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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103788
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 49/02 20060101AFI20240725BHJP
   A01B 5/10 20060101ALI20240725BHJP
   A01B 33/10 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A01B49/02
A01B5/10
A01B33/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092372
(22)【出願日】2024-06-06
(62)【分割の表示】P 2020201960の分割
【原出願日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2019239359
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健志
(72)【発明者】
【氏名】滝口 貴智
(57)【要約】
【課題】作業ロータの前方に複数の耕耘部材を配置した農作業機において、耕耘ユニットを複数列設けることなく、均平性能を確保すること。
【解決手段】農作業機は、回転軸の軸方向に沿って配置された複数の耕耘爪を含む作業ロータと、前記作業ロータの前方に配置された複数の耕耘部材を含む耕耘ユニットと、を備え、前記耕耘ユニットは、湾曲面が右を向く第1耕耘部材及び湾曲面が左を向く第2耕耘部材を含む耕耘部材群を前記農作業機の中心線に対して左右に少なくとも1組ずつ有し、前記湾曲面を互いに向かい合わせて隣り合う前記第1耕耘部材と前記第2耕耘部材との間のディスク離隔領域の幅は、前記第1耕耘部材の削耕幅と前記第2耕耘部材の削耕幅との合計幅以上であり、正面視において、前記回転軸における前記ディスク離隔領域と重畳する重畳領域には、複数の耕耘爪が前記回転軸の軸方向に沿って離隔する複数の取付位置で取り付けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の軸方向に沿って配置された複数の耕耘爪を含む作業ロータと、
前記作業ロータの前方に配置された複数の耕耘部材を含む耕耘ユニットと、
を備えた農作業機であって、
前記耕耘ユニットは、湾曲面が右を向く第1耕耘部材及び湾曲面が左を向く第2耕耘部材を含む耕耘部材群を前記農作業機の中心線に対して左右に少なくとも1組ずつ有し、
前記湾曲面を互いに向かい合わせて隣り合う前記第1耕耘部材と前記第2耕耘部材との間のディスク離隔領域の幅は、前記第1耕耘部材の削耕幅と前記第2耕耘部材の削耕幅との合計幅以上であり、
正面視において、前記回転軸における前記ディスク離隔領域と重畳する重畳領域には、複数の耕耘爪が前記回転軸の軸方向に沿って離隔する複数の取付位置で取り付けられている、農作業機。
【請求項2】
前記重畳領域において、 前記耕耘爪の回転範囲は、当該耕耘爪が取り付けられた前記取付位置と隣接する前記取付位置に取り付けられ、当該耕耘爪に隣接する他の耕耘爪の回転範囲とオーバーラップする、請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記耕耘爪は、前記回転軸の軸方向右に向かって湾曲する 第1耕耘爪と、前記回転軸の軸方向の左に向かって湾曲する第2耕耘爪と、を有し、
前記重畳領域における各取付位置には、前記第1耕耘爪及び前記第2耕耘爪が、前記回転軸の軸方向に対して、互いの湾曲方向が逆になるように取り付けられており、
前記重畳領域 において、前記回転軸の軸方向に 隣接する取付位置に取り付けられ、湾曲方向が互いに向かい合う前記第1耕耘爪及び前記第2耕耘爪は、各回転範囲が互いにオーバーラップする、請求項2に記載の農作業機。
【請求項4】
前記重畳領域に取り付けられた複数の耕耘爪のうち、最も左に位置する耕耘爪は、前記回転軸の軸方向の左に向かって湾曲し、最も右側に位置する耕耘爪は、前記回転軸の軸方向の右に向かって湾曲する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の農作業機。
【請求項5】
平面視において、前記ディスク離隔領域は、前記農作業機を牽引する走行機体の走行跡と重畳する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農作業機に関する。特に、圃場を耕耘する作業ロータの前方に複数の耕耘部材(例えばディスク)を配置した農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場を深く粗く耕した(プラウを行った)後、さらに圃場表層の砕土・均平を図るように耕耘作業を行うことで播種床を形成する手法が知られている。播種床形成に際し、プラウ後の耕耘作業をどのように行うかについては、作物や土壌条件に応じて多種多様である。例えば、播種床の形成に際し、円盤状のディスクを回転させて圃場を耕耘するディスクハローを用いて圃場を耕した後、複数の耕耘爪を有する作業ロータを回転させて圃場を耕耘するロータリーハローを用いてさらに耕耘作業を行う場合がある。このような播種床形成に対応した農作業機として、特許文献1では、ディスクハローとロータリーハローとを組み合わせた農作業機を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭54-101115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された農作業機は、前後方向に2列のディスクユニットを配置し、1列目(前方側)のディスクユニットにより移動した土を、2列目(後方側)のディスクユニットで元の方向に戻すような構成となっている。すなわち、前後で向きの異なるディスクを配置することにより圃場の均平性を向上させる構成となっている。しかしながら、前後に2列のディスクユニットを設けることになるため、農作業機の前後方向の長さが長くなってしまい、トラクタと農作業機のバランスが悪くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明の課題の一つは、作業ロータの前方に複数の耕耘部材(例えばディスク)を配置した農作業機において、耕耘ユニット(例えばディスクユニット)を複数列設けることなく、均平性能を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による農作業機は、回転軸の軸方向に沿って配置された複数の耕耘爪を含む作業ロータと、前記作業ロータの前方に配置された複数の耕耘部材を含む耕耘ユニットと、を備え、前記耕耘ユニットは、湾曲面が右を向く第1耕耘部材及び湾曲面が左を向く第2耕耘部材を含む、少なくとも3つの耕耘部材で構成される耕耘部材群を前記農作業機の中心線に対して左右に少なくとも1組ずつ有し、前記湾曲面を互いに向かい合わせて隣り合う前記第1耕耘部材と前記第2耕耘部材との間の距離は、前記第1耕耘部材の削耕幅と前記第2耕耘部材の削耕幅との合計幅以上である。
