(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103671
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
F25D23/00 307
F25D23/00 301K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024088935
(22)【出願日】2024-05-31
(62)【分割の表示】P 2020100259の分割
【原出願日】2020-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 真司
(72)【発明者】
【氏名】矢野 将
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
(72)【発明者】
【氏名】藤元 貴志
(72)【発明者】
【氏名】漆原 篤彦
(72)【発明者】
【氏名】三上 佳朗
(72)【発明者】
【氏名】川邊 拓也
(72)【発明者】
【氏名】高木 純一
(57)【要約】
【課題】冷蔵室(貯蔵室)内を適切に撮影することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、前方が開口した貯蔵室を形成する箱体と、貯蔵室の外に設けられた撮像装置30と、撮像装置30の撮像領域内であって貯蔵室の外に設けられた鏡37と、を有する。撮像装置30が、鏡37を撮像領域に含めて撮像した場合、撮像された鏡37による虚像は貯蔵室内を含んでいる。撮像装置30は、レンズ34を備え、撮像装置30は、箱体の上方に設けられ、箱体の扉が閉じられている場合にレンズ34は扉よりも前方に位置する。鏡37は、レンズ34の前方に鏡面を貯蔵室内に向けて配設されている。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口が配された貯蔵室を形成する箱体と、
前記開口を開閉自在なドアと、
前記ドアの開を検知するドアセンサと、
前記ドアセンサが開を検知したドアの開き具合を認識し、所定以上の開を検知すると自動で撮影する撮像装置と、を備える冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記箱体は、複数の前記貯蔵室及び複数の前記ドアと、それぞれの該ドアに設けられた検知部と、を有し、どの前記貯蔵室の前記ドアが開かれたか否かを判定可能である
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の冷蔵庫であって、
前記撮像装置は、
前記ドアの少なくとも1つである引出式ドアで開閉される貯蔵室の内部を撮影可能な一定以上の引出距離になったことを、前記撮像装置とは別体の検知部が検知したことに応じて撮影を行い、
前記ドアの少なくとも他の1つである回転式ドアの開を前記ドアセンサで検知し、かつ、該回転式ドアの開き具合を該撮像装置で認識し、所定角度以上の開を検知したことに応じて撮影を行う
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項3に記載の冷蔵庫であって、
どの前記貯蔵室が撮影されたかの判定結果は、アプリケーションサービスから確認可能である
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記撮像装置は、前記箱体の外部かつ上方に配され、撮影時に前記開口内を覗き込む方向に移動し、撮影後に前記ドアの移動軌跡外に移動する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫において、貯蔵品の在庫管理などを目的として、カメラにより冷蔵室内(庫内)を撮影するようにしたものが提案されている。特許文献1には、「カメラは、冷蔵庫本体の上面の前部に、前方へ突出した状態で設けられていて、第1のモータによりX方向(前後方向)へ、第2のモータによりY方向(左右方向)へ回転される。冷蔵室の扉が開放されると、カメラは冷蔵室内を撮影する第1の撮影位置に自動的に向きを変え、冷蔵室内を撮影する。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の記載の冷蔵庫において、制御手段は、開放された扉に対応してカメラの撮影方向を自動的に制御して自動的に撮影を行わせることができる。このため、開放された扉に対応する貯蔵室の状態を自動的に撮影することができ、使用者がカメラを逐一操作する必要はないとしているが、扉の開閉の度に、カメラの撮影方向を可動することは、製品の信頼性に好ましくない。
