(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103776
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】振動装置、振動装置の駆動方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20240725BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04R1/00 310G
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091943
(22)【出願日】2024-06-06
(62)【分割の表示】P 2022109598の分割
【原出願日】2019-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2018103588
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森重 隆司
(57)【要約】
【課題】高品質で臨場感のある音響を提供することが可能な振動装置、振動装置の駆動方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】
音源装置によって再生された音を示す電気信号を取得する取得部と、対象者の体の第1の部位に接する第1の接触部を振動させるように振動する第1の振動部と、第1の部位よりも対象者の頭部に近い対象者の体の第2の部位に接する第2の接触部を振動させるように振動する第2の振動部と、を有し、第1及び第2の振動部の各々は、電気信号に対応して振動し、第2の接触部が第1の接触部から遅延して振動する。
【選択図】
図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源装置によって再生された音を示す電気信号を取得する取得部と、
対象者の体の第1の部位に接する第1の接触部を振動させるように振動する第1の振動部と、
前記第1の部位よりも前記対象者の頭部に近い前記対象者の体の第2の部位に接する第2の接触部を振動させるように振動する第2の振動部と、を有し、
前記第1及び第2の振動部の各々は、前記電気信号に対応して振動し、前記第2の接触部が前記第1の接触部から遅延して振動することを特徴とする振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響に対応する振動を行う振動装置、振動装置の駆動方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のスピーカからの音声出力の特性を調節することで視聴者に高品質な音楽(音場)を提供するように構成された音響システムが知られている。例えば、特許文献1には、複数のスピーカの各々から出力される音の音域を調節するように構成された車載用音響再生装置が開示されている。また、特許文献1には、音声出力に加え、対象者の体に振動を与えることで対象者に音楽を体感させるように構成された車載用音響再生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高品質かつ臨場感のある音楽を提供することを考慮すると、音楽に合わせて体に振動を与える音響システムは、視聴者に対し、単に音楽に連動した体感振動を与えることを超えて、音楽の一部として知覚される振動を与えることが好ましい。
【0005】
または、例えば、当該音響システムが車両などの移動体に搭載される場合、当該音響システムは、高品質で臨場感のある音響を提供しつつも、種々の情報を提供するような振動を搭乗者に与えるように構成されていることが好ましい。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、高品質で臨場感のある音響を提供することが可能な振動装置、振動装置の制御方法、プログラム及び記録媒体を提供することを課題の1つとしている。または、本発明は、種々の情報を伝達することが可能な振動装置、振動装置の制御方法、プログラム及び記録媒体を提供することを課題の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、音源装置によって再生された音を示す電気信号を取得する取得部と、対象者の体の第1の部位に接する第1の接触部を振動させるように振動する第1の振動部と、前記第1の部位よりも前記対象者の頭部に近い前記対象者の体の第2の部位に接する第2の接触部を振動させるように振動する第2の振動部と、を有し、前記第1及び第2の振動部の各々は、前記電気信号に対応して振動し、前記第2の接触部が前記第1の接触部から遅延して振動することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1に係る音響システムの全体構成を示す図である。
【
図2】実施例1に係る音響システムと対象者との位置関係を示す図である。
【
図3】実施例1に係る音響システムの制御部のブロック図である。
【
図4A】実施例1に係る音響システムにおける振動制御態様を示すタイミングチャートである。
【
図4B】実施例1に係る音響システムにおける振動制御態様を示すタイミングチャートである。
【
図5】実施例1に係る音響システムにおける各振動ユニットの振動特性を示す図である。
