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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103897
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】電線挿通組立装置
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/012 20060101AFI20240726BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240726BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20240726BHJP
   H02G 15/013 20060101ALI20240726BHJP
   H01R 43/28 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01B13/012 Z
H02G1/06
H02G1/14
H02G15/013
H01R43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007845
(22)【出願日】2023-01-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 令和4年3月14日 販売した場所 日本特殊陶業株式会社(愛知県小牧市大字岩崎2808)
(71)【出願人】
【識別番号】000115142
【氏名又は名称】ユニオンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】竹内 喜夫
【テーマコード(参考)】
5G352
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
5G352CK07
5G352CK08
5G355BA08
5G355BA20
5G355CA03
5G355CA04
5G355CA05
5G355CA09
5G375AA02
5G375BA01
5G375BB03
5G375CB07
5G375DA02
5G375EA17
(57)【要約】
【課題】電気部品を構成する2つの部材における各対応貫通孔ペアに対する電線挿通作業を自動化して効率良く行うことが可能な電線挿通組立装置を提供する。
【解決手段】防水栓21および電線保持体23を互いに離間させて保持する第1部材保持機330および第2部材保持機340と、第1部材保持機330および第2部材保持機340により防水栓21と電線保持体23とが互いに離間して保持された状態において、電線を防水栓21の第1貫通孔内に挿入して当該第1貫通孔から電線保持体23に向けて延出させる電線挿通機と、電線挿通機により第1貫通孔内に挿入されて当該第1貫通孔から電線保持体23に向けて延出された電線を、当該第1貫通孔と対応する電線保持体23の第2貫通孔内に挿入されるようにガイドする経路治具保持機320とを備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1貫通孔が形成された第1部材と、前記複数の第1貫通孔とそれぞれ対応する複数の第2貫通孔が形成された第2部材とを有する電気部品において、互いに対応する前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とのペアごとに、電線を挿通して電線付きの電気部品を組立てる電線挿通組立装置であって、
前記第1部材および前記第2部材を互いに離間させて保持する電気部品保持機と、
前記電気部品保持機により前記第1部材と前記第2部材とが互いに離間して保持された状態において、電線を前記第1貫通孔内に挿入して当該第1貫通孔から前記第2部材に向けて延出させる電線挿通機と、
前記電気部品保持機により互いに離間して保持された前記第1部材と前記第2部材との間において、前記電線挿通機により前記第1貫通孔内に挿入されて当該第1貫通孔から前記第2部材に向けて延出された電線を、当該第1貫通孔と対応する前記第2貫通孔内に挿入されるようにガイドする挿通電線ガイド機と、を備えて構成されることを特徴とする電線挿通組立装置。
【請求項2】
前記挿通電線ガイド機は、前記電気部材保持機が互いに離間させて保持した前記第1部材と前記第2部材との間に配置される経路治具を有し、
前記経路治具は、前記電気部材保持機が互いに離間させて保持した前記第1部材と前記第2部材との間において、互いに対応する前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とをそれぞれ繋ぐガイド経路を有し、前記電線挿通機が前記第1貫通孔内に挿入させて当該第1貫通孔から前記第2部材に向けて延出させた電線が、前記ガイド経路内を通って当該第1貫通孔と対応する前記第2貫通孔まで到達し得るように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電線挿通組立装置。
【請求項3】
前記経路治具は、前記ガイド経路の長さ方向に沿って分割可能に構成されることを特徴とする請求項2に記載の電線挿通組立装置。
【請求項4】
前記電線挿通機は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記経路治具が配置された状態において、前記電線の先端側の一部を前記第1貫通孔内に挿入した後に、当該電線を前記第1貫通孔、前記ガイド経路および前記第2貫通孔の順に送り込むように挿通して、当該電線の先端部を前記第2貫通孔から延出させるように構成されることを特徴とする請求項3に記載の電線挿通組立装置。
【請求項5】
前記電線挿通機により前記第1貫通孔、前記ガイド経路および前記第2貫通孔の順に挿通されて前記第2貫通孔から先端部が延出された電線の当該先端部の一部を屈曲させて、当該先端部の姿勢を調整する電線姿勢調整機を有することを特徴とする請求項4に記載の電線挿通組立装置。
【請求項6】
長尺の電線を、曲げぐせを矯正しながら長さを測って所定長で切断し、切断した所定長の電線を前記電線挿通機に受け渡す電線測長切断ユニットを備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電線挿通組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品を構成する2つの部材における互いに対応する貫通孔のペアごとに電線を挿通して電線付きの電気部品を組立てる電線挿通組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の貫通孔がそれぞれ形成された2つの部材(一方の部材を「第1部材」、他方の部材を「第2部材」とも称する)を有して構成される電気部品が知られている。第1部材に形成された複数の貫通孔(「第1貫通孔」とも称する)と、第2部材に形成された複数の貫通孔(「第2貫通孔」とも称する)とは、それぞれ互いに対応する(通常、一対一に対応する)ようになっている。電気部品を組立てる際には、その組立過程において、互いに対応する第1貫通孔および第2貫通孔のペア(「対応貫通孔ペア」とも称する)ごとに電線を挿通する作業(或る第1貫通孔に挿通した電線をその第1貫通孔と貫通孔ペアをなす第2貫通孔にも挿通する作業)が行われる(例えば、下記特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-4531号公報
【特許文献2】特開2014-96221号公報
【特許文献3】特開2015-99655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1部材における複数の第1貫通孔の配列ピッチ(隣接する第1貫通孔同士の軸線間の距離)と、第2部材における複数の第2貫通孔の配列ピッチ(隣接する第2貫通孔同士の軸線間の距離)は、互いに等しくなるように設定される場合と互いに異なるように設定される場合とがあるが、前者の場合と後者の場合とでは、各対応貫通孔ペアへの電線挿通作業の作業性に大きな違いが生じる。
【0005】
すなわち、第1貫通孔の配列ピッチと第2貫通孔の配列ピッチとが互いに等しい場合は、各対応貫通孔ペアにおける第1貫通孔の軸線と第2貫通孔の軸線とが互いに一致する(重なる)状態(「全対応貫通孔ペア対向状態」とも称する)となるように第1部材および第2部材を配置保持することが可能となる。このような全対応貫通孔ペア対向状態では、各対応貫通孔ペアにおける第1貫通孔に挿通した電線をそのまま軸線方向に送り出すことにより、当該第1貫通孔とペアとなる第2貫通孔に電線を挿通することができるので、各対応貫通孔ペアへの電線挿通作業が容易となり、電線挿通作業を自動化して作業効率を高めることも可能となる。
【0006】
一方、第1貫通孔の配列ピッチと第2貫通孔の配列ピッチとが互いに異なる場合は、第1部材および第2部材をどのように配置保持しても、全対応貫通孔ペア対向状態とすることはできず、少なくとも一部の対応貫通孔ペアについては第1貫通孔の軸線と第2貫通孔の軸線とが一致せずに位置ずれした状態となってしまう。そのため、各対応貫通孔ペアにおける第1貫通孔の軸線と第2貫通孔の軸線との位置ずれを考慮して電線の送り出し方向を補正しながら各対応貫通孔ペアへの電線挿通作業を行わなければならないので、各対応貫通孔ペアへの電線挿通作業が複雑となり、電線挿通作業を自動化することも困難となる。このような事情もあり、第1貫通孔の配列ピッチと第2貫通孔の配列ピッチとが互いに異なる場合は、電線挿通作業が手作業で行われており、作業者の負担が増大するとともに
作業効率が低くなるという課題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、電気部品を構成する第1部材および第2部材における各対応貫通孔ペアに対する電線挿通作業を、第1部材の第1貫通孔の配列ピッチと第2部材の第2貫通孔の配列ピッチとが互いに異なる場合でも自動化して効率良く行うことが可能な電線挿通組立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の第1貫通孔が形成された第1部材(例えば、実施形態における防水栓21)と、前記複数の第1貫通孔とそれぞれ対応する複数の第2貫通孔が形成された第2部材(例えば、実施形態における電線保持体23)とを有する電気部品において、互いに対応する前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とのペアごとに、電線を挿通して電線付きの電気部品を組立てる電線挿通組立装置であって、前記第1部材および前記第2部材を互いに離間させて保持する電気部品保持機(例えば、実施形態における第1部材保持機330および第2部材保持機340)と、前記電気部品保持機により前記第1部材と前記第2部材とが互いに離間して保持された状態において、電線を前記第1貫通孔内に挿入して当該第1貫通孔から前記第2部材に向けて延出させる電線挿通機と、前記電気部品保持機により互いに離間して保持された前記第1部材と前記第2部材との間において、前記電線挿通機により前記第1貫通孔内に挿入されて当該第1貫通孔から前記第2部材に向けて延出された電線を、当該第1貫通孔と対応する前記第2貫通孔内に挿入されるようにガイドする挿通電線ガイド機(例えば、実施形態における経路治具保持機320)と、を備えて構成される。
【0009】
本発明に係る電線挿通組立装置において、好ましくは、前記挿通電線ガイド機は、前記電気部材保持機が互いに離間させて保持した前記第1部材と前記第2部材との間に配置される経路治具を有し、前記経路治具は、前記電気部材保持機が互いに離間させて保持した前記第1部材と前記第2部材との間において、互いに対応する前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とをそれぞれ繋ぐガイド経路を有し、前記電線挿通機が前記第1貫通孔内に挿入させて当該第1貫通孔から前記第2部材に向けて延出させた電線が、前記ガイド経路内を通って当該第1貫通孔と対応する前記第2貫通孔まで到達し得るように構成される。
【0010】
また、本発明に係る電線挿通組立装置において、好ましくは、前記経路治具は、前記ガイド経路の長さ方向に沿って分割可能に構成される。
【0011】
また、本発明に係る電線挿通組立装置において、好ましくは、前記電線挿通機は、前記第1部材と前記第2部材との間に前記経路治具が配置された状態において、前記電線の先端側の一部を前記第1貫通孔内に挿入した後に、当該電線を前記第1貫通孔、前記ガイド経路および前記第2貫通孔の順に送り込むように挿通して、当該電線の先端部を前記第2貫通孔から延出させるように構成される。
【0012】
また、本発明に係る電線挿通組立装置において、好ましくは、前記電線挿通機により前記第1貫通孔、前記ガイド経路および前記第2貫通孔の順に挿通されて前記第2貫通孔から先端部が延出された電線の当該先端部の一部を屈曲させて、当該先端部の姿勢を調整する電線姿勢調整機(例えば、実施形態における挿通電線整列ユニット400)を有する。
【0013】
また、本発明に係る電線挿通組立装置において、好ましくは、長尺の電線を、曲げぐせを矯正しながら長さを測って所定長で切断し、切断した所定長の電線を前記電線挿通機に受け渡す電線測長切断ユニットを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電線挿通組立装置によれば、電気部品保持機により互いに離間して保持された第1部材と第2部材との間において、電線挿通機により第1貫通孔内に挿入されて当該第1貫通孔から第2部材に向けて延出された電線を、当該第1貫通孔と対応する第2貫通孔内に挿入されるように挿通電線ガイド機がガイドするように構成されるので、第1貫通孔の配列ピッチと第2貫通孔の配列ピッチとが互いに異なる場合でも、各対応貫通孔ペアに対する電線挿通作業を、電線挿通機および挿通電線ガイド機を用いることで自動化して効率良く行うことが可能となる。また、電線挿通作業を自動化することにより、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0015】