【0005】
また、特許文献1には、カメラを可動方式ではなく、固定式のものも記載されている。すなわち、特許文献1の固定式のものは、アームの先端部に設けられたカメラは、冷蔵庫本体側で、かつ斜め下向きに向けられた状態で固定されていて、駆動手段となる第1及び第2のモータは設けられておらず、また、カメラカバーには、冷蔵室用及びドアポケット用凹レンズは設けられていない。カメラのレンズは広角レンズであり、その視野内には、扉が開放された冷蔵室内と、野菜室等からそれぞれ引き出された各引出し内が入っていて、これらの範囲を1枚で撮影することができることが記載されている(特許文献1の第3実施例)。
【0006】
本願の発明者らはその撮像範囲を検討したところ、カメラを固定にした場合に、冷蔵室(貯蔵室)内の内部まで適切に撮影できないことが判明した。
【0007】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、冷蔵室(貯蔵室)内を適切に撮影することができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の冷蔵庫は、前方に開口が配された貯蔵室を形成する箱体と、前記開口を開閉自在なドアと、前記ドアの開を検知するドアセンサと、前記ドアセンサが開を検知したドアの開き具合を認識し、所定以上の開を検知すると自動で撮影する撮像装置と、を備えることを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷蔵室内を適切に撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫を示す正面図である。
【
図2A】第1実施形態に係る冷蔵庫を示す側面図である。
【
図2B】第1実施形態に係る撮像装置を収納した場合の側面図である。
【
図3】第1実施形態に係る冷蔵庫の扉を開けた状態を示す正面図である。
【
図4】第1実施形態に係る冷蔵庫の扉を開けた状態を示す上面図である。
【
図5A】第1実施形態に係る撮像装置を示す正面図である。
【
図5B】第1実施形態に係る撮像装置を示す側面図である。
【
図5C】第1実施形態に係る撮像装置を示す側断面図である。
【
図6A】第1実施形態に係る撮像装置を示す斜視図である。
【
図6B】第1実施形態に係る撮像装置の撮像部の詳細を示す側断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る撮像装置の適用効果を示す説明図である。
【
図8A】比較例の撮像装置による撮像例を示す説明図である。
【
図8B】比較例の撮像装置による撮像例の画像処理を示す説明図である。
【
図9A】第1実施形態に係る撮像装置による撮像例を示す説明図である。
【
図9B】第1実施形態に係る撮像装置による撮像例の画像処理を示す説明図である。
【
図10】第1実施形態に係る冷蔵庫の引き出し部を引き出した状態を示す側面図である。
【
図11】第1実施形態に係る冷蔵庫の引き出し部の撮像例を示す図である。
【
図12】第1実施形態に係る冷蔵庫の撮像システムを示す構成図である。
【
図13】第1実施形態に係る手動撮影設定時の処理を示すフローチャートである。
【
図14】第1実施形態に係る自動撮影設定時の処理を示すフローチャートである。
【
図15A】第2実施形態に係る撮像装置の通常時の状態を示す説明図である。
【
図15B】第2実施形態に係る撮像装置の収納途中の状態を示す説明図である。
【
図15C】第2実施形態に係る撮像装置の収納時の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
<<第1実施形態>>
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫100を示す正面図である。
図2Aは、第1実施形態に係る冷蔵庫100を示す側面図である。
図2Bは、第1実施形態に係る撮像装置30を収納した場合の側面図である。
図3は、第1実施形態に係る冷蔵庫100の扉を開けた状態を示す正面図である。
図4は、第1実施形態に係る冷蔵庫100の扉を開けた状態を示す上面図である。なお、以下の説明では、6ドアの冷蔵庫100を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。
【0012】
