(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103793
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B41J2/175 161
B41J2/175 175
B41J2/175 133
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092663
(22)【出願日】2024-06-07
(62)【分割の表示】P 2020129780の分割
【原出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(72)【発明者】
【氏名】井▲高▼ 護
(72)【発明者】
【氏名】宮内 洋
(57)【要約】
【課題】リザーバ端子の汚れ付着を軽減するとともに使い勝手の良いインクジェット記録装置用カートリッジを提供する。
【解決手段】ボトル800に装着されるROMユニット900は、その前端面に複数の端子プレート910を有している。ROMユニット900はボトル軸線Axと直交する方向にスライド移動可能であり、汚染防止庇620との干渉を回避する退避位置RPと、この退避位置RPよりも前方に突出した接触位置CPとをとることができる。端子プレート910が接触位置CPをとることによりリザーバ端子602と電気的に接触することができる。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体に設けられたカートリッジ受け部に挿入され、当該装置本体にインク又は溶剤を補充するためのカートリッジであって、
インク又は溶剤が収容される内部空間を有するボトル本体と、
前記ボトル本体から第1の方向に沿って延びて、前記ボトル本体の内部空間と連通する管路と、前記第1の方向と交差する第2の方向にガイドするために当該第2の方向に延びたガイド部とを有するボトル首部と、
前記カートリッジに取り付けられ、当該カートリッジに関する情報を記録する記録媒体と、
前記記録媒体と電気的に接続され、前記インクジェット記録装置の装置本体によりアクセスされる第1端子と、
前記第1端子が、第1の位置および前記ボトル首部に対し当該第1の位置よりも前記第2の方向に沿って離間した第2の位置に変位可能となるように、当該第1端子及び前記記録媒体を前記ガイド部によりスライド移動可能に前記ボトル首部に保持する保持部と、を備えることを特徴とするカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの表面に文字や図形を印字するのにインクジェット記録装置が用いられている。特許文献1は、カートリッジ式のインクジェット記録装置を詳細に説明している。インク又は溶剤を補充するためのカートリッジは、装置本体のリザーバに装着される。リザーバには、カートリッジの口部を受け入れる受け口が設けられ、この受け口の中心部分に中空針が起立して配置されている。カートリッジは口部を封止するゴム栓を有している。ユーザがカートリッジを装着する押し下げ操作を行うことによって、中空針がゴム栓を貫通して中空針によって内容液体を取り出すことができる状態を作ることができる。この状態ではカートリッジのボトルの軸線が中空針と整合した状態になる。カートリッジの取り外しは、その逆の持ち上げ操作を行う。
【0003】
カートリッジはボトル首部に記録媒体部を有し、この記録媒体部はボトル側端子を含む。他方、リザーバには、装置本体側の端子(「リザーバ端子」という。)が設けられている。カートリッジを装着すると、ボトル側端子とリザーバ端子とが接続された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のカートリッジ式インクジェット記録装置では、ユーザが単にカートリッジ(ボトル)を中空針の軸線に沿って押し下げ又は引き上げることにより装着又は取り外すことができる。そして、ユーザの押し下げ又は引き上げ操作を行うことで、ボトル側端子とリザーバ端子とを接続又は離脱させることができる。ここで、リザーバ端子は、リザーバの側壁面においてリザーバの内側に突出した状態で配置され、カートリッジ挿入方向から見て視認できる状態になっていることから、外部からの塵や埃が付着しやすい。他にも、リザーバ端子にインク又は溶剤が付着して、リザーバ端子が汚れる(汚染されてしまう)可能性もある。ユーザは、リザーバ端子に汚れが付着すると、その汚れを拭き取る等のクリーニング作業を行っていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、リザーバ端子の汚染を極力防止し、ユーザによるクリーニング作業の負担を減らすために、まず、リザーバ端子の上方に隣接して例えば庇を設けることが考えられる。例えばリザーバ端子に隣接して庇を設けた場合、カートリッジの装着又は取り外しの際にボトル側端子が庇と干渉する。これに対してカートリッジの装着又は取り外しの際に、庇と干渉しないようにカートリッジを操作することをユーザに求めることも可能である。しかし、これを求めることは、カートリッジの簡単な着脱操作に馴れたユーザにとって好ましくなく、カートリッジの使い勝手を低下させてしまう。
【0007】
本発明の目的は、リザーバ端子の汚れ付着を軽減するとともに、使い勝手の良いインクジェット記録装置用カートリッジを提供することにある。
【0008】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体に設けられたカートリッジ受け部に挿入され、当該装置本体にインク又は溶剤を補充するためのカートリッジであって、
インク又は溶剤が収容される内部空間を有するボトル本体と、