【
図6】実施例1に係る音響システムにおける各振動ユニットの振動特性を示す図である。
【
図7A】実施例2に係る音響システムの部分的なブロック図である。
【
図7B】実施例2に係る音響システムにおける振動制御態様を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例0010】
図1は、実施例1に係る音響システム10の模式的な配置図である。
図1を用いて、音響システム10について説明する。音響システム10は、対象者が座るシート20、音出力を行う音出力装置30、対象者に振動を伝える振動装置40及びこれらを制御する制御装置50からなる。
【0011】
音響システム10は、音源SCから音を表現する電気信号である音響信号ASを取得する。例えば、音源SCは、音楽を再生するためのデータが記録された記録媒体及び当該記録媒体からのデータを読み出す装置などを含む。音響システム10は、音響信号ASに応じて、音出力装置30によって音を出力し、振動装置40によってシート20を振動させる。また、制御装置50は、音出力装置30の音出力動作及び振動装置40の振動動作を制御する。
【0012】
本実施例においては、シート20は、対象者がシート20に座った際に、当該対象者の臀部及び大腿部を支持するように構成された座部21と、当該対象者の背部及び腰部を支持するように構成された背もたれ部(バックレスト、以下、背部と称する)22と、当該対象者の頭部を支持するように構成された頭部(ヘッドレスト)23と、を含む。
【0013】
シート20は、種々の態様で対象者を支持することができる。シート20は、例えば、映画館の座席などのように固定物に固定されて使用されることもできるし、車両の座席などのように移動体に固定されて使用されることもできる。また、シート20は、脱着可能又は可搬型のイスとして使用されることもできる。
【0014】
本実施例においては、音出力装置30は、シート20及びシート20に座った対象者の前方に配置されたセンタースピーカ(第1の音出力部)31と、シート20の頭部23の近傍に配置されたヘッドレストスピーカ(第2の音出力部)32と、を含む。センタースピーカ31及びヘッドレストスピーカ32の各々は、音を出力する。
【0015】
本実施例においては、振動装置40は、シート20の座部21に埋め込まれた座部振動ユニット(第1の振動部)41と、シート20の背部22に埋め込まれた背部振動ユニット(第2の振動部)42と、を含む。座部振動ユニット41は、自身が振動することで、シート20の座部21における対象者に接する表面21Sを振動させる。背部振動ユニット42は、自身が振動することで、シート20の背部22における対象者に接する表面22Sを振動させる。なお、座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42は、それぞれ、複数の振動子を含んでいてもよい。
【0016】
また、本実施例においては、制御装置50は、音響信号ASに基づいて、音出力装置30のセンタースピーカ31及びヘッドレストスピーカ32並びに振動装置40の座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42の各々を駆動する。制御装置50は、音響信号ASに基づいて、音出力装置30を駆動する駆動信号及び振動装置40を駆動する駆動信号を生成する。制御装置50は、これらの駆動信号を音出力装置30及び振動装置40に供給する。
【0017】
図2は、音響システム10におけるシート20の側面図である。
図2には、シート20に座った対象者OBを破線で示している。
図2を用いて、音響システム10と対象者OBとの間の位置関係について説明する。
【0018】
本実施例においては、シート20の座部21の表面21Sには、対象者OBの臀部及び大腿部が接することとなる。また、シート20の背部22の表面22Sには、対象者OBの背部及び腰部が接することとなる。
【0019】
本明細書においては、シート20の座部21の表面21Sに接することとなる対象者OBの体の部位BP1を第1の部位と称する場合がある。また、シート20の座部21の表面21Sを、第1の部位BP1に接する部分として、第1の接触部と称する場合がある。
【0020】
また、シート20の背部22の表面22Sに接することとなる対象者OBの体の部位BP2を第2の部位と称する場合がある。また、シート20の背部22の表面22Sを、第2に部位BP2に接する部分として、第2の接触部と称する場合がある。本実施例においては、第2の部位BP2は、対象者OBの頭部HDに対して第1の部位BP1よりも近い位置にある対象者OBの体の部位である。
【0021】
なお、対象者OBの第1の部位BP1とシート20の第1の接触部21Sとが接すると説明した場合、両者が直接的に接する場合と、間接的に接する場合と、の両方を含むものとする。同様に、対象者OBの第2の部位BP2とシート20の第2の接触部22Sとが接すると説明した場合、両者が直接的及び間接的に接する場合を含むものとする。例えば、第1の部位BP1と第1の接触部21Sとが接する場合には、対象者OBの衣服を介して第1の部位BP1と第1の接触部21Sとが接する場合、シート20のカバーを介して第1の部位BP1と第1の接触部21Sとが接する場合などが含まれるものとする。
【0022】
