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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010378
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】車両に対する蓋の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240117BHJP
   E05B 83/34 20140101ALI20240117BHJP
【FI】
B60K15/05 B
E05B83/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111682
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古澤 克仁
【テーマコード(参考)】
2E250
3D038
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL13
2E250PP04
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】アーム部材と係合ピンとの組付け状態が正常に維持される車両に対する蓋の取付構造を提供すること。
【解決手段】車両に対する蓋の取付構造10は、蓋と、アーム部材20と、係合ピン30とを備える。係合ピン30は、軸部70と、第1突出部80と、第2突出部90とを有する。アーム部材20は、挿通部40と、被係合部45と、第1壁61、及び一対の第2壁62を有する囲い部60とを有する。軸部70が軸方向Aへ移動することで係合ピン30の状態が取付前駆状態から取付状態へ移行する際に、第2突出部90が被係合部45を乗り越えつつ、軸方向Aへ移動するとともに第1突出部80が囲い部60に収容される。取付状態において第1突出部80と一対の第2壁62との係合により係合ピン30はアーム部材20と一体的に回転される。取付状態において第2突出部90と被係合部45との係合により係合ピン30は取付前駆状態への復帰を抑制される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられた開口部を開閉する蓋と、
前記蓋と一体化され、前記蓋による前記開口部の開閉に伴い回転するアーム部材と、
前記アーム部材の回転中心となる軸状の部材であり、前記アーム部材を貫通するとともに前記車体に対して回転自在である係合ピンと、を備える車両に対する蓋の取付構造であって、
前記係合ピンは、
軸線に沿って延在する軸部と、
前記軸部から前記軸線に交差する方向に突出する第1突出部と、
前記軸部から前記軸線に交差する方向に突出しており、前記軸線に沿った軸方向において前記第1突出部から離れた位置に設けられた第2突出部と、を有しており、
前記アーム部材は、
前記軸部が挿通される空間を形成する挿通部と、
前記挿通部の内面から前記軸部に向かって突出する被係合部と、
前記軸方向において前記第1突出部に対して前記被係合部とは反対側に配置される第1壁、及び前記軸方向に延在するとともに互いに対向する一対の第2壁を有する囲い部と、を有しており、
前記軸方向において、前記第1壁と前記被係合部との間の距離は、前記第1突出部と前記第2突出部との間の距離より長く、
前記第1突出部が前記一対の第2壁に挟まれており、且つ前記軸方向において前記第2突出部が前記被係合部に対して前記第1突出部側にあるときの前記係合ピンの状態を取付状態とし、前記第1突出部が前記一対の第2壁に挟まれておらず、且つ前記軸方向において前記第2突出部が前記被係合部に対して前記第1突出部とは反対側にあるときの前記係合ピンの状態を取付前駆状態とすると、
前記軸部が前記軸方向へ移動することで前記係合ピンの状態が前記取付前駆状態から前記取付状態へ移行する際に、前記第2突出部が前記被係合部を乗り越えつつ、前記軸方向へ移動するとともに前記第1突出部が前記囲い部に収容されており、
前記取付状態において、前記第1突出部と前記一対の第2壁との係合により、前記係合ピンは前記アーム部材と一体的に回転され、前記第2突出部と前記被係合部との係合により、前記係合ピンは前記取付前駆状態への復帰を抑制される、ことを特徴とする車両に対する蓋の取付構造。
【請求項2】
前記係合ピンは、前記取付前駆状態において、前記軸方向において前記第2突出部が前記第1突出部とは反対側に向かうことを規制するために前記アーム部材に係合される係合部を有している、請求項1に記載の車両に対する蓋の取付構造。
【請求項3】
前記第1突出部は、当該第1突出部における前記軸部の周方向の両側に位置する側面を有しており、
前記一対の第2壁は、前記側面に沿う壁面を有している、請求項1又は請求項2に記載の車両に対する蓋の取付構造。
【請求項4】
前記第2突出部は、
前記軸方向において前記第1突出部側の部分に設けられる傾斜面であって、前記軸方向において前記第1突出部に向かうほど前記軸部の前記軸線に近づくように延びる傾斜面と、
前記軸方向において前記第1突出部とは反対側の部分に設けられる係合面であって、前記軸部の前記軸線に直交する方向に延びる係合面と、を有している、請求項1又は請求項2に記載の車両に対する蓋の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に設けられた開口部を開閉する車両に対する蓋の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に対する蓋の取付構造は、車体に設けられた開口部を開閉する蓋と、アーム部材と、係合ピンと、を備えている。アーム部材は、蓋と一体化されている。アーム部材は、蓋による開口部の開閉に伴い回転する。係合ピンは、アーム部材の回転中心となる軸状の部材である。係合ピンは、アーム部材を貫通している。係合ピンは、車体に対してアーム部材を回転自在に係合している。