前記ボトル本体から第1の方向に沿って延びて、前記ボトル本体の内部空間と連通する管路と、前記第1の方向と交差する第2の方向にガイドするために当該第2の方向に延びたガイド部とを有するボトル首部と、
前記カートリッジに取り付けられ、当該カートリッジに関する情報を記録する記録媒体と、
前記記録媒体と電気的に接続され、前記インクジェット記録装置の装置本体によりアクセスされる第1端子と、
前記第1端子が、第1の位置および前記ボトル首部に対し当該第1の位置よりも前記第2の方向に沿って離間した第2の位置に変位可能となるように、当該第1端子及び前記記録媒体を前記ガイド部によりスライド移動可能に前記ボトル首部に保持する保持部と、を備えることを特徴とするカートリッジを提供することにより達成される。
【0009】
本発明の作用効果及び他の目的は、以下の本発明の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】カートリッジ式インクジェットプリンタを含む自動印字システムの全体構成図である。
【
図2】インクジェットプリンタの主要な要素であるプリンタ本体の全体構成図である。
【
図3】正面ドアを取り外した状態のプリンタ本体を示し、インクカートリッジ及び溶剤カートリッジを装着する前の夫々のリザーバが空の状態を説明するための図である。
【
図4】正面ドアを取り外した状態のプリンタ本体を示し、各々のリザーバにインクカートリッジと溶剤カートリッジを挿入した状態を説明するための図である。
【
図5】正面ドアを取り外した状態のプリンタ本体を示し、各々のリザーバにインクカートリッジと溶剤カートリッジの装着が完了した状態を説明するための図である。
【
図6】カートリッジのボトルの形状を説明するための図である。
【
図7】ボトルの首部及び口部並びに首部に取り付けられたROMユニットを説明するための図であり、ROMユニットの端子プレートは退避位置に位置している。
【
図8】ボトルの首部及び口部並びに首部に取り付けられたROMユニットを説明するための図であり、ROMユニットの端子プレートは接触位置に位置している。
【
図9】ボトルの首部及び口部の構造を説明するための図である。
【
図10】ROMユニットを斜め上から見た斜視図である。
【
図11】ROMユニットを斜め下から見た斜視図である。
【
図12A】変形例のROMユニットを上から見た図であり、一対のアーム部分は閉じ位置に位置している。
【
図12B】変形例のROMユニットを上から見た図であり、一対のアーム部分は開放位置に位置している。
【
図14】
図13とは異なる位置からリザーバを斜め上から見た斜視図である。
【
図15A】ボトルの下降動作の過程において、ROMユニットの端子プレートの上端が汚染防止庇の庇ピークの高さレベルLvにほぼ位置している状態を示す図である。
【
図15C】
図15Bに図示のボトルが更に下降してROMユニットの端子プレートが接触位置に位置した図である。
【
図16】カートリッジを装着又は取り外す操作に連動して端子プレートが退避位置と接触位置との間で変位することを説明するための図である。
【
図17】
図16と同様に、カートリッジを装着又は取り外す操作に連動してROMユニットの端子プレートが退避位置と接触位置との間で変位することを説明するための図である。
【
図18A】連動機構の第1変形例を説明するための図であり、ROMユニットの端子プレートが退避位置に位置している。
【
図18B】連動機構の第1変形例を説明するための図であり、ROMユニットの端子プレートが退避位置から接触位置に移行する途中である。
【
図18C】連動機構の第1変形例を説明するための図であり、ROMユニットの端子プレートが接触位置に位置している。
【
図19A】連動機構の第2変形例を説明するための図であり、ROMユニットの端子プレートが退避位置に位置している。
【
図19B】連動機構の第2変形例を説明するための図であり、ROMユニットの端子プレートが退避位置から接触位置に移行する途中である。
【
図19C】連動機構の第2変形例を説明するための図であり、ROMユニットの端子プレートが接触位置に位置している。
【
図20A】連動機構の第3変形例を説明するための図であり、水平回転するROMユニットの端子プレートが退避位置に位置している。
【
図20B】連動機構の第3変形例を説明するための図であり、水平回転するROMユニットの端子プレートが接触位置に位置している。
【
図21】第3変形例の連動機構の作用により、カートリッジを装着又は取り外す操作に連動してROMユニットの端子プレートが退避位置と接触位置との間で変位することを説明するための図である。
【
図22】本発明に従うカートリッジであって、記録媒体部のボトル側端子が横方向に並進移動可能なカートリッジの概念を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0011】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0012】
<自動印字システム及びインクジェットプリンタ>
図1は、インクジェット記録装置を含む自動印字システムの一例の概略を示す図である。図示の自動印字システム1は、インクジェット記録装置2、ワーク検出センサ4、搬送速度センサ6及びディスプレイ装置8などで構成されている。
【0013】
インクジェット記録装置2は一般的に「インクジェットプリンタ」と呼ばれている。このインクジェットプリンタ2はインクを連続的に噴射するコンティニュアス式のプリンタである。インクジェットプリンタ2は、ワーク搬送ライン10に設置されてワーク搬送ライン10を流れるワークWに文字や図形を印字する。印字対象物であるワークWは、例えば電子部品、プラスチック袋などである。ワーク検出センサ4は、ワークWの有無を検出して印字を開始するトリガを出力する。このトリガ信号を受けてインクジェットプリンタ2は印字を開始する。