一方で、音出力装置30のセンタースピーカ31及びヘッドレストスピーカ32の各々は、対象者OBには接しない。音出力装置30は、対象者OB(すなわち対象者OBの耳)に向かって空間中を進む音波を生成する装置であり、対象者OBに聴覚を与える装置であるということができる。
【0023】
図3は、音響システム10における制御装置50のブロック図である。本実施例においては、制御装置50は、音源SCから音響信号ASを取得する音響信号取得部51と、音響信号AS及び種々のデータを記憶する記憶部52とを有する。
【0024】
本実施例においては、制御装置50は、音響信号ASを分解する信号分解部53を有する。本実施例においては、信号分解部53は、音響信号ASにおける低周波成分に対応する低音域成分を抽出する低音域成分抽出部53Aと、音響信号ASにおける少なくとも当該低周波成分よりも高い周波数成分に対応する中高音域成分を抽出する中高音域成分抽出部53Bと、を有する。
【0025】
例えば、本明細書においては、低周波成分とは音響信号ASにおける200Hz以下の周波数帯の信号成分をいい、高周波成分とは音響信号ASにおける1kHz以上の周波数帯の信号成分をいう。また、これらの中間の周波数帯の信号成分を中間周波数成分と称する。
【0026】
例えば、低音域成分抽出部53Aは、所定の周波数以上(例えば500Hz以上)の信号成分を減衰させるローパスフィルタ(LPF)を含み、少なくとも低周波成分を含む音響信号ASの成分を抽出する。また、中高音域成分抽出部53Bは、所定の周波数以下(例えば200Hz以下)の信号成分を減衰させるハイパスフィルタ(HPF)を含み、少なくとも高周波成分を含む音響信号ASの成分を抽出する。
【0027】
本実施例においては、制御装置50は、信号分解部53によって分解された音響信号ASの各成分に応じて音出力装置30及び振動装置40を駆動する駆動部54を有する。駆動部54は、音響信号ASの各周波数成分の特性を調整する特性調整部54Aと、音出力装置30及び振動装置40の駆動タイミングを調整するタイミング調整部54Bと、を有する。
【0028】
例えば、特性調整部54Aは、音響信号ASに対して音場補正を行う種々の処理を行う信号処理回路と、音響信号ASの低周波成分(低音域成分)に対してイコライジング処理を行うイコライザ回路と、を含む。また、例えば、タイミング調整部54Bは、遅延回路を含む。
【0029】
また、本実施例においては、駆動部54は、信号分解部53によって分解されかつ特性調整部54Aによって種々の調整がされた音響信号AS及びその各成分に対応して音出力及び振動を行うように、音出力装置30及び振動装置40を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部54Cを有する。
【0030】
本実施例においては、駆動信号生成部54Cは、センタースピーカ31を駆動してセンタースピーカ31に音出力を行わせる第1のスピーカ駆動信号S1と、ヘッドレストスピーカ32を駆動してヘッドレストスピーカ32に音出力を行わせる第2のスピーカ駆動信号S2と、を生成する。駆動信号生成部54Cは、例えば、音出力装置30を駆動するための駆動電圧を生成する電圧生成回路及び増幅回路を含む。
【0031】
また、本実施例においては、駆動信号生成部54Cは、座部振動ユニット41を駆動して座部振動ユニット41を振動させる第1の振動駆動信号V1と、背部振動ユニット42を駆動して背部振動ユニット42を振動させる第2の振動駆動信号V2と、を生成する。駆動信号生成部54Cは、例えば、振動装置40を振動させる駆動電圧を生成する。
【0032】
センタースピーカ31は、第1のスピーカ駆動信号S1によって、音響信号ASに対応して音出力を行う。例えば、センタースピーカ31は、シート20に座った対象者OBの前方に配置され、音像定位に大きな影響を及ぼす高音域の音を出力するスピーカである。例えば、センタースピーカ31としては、周辺への音漏れを低減するために、パラメトリックスピーカなどの狭指向性のスピーカが使用されることができる。
【0033】
本実施例においては、第1のスピーカ駆動信号S1は、信号分解部53によって分解された音響信号ASの高周波成分に対応して音を出力するようにセンタースピーカ31を駆動する駆動信号である。
【0034】
ヘッドレストスピーカ32は、第2のスピーカ駆動信号S2によって、音響信号ASに対応して音出力を行う。例えば、ヘッドレストスピーカ32は、シート20に座った対象者OBの頭部HDの近傍に配置され、主として中音域の音を出力するスピーカである。本実施例においては、第2のスピーカ駆動信号S2は、音響信号ASの中間周波数成分に対応して音を出力するようにヘッドレストスピーカ32を駆動する駆動信号である。
【0035】
また、座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42の各々は、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2によって、音響信号ASに対応して振動を行う。本実施例においては、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の各々は、音響信号ASの低周波成分に対応して第1及び第2の接触部21S及び22Sを振動させるように座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42の各々を駆動する駆動信号である。
