(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103695
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】減速機、駆動ユニット、及び、操舵補助装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20240725BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F16H1/32 A
B62D5/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024089960
(22)【出願日】2024-06-03
(62)【分割の表示】P 2020146278の分割
【原出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】中井 悠人
(57)【要約】
【課題】装置全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アームを通して外部に安定したトルクを出力することができる減速機、駆動ユニット、及び、操舵補助装置を提供する。
【解決手段】減速機は、入力回転体と、減速機構部と、筒状ケース15と、を備えている。減速機は、駆動装置から動力を受けて回転する。減速機構部は、入力回転体の回転を減速する。筒状ケース15は、減速機構部の外側を覆い減速機構部で減速された動力を受けて回転する。筒状ケース15には、当該筒状ケース15の外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アーム27が一体に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アームが一体に形成されている減速機。
【請求項2】
前記入力回転体と前記筒状ケースを回転可能に支持するベースブロックを備え、
前記ベースブロックは、前記筒状ケースの軸方向の一端部に隣接する位置から径方向外側に張り出し、他の部材に固定される固定フランジを有し、
前記出力アームは、前記筒状ケースの軸方向の他端部から径方向外側に延びている請求項1に記載の減速機。
【請求項3】
ベースブロックと、
偏心回転部を有し前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を入力されるクランク軸と、
外周部に外歯を有し前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車と、
前記外歯と異なる歯数の内歯を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケースと、を備え、
前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アームが一体に形成されている減速機。
【請求項4】
回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、
前記減速機は、
前記駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アームが一体に形成されている駆動ユニット。
【請求項5】
回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、
前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、
前記減速機は、
前記駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、前記操舵機構に操作力を伝達する出力アームが一体に形成されている操舵補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機、駆動ユニット、及び、操舵補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の操舵系の装置として、油圧や電動モータの力によって運転者のステアリング操作をアシストする操舵補助装置が知られている。操舵補助装置は、ステアリング部(ステアリングホイール)の操作に応じて車輪を操舵する操舵機構と、ステアリング部に加わる操舵力に応じたアシスト力を操舵機構に出力する駆動ユニットと、を備えている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記の操舵補助装置で用いられる駆動ユニットは、電動モータ等の駆動装置と、駆動装置の出力を減速する減速機と、を備えている。減速機は、駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、入力回転体の回転を減速する減速機構部と、減速機構部で減速された動力を受けて回転する出力回転体と、を備え、出力回転体の回転を操舵機構に伝達し得る構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操舵補助装置で用いられる減速機として、減速機構部の径方向外側に筒状ケースを配置し、その筒状ケースを出力回転体としたものが知られている。この減速機の場合、操舵機構に操作力を伝達するための出力アームが、ボルト締結によって筒状ケースに取り付けられている。
【0006】
しかし、この場合、筒状ケースに対して出力アームをボルト締結によって固定しているため、ボルトによる締付力の管理が難しく、ボルトによる締結力にバラツキがあると、操舵機構に対する伝達トルクの管理が困難になる。
【0007】
この対策として、筒状ケースの外周に固定用のフランジを設け、そのフランジに複数のボルトによって出力アームを締結固定する手法がとられる。しかし、この手法の場合、ボルト締結の関係上、肉厚のフランジを筒状ケースの外周に設け、そのフランジにボルト挿通孔やねじ孔を形成する必要があるため、減速機全体が大型・重量化し易いうえ、製造工数が増大する不具合を生じる。
【0008】
本発明は、装置全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アームを通して外部に安定したトルクを出力することができる減速機、駆動ユニット、及び、操舵補助装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る減速機は、駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アームが一体に形成されている。
【0010】
前記入力回転体と前記筒状ケースを回転可能に支持するベースブロックを備え、前記ベースブロックは、前記筒状ケースの軸方向の一端部に隣接する位置から径方向外側に張り出し、他の部材に固定される固定フランジを有し、前記出力アームは、前記筒状ケースの軸方向の他端部から径方向外側に延びるようにしても良い。
【0011】
本発明の一態様に係る減速機は、ベースブロックと、偏心回転部を有し前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を入力されるクランク軸と、外周部に外歯を有し前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車と、前記外歯と異なる歯数の内歯を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケースと、を備え、前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アームが一体に形成されている。
【0012】
本発明の一態様に係る駆動ユニットは、回転動力を出力する駆動装置と、前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、前記減速機は、前記駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アームが一体に形成されている。
【0013】
本発明の一態様に係る操舵補助装置は、回転動力を出力する駆動装置と、前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、前記減速機は、前記駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、前記操舵機構に操作力を伝達する出力アームが一体に形成されている。
【発明の効果】
【0014】
上述の減速機は、筒状ケースの外周面から径方向外側に延びる出力アームが筒状ケースと一体に形成されているため、装置全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アームを通して外部に安定したトルクを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の操舵補助装置の模式的な概略構成図。
【
図3】第1実施形態の減速機の一変形例を示す断面図。
【
図4】第1実施形態の減速機の他の変形例を示す断面図。
【
図9】第3実施形態の減速機の第1変形例を示す断面図。
【
図10】第3実施形態の減速機の第2変形例を示す断面図。
【
図11】第3実施形態の減速機の第3変形例を示す断面図。
【
図14】第4実施形態の減速機の一変形例を示す
図12のXIII矢視図に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
<操舵補助装置>
図1は、本実施形態の駆動ユニット10を採用した車両の操舵補助装置1の概略構成図である。
操舵補助装置1は、ステアリングホイール2と、ステアリングシャフト3と、操舵伝達部を兼ねる駆動ユニット10と、駆動ユニット10を通して操舵される操舵機構6と、を備えている。ステアリングホイール2は、車両の運転席の前方に配置され、運転者によって回転操作される。ステアリングシャフト3は、ステアリングホイール2に一体に連結され、ステアリングホイール2と一体に回転する。
【0018】
駆動ユニット10は、操舵アシスト用の駆動装置であるモータ8と、モータ8の回転を減速して操舵機構6に伝達する減速機11(111,211,311,411,511,611,711)と、を備えている。駆動ユニット10は、ステアリングシャフト3の下端に連結されている。ステアリングホイール2からステアリングシャフト3に伝達された操舵トルクは、図示しない歯車機構を介して減速機11の入力部に入力される。減速機11の入力部は、入力された操舵トルクとモータ8によるアシストトルクを合成し、その合成トルクを減速機構部に伝達する。したがって、減速機11の出力部側(操舵機構6側)には、合成された操舵トルクとアシストトルクが所定の減速比に減速されて出力される。
【0019】
ステアリングシャフト3には、図示しないトルクセンサが設けられいる。トルクセンサによって検出されたトルクは、モータ8を制御するための図示しないコントローラに入力される。コントローラは、トルクセンサからの入力信号に基づいてモータ8の出力を制御する。運転者によるステアリングホイール2の操舵は、コントローラで制御されたモータ8のトルクによってアシストされる。
【0020】
減速機11の出力部側には、後述する出力アーム27が設けられている。出力アーム27の先端部は、車両の操舵機構6に連結されている。操舵機構6は、出力アーム27から操作力を受ける操作アーム6bと、操作アーム6bの操作によって車両の前輪Wを転舵するタイロッド6aと、を備えている。
以下で説明する各実施形態の減速機11,111,211,311,411,511,611,711は、
図1に示す操舵補助装置1で使用することができる。
【0021】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態の減速機11の縦断面を示す図である。
減速機11は、車両に固定設置されるベースブロック12と、ベースブロック12に回転可能に支持される複数(例えば、三つ)のクランク軸13(入力回転体)と、各クランク軸13の二つの偏心回転部13bとともに揺動回転する第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bと、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bの径方向の外側を覆うようにベースブロック12の外周面に回転可能に支持された筒状ケース15と、を備えている。
【0022】
ベースブロック12は、全体が短軸円柱状に形成されている。