【0003】
特許文献1には、例えば、車体に設けられた開口部としての給油口を開閉する給油口蓋の取付構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-128111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給油口蓋の取付構造において、車体の振動に伴い、係合ピンが当該係合ピンの軸方向や周方向に移動することで、アーム部材と係合ピンとの組付け状態が変化すると、給油口蓋による給油口の開閉が適切に実施できない虞がある。なお、開口部が給電口であり、且つ蓋が給電口蓋であっても同様の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両に対する蓋の取付構造は、車体に設けられた開口部を開閉する蓋と、前記蓋と一体化され、前記蓋による前記開口部の開閉に伴い回転するアーム部材と、前記アーム部材の回転中心となる軸状の部材であり、前記アーム部材を貫通するとともに前記車体に対して回転自在である係合ピンと、を備える車両に対する蓋の取付構造であって、前記係合ピンは、軸線に沿って延在する軸部と、前記軸部から前記軸線に交差する方向に突出する第1突出部と、前記軸部から前記軸線に交差する方向に突出しており、前記軸線に沿った軸方向において前記第1突出部から離れた位置に設けられた第2突出部と、を有しており、前記アーム部材は、前記軸部が挿通される空間を形成する挿通部と、前記挿通部の内面から前記軸部に向かって突出する被係合部と、前記軸方向において前記第1突出部に対して前記被係合部とは反対側に配置される第1壁、及び前記軸方向に延在するとともに互いに対向する一対の第2壁を有する囲い部と、を有しており、前記軸方向において、前記第1壁と前記被係合部との間の距離は、前記第1突出部と前記第2突出部との間の距離より長く、前記第1突出部が前記一対の第2壁に挟まれており、且つ前記軸方向において前記第2突出部が前記被係合部に対して前記第1突出部側にあるときの前記係合ピンの状態を取付状態とし、前記第1突出部が前記一対の第2壁に挟まれておらず、且つ前記軸方向において前記第2突出部が前記被係合部に対して前記第1突出部とは反対側にあるときの前記係合ピンの状態を取付前駆状態とすると、前記軸部が前記軸方向へ移動することで前記係合ピンの状態が前記取付前駆状態から前記取付状態へ移行する際に、前記第2突出部が前記被係合部を乗り越えつつ、前記軸方向へ移動するとともに前記第1突出部が前記囲い部に収容されており、前記取付状態において、前記第1突出部と前記一対の第2壁との係合により、前記係合ピンは前記アーム部材と一体的に回転され、前記第2突出部と前記被係合部との係合により、前記係合ピンは前記取付前駆状態への復帰を抑制される。
【0007】
上記構成によれば、係合ピンが取付状態であるとき、第2突出部から第1突出部に向かう方向に係合ピンが移動しても、第1突出部が囲い部の第1壁に係合する。また、第1突出部から第2突出部に向かう方向に係合ピンが移動しても、第2突出部が被係合部に係合する。よって、係合ピンは、アーム部材から抜けにくくなるため、取付前駆状態への復帰が抑制される。
【0008】
また、開口部に対して蓋を開閉させると、蓋に一体化されたアーム部材が回転する。係合ピンが取付状態であるとき、囲い部の一対の第2壁に第1突出部が係合するため、アーム部材と係合ピンとが一体回転する。すなわち、係合ピンがアーム部材に対して相対回転しにくい。このため、第1突出部と囲い部の第1壁との位置関係、及び第2突出部と被係合部との位置関係が軸部の周方向にずれることが抑制される。よって、係合ピンとアーム部材との組付け状態が正常に維持される。したがって、蓋による車体に設けられた開口部の開閉が適切に実施できる。
【0009】
上記の車両に対する蓋の取付構造において、前記係合ピンは、前記取付前駆状態において、前記軸方向において前記第2突出部が前記第1突出部とは反対側に向かうことを規制するために前記アーム部材に係合される係合部を有しているとよい。
【0010】
上記構成によれば、係合ピンが軸部の先端から挿通部に挿通されることにより係合ピンが取付前駆状態となると、軸方向において第2突出部が被係合部に対して第1突出部とは反対側にあるが、係合部がアーム部材に係合する。よって、取付前駆状態においてアーム部材の挿通部から係合ピンが脱落にくくなる。
【0011】
上記の車両に対する蓋の取付構造において、前記第1突出部は、当該第1突出部における前記軸部の周方向の両側に位置する側面を有しており、前記第2壁は、前記側面に沿う壁面を有しているとよい。
【0012】
上記構成によれば、係合ピンがアーム部材に対して相対回転しようとしても、周方向において第1突出部が第2壁を乗り越えにくい。よって、係合ピンがアーム部材に対してより相対回転しにくくなる。このため、第1突出部と囲い部の第1壁との位置関係、及び第2突出部と被係合部との位置関係が軸部の周方向にずれることがより抑制される。よって、係合ピンとアーム部材との組付け状態が正常に維持される。
【0013】
上記の車両に対する蓋の取付構造において、前記第2突出部は、前記軸方向において前記第1突出部側の部分に設けられる傾斜面であって、前記軸方向において前記第1突出部に向かうほど前記軸部の前記軸線に近づくように延びる傾斜面と、前記軸方向において前記第1突出部とは反対側の部分に設けられる係合面であって、前記軸部の前記軸線に直交する方向に延びる係合面と、を有している。