【0036】
なお、駆動信号生成部54Cは、第1のスピーカ駆動信号S1として、信号分解部53によって分解された音響信号ASの中間周波数成分及び高周波成分の両方に対応する駆動信号を生成してもよい。また、駆動信号生成部54Cは、第2のスピーカ駆動信号S2として、信号分解部53によって分解された音響信号ASの中間周波数成分及び高周波成分の両方に対応する駆動信号を生成してもよい。この場合、例えば、センタースピーカ31及びヘッドレストスピーカ32の各々は、中音域及び高音域の両方の音を出力することとなる。
【0037】
このように、本実施例においては、駆動部54は、音響信号ASに基づいて種々の特性及びタイミングが調整された駆動信号S1、S2、V1及びV2を、音出力装置30及び振動装置40に供給する。
【0038】
なお、以下においては、第1の振動駆動信号V1を第1の駆動信号と称し、第2の振動駆動信号V2を第2の駆動信号と称する場合がある。また、第1及び第2のスピーカ駆動信号S1及びS2の全体を第3の駆動信号と称する場合がある。
【0039】
制御装置50は、このようにして、音響信号ASに基づいて音出力装置30及び振動装置40の駆動及びその制御を行う。なお、制御装置50の記憶部52は、音響信号ASの他、信号分解部53による音響信号ASの分解条件や分解後の信号成分、また特性調整部54Aによる音響信号ASの調整条件や調整後の信号成分などを記憶する。また、記憶部52は、音響信号AS、すなわち音源SCから取得した音響信号の他に、種々の音を表現するための信号及びデータを取得及び記憶することができる。
【0040】
図4Aは、駆動部54による音出力装置30及び振動装置40への駆動信号の供給態様を示すタイミングチャートである。
図4Aに示すように、本実施例においては、駆動部54は、音響信号ASを取得した(タイミングt0)後、タイミングt11において、座部振動ユニット41に、当該タイミングt0で取得した音響信号ASに対応する第1の振動駆動信号V1を供給する。駆動部54は、次いで、タイミングt12において、背部振動ユニット42に、当該タイミングt0で取得した音響信号ASに対応する第2の振動駆動信号V2を供給する。
【0041】
換言すれば、本実施例においては、駆動部54は、タイミングt0で取得した同一の音響信号ASに対応する第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2をそれぞれ座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42に供給する際に、第2の振動駆動信号V2を第1の振動駆動信号V1から遅延させる。
【0042】
本実施例においては、制御装置50の信号分解部53の低音域成分抽出部53Aは、音響信号ASの低周波成分を抽出し、これを2つに複製する。また、駆動部54のタイミング調整部54Bは、音響信号ASの2つの低周波成分の一方を他方から遅延するように、音響信号ASを調整する。駆動信号生成部54Cは、このタイミングが調整された音響信号ASの2つの低周波成分に対応するようにそれぞれ第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2を生成し、座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42に供給する。
【0043】
なお、駆動部54は、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の生成時にその発生タイミングを調整する場合に限定されない。駆動部54は、駆動信号生成部54Cが別個に第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2を生成した後、その座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42への供給時にタイミング調整を行ってもよい。
【0044】
また、本実施例においては、駆動部54は、第2の振動駆動信号V2を背部振動ユニット42に供給した(タイミングt12)後のタイミングであるタイミングt13において、タイミングt0で取得した音響信号ASに対応する第1のスピーカ駆動信号S1をセンタースピーカ31に供給する。続いて、駆動部54は、タイミングt14において、タイミングt0で取得した音響信号ASに対応する第2のスピーカ駆動信号S2をヘッドレストスピーカ32に供給する。
【0045】
換言すれば、本実施例においては、駆動部54は、タイミングt0で取得した同一の音響信号ASに対応する第1及び第2のスピーカ駆動信号S1及びS2をそれぞれセンタースピーカ31及びヘッドレストスピーカ32に供給する際に、第1のスピーカ駆動信号S1を第2の振動駆動信号V2から遅延させ、かつ第2のスピーカ駆動信号S2を第1のスピーカ駆動信号S1から遅延させる。
【0046】
このように、駆動部54は、第1の振動駆動信号V1、第2の振動駆動信号V2、第1のスピーカ駆動信号S1及び第2のスピーカ駆動信号S2を、この順で順次遅延させつつ、それぞれ、センタースピーカ31、ヘッドレストスピーカ32、座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42に供給する。
【0047】
図4Bは、音出力装置30による音出力動作の態様及び振動装置40による振動伝達動作の態様を示すタイミングチャートである。
