(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103859
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】プロジェクタ
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240726BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240726BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G03B21/14 E
G03B21/00 E
G03B21/14 D
H04N5/74 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007800
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】福山 創一朗
(72)【発明者】
【氏名】平谷 光佑
(72)【発明者】
【氏名】林 真太郎
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA02
2K203FA23
2K203FA32
2K203FA44
2K203FB05
2K203FB07
2K203FB12
2K203GA22
2K203GA25
2K203GA40
2K203GA49
2K203GA52
2K203HA02
2K203HA66
2K203HA82
2K203HB09
2K203HB22
2K203KA07
2K203MA11
2K203MA21
2K203MA40
5C058BA35
5C058EA02
(57)【要約】
【課題】筐体どうしを接続する接続装置に加わる負荷を軽減することができるプロジェクタを提供する。
【解決手段】プロジェクタ100は、対象物に吊り下げ可能なプロジェクタであって、光源装置30と、光源装置30から射出される光の進行方向を変更する少なくとも1つの光学素子(例えば、光学素子91及び92)と、光学素子からの白色光を均質化する均質化装置60と、均質化装置60を通過した白色光を画像光に変調する液晶パネル71を1つのみ有する光変調装置70と、画像光を投射する投射光学装置80と、ダクトレール200に取り付けられる第1筐体1と、第2筐体2と、第1筐体1及び第2筐体2を接続する接続装置3とを備える。第1筐体1は、少なくとも光源装置30を収容し、第2筐体2は、少なくとも投射光学装置80を収容する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に吊り下げ可能なプロジェクタであって、
光源装置と、
前記光源装置から射出される光の進行方向を変更する少なくとも1つの光学素子と、
前記光学素子からの前記光を均質化する均質化装置と、
前記均質化装置を通過した前記光を画像光に変調する液晶パネルを1つのみ有する光変調装置と、
前記画像光を投射する投射光学装置と、
前記対象物に取り付けられる第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体及び前記第2筐体を接続する接続装置とを備え、
前記第1筐体は、少なくとも前記光源装置を収容し、
前記第2筐体は、少なくとも前記投射光学装置を収容する、
プロジェクタ。
【請求項2】
前記第2筐体は、前記均質化装置及び前記光変調装置を更に収容する、
請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記接続装置は、前記第1筐体から前記第2筐体へ前記光が進行可能な内部空間を有し、
前記光学素子は、前記内部空間に配置され、
前記接続装置は、前記光源装置から射出された前記光が、前記内部空間において前記光学素子により前記進行方向が変化することで、前記第2筐体に到達するように構成される、
請求項2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記接続装置は、所定の軸を回転軸として回動する回動部分を有し、
前記光学素子は、前記接続装置の前記回動部分に配置される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記光学素子は、前記光源装置から射出された前記光の進行方向を第1方向へ変更可能な第1光学素子と、前記第1光学素子により進行方向が変更された前記光の進行方向を前記第1方向とは異なる第2方向へ変更可能な第2光学素子とを有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記接続装置は、第1軸を回転軸として回動する第1回動部分と、前記第1軸と異なる第2軸を回転軸として回動する第2回動部分とを有し、
