(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103828
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】端子付き電線及び端子付き電線製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/03 20060101AFI20240726BHJP
H01R 11/11 20060101ALI20240726BHJP
H01R 43/02 20060101ALI20240726BHJP
H01R 4/02 20060101ALI20240726BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01R13/03 A
H01R11/11 G
H01R43/02 B
H01R4/02 C
H01B7/00 306
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007738
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 和也
【テーマコード(参考)】
5E051
5E085
5G309
【Fターム(参考)】
5E051LA04
5E051LB03
5E085BB11
5E085BB23
5E085CC03
5E085DD04
5E085HH11
5E085JJ36
5G309FA04
5G309FA06
(57)【要約】
【課題】超音波を用いて電線と端子を適切に接続させることができる端子付き電線及び端子付き電線製造方法を提供する。
【解決手段】端子付き電線1は、導体部21を有する電線2と、電線2の導体部21と超音波接合により接合される電線接合部5を有する端子3と、を備え、電線接合部5は、軟質メッキ処理が行われている表面処理領域51、及び、軟質メッキ処理が行われていない非表面処理領域52を形成し、導体部21と接合される位置に嵌合孔54を形成する本体50と、嵌合孔54に嵌め込まれる嵌合部材53とを有し、嵌合部材53は、段差部531を有する段付き形状とされ、表面53Aが導体部21と超音波接合により接合されると共に、段差部531が本体50と超音波接合により接合され、導体部21、本体50及び嵌合部材53は、超音波接合により一体に接合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体部を有する電線と、
他の導電性部材と電気的な接続を行う電気接続部、及び、前記電線の前記導体部と超音波接合により接合される電線接合部を少なくとも有する端子と、を備え、
前記電線接合部は、表面部分において軟質メッキ処理が行われている表面処理領域、及び、前記軟質メッキ処理が行われていない非表面処理領域を形成し、前記導体部と接合される位置に嵌合孔を形成する本体と、前記嵌合孔に嵌め込まれる嵌合部材とを有し、
前記嵌合部材は、段差部を有する段付き形状とされ、表面が前記非表面処理領域とされ前記導体部と前記超音波接合により接合されると共に、前記段差部が前記本体と前記超音波接合により接合され、
前記導体部、前記本体及び前記嵌合部材は、前記超音波接合により一体に接合されている、
端子付き電線。
【請求項2】
前記嵌合部材は、前記嵌合孔の内面に対し突出するリブを形成している、
請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項3】
電線の導体部を端子に接触させるように前記電線を配置する配置工程と、
前記導体部と前記端子に超音波振動を与え前記導体部と前記端子を接合させて、前記電線と前記端子の接続を行う接続工程と、を含み、
前記端子は、他の導電性部材と電気的な接続を行う電気接続部、及び、前記導体部と超音波接合により接合される電線接合部を少なくとも有し、
前記電線接合部は、表面部分において軟質メッキ処理が行われている表面処理領域、及び、前記軟質メッキ処理が行われていない非表面処理領域を形成し、前記導体部と接合される位置に嵌合孔を形成する本体と、前記嵌合孔に嵌め込まれる嵌合部材とを有し、
前記配置工程は、前記導体部を前記電線接合部の前記非表面処理領域に接触させ、
前記接続工程は、前記導体部と前記嵌合部材を接合させると共に、前記本体と前記嵌合部材を接合させて、前記導体部、前記本体及び前記嵌合部材を一体に接合させる、
端子付き電線製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子付き電線及び端子付き電線製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子付き電線及び端子付き電線製造方法として、例えば、特許文献1、2に記載されるように、端子と電線を圧着により接続するものが知られている。すなわち、端子に形成されるバレルが電線の導体を圧着することにより、端子と電線が接続される。また、特許文献3に記載されるように、端子付き電線及び端子付き電線製造方法として、端子と電線が超音波接合によって接続されるものが知られている。すなわち、この端子付き電線及び端子付き電線製造方法は、電線の導体と端子を接触させた状態で導体及び端子に超音波振動を与えることにより、電線と端子を接続するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-108608号公報
【特許文献2】特許第6616058号公報