図4Bに示すように、本実施例においては、まず、駆動部54から第1の振動駆動信号V1を受けた座部振動ユニット41が振動を開始する。従って、まず、シート20における座部21の表面(第1の接触部)21Sが音響信号ASの低周波成分に対応して振動する(タイミングt21)。
【0048】
続いて、第2の振動駆動信号V2を受けた背部振動ユニット42の振動によって、シート20の背部22の表面(第2の接触部22S)は、音響信号ASの低周波成分に対応して振動する(タイミングt22)。
【0049】
次いで、センタースピーカ31が音響信号ASの高周波成分に対応して音出力を行い(タイミングt23)、次いで、ヘッドレストスピーカ32が音響信号ASの中間周波数成分に対応して音出力を行う(タイミングt24)。
【0050】
換言すれば、音響システム10においては、音響信号AS(すなわち例えば音楽)を再生する際に、シート20の座部21の振動、シート20の背部22の振動、センタースピーカ31の音出力及びヘッドレストスピーカ32の音出力が、この順で行われる。これによって、シート20に着席した対象者OBは、これら4つの動作をタイミングt3において同時に知覚することができる。
【0051】
具体的には、音出力装置30から出力された音の知覚及び振動装置40による振動の両方は、脳(すなわち対象者OBの頭部HD、
図2参照)に到達することで、それぞれ聴覚及び触覚として知覚される。また、音出力装置30から出力された音(音波)は、空気中を伝搬されて頭部HDの耳に到達し、鼓膜が受ける刺激として脳に到達することとなる。一方、振動装置40によって発生した振動は、振動を受けた体の部位が感じた刺激として、体内の神経を介して伝達されて、脳に到達することとなる。
【0052】
すなわち、頭部HDまでの振動の伝達時間及び音の伝達時間は、その伝達媒体及び距離などによって異なる。音響システム10においては、音及び振動が対象者OBの頭部HDに同時に到達するように、音出力装置30の音出力タイミング及び振動装置40の振動タイミングが調整されている。
【0053】
図4Bに示すように、音響システム10においては、音出力装置30による音出力動作が振動装置40による振動動作から遅延するように構成されていることによって、振動装置40による振動は、音出力装置30による音と同時に対象者OBの頭部HDに到達し、知覚されることとなる。
【0054】
本実施例においては、センタースピーカ31及びヘッドレスト32からの出力された音は、タイミングt3において、音楽の中高音域成分として知覚される。また、振動装置40による振動は、タイミングt3において、音楽の低音域成分として知覚されることができる。すなわち、振動装置40は、音出力装置30と共に、音楽再生装置の一部を担っている。
【0055】
また、振動装置40の背部振動ユニット42は、座部振動ユニット41が振動を伝える対象者OBの第1の部位BP1よりも、頭部HDからの距離が短い第2の部位BP2に振動を伝える。従って、
図4Bに示すように背部振動ユニット42の振動動作を座部振動ユニット41の振動動作よりも遅延させることで、両者から伝達された振動は、タイミングt3において同時に対象者OBに知覚されることができる。
【0056】
音出力装置30のセンタースピーカ31及びヘッドレストスピーカ32の音出力タイミングについても同様である。従って、音及び振動によって高音質かつ臨場感のある音響を提供することができる。
【0057】
図5は、制御装置50の駆動部54による第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の調整態様を示す図である。具体的には、
図5は、振幅が一定のまま周波数を変化させた音響信号ASを音響信号取得部51が取得した際の、座部21の表面21S及び背部22の表面22Sの振動レベルを示している。本実施例においては、駆動部54は、
図5に示すような振動-周波数特性を実現するために、座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42の各々の振動特性を調整するように構成されている。
【0058】
本実施例においては、駆動部54の特性調整部54Aは、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の各々となる2つの音響信号ASの低周波成分に対して、周波数特性の調整を行うことが可能なように構成されている。すなわち、駆動部54は、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の各々に対して個別に周波数特性の調整を行うことが可能なように構成されている。
【0059】
また、本実施例においては、駆動部54は、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2に対して互いに異なる周波数特性を持たせるように構成されている。まず、駆動部54は、シート20の座部21の表面21S及び背部22の表面22Sを、それぞれ例えば
図5に示すような特性で振動させるように、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の周波数特性を調整する。
【0060】