図1に示すように、冷蔵庫100の断熱箱体(箱体10)は、上方から冷蔵室1、左右に併設された製氷室2と上段冷凍室3、野菜室4、下段冷凍室5の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫100はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室1の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア1a,1bと、製氷室2、上段冷凍室3、野菜室4、下段冷凍室5の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア2a、上段冷凍室ドア3a、野菜室ドア4a、下段冷凍室ドア5aである。なお、野菜室4と下段冷凍室5との位置は、上下配置を変更してもよい。また、製氷室2と上段冷凍室3と下段冷凍室5とを合わせて冷凍室7と呼ぶ。
【0013】
冷蔵室ドア1a,1bを冷蔵庫100に固定するために、ドアヒンジ(符号省略)が冷蔵室1の上部および下部に設けられている。
図3、
図4に示すように、冷蔵室ドア1a,1bを開閉すると、ドア収納部11a(扉収納部a),11b(扉収納部b)が設けられている。
【0014】
冷蔵室1は、庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした冷蔵貯蔵室である。冷凍室7は、庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に-18℃程度にした冷凍貯蔵室である。野菜室4は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に6℃程度の冷蔵貯蔵室で、食品の乾燥を抑えた冷蔵貯蔵室である。
【0015】
冷蔵庫100は、庫内を撮影するための撮像装置30が貯蔵室の外側上部の略中央部に配置されている。すなわち、冷蔵庫100の箱体(断熱箱体)の上方、略中央部に設けられている。箱体のドアが閉じられている場合に撮像装置30のレンズ34(
図6A、
図6B参照)は、貯蔵室の開口縁面10aよりも前方、好ましくは冷蔵室ドア1a,1b(扉)よりも前方に位置する。すなわち、撮像装置30を貯蔵室の外に設け、撮像範囲内に鏡37(
図6A、
図6B参照)を一つ又は複数配置することにより、撮像装置30の突出量を最小限にすることで外観を損ねず、ドア収納部11a,11bを含めた庫内の状況を俯瞰的に撮像できる。なお、鏡37は、レンズ34よりも前方に配置されている。この撮像装置30の詳細については、後記する。
【0016】
また、撮像装置30は、前後に移動するスライドする機構(貯蔵室開口に垂直な方向にスライドする機構)を有し、冷蔵庫100の扉前面を跨り前後に移動可能である。例えば
図2Bに示すように、扉前面より後方又は貯蔵室開口の縁面より後方に移動可能であるため、梱包時には奥行寸法には影響しない。また、輸送トラックへの冷蔵庫の積載数量が減少することはなく、設置後においても、撮像装置30を使用しない場合には収納し撮像範囲を目隠しすることができる。目隠しによって、カメラの撮像領域が自身の生活範囲に常に入っていること等を好ましく思わないユーザにも配慮した構成とすることができる。同様に、撮像範囲のうち庫外側の領域の一部が鏡によって目隠しされており、これもそのようなユーザに好適である。
【0017】
冷蔵室ドア1bには、撮像装置30により手動で撮影する際に使用される撮影ボタン39(ユーザからの撮影指令を受付ける撮影指令受付部)が設けられている。撮影ボタン39は、冷蔵室ドア1aや箱体又は扉のその他の領域に設けられていてもよい。
【0018】
図5Aは、第1実施形態に係る撮像装置30を示す正面図である。
図5Bは、第1実施形態に係る撮像装置30を示す側面図である。
図5Cは、第1実施形態に係る撮像装置30を示す側断面図(
図5AのAA断面図)である。
図6Aは、第1実施形態に係る撮像装置30を示す斜視図である。
図6Bは、第1実施形態に係る撮像装置30の撮像部の詳細を示す側断面図である。
【0019】
撮像装置30は、ケース部31と蓋部32から構成されており、ケース部31の前方には、カメラ33(撮像部)や魚眼レンズであるレンズ34を有している。レンズ34は、
図6Aに示すように、遮光壁35で囲まれている。遮光壁35の近傍に、複数の照明部38を有する。また、レンズ34の近傍(レンズ34よりも前方)に鏡37が設けられている。
【0020】
ケース部31の内部には、
図5Cに示すように、制御SoC41および無線LANユニット42が格納されている。制御SoC41(System on a chip)は、集積回路の1個のチップ上に、プロセッサコアをはじめ一般的なマイクロコントローラが持つような機能の他、応用目的の機能なども集積し、連携してシステムとして機能するよう設計されている集積回路である。なお、制御SoC41は集積回路の一例であり、他の集積回路等でも代替可能である。
