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特開2024-103905画像形成システム、画像形成装置及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103905
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像形成装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240726BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240726BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
G03G21/00 376
G03G21/00 390
B41J29/38 202
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007856
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】青山 素明
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061CQ34
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN04
2C061HN15
2H270LA58
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD14
2H270MH18
2H270NA05
2H270PC07
2H270PC08
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE01
5C062AE15
5C062AF06
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】ユーザーが設定操作を中断しているとき、ユーザーの意思に反して、ユーザーがそれまでに行った設定が全てリセットされてしまうことを防止する。
【解決手段】画像形成システム1は、画像形成装置2と、画像形成装置2を操作するユーザーを撮影する撮影装置4とを有する。画像形成装置2は、ユーザーの操作に基づいて設定を行う設定部23と、設定部23による設定をリセットする設定リセット部25と、撮影装置4によって撮影された画像に基づく判断によって生成されるユーザーが入れ替わったか否かを示す情報を取得する取得部26と、取得した情報がユーザーが入れ替わっていないことを示す情報である場合、設定リセット部25によるリセットを禁止するリセット制御部27と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、
前記画像形成装置を操作するユーザーを撮影する撮影装置と、
を有する画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
ユーザーの操作に基づいて設定を行う設定部と、
前記設定部による設定をリセットする設定リセット部と、
前記撮影装置によって撮影された画像に基づく判断によって生成されるユーザーが入れ替わったか否かを示す情報を取得する取得部と、
前記情報がユーザーが入れ替わっていないことを示す情報である場合、前記設定リセット部によるリセットを禁止するリセット制御部と、
を備える画像形成システム。
【請求項2】
前記リセット制御部は、前記情報がユーザーが入れ替わったことを示す情報である場合、前記設定リセット部によるリセットを許可することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記設定リセット部は、ユーザーの操作がない状態で所定時間が経過することを条件として前記設定部による設定をリセットすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記撮影装置によって撮影された画像を解析することにより前記画像形成装置を操作するユーザーが入れ替わったか否かを判断する画像解析装置、
を更に有し、
前記取得部は、前記画像解析装置からユーザーが入れ替わったか否かを示す情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画像解析装置は、前記画像形成装置を操作するユーザーが前記画像形成装置の周囲を移動するとき、前記撮影装置によって撮影された画像に基づいてユーザーの移動を追跡することにより、ユーザーが入れ替わったか否かを判断することを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記画像解析装置は、前記撮影装置に実装されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記撮影装置は、前記画像形成装置と前記画像形成装置の周囲の空間とを撮影範囲に収めた状態に設置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記画像形成装置は、