【0014】
インクジェットプリンタ2は、プリンタ本体200とヘッド300とを有し、プリンタ本体200とヘッド300とは可撓性ホース12によって連結されている。プリンタ本体200とヘッド300との間で速乾性のインク液が循環され、ヘッド300によって印字が実行される。
【0015】
図2は、インクジェットプリンタ2の全体構成の概要を示すブロック図である。プリンタ本体200は、その内部にメインタンク202を有し、このメインタンク202に速乾性のインク液が蓄えられている。メインタンク202内のインク液は第1ポンプ(インク供給ポンプ)204によってヘッド300のノズル302に供給される。ノズル302へのインク液の供給は常時継続され、ノズル302から吐出されたインク粒のうち、ワークWの印字に使用されないインク粒はガター304によって受け止められる。ガター304に滴下したインク粒はガターポンプ206によって吸引され、そしてメインタンク202に回収される。図中、Fはフィルタを示す。
【0016】
インクジェットプリンタ2は、インク及び溶剤の補充がカートリッジ式である。プリンタ本体200には、インクカートリッジ400と溶剤カートリッジ500とが着脱可能に装着される。インクカートリッジ400には、メインタンク202に補充するためのインク液が収容されている。溶剤カートリッジ500には、インク液の粘度を一定に保持するための溶剤である例えばメチルエチルケトン(MEK)が収容されている。
【0017】
インクジェットプリンタ2では、インク循環系の立ち上げ時や立ち下げ時に、ヘッド300のノズル302内を洗浄する洗浄処理が行われる。ノズル302の洗浄時には、溶剤カートリッジ500内の溶剤が溶剤ポンプ212によって直接的にヘッド300のノズル302に供給される。そして、ノズル302から吐出された溶剤はガター304で受け止められる。ガター304が受け取った溶剤はガターポンプ206によって吸引され、コンディショニングタンク210へ送られる。コンディショニングタンク210内の溶剤は補充・循環ポンプ216により必要に応じてメインタンク202に供給され、これにより回収した溶剤の再利用が行われる。
【0018】
補充・循環ポンプ216は、また、インクカートリッジ400内の補充用インク液を必要に応じてメインタンク202へ送出すると共にメインタンク202内のインクを循環させる機能を有し、この補充・循環ポンプ216によってメインタンク202内のインク液は常時循環される。メインタンク202には粘度計218が付設され、この粘度計218によってメインタンク202内のインク液の粘度を検出し、この粘度計218によって検出した粘度に応じてコンディショニングタンク210から溶剤をメインタンク202に供給することでメインタンク202内のインク液の粘度が一定に維持される。
【0019】
<インクカートリッジ、溶剤カートリッジ>
図3~
図5は、正面ドアを取り外した状態のプリンタ本体200を示す。
図3は、インクカートリッジ400及び溶剤カートリッジ500を取り外した状態を示す。この
図3を参照して、プリンタ本体200は、インクカートリッジ400と溶剤カートリッジ500とを受け入れる2つのリザーバ600を有し、リザーバ600は、インクカートリッジ400用と溶剤カートリッジ500用とが実質的に同じ構成である。リザーバ600は揺動可能である。リザーバ600が横軸を中心に揺動することにより、インクカートリッジ400及び溶剤カートリッジ500は、第1に、鉛直方向に起立した状態(
図5参照)と、第2に、鉛直方向からプリンタ本体200の外側に所定角度傾斜した状態(
図4参照)と、の2つの姿勢をとることができる。
【0020】
図4に示す状態は、インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500を装着又は取り外すときの状態を示す。
図4に示すように、インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500をプリンタ本体200の外側に所定角度傾斜した状態にすることで、インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500の着脱操作を容易に行うことができる。
図5は使用状態のインクカートリッジ400及び溶剤カートリッジ500を示す。使用状態では、インクカートリッジ400及び溶剤カートリッジ500が垂直方向に延びた状態でプリンタ本体200に収納される。
【0021】
<ボトル>
図6はボトル800を示し、
図7~
図9はボトル800の首部810、口部812を拡大して示す図である。ボトル800は、プラスチック成型品であり、インクカートリッジ400及び溶剤カートリッジ500に共通に適用される。ボトル首部810には記録媒体を備えた記録媒体部が設けられる。具体的には、記録媒体部はROMユニット900で構成され、このROMユニット900がボトル首部810に装着される。
図9は、ROMユニット900を装着する前の状態が図示されている。口部812には、ボトル800に内容液体(インク又は溶剤)を充填した後にゴム栓(
図17の参照符号812a)が嵌入されてボトル800が封止される。
【0022】
ボトル800は、
図9から最も良く分かるように、首部810に横方向に延びるガイドロッド820を有し、ガイドロッド820はボトル800と一体成形される。具体的には、ガイドロッド820は、ボトル800の長手方向軸線(ボトル軸線)Axと直交する方向且つ首部810から離れる方向に延びている。また、首部810には、左右の側面にガイド溝822を有し(反対側のガイド溝は作図上の理由から図に現れていない)、左右一対のガイド溝822はボトル軸線Axと直交する方向に延びている。
