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特開2024-103772多機能の調光フィルムおよびこのフィルムを含む構造体
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  • 特開-多機能の調光フィルムおよびこのフィルムを含む構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103772
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】多機能の調光フィルムおよびこのフィルムを含む構造体
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240725BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240725BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240725BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20240725BHJP
   G02F 1/15 20190101ALN20240725BHJP
   G02F 1/17 20190101ALN20240725BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1334
G02F1/1335 510
G02F1/1343
G02F1/15 502
G02F1/17
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091911
(22)【出願日】2024-06-06
(62)【分割の表示】P 2021514989の分割
【原出願日】2019-10-03
(31)【優先権主張番号】62/741,078
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/811,048
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ファレイロル,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】松田 裕
(72)【発明者】
【氏名】ポーレン,マルクス,ヴァルター
(57)【要約】
【課題】調光機能を有するラミネートグレージングを提供する。
【解決手段】ラミネートグレージングは、両者間に第1、第2のポリマー中間フィルムを有する第1のガラス基板および第2のガラス基板と、ポリマー中間フィルムの間に積層された層状フィルムと、を備える。層状フィルムは、第1、第2、第3の少なくとも3つのキャリアフィルムと、第1、第2のキャリアフィルムの間に配置された第1の調光層と、第2、第3のキャリアフィルムの間に配置された第2の調光層と、を含む。キャリアフィルムの面は透明導電性コーティングでコーティングされる。第1のキャリアフィルムおよび第3のキャリアフィルムは偏光フィルムを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体に積層され、かつ両者間に第1および第2のポリマー中間フィルムを有する、第1のガラス基板および第2のガラス基板と、
上記第1および第2のポリマー中間フィルムの間に積層された層状フィルムと、
を備えたラミネートグレージングであって、
上記層状フィルムは、
互いに平行に配置され、かつ第1のキャリアフィルムと第3のキャリアフィルムとの間に第2のキャリアフィルムが配置されており、第1のキャリアフィルムの第1の面は第1の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第1の面は第2の透明導電性コーティングでコーティングされ、第1のキャリアフィルムの第1の面は第2のキャリアフィルムの第1の面に面しており、第2のキャリアフィルムの第2の面は第3の透明導電性コーティングでコーティングされ、第3のキャリアフィルムの第1の面は第4の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第2の面は第3のキャリアフィルムの第1の面に面している、少なくとも3つのキャリアフィルムと、
上記第1のキャリアフィルムと上記第2のキャリアフィルムとの間に配置された第1の調光層と、
上記第2のキャリアフィルムと上記第3のキャリアフィルムとの間に配置された第2の調光層と、
を含み、
上記第1のキャリアフィルムが第1の偏光フィルムを含み、上記第3のキャリアフィルムが第2の偏光フィルムを含み、第1の偏光フィルムは第2の偏光フィルムの偏光角に対して90°の偏光角を有し、
上記第2のキャリアフィルムは、非偏光キャリアフィルムからなる、
ラミネートグレージング。
【請求項2】
上記ラミネートグレージングは自動車用グレージングを含む、請求項1に記載のラミネートグレージング。
【請求項3】
上記第1の調光層もしくは上記第2の調光層の少なくとも一方が液晶層を含む、請求項1に記載のラミネートグレージング。
【請求項4】
上記第2の調光層がポリマー分散液晶層を含む、請求項3に記載のラミネートグレージング。
【請求項5】
上記第1の調光層および上記第2の調光層が異なる材料を含む、請求項1に記載のラミネートグレージング。
【請求項6】
上記第1の調光層に電力供給するための第1の電気的接続と、上記第2の調光層に電力供給するための第2の電気的接続と、をさらに備え、上記第1の電気的接続および上記第2の電気的接続は、個々に制御される、請求項1に記載のラミネートグレージング。