【0014】
上記構成によれば、係合ピンが取付前駆状態から取付状態へ移行する際に、第2突出部の傾斜面により第2突出部が被係合部を乗り越えやすくなる。また、係合ピンが取付状態となった後に係合面により第2突出部が被係合部を乗り越えにくくなる。このため、係合ピンを取付状態に維持しやすくなる。よって、係合ピンが取付前駆状態から取付状態へ移行しやすくなるとともに、係合ピンがアーム部材からより抜けにくくなる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、アーム部材と係合ピンとの組付け状態が正常に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】車両に対する蓋の取付構造の上面図である。
図2】係合ピンの側面図である。
図3】係合ピンの第1突出部の斜視図である。
図4】アーム部材の支持端部の斜視図である。
図5】アーム部材の支持端部の斜視図である。
図6図4の6-6線で切断したときの断面図である。
図7】係合ピンをアーム部材の挿通部に挿通した初期状態を示す側面図である。
図8図7の8-8線で切断したときの断面図である。
図9】係合ピンを初期状態から取付前駆状態に変化させたときの側面図である。
図10】係合ピンを取付前駆状態から取付状態にしたときの断面図である。
図11図10の11-11線で切断したときの断面図である。
図12】車両に対する蓋の取付構造の変更例におけるアーム部材の支持端部の斜視図である。
図13】車両に対する蓋の取付構造の変更例を示す断面図である。
図14】車両に対する蓋の取付構造の変更例を示す断面図である。
図15図14の15-15線で切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、車両に対する蓋の取付構造を具体化した第1実施形態を図1図11にしたがって説明する。
【0018】
<車両に対する蓋の取付構造>
図1に示すように、車両に対する蓋の取付構造10は、アーム部材20と、蓋20aと、軸状の係合ピン30と、を備えている。アーム部材20は、蓋20aと、支持端部20bと、湾曲部20cと、を有している。蓋20aは、車体100に設けられた開口部101を開閉する蓋である。本実施形態では、当該蓋は、アーム部材20の一部である。アーム部材20は、蓋20aと一体化されている。開口部101は、例えば、給油口又は給電口である。なお、アーム部材20及び係合ピン30は、例えば樹脂部材により形成されている。
【0019】
支持端部20bは、車体100の内部に位置している。係合ピン30は、支持端部20bを貫通する。係合ピン30は、アーム部材20を貫通する。支持端部20bは、係合ピン30と一体回転する。係合ピン30は、車体100に対して回転自在である。
【0020】
湾曲部20cは、アーム部材20における蓋20aと支持端部20bとの間に延びる部位である。湾曲部20cは、アーム部材20が係合ピン30を回転中心として回転したとき、開口部101の縁にアーム部材20が接触しないように湾曲している。アーム部材20が係合ピン30を回転中心として回転したとき、蓋20aが開口部101を開閉する。係合ピン30は、蓋20aが開口部101を開閉するときにアーム部材20の回転中心となる部材である。
【0021】
蓋20aが開口部101から離れることにより開口部101が開状態となったとき、湾曲部20cの一部が開口部101から車体100の外部に露出する。蓋20aが開口部101を覆うことにより開口部101が閉状態となったとき、湾曲部20cは、車体100の内部に収容される。なお、図1の二点鎖線で示す蓋20aの位置は、開口部101を全開にする途中の位置を示している。
【0022】
<係合ピン>
図2に示すように、係合ピン30は、軸部70と、第1突出部80と、第2突出部90と、フランジ部95と、を有している。軸部70の軸線mに沿った方向を軸方向Aとする。軸部70の軸線mを中心として描く円が延びる方向を周方向Bとする。軸部70の軸線mに直交する方向を径方向Cとする。軸部70は、軸線mに沿って延在する段付きの円柱状である。
【0023】
軸部70は、第1軸71と、第2軸72と、第3軸73と、を有している。第1軸71、第2軸72、第3軸73は、軸方向Aにおいてこの順に一体形成されている。第1軸71の直径は、第2軸72の直径よりも小さい。第2軸72は、第1軸71の外周面に直交する環状の延設面72aを有している。延設面72aは、径方向Cに延びている。第2軸72の直径は、第3軸73の直径よりも小さい。第3軸73は、第2軸72の外周面に直交する環状の延設面73aを有している。延設面73aは、径方向Cに延びている。
【0024】
第1突出部80は、第2軸72から突出している。第1突出部80は、軸部70から軸部70の軸線mに交差する方向に突出している。第2突出部90は、第1軸71から突出している。第2突出部90は、第1突出部80が軸部70から突出する方向と反対の方向に軸部70から突出している。第2突出部90は、軸方向Aにおいて第1突出部80から離れた位置に設けられている。第2突出部90は、軸方向Aにおいて第2軸72の延設面72aから離れている。
【0025】
図2及び図3に示すように、第1突出部80は、側面81を有している。側面81は、第1突出部80における周方向Bの両側に位置する面である。側面81は、互いに平行に延びている。側面81は、軸方向Aに延びている。第1突出部80は、端面82を有している。端面82は、第1突出部80における軸方向Aの両端面である。端面82は、互いに平行に延びている。本実施形態において、端面82のうち一方は、第2軸72の延設面72aと面一であり、端面82のうち他方は、軸方向Aにおいて第3軸73の延設面73aから離れている。なお、端面82のうち一方は、延設面72aと面一でなくてもよい。