前記第1光学素子は、前記第1回動部分において前記第1回動部分とともに回動するように配置され、
前記第2光学素子は、前記第2回動部分において前記第2回動部分とともに回動するように配置される、
請求項5に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記対象物は、ダクトレールである、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
前記プロジェクタは、モノクロの映像を投影する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
前記光学素子は、プリズムまたはミラーである、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に吊り下げ可能なプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を投射するプロジェクタの1つとして、部屋の天井等に固定される吊り下げ式のプロジェクタが知られている。特許文献1には、電源収容部本体(第1筐体)に対する投射部本体(第2筐体)の方向及び位置の少なくともいずれかを変更可能な支持機構を備えるプロジェクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のようなプロジェクタでは、投射部本体の落下などを抑制する観点から、投射部本体及び電源収容部本体を接続する支持部材(接続装置)に加わる負荷を軽減することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、筐体どうしを接続する接続装置に加わる負荷を軽減することができるプロジェクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプロジェクタは、対象物に吊り下げ可能なプロジェクタであって、光源装置と、前記光源装置から射出される光の進行方向を変更する少なくとも1つの光学素子と、前記光学素子からの前記光を均質化する均質化装置と、前記均質化装置を通過した前記光を画像光に変調する液晶パネルを1つのみ有する光変調装置と、前記画像光を投射する投射光学装置と、前記対象物に取り付けられる第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体及び前記第2筐体を接続する接続装置とを備え、前記第1筐体は、少なくとも前記光源装置を収容し、前記第2筐体は、少なくとも前記投射光学装置を収容する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、筐体どうしを接続する接続装置に加わる負荷を軽減することができるプロジェクタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す透視側面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す透視背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明に至った経緯)
プロジェクタの一例として、特許文献1に開示されているような天吊りなどの吊り下げ式のプロジェクタが知られている。このような吊り下げ式のプロジェクタは、一例として、対象物に固定される第1筐体と、光源装置及び光学系を内包する第2筐体(灯具)と、第1筐体及び第2筐体を接続する接続装置とを備える。
【0010】
吊り下げ式のプロジェクタでは、接続装置と第2筐体との接続部分(支持部)に大きな負荷が加わるので、接続装置と第2筐体との固定等が不十分な場合に投射方向がズレてしまう、または、第2筐体が落下してしまう危険がある。そのため、プロジェクタにおいて、筐体どうしを接続する接続装置に加わる負荷を軽減することが望まれる。
【0011】
また、光源装置及び光学系を内包する第2筐体のサイズが大きくなり、第2筐体が演出の際の障害になる可能性がある。そのため、プロジェクタにおいて、さらに、第2筐体が演出の障害となることが軽減されることが望まれる。
【0012】
そこで、本願発明者らは、筐体どうしを接続する接続装置に加わる負荷を軽減することができるプロジェクタ、さらには第2筐体が演出の障害となることを軽減することができるプロジェクタについて鋭意検討を行い、以下に説明するプロジェクタを創案した。
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0015】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0016】