以下では、説明の便宜上、ベースブロック12の中心軸線o1に沿う方向を軸方向と称し、中心軸線o1を中心とした放射方向を径方向と称す。また、軸方向に関して、対象物の内側に向く側を軸方向内側と称し、その逆側を軸方向外側と称する。これらの呼称は、他の実施形態の説明においても同様に使用する。
【0023】
ベースブロック12は、軸方向の一端側に配置される第1ベースブロック12Aと、軸方向の他端側に配置される第2ベースブロック12Bと、を備えている。
第1ベースブロック12Aは、円板状の基板部12Aaと、基板部12Aaの外周縁部から軸方向外側にクランク状に屈曲した後に径方向外側に張り出す固定フランジ12Abと、を有する。固定フランジ12Abには、モータ8のケースが締結固定される。第2ベースブロック12Bは、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaと略同外径の円板状の基板部12Baと、基板部12Baの端面から第1ベースブロック12Aの方向に向かって延びる複数の連結支柱12Bbと、を有する。連結支柱12Bbは、基板部12Baの端面のうちの、中心軸線o1を中心とした同心円上に複数(例えば、三つ)配置されている。
【0024】
第2ベースブロック12Bは、連結支柱12Bbの端面が第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの端面に突き合わされ、各連結支柱12Bbが第1ベースブロック12Aにボルト16によって締結固定されている。なお、
図2中の符号17は、ボルト16による締結前に第1ベースブロック12Aを各連結支柱12Bbに位置決めするための位置決めピンである。
【0025】
第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bの基板部12Aa,12Ba間には、軸方向の隙間が確保されている。この隙間には、第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bが配置されている。第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bには、第1ベースブロック12Aの各連結支柱12Bbが貫通する複数の逃げ孔18が形成されている。逃げ孔18は、各連結支柱12Bbが第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの揺動回転を妨げないように、連結支柱12Bbの外面形状よりも充分に大きく形成されている。
【0026】
筒状ケース15は、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの外周面と、第2ベースブロック12Bの基板部12Baの外周面とに跨って配置されている。筒状ケース15の軸方向の両側の縁部は、第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bの各基板部12Aa,12Baの外周に軸受19を介して回転可能に支持されている。また、筒状ケース15の軸方向の中央領域(第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの外周面に対向する領域)の内周面には、第1,第2ベースブロック12A,12Bの中心軸線o1と平行に延びる複数のピン溝20が形成されている。各ピン溝20には、略円柱状の内歯ピン21が回転可能に収容されている。筒状ケース15の内周面に取り付けられた複数の内歯ピン21は、第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの各外周面に対向している。
【0027】
第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bは、筒状ケース15の内径よりも若干小さい外径に形成されている。第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの各外周面には、筒状ケース15の内周面に配置された複数の内歯ピン21に噛み合い状態で接触する外歯14Aa,14Baが形成されている。第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの各外周面に形成された外歯14Aa,14Baの歯数は、内歯ピン21(ピン溝20)の数よりも僅かに少なく(例えば、一つ少なく)設定されている。
【0028】
複数のクランク軸13は、第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bの中心軸線o1を中心とした同一円周上に配置されている。各クランク軸13は、軸受22を介して第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bに回転可能に支持されている。各クランク軸13は、一対のジャーナル部13aが軸方向に離間して形成されており、その各ジャーナル部13aが軸受22に支持されている。各クランク軸13の一対のジャーナル部13aの間には、前述した二つの偏心回転部13bが配置されている。
【0029】
クランク軸13の軸方向の一方側(モータ8の配置される側)の端部には、ジャーナル部13aに隣接して歯車取付部13cが形成されている。歯車取付部13cは、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaから軸方向外側に突出している。歯車取付部13cには、モータ8側の出力歯車23と噛み合うクランク歯車24が取り付けられている。
【0030】
クランク歯車24には、ステアリングシャフト3(
図1参照)側の図示しない歯車機構の歯車が噛み合っている。このため、運転者によるステアリングホイール2の操作力は、クランク歯車24を通してクランク軸13に入力され、このときモータ8からのアシスト力も同時にクランク歯車24を通してクランク軸13に入力される。
【0031】
また、第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bには、クランク軸13の各対応する偏心回転部13bが挿通される支持孔25が形成されている。第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの各支持孔25部分は、偏心部軸受26(円筒ころ軸受)を介してクランク軸13の対応する偏心回転部13bに支持されている。
【0032】
減速機11は、ステアリングシャフト3とモータ8からトルクを受けて複数のクランク軸13が一方向に回転すると、クランク軸13の各偏心回転部13bが所定の半径で同方向に旋回し、それに伴って第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bが同じ半径で同方向に揺動回転する。このとき、第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの各外歯14Aa,14Baは、筒状ケース15の内周に保持された複数の内歯ピン21に噛み合うように接触する。
【0033】
減速機11では、第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの各外歯14Aa,14Baの歯数が、筒状ケース15側の内歯ピン21の数よりも僅かに少なく設定されているため、第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bが一揺動回転する間に、第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの各外歯14Aa,14Baが筒状ケース15を同方向に所定ピッチでで押し動かす。この結果、クランク軸13の回転は所定の減速比に減速されて筒状ケース15の回転として出力される。
なお、本実施形態では、クランク軸13は、減速機11の入力回転体を構成している。また、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bは、内歯ピン21等とともに減速機11における減速機構部を構成している。
【0034】
ここで、筒状ケース15は、減速機構部の径方向の外側を覆い軸受19によってベースブロック12に回転可能に支持されるケース本体部15aと、ケース本体部15aの外周面から径方向外側に向かって延びる出力アーム27と、を有する。本実施形態では、出力アーム27はケース本体部15aの軸方向の略中央位置から径方向外側に延びている。出力アーム27は、鋳造等によってケース本体部15aと一体に形成されている。
【0035】
なお、
図2中の符号28は、第1ベースブロック12A(基板部12Aa)とケース本体部15a(基板部)の間と、第2ベースブロック12B(基板部12Ba)とケース本体部15aの間を密閉するシール部材である。筒状ケース15とベースブロック12に囲まれ、内部に減速機構部を配置される空間部内には、減速機構部等の機械動作部を潤滑するための潤滑液が充填されている。
【0036】
以上のように、本実施形態の減速機11では、筒状ケース15の外周面から径方向外側に延びる出力アーム27が筒状ケース15と一体に形成されている。このため、筒状ケース15に固定用のフランジを設け、そのフランジに別体の出力アームをボルト結合する場合と異なり、減速機11全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アーム27を通して外部に安定したトルクを出力することができる。
【0037】
また、本実施形態の減速機11を採用した駆動ユニット10は、減速機11の出力側を軽量化することができるため、モータ8での電力消費を抑制することができる。
【0038】
さらに、本実施形態の駆動ユニット10を採用した操舵補助装置1は、減速機11の出力側の小型・軽量化が可能であるため、車両配置の自由度を高めることができるうえ、車両の軽量化に貢献できる。
【0039】
なお、
図2に示す減速機11では、出力アーム27が筒状ケース15の軸方向の略中央位置から径方向に延びているが、出力アーム27は、
図3に示す変形例のように、筒状ケース15の軸方向の一方側の端部から径方向外側に延びるようにしても良い。
図3に示す変形例では、出力アーム27は、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaから径方向外側に張り出す固定フランジ12Abと隣接する側の端部から径方向外側に延びている。
【0040】
また、出力アーム27は、
図4に示す変形例のように、筒状ケース15の軸方向の他方側(固定フランジ12Abの配置される側と逆側の端部)から径方向外側に延びるようにしても良い。
本構成では、出力アーム27が、固定フランジ12Abの張り出す側と逆側の端部から径方向外側に延びているため、モータ8等の部材の組付時に出力アーム27が組付け作業の支障になりにくい。したがつて、本構成を採用した場合に、組付作業性を高めることができる。
【0041】
<第2実施形態>
以下で説明する各実施形態では、第1実施形態と共通部分に同一符号を付すものとする。
図5は、第2実施形態の減速機111の縦断面を示す図である。
図6は、減速機111の
図5のVI矢視図であり、
図7は、減速機111の側面図である。
本実施形態の減速機111は、車両に固定されるベースブロック12と、ベースブロック12に回転可能に支持される複数のクランク軸13(入力回転体)と、クランク軸13の回転を受けて揺動回転する第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bと、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bの径方向の外側を覆う筒状ケース15と、を備えている。筒状ケース15の内周面にはピン溝20が形成されており、ピン溝20には内歯ピン21が保持されている。内歯ピン21は、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bとともに、減速機構部を構成している。これらの基本構成は第1実施形態のものと同構成とされている。
【0042】
筒状ケース15は、減速機構部の径方向外側を覆うケース本体部15aと、ケース本体部15aの軸方向の一端側(モータ8の配置される側と逆側)の外周面から径方向外側に向かって延びる出力アーム27と、を有する。出力アーム27は鋳造等によってケース本体部15aと一体に形成されている。出力アーム27は、例えば、角柱状に形成されている。