【請求項7】
上記第1および第2の透明導電性コーティングが、上記第1および第2の透明導電性コーティングの第1のセグメントを規定する削除部を含む、請求項1に記載のラミネートグレージング。
【請求項8】
上記層状フィルムが、第4のキャリアフィルムと、第3の調光層と、をさらに含み、
上記第4のキャリアフィルムは、上記第3のキャリアフィルムに面し、第3のキャリアフィルムの第2の面が第5の透明導電性コーティングでコーティングされ、第4のキャリアフィルムの第1の面が第6の透明導電性コーティングでコーティングされ、第3のキャリアフィルムの第2の面が第4のキャリアフィルムの第1の面に面しており、
上記第3の調光層は、第3のキャリアフィルムと第4のキャリアフィルムとの間に配置されている、
請求項1に記載のラミネートグレージング。
【請求項9】
赤外線反射層を含む、請求項1に記載のラミネートグレージング。
【請求項10】
上記赤外線反射層は上記透明導電性コーティングの少なくとも1つである、請求項9に記載のラミネートグレージング。
【請求項11】
透明誘電体層をさらに含む、請求項1に記載のラミネートグレージング。
【請求項12】
上記第2の調光層は、ポリマー分散液晶層およびポリマーネットワーク液晶層からなる群から選択される、請求項1に記載のラミネートグレージング。
【請求項13】
互いに平行に配置され、かつ第1のキャリアフィルムと第3のキャリアフィルムとの間に第2のキャリアフィルムが配置されており、第1のキャリアフィルムの第1の面は第1の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第1の面は第2の透明導電性コーティングでコーティングされ、第1のキャリアフィルムの第1の面は第2のキャリアフィルムの第1の面に面しており、第2のキャリアフィルムの第2の面は第3の透明導電性コーティングでコーティングされ、第3のキャリアフィルムの第1の面は第4の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第2の面は第3のキャリアフィルムの第1の面に面している、少なくとも3つのキャリアフィルムと、
上記第1のキャリアフィルムと上記第2のキャリアフィルムとの間に配置された第1の調光層と、
上記第2のキャリアフィルムと上記第3のキャリアフィルムとの間に配置された第2の調光層と、
を含み、
上記第1の調光層は懸濁粒子デバイス層を含み、上記第2の調光層は液晶層を含み、
上記第1のキャリアフィルムが第1の偏光フィルムを含み、上記第3のキャリアフィルムが第2の偏光フィルムを含み、第1の偏光フィルムは第2の偏光フィルムの偏光角に対して90°の偏光角を有し、
上記第2のキャリアフィルムは、非偏光キャリアフィルムからなる、
層状材料。
【請求項14】
上記第1および第4の透明導電性コーティングが、上記第1および第4の透明導電性コーティングの第1のセグメントを規定する削除部を含む、請求項13に記載の層状材料。
【請求項15】
上記層状材料は、第4のキャリアフィルムと、第3の調光層と、をさらに含み、
上記第4のキャリアフィルムは、上記第3のキャリアフィルムに面し、第3のキャリアフィルムの第2の面が第5の透明導電性コーティングでコーティングされ、第4のキャリアフィルムの第1の面が第6の透明導電性コーティングでコーティングされ、第3のキャリアフィルムの第2の面が第4のキャリアフィルムの第1の面に面しており、
上記第3の調光層は、第3のキャリアフィルムと第4のキャリアフィルムとの間に配置されている、
請求項13に記載の層状材料。
【請求項16】
一体に積層され、かつ両者間に第1および第2のポリマー中間フィルムを有する、第1のガラス基板および第2のガラス基板と、
上記第1および第2のポリマー中間フィルムの間に積層された層状フィルムと、
を備えたラミネートグレージングであって、
上記層状フィルムは、複数のキャリアフィルムと複数の調光層とを含み、各々の調光層は、2つの隣接したキャリアフィルムの間に配置されており、この2つの隣接したキャリアフィルムにおける上記調光層に面する少なくとも1つの面は透明導電性コーティングでコーティングされており、
上記層状フィルムは、少なくとも透明導電性コーティングおよび各調光層の特性に応じて、ラミネートグレージングを透過する光の量を変化させるように構成されており、
上記複数のキャリアフィルムおよび複数の調光層は、
互いに平行に配置され、かつ第1のキャリアフィルムと第3のキャリアフィルムとの間に第2のキャリアフィルムが配置された、少なくとも3つのキャリアフィルムと、
上記第1のキャリアフィルムと上記第2のキャリアフィルムとの間に配置された第1の調光層と、
上記第2のキャリアフィルムと上記第3のキャリアフィルムとの間に配置された第2の調光層と、
を含み、
上記第1のキャリアフィルムが第1の偏光フィルムを含み、上記第3のキャリアフィルムが第2の偏光フィルムを含み、第1の偏光フィルムは第2の偏光フィルムの偏光角に対して90°の偏光角を有し、
上記第2のキャリアフィルムは、非偏光キャリアフィルムからなる、
ラミネートグレージング。
【請求項17】
上記第1のキャリアフィルムの第1の面は第1の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第1の面は第2の透明導電性コーティングでコーティングされ、第1のキャリアフィルムの第1の面は第2のキャリアフィルムの第1の面に面しており、