【0023】
なお、ボトル800は、インク又は溶剤が収容される内部空間を有する本体部の一例である。また、首部810及び口部812は、ボトル800からボトル軸線Axの方向に沿って延びて、ボトル800の内部空間と連通する管路を有しており、管路部の一例である。このことを、
図6を参照して補足的に説明すると、ボトル800は、インク又は溶剤を収容する内部空間を備えたボトル本体800boと、その長手方向一端に設けられた管路部800coとを有し、管路部800coはボトル本体800boから第1の方向に延びている。管路部800coは上述した口部812によって構成され、また、口部812の基端部が首部810によって構成される。ボトル本体800boの中のインク又は溶剤は、管路部800coで構成される管路を通じて流出することができる。この管路部800coの延び方向つまり第1の方向は、ボトル800の中心軸線によって規定され、そして、ボトル軸線Axを実質的に構成する。
【0024】
<ROMユニット>
図10、
図11は記録媒体部を構成するROMユニット900を示す。
図10はROMユニット900を斜め上から見た斜視図であり、
図11はROMユニット900を斜め下から見た図である。ROMユニット900は、記録媒体を搭載したユニット本体902と、一対のアーム部分906とを有し、一対のアーム部分906とユニット本体902とは一体成形されている。
【0025】
ROMユニット900は、一対のアーム部分906が上記ガイド溝822に受け入れられた状態でボトル首部810に脱着可能に且つ横方向にスライド移動可能に装着される(
図7、
図8)。具体的に説明すると、一対のアーム部分906は先端部に抜け止め突起906aを有し(
図10、
図11)、この抜け止め突起906aによってボトル首部810からROMユニット900が脱落するのが防止される。
【0026】
ROMユニット900の変形例として、一対のアーム部分906が揺動可能であってもよい。
図12A、
図12Bは、変形例のROMユニット950において、各アーム部分906は縦軸950aを中心に揺動可能であり、各アーム部分906はバネ952によって閉じ方向に付勢されている。
図12Aは閉じ位置の一対のアーム部分906を示す。バネ付勢によって一対のアーム部分906が閉じ位置をとることによりROMユニット950はボトル首部810に係止された状態になる。
図12Bは開放位置の一対のアーム部分906を示す。ユーザが操作して一対のアーム部分906をバネ付勢に抗して開放位置に位置させることにより、ROMユニット950をボトル首部810から取り外すことができる。
【0027】
ROMユニット900のユニット本体902は、記録媒体としての不揮発メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を内蔵している。EEPROMには、カートリッジ固有のロット番号、メーカ識別番号、カートリッジバージョン、製造者識別番号、インクまたは溶剤の種別、シリアル番号、(インク又はカートリッジ)製造年月日などの情報の他に、ボトル800の中に入っているインクまたは溶剤の残量が記録されている。また、EEPROMには、好ましくは、ROMユニット900を取り付けるインクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500の固有の識別番号(又はシリアル番号)を記録させ、そして、この識別番号に基づいてプリンタ本体200側で当該インクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500のインク又は溶剤の残量を管理するようにしてもよい。
【0028】
ユニット本体902には、その端面に複数の縦長の端子プレート(ボトル側端子)910が横並びに配置されている(
図10)。
図11を参照して、ユニット本体902には、ボトル軸線Axと直交する方向に延びる凹所912が形成されており、凹所912に前述したガイドロッド820(
図9)が摺動可能に受け入れられる。なお、ボトル側端子910は、インクジェットプリンタ2のプリンタ本体200からアクセスされる端子の一例である。
【0029】
ROMユニット900とボトル首部810は、上述した説明から分かるように、2つの変位案内機構SLを有している。第1は、ボトル側のガイドロッド820とROMユニット側の凹所912とで構成されている。第2は、一対のアーム部分906と、これを受け入れるガイド溝822とで構成されている。この2つの変位案内機構SLによってROMユニット900は横方向に移動可能であり、これにより端子プレート910が相対的に外方に位置する接触位置(
図8)と、相対的に内方に位置する退避位置(
図7)とをとることができる。すなわち、端子プレート910は、ボトル軸線Axに近づいて汚染防止庇620との干渉を回避できる退避位置RP(
図7)と、ボトル軸線Axから相対的に遠ざかった接触位置CP(
図8)との間で並進移動可能である。接触位置では、端子プレート910はリザーバ端子602と電気的に接続可能である。なお、一対のアーム部分906及び/又は抜け止め突起906aなどは、端子プレート910の変位を、予め規定された方向(第1実施例ではボトル軸線Axと直交する方向)にガイドするためのガイド部を構成している。
【0030】
上述したように、カートリッジの主要部を構成するボトル800はROMユニット900を含み、端子プレート910は、好ましい実施例では、退避位置RP(
図7)と接触位置CP(
図8)との間で変位可能である。ボトル800は端子プレート910の変位を案内する機構を含んでいる。この機構は上述のガイド部で構成される。
【0031】
<リザーバ>
図13、
