(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103824
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ及びその加工方法
(51)【国際特許分類】
B65D 47/36 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
B65D47/36 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007732
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB09
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA03
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA02
3E084FC07
3E084GA06
3E084GB06
3E084GB08
3E084KB01
3E084LA01
3E084LA17
3E084LA24
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】製品としての精度を向上させることができるヒンジキャップ及びその加工方法を提供する。
【解決手段】ヒンジキャップ100は、蓋本体1と、上蓋2と、ヒンジ3と、内栓4とを備える。蓋本体1は、注出筒11が形成されている。蓋本体1は、容器Bの口部mに取り付けられる。上蓋2は、蓋本体1に対して開閉可能である。ヒンジ3は、蓋本体1及び上蓋2を接続する。内栓4は、注出筒11の内側に弱化部5で接続される。内栓4は、注出筒11から容器Bの反対側に突出する。上蓋2は、外嵌合筒21と、外嵌合筒21の内側に配置された内嵌合筒22とを有する。外嵌合筒21及び内嵌合筒22は、蓋本体1に対して上蓋2が閉じた際に、弱化部5が破断した内栓4にそれぞれ嵌合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出筒が形成されて、容器の口部に取り付けられる蓋本体と、
前記蓋本体に対して開閉可能な上蓋と、
前記蓋本体及び前記上蓋を接続するヒンジと、
前記注出筒の内側に弱化部で接続されて、前記注出筒から前記容器の反対側に突出する内栓とを備え、
前記上蓋は、
外嵌合筒と、
前記外嵌合筒の内側に配置された内嵌合筒とを有し、
前記外嵌合筒及び前記内嵌合筒は、前記蓋本体に対して前記上蓋が閉じた際に、前記弱化部が破断した前記内栓にそれぞれ嵌合する、ヒンジキャップ。
【請求項2】
前記内栓は、
外被嵌合筒と、
前記外被嵌合筒の内側に配置された内被嵌合筒とを有し、
前記外被嵌合筒及び前記内被嵌合筒は、前記蓋本体に対して前記上蓋が閉じた際に、前記外嵌合筒及び前記内嵌合筒にそれぞれ嵌合される、請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のヒンジキャップにおける前記注出筒の内部に、前記容器側から治具を設置する治具設置工程と、
前記内栓を前記容器の反対側から前記容器側に押し込むことで、前記弱化部を破断させて、前記内栓を前記治具に当接させる押込み工程と、
前記蓋本体に対して前記上蓋を閉じることで、前記内栓に前記外嵌合筒及び前記内嵌合筒をそれぞれ嵌合させる嵌合工程とを備える、ヒンジキャップの加工方法。
【請求項4】
前記ヒンジキャップを射出成形により成形する射出成形工程をさらに備え、
前記内栓は、前記外嵌合筒に嵌合される部分のアンダーカット量が、前記内嵌合筒に嵌合される部分のアンダーカット量よりも小さい、請求項3に記載のヒンジキャップの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップ及びその加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒンジキャップは、容器の口部に取り付けられる蓋本体と、蓋本体に対して開閉可能な上蓋と、蓋本体及び上蓋を接続するヒンジとを備える。蓋本体は、注出口が形成された注出筒を有する。注出口から、容器に収容された内容物(例えば、液体調味料)が外部に注ぎ出される。
【0003】