第2のキャリアフィルムの第2の面は第3の透明導電性コーティングでコーティングされ、第3のキャリアフィルムの第1の面は第4の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第2の面は第3のキャリアフィルムの第1の面に面している、
請求項16に記載のラミネートグレージング。
【請求項18】
上記第1の調光層が液晶層を含む、請求項16に記載のラミネートグレージング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年10月4日に出願された「多機能の調光フィルムおよびこのフィルムを含む構造体」という名称の米国特許仮出願第62/741,078号の優先権、および、2019年2月27日に出願された「多機能の調光フィルムおよびこのフィルムを含む構造体」という名称の米国特許仮出願第62/811,048号の優先権を主張している。これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概ね、少なくとも2つの機能層を有する調光フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス構造体における調光フィルムは、建築用および車両用の窓を含む(これらには限定されない)種々の目的のために提供されている。調光フィルムは、液晶構造に基づくもの(これには限定されない)が含まれる。調光フィルムは、フィルムに電界を印加することにより、不透明ないし暗い状態から透明な状態に選択的に変化させ得る。調光材料を制御するために、電気的接続部がガラス構造体内に配置され得る。電界が起動したときに、調光材料が不透明状態から透明状態に、またはその逆に、変化する。
【0004】
調光材料は、ポリマー分散液晶(PDLC)構造体、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)構造体、懸濁粒子デバイス(SPD)構造体、を含む種々の形態で提供され得る。さらに、調光フィルムは、エレクトロクロミック構造体を含み得る。特に、PDLCフィルムは、液体ポリマーマトリックス全体に分散された液晶によって形成される。ポリマーマトリックスが固化すると、液晶は液滴を形成する。液晶液滴のランダムな配置により、オフ状態において、不透明で乳白色のPDLCの外観が得られる。PDLCに電流が加えられると、液晶は電界の方向にネマチック配向で整列する。平行配向により光が通過し、ON状態ではPDLCは透明になる。PNLCもまた、不透明状態と透明状態とを選択的に切り替えることができるフィルムを提供し得る。PNLCフィルムは、ポリマーに対する液晶の比率がはるかに高く、必要な駆動電圧は低い。また、PDLCフィルムおよびPNLCフィルムは、逆配列を有するように構成され得る。デフォルトのオフ状態では、PDLCやPNLCが透明であり、電圧が印加されたオン状態で、PDLCやPNLCが不透明となる。
【0005】
PDLCフィルムやPNLCフィルムは、様々な用途において、プライバシーを提供したり光の透過を許容したりするために、選択的に使用することができる。PDLCフィルムおよびPNLCフィルムは、ディスプレイ面として使用することができる。ディスプレイ面は、フィルム上に画像を投影するためのソースとともに使用される白色の不透明フィルムであり得る。しかし、PDLCやPNLCのディスプレイは、フィルムの背後の光の影響を受け得る。建築用途および車両用途では、太陽光や他の光源がPDLCないしPNLCフィルムの背後を照らし、ディスプレイ上の投影の視認性を妨げることがある。従って、従来技術では、様々な照明条件での使用が改善されたPDLCフィルムないしPNLCフィルムが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016216929号明細書
【発明の概要】
【0007】
本明細書に開示される特定の実施形態は、ラミネートグレージングを含む。このラミネートグレージングは、一体に積層され、かつ両者間に第1および第2のポリマー中間フィルムを有する、第1のガラス基板および第2のガラス基板と、第1および第2のポリマー中間フィルムの間に積層された層状フィルムと、を含む。層状フィルムは、互いに平行に配置され、かつ第1のキャリアフィルムと第3のキャリアフィルムとの間に第2のキャリアフィルムが配置されており、第1のキャリアフィルムの第1の面は第1の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第1の面は第2の透明導電性コーティングでコーティングされ、第1のキャリアフィルムの第1の面は第2のキャリアフィルムの第1の面に面しており、第2のキャリアフィルムの第2の面は第3の透明導電性コーティングでコーティングされ、第3のキャリアフィルムの第1の面は第4の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第2の面は第3のキャリアフィルムの第1の面に面している、少なくとも3つのキャリアフィルムと、第1のキャリアフィルムと第2のキャリアフィルムとの間に配置された第1の調光層と、第2のキャリアフィルムと第3のキャリアフィルムとの間に配置された第2の調光層と、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、ラミネートグレージングは、建築用または自動車用のグレージングであり得る。
【0009】
ラミネートグレージングは、反射防止層や透明誘電体層をさらに含み得る。
【0010】
透明誘電体層は、特に、少なくとも1つのキャリアフィルムと透明導電性コーティングとの間に配置され得る。