【0043】
出力アーム27の四つの側面には、出力アーム27に作用する応力を検出するためのひずみゲージ90が取り付けられている。ひずみゲージ90は、図示しないコントローラの入力部に電気的に接続され、ひずみに応じた検出信号にコントローラに出力する。
【0044】
また、減速機111の適所、例えば、ベースブロック12と筒状ケース15の間には、出力アーム27の回転速度を検出するための図示しない回転検出装置が取り付けられている。回転検出装置は、図示しないコントローラの入力部に電気的に接続され、出力アーム27の回転速度を示す検出信号をコントローラに出力する。
【0045】
コントローラは、ひずみゲージ90と回転検出装置とから検出信号を受け、出力アーム27に作用する平均トルクと平均回転数を割り出し、その結果から減速機111が耐用限界に近付いているか否かを判定する。コントローラが耐用限界に近付いていると判断した場合には、警告表示を点灯する等して、ユーザーに減速機111の交換時期であることを知らせる。
【0046】
以上のように、本実施形態の減速機111では、筒状ケース15の外周面から径方向外側に延びる出力アーム27が筒状ケース15と一体に形成されている。このため、筒状ケース15に固定用のフランジを設け、そのフランジに別体の出力アームをボルト結合する場合と異なり、減速機111全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アーム27を通して外部に安定したトルクを出力することができる。
【0047】
また、本実施形態の減速機111は、筒状ケース15の外周面から径方向外側に延びる出力アーム27に、当該出力アーム27に作用する応力を検出するためのひずみゲージ90が取り付けられている。このため、ひずみゲージ90によって検出される検出値を利用して、減速機111が耐用限界に近付いているか否かを正確に判断することができる。
特に、減速機111に上記のひずみゲージ90とともに回転検出装置を設けた場合には、減速機111が耐用限界に近付いているか否かをより正確に判断することができる。
【0048】
以上説明した第2実施形態から抽出し得る他の発明を以下に列記する。
(1) 駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体(例えば、クランク軸13)と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部(例えば、第1揺動歯車14A、第2揺動歯車14B、内歯ピン21)と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケース(例えば、筒状ケース15)と、を備え、
前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アーム(例えば、出力アーム27)が一体に形成され、
前記出力アームには、当該出力アームに作用する応力を検出するひずみゲージ(例えば、ひずみゲージ90)が取り付けられている減速機。
【0049】
(2) ベースブロック(例えば、ベースブロック12)と、
偏心回転部を有し前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を入力されるクランク軸(例えば、クランク軸13)と、
外周部に外歯を有し前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車(例えば、第1,第2揺動歯車14A,14B)と、
前記外歯と異なる歯数の内歯を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケース(例えば、筒状ケース15)と、を備え、
前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アーム(例えば、出力アーム27)が一体に形成され、
前記出力アームには、当該出力アームに作用する応力を検出するひずみゲージ(例えば、ひずみゲージ90)が取り付けられている減速機。
【0050】
(3) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、
前記減速機は、
前記駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アームが一体に形成され、
前記出力アームには、当該出力アームに作用する応力を検出するひずみゲージが取り付けられている駆動ユニット。
【0051】
(4) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、
前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、
前記減速機は、
前記駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記筒状ケースには、当該筒状ケースの外周面から径方向外側に延びて、外部に操作力を伝達する出力アームが一体に形成され、
前記出力アームには、当該出力アームに作用する応力を検出するひずみゲージが取り付けられている操舵補助装置。
【0052】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の減速機211の縦断面を示す図である。
減速機211は、車両に固定されるベースブロック12と、ベースブロック12に回転可能に支持される複数のクランク軸13(入力回転体)と、クランク軸13の回転を受けて揺動回転する第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bと、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bの径方向の外側を覆う筒状ケース115と、を備えている。筒状ケース115の内周面には、ピン溝20が形成されており、ピン溝20に内歯ピン21が保持されている。内歯ピン21は、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bとともに、減速機構部を構成している。クランク軸13と減速機構部の具体的な構成は第1実施形態と同様とされている。
【0053】
ベースブロック12は、軸方向の一端側に配置される第1ベースブロック12Aと、軸方向の他端側に配置される第2ベースブロック12Bと、を有する。第2ベースブロック12Bは、連結支柱12Bbが第1ベースブロック12Aの基板部12Aaに突き当てられ、その状態で連結支柱12Bbが基板部12Aaにボルト16によって固定されている。
【0054】
第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの外周面には所定外径の軸受支持面30が形成されている。軸受支持面30には、筒状ケース115をベースブロック12に回転可能に支持するための軸受31が支持される。この軸受31としては、組合せアンギュラ軸受が採用されている。以下では、軸受31のことを「組合せアンギュラ軸受31」と称する。本実施形態の組合せアンギュラ軸受31は、接触角を持つ二つのアンギュラ玉軸受が軸方向に二つ並んだ構成とされている。組合せアンギュラ軸受31は、ベースブロック12と筒状ケース115の間において、ラジアル荷重とスラスト荷重を支持することができる。
また、基板部12Aaの外周面のうちの、軸受支持面30の軸方向外側位置には、軸受支持面30よりも外径の大きいシール支持面32が形成されている。このシール支持面32と筒状ケース115の内周面との間には、両者の間を密閉する環状のシール部材28が介装されている。
【0055】
減速機211の組付け時には、第1ベースブロック12Aのうちの、基板部12Aaの軸受支持面30とシール支持面32とが、筒状ケース15の内周部に挿入される。本実施形態では、基板部12Aaがベースブロック12の挿入部を構成している。ベースブロック12の挿入部は、入力回転体(クランク軸13)及び減速機構部(第1,第2揺動歯車14A,14B等)とともに筒状ケース115の内側に、筒状ケース115の軸方向の一端側から挿入される。組合せアンギュラ軸受31とシール部材28は、挿入部と筒状ケース115の間に介装されている。シール部材28は、組合せアンギュラ軸受31よりも筒状ケース115の軸方向の一端側において、筒状ケース115と挿入部の間を密閉する。
【0056】
基板部12Aaの軸受支持面30のうちのシール支持面32と逆側の端部の外周面と、組合せアンギュラ軸受31の軸方向内側の内輪31ibの内周面には、ねじ山とねじ溝による固定が可能なねじ止め部33が設けられている。組合せアンギュラ軸受31の二つの内輪31ia,31ibは、軸方向外側の内輪31iaを軸受支持面30とシール支持面32の間の段差面に当接させ、かつ、軸方向内側の内輪31ibをねじ止め部33で軸受支持面30の端部に固定することにより、ベースブロック12側(第1ベースブロック12A側)に仮係止される。
【0057】
ここで、筒状ケース115は、減速機構部の径方向外側を覆うケース本体部115aと、ケース本体部115aの軸方向の一端側(モータ8の配置される側)の外周面から径方向外側に向かって延びる出力アーム27と、ケース本体部115aの軸方向の他端部を閉塞する端部壁36と、ケース本体部115aの軸方向の一端面に溶接によって固定された補助筒部34と、を有する。出力アーム27と端部壁36は、鋳造等によってケース本体部115aと一体に形成されている。
【0058】
補助筒部34の内径は、ケース本体部115aの内径と略同径に形成されている。補助筒部34の内周面のうちの、ケース本体部115a寄りの領域34aと、組合せアンギュラ軸受31の軸方向外側の外輪31oaの外周面には、ねじ山とねじ溝による固定が可能なねじ止め部35が設けられている。組合せアンギュラ軸受31の二つの外輪31oa,31obは、軸方向内側の外輪31obを、ケース本体部115aのピン溝20の造形部の段差面に当接させ、かつ、軸方向外側の外輪31oaをねじ止め部35で補助筒部34の内面に固定することにより、筒状ケース15側に仮係止される。また、補助筒部34の内周面のうちの、ケース本体部115aと離間する側の領域34bは、シール部材28の外周面が当接する。
なお、本実施形態では、補助筒部34の内周面のうちの、ケース本体部115a寄りの領域34a(ねじ止め部35)が外輪係止部を構成し、補助筒部34の内周面のうちの、ケース本体部115aと離間する側の領域34bがシール当接部を構成している。
また、筒状ケース115とベースブロック12に囲まれ、内部に減速機構部が配置される空間部内には、減速機構部等の機械動作部を潤滑するための潤滑液が充填されている。
【0059】
減速機211を組み立てる場合には、最初に、第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bに第1,第2揺動歯車14A,14Bとクランク軸13を仮組付けし、その状態で第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bをボルト16によって一体に結合しておく。この状態において、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの外周面には、組合せアンギュラ軸受31の内輪31ia,31ibを前述のようにして仮組付けする。
一方、筒状ケース115の内周面には、組合せアンギュラ軸受31の外輪31oa,31ob側を前述のようにして仮組付けし、シール部材28を補助筒部34の内周面に取り付けておく。
【0060】
次に、この状態において、ベースブロック12の一部(第2ベースブロック12Bと第1ベースブロック12Aの挿入部)を第1,第2揺動歯車14A,14Bやクランク軸13とともに、筒状ケース115の軸方向の一端側から、筒状ケース115の内部に挿入する。このときに組合せアンギュラ軸受31を合体させ、かつ、シール部材28の内周面を第1ベースブロック12Aのシール支持面32に接触させる。この後、ベースブロック12が、図示しない抜け規制手段により、筒状ケース15に対して抜け規制される。
この後、筒状ケース115とベースブロック12に囲まれた空間部内に潤滑液が充填される。筒状ケース115の軸方向の一端部側は、シール部材28によってベースブロック12との間を密閉され、筒状ケース115の軸方向の他端部側は端部壁36によって封止される。
【0061】