【0007】
前記耕耘部材群は、2つ以上の前記第1耕耘部材と2つ以上の前記第2耕耘部材とで構成されてもよい。
【0008】
前記耕耘ユニットは、隣り合う前記耕耘部材群の間に、前記湾曲面を互いに向かい合わせて隣り合う前記第1耕耘部材及び前記第2耕耘部材を有していてもよい。
【0009】
それぞれの前記耕耘部材群は、当該農作業機を牽引する走行機体の走行手段の後方に位
置していてもよい。
【0010】
前記耕耘ユニットに含まれる前記第1耕耘部材の総数と前記第2耕耘部材の総数とが等しくてもよい。
【0011】
前記耕耘ユニットの耕幅は、前記作業ロータの耕幅よりも広くてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、作業ロータの前方に複数の耕耘部材(例えばディスク)を配置した農作業機において、耕耘ユニット(例えばディスクユニット)を複数列設けることなく、均平性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における農作業機の外観を示す図であり、(A)は、外観斜視図、(B)は、正面図である。
図2】第1実施形態における農作業機の外観を示す図であり、(A)は、農作業機の下面図、(B)は、左側面図である。
図3】第1実施形態における農作業機のディスクの位置関係を説明するための図である。
図4】第1実施形態における農作業機の耕耘爪及びディスクの位置関係を説明するための図である。
図5】第2実施形態における農作業機のディスクユニットの構成を示す図である。
図6】第2実施形態における農作業機のディスクユニットの構成を示す図である。
図7】第2実施形態における農作業機のディスクユニットの構成を示す図である。
図8】第3実施形態における農作業機の外観を示す図であり、(A)は、上面図、(B)は、左側面図である。
図9】第3実施形態の農作業機におけるチゼルの構成を示す図であり、(A)は、上面図、(B)は、右側面図、(C)は、正面図、(D)は左側面図である。
図10】第3実施形態の農作業機におけるチゼルユニットを拡大した拡大図であり、(A)は、チゼルユニット全体の拡大図、(B)は、チゼルユニットの左側に位置する2つのチゼルサブユニットの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の農作業機の実施形態について説明する。但し、本発明の農作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「上」は圃場から略垂直に遠ざかる方向を示し、「下」は圃場に向かって略垂直に近づく方向を示す。「前」は農作業機が進行する方向を示し、「後」は前とは反対の方向を示す。「左」は農作業機が進行する方向に向かったときの左を示し、「右」は左とは反対の方向を示す。
【0016】
また、作業ロータの回転軸における軸方向の中心を基準として、相対的に、中心に近い側を「内側」と呼び、中心から遠い側を「外側」と呼ぶ場合がある。
【0017】
本明細書中において、「削耕幅」とは、1つの耕耘部材が圃場に作用する左右方向の長さ(幅)を指す。具体的には、「削耕幅」とは、1枚のディスクが回転したときに、そのディスクが圃場に作用する左右方向の長さ(幅)、又は、1つのチゼルが圃場に作用する左右方向の長さ(幅)を指す。つまり、正面視又は平面視において、1枚のディスク又は
1つのチゼルの外接矩形における左右方向の長さに相当する。
【0018】
本明細書中において、「耕耘部材群」とは、農作業機の中心線に対して、左側及び右側のそれぞれに配置された「少なくとも3つの耕耘部材で構成される群」を指す。具体的には、「ディスク群」とは、農作業機の中心線に対して、左側及び右側のそれぞれに配置された「少なくとも3つのディスクで構成される群」を指し、「チゼル群」とは、農作業機の中心線に対して、左側及び右側のそれぞれに配置された「少なくとも3つのチゼルで構成される群」を指す。すなわち、本明細書中において、「ディスク群」又は「チゼル群」は、農作業機の中心線に対して、左側と右側とに少なくとも1組ずつ配置される。
【0019】
<第1実施形態>
(農作業機の構成)
本実施形態の農作業機100の構成について説明する。本実施形態では、農作業機100として、トラクタ等の走行機体の後部に装着され、走行機体に牽引されて圃場を耕耘するロータリーハローを例示する。
【0020】
図1及び図2は、第1実施形態の農作業機100の外観の構成を示す図である。具体的には、図1(A)は、農作業機100を前方左斜め上方から見た斜視図であり、図1(B)は、農作業機100を正面から見た正面図である。また、図2(A)は、農作業機100を下方から見た下面図であり、図2(B)は、農作業機100を左側方から見た側面図である。なお、図1及び図2は、本実施形態の農作業機100の概略の構成を示すものであり、説明の便宜上、一部の部品の図示を省略している場合がある。
【0021】
本実施形態の農作業機100は、大別して、装着部10、耕耘作業部20、ディスクユニット30、及び鎮圧作業部40を含む。以下、各部について説明する。
【0022】
装着部10は、トップマスト110及びロアリンク連結部115を含む。トップマスト110及びロアリンク連結部115は、トラクタ等の走行機体(図示せず)に農作業機100を装着するための連結機構として機能する。本実施形態の農作業機100において、トップマスト110及びロアリンク連結部115をまとめてフロントヒッチと呼ぶ場合がある。フロントヒッチは、トップマスト110の頂部に設けられた支持部と、ロアリンク連結部115の左右両サイドに設けられた2つの支持部とで走行機体と接続される。
【0023】
