31)【優先権主張番号】62/027,005
(32)【優先日】2014-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/029,764
(32)【優先日】2014-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515308028
【氏名又は名称】エンドチョイス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDOCHOICE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター レヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ゴラン サルマン
(72)【発明者】
【氏名】イダン レヴィー
(72)【発明者】
【氏名】ウリ ダビデ
(57)【要約】
【課題】小さくコンパクトでありながら、内視鏡手技を使用している間、興味対象物を快く特定し拡大すること。
【解決手段】体腔の第1画像を生成する第1光学アセンブリと、体腔の第2画像を生成する第2光学アセンブリと、第1光学アセンブリ及び第2光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる少なくとも1つの照明と、を備える内視鏡の先端部分である。第1光学アセンブリは、第1被写界深度と第1光軸とを有する第1レンズと、第2被写界深度と第2光軸とを有し、第2被写界深度が第1被写界深度とは異なる第2レンズとを備える。第1レンズは第1光軸と交差する経路上で第1位置と第2位置との間で移動可能であり、かつ、第1レンズは第1平面内で移動可能であるとともに、第2レンズは第1平面と異なる第2平面内で移動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光学アセンブリと、第2光学アセンブリと、前記第1光学アセンブリ及び前記第2光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる少なくとも1つの照明とを含む内視鏡システムの使用方法であって、
前記第1光学アセンブリから第1画像を生成するとともに前記第2光学アセンブリから第2画像を生成することと、
少なくとも1つのスクリーンに前記第1画像と前記第2画像とを同時に表示することと、
前記少なくとも1つのスクリーン上に前記第1画像の拡大部分を生成し表示することと、
前記第1画像の拡大部分が表示されたときに前記少なくとも1つのスクリーン上の第2画像の表示を自動的に消去すること
とを備える方法。
【請求項2】
前記第2画像の表示を消去することは、前記第2光学アセンブリへの給電を減少することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2画像の表示を消去することは、前記第2光学アセンブリに関連する前記少なくとも1つの照明の照度を減少することにより可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスクリーンは第1スクリーンと第2スクリーンとを含み、前記第2画像の表示を消去することは、前記第2スクリーンの電源を切り、暗くし又は黒くすることにより可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1光学アセンブリは前方向き光学アセンブリであり、前記第2光学アセンブリは側方向き光学アセンブリである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記内視鏡システムは、体腔の第3画像を生成するとともに前記少なくとも1つのスクリーンに前記第3画像を表示するための第3光学アセンブリをさらに含み、前記第3光学アセンブリは第2側方向き光学アセンブリである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1光学アセンブリは、第1作動距離及び第2作動距離で作動するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1画像の拡大部分は、前記第1光学アセンブリが前記第1作動距離から前記第2作動距離に切り替えられたときに生成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのスクリーン上の前記第1画像の拡大部分の表示により、前記少なくとも1つのスクリーン上の前記第2画像の表示が自動的に消去される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記内視鏡システムは制御ユニットと先端部とをさらに含み、前記先端部は、前記第1光学アセンブリと、前記第2光学アセンブリと、前記第1光学アセンブリに関連付けられる少なくとも1つの照明及び前記第2光学アセンブリに関連付けられる少なくとも1つの照明と、を含み、
前記第1光学アセンブリは、前方向き撮像センサと、前記前方向き撮像センサに取付けられた第1レンズアセンブリと、前記前方向き撮像センサに取付けられた第1集積回路基板とを含み、
前記第2光学アセンブリは、側方向き撮像センサと、前記側方向き撮像センサに取付けられた第2レンズアセンブリと、前記側方向き撮像センサに取付けられた第2集積回路基板とを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
体腔の第1画像を生成する第1光学アセンブリと、
体腔の第2画像を生成する第2光学アセンブリと、
前記第1光学アセンブリ及び前記第2光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる少なくとも1つの照明と、
物理的ディスプレイと、
処理システムと
を備え、前記処理システムは、
前記物理的ディスプレイに前記第1画像と前記第2画像を同時に表示し、
前記第1光学アセンブリに拡大第1画像を生成させ、
前記拡大第1画像が生成されたときに前記物理的ディスプレイに前記第2画像の表示を自動的に消去させ、
前記物理的ディスプレイに前記拡大第1画像を表示する
ように構成される、内視鏡システム。
【請求項12】
前記第2画像の表示を消去するために、前記処理システムは前記第2光学アセンブリへの給電を減少する、請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記第2画像の表示を消去するために、前記処理システムは前記第2光学アセンブリに関連する前記少なくとも1つの照明の照度を減少する、請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
前記第2画像の表示を消去するために、前記処理システムは前記物理的ディスプレイの一部を暗くし又は黒くする、請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項15】
前記第1光学アセンブリは前方向き光学アセンブリであり、前記第2光学アセンブリは第1側方向き光学アセンブリである、請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項16】
体腔の第3画像を生成するとともに前記物理的ディスプレイに前記第3画像を表示するための第3光学アセンブリをさらに備え、前記第3光学アセンブリは第2側方向き光学アセンブリである、請求項15に記載の内視鏡システム。
【請求項17】
前記第1光学アセンブリは、第1作動距離及び第2作動距離で作動するように構成される、請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項18】
前記拡大第1画像は、前記第1光学アセンブリが前記第1作動距離から前記第2作動距離に切り替えられたときに生成される、請求項17に記載の内視鏡システム。
【請求項19】
前記第1作動距離は、100倍から6倍の間の範囲の倍率を提供するとともに、前記第2作動距離は、250倍から100倍の間の範囲の倍率を提供する、請求項18に記載の内視鏡システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのスクリーン上に前記第1画像の拡大部分を生成し表示することは、少なくとも1つのレンズを前記第1光学アセンブリの視野内へ側方に動かすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1画像の拡大部分に基づいて、前記第1光学アセンブリに関連付けられた少なくとも1つの照明を調整することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1光学アセンブリは第1画像センサを含み、前記第2光学アセンブリは第2画像センサを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第1画像の拡大部分が表示されたときに前記少なくとも1つのスクリーン上の前記第2画像の表示を自動的に消去することは、前記第2画像センサの電源を切ることを含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、米国特許仮出願第62/027,005号(2014年7月21日出願)、発明の名称「Multi-Focal, Multi-Camera Endoscope Systems」と、米国特許仮出願第62/029,764号(2014年7月28日出願)、発明の名称「Multi-Focal, Multi-Camera Endoscope Systems」とに依存し、優先権を主張する。これらの仮出願の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本明細書は一般に、マルチカメラ内視鏡システムに関するものであり、特に、少なくとも1つの多焦点光学アセンブリ及び/又は少なくとも1種類の光調整要素を備える内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
高解像度内視鏡を含むある内視鏡は、内視鏡の先端部にモータ駆動の可動レンズを含むレンズアセンブリを備える。焦点距離を制御しながら、内視鏡を興味対象物(病害、粘膜、ポリープ及び腺腫等)の至近距離に移動させて、興味対象物の拡大画像を取得することができる。
【0004】
マルチカメラ内視鏡システムは、複数のカメラが撮像した複数の画像を同時に表示するように構成される複数のスクリーンディスプレイを備えることができる。マルチスクリーンディスプレイは、内視鏡手技中に、興味対象物の特定、検査及び処理を簡便に可能とする、拡大された330°の視野をオペレータに提供する。米国特許出願第14/263,896号(2014年4月28日出願)、発明の名称「Video Processing In a Compact Multi-Viewing Element Endoscope System」の全内容を参照により本明細書に援用する。また、米国特許出願第14/273,923号(2014年5月9日出願)、発明の名称「Operational Interface In A Multi-Viewing Elements Endoscope」の全内容も参照により本明細書に援用する。さらに、本明細書は米国特許出願第13/882,004号(2013年4月26日出願)、発明の名称「Optical Systems for Multi-Sensor Endoscopes」に関連し、当該出願と当該出願の優先権主張の基礎とされる出願との全内容を参照により本明細書に援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ある対象物の画像にズームインして所定の割合(例えば約30%超とすることができる)だけ拡大しながら、他の対象物を低倍率でマルチスクリーンディスプレイに表示することは、オペレータにとって、視線方向を見失うおそれ、眼精疲労のおそれ及び一般に不快に感じるおそれがある。
【0006】
さらに、それぞれモータ駆動の可動レンズを備える1つ以上のレンズアセンブリを内蔵するためには大きな空間が必要となるが、マルチカメラ内視鏡の先端部分の空間は極めて限られたリソースである。
【0007】
したがって、内視鏡先端部の限られた容積内に十分に適合するほど小さくコンパクトでありながら、内視鏡手技に使用している間、興味対象物を快く特定し拡大することができる、多焦点マルチカメラ内視鏡システムを提供することが非常に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、本明細書は、体腔の第1画像を生成する第1光学アセンブリと、体腔の第2画像を生成する第2光学アセンブリと、前記第1光学アセンブリ及び前記第2光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる少なくとも1つの照明と、前記第1光学アセンブリにズームさせることで前記第1画像の代わりに拡大第1画像を生成し、物理的ディスプレイに自動的に前記第2画像を表示せず前記拡大第1画像のみを表示させるように構成される、処理システムと、を備える内視鏡の先端部分を開示する。
【0009】
任意に、先端部分は、内視鏡システムの部品であり、それぞれ第1画像及び第2画像を表示する少なくとも2つのスクリーンを更に備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの照明は、関連光学アセンブリの視野の主要な照明となるように、十分に近接している。
【0011】
任意に、第1画像を第2画像と重複させることができる。更に任意に、第1画像は第2画像と重複しなくてもよい。任意に、「重複させる」とは、同一の物理的実体の眺めを撮像することと定義することができる。
【0012】
任意に、前記処理システムは前記第2光学アセンブリへの給電を減少させて、前記第2画像の表示を停止する。
【0013】
任意に、処理システムは、前記第2光学アセンブリに関連付けられる前記少なくとも1つの照明の照度を減少させて、前記第2画像の表示を停止する。
【0014】
任意に、前記処理システムは、前記物理的ディスプレイの電源を切り、暗くし又は黒くして、前記第2画像の表示を停止する。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記第1光学アセンブリを前方向き光学アセンブリとすることができ、前記第2光学アセンブリを第1側方向き光学アセンブリとすることができる。
【0016】
任意に、前記先端部分は前記体腔の第3画像を生成するとともに前記第3画像を対応する第3スクリーン上に表示する第3光学アセンブリを更に備え、前記第3光学アセンブリは第2側方向き光学アセンブリである。
【0017】
任意に、前記第1光学アセンブリ及び前記第2光学アセンブリの少なくとも1つは、第1作動距離及び第2作動距離で作動するように構成される。更に任意に、前記少なくとも1つの光学アセンブリの作動距離が前記第1作動距離から前記第2作動距離に切り替えられたときに、前記拡大第1画像が生成される。さらに任意に、前記第1作動距離は、100xから6xの間の範囲の倍率を提供する。さらに任意に、前記第2作動距離は、250xから100xの間の範囲の倍率を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書は、少なくとも2つの光学アセンブリと、前記少なくとも2つの光学アセンブリのそれぞれと関連付けられる少なくとも1つの照明とを備える先端部分を有する内視鏡の使用方法であり、前記少なくとも2つの光学アセンブリのそれぞれから体腔の少なくとも2つの画像を生成する生成ステップと、前記少なくとも2つの画像である第1画像及び第2画像をそれぞれ、第1スクリーン及び第2スクリーンに表示する表示ステップと、前記少なくとも2つの光学アセンブリの1つをズームさせて、前記少なくとも2つの画像の前記第1画像の代わりに拡大画像を生成し表示するズームステップと、前記少なくとも2つの画像のうちの前記第2画像を前記第2スクリーンに自動的に表示させなくする表示停止ステップと、を含む、内視鏡の使用方法を開示する。
【0019】
任意に、表示停止ステップは、前記少なくとも2つの画像のうちの前記第2画像を生成する光学アセンブリへの給電を減少させることにより行われる。
【0020】
任意に、表示停止ステップは、前記少なくとも2つの画像のうちの前記第2画像を生成する前記光学アセンブリに関連付けられる前記少なくとも1つの照明の照度を減少させることによって可能になる。
【0021】
任意に、前記表示停止ステップは、前記少なくとも2つの画像のうち前記第2画像の表示に対応する、前記少なくとも2つのスクリーンの1つの電源を切る、暗くする又は黒くすることによって可能になる。
【0022】
任意に、前記少なくとも2つの光学アセンブリのうち第1光学アセンブリは前方向き光学アセンブリであり、前記少なくとも2つの光学アセンブリのうち第2光学アセンブリは第1側方向き光学アセンブリである。
【0023】
いくつかの実施形態では、内視鏡は、前記体腔の第3画像を生成するとともに前記第3画像を対応する第3スクリーン上に表示する第3光学アセンブリを更に備えることができ、第3光学アセンブリは第2側方向き光学アセンブリである。
【0024】
任意に、前記少なくとも2つの光学アセンブリの少なくとも1つは、第1作動距離及び第2作動距離で作動するように構成される。さらに任意に、前記光学アセンブリの作動距離が前記第1作動距離から前記第2作動距離に切り替えられたときに、前記拡大画像が生成される。更に任意に、前記第1作動距離は、100xから6xの間の範囲の倍率を提供する。更に任意に、第2作動距離は、250xから100xの間の範囲の倍率を提供する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書は、先端部を有する内視鏡システムであり、先端部は、第1作動距離において体腔の第1画像を生成するとともに、第2作動距離において第2画像を生成し、前方撮像センサに装着される第1レンズアセンブリを備える前方向き光学アセンブリであり、前方レンズアセンブリは前記第1作動距離に関連付けられた第1レンズ及び前記第2作動距離に関連付けられた第2レンズを備える、前方向き光学アセンブリと、前記体腔の少なくとも1つの側方画像を生成する少なくとも1つの側方向き光学アセンブリと、前記前方向き光学アセンブリ及び前記少なくとも1つの側方向き光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる少なくとも1つの照明と、前記前方向き光学アセンブリ内に配置される少なくとも1つの作動素子と、前記少なくとも1つの作動素子が、前記第1レンズを、前記前方撮像センサから前記体腔内の興味対象物まで視線を接続する光路の外に移動させるとともに、前記第2レンズを、前記光路に移動させて前記第2画像を生成させることができるように構成される、処理システムと、を備える、内視鏡システムを開示する。
【0026】
任意に、前記第1作動距離において生成された前記第1画像の倍率は、100x~6xの範囲である。任意に、前記第2作動距離において生成された前記第2画像の倍率は、250x~100xの範囲である。