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、右手系の三次元直交座標系の三軸を示している。実施の形態では、プロジェクタが設置される対象物の面と直交する方向をZ軸方向としている。
【0017】
また、本明細書において、上下方向(「上方」及び「下方」)という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、左右方向(「左方」及び「右方」)においても同様である。
【0018】
また、本明細書において、直交などの要素間の関係性を示す用語、及び、直方体、円柱状などの要素の形状を示す用語、並びに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(あるいは、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0019】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数または順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0020】
(実施の形態)
[1.プロジェクタの構成]
以下、本実施の形態に係るプロジェクタについて、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係るプロジェクタ100の構成を示す透視側面図である。
図2は、本実施の形態に係るプロジェクタ100の構成を示す透視背面図である。
図1及び
図2に示す矢印は、光源装置30が射出する光(本実施の形態では、白色光)の光路を示す。
【0021】
図1に示すように、プロジェクタ100は、対象物の一例であるダクトレール200に設置される吊り下げ可能なプロジェクタである。対象物は、ダクトレール200に限定されず、例えば、天井、壁などの造営材であってもよい。また、プロジェクタ100は、例えば、バイオフィリック空間を演出する映像照明エンジンとして用いられる。
【0022】
図1及び
図2に示すように、プロジェクタ100は、外観を構成する構成要素として、第1筐体1と、第2筐体2と、接続装置3とを備える。プロジェクタ100は、さらに、プロジェクタ100の内部に収容される構成要素として、光源装置30と、制御部40と、電源部50と、均質化装置60と、光変調装置70と、投射光学装置80と、光学素子91及び92とを備える。
図1及び
図2において、光源装置30と、制御部40と、電源部50と、均質化装置60と、光変調装置70と、投射光学装置80と、光学素子91及び92とは、透視されて図示されている。
【0023】
第1筐体1は、少なくとも光源装置30を収容し、ダクトレール200に設置(装着)される箱体である。第1筐体1は、第1部分10と、第2部分20とを有する。第1部分10及び第2部分20は、例えば、一体形成されている。なお、第1部分10及び第2部分20は、それぞれが別の箱体であってもよいし、空間的につながっていてもよい。また、第1筐体1がダクトレール200に設置されることは、第1筐体1が対象物に取り付けられることの一例である。
【0024】
第1部分10は、光源装置30を収容する箱体である。
【0025】
第2部分20は、制御部40及び電源部50を収容する箱体である。
【0026】
第1筐体1の外形は、中空の直方体状であるがこれに限定されず、例えば、中空の円柱状であってもよいし、その他の形状であってもよい。また、第1筐体1の材質は特に限定されないが、例えば、プラスチックなどの樹脂であってもよいし、金属であってもよい。また、第1筐体1は、第2筐体2に対して可動しないようにダクトレール200に固定される、非可動部である。
【0027】
光源装置30は、プロジェクタ100の画像光を生成するための白色光を出射する。出射された白色光は、均質化装置60を介して光変調装置70に入射する。光源装置30は、白色光を出射するための1以上の発光素子を有する。本実施の形態では、1以上の発光素子は、赤色光を発する発光素子31r、緑色光を発する発光素子31g及び青色光を発する発光素子31bを含む。つまり、光源装置30は、青色光、緑色光及び赤色光の混色によって白色光を出射する構成である。1以上の発光素子は、例えば、LD(レーザダイオード:Laser Diode)素子、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)素子であるが、これらに限定されない。
【0028】
また、光源装置30は、さらに、ダイクロイックミラー32及び33と、光学素子34と、冷却装置35とを有してもよい。
【0029】