【0011】
さらに、ラミネートグレージングは、懸濁粒子デバイス調光層を含み得る。いくつかの実施形態は、液晶調光層を含み得、これは、ポリマー分散液晶層またはポリマーネットワーク液晶層を含み得る。特定の実施形態は、エレクトロクロミック調光層を含み得る。
【0012】
特定の実施形態では、調光層は異なるものであり得る。特定の実施形態は、懸濁粒子デバイスおよび液晶層を含み得、これは、特定の実施形態においては、ポリマー分散液晶層またはポリマーネットワーク液晶層を含み得る。
【0013】
ラミネートグレージングの調光層は、第1および第2の電気的接続を含み得、これらは別々に制御され得る。さらに電気的接続は、オン状態、オフ状態、および部分的にオン状態、を提供するように可変であり得る。
【0014】
さらなる実施形態では、調光層のいずれかまたは双方がセグメント化されていてもよく、透明導電性コーティングは、セグメンテーションを形成する削除部を含み得る。セグメントは、一方または双方の調光層に提供され得る。調光層の双方がセグメント化されている場合、セグメンテーションは同じでも異なっていてもよい。さらに、調光層のセグメントは、互いに電気的に絶縁され、電源に別々に接続され得る。
【0015】
特定の実施形態では、中間フィルムは、ポリビニルブチラールを含み得る。
【0016】
特定の実施態様では、第4のキャリアフィルムと、第3の調光層と、を提供し得る。第4のキャリアフィルムは、第3のキャリアフィルムに面し、第3のキャリアフィルムの第2の面が第5の透明導電性コーティングでコーティングされ、第4のキャリアフィルムの第1の面が第6の透明導電性コーティングでコーティングされ、第3のキャリアフィルムの第2の面が第4のキャリアフィルムの第1の面に面している。第3の調光層は、第3のキャリアフィルムと第4のキャリアフィルムとの間に配置されている。
【0017】
ラミネートグレージングは、赤外線反射層をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、赤外線反射層は、第1の透明導電性コーティングを含む透明導電性コーティングであり得る。
【0018】
いくつかのさらなる実施形態では、キャリアフィルムのうちの2つは、偏光フィルムであり得、一方の偏光フィルムが他方の偏光フィルムの偏光角に対して90°の偏光角を有する。これらの偏光フィルム間の調光層として液晶層が提供され得る。他の調光層としては、ポリマー分散液晶層あるいはポリマーネットワーク液晶層を含み得る。
【0019】
本出願は、さらに層状材料を開示する。この層状材料は、互いに平行に配置され、かつ第1のキャリアフィルムと第3のキャリアフィルムとの間に第2のキャリアフィルムが配置されており、第1のキャリアフィルムの第1の面は第1の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第1の面は第2の透明導電性コーティングでコーティングされ、第1のキャリアフィルムの第1の面は第2のキャリアフィルムの第1の面に面しており、第2のキャリアフィルムの第2の面は第3の透明導電性コーティングでコーティングされ、第3のキャリアフィルムの第1の面は第4の透明導電性コーティングでコーティングされ、第2のキャリアフィルムの第2の面は第3のキャリアフィルムの第1の面に面している、少なくとも3つのキャリアフィルムと、第1のキャリアフィルムと第2のキャリアフィルムとの間に配置された第1の調光層と、第2のキャリアフィルムと第3のキャリアフィルムとの間に配置された第2の調光層と、を含む。
【0020】
さらに、層状材料は、懸濁粒子デバイス調光層を含み得る。いくつかの実施形態は、液晶調光層を含み得、これは、ポリマー分散液晶層またはポリマーネットワーク液晶層を含み得る。特定の実施形態は、エレクトロクロミック調光層を含み得る。特定の実施形態は、懸濁粒子デバイスおよび液晶層を含み得、これは、特定の実施形態においては、ポリマー分散液晶層またはポリマーネットワーク液晶層を含み得る。
【0021】
層状材料は、第1および第2の透明導電性コーティングを含み得、これらは同じであり得る。特に、このコーティングはインジウムスズ酸化物であり得る。さらなる実施形態は、複数のタイプの透明導電性コーティングを含み得る。特定の実施形態では、透明導電性コーティングは、赤外線反射層を含み得る。
【0022】
層状材料のさらなる実施形態は、透明誘電体層を含み得る。いくつかの実施形態では、透明誘電体層は、キャリアフィルムと導電性コーティングとの間に配置され得る。
【0023】
さらなる実施形態では、調光層のいずれかまたは双方がセグメント化されていてもよく、透明導電性コーティングは、セグメンテーションを形成する削除部を含み得る。セグメントは、一方または双方の調光層に提供され得る。調光層の双方がセグメント化されている場合、セグメンテーションは同じでも異なっていてもよい。さらに、調光層のセグメントは、互いに電気的に絶縁され、電源に別々に接続され得る。
【0024】
さらに、ポリビニルブチラールを含む中間フィルムの間に層状材料が積層されていてもよく、これはさらにガラス基板の間に積層され得る。
【0025】
特定の実施形態は、さらに、第4のキャリアフィルムと、第3の調光層と、を提供し得る。第4のキャリアフィルムは、上記第3のキャリアフィルムに面し、第3のキャリアフィルムの第2の面が第5の透明導電性コーティングでコーティングされ、第4のキャリアフィルムの第1の面が第6の透明導電性コーティングでコーティングされ、第3のキャリアフィルムの第2の面が第4のキャリアフィルムの第1の面に面している。第3の調光層は、第3のキャリアフィルムと第4のキャリアフィルムとの間に配置されている。