トップマスト110及びロアリンク連結部115は、図示しない走行機体のトップリンク及び左右二箇所に設けられたロアリンク(すなわち、3点リンクヒッチ機構)にそれぞれ連結される。装着部10により農作業機100が走行機体に装着されると、入力軸117から動力を入力することが可能となる。入力軸117は、PIC(Power Input Connection)軸とも呼ばれ、走行機体から動力を伝達するインターフェースとして機能する。入力軸117は走行機体のPTO(Power Take Off)軸とユニバーサルジョイント等で連結される。なお、農作業機100と走行機体との連結は、オートヒッチフレームを介して行われてもよい。
【0024】
耕耘作業部20は、第1メインフレーム210に支持された作業ロータ220、作業ロータ220の上方に位置するシールドカバー230、作業ロータ220の後方に位置する整地部材240、整地部材240を圃場に対して押し付けるように作用する加圧部材250、及び作業ロータ220に動力を伝達するチェーン駆動部260を含む。作業ロータ220は、回転軸222及び該回転軸222の軸方向に沿って配置された複数の耕耘爪224を含む。
【0025】
上述の入力軸117から入力された動力は、第1メインフレーム210の内部に配置さ
れた動力伝達軸(図示せず)を介してチェーン駆動部260に伝達され、さらに作業ロータ220の回転軸222に伝達される。チェーン駆動部260は、チェーンケースの内部にチェーン及びスプロケットを有し、上述の動力伝達軸と回転軸222とを連結する。動力が回転軸222に伝達されることにより、回転軸222と共に複数の耕耘爪224が回転する。このように、作業ロータ220が回転することにより複数の耕耘爪224が圃場に作用し、圃場の耕耘作業が行われる。
【0026】
ディスクユニット30は、第2メインフレーム310、ディスク支持部320、ディスクアーム330、及びディスク340を含む。第2メインフレーム310は、第1メインフレーム210に支持された作業ロータ220の側板に固定されている。第2メインフレーム310には、4つのディスク支持部320が固定されており、各ディスク支持部320には、ディスクアーム330を介して2つのディスク340が支持されている。本実施形態では、1つのディスク支持部320に対して2つのディスク340を設けた例を示すが、これに限らず、1つだけディスク340を支持してもよいし、3つ以上のディスク340を支持してもよい。ディスク340は、作業ロータ220による耕耘作業に先立って圃場を耕耘する部材であり、耕耘部材の一例である。すなわち、ディスクユニット30は、複数の耕耘部材で構成される耕耘ユニットの一例である。
【0027】
各ディスク340は、例えば花形ディスクで構成され、ディスク支持部320に固定されたディスクアーム330によってそれぞれ回転可能に支持される。本実施形態において、ディスクアーム330は、湾曲部(又は屈曲部)を有する板状部材である。なお、図1(B)では、複数のディスク340は、それぞれの凹曲面(湾曲面)341が斜め上方を向くように支持されているが、ディスク340の向きはこれに限定されない。複数のディスク340の凹曲面341が水平又は斜め下方を向くように、複数のディスク340を支持させることも可能である。
【0028】
各ディスク340は、走行機体の進行により回転し、圃場を掘削しながら耕耘してゆく。本実施形態の農作業機100では、耕耘作業部20による耕耘作業に先立ち、ディスクユニット30で圃場を耕耘する構成のため、耕耘作業部20の耕耘負荷を低減できるようになっている。なお、本実施形態では、図2等に示すように、複数のディスク340は進行方向に対して斜めに支持されており、個々のディスク340が、圃場をより広い範囲で掘削するため、ディスクユニット30の砕土性能が向上する。また、複数のディスク340の凹曲面341が斜め上方を向いているため、複数のディスク340のそれぞれに土の放擲を行わせることができる。複数のディスク340による土の放擲方向を制御することにより、圃場の均平性能を向上させることも可能である。また、ディスクユニット30の両端に位置するディスク340は、農作業機100の中心側を向いており、ディスクユニット30の外側に砕土した土が飛散しにくいよう構成されている。
【0029】
また、複数のディスク340による土の放擲方向を制御することにより、圃場の均平性能を向上させることも可能である。例えば、図2(A)に示すように、複数のディスク340は、後述する第1ディスク340a及び第2ディスク340bを含む。ディスクユニット30の左側端部に設けられた2つの第1ディスク340a及びディスクユニット30の右側端部に設けられた2つの第2ディスク340bは、それぞれ土をディスクユニット30の中心方向(内側)に向かって放擲する。また、ディスクユニット30の中央付近に設けられた2つの第1ディスク340a及び第2ディスク340bは、それぞれ土をディスクユニット30の外側に向かって放擲する。これにより、ディスクユニット30の作業時における土の移動が内側と外側とに平均化され、ディスクユニット30全体として圃場の均平性が向上する。
【0030】
さらに、本実施形態では、図2(A)に示すように、複数の耕耘爪224のうち最も外
側に位置する耕耘爪224は、外側に向かって湾曲している。さらに、複数のディスク340のうち最も外側に位置するディスク340は、凹曲面341が進行方向に対して内側を向くと共に、最も外側に位置する耕耘爪224よりも外側に位置する。これにより、最も外側に位置するディスク340によって内側に寄せられた土が、最も外側に位置する耕耘爪224によって外側に移動するため、作業時における土の移動が内側と外側とに平均化され、圃場の均平性を向上させることができる。
【0031】
鎮圧作業部40は、カゴ用ブラケット410、ローラアーム420、角度調整機構430、カゴローラ440、スクレーパ用ブラケット450、及びスクレーパ460を含む。カゴ用ブラケット410は、第1メインフレーム210に固定された左右一対(2つの)部材であり、後方に配置されるカゴローラ440を両持ち支持するためのブラケットである。各カゴ用ブラケット410には、ローラアーム420の一端が回転可能に固定され、ローラアーム420の他端にはカゴローラ440が回転可能に支持されている。カゴ用ブラケット410に対するローラアーム420の角度は、両者の間に架け渡されたねじ式の角度調整機構430により調整可能である。そして、角度調整機構430による調整でカゴローラ440の高さ位置を調整して、作業ロータ220の耕深を調整することができるようになっている。