【特許文献3】特開2019-145263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した超音波を用いた端子付き電線及び端子付き電線製造方法では、電線と端子を適切に接続することが難しい場合があるという点で、改善の余地がある。例えば、端子には、防食性、接点信頼性の観点で錫メッキなどの表面処理が行われる。この場合、電線の導体と端子に超音波振動を与えると、端子において、表面処理部分が選択的に変形してしまい、導体と端子の本体部分が十分に接合されない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、超音波を用いて電線と端子を適切に接続させることができる端子付き電線及び端子付き電線製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る端子付き電線は、導体部を有する電線と、他の導電性部材と電気的な接続を行う電気接続部、及び、前記電線の前記導体部と超音波接合により接合される電線接合部を少なくとも有する端子と、を備え、前記電線接合部は、表面部において軟質メッキ処理が行われている表面処理領域、及び、前記軟質メッキ処理が行われていない非表面処理領域を形成し、前記導体部と接合される位置に嵌合孔を形成する本体と、前記嵌合孔に嵌め込まれる嵌合部材とを有し、前記嵌合部材は、段差部を有する段付き形状とされ、表面が前記非表面処理領域とされ前記導体部と前記超音波接合により接合されると共に、前記段差部が前記本体と前記超音波接合により接合され、前記導体部、前記本体及び前記嵌合部材は、前記超音波接合により一体に接合されるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る端子付き電線及び端子付き電線製造方法は、超音波を用いて電線と端子を適切に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る端子付き電線の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る端子付き電線の電線接合部の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る端子付き電線の電線接合部の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る端子付き電線における嵌合部材の平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る端子付き電線の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る端子付き電線の製造方法の接続工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
本実施形態は、端子付き電線及び端子付き電線製造方法に関する。
図1は、本実施形態に係る端子付き電線の斜視図である。
図2は、実施形態に係る端子付き電線の電線接合部の斜視図である。
図3は、実施形態に係る端子付き電線の電線接合部の分解斜視図である。
図4は、実施形態に係る端子付き電線における嵌合部材の平面図である。
【0011】
図1に示すように、端子付き電線1は、電線2の端部に端子3を取り付けた端子付きの電線であり、例えば、車両に使用されるワイヤハーネス等に適用されるものである。ここで、ワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線2を束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線2を一度に各装置に接続するようにしたものである。本実施形態の端子付き電線1は、電線2及び端子3を備えている。
【0012】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、軸方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。軸方向Xは、電線2の軸方向又は延在方向、端子3の接続方向に相当する。幅方向Yと高さ方向Zとは、軸方向Xと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。なお、ここでいう直交は、ほぼ直交を含む。
【0013】
電線2は、例えば、導電性を有する線状の導体部21と、当該導体部21の外側を覆う絶縁性の被覆部22とを含んで構成される。すなわち、電線2は、被覆部22で導体部21を被覆した絶縁電線である。導体部21は、導電性の金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の素線を複数束ねた芯線である。この導体部21は、複数の素線を撚り合わせた撚り芯線であってもよい。被覆部22は、導体部21の外周側を被覆する電線被覆である。被覆部22は、例えば、絶縁性の樹脂材料等を押出成形することによって形成される。電線2は、少なくとも導体部21の一方の端部において、被覆部22が剥ぎ取られている。すなわち、電線2において、導体部21が被覆部22の端部から延出して露出しており、延出している導体部21に端子3が接合されている。
【0014】
端子3は、電線2を他部品に接続するための端子金具であり、電気接続部4及び電線接合部5を有する。電気接続部4及び電線接合部5とは、例えば、全体が一体で導電性の金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等によって構成されている。端子3は、例えば、電気接続部4、電線接合部5等の各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス成形又は折り曲げ成形することにより各部が立体的に形成される。端子3は、軸方向Xに沿って電気接続部4及び電線接合部5を連ねて形成している。
【0015】