また、本発明に係る電線挿通組立装置によれば、電気部材保持機が互いに離間させて保持した第1部材と第2部材との間において、互いに対応する第1貫通孔と第2貫通孔とをそれぞれ繋ぐガイド経路を有し、電線挿通機が第1貫通孔内に挿入させて当該第1貫通孔から第2部材に向けて延出させた電線が、ガイド経路内を通って当該第1貫通孔と対応する第2貫通孔まで到達し得るように構成される経路治具を挿通電線ガイド機が有するようにすることで、電線のガイド機能を有する挿通電線ガイド機を簡易な構成で実現することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る電線挿通組立装置によれば、経路治具がガイド経路の長さ方向に沿って分割可能に構成されることで、各対応貫通孔ペアに対する電線挿通作業の際にガイド経路内を通りガイド経路内に位置した電線を、経路治具を分割することによりガイド経路内から容易に取り出すことが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る電線挿通組立装置によれば、第1部材と第2部材との間に経路治具が配置された状態において、前記電線挿通機により前記電線の先端側の一部を前記第1貫通孔内に挿入した後に、当該電線を前記第1貫通孔、前記ガイド経路および前記第2貫通孔の順に送り込むように挿通して、当該電線の先端部を前記第2貫通孔から延出させるように構成することで、各対応貫通孔ペアに対する電線挿通作業を手際よく確実に行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る電線挿通組立装置によれば、電線挿通機により第1貫通孔、ガイド経路および第2貫通孔の順に挿通されて第2貫通孔から先端部が延出された電線の当該先端部の一部を、電線姿勢調整機により屈曲させて当該先端部の姿勢を調整するように構成することで、各第2貫通孔から先端部が延出されたそれぞれの電線を、例えば、次工程での作業(電線の先端部に対する端子の取付け作業等)に適した所定の姿勢をなすように整列させることができ、これにより次工程等での作業効率を高めることが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る電線挿通組立装置によれば、長尺の電線を、曲げぐせを矯正しながら長さを測って所定長で切断し、切断した所定長の電線を電線挿通機に受け渡す電線測長切断ユニットを備えることで、長さが整えられた複数の電線を電線挿通機に順次受け渡すことができ、これにより各対応貫通孔ペアに対する電線挿通作業を効率良く行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る電線挿通組立装置を示す斜視図である。
図2】上記電線挿通組立装置の主要部を示す斜視図である。
図3】上記主要部の概略構成を示す斜視図である。
図4】上記電線挿通組立装置の各作業エリアの配置を示す図である。
図5】上記電線挿通組立装置により組立てられる電気部品を示す斜視図である。
図6】上記電気部品の構成部材を示す斜視図である。
図7】上記電気部品の構成部材を示す別の斜視図である。
図8】上記電線挿通組立装置で用いられる経路治具を示す斜視図である。
図9】上記経路治具を示す別の斜視図である。
図10】上記経路治具の分離した状態を示す斜視図である。
図11】上記経路治具の分離した状態を示す別の斜視図である。
図12】上記経路治具に上記電気部品の構成部材が組合わされた状態を示す斜視図である。
図13】上記電線挿通組立装置の挿通電線ガイドユニットの第1作動状態を示す斜視図である。
図14】上記挿通電線ガイドユニットの第2作動状態を示す斜視図である。
図15】上記挿通電線ガイドユニットの第3作動状態を示す斜視図である。
図16】上記挿通電線ガイドユニットの第4作動状態を示す斜視図である。
図17】上記挿通電線ガイドユニットの第5作動状態を示す斜視図である。
図18】上記挿通電線ガイドユニットの第6作動状態を示す斜視図である。
図19】上記挿通電線ガイドユニットの第7作動状態を示す斜視図である。
図20】上記電線挿通組立装置の電線測長切断ユニットを示す斜視図である。
図21】上記電線測長切断ユニットの電線搬送機を示す斜視図である。
図22】上記電線搬送機の内部構成を示す部分断面斜視図である。
図23】上記電線測長切断ユニットの電線切断機を示す斜視図である。
図24】上記電線測長切断ユニットの受渡電線保持機を示す斜視図である。
図25】上記電線挿通組立装置の電線挿通ユニットを示す斜視図である。
図26】上記電線挿通ユニットを示す別の斜視図である。
図27】上記電線挿通ユニットの電線挿通機の内部構成を示す縦断面図である。
図28】上記電線挿通機の内部構成を示す図27のA-A線に沿った縦断面図である。
図29】上記電線挿通組立装置の挿通電線整列ユニットを示す斜視図である。
図30】上記挿通電線整列ユニットを示す別の斜視図である。
図31】上記電線挿通組立装置の電気部品セットユニットを示す斜視図である。
図32】上記電線挿通組立装置の第1部材移載ユニットおよび第2部材移載ユニットを示す側面図である。
図33】上記第1部材移載ユニットおよび上記第2部材移載ユニットを示す別の側面図である。
図34】上記電線挿通組立装置の電気部品排出ユニットを示す側面図である。
図35】上記電気部品排出ユニットを示す別の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1に本発明の一実施形態に係る電線挿通組立装置を示している。まず、この電線挿通組立装置1の全体的な構成について、図1図4を参照して概要説明する。なお、各図には、前、後、左、右、上、下の各向きを示す矢印を示しており、以下の説明において方向について言及するときは、この矢印の向きに従うものとする。
【0022】
電線挿通組立装置1は、図1に示すように、装置筐体2と、装置筐体2を支持する装置架台3と、装置筐体2の左側面上部に配置された操作盤4と、装置筐体2の頂部に配置された積層像表示灯5とを有して構成されている。装置筐体2は、透明なパネル部材を有して直方体状に組み立てられており、装置筐体2の左側面中央部には、両開き開閉可能な部品供給用扉6が設けられている。操作盤4は、電線挿通組立装置1を始動させたり作動停止させたりするために操作される各種の操作スイッチ、電線挿通組立装置1の作動状態等を示す各種の表示ランプ、電線挿通組立装置1における各種設定値の入力操作や表示等を行うことが可能なタッチパネル式の表示パネル等を備えている。
【0023】
装置筐体2の左側面下部には、圧縮空気供給機(不図示)からの圧縮空気を減圧して電線挿通組立装置1における各種エアアクチュエータに供給するエア供給部7が設けられている。また、装置筐体2の右側面下部には電装ボックス8が設けられており、この電装ボックス8内には、電線挿通組立装置1に電源を供給するための電源ユニット(図示略)や、電線挿通組立装置1における各種のアクチュエータの作動を制御するコントロールユニット(図示略)が設けられている。なお、部品供給用扉6には、その開閉状態を検出する安全スイッチ(図示略)が取り付けられており、線挿通組立装置1が作動しているときに部品供給用扉6が開くと、コントロールユニットにより電線挿通組立装置1の作動が非常停止されるようになっている。
【0024】
装置筐体2の内部には、装置主要部10が設けられている(装置筐体2を除いた状態を示す図2および図3を参照)。装置主要部10は、図3に示すように、電線測長切断ユニット100、電線挿通ユニット200、挿通電線ガイドユニット300、挿通電線整列ユニット400、電気部品セットユニット500、第1電気部材移載ユニット600、第2電気部材移載ユニット700および電気部品排出ユニット800を主体として構成される。これらの詳細については後述する。
【0025】
図4に示すように、電線挿通組立装置1においては、電線測長切断作業エリアAR1、切断電線受渡作業エリアAR2、電線挿通作業エリアAR3、挿通電線ガイド作業エリアAR4、電気部材セット作業エリアAR5、電気部材移載作業エリアAR6および電気部品排出作業エリアAR7が設定されている。図4は、これらの作業エリアの装置架台3上での配置関係を概略的に示している。電線測長切断作業エリアAR1では、電線測長切断ユニット100による電線測長切断作業(詳細後述)が行われ、切断電線受渡作業エリアAR2では、電線測長切断ユニット100および電線挿通ユニット200による切断電線受渡作業(詳細後述)が行われる。電線挿通作業エリアAR3では、電線挿通ユニット200による電線挿通作業(詳細後述)が行われ、挿通電線ガイド作業エリアAR4では、挿通電線ガイドユニット300による挿通電線ガイド作業(詳細後述)および挿通電線整列ユニット400による挿通電線整列作業(詳細後述)が行われる。
【0026】
また、電気部材セット作業エリアAR5では、電気部材セットユニット500に対する電気部材セット作業(詳細後述)が行われ、電気部材移載作業エリアAR6では、挿通電線ガイドユニット300、電気部品セットユニット500、第1部材移載ユニット600による第1部材移載作業(詳細後述)および第2部材移載ユニット700による第2部材移載作業(詳細後述)が行われ、電気部品排出作業エリアAR7では、電気部品排出ユニット800による電気部品排出作業(詳細後述)が行われる。なお、図4中の両矢線AL1は、電線挿通ユニット200の作業範囲が切断電線受渡作業エリアAR2と電線挿通作業エリアAR3とに跨ることを示している。同様に、両矢線AL2は、挿通電線ガイドユニット300の作業範囲が挿通電線ガイド作業エリアAR4と電気部材移載作業エリアAR6とに跨ることを示し、両矢線AL3は、電気部品セットユニット500の作業範囲が電気部材セット作業エリアAR5と電気部材移載作業エリアAR6とに跨ることを示している。また、両矢線AL4は、電気部品排出ユニット800の作業範囲が挿通電線ガイド作業エリアAR4と電気部品排出作業エリアAR7とに跨ることを示している。
【0027】
電線挿通組立装置1により組立てられる電気部品20を図5に例示している。ここで、図5図7を追加参照して、電気部品20について説明する。図5に示すように、電気部品20は、防水栓21、筒状部材22、電線保持体23および4本の電線EW1~EW4(これらを区別しないときは「電線EW」と称する)を有して構成される。図6に示すように、筒状部材22は、径の大きさが異なる第1筒部22a、第2筒部22bおよび第3筒部22cを有して形成されている。なお、防水栓21は本発明における第1部材に相当し、電線保持体23は本発明における第2部材に相当する。
【0028】
防水栓21は、円柱状に形成された基部21Aと、基部21Aよりも大径の円板状に形成されて基部21Aの後端部に設けられた蓋部21Bとが、ゴム等の弾性材料により一体に形成されている。防水栓21には、その軸線(図6および図7に示す一点鎖線に相当する)の方向(前後方向)に延びて防水栓21を貫通する4個の第1貫通孔21Ca,21Cb,21Cc,21Cd(これらを区別しないときは「第1貫通孔21C」と称する)が形成されている。第1貫通孔21Cは、上下方向および左右方向に2列ずつ配列され、その配列ピッチは上下方向と左右方向とで同等に設定されている。ここで配列ピッチとは、隣接する第1貫通孔21C同士(例えば、左右方向に並ぶ左上の第1貫通孔21Caと右上の第1貫通孔21Cbや、上下方向に並ぶ左上の第1貫通孔21Caと左下の第1貫通孔21Cc)の中心軸線間の距離をいう。この防水栓21は、筒状部材22の第3筒部22cの開口を塞ぐように筒状部材22に取り付けられ、その状態において、各第1貫通孔21Cに電線EWが挿通されるようになっている。なお、防水栓21が取り付けられている状態の筒状部材22のことを防水栓21付き筒状部材22とも称する。
【0029】
電線保持体23は、円柱状に形成された主部23Aと、主部23Aよりも小径の円柱状に形成されて主部23Aの前端部に設けられた副部23Bとが、樹脂等の絶縁材料により一体に形成されている。電線保持体23には、その軸線(図6および図7に示す一点鎖線に相当する)の方向(前後方向)に延びて電線保持体23を貫通する4個の第2貫通孔23Ca,23Cb,23Cc,23Cd(これらを区別しないときは「第2貫通孔23C」と称する)が形成されている。第2貫通孔23Cは、上下方向および左右方向に2列ずつ配列され、その配列ピッチは上下方向と左右方向とで同等に設定されている。なお、第2貫通孔23Cの配列ピッチは、第1貫通孔21Cの配列ピッチと同様に規定される。第2貫通孔23Cの配列ピッチと第1貫通孔21Cの配列ピッチとを比較すると、第2貫通孔23Cの配列ピッチの方が第1貫通孔21Cの配列ピッチよりも大きく設定されている。この電線保持体23は、筒状部材22の第1筒部22aの前方において筒状部材22から離間した状態で保持され、その状態において、各第2貫通孔23Cに電線EWが挿通されるようになっている。
【0030】
防水栓21の4個の第1貫通孔21Ca,21Cb,21Cc,21Cdと電線保持体23の4個の第2貫通孔23Ca,23Cb,23Cc,23Cdとは、それぞれ互いに対応して4組の対応貫通孔ペアを構成する。具体的には、左上の第1貫通孔21Caと同じく左上の第2貫通孔23Caとが対応貫通孔ペアとなり、右上の第1貫通孔21Cbと同じく右上の第2貫通孔23Cbとが対応貫通孔ペアとなる。同様に、左下の第1貫通孔21Ccと同じく左下の第2貫通孔23Cdとが対応貫通孔ペアとなり、右下の第1貫通孔21Cdと同じく右下の第2貫通孔23Cdとが対応貫通孔ペアとなる。
【0031】
電線EWは、導電性の芯線と芯線を被覆する絶縁性の被覆体とにより構成される。この電線EWは、曲げぐせが付きやすく、電線EWを屈曲させるとその屈曲した状態が残りやすくなっている。4本の電線EW1~EW4は、対応貫通孔ペアをなす第1貫通孔21Cおよび第2貫通孔23Cにそれぞれ挿通される。具体的には、図5に示すように、電線EW1は、防水栓21の第1貫通孔21Caに挿通されるとともに、この第1貫通孔21Caと対応貫通孔ペアをなす電線保持体23の第2貫通孔23Caに挿通され,電線EW2は、防水栓21の第1貫通孔21Cbに挿通されるとともに、この第1貫通孔21Cbと対応貫通孔ペアをなす電線保持体23の第2貫通孔23Cbに挿通される。同様に、電線EW3は、防水栓21の第1貫通孔21Ccに挿通されるとともに、この第1貫通孔21Ccと対応貫通孔ペアをなす電線保持体23の第2貫通孔23Ccに挿通され,電線EW4は、防水栓21の第1貫通孔21Cdに挿通されるとともに、この第1貫通孔21Cdと対応貫通孔ペアをなす電線保持体23の第2貫通孔23Cdに挿通される。