ダイクロイックミラー32は、赤色光を透過すると共に青色光を反射するように構成される。
【0030】
ダイクロイックミラー33は、赤色光及び青色光が混合された光を透過すると共に緑色光を反射するように構成される。
【0031】
光学素子34は、光源装置30からの白色光を接続装置3側に反射するように構成される。具合的には、光学素子34は、光源装置30からの白色光を光学素子92に向けて反射可能な形状及び配置を有する。本実施の形態では、光学素子34は、プリズム(直角プリズム)であるが、ミラーであってもよい。
【0032】
冷却装置35は、光源装置30の熱を放熱するための装置であり、例えば、ファンである。冷却装置35は、例えば、光源装置30のヒートシンクの放熱部に送風することで当該ヒートシンクを冷却する。
【0033】
このように構成される光源装置30は、プロジェクタ100が備える各構成要素の中でも重量が大きい。プロジェクタ100は、重量が大きい光源装置30が非可動部である第1筐体1に収容される構成を有する。これにより、可動部である第2筐体2に光源装置30が収容されないので、第2筐体2を軽量化及び小型化することができる。
【0034】
制御部40は、プロジェクタ100の各構成要素を制御する制御装置である。制御部40は、光源装置30を制御し、所望の白色光を射出させ、液晶パネル71を制御して、所望の画像光を生成させる。また、制御部40は、後述する第2部分3b及び第3部分3cの回動を制御してもよい。
【0035】
電源部50は、プロジェクタ100の各構成要素に電力を供給する。電源部50は、光源装置30、制御部40及び液晶パネル71が駆動するための電力を供給する。電源部50は、例えば、商用電源と電気的に接続される。
【0036】
第2筐体2は、中空の円柱状を有し、少なくとも投射光学装置80を収容する。本実施の形態では、第2筐体2は、さらに均質化装置60及び光変調装置70を収容する。第2筐体2では、均質化装置60、光変調装置70及び投射光学装置80がこの順に並んで配置され、投射光学装置80から画像光が出射される。第2筐体2は、プロジェクタ100における灯具を構成する。本実施の形態では、第2筐体2には、光学系の構成要素が収容される。
【0037】
均質化装置60は、白色光の光路上における、光学素子92と光変調装置70との間に配置され、光源装置30(発光素子31r、31b及び31g)からの面状の白色光を均質化する。本実施の形態では、均質化装置60は、光源装置30から射出され、接続装置3の内部空間3sを伝送した白色光を均質化する。
【0038】
均質化とは、白色光を空間的に均一化することである。空間的に均一化するとは、白色光の明るさ及び色の少なくとも一方を面内において均一に近づけることを意味する。本実施の形態では、均一化とは、白色光の明るさを面内において均一に近づけることである。均質化装置60は、画像光が照射された面内の照度分布を空間的に均一化させるための装置であってもよい。また、均質化装置60は、例えば、白色光の面内の光強度分布を、所定以上の光強度の領域が広いトップハット分布へと変換する装置であってもよい。
【0039】
均質化装置60は、レンズ(例えば、非球面レンズ)などの光学素子を1以上有する。均質化装置60は、例えば、平行光で入射する白色光を拡散するフライアイレンズ(マイクロレンズアレイ)を有する。例えば、均質化装置60は、対向して配置された2つのフライアイレンズを有する。なお、均質化装置60は、フライアイレンズに替えて、又は、フライアイレンズとともに、平行光で入射する光を拡散する拡散板等の光学素子を有してもよい。これにより、光変調装置70に入射する白色光の面内の明るさをより均一にすることができる。
【0040】
光変調装置70は、均質化装置60を通過した白色光を画像光に変調する液晶パネル71を1つ有する。光変調装置70は、液晶パネル71を1つのみ有する。言い換えると、プロジェクタ100は、液晶パネル71を有する光変調装置70を1つ備える。つまり、プロジェクタ100は、モノクロの映像を投影するように構成されたモノクロプロジェクタであり、液晶パネル71を1つのみ備える。液晶パネル71は、例えば、透過型の液晶パネルである。なお、映像は、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。
【0041】
液晶パネル71は、入力電圧の大小によって光の透過率を変化させ諧調表示を行う。液晶パネル71は、液晶が封入された液晶セルと、当該液晶セルの両側に設けられる偏光板とを有する。また、液晶パネル71は、マトリクス状に区画された複数の画素を有する。また、液晶パネル71は、例えば、カラーフィルタを有していない。
【0042】