ヒンジキャップは、上蓋に嵌合する内栓をさらに備えるタイプがある。内栓は、蓋本体に対して上蓋が閉じた際に、注出口を密閉する。一方、内栓は、蓋本体に対して上蓋が開いた際に、注出口を開放する。
【0004】
内栓を備えるヒンジキャップとして、特許文献1には、内栓も含めて一体に成形されたもの、すなわち、ワンピースタイプのものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のヒンジキャップは、内栓と上蓋との嵌合が一重だけに不十分なので、内栓が上蓋から脱落するおそれもある。また、特許文献1に記載のヒンジキャップは、内栓を上蓋に嵌合させるために、閉じた状態の上蓋まで内栓を治具等により押し上げる工程が必要になる。この工程では、内栓の上昇によって上蓋内の空気が圧縮される。この圧縮された空気は、その圧力により、上蓋を開けるおそれもある。内栓が上蓋から脱落すること、及び、上蓋が開くことは、いずれも製品としての精度の低下につながる。
【0007】
そこで、本発明は、製品としての精度を向上させることができるヒンジキャップ及びその加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、ヒンジキャップは、蓋本体と、上蓋と、ヒンジと、内栓とを備える。蓋本体は、注出筒が形成されている。蓋本体は、容器の口部に取り付けられる。上蓋は、蓋本体に対して開閉可能である。ヒンジは、蓋本体及び上蓋を接続する。内栓は、注出筒の内側に弱化部で接続される。内栓は、注出筒から容器の反対側に突出する。上蓋は、外嵌合筒と、外嵌合筒の内側に配置された内嵌合筒とを有する。外嵌合筒及び内嵌合筒は、蓋本体に対して上蓋が閉じた際に、弱化部が破断した内栓にそれぞれ嵌合する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジキャップ及びその加工方法によれば、製品としての精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ヒンジキャップにおける上蓋が開いた状態の断面斜視図である。
【
図2】ヒンジキャップにおける上蓋が開いた状態の平面図である。
【
図3】ヒンジキャップにおける上蓋が開いた状態の断面図である。
【
図5】ヒンジキャップにおける上蓋が閉じた状態の
図4に相当する拡大断面図である。
【
図6】ヒンジキャップの加工方法を説明する断面図であり、治具設置工程を示す。
【
図7】ヒンジキャップの加工方法を説明する断面図であり、押込み工程を示す。
【
図8】ヒンジキャップの加工方法を説明する断面図であり、嵌合工程を示す。
【
図9】加工されたヒンジキャップにおける上蓋が閉じた状態の断面図である。
【
図10】加工されたヒンジキャップにおける上蓋が少し開いた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については、同一の参照符号を付することで、説明を繰り返さない。また、以下の説明において、「上」、「下」、「前」及び「後」等の位置又は方向を意味する用語が用いられることもある。これらの用語は、実施形態の理解を容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置又は方向に限定されない。
【0012】
図1を参照して、本発明の実施形態に係るヒンジキャップ100を説明する。
図1は、ヒンジキャップ100における上蓋2が開いた状態の断面斜視図である。
【0013】
図1に示されるように、ヒンジキャップ100は、容器Bに取り付けられて使用される。容器Bは、内容物L(液体調味料等)を収容する。容器Bは、内容物Lが通過する口部mを有する。ヒンジキャップ100は、蓋本体1と、上蓋2と、ヒンジ3と、内栓4とを備える。
【0014】
蓋本体1は、容器Bの口部mに取り付けられる。蓋本体1は、注出筒11が形成されている。注出筒11の内側が、注出口10となる。注出口10は、容器Bに収容された内容物Lを通過させる。
【0015】
上蓋2は、蓋本体1に対して開閉可能である。ヒンジ3は、蓋本体1及び上蓋2を接続する。内栓4は、注出筒11の内側(注出口10)に弱化部5で接続される。内栓4は、注出筒11から容器Bの反対側(上側)に突出する。
【0016】