【0026】
図2に示すように、第2突出部90は、傾斜面91と、係合面92と、を有している。傾斜面91は、軸方向Aにおいて第2突出部90の第1突出部80側の部分に設けられている。傾斜面91は、軸方向Aにおいて第1突出部80に向かうほど軸部70の軸線mに近づくように延びている。係合面92は、軸方向Aにおいて第2突出部90の第1突出部80とは反対側の部分に設けられている。軸方向Aにおいて、第1突出部80の端面82のうち他方から、第2突出部90の係合面92までの距離を距離L1とする。距離L1は、第1突出部80と第2突出部90との間の距離である。なお、図示しないが、第2突出部90の周方向Bにおける幅は、第1突出部80の周方向Bにおける幅と同じ、又は第1突出部80の周方向Bの幅よりも小さい。
【0027】
フランジ部95は、長板状である。フランジ部95は、軸方向Aにおいて第3軸73における第2軸72とは反対側の端部に設けられている。フランジ部95は、第1端部95a及び第2端部95bを有している。第1端部95aは、第3軸73に連続している。第2端部95bは軸部70の軸線mから離れた位置に設けられている。図1に示すように、フランジ部95の第2端部95bは、アーム部材20が係合ピン30を回転中心として回転したとき、係合ピン30の軸線mを中心として揺動する。なお、フランジ部95の第2端部95bには、図示しないスプリングが設けられている。図示しないスプリングは、車体100にも連結されている。図示しないスプリングは、蓋20aが開口部101を開状態としたときの第2端部95bの位置を、蓋20aが開口部101を閉状態としたときの第2端部95bの位置に戻す復元力を発揮する。
【0028】
<アーム部材>
図4に示すように、アーム部材20は、支持端部20bに、挿通部40と、連通口50と、囲い部60と、を有している。
【0029】
支持端部20bの内部には、空間Sが形成されている。空間Sは、図2に記載の係合ピン30の軸部70が挿通される空間である。空間Sには、係合ピン30の第1軸71が挿通される。挿通部40は、アーム部材20のうち空間Sを形成する部位である。挿通部40は、係合ピン30の軸部70が挿通される部位である。以下、挿通部40、連通口50、及び囲い部60の構成を説明するにあたり、係合ピン30の軸方向A、及び周方向Bを基準として説明する。
【0030】
<連通口及び挿通部>
連通口50は、空間Sを支持端部20bの外部に連通させている。連通口50は、支持端部20bの一部に形成されている。
【0031】
挿通部40は、第1区画壁41と、第2区画壁42と、第3区画壁43と、第4区画壁44と、を有している。第1区画壁41及び第2区画壁42は、軸方向Aに対向している。第1区画壁41及び第2区画壁42は、板状をなしている。第1区画壁41と第2区画壁42との軸方向Aの間隔は、第1軸71の軸方向Aの長さよりも小さい。
【0032】
第1区画壁41は、外面41aと、内面41bと、を有している。外面41a及び内面41bは、第1区画壁41の厚さ方向に位置する面である。外面41aは、軸方向Aにおいて支持端部20bの外部に位置する面である。内面41bは、空間Sを形成する面の一部である。
【0033】
第1区画壁41には、第1挿入孔41cと、第1挿入孔41cに繋がる切り欠き孔41dが形成されている。第1挿入孔41c及び切り欠き孔41dは、第1区画壁41を軸方向Aに貫通している。第1挿入孔41cは、円形孔である。第1挿入孔41cの直径は、第1軸71の直径よりも若干大きい。第1挿入孔41cの直径は、第2軸72の直径よりも小さい。
【0034】
切り欠き孔41dは、第1挿入孔41c連通口50とは反対側に向けて凹んでいる。切り欠き孔41dの周方向Bの幅は、第2突出部90の周方向Bの幅よりも大きい。第1挿入孔41cを区画する円弧面からの切り欠き孔41dの深さは、第2突出部90の第1軸71からの突出量よりも大きい。
【0035】
第2区画壁42は、外面42aと、内面42bと、を有している。外面42a及び内面42bは、第2区画壁42の厚さ方向に位置する面である。外面42aは、軸方向Aにおいて支持端部20bの外部に位置する面である。内面42bは、空間Sを形成する面の一部である。
【0036】
第2区画壁42には、第2挿入孔42cが形成されている。第2挿入孔42cの軸線は、第1挿入孔41cの軸線と一致している。第2挿入孔42cは、円形孔である。第2挿入孔42cの直径は、第1軸71の直径よりも若干大きい。
【0037】
図4及び図5に示すように、第3区画壁43は、軸方向Aにおいて第1区画壁41と第2区画壁42とに連続している。第3区画壁43は、アーム部材20における蓋20aとは反対側の端をなす部位である。外面43aは、第1区画壁41の外面41a及び第2区画壁42の外面42aと連続している。内面43bは、空間Sを形成する面の一部である。
【0038】
図4に示すように、第4区画壁44は、第3区画壁43に対向している。第4区画壁44は、軸方向Aにおいて第1区画壁41と第2区画壁42とに連続している。第4区画壁44は、内面44aを有している。内面44aは、連通口50を正面視したとき、連通口50から目視できる程度に傾斜している。内面44aは、第1区画壁41の内面41bと、第2区画壁42の内面42bと、第3区画壁43の内面43bとに連続している。内面44aは、空間Sを形成する面の一部である。空間Sは、各内面41b,42b,43b,44aにより囲まれている。連通口50は、第1区画壁41、第2区画壁42、第3区画壁43、及び第4区画壁44により囲まれることにより形成されている。