以上のように、本実施形態の減速機211では、筒状ケース115の外周面から径方向外側に延びる出力アーム27が筒状ケース115と一体に形成されている。このため、筒状ケース115に固定用のフランジを設け、そのフランジに別体の出力アームをボルト結合する場合と異なり、減速機111全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アーム27を通して外部に安定したトルクを出力することができる。
【0062】
また、本実施形態の減速機211では、筒状ケース115の軸方向の他端部が、筒状ケース115と一体の端部壁36によって完全に閉塞されている。このため、筒状ケース115の軸方向の他端側の内周面とベースブロック12の間にシール部材を配置することなく、筒状ケース115の軸方向の他端側からの潤滑液の漏れを防止することができる。
【0063】
また、本実施形態の減速機211は、ベースブロック12の挿入部と筒状ケース115の間に組合わせアンギュラ軸受31が配置され、組合わせアンギュラ軸受31よりも筒状ケース115の軸方向の一端部側にシール部材28が配置されている。このため、減速機211の組付けに際しては、ベースブロック12の一部を減速機構部やクランク軸13(入力回転体)等とともに筒状ケース115の一端側から筒状ケース115の内部に容易に配置することができるとともに、使用するシール部材28の部品点数を削減することができる。
【0064】
さらに、本実施形態の減速機211は、筒状ケース115のケース本体部115aと別部品である補助筒部34に外輪係止部とシール当接面が形成されるため、小型部品である補助筒部34に精度良く加工を施した後にその補助筒部34をケース本体部115aに取り付けることができる。したがって、実施形態の減速機211を採用した場合には、筒状ケース115を精度良く、かつ、容易に製造することができる。
【0065】
図9は、本実施形態の減速機211の第1変形例を示す断面図である。
図5に示した減速機211では、補助筒部34が筒状ケース115のケース本体部115aの軸方向の端面に溶接によって固定されているが、第1変形例では、径方向外側に延びる固定フランジ34Aaが補助筒部34Aに一体に形成され、固定フランジ34Aa部分がボルト37によってケース本体部115aの軸方向の端面に結合されている。補助筒部34Aと組合せアンギュラ軸受31の外輪31oaとは、ねじ止め部35によって固定されている。
【0066】
図10は、本実施形態の減速機211の第2変形例を示す断面図である。
第2変形例の補助筒部34Aは、第1変形例と同様に固定フランジ34Aa部分がボルト37によってケース本体部115aに固定されているが、補助筒部34Aの外輪係止部がねじ止め部35ではなく、係止突起34Abによって構成されている。係止突起34Abは、補助筒部34Aの内周面から径方向内側に突出し、アンギュラ軸受31の外輪31oaの軸方向外側の端面に当接する。これによって、アンギュラ軸受31の外輪31oaの抜けを規制している。
【0067】
図11は、本実施形態の減速機211の第3変形例を示す断面図である。
第3変形例では、別体の補助筒部34を設けるのではなく、筒状ケース115のケース本体部115aの軸方向の一端側を、第1ベースブロック12Aの固定フランジ12Abの方向に延ばしている。ケース本体部115aの軸方向の一端側に延ばした部分の内周面には、アンギュラ軸受31の外輪31oa,31obが配置されている。軸方向外側の外輪31oaは、ケース本体部115aの内周面に固定される止め輪38によって抜け規制されている。
【0068】
以上説明した第3実施形態から抽出し得る他の発明を以下に列記する。
(1) ベースブロック(例えば、ベースブロック12)と、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置(例えば、モータ8)から動力を受けて回転する入力回転体(例えば、クランク軸13)と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部(例えば、第1揺動歯車14A、第2揺動歯車14B、内歯ピン21)と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケース(例えば、筒状ケース115)と、を備え、
前記ベースブロックは、前記入力回転体及び前記減速機構部とともに、前記筒状ケースの内側に当該筒状ケースの軸方向の一端側から挿入される挿入部(例えば、基板部12Aa)を有し、
前記挿入部と前記筒状ケースの間には、
組合わせアンギュラ軸受(例えば、組合わせアンギュラ軸受31)と、
当該組合せアンギュラ軸受よりも前記筒状ケースの軸方向の一端側で前記筒状ケースと前記挿入部の間を密閉するシール部材(例えば、シール部材28)と、が配置され、
前記筒状ケースには、軸方向の他端部を閉塞する端部壁(例えば、端部壁36)が一体に形成されている減速機。
【0069】
(2) 前記筒状ケースは、
前記減速機構部を内部に収容するケース本体部(例えば、ケース本体部115a)と、
前記ケース本体部の軸方向の一端部に固定される補助筒部(例えば、補助筒部34)と、を有し、
前記補助筒部の内周面には、前記組合せアンギュラ軸受の外輪を係止する外輪係止部(例えば、ねじ止め部35)と、前記シール部材が当接するシール当接部(例えば、シール支持面32)が配置されている(1)に記載の減速機。
【0070】
(3) ベースブロック(例えば、ベースブロック12)と、
偏心回転部を有し前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置(例えば、モータ8)から動力を入力されるクランク軸(例えば、クランク軸13)と、
外周部に外歯を有し前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車(例えば、第1揺動歯車14A、第2揺動歯車14B)と、
前記外歯と異なる歯数の内歯(例えば、内歯ピン21)を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケース(例えば、筒状ケース15)と、を備え、
前記ベースブロックは、前記クランク軸及び前記揺動歯車とともに、前記筒状ケースの内側に当該筒状ケースの軸方向の一端側から挿入される挿入部(例えば、基板部12Aa)を有し、
前記挿入部と前記筒状ケースの間には、
組合わせアンギュラ軸受(例えば、組合わせアンギュラ軸受31)と、
当該組合せアンギュラ軸受よりも前記筒状ケースの軸方向の一端側で前記筒状ケースと前記挿入部の間を密閉するシール部材(例えば、シール部材28)と、が配置され、
前記筒状ケースには、軸方向の他端部を閉塞する端部壁(例えば、端部壁36)が一体に形成されている減速機。
【0071】
(4) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、
前記減速機は、
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記ベースブロックは、前記入力回転体及び前記減速機構部とともに、前記筒状ケースの内側に当該筒状ケースの軸方向の一端側から挿入される挿入部を有し、
前記挿入部と前記筒状ケースの間には、
組合わせアンギュラ軸受と、
当該組合せアンギュラ軸受よりも前記筒状ケースの軸方向の一端側で前記筒状ケースと前記挿入部の間を密閉するシール部材と、が配置され、
前記筒状ケースには、軸方向の他端部を閉塞する端部壁が一体に形成されている駆動ユニット。
【0072】
(5) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、
前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、
前記減速機は、
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記ベースブロックは、前記入力回転体及び前記減速機構部とともに、前記筒状ケースの内側に当該筒状ケースの軸方向の一端側から挿入される挿入部を有し、
前記挿入部と前記筒状ケースの間には、
組合わせアンギュラ軸受と、
当該組合せアンギュラ軸受よりも前記筒状ケースの軸方向の一端側で前記筒状ケースと前記挿入部の間を密閉するシール部材と、が配置され、
前記筒状ケースには、軸方向の他端部を閉塞する端部壁が一体に形成されている操舵補助装置。
【0073】
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態の減速機311を採用した駆動ユニット10の縦断面を示す図である。
図13は、減速機311の
図12のXIII矢視図である。
本実施形態の減速機311は、車両に固定されるベースブロック12と、ベースブロック12に回転可能に支持される複数のクランク軸13(入力回転体)と、クランク軸13の回転を受けて揺動回転する第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bと、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bの径方向の外側を覆う筒状ケース15と、を備えている。筒状ケース15の内周面にはピン溝20が形成されており、ピン溝20には内歯ピン21が保持されている。内歯ピン21は、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bとともに、減速機構部を構成している。これらの基本構成は第1実施形態のものと同構成とされている。
【0074】
ベースブロック12は、軸方向の一端側に配置される第1ベースブロック12Aと、軸方向の他端側に配置される第2ベースブロック12Bと、を有する。第2ベースブロック12Bは、連結支柱12Bbが第1ベースブロック12Aの基板部12Aaに突き当てられ、その状態で連結支柱12Bbが基板部12Aaにボルト16によって固定されている。また、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaから径方向外側に延びる固定フランジ12Abには、軸方向に貫通するボルト挿入孔40が形成されている。ボルト挿入孔40には車体固定用のボルトが挿入される。
【0075】
筒状ケース15は、減速機構部の径方向外側を覆うケース本体部15aと、ケース本体部15aの軸方向の一端側(モータ8の配置される側と逆側)の外周面から径方向外側に向かって延びる出力アーム27と、を有する。ケース本体部15aは、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaと第2ベースブロック12Bの基板部12Baの外周面に軸受19を介して回転可能に支持されている。また、出力アーム27は鋳造等によってケース本体部15aと一体に形成されている。出力アーム27は、例えば、角柱状に形成されている。
【0076】
また、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの外周面とケース本体部15aの軸方向の一端側の内周面の間には、一端側の軸受19の軸方向外側位置で、基板部12Aaとケース本体部15aの間を密閉するためのシール部材28が配置されている。同様に、第2ベースブロック12Bの基板部12Baの外周面とケース本体部15aの軸方向の他端側の内周面の間には、他端側の軸受19の軸方向外側位置で、基板部12Baと筒状ケース15の間を密閉するシール部材28が配置されている。筒状ケース15とベースブロック12との囲まれた空間部には、減速機機構部等の機械動作部を潤滑するための潤滑液が充填されている。
【0077】
ここで、第2ベースブロック12Bの端部壁12Bbの軸方向外側の端部には、径方向外側に張り出すように端部フランジ12Bcが一体に形成されている。端部フランジ12Bcは、基板部12Baと筒状ケース15の間のシール部材28の軸方向外側領域を覆うように配置さてれいる。端部フランジ12Bcには、ベースブロック12と筒状ケース15の間の相対回転位置や相対回転速度を検出するための回転検出装置41が取り付けられている。
【0078】
回転検出装置41は、筒状ケース15の軸方向の他端面に取り付けられた検出ターゲット42と、第2ベースブロック12B側の端部フランジ12Bcに取り付けられたターゲット検出部43と、を備えている。ターゲット検出部43は、ベースブロック12と筒状ケース15の間の相対回転に伴う検出ターゲット42の検出状況の変化に応じた信号を図示しないコントローラに出力する。回転検出装置41としては、例えば、磁気式の検出装置や光学式の検出装置を用いることができる。回転検出装置41のターゲット検出部43は、検出面43aが検出ターゲット42と微小隙間を挟んで対峙するように径方向外側に張り出している。検出面43aは、検出ターゲット42に対して軸方向で対向している。