【0027】
任意に、前記少なくとも1つの作動素子は、少なくとも1つの圧縮空気機関を備える。任意に、前記少なくとも1つの作動素子は、圧電素子、電気エンジン、ソレノイド、ニチノールエンジン、圧縮空気機関又はこれらの組み合わせを備える。
【0028】
任意に、前記内視鏡システムは、前方スクリーン及び少なくとも1つの側方スクリーンを備え、前記前方スクリーンは、前記第1画像又は前記第2画像を表示するように構成され、前記少なくとも1つの側方スクリーンは、前記少なくとも1つの側方画像を表示するように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記第2レンズを前記光路に移動させるときに、前記処理システムは、前記少なくとも1つの側方画像の表示を自動的に停止するように更に構成され得る。
【0030】
任意に、前記処理システムは、前記少なくとも1つの側方向き光学アセンブリへの給電を断ち又は減少させることによって、前記少なくとも1つの側方画像の表示を停止する。
【0031】
任意に、前記処理システムは、前記少なくとも1つの側方向き光学アセンブリと関連付けられる前記少なくとも1つの照明の電源をオフにし又は照度を減少させることによって、前記少なくとも1つの側方画像の表示を停止する。
【0032】
任意に、前記処理システムは、前記少なくとも1つの側方スクリーンの電源をオフにし、暗くし又は黒くすることによって、前記少なくとも1つの側方画像の表示を停止する。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書は、内視鏡の先端部分であり、前記先端部分は、体腔の前方画像を生成する前方向き光学アセンブリと、第1作動距離において前記体腔の第1画像を生成するとともに、第2作動距離において第2画像を生成し、第1側方撮像センサに装着される第1側方レンズアセンブリを備え、前記第1側方撮像センサに装着されるとともに、前記第1作動距離に関連付けられた第1レンズ及び前記第2作動距離に関連付けられた第2レンズを備える、第1側方レンズアセンブリを含む、第1側方向き光学アセンブリと、前記前方向き光学アセンブリ及び前記第1側方向き光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる1つ以上の照明と、前記第1側方レンズアセンブリ内に配置される1つ以上の作動素子と、前記1つ以上の作動素子が、前記第1レンズを、前記第1側方撮像センサから前記体腔内の興味対象物まで視線を接続する光路の外に移動させるとともに、前記第2レンズを、前記光路に移動させて前記第2画像を生成させることができるように構成される、プロセッサと、を備える、内視鏡の先端部分を開示する。
【0034】
任意に、前記第1作動距離において生成される前記第1画像の倍率は、100x~6xに及ぶ。更に任意に、前記第2作動距離において生成される前記第2画像の倍率は、250x~100xに及ぶ。
【0035】
任意に、前記1つ以上の作動素子は、少なくとも1つの圧縮空気機関を備える。更に任意に、前記1つ以上の作動素子は、圧電素子、電気エンジン、ソレノイド、ニチノールエンジン、少なくとも1つの圧縮空気機関のいずれか1つまたは又はこれらの組み合わせを備えることができる。
【0036】
任意に、前記プロセッサは、前記前方画像を前方スクリーン上に表示するとともに、前記第1又は第2画像を第1側方スクリーン上に表示するように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記第2レンズを前記光路に移動させるときに、前記プロセッサは、前記前方画像の表示を自動的に停止するように更に構成され得る。
【0038】
任意に、前記プロセッサは、前記前方向き光学アセンブリの電源をオフにし又は給電を減少させることによって、前記前方画像の表示を停止するように構成される。
【0039】
任意に、前記プロセッサは、前記前方向き光学アセンブリと関連付けられる前記1つ以上の照明の電源をオフにし又は照度を減少させることによって、前記前方画像の表示を停止するように構成される。任意に、前記プロセッサは、前記前方スクリーンの電源をオフにし、暗くし又は黒くすることによって、前記前方画像の表示を停止するように構成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書は、内視鏡の先端部分であり、前記先端部分は、第1作動距離において体腔の第1画像を生成するとともに、第2作動距離において第2画像を生成する前方向き光学アセンブリと、前記体腔の少なくとも1つの側方画像を生成する少なくとも1つの側方向き光学アセンブリと、前記前方向き光学アセンブリ及び前記少なくとも1つの側方向き光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる1つ以上の照明と、前記先端部分の先端側端部に伸縮自在に配置される1つ以上のスペーサと、前記1つ以上のスペーサが、伸長位置に展開されて、前記前方向き光学アセンブリと前記体腔の壁との間の距離を維持するとともに、前記先端部分の前記先端側端部内に再び格納されることができるように構成される、処理システムと、を備える、内視鏡の先端部分を開示する。
【0041】
任意に、前記距離は前記第2作動距離に概ね合致する。
【0042】
任意に、前記1つ以上のスペーサの突出長さはそれぞれ1.5ミリメートルから7ミリメートルまでの範囲である。
【0043】
任意に、前記スペーサのいずれか2つの間の距離が8ミリメートルから10ミリメートルの範囲であるように、1つ以上のスペーサを位置付ける。
【0044】
任意に、前記第1作動距離において生成される前記第1画像の倍率は、100x~6xの範囲であり、前記第2作動距離において生成される前記第2画像の倍率は、250x~100xの範囲である。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書は、内視鏡の先端部分であり、前記先端部分は、前方画像を生成する前方向き光学アセンブリと、第1作動距離において第1画像を生成するとともに、第2作動距離において第2画像を生成する第1側方向き光学アセンブリと、前記前方向き光学アセンブリ及び側方向き光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる1つ以上の照明と、前記先端部分の先端側端部に伸縮自在に装着されるとともに前記第1側方向き光学アセンブリに関連付けられる、3つ以上のスペーサと、前記3つ以上のスペーサが、伸長位置に展開されて、前記第2画像を生成して前記3つ以上のスペーサを前記先端部分の前記先端側端部内に再び格納するために、前記第1側方向き光学アセンブリと体腔の壁との間の距離を維持することができるように構成される、プロセッサと、を備える、内視鏡の先端部分を開示する。
【0046】
任意に、前記距離は前記第2作動距離に概ね合致する。
【0047】
任意に、前記3つ以上のスペーサの半径方向突出高さは、1.5ミリメートル~7ミリメートルの範囲である。
【0048】
任意に、前記スペーサの連続するいずれか2つの間の距離が8ミリメートルから10ミリメートルの範囲であるように、3つ以上のスペーサを位置付ける。
【0049】
任意に、前記第1作動距離において生成される前記第1画像の倍率は、100x~6xの範囲であり、前記第2作動距離において生成される前記第2画像の倍率は、250x~100xの範囲である。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書は、内視鏡の先端部分であり、前記先端部分は、第1作動距離において体腔の第1画像を生成するとともに、前記第1作動距離よりも短い第2作動距離において第2画像を生成する少なくとも1つの光学アセンブリと、前記少なくとも1つの光学アセンブリに関連付けられるとともに、前記第1作動距離に関連付けられる第1照射モード及び前記第2作動距離に関連付けられる第2照射モードを提供するように構成される1つ以上の照明と、第1光調整要素及び第2光調整要素であり、前記光学アセンブリ及び前記1つ以上の照明が前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素の間に存在するように、前記少なくとも1つの光学アセンブリのいずれか側に伸縮自在に配置される第1光調整要素及び第2光調整要素と、前記1つ以上の照明に装着されるとともに、前記第1照射モードの間は光を通過させ、前記第2照射モードの間は光を拡散させる、第3光調整要素及び第4光調整要素と、(1)前記少なくとも1つの光学アセンブリが前記第2作動距離において前記第2画像を生成するように構成されている場合に、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素を展開でき、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素の展開により、前記第1照射モードを前記第2照射モードに変えさせること、(2)前記少なくとも1つの光学アセンブリが前記第2作動距離において前記第2画像を生成するように構成されている場合に、前記第3及び第4光調整要素が光を拡散できること、のいずれか1つ又は両方を実施するように構成される、プロセッサと、を備える、内視鏡の先端部分を開示する。
【0051】
任意に、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素は、ランバート反射の表面を有する。
【0052】
任意に、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素は、展開用に膨張するバルーンである。
【0053】
任意に、前記第3光調整要素及び前記第4光調整要素は、液晶透過型スクリーンである。
【0054】
任意に、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素の展開時の寸法は、前記第2作動距離に概ね合致する。
【0055】
任意に、前記第1作動距離において生成される前記第1画像の倍率は、100x~6xの範囲である。更に任意に、前記第2作動距離において生成される前記第2画像の倍率は、250x~100xの範囲である。
【0056】
任意に、前記第1照射モードは、前記1つ以上の照明の照射範囲が150°~170°であり、照射光が前記体腔内の異常に直接当たることを特徴とする。任意に、前記第2照射モードは、前記1つ以上の照明の照射範囲が140°~180°であり、照明の斜光線が前記体腔内の異常に当たることを特徴とする。
【0057】
任意に、前記第1作動距離は4ミリメートルから100ミリメートルまでの範囲であり、前記第2作動距離は1ミリメートルから4ミリメートルまでの範囲である。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書は、少なくとも1つの光学アセンブリと、少なくとも1つの関連照明と、第1、第2、第3及び第4の光調整要素とを有する内視鏡の先端部分の使用方法であり、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素は、前記光学アセンブリ及び前記1つ以上の照明が前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素の間に存在するように、前記少なくとも1つの光学アセンブリのいずれか側に伸縮自在に配置され、前記第3光調整要素及び第4光調整要素が、前記1つ以上の照明に装着され、前記使用方法は、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素が格納構成であり、前記第3光調整要素及び前記第4光調整要素が第1照射モードであり前記1つ以上の照明からの光を通過させる間に、前記少なくとも1つの光学アセンブリを使用して、体腔の第1作動距離における第1画像を生成するステップと、前記少なくとも1つの光学アセンブリを使用して、第2作動距離における第2画像を生成するステップと、(1)前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素を展開することによって、前記1つ以上の照明の前記第1照射モードを前記第2照射モードに変えること、(2)前記第3及び第4光調整要素が光を拡散できることによって、前記1つ以上の照明の前記第1照射モードを前記第2照射モードに変えること、のいずれか1つ又は両方を実施するステップと、を含む内視鏡の先端部分の使用方法を開示する。
【0059】
任意に、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素は、ランバート反射の表面を有する。任意に、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素は、展開用に膨張するバルーンである。
【0060】
任意に、前記第3光調整要素及び前記第4光調整要素は、液晶透過型スクリーンである。
【0061】
任意に、前記第1光調整要素及び前記第2光調整要素の展開時の寸法は、前記第2作動距離に概ね合致する。
【0062】
任意に、前記第1作動距離において生成される前記第1画像の倍率は、100x~6xの範囲である。任意に、前記第2作動距離において生成される前記第2画像の倍率は、250x~100xの範囲である。
【0063】
任意に、前記第1照射モードは、前記1つ以上の照明の照射範囲が150°~170°であり、照射光が前記体腔内の異常に直接当たることを特徴とする。
【0064】
任意に、前記第2照射モードは、前記1つ以上の照明の照射範囲が140°~180°であり、照明の斜光線が前記体腔内の異常に当たることを特徴とする。
【0065】
任意に、前記第1作動距離は4ミリメートルから100ミリメートルまでの範囲であり、前記第2作動距離は1ミリメートルから4ミリメートルまでの範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】ある実施形態に従い、多焦点前方向き光学アセンブリを有する、マルチカメラ内視鏡の先端部分の断面図である。
【
図2】ある実施形態に従い、多焦点前方向き複合光学アセンブリを有する、マルチカメラ内視鏡の先端部分の断面図である。
【
図3A】3つのスクリーンを備え、マルチカメラ内視鏡の先端部分が取得した画像及び/又はビデオを表示する、マルチカメラディスプレイシステムを示す図である。
【
図3B】前方ビュースクリーンが多焦点前方向き光学アセンブリによって特定された異常の拡大画像を表示している、
図3Aのマルチカメラディスプレイシステムを示す図である。
【
図3C】第1及び第2側方ビュースクリーンの表示が無効になり又は暗くなっている、
図3Bのマルチカメラディスプレイシステムを示す図である。
【
図4】複数の距離決定部材が展開構成である、
図1A,1Bの内視鏡先端部分を示す図である。
【
図5】多焦点マルチカメラ内視鏡先端部分の多焦点前方向き光学アセンブリを用いて、体腔(大腸等)内の領域又は興味対象物の拡大された眺めを取得する方法の例示的な複数ステップを示すフローチャートである。
【
図6A】ある実施形態に従い、多焦点第1側方向き光学アセンブリを有する、マルチカメラ内視鏡の先端部分の断面図である。
【
図6B】ある実施形態に従い、多焦点第1側方向き複合光学アセンブリを有する、マルチカメラ内視鏡の先端部分の断面図である。
【
図7A】3つのスクリーンを備え、マルチカメラ内視鏡の先端部分が取得した画像及び/又はビデオを表示する、マルチカメラディスプレイシステムを示す図である。
【
図7B】第1側方ビュースクリーンが多焦点第1側方向き光学アセンブリによって特定された異常の拡大画像を表示している、
図7Aのマルチカメラディスプレイシステムを示す図である。
【
図7C】前方及び第2側方ビュースクリーンの表示が無効になり又は暗くなっている、
図7Bのマルチカメラディスプレイシステムを示す図である。
【
図8A】体腔内に存在し、興味対象物からある距離だけ離れ、当該距離は、興味対象物の拡大画像を取得するために使用される多焦点側方向き光学アセンブリの作動距離とは合致していない、多焦点側方向き光学アセンブリを示す図である。
【
図8B】膨張した体腔内に存在し、興味対象物から多焦点光学アセンブリの距離が、多焦点側方向き光学アセンブリの作動距離と概ね合致している、
図8Aの多焦点側方向き光学アセンブリを示す図である。
【
図8C】第1及び第2距離決定部材を展開して、多焦点側方向き光学アセンブリの興味対象物からの距離を、多焦点側方向き光学アセンブリの作動距離と概ね合致させた、
図8Aの多焦点側方向き光学アセンブリを示す図である。
【
図9】多焦点マルチカメラ内視鏡先端部分の多焦点側方向き光学アセンブリを用いて、体腔(大腸等)内の領域又は興味対象物の拡大された眺めを取得する方法の例示的な複数ステップを示すフローチャートである。
【
図10A】第1作動距離で体腔内の異常を照射する内視鏡先端部分を示す図である。
【
図10B】第2作動距離に存在するが異常を照射できていない、
図10Aの内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11A】多焦点光学アセンブリが第1動作モードであり、第1種類の光調整要素が格納され第1照射モードである、ある実施形態の内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11B】多焦点光学アセンブリが第2動作モードであり、第1種類の光調整要素が展開され第2照射モードである、
図11Aの内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11C】多焦点光学アセンブリが第1動作モードであり、第1及び第2種類の光調整要素が第1照射モードである、内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11D】多焦点光学アセンブリが第2動作モードであり、第1及び第2種類の光調整要素のうち少なくとも1つが第2照射モードである、
図11Cの内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11E】多焦点光学アセンブリが第1動作モードであり、第1種類の光調整要素が格納され第1照射モードである、別の実施形態の内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11F】多焦点光学アセンブリが第2動作モードであり、第1種類の光調整要素が展開され第2照射モードである、
図11Eの内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11G】多焦点光学アセンブリが第1動作モードであり、第1及び第2種類の光調整要素が第1照射モードである、内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11H】複合多焦点光学アセンブリが第1動作モードであり、第1種類の光調整要素が格納され第1照射モードである、ある実施形態の内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11I】複合多焦点光学アセンブリが第2動作モードであり、第1種類の光調整要素が展開され第2照射モードである、