【0039】
<囲い部>
囲い部60は、軸方向Aにおいて挿通部40と隣り合うように設けられている。囲い部60は、第1区画壁41の外面41a上に設けられている。囲い部60は、第1挿入孔41cに隣り合う位置に配置されている。囲い部60は、第1挿入孔41cを基準として第3区画壁43とは反対側に設けられている。囲い部60は、第1挿入孔41cを区画する円弧面に倣って湾曲した湾曲面60aを有している。湾曲面60aは、係合ピン30の第2軸72の外周面に沿った形状である。軸部70の軸線mから湾曲面60aまでの距離は、第2軸72の半径と同じ大きさである。
【0040】
囲い部60は、湾曲面60aから凹む溝部60bを有している。溝部60bは、湾曲面60aから凹んでいる。溝部60bの湾曲面60aからの深さは、第1突出部80の第2軸72からの突出量よりも大きい。囲い部60は、第1壁61と、一対の第2壁62と、を有している。第1壁61及び一対の第2壁62は、溝部60bを形成する壁部である。第1壁61は、軸方向Aにおいて第1区画壁41に対向している。第1壁61は、湾曲面60aの一部を有している。一対の第2壁62は、軸方向Aに延在している。一対の第2壁62は、第1壁61から軸方向Aにおいて第1区画壁41に向けて延びている。
【0041】
一対の第2壁62の一方を第1対向壁621とし、一対の第2壁62の他方を第2対向壁622とする。第1対向壁621と第2対向壁622とは、対向している。一対の第2壁62は、互いに対向している。第1対向壁621は、湾曲面60aの一部を有している。第1対向壁621は、第1区画壁41に連続している。第2対向壁622は、湾曲面60aの一部を有している。第2対向壁622は、第1区画壁41から離れている。第2対向壁622と第1区画壁41との間の間隔は、第1突出部80の端面82間の距離よりも大きい。囲い部60は、第2対向壁622と第1区画壁41との間に溝部60bの内外を周方向Bに連通する連通路63を有している。
【0042】
図4及び図6に示すように、第1対向壁621は、第1内壁面621aを有している。第1内壁面621aは、軸方向Aに延びている。第2対向壁622は、第2内壁面622aを有している。第2内壁面622aは、軸方向Aに延びている。第1内壁面621aと第2内壁面622aとは、対向している。第1内壁面621aと第2内壁面622aとは、平行である。第1内壁面621a及び第2内壁面622aにおける軸方向Aの長さは、第1突出部80の端面82間の距離よりも大きい。第1内壁面621a及び第2内壁面622aにおける周方向Bの間隔は、第1突出部80の側面81間の距離よりも若干大きい。
【0043】
<被係合部>
図5及び図7に示すように、アーム部材20は、被係合部45を有している。被係合部45は、第3区画壁43の内面43bに設けられた突起である。被係合部45は、挿通部40の内部に設けられている。被係合部45は、第3区画壁43の内面43bから軸部70に向かって突出している。第3区画壁43の内面43bは、挿通部40の内面の一例である。被係合部45は、第1面45aと、第2面45bと、を有している。第1面45aは、内面43bに連続している。第1面45aは、軸方向Aにおいて第2区画壁42に向かうほど第4区画壁44に向けて延びる傾斜面である。第2面45bは、内面43bに連続している。第2面45bは、軸方向Aにおいて第1区画壁41に向かうほど第4区画壁44に向けて延びる傾斜面である。被係合部45の内面43bからの突出量は、被係合部45が第1軸71に接触しない程度に設定されている。なお、連通口50は、被係合部45を内面43bに形成するために設けられた作業用の開口となる。
【0044】
図7に示すように、軸方向Aにおいて、被係合部45における第1面45aと第2面45bとの境界と、第1壁61のうち囲い部60の内側に位置する面との間の距離を距離L2とする。距離L2は、第1壁61と被係合部45との間の距離である。軸方向Aにおいて、距離L2は、距離L1よりも長い。
【0045】
<初期状態>
図2図4、及び図7に示すように、係合ピン30を挿通部40に挿通するとき、係合ピン30の第1軸71が第1挿入孔41cに挿入される。第1軸71を第1挿入孔41cに挿入すると、第2突出部90が切り欠き孔41dを通過する。第2突出部90が切り欠き孔41dを通過した後、第1軸71は、第2挿入孔42cに挿通される。このため、係合ピン30は、アーム部材20を貫通する。第2突出部90が切り欠き孔41dを通過した後、第1軸71が第2挿入孔42cに挿通された直後の係合ピン30の状態を初期状態とする。係合ピン30は、初期状態において、第3軸73の延設面73aが囲い部60に軸方向Aで係合している。初期状態において、第2軸72の延設面72aは、第1区画壁41の外面41aに軸方向Aで係合している。初期状態において、第2軸72の外周面は、囲い部60の湾曲面60aに沿っている。初期状態において、囲い部60の第1壁61は、軸方向Aにおいて第1突出部80に対して被係合部45とは反対側に配置されている。
【0046】
図8に示すように、初期状態において、第2突出部90と被係合部45とは、周方向Bにおいて位置がずれている。初期状態において、第2突出部90は、連通口50とは反対側に位置している。
【0047】
<取付前駆状態>
図7及び図9に示すように、初期状態の係合ピン30を周方向Bに所定の角度だけ回転させることにより、係合ピン30の状態を取付前駆状態にする。取付前駆状態とは、軸方向Aにおいて第2突出部90が被係合部45に対して第1突出部80とは反対側にあるときの係合ピンの状態である。係合ピン30が初期状態から取付前駆状態へ移行していくとき、第1突出部80は、囲い部60の連通路63を通過する。