上蓋2は、外嵌合筒21と、内嵌合筒22とを有する。内嵌合筒22は、外嵌合筒21の内側に配置される。外嵌合筒21及び内嵌合筒22は、蓋本体1に対して上蓋2が閉じた際に、弱化部5が破断した内栓4にそれぞれ嵌合する。
【0017】
上蓋2が外嵌合筒21及び内嵌合筒22により内栓4に二重で嵌合するので、上蓋2からの内栓4の脱落が抑制される。したがって、ヒンジキャップ100は、製品としての精度を向上させることができる。
【0018】
以下、
図2及び
図3を参照して、ヒンジキャップ100を詳細に説明する。
図2は、ヒンジキャップ100における上蓋2が開いた状態の平面図である。
図3は、ヒンジキャップ100における上蓋2が開いた状態の断面図である。
【0019】
内栓4は、外被嵌合筒41と、内被嵌合筒42とを有する。内被嵌合筒42は、外被嵌合筒41の内側に配置される。外被嵌合筒41及び内被嵌合筒42は、蓋本体1に対して上蓋2が閉じた際に、外嵌合筒21及び内嵌合筒22にそれぞれ嵌合される。
【0020】
内栓4が外被嵌合筒41及び内被嵌合筒42により上蓋2に確実に嵌合されるので、上蓋2からの内栓4の脱落が一層抑制される。したがって、ヒンジキャップ100は、製品としての精度を一層向上させることができる。さらに、ヒンジキャップ100は、外被嵌合筒41及び内被嵌合筒42が外嵌合筒21及び内嵌合筒22に嵌合されることで、耐熱性も向上させることができる。
【0021】
以下、
図2及び
図3を参照して、ヒンジキャップ100の構成部材について詳細に説明する。
【0022】
図2及び
図3に示されるように、蓋本体1は、注出筒11の他に、外筒部12と、内筒部13と、上壁部14と、台座部16と、突片部18とを有する。
【0023】
外筒部12は、容器Bの口部mに外側から接する。内筒部13は、容器Bの口部mに内側から接する。上壁部14は、外筒部12及び内筒部13の上端を接続する。外筒部12、内筒部13及び上壁部14で囲われる円周空間15は、容器Bの口部mが挿入される空間である。円周空間15に挿入された容器Bの口部mは、外筒部12及び内筒部13に挟み込まれることで、蓋本体1が取り付けられる。
【0024】
台座部16は、開口17を有する。開口17は、台座部16の平面視における図心よりもヒンジ3の反対側に位置する。台座部16は、開口17以外で内筒部13の内側を塞ぐ。開口17の縁には、容器Bの反対側(上側)に注出筒11が設けられる。
【0025】
突片部18は、上壁部14に設けられる。突片部18は、上壁部14から容器Bの反対側(上側)に突出する。突片部18は、外周に被係合部19を有する。被係合部19は、蓋本体1に対して上蓋2が閉じた際に、上蓋2に係合される。
【0026】
上蓋2は、外嵌合筒21及び内嵌合筒22の他に、天板23と、スカート部24と、鍔部26と、アウターリング27とを有する。
【0027】
天板23は、内面に外嵌合筒21及び内嵌合筒22が設けられる。天板23は、縁にスカート部24が設けられる。
【0028】
スカート部24は、内周に係合部25を有する。係合部25は、蓋本体1に対して上蓋2が閉じた際に、蓋本体1の被係合部19に係合する。スカート部24は、ヒンジ3の反対側に鍔部26が設けられる。
【0029】
鍔部26は、スカート部24からヒンジ3の反対側に突出する。鍔部26は、蓋本体1に対して上蓋2を開閉させる際に指が掛けられる部分である。
【0030】
アウターリング27は、天板23の内面に設けられる。アウターリング27は、スカート部24の内側、且つ、外嵌合筒21の外側に位置する。アウターリング27は、蓋本体1に対して上蓋2が閉じられた際に、上壁部14に接する。
【0031】
内嵌合筒22は、外嵌合筒21よりも長いので、外嵌合筒21よりも拡縮しやすい。したがって、内嵌合筒22は、内被嵌合筒42に嵌合する際に、内被嵌合筒42の形状に追随して拡縮する。外嵌合筒21は、蓋本体1に対して上蓋2が閉じられた際に、注出筒11に接する長さである。
【0032】
ヒンジ3は、蓋本体1における外筒部12の上端と、上蓋2におけるスカート部24の上端とを接続する。
【0033】
以下、
図4及び
図5を参照して、内栓4及びその近傍について詳細に説明する。
図4は、
図3のIV拡大断面図である。
図5は、ヒンジキャップにおける上蓋が閉じた状態の