図11Hの内視鏡先端部分を示す図である。
【
図11J】多焦点複合光学アセンブリが第1動作モードであり、第1及び第2種類の光調整要素が第1照射モードである、内視鏡先端部分を示す図である。
【
図12】第1及び第2種類の光調整要素のうち少なくとも1つを備える、多焦点マルチカメラ内視鏡先端部分を用いて、体腔(大腸等)内の領域又は興味対象物の拡大された眺めを取得する方法の例示的な複数ステップを示すフローチャートである。
【
図13A】電界が光ディフューザに印加されていないときの、光ディフューザにおける相対照度の放射角度に対する変化を示す図である。
【
図13B】電界が光ディフューザに印加されているときの、光ディフューザにおける相対照度の放射角度に対する変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の上述した実施形態及び他の実施形態を、図面及び下記の詳細な説明で更に深く説明するものとする。
【0068】
添付の図面に関連して考慮するときに、以下の詳細な説明を参照することでより良く理解しながら、本発明のこれらの構成、他の構成及び利点を更に認識するであろう。
【0069】
本明細書は、複数の実施形態に向けたものである。以下の開示を、当業者が本発明を実施できるようにするために提供する。この明細書で使用される文言は、任意の具体的な実施形態の一般的な否定として解釈されるべきではなく、当該専門用語を用いて、特許請求の範囲で使用される用語の意味を超えて特許請求の範囲を限定するべきでない。本明細書で特徴付ける一般的な原理を本明細書の精神及び範囲から離れることなく、他の実施形態及び応用に適用することができる。また、専門用語及び表現は、例示的な実施形態を説明するために使用され、限定するものと見なすべきではない。したがって、本明細書は、開示された原理及び構成と調和する多数の代替手段、変更、及び均等物を包含する最も広い範囲と合致する。明瞭さのため、本発明に関連する技術分野で知られる技術項目に関する詳細を、本発明をいたずらに不明瞭としないように、詳細には説明しない。
【0070】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、単語「備える」、「含む」及び「有する」のそれぞれ、並びにこれらの形態は、必ずしも当該用語を関連付けることができるリストの要素に限定するとは限らない。
【0071】
本発明の態様及び実施形態に従って、多焦点(例えば2焦点)マルチカメラ内視鏡システムを開示する。いくつかの実施形態によれば、内視鏡システムは、少なくとも1つの撮像センサと少なくとも1つのレンズアセンブリとを備える、少なくとも1つの多焦点光学アセンブリを含む。レンズアセンブリは、内視鏡システムと関連付けられるプロセッサによって起動された場合に第1作動距離から第2作動距離に変わり、それによって興味対象物に対する倍率を上げるように構成される、光学素子を更に備える。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、少なくともレンズアセンブリは、本明細書で使用されるように、「カメラ」又は「ビュー素子」の部品である。いくつかの実施形態では、用語「カメラ」を使用して、レンズアセンブリ及びレンズアセンブリに関連する撮像センサを説明する。関連撮像センサを備える「カメラ」又は「ビュー素子」と関連回路基板とは、「光学アセンブリ」を構成する。さらに、光学アセンブリは一般に、視野を照射する少なくとも1つの照明と関連付けられる。したがって、多焦点光学アセンブリは、関連センサを有する多焦点ビュー素子と関連回路基板とを含み、様々な他の実施形態において少なくとも1つの照明と関連付けられる。様々な実施形態において、多焦点光学アセンブリは、第1照射モード又は第2照射モードで動作するように構成された、第1種類及び第2種類の光調整要素の少なくとも一方とも関連付けられる。本明細書を通して、用語「カメラ」及び「ビュー素子」を区別しないで使用する。
【0073】
いくつかの実施形態では、ローカルメモリ又はリモートメモリ及び当業者が既知の他の電子部品とともに動作するプロセッサを備える処理システムを用いる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明の一部を、例えば汎用又は特別注文のコンピュータの部品である、データ処理装置が実行する複数のソフトウェア命令として実装することができる。いくつかの実施形態では、データ処理装置又はコンピュータは、命令及び/若しくはデータを記憶するための揮発性メモリを備え、並びに/又は、命令及び/若しくはデータを記憶するための不揮発性ストレージ(例えば磁気ハードディスク及び/又はリムーバブルメディア)を備える。いくつかの実施形態では、実装にはネットワーク接続が含まれる。いくつかの実施形態では、実装には、(例えば、コマンド及び/又はパラメータの入力を可能とする)1つ以上の入力デバイス、並びに(例えば、動作のパラメータ及び結果の報告を可能とする)出力デバイスを一般に備える、ユーザインタフェースが含まれる。
【0075】
マルチカメラ内視鏡システムは、複数の光学アセンブリが撮像した複数の画像を同時に表示するように構成されるマルチディスプレイも備える。しかしながら、ある対象物の画像にズームインして所定の割合(例えば約30%超とすることができる)だけ拡大しながら、他の画像を低倍率でかかるマルチ画像ディスプレイに表示することはオペレータにとって視線方向を見失うおそれ、一般に眼精疲労のおそれ及び違和感を感じるおそれがある。したがって、本明細書の態様及び実施形態によれば、オペレータが着目した1つの(多焦点光学アセンブリである)光学アセンブリから取得する拡大画像のみに焦点を合わせることを可能とするように、プロセッサを構成する。この焦点合わせは、他の光学アセンブリ、関連照明及び/若しくは他の光学アセンブリから取得した画像表示、又はこれらの組み合わせを無効にすることによって行う。
【0076】
ゆえに、オペレータが着目した多焦点光学アセンブリから取得する拡大画像のみに焦点を合わせることを可能とするために、プロセッサは、以下の働きのいずれか1つ又はこれらの組み合わせができるように構成される。この働きとは、a)より低い倍率の画像を撮像する他の光学アセンブリのスイッチを切る一方、他の光学アセンブリと関連付けられた1つ以上の照明のスイッチを入れたままとし、より低い倍率の画像を表示するスクリーンのスイッチも入れたままとする、b)他の光学アセンブリと関連付けられた1つ以上の照明のスイッチを切る一方、他の光学アセンブリは撮像しライブ画像及び/若しくはビデオを生成し続け、より低い倍率の画像を表示するスクリーンのスイッチも入れたままとする、並びに/又はc)より低い倍率の画像を表示するスクリーンのスイッチを切る、暗くする若しくは黒くする一方、他の光学アセンブリは撮像しライブ画像及び/若しくはビデオを生成し続け、他の光学アセンブリと関連付けられた1つ以上の照明のスイッチを入れたままとする、ことである。
【0077】
これから、ある実施形態に従う多焦点カルチカメラ内視鏡の先端部の断面図を表す
図1を参照する。内視鏡先端部100aは、内視鏡(例えば大腸内視鏡)の先端側端部に位置付けられた多焦点前方向き光学アセンブリ101を備える。前方向き光学アセンブリ101は一般に、170度の広い視野角を持つ。内視鏡先端部100aは、第1側方向き光学アセンブリ102と第2側方向き光学アセンブリ103とを備える。2つの側方向き光学アセンブリ102、103及び多焦点前方向き光学アセンブリ101は、約330度の拡大された視野を提供するように構成される。様々な実施形態において、第1側方向き光学アセンブリ102と第2側方向き光学アセンブリ103とは、これらの光軸が内視鏡先端側端部から6mm~10mmの範囲の距離に存在するように位置付けられる。様々な実施形態において、前方向き光学アセンブリ101、第1側方向き光学アセンブリ102及び第2側方向き光学アセンブリ103はそれぞれ、150°~170°の範囲の視野角(FOV)を有する。
【0078】
多焦点前方向き光学アセンブリ101が、前方の視野において見える興味対象物(ポリープ等)を検出することができる一方、側方向き光学アセンブリ102及び103は、前方向き光学アセンブリ101から隠れることがある(例えば大腸のひだの内側に存在する)興味対象物を更に検出することができる。いくつかの実施形態によれば、前方向き光学アセンブリ101の焦点距離は約1.1mmであるのに対し、第1及び第2側方向き光学アセンブリ102,103の焦点距離は約1.0mmである。
【0079】
多焦点前方向き光学アセンブリ101は、前方向き撮像センサ105(電荷結合素子(CCD)撮像センサ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像センサ等)を有する前方向きビュー素子又はカメラを備える。前方向き撮像センサ105は、その最上部に取り付けられて、画像を受け取るために必要な光学系を提供する、レンズアセンブリ107を有する。レンズアセンブリ107は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。
【0080】
前方向き撮像センサ105を集積回路基板106に実装する。集積回路基板106を硬性又は軟性とすることができる。集積回路基板106は、前方向き撮像センサ105に必要な電力を供給し、撮像センサ105が撮像した静止画像及び/又はビデオフィードを得る。集積回路基板106を、内視鏡の長尺シャフトを通る電気チャンネルを経由して装着された電気ケーブルのセットに接続する。
【0081】
1つ以上の別個の照明108を、レンズアセンブリ107の視野を照射するために、レンズアセンブリ107に隣接させて配置する。任意に、別個の前方照明108を、前方向き撮像センサ105が実装される、同一の集積回路基板106に取付けることができる。したがって、いくつかの実施形態では、多焦点前方向き光学アセンブリ101は少なくとも、レンズアセンブリ107と集積回路基板106に実装された前方向き撮像センサ105とを含むとともに少なくとも1つの照明108と関連付けられる前方向きビュー素子を備える。
【0082】
一実施形態では、照明は、任意に別個の照明であり、発光ダイオード(LED)を含む。したがって、視野を照射する発光ダイオード(LED)によって、光が供給される。いくつかの実施形態によれば、白色光LEDを使用する。他の実施形態によれば、他の色のLED又は任意のLEDの組み合わせを使用することができる。これらのLEDには、赤、緑、青、赤外線、近赤外線、紫外線又は他の任意のLEDを含むが、これらに限定されるものではない。
【0083】
別個の照明に関連して、用語「個別の」は、光を内部的に生み出す照明光源を指す。この光源は、例えば遠隔で生み出された光を単に伝達する光ファイバーとすることができる、個別でない照明とは対照的である。
【0084】
いくつかの実施形態では、光を内視鏡先端部100a内で内部的に生み出すことができ、又は光を遠隔で生み出して例えば光ファイバーによって伝達することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の照明を用いることができ、少なくとも1つの照明は光を内部的に生み出すことができるとともに、少なくとも1つの照明は遠隔で生み出された光を提供することができる。
【0085】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、レンズアセンブリ107は、内視鏡と関連付けられて、(第1レンズ109と関連付けられる)第1作動距離から、(第2レンズ111と関連付けられる)第2作動距離に変えて、異常(例えばポリープ)の画像を拡大させるために、プロセッサによって動的に切り替わる2つのレンズ109及び111を含む。当該異常は、多焦点前方向き光学アセンブリ101及びその関連要素によって撮像される。
【0086】
本明細書の態様及び実施形態によれば、第1作動距離から第2作動距離への変更によって、画像センサ105が生成できる画像を拡大し改善することができる。第2作動距離に変更することによって、変調伝達関数(MTF)が改善するとともに、第1通常レンズ109のより長い被写界深度(DOF)と比較してより短い被写界深度に適合した収差の質を持った、レンズ111を使用できる。例えば、第1レンズ109の第1作動距離及び被写界深度は約3mm(ミリメートル)から100mmである一方、第2レンズ111の第2作動距離及び被写界深度は約2mmから5mm又は約2mmから7mmである。より短い距離に適合した第2レンズ111が提供する結像性能は、このより短い距離において、被写界深度が一般に3mmから100mmである第1通常レンズ109の結像性能と比較してより優れている。第1通常レンズ109では、この短い距離ではカメラのシャッタを使用して視野を制限することによって、低い解像度を小さくし光強度を減少させている。
【0087】
様々な代替的実施形態において、第1作業距離は約6mmから70mmである一方、第2作業距離は約2mmから4mmである。
【0088】
本明細書の態様に従って、レンズアセンブリ107は、レンズアセンブリ107に含まれる光学素子を制御するように構成される1つ以上の駆動素子を含む。この1つ以上の駆動素子は、圧縮空気機関、圧電素子、電気エンジン、ソレノイド、ニチノールエンジン又はこれらの組み合わせを備える。好ましい実施形態では、駆動素子は少なくとも1つの圧縮空気機関を備える。光学素子は、レンズ(レンズ109,111等)、ミラー、回折素子又はこれらの任意の組み合わせを備える。
【0089】
様々な実施形態において、駆動素子はプロセッサによって駆動されて、レンズ109を光路110の外へ押し、移動させ又は引き、そしてレンズ111を光路110上へ押し、移動させ又は引き、撮像センサ105から目標まで視線を接続する光路110は第1レンズ109又は第2レンズ111を通過する。
【0090】
様々な実施形態にしたがって、内視鏡先端部分100aは、第1側方向き撮像センサ115(電荷結合素子(CCD)撮像センサ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像センサ等)を備える。第1側方向き撮像センサ115を、集積回路基板116に実装する。集積回路基板116を硬性又は軟性とすることができる。集積回路基板116は、第1側方向き撮像センサ115に必要な電力を供給し、撮像センサ115が撮像した静止画像及び/又はビデオフィードを得る。集積回路基板116を、内視鏡の長尺シャフトを通る電気チャンネルを経由して装着された電気ケーブルのセットに接続する。
【0091】
第1側方向き撮像センサ115は、第1側方向き撮像センサ115の最上部に実装されて、画像を受け取るために必要な光学系を提供する、レンズアセンブリ117を有する。レンズアセンブリ117は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。一実施形態において、レンズアセンブリ117は、約5ミリメートルから100ミリメートルの作動距離を提供する。他の実施形態において、レンズアセンブリ117は、2ミリメートルから5ミリメートルの作動距離を提供する。第1側方向き撮像センサ115及びレンズアセンブリ117を共同で「第1側方向きビュー素子」と呼ぶ。
【0092】
レンズアセンブリ117の視野を照射するために、1つ以上の別個の側方照明118をレンズアセンブリ117に隣接させて配置する。任意に、別個の前方照明118を、第1側方向き撮像センサ115が実装される、同一の集積回路基板116に取付けることができる。
【0093】
したがって、いくつかの実施形態では、側方向きビュー素子は、レンズアセンブリ117と集積回路基板116に実装された側方向き撮像センサ115とを備え、少なくとも1つの照明118と関連付けられて、第1側方向き光学アセンブリを構成する。
【0094】
別の構成では、集積回路基板106及び116を、前方向き撮像センサ105と第1側方向き撮像センサ115との両方が実装される、単一の集積回路基板として構成する。このために、集積回路基板を基本的にL字型とする。
【0095】
いくつかの実施形態において、内視鏡先端部分100aは、第2側方向き撮像センサ125(電荷結合素子(CCD)撮像センサ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像センサ等)を備える。側方向き撮像センサ125を、集積回路基板126に実装する。集積回路基板126を硬性又は軟性とすることができる。集積回路基板126は、側方向き撮像センサ125に必要な電力を供給し、撮像センサ125が撮像した静止画像及び/又はビデオフィードを得る。集積回路基板126を、内視鏡の長尺シャフトを通る電気チャンネルを経由して装着された電気ケーブルのセットに接続する。
【0096】
側方向き撮像センサ125は、側方向き撮像センサ125の最上部に実装されて、画像を受け取るために必要な光学系を提供する、レンズアセンブリ127を有する。レンズアセンブリ127は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。一実施形態において、レンズアセンブリ127は、約2ミリメートルから5ミリメートルの作動距離を提供する。他の実施形態において、レンズアセンブリ117は、3ミリメートルから40ミリメートルの作動距離を提供する。側方向き撮像センサ125及びレンズアセンブリ127を共同で「第2側方向きビュー素子」と呼ぶ。
【0097】
レンズアセンブリ127の視野を照射するために、1つ以上の別個の側方照明128をレンズアセンブリ127に隣接させて配置する。任意に、別個の前方照明128を、側方向き撮像センサ125が実装される、同一の集積回路基板126に取付けることができる。
【0098】
したがって、いくつかの実施形態では、第2側方向きビュー素子は、レンズアセンブリ127と集積回路基板126に実装された側方向き撮像センサ125とを備え、少なくとも1つの照明128と関連付けられて、側方向き光学アセンブリを構成する。
【0099】
別の構成では、集積回路基板106,116及び126を、前方向き撮像センサ105と側方向き撮像センサ115及び125との両方が実装される、単一の集積回路基板として構成する。このために、集積回路基板を基本的に上下が反転したU字型とする。
【0100】
わかりやすく説明するために、
図1は、多焦点複数ビュー素子内視鏡先端部分100aのビュー素子、関連要素及び照明(光学アセンブリ)のみを表す。内視鏡先端部分100aは、1つ以上の作業チャンネルを備えて、複数の処置具を同時に挿入することができることが理解される。同様に、内視鏡先端部分100aは、1つ以上の流体チャンネルを含むことができる。当該流体チャンネルは例えば、前方流体インジェクタ、側方流体インジェクタ及び/又は経路流体インジェクタの少なくとも1つに別個に供給するために、並びに経路流体インジェクタを通じて別個に吸引を行うためのものである。内視鏡先端部分100aは、内視鏡のカメラ及び照明を制御するために、長尺シャフト及び/又は屈曲部を通って装着される1つ以上の電気ケーブルを備えることができる。