【0021】
貯蔵室の外に設けられた撮像装置30がドア収納部11a,11bと、好ましくは貯蔵室内部を俯瞰的に撮像する。さらに、この撮像装置30の撮像範囲内であって貯蔵室の外に設けられた鏡37は、撮像用のレンズ34の前方に鏡面を貯蔵室内に向かって配置される。
【0022】
この鏡37は、レンズ34による撮像範囲の中で貯蔵室並びに、扉収納部を撮像する範囲には重ならないように部分的に配置されているのが好ましい。つまり、本実施形態では鏡37はレンズ34よりも前方に配置されている。このことにより、撮像装置30の撮像範囲を邪魔することなく、さらには撮像装置30のレンズ34による撮像範囲だけでは撮像できない範囲を鏡37による虚像で補うことができる。つまり、カメラ33は、レンズ34による撮像で死角になる部分を、鏡37を介して(鏡37に映った像で)撮影できるようになる。また、この鏡37を設けることにより、撮像装置30が本体前方に突出する量を最小限にしながら、庫内状況をより俯瞰的に撮像することができ、外観を損ねることもない。また、冷蔵庫100の本体からカメラ33や制御SoC41に接続する配線(電源供給等の配線)の長さを短くすることができる。
【0023】
撮像装置30の特徴をさらに説明する。
(1)撮像装置30に用いるカメラ33は、180度以上の広角度であり、魚眼レンズを有することで、扉を開けた際に庫内全体を俯瞰的に視認することができる。
(2)撮像装置30のカメラ用のレンズ34は冷蔵庫の扉前面よりも前に位置することで、野菜室4および下段冷凍室5の引き出し部6のみを開けた際でも庫内の状態を撮影することができる。
(3)撮像装置30は、撮影範囲内に鏡37を有し、この鏡37は映し出す虚像が撮影範囲を拡大する役割を有する。
【0024】
(4)撮像装置30は、照明部38を備え、撮影に適した照度に調整出来る庫外の照明部38を使用して撮影することで、視認性の高い画像を得ることができる。冷蔵庫内に設けられた照明は比較的照度が高いため、カメラで撮影した際に収納物の反射が強く、撮影画像は白飛びしたものになる。このため、本実施形態では、撮影時には、庫内照明を消灯し、庫外の照明部38を点灯して撮影する。詳細は、
図13、
図14で後記する。
また、照明部38の照明は、庫内、扉を開けた際の扉収納部11a,11b、第2貯蔵室(例えば、野菜室4、下段冷凍室5)の全体を照射するように指向性を持たせている。
(5)撮像装置30は、遮光壁35を有することにより、照明部38の直接光は撮影範囲に入らないことで、反射や白飛びを抑えた視認性の高い画像を得ることができる。
(6)撮像装置30の照明部38とレンズ34の間に直接光を遮る遮光壁35を設けることで、照明の設置位置をレンズ34に極力近づけることができるため、コンパクトな外形に収めることができ、さらにはレンズ34の傷付き防止効果も得ることができる。
【0025】
(7)撮像装置30は、前後に移動するスライドする機構を有し、冷蔵庫100の扉前面を跨り前後に移動可能であるため、梱包時には奥行寸法には影響しない。また、輸送トラックに対する冷蔵庫の積載数量が減少することはなく、設置後においても、撮像装置30を使用しない場合には収納し撮像範囲を目隠しすることができる。
(8)撮像装置30は、通信ユニット(無線LANユニット42)を備え、通信ユニットから発信された画像データは、例えば、家庭内の無線ルータ(例えば、家庭内ルータ53(
図12参照)を介してサーバ54(
図12参照)に供給される。詳細については、後記する。
(9)撮像装置30は、電源供給と撮影指令を伝達する通信回路が冷蔵庫本体側と繋がっている。冷蔵庫本体は商用電源等から電力供給を受けている。撮像装置30の電源は冷蔵庫本体を介して商用電源から受け取ることができる。なお、撮像装置30を充電池で駆動するようにしてもよい。
【0026】
図7は、第1実施形態に係る撮像装置30の適用効果を示す説明図である。
図7は、効果説明をわかりやすくするため、
図5Bや
図5Cよりも鏡37の大きさを大きく強調して図示している。貯蔵室の奥を撮影するためには撮像装置30のカメラ33のレンズ34を貯蔵室前面壁(貯蔵室の開口縁面10a)よりも極力前方に配置することが好ましい。これは,貯蔵室前面壁端部が上方からの撮影領域の死角となるためである。
【0027】
しかし,輸送性,外観意匠性,使いやすさを考慮すれば前方への出張り量は極力抑えることが望ましい。本実施形態によれば、鏡37を前方に配置することにより,鏡37に反射して映る虚像は、
図7に示すようにカメラ33での撮影領域よりも貯蔵室奥側に拡大する効果をもたらす。鏡37の高さhをより大きくすれば、さらに撮影領域を拡大することが可能である。