【0048】
図9に示すように、取付前駆状態において、第3軸73の延設面73aは、囲い部60に軸方向Aで係合している。取付前駆状態において、第2軸72の延設面72aは、第1区画壁41の外面41aに係合している。取付前駆状態において、囲い部60の第1壁61は、軸方向Aにおいて第1突出部80に対して被係合部45とは反対側に配置されている。取付前駆状態において、周方向Bにおいて第1突出部80は、一対の第2壁62に挟まれていない。取付前駆状態とは、第1突出部80が一対の第2壁62に挟まれていないときの係合ピン30の状態である。
【0049】
取付前駆状態において、第2軸72の延設面72aが第1区画壁41の外面41aに係合しているため、係合ピン30は、アーム部材20から抜け出さない。取付前駆状態において、第2軸72の延設面72aは、軸方向Aにおいて第2突出部90が第1突出部80とは反対側に向かうことを規制している。係合ピン30は、取付前駆状態において、アーム部材20に係合される係合部としての延設面72aを有している。取付前駆状態において、被係合部45の第2面45bは、第2突出部90の傾斜面91と軸方向Aで対向している。
【0050】
<取付状態>
図9及び図10に示すように、係合ピン30を取付前駆状態で軸方向Aに移動させることにより、係合ピン30の状態を取付状態にする。取付状態とは、第3軸73の延設面73aを囲い部60から離しつつ、第2軸72の延設面72aを第1区画壁41の外面41aから離したときの係合ピン30の状態である。
【0051】
軸部70が軸方向Aに移動することで係合ピン30の状態が取付前駆状態から取付状態へ移行する際に、第2突出部90が被係合部45を乗り越えつつ、軸方向Aへ移動するとともに第1突出部80が囲い部60に収容される。係合ピン30の状態が取付前駆状態から取付状態へ移行する際に、第2軸72の延設面72aがアーム部材20から離れる。第2突出部90が被係合部45を乗り越えるとき、傾斜面91が被係合部45に押し付けられつつ、被係合部45が傾斜面91上を滑る。このとき、第2突出部90及び被係合部45の少なくともいずれかは弾性変形する。
【0052】
係合ピン30が取付前駆状態から取付状態へ移行したとき、第2突出部90が被係合部45を乗り越える。このとき、被係合部45と傾斜面91とが接触する。取付状態において、第2突出部90と被係合部45との係合により係合ピン30は取付前駆状態への復帰を抑制される。
【0053】
係合ピン30が取付状態となったとき、第2突出部90の係合面92は、軸方向Aにおいて被係合部45の第1面45aに係合される。係合ピン30が取付状態となったとき、第2突出部90の係合面92は、軸方向Aにおいて被係合部45に隣り合う位置に配置される。取付状態とは、第2突出部90が被係合部45に対して第1突出部80側にあるときの係合ピン30の状態である。なお、係合ピン30が取付状態となったとき、第2突出部90の係合面92は、被係合部45の第1面45aに係合されなくてもよい。例えば、係合ピン30が取付状態となったとき、第2突出部90の係合面92は、被係合部45の第1面45aから若干離れていてもよい。
【0054】
図10及び図11に示すように、係合ピン30が取付状態となったとき、第1突出部80は、囲い部60の溝部60bの内部に入り込む。取付状態において、囲い部60の第1壁61は、軸方向Aにおいて第1突出部80に対して被係合部45とは反対側に配置されている。係合ピン30が取付状態となったとき、第1突出部80は、周方向Bにおいて第1対向壁621と第2対向壁622とに挟まれている。取付状態とは、第1突出部80が一対の第2壁62に挟まれているときの係合ピン30の状態である。取付状態において、第1突出部80と一対の第2壁62との係合により、係合ピン30はアーム部材20と一体的に回転される。
【0055】
係合ピン30が取付状態となったとき、第1内壁面621a及び第2内壁面622aは、側面81に沿っている。第2壁62は、側面81に沿う壁面である第1内壁面621a及び第2内壁面622aを有している。
【0056】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
係合ピン30が取付状態であるとき、第2突出部90から第1突出部80に向かう方向に係合ピン30が移動しても、第1突出部80が囲い部60の第1壁61に係合する。また、第1突出部80から第2突出部90に向かう方向に係合ピン30が移動しても、第2突出部90が被係合部45に係合する。よって、係合ピン30がアーム部材20から抜けにくくなる。
【0057】
また、開口部101に対して蓋20aを開閉させると、蓋20aに一体化されたアーム部材20が回転する。係合ピン30が取付状態であるとき、囲い部60の一対の第2壁62に第1突出部80が係合するため、アーム部材20と係合ピン30とが一体回転する。すなわち、係合ピン30がアーム部材20に対して相対回転しにくい。このため、第1突出部80と囲い部60の第1壁61との位置関係、及び第2突出部90と被係合部45との位置関係が周方向Bにずれることが抑制される。
【0058】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)係合ピン30が取付状態であるとき、第1突出部80が囲い部60に囲まれており、且つ被係合部45により軸方向Aにおいて第1突出部80とは反対側に向かう第2突出部90の移動が規制される。よって、係合ピン30とアーム部材20との組付け状態が正常に維持される。したがって、したがって、蓋20aによる車体100に設けられた開口部101の開閉が適切に実施できる。