なお、本実施形態では、検出ターゲット42が筒状ケース15の軸方向の他端側の端面に取り付けられ、ターゲット検出部43が端部フランジ12Bc(基板部12Ba)に取り付けられているが、逆に、ターゲット検出部43を筒状ケース15の軸方向の端面に取り付け、検出ターゲット42を端部フランジ12Bcに取り付けることも可能である。
【0079】
回転検出装置41からコントローラに入力された信号は、例えば、何等かの原因によってモータ8に対するアシスト信号(駆動信号)の出力が停止している状況をコントローラで把握して対処する場合や、モータ8の出力目標と実際の回転の乖離を修正する場合等に用いることができる。モータ8に対するアシスト信号(駆動信号)の出力が停止している状況をコントローラが把握した場合には、コントローラは、例えば、減速機211に作用するモータ8の反力を解除する。これにより、運転者によるステアリングの手動操作がモータ8の反力によって妨げられるのを避けることができる。
【0080】
以上のように、本実施形態の減速機311では、筒状ケース15の外周面から径方向外側に延びる出力アーム27が筒状ケース15と一体に形成されている。このため、筒状ケース15に固定用のフランジを設け、そのフランジに別体の出力アームをボルト結合する場合と異なり、減速機211全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アーム27を通して外部に安定したトルクを出力することができる。
【0081】
また、本実施形態の減速機311は、ベースブロック12と筒状ケース15の相対回転を検出する回転検出装置41が設けられているため、モータ8の出力側の回転情報をスペース的に余裕のある減速機311の端部側で取得することができる。このため、モータ8の大型化を招くことなく、モータ8の出力側の回転情報をコントローラによって有効に利用することができる。
【0082】
さらに、本実施形態の減速機311では、回転検出装置41の検出ターゲット42が筒状ケース15の軸方向の端面に配置され、検出面43aが検出ターゲット42に向くようにターゲット検出部43が第2ベースブロック12Bの端面に配置されている。このため、本構成を採用した場合には、回転検出装置41を減速機311に外部から容易に設置することができるうえ、回転検出装置41のメンテナンスも容易に行うことができる。
【0083】
また、本実施形態の減速機311では、第2ベースブロック12Bの基板部12Baの外周部に、基板部12Baと筒状ケース15の隙間を覆うように端部フランジ12Bcが設けられ、その端部フランジ12Bcに回転検出装置41のターゲット検出部43が取り付けられている。このため、基板部12Baと筒状ケース15の間の隙間(シール部材28の近傍部)への異物の進入を端部フランジ12Bcよって阻止することができるとともに、ターゲット検出部43の検出面43aを筒状ケース15側の検出ターゲット42により近接させることができる。
【0084】
図14は、本実施形態の減速機311の一変形例の
図13と同様の図である。
図12,
図13に示した減速機311では、回転検出装置41の検出ターゲット42が筒状ケース15の軸方向の端面に円環状に配置されているが、
図14に示す変形例では、半円状の検出ターゲット42Aが筒状ケース15の軸方向の端面に配置されている。減速機311で実際に使用する筒状ケース15の回転範囲(出力アーム27の回転範囲)が狭い場合には、検出ターゲット42Aは完全な円環状である必要はない。このため、検出ターゲット42Aは、
図14に示す変形例のような半円形状や、半円以外の円弧状であっても良い。
【0085】
<
図5実施形態>
図15は、第5実施形態の減速機411を採用した駆動ユニット10の縦断面を示す図である。
本実施形態の減速機411は、回転検出装置41の設置部以外の基本構成は、第4実施形態の減速機311とほぼ同様とされている。このため、以下では、第4実施形態の減速機311と共通部分に同一符号を付し、重複する説明を一部省略する。
【0086】
減速機411は、第2ベースブロック12Bの基板部12Baの軸方向の端部が、筒状ケース15の軸方向の他端部よりも軸方向外側に突出ように形成されている。筒状ケース15から突出した基板部12Baの端部の外周面には、回転検出装置41のターゲット検出部43が取り付けられている。
【0087】
筒状ケース15の軸方向の他面には、基板部12Baの突出部分の外周面と端面とを非接触状態で覆う有底円筒状のカバー部材45が取り付けられている。カバー部材45の周壁の内周面には、検出ターゲット42Bが取り付けられている。検出ターゲット42Bは、カバー部材45の周壁の内周面に沿って半円状に配置されている。ただし、検出ターゲット42Bは、半円以外の円弧状に配置しても、円環状に配置しても良い。
基板部12Baの外周面に取り付けられたターゲット検出部43は、その検出面43aが所定の隙間をもって検出ターゲット42Bに対峙ている。
【0088】
なお、本実施形態では、ターゲット検出部43が基板部12Baの外周面に取り付けられ、検出ターゲット42Bがカバー部材45の内周面に取り付けられているが、逆に、ターゲット検出部43をカバー部材45の内周面に取り付け、検出ターゲット42Bを基板部12Baの外周面に取り付けることも可能である。
さらに、ターゲット検出部43と検出ターゲット42Bのうちの一方を基板部12Baの端面に取り付け、他方をカバー部材45の内側端面に取り付けることも可能である。
【0089】
本実施形態の場合も、回転検出装置41からコントローラに入力された信号は、何等かの原因によってモータ8に対するアシスト信号(駆動信号)の出力が停止している状況をコントローラで把握して対処する場合や、モータ8の出力目標と実際の回転の乖離を修正する場合等に用いることができる。
【0090】
以上のように、本実施形態の減速機411は、基本構成が第4実施形態の減速機311と同様であるため、第4実施形態の減速機311と同様の基本的な効果を得ることができる。
ただし、本実施形態の減速機411は、筒状ケース15の軸方向の他面に有底円筒状のカバー部材45が取り付けられ、ベースブロック12側の基板部12Baの外周面とカバー部材45の内周面との間に回転検出装置41が配置されている。このため、回転検出装置41の周囲への鉄粉等の異物の進入をカバー部材45によって防ぎ、回転検出装置41の検出精度の低下を抑制することができる。さらに、本実施形態の場合、シール部材28の近傍への異物の進入をカバー部材45によって防ぐことができる。
【0091】
上記の第4実施形態と第5実施形態から抽出し得る他の発明を以下に列記する。
(1) ベースブロック(例えば、ベースブロック12)と、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置(例えば、モータ8)から動力を受けて回転する入力回転体(例えば、クランク軸13)と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部(例えば、第1揺動歯車14A、第2揺動歯車14B、内歯ピン21)と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケース(例えば、筒状ケース115)と、
前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置(例えば、回転検出装置41)と、を備えている減速機。
【0092】
(2) 前記回転検出装置は、
前記筒状ケースの軸方向の端面と前記ベースブロックの軸方向の端面のいずれか一方に設置される検出ターゲット(例えば、検出ターゲット42,42A)と、
前記筒状ケースの軸方向の端面と前記ベースブロックの軸方向の端面のいずれか他方に設置されるターゲット検出部(例えば、ターゲット検出部43)と、を有し、
前記ターゲット検出部の検出面(例えば、検出面43a)が前記検出ターゲットに対峙するように配置されている(1)に記載の減速機。
【0093】
(3) 前記筒状ケースには、当該筒状ケースの軸方向の端部を覆うカバー部材(例えば、カバー部材45)が取り付けられ、
前記回転検出装置は、
前記カバー部材と前記ベースブロックの軸方向の端部のいずれか一方に設置される検出ターゲット(例えば、検出ターゲット42B)と、
前記カバー部材と前記ベースブロックの軸方向の端部のいずれか他方に設置されるターゲット検出部(例えば、ターゲット検出部43)と、を有し、
前記ターゲット検出部の検出面が前記検出ターゲットに対峙するように配置されている(1)に記載の減速機。
【0094】
(4) ベースブロック(例えば、ベースブロック12)と、
偏心回転部を有し前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置(例えば、モータ8)から動力を入力されるクランク軸(例えば、クランク軸13)と、
外周部に外歯を有し前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車(例えば、第1揺動歯車14A、第2揺動歯車14B)と、
前記外歯と異なる歯数の内歯(例えば、内歯ピン21)を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケース(例えば、筒状ケース15)と、
前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置(例えば、回転検出装置41)と、を備えている減速機。
【0095】
(5) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、
前記減速機は、
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、
前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている減速機ユニット。
(6) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、
前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、
前記減速機は、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、
前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている操舵補助装置。
【0096】
<第6実施形態>
図16は、第6実施形態の減速機511を採用した駆動ユニット10の縦断面を示す図であり、
図17は、減速機511の
図16のXII矢視図である。
本実施形態の減速機511は、車両に固定されるベースブロック12と、ベースブロック12に回転可能に支持される複数のクランク軸13(入力回転体)と、クランク軸13の回転を受けて揺動回転する第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bと、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bの径方向の外側を覆う筒状ケース15と、を備えている。筒状ケース15の内周面にはピン溝20が形成されており、ピン溝20には内歯ピン21が保持されている。内歯ピン21は、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bとともに、減速機構部を構成している。これらの基本構成は第1実施形態のものと同構成とされている。
【0097】
ベースブロック12は、軸方向の一端側に配置される第1ベースブロック12Aと、軸方向の他端側に配置される第2ベースブロック12Bと、を有する。第2ベースブロック12Bは、連結支柱12Bbが第1ベースブロック12Aの基板部12Aaに突き当てられ、その状態で連結支柱12Bbが基板部12Aaにボルト16によって固定されている。また、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaから径方向外側に延びる固定フランジ12Abには、軸方向に貫通するボルト挿入孔40が形成されている。ボルト挿入孔40には、図示しない車体固定用のボルトが挿入される。
【0098】