【0032】
防水栓21の第1貫通孔21Cおよび電線保持体23の第2貫通孔23Cへの電線挿通作業において用いられる経路治具30を図8図12に示している。ここで、これらの図を追加参照して、経路治具30について説明する。図8および図9に示すように、経路治具30は、直方体状に形成された基部31と、円柱状に形成されて基部31の後端部に設けられた第1円柱部32と、第1円柱部32よりも小径の円柱状に形成されて第1円柱部32の後端部に設けられた第2円柱部33と、円柱状に形成されて基部31の前端部に設けられた第3円柱部34と、第3円柱部34よりも小径の円柱状に形成されて第3円柱部34の前端部に設けられた第4円柱部35とを有して構成される。この経路治具30は、その長さ方向(前後方向)に延びて経路治具30を貫通する4個のガイド経路36a,36b,36c,36d(これらを区別しないときは「ガイド経路36」と称する)を有している。
【0033】
経路治具30は、図10および図11に示すように、中央部材30A、左側部材30Bおよび右側部材30Cの3個の部材(いずれも例えば、樹脂材料等により形成される)に分割可能に構成されている。具体的には、中央部材30Aと左側部材30Bとは、ガイド経路36a,36cの長さ方向に沿って左右方向に互いに分離可能であり、中央部材30Aと右側部材30Cとは、ガイド経路36b,36dの長さ方向に沿って左右方向に互いに分離可能である。左側部材30Bの右側面(中央部材30A側の側面)に、2個のガイド経路36a,36cが上下に並んで前後方向に延びるように形成されており、右側部材30Bの左側面(中央部材30A側の側面)に、2個のガイド経路36b,36dが上下に並んで前後方向に延びるように形成されている。また、中央部材30Aの後端部の左側面(左側部材30B側の側面)に、2個のガイド経路36b,36dの一部が上下に並んで前後方向に延びるように形成されており、中央部材30Aの後端部の右側面(右側部材30C側の側面)に、2個のガイド経路36b,36dの一部が上下に並んで前後方向に延びるように形成されている。
【0034】
ガイド経路36a~36dの後端側での配列ピッチは、防水栓21の第1貫通孔21Ca~21Cdの配列ピッチと同等に設定され、ガイド経路36a~36dの前端側での配列ピッチは、電線保持体23の第2貫通孔23Ca~23Cdの配列ピッチと同等に設定されている。すなわち、ガイド経路36a~36dの前端側での配列ピッチの方がガイド経路36a~36dの後端側での配列ピッチよりも大きく設定されている。ガイド経路36a~36dは、この前端側と後端側とでの配列ピッチの違いに対応するため、その長さ方向の中間部での配列ピッチが後端側から前端側へ向かって徐々に大きくなるように、上下方向および左右方向に緩やかに傾斜するように形成されている。また、左側部材30Bの左側面および右側部材30Cの右側面には、2個の取付ボルト差込穴37(内周面に雌ネジを有する)がそれぞれ形成されており、中央部材30Aの前端側下部には、2個の取付ボルト挿通孔38が形成されている。
【0035】
経路治具30は、中央部材30A、左側部材30Bおよび右側部材30Cが一体に結合された状態で、図12に示すように、防水栓21と電線保持体23との間に配置されて用いられる。具体的には経路治具30は、経路治具30の第1円柱部32が筒状部材22の第1筒部22a内に挿入され、経路治具30の第2円柱部33が筒状部材22の第2筒部22b内に挿入された状態で配置される。このとき、経路治具30(詳しくは第2円柱部33)の後端面が、筒状部材22の第3円筒部22cに取り付けられた防水栓21(詳しくは防水栓21の基部21A)の前端面に当接されるとともに、経路治具30の後端面におけるガイド経路36a~36dがそれぞれ、防水栓21の前端面における第1貫通孔21Ca~21Cdと接続される。また、経路治具30は、経路治具30(詳しくは経路治具30の第4円柱部35)の前端面が電線保持体23(詳しくは電線保持体23の主部23A)の後端面と当接した状態で配置される。このとき、経路治具30の前端面におけるガイド経路36a~36dがそれぞれ、電線保持体23の後端面における第2貫通孔23
Ca~23Cdと接続される。
【0036】
このように経路治具30が配置されると、経路治具30のガイド経路36aが防水栓21の第1貫通孔21Caと電線保持体23の第2貫通孔23Caとを繋いだ状態となる。同様に、経路治具30のガイド経路36bが防水栓21の第1貫通孔21Cbと電線保持体23の第2貫通孔23Cbとを繋ぎ、経路治具30のガイド経路36cが防水栓21の第1貫通孔21Ccと電線保持体23の第2貫通孔23Ccとを繋ぎ、経路治具30のガイド経路36dが防水栓21の第1貫通孔21Cdと電線保持体23の第2貫通孔23Cdとを繋いだ状態となる。これにより、経路治具30のガイド経路36aは防水栓21の第1貫通孔21Caに挿通された電線EW1を電線保持体23の第2貫通孔23Caに到達するように案内することが可能となる。同様に、経路治具30のガイド経路36bは防水栓21の第1貫通孔21Cbに挿通された電線EW2を電線保持体23の第2貫通孔23Cbに到達するように案内し、経路治具30のガイド経路36cは防水栓21の第1貫通孔21Ccに挿通された電線EW3を電線保持体23の第2貫通孔23Ccに到達するように案内し、経路治具30のガイド経路36dは防水栓21の第1貫通孔21Cdに挿通された電線EW4を電線保持体23の第2貫通孔23Cdに到達するように案内することが可能となる。
【0037】
経路治具30を用いた挿通電線ガイド作業を行う挿通電線ガイドユニット300を図13図19に示している。ここで、これらの図を追加参照して、挿通電線ガイドユニット300について説明する。挿通電線ガイドユニット300は、ガイドユニット主要部310と、ガイドユニット主要部310を左右方向に移動可能に支持するガイドユニット主要部移動ステージ(図示略)とを主体として構成される。ガイドユニット主要部310は、経路治具保持機320、第1部材保持機330、第2部材保持機340および電線整列保持具350を有しており、ガイドユニット主要部移動ステージの作動により、挿通電線ガイド作業エリアAR4と電気部材移載作業エリアAR6(図4を参照)との間を移動できるようになっている。なお、ガイドユニット主要部移動ステージを介してのガイドユニット主要部310の作動(移動)は、コントロールユニットにより制御される。
【0038】
経路治具保持機320は、経路治具30を分離結合可能に保持するもので、図13に示すように、経路治具30の左側部材30Bを保持する経路治具左側部材保持具321と、経路治具30の右側部材30Cを保持する経路治具右側部材保持具322と、経路治具30の中央部材30Aを保持する経路治具中央部材保持具(図示略)と、経路治具左側部材保持具321および経路治具右側部材保持具322を作動させる経路治具保持具作動機構(詳細図示略)とを有している。経路治具保持具作動機構は、経路治具左側部材保持具321により保持された左側部材30Bと経路治具右側部材保持具322により保持された右側部材30Bとが経路治具中央部材保持具により保持された中央部材30Aに左右から当接して中央部材30Aと合体(一体に結合)した状態となる経路部材合体位置(図13を参照)と、左側部材30Bと右側部材30Cが中央部材30Aから左右方向に所定距離離れて分離した状態となる経路部材分離位置(図19を参照)との間で、経路治具左側部材保持具321および経路治具右側部材保持具322を移動させるように構成されている。
【0039】
第1部材保持機330は、防水栓21および筒状部材22(図6を参照)を防水栓21付き筒状部材22の状態で保持するもので、図13に示すように、第1部材保持アッセンブリ331と、第1部材保持アッセンブリ331を前後方向に移動可能に支持する移動ステージ(詳細図示略)とを主体として構成される。第1部材保持アッセンブリ331は、第1部材保持左側ユニット332と、第1部材保持右側ユニット333と、第1部材保持後側ユニット334と、第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333を作動させる第1部材保持ユニット作動機構(図示略)とを有している。第1部
材保持左側ユニット332は、第1部材保持用左第1把持爪332A、第1部材保持用左第2把持爪332Bおよび電線導入孔形成左プレート332Cを有しており、第1部材保持右側ユニット333は、第1部材保持用右第1把持爪333A、第1部材保持用右第2把持爪333Bおよび電線導入孔形成右プレート333Cを有している。また、第1部材保持後側ユニット334は、電線導入孔形成中央プレート334Aを有している。
【0040】
第1部材保持ユニット作動機構は、第1部材保持左側ユニット332と第1部材保持右側ユニット333とが左右方向に所定距離離れた状態となる開放位置(図13を参照)と、第1部材保持左側ユニット332と第1部材保持右側ユニット333とが左右方向に互いに接近して、電線導入孔形成左プレート332Cが左方より電線導入孔形成中央プレート334Aに当接するとともに電線導入孔形成右プレート332Cが右方より電線導入孔形成中央プレート334Aに当接した状態となる閉鎖位置(図14を参照)との間で、第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333を移動させるように構成されている。
【0041】
第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333が開放位置にあるときは、第1部材保持左側ユニット332と第1部材保持右側ユニット333との間に防水栓21付き筒状部材22を配置したり両ユニット332,333間から防水栓21付き筒状部材22を取り出したりすることが可能となる。一方、第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333が閉鎖位置にあるときは、両ユニット332,333間にセットされた防水栓21付き筒状部材22を両ユニット332,333により保持することが可能となる(図14を参照)。具体的には、第1部材保持左側ユニット332の第1部材保持用左第1把持爪332Aおよび第1部材保持用左第2把持爪332Bと、第1部材保持右側ユニット333の第1部材保持用右第1把持爪333Aおよび第1部材保持用右第2把持爪333Bとにより、防水栓21付き筒状部材22を左右両側から挟み込むように把持してこれを保持する。
【0042】
第1部材保持左側ユニット332の電線導入孔形成左プレート332Cの右側部には、前後方向に延びて右方に開放された2個の電線導入溝335a,335cが上下に並んで形成されている。同様に、第1部材保持右側ユニット333の電線導入孔形成右プレート333Cの左側部には、前後方向に延びて左方に開放された2個の電線導入溝335b,335dが上下に並んで形成されている。電線導入孔形成左プレート332Cの電線導入溝335a,335cは、電線導入孔形成左プレート332Cが電線導入孔形成中央プレート334Aに当接した状態のときに、電線EWの導入孔として利用される。具体的には、図16に示すように、電線導入溝335aが電線EW1の導入孔として利用され、電線導入溝335cが電線EW3の導入孔として利用される。同様に、電線導入孔形成右プレート333Cの電線導入溝335b,335dは、電線導入孔形成右プレート332Cが電線導入孔形成中央プレート334Aに当接した状態のときに、電線EWの導入孔として利用される。具体的には、電線導入溝335bが電線EW2の導入孔として利用され、電線導入溝335dが電線EW4の導入孔として利用される。
【0043】
第1部材保持機330の移動ステージは、第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333により保持された防水栓21付き筒状部材22が経路治具30の後端部から後方に所定距離離れた状態となる第1部材待機位置(図14を参照)と、経路治具30の第1円柱部32および第2円柱部33が筒状部材22内に挿入されて経路治具30の後端面が防水栓21の前端面に当接された状態となる第1部材セット位置(図15を参照)との間で、第1部材保持アッセンブリ331を前後方向に移動させるように構成されている。
【0044】
第2部材保持機340は、電線保持体23(図6を参照)を保持するもので、図13
示すように、第2部材保持アッセンブリ341と、第2部材保持アッセンブリ341を前後方向に移動可能に支持する移動ステージ(図示略)とを主体として構成される。第2部材保持アッセンブリ341は、第2部材保持左側ユニット342と、第2部材保持右側ユニット343と、第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343を作動させる第2部材保持ユニット作動機構(図示略)とを有している。第2部材保持左側ユニット342は、第2部材保持用左第1把持爪342Aおよび第2部材保持用左第2把持爪342Bを有しており、第2部材保持右側ユニット343は、第2部材保持用右第1把持爪343Aおよび第2部材保持用右第2把持爪343Bを有している。
【0045】
第2部材保持ユニット作動機構は、第2部材保持左側ユニット342と第2部材保持右側ユニット343とが左右方向に所定距離離れた状態となる開放位置(図13を参照)と、第2部材保持左側ユニット342と第2部材保持右側ユニット343とが左右方向に互いに接近した状態となる閉鎖位置(図14を参照)との間で、第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343を移動させるように構成されている。
【0046】
第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343が開放位置にあるときは、第2部材保持左側ユニット342と第2部材保持右側ユニット343との間に電線保持体23を配置したり両ユニット342,343間から電線保持体23を取り出したりすることが可能となる。一方、第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343が閉鎖位置にあるときは、両ユニット342,343間に配置された電線保持体23を両ユニット332,333により保持することが可能となる(図14を参照)。具体的には、第2部材保持左側ユニット342の第2部材保持用左第1把持爪342Aおよび第2部材保持用左第2把持爪342Bと、第2部材保持右側ユニット343の第2部材保持用右第1把持爪343Aおよび第2部材保持用右第2把持爪343Bとにより、電線保持体23を左右両側から挟み込むように把持してこれを保持する。