端子3は、表面に軟質メッキ処理されており、軟質メッキ処理によって防食性、接点の信頼性が向上している。軟質メッキ処理は、端子3の母材より軟質な材料を用いたメッキ処理であり、例えば、錫メッキの表面処理が該当する。端子3の表面のほぼ全体が軟質メッキ処理されており、例えば、電線接合部5の一部の表面は軟質メッキ処理が行われていない。端子3において、軟質メッキ処理は、端子3の金属材料などの母材の表面に対し行われてもよいし、母材の表面に施された下地メッキの表面に行われてもよい。下地メッキは、軟質メッキより硬質の金属を用いたメッキであり、母材の表面を整えたり、防食性を高めるなどのために行われる。なお、軟質メッキ処理は、錫メッキ以外のメッキにより行われてもよい。
【0016】
電気接続部4は、導電性部材と電気的に接続される部分である。本実施形態の導電性部材は、例えば、相手側端子(不図示)である。すなわち、ここでは、本実施形態の電気接続部4は、相手側端子に対して電気的に接続される端子接続部として構成される。電気接続部4は、
図1において雌型の端子形状として図示されているが、雄型の端子形状であってもよい。なお、導電性部材は、相手側端子でなくてもよく、例えば、アース部材等の種々の導電性の部材であってもよい。電気接続部4は、相手側端子に対して電気的に接続される端子接続部を構成しなくてもよく、例えば、アース部材等に締結されるいわゆる丸形端子(LA端子)形状であってもよい。
【0017】
図2に示すように、電線接合部5は、端子3と電線2を接続する部分であり、電線2の導体部21と接触し接合される。電線接合部5は、例えば、平板状に構成され、表面部分において、表面処理領域51及び非表面処理領域52を有している。表面処理領域51は、上述した軟質メッキ処理が行われている領域である。軟質メッキ処理が行われることにより、電線接合部5の防食性が高められている。しかしながら、表面処理領域51では、表面に軟質メッキがあることにより、超音波を用いた電線2との接合が適切に行えない場合がある。電線接合部5は、例えば、表面5A側の片側において軟質メッキ処理が行われ、裏面5B側は軟質メッキ処理が行われていない。ただし、電線接合部5の表面5Aにおいても、その一部は軟質メッキ処理が行われていない。
【0018】
図1において、端子3と電線2は、電線接合部5と導体部21の接合によって接続されているが、電線接合部5と被覆部22が接合されていてもよい。例えば、端子3は、電線接合部5に圧接部を形成し圧接部に対し被覆部22を圧接して、電線接合部5と被覆部22が接合されてもよい。また、端子3は、電線接合部5にバレルを形成しバレルを被覆部22に対し圧着させて、電線接合部5と被覆部22が接合されてもよい。
【0019】
図2において、非表面処理領域52は、軟質メッキ処理が施されていない領域であり、電線2の導体部21と接触して超音波接合される領域である。非表面処理領域52は、軟質メッキ処理が行われておらず、電線接合部5の母材又は下地メッキが露出した状態となっている。電線接合部5の表面5A側において、後述する嵌合部材53の表面53Aは、非表面処理領域52となっている。
【0020】
図3に示すように、電線接合部5には、導体部21と接合される位置に嵌合部材53が設けられている。嵌合部材53は、電線接合部5の本体50に形成される嵌合孔54に対し別部材として嵌め付けられる部材である。つまり、電線接合部5は、電線2の導体部21が接合される位置に嵌合孔54を形成しており、嵌合孔54に対し嵌合部材53が嵌め込まれている。本体50は、電線接合部5の本体部分であり、電線接合部5において嵌合部材53以外の部分である。嵌合孔54は、板状の電線接合部5の表裏を貫通する孔であり、例えば、矩形状の孔とされる。嵌合孔54の内面は、非表面処理領域52とされる。嵌合部材53は、嵌合孔54に対し嵌め込まれる部材であり、例えば、矩形状の板体とされる。嵌合部材53は、導電性の金属により形成され、例えば、電線接合部5の本体50と同一材料により形成される。嵌合部材53において、表面53Aを含む外表面は、全て非表面処理領域52となっており、軟質メッキ処理が行われていない。表面53Aは、導体部21と接触し超音波接合が行われて第一接合部J1となる。
【0021】
嵌合部材53は、段差部531を有しており、段付き形状とされる。段差部531は、表面露出部532の裏面側に連なって形成され、表面露出部532より大きく形成されている。表面露出部532は、表面53Aを有し、嵌合部材53において電線接合部5の表面5A側で露出する部分であり、例えば、矩形状に形成される。段差部531は、例えば、矩形状に形成され、表面露出部532の側面532Aから外側へ延び出している。嵌合部材53は、段差部531が形成されることにより、嵌合孔54に対し表面53A側から抜け外れることが規制される。また、嵌合部材53は、段差部531が形成されることにより、段差部531の上面531Aを嵌合孔54の内面に当接させることができ、上面531Aと嵌合孔54の内面を超音波接合させることが可能となる。
【0022】
図4に示すように、嵌合部材53には、リブ533が形成されている。リブ533は、嵌合孔54の内面54Aと対向する面に形成され、例えば、表面露出部532の側面532Aに形成される。リブ533は、側面532Aから内面54Aに向けて突出する突起であり、いわゆる潰しリブとして機能する。このため、リブ533の突出長は、嵌合部材53の外形寸法に対し十分に小さいものとされる。リブ533は、例えば、各側面532Aにおいて離間して複数形成される。嵌合部材53は、リブ533が形成されることにより、嵌合孔54に対しガタ付きなく嵌め込まれ、嵌合孔54から外れることを抑制される。
【0023】
次に、本実施形態に係る端子付き電線1の製造方法について説明する。
【0024】
図5は、本実施形態に係る端子付き電線1の製造方法を示すフローチャートである。
図6は、本実施形態に係る端子付き電線1の製造方法の接続工程の説明図であり、
図1のVI-VIにおける断面図である。