筒状ケース15は、減速機構部の径方向外側を覆うケース本体部15aと、ケース本体部15aの軸方向の一端側(モータ8の配置される側と逆側)の外周面から径方向外側に向かって延びる出力アーム27と、を有する。ケース本体部15aは、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaと第2ベースブロック12Bの基板部12Baの外周面に軸受19を介して回転可能に支持されている。また、出力アーム27は鋳造等によってケース本体部15aと一体に形成されている。出力アーム27は、例えば、角柱状に形成されている。
【0099】
第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの外周面とケース本体部15aの軸方向の一端側の内周面の間には、一端側の軸受19の軸方向外側位置で、基板部12Aaとケース本体部15aの間を密閉するためのシール部材28が配置されている。同様に、第2ベースブロック12Bの基板部12Baの外周面とケース本体部15aの軸方向の他端側の内周面の間には、他端側の軸受19の軸方向外側位置で、基板部12Baと筒状ケース15の間を密閉するシール部材28が配置されている。筒状ケース15とベースブロック12との囲まれた空間部には、減速機機構部等の機械動作部を潤滑するための潤滑液が充填されている。
【0100】
第2ベースブロック12Bの端部壁12Bbの軸方向外側の端部には、径方向外側に張り出すように端部フランジ12Bcが一体に形成されている。端部フランジ12Bcは、基板部12Baと筒状ケース15の間のシール部材28の軸方向外側領域を覆うように配置さてれいる。端部フランジ12Bcを含む基板部12Baの軸方向外側の端面には、複数の放熱フィン50が一体に形成されている。
【0101】
放熱フィン50は二種類存在する。一つは、基板部12Baの端面から軸方向外側に突出する円環フィン50aであり、他の一つは、基板部12Baの端部外周に放射状に突出する放射フィン50bである。円環フィン50aは、基板部12Baの中心軸線o1を中心とした円環状に連続したフィンであり、複数のものが径方向にずれて(径を異ならせて)多重に配置されている。これらの放熱フィン50は、減速機511内から基板部12Baに伝わる熱を周囲の大気に放熱することができる。放射フィン50bと最外周部の円環フィン50aは、筒状ケース15内の内歯ピン21の保持位置とほぼ同径位置に配置されている。
【0102】
以上のように、本実施形態の減速機511では、筒状ケース15の外周面から径方向外側に延びる出力アーム27が筒状ケース15と一体に形成されている。このため、筒状ケース15に固定用のフランジを設け、そのフランジに別体の出力アームをボルト結合する場合と異なり、減速機211全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アーム27を通して外部に安定したトルクを出力することができる。
【0103】
また、本実施形態の減速機511は、ベースブロック12のうちの筒状ケース15の外側に露出する部分(基板部12Baの端面)に複数の放熱フィン50が形成されている。このため、減速機構部の作動等によって減速機511の内部で発生した熱を高熱良く周囲に放熱することができる。したがって、本構成を採用した場合には、ベースブロック12や筒状ケース15の温度上昇を抑制できるため、その分、減速機511内の機械動作部の回転数が高めることができる。
なお、放熱フィン50は筒状ケース15の外周面に形成することも可能である。
【0104】
上記の第6実施形態から抽出し得る他の発明を以下に列記する。
(1) ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記ベースブロックのうちの前記筒状ケースの外部に露出する部分には、放熱フィンが形成されている減速機。
【0105】
(2) ベースブロックと、
偏心回転部を有し前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を入力されるクランク軸と、
外周部に外歯を有し前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車と、
前記外歯と異なる歯数の内歯を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケースと、を備え、
前記ベースブロックの前記筒状ケースの外部に露出する部分には放熱フィンが形成されている減速機。
【0106】
(3) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、
前記減速機は、
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記ベースブロックの前記筒状ケースの外部に露出する部分には放熱フィンが形成されている駆動ユニット。
【0107】
(4) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、
前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、
前記減速機は、
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、を備え、
前記ベースブロックの前記筒状ケースの外部に露出する部分には放熱フィンが形成されている操舵補助装置。
【0108】
<第7実施形態>
図18は、第7実施形態の減速機611を採用した駆動ユニット10の縦断面を示す図である。
本実施形態の減速機611は、車両に固定されるベースブロック12と、ベースブロック12に回転可能に支持される複数のクランク軸13(入力回転体)と、クランク軸13の回転を受けて揺動回転する第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bと、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bの径方向の外側を覆う筒状ケース15と、を備えている。筒状ケース15の内周面にはピン溝20が形成されており、ピン溝20には内歯ピン21が保持されている。内歯ピン21は、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bとともに、減速機構部を構成している。これらの基本構成は第1実施形態のものと同構成とされている。
【0109】
ベースブロック12は、軸方向の一端側に配置される第1ベースブロック12Aと、軸方向の他端側に配置される第2ベースブロック12Bと、を有する。第2ベースブロック12Bは、連結支柱12Bbが第1ベースブロック12Aの基板部12Aaに突き当てられ、その状態で連結支柱12Bbが基板部12Aaにボルト16によって固定されている。また、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaから径方向外側に延びる固定フランジ12Abには、軸方向に貫通するボルト挿入孔40が形成されている。ボルト挿入孔40には、図示しない車体固定用のボルトが挿入される。
【0110】
筒状ケース15は、減速機構部の径方向外側を覆うケース本体部15aと、ケース本体部15aの軸方向の一端側(モータ8の配置される側と逆側)の外周面から径方向外側に向かって延びる出力アーム27と、を有する。ケース本体部15aは、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaと第2ベースブロック12Bの基板部12Baの外周面に軸受19を介して回転可能に支持されている。また、出力アーム27は鋳造等によってケース本体部15aと一体に形成されている。出力アーム27は、例えば、角柱状に形成されている。
【0111】
第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの外周面とケース本体部15aの軸方向の一端側の内周面の間には、一端側の軸受19の軸方向外側位置で、基板部12Aaとケース本体部15aの間を密閉するためのシール部材28が配置されている。同様に、第2ベースブロック12Bの基板部12Baの外周面とケース本体部15aの軸方向の他端側の内周面の間には、他端側の軸受19の軸方向外側位置で、基板部12Baと筒状ケース15の間を密閉するシール部材28が配置されている。筒状ケース15とベースブロック12との囲まれた空間部には、減速機機構部等の機械動作部を潤滑するための潤滑液が充填されている。
【0112】
出力回転体である複数のクランク軸13は、第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bの中心軸線o1を中心とした同一円周上に配置されている。各クランク軸13は、軸受22を介して第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bの各基板部12Aa,12Baに回転可能に支持されている。各クランク軸13は、一対のジャーナル部13aが軸方向に離間して形成されており、その各ジャーナル部13aが軸受22に支持されている。各クランク軸13の一対のジャーナル部13aの間には二つの偏心回転部13bが配置されている。
本実施形態では、軸受22として、円錐ころ軸受が採用されている。軸受22は、内輪と外輪に当接するころが、クランク軸13の偏心回転部13b側に向かって径方向外側に傾斜するように基板部12Aa,12Baの支持孔47内に組付けられている。
【0113】
クランク軸13の軸方向の一方側(モータ8の配置される側)の端部には、ジャーナル部13aに隣接して歯車取付部13cが形成されている。歯車取付部13cは、第1ベースブロック12A側の基板部12Aaの支持孔47から軸方向外側に突出している。歯車取付部13cには、モータ8側の出力歯車23と、ステアリングシャフト3(
図1参照)側の図示しない歯車機構の歯車と、に噛み合うクランク歯車24が取り付けられている。
【0114】
基板部12Aaの支持孔47のうちの、軸受22の支持部と軸方向外側(モータ8側)で隣接する位置には、減速機711内の潤滑液に混入している金属粉を検出するため金属粉検出センサ48が取り付けられている。金属粉検出センサ48は、支持孔47のうちの、軸受22を挟んで偏心回転部13bと離間する側に取り付けられ、その支持孔47側の取付面とクランク軸13側のジャーナル部13aの外周面との間の空間部に配置されている。金属粉検出センサ48は、基板部12Aaに対して、支持孔47への圧入やビス止め等によって固定されている。
【0115】
金属粉検出センサ48は、例えば、センサブロック48aに設けられた潤滑液の流通が可能な隙間48bに、永久磁石による鉄粉吸引部を設け、永久磁石の磁力によって吸引された鉄粉の量を、回路内の電気抵抗の変化から検出するもの等を用いることができる。なお、金属粉検出センサ48の構造は、潤滑液内の鉄粉の量を検出できるものであれば、これに限定されるものではない。
【0116】
金属粉検出センサ48は、図示しないコントローラの入力部に電気的に接続されている。コントローラは、金属粉検出センサ48の検出信号に基づいて、減速機711内の潤滑液に混入している金属粉の量が規定量以上であるか否かを判定する。金属粉の混入量が規定量以上であると判定した場合には、コントローラは、警告表示を点灯させる等にして、潤滑液の交換等のメンテナンスを行うタイミングであることをユーザーに知らせる。
【0117】
以上のように、本実施形態の減速機711では、筒状ケース15の外周面から径方向外側に延びる出力アーム27が筒状ケース15と一体に形成されている。このため、筒状ケース15に固定用のフランジを設け、そのフランジに別体の出力アームをボルト結合する場合と異なり、減速機711全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アーム27を通して外部に安定したトルクを出力することができる。
【0118】
また、本実施形態の減速機711は、潤滑液に混入している金属粉を検出するための金属粉検出センサ48が、減速機構部(第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14B)と軸方向に離間した位置に配置されている。このため、減速機構部の動作によって潤滑液が大きく撹拌される領域から離れた部分において、潤滑液内の金属粉の混入量を検出することができる。本実施形態の減速機711を採用した場合には、減速機構部の動作によって潤滑液が大きく撹拌されることにより、正確な金属粉の混入量を検出できないという課題を解決することができる。また、本実施形態の減速機711を採用した場合には、減速機711の仕様の相違によって減速機構部による潤滑液の撹拌状況が変化しても、正確な金属粉の混入量を検出することができる。