例えば、本実施例においては、座部21の表面21Sの最大振動レベルは、背部22の表面22Sの最大振動レベルよりも小さくなるように調整される。これによって、座部21の振動は対象者OBの臀部に突き上げ感又はアタック感を効果的に与えることができ、背部22の振動は対象者OBの背中に包まれ感を効果的に与えることができる。また、背部22においては、100~200Hzの範囲内でその両側の周波数帯の振動レベルよりも小さくなるように調整されている。これによって、対象者OBの背中にこそばゆさを与えることが抑制される。
【0061】
なお、
図5に示した第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の周波数特性の調整態様及びこれに基づく振動装置40の振動特性の調整態様は、一例に過ぎない。例えば、駆動部54は、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の各々に対して周波数特性の調整を行うことが可能なように構成されていればよい。
【0062】
図6は、座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42の好ましい構成について示す図である。
図6に示すように、本実施例においては、座部振動ユニット41は、シート20の座部21の表面(第1の接触部)21Sから対象者OBの第1の部位BP1に向かう方向D1の振動を座部21の表面21Aに伝えるように振動する。また、本実施例においては、背部振動ユニット42は、シート20の背部22の表面(第2の接触部)22Sに沿った方向D2の振動を背部22の表面22Sに伝えるように振動する。
【0063】
これによって、座部21の振動及び背部22の振動が与える演出効果が向上する。具体的には、座部振動ユニット41においては、対象者OBの臀部を押すような振動を与えることで、対象者OBに突き上げ感又はアタック感を与えることができる。また、背部振動ユニット42においては、対象者OBの背中の表面に沿った振動を与えることで、対象者OBに包まれ感を与えることができる。
【0064】
なお、
図6に示した座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42の振動態様は、一例に過ぎない。例えば、座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42は、それぞれの振動方向を適宜設定すればよい。
【0065】
上記したように、音響システム10は、音と振動との間の対象者OBへの知覚経路及び知覚タイミングの差を考慮し、これらを最適化しつつ音出力及び振動を行う。従って、高品質で臨場感のある音響を提供することができる。
【0066】
なお、本実施例においては、
図4Aに示すように、第2の振動駆動信号V2が第1の振動駆動信号V1から遅延されつつ第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2が座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42に供給される場合について説明した。しかし、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の供給タイミングはこれに限定されない。
【0067】
例えば、シート20の座部21及び背部22は、互いに異なる材料(例えばクッション材料及びカバー材料)から構成されている場合がある。この場合、座部振動ユニット41が振動を開始してからシート20の座部21の表面21Sが振動を開始するまでの時間と、背部振動ユニット42が振動を開始してからシート20の背部22の表面22Sが振動を開始するまでの時間とは、互いに異なる場合がある。
【0068】
従って、この場合、例えば、第1及び第2の振動駆動信号V1及びV2の各々は、同時にそれぞれ座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42に供給されてもよい。換言すれば、座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42は、シート20の背部22の表面22Sがシート20の座部21の表面21Sから遅延して振動するように、振動すればよい。
【0069】
また、本実施例においては、音響システム10がシート20に着席した対象者OBに対して音響を提供するように構成されている場合について説明した。しかし、音響システム10は、種々の対象者OBに対して高音質な音響を提供することができる。例えば、シート20ではなく、ベッドに振動装置40を埋め込み、当該ベッドの周辺に音出力装置30を配置することによっても、同様の効果を得ることができる。
【0070】
また、音出力装置30は、センタースピーカ31及びヘッドレストスピーカ32に代えて、ヘッドフォンなどの携帯可能な音出力装置であってもよい。この場合、例えば、振動装置40は当該ヘッドフォンと共に携帯可能な構成を有し、種々のイスやベッドの種々の場所に配置できるように構成されていてもよい。
【0071】
また、本実施例においては、振動装置40は、対象者OBの臀部又は大腿部に振動を伝える座部振動ユニット41及び当該臀部又は大腿部よりも頭部HDから近い位置にある背部又は腰部に振動を伝える背部振動ユニット42を含む場合について説明した。すなわち、第1の部位BP1が対象者OBの臀部又は大腿部であり、第2の部位BP2が対象者OB背部又は腰部である場合について説明した。しかし、振動装置40は、複数の振動部を有していればよく、また、その振動部の各々は、対象者OBの体の互いに異なる部位に振動を伝えるように構成されていればよい。