【0026】
いくつかのさらなる実施形態では、キャリアフィルムのうちの2つは、偏光フィルムであり得、一方の偏光フィルムが他方の偏光フィルムの偏光角に対して90°の偏光角を有する。これらの偏光フィルム間の調光層として液晶層が提供され得る。他の調光層としては、ポリマー分散液晶層あるいはポリマーネットワーク液晶層を含み得る。
【0027】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の1つまたは複数の例示的な態様を示し、詳細な説明とともに、それらの原理および実施を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の例示的な実施形態による、2つの調光層を有する積層スタックを含むラミネートガラスの断面図を示す。
図2】本開示の例示的な実施形態による、SPD-PDLCフィルムを含むラミネートガラスの断面図を示す。
図3】本開示の例示的な実施形態による、3つの調光層を含むラミネートガラスの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここに開示されるのは、複数の機能層を有する多機能の調光フィルム、およびそのようなフィルムを有するガラス製品である。以下の説明では、説明の目的で、本開示の1つまたは複数の態様の完全な理解を促進するために特定の詳細が示されている。しかしながら、いくつかまたはすべての場合において、以下に説明される多くの態様が、以下に説明される特定の設計の詳細を採用することなく実施できることは明らかであり得る。
【0030】
本開示の目的のために、PDLC、PNLC、SPD、エレクトロクロミック、調光、あるいはキャリア、のフィルム、の「側」とは、その上に基板および/またはフィルム層が積み重ねられ得ることとなる、フィルムの表面ないし部分である。ここに開示されるフィルムは、「不透明」状態から「透明」状態に切り替わり得る。フィルムは、透明状態では、不透明状態よりも高い可視光透過率を有する。一部の光は不透明フィルムを透過することがあり得、また不透明フィルムには、乳白色ではない暗色のフィルムが含まれ得る。一部のフィルムでは、透明なオン状態の可視光透過率が100%未満であり得る。さらに、フィルムは、不透明状態における可視光透明度と透明状態における可視光透明度との間の可視光透明度となる、少なくとも1つの部分的に不透明な状態を有し得る。可視光の透明度は、ISO 3538:1997、「道路車両-安全グレージング材料-光学特性の試験方法」によって特に決定され得る。
【0031】
調光層ないしフィルムは、ポリマー分散液晶(PDLC)、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)、懸濁粒子デバイス(SPD)、またはエレクトロクロミックフィルム、を含む任意の適当な材料を含み得る。特に、SPD材料は、液体中に懸濁された粒子を含み得る。SPDフィルムは、フィルム内に懸濁された粒子によって、オフ状態で色が暗い色となり得る。印加電圧の下のオン状態では、SPDフィルムは、透明あるいはオフ状態よりも透明であり得る。SPDフィルムに電流を流すと、粒子が整列し、光がフィルムを通過する。SPDフィルムを透過する光の量は、印加される電圧に依存し得る。従って、SPDフィルムをオン状態とするのに必要な電圧よりも低い電圧を印加することによって、部分的にオンの状態が達成され得る。
【0032】
液晶調光フィルムは、オフ状態で不透明あるいは透明であり得る。液晶調光フィルムに電圧を印加すると、オン状態で、フィルムは、不透明から透明に、または透明から不透明に、切り替わり得る。透明度および不透明度の変化量は、フィルムに印加される電圧の量によって制御することができ、部分的にオンの状態が形成され得る。特に、フィルムの完全にオンの状態を提供するであろう電圧よりも低い電圧の印加によって、部分的にオンの状態が達成され得る。PDLCおよびPNLCと同様に、SPDは、フィルムに印加される電圧に応じて、選択的に、オン、部分的にオン、またはオフの状態になり得る。
【0033】
通常、PDLCフィルムあるいはPNLCフィルムは、ディスプレイ画面として使用し得る乳白色の不透明な表面を提供し得るが、フィルムは光を完全には遮断しないことがあり得る。従って、一部の光は、不透明状態にあるPDLCフィルムないしPNLCフィルムを透過し得る。PDLCフィルムないしPNLCフィルムがスクリーンとして使用される場合、フィルムを透過する光は望ましくないものとなり得る。この光は、フィルム表面上のディスプレイの視認性、およびフィルムディスプレイを使用しているユーザーの快適さ、を妨げ得る。PDLCないしPNLCを透過する光を制限することは、太陽などの光源の干渉を制限するために、望ましいものとなり得る。SPDなどの調光層は、PDLCないしPNLCディスプレイの背後に暗い面を提供し、液晶ディスプレイへの太陽光の影響を制限し得る。より暗い背景は、PDLCないしPNLCディスプレイからの太陽光を遮り、液晶ディスプレイの視認体験が向上する。表示面を透過する光が減少すると、フィルム上に表示される画像のコントラストが向上し得る。
【0034】
さらに、PDLCないしPNLCディスプレイは方向性がない。従って、PDLCないしPNLCディスプレイの上に投影された画像は、フィルムの反対側から視認し得る。SPDを含む暗くなった調光層は、一部の照明条件では、PDLCないしPNLCディスプレイの反対側にある画像の視認性を低下させ得る。
【0035】