ユーザーの操作を受け付ける操作部と、
前記操作部を操作するユーザーを撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影される画像からユーザーの顔画像を抽出し、ユーザーの顔画像に基づいてユーザーが入れ替わったか否かを判断する判断部と、
を更に備え、
前記リセット制御部は、前記情報がユーザーが入れ替わったことを示す情報である場合であっても、前記判断部によってユーザーが入れ替わっていないと判断された場合には前記設定リセット部によるリセットを禁止することを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記リセット制御部は、前記設定リセット部によるリセットを禁止するとき、前記所定時間を延長して前記設定リセット部による時間のカウント動作を再開させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項10】
ユーザーの操作を受け付ける操作部と、
前記操作部に対するユーザーの操作に基づいて設定を行う設定部と、
前記設定部による設定をリセットする設定リセット部と、
前記操作部を操作するユーザーを撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像に基づき前記操作部を操作するユーザーが入れ替わったか否かを判断する判断部と、
前記判断部によってユーザーが入れ替わっていないと判断された場合、前記設定リセット部によるリセットを禁止するリセット制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記リセット制御部は、前記判断部によってユーザーが入れ替わったと判断された場合、前記設定リセット部によるリセットを許可することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記設定リセット部は、前記操作部に対するユーザーの操作がない状態で所定時間が経過することを条件として前記設定部による設定をリセットすることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記判断部は、前記撮影部によって撮影される画像からユーザーの顔画像を抽出し、ユーザーの顔画像に基づいてユーザーが入れ替わったか否かを判断することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記撮影部による撮影範囲の外側において画像形成装置の周囲に居る人物を検出する検出センサー、
を更に備え、
前記判断部は、前記撮影部によって撮影された画像にユーザーが写っていない状態のとき、前記検出センサーによって人物が検出されていればユーザーが入れ替わっていないと判断することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項15】
ユーザーを認証するユーザー認証部、
を更に備え、
前記判断部は、前記撮影部によって撮影された画像に写っているユーザーが前記ユーザー認証部で認証されたユーザーとは異なるユーザーである場合にユーザーが入れ替わったと判断することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記ユーザー認証部は、前記撮影部によって撮影された画像に基づいて顔認証を行うことを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記リセット制御部は、前記設定リセット部によるリセットを禁止するとき、前記所定時間を延長して前記設定リセット部による時間のカウント動作を再開させることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項18】
画像形成装置の制御方法であって、
ユーザーの操作に基づいて設定を行う設定ステップと、
前記設定ステップによって行われた設定をリセットするリセットステップと、
前記画像形成装置を操作するユーザーを撮影する撮影ステップと、
前記撮影ステップによって撮影された画像に基づいて前記画像形成装置を操作するユーザーが入れ替わったか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップによってユーザーが入れ替わっていないと判断された場合、前記リセットステップによるリセットを禁止する制御ステップと、
を有する制御方法。
【請求項19】
前記制御ステップは、前記判断ステップによってユーザーが入れ替わったと判断された場合、前記リセットステップによるリセットを許可することを特徴とする請求項18に記載の制御方法。
【請求項20】