図4に相当する拡大断面図である。
【0034】
図4に示されるように、内栓4は、外被嵌合筒41及び内被嵌合筒42の他に、底壁部43と、天壁部44とを有する。底壁部43は、外被嵌合筒41及び内被嵌合筒42の下端を接続する。天壁部44は、内被嵌合筒42の上端で内側を塞ぐ。
【0035】
外被嵌合筒41は、下端が底壁部43に接続されるものの、上端が他の部材に接続されていない。言い換えれば、外被嵌合筒41は、下端のみが接続された片持ち状態であるので、上端に近いほど拡縮しやすい。したがって、
図5に示されるように、外被嵌合筒41は、外嵌合筒21に嵌合される際に、外嵌合筒21の形状に追随して拡縮する。
【0036】
蓋本体1に対して上蓋2が閉じた際に、外被嵌合筒41は、外嵌合筒21の内側に嵌合される。外被嵌合筒41は、外嵌合筒21と内嵌合筒22との間に位置する。内被嵌合筒42は、内嵌合筒22の内側に嵌合される。外被嵌合筒41と内被嵌合筒42との間に、内嵌合筒22が位置する。
【0037】
図4に示されるように、弱化部5は、注出筒11における上部の内側と、外被嵌合筒41における下部の外側とを接続する。弱化部5は、内栓4が下方に押し込まれると破断する。弱化部5は、押し込まれる前の状態で、部分的に破断していてもよい。
【0038】
ヒンジキャップ100は、射出成形工程として、射出成形により一体で成形される。すなわち、ヒンジキャップ100は、ワンピースタイプの成形品である。ワンピースタイプは、成形品が一種類のみなので、費用の面において有利である。また、ワンピースタイプは、構成部材が同一の材料からなるので、
図5に示されるように、上蓋2に嵌合された内栓4による注出口10の密閉の面においても有利である。
【0039】
射出成形では、加熱された材料(例えば、溶融した合成樹脂)を金型の内部に射出してから、金型の内部で材料を冷却することにより、成形品が得られる。
【0040】
図4に示されるように、射出成形により成形されたヒンジキャップ100において、内栓4の外被嵌合筒41及び内被嵌合筒42は、それぞれ外側にアンダーカットを有する。外被嵌合筒41のアンダーカット量41Uは、内被嵌合筒42のアンダーカット量42Uよりも小さい。すなわち、内栓4は、外嵌合筒21に嵌合される部分のアンダーカット量41Uが、内嵌合筒22に嵌合される部分のアンダーカット量42Uよりも小さい。
【0041】
外被嵌合筒41は、アンダーカット量41Uが小さいので、金型からの無理抜きが可能となる。一方、内被嵌合筒42は、アンダーカット量42Uが小さくないので、
図5に示されるように、上蓋2の内嵌合筒22に十分に嵌合される。したがって、ヒンジキャップ100は、製品としての精度を向上させることができる。
【0042】
射出成形により成形されたヒンジキャップ100において、上蓋2の外嵌合筒21及び内嵌合筒22も、それぞれ内側にアンダーカットを有する。外嵌合筒21のアンダーカット量21Uは、内嵌合筒22のアンダーカット量22Uよりも小さい。
【0043】
外嵌合筒21は、アンダーカット量21Uが小さいので、射出成形の際に金型からの無理抜きが可能となる。一方、内嵌合筒22は、アンダーカット量22Uが小さくないので、内栓4の内被嵌合筒42に十分に嵌合する。したがって、ヒンジキャップ100は、製品としての精度を向上させることができる。
【0044】
外被嵌合筒41及び外嵌合筒21のアンダーカット量41U,21Uは、0.1mm以下であることが好ましい。アンダーカット量41U,21Uが0.1mm以下であることにより、金型からの適切な無理抜きが可能になるからである。内被嵌合筒42及び内嵌合筒22のアンダーカット量42U,22Uは、0.1mm以上0.5mm以下が好ましく、0.2mm以上0.3mm以下が一層好ましい。アンダーカット量42U,22Uがこの範囲であることにより、十分な嵌合と、金型から成形品の適切な取出し(離型)とが両立するからである。
【0045】
以下、
図6~
図8を参照して、ヒンジキャップ100の加工方法について説明する。
図6は、ヒンジキャップ100の加工方法を説明する断面図であり、治具設置工程を示す。
図7は、ヒンジキャップ100の加工方法を説明する断面図であり、押込み工程を示す。
図8は、ヒンジキャップ100の加工方法を説明する断面図であり、嵌合工程を示す。