調光機能を有するガラス製品は、2つのガラス基板の間に調光フィルムを設けることによって形成され得る。一般に、PDLC層、PNLC層、SPD層、を含む調光層は、それぞれ2つのキャリアフィルムの間に構成される。キャリアフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムおよびポリカーボネートフィルムなどのポリマーフィルム、またはコーティングされたガラスシート、を含み得るが、これらには限定されない。透明導電性材料(インジウムスズ酸化物(ITO)などの透明導電性酸化物(TCO)を含むがこれらには限定されない)が、機能的調光層が当該透明導電性材料のコーティングに面するように、キャリアフィルム上にコーティングされ得る。このフィルム構造体は、2つの接着性ポリマー中間層(ポリビニルブチラール(PVB)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)を含み得るが、これらに限定されない)の間に挟まれたものとなり得る。特に、PVB調光フィルム構造体-PVB層状材料は、2つのガラス基板の間に積層され得る。層状フィルムは、さらに、非ガラス材料の間での積層を含む、他の任意の適当な用途で使用され得る。
【0036】
調光ディスプレイ画面に調光式の暗色の背景を提供するために、単一のラミネートガラスの中に、液晶調光フィルム(例えばPDLC、PNLC、SPDフィルム)のような複数の調光機能フィルムを含めることが望ましいことがあり得る。上述のように、構造体内に複数の調光層が設けられる場合には、典型的には、各調光層は、構造体が調光層の各々に対して2つのキャリアフィルム(例えば、PETフィルム)を含み得るように、PETシートの間に別々に構成され得る。キャリアフィルムは、間に接着剤がなければ、ラミネートガラスの中で直接に一体にラミネートすることができない。従って、PVBなどの接着性ポリマー層が、調光フィルムのキャリアフィルムの間に含まれる必要がある。結果として、複数のポリマーシートおよび接着シートが、ラミネートの厚さの増加、望ましくないヘイズまたは光反射、ラミネート製品のコスト、を招来し得る。本開示の態様によれば、接着層およびキャリアフィルム層が、複数の機能層を有する多機能の調光複合フィルムを有する最終的なガラス製品の設計から削除され得る。このように、より少ない接着層およびキャリアフィルム層によって、より軽量の構造体が提供され得ることとなり、これにより、最終ガラス製品の潜在的な重量を低減し得る。さらに、複合フィルム構造は、ガラス製品の準備および積層中においてガラス基板間の中間層を整列させる際に、より少ない工程を必要とし得る。少なくともこれらの理由のために、単一のフィルムシート中に複数の機能的調光層を有するラミネートフィルムは、個別のフィルムに必要な追加の厚さよりも好ましいものとなり得る。このようなフィルムの1つは、単一のフィルム構造体の中に、PDLC機能層およびSPD機能層を含み得る。
【0037】
複数の機能層を有するフィルムでは、各層が1つまたは複数の電源に別々に接続され得る。従って、ユーザは、各機能層のオン/オフ状態を独立して制御し得る。例えば、SPD層およびPDLC層ないしPNLC層を有する構造体では、ユーザは、両方の層がオン状態、両方の層がオフ状態、一方の層がオン状態で他方の層がオフ状態、を選択し得る。いずれかまたは両方の機能層が、さらに部分的にオンの状態となり得る。ラミネートガラスは、両方の機能層が透明な状態にある場合、典型的なガラスのように見え得る。あるいは、ユーザは、プライバシーを高め、光透過を制限し、および/またはディスプレイ画面を提供するために、1つの機能層または両方の機能層を不透明に切り替え得る。調光層への電気的接続は、オンまたは部分的にオンの状態が達成され得るように、可変電圧接続を有し得る。電気的接続は、調光層を囲む導電性コーティングの各々にに貼り付けられたバスバーおよびコネクタを含み得、コネクタが電源に接続され得る。調光層の各々に対する電源は同じであっても異なっていてもよく、各電源は、調光フィルムに可変電圧を提供するように構成され得、この場合、ユーザーは、所望の調光機能に対応する印加電圧を決定し得る。
【0038】
図2は、本開示の態様による、単一の中間フィルム内に2つの機能層、SPD220およびPDLC230、を有する曲げラミネートガラス100を示している。図1に示すように、フィルム104は、少なくとも3つのキャリアフィルム203,206を含み得る。特定の実施形態では、外側キャリアフィルム203は、それぞれ、調光機能層205に面する内側面が導電性材料204でコーティングされ得、いくつかの実施形態では調光機能層205はSPDまたはPDLCを含み得る。内側キャリアフィルム206は、調光層205の間に配置され得、このキャリアフィルム206の両側が導電性材料204でコーティングされ得る。従って、調光層205の各々は、隣接するキャリアフィルム203,206にコーティングされた導電性材料204によって囲まれ得る。SPD-PDLCフィルム、あるいは他のマルチ調光フィルム104は、さらに、PVBを含み得る中間接着性ポリマーフィルム103,105の間に挟まれ得る。ラミネートガラス100を形成するように、ガラス基板502,505が接着性フィルム103,105の外側に配置され得る。調光層205がSPDおよびPDLCを含む場合、SPD層220は、好ましくは、PDLC230とラミネートガラス100の外側面との間に配置され得る。例えば、車両の窓において、PDLC層230は、SPD層220よりも車内に近くに配置され得る。車両の窓としては、サイドウィンドウ、サンルーフ、ウインドシールド、バックウィンドウ、を含む任意の適当な窓を含み得る。ここに開示されるフィルムおよびラミネートガラス製品は、さらに、建築用グレージングにおいて使用し得る。