図14は、ボトル800の口部812を受け入れるリザーバ600を示す。リザーバ600は、平面視矩形の壁を有し、その一つの壁にバネ性の金属棒を折り曲げることにより形成された複数のリザーバ端子602を有している。各リザーバ端子602は、ROMユニット900の各端子プレート910に対応する位置に配置されている。
【0032】
図13、
図14に示す参照符号610は上方に向けて開放した受け口であり、この受け口610にボトル口部812(
図7)が嵌入される。受け口610にはその底部の中心部分に中空針612が配置されている。中空針612はボトルの軸線Axと同軸上に起立している。インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500をリザーバ600に装着して押し下げることにより、中空針612がボトル口部812のゴム栓(
図17の参照符号812a)を貫通する。この状態では、中空針612はボトル軸線Axと同軸になり、そして中空針612を通じてインクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500の内容液体を取り出すことができる。なお、受け口610は、インクカートリッジ400や溶剤カートリッジ500が挿入されるカートリッジ受け部の一部を構成する機能を有している。
【0033】
リザーバ600は、リザーバ端子602の上方且つ近傍に汚染防止庇620を有し、汚染防止庇620はリザーバ端子602よりも突出して該リザーバ端子602がインクや溶剤によって汚染されるのを防止する。
【0034】
図15A~
図15Cは、インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500をリザーバ600に装着する動作及びリザーバ600から取り外す動作に機械的に連動してROMユニット900が横方向に変位して、端子プレート910が退避位置RPと接触位置CPとをとることを説明するための図である。
【0035】
前述したように、リザーバ600はリザーバ端子602の上方に位置する汚染防止庇620を有している。インクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500をリザーバ600に装着する際のボトル800の動きは上から下に向けた動きである。そして、このボトル800の下方に向けた動きはボトル軸線Axに沿った動きであり、ボトル軸線Axは中空針612の軸線と同軸である。
【0036】
図16は、ボトル800の押し下げ又は持ち上げ操作に連動した端子プレート910の移動軌跡を示す。ボトル800を押し下げる過程において、ROMユニット900の端子プレート910と汚染防止庇620とが干渉する工程では、端子プレート910が汚染防止庇620と干渉しない位置つまり退避位置RPに位置している。端子プレート910が汚染防止庇620よりも低位になった時点で、端子プレート910が前進してリザーバ端子602と接触できる接触位置CPに変位する。この一連の端子プレート910の変位は、ボトル800の押し下げ動作と機械的に連動して行われる。
【0037】
すなわち、ボトル800の押し下げ動作に伴って端子プレート910は汚染防止庇620を通過する工程では退避位置RPに位置した状態でボトル軸線Axに沿って下降する。この退避位置RPに位置する端子プレート910は、プリンタ本体200側の汚染防止庇620と干渉しない。端子プレート910が汚染防止庇620よりも下方に移動すると、端子プレート910は下方への移動と共に前方に向けて突出し始める。そして、中空針612が口部812を貫通した後は、端子プレート910が接触位置CPに位置し、プリンタ本体200側のリザーバ端子602と電気的に接続された状態になる。
【0038】
<連動機構700に含まれる変位案内機構SL>
前述したようにROMユニット900は横方向に移動可能である。すなわち、ROMユニット900は変位案内機構SLによってボトル軸線Axと直交する方向に移動可能であり、これにより、端子プレート910は、相対的に外方に位置してリザーバ端子602と接触する接触位置CP(
図8)と、端子プレート910が相対的に内方に位置する退避位置RP(
図7)との間で横方向に変位することができる。
【0039】
<リザーバ600の傾斜カム面630>
図13、
図14を参照して、リザーバ600は、その底部に、傾斜した本体側カム面630を有している。本体側傾斜カム面630はリザーバ600を介してプリンタ本体200に定置されている。本体側傾斜カム面630はリザーバ端子602の下方に位置している。
【0040】
本体側傾斜カム面630はリザーバ端子602の前方に位置し、本体側傾斜カム面630を含む下側ブロック630Bは、リザーバ端子602の汚染を防止する汚染防止壁を構成している。
【0041】
本体側傾斜カム面630は上方に向いた面で構成され、中空針612に近い端が相対的に高位に位置し、中空針612つまりボトル軸線Axから遠い端が低位に位置している。すなわち、本体側傾斜カム面630は、平面視したときに、ボトル軸線Axに近い端から遠い端に向けて前下がりの傾斜面で構成されている。この本体側傾斜カム面630は、次に説明するROMユニット900の傾斜カムフォロワ面930との関係において「駆動カム部」を構成する。
【0042】
<ROMユニット900の傾斜カムフォロワ面930>
図11から最も良く分かるように、ROMユニット900に傾斜カムフォロワ面930が形成されている。この傾斜カムフォロワ面930は下方に向いた面で構成され、ボトル軸線Ax(
図9)に近い端が上位に位置し、ボトル軸線Ax(
図9)から遠い端が下位に位置している。この傾斜カムフォロワ面930は、上述したリザーバ600の本体側傾斜カム面630つまり本体側の駆動カム部との関係で「カムフォロワ部」を構成する。