【0032】
カゴローラ440は、リング状の複数の支持部材440aに対して複数のバー440bが架設された構造を有し、ローラアーム420に対して回転可能に支持される。本実施形態の農作業機100では、走行機体の走行に伴って前方に進行すると、整地部材240の後方に配置されたカゴローラ440が、耕耘作業部20の通過した後を回転しながら進行する。その際、複数のバー440bが、耕耘作業部20によって耕耘された圃場の土塊を砕土及び鎮圧する構成となっている。スクレーパ460は、ゴム等の弾性部材がカゴローラ440に接するように配置されており、鎮圧作業の際に、カゴローラ440に付着した土を落とす役割を果たす。なお、左右方向において、カゴローラ440の幅をディスクユニット30及び耕耘作業部20のうちより耕耘幅が大きい方の耕耘幅(本実施形態ではディスクユニット30の耕耘幅)よりも大きく構成することが好ましい。
【0033】
また、本実施形態において、カゴローラ440は、農作業機100を高速で耕耘作業させる際の安定性を確保する役割も有している。すなわち、耕耘作業を高速で行う場合、(走行機体及び)カゴローラ440で作業ロータ220を支えることができるため、農作業機100で高速に耕耘作業を行った場合でも、カゴローラ440が無い場合に比べて、より耕耘作業時の安定性を確保することができる。なお、本実施形態では、鎮圧用回転体の一例としてカゴローラ440を例示したが、この例に限らず、鎮圧ローラなど回転して圃場を鎮圧できる機能を有していれば、他の鎮圧用回転体を用いてもよい。
【0034】
以上説明した本実施形態の農作業機100は、ディスクユニット30が有する複数のディスク340の配置を工夫することにより、ディスクユニットを複数列設けることなく、農作業機100の均平性能を向上させている。その点について、以下に説明する。
【0035】
(ディスクユニットの構成)
図3は、第1実施形態における農作業機100のディスク340の位置関係を説明するための図である。具体的には、図3(A)は、図2(A)に示したディスクユニット30の各ディスク340を抽出した図である。
【0036】
図3(A)に示されるように、本実施形態のディスクユニット30は、第1ディスク340a及び第2ディスク340bを含む。ここで、第1ディスク340aとは、複数のディスク340のうち、凹曲面341が右を向くディスクを指す。また、第2ディスク340bとは、複数のディスク340のうち、凹曲面341が左を向くディスクを指す。なお
、第1ディスク340aと第2ディスク340bを特に区別する必要がない場合は、総称してディスク340と表記する。
【0037】
本実施形態のディスクユニット30は、凹曲面341が互いに異なる方向を向く二種類のディスクを組み合わせることにより、ディスクユニット30を複数列設けることなく、圃場の均平性を確保することができる。ディスクユニット30は、農作業機100の中心線に対して左側にディスク群31を有し、右側にディスク群32を有している。これらのディスク群31とディスク群32とは、農作業機100の中心線に対して左右対称に構成されている。ディスク群31は、2つの第1ディスク340a及び2つの第2ディスク340bの合計4つのディスク340で構成される。
【0038】
ここで、ディスク群31を構成するディスク340のうち、最も外側(農作業機100の中心から最も離れた位置)に位置するディスク340は、凹曲面341が農作業機100の中心(内側)を向くように配置されている。また、平面視において、第1ディスク340aと第2ディスク340bとは、前方が拡開するように略逆「ハ」の字状に配置されている。ディスク群32もディスク群31と同じ構造を有する。なお、以下の説明においては、ディスク群31に着目して説明を行い、ディスク群32についての説明は省略する場合がある。また、本実施形態では、農作業機100の中心線に対して左右に1組ずつディスク群を有する例を示したが、この例に限らず、左右にそれぞれ2組以上のディスク群を有していてもよい。
【0039】
ディスク群31の内部において、仮に、第1ディスク340a又は第2ディスク340bのみが配置された場合、土が左右方向のいずれかのみに移動してしまい圃場の均平性を確保することができないおそれがある。そのため、本実施形態では、1つのディスク群に凹曲面341が互いに異なる方向(内側と外側)を向く第1ディスク340aと第2ディスク340bとを混在させ、土の移動方向を平均化させる構成となっている。これにより、ディスク群31及びディスク群32の内部において、土の移動を偏らせることなく均平性を確保することができる。また、本実施形態では、ディスクユニット30に含まれる第1ディスク340aの総数と第2ディスク340bの総数とを等しくしている。このような構成も土の移動を偏らせることなく均平性を確保する上で有効である。
【0040】
ところで、上述したようにディスクユニット30の両端に位置するディスク340を、内側を向くように配置した場合、ディスク群31及びディスク群32を第1ディスク340a及び第2ディスク340bの組み合わせで構成すると、ディスクユニット30全体のどこかに第1ディスク340a及び第2ディスク340bの凹曲面341が互いに向かい合う部分が発生する。この場合、第1ディスク340aと第2ディスク340bとの間の距離が狭いと、凹曲面341によって移動した土が第1ディスク340aと第2ディスク340bとの間に溜まってしまい、場合によっては、ディスク間に土が詰まって作業不能になってしまうおそれがある。
【0041】
そこで、本実施形態のディスクユニット30は、凹曲面341を互いに向かい合わせて隣り合う第1ディスク340aと第2ディスク340bとの間の距離を適切に設定することにより、凹曲面341によって寄せられた土が第1ディスク340aと第2ディスク340bとの間に詰まってしまう不具合が生じないように構成されている。なお、本明細書では、凹曲面341を互いに向かい合わせて隣り合う第1ディスク340aと第2ディスク340bとの間の領域をディスク離隔領域342と呼ぶ。前述の距離は、ディスク離隔領域342の幅に相当する。
【0042】
図3(A)において、第1ディスク340aを平面視(又は背面視)したときの外接矩形(外縁に接する最も小さな矩形)を第1外接矩形345aとする。また、第2ディスク