【0039】
透明導電性材料204は、キャリアフィルム203,206をコーティングして透明導電層を形成するのに適した任意の材料であり得る。透明導電性材料204は、限定するものではないが、有機導電性ポリマー、透明導電性酸化物、透明導電性非酸化物、を含み得る。有機導電性ポリマーには、限定するものではないが、ポリチオフェン(PEDOTなど)、ポリピロール、ポリアニリンが含まれ得る。透明導電性酸化物には、限定するものではないが、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素スズ酸化物(FTO)、アルミニウム酸化亜鉛(AZO)、インジウムガリウム酸化亜鉛(IGZO)、が含まれ得る。透明導電性非酸化物には、限定するものではないが、グラフェン、カーボンナノチューブ、銀ナノワイヤー(AgNW)、が含まれ得る。
【0040】
SPD層220に隣接する透明導電性材料204は、PDLC層230に隣接する透明導電性材料204と同じであってもよく異なっていてもよい。機能的調光層205は、単一の多機能フィルム104内で、同じまたは異なる導電層204によって挟まれ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の調光層がセグメント化され得る。セグメント化された調光層は、セグメントを定義する削除部を有する透明導電性層の間に配置され得る。セグメントは、互いに独立して電気的に制御され得るように、互いに電気的に絶縁され得る。調光層における各セグメントは、電源に個別に接続され得る。フィルム内で複数の調光層がセグメント化されている場合、セグメンテーションは、同じパターンあるいは異なるパターンを有するものとし得る。調光層がセグメント化されている場合、調光層を囲む透明導電層は、それぞれ、所望のセグメンテーションパターンでエッチングされ得る。
【0042】
さらなる実施形態では、透明誘電体層が、透明導電層204とキャリアフィルム203,206との間にコーティングされ得る。透明誘電体層は、反射率整合(IM)層あるいはパッシベーション層であり得る。IM層は、無機または有機の低反射率層、高反射率層、またはそれらの組み合わせを含み得る。透明誘電体層は、限定するものではないが、Si、Ti、A1、Zr、の酸化物、窒化物ないし酸窒化物のいずれか1つ、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0043】
さらに、反射防止層が、開示された層状の調光フィルム104を有する構造体に含まれ得る。反射防止層は、構造体内の任意の適当な層の反射率を低下させ得る。特に、反射防止層は、好ましくは、透明導電性材料204からの反射を制限し得る。いくつかの実施形態では、反射IM層、パッシベーション層、または反射防止層の材料は、同じであり得る。さらに、反射防止層は、スクリーン表面の前方のガラスなどの基板からのグレアを防止するために、スクリーンとして使用されるフィルム104の前方の基板上に提供され得る。反射防止層は、特定の実施形態では、少なくとも1つのキャリアフィルム203,206および/またはガラス基板502,505の上に含まれ得る。いくつかの実施形態では、反射防止層は、透明導電性コーティング204の反射率が低下するように、少なくとも1つのキャリアフィルム203,206と透明導電性コーティング204との間にあり得る。反射防止フィルムないしコーティングは、透明導電性コーティング204のいくつかまたはすべてに適用され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、ラミネートガラス構造体は、赤外線反射(IRR)層を含み得る。IRR層は、フィルムまたはガラスシートを含むグレージングの任意の適当な面の上に提供され得るコーティングを含み得る。特定の実施形態では、IRR層は、調光フィルム内に提供され得る。特に、IRR層はまた、調光フィルム内の透明導電層がIRR特性を有し得るように、導電性材料であり得る。好ましくは、IRR層は、積層フィルムの調光層と外側へ面したガラスシートとの間にある。IRR層は、赤外線が調光フィルム内の調光材料層に到達する前に赤外光を反射し得、調光材料が赤外線に晒されるのを制限し得る。IRRコーティングは、複数の層を含み得、任意の適当な機能性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、IRRコーティングは、銀、金、銅、などの金属、あるいは非金属、である少なくとも1つの機能層を含み得る。好ましくは、IRRコーティングは、銀である少なくとも1つの機能層を含む。
【0045】
本開示の態様によれば、SPD層および液晶調光層を含み得る調光層205のオン・オフ状態を制御する電力を提供するために、バスバーが、ラミネートガラス100の透明導電性材料204上に提供され得る。一実施形態では、図1を参照すると、各外側キャリアフィルム203および内側キャリアフィルム206の上の透明導電層204の各々の上に、バスバーが提供され得る。個別の電源が、第1の調光層205および第2の調光層205に提供され得、これらは、SPD層220および液晶調光層230を含み得、ユーザは、調光層205の一方または双方を、オン状態、オフ状態、部分的なオン状態、に制御することを選択し得る。電源は、各調光層205に対して同じであってもよく異なっていてもよい。SPD220と液晶230の調光層に加えられる電力の量を変えることにより、部分的なオン状態を提供するように層を透過する光を変化させ得る。オン状態を提供するために各層に提供される電力の量は、各機能層に対して同じであってもよく異なっていてもよい。