【0043】
<連動機構700の作用>
図17を参照して、ボトル800の押し下げ又は持ち上げ動作に伴う端子プレート910の変位は、変位案内機構SL(
図8、
図9、
図11)と、リザーバ600の本体側傾斜カム面630(
図13)と、ROMユニット900の傾斜カムフォロワ面930(
図11)とで基本的に構成された機械的連動機構700によって行われる。
【0044】
図15Aは、ボトル800の下降動作の過程において、ROMユニット900の縦長の端子プレート910の上端が汚染防止庇620の庇ピーク620aの高さレベルLvに位置する状態を示す。この状態では、リザーバ600の中空針612がボトル口部812のゴム栓812aに刺さり始めた状態になる。
【0045】
図15Bはボトル800が更に下降した状態を示す。
図15Aの図示の状態からボトル800が更に下降して、端子プレート910が庇ピーク620aよりも下方に位置するようになると、ROMユニット900側の傾斜カムフォロワ面930が、本体側傾斜カム面630と当接した状態になる。なお、ボトル800が
図15Aに示す位置から更に下方に押し下げられることにより、リザーバ600の中空針612がボトル口部812のゴム栓812aに深く突き刺さった状態になる。
【0046】
図15Bに示す位置からボトル800を更に下方に押し下げると、本体側傾斜カム面630と傾斜カムフォロワ面930との作用によって、ROMユニット900が前方つまりボトル軸線Axから離れる方向に横方向に移動する。そして、ユーザが更にボトル800を下端位置まで押し下げると、リザーバ600の中空針612がボトル800の内部に侵入してボトル800の内部とプリンタ本体200が連通した状態となる。また、このボトル800の下降動作に伴って、
図16を参照して前述した移動軌跡に従って、ROMユニット900の端子プレート910が変位して最終的には接触位置CPをとる(
図15C)。これにより、ROMユニット900の端子プレート910と本体側のリザーバ端子602とが電気的に接続される。
【0047】
空になったボトル800をユーザが持ち上げて空ボトル800を取り外すときには、ボトル800の上方移動に伴う機械的連動機構700(
図17)の作用により、上述したROMユニット900の端子プレート910が接触位置CPから退避位置RPに変位して退避位置RPをとる。この退避位置RPへの変位は庇ピーク620aの高さレベルLvに到達する前に完了する(
図15A)。これにより、ボトル側の端子プレート910が本体側の汚染防止庇620と干渉することなく空ボトル800を取り外すことができる。
【0048】
図16、
図17を参照して、ボトル800を装着する際は、ROMユニット900側の端子つまりボトル側端子プレート910が汚染防止庇620との干渉を回避した後に、本体側の端子、つまりリザーバ端子602にアクセスする。逆に空のボトル800を取り外す際は、端子プレート910がリザーバ端子602から離れ、そして、汚染防止庇620との干渉を回避できる退避位置RPに変位する。なお、
図15Aに示すように、ROMユニット900の端子プレート910が退避位置RPにあるとき、ボトル軸線Axから端子プレート910までの距離は、約25mmである。一方で、
図15Cに示すように、ROMユニット900の端子プレート910が接触位置CPにあるとき、ボトル軸線Axから端子プレート910までの距離は、約33mmである。つまり、端子プレート910が退避位置RPから接触位置CPに変位する変位量は、約8mmとなる。言い換えると、端子プレート910は、ボトル軸線Axまでの距離(約25mm)を基準としたときに、ボトル軸線Axから離れる方向に約30%の距離だけ変位する。
【0049】
<端子プレートの退避位置保持機構>
図16を参照して、汚染防止庇620は側面視三角形の形状を有しているのが好ましい。すなわち、汚染防止庇620は、ボトル軸線Axに最も近い庇ピーク620aとその上方に位置する上方傾斜面620bと、下方に位置する下方傾斜面620cとを有するのが好ましい。上方傾斜面620bは庇ピーク620aに向けて下方に向かうに従って徐々にボトル軸線Axに接近する第1傾斜面で構成される。下方傾斜面620cは下端に向かうに従ってボトル軸線Axから遠ざかる第2傾斜面で構成される。
【0050】
上記汚染防止庇620の形状に関連して、ユニット本体902は、その前端面に第2のカムフォロワ部940を有するのが好ましい。
図15Aを参照して、第2のカムフォロワ部940は、中間部分940aがボトル側端子910よりも前方に突出した位置に位置している。すなわち、中間部分940aは、ボトル側端子910よりもボトル軸線Axから遠ざかる位置に位置している。
【0051】
第2カムフォロワ部940の中間部分940aはボトル軸線Axと平行に上下方向に延びている。第2カムフォロワ部940は、中間部分940aを挟んで上下に、上端部分940b、下端部分940cを有し、上端部分940b、下端部分940cは共に傾斜面で構成されている。上端部分940bは上端が下端よりもボトル軸線Axに近い位置に位置する前下がりの第1傾斜面で構成されている。下端部分940cは上端が下端よりもボトル軸線Axに遠い位置に位置する斜め下方に向いた第2傾斜面で構成されている。
【0052】
ボトル800の押し下げ又は持ち上げ動作に伴って端子プレート910が汚染防止庇620を通過する過程において、第2のカムフォロワ部940の中間部分940aが庇ピーク620aと当接することにより、端子プレート910を退避位置RPに保持することができる。
【0053】