前記リセットステップは、ユーザーの操作がない状態で所定時間が経過することを条件として、前記設定ステップによって行われた設定をリセットすることを特徴とする請求項18又は19に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置及び制御方法に関し、特に画像形成装置のオートリセット機能を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral)などの画像形成装置は、ユーザーによる設定操作を受け付け、スキャンジョブやコピージョブなどの各種ジョブを実行する際の設定を行う。この種の画像形成装置は、複数のユーザーによって共有される装置であり、あるユーザーによって使用された後、別のユーザーによって使用されることが頻繁に起こり得る。特に後のユーザーが画像形成装置を使用しようとするとき、先に使用したユーザーによる設定が残っていると、どの設定項目の設定値を変更すれば良いかが分かりづらくなる。
【0003】
そのため、従来の画像形成装置は、ユーザーによる操作が行われない状態で所定時間が経過した場合に、それまでの設定をリセットするオートリセット機能を有している。例えば特許文献1の従来技術では、ジョブの終了後に経過時間をカウントし、オートリセットが実行される事前のタイミングで、オートリセットを行うか否かをユーザーに問い合わせる画面を表示し、画面に対するユーザーの指示に基づいてオートリセットを行うか否かを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-117436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置を使用しているユーザーは、ジョブの設定操作を行っている途中で設定操作を中断してしまうことがある。例えば、設定操作の途中で別のユーザーに話し掛けられた場合、設定操作の途中でコピー用紙が無くなっていることに気付き、用紙を補充する場合、設定操作の途中でジャムが発生していることに気付き、ジャムを解消するための作業を行う場合、設定操作の途中でコピー用の原稿をスキャナ部にセットする場合などである。上記のような場合に、ユーザーが設定操作を行わない状態で所定時間が経過してしまうと、オートリセット機能によってそれまでに行った設定が全てリセットされてしまうこととなり、ユーザーはあらためて設定操作を始めからやり直す必要があり、煩わしく感じるという問題がある。
【0006】
上記特許文献1の従来技術では、オートリセットが行われる前にオートリセットを行うか否かをユーザーに問い合わせる画面を表示するものの、別のユーザーとの会話に夢中になっている場合や、画像形成装置に補充する用紙を取りに行っている場合、ジャムを解消する作業を行っている場合には、画面が表示されていることに気付かず、結局それまでに行った設定が全てリセットされることになる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ユーザーの意思に反して、ユーザーがそれまでに行った設定が全てリセットされてしまうことを防止できるようにした画像形成システム、画像形成装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、画像形成装置と、前記画像形成装置を操作するユーザーを撮影する撮影装置と、を有する画像形成システムであって、前記画像形成装置は、ユーザーの操作に基づいて設定を行う設定部と、前記設定部による設定をリセットする設定リセット部と、前記撮影装置によって撮影された画像に基づく判断によって生成されるユーザーが入れ替わったか否かを示す情報を取得する取得部と、前記情報がユーザーが入れ替わっていないことを示す情報である場合、前記設定リセット部によるリセットを禁止するリセット制御部と、を備えることを特徴とする構成である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の画像形成システムにおいて、前記リセット制御部は、前記情報がユーザーが入れ替わったことを示す情報である場合、前記設定リセット部によるリセットを許可することを特徴とする構成である。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2の画像形成システムにおいて、前記設定リセット部は、ユーザーの操作がない状態で所定時間が経過することを条件として前記設定部による設定をリセットすることを特徴とする構成である。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1の画像形成システムにおいて、前記撮影装置によって撮影された画像を解析することにより前記画像形成装置を操作するユーザーが入れ替わったか否かを判断する画像解析装置、を更に有し、前記取得部は、前記画像解析装置からユーザーが入れ替わったか否かを示す情報を取得することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4の画像形成システムにおいて、前記画像解析装置は、前記画像形成装置を操作するユーザーが前記画像形成装置の周囲を移動するとき、前記撮影装置によって撮影された画像に基づいてユーザーの移動を追跡することにより、ユーザーが入れ替わったか否かを判断することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項4の画像形成システムにおいて、前記画像解析装置は、前記撮影装置に実装されていることを特徴とする構成である。