図5の端子付き電線1の製造方法の各工程は、製造装置の自動制御によって行われてもよいし、作業員の手作業により行われてもよい。
【0025】
まず、
図5のステップS10(以下、単に「S10」という。以降のステップも同様とする。)に示すように、電線2の配置工程が行われる。配置工程は、端子3に対し電線2を配置する工程であり、
図1に示すように、電線2において被覆部22から延出する導体部21を端子3に接触させるように、電線2が配置される。すなわち、電線2は、導体部21が端子3の電線接合部5の非表面処理領域52に接触するように配置される。
【0026】
この配置工程に先立ち、端子3において、電線接合部5の本体50に対し嵌合部材53が予め嵌め付けられている。すなわち、
図3に示すように、電線接合部5の嵌合孔54に対し嵌合部材53が嵌め込まれる。例えば、嵌合部材53は、電線接合部5の裏面5B側から嵌め込まれ、非表面処理領域52となっている表面53Aを電線接合部5の表面5Aにおいて露出した状態とする。このとき、
図4に示すように、嵌合部材53の側面532Aにリブ533が形成されることにより、嵌合孔54に対し嵌合部材53を的確に嵌め込むことが可能となる。すなわち、嵌合部材53は、嵌合孔54に対するガタ付きが抑制され、嵌合孔54から抜け外れないように嵌め込まれる。
【0027】
そして、
図5のS12に処理が移行し、接続工程が行われる。接続工程は、導体部21と端子3に超音波振動を与え導体部21と端子3を接合させて、電線2と端子3を接続する工程である。例えば、
図6に示すように、導体部21と電線接合部5に対し高さ方向Zに荷重を加えながら超音波振動が与えられる。このとき、導体部21と接触する嵌合部材53の表面53Aは、非表面処理領域52となっており軟質メッキがないため、導体部21と電線接合部5の超音波接合が適切に行われる。
【0028】
例えば、仮に、嵌合部材53の表面53Aが表面処理領域51となっており軟質メッキがある場合には、軟質メッキの部分に超音波振動が作用してしまい、導体部21と電線接合部5の超音波接合が的確に行われないこととなる。これに対し、本実施形態に係る端子付き電線1は、端子3において導体部21と接合する部分に非表面処理領域52を形成することにより、導体部21と電線接合部5の超音波接合を適切に行うことができる。
【0029】
図6において、嵌合部材53の表面53Aと導体部21が超音波接合されて第一接合部J1となる。また、嵌合部材53の段差部531の上面531Aと嵌合孔54の内面が超音波接合されて第二接合部J2となる。このため、超音波接合により、導体部21と嵌合部材53が接合され、嵌合部材53と電線接合部5の本体50が接合されて、本体50、嵌合部材53及び導体部21が一体に接合される。つまり、端子3、嵌合部材53及び導体部21が一体化され、導体部21が端子3と電気的に接続される。これにより、電線2と端子3が接続されて、端子付き電線1の製造が完了する。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る端子付き電線1及び端子付き電線1の製造方法によれば、端子3が軟質メッキ処理されていない非表面処理領域52で導体部21と超音波接合されるため、端子3と導体部21が適切に接合され、端子3と電線2を適切に接続することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る端子付き電線1及び端子付き電線1の製造方法によれば、嵌合部材53において、嵌合孔54と対向する側面532Aにリブ533を形成することにより、嵌合部材53を嵌合孔54に対しガタ付きを抑制して嵌合させることができる。これにより、本実施形態に係る端子付き電線1及び端子付き電線1の製造方法は、端子3と導体部21が適切に接合され、端子3と電線2を適切に接続することができる。
【0032】
なお、上述した本発明の実施形態に係る端子付き電線及び端子付き電線製造方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る端子付き電線及び端子付き電線製造方法は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0033】
例えば、上述した実施形態に係る端子付き電線及び端子付き電線製造方法では、電線2が導体部21を被覆部22で被覆した絶縁電線である場合について説明したが、バスバーなどの絶縁電線以外の電線であってもよい。この場合であっても、上述した実施形態に係る端子付き電線及び端子付き電線製造方法と同様な作用効果を得ることができる。すなわち、端子3の非表面処理領域52に導体部を接触させて超音波接合することにより、端子3と電線を適切に接続することができる。
【0034】
例えば、上述した実施形態に係る端子付き電線及び端子付き電線製造方法では、端子3の嵌合孔54が端子3の表裏を貫通した孔であったが、端子3の表面3Aを窪ませた底面の有る穴であってもよい。この場合であっても、上述した実施形態に係る端子付き電線及び端子付き電線製造方法と同様な作用効果を得ることができる。すなわち、端子3の非表面処理領域52に導体部を接触させて超音波接合することにより、端子3と電線を適切に接続することができる。
【0035】
また、上述した実施形態に係る端子付き電線及び端子付き電線製造方法では、車両に搭載される端子付き電線1及びその製造方法について説明したが、端子付き電線1が車両以外の機器又は装置などに用いられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1:端子付き電線
2:電線
3:端子
4:電気接続部
5:電線接合部
21:導体部
51:表面処理領域
52:非表面処理領域
53:嵌合部材
53A:表面
54:嵌合孔
54A:内面
531:段差部
533:リブ