また、端子プレート910が汚染防止庇620を通過する前後において、ROMユニット900が不用意な位置に位置しているときには、汚染防止庇620の上方傾斜面620b又は下方傾斜面620cと、ユニット本体902の第2のカムフォロワ部940の上端部分940b又は下端部分940cとの間の相対的な摺動により端子プレート910を誘導して、端子プレート910が汚染防止庇620を通過する過程において端子プレート910を退避位置RPに位置させることができる。
【0054】
より具体的には、
図16に示す汚染防止庇620の上方において、端子プレート910が接触位置CPに位置する状態でボトル800が押し下げられると、ユニット本体902の第2のカムフォロワ部940の下端部分940c(
図15A)が、汚染防止庇620の上方傾斜面620bに当接する。そして、下端部分940cが上方傾斜面620bに対して摺動することで、端子プレート910は退避位置RP又はその近傍にまで移動していく(ボトル軸線Axに近づいていく)。ボトル800が更に押し下げられると、下端部分940c及び/又は傾斜カムフォロワ面930は、傾斜カム面630に当接する。そして、下端部分940c及び/又は傾斜カムフォロワ面930が傾斜カム面630に対して摺動することで、端子プレート910は接触位置CPにまで移動していく(ボトル軸線Axから遠ざかっていく)。逆に、今度はボトル800が持ち上げられると、ユニット本体902の第2のカムフォロワ部940の上端部分940b(
図15A)が、汚染防止庇620の下方傾斜面620cに当接する。そして、上端部分940bが下方傾斜面620cに対して摺動することで、端子プレート910は接触位置CPから退避位置RP又はその近傍にまで移動していく(ボトル軸線Axに近づいていく)。このようにして、ボトル800の押し下げ又は持ち上げ動作に伴って、端子プレート910を所望の位置まで移動させることができる。
【0055】
なお、端子プレート910は、退避位置RPと接触位置CPに変位可能となるように、ROMユニット900に保持される。また、下端部分940c及び/又は傾斜カムフォロワ面930は、ボトル800の装着又は取り外し操作に連動してボトル側の第1端子つまり端子プレート910を変位させるために、装置側に定置された傾斜カム面630に対して摺動する「摺動部」を構成している。換言すれば、ボトル800側の摺動部は、ユーザの操作に基づくカートリッジの挿入量(挿入距離)に対応して、首部810に対してROMユニット900つまり端子プレート910をユーザの操作量に対応した移動量を端子プレート910に供給する機能を有する。これにより、カートリッジをカートリッジ受け部に挿入するにつれて、ROMユニット900つまり端子プレート910を退避位置RPから接触位置CPへと変位させることができる。
【0056】
<連動機構の第1変形例>
図18A乃至
図18Cを参照して、上述した連動機構700の第1変形例を説明する。第1変形例の連動機構710は、本体側の傾斜ピン712と、これを受け入れるROMユニット900側の傾斜孔714とを含む。なお、ROMユニット900は、連動機構700と同様に変位案内機構SL(
図7など)を含む。変位案内機構SLによって、端子プレート910は接触位置CPと退避位置RPとをとることができる(
図7、
図8)。
【0057】
傾斜ピン712は、リザーバ600の底面から斜め上方に延びている。より詳しくは、傾斜ピン712は、その上端がボトル軸線Axに相対的に近位に位置し、下端がボトル軸線Axに遠位に位置している。傾斜孔714は、上端から斜め下方に延びている。より詳しくは、傾斜孔714は、その上端がボトル軸線Axに相対的に近位に位置し、下端がボトル軸線Axから遠位に位置している。
【0058】
ユーザがボトル800を軸線Axに沿って押し下げる操作を行うと、この操作に連動して、プリンタ本体側の傾斜ピン712がROMユニット900の傾斜孔714の中に入り込んで、退避位置RPの端子プレート910(
図18A)を接触位置CP(
図18C)に変位させる。その途中の状態を
図18Bに図示してある。
【0059】
上記の説明から分かるように、プリンタ本体側の傾斜ピン712が「本体側駆動カム部」を実質的に構成し、ROMユニット900の傾斜孔714が「カムフォロワ部」を実質的に構成し、また、摺動部を構成する。
【0060】
傾斜ピン712が傾斜孔714に入り込むタイミングは、端子プレート910が汚染防止庇620よりも下方に位置するタイミングに設定される。前述した
図17を参照して、これによりボトル側の端子プレート910が本体側の汚染防止庇620と干渉することなく端子プレート910をリザーバ端子602に接触させた状態を作ることができる。
【0061】
空になったボトル800をユーザが持ち上げて空ボトル800を取り外すときには、ボトル800の上方移動に伴う第1変形例の連動機構710の作用により、上述したROMユニット900の端子プレート910が接触位置CPから変位して退避位置RPをとる。この退避位置RPへの変位は汚染防止庇620に到達する前に完了する(
図17A)。これにより、ボトル側の端子プレート910が本体側の汚染防止庇620と干渉することなく空ボトル800を取り外すことができる。
【0062】
第1変形例の連動機構710においても前述した端子プレートの退避位置保持機構を備えているのがよい。前述したように、端子プレート910が汚染防止庇620を通過する前後において、ROMユニット900が不用意な位置に位置しているときには、汚染防止庇620の上方傾斜面620b又は下方傾斜面620cと、ROMユニット900の第2のカムフォロワ部940の上端部分940b又は下端部分940cとの係合により端子プレート910を誘導して、端子プレート910が汚染防止庇620を通過する過程において端子プレート910を退避位置RPに位置させることができる。
【0063】
<連動機構の第2変形例>
図19A~