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1の画像形成システムにおいて、前記撮影装置は、前記画像形成装置と前記画像形成装置の周囲の空間とを撮影範囲に収めた状態に設置されることを特徴とする構成である。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項2の画像形成システムにおいて、前記画像形成装置は、ユーザーの操作を受け付ける操作部と、前記操作部を操作するユーザーを撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影される画像からユーザーの顔画像を抽出し、ユーザーの顔画像に基づいてユーザーが入れ替わったか否かを判断する判断部と、を更に備え、前記リセット制御部は、前記情報がユーザーが入れ替わったことを示す情報である場合であっても、前記判断部によってユーザーが入れ替わっていないと判断された場合には前記設定リセット部によるリセットを禁止することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項3の画像形成システムにおいて、前記リセット制御部は、前記設定リセット部によるリセットを禁止するとき、前記所定時間を延長して前記設定リセット部による時間のカウント動作を再開させることを特徴とする構成である。
【0017】
請求項10に係る発明は、画像形成装置であって、ユーザーの操作を受け付ける操作部と、前記操作部に対するユーザーの操作に基づいて設定を行う設定部と、前記設定部による設定をリセットする設定リセット部と、前記操作部を操作するユーザーを撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影された画像に基づき前記操作部を操作するユーザーが入れ替わったか否かを判断する判断部と、前記判断部によってユーザーが入れ替わっていないと判断された場合、前記設定リセット部によるリセットを禁止するリセット制御部と、を備えることを特徴とする構成である。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項10の画像形成装置において、前記リセット制御部は、前記判断部によってユーザーが入れ替わったと判断された場合、前記設定リセット部によるリセットを許可することを特徴とする構成である。
【0019】
請求項12に係る発明は、請求項10又は11の画像形成装置において、前記設定リセット部は、前記操作部に対するユーザーの操作がない状態で所定時間が経過することを条件として前記設定部による設定をリセットすることを特徴とする構成である。
【0020】
請求項13に係る発明は、請求項10の画像形成装置において、前記判断部は、前記撮影部によって撮影される画像からユーザーの顔画像を抽出し、ユーザーの顔画像に基づいてユーザーが入れ替わったか否かを判断することを特徴とする構成である。
【0021】
請求項14に係る発明は、請求項10の画像形成装置において、前記撮影部による撮影範囲の外側において画像形成装置の周囲に居る人物を検出する検出センサー、を更に備え、前記判断部は、前記撮影部によって撮影された画像にユーザーが写っていない状態のとき、前記検出センサーによって人物が検出されていればユーザーが入れ替わっていないと判断することを特徴とする構成である。
【0022】
請求項15に係る発明は、請求項10の画像形成装置において、ユーザーを認証するユーザー認証部、を更に備え、前記判断部は、前記撮影部によって撮影された画像に写っているユーザーが前記ユーザー認証部で認証されたユーザーとは異なるユーザーである場合にユーザーが入れ替わったと判断することを特徴とする構成である。
【0023】
請求項16に係る発明は、請求項15の画像形成装置において、前記ユーザー認証部は、前記撮影部によって撮影された画像に基づいて顔認証を行うことを特徴とする構成である。
【0024】
請求項17に係る発明は、請求項12の画像形成装置において、前記リセット制御部は、前記設定リセット部によるリセットを禁止するとき、前記所定時間を延長して前記設定リセット部による時間のカウント動作を再開させることを特徴とする構成である。
【0025】
請求項18に係る発明は、画像形成装置の制御方法であって、ユーザーの操作に基づいて設定を行う設定ステップと、前記設定ステップによって行われた設定をリセットするリセットステップと、前記画像形成装置を操作するユーザーを撮影する撮影ステップと、