【0028】
本実施形態の撮像例を比較例(鏡37を有しない場合)と比較して説明する。
図8Aは、比較例の撮像装置による撮像例を示す説明図である。
図8Bは、比較例の撮像装置による撮像例の画像処理を示す説明図である。
図8A、
図8Bは、鏡37を有しない場合である。
図8Aは、庫内画像補正処理前の画像であり、魚眼レンズのレンズ34を介した画像は、実像画像である。
【0029】
図8Bは、本実施形態の所定の画像処理を行い庫内画像補正処理後(鏡無し)の画像である。冷蔵庫100を使用するユーザが庫内のものを確認しやすい画像に変換したものである。
図8Bをみると、扉収納部a、扉収納部b、貯蔵庫c内のものが実像としてみることができる。
【0030】
図9Aは、第1実施形態に係る撮像装置による撮像例を示す説明図である。
図9Bは、第1実施形態に係る撮像装置による撮像例の画像処理を示す説明図である。
図9A、
図9Bは、本実施形態の鏡37を有する場合である。
図9Aは、庫内画像補正処理前の画像であり、魚眼レンズのレンズ34を介した画像は、
図8Aに示した実像と、鏡37を介した貯蔵庫cの虚像(鏡37を介して撮像される画像)との合成画像である。
【0031】
図9Bは、本実施形態の所定の画像処理を行った庫内画像補正処理後(鏡有り)の画像である。冷蔵庫100を使用するユーザが庫内のものを確認しやすい画像に変換したものである。
図9Bをみると、扉収納部a、扉収納部bのものが実像として、貯蔵庫cのものは、鏡37を介した虚像と鏡37を介しない実像とを合成して、変換処理している。これにより、鏡37により特に上段において奥行方向の視認領域が拡大されている。具体的には、説明図は缶を例にしており,鏡があるとプルタブ(図示せず)が見える。この鏡37を拡大することでより視認領域を広げることが可能である。
【0032】
図10は、第1実施形態に係る冷蔵庫100の引き出し部6を引き出した状態を示す側面図である。
図11は、第1実施形態に係る冷蔵庫100の引き出し部6の撮像例を示す図である。庫内を撮影するための撮像装置30は、引き出し部6内を撮像することができる。
図11は、野菜室4の引き出し部6の画像であるが、野菜の収納状態を把握することができる。
【0033】
図12は、第1実施形態に係る冷蔵庫100の撮影システムを示す構成図である。ドア(扉)側のセンサとして、冷蔵室ドア1a,1b、製氷室ドア2a、上段冷凍室ドア3a、野菜室ドア4a、下段冷凍室ドア5aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサ(図示せず)等も設けられている。
【0034】
冷蔵庫100の上部には、制御装置の一部であるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、インターフェース回路等を搭載したメインマイコン52(制御装置、制御部)が配置されている。メインマイコン52は、ドアセンサまたは撮影ボタン39からの情報を基に、庫内の撮影を行う撮影システムの制御を行う。また、メインマイコン52は、撮像装置30への電源供給も行う。
【0035】
メインマイコン52は、自動撮影設定時、ドアセンサから扉の開き角度等の情報に基づき、所定角度以上を検知すると、制御SoC41に撮影指令を送信する。制御SoC41は、カメラ33に撮影指示を出し、カメラ33から未処理の画像データを取得する。制御SoC41は、未処理の画像データを、例えば、
図9Bのように、実像と虚像とを組み合わせる画像処理を行う。他方、メインマイコン52は、手動撮影設定時、撮影ボタン39が操作されたことを検知すると、制御SoC41に撮影指令を送信する。その後の処理は、自動撮影設定時と同様である。
【0036】
撮像装置30は、前記したように、家庭内ルータ53と接続できる無線LANユニット42が設けられている。この無線LANユニット42が設けられることで、制御Soc41で処理済み庫内画像データを、家庭内ルータ53を介してサーバ54に送信することができる。サーバ54は、ユーザの所有するスマートフォン55等のモバイルデバイスやパーソナルコンピュータ等からの庫内画像表示要求に応じて、庫内画像データを送信する。これにより、ユーザは、庫内の状況を把握することができる。
【0037】
図13は、第1実施形態に係る手動撮影設定時の処理を示すフローチャートである。適宜、
図12を参照して説明する。メインマイコン52は、設定装置(図示せず)からの設定がカメラ撮影設定時(カメラ設定ON)の場合(S31)、ドアセンサによりドアの開きが有るか否か(扉の開?)を判定し(S32)、ドアの開きがある場合(S32,Yes)、S33に進む。一方、ドアの開きが無い場合(S32,No)、メインマイコン52は、S32に戻る。