【0101】
これから
図2を参照する。
図2は、ある実施形態に従い、2つの前方向きビュー素子を有し、ひいては2つの光学アセンブリを有する、多焦点マルチカメラ内視鏡の先端部分100bの断面図を示す。内視鏡先端部分100bは、第1前方向き光学アセンブリ101A及び第2前方向き光学アセンブリ101Bを備える。これら光学アセンブリは、共同で「複合多焦点光学アセンブリ」とも呼ばれ、内視鏡(大腸内視鏡等)の先端側端部に位置付けられる。内視鏡先端部分100bは、第1側方向き光学アセンブリ102及び第2側方向き光学アセンブリ103を備える。様々な実施形態において、第1側方向き光学アセンブリ102及び第2側方向き光学アセンブリ103の光軸が、内視鏡の先端側端部から6mm~10mmの範囲の距離に存在するように、これらの光学アセンブリは位置付けられる。様々な実施形態において、前方向き光学アセンブリ101A及び101B並びに第1及び第2側方向き光学アセンブリ102,103はそれぞれ、150°~170°の範囲の視野角(FOV)を有する。
【0102】
前方向き光学アセンブリ101Aは、前方向き撮像センサ105を有する第1前方向きビュー素子を備える。前方向き撮像センサ105は、その上に実装されて画像を受け取るために必要な光学系を提供する、レンズアセンブリ107を有する。レンズアセンブリ107は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。レンズアセンブリ107は、約5ミリメートルから100ミリメートルの第1作動距離を提供する。
【0103】
前方向き撮像センサ105を第1集積回路基板106に実装する。
【0104】
前方向き撮像センサ105及びレンズアセンブリ107が集積回路基板106に連結しているときに、前方向き撮像センサ105及びレンズアセンブリ107を共同で「第1前方向き光学アセンブリ」と呼ぶ。
【0105】
前方向き光学アセンブリ101Bは、前方向き撮像センサ135を有する第2前方向きビュー素子を備える。前方向き撮像センサ135は、その上に装着されて画像を受け取るために必要な光学系を提供する、レンズアセンブリ137を有する。レンズアセンブリ137は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。レンズアセンブリ137は、約2ミリメートルから5ミリメートルの第2作動距離を提供する。
【0106】
前方向き撮像センサ135を第2集積回路基板136に実装する。
【0107】
前方向き撮像センサ135及びレンズアセンブリ137が集積回路基板136に連結しているときに、前方向き撮像センサ135及びレンズアセンブリ137を共同で「第2前方向き光学アセンブリ」と呼ぶ。
【0108】
ある実施形態によれば、第1前方向き光学アセンブリ101Aは、通常使用する内視鏡の前方向きビュー素子であり、当該前方向きビュー素子は、撮像センサ105と、5ミリメートルから100ミリメートルの第1作動距離を提供するレンズ109を有するレンズアセンブリ107とを備える。例えば患者の大腸内で内視鏡先端部分100bを移動させるために、レンズ109を内視鏡手技中に使用する。レンズ109は、比較的長い距離から比較的低い倍率で、異常又は興味対象物(ポリープ等)を特定するように構成される。レンズアセンブリ107の視野を照射するために、1つ以上の別個の照明108Aをレンズアセンブリ107に隣接させて配置する。任意に、別個の前方照明108Aを、前方向き撮像センサ105が実装される、同一の集積回路基板106に取付ける。
【0109】
第2前方向き光学アセンブリ101Bは、より大きな倍率のカメラであり、当該カメラは、撮像センサ135と、3ミリメートルから6ミリメートルの第2作動距離を提供するレンズ131を有するレンズアセンブリ137とを備える。レンズ131は、特定した興味対象物の倍率を拡大させるように構成される。レンズアセンブリ137の視野を照射するために、1つ以上の別個の照明108Bをレンズアセンブリ137に隣接させて配置する。任意に、別個の前方照明108Bを、前方向き撮像センサ135が実装される、同一の集積回路基板136に取付ける。
【0110】
特定の実施形態によれば、内視鏡先端部分100bは、撮像センサ115に装着されたレンズアセンブリ117を有する第1側方向き光学アセンブリ102を備え、次に撮像センサ115は集積回路基板116に実装される。第1側方向き光学アセンブリ102は、1つ以上の別個の関連照明118も有する。様々な実施形態において、内視鏡先端部分100は、撮像センサ125に装着されたレンズアセンブリ127を有する第2側方向き光学アセンブリ103を備え、次に撮像センサ125は集積回路基板126に実装される。第2側方向き光学アセンブリ103は、1つ以上の別個の関連照明128を有する。いくつかの実施形態に従って、前方向き光学アセンブリ101A,101Bの焦点距離は、1.1mmであるか又は約1.1mmのオーダーである一方、第1及び第2側方向き光学アセンブリ102,103の焦点距離は、1.0mmであるか又は約1.0mmのオーダーである。
【0111】
これから、
図3Aから3Cと共に
図1、2を参照する。
図3Aから3Cは、特定の実施形態に従い、多焦点マルチカメラ内視鏡ディスプレイにおけるシステム300に表示可能なコンテンツの例を示す。内視鏡ディスプレイシステム300は、前方ビュースクリーン301と、第1側方向きスクリーン303と、第2側方向きスクリーン305とを備える。前方向きビュースクリーン301は
図1の前方向き光学アセンブリ101又は
図2の光学アセンブリ101A(内視鏡先端部分100aと100bのどちらが使用されたかによる)が撮像した画像を表示するために使用され、第1側方向きスクリーン303は
図1,2に示す第1側方向き光学アセンブリ102が撮像した画像を表示するために使用され、第2側方向きスクリーン305は
図1,2に示す第2側方向き光学アセンブリ103が撮像した画像を表示するために使用される。したがって、
図1の内視鏡先端部分100aを使用する場合に、前方ビュースクリーン301は前方向き光学アセンブリ101が撮像した画像を表示する一方、側方向きスクリーン303及び305はそれぞれ
図1に示す第1及び第2側方向き光学アセンブリ102,103が撮像した画像を表示することを理解するはずである。あるいは、
図2の内視鏡先端部分100bを使用する場合に、前方ビュースクリーン301はデフォルトでは前方向き光学アセンブリ101Aが撮像した画像を表示する一方、側方向きスクリーン303及び305はそれぞれ
図2に示す第1及び第2側方向き光学アセンブリ102,103が撮像した画像を表示する。
【0112】
したがって、スクリーン301,303及び305は、
図1,2に示すマルチカメラ内視鏡先端部分100a又は100bが撮像した複数視野を同時に表示するように構成される。当該マルチカメラ内視鏡先端部分は、330°の拡大された視野を提供し、臨床医が、興味対象物又は異常を特定し処置するために、内視鏡先端部分を調査領域を通って都合良く移動できるようにする。
【0113】
図3Aは、前方ビュースクリーン301に表示される、大腸307と、大腸のひだ309とポリープ311とすることができる興味対象物との前方及び側方ビューの典型的な画像を表す。側方向きビュー素子102によってポリープ311を側方視野角から撮像することもでき、ポリープ311は、符号311’が付されたポリープとして側方ビュースクリーン305に表示される。手術時に、オペレータは、
図1の光学アセンブリ101,102及び103(又は
図2の光学アセンブリ101A,102及び103)が伝達する画像(一般にビデオフィード)を見ながら、内視鏡先端部分100a(又は
図2の100b)を体腔(大腸等)内で前進させる。例えば大腸307の壁に興味対象物(ポリープ311等)を発見した時に、オペレータはマルチカメラ内視鏡の先端部分100a(又は
図2の100b)をポリープ311の付近へ更に前進させる。内視鏡先端部分100a(又は
図2の100b)を大腸(又は任意の体腔)の壁/ポリープ/他の任意の興味位置からの「最適距離」まで前進させた後に、オペレータは、第2作動距離の
図1のレンズ111を用いて(
図1の内視鏡先端部分100aを使用する場合)、又は第2作動距離の第2前方向き光学アセンブリ101Bを用いて(
図2の内視鏡先端部分100bを使用する場合)、対象物の拡大画像320を取得することができる。
【0114】
いくつかの実施形態によればオペレータが「最適距離」を決定し、又は様々な実施形態において、スペーサ/距離決定部材が「最適距離」を決定する。いくつかの実施形態によれば、「最適距離」は例えば、大腸(又は任意の体腔)の壁/ポリープ/他の任意の興味位置から2-4ミリメートルである。ポリープ311の拡大された画像311’’に従って、オペレータは、内視鏡の作業チャンネルを通じて処置具を挿入して、ポリープ311の試料又は当該ポリープ全体を、生検のために、除去、処置及び/又は抽出するかを決めることができる。
【0115】
これから、前方ビュースクリーン301上の拡大画像311’’を表す
図3Bを参照する。ポリ-プ311を大きく拡大させて表示しており、ポリ-プ311は前方ビュースクリーン301のより広いスクリーン領域を占める。側方ビュースクリーン303,305の倍率は変わらず、ポリープ311’は側方ビュースクリーン305上に依然としてデフォルトの倍率で表示されている。しかしながら、側方ビュースクリーンで画像303及び305をデフォルトの倍率で表示しながら、前方ビュースクリーン301で、ポリープ311に例えば約30%以上だけズームインし拡大することは、オペレータにとって視線方向を見失うおそれ、一般に眼精疲労のおそれ及び違和感を感じるおそれがある。
【0116】
これから、前方ビュースクリーン301上の拡大画像311’’と、無効にし、暗くし及び/又は黒くした側方ビュースクリーン303及び305とを表す
図3Cを参照する。ポリ-プ311を画像311’’として大きく拡大させて表示しており、画像311’’は前方ビュースクリーン301のより広いスクリーン領域を占める一方、2つの側方ビュースクリーン303及び305を無効にし、暗くし及び/又は黒くしている。側方ビュースクリーン303及び305を無効にし、暗くし/又は黒くすることによって、オペレータは、視覚的に妨害され又は混乱することなく、拡大されたポリープ画像311’’を調査できる。
【0117】
本明細書の態様及び実施形態によれば、
図1のより大きな倍率のレンズ111を使用して(
図1の内視鏡先端部分100aを使用している場合)又は第2前方向き光学アセンブリ101Bを使用して(
図2の内視鏡先端部分100bを使用している場合)、興味対象物の画像(ポリープ311の画像等)にズームインし拡大している間、以下のいずれか1つまたは組み合わせが可能であるようにプロセッサを構成する。すなわち、a)側方向き照明(118,128、
図1,2の側方向き光学アセンブリ102及び103と関連付けられる)のスイッチを入れたまま、かつ2つの側方向きスクリーン又はモニタ(303及び305)のスイッチも入れたまま、例えば側方向き光学アセンブリへの給電を断つ又は減少させることによって、側方向き光学アセンブリ(
図1,2の102及び103)を無効にする、b)側方向き光学アセンブリはライブ画像及び/若しくはビデオストリームを撮像し続けたまま、かつ2つの側方向きスクリーン(303及び305)のスイッチも入れたまま、側方向き光学アセンブリと関連付けられる側方向き照明(
図1,2の118,128)のスイッチを切る又は照度を減少させる、並びに/又はc)側方向き光学アセンブリ(
図1,2の102及び103)はライブ画像及び/若しくはビデオストリームを撮像し続けたまま、かつ側方向き光学アセンブリと関連付けられる照明(
図1,2の118,128)のスイッチも入れたまま、2つの側方向きスクリーンのスイッチを切る、暗くする若しくは黒くすることによって、側方向き光学アセンブリから得られる2つの側方向きスクリーン又はモニタ(303及び305)の表示を終わらせる、ことが可能であるようにプロセッサを構成する。
【0118】
また一実施形態において、興味対象物を拡大して見るために、
図1のより大きな倍率のレンズ111が有効であるとき(
図1の内視鏡先端部分100aを使用している場合)、又は第2前方向き光学アセンブリ101Bが有効であるときに(
図2の内視鏡先端部分100bを使用している場合)、側方向き光学アセンブリや関連照明を無効にすること、及び/又は2つの側方向きスクリーンのスイッチを切る、暗くする若しくは黒くすることを、プロセッサによって自動化することができる。他の実施形態において、興味対象物を拡大して見るために、
図1のより大きな倍率のレンズ111が有効であるとき(
図1の内視鏡先端部分100aを使用している場合)、又は第2前方向き光学アセンブリ101Bが有効であるときに(
図2の内視鏡先端部分100bを使用している場合)、側方向き光学アセンブリや関連照明を無効にすること、及び/又は2つの側方向きスクリーンのスイッチを切る、暗くする若しくは黒くすることのいずれか1つ又はこれらの組み合わせを、オペレータが、例えば内視鏡のハンドルの1つ以上のスイッチを操作することによって、手動で行うことができる。
【0119】
図2を参照して、本明細書の態様及び実施形態によれば、プロセッサは、ズームインするために前方向き光学アセンブリ101Bをオンにするように構成され、前方向き光学アセンブリ101Aをオフにするように構成され、前方向き光学アセンブリ101Aと関連付けられる照明をオフにする(すなわち例えば1つ以上の照明108Aをオフにする)ように構成され、前方向き光学アセンブリ101Aが撮像した画像を前方向き光学アセンブリ101Bが撮像した拡大画像に置き換えて前方ビュースクリーン301に表示するように構成される。プロセッサは、以下のいずれか1つ又は組み合わせが可能であるように更に構成される。すなわち、a)関連照明118,128のスイッチを入れたまま、かつ側方向きスクリーン303,305のスイッチも入れたまま、ズームインするために側方向き光学アセンブリ102及び103をオフにする、b)側方向き光学アセンブリ102,103はライブ画像及び/若しくはビデオストリームを撮像し続けたまま、かつ側方向きスクリーン又はモニタ303,305のスイッチも入れたまま、側方向き光学アセンブリ102,103と関連付けられる側方向き照明118及び128のスイッチを切る、並びに/又はc)側方向き光学アセンブリ102,103はライブ画像及び/若しくはビデオストリームを撮像し続けたまま、かつ側方向き照明118,128のスイッチも入れたまま、側方向きスクリーン又はモニタ303及び305の表示のスイッチを切る、暗くする又は黒くする、ことが可能であるようにプロセッサを更に構成する。
【0120】
また一実施形態において、興味対象物を拡大して見るために、第2前方向き光学アセンブリ101Bが使用され有効であるときに、側方向き光学アセンブリや関連照明を無効にすること、及び/又は2つの側方向きスクリーンのスイッチを切る、暗くする若しくは黒くすることを、プロセッサによって自動化することができる。他の実施形態において、興味対象物を拡大して見るために、第2前方向き光学アセンブリ101Bが有効であるときに、側方向き光学アセンブリや関連照明を無効にすること、及び/又は2つの側方向きスクリーンのスイッチを切る、暗くする若しくは黒くすることのいずれか1つ又はこれらの組み合わせを、オペレータが、例えば内視鏡のハンドルの1つ以上のスイッチを操作することによって、手動で行うことができる。
【0121】
1つ以上の距離決定部材又はスペーサを備える、多焦点マルチカメラ内視鏡の先端部分400の斜視図を示す
図4をこれから参照する。内視鏡先端部分400は、前方向き光学アセンブリ401と、前方向き光学アセンブリ401に関連付けられる1つ以上の前方向き照明402と、作業チャンネル403と、光学アセンブリ401及び照明402を洗浄するための流体インジェクションチャンネル404及び流体インジェクションチャンネル405と、1つ以上の側方向き照明412に関連付けられる側方向き光学アセンブリ411と、を備える。
【0122】
ある実施形態によれば、内視鏡先端部分400は、体腔の内壁(例えば大腸の内壁)に接触し、光学アセンブリ401と大腸の内壁との間の距離を固定又は維持するように構成される、1つ以上の好ましくは3つ以上の、距離決定部材又はスペーサ415,416及び417を備える。様々な実施形態において、3つ以上の距離決定部材415,416及び417は、先端部分400の先端側端部420に固定的に装着された又は必要なときに先端部分400から伸縮自在に引き出すことが可能な、1つ以上のスペーサ、隆起、突出部又は突起である。
【0123】
様々な実施形態において、3つ以上の距離決定部材415,416及び417の先端側端部420を越える突出長さは、
図1の拡大第2レンズ111の第2作動距離又は
図2の第2前方向き光学アセンブリ101Bのレンズの第2作動距離と概ね合致する。したがって様々な実施形態において、3つ以上の距離決定部材又はスペーサ415,416及び417の突出長さは、3mmから7mmの範囲である。いくつかの実施形態において、3つ以上の距離決定部材又はスペーサ415,416及び417の突出長さは、1.5mmから7mmの範囲である。一実施形態では、3つ以上の距離決定部材又はスペーサ415,416及び417の突出長さを2mmに制限して、光学アセンブリ401の視界がスペーサ415,416及び417によってひずまないことを確保する。3つ以上の距離決定部材415,416及び417が先端側端部420から伸縮自在に引き出し可能である特定の実施形態では、3つ以上の距離決定部材415,416及び417の突出長さを、第2作動距離と合致させるために動的に変えることができる。様々な実施形態において、3つ以上の距離決定部材415,416及び417は互いに間隔を空けて配置され、任意の2つの距離決定部材間の距離は、8mmから10mmの範囲である。
【0124】
いくつかの実施形態によれば、距離決定部材はおよそ4mmの距離の決定又はスペーシングを提供するように構成される。いくつかの実施形態によれば、距離決定部材は5mm超の距離の決定又はスペーシングを提供するように構成される。他の実施形態によれば、距離決定部材は3mm~12mmに及ぶ複数距離の決定又はスペーシングを制御可能に提供するように構成される。更に他の実施形態によれば、距離決定部材は4mm~6mmに及ぶ複数距離の決定又はスペーシングを制御可能に提供するように構成される。いくつかの実施形態によれば、距離決定部材は、作動距離に従って、動的な距離の決定を提供するように構成される。
【0125】
図5は、内視鏡(大腸内視鏡等)の多焦点マルチカメラ内視鏡先端部分を用いて、体腔(大腸等)内の領域又は興味対象物の拡大された眺めを取得する方法500の例示的な複数ステップを示すフローチャートである。内視鏡と関連付けられたプロセッサは、方法500を実施するように構成される。これから