【0047】
第2部材保持機340の移動ステージは、第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343により保持された電線保持体23が経路治具30の前端面から前方に所定距離離れた状態となる第2部材待機位置(図14を参照)と、経路治具30の前端面が電線保持体23の後端面に当接された状態となる第2部材セット位置(図15を参照)との間で、第2部材保持アッセンブリ341を前後方向に移動させるように構成されている。
【0048】
電線整列保持具350は、挿通電線整列ユニット400による挿通電線整列作業において用いられるものであり、ガイドユニット主要部310内において固定された板状部材351と、板状部材351の上面に前後左右に複数列(ここでは前後に2列、左右方向に7列)で並ぶように設けられた複数個の整列ピン352(図13において一部のみに付番)とを有している。
【0049】
なお、説明の便宜上、図13に示す状態となるときの挿通電線ガイドユニット300(経路治具保持機320、第1部材保持機330、第2部材保持機340)の作動状態のことを第1作動状態と称する。同様に、図14図15図16図17図18および図19に示す状態となるときの挿通電線ガイドユニット300の作動状態のことを、それぞれ第2作動状態、第3作動状態、第4作動状態、第5作動状態、第6作動状態および第7作動状態と称する。図13に示す第1作動状態のときは、経路治具保持機320の経路治具左側部材保持具321および経路治具右側部材保持具322が経路部材結合位置に位置しており経路治具30が合体状態とされている。また、第1部材保持機330の第1部材保持アッセンブリ331は第1部材待機位置に位置するとともに、第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333が開放位置に位置しており防水栓21付き筒状部材22は保持されていない。さらに、第2部材保持機340の第2部材保持ア
ッセンブリ341は第2部材待機位置に位置するとともに、第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343が開放位置に位置しており電線保持体23は保持されていない。
【0050】
図14に示す第2作動状態のときは、経路治具保持機320の作動状態は図13に示す第1作動状態のときと同じである。一方、第1部材保持機330の第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333が閉鎖位置に移動しており防水栓21付き筒状部材22が保持されている。また、防水栓21付き筒状部材22を保持した第1部材保持アッセンブリ331は第1部材待機位置に位置しており、経路治具30の第1円柱部32および第2円柱部33(図13を参照)は筒状部材22内に挿入されていない。さらに、第2部材保持機340の第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343が閉鎖位置に移動しており電線保持体23が保持されている。また、電線保持体23を保持した第2部材保持アッセンブリ341は第2部材待機位置に位置しており、電線保持体23の後端面は経路治具30の前端面に当接されていない。なお、防水栓21付き筒状部材22を第1部材保持アッセンブリ331が保持した状態において、防水栓21の第1貫通孔21Ca~21Cd(図7を参照)がそれぞれ、第1部材保持左側ユニット332の電線導入孔形成左プレート332Cおよび第1部材保持右側ユニット333の電線導入孔形成右プレート333Cに形成された電線導入溝335a~335dと接続されるようになっている。
【0051】
図15に示す第3作動状態のときは、第1部材保持機330(第1部材保持アッセンブリ331)および第2部材保持機340(第2部材保持アッセンブリ341)の作動状態が図14に示す第2作動状態のときとは異なり、その他の作動状態は第2作動状態のときと同じである。すなわち、第3作動状態のときは、防水栓21付き筒状部材22を保持した第1部材保持アッセンブリ331は第1部材セット位置に移動しており、経路治具30の第1円柱部32および第2円柱部33が筒状部材22内に挿入され経路治具30の後端面が防水栓21の前端面に当接された状態となる。なお、この状態のとき、経路治具30の後端面におけるガイド経路36a~36d(図10図14を参照)がそれぞれ、防水栓21の前端面における第1貫通孔21Ca~21Cd(図7を参照)と接続されるようになっている。また、第3作動状態のときは、電線保持体23を保持した第2部材保持アッセンブリ341は第2部材セット位置に移動しており、経路治具30の前端面に電線保持体23の後端面が当接された状態となる。なお、この状態のとき、経路治具30の前端面におけるガイド経路36a~36d(図9を参照)がそれぞれ、電線保持体23の後端面における第2貫通孔23Ca~23Cd(図6図14を参照)と接続されるようになっている。これらにより、防水栓21の第1貫通孔21Ca~21Cdと電線保持体23の第2貫通孔23Ca~23Cdとが、経路治具30のガイド経路36a~36dを介してそれぞれ繋げられるようになっている。
【0052】
図16に示す第4作動状態のときは、経路治具保持機320、第1部材保持機330(第1部材保持アッセンブリ331)および第2部材保持機340(第2部材保持アッセンブリ341)の作動状態は図15に示す第3作動状態のときと同じである。第4作動状態のときは、防水栓21および電線保持体23に対し電線EW1~EW4を挿通する電線挿通作業が行われる。また、防水栓21および電線保持体23に挿通された電線EW1~EW4の先端部に対する挿通電線整列作業が行われる。
【0053】
図17に示す第5作動状態のときは、第1部材保持機330(第1部材保持アッセンブリ331)および第2部材保持機340(第2部材保持アッセンブリ341)の作動状態が図16に示す第4作動状態のときとは異なり、その他の作動状態は第4作動状態のときと同じである。すなわち、第5作動状態のときは、防水栓21付き筒状部材22を保持した第1部材保持アッセンブリ331は第1部材待機位置に移動しており、防水栓21付き
筒状部材22が経路治具30の後端部から後方に所定距離離れた状態となる。また、第5作動状態のときは、電線保持体23を保持した第2部材保持アッセンブリ341は第2部材待機位置に移動しており、電線保持体23が経路治具30の前端面から前方に所定距離離れた状態となる。
【0054】
図18に示す第6作動状態のときは、経路治具保持機320、第1部材保持機330(第1部材保持アッセンブリ331)および第2部材保持機340(第2部材保持アッセンブリ341)の作動状態が図17に示す第5作動状態のときとは異なる。すなわち、第6作動状態のときは、経路治具保持機320の経路治具左側部材保持具321および経路治具右側部材保持具322が経路部材分離位置に移動しており、経路治具30が分離状態(経路治具30の左側部材30Bと右側部材30Cが中央部材30Aから左右方向に分離した状態)とされて経路治具30において電線EW1~EW4が解放されている。また、第6作動状態のときは、第1部材保持機330の第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333が開放位置に移動しており防水栓21付き筒状部材22の保持が解除されて防水栓21付き筒状部材22が解放されている。さらに、第2部材保持機340の第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343が開放位置に移動しており電線保持体23の保持が解除されて電線保持体23が解放されている。この第6作動状態のときに、挿通電線ガイドユニット300から電気部品20を取り出して排出する電気部品排出作業が行われる。
【0055】
図19に示す第7作動状態は、挿通電線ガイドユニット300から電気部品20(図5図18を参照)が取り出された直後の状態であり、このとき、経路治具保持機320、第1部材保持機330(第1部材保持アッセンブリ331)および第2部材保持機340(第2部材保持アッセンブリ341)の作動状態は図18に示す第6作動状態のときと同じである。
【0056】
次に、挿通電線ガイドユニット300の作動手順(挿通電線ガイド作業の作業手順)について説明する。なお、挿通電線ガイドユニット300の経路治具保持機320、第1部材保持機330、第2部材保持機340における各作動要素の作動は、コントロールユニットにより制御される。挿通電線ガイドユニット300では、まず、経路治具保持機320、第1部材保持機330、第2部材保持機340を図13に示す第1作動状態となるように作動させる。この第1作動状態のときに、第1部材保持左側ユニット332と第1部材保持右側ユニット333との間に防水栓21付き筒状部材22が配置されるとともに、第2部材保持左側ユニット342と第2部材保持右側ユニット343との間に電線保持体23が配置される。なお、防水栓21付き筒状部材22の配置作業は第1部材移載ユニット600により行われ、電線保持体23の配置作業は第2部材移載ユニット700により行われる。この点については別途後述する。
【0057】
次に、挿通電線ガイドユニット300では、第1部材保持機330および第2部材保持機340を図14に示す第2作動状態となるように作動させ、第1部材保持機330の第1部材保持アッセンブリ331(第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333)により防水栓21付き筒状部材22を保持するとともに、第2部材保持機340の第2部材保持アッセンブリ341(第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343)により電線保持体23を保持する。これにより、防水栓21の第1貫通孔21Ca~21Cd(図7を参照)がそれぞれ、第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335a~335dと接続される。
【0058】
次いで、挿通電線ガイドユニット300では、第1部材保持機330および第2部材保持機340を図15に示す第3作動状態となるように作動させる。すなわち、防水栓21付き筒状部材22を保持した第1部材保持アッセンブリ331を第1部材セット位置に移
動させるとともに、電線保持体23を保持した第2部材保持アッセンブリ341を第2部材セット位置に移動させる。これにより、防水栓21の第1貫通孔21Ca~21Cd(図6図7を参照)と電線保持体23の第2貫通孔23Ca~23Cd(図6図7を参照)とが、経路治具30のガイド経路36a~36d(図8図11を参照)を介してそれぞれ繋がる。
【0059】
この第3作動状態では、防水栓21の第1貫通孔21Ca~21Cdおよび電線保持体23の第2貫通孔23Ca~23Cdに電線EW1~EW4(図16を参照)をそれぞれ挿通する電線挿通作業が行われる。電線EW1~EW4の挿通作業は1本ずつ行われ、挿通された電線EWに対し挿通電線ガイド作業が行われる。挿通する電線EWの順番は任意に設定可能であるが、ここでは、電線EW1、EW2、EW3、EW4の順に挿通されるとして説明する。なお、電線挿通作業は電線挿通ユニット200(特に、電線挿通機210)により行われる。ここでは、電線挿通作業についてはその概要手順を説明し、電線挿通作業を行う際の電線挿通機210の作動等については別途後述する。
【0060】
電線EW1は、まずその先端側の一部が第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335a内に挿入され、さらに電線導入溝335aと接続されている防水栓21の第1貫通孔21Ca内に挿入される。この挿入後、電線EW1の先端部が第1貫通孔21Caを通って第1貫通孔21Caから前方に延出しさらに前方へと進出するように電線EW1が前方に送り込まれる。この送り込みにより、第1貫通孔21Caから前方に延出した電線EW1の先端部が、第1貫通孔21Caと接続されている経路治具30のガイド経路36a内に進入する。そして、電線EW1の先端部がガイド経路36aにより案内されて、ガイド経路36aと接続されている電線保持体23の第2貫通孔23Caに到達し、さらに第2貫通孔23Caを通って第2貫通孔23Caから前方へと延出される。
【0061】
同様に、電線EW2は、まずその先端側の一部が第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335b内に挿入され、さらに電線導入溝335bと接続されている防水栓21の第1貫通孔21Cb内に挿入される。この挿入後、電線EW1の先端部が第1貫通孔21Cbを通って第1貫通孔21Cbから前方に延出しさらに前方へと進出するように電線EW1が前方に送り込まれる。この送り込みにより、第1貫通孔21Cbから前方に延出した電線EW1の先端部が、第1貫通孔21Cbと接続されている経路治具30のガイド経路36b内に進入する。そして、電線EW1の先端部がガイド経路36bにより案内されて、ガイド経路36bと接続されている電線保持体23の第2貫通孔23Cbに到達し、さらに第2貫通孔23Cbを通って第2貫通孔23Caから前方へと延出される。
【0062】
同様に、電線EW3の挿通作業と電線EW4の挿通作業とが行われる。電線EW3は、第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335c、防水栓21の第1貫通孔21Ccの順に挿通され、その後、経路治具30のガイド経路36cにより案内されて、電線保持体23の第2貫通孔23Ccに到達し、第2貫通孔23Ccを通って第2貫通孔23Ccから前方へと延出される。電線EW4は、第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335d、防水栓21の第1貫通孔21Cdの順に挿通され、その後、経路治具30のガイド経路36dにより案内されて、電線保持体23の第2貫通孔23Cdに到達し、第2貫通孔23Cdを通って第2貫通孔23Cdから前方へと延出される。