【0119】
特に、本実施形態の減速機711では、金属粉検出センサ48が、クランク軸13のジャーナル部13aの近傍に配置されているため、クランク軸13の偏心回転部13bの動作による潤滑液の撹拌の影響も受けにくい。
【0120】
また、本実施形態の減速機711では、ジャーナル部13aを支持する基板部12Aaの支持孔47内に金属粉検出センサ48が固定されている。このため、ベースブロック12の基板部12Aa側に金属粉検出センサ48を取り付けるための固定フランジのようなものを設ける必要がない。したがって、本実施形態の減速機711を採用した場合には、構造を簡素化して製造を容易化することができる。
【0121】
上記の第7実施形態から抽出し得る他の発明を以下に列記する。
(1) ベースブロック(例えば、ベースブロック12)と、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置(例えば、モータ8)から動力を受けて回転する入力回転体(例えば、クランク軸13)と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部(例えば、第1揺動歯車14A、第2揺動歯車14B、内歯ピン21)と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケース(例えば、筒状ケース115)と、
前記筒状ケースと前記ベースブロックに囲まれた空間内に充填される潤滑液内の金属粉を検出する金属粉検出センサ(例えば、金属粉検出センサ48)と、を備え、
前記金属粉検出センサは、前記減速機構部と軸方向に離間した位置に配置される前記入力回転体の軸受部(例えば、ジャーナル部13a)の近傍に配置されている減速機。
(2) ベースブロック(例えば、ベースブロック12)と、
偏心回転部を有し前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置(例えば、モータ8)から動力を入力されるクランク軸(例えば、クランク軸13)と、
外周部に外歯を有し前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車(例えば、第1揺動歯車14A、第2揺動歯車14B)と、
前記外歯と異なる歯数の内歯(例えば、内歯ピン21)を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケース(例えば、筒状ケース15)と、
前記筒状ケースと前記ベースブロックに囲まれた空間内に充填される潤滑液内の金属粉を検出する金属粉検出センサ(例えば、金属粉検出センサ48)と、を備え、
前記金属粉検出センサは、前記クランク軸のジャーナル部(例えば、ジャーナル13a)の近傍に配置されている減速機。
(3) 前記ベースブロックは、前記ジャーナル部を軸受(例えば、軸受22)を介して支持する支持孔(例えば、支持孔47)を有し、
前記金属粉検出センサは、前記支持孔内に固定されている請求項2に記載の減速機。
(4) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、
前記減速機は、
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、
前記筒状ケースと前記ベースブロックに囲まれた空間内に充填される潤滑液内の金属粉を検出する金属粉検出センサと、を備え、
前記金属粉検出センサは、前記減速機構部と軸方向に離間した位置に配置される前記入力回転体の軸受部の近傍に配置されている駆動ユニット。
【0122】
(5) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、
前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、
前記減速機は、
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、
前記筒状ケースと前記ベースブロックに囲まれた空間内に充填される潤滑液内の金属粉を検出する金属粉検出センサと、を備え、
前記金属粉検出センサは、前記減速機構部と軸方向に離間した位置に配置される前記入力回転体の軸受部の近傍に配置されている操舵補助装置。
【0123】
<第8実施形態>
図19は、第8実施形態の減速機711を採用した駆動ユニット10の縦断面を示す図である。
本実施形態の減速機711は、車両に固定されるベースブロック12と、ベースブロック12に回転可能に支持される複数のクランク軸13(入力回転体)と、クランク軸13の回転を受けて揺動回転する第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bと、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bの径方向の外側を覆う筒状ケース15と、を備えている。筒状ケース15の内周面にはピン溝20が形成されており、ピン溝20には内歯ピン21が保持されている。内歯ピン21は、第1揺動歯車14A、及び、第2揺動歯車14Bとともに、減速機構部を構成している。これらの基本構成は第1実施形態のものと同構成とされている。
【0124】
ベースブロック12は、軸方向の一端側に配置される第1ベースブロック12Aと、軸方向の他端側に配置される第2ベースブロック12Bと、を備えている。
第1ベースブロック12Aは、円板状の基板部12Aaと、基板部12Aaの外周縁部から軸方向外側にクランク状に屈曲した後に径方向外側に張り出す固定フランジ12Abと、を有する。
第2ベースブロック12Bは、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaと略同外径の円板状の基板部12Baと、基板部12Baの端面から第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの方向に向かって延びる複数の連結支柱12Bbと、を有する。連結支柱12Bbは、基板部12Baの端面のうちの、中心軸線o1を中心とした同心円上に複数(例えば、三つ)配置されている。
【0125】
第2ベースブロック12Bは、連結支柱12Bbの端面が第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの端面に突き合わされ、各連結支柱12Bbがテーパーピン57による嵌め合いによって第1ベースブロック12Aに固定されている。テーパーピン57は、第1ベースブロック12Aの基板部12Aa側から、基板部12Aaと連結支柱12Bbとに嵌め込まれている。
【0126】
第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bには、第1ベースブロック12Aの各連結支柱12Bbが貫通する複数の逃げ孔18が形成されている。逃げ孔18は、各連結支柱12Bbが第1揺動歯車14Aと第2揺動歯車14Bの揺動回転を妨げないように、連結支柱12Bbの外面形状よりも充分に大きく形成されている。
【0127】
また、第2ベースブロック12Bの基板部12Baの径方向の中心位置には、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの方向に向かって延びる連結軸55が形成されている。連結軸55は、連結支柱12Bbに嵌め込まれるテーパーピン57に比較して大径に形成されている。これに対し、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaの径方向の中心位置には、連結軸55の先端部が挿入される挿入孔58と、挿入孔58を貫通して連結軸55の先端部が配置される略円形状の凹部59が形成されている。凹部59には、挿入孔58を貫通した連結軸55の先端部に締め込まれるナット56が配置される。ナット56は、連結軸55の先端部に締め込まれることによって、第1ベースブロック12Aと第2ベースブロックとを軸方向に固定する。ここで用いられるナット56は緩み止め機能を有するものが望ましい。本実施形態では、ナット56は抜け規制部材を構成している。
【0128】
一方、筒状ケース15は、減速機構部の径方向外側を覆うケース本体部15aと、ケース本体部15aの軸方向の一端側(モータ8の配置される側と逆側)の外周面から径方向外側に向かって延びる出力アーム27と、を有する。ケース本体部15aは、第1ベースブロック12Aの基板部12Aaと第2ベースブロック12Bの基板部12Baの外周面に軸受19を介して回転可能に支持されている。また、出力アーム27は鋳造等によってケース本体部15aと一体に形成されている。出力アーム27は、例えば、角柱状に形成されている。
【0129】
以上のように、本実施形態の減速機811では、筒状ケース15の外周面から径方向外側に延びる出力アーム27が筒状ケース15と一体に形成されている。このため、筒状ケース15に固定用のフランジを設け、そのフランジに別体の出力アームをボルト結合する場合と異なり、減速機811全体の大型・重量化や製造工数の増大を招くことなく、出力アーム27を通して外部に安定したトルクを出力することができる。
【0130】
また、本実施形態の減速機711は、第2ベースブロック12Bの径方向の中心位置から突出して第1ベースブロック12Aの基板部12Aaを貫通する連結軸55と、基板部12Aaを貫通して連結軸55の先端部に締め込まれるナット56によって第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bが軸方向で固定されている。そして、第2ベースブロック12Bから突出する複数の連結支柱12Bbが、テーパーピン57によって第1ベースブロック12Aの基板部12Aaに連結され、それによって第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bが回転方向で固定されている。
【0131】
このため、本実施形態の減速機711では、第1ベースブロック12Aと第2ベースブロック12Bの軸方向の固定(変位規制)と、回転方向の固定(変位規制)とを、中央の連結軸55及びナット56と、各連結支柱12Bbに連結され複数のテーパーピン57とに夫々分担させることができる。したがって、本実施形態の減速機711を採用した場合には、各連結支柱12Bbと第2ベースブロックを複数のボルトで結合する場合に比較して、連結支柱12Bbの外形を小型にすることができ、しかも、固定に要する部品点数を削減することができる。そして、連結支柱12Bbの外形を小型にできることから、第1揺動歯車14Aや第2揺動歯車14Bに形成する逃げ孔18を小さくして、これらの揺動歯車14A,14Bの耐久性を高めることができる。
【0132】
上記の第8実施形態から抽出し得る他の発明を以下に列記する。
(1) 中心軸線回りの複数個所が(例えば、連結支柱12Bb)を介して相互に連結される第1ベースブロック(例えば、第1ベースブロック12A)及び第2ベースブロック(例えば、第1ベースブロック12A)と、
前記連結支柱が貫通する逃げ孔を有し、前記第1ベースブロック及び第2ベースブロックに揺動回転可能に支持される揺動歯車と、
前記揺動歯車から減速された回転を伝達される筒状ケースと、を備え、
前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックは、これらの一方の径方向の中心位置から突出して他方を貫通する連結軸と、前記他方を貫通した前記連結軸に固定される抜け規制部材と、によって軸方向で固定され、
前記連結支柱は、前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックのいずれか一方に一体に形成され、
前記連結支柱の先端部は、ピン(例えば、テーパーピン57)による嵌め合いによって前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックのいずれか他方に固定されている減速機。
【0133】
(2) 中心軸線回りの複数個所が連結支柱(例えば、連結支柱12Bb)を介して相互に連結される第1ベースブロック(例えば、第1ベースブロック12A)及び第2ベースブロック(例えば、第1ベースブロック12A)と、