【0072】
換言すれば、振動装置40は、対象者OBの体の第1の部位BP1に接する第1の接触部21S及び対象者OBの体の第1の部位BP1とは異なる第2の部位BP2に接する第2の接触部22Sを有する対象物(例えばシート20)に対し、当該第1の接触部21Sを振動させるように振動する第1の振動部(例えば座部振動ユニット41)及び第2の接触部22Sを振動させるように振動する第2の振動部(例えば背部振動ユニット42)を有していればよい。
【0073】
例えば、振動を与える2つの対象部位の頭部HDからの距離が互いに同程度であっても、頭部HDまでの伝達距離及び伝達経路は異なる場合がある。従って、例えば、当該2つの体の部位のうち、頭部HDまでの振動伝達時間が短い部位に振動を与える振動部の振動を遅延させることで、対象者OBに高品質な音響(例えば低音部分)を知覚させることができる。
【0074】
また、本実施例においては、音響システム10は、音の低音部分を振動装置40によって表現し、中高音部分を音出力装置30によって表現するように構成されている場合について説明した。しかし、音響システム10は、音出力装置30を有していなくてもよい。例えば、音響システム10は、振動装置40を有していればよい。
【0075】
この場合、例えば、振動装置40及び制御装置50は、音響表現を行う振動システムを構成し、音出力装置30に接続可能な構成を有していればよい。この場合、例えば、振動装置40は低音域(音響信号ASの低周波成分)を表現し、他の音域を表現する外部の音出力装置(スピーカシステム又はヘッドフォンなど)を駆動するための駆動信号を供給すればよい。
【0076】
この場合、例えば、駆動部54は、例えば音出力装置30のように、少なくとも当該低周波成分よりも高い周波数成分に対応して音出力を行う音出力装置を駆動する第3の駆動信号(例えば第1及び第2のスピーカ駆動信号S1及びS2)を生成し、当該第3の駆動信号を第2の振動駆動信号V2から遅延させつつ当該第3の駆動信号を当該音出力装置に供給すればよい。
【0077】
また、本実施例においては、音出力装置30及び振動装置40の動作が制御装置50によって制御される場合について説明した。しかし、制御装置50の各機能は、音出力装置30及び振動装置40の各々が有していてもよい。すなわち、例えば、振動装置40が音響信号ASを取得し、かつ特性調整及びタイミング調整を行いつつ、座部振動ユニット41(第1の振動部)及び背部振動ユニット42(第2の振動部)によって対象者OBに振動を伝えるように構成されていてもよい。
【0078】
上記したように、振動装置40は、対象者OBの体の第1の部位BP1に接する第1の接触部21S及び対象者OBの体の第1の部位BP1とは異なる第2の部位BP2に接する第2の接触部22Sを有する対象物(20)に対し、当該第1の接触部21Sを振動させるように振動する第1の振動部41及び第2の接触部22Sを振動させるように振動する第2の振動部42を有する。また、第1及び第2の振動部41及び42は、第1及び第2の接触部21S及び22Sの各々が音響信号ASに対応して振動し、かつ第2の接触部22Sが第1の接触部21Sから遅延して振動するように、振動する。従って、高品質で臨場感のある音響を提供することが可能な振動装置40を提供することができる。
【0079】
また、本発明は、例えば振動装置40の駆動方法としても実施されることができる。この場合、例えば、当該方法の要件としては、制御装置50の機能が挙げられる。例えば、当該方法は、対象者OBの体の第1の部位BP1に接する第1の接触部21S及び対象者OBの体の第1の部位BP1とは異なる第2の部位BP2に接する第2の接触部22Sを有する対象物(20)に対し、第1の接触部21Sを振動させる第1の振動部41及び第2の接触部22Sを振動させる第2の振動部42を有する振動装置40の駆動方法であって、第1及び第2の振動部41及び42を、第1及び第2の接触部21S及び22Sの各々が音響信号ASに対応して振動し、かつ第2の接触部22Sが第1の接触部21Sから遅延して振動するように、駆動するステップを有していればよい。従って、高品質で臨場感のある音響を提供することが可能な振動装置40の制御方法を提供することができる。
【0080】
また、本発明は、コンピュータを振動装置40の駆動部54として機能させるプログラムとしても実施されることができる。この場合、例えば、当該プログラムの動作要件としては、制御装置50の機能が挙げられる。例えば、当該プログラムは、コンピュータを、対象者OBの体の第1の部位BP1に接する第1の接触部21S及び対象者OBの体の第1の部位BP1とは異なる第2の部位BP2に接する第2の接触部22Sを有する対象物(20)の、第1の接触部21Sを振動させる第1の振動部41及び第2の接触部22Sを振動させる第2の振動部42を、第1及び第2の接触部21S及び22Sの各々が音響信号ASに対応して振動し、かつ第2の接触部22Sが第1の接触部21Sから遅延して振動するように、駆動する駆動部54として機能させるように構成されていればよい。
【0081】