図1,2及び5を参照して、ステップ510では、多焦点マルチカメラ内視鏡先端部分(例えば先端部分100a又は100b)を、少なくとも1つの多焦点前方向き光学アセンブリ(すなわち先端部分100aの前方向き光学アセンブリ101又は先端部分100bの第1前方向き光学アセンブリ101A)を第1動作モードとして、患者の大腸内で移動させて、異常、領域又は興味対象物(ポリープ等)を特定する。第1動作モードの間、少なくとも1つの多焦点前方向き光学アセンブリは、第1作動距離で大腸の画像及び/又はビデオを取得する。少なくとも1つの多焦点前方向き光学アセンブリは、内視鏡先端部分100a又は100bのどちらが使用されているかによって、第1レンズ109又は(第2前方向き光学アセンブリ101Bが無効となっている間)第1前方向き光学アセンブリ101Aを使用して、第1作業距離で作動できる。ある実施形態では、内視鏡先端部分をデフォルトでは第1モードで動作させる。
【0126】
少なくとも1つの多焦点前方向き光学アセンブリから取得した第1動作モードの画像及び/又はビデオを特定された異常と一緒に、前方ビュースクリーンに表示するとともに、第1及び第2側方向き光学アセンブリからそれぞれ取得した画像及び/又はビデオを、対応する第1及び第2側方向きスクリーンに表示する。少なくとも1つの多焦点前方向き光学アセンブリが撮像した時に、前方ビュースクリーン上に見える特定された異常は、第1又は第2側方向き光学アセンブリの少なくとも1つが重複視野において撮像した時に、第1又は第2側方向きスクリーンの少なくとも1つにも同時に表示されることを認識するはずである。様々な実施形態において、第1動作モードの間、異常を撮像した第1作動距離に対する画像では、100x-6xの倍率が可能である。
【0127】
ステップ520では、プロセッサは、特定された異常を含む拡大画像を取得して前方ビュースクリーンに表示するために、少なくとも1つの多焦点前方向き光学アセンブリが第2動作モードで作動できるようにする。第2動作モードの間、少なくとも1つの多焦点前方向き光学アセンブリは、第2作動距離で拡大画像を取得する。少なくとも1つの多焦点前方向き光学アセンブリは、内視鏡先端部分100a又は100bのどちらが使用されているかによって、第2レンズ111を使用するように切り替えることによって、又は(第1前方向き光学アセンブリ101Aを同時に無効にしながら)第2前方向き光学アセンブリ101Bを作動させることによって、第2作業距離で作動できる。様々な実施形態において、第2動作モードの間、異常を撮像した第2作動距離に対する画像では、250x-100xに及ぶ倍率が可能である。
【0128】
ある実施形態によれば、少なくとも1つの多焦点前方向き光学アセンブリと特定された異常又は興味対象物との間の距離は、1つ以上の距離決定部材(例えば
図4の部材415,416)を内視鏡先端部の先端側端部から引き出し又は展開するとともに、1つ以上の距離決定部材が大腸の異常又は内壁に接触し、それによって概ね第2作動距離を維持するまで先端部分を前進させることによって維持される。この実施形態では、距離決定部材を、部分的に又は完全に、格納又は展開することによって、距離決定部材の長さを変えることができる。他の実施形態では、距離決定部材を先端側端部に付着させて、距離決定部材の長さを第2作動距離に概ね合致する固定長とする。動作上この構造は、内視鏡のカメラと観察される組織との間で最小限の距離を維持し確保する利点を有する。
【0129】
ステップ530では、前方ビュースクリーン上の拡大画像の倍率が所定の割合を超える場合に、プロセッサは以下のいずれか1つ又はこれらの組み合わせを可能にする。すなわち、a)第1及び第2側方向き光学アセンブリと関連付けられた照明のスイッチを入れたまま、かつ第1及び第2側方向きスクリーンのスイッチも入れたまま、第1及び第2側方向き光学アセンブリのスイッチを切る又は無効にする、b)第1及び第2側方向き光学アセンブリはライブ画像及び/若しくはビデオストリームを撮像し生成し続けたまま、かつ第1及び第2側方向きスクリーンのスイッチも入れたまま、第1及び第2側方向き光学アセンブリと関連付けられる側方照明のスイッチを切る、並びに/又はc)第1及び第2側方向き光学アセンブリはライブ画像及び/若しくはビデオストリームを撮像し生成し続けたまま、かつ第1及び第2側方向き光学アセンブリと関連付けられる照明のスイッチも入れたまま、第1及び第2側方向きスクリーンの画像及び/若しくはビデオの表示のスイッチを切る、黒くする又は暗くする、ことをプロセッサは可能にする。いくつかの実施形態では、所定の倍率の割合は、約30%以上である。
【0130】
必要ならば、拡大画像を見ながら、異常又は興味対象物の試料又は全体を、生検のために、除去、処置及び/又は抽出するために、内視鏡の作業チャンネルを通じて処置具を挿入することができる。
【0131】
ある実施形態によれば、内視鏡のハンドルのボタン又はスイッチを作動させることで、プロセッサに内視鏡先端部分の動作モードを第1動作モードから第2動作モードに切り替えさせる。
【0132】
これから、ある実施形態に従う多焦点カルチカメラ内視鏡の先端部の断面図を表す
図6Aを参照する。内視鏡先端部600aは、内視鏡(例えば大腸内視鏡)の先端側端部に位置付けられた前方向き光学アセンブリ601を備える。前方向き光学アセンブリ601は一般に、170度の広い視野角を持つ。内視鏡先端部600aは、第1多焦点側方向き光学アセンブリ602と第2側方向き光学アセンブリ603とを備える。2つの側方向き光学アセンブリ602、603及び前方向き光学アセンブリ601は、約330度の拡大された視野を提供するように構成される。様々な実施形態において、第1側方向き光学アセンブリ602と第2側方向き光学アセンブリ603とは、これらの光軸が内視鏡先端側端部から6mm~10mmの範囲の距離に存在するように位置付けられる。様々な実施形態において、前方向き光学アセンブリ601、第1側方向き光学アセンブリ602及び第2側方向き光学アセンブリ603はそれぞれ、150°~170°の範囲の視野角(FOV)を有する。
【0133】
前方向き光学アセンブリ601が、前方の視野において見える興味対象物(ポリープ等)を検出することができる一方、側方向き光学アセンブリ602及び603は、前方向き光学アセンブリ601から隠れることがある(例えば大腸のひだの内側に存在する)興味対象物を更に検出することができる。いくつかの実施形態によれば、前方向き光学アセンブリ601の焦点距離は約1.1mmであるのに対し、第1及び第2側方向き光学アセンブリ602,603の焦点距離は約1.0mmである。
【0134】
前方向き光学アセンブリ601は、前方向き撮像センサ605(電荷結合素子(CCD)撮像センサ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像センサ等)を有する前方向きビュー素子又はカメラを備える。前方向き撮像センサ605は、その最上部に取り付けられて、画像を受け取るために必要な光学系を提供する、レンズアセンブリ607を有する。レンズアセンブリ607は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。
【0135】
前方向き撮像センサ605を集積回路基板106に実装する。集積回路基板を硬性又は軟性とすることができる。集積回路基板606は、前方向き撮像センサ605に必要な電力を供給し、撮像センサ605が撮像した静止画像及び/又はビデオフィードを得る。集積回路基板606を、内視鏡の長尺シャフトを通る電気チャンネルを経由して装着された電気ケーブルのセットに接続する。
【0136】
1つ以上の別個の照明608を、レンズアセンブリ607の視野を照射するために、レンズアセンブリ607に隣接させて配置する。任意に、別個の前方照明608を、前方向き撮像センサ605が実装される、同一の集積回路基板606に取付けることができる。したがって、いくつかの実施形態では、多焦点前方向き光学アセンブリ601は少なくとも、レンズアセンブリ107と集積回路基板106に実装された前方向き撮像センサ105とを含むとともに少なくとも1つの照明608と関連付けられる前方向きビュー素子を備える。
【0137】
一実施形態では、照明は、任意に別個の照明であり、発光ダイオード(LED)を含む。したがって、視野を照射する発光ダイオード(LED)によって、光が供給される。いくつかの実施形態によれば、白色光LEDを使用する。他の実施形態によれば、他の色のLED又は任意のLEDの組み合わせを使用することができる。これらのLEDには、赤、緑、青、赤外線、近赤外線、紫外線又は他の任意のLEDを含むが、これらに限定されるものではない。
【0138】
いくつかの実施形態では、光を内視鏡先端部600a内で内部的に生み出すことができ、又は光を遠隔で生み出して例えば光ファイバーによって伝達することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の照明を用いることができ、少なくとも1つの照明は光を内部的に生み出すことができるとともに、少なくとも1つの照明は遠隔で生み出された光を提供することができる。
【0139】
様々な実施形態において、内視鏡先端部分600aは、電荷結合素子(CCD)撮像センサ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像センサ等の、第1側方向き撮像センサ615を備える。第1側方向き撮像センサ615を集積回路基板616に実装する。集積回路基板616を硬性又は軟性とすることができる。集積回路基板616は、第1側方向き撮像センサ615に必要な電力を供給し、撮像センサ615が撮像した静止画像及び/又はビデオフィードを得る。集積回路616を、内視鏡の長尺シャフトを通る電気チャンネルを経由して装着される電気ケーブルのセットに接続する。
【0140】
第1側方向き撮像センサ615は、その最上部に取付けられて、画像を受け取るために必要な光学系を提供する、レンズアセンブリ617を有する。レンズアセンブリ617は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。一実施形態では、レンズアセンブリ617は、約2ミリメートルから40ミリメートルの作動距離を提供する。別の実施形態では、レンズアセンブリ617は、2ミリメートルから6ミリメートルの作動距離を提供する。第1側方向き撮像センサ615及びレンズアセンブリ617を共同で「第1側方向きビュー素子」と呼ぶ。
【0141】
1つ以上の別個の側方照明618を、レンズアセンブリ617の視野を照射するために、レンズアセンブリ617に隣接させて配置する。任意に、別個の前方照明618を、第1側方向き撮像センサ615が装着される、同一の集積回路基板616に取付けることができる。
【0142】
したがって、いくつかの実施形態では、側方向きビュー素子は、レンズアセンブリ617と集積回路基板616に実装された第1側方向き撮像センサ615とを備え、少なくとも1つの照明618と関連付けられて、第1側方向き光学アセンブリを構成する。
【0143】
別の構成では、集積回路基板606及び616を、前方向き撮像センサ605と第1側方向き撮像センサ615との両方が実装される、単一の集積回路基板として構成することができる。このために、集積回路基板を基本的にL字型とすることができる。
【0144】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、レンズアセンブリ617は、(第1レンズ609と関連付けられる)第1作動距離から、(第2レンズ111と関連付けられる)第2作動距離に変えて、異常又は興味対象物(例えばポリープ)の画像の倍率を上げるために、プロセッサによって動的に切り替わる2つのレンズ609及び611を含む。当該異常は、第1多焦点側方向き光学アセンブリ602及び関連要素によって撮像される。
【0145】
本明細書の態様及び実施形態によれば、第1作動距離から第2作動距離への変更によって、画像センサ615が生成できる画像の倍率を上げて画像を改善することができる。第2作動距離に変更することによって、変調伝達関数(MTF)が改善するとともに、第1通常レンズ609のより長い被写界深度(DOF)と比較してより短い被写界深度に適合した収差の質を持った、レンズ611を使用できる。例えば一実施形態では、レンズアセンブリ617は、レンズ609がもたらす約20ミリメートルの第1作動距離と、レンズ611がもたらす約5ミリメートルの第2作動距離とを提供する。あるいは別の実施形態では、レンズアセンブリ617は、レンズ609がもたらす約10ミリメートルの第1作動距離と、レンズ611がもたらす約2ミリメートルの第2作動距離とを提供する。レンズアセンブリ617は他の作動距離(例示的には2ミリメートルから40ミリメートルの範囲)を有する他のレンズを備えることができることを理解するはずであり、かかるレンズは本明細書の範囲内である。
【0146】
本明細書の態様に従って、レンズアセンブリ617は、レンズアセンブリ617に含まれる光学素子を制御するように構成される1つ以上の駆動素子を含む。この1つ以上の駆動素子は、圧電素子、電気エンジン、ソレノイド、ニチノールエンジン又はこれらの組み合わせを備える。好ましい実施形態では、駆動素子は少なくとも1つの圧縮空気機関を備える。光学素子は、レンズ(レンズ609,611等)、ミラー、回折素子又はこれらの組み合わせを備える。
【0147】
様々な実施形態において、駆動素子はプロセッサによって駆動されて、レンズ609を光路610の外へ押し、移動させ又は引き、そしてレンズ611を光路610上へ押し、移動させ又は引き、撮像センサ615から異常又は興味対象物まで視線を接続する光路は第1レンズ609又は第2レンズ611を通過する。いくつかの実施形態において、内視鏡先端部分600aは、第2側方向き撮像センサ625(電荷結合素子(CCD)撮像センサ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像センサ等)を備える。第2側方向き撮像センサ625を、集積回路基板626に実装する。集積回路基板626を硬性又は軟性とすることができる。集積回路基板626は、第2側方向き撮像センサ625に必要な電力を供給し、撮像センサ625が撮像した静止画像及び/又はビデオフィードを得る。集積回路基板626を、内視鏡の長尺シャフトを通る電気チャンネルを経由して装着された電気ケーブルのセットに接続する。
【0148】
第2側方向き撮像センサ625は、側方向き撮像センサ625の最上部に実装され、画像を受け取るために必要な光学系を提供するためのレンズアセンブリ627を有する。レンズアセンブリ627は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。一実施形態において、レンズアセンブリ627は、約2ミリメートル~6ミリメートルの作動距離を提供する。他の実施形態において、レンズアセンブリ627は、2ミリメートルから40ミリメートルの作動距離を提供する。第2側方向き撮像センサ625及びレンズアセンブリ627を共同で「第2側方向きビュー素子」と呼ぶ。
【0149】
レンズアセンブリ627の視野を照射するために、1つ以上の別個の側方照明628をレンズアセンブリ627に隣接させて配置する。任意に、別個の前方照明628を、側方向き撮像センサ625が実装される、同一の集積回路基板626に取付けることができる。
【0150】
したがって、いくつかの実施形態では、第2側方向きビュー素子は、レンズアセンブリ627と集積回路基板626に実装された側方向き撮像センサ625とを備え、少なくとも1つの照明628と関連付けられて、第2側方向き光学アセンブリを構成する。
【0151】
別の構成では、集積回路基板606,616及び626を、前方向き撮像センサ605と側方向き撮像センサ615及び625との両方が実装される、単一の集積回路基板として構成する。このために、集積回路基板を基本的に上下が反転したU字型とする。
【0152】
特定の実施形態において、レンズアセンブリ627を、上述した2つのレンズ(例えば第1レンズ609及び第2レンズ611)を備えるレンズアセンブリ617に類似する、多焦点(例えば2焦点)レンズアセンブリとすることもできる。プロセッサは、第2側方向き光学アセンブリ603が撮像した興味対象物の画像の倍率を上げるために、当該2つのレンズを動的に切り替えて、第1作動距離から第2作動距離に変えることができる。
【0153】
任意かつ付加的に、本明細書で上述した1つ以上のレンズアセンブリは、オートフォーカスズームシステム、光学ズームシステム及び/又はデジタルズームシステムを更に備えることができる。
【0154】
わかりやすく説明するために、
図6Aは、多焦点マルチビュー素子内視鏡先端部分600aのビュー素子、関連要素及び照明(これらをまとめて光学アセンブリという)のみを表す。内視鏡先端部分600aは、複数の処置具を同時に挿入することを可能にする1つ以上の作業チャンネルを備え得ることが理解される。同様に、内視鏡先端部分600aは、1つ以上の流体チャンネルを含むことができる。当該流体チャンネルは例えば、前方流体インジェクタ、側方流体インジェクタ及び/又は経路流体インジェクタの少なくとも1つに別個に供給するために、並びに経路流体インジェクタを通じて別個に吸引を行うためのものである。内視鏡先端部分600aは、内視鏡のカメラ及び照明を制御するために、長尺シャフト及び/又は屈曲部を通って装着される1つ以上の電気ケーブルも備えることができる。
【0155】
これから
図6Bを参照する。
図6Bは、ある実施形態に従い、2つの第1側方向きビュー素子を備え、ひいては2つの光学アセンブリを備える、多焦点マルチカメラ内視鏡の先端部分600bの断面図を示す。内視鏡先端部分600bは、2つの第1側方向き光学アセンブリ602A及び602Bを備える。これら光学アセンブリは、共同で「複合多焦点光学アセンブリ」とも呼ばれ、内視鏡(大腸内視鏡等)の先端側端部の第1側面について向いた視野を有する。いくつかの実施形態において、内視鏡先端部分600bは、第1の側に対して反対側の第2の側を向く、付加的な側方向き光学アセンブリ603を備えることもできる。
【0156】
第1側方向き第1ビュー素子602Aは、その最上部に取付けられて画像を受け取るために必要な光学系を提供するレンズアセンブリ617を有する、側方向き撮像センサ615を備える。側方向き撮像センサ615は、集積回路基板616に実装される。レンズアセンブリ617は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。一実施形態では、レンズアセンブリ617は、約4ミリメートルから40ミリメートルの作動距離を提供する。別の実施形態では、レンズアセンブリ617は、2ミリメートルから5ミリメートルの作動距離を提供する。側方向き撮像センサ615及びレンズアセンブリ617は、集積回路基板616に連結されるとともに少なくとも1つの照明618Aに関連付けられた場合に、共同で、「第1側方向き第1光学アセンブリ」と呼ばれる。
【0157】