【0038】
S33において、メインマイコン52は、撮影ボタン39の操作(押下)が有るか否かを判定し、撮影ボタン39の押下がある場合(S33,Yes)、S34に進み、撮影ボタン39の押下が無い場合(S33,Yes)、S32に戻る。
【0039】
S34において、メインマイコン52は、制御SoC41に撮影指令をし、庫内の照明の消灯と庫外照明(照明部38)の点灯を行う(S35)。制御SoC41は、カメラ33に撮影指令して撮影する(S36)。そして、メインマイコン52は、庫内の照明の点灯と庫外照明(照明部38)の消灯を行う(S37)。
【0040】
カメラ33は、制御SoC41に未処理画像データ(例えば、
図9A)を送信し(S38)、制御SoC41は、庫内画像補正処理(画像処理)を実施する(S39)。具体的には、
図9Bで説明したように、虚像と実像との合成画像を作成する。
【0041】
制御SoC41は、処理済み画像データを、無線LANユニット42、家庭内ルータ53を介して、サーバ54に画像アップデートする(S40)。サーバ54は、画像がアップデートされたら、ユーザのモバイルデバイス等に通知する(S41)。
以上が手動撮影設定時の処理である。
【0042】
図14は、第1実施形態に係る自動撮影設定時の処理を示すフローチャートである。適時、
図12を参照して説明する。なお、
図13と同様の処理は説明を省略する。メインマイコン52は、設定装置(図示せず)からの設定がカメラ自動撮影設定時(カメラ自動設定ON)の場合(S31A)、ドアセンサによりドアの開きが有るか否か(扉の開?)を判定し(S32)、ドアの開きがある場合(S32,Yes)、S33に進む。一方、ドアの開きが無い場合(S32,No)、メインマイコン52は、S32に戻る。
【0043】
S33において、メインマイコン52は、ドアの開き角度が所定角度以上(例えば、扉角度85度以上)であるか否かを判定し(S33A)、ドアの開き角度が所定角度以上である場合(S33A,Yes)、S34に進み、ドアの開き角度が所定角度未満の場合(S33A,No)、S32に戻る。S34からS41は、
図13と同様である。なお、S33Aにおいて、観音開きの冷蔵室1の場合、冷蔵室ドア1a,1bの内、少なくともどちらかのドアの開き角度が所定角度である場合(S33A,Yes)、S34に進む。
以上が自動撮影設定時の処理である。
【0044】
冷蔵庫100の撮影システムの特徴をさらに説明する。
(1A)冷蔵庫の扉の開き角度を検知する検知部(例えば、メインマイコン52)を有し、検知部が所定角度(例えば、85度)以上と判定した場合に自動で撮影を行うことができる。
(2A)検知部が所定角度以上と判定した場合に庫内照明が消灯し、撮像装置30の照明が点灯することで、撮影に適切な照度に調整するだけでなく、使用者に撮影のタイミングを知らせる効果を有する。
(3A)冷蔵庫100の引き出し距離が一定以上になった際に検知する検知部(例えば、引き出し部6に設置されている)を有し、検知部により引き出しの操作を検知し自動で撮影を行うことで、野菜室や冷凍室の撮像範囲を概ね一定に保つことができる。
【0045】
(4A)冷蔵庫の扉に撮影用釦(例えば、撮影ボタン39)を有し、ユーザが撮影用釦を押した際、庫内照明が消灯し、撮像装置30の照明が点灯した後に撮影が行われるため、撮影をしたタイミングを認知し易い。
(5A)撮影された画像は画像補正処理が行われ、広角度カメラによって歪んだ画像が補正されることにより、使用者の目線に近い画像を提供できる。
(6A)前記画像を使用者が携帯電話等を介して確認出来るアプリケーションサービスを有し、前記画像は、ドア(扉)、また前記引き出しに設けられた検知部により、撮影した画像がどの収納室の画像であるかを自動で判定することができる。
【0046】
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、撮像装置30は、スライド機構を有することを説明したが、これに限定されるわけではない。第2実施形態では、二つ折り機構について説明する。
【0047】
図15Aは、第2実施形態に係る撮像装置の通常時の状態を示す説明図である。
図15Bは、第2実施形態に係る撮像装置の収納途中の状態を示す説明図である。
図15Cは、第2実施形態に係る撮像装置の収納時の状態を示す説明図である。
【0048】
第2実施形態の冷蔵庫100(
図1参照)は、前方が開口した貯蔵室を形成する箱体と、貯蔵室の外に設けられた撮像装置30と、開口に少なくとも垂直な方向に対して前記撮像装置30を移動可能に支持する支持部45(ヒンジ部)と、を備える。