前記撮影ステップによって撮影された画像に基づいて前記画像形成装置を操作するユーザーが入れ替わったか否かを判断する判断ステップと、前記判断ステップによってユーザーが入れ替わっていないと判断された場合、前記リセットステップによるリセットを禁止する制御ステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0026】
請求項19に係る発明は、請求項18の制御方法において、前記制御ステップは、前記判断ステップによってユーザーが入れ替わったと判断された場合、前記リセットステップによるリセットを許可することを特徴とする構成である。
【0027】
請求項20に係る発明は、請求項18又は19の制御方法において、前記リセットステップは、ユーザーの操作がない状態で所定時間が経過することを条件として、前記設定ステップによって行われた設定をリセットすることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザーが設定操作を一時的に中断しているとき、ユーザーの意思に反して、ユーザーがそれまでに行った設定が全てリセットされてしまうことを防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態における画像形成システムの概念的構成例を示す図である。
図2】撮影装置によって撮影される一連の画像の例を示す図である。
図3】撮影装置によって撮影される一連の画像の別の例を示す図である。
図4】撮影装置によって撮影される一連の画像の更に別の例を示す図である。
図5】画像形成システムの構成例を示すブロック図である。
図6】撮影部によって撮影される画像の一例を示す図である。
図7】画像形成装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】画像形成装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9】画像形成装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】第2実施形態における画像形成システムを示す図である。
図11】画像形成装置による判断の一例を示す図である。
図12】画像形成装置による判断の別の例を示す図である。
図13】画像形成装置による判断の更に別の例を示す図である。
図14】画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
図15】判断部によるユーザーの入れ替わり判定の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における画像形成システム1の概念的構成例を示す図である。この画像形成システム1は、MFPなどで構成される画像形成装置2と、その画像形成装置2を撮影範囲内に収めた画像を撮影可能な撮影装置4とを備えて構成される。
【0032】
画像形成装置2は、オフィスなどに設置され、複数のユーザーによって共有される装置である。画像形成装置2の正面側には、ユーザーが操作可能な操作パネル3が設けられている。画像形成装置2は、操作パネル3に対するユーザーの操作を受け付け、ユーザーによる操作に基づいてジョブの設定を行う。画像形成装置2が実行可能なジョブとしては、例えばスキャンジョブ、コピージョブ、プリントジョブ、FAXジョブなどがある。
【0033】
撮影装置4は、例えば画像形成装置2の設置位置の上方にある天井5に設置され、画像形成装置2の上方から画像形成装置2を撮影範囲に納めた画像を撮影する。ただし、撮影装置4の設置場所は天井5に限られるものではなく、壁や柱であってもよく、更には撮影装置専用に設けたポールなどに取り付けても構わない。撮影装置4は、画像形成装置2よりも高い位置から画像形成装置2を撮影することにより、画像形成装置2及びその周囲を少ない死角で撮影することができる。
【0034】
画像形成装置2と撮影装置4とは互いに通信可能である。本実施形態では、画像形成装置2と撮影装置4とが互いに無線通信Tを行うように構成される。ただし、画像形成装置2と撮影装置4との通信は無線通信に限られず、有線通信であっても構わない。
【0035】
画像形成装置2は、複数のユーザーによって共有されるため、オートリセット機能を有している。オートリセット機能は、操作パネル3に対するユーザーの設定操作が開始された後、ユーザーによる操作が行われない状態が継続した場合に、それまでに行われた設定をリセットする機能である。例えば、オートリセット機能は、操作パネル3に対するユーザーの操作がない状態で所定時間が経過したことを検知すると、それまでに行われた設定をリセットする。オートリセット機能が作動すると、ユーザーによって設定された設定値が全て初期値に戻る。そのため、ユーザーが設定操作を途中で中断した状態でオートリセット機能が作動すると、ユーザーがそれまでに行った設定操作が無駄になる。
【0036】