第1側方向き第2ビュー素子602Bは、その最上部に取付けられて画像を受け取るために必要な光学系を提供するレンズアセンブリ637を有する、側方向き撮像センサ635を備える。側方向き撮像センサ635は、集積回路基板636に実装される。レンズアセンブリ637は、複数の固定式又は可動式のレンズを備える。レンズは、少なくとも90°であり基本的には最大180°の視野角を提供する。一実施形態では、レンズアセンブリ637は、約2ミリメートルから5ミリメートルの作動距離を提供する。別の実施形態では、レンズアセンブリ637は、3ミリメートルから6ミリメートルの作動距離を提供する。側方向き撮像センサ635及びレンズアセンブリ637は、集積回路基板636に連結されるとともに少なくとも1つの照明618Bに関連付けられた場合に、共同で、「第1側方向き第2光学アセンブリ」と呼ばれる。
【0158】
ある実施形態によれば、第1側方向き第1ビュー素子602Aは、第1側面に対する通常使用するビュー素子であり、当該ビュー素子は、撮像センサ615と、2ミリメートルから40ミリメートルの第1作動距離を提供するレンズ619を有するレンズアセンブリ617とを備える。例えば患者の大腸内で内視鏡先端部分600bを移動させるために、レンズ619を内視鏡手技中に使用する。レンズ109は、比較的長い距離から比較的低い倍率で、興味対象物を特定するように構成される。レンズアセンブリ617の視野を照射するために、1つ以上の別個の照明618Aをレンズアセンブリ617に隣接させて配置する。任意に、別個の側方照明618Aを、側方向き撮像センサ615が実装される、同一の集積回路基板616に取付ける。
【0159】
第1側方向き第2ビュー素子602Bは、より大きな倍率のカメラであり、当該カメラは、撮像センサ635と、2ミリメートルから6ミリメートルの第2作動距離を提供するレンズ631を有するレンズアセンブリ637とを備える。レンズ631は、特定した興味対象物の倍率を拡大させるように構成される。レンズアセンブリ637の視野を照射するために、1つ以上の別個の照明618Bをレンズアセンブリ637に隣接させて配置する。任意に、別個の側方照明618Bを、側方向き撮像センサ635が実装される、同一の集積回路基板636に取付ける。
【0160】
特定の実施形態によれば、内視鏡先端部分600bは、撮像センサ605に装着されたレンズアセンブリ607を有する前方向き光学アセンブリ601を備え、次に撮像センサ605は集積回路基板606に実装される。前方向き光学アセンブリ601は、1つ以上の別個の関連照明608も有する。様々な実施形態において、内視鏡先端部分600bは、撮像センサ625に装着されたレンズアセンブリ627を有する第2側方向き光学アセンブリ603も備え、次に撮像センサ625は集積回路基板626に実装される。第2側方向き光学アセンブリ603は、1つ以上の別個の関連照明628を有する。さまざまな実施形態において、第1側方向き光学アセンブリ602A及び第2側方向き光学アセンブリ603の光軸が、内視鏡の先端側端部から6mm~10mmの範囲の距離に存在するように、これらの光学アセンブリは位置付けられる。様々な実施形態において、第1側方向き光学アセンブリ602A及び602B並びに前方向き光学アセンブリ601及び第2側方向き光学アセンブリ603はそれぞれ、150°~170°の範囲の視野角(FOV)を有する。
【0161】
任意に、さらなる実施形態において、光学アセンブリ603は、本明細書で上述した第1側方向き第1光学アセンブリ602A及び第1側方向き第2光学アセンブリ602Bに類似する、2つの第2側方向き光学アセンブリを備えることもできる。いくつかの実施形態に従って、前方向き光学アセンブリ601の焦点距離は、約1.1mmのオーダーである一方、第1及び第2側方向き光学アセンブリ602(602A,602B),603の焦点距離は、約1.0mmのオーダーである。
【0162】
これから、
図7Aから7Cと共に
図6A、6Bを参照する。
図7Aから7Cは、特定の実施形態に従い、多焦点マルチカメラ内視鏡ディスプレイにおけるシステム700に表示可能なコンテンツの例を示す。内視鏡ディスプレイシステム700は、前方ビュースクリーン701と、第1側方ビュースクリーン703と、第2側方ビュースクリーン705とを備える。前方向きビュースクリーン701は
図6A,6Bに表す前方向き光学アセンブリ601が撮像した画像を表示するために使用され、第1側方ビュースクリーン703は
図6Aに示す第1側方向き光学アセンブリ602が撮像した画像又は
図6Bに示す第1側方向き第1光学アセンブリ602Aが撮像した画像を表示するために使用され(内視鏡先端部分600aと600bのどちらが使用されたかによる)、第2側方ビュースクリーン705は
図6A,6Bに示す第2側方向き光学アセンブリ703が撮像した画像を表示するために使用される。したがって、
図6Aの内視鏡先端部分600aを使用する場合に、前方ビュースクリーン701は前方向き光学アセンブリ601が撮像した画像を表示する一方、側方向きスクリーン703及び705はそれぞれ
図6Aに示す第1及び第2側方向き光学アセンブリ602,603が撮像した画像を表示することを理解するはずである。あるいは、
図6Bの内視鏡先端部分600bを使用する場合に、前方ビュースクリーン701は前方向き光学アセンブリ601が撮像した画像を表示する一方、側方向きスクリーン703及び705はそれぞれ、デフォルトでは
図6Bに示す第1側方向き第1光学アセンブリ602A及び第2側方向き光学アセンブリ603が撮像した画像を表示する。
【0163】
したがって、スクリーン701,703及び705は、
図6A,6Bに示すマルチカメラ内視鏡先端部分600a又は600bが撮像した複数視野を同時に表示するように構成される。マルチカメラ内視鏡先端部分600a又は600bは、330°の拡大された視野を提供し、臨床医が、興味対象物又は異常を特定し処置するために、調査領域を通って内視鏡先端部分を都合良く移動できるようにする。
【0164】
図7Aは、第1側方ビュースクリーン703に表示される、大腸707と、大腸のひだ709と興味対象物(ポリープ711等)との前方及び側方ビューの典型的な画像を表す。当該画像は、第1側方向き光学アセンブリ602又は第1側方向き第1光学アセンブリ602A(内視鏡先端部分600aと600bのどちらが使用されたかによる)によって撮像される。符号711’’が付されたポリープ311の拡大画像を含む拡大画像720を表す、第1側方ビュースクリーン703の分解図を示す。
【0165】
内視鏡手技中、臨床医又はオペレータは、体腔(大腸等)内で内視鏡先端部分600a及び600bを使用するときに、
図6Aに表す光学アセンブリ601,602及び603(又は
図6Bに表す光学アセンブリ601,602A及び603)によって伝達された画像(一般にビデオフィード)を観察しながら、内視鏡先端部分600a(又は600b)を前進させる。ある実施形態によれば、オペレータは、大腸の壁にポリープ711を特定し又は発見した時に、内視鏡先端部分600a(又は内視鏡先端部分600b)をポリープ711の付近に移動させ又は前進させることができ、
図6に表す第2作業距離のレンズ611を有する第1側方向き光学アセンブリ602を使用して、ポリープの画像を拡大することができる。他の実施形態では、オペレータは、
図6Bに表す第2作業距離のレンズ631を備える第1側方向き第2光学アセンブリ602Bを使用して、ポリープの画像を拡大することができる。拡大画像711’’が表すポリープ711の状態に従って、オペレータは、内視鏡の作業チャンネルを通じて処置具を挿入して、ポリープ711の試料又は当該ポリープ全体を、生検のために、除去、処置及び/又は抽出するかを決めることができる。
【0166】
これから、側方ビュースクリーン703上の拡大画像311’’を表す
図7Bを参照する。ポリ-プ311を大きく拡大させて表示しており、ポリ-プ311は側方ビュースクリーン703の広い部分を占める。一方、例えば大腸707及び大腸のひだ709の画像は、デフォルトの倍率で前方スクリーン701上に表示される。しかしながら、前方ビュースクリーン701及び第2側方ビュースクリーン705で画像をデフォルトの倍率で表示しながら、第1側方ビュースクリーン703で、ポリープ311に例えば約30%以上だけズームインし拡大することは、オペレータにとって視線方向を見失うおそれ、一般に眼精疲労のおそれ及び違和感を感じるおそれがあり、これによりオペレータがポリープを首尾良く調査、処置及び/又は除去することに支障をきたすおそれがある。
【0167】
これから、第1側方ビュースクリーン703上の拡大画像と、暗くし、黒くし又は無効にした前方ビュースクリーン701及び第2側方ビュースクリーン705とを表す
図7Cを参照する。ポリ-プ311を大きく拡大させて表示しており、ポリープ311は第1側方ビュースクリーン703の大きな部分を占める一方、他の2つのスクリーン701及び705を無効にし、黒くし及び/又は暗くしている。前方ビュースクリーン701及び第2側方ビュースクリーン705を無効にし、黒くし及び/又は暗くすることによって、オペレータは、視覚的に妨害され又は混乱することなく、拡大されたポリープ画像311’’を調査できる。
【0168】
本明細書の態様及び実施形態によれば、プロセッサは、以下のふるまいを任意の順序で実施するように構成される。・前方向き光学アセンブリ601のスイッチを切り、関連照明608のスイッチを切り、及び/又は前方ビュースクリーン701の表示のスイッチを切り、黒くし若しくは暗くする、・第2側方向き光学アセンブリ603のスイッチを切り、関連照明628のスイッチを切り、及び/又は第2側方ビュースクリーン705の表示のスイッチを切り、黒くし若しくは暗くする、・ズームインするために、第1側方向き光学アセンブリ602の作動距離を、第1レンズ609を外に移動させその代わりに第2レンズ611を光路610内に移動させることによって、第1作動距離から第2作動距離に切り替える(内視鏡先端部分600aが使用されている場合)あるいは、ズームインするために、例えば給電を断つことによって、第1側方向き第1光学アセンブリ602A(第1作動距離を有する)のスイッチを切り、非アクティブ化し又は無効にするとともに、例えば給電をすることによって、第1側方向き第2光学アセンブリ602B(第2作動距離を有する)のスイッチを入れ、アクティブ化し又は有効にする(内視鏡先端部分600bが使用されている場合)
【0169】
このことによって、第1側方ビュースクリーン703は、それ以前の拡大されていないポリープ画像311の代わりに拡大されたポリープ画像711’’を表示しながら、前方ビュースクリーン701及び第2側方ビュースクリーン705を無効にでき、黒くでき又は暗くできる。
【0170】
これから、特定の実施形態に従い、多焦点マルチカメラ内視鏡の先端部分、体腔の内壁及び興味対象物の斜視図を表す
図8Aを参照する。内視鏡先端部分800(
図6A,6Bの内視鏡先端部分600a又は600bとすることができる)は、前方向きビュー素子又はカメラ801と、1つ以上の前方向き照明802と、作業チャンネル803と、カメラ801及び照明802を洗浄する流体インジェクションチャンネル804及び805と、多焦点側方向きビュー素子811と、1つ以上の側方向き照明812とを備える。また様々な代替的実施形態において、内視鏡先端部分800は任意に、多焦点ビュー素子811とは反対側に位置付けられた、他の側方向きビュー素子と1つ以上の関連側方向き照明とを備える。
【0171】
いくつかの実施形態によれば、用語「体腔の内壁」は例えば、大腸又は腸の内壁を含む。例えば大腸の壁とすることができる体腔850の内壁付近に存在する、マルチカメラ内視鏡の先端部分800を示す。当該内壁は、更なる調査を必要とすることがある異常又は興味対象物860を有する。この更なる調査のために、多焦点側方向きビュー素子811の動作作動距離を、第1作動距離(例えば
図6Aのレンズ609が提供し又は
図6Bの第1側方向き第1光学アセンブリ602Bが提供する)から、より大きな倍率すなわち第2作動距離(例えば
図6Aのレンズ611が提供し又は
図6Bの第1側方向き第2光学アセンブリ602Bが提供する)に変える。ある態様によれば、より大きな倍率すなわち第2作動距離を示す矢印810で表すように、興味対象物860が多焦点側方向き光学アセンブリ811に近すぎることがある。
図8Aに示すように、対象物860に対する距離は、より大きな倍率のレンズ611の作動距離又は第1側方向き第2光学アセンブリ602Bが提供する作動距離と合致しないため、より大きな倍率の作動距離にズームインし又は移ると、
図7に示す側方ビュースクリーン703上に、不鮮明な対象物860の画像が生成されるおそれがある。
【0172】
これから、特定の実施形態に従う、多焦点マルチカメラ内視鏡の先端部分800及び膨張した大腸の斜視図を示す、
図8Bを参照する。様々な実施形態において、体腔850の内壁は、内視鏡先端部分800から押しやられ、それによって多焦点側方向きビュー素子811の内壁に対する距離が大きくなり、矢印810で示す作動距離が、側方向きビュー素子811から興味対象物860までの距離と概ね合致する。一実施形態では、例えば流体インジェクションチャンネル804を通じてガスを大腸へ噴射することによって、多焦点側方向きビュー素子811から体腔850の内壁までの距離を大きくし又は調整する。
【0173】
これから、特定の実施形態に従い、体腔の内壁と接触するように構成される、1つ以上好ましくは3つ以上の距離決定部材を備える、多焦点マルチカメラ内視鏡の先端部分800の斜視図を表す
図8Cを参照する。本明細書の態様によれば、距離決定部材又はスペーサ(スペーサ807A及び807B等)を、先端部分800から半径方向外側へ引き出し、延在させ又は展開させる。距離決定部材又はスペーサは、多焦点側方向きビュー素子811と体腔850の内壁との間の距離を維持するように構成される。本実施形態では
図8Cに示す2つの距離決定部材807A,807Bを設ける一方、より好ましい実施形態では3つ以上のかかる距離決定部材が設けられる。代替的な実施形態では、1つ以上の距離決定部材又はスペーサを利用する。第1距離決定部材807A及び第2距離決定部材807Bは、多焦点側方向きビュー素子811から対象物860まで、(例えば
図6Aに表されるレンズ611が提供する又は
図6Bの第1側方向き第2光学アセンブリ602Bが提供する)より大きな倍率すなわち第2作動距離と合致する一定の距離を維持するために、体腔450の内壁と接触するように構成される。したがって、第1距離決定部材807A及び第2距離決定部材807Bは、先端部分800の半径方向外側に及ぶ寸法及び/又は先端部分800の半径方向外側の位置に配置され、多焦点側方向きビュー素子811が撮像する、側方ビュースクリーン703(
図7Cに表される)上に表示される拡大画像を安定して取得できるように構成される。
【0174】
様々な実施形態において、1つ以上の距離決定部材807A及び807Bは、先端部分800の先端側端部に装着される、又は起動若しくは作動されたときに先端部分800から半径方向外側に引き出される、展開可能なリングである。リングの起動又は展開は、例えば一実施形態では内視鏡先端部分800を含む内視鏡のハンドルのボタン又はスイッチを押下することによって行う。あるいは多焦点側方向きビュー素子811が(例えば
図6Aに表されるレンズ611が提供する又は
図6Bの第1側方向き第2光学アセンブリ602Bが提供する)第2作動距離で拡大画像を取得できるときに、リングを自動的に展開させるように、内視鏡と関連付けられるプロセッサを構成することによって行う。代替的な実施形態では、1つ以上の距離決定部材807A、807Bを、
図4の突起415,415,417に類似する突起又はスペーサとして設計する。
【0175】
様々な実施形態において、距離決定部材又はスペーサ807A,807Bの半径方向突出高さ‘H’を、1.5mmから7mmの範囲にする。一実施形態では、1つ以上の距離決定部材又はスペーサ807A,807Bの半径方向突出高さ‘H’を2mmに制限して、ビュー素子811の視界がスペーサ807A,807Bによってひずまないことを確保する。様々な実施形態において、1つ以上の距離決定部材807A,807Bは互いに、任意の2つの連続する距離決定手段間の距離‘D’が8mmから10mmの範囲又は10mmから15mmの範囲になるように、間隔を空けて配置される。
【0176】
図9は、内視鏡(大腸内視鏡等)の多焦点マルチカメラ内視鏡先端部分を用いて、体腔(大腸等)内の領域又は興味対象物の拡大された眺めを取得する方法900の例示的な複数ステップを示すフローチャートである。内視鏡と関連付けられたプロセッサは、方法900を実施するように構成される。これから
図6A,6B及び9を参照して、ステップ910では、多焦点マルチカメラ内視鏡先端部分(例えば先端部分600a又は600b)を、少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリ(すなわち先端部分600aの第1側方向き光学アセンブリ602又は先端部分600bの第1側方向き第1光学アセンブリ602A)を第1動作モードとして、患者の大腸内で移動させて、異常、領域又は興味対象物(ポリープ等)を特定する。第1動作モードの間、少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリは、第1作動距離で大腸の画像及び/又はビデオを取得する。少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリは、内視鏡先端部分600a又は600bのどちらが使用されているかによって、第1レンズ609又は(第1側方向き第2光学アセンブリ602Bが無効となっている間)第1側方向き第1光学アセンブリ602Aを使用して、第1作業距離で作動できる。ある実施形態では、内視鏡先端部分をデフォルトでは第1モードで動作させる。
【0177】
少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリから取得した第1動作モードの画像及び/又はビデオを特定された異常と一緒に、対応する第1側方ビュースクリーンに表示するとともに、前方及び第2側方向き光学アセンブリからそれぞれ取得した画像及び/又はビデオを、対応する前方及び第2側方向きスクリーンに表示する。少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリが撮像した時に、第1側方ビュースクリーン上に見える特定された異常は、また前方向き光学アセンブリが重複視野において撮像した時に、前方ビュースクリーンにも同時に表示されることを認識するはずである。様々な実施形態において、第1動作モードの間、異常を撮像した第1作動距離に対する画像では、100xから6xまでの倍率が可能である。
【0178】
ステップ520では、プロセッサは、特定された異常を含む拡大画像を取得して第1側方ビュースクリーンに表示するために、少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリが第2動作モードで作動できるようにする。第2動作モードの間、少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリは、第2作動距離で拡大画像を取得する。少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリは、内視鏡先端部分600a又は600bのどちらが使用されているかによって、第2レンズ611を使用するように切り替えることによって、又は(第1側方向き第1光学アセンブリ602Aを同時に無効にしながら)第1側方向き第2光学アセンブリ602Bを作動させることによって、第2作業距離で作動できる。様々な実施形態において、第2動作モードの間、異常を撮像した第2作動距離に対する画像では、250xから100xまでに及ぶ倍率が可能である。