【0063】
電線保持体23の第2貫通孔23Ca~23Cdから前方に延出された電線EW1~EW4に対しては、延出された電線EW1~EW4の先端部の一部を屈曲させる曲げぐせ付けを行って当該先端部の姿勢を調整しながら電線EW1~EW4を整列させる挿通電線整列作業が行われる。図16に示す例では、左側から電線EW3、電線EW1、電線EW2、電線EW4の順に並ぶように電線EW1~EW4が、電線整列保持具350の整列ピン352を介して整列されている。なお、挿通電線整列作業は挿通電線整列ユニット400
により行われる。この点については別途後述する。
【0064】
次に、挿通電線ガイドユニット300では、第1部材保持機330および第2部材保持機340を図17に示す第5作動状態となるように作動させる。すなわち、防水栓21付き筒状部材22を保持した第1部材保持アッセンブリ331を第1部材待機位置に移動させるとともに、電線保持体23を保持した第2部材保持アッセンブリ341を第2部材待機位置に移動させる。これにより、防水栓21付き筒状部材22が経路治具30の後端部から後方に所定距離離れた状態となり、電線保持体23が経路治具30の前端面から前方に所定距離離れた状態となる。
【0065】
次いで、挿通電線ガイドユニット300では、経路治具保持機320、第1部材保持機330(第1部材保持アッセンブリ331)および第2部材保持機340(第2部材保持アッセンブリ341)を図18に示す第6作動状態となるように作動させる。すなわち、経路治具保持機320の経路治具左側部材保持具321および経路治具右側部材保持具322を経路部材分離位置に移動させ、経路治具30を分離状態とする。これにより、経路治具30において電線EW1~EW4が解放される。また、第1部材保持機330の第1部材保持左側ユニット332および第1部材保持右側ユニット333を開放位置に移動させ防水栓21付き筒状部材22の保持を解除する。これにより、第1部材保持機330において防水栓21付き筒状部材22および電線EW1~EW4が解放される。さらに、第2部材保持機340の第2部材保持左側ユニット342および第2部材保持右側ユニット343を開放位置に移動させ電線保持体23の保持を解除する。この第6作動状態のときに、電気部品排出作業が行われ、電線ガイドユニット300から電気部品20が取り出される(図19を参照)。なお、電気部品排出作業は電気部品排出ユニット800により行われる。この点については別途後述する。
【0066】
図20に電線測長切断ユニット100を示している。ここで、図20図24を追加参照して、電線測長切断ユニット100について説明する。電線測長切断ユニット100は、図20に示すように、電線検出ガイド部110、電線曲げぐせ矯正部120、電線測長機130、電線搬送機140、電線切断機150および受渡電線保持機160を有しており、電線測長切断ユニット100に供給(セット)された長尺の電線(「長尺電線」とも称する)を、その曲げぐせを矯正しながら長さを測って予め設定された所定の長さ(「規定長」とも称する)で切断し、切断した規定長の電線(「被切断電線」とも称する)を、後述する電線挿通ユニット200の電線挿通機210(図25を参照)に受け渡すように構成されている。なお、電線測長切断ユニット100において、長尺電線EWL(図20を参照)は、前後方向に延びる搬送軸線AX1上を前方から後方に向かって(長尺電線EWLが搬送軸線AX1に沿って真直ぐに延びた状態で)搬送されるようになっている。ここで、長尺とは、上記規定長を上回る長さを有することを意味する。
【0067】
電線検出ガイド部110は、図20に示すように、電線ガイド片111および電線有無検出器113を有している。電線ガイド片111は、搬送軸線AX1上に開口するガイド孔(詳細図示略)を有しており、このガイド孔に挿通された長尺電線EWLが搬送軸線AX1上に位置するようガイドするように構成されている。電線有無検出器113は、搬送軸線AX1上に長尺電線EWLが存在するか否かを検出し、その検出結果を示す検出信号をコントロールユニットに出力するように構成されている。コントロールユニットは、電線有無検出器113からの検出信号に基づき、搬送軸線AX1上に長尺電線EWLが存在しないと判断した場合は、電線測長切断ユニット100の作動を停止するようになっている。
【0068】
電線曲げぐせ矯正部120は、第1曲げぐせ矯正機121および第2曲げぐせ矯正機126を有している。第1曲げぐせ矯正機121は、搬送軸線AX1を挟んで左右2列に配
置された曲げぐせ矯正用のローラ群123を有し、搬送軸線AX1上を搬送される長尺電線EWLを左右2列のローラ群123により左右両側から挟み込むことにより、長尺電線EWLの左右方向の曲げぐせを矯正する。なお、ローラ群123の各ローラは、上下方向に延びるそれぞれの回転軸(詳細図示略)を中心に回転可能となっている。これに対し、第2曲げぐせ矯正機126は、上下2列に配置された曲げぐせ矯正用のローラ群128を有し、搬送軸線AX1上を搬送される長尺電線EWLを上下2列のローラ群128により上下両側から挟み込むことにより、長尺電線EWLの上下方向の曲げぐせを矯正する。なお、ローラ群128の各ローラは、左右方向に延びるそれぞれの回転軸(詳細図示略)を中心に回転可能となっている。
【0069】
電線測長機130は、ロータリーエンコーダ(図示略)を有する接触ローラ131と、搬送軸線AX1を挟んで接触ローラ131と対向配置された押し当てローラ132と、接触ローラ131の回転角度を検出する回転角度検出器(図示略)とを有している。押し当てローラ132は、搬送軸線AX1上を搬送される長尺電線EWLを接触ローラ131の外周面に押し当てるように構成されている。接触ローラ131は、接触ローラ131により押し当てられた長尺電線が搬送軸線AX1上を搬送される際にその搬送量に応じてロータリーエンコーダと共に回転するように構成されている。回転角度検出器は、ロータリーエンコーダの回転量(回転角度)を検出してその検出値に応じた検出信号を出力するように構成されている。回転角度検出器からの検出信号はコントロールユニットに入力され、コントロールユニットは、その検出信号に基づいて長尺電線EWLの搬送量(搬送した分の長さ)を測定できるようになっている。
【0070】
電線搬送機140は、図21に示すように、搬送機架台141と、搬送機架台141に対し上下動可能に設けられた上側搬送ベルトユニット142および下側搬送ベルトユニット143と、上側搬送ベルトユニット142を下側搬送ベルトユニット143に対して上下動可能に支持する移動ユニット144と、搬送機架台141に取り付けられた前側電線ガイド部145および後側電線ガイド部146とを有している。
【0071】
上側搬送ベルトユニット142は、図22に示すように、搬送軸線AX1の上方に配置された上側無端ベルト142aと、上側無端ベルト142aが架け渡されたプーリ142b,142c,142dと、プーリ142b,142c,142dを介して上側無端ベルト142aを回転駆動させる上側電動モータ(図示略)とを備えている。同様に、下側搬送ベルトユニット143は、搬送軸線AX1を挟んで上側搬送ベルトユニット142の上側無端ベルト142aと対向配置される下側無端ベルト143aと、下側無端ベルト142aが架け渡されたプーリ143b,143c,143dと、プーリ143b,143c,143dを介して下側無端ベルト143aを回転駆動させる下側電動モータ(図示略)とを備えている。
【0072】
上側搬送ベルトユニット142および下側搬送ベルトユニット143は、上側搬送ベルトユニット142の上側無端ベルト142aと、下側搬送ベルトユニット143の下側無端ベルト143aとの間に長尺電線EWL(図20を参照)を挟み込み、上側無端ベルト142aおよび下側無端ベルト143aを互いに逆向きに同速度で回転させることにより、長尺電線EWLを、搬送軸線AX1に沿って後方に向って送り出す(搬送する)ようになっている。なお、電線搬送機140(上側搬送ベルトユニット142および下側搬送ベルトユニット143)による長尺電線EWLの送出し量(搬送量)は、コントロールユニットにより制御される。
【0073】
具体的にはコントロールユニットは、電線測長部130の回転角度検出器からの検出信号に基づいて、上側搬送ベルトユニット142および下側搬送ベルトユニット143の電動モータの回転速度および回転量をフィードバック制御し、これにより長尺電線EWLの
送出し量を制御する。また、操作盤4(図1を参照)のタッチパネルでは、長尺電線EWLの種々の特性に応じて、電線搬送機140による長尺電線EWLの送出し量に対する補正値を入力できるようになっており、コントロールユニットは、その入力された補正値を考慮して長尺電線EWLの送出し量を高精度に制御できるようになっている。長尺電線EWLの特性としては、例えば、上側無端ベルト142aおよび下側無端ベルト143aに対する長尺電線EWLのスリップ率(上側無端ベルト142aおよび下側無端ベルト143aにより搬送される長尺電線EWLが上側無端ベルト142aおよび下側無端ベルト143aに対してどの程度滑るかを示す値)が挙げられる。
【0074】
移動ユニット144は、上側搬送ベルトユニット142を下側搬送ベルトユニット143に対して上下動させることにより、上側搬送ベルトユニット142の上側無端ベルト142aと、下側搬送ベルトユニット143の下側無端ベルト143aとの間隔を、長尺電線EWLの太さ(経)等に応じて調整できるようになっている。
【0075】
前側電線ガイド部145は、搬送軸線AX1上を前後方向に延びる貫通孔を有するガイドパイプ145aを有し、ガイドパイプ145a内に挿入された長尺電線EWLが上側搬送ベルトユニット142の上側無端ベルト142aと、下側搬送ベルトユニット143の下側無端ベルト143aとの間に向かうようガイドするように構成されている。同様に、後側電線ガイド部146は、搬送軸線AX1上を前後方向に延びる貫通孔を有するガイドパイプ146aを有し、上側搬送ベルトユニット142の上側無端ベルト142aと、下側搬送ベルトユニット143の下側無端ベルト143aとの間から後方に送り出された長尺電線EWLが搬送軸線AX1上を後方に向かって搬送されるようガイドするように構成されている。
【0076】
電線切断機150は、図23に示すように、電線切断時第1把持ユニット151、電線ガイド部152および切断刃ユニット153を有している。電線切断時第1把持ユニット151は、搬送軸線AX1を挟んで配置された上下一対の第1電線把持爪151a,151bと、上下一対の第1電線把持爪151a,151bを互いに近づいたり互いに離間したりするように上下動させる第1電線把持爪駆動機構(詳細図示略)とを有している。この電線切断時第1把持ユニット151は、電線搬送機140(上側搬送ベルトユニット142および下側搬送ベルトユニット143)により後方に向かって送り出されて搬送軸線AX1上に位置する、切断前の長尺電線EWL(図20を参照)の長さ方向中間の所定部分(長尺電線EWLが後方に規定長分だけ送り出されたときに第1電線把持爪151a,151bの間に位置する部分であり、以下「基端側所定部」とも称する)を第1電線把持爪151a,151bにより把持したり把持を解除したりできるように構成されている。なお、第1電線把持爪駆動機構を介しての第1電線把持爪151a,151bの作動は、コントロールユニットにより制御される。
【0077】
電線ガイド部152は、搬送軸線AX1上を前後方向に延びる貫通孔(図示略)を有するガイドパイプ152aを有し、電線搬送機140(上側搬送ベルトユニット142および下側搬送ベルトユニット143)により後方に送り出されてガイドパイプ152a内に挿入された長尺電線EWLが搬送軸線AX1上を後方に向かって搬送されるようガイドするように構成されている。
【0078】
切断刃ユニット153は、搬送軸線AX1を挟んで配置された左右一対の電線切断刃153a,153bと、左右一対の電線切断刃153a,153bを互いに近づいたり互いに離間したりするように左右動させる電線切断刃駆動機構(詳細図示略)とを有している。この切断刃ユニット153は、電線搬送機140から後方に向かって送り出され、ガイドパイプ152a内を通過して搬送軸線AX1上に位置する長尺電線EWL(図20を参照)を電線切断刃153a,153bにより切断するように構成されている。なお、電線
切断刃駆動機構を介しての電線切断刃153a,153bの作動は、コントロールユニットにより制御される。
【0079】
受渡電線保持機160は、図24に示すように、電線張り付与アッセンブリ161と、電線張り付与アッセンブリ161を前後方向および左右方向に移動可能に支持するアッセンブリ移動ステージ166とを有しており、電線張り付与アッセンブリ161は、電線ガイド部162、電線切断時第2把持ユニット163および電線支持片164を有して構成されている。なお、アッセンブリ移動ステージ166を介しての電線張り付与アッセンブリ161の移動は、コントロールユニットにより制御される。
【0080】
電線切断時第2把持ユニット163は、搬送軸線AX1を挟んで配置された上下一対の第2電線把持爪163a,163bと、上下一対の第2電線把持爪163a,163bを互いに近づいたり互いに離間したりするように上下動させる第2電線把持爪駆動機構(詳細図示略)とを有している。この電線切断時第2把持ユニット163は、電線搬送機140により送り出されて切断刃ユニット153の電線切断刃153a,153bの間から後方に向かって延出される長尺電線EWLの先端(後端)側の所定部分(以下「先端側所定部」とも称する)を第2電線把持爪163a,163bにより把持したり把持を解除したりできるように構成されている。なお、第2電線把持爪駆動機構を介しての第2電線把持爪163a,163bの作動は、コントロールユニットにより制御される。
【0081】
電線ガイド部162は、搬送軸線AX1上を前後方向に延びる貫通孔(詳細図示略)を有しており、電線搬送機140(図21を参照)により送り出されて切断刃ユニット153(図23を参照)の電線切断刃153a,153bの間から後方に向かって延出された長尺電線EWLが当該貫通孔内に挿入されるように構成されている。また、当該貫通孔内に挿入された長尺電線EWLが電線切断時第2把持ユニット163の第2電線把持爪163a,163bの間を通って搬送軸線AX1上を後方に向かって搬送されるようにガイドするように構成されている。電線支持片164は、電線切断時第2把持ユニット163の第2電線把持爪163a,163bの間から後方に延出される長尺電線EWLを下方から支持するように構成されている。