また、光変調装置70には、冷却のため冷却装置72が配置されている。冷却装置72は、光変調装置70の側方から光変調装置70(特に、液晶パネル71)を冷却する冷却ファンである。冷却装置72は、プロジェクタ100の外部の空気を内部に取り込み、取り込んだ空気を冷却が必要な装置(部材)に吐出することで、光変調装置70を含むプロジェクタ100の内部を冷却する。
【0043】
また、光変調装置70は、レンズ(例えば、非球面レンズ)などの他の光学素子を有していてもよい。
【0044】
投射光学装置80は、光変調装置70により生成された画像光を対象面に投射する。投射光学装置80は、複数の投射レンズによって構成される。投射レンズは、例えば、両凸レンズにより構成されるが、これに限定されない。投射光学装置80は、例えば、光変調装置70からの画像光をスクリーンに向けて拡大投射する。スクリーン上には、拡大されたモノクロの映像が表示される。
【0045】
接続装置3は、第1筐体1及び第2筐体2を接続する。本実施の形態では、接続装置3は、第1筐体1に対して第2筐体2が可動するように第1筐体1及び第2筐体2を接続する。接続装置3は、第1筐体1に対して可動するように第2筐体2を支持するとも言える。
【0046】
接続装置3は、第1筐体1から第2筐体2へ白色光が進行可能な内部空間3sを有する。つまり、接続装置3は、第1筐体1から第2筐体2へ白色光を伝送可能に構成される。
【0047】
図2に示すように、接続装置3は、第1部分3aと、第2部分3bと、第3部分3cとを有する。接続装置3は、例えば、ヒンジアーム状の接続装置である。
【0048】
第1部分3aは、第1筐体1と接続される部分であり、光学素子34からの白色光が入力される中空の部分である。
【0049】
第2部分3bは、第1部分3aと第3部分3cとを接続し、軸J1を回転軸として、第1部分3aに対して回動可能に、第1部分3aに取り付けられる。軸J1は、第1軸の一例であり、第2部分3bは、第1回動部分の一例である。軸J1を回転軸として第2部分3bを回動させることで、第2筐体2を左右方向に可動させることができる。
【0050】
第3部分3cは、第2部分3bと第2筐体2とを接続し、軸J1とは異なる方向の軸J2を回転軸として、第2部分3bに対して回動可能に、第2部分3bに取り付けられる。軸J2は、第2軸の一例であり、第3部分3cは、第2回動部分の一例である。軸J2を回転軸として第3部分3cを回動させることで、第2筐体2を上下方向に可動させることができる。なお、本実施の形態では、軸J1及びJ2は直交する。
【0051】
なお、接続装置3は、少なくとも1つの回動部分を有していればよい。つまり、接続装置3は、第2部分3b及び第3部分3cの少なくとも一方が回動可能であればよい。
【0052】
接続装置3の内部空間3sには、光源装置30から射出される白色光の進行方向を変更する少なくとも1つの光学素子が配置される。接続装置3は、光源装置30から射出された白色光が、内部空間3sにおいて少なくとも1つの光学素子により進行方向が変化されることで、第2筐体2に到達するように構成される。
【0053】
本実施の形態では、内部空間3sには、2つの光学素子91及び92が配置される。
【0054】
光学素子91は、第1光学素子の一例であり、第1筐体1(例えば、光源装置30)から射出された白色光の進行方向を、光源装置30から射出された白色光の進行方向(
図1の例では、Y軸方向)と交差する第1方向(
図2の例では、X軸方向であり、当該進行方向と直交する方向)へ変更可能に構成される。具体的には、光学素子91は、Z軸マイナス側に向けて進む白色光を、第1向き(
図2の例では、X軸プラス側からX軸マイナス側に向かう向き)へ変更可能に構成される。光学素子91は、光源装置30から射出された白色光を光学素子92側へ反射可能な姿勢及び位置で第2部分3b内に配置される。光学素子91は、光学素子34とZ軸方向に並んで配置される。
【0055】
また、光学素子91は、可動式であり、第2部分3bにおいて第2部分3bとともに回動するように、第2部分3b内に収容される。
【0056】
光学素子92は、第2光学素子の一例であり、光学素子91により進行方向が変更された白色光の進行方向を、第1方向とは異なる第2方向へ変更可能に構成される。具体的には、光学素子92は、白色光を、第1向きと交差する第2向き(
図1の例では、紙面上の右下方向に向かう向き)へ変更可能に構成される。光学素子92は、光学素子91からの白色光を第2筐体2側へ反射可能な姿勢及び位置で第3部分3c内に配置される。光学素子92は、光学素子91とX軸方向に並んで配置される。
【0057】
また、光学素子92は、可動式であり、第3部分3cにおいて第3部分3cとともに回動するように、第3部分3c内に配置される。
【0058】