【0059】
(2)係合ピン30が軸部70の先端から挿通部40に挿通されることにより係合ピン30が取付前駆状態となると、軸方向Aにおいて第2突出部90が被係合部45に対して第1突出部80とは反対側にあるが、第2軸72の延設面72aがアーム部材20に係合する。よって、取付前駆状態においてアーム部材20の挿通部40から係合ピン30が脱落にくくなる。
【0060】
(3)囲い部60の第2壁62が第1内壁面621a及び第2内壁面622aを有している。係合ピン30がアーム部材20に対して相対回転しようとしても、周方向Bにおいて第1突出部80が第2壁62を乗り越えにくい。よって、係合ピン30がアーム部材20に対してより相対回転しにくくなる。このため、第1突出部80と囲い部60の第1壁61との位置関係、及び第2突出部90と被係合部45との位置関係が周方向Bにずれることがより抑制される。よって、係合ピン30とアーム部材20との組付け状態が正常に維持される。
【0061】
(4)第2突出部90が傾斜面91を有している。このため、係合ピン30が取付前駆状態から取付状態へ移行する際に、第2突出部90の傾斜面91により第2突出部90が被係合部45を乗り越えやすくなる。また、係合ピン30が取付状態となった後に係合面92の縁が被係合部45の第1面45aに係合される。すなわち、係合ピン30が取付状態となった後に係合面92により第2突出部90が被係合部45を乗り越えにくくなる。このため、係合ピン30を取付状態に維持しやすくなる。よって、係合ピン30を取付前駆状態から取付状態へ移行しやすくなるとともに、係合ピン30がアーム部材20からより抜けにくくなる。
【0062】
[変更例]
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0063】
○ 第2突出部90は、第1突出部80が軸部70から突出する方向と反対の方向に軸部70から突出していたが、例えば以下のように変更してもよい。
図12及び図13に示すように、第2突出部90は、第1突出部80が軸部70から突出する方向と同じ方向に軸部70から突出していてもよい。この場合、切り欠き孔41dは、第1挿入孔41cを区画する円弧面から連通口50が開口する方向に凹むように変更する。そして、被係合部45を第4区画壁44の内面44aから突出させる。本変更例の被係合部45は、内面44aから延びる板状の突起である。第4区画壁44の内面44aは、挿通部40の内面の一例である。
【0064】
このように変更した場合、係合ピン30を初期状態としたとき、第2突出部90は、連通口50側に配置される。係合ピン30を取付前駆状態とすると、軸方向Aにおいて被係合部45よりも第2区画壁42側に第2突出部90が配置される。すなわち、取付前駆状態において、軸方向Aにおいて第2突出部90が被係合部45に対して第1突出部80とは反対側に配置される。そして、係合ピン30が取付状態となったとき、第2突出部90が被係合部45を乗り越える。係合ピン30が取付状態となったとき、軸方向Aにおいて第2突出部90が被係合部45に対して第1突出部80側に配置される。係合ピン30が取付状態となったとき、第2突出部90の係合面92は、被係合部45に隣り合う位置に配置される。このとき、距離L2は、板状の被係合部45における第2区画壁42に対向する面と、第1壁61のうち囲い部60の内側に位置する面との距離である。
【0065】
○ 囲い部60は、挿通部40の内部に配置されてもよい。この場合、以下のように変更するとよい。
図14及び図15に示すように、囲い部60は、第4区画壁44に設けられていてもよい。囲い部60の第1壁61は、第4区画壁44の内面44aから第1軸71に向けて突出している。一対の第2壁62の一方を第3対向壁623とし、一対の第2壁62の他方を第4対向壁624とする。第3対向壁623は、第1壁61及び第4区画壁44に一体形成されている。第4対向壁624は、第1壁61及び第4区画壁44に一体形成されている。第3対向壁623と第4対向壁624とは、対向している。
【0066】
囲い部60を挿通部40の内部に配置する場合、第1突出部80は、第1軸71から突出するように変更する。また、上記変更例と同様に、被係合部45を第4区画壁44に設けるように変更する場合、第1突出部80と第2突出部90は、同じ方向に第1軸71から突出するとよい。
【0067】
本変更例において、取付状態において、第1壁61は、軸方向Aにおいて第1突出部80に対して被係合部45とは反対側に配置される。係合ピン30が取付状態となったとき、第1突出部80は、周方向Bにおいて第3対向壁623と第4対向壁624とに挟まれる。よって、係合ピン30が取付状態となったとき、第1突出部80が一対の第2壁62に挟まれている。係合ピン30が取付状態となったとき、軸方向Aにおいて第2突出部90が被係合部45に対して第1突出部80側に配置される。係合ピン30が取付状態となったとき、第2突出部90の係合面92は、被係合部45に隣り合う位置に配置される。
【0068】
○ 第1突出部80及び第2突出部90の周方向Bにおける配置は、適宜変更してもよい。この場合、囲い部60及び被係合部45の周方向Bにおける配置を第1突出部80及び第2突出部90の配置に合わせて変更するとよい。
【0069】
○ 第1区画壁41、第2区画壁42、第3区画壁43、及び第4区画壁44は、挿通部40の内部に空間S及び被係合部45を形成できるのであれば、形状を適宜変更してもよい。
【0070】