【0082】
電線測長切断ユニット100における電線搬送機140、電線切断機150および受渡電線保持機160は、概ね以下のような手順で作動する。まず、電線搬送機140が長尺電線EWLを搬送軸線AX1に沿って後方に向って送り出し、電線切断機150の切断刃ユニット153の電線切断刃153a,153bの間から後方に長尺電線EWLの先端側の部分を延出させる。このときの送出し量は、電線切断刃153a,153bの位置から後方に延出される長尺電線EWLの先端側の部分の長さが規定長となるように制御される。長尺電線EWLの先端側の部分が規定長分だけ延出した時点で、電線搬送機140による長尺電線EWLの搬送が停止される。電線搬送機140による長尺電線EWLの搬送が停止されると、電線切断時第1把持ユニット151(第1電線把持爪151a,151b)により、長尺電線EWLの基端側所定部が把持される。
【0083】
電線搬送機140による長尺電線EWLの搬送が行われるとき、搬送受渡電線保持機160の電線張り付与アッセンブリ161が、電線切断機150の切断刃ユニット153に近接する所定の位置まで前方に移動される。そして、切断刃ユニット153の電線切断刃153a,153bの間から後方に向かって延出される長尺電線EWLが、電線ガイド部162の貫通孔内、および電線切断時第2把持ユニット163の第2電線把持爪163a,163bの間を通って搬送軸線AX1上を後方に向かって搬送されるようにガイドする。また、長尺電線EWL先端側の部分が規定長分だけ延出される過程あるいは延出された後に、電線切断刃153a,153bの位置から後方に線保持機160の電線張り付与アッセンブリ161が、電線切断機150の切断刃ユニット153から所定距離だけ離れる
所定の位置まで後方に移動されて停止される。そして、電線搬送機140による長尺電線EWLの搬送が停止され、電線切断時第1把持ユニット151(第1電線把持爪151a,151b)により長尺電線EWLの基端側所定部が把持されると、電線切断時第2把持ユニット163(第2電線把持爪163a,163b)により、長尺電線EWLの先端側所定部が把持されるとともに、この把持状態を維持したまま、電線張り付与アッセンブリ161が後方に若干移動される。これにより、電線切断時第1把持ユニット151と電線切断時第2把持ユニット163とにより把持されて搬送軸線AX1上に位置する長尺電線EWLに張り(テンション)が与えられる。
【0084】
電線切断時第1把持ユニット151および電線切断時第2把持ユニット163により長尺電線EWLが把持されて張りが与えられると、その張りが与えられた状態において、電線切断機150の切断刃ユニット153(電線切断刃153a,153b)により、長尺電線EWLの先端側の部分が規定長で切断される。張りを与えた状態で長尺電線EWLを切断することにより、容易かつ高精度に切断を行うことが可能となる。規定長に切断された被切断電線EW0(図27を参照)は、電線挿通ユニット200(図25を参照)の電線挿通機210に受け渡される(別途後述)。被切断電線EW0が受け渡されると、電線搬送機140による長尺電線EWLの規定長分の送り出し、電線切断時第1把持ユニット151および電線切断時第2把持ユニット163による長尺電線EWLへの張りの付与、電線切断機150による長尺電線EWLの切断がこの順に再度行われる。
【0085】
図25および図26に電線挿通ユニット200を示している。ここで、図25図28を追加参照して、電線挿通ユニット200について説明する。電線挿通ユニット200は、図25および図26に示すように、電線挿通機210と、電線挿通機210を前後方向、左右方向および上下方向に移動可能に支持する電線挿通機移動ステージ280とを有しており、電線測長切断ユニット100から受け渡された被切断電線EW0(図27および図28を参照)を、挿通電線ガイドユニット300により保持された電気部品20(防水栓21および電線保持体23)(図15を参照)の各貫通孔に挿通する電線挿通作業を行うように構成されている。なお、電線挿通機移動ステージ280を介しての電線挿通機210の作動(移動)は、コントロールユニットにより制御される。また、電線挿通機移動ステージ280により電線挿通機210が移動する際、電線挿通機210の姿勢(前後、左右、上下の各空間軸に対する電線挿通機210の傾き)は常に一定で変わらないようになっている。
【0086】
電線挿通機210は、被挿通電線把持ユニット220、被挿通電線前側ガイドユニット230、被挿通電線送出ユニット240および被挿通電線後側ガイドユニット250を有して構成されている。被挿通電線把持ユニット220は、電線挿通機210に設定された前後方向に延びる搬送軸線AX2を挟んで配置された左右一対の被挿通電線把持爪221a,221b(図28を参照)と、左右一対の被挿通電線把持爪221a,221bを互いに近づいたり互いに離間したりするように左右動させる被挿通電線把持爪駆動機構(詳細図示略)とを有している。この被挿通電線把持ユニット220は、電線測長切断ユニット100から電線挿通機210に受け渡された被切断電線EW0の前端部を把持したり把持を解除したりできるように構成されている。なお、被挿通電線把持爪駆動機構を介しての被挿通電線把持爪221a,221bの作動は、コントロールユニットにより制御される。
【0087】
被挿通電線前側ガイドユニット230は、搬送軸線AX2を挟んで配置された左右一対の被挿通電線前側ガイド片231a,231b(図28を参照)と、左右一対の被挿通電線前側ガイド片231a,231bを互いに近づいて当接したり互いに離間したりするように左右動させる被挿通電線前側ガイド片駆動機構(詳細図示略)とを有している。左右一対の被挿通電線前側ガイド片231a,231bは、互いに当接したときに当該両ガイ
ド片231a,231bの間に、搬送軸線AX2を内包して前後方向に延びる貫通孔が形成されるようになっている。そして、当該貫通孔内に被切断電線EW0を受容し、受容した被切断電線EW0が搬送軸線AX2に沿って前後方向に移動できるようガイドするように構成されている。なお、被挿通電線前側ガイド片駆動機構を介しての被挿通電線前側ガイド片231a,231bの作動は、コントロールユニットにより制御される。
【0088】
被挿通電線送出ユニット240は、搬送軸線AX2を挟んで互いに対向して配置された左右一対の左側搬送ベルトユニット241および右側搬送ベルトユニット246と、左側搬送ベルトユニット241および右側搬送ベルトユニット246を互いに近づいたり互いに離間したりするように左右動させる搬送ベルトユニット駆動機構(詳細図示略)とを有している。
【0089】
左側搬送ベルトユニット241は、図28に示すように、搬送軸線AX2の左方に配置された左側無端ベルト242と、左側無端ベルト242が架け渡されたプーリ243a,243b,243cと、プーリ243a,243b,243cを介して左側無端ベルト242を回転駆動させる左側回転駆動機構(電動モータを含む、図示略)とを備えている。同様に、右側搬送ベルトユニット246は、搬送軸線AX2を挟んで左側搬送ベルトユニット241の左側無端ベルト242と対向配置される右側無端ベルト247と、右側無端ベルト247が架け渡されたプーリ248a,248b,248cと、プーリ248a,248b,248cを介して右側無端ベルト247を回転駆動させる右側回転駆動機構(電動モータを含む、図示略)とを備えている。
【0090】
被挿通電線送出ユニット240は、左側搬送ベルトユニット241の左側無端ベルト242と、右側搬送ベルトユニット246の右側無端ベルト247との間に被切断電線EW0を挟み込み、左側無端ベルト242および右側無端ベルト247を互いに逆向きに同速度で回転させることにより、被切断電線EW0を、搬送軸線AX2に沿って前方に向って送り出す(搬送する)ようになっている。なお、搬送ベルトユニット駆動機構、左側回転駆動機構および右側回転駆動機構を介しての左側搬送ベルトユニット241および右側搬送ベルトユニット246の作動(両ベルトユニット241,246の左右動と、左側無端ベルト242および右側無端ベルト247の回転駆動)は、コントロールユニットにより制御される。
【0091】
被挿通電線後側ガイドユニット250は、搬送軸線AX2を挟んで配置された左右一対の被挿通電線後側ガイド片251a,251bと、左右一対の被挿通電線前側ガイド片251a,251bを互いに近づいて当接したり互いに離間したりするように左右動させる被挿通電線後側ガイド片駆動機構(詳細図示略)とを有している。左右一対の被挿通電線前側ガイド片251a,251bは、互いに当接したときに当該両ガイド片251a,251bの間に、搬送軸線AX2を内包して前後方向に延びる貫通孔が形成されるようになっている。そして、当該貫通孔内に被切断電線EW0を受容し、受容した被切断電線EW0が搬送軸線AX2に沿って前後方向に移動できるようガイドするように構成されている。なお、被挿通電線後側ガイド片駆動機構を介しての被挿通電線前側ガイド片251a,251bの作動は、コントロールユニットにより制御される。
【0092】
ここで、電線測長切断ユニット100と被挿通電線後側ガイドユニット250の電線挿通機210との間で行われる被切断電線EW0の受渡しの手順について、その概要を説明する。まず、電線測長切断ユニット100において、電線搬送機140により長尺電線EWLが電線切断機150の切断刃ユニット153から後方に規定長分だけ送り出され、その送り出された長尺電線EWLが、電線切断機150の電線切断時第1把持ユニット151と搬送受渡電線保持機160の電線切断時第2把持ユニット163とにより把持されて張りが付与された状態で、電線切断機150の切断刃ユニット153と搬送受渡電線保持
機160の電線張り付与アッセンブリ161との間の搬送軸線AX1上に保持される。
【0093】
次に、電線挿通機210が、電線切断機150の切断刃ユニット153と搬送受渡電線保持機160の電線張り付与アッセンブリ161との間に移動され、電線挿通機210の搬送軸線AX2と電線測長切断ユニット100の搬送軸線AX1とが互いに重なる位置で停止される。このとき、電線挿通機210の被挿通電線把持ユニット220の左右一対の被挿通電線把持爪221a,221bは互いに離間して開いた状態に作動されており、被挿通電線前側ガイドユニット230の左右一対の被挿通電線前側ガイド片231a,231bも互いに離間して開いた状態に作動されている。同様に、被挿通電線送出ユニット240の左右一対の左側搬送ベルトユニット241および右側搬送ベルトユニット246も互いに離間して開いた状態に作動されており、被挿通電線後側ガイドユニット250の左右一対の被挿通電線後側ガイド片251a,251bも互いに離間して開いた状態に作動されている。
【0094】
次いで、電線挿通機210の被挿通電線把持ユニット220の左右一対の被挿通電線把持爪221a,221bが互いに近づくように作動されて搬送軸線AX1上の長尺電線EWLが当該両把持爪221a,221bにより把持される。またこれと略同時に、被挿通電線前側ガイドユニット230の左右一対の被挿通電線前側ガイド片231a,231bが互いに近づくように作動されて搬送軸線AX1上の長尺電線EWLが当該両ガイド片231a,231bの間に形成される貫通孔内に受容される。またこれと略同時に、被挿通電線送出ユニット240の左右一対の左側搬送ベルトユニット241および右側搬送ベルトユニット246が互いに近づくように作動されて搬送軸線AX1上の長尺電線EWLが左側搬送ベルトユニット241の左側無端ベルト242と右側搬送ベルトユニット246の右側無端ベルト247との間に挟み込まれる。またこれと略同時に、被挿通電線後側ガイドユニット250の左右一対の被挿通電線後側ガイド片251a,251bが互いに近づくように作動されて搬送軸線AX1上の長尺電線EWLが当該両ガイド片251a,251bの間に形成される貫通孔内に受容される。以上の手順により、搬送軸線AX1上の長尺電線EWLの先端側の部分(電線切断機150の切断刃ユニット153と搬送受渡電線保持機160の電線張り付与アッセンブリ161との間の搬送軸線AX1上に位置する部分)が電線挿通機210により保持された状態となる。
【0095】
次に、電線切断機150の切断刃ユニット153(電線切断刃153a,153b)により、長尺電線EWLの先端側の部分が規定長で切断され、電線挿通機210により保持された部分が被切断電線EW0として切り離される。この切断後、搬送受渡電線保持機160の電線切断時第2把持ユニット163による長尺電線EWL(被切断電線EW0)の把持が解除され、これにより、電線測長切断ユニット100から被挿通電線後側ガイドユニット250の電線挿通機210への被切断電線EW0の受渡しが完了する。
【0096】
被切断電線EW0の受渡し完了後、電線挿通機210に受け渡された被切断電線EW0を、挿通電線ガイドユニット300により保持された電気部品20(防水栓21および電線保持体23)(図15を参照)の各貫通孔に挿通する電線挿通作業が電線挿通機210により行われる。この電線挿通作業において電線挿通機210は、概ね以下のように作動する。まず、受け渡された被切断電線EW0を保持する電線挿通機210(図27を参照)が挿通電線ガイドユニット300(図15を参照)の後方に移動され、挿通電線ガイドユニット300に対する電線挿通機210の位置合せが行われる。例えば、被切断電線EW0が電線EW1とされる場合は、電線挿通機210により保持された被切断電線EW0の前端部が、挿通電線ガイドユニット300における第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335a(図15を参照)の直近後方に位置するように位置合せが行われる。この位置合わせ後、電線挿通機210が前方に移動され、被切断電線EW0の前端部が、第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335a内に挿入され、さらに電線導入溝
335aと接続されている防水栓21の第1貫通孔21Ca内に挿入される。
【0097】