本実施形態の画像形成システム1は、オートリセット機能によってユーザーがそれまでに行った設定操作が無駄になってしまうことを防止するため、画像形成装置2と撮影装置4とを連携させ、画像形成装置2を使用しようとするユーザーが入れ替わったか否かを判断し、その判断結果に基づいてオートリセット機能によるリセット動作を制御する。すなわち、オートリセット機能が作動するタイミングとなったとき、画像形成システム1は、画像形成装置2を使用しようとするユーザーが入れ替わっていないと判断すれば、オートリセット機能によるリセット動作を禁止する。これに対し、画像形成システム1は、画像形成装置2を使用しようとするユーザーが入れ替わったと判断すれば、オートリセット機能によるリセット動作を許可する。
【0037】
上記判断は、例えば撮影装置4によって撮影される画像に基づいて行われる。以下、幾つか例を挙げて画像に基づく判断について説明する。
【0038】
図2は、撮影装置4によって撮影される一連の画像の例を示す図である。図2(a)に示す画像G11は、あるユーザーXが画像形成装置2の操作パネル3を操作しているとき、撮影装置4によって撮影される画像である。ユーザーXが画像形成装置2の操作パネル3を操作しているとき、撮影装置4によって撮影される画像G11は、画像形成装置2の正面側にユーザーXが写っている画像となる。次に、ユーザーXが設定操作の途中でコピー用紙が無くなっていることに気付き、用紙を補充するために、画像形成装置2の横方向に移動すると、撮影装置4によって撮影される画像は、図2(b)に示す画像G12となる。このとき、ユーザーXは、依然として画像G12に写っている。そのため、画像形成システム1は、画像G11から画像G12に変化した場合であっても、ユーザーXの移動を追跡することができる。次に、ユーザーXが画像形成装置2の正面位置に戻ってくると、撮影装置4によって撮影される画像は、図2(c)に示す画像G13となる。このとき、ユーザーXは、依然として画像G13に写っている。そのため、画像形成システム1は、画像G12から画像G13に変化した場合であっても、ユーザーXの移動を追跡することができる。その結果、画像形成システム1は、画像G11の撮影時に画像形成装置2を操作していたユーザーXと、画像G13の撮影時に画像形成装置2を操作しているユーザーXとが同一ユーザーであると判断することができる。したがって、撮影装置4によって撮影される画像が画像G11,G12,G13の順で変化した場合、画像形成システム1は、画像形成装置2を操作しているユーザーが入れ替わっていないと判断する。
【0039】
次に図3は、撮影装置4によって撮影される一連の画像の別の例を示す図である。図3(a)に示す画像G21は、図2(b)に示した画像G12と同じ画像である。すなわち、画像G21は、画像形成装置2の正面側に立って操作パネル3に対する操作を行っていたユーザーXが操作を中断し、画像形成装置2の横方向に移動した状態を撮影した画像である。画像形成システム1は、ユーザーXの移動を追跡し、ユーザーXが画像形成装置2の近くに居ることを認識できる。そのため、画像形成システム1は、画像G21が撮影された時点では画像形成装置2を操作しているユーザーが入れ替わっていないと判断することができる。次に、ユーザーXが画像形成装置2の横方向に移動しているときに、別のユーザーYが画像形成装置2に近づくと、撮影装置4によって撮影される画像は、図3(b)に示す画像G22となる。このとき、ユーザーXは、依然として画像G22に写っている。そのため、画像形成システム1は、画像G22に写っているユーザーYが先のユーザーXとは異なるユーザーであることを検知することができる。また、画像形成システム1は、画像G22を解析することにより、ユーザーYが画像形成装置2の正面側で立ち止まっていることを認識することができる。この場合、先のユーザーXとは異なるユーザーYが操作パネル3に対する操作を行うことができる位置に居ることになるため、画像形成システム1は、ユーザーの入れ替わりを検知することができる。したがって、画像形成システム1は、撮影装置4によって撮影される画像が画像G21,G22の順で変化した場合、画像形成装置2を操作しているユーザーが入れ替わったと判断する。
【0040】
次に図4は、撮影装置4によって撮影される一連の画像の更に別の例を示す図である。図4(a)に示す画像G31は、ユーザーXが画像形成装置2の操作パネル3を操作しているとき、撮影装置4によって撮影される画像である。次に、ユーザーXが設定操作の途中で画像形成装置2から離れ、撮影装置4による撮影範囲外へ移動してしまうと、撮影装置4によって撮影される画像は、図4(b)に示す画像G32となる。このとき、ユーザーXは、画像G32に写っていない。そのため、撮影装置4によって撮影される画像が画像G31から画像G32へと変化すると、画像形成システム1は、ユーザーXを追跡することができなくなり、ユーザーXを見失う。次に、ユーザーYが画像形成装置2の正面位置に移動してくると、撮影装置4によって撮影される画像は、図3(c)に示す画像G33となる。このとき、ユーザーYが仮にユーザーXと同一ユーザーであったとしても、画像形成システム1は、ユーザーYをユーザーXとは異なるユーザーであると認識する。したがって、撮影装置4によって撮影される画像が画像G31,G32,G33の順で変化した場合、画像形成システム1は、画像形成装置2を操作しているユーザーが入れ替わったと判断する。