340bを平面視(又は背面視)したときの外接矩形を第2外接矩形345bとする。図3(B)は、第1外接矩形345a及び第2外接矩形345bを用いてディスクユニット30の各ディスク340の配置を表した図である。
【0043】
図3(B)において、第1外接矩形345aと第2外接矩形345bとは、異なるハッチングで示してある。また、本実施形態において、第1外接矩形345aの幅と第2外接矩形345bの幅とは、等しいものとし、両者の幅をいずれもW1とする。ただし、この例に限らず、第1外接矩形345aの幅と第2外接矩形345bの幅とが異なるものであってもよい。なお、本明細書中において、第1外接矩形345a及び第2外接矩形345bの幅(W1)を「削耕幅」とも呼ぶ。「削耕幅」とは、農作業機100の走行時にディスク340が圃場に作用する幅を意味する。
【0044】
ここで、ディスク離隔領域342の幅(W2)は、図3(B)に示されるように、ディスク群31の内部において、第1外接矩形345aと第2外接矩形345bとの間の距離に相当する。このとき、本実施形態のディスクユニット30は、各ディスク340の削耕幅(W1)と、ディスク離隔領域342の幅(W2)との間に、2×W1≦W2(好ましくは3×W1≦W2)の関係がある。すなわち、本実施形態のディスクユニット30は、ディスク離隔領域342の幅が、各ディスク340の削耕幅の2倍以上(好ましくは3倍以上)に設定されている。また、本実施形態では、第1外接矩形345aの幅と第2外接矩形345bの幅とが等しい場合について説明したが、第1外接矩形345aの幅と第2外接矩形345bの幅とが異なる場合は、ディスク離隔領域342の幅(W2)を、第1外接矩形345aの幅と第2外接矩形345bの幅との合計幅以上に設定すればよい。
【0045】
以上のように、本実施形態のディスクユニット30は、ディスク群31及びディスク群32の内部において、ディスク離隔領域342の幅を、それぞれの削耕幅の2倍以上(すなわち、第1ディスク340aの削耕幅と第2ディスク340bの削耕幅との合計幅以上)とすることにより、圃場の均平性を確保しつつ、ディスク340の間に土が詰まってしまう不具合を防ぐ構成となっている。
【0046】
図3(C)は、図3(B)の変形例であり、ディスク群31Aを、3つの第1ディスク340a及び2つの第2ディスク340bで構成し、ディスク群32Aを、2つの第1ディスク340a及び3つの第2ディスク340bで構成した例である。この場合、ディスク離隔領域342の幅(W3)は、各ディスク340の削耕幅(W1)の2倍以上に設定される。
【0047】
図3(D)は、図3(B)の変形例であり、ディスク群31Bを、2つの第1ディスク340a及び1つの第2ディスク340bで構成し、ディスク群32Bを、1つの第1ディスク340a及び2つの第2ディスク340bで構成した例である。本実施形態では、ディスク離隔領域342の幅(W4)が各ディスク340の削耕幅(W1)の約3倍に設定されているが、ディスク離隔領域342の幅(W4)は、各ディスク340の削耕幅(W1)の少なくとも2倍以上であれば適宜変更可能である。
【0048】
図3(E)は、図3(B)の変形例であり、ディスク群31Cを、3つの第1ディスク340a及び1つの第2ディスク340bで構成し、ディスク群32Cを、1つの第1ディスク340a及び3つの第2ディスク340bで構成した例である。ただし、図3(E)の構成の場合、第1ディスク340aと第2ディスク340bとが凹曲面341を互いに向かい合わせて隣り合う部分が合計で3箇所になる。具体的には、ディスク群31C及びディスク群32Cの内部に1つずつ存在し、ディスク群31Cとディスク群32Cとの間に1つ存在する。この場合、ディスク離隔領域342の幅(W5)が各ディスク340の削耕幅(W1)の2倍以上に設定されるのはもちろんのこと、隣り合うディスク群31
、32において、凹曲面341が向かいあうディスク340同士の間隔(W6)も、各ディスク340の削耕幅(W1)の2倍以上に設定されている。
【0049】
以上のように、本実施形態の農作業機100が備えるディスクユニット30は、第1ディスク340a及び第2ディスク340bで構成される複数のディスク群を有し、各ディスク群において、ディスク離隔領域342の幅が、各ディスク340の削耕幅の2倍以上になっている。これにより、本実施形態の農作業機100は、ディスクユニット30を複数列設けることなく、均平性能を確保することができる。
【0050】
(ディスクと耕耘爪との位置関係)
図4は、第1実施形態における農作業機100の耕耘爪224及びディスク340の位置関係を説明するための図である。具体的には、図4は、図2(A)に示した農作業機100の下面図の一部を拡大した図である。
【0051】
前述のとおり、本実施形態のディスクユニット30は、ディスク離隔領域342の幅を、各ディスク340の削耕幅の2倍以上としている。そのため、第1ディスク340aと第2ディスク340bとの間の圃場は、ディスク340による耕耘作業が行われない。そこで、本実施形態の農作業機100では、ディスク340による耕耘作業が行われない部分を作業ロータ220で適切に耕耘する構成となっている。
【0052】
図4に示されるように、本実施形態の作業ロータ220は、ディスク離隔領域342の後方に位置する耕耘爪224の配置密度を他の部分よりも高くした構成となっている。具体的には、作業ロータ220は、第1耕耘爪224a及び第2耕耘爪224bの回転範囲の間に間隙Xを有する第1部分220aと、第1耕耘爪224a及び第2耕耘爪224bの回転範囲が互いにオーバーラップする第2部分220bとを有する。
【0053】
ここで、第1耕耘爪224aとは、複数の耕耘爪224のうち、回転軸222の軸方向の右に向かって湾曲する耕耘爪を指す。また、第2耕耘爪224bとは、複数の耕耘爪224のうち、回転軸222の軸方向の左に向かって湾曲する耕耘爪を指す。また、「回転範囲」とは、耕耘爪が回転した場合に、平面視(又は背面視)において耕耘爪の軌跡が示す範囲を指す。
【0054】
第1部分220aでは、第1耕耘爪224aの回転範囲と第2耕耘爪224bの回転範囲とが重なっていない。すなわち、第1耕耘爪224aの回転範囲と第2耕耘爪224bの回転範囲との間には、間隙Xがあるため、この間隙Xの部分は耕耘爪224による耕耘作業が行われない。しかしながら、本実施形態では、図4に示されるように、複数のディスク340のうち少なくとも1つが、間隙Xに合わせて配置されているため、間隙Xに相当する部分もディスク340によって砕土することができる。
【0055】