○ 第1突出部80の形状は適宜変更してもよい。第1突出部80は、係合ピン30が取付状態で周方向Bに回転するときに第1突出部80が第2壁62に係合できればよい。また、第1突出部80は、係合ピン30が取付状態で第2突出部90から第1突出部80に向かう方向に移動するときに第1壁61に係合できればよい。
【0071】
○ 第2突出部90は、傾斜面91及び係合面92を有していたが、これに限らない。第2突出部90の形状は適宜変更してもよい。第2突出部90は、係合ピン30が取付状態であり、且つ係合ピン30が第1突出部80から第2突出部90に向かう方向に移動したとき、被係合部45に係合できればよい。
【0072】
○ 第2壁62において、第1内壁面621aと第2内壁面622aとは平行でなくてもよい。第2壁62の形状は、係合ピン30が取付状態で周方向Bに回転したとき、第1突出部80が係合できれば適宜変更してもよい。
【0073】
○ 係合ピン30は、取付前駆状態において、アーム部材20に係合される係合部としての延設面72aを有していたが、これに限らない。例えば、軸部70を第1軸71のみで形成するとともに、第1軸71から径方向Cに突出する延設部を新たに追加してもよい。係合ピン30が取付前駆状態となったとき、当該延設部を例えば第1区画壁41の外面41aに係合させてもよい。つまり、当該延設部を係合部としてもよい。なお、取付前駆状態において、アーム部材20に係合する係合部を係合ピン30から省略してもよい。
【0074】
○ アーム部材20の蓋20aは、アーム部材20とは別体の蓋であってもよい。蓋は、アーム部材20と一体化されていればよい。
○ アーム部材20及び係合ピン30は、例えば金属材料で形成されていてもよい。ただし、係合ピン30が取付前駆状態から取付状態へ移行していくとき、第2突出部90が被係合部45を乗り越えることができるように、第2突出部90の形状、及び被係合部45の形状を適宜変更するとよい。
【0075】
[付記]
実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[1]車体に設けられた開口部を開閉する蓋と、前記蓋と一体化され、前記蓋による前記開口部の開閉に伴い回転するアーム部材と、前記アーム部材の回転中心となる軸状の部材であり、前記アーム部材を貫通するとともに前記車体に対して回転自在である係合ピンと、を備える車両に対する蓋の取付構造であって、前記係合ピンは、軸線に沿って延在する軸部と、前記軸部から前記軸線に交差する方向に突出する第1突出部と、前記軸部から前記軸線に交差する方向に突出しており、前記軸線に沿った軸方向において前記第1突出部から離れた位置に設けられた第2突出部と、を有しており、前記アーム部材は、前記軸部が挿通される空間を形成する挿通部と、前記挿通部の内面から前記軸部に向かって突出する被係合部と、前記軸方向において前記第1突出部に対して前記被係合部とは反対側に配置される第1壁、及び前記軸方向に延在するとともに互いに対向する一対の第2壁を有する囲い部と、を有しており、前記軸方向において、前記第1壁と前記被係合部との間の距離は、前記第1突出部と前記第2突出部との間の距離より長く、前記第1突出部が前記一対の第2壁に挟まれており、且つ前記軸方向において前記第2突出部が前記被係合部に対して前記第1突出部側にあるときの前記係合ピンの状態を取付状態とし、前記第1突出部が前記一対の第2壁に挟まれておらず、且つ前記軸方向において前記第2突出部が前記被係合部に対して前記第1突出部とは反対側にあるときの前記係合ピンの状態を取付前駆状態とすると、前記軸部が前記軸方向へ移動することで前記係合ピンの状態が前記取付前駆状態から前記取付状態へ移行する際に、前記第2突出部が前記被係合部を乗り越えつつ、前記軸方向へ移動するとともに前記第1突出部が前記囲い部に収容されており、前記取付状態において、前記第1突出部と前記一対の第2壁との係合により、前記係合ピンは前記アーム部材と一体的に回転され、前記第2突出部と前記被係合部との係合により、前記係合ピンは前記取付前駆状態への復帰を抑制される。
【0076】
[2]前記係合ピンは、前記取付前駆状態において、前記軸方向において前記第2突出部が前記第1突出部とは反対側に向かうことを規制するために前記アーム部材に係合される係合部を有している、[1]に記載の車両に対する蓋の取付構造。
【0077】
[3]前記第1突出部は、当該第1突出部における前記軸部の周方向の両側に位置する側面を有しており、前記一対の第2壁は、前記側面に沿う壁面を有している、[1]又は[2]に記載の車両に対する蓋の取付構造。
【0078】
[4]前記第2突出部は、前記軸方向において前記第1突出部側の部分に設けられる傾斜面であって、前記軸方向において前記第1突出部に向かうほど前記軸部の前記軸線に近づくように延びる傾斜面と、前記軸方向において前記第1突出部とは反対側の部分に設けられる係合面であって、前記軸部の前記軸線に直交する方向に延びる係合面と、を有している、[1]~[3]のいずれか一項に記載の車両に対する蓋の取付構造。
【符号の説明】
【0079】
10…車両に対する蓋の取付構造、20…アーム部材、20a…蓋、30…係合ピン、40…挿通部、45…被係合部、60…囲い部、61…第1壁、62…一対の第2壁、70…軸部、72a…係合部としての延設面、80…第1突出部、81…側面、90…第2突出部、91…傾斜面、92…係合面、100…車体、101…開口部、621a…一対の第2壁の壁面としての第1内壁面、622a…一対の第2壁の壁面としての第2内壁面、m…軸部の軸線、A…軸方向、B…周方向、L1…第1突出部と第2突出部との間の距離、L2…第1壁と被係合部との間の距離、S…空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15