【0049】
図15A~
図15Cに示すように、撮像装置30のカメラ33を有する先端部は、支持部45から二つ折りできるように構成されており、梱包時には奥行寸法には影響しないため、輸送トラックに対する冷蔵庫の積載数量が減少することはなく、設置後においても、撮像装置30を使用しない場合には収納し撮像範囲を目隠しすることができる。
【0050】
また、撮像装置30は、庫内を覗き込む方向にも公転(ヒンジ部まわりに円形軌跡で動く;軸まわりに公転)可能にする。円形軌跡中に箱体が存在することから、公転可能な角度は、公転面に直交する方向から観察した場合に360°未満である。この場合、撮像装置30に公転方向の力を付与できる駆動部を取付け、撮像時に冷蔵室等の庫内を覗き込む角度にするように制御してもよい。例えば、撮像時に、扉の移動軌跡内に撮像装置30が位置するようにできる。こうすることでより効果的に庫内を撮像でき、さらに撮像終了後は扉の移動軌跡外に復帰させたり、扉や貯蔵室の前方開口の縁面より後方にまで公転させて収納可能なことから、支持部45(ヒンジ部)とカメラとをつなぐアームを長くしやすいことが特徴である。
【0051】
以上説明した本実施形態の冷蔵庫100は、次の特徴を有する。
本実施形態の冷蔵庫100は、前方が開口した貯蔵室を形成する箱体10と、貯蔵室の外に設けられた撮像装置30と、撮像装置30の撮像領域内であって貯蔵室の外に設けられ鏡37と、を有する(
図1~
図4、
図7参照)。
【0052】
撮像装置30が鏡37を撮像領域に含めて撮像した場合、撮像された鏡37による虚像は貯蔵室内を含んでいる(
図8B参照)。
【0053】
撮像装置30は、レンズ34を備え、撮像装置30は、箱体10の上方に設けられ、レンズ34は貯蔵室の開口縁面10aよりも前方に位置する(
図7参照)。
【0054】
貯蔵室は観音開きの第1貯蔵室(例えば、冷蔵室1)と前後方向開きの第2貯蔵室(例えば、製氷室2、上段冷凍室3、野菜室4、下段冷凍室5)を少なくとも有し、撮像装置30が鏡37を撮像領域に含めて撮像した場合、撮像された鏡37による虚像は第1貯蔵室内または第2貯蔵室内を含むように、撮像装置30が位置する(
図1~
図4、
図10参照)。
【0055】
撮像装置30は、レンズ34を備え、鏡37は、レンズ34の前方に鏡面を貯蔵室内に向けて配設される(
図7参照)。
【0056】
撮像装置30は、レンズ34を備え、レンズ34の周辺に、ひとつ又は複数の照明部38を備え、レンズ34と照明部38との間に遮光壁35を有する(
図6A、
図6B参照)。
【0057】
撮像装置は、レンズ34を備え、レンズ34の周辺に、ひとつ又は複数の照明部38を備え、貯蔵室内に設けられた庫内灯を備え、撮像装置30の撮像は、庫内灯を消灯かつ照明部38を点灯した状態で行われる(
図13、
図14参照)。
【0058】
撮像装置30は、前後方向に可動である(
図2A、
図2B参照)。
【0059】
【0060】
冷蔵庫100が撮像した画像を出力する出力装置(例えば、制御SoC41)であって、撮像装置30の撮像領域に含まれた実像及び虚像を利用した1つの画像を出力する(
図9B、
図12参照)。
【0061】
冷蔵庫100は、貯蔵室の扉に、ユーザからの撮影指令を受付ける撮影指令受付部(例えば、撮影ボタン39)を有する。
【0062】
なお、本発明は前記した第1実施形態および第2実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、前記した実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、
図3の撮影ボタン39は、冷蔵室ドア1aに設けられていてもよいし、引き出し部6の上面に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 冷蔵室(第1貯蔵室)
1a,1b 冷蔵室ドア(回転式ドア)
2 製氷室(第2貯蔵室)
2a 製氷室ドア(引出式ドア)
3 上段冷凍室(第2貯蔵室)
3a 上段冷凍室ドア(引出式ドア)
4 野菜室(第2貯蔵室)
4a 野菜室ドア(引出式ドア)
5 下段冷凍室(第2貯蔵室)
5a 下段冷凍室ドア(引出式ドア)
6 引き出し部
10 箱体
10a 開口縁面
11a,11b ドア収納部
30 撮像装置
31 ケース部
32 蓋部
33 カメラ(撮像部)
34 レンズ
35 遮光壁
37 鏡
38 照明部
39 撮影ボタン(撮影指令受付部)
41 制御SoC(出力装置)
42 無線LANユニット
45 支持部(ヒンジ部)
51 扉センサ
52 メインマイコン
53 家庭内ルータ
54 サーバ
55 スマートフォン
100 冷蔵庫