【0179】
ある実施形態によれば、少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリと特定された異常又は興味対象物との間の距離は、1つ以上の距離決定部材(例えば
図8Cの部材807A,807)を内視鏡先端部の先端側端部から半径方向外側へ展開するとともに、1つ以上の距離決定部材が大腸の異常又は内壁に接触し、それによって概ね第2作動距離を維持するまで先端部分を前進させることによって維持される。この実施形態では、距離決定部材を、部分的に又は完全に、格納又は展開することによって、一実施形態ではリングである距離決定部材の半径方向外側に展開される広がり又は範囲を変えることができる。他の実施形態では、距離決定部材を先端側端部に付着させることによって、第2作動距離に概ね合致する半径方向における固定の広がり又は範囲をもたらす。
【0180】
他の実施形態によれば、内視鏡先端部分から大腸の内壁に位置する興味対象物を押しやるために体腔(大腸等)を膨張させ、それによって少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリから内壁までの距離を大きくして、作動距離を多焦点側方向き光学アセンブリから興味対象物まで距離に概ね合致させる。一実施形態では、例えば先端部分の先端側端部に配置された流体インジェクションチャンネルを通じてガスを大腸に噴出することによって、少なくとも1つの多焦点側方向き光学アセンブリから体腔の内壁までの距離を大きくし又は調整する。
【0181】
ステップ530では、第1側方ビュースクリーン上の拡大画像の倍率が所定の割合を超える場合に、プロセッサは以下のふるまいのいずれか1つ又はこれらの組み合わせを実施する。すなわち、第1側方ビュースクリーン上の拡大画像の倍率が所定の割合を超える場合に、a)前方及び第2側方向き光学アセンブリと関連付けられた照明のスイッチを入れたまま、かつ前方及び第2側方向きスクリーンのスイッチも入れ続けたまま、前方及び第2側方向き光学アセンブリのスイッチを切る又は無効にする、b)前方及び第2側方向き光学アセンブリはライブ画像及び/若しくはビデオストリームを生成し続けたまま、かつ前方及び第2側方向きスクリーンのスイッチも入れ続けたまま、前方及び第2側方向き光学アセンブリと関連付けられる前方及び第2側方照明のスイッチを切る、並びに/又はc)前方及び第2側方向き光学アセンブリはライブ画像及び/若しくはビデオストリームを生成し続けたまま、かつ前方及び第2側方向き光学アセンブリと関連付けられる照明のスイッチも入れたまま、前方及び第2側方向きスクリーンの画像及び/若しくはビデオの表示のスイッチを切る、暗くする又は黒くする、ことをプロセッサは可能にする。いくつかの実施形態では、所定の倍率の割合は、約30%以上である。
【0182】
必要ならば、拡大画像を見ながら、異常又は興味対象物の試料又は全体を、生検のために、除去、処置及び/又は抽出するために、内視鏡の側方サービス又は作業チャンネルを通じて処置具を挿入することができる。ある実施形態によれば、内視鏡のハンドルのボタン又はスイッチを作動させることで、プロセッサに内視鏡先端部分の動作モードを第1動作モードから第2動作モードに切り替えさせる。
【0183】
図1,2の内視鏡先端部分100a,100bでは前方向き光学アセンブリ101(又は101A,101B)として構成される単一の多焦点光学アセンブリを図示し、
図6A,6Bの内視鏡先端部分600a,600bでは第1側方向き光学アセンブリ602(又は602A,602B)として構成される単一の多焦点光学アセンブリを図示しているが、様々な代替的実施形態において、多焦点マルチカメラ内視鏡先端部分は複数の多焦点光学アセンブリを備えることができることを理解するはずである。例えば、様々な実施形態の内視鏡先端部分は、前方向き光学アセンブリ並びに第1及び/又は第2側方向き光学アセンブリとして構成される、少なくとも2つそして3つまでの多焦点光学アセンブリを備えることができる。複数の多焦点光学アセンブリを備える当該内視鏡先端部分では、拡大された又は微視的な眺めにおける異常を観察するために最も良く適合し、位置付けられ又は方向付けられた多焦点光学アセンブリは、第2動作モードで作動して、対応するスクリーン上に拡大された眺めを表示することができる一方、残りの光学センブリ及び/又は対応するスクリーンを無効にし及び/又は暗くする。
【0184】
図10A及び10Bは、異常又は興味対象物1022(ポリープ等)を有する、体腔(大腸等)の内壁1020の画像及び/又はビデオを眺め取得するために使用される内視鏡先端部分1000を示す。先端部分1000は、集積回路基板に装着された撮像センサ1005と、撮像センサ1005に装着されて画像を撮像するレンズアセンブリ1007と、1つ以上の関連照明(照明1008及び1009等)とを備える光学アセンブリ1001を有する。第1照明1008は第1範囲の照明1030を生成し、第2照明1009は第2範囲の照明1032を生成する。
【0185】
図10Aに表すように、先端部分1000が体腔を通って移動している間、光学アセンブリ1001はポリープ1022から第1作動距離の位置に配置され、当該位置で第1及び第2範囲の照明はポリ-プ1022を十分に照射して、撮像センサ1005及びレンズアセンブリ1007によってポリープ1022の画像を撮像することができる。いったんポリープ1022が特定されると、(例えばポリープ1022を細かに分析するため)ポリープ1022の拡大された画像又は眺めを取得するために、
図10Bに表すように内視鏡先端部分1000は直ちにポリープ1022により近い第2作動距離まで接近する。第2作動距離は第1作動距離よりも短く、
図10Bに表すように、(より短い)第2作動距離では、第1範囲の照明1030及び第2範囲の照明1032はポリープ1022を部分的に又は完全に照射できない。したがって、仮にレンズアセンブリ1007が、第2作動距離においてポリープ1022の画像を撮像するのに十分な作動距離又は視野を提供する光学素子(レンズ等)を備えたとしても、適切な照明が無いために、ポリープ1022の画像を観察又は取得する能力が少なくなる。
【0186】
ゆえに、ある態様に従って、本明細書は、照明又は1つ以上の照明の視野を調整し、向け直し又は再分配して、光学アセンブリを使用して興味対象物の拡大画像及び/又はビデオを観察又は取得するために、興味対象物への十分な照射を促進するシステム及び方法を開示する。
【0187】
図11Aから11Jは、少なくとも1つの光学アセンブリと、1つ以上の関連照明と、関連光調整要素とを有する、様々な実施形態の内視鏡の内視鏡先端部分1100aから1100gの断面図を示す。(関連照明及び光調整要素と共に提供される)少なくとも1つの光学アセンブリを、前方向き光学アセンブリ、第1側方向き光学アセンブリ及び/又は第2側方向き光学アセンブリとして構成できることが理解されるはずである。したがって様々な実施形態において、内視鏡先端部分は、種々の実施形態では150°~170°の範囲の視野角(FOV)をそれぞれ有する、前方向き光学アセンブリ、第1側方向き光学アセンブリ及び/又は第2側方向き光学アセンブリとして構成される、1つ、2つ及び最大3つの光学アセンブリを備える、多焦点マルチカメラ先端部分である。また、前方向き光学アセンブリ、第1側方向き光学アセンブリ及び/又は第2側方向き光学アセンブリとして構成される最大3つの光学アセンブリを備えるマルチカメラ先端部分の様々な実施形態では、前方向き光学アセンブリの焦点距離は1.1mmのオーダーである一方、第1及び/又は第2側方向き光学アセンブリの焦点距離は1.0mmのオーダーである。またいくつかの実施形態では、第1及び/又は第2側方向き光学アセンブリは、これらの光軸が内視鏡の先端側端部から6mm~10mmの範囲の距離に存在するように位置付けられる。
【0188】
図11A及び11Bは、第1実施形態に従い、集積回路基板に装着された撮像センサ1105と、撮像センサ1105に装着され、第1レンズ1107a及び第2レンズ1107bを含むレンズアセンブリ1107と、1つ以上の照明(例えば第1照明1108及び第2照明1109)とを備える、少なくとも1つの多焦点光学アセンブリ1101を有する内視鏡先端部分1100aを示す。
【0189】
第1レンズ1107aと第2レンズ1107bとの間の距離を調整可能として、光学アセンブリ1101(又はレンズアセンブリ1107)の作動距離又は焦点距離を、第1作動距離又は第1焦点距離から第2作動距離又は第2焦点距離に変えることを可能とする。この実施形態では、レンズ1107a及び1107bの両方が、共通又は同一の光路又は光軸を持つように配置されることが理解されるはずである。第1作動距離は、内視鏡先端部分1100aが体腔(大腸等)を通って移動するときの、典型的又は標準的な作動距離と関連付けられる。第2作動距離は、内視鏡先端部分1100aが異常(ポリープ等)の拡大画像を取得するために特定された(分析対象の)異常又は興味対象物のより近くに移動したときの、標準的な作動距離又は第1作動距離よりも短い微視的な作動距離と関連付けられる。
【0190】
第1実施形態によれば、内視鏡先端部分1100aは、
図11Aに格納構成で表すとともに
図11Bに展開構成で表す、第1及び第2光調整要素1118aも備える。ある実施形態では、光調整要素1118aは、光学アセンブリ1101の両側に位置付けられて、光学アセンブリ1101が関連照明1108,1109と共に、第1及び第2光調整要素1118aの間に存在する。ある実施形態では、光調整要素1118aは、光を散乱又は拡散反射するように構成されるランバート反射の表面を有する。当業者は、ランバート反射とは、理想的に「マットな」又は拡散反射する表面を定める特性であることを理解するはずである。ランバート面の観測者に対する見かけ上の輝度は、観測者の観測角にかかわらず同じである。ある実施形態では、光調整要素1118aにランバートコーティングを持たせるエッチングを施す。ランバートコーティングのコーティング材料の範囲には、例えば、ラブスフェア社製スペクトラロン(登録商標)又はスペクトラフレクト(登録商標)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0191】
一実施形態では、光調整要素1118aは、展開又は突出するために膨張可能であり、電気的及び/又は機械的に作動可能なバルーンである。別の実施形態では、光調整要素1118aは、最初は格納構成で渦巻状に巻き付けられ、その後は展開構成で展開されるスクリーンである。
【0192】
臨床医は内視鏡手技中の間、光学アセンブリ1101に第1作動距離又は焦点距離を提供させながら、また光調整要素1118aは格納構成をとりながら、内視鏡先端部分1000aを体腔を通って移動させ、第1照明1108及び第2照明1109から放射される光が第1照射モードで(
図10に表されるように)異常を直接明るくし又は照射する。いったん異常が特定されると、内視鏡先端部分1000aを異常に接近させて、第1レンズ1107aと第2レンズ1107bとの間の距離を調整して、光学アセンブリ1107が微視的又は第2作動距離を提供できるようにし、(一実施形態ではバルーンである)光調整要素1118aを(例えばバルーンを膨張させることにより)突出又は展開させて、照明1108,1109から放射される光線を反射又は向け直して複数の斜光線とし、当該斜光線が第2照射モードで異常に向けられる。したがって、第2照射モードにおいて、斜光線は、第2作動距離で異常の拡大画像を観察及び/又は撮像するために、異常を十分に明るくする。
【0193】
一実施形態では、バルーンが膨張して展開されるときに、バルーンが多焦点光学アセンブリ1101の異常からの距離を第2作動距離又は第2焦点距離に概ね合致させることができるように、バルーンの寸法及び/又はバルーンの膨張量を定める。
【0194】
図11Cは、第2実施形態に従う内視鏡先端部分1100bを示す。第2実施形態では、多焦点光学アセンブリ1101及び関連照明1108,1109は、光調整要素1118aが含まれる点で、
図11A及び11Bの第1実施形態に類似する。さらに、第2実施形態では、照明1108,1109が放射する光が第1及び第2光調整要素1118bに当たって通過する必要があるように、第1及び第2光調整要素1118bを第1及び第2照明の光放射面の上に位置付ける。
【0195】
様々な実施形態において、光調整要素1118bは光ディフューザを含み、光ディフューザは例えば、液晶透過型スクリーン、可動かつ半透明のディフューザーフィルム又は量子ウェルディフューザーであるが、これらに限定されるものではない。液晶透過型スクリーン又は可動かつ半透明のディフューザーフィルムの例には、透明なポリマーマトリックス内で分散された液晶材料の微小液滴を有する、PDLCフィルムとも呼ばれる、高分子分散型分散型液晶フィルムを含む。透明な電極をフィルムの両側の表面に適用する。電界が無いときには、液晶の微小液滴は光を拡散し、フィルムは半透明となる。しかしながら、電極間に印加される電界によって液晶分子は方向付けられて、フィルムは光を拡散せずに透過させて、フィルムは透明になる。あるいは、PDLCフィルムを、電界が無いときには液晶の微小液滴が光を拡散せずに透過させて、フィルムが透明になるように構成することができる。しかしながら、電極間に印加される電界は、液晶分子を方向付けて、光を拡散又は散乱させて、フィルムが半透明になる。
【0196】
第1照射モードの間、臨床医が、光学アセンブリ1101に第1作動距離又は第1焦点距離を提供させながら、体腔を通って内視鏡先端部分1100bを移動させるときに、光調整要素1118aは格納されており、要素1118bは、光を、少し拡散させ又は拡散させずに通過させる。しかしながら、第2照射モードの間、臨床医が、第2作動距離を提供する光学アセンブリ1101によって拡大された眺め又は画像を撮像するために、内視鏡先端部分1100bを異常に接近させるときに、光調整要素1118bは光を大きく散乱若しくは拡散させながら通過させ、及び/又は光調整要素1118aは展開構成となって光を乱反射する。有利には、光を散乱又は拡散させることで、第2作動距離における微視的像にとって望ましい、複数の斜光線による照射が得られる。
【0197】
有利には、拡散光は大きな照射角度を有する。いくつかの実施形態によれば、拡散光の照射角度をほぼ180°とする。いくつかの実施形態によれば、拡散光の照射角度を120°~180°の範囲とする。
図13Aは、電界が光ディフューザに印加されていないときの、光ディフューザ(例えば光調整要素1118a)における相対照度1305の放射角度1308に対する変化を極座標で示す図を表す。一実施形態では、光ディフューザは、電界が印加された場合には光を拡散又は散乱させるが、その他の場合は光を透過させる、PDLCフィルムである。本明細書で議論したように、PDLCフィルムは、透明なポリマーマトリックス内で分散された液晶材料の微小液滴を有する。液晶の各微小液滴は、典型的には光の波長に近い5-10μmの寸法の別個の液晶分子を有する。電界を発生させることによって、偏光及び光の拡散の状態も変える。したがって、
図13Bに表すように、電界をPDLCフィルムに印加すると、光の相対照度1305’が、前述の照度の広がり1305と比較して、より広い放射角度1308にわたって広がり又は散乱する。
【0198】
図11Dは、先端部分1100cが2種類の光調整要素1118a,1118bを備える点で第2実施形態(1100b)に類似する、第3実施形態に従う内視鏡先端部分1100cを示す。
図11Dは具体的には、第2作動距離を提供するように調整された多焦点光学アセンブリ1101を有する内視鏡先端部分1100cが、体腔の内壁1120に存在する異常1122に接近したときにおける、第2照射モードを示す。図に表すように、第2照射モードにおいて、展開構成の光調整要素1118aは、照明1108,1109の光を乱反射し、また、光調整要素1118bは、照明1108,1109からの光を大きく散乱又は拡散させて通過させ、異常1122を照射する複数の斜光線1130,1132を形成する。様々な代替的実施形態において、2種類の光調整要素1118a,118bを内視鏡先端部分に設け、微視的視覚化及び微視的像を得るために、2種類の光調整要素1118a,118bのいずれか1種類又は2種類を作動させて異常を照射するのに使用することができることを理解するはずである。したがって、様々な実施形態によれば、光調整要素1118a,1118bは、微視的像を取得するための暗視野照明を提供するために、光を調整し、向け直し、乱反射させ又は反射するように構成される。異常に対して鋭角であることを特徴とする斜光線としての光を提供することによって、暗視野照明を達成して、異常から多焦点光学アセンブリに直接反射される光を最小限にする。
【0199】
図11E及び11Fは、第1実施形態(1100b)に類似するがレンズアセンブリ1107が交替可能な第1及び第2レンズ1107a,1107bを備える点で異なる、第4実施形態に従う内視鏡先端部分1100dを示す。したがって、第1照射モードの間、
図11Eに示す多焦点光学アセンブリ1101は、レンズアセンブリ1107の光路又は光軸に位置付けられた第1レンズ1107aにより、第1作動距離又は第1焦点距離を提供することができ、その間光調整要素1118a(バルーン等)は格納構成である。しかしながら、第2照射モードの間、
図11Fに示す光学アセンブリ1101は、第1レンズ1107aを光路外に移動させるとともに、第2レンズ1107bを光路又は光軸に挿入することによって、第2作動距離又は第2焦点距離を提供することができ、その間光調整要素1118aは(例えばバルーンを膨張させることにより)展開構成である。
【0200】
図11Gは、第3実施形態(1100c)に類似するが、
図11E,11Fの実施形態のようにレンズアセンブリ1107が交替可能な第1及び第2レンズ1107a,1107bを備える点で異なる、第5実施形態に従う内視鏡先端部分1100eを示す。これから
図11Gを参照して、第1照射モードの間、多焦点光学アセンブリ1101は、レンズアセンブリ1107の光路又は光軸に位置付けられた第1レンズ1107aにより、第1作動距離又は第1焦点距離を提供することができ、その間光調整要素1118a(バルーン等)は格納構成であり、光調整要素1118b(液晶透過型スクリーン等)は、それを通る光を、少し拡散若しくは散乱させて又は拡散若しくは散乱させずに通過させることができる。しかしながら、第2照射モードの間、光学アセンブリ1101は、第1レンズ1107aを光路外に移動させるとともに、第2レンズ1107bを光路又は光軸に挿入することによって、第2作動距離又は第2焦点距離を提供することができ、その間、光調整要素1118aは展開構成であり、及び/又は光調整要素1118bはそれを通る光を大きく拡散又は散乱させて通過させることができる。