この挿入後、電線挿通機210の被挿通電線把持ユニット220(被挿通電線把持爪221a,221b)による被切断電線EW0の把持が解除される。この把持解除後、電線挿通機210の被挿通電線送出ユニット240における左側搬送ベルトユニット241の左側無端ベルト242と右側搬送ベルトユニット246の右側無端ベルト247とが回転され、両ベルト242,247の間に挟み込まれている被切断電線EW0が、搬送軸線AX2に沿って前方に向って送り出される。この送り出しにより、被切断電線EW0が、防水栓21の第1貫通孔21Ca(図6を参照)、経路治具30のガイド経路36a(図8を参照)、および電線保持体23の第2貫通孔23Ca(図6を参照)をこの順に挿通されて被切断電線EW0の前端部が第2貫通孔23Caから前方へと延出される。なお、被挿通電線送出ユニット240による被切断電線EW0の送り出しは、被切断電線EW0の前端部が予め設定された所定の長さ分だけ第2貫通孔23Caから前方へと延出された時点で停止される。
【0098】
被切断電線EW0が電線EW2とされる場合は、電線挿通機210により保持された被切断電線EW0の前端部が、第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335b(図15を参照)の直近後方に位置するように位置合せが行われる。同様に、被切断電線EW0が電線EW3とされる場合は、電線挿通機210により保持された被切断電線EW0の前端部が、第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335cの直近後方に位置するように位置合せが行われ、被切断電線EW0が電線EW4とされる場合は、電線挿通機210により保持された被切断電線EW0の前端部が、第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335dの直近後方に位置するように位置合せが行われる。これらの位置合せ後の電線挿通機210の作動内容は、被切断電線EW0が電線EW1とされる場合の位置合せ後の電線挿通機210の作動内容と同様であり、重複を避けるためその詳細な説明は省略する。なお、これらの位置合せは、例えば、コントロールユニットの記憶部に予め記憶された所定の空間座標値(例えば、第1部材保持アッセンブリ331の電線導入溝335a~335dの空間内での位置を示す座標値)に基づいて行われる。なお、撮像装置やレーザ装置を用いて電線導入溝335a~335dの空間座標値を測定し、この測定した空間座標値に基づいて位置合せを行うようにしたり、測定した空間座標値に基づいて予め記憶された空間座標値を自動補正したりするようにしてもよい。
【0099】
図29および図30に挿通電線整列ユニット400を示している。ここで、図29および図30を追加参照して、挿通電線整列ユニット400について説明する。挿通電線整列ユニット400は、図29および図30に示すように、挿通電線曲げぐせ付与器410と、挿通電線曲げぐせ付与器410を前後方向、左右方向および上下方向に移動可能に支持する曲げぐせ付与器移動ステージ460とを有しており、電線保持体23の第2貫通孔23Ca~23Cdから前方に延出された電線EW1~EW4(図30を参照)に対して、電線EW1~EW4の先端部(前端部)の一部を屈曲させる曲げぐせ付けを行って当該前端部の姿勢を調整しながら電線EW1~EW4を整列させる挿通電線整列作業を行うように構成されている。なお、曲げぐせ付与器移動ステージ460を介しての挿通電線曲げぐせ付与器410の作動(移動)は、コントロールユニットにより制御される。また、曲げぐせ付与器移動ステージ460により挿通電線曲げぐせ付与器410が移動する際、挿通電線曲げぐせ付与器410の姿勢(前後、左右、上下の各空間軸に対する挿通電線曲げぐせ付与器410の傾き)は常に一定で変わらないようになっている。
【0100】
挿通電線曲げぐせ付与器410は、前後方向に延びた曲げぐせ付与パイプ411と、曲げぐせ付与パイプ411の基端部(前端部)を支持するパイプ支持基部412と、パイプ支持基部412が取り付けられた取付ブラケット413とを有し、取付ブラケット413を介してパイプ支持基部412および曲げぐせ付与パイプ411が曲げぐせ付与器移動ス
テージ460に支持されている。曲げぐせ付与パイプ411は、その内部に前後方向に延びる電線挿入孔(詳細図示略)を有している。この電線挿入孔はその内径が電線EWの外径よりも大径に形成されており、電線保持体23の第2貫通孔23Cから前方に延出された電線EWが電線挿入孔内に進入できるようになっている。また、電線挿入孔の奥部には、電線挿入孔内の所定位置まで電線EWの先端部(前端部)が進入したことを検出可能な電線進入検出器(図示略)が設けられている。この電線進入検出器が電線EWの進入を検出するとそのことを示す検出信号がコントロールユニットに出力されるようになっている。コントロールユニットはその検出信号が入力されると、前述した電線挿通機210の挿通電線送出ユニット240(図27を参照)による被切断電線EW0(電線EW)の送り出しを停止するようになっている。
【0101】
挿通電線整列ユニット400では、以下のような手順で挿通電線整列作業が行われる。挿通電線整列ユニット400による挿通電線整列作業は、前述した挿通電線ガイドユニット300の電線挿通機210による電線挿通作業に応じて、挿通電線曲げぐせ付与器410が概ね以下のように作動する。まず、挿通電線曲げぐせ付与器410が、挿通電線ガイドユニット300(図15を参照)により保持された電線保持体23(図30を参照)の前方に移動され、電線保持体23に対する挿通電線曲げぐせ付与器410(曲げぐせ付与パイプ411)の位置合せが行われる。例えば、電線挿通機210による電線挿通作業により、電線保持体23の第2貫通孔23Caから前方に電線EW1が延出される場合は、曲げぐせ付与パイプ411の先端部(後端部)が電線保持体23の第2貫通孔23Caの直近後方に位置するように位置合せが行われる。
【0102】
この位置合せ後、電線保持体23の第2貫通孔23Caから前方に電線EW1が延出され、この延出した電線EW1が曲げぐせ付与パイプ411の電線挿入孔内に進入する。このとき、電線挿入孔内に進入した電線EW1の先端部(前端部)が電線挿入孔内の所定位置まで到達すると、そのことが電線進入検出器により検出される。この検出を契機として電線挿通機210の挿通電線送出ユニット240(図27を参照)による電線EW1の送り出しが停止され、電線EW1の電線挿入孔内への進入が停止する。次いで、電線挿入孔内へ進入した電線EW1に対し曲げぐせ付けが行われる。この曲げぐせ付けは、電線挿入孔内に電線EW1が進入した状態で、挿通電線曲げぐせ付与器410(曲げぐせ付与パイプ411)を前方に移動させながら、曲げぐせを付与したい上下左右の任意の方向に曲げぐせ付与パイプ411を移動させることにより行われる。
【0103】
例えば、曲げぐせ付与パイプ411をまず前方のみに所定距離移動させ、そこから曲げぐせ付与パイプ411を左下斜め前方に所定距離移動させ、さらにそこから曲げぐせ付与パイプ411を前方のみに移動させて電線挿入孔内から電線EW1を抜脱させる。このように曲げぐせ付与パイプ411を移動させることにより、電線EW1に対し、前方に所定距離延びた後、左下斜め前方に向かうように屈曲してそのまま左下斜め前方に所定距離延びた後、さらに前方に向かうように屈曲してそのまま前方に延びるという曲げぐせを付与することができる。なお、曲げぐせ付けにおいて曲げぐせ付与パイプ411を最後に前方のみに移動させる際に、曲げぐせ付与パイプ411は、電線整列保持具350における左右に並ぶ整列ピン352の間を通過するように移動される。これにより、電線挿入孔内から抜脱された電線EW1の先端部が整列ピン352の間に配置されることとなり、電線EW1を電線整列保持具350に仮保持させることができる。
【0104】
電線挿通機210による電線挿通作業により、電線保持体23の第2貫通孔23Cbから前方に電線EW2が延出される場合は、曲げぐせ付与パイプ411の先端部が電線保持体23の第2貫通孔23Cbの直近後方に位置するように位置合せが行われる。そして、第2貫通孔23Cbから前方に延出した電線EW2に対する曲げぐせ付けが曲げぐせ付与パイプ411により行われる。また、電線挿通機210による電線挿通作業により、電線
保持体23の第2貫通孔23Ccから前方に電線EW3が延出される場合は、曲げぐせ付与パイプ411の先端部が電線保持体23の第2貫通孔23Ccの直近後方に位置するように位置合せが行われ、第2貫通孔23Ccから前方に延出した電線EW3に対する曲げぐせ付けが曲げぐせ付与パイプ411により行われる。同様に、電線挿通機210による電線挿通作業により、電線保持体23の第2貫通孔23Cdから前方に電線EW4が延出される場合は、曲げぐせ付与パイプ411の先端部が電線保持体23の第2貫通孔23Cdの直近後方に位置するように位置合せが行われ、第2貫通孔23Cdから前方に延出した電線EW4に対する曲げぐせ付けが曲げぐせ付与パイプ411により行われる。電線EW2~EW4に対する曲げぐせ付けを行う際の曲げぐせ付与パイプ411の作動内容は、電線EW1に対する曲げぐせ付けを行う際の曲げぐせ付与パイプ411の作動内容と同様であり、重複を避けるためその詳細な説明は省略する。
【0105】
電線EW1~EW4に対する曲げぐせ付けが行われ、曲げぐせが付与された電線EW1~EW4が整列されて電線整列保持具350に仮保持されることにより、挿通電線整列ユニット400による挿通電線整列作業が終了する。図30に示す例では、左側から電線EW3、電線EW1、電線EW2、電線EW4の順に横一列に並ぶように、電線EW1~EW4が整列されているが、整列の態様は任意に変更可能であり、次工程での作業に都合の良いように電線EW1~EW4が整列態様を調整することができる。例えば、電線EW1~EW4を格子状に整列させることもできる。また、電線EW1~EW4の整列状態に応じて、各電線EW1~EW4の先端位置を揃えたり、各電線EW1~EW4の長さ(電線保持体23から延出した部分の長さ)を個別に調整したりしてもよい。また、曲げぐせ付与パイプ411の電線挿入孔に対する各電線EW1~EW4の挿入量(進入量)を変えて各電線EW1~EW4に対する曲げぐせ付けを行うようにしてもよい。
【0106】
図31に電気部品セットユニット500を示している。ここで、図31を追加参照して電気部品セットユニット500について説明する。電気部品セットユニット500は、電気部品セット台510と、電気部品セット台510の前側水平プレート511上に設けられた2個の電線保持体セット具520と、電気部品セット台510の後側水平プレート512上に設けられた2個の筒状部材セット具530と、電線保持体有無検出器540と、筒状部材有無検出器550とを有している。電気部品セット台510は、挿通電線ガイドユニット300のガイドユニット主要部310(図13を参照)を左右方向に移動させるガイドユニット主要部移動ステージ(図示略)の作動により、電気部材セット作業エリアAR5と電気部材移載作業エリアAR6(図4を参照)との間を左右方向に移動可能に構成されている。なお、ガイドユニット主要部移動ステージを介しての電気部品セット台510の作動(移動)は、コントロールユニットにより制御される。
【0107】
電線保持体セット具520は、電線保持体23をセットするためのものであり、電線保持体23の外径よりも大径に構成された円柱状のセット基部521と、セット基部521の上面から上方に延びる所定長の2本のセットピン522とを有している。左右の電線保持体セット具520は、互いに同等に形成されている。ここでは、右側の電線保持体セット具520に電線保持体23がセットされるものとし、左側の電線保持体セット具520は予備的なもので電線保持体23はセットされないものとして説明する。電線保持体セット具520への電線保持体23のセット作業は、電気部品セット台510が電気部材セット作業エリアAR5(図4を参照)に位置しているときに、作業者の手作業により行われる。このセット作業は、電線保持体23の互いに対角状に配置された2個の第2貫通孔23C(例えば、図6に示す電線保持体23における第2貫通孔23Caと23Cdまたは第2貫通孔23Cbと23Cc)内に、2本のセットピン522がそれぞれ挿入される状態で、セット基部521の上面に電線保持体23を載置することにより、1回のセット作業が完了する。
【0108】
筒状部材セット具530は、防水栓21付き筒状部材22をセットするためのものであり、筒状部材22の外径よりも大径に構成された円柱状のセット基部531と、セット基部531の上面に設けられた段付き円柱部532と、段付き円柱部532の上端面から上方に延びる所定長の2本のセットピン533とを有している。左右の筒状部材セット具530は、互いに同等に形成されている。ここでは、右側の筒状部材セット具530に防水栓21付き筒状部材22がセットされるものとし、左側の筒状部材セット具530は予備的なもので防水栓21付き筒状部材22はセットされないものとして説明する。筒状部材セット具530への防水栓21付き筒状部材22のセット作業は、電気部品セット台510が電気部材セット作業エリアAR5(図4を参照)に位置しているときに、作業者の手作業により行われる。このセット作業は、防水栓21の互いに対角状に配置された2個の第1貫通孔21C(例えば、図6に示す防水栓21における第1貫通孔21Caと21Cdまたは第1貫通孔21Cbと21Cc)内に、2本のセットピン533がそれぞれ挿入される状態で、段付き円柱部532に防水栓21付き筒状部材22を被せるようにしてセット基部531の上面に防水栓21付き筒状部材22を載置することにより、1回のセット作業が完了する。
【0109】
電線保持体有無検出器540は、光照射検出センサ541と、光照射検出センサ541を所定位置に位置するように支持するセンサ支持部材542とを有している。光照射検出センサ541は、パルスレーザ等の測定光を電線保持体セット具520に照射し、電線保持体セット具520からの反射光を検出することにより、電線保持体セット具520に電線保持体23がセットされているか否か(電線保持体23の有無)を検知して、その検知信号をコントロールユニットに出力するようになっている。コントロールユニットは、光照射検出センサ541からの検知信号により電線保持体23が電線保持体セット具520にセットされていないと判断した場合は、電気部材セット作業エリアAR5に位置する電気部品セット台510の電気部材移載作業エリアAR6への移動を規制する。