他方、ディスク離隔領域342の後方には、作業ロータ220の第2部分220bが位置するため、ディスク340によって耕耘されなかった圃場も、第2部分220bに配置された耕耘爪224によって耕耘することができる。さらに、第2部分220bは、第1耕耘爪224aの回転範囲と第2耕耘爪224bの回転範囲とをオーバーラップさせることにより耕耘爪224の配置密度が他に比べて高いため、砕土性の高い耕耘作業を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態の農作業機100は、ディスク離隔領域342が走行機体の走行手段(例えば、車輪又は無限軌道)が通過する位置に合わせて設けられている。ディスク離隔領域342では、両側に位置する第1ディスク340a及び第2ディスク340bそれぞれの凹曲面341によって土がディスク離隔領域342の中央に向かって寄せられる。そ
のため、ディスク離隔領域342に走行跡(轍)があっても効率良く土を戻して均平化することができる。さらに、戻された土によって埋められた走行跡52は、さらに作業ロータ220の第2部分220bで細かく砕土しつつ均平化される。そのため、効率良く走行跡52を消すことができ、圃場の均平性をさらに向上させることができる。
【0057】
また、図3を用いて説明したように、本実施形態のディスクユニット30は、ディスク群31及び32のそれぞれに少なくとも3つのディスク340が配置されているため、走行跡52とディスク離隔領域342とが多少ずれても、ディスク離隔領域342に隣接するディスク340によって走行跡52に対して土を寄せることが可能であり、冗長性の高い設計となっている。なお、本実施形態では、走行機体の走行跡52に合わせてディスク離隔領域342が設けられた構成としているが、この例に限られるものではない。すなわち、ディスク離隔領域342が走行跡52と無関係な位置にあっても、ディスクユニット30を複数列設けることなく、均平性能を確保できるという効果は損なわれない。
【0058】
<第2実施形態>
第2実施形態では、ディスク340の配置を第1実施形態とは異なる例とした場合について説明する。図5図7は、第2実施形態における農作業機のディスクユニット30の構成を示す図である。なお、第1実施形態と同一の要素については、説明の便宜上、同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図5(A)に示す例は、図3(D)に示した変形例に対応する。図5(A)に示す例では、ディスク群31Bは、2つの第1ディスク340aと1つの第2ディスク340bを含み、ディスク群32Bは、1つの第1ディスク340aと2つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31B及び32Bに1つずつ設けられている。
【0060】
また、図5(A)に示す例では、ディスクユニット30の両端の第1ディスク340a及び第2ディスク340bが、それぞれの凹曲面341が向い合せになると共に、ディスクユニット30の耕幅(耕耘作業を行うことができる最大幅)が、作業ロータ220の耕幅よりも広くなるように配置されている。これにより、作業ロータ220よりも広い範囲から土を作業ロータ220の方へ寄せることができ、また、ディスクユニット30による耕耘後の領域を作業ロータ220で耕耘させることができるため、砕土性及び均平性を向上させることができる。なお、農作業機の均平性を向上させるためには、圃場の土をディスクユニット30内に寄せる方が有利であるため、農作業機の中央側を向くディスク数を、外側を向くディスク数以上とすることが好ましい。
【0061】
図5(B)に示す例は、図3(E)に示した変形例に対応する。図5(B)に示す例では、ディスク群31Cは、3つの第1ディスク340aと1つの第2ディスク340bを含み、ディスク群32Cは、1つの第1ディスク340aと3つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31C及びディスク群32Cにそれぞれ1つずつ設けられ、ディスク群31Cとディスク群32Cとの間にも設けられている。
【0062】
ディスク離隔領域342は、寄せられた土により山状に盛り上がった形状となり、本図5(B)に示すディスク配置によれば、ディスクユニット30内に3つの山が形成される。この場合、図3(A)のディスク配置に比べ、ディスク離隔領域342に寄せられる土量が分散され、形成される山の高さが低くなる。すなわち、第1ディスク340aと第2ディスク340bにより寄せられる山の数を増やすことで、耕耘作業部20による作業前に、圃場に寄せられる土の山によって極端な凹凸ができることがなく、結果として農作業機の均平性能を向上させることができる。図5(B)に示す例では、ディスクユニット30の耕幅が、作業ロータ220の耕幅とほぼ同じであるが、作業ロータ220の耕幅より
広くなっていてもよい。
【0063】
図5(C)に示す例では、ディスク群31Dは、2つの第1ディスク340aと1つの第2ディスク340bを含み、ディスク群32Dは、1つの第1ディスク340aと2つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31D及びディスク群32Dにそれぞれ1つずつ設けられ、ディスク群31Dとディスク群32Dとの間にも設けられている。図5(C)に示す例では、ディスクユニット30の耕幅が、作業ロータ220の耕幅とほぼ同じであるが、作業ロータ220の耕幅より広くなっていてもよい。
【0064】
図5(D)に示す例では、ディスク群31E及び32Eは、それぞれ2つの第1ディスク340aと2つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31E及び32Eにそれぞれ2つずつ設けられている。
【0065】
また、図5(D)に示す例では、1つのディスク群31E内に凹曲面341が向かい合った第1ディスク340a及び第2ディスク340bが2組設けられている。この場合、ディスクユニット30内には、図5(A)~図5(C)の構成に比べて小さな山が4つ形成されることとなり、より均平性を高められるようになっている。なお、この場合も、ディスクユニット30の耕幅が、作業ロータ220の耕幅より広くなっていることが好ましい。
【0066】