図19Cを参照して連動機構700の第2変形例を説明する。第2変形例の連動機構720はリンク722とカム突起724を含む。また、ROMユニット900は、第1実施例に含まれる連動機構700と同様に変位案内機構SL(
図7)を含む。変位案内機構SLによって、端子プレート910は接触位置CPと退避位置RPとをとることができる(
図7、
図8)。
【0064】
リンク722は、ボトル800に固定された第1ピン722aを含み、この第1ピン722aを中心に揺動可能である。リンク722は長孔726を有し、この長孔726に挿通された第2ピン722bはROMユニット900に固定されている。
【0065】
カム突起724はプリンタ本体200の一部を構成するリザーバ600に固設されている。カム突起724は、上端から下端に向けて前下がりの傾斜カム面724aを有し、この傾斜カム面724aが本体側駆動カム部724aを構成する。他方、リンク722はその下端面722cがカムフォロワ部を構成する。
【0066】
リンク722がカム突起724と当接するタイミングは、端子プレート910(
図19A~
図19Cには作図上の理由から現れていない)が汚染防止庇620よりも下方に位置するタイミングに設定される。前述した
図17を参照して、これによりボトル800を装着又は取り外す際において、汚染防止庇620を通過する時点では端子プレート910は退避位置RPに位置決めされた状態が維持される(
図19A)。
【0067】
ユーザがボトル800を更に押し下げると、リンク722がカム突起724の作用により揺動し始めて、リンク722の作用によってROMユニット900がリザーバ端子602に向けて変位する(
図19B)。そして、ボトル800の装着が完了した時点では、端子プレート910は接触位置CPに位置決めされた状態になる(
図19C)。
【0068】
第2変形例の連動機構720の作用は、実質的に
図17を参照して説明した連動機構700の作用と同じであり、ボトル800を軸線Axに沿って押し下げることで、ボトル側の端子プレート910が本体側の汚染防止庇620と干渉することなく端子プレート910をリザーバ端子602に接触させた状態を作ることができる。
【0069】
<連動機構の第3変形例>
連動機構700の第3変形例を
図20A、
図20Bを参照して説明する。第3変形例の連動機構730(
図20A)は、変形例のROMユニット970を有し、ROMユニット970はリング状部分970aを有し、このリング状部分970aはボトル首部810に支持されてボトル軸線Axを中心に自在に水平回転可能である。
【0070】
なお、第3変形例のROMユニット970は、前述した変位案内機構SL(
図7、
図8など)を含んでいない。
【0071】
リザーバ600は、ボトル口部812を受け入れる受け口610の周囲に隆起するカム部650を有し、カム部650は駆動カム面650aを有している。駆動カム面650aは、リザーバ端子602に接近するに従って低位になる傾斜面である。この駆動カム面650aに対するカムフォロワの機能は、変形例のROMユニット970の下面の一部が担っている。
【0072】
ユーザはボトル800(
図20A、
図20Bでは図示せず)を装着する前に、ROMユニット970の端子プレート910が汚染防止庇620と干渉しない位置に位置決めする。つまりROMユニット970を退避位置RPに位置決めする。そして、ボトル800を軸線Axに沿って押し下げる操作を行うと、この操作に連動して、ROMユニット970の下面の一部が本体側の駆動カム面650aに着座する。
図20Aには、着座する直前の状態が図示されている。この状態では、既に端子プレート910が汚染防止庇620の下方に位置し且つ退避位置RPに位置している。
【0073】
ROMユニット970の下面の一部が本体側の駆動カム面650aに着座すると、リザーバ600の駆動カム面650aの作用によって、ROMユニット970がボトル軸線Axを中心に水平回転する。この回転方向は、駆動カム面650aの作用によって端子プレート910がリザーバ端子602にアクセスする方向である。ボトル800の装着が完了した時点では、端子プレート910が対応するリザーバ端子602と接した状態になる(
図20B)。つまり端子プレート910は接触位置CPに位置決めされる。
【0074】
空になったボトル800をユーザが持ち上げて空ボトル800を取り外すときには、リザーバ600の駆動カム面650aの作用によって、上述したROMユニット970がボトル軸線Axを中心に逆回転して接触位置CPから退避位置RPに戻る。これにより、ボトル側の端子プレート910が本体側の汚染防止庇620と干渉することなく空ボトル800を取り外すことができる。なお、ROMユニット970には、元の位置(
図20A)に戻すためのバネが取り付けられていてもよい。
【0075】
上記の第3変形例の連動機構730によれば、
図21を参照して、ボトル800を装着する際は、ユーザがROMユニット970を退避位置RPに位置決めした後に、ボトル800の装着作業を開始する。これによりボトル800を押し下げている過程において、ボトル側端子プレート910が汚染防止庇620と干渉しない。そして、ボトル800を装着し終わる直前において、連動機構730の作用により、ROMユニット970がボトル軸線Axを中心に回転し始めてボトル側端子プレート910が、本体側の端子、つまりリザーバ端子602にアクセスする。そして、ボトル800を装着し終った時点で、ROMユニット970は接触位置CPに位置決めされる。逆に空のボトル800を取り外す際は、連動機構730の作用により、ボトル側端子プレート910がボトル軸線Axを中心に逆回転してリザーバ端子602から離れ、そして、汚染防止庇620との干渉を回避できる退避位置RPに変位する。