【0110】
筒状部材有無検出器550は、光照射検出センサ551と、光照射検出センサ551を所定位置に位置するように支持するセンサ支持部材552とを有している。光照射検出センサ551は、パルスレーザ等の測定光を筒状部材セット具530に照射し、筒状部材セット具530からの反射光を検出することにより、筒状部材セット具530に防水栓21付き筒状部材22がセットされているか否か(防水栓21付き筒状部材22の有無)を検知して、その検知信号をコントロールユニットに出力するようになっている。コントロールユニットは、光照射検出センサ551からの検知信号により防水栓21付き筒状部材22が筒状部材セット具530にセットされていないと判断した場合は、電気部材セット作業エリアAR5に位置する電気部品セット台510の電気部材移載作業エリアAR6への移動を規制する。また、コントロールユニットは、光照射検出センサ541からの検知信号により電線保持体23が電線保持体セット具520にセットされていると判断し、かつ光照射検出センサ551からの検知信号により防水栓21付き筒状部材22が筒状部材セット具530にセットされていると判断した場合は、電気部材セット作業エリアAR5に位置する電気部品セット台510の電気部材移載作業エリアAR6へ移動を許容する。
【0111】
図32および図33に、第1部材移載作業を行う第1部材移載ユニット600と、第2部材移載作業を行う第2部材移載ユニット700とを示している。ここで、図32および図33を追加参照して、第1部材移載ユニット600および第2部材移載ユニット700について説明する。まず、第1部材移載ユニット600について説明する。第1部材移載ユニット600により行われる第1部材移載作業は、筒状部材セット具530にセットされている防水栓21付き筒状部材22をピックアップする第1部材ピックアップ作業と、ピックアップした防水栓21付き筒状部材22を、挿通電線ガイドユニット300の第1部材保持機330(図13を参照)に受け渡す第1部材受渡作業とに分けられる。第1部材ピックアップ作業は、電気部品セット台510が電気部材移載作業エリアAR6(図4
を参照)に移動した状態のときに行われ、第1部材受渡作業は、挿通電線ガイドユニット300のガイドユニット主要部310(図13を参照)が電気部材移載作業エリアAR6に移動した状態のときに行われる。
【0112】
第1部材移載ユニット600は、第1部材姿勢調整アッセンブリ610と、第1部材姿勢調整アッセンブリ610を前後方向および上下方向に移動可能に支持する第1部材姿勢調整アッセンブリ移動ステージ660とを備えて構成される。第1部材姿勢調整アッセンブリ610は、第1部材把持機620、第1部材旋回機630および第1部材揺動機640を有している。第1部材把持機620は、防水栓21付き筒状部材22を把持したり把持を解除したりするように作動する把持チャック621と、把持チャック621を作動させる把持チャック作動機構(詳細図示略)を有している。第1部材旋回機630は、第1部材把持機620を所定の旋回軸(図32に示す状態において第1部材旋回機630の中心部を上下方向に延びる軸)の周りに180度旋回可能に支持している。第1部材揺動機640は、第1部材把持機620を支持した第1部材旋回機630を所定の揺動軸(図32および図33に示す状態において第1部材揺動機640の中心部を左右方向(紙面に垂直な方向)に延びる軸)の周りに90度揺動可能に支持している。
【0113】
第1部材移載ユニット600は、概ね以下のような手順で第1部材移載作業を行う。まず、電気部材移載作業エリアAR6(図4を参照)に移動した電気部品セット台510の筒状部材セット具530にセットされている防水栓21付き筒状部材22を、第1部材把持機620の把持チャック621により把持する(図31を参照)。把持後、第1部材姿勢調整アッセンブリ610を上方に移動させ、防水栓21付き筒状部材22を筒状部材セット具530からピックアップする。次いで、第1部材旋回機630の作動により第1部材把持機620を上記旋回軸の周りに180度旋回するとともに、第1部材揺動機640の作動により第1部材把持機620を支持した第1部材旋回機630を上記揺動軸の周りに90度(図31の紙面手前側から見て時計回りに90度)揺動させる。これにより、第1部材把持機620の把持チャック621により把持されている防水栓21付き筒状部材22の姿勢を図33に示す状態の姿勢に変える。その後、電気部材移載作業エリアAR6に移動した挿通電線ガイドユニット300のガイドユニット主要部310における第1部材保持機330(図13を参照)に対する第1部材姿勢調整アッセンブリ610の位置調整を行い、位置調整後、把持チャック621による防水栓21付き筒状部材22の把持を解除して、防水栓21付き筒状部材22を第1部材保持機330に受け渡す。なお、第1部材把持機620における把持チャック621の作動、第1部材旋回機630による第1部材把持機620の旋回作動、第1部材揺動機640による第1部材旋回機630の揺動作動、および第1部材姿勢調整アッセンブリ移動ステージ660による第1部材姿勢調整アッセンブリ610の作動(移動)は、コントロールユニットにより制御される。
【0114】
次に、第2部材移載ユニット700について説明する。第2部材移載ユニット700により行われる第1部材移載作業は、電線保持体セット具520にセットされている電線保持体23をピックアップする第2部材ピックアップ作業と、ピックアップした電線保持体23を、挿通電線ガイドユニット300の第2部材保持機330(図13を参照)に受け渡す第2部材受渡作業とに分けられる。第2部材ピックアップ作業は、電気部品セット台510が電気部材移載作業エリアAR6(図3を参照)に移動した状態のときに行われ、第2部材受渡作業は、挿通電線ガイドユニット300のガイドユニット主要部310(図13を参照)が電気部材移載作業エリアAR6に移動した状態のときに行われる。
【0115】
第2部材移載ユニット700は、第2部材姿勢調整アッセンブリ710と、第2部材姿勢調整アッセンブリ710を前後方向および上下方向に移動可能に支持する第2部材姿勢調整アッセンブリ移動ステージ760とを備えて構成される。第2部材姿勢調整アッセンブリ710は、第2部材把持機720、第2部材旋回機730および第2部材揺動機74
0を有している。第2部材把持機720は、電線保持体23を把持したり把持を解除したりするように作動する把持チャック721と、把持チャック721を作動させる把持チャック作動機構(詳細図示略)を有している。第2部材旋回機730は、第2部材把持機720を所定の旋回軸(図32に示す状態において第2部材旋回機730の中心部を上下方向に延びる軸)の周りに180度旋回可能に支持している。第2部材揺動機740は、第2部材把持機720を支持した第2部材旋回機730を所定の揺動軸(図32および図33に示す状態において第2部材揺動機740の中心部を左右方向(紙面に垂直な方向)に延びる軸)の周りに90度揺動可能に支持している。
【0116】
第2部材移載ユニット700は、概ね以下のような手順で第2部材移載作業を行う。まず、電気部材移載作業エリアAR6(図4を参照)に移動した電気部品セット台510の電線保持体セット具520にセットされている電線保持体23を、第2部材把持機720の把持チャック721により把持する(図31を参照)。把持後、第2部材姿勢調整アッセンブリ710を上方に移動させ、電線保持体23を電線保持体セット具520からピックアップする。次いで、第2部材旋回機730の作動により第2部材把持機720を第2部材旋回機730の上記旋回軸の周りに180度旋回するとともに、第2部材揺動機740の作動により第2部材把持機720を支持した第2部材旋回機630を第2部材揺動機740の上記揺動軸の周りに90度(図31の紙面手前側から見て反時計回りに90度)揺動させる。これにより、第2部材把持機720の把持チャック721により把持されている電線保持体23の姿勢を図33に示す状態の姿勢に変える。その後、電気部材移載作業エリアAR6に移動した挿通電線ガイドユニット300のガイドユニット主要部310における第2部材保持機340(図13を参照)に対する第2部材姿勢調整アッセンブリ710の位置調整を行い、位置調整後、把持チャック721による電線保持体23の把持を解除して、電線保持体23を第2部材保持機340に受け渡す。なお、第2部材把持機720における把持チャック721の作動、第2部材旋回機730による第2部材把持機720の旋回作動、第2部材揺動機740による第2部材旋回機730の揺動作動、および第2部材姿勢調整アッセンブリ移動ステージ760による第2部材姿勢調整アッセンブリ710の作動(移動)は、コントロールユニットにより制御される。
【0117】
図34および図35に、電気部品排出作業を行う電気部品排出ユニット800を示している。ここで、図34および図35を追加参照して、電気部品排出ユニット800について説明する。電気部品排出ユニット800により行われる電気部品排出作業は、電線挿通ユニット200(図25を参照)による電線挿通作業および挿通電線整列ユニット400(図30を参照)による挿通電線整列作業が完了して、挿通電線ガイドユニット300(図13を参照)により保持されている電気部品20(図18を参照)をピックアップし、ピックアップした電気部品20を電気部品排出作業エリアAR7(図4を参照)まで運んで排出する作業である。電気部品排出作業における電気部品20のピックアップは、挿通電線ガイドユニット300のガイドユニット主要部310(図13を参照)が挿通電線ガイド作業エリアAR4(図4を参照)に位置している状態のときに行われる。
【0118】
電気部品排出ユニット800は、電気部品ピックアップアッセンブリ810と、電気部品ピックアップアッセンブリ810を左右方向(図34および図35における紙面に垂直な方向)に移動可能に支持する電気部品ピックアップアッセンブリ移動ステージ870とを備えて構成される。電気部品ピックアップアッセンブリ810は、電気部品把持ユニット820と電気部品把持ユニット820を上下方向に移動可能に支持する電気部品把持ユニット移動機860とを有しており、電気部品把持ユニット820は、電気部品第1把持機830、電気部品第2把持機840および電線整列状態維持機850を有している。
【0119】
電気部品第1把持機830は、電気部品20の防水栓21付き筒状部材22を把持したり把持を解除したりするように作動する把持チャック831と、把持チャック831を作
動させる把持チャック作動機構(詳細図示略)とを有している。電気部品第2把持機840は、電気部品20の電線保持体23を把持したり把持を解除したりするように作動する把持チャック841と、把持チャック841を作動させる把持チャック作動機構(詳細図示略)とを有している。電線整列状態維持機850は、挿通電線整列ユニット400(図30を参照)による挿通電線整列作業により整列された電線EWの前端部の整列状態を維持するための櫛状の整列状態維持具851を有している。
【0120】
電気部品排出ユニット800は、概ね以下のような手順で電気部品排出作業を行う。まず、電気部品ピックアップアッセンブリ移動ステージ870および電気部品把持ユニット移動機860の作動により電気部品把持ユニット820を、通電線ガイド作業エリアAR4(図4を参照)に位置している挿通電線ガイドユニット300(図13を参照)の上方位置に移動させる。移動後、電気部品把持ユニット移動機860の作動により電気部品把持ユニット820を下方に移動させ、挿通電線ガイドユニット300に保持されている電気部品20の防水栓21付き筒状部材22を、電気部品第1把持機830の把持チャック831により把持するとともに、電気部品20の電線保持体23を、電気部品第2把持機840の把持チャック841により把持する(図34を参照)。把持後、電気部品把持ユニット移動機860の作動により電気部品把持ユニット820を上方に移動させ、電気部品20をピックアップする(図35を参照)。その後、電気部品ピックアップアッセンブリ移動ステージ870の作動により電気部品把持ユニット移動機860を電気部品排出作業エリアAR7(図4を参照)まで移動させる。そして、電気部品第1把持機830の把持チャック831による防水栓21付き筒状部材22の把持を解除するとともに、電気部品第2把持機840の把持チャック841による電線保持体23の把持を解除して、電気部品20を排出する。なお、電気部品第1把持機830における把持チャック831の作動、電気部品第2把持機840における把持チャック841の作動、電気部品ピックアップアッセンブリ移動ステージ870による電気部品ピックアップアッセンブリ810の作動(左右動)、および電気部品把持ユニット移動機860による電気部品把持ユニット820の作動(上下動)は、コントロールユニットにより制御される。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態及に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、電気部品を1個ずつ組立てるように構成されているが、複数個の電気部品を並列的に同時に組み立てるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 電線挿通組立装置
4 操作盤
10 装置主要部
20 電気部品
21 防水栓
21Ca,21Cb,21Cc,21Cd 第1貫通孔
22 筒状部材
23 電線保持体
23Ca,23Cb,23Cc,23Cd 第2貫通孔
30 経路治具
30A 中央部材
30B 左側部材
30C 右側部材
36a,36b,36c,36d ガイド経路
100 電線測長切断ユニット
120 電線曲げぐせ矯正部
130 電線測長機
140 電線搬送機
150 電線切断機
160 受渡電線保持機
200 電線挿通ユニット
210 電線挿通機
300 挿通電線ガイドユニット
310 ガイドユニット主要部
320 経路治具保持機
330 第1部材保持機
340 第2部材保持機
350 電線整列保持具
400 挿通電線整列ユニット
500 電気部品セットユニット
600 第1電気部材移載ユニット
700 第2電気部材移載ユニット
800 電気部品排出ユニット
EW1~EW4 電線
図1
図2
図3
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