図6(A)に示す例では、ディスク群31Fは、3つの第1ディスク340aと1つの第2ディスク340bを含み、ディスク群32Fは、1つの第1ディスク340aと3つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31F及びディスク群32Fにそれぞれ1つずつ設けられ、ディスク群31Fとディスク群32Fとの間にも設けられている。
【0067】
図6(B)に示す例では、ディスク群31Gは、4つの第1ディスク340aと1つの第2ディスク340bを含み、ディスク群32Gは、1つの第1ディスク340aと4つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31G及びディスク群32Gにそれぞれ1つずつ設けられ、ディスク群31Gとディスク群32Gとの間にも設けられている。
【0068】
図6(C)に示す例では、ディスク群31Hは、3つの第1ディスク340aと2つの第2ディスク340bを含み、ディスク群32Hは、2つの第1ディスク340aと3つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31H及びディスク群32Hにそれぞれ1つずつ設けられ、ディスク群31Hとディスク群32Hとの間にも設けられている。
【0069】
また、図6(A)~図6(C)に示す例では、ディスクユニット30の両端部に、それぞれ凹曲面341が内側を向くように第1ディスク340a及び第2ディスク340bが配置されている。したがって、ディスクユニット30の耕幅が、作業ロータ220の耕幅よりも広く、作業ロータ220よりも広い範囲から土を作業ロータ220の方へ寄せることができるため、農作業機の砕土性及び均平性を向上させることができる。
【0070】
図7(A)に示す例では、ディスク群31Iは、3つの第1ディスク340aと2つの第2ディスク340bを含み、ディスク群32Iは、2つの第1ディスク340aと3つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31I及びディスク群32Iにそれぞれ1つずつ設けられ、ディスク群31Iとディスク群32Iとの間にも設けられている。
【0071】
図7(B)に示す例では、ディスク群31Jは、4つの第1ディスク340aと2つの第2ディスク340bを含み、ディスク群32Jは、2つの第1ディスク340aと4つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31J及びディスク群32Jにそれぞれ1つずつ設けられ、ディスク群31Jとディスク群32Jとの間にも設けられている。
【0072】
図7(C)に示す例では、ディスク群31K及びディスク群32Kは、それぞれ3つの第1ディスク340aと3つの第2ディスク340bを含む。ディスク離隔領域342は、ディスク群31K及びディスク群32Kにそれぞれ1つずつ設けられている。
【0073】
また、図7(A)~図7(C)に示す例では、ディスクユニット30の両端部に、それぞれ凹曲面341が内側を向くように第1ディスク340a及び第2ディスク340bが配置されている。したがって、ディスクユニット30の耕幅が、作業ロータ220の耕幅よりも広く、作業ロータ220よりも広い範囲から土を作業ロータ220の方へ寄せることができるため、農作業機の砕土性及び均平性を向上させることができる。
【0074】
<第3実施形態>
本実施形態では、作業ロータ220の前にディスクユニット30とは異なる耕耘部材を配置した例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と異なる点に着目して説明を行い、第1実施形態と同じ部位については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0075】
図8は、第3実施形態における農作業機100aの外観を示す図である。具体的には、図8(A)は、農作業機100aの上面図を示し、図8(B)は、農作業機100aの左側面図を示している。なお、説明の便宜上、図8(A)では、トップマスト110などの一部の部位の図示を省略しているが、基本的な構造は、第1実施形態の農作業機100と同様である。
【0076】
図8(A)及び図8(B)に示すように、本実施形態の農作業機100aは、第1実施形態で説明したディスクユニット30に代えて、チゼルユニット60を備えている。
【0077】
チゼルユニット60は、第2メインフレーム610及びチゼルサブユニット65を有する。各チゼルサブユニット65は、チゼル支持部620、ブラケット625、チゼルアーム630、及びチゼル640を含む。第2メインフレーム610は、第1メインフレーム210と略平行に配設されている。第2メインフレーム610には、2組のチゼル640を含む4つのチゼルサブユニット65が支持されており、第2メインフレーム610に固定された支持ブラケット615を介して、4つのチゼル支持部620が支持されている。各チゼル支持部620には、2つのブラケット625が固定され、各ブラケット625には、下部にチゼル640を支持するチゼルアーム630が上下位置調整可能に固定されている。具体的には、チゼルアーム630には位置調整穴630a(図9(B)及び図9(D)参照)が上下方向に3つ設けられており、ブラケット625に対する固定位置を調整することによりチゼル640の高さ位置を調整できるようになっている。
【0078】
本実施形態では、1つのチゼル支持部620に対して2つのチゼル640を設けた例を示すが、これに限られるものではない。例えば、1つのチゼル支持部620で1つのチゼル640を支持してもよいし、3つ以上のチゼル640を支持してもよい。チゼル640は、作業ロータ220による耕耘作業に先立って圃場を耕耘し、土を移動させる部材であり、耕耘部材の一例である。すなわち、チゼルユニット60は、複数の耕耘部材で構成される耕耘ユニットの一例である。
【0079】
本実施形態の農作業機100aは、第1実施形態又は第2実施形態におけるディスク340の位置に、ディスク340に代えてチゼル640を配置した構成を有する。チゼル640もディスク340と同様に湾曲面を有し、その湾曲面が農作業機100aの進行方向に対して斜め上方を向いている。つまり、チゼル640は、第1実施形態又は第2実施形態のディスク340と同様の役割を果たすことができる。
【0080】