光学素子91及び92は、例えば、面状の白色光を面状のまま鏡面反射可能に構成される。光学素子91及び92は、プリズム(直角プリズム)であるが、ミラーであってもよい。
【0059】
[2.効果など]
以上のように、本発明の第1態様に係るプロジェクタは、例えば、上述したプロジェクタ100のように、ダクトレール200(対象物の一例)に吊り下げ可能なプロジェクタであって、光源装置30と、光源装置30から射出される白色光(光の一例)の進行方向を変更する少なくとも1つの光学素子(例えば、光学素子91及び92)と、光学素子からの白色光を均質化する均質化装置60と、均質化装置60を通過した白色光を画像光に変調する液晶パネル71を1つのみ有する光変調装置70と、画像光を投射する投射光学装置80と、ダクトレール200に取り付けられる第1筐体1と、第2筐体2と、第1筐体1及び第2筐体2を接続する接続装置3とを備える。第1筐体1は、少なくとも光源装置30を収容し、第2筐体2は、少なくとも投射光学装置80を収容する。
【0060】
これにより、重量の大きい光源装置30が非可動部である第1筐体1に収容されるので、第2筐体2に光源装置30が収容されている場合に比べて、第2筐体2を軽量化することができる。つまり、第2筐体2と接続される接続装置3に加わる負荷を軽減することができる。よって、本態様に係るプロジェクタによれば、筐体どうしを接続する接続装置に加わる負荷を軽減することができる。これは、投射方向がズレてしまうこと、または、第2筐体2が落下することの危険性を低減することにつながる。
【0061】
また、本発明の第2態様に係るプロジェクタは、第1態様に係るプロジェクタであって、第2筐体2は、均質化装置60及び光変調装置70を更に収容する。
【0062】
これにより、光学系の構成要素を第2筐体2に集約することができる。この構成によれば、均質化装置60により均質化された白色光を、他の光学素子(例えば、プリズムまたはミラー)を介さずに光変調装置70に入射させることができるので、均質化された面状の白色光が他の光学素子により広がってしまい画質が低下することなどを抑制することができる。よって、本態様に係るプロジェクタによれば、筐体どうしを接続する接続装置に加わる負荷を軽減しつつ、画質が低下することを抑制することができる。
【0063】
また、本発明の第3態様に係るプロジェクタは、第2態様に係るプロジェクタであって、接続装置3は、第1筐体1から第2筐体2へ白色光が進行可能な内部空間3sを有し、光学素子は、内部空間3sに配置され、接続装置3は、光源装置30から射出された白色光が、内部空間3sにおいて光学素子により進行方向が変化することで、第2筐体2に到達するように構成される。
【0064】
これにより、光学素子を用いることで、ヒンジ内部を白色光の伝送経路として利用することができる。本態様に係るプロジェクタは、第1筐体1と第2筐体2との間の白色光の伝送経路に他の部材を備える必要がないので、全体の重量を軽減することができる。
【0065】
また、本発明の第4態様に係るプロジェクタは、第1態様~第3態様のいずれか1つに係るプロジェクタであって、接続装置3は、所定の軸(例えば、軸J1またはJ2)を回転軸として回動する回動部分(例えば、第2部分3bまたは第3部分3c)を有し、光学素子は、接続装置3の回動部分に配置される。
【0066】
これにより、光学素子を用いることで、ヒンジ内部を白色光の伝送経路としつつ首振り機構としても利用することができるので、画像光の投射方向の変更が可能になる。よって、本態様に係るプロジェクタにおいて、投射方向の自由度を確保することができる。これは、本態様に係るプロジェクタの利便性の向上につながる。
【0067】
また、本発明の第5態様に係るプロジェクタは、第1態様~第3態様のいずれか1つに係るプロジェクタであって、光学素子は、光源装置30から射出された白色光の進行方向を第1方向へ変更可能な光学素子91(第1光学素子の一例)と、光学素子91により進行方向が変更された白色光の進行方向を第1方向とは異なる第2方向へ変更可能な光学素子92(第2光学素子の一例)とを有する。
【0068】
これにより、2つの光学素子を用いることで、ヒンジ内部を白色光の伝送経路としつつ2方向の首振り機構としても利用することができるので、画像光の投射方向の変更が可能となる。よって、本態様に係るプロジェクタにおいて、投射方向の自由度をより確保することができる。これは、プロジェクタの利便性のさらなる向上につながる。
【0069】
また、本発明の第6態様に係るプロジェクタは、第5態様に係るプロジェクタであって、接続装置3は、軸J1(第1軸の一例)を回転軸として回動する第2部分3b(第1回動部分の一例)と、軸J1と異なる軸J2(第2軸の一例)を回転軸として回動する第3部分3c(第2回動部分)とを有する。そして、光学素子91は、第2部分3bにおいて第2部分3bとともに回動するように配置され、光学素子92は、第3部分3cにおいて第3部分3cとともに回動するように配置される。