【0046】
ヒンジキャップ100の加工方法は、言い換えれば、加工されたヒンジキャップ100の製造方法である。ヒンジキャップ100の加工方法は、治具設置工程と、押込み工程と、嵌合工程とを備える。
【0047】
図6に示されるように、治具設置工程は、ヒンジキャップ100における注出筒11の内部に、容器B側(下側)から治具Jを設置する工程である。注出筒11の内部における治具Jの上端面J1は、所定高さに維持される。所定高さは、上蓋2が嵌合するのに適した位置の内栓4における底壁部43の下面高さである。設置された治具Jは、ヒンジキャップ100を安定させるために、円周空間15に挿入される円周部J2を有することが好ましい。
【0048】
図7に示されるように、押込み工程は、内栓4を容器Bの反対側(上側)から容器B側(下側)に押し込むことで、
図6に示された弱化部5を破断させて、内栓4を治具Jに当接させる工程である。具体的に、内栓4が下方に押し込まれると、まず弱化部5が完全に破断する。そして、内栓4は、下方に押し込まれることにより、注出筒11の内側で下方に移動(つまり下降)する。下降している内栓4が治具Jの上端面J1に着底すると、内栓4が停止する。治具Jに着底した状態の内栓4は、注出筒11から容器Bの反対側(上側)に上部が突出する。内栓4の上部が注出筒11から容器Bの反対側に突出することで、上蓋2の内栓4への嵌合が容易になる。
【0049】
図8に示されるように、嵌合工程は、蓋本体1に対して上蓋2を閉じることで、内栓4に外嵌合筒21及び内嵌合筒22をそれぞれ嵌合させる工程である。蓋本体1に対して上蓋2を閉じる過程で、大きな力が2度必要になる。1度目の大きな力が必要になるのは、上蓋2の外嵌合筒21及び内嵌合筒22を内栓4に嵌合させる時である。2度目の大きな力が必要になるのは、上蓋2の係合部25を蓋本体1に係合させる時である。
【0050】
上蓋2を内栓4に嵌合させる時、内栓4が上昇しないので、内栓4の上方にある上蓋2内に空気の大きな圧縮が発生しない。したがって、蓋本体1に対して上蓋2を閉じる際に、上蓋2内の空気が上蓋2を開けない。
【0051】
上蓋2が蓋本体1に係合すると、蓋本体1に対して上蓋2が完全に閉じる。すなわち、ヒンジキャップ100の加工が完了し、言い換えれば、加工されたヒンジキャップ100が製造される。
【0052】
以上より、ヒンジキャップ100の加工方法は、上蓋2からの内栓4の脱落が抑制され、且つ、上蓋2が開かないので、製品としての精度を向上させることができる。
【0053】
次に、
図9及び
図10を参照して、加工されたヒンジキャップ100を説明する。
図9は、加工されたヒンジキャップ100における上蓋2が閉じた状態の断面図である。
図10は、加工されたヒンジキャップ100における上蓋2が少し開いた状態の断面図である。
【0054】
図9に示されるように、加工されたヒンジキャップ100では、蓋本体1に対して上蓋2が閉じている際に、注出口10が内栓4により密閉される。
図10に示されるように、加工されたキャップでは、蓋本体1に対して上蓋2が開いている際に、注出口10が内栓4から開放される。
【0055】
ところで、前記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。前記実施形態で説明した構成のうち「課題を解決するための手段」で本発明として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除及び変更することが可能である。
【0056】
また、実施形態において、上蓋2は、外嵌合筒21及び内嵌合筒22により内栓4に二重で嵌合するとして説明された。上蓋2と内栓4との嵌合は、二重に限られず、三重以上でもよい。嵌合が三重以上の場合、上蓋2は、外嵌合筒21及び内嵌合筒22以外に、内栓4に嵌合するためのさらなる嵌合筒(不図示)を、単数又は複数有する。この場合、内栓4は、さらなる嵌合筒に嵌合される被嵌合筒(不図示)を有することが好ましい。
【符号の説明】
【0057】
B 容器
m 口部
J 治具
1 蓋本体
2 上蓋
3 ヒンジ
4 内栓
5 弱化部
10 注出口
11 注出筒
21 外嵌合筒
22 内嵌合筒
41 外被嵌合筒
42 内被嵌合筒
100 ヒンジキャップ