【0201】
図11H及び11Iは、第3実施形態(1100c)に類似するが、先端部分1100fが第1及び第2多焦点光学アセンブリ1101,1101’(まとめて「複合多焦点光学アセンブリ」と呼ぶ)を備える点で異なる、第6実施形態に従う内視鏡先端部分1100fを示す。第1及び第2多焦点光学アセンブリ1101,1101’は、集積回路基板にそれぞれ実装される対応撮像センサ1105,1105’と、撮像センサ1105,1105’にそれぞれ装着される対応レンズアセンブリ1107,1107’と、1つ以上の関連照明(照明1108,1109等)とを備える。第1レンズアセンブリ1107によって、光学アセンブリ1101は第1作動距離又は第1焦点距離を提供することができる。第2レンズアセンブリ1107’によって、光学アセンブリ1101’は第2作動距離又は第2焦点距離を提供することができる。これから
図11Hを参照して、第1照射モードの間、第1光学アセンブリ1101は第1作動距離又は第1焦点距離を提供することができ、第2光学アセンブリ1101’は無効になっており、この間、光調整要素1118a(バルーン等)は格納構成である。しかしながら、第2照射モードの間、
図11Iに示すように、第2光学アセンブリ1101’は有効になっており第2作動距離又は第2焦点距離を提供することができ、第1光学アセンブリ1101は無効になっており、この間、光調整要素1118aは展開構成である。
【0202】
図11Jは、第3実施形態(1100)に類似するが、
図11H,11Iの実施形態と同様に、先端部分1100gが第1及び第2光学アセンブリ1101,1101’(「複合多焦点光学アセンブリ」)を備える点で異なる、第7実施形態に従う内視鏡先端部分1100gを示す。
図11Jに表すように、第1照射モードの間、第1光学アセンブリ1101は第1作動距離又は第1焦点距離を提供することができ、第2光学アセンブリ1101’は無効になっており、この間、光調整要素1118a(バルーン等)は格納構成であり、光調整要素1118b(液晶透過型スクリーン等)は、それを通る光を、少し拡散若しくは散乱させて又は拡散若しくは散乱させずに通過させることができる。しかしながら、第2照射モードの間、第2光学アセンブリ1101’は有効になっており、第1光学アセンブリ1101は無効になっており、この間、光調整要素1118aは展開構成であり、及び/又は光調整要素1118bはそれを通る光を大きく拡散又は散乱させて通過させることができる。
【0203】
様々な実施形態において、第2照射モードの間、医師は、内視鏡のハンドルの少なくとも1つのボタン又はスイッチを作動させることによって、光調整要素1118a及び/又は1118bを手動でアクティブ化し、関連プロセッサを起動させて、内視鏡先端部分(1100e,1100g)が第1照射モードで作動できるようにする。他の実施形態では、内視鏡先端部分が第2照射モードで自動的に作動できるように、プロセッサを構成する。
【0204】
いくつかの代替的実施形態では、照明の照度を調整することができる。幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つの照明のスイッチを切る一方、他の照明のスイッチを入れる。更なる実施形態によれば、内視鏡先端部分は、多焦点光学アセンブリから異なる距離に配置される、複数の照明を備える。有利には、第2照射モードにおいて、多焦点光学アセンブリに近接して配置された照明のスイッチを切る一方、多焦点光学アセンブリから比較的より遠くに配置された照明のスイッチを入れ、これらによって異常から多焦点光学アセンブリまで直接反射される光を低減させる。
【0205】
図12は、様々な実施形態に従い、内視鏡(大腸内視鏡等)の多焦点マルチカメラ内視鏡先端部分を用いて、体腔(大腸等)内の領域又は興味対象物の拡大された眺めを取得する方法1200の例示的な複数ステップを示すフローチャートである。内視鏡に関連付けられるプロセッサは、方法1200を実施するように構成される。
【0206】
これから
図11Aから11J及び12を参照して、ステップ1210では、多焦点マルチカメラ内視鏡の先端部分(例えば先端部分1100aから1100gのいずれか1つ)に患者の大腸内を移動させる。様々な実施形態において、内視鏡先端部分は、少なくとも1つそして3つまでの多焦点光学アセンブリを備える。様々な実施形態において、1つ以上の多焦点光学アセンブリを、前方向き光学アセンブリ並びに第1及び/又は第2側方向き光学アセンブリとして構成する。
図11から11Jに示すように、少なくとも1つの多焦点光学アセンブリは、a)少なくとも2つのレンズを有するように構成され、両レンズは少なくとも1つの光学アセンブリの同じ光路若しくは光軸に位置付けられて、2つのレンズ間の距離を調整することによって、第1作動距離若しくは第1焦点距離若しくは第2作動距離若しくは第2焦点距離を提供し、b)少なくとも1つの光学アセンブリの光路若しくは光軸に交替可能に移動する、少なくとも2つのレンズを有するように構成され、第1作動距離若しくは第1焦点距離及び第2作動距離若しくは第2焦点距離を提供し、又は、c)第1光学アセンブリ及び第2光学アセンブリを備える「複合光学アセンブリ」として構成されて、第1光学アセンブリは第1レンズ(若しくは複数のレンズ)を有して、第1作動距離若しくは第1焦点距離を提供するとともに、第2光学アセンブリは第2レンズ(若しくは複数のレンズ)を有して、第2作動距離若しくは第2焦点距離を提供する。本明細書で前に議論したように、第1作動距離又は第1焦点距離は、異常、範囲又は興味対象物の初期特定のために、大腸を通って内視鏡先端部分を移動させる間の、少なくとも1つの多焦点光学アセンブリの第1動作モードと関連付けられる。第2作動距離又は第2焦点距離は、特定された異常、範囲又は興味対象物の拡大画像を観測、分析、観察及び/又は取得する間の、少なくとも1つの多焦点光学アセンブリの第2動作モードと関連付けられる。
【0207】
また、
図11Aから11Jに示すように、少なくとも1つの多焦点光学アセンブリは、1つ以上の照明に関連付けられる。少なくとも1つの多焦点光学アセンブリは、a)例えば、ランバート反射の表面を有する膨張可能なバルーンを備える、第1種類の光調整要素(要素1118a等)にも関連付けられ、光調整要素は、第1照射モードにおいて格納構成であり、第2照射モードにおいて展開されたときに、1つ以上の照明の光を拡散的に散乱し、そのため1つ以上の照明から放射される光が乱反射されて複数の斜光線になり特定された異常、領域若しくは興味対象物に向かう、及び/又はb)例えば可動かつ半透明の液晶透過型スクリーン、ディフューザーフィルム又は量子ウェルディフューザー等(ただしこれらに限定されるものではない)の光ディフューザを備える、第2種類の光調整要素(要素1118b等)にも関連付けられる。第1照射モードにおいて、光調整要素は、それを通る光を、拡散させず若しくは散乱させず又は比較的少し拡散させて若しくは比較的少し散乱させて通過させることができる一方、第2照射モードにおいて、光調整要素は、それを通る光を、比較的大きく拡散又は散乱させて通過させ、そのため1つ以上の照明から放射される光が散乱して複数の斜光線になり特定された異常、領域若しくは興味対象物に向かう。
【0208】
いくつかの実施形態では、第1動作モードは、多焦点光学アセンブリの視野角(FOV)が330°であり、第1作動距離が4mmから100mmであることを特徴とする一方、第2動作モードは、FOVが30°から80°、特に40°であり、第2作動距離が1mmから4mm又は3mmから6mmであることを特徴とする。様々な実施形態において、第1動作モードの間、異常を撮像した第1作動距離に対する画像では、100xから6xの範囲の倍率が可能であり、第2動作モードの間、第2作動距離に対して250xから100xの範囲の倍率が可能である。
【0209】
また、いくつかの実施形態では、第1照射モードは、照射範囲(FOI)が120°超であり、照射光が異常に直接当たること(明視野照明とも呼ばれる)を特徴とする。別の様々な実施形態では、第1照射モードにおいて、FOIは150°~170°の範囲である。いくつかの実施形態において、第2照射モードは、FOIが140°~180°の範囲であり、照明の斜光線が異常に当たること(暗視野照明とも呼ばれる)を特徴とする。特定の実施形態では、第2照射モードは、FOIが110°~170°の範囲であることを特徴とする。
【0210】
ステップ1210では、少なくとも1つの光学アセンブリは、患者の大腸内を移動している間、第1動作モードであり、関連する少なくとも1種類の光調整要素は、第1照射モードであり、異常、領域又は興味対象物(ポリープ等)を特定する。一実施形態では、デフォルトで第1動作モード及び第1照射モードが有効である一方、他の実施形態では、医師が内視鏡のハンドルの少なくとも1つのボタン又はスイッチを作動させて、プロセッサを起動させて、内視鏡先端部分が第1動作モード及び第1照射モードで作動できるようにする。移動中、少なくとも1つの多焦点光学アセンブリが取得する大腸の画像及び/又はビデオが、少なくとも1つの関連スクリーン上に表示される。
【0211】
ステップ1220では、(拡大された表示及び画像を用いてより精密な微視的検査を行うために)内視鏡先端部分を特定された異常に接近させ、少なくとも1つの光学アセンブリを第2動作モードへ切り替え又は動かし、関連する少なくとも1種類の光調整要素を第2照射モードへ切り替え又は動かして、異常の拡大画像を取得する。一実施形態では、医師が少なくとも1つのボタン又はスイッチを作動させて、プロセッサを起動させて、内視鏡先端部分が第2動作モード及び第2照射モードで作動できるようにする。別の実施形態では、内視鏡先端部分が第2動作モード及び照射モードで自動的に作動できるように、プロセッサを構成する。更に別の実施形態では、いったん医師が内視鏡のハンドルの少なくとも1つのボタン又はスイッチを作動させることで、先端部分が第2動作で作動できるようになると、内視鏡先端部分が第2照射モードで自動的に作動できるように、プロセッサを構成する。
【0212】
ステップ1230では、拡大画像の倍率が所定の割合を超えた場合に、(ステップ1210において最適に異常を特定するために使用される)少なくとも1つの多焦点光学アセンブリと、それに関連する少なくとも1種類の光調整要素とをそれぞれ、第2動作モード及び第2照射モードで作動できるようにし、プロセッサは、他の光学アセンブリ及び/又は他の光学アセンブリの関連スクリーン上の表示を無効にするとともに、他の光学アセンブリに関連付けられた1つ以上の照明及び少なくとも1種類の光調整要素も無効にする。当該他の光学アセンブリを多焦点としてもしなくてもよく、それゆえに関連光調整要素を持っていても持っていなくてもよい。いくつかの実施形態では、所定の割合の倍率とは、約30%以上である。
【0213】
必要ならば、拡大画像を見ながら、異常又は興味対象物の試料又は全体を、生検のために、除去、処置及び/又は抽出するために、内視鏡の作業チャンネルを通じて処置具を挿入することができる。
【0214】
上記の例は、本明細書の方法及びシステムの多数の応用の単なる例示である。本発明の少数の実施形態のみを本明細書で説明したが、本発明の精神又は範囲から離れることなく、本発明を多数の他の特定の形態で具体化できることを理解できるはずである。したがって、これらの例及び実施形態を例示であると考え限定的であるとは考えず、本発明を添付の特許請求の範囲の範囲内で変更することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光学アセンブリと、第2光学アセンブリと、前記第1光学アセンブリ及び前記第2光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる少なくとも1つの照明とを含む内視鏡システムの使用方法であって、
前記第1光学アセンブリから第1画像を生成するとともに前記第2光学アセンブリから第2画像を生成することと、
少なくとも1つのスクリーンに前記第1画像と前記第2画像とを同時に表示することと、
前記少なくとも1つのスクリーン上に前記第1画像の拡大部分を生成し表示することと、
前記第1画像の拡大部分が表示されたときに前記少なくとも1つのスクリーン上の第2画像の表示を自動的に消去すること
とを備える方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0214
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0214】
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[項目1]
第1光学アセンブリと、第2光学アセンブリと、前記第1光学アセンブリ及び前記第2光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる少なくとも1つの照明とを含む内視鏡システムの使用方法であって、
前記第1光学アセンブリから第1画像を生成するとともに前記第2光学アセンブリから第2画像を生成することと、
少なくとも1つのスクリーンに前記第1画像と前記第2画像とを同時に表示することと、
前記少なくとも1つのスクリーン上に前記第1画像の拡大部分を生成し表示することと、
前記第1画像の拡大部分が表示されたときに前記少なくとも1つのスクリーン上の第2画像の表示を自動的に消去すること
とを備える方法。
[項目2]
前記第2画像の表示を消去することは、前記第2光学アセンブリへの給電を減少することを含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記第2画像の表示を消去することは、前記第2光学アセンブリに関連する前記少なくとも1つの照明の照度を減少することにより可能である、項目1に記載の方法。
[項目4]
前記少なくとも1つのスクリーンは第1スクリーンと第2スクリーンとを含み、前記第2画像の表示を消去することは、前記第2スクリーンの電源を切り、暗くし又は黒くすることにより可能である、項目1に記載の方法。
[項目5]
前記第1光学アセンブリは前方向き光学アセンブリであり、前記第2光学アセンブリは側方向き光学アセンブリである、項目1に記載の方法。
[項目6]
前記内視鏡システムは、体腔の第3画像を生成するとともに前記少なくとも1つのスクリーンに前記第3画像を表示するための第3光学アセンブリをさらに含み、前記第3光学アセンブリは第2側方向き光学アセンブリである、項目5に記載の方法。
[項目7]
前記第1光学アセンブリは、第1作動距離及び第2作動距離で作動するように構成される、項目1に記載の方法。
[項目8]
前記第1画像の拡大部分は、前記第1光学アセンブリが前記第1作動距離から前記第2作動距離に切り替えられたときに生成される、項目7に記載の方法。
[項目9]
前記少なくとも1つのスクリーン上の前記第1画像の拡大部分の表示により、前記少なくとも1つのスクリーン上の前記第2画像の表示が自動的に消去される、項目1に記載の方法。
[項目10]
前記内視鏡システムは制御ユニットと先端部とをさらに含み、前記先端部は、前記第1光学アセンブリと、前記第2光学アセンブリと、前記第1光学アセンブリに関連付けられる少なくとも1つの照明及び前記第2光学アセンブリに関連付けられる少なくとも1つの照明と、を含み、
前記第1光学アセンブリは、前方向き撮像センサと、前記前方向き撮像センサに取付けられた第1レンズアセンブリと、前記前方向き撮像センサに取付けられた第1集積回路基板とを含み、
前記第2光学アセンブリは、側方向き撮像センサと、前記側方向き撮像センサに取付けられた第2レンズアセンブリと、前記側方向き撮像センサに取付けられた第2集積回路基板とを含む、項目8に記載の方法。
[項目11]
体腔の第1画像を生成する第1光学アセンブリと、
体腔の第2画像を生成する第2光学アセンブリと、
前記第1光学アセンブリ及び前記第2光学アセンブリのそれぞれに関連付けられる少なくとも1つの照明と、
物理的ディスプレイと、
処理システムと
を備え、前記処理システムは、
前記物理的ディスプレイに前記第1画像と前記第2画像を同時に表示し、
前記第1光学アセンブリに拡大第1画像を生成させ、
前記拡大第1画像が生成されたときに前記物理的ディスプレイに前記第2画像の表示を自動的に消去させ、
前記物理的ディスプレイに前記拡大第1画像を表示する
ように構成される、内視鏡システム。
[項目12]
前記第2画像の表示を消去するために、前記処理システムは前記第2光学アセンブリへの給電を減少する、項目11に記載の内視鏡システム。
[項目13]
前記第2画像の表示を消去するために、前記処理システムは前記第2光学アセンブリに関連する前記少なくとも1つの照明の照度を減少する、項目11に記載の内視鏡システム。
[項目14]
前記第2画像の表示を消去するために、前記処理システムは前記物理的ディスプレイの一部を暗くし又は黒くする、項目11に記載の内視鏡システム。
[項目15]
前記第1光学アセンブリは前方向き光学アセンブリであり、前記第2光学アセンブリは第1側方向き光学アセンブリである、項目11に記載の内視鏡システム。
[項目16]
体腔の第3画像を生成するとともに前記物理的ディスプレイに前記第3画像を表示するための第3光学アセンブリをさらに備え、前記第3光学アセンブリは第2側方向き光学アセンブリである、項目15に記載の内視鏡システム。
[項目17]
前記第1光学アセンブリは、第1作動距離及び第2作動距離で作動するように構成される、項目11に記載の内視鏡システム。
[項目18]
前記拡大第1画像は、前記第1光学アセンブリが前記第1作動距離から前記第2作動距離に切り替えられたときに生成される、項目17に記載の内視鏡システム。
[項目19]
前記第1作動距離は、100倍から6倍の間の範囲の倍率を提供するとともに、前記第2作動距離は、250倍から100倍の間の範囲の倍率を提供する、項目18に記載の内視鏡システム。
[項目20]
前記少なくとも1つのスクリーン上に前記第1画像の拡大部分を生成し表示することは、少なくとも1つのレンズを前記第1光学アセンブリの視野内へ側方に動かすことを含む、項目1に記載の方法。
[項目21]
前記第1画像の拡大部分に基づいて、前記第1光学アセンブリに関連付けられた少なくとも1つの照明を調整することをさらに備える、項目1に記載の方法。
[項目22]
前記第1光学アセンブリは第1画像センサを含み、前記第2光学アセンブリは第2画像センサを含む、項目1に記載の方法。
[項目23]
前記第1画像の拡大部分が表示されたときに前記少なくとも1つのスクリーン上の前記第2画像の表示を自動的に消去することは、前記第2画像センサの電源を切ることを含む、項目22に記載の方法。
上記の例は、本明細書の方法及びシステムの多数の応用の単なる例示である。本発明の少数の実施形態のみを本明細書で説明したが、本発明の精神又は範囲から離れることなく、本発明を多数の他の特定の形態で具体化できることを理解できるはずである。したがって、これらの例及び実施形態を例示であると考え限定的であるとは考えず、本発明を添付の特許請求の範囲の範囲内で変更することができる。