【0070】
これにより、光学素子91及び92も回動部分とともに回動するので、第2筐体2の姿勢及び位置によらず、所望の画像光を投射することができる。
【0071】
また、本発明の第7態様に係るプロジェクタは、第1態様~第6態様のいずれか1つに係るプロジェクタにおいて、対象物は、ダクトレール200である。
【0072】
これにより、ダクトレール200に取り付けられるプロジェクタが備える接続装置3に加わる負荷を軽減することができる。これは、第2筐体2の落下などを抑制することにつながる。
【0073】
また、本発明の第8態様に係るプロジェクタは、第1態様~第7態様のいずれか1つに係るプロジェクタにおいて、モノクロの映像を投影する。
【0074】
これにより、カラーの映像を投影するプロジェクタである場合に比べて第2筐体2(可動部)の部品点数を減らすことができるので、第2筐体2の小型化及び軽量化を実現することができる。よって、第2筐体2を支持する接続装置3への負荷を軽減することができ、かつ、第2筐体2が演出の障害となることを軽減することができる。また、モノクロの画像光は、バイオフィリック空間を効果的に演出可能である。
【0075】
また、本発明の第9態様に係るプロジェクタは、第1態様~第8態様のいずれか1つに係るプロジェクタにおいて、光学素子は、プリズムまたはミラーである。
【0076】
これにより、プリズムまたはミラーといった汎用性の高い光学素子を用いて、白色光の進行方向を変更可能である。
【0077】
(その他の実施の形態)
以上、一つまたは複数の態様に係るプロジェクタについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明に含まれてもよい。
【0078】
例えば、上記実施の形態では、光源装置30が白色光を出射する例について説明したが、これに限定されず、例えば、赤色光、緑色光及び青色光のいずれか(つまり、単色光)、または、赤色光、緑色光及び青色光のうちの2つの光が混色された光であってもよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、均質化装置60、光変調装置70及び投射光学装置80のそれぞれが第2筐体2に収容される例について説明したが、これに限定されない。例えば、均質化装置60は、第1筐体1に収容されていてもよい。この場合、光学素子92に対する光変調装置70の位置は、均質化装置60が有するレンズの焦点距離に応じて決定される。また、例えば、均質化装置60及び光変調装置70は、第1筐体1に収容されていてもよい。つまり、第2筐体2は、均質化装置60、光変調装置70及び投射光学装置80のうち投射光学装置80のみを収容していてもよい。これにより、第2筐体2を大幅に軽量化及び小型化することができる。
【0080】
また、上記実施の形態において、制御部40などの各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、接続装置3は、少なくとも1つの回動部分を有する例について説明したが、これに限定されず、回動部分を有していなくてもよい。つまり、接続装置3は、第1筐体1に対して第2筐体2を可動不可能に支持してもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、プロジェクタ100がモノクロプロジェクタである例について説明したがこれに限定されず、カラープロジェクタであってもよい。プロジェクタ100は、複数色の発光素子(例えば、発光素子31r、31g及び31bのうち少なくとも2つ)が時分割で点灯されるフィールドシーケンシャル方式のプロジェクタであってもよい。
【0083】
また、上記実施の形態における第2部分3b及び第3部分3cの回動は、手動で行われてもよいし、自動で行われてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態において、プロジェクタ100がダクトレール200に設置される例について説明したが、これに限定されず、例えば、天井に埋め込まれて設置されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 第1筐体
2 第2筐体
3 接続装置
3s 内部空間
30 光源装置
34 光学素子
60 均質化装置
70 光変調装置
71 液晶パネル
80 投射光学装置
91 光学素子(第1光学素子)
92 光学素子(第2光学素子)
100 プロジェクタ
200 ダクトレール(対象物)
J1 軸(第1軸)
J2 軸(第2軸)