偏心回転部(例えば、偏心回転部13b)を有し前記第1ベースブロック及び第2ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置(例えば、モータ8)から動力を入力されるクランク軸(例えば、クランク軸13)と、
前記連結支柱が貫通する逃げ孔(例えば、逃げ孔18)を有するとともに外周部に外歯(例えば、外歯14Aa,14Bb)を有し、前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車(例えば、第1揺動歯車14A、第2揺動歯車14B)と、
前記外歯と異なる歯数の内歯(例えば、内歯ピン21)を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケース(例えば、筒状ケース15)と、を備え、
前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックは、これらの一方の径方向の中心位置から突出して他方を貫通する連結軸(例えば、連結軸55)と、前記他方を貫通した前記連結軸に固定される抜け規制部材(例えば、ナット56)と、によって軸方向で固定され、
前記連結支柱は、前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックのいずれか一方に一体に形成され、
前記連結支柱の先端部は、ピン(例えば、テーパーピン57)による嵌め合いによって前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックのいずれか他方に固定されている減速機。
【0134】
(3) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、
前記減速機は、
中心軸線回りの複数個所が連結支柱を介して相互に連結される第1ベースブロック及び第2ベースブロックと、
前記連結支柱が貫通する逃げ孔を有し、前記第1ベースブロック及び第2ベースブロックに揺動回転可能に支持される揺動歯車と、
前記揺動歯車から減速された回転を伝達される筒状ケースと、を備え、
前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックは、これらの一方の径方向の中心位置から突出して他方を貫通する連結軸と、前記他方を貫通した前記連結軸に固定される抜け規制部材と、によって軸方向で固定され、
前記連結支柱は、前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックのいずれか一方に一体に形成され、
前記連結支柱の先端部は、ピンによる嵌め合いによって前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックのいずれか他方に固定されている駆動ユニット。
【0135】
(4) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、
前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、
前記減速機は、
中心軸線回りの複数個所が連結支柱を介して相互に連結される第1ベースブロック及び第2ベースブロックと、
前記連結支柱が貫通する逃げ孔を有し、前記第1ベースブロック及び第2ベースブロックに揺動回転可能に支持される揺動歯車と、
前記揺動歯車から減速された回転を伝達される筒状ケースと、を備え、
前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックは、これらの一方の径方向の中心位置から突出して他方を貫通する連結軸と、前記他方を貫通した前記連結軸に固定される抜け規制部材と、によって軸方向で固定され、
前記連結支柱は、前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックのいずれか一方に一体に形成され
前記連結支柱の先端部は、ピンによる嵌め合いによって前記第1ベースブロック及び前記第2ベースブロックのいずれか他方に固定されている操舵補助装置。
【0136】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0137】
1…操舵補助装置、6…操舵機構、8…モータ(駆動装置)、10…駆動ユニット、11…減速機、12…ベースブロック、13…クランク軸(入力回転体)、14A…第1揺動歯車(揺動歯車、減速機構部)、14B…第2揺動歯車(揺動歯車、減速機構部)、15…筒状ケース、21…内歯ピン(内歯、減速機構部)、27…出力アーム。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、
前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている減速機。
【請求項2】
前記回転検出装置は、
前記筒状ケースの軸方向の端面と前記ベースブロックの軸方向の端面のいずれか一方に設置される検出ターゲットと、
前記筒状ケースの軸方向の端面と前記ベースブロックの軸方向の端面のいずれか他方に設置されるターゲット検出部と、を有し、
前記ターゲット検出部の検出面が前記検出ターゲットに対峙するように配置されている請求項1に記載の減速機。
【請求項3】
前記筒状ケースには、当該筒状ケースの軸方向の端部を覆うカバー部材が取り付けられ、
前記回転検出装置は、
前記カバー部材と前記ベースブロックの軸方向の端部のいずれか一方に設置される検出ターゲットと、
前記カバー部材と前記ベースブロックの軸方向の端部のいずれか他方に設置されるターゲット検出部と、を有し、
前記ターゲット検出部の検出面が前記検出ターゲットに対峙するように配置されている請求項1に記載の減速機。
【請求項4】
ベースブロックと、
偏心回転部を有し前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を入力されるクランク軸と、
外周部に外歯を有し前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車と、
前記外歯と異なる歯数の内歯を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケースと、
前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている減速機。
【請求項5】
回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、
前記減速機は、
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、
前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている駆動ユニット。
【請求項6】
回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、
前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、
前記減速機は、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、
前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている操舵補助装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
操舵補助装置で用いられる減速機として、減速機構部の径方向外側に筒状ケースを配置し、その筒状ケースを出力回転体としたものが知られている。この種の減速機では、筒状ケースの内側の限られたスペースに減速機構部や入力回転体が密集した状態で配置される。このため、入力回転体を駆動するモータ等の駆動装置を減速機に近接させて配置しようとすると、駆動装置と減速機の間に、他の機器を追加して配置することが難しくなる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
モータ等の駆動装置をコントローラによって制御する場合には、駆動装置の出力側の回転情報をコントローラにフィードバックすることが重要となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
しかし、上記の減速機を採用した場合には、駆動装置の出力側の回転を検出するための回転検出器を、駆動装置と減速機の間にコンパクトに配置することが難しい。このため、駆動装置の他の部位に回転検出器を設置せざるを得なくなり、駆動装置が大型化してしまう。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、駆動装置の大型化を招くことなく、駆動装置の出力側の回転情報を得ることができる減速機、駆動ユニット、及び、操舵補助装置を提供するものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一態様に係る減速機は、ベースブロックと、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
前記回転検出装置は、前記筒状ケースの軸方向の端面と前記ベースブロックの軸方向の端面のいずれか一方に設置される検出ターゲットと、前記筒状ケースの軸方向の端面と前記ベースブロックの軸方向の端面のいずれか他方に設置されるターゲット検出部と、を有し、前記ターゲット検出部の検出面が前記検出ターゲットに対峙するように配置されるようにしても良い。
また、前記筒状ケースには、当該筒状ケースの軸方向の端部を覆うカバー部材が取り付けられ、前記回転検出装置は、前記カバー部材と前記ベースブロックの軸方向の端部のいずれか一方に設置される検出ターゲットと、前記カバー部材と前記ベースブロックの軸方向の端部のいずれか他方に設置されるターゲット検出部と、を有し、前記ターゲット検出部の検出面が前記検出ターゲットに対峙するように配置されるようにしても良い。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の一態様に係る減速機は、ベースブロックと、偏心回転部を有し前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を入力されるクランク軸と、外周部に外歯を有し前記偏心回転部から偏心回転力を受けて揺動回転する揺動歯車と、前記外歯と異なる歯数の内歯を有し、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で前記外歯と噛み合って回転する筒状ケースと、前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の一態様に係る駆動ユニットは、回転動力を出力する駆動装置と、前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、前記減速機は、ベースブロックと、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の一態様に係る操舵補助装置は、回転動力を出力する駆動装置と、前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、前記減速機で減速された動力を受けて動作する操舵機構と、を備え、前記減速機は、前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
ここで、第2ベースブロック12Bの基板部12Baの軸方向外側の端部には、径方向外側に張り出すように端部フランジ12Bcが一体に形成されている。端部フランジ12Bcは、基板部12Baと筒状ケース15の間のシール部材28の軸方向外側領域を覆うように配置さている。端部フランジ12Bcには、ベースブロック12と筒状ケース15の間の相対回転位置や相対回転速度を検出するための回転検出装置41が取り付けられている。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
(5) 回転動力を出力する駆動装置と、
前記駆動装置から動力を受けて入力回転を減速する減速機と、を備え、
前記減速機は、
ベースブロックと、
前記ベースブロックに回転可能に支持された状態で駆動装置から動力を受けて回転する入力回転体と、
前記入力回転体の回転を減速する減速機構部と、
前記減速機構部の外側を覆い前記減速機構部で減速された動力を受けて回転する筒状ケースと、
前記ベースブロックと前記筒状ケースの相対回転状態を検出する回転検出装置と、を備えている駆動ユニット。