図9は、第3実施形態の農作業機100aにおけるチゼル640の構成を示す図である。具体的には、図9(A)は、チゼル640の上面図を示し、図9(B)は、チゼル640の右側面図を示し、図9(C)は、チゼル640の正面図を示し、図9(D)は、チゼル640の左側面図を示している。図9(A)において矢印で示した方向が農作業機100aの進行方向(すなわち、前方)である。図10は、第3実施形態の農作業機100aにおけるチゼルユニット60を拡大した拡大図である。具体的には、図10(A)は、チゼルユニット60全体の拡大図を示し、図10(B)は、チゼルユニット60の左側に位置する2つのチゼルサブユニット65a及び65b(すなわち、農作業機100aの中心線に対して左側に位置するチゼル群)の拡大図を示している。
【0081】
各チゼル640は、チゼル支持部620に固定されたチゼルアーム630によって湾曲面641を前方にむけて支持される。図9(B)及び図9(D)に示すように、チゼルアーム630には、チゼル640の上下方向の位置を調整するための位置調整穴630aが設けられている。本実施形態では、各チゼル640が、それぞれの湾曲面641が斜め上方を向くように支持されているが、チゼル640の向きはこれに限定されない。また、本実施形態では、チゼル640として湾曲面641を有する板状部材を例示しているが、この形状に限られるものではない。
【0082】
本実施形態では、対(組)を成す2つのチゼルサブユニット65a及び65bの各チゼル640を、湾曲面641が進行方向に対して左右逆向きを向くように支持する。図10(B)に示すように、本実施形態では、外側のチゼルサブユニット65aと内側のチゼルサブユニット65bとは対称に構成され、外側のチゼルサブユニット65aを構成する2つの第1チゼル640aの湾曲面641は内側を向き、内側のチゼルサブユニット65bを構成する2つの第2チゼル640bの湾曲面641は外側を向いている。そのため、第1チゼル640a及び第2チゼル640bに耕耘された土は、向かい合う一対のチゼルサブユニット65a及び65bの幅(左右)方向中央側(すなわち、チゼル離隔領域642)へ寄せられて行く。
【0083】
この場合、一対のチゼルサブユニット65a及び65bは、幅方向において、走行機体の走行手段(タイヤ、クローラ等)を挟むように配置することが好ましい。本実施形態の農作業機100aは、チゼル離隔領域642が走行機体の走行手段が通過する位置に合わせて設けられているため、チゼル離隔領域642に走行機体の走行跡(轍)があっても効率良く土を戻して均平化することができる。さらに、戻された土によって埋められた走行跡は、さらに作業ロータ220の第2部分220b(図4参照)で細かく砕土しつつ均平化される。そのため、効率良く走行跡を消すことができ、圃場の均平性をさらに向上させることができる。
【0084】
また、複数のチゼル640の湾曲面641が斜め上方を向いているため、各チゼル640が土を持ち上げ、上層に向かって土壌を破砕するように作用する。これにより、土壌を軟質化させ、後続する作業ロータ220による耕耘作業の負荷を低減することができる。
【0085】
なお、チゼルサブユニット65及びチゼルサブユニット65に支持させるチゼル640の数及び配置は適宜選択可能であるが、チゼル640の湾曲面641が対向する箇所が少なくとも1以上設けられることが好ましい。また、対を成すチゼルサブユニット65が支
持するチゼル数は、必ずしも同数である必要はなく、例えば、外側のチゼルサブユニット65aに2つのチゼル640を支持させ、内側のチゼルサブユニット65bに1つのチゼル640を支持させるような構成とすることも可能である。
【0086】
また、図8(A)では、シールドカバー230の下方に位置するため図示されないが、第1実施形態と同様に、農作業機100aは、作業ロータ220を備えている。作業ロータ220の複数の耕耘爪224のうち最も外側に位置する耕耘爪224は、外側に向かって湾曲している。また、複数のチゼル640のうち最も外側に位置するチゼル640は、湾曲面641が進行方向に対して内側を向くと共に、最も外側に位置する耕耘爪224よりも外側に位置する。これにより、最も外側に位置するチゼル640によって内側に寄せられた土が、最も外側に位置する耕耘爪224によって外側に移動するため、作業時における土の移動が内側と外側とに平均化され、圃場の均平性を向上させることができる。
【0087】
本実施形態の農作業機100aにおいても、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、チゼルユニット60は、第1チゼル640a及び第2チゼル640bで構成される複数のチゼル群を有し、各チゼル群において、チゼル離隔領域642の幅が、各チゼル640の削耕幅の2倍以上(好ましくは3倍以上)になっている。これにより、本実施形態の農作業機100aは、チゼルユニット60を複数列設けることなく、均平性能を確保することができる。
【0088】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、耕耘部材の配置(ディスク配置やチゼル配置)は、上述した構成以外にも様々なパターンが考えられる。
【符号の説明】
【0089】
10…装着部、20…耕耘作業部、30…ディスクユニット、31、31A~31K、32、32A~32K…ディスク群、40…鎮圧作業部、50…基準線、100…農作業機、110…トップマスト、115…ロアリンク連結部、117…入力軸、210…第1メインフレーム、220…作業ロータ、220a…第1部分、220b…第2部分、222…回転軸、224…耕耘爪、230…シールドカバー、235…回動軸、235a…回動中心、240…整地部材、240b…第1作用部、240c…第2作用部、250…加圧部材、250a…弾性部材、260…チェーン駆動部、310…第2メインフレーム、320…ディスク支持部、330…ディスクアーム、340…ディスク、340a…第1ディスク、340b…第2ディスク、341…凹曲面、342…ディスク離隔領域、345a…第1外接矩形、345b…第2外接矩形、410…カゴ用ブラケット、420…ローラアーム、430…角度調整機構、440…カゴローラ、440a…支持部材、440b…バー、450…スクレーパ用ブラケット、460…スクレーパ、60…チゼルユニット、65、65a、65b…チゼルサブユニット、610…第2メインフレーム、615…支持ブラケット、620…チゼル支持部、625…ブラケット、630…チゼルアーム、640…チゼル、641…湾曲面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10