また、本発明は、当該プログラムが記録された記録媒体としても実施されることができる。これによって、高品質で臨場感のある音響を提供することが可能な振動装置40の制御プログラム及び当該プログラムが記録された記録媒体を提供することができる。
まず、本実施例においては、音響システム10Aは、移動体VEに搭載され、移動体VEの搭乗者に対して音響出力を行う。すなわち、本実施例においては、音響システム10Aにおけるシート20は、移動体VEの座席として構成されたシートである。また、対象者OBは、移動体VEの搭乗者である。また、本実施例においては、例えば、移動体VEには複数のシート20が設けられ、音響システム10Aは、その複数のシート20の各々に着席した搭乗者に対して独立して音響出力を行う。
また、本実施例においては、音響システム10Aは、制御装置50の構成を除いては、音響システム10Aと同様の構成を有する。制御装置50Aは、移動体VEの状態などに応じて振動装置40の振動態様を変化させるように構成されている。
具体的には、まず、例えば、移動体VEは、移動体VEの種々の状態(例えば、移動速度及びその変化、移動方向及びその変化、移動体VEの周辺環境など)を検知する移動体状態検知部SE1と、移動体VEの搭乗者の種々の状態(例えば、視線の変化、体の位置変化、心拍数や脳波の変化など)を検知する搭乗者状態検知部SE2と、を有する。なお、移動体状態検知部SE1及び搭乗者状態検知部SE2は、移動体VEの外部に設けられていてもよく、また、音響システム10Aに設けられていてもよい。
次に、音響システム10Aの制御装置50Aは、移動体VE及び移動体VEの搭乗者(対象者OB)の状態を示す情報である状態情報を取得する状態情報取得部55と、当該状態情報に基づいて振動装置40の振動態様を切替える振動状態切替部56と、を有する。
なお、異常音は異常情報の種別によって異なっていてもよい。例えば、記憶部52には複数の異常音に関するデータが記憶されていてもよい。そして、振動状態切替部56は、例えば、異常情報の種別に応じて異なる異常音に対応して振動装置40を振動させるように駆動部54を動作させてもよい。
これによって、座部振動ユニット41は、タイミングt51において異常音に対応する振動を開始する。また、続いて、背部振動ユニット42がタイミングt52において異常音に対応する振動を開始する。これによって、タイミングt6において、対象者OBである移動体VEの搭乗者は、異常音を知覚し、そして、移動体VE又は搭乗者が異常な状態であることを知覚する。
このように、本実施例においては、移動体VE又は搭乗者が異常な状態にある場合、この異常を示す音に対応する振動を振動装置40が行うように制御装置50Aが構成されている。従って、例えば座部振動ユニット41及び背部振動ユニット42を用いて、確実に搭乗者に当該異常情報を知らせることができる。
また、例えば車両のように、複数の座席の各々に振動装置40を搭載する場合、特定の搭乗者のみに当該異常情報を知らせることができる。例えば、移動体VEの異常を運転者のみに知らせることができたり、運転者の異常を助手席の搭乗者に知らせることができる。これによって、例えば事故の危険などの回避に役立てることができる。
なお、振動状態切替部56は、音響システム10Aが例えば楽曲などの音響出力を行っている場合には、振動装置40に音響信号ASに対応する振動を停止又は低減させ、異常音に対応する振動を開始させてもよい。
この場合、駆動部54は、音出力装置30には楽曲などの音出力を継続させ、その一方で、振動装置40には異常音に対応する振動を行わせてもよい。従って、例えば、運転席及び助手席の搭乗者には異常情報を知らせつつ、後部座席の搭乗者には音楽の再生を維持することができる。このように、制御装置50Aによって、高い自由度でかつ安全に音響出力及び情報提供を行うことが可能な振動装置40を提供することができる。
なお、本実施例においても、制御装置50Aの機能は振動装置40に設けられていてもよい。例えば、振動装置40は、移動体VE及び移動体VEの搭乗者の状態を示す情報である状態情報を取得する状態情報取得部55を有していてもよい。また、第1の振動部(座部振動ユニット41)又は第2の振動部(背部振動ユニット42)は、状態情報取得部55が状態情報として移動体VEが異常な移動状態にあることを示す情報又は搭乗者が異常状態にあることを示す情報を取得した場合、当該取得した情報に関連付けられた音に対応して第1又は第2の接触部(座部21の表面21S又は背部22の表面22S)を振動させるように構成されていてもよい。
また、本実施例においては、音響システム10Aが移動体VE又は搭乗者の状態に応じて振動装置40の振動状態を切替える場合について説明した。しかし、音響システム10Aの構成はこれに限定されない。例えば、振動装置40においては、シート20が移動体VEに搭載され、対象者OBとして移動体VEの搭乗者が着席するように構成されていればよい。これによって、移動体VE(例えば自動車)などのように閉塞された空間内で搭乗者毎に最適化された音響を提供することができる。
このように、本実施例においては、シート20が移動体VEに搭載され、対象者OBとして移動体VEの搭乗者が着席するように構成されている。従って、車両内の空間のような複雑な形状の空間内においても、高品質でかつ臨場感のある音響空間を対象者OBに提供することが可能な振動装置40となる。また、移動体VE及び搭乗者の状態などに基づいて振動状態を切替えることで、対象者OBに対して種々の情報を効果的に伝達することが可能な振動装置40となる。