【0046】
任意の適当な調光材料が、ここに開示される構造体に使用され得る。例えば、調光材料は、1つまたは複数のタイプの調光材料の任意の組み合わせとして、任意のポリマー分散液晶、ポリマーネットワーク液晶、懸濁粒子デバイス、エレクトロクロミックフィルム、を含み得る。ここに開示される層状材料は、材料の単一のスタック内に、1つまたは複数のタイプの調光材料を含み得る。例えば、層状材料の実施形態は、SPDおよびPDLC層、あるいはPDLC層およびエレクトロクロミック層を含み得る。さらなる実施形態は、3つ以上の調光材料を含み得る。任意の数のキャリアフィルム、透明導電性コーティング、調光層、が層状フィルム内に積み重ねられ得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のキャリアフィルムが偏光層であり得る。偏光層は、偏光子複合物と、ポリマーフィルムを含み得るフィルムまたはガラスシートと、を含み得る。特に、多機能調光フィルムの外側キャリアフィルム203および内側キャリアフィルム206が偏光層であり得、ここで、構造体内で偏光層の一方が他方の偏光層に対して90°の偏光角を有する。液晶層は、調光層として偏光層の間に配置され得、液晶層に面する偏光層上に透明導電性コーティングが提供される。オフ状態では、各偏光層の偏光角が互いに直角であると光が各偏光層を通過しないものとなり得るため、偏光層とその間の液晶層によって黒色ないし暗い面が提供され得、これは、ディスプレイ面の背景として適したものとなり得る。黒色ないし暗い状態は、また、必要な場合、プライバシーを提供し得る。オン状態では、液晶は、偏光層が互いに90°にある場合でも、光が両方の偏光層を透過し得るように、通過する光の経路を変更し得る。光は、第1の偏光層を通過し、第2の偏光層をさらに通過するように液晶層で偏光が変化し得る。特定の例では、内側偏光フィルムは、両側が透明導電性コーティングでコーティングされており、この内側偏光フィルムはポリマー分散液晶ないしポリマーネットワーク液晶層に隣接する。ポリマー分散液晶ないしポリマーネットワーク液晶層に隣接する外側キャリアフィルムは、非偏光キャリアフィルムであり得る。従って、偏光フィルムを有する多機能調光フィルムは、透明導電性コーティングを有する第1の非偏光キャリアフィルムと、ポリマー分散液晶ないしポリマーネットワーク液晶層と、両側が透明導電性コーティングでコーティングされた偏光フィルムと、液晶層と、液晶層に面して透明導電性コーティングでコーティングされた偏光フィルムと、を含み得る。
【0048】
図3に示すように、本開示によれば、3つの調光層が単一のラミネートの中に形成され得る。ラミネートガラス基板502,505は、調光フィルム104を囲む2つのポリマー接着層103,105を囲んでいる。調光フィルムは、任意の数の調光層205を含んでいてよく、これは、任意の適当な材料であり得る。調光フィルム104の中の調光層205は、同じものであってもよく異なっていてもよい。図示の調光フィルム104では、2つの外側キャリアフィルム203がポリマー接着層103,105に面し、反対側が透明導電性コーティング204でコーティングされており、キャリアフィルム203の透明導電性コーティング204を有する側が調光層205に面している。調光層205の間には、透明導電性コーティング204が調光層205に面するように、両側に透明導電性コーティング204がコーティングされたキャリアフィルム206がある。キャリアフィルム203,206は、ポリマーフィルムを含み得る。特定の実施形態は、互いに平行な第1、第2、第3、第4のキャリアフィルム203、206を含み得、これらは、互いに向かい合うキャリアフィルムの面上に透明導電性コーティング204を有する。この実施形態では、3つの調光層205が、キャリアフィルム203、206と透明導電性コーティング204との間に提供され得る。例えば、ディスプレイとして使用し得る液晶層は、液晶層の各々の側のSPD層によって形成され得る。使用しないとき、不透明な液晶層の乳白色をマスクし得るSPD層を含めることが望ましいものとなり得る。そして、SPDは、必要なときに透明状態に切り替えられ得る。そのような実施形態に従って、少なくとも2つの調光層の任意の組み合わせが形成され得る。
【0049】
本開示の上記の説明は、当業者が本開示を作成または使用することを可能にするために提供されている。本開示に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書に規定される共通の原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の変形に適用され得る。さらに、図面に関連する上記の説明は、例を説明するものであり、実施され得る唯一の例または特許請求の範囲内にある唯一の例を表すものではない。
【0050】
さらに、記載された態様および/または実施形態の要素は単数形で説明またはクレームされ得るが、単数形への限定が明示的に述べられていない限り、複数形も含まれる。さらに、特に明記しない限り、任意の態様および/または実施形態のすべてまたは一部を、他の任意の態様および/または実施形態のすべてまたは一部と共に利用することができる。従って、本開示は、本明細書で説明される例および設計に限定されず、本明細書で開示される原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲が与えられる。
図1
図2
図3