【0041】
上記のような判断を行うことにより、画像形成システム1は、画像形成装置2を使用しようとするユーザーが入れ替わったか否かを適切に検知することが可能であり、オートリセット機能が作動するタイミングとなったときに、ユーザーが入れ替わっていなければ、オートリセット機能によるリセット動作を禁止することで、ユーザーがそれまでに行った設定が強制的にリセットされてしまうことを防止することができる。以下、このような画像形成システム1の詳細について説明する。
【0042】
図5は、画像形成システム1の構成例を示すブロック図である。尚、図5では、上述した撮影装置4において撮影される画像の解析を撮影装置4で行う構成例を示している。
【0043】
画像形成装置2は、操作パネル3と、制御部10と、スキャナ部11と、プリンタ部12と、FAX部13と、撮影部14と、通信部15とを備えている。
【0044】
操作パネル3は、表示部3aと操作部3bとを備えている。表示部3aは、カラー液晶ディスプレイなどで構成され、ユーザーが操作可能な操作画面を表示する。操作部3bは、タッチパネルキーや押しボタンキーなどで構成され、操作画面に対するユーザーの操作を受け付ける。
【0045】
制御部10は、画像形成装置2の各部を制御する。制御部10は、図示を省略するハードウェアプロセッサーと記憶デバイスとを備え、ハードウェアプロセッサーが記憶デバイスに予め記憶されているプログラムを読み出して実行する。これにより、制御部10は、ユーザー認証部21、表示制御部22、設定部23、ジョブ制御部24、設定リセット部25、取得部26、リセット制御部27、及び、判断部28として機能する。これら各部の詳細については後述する。
【0046】
スキャナ部11は、ユーザーによってセットされる原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成する。例えば、スキャナ部11に対する設定項目として、原稿種類、原稿サイズ、読み取り解像度、片面原稿/両面原稿などの項目があり、ユーザーは各設定項目に対して所望の設定値を設定することができる。
【0047】
プリンタ部12は、ユーザーによって指定された印刷データに基づき印刷用紙などのシートに画像形成を行って出力する。例えば、プリンタ部12に対する設定項目として、印刷部数、カラー/モノクロ、印刷倍率、片面印刷/両面印刷、割り付け印刷などの項目があり、ユーザーは各設定項目に対して所望の設定値を設定することができる。
【0048】
FAX部13は、公衆電話網を介してFAXデータの送受信を行う。例えば、FAX部13に対する設定項目として、宛先などの設定項目がある。
【0049】
撮影部14は、画像形成装置2に搭載されているカメラによって構成され、操作パネル3を操作するユーザーを撮影する。撮影部14は、操作パネル3を見ているユーザーの顔を撮影範囲に収めることができるように配置される。例えば、撮影部14は、操作パネル3に実装されていても良い。
【0050】
通信部15は、撮影装置4と無線通信を行うためのものである。
【0051】
撮影装置4は、カメラ30と、撮影制御部31と、画像解析部32と、通信部33とを備えている。
【0052】
カメラ30は、画像形成装置2を撮影範囲内に収めた状態に設置され、画像形成装置2及びその周囲を撮影した画像を撮影する。例えば、カメラ30は、画像形成装置2及びその周囲を含む画像を動画像として撮影する。また、カメラ30は、動画像ではなく、数秒程度の一定時間間隔で静止画像を連続撮影するものであっても構わない。
【0053】
画像解析部32は、カメラ30によって撮影された画像を取得し、画像解析を行う。すなわち、画像解析部32は、撮影装置4において撮影された画像を解析することにより、画像形成装置2を操作するユーザーが入れ替わったか否かを判断する画像解析装置である。本実施形態では、そのような画像解析装置が撮影装置4に実装されている。
【0054】
画像解析部32は、カメラ30によって逐次出力される画像に基づいて上述した解析を行い、画像形成装置2を操作するユーザーが入れ替わったか否かを判断する処理を繰り返し行う。画像解析部32は、ユーザーが入れ替わったか否かを判断する処理を行う度に、その判断結果を示す情報を、通信部33を介して画像形成装置2へ送信する。ただし、画像解析部32は、ユーザーが入れ替わったと判断した場合にその判断結果を示す情報を、通信部33を介して画像形成装置2へ送信するものであっても構わない。
【0055】
通信部15は、撮影装置4と無線通信を行うためのものである。例えば、通信部15は、画像形成装置2から撮影開始指示を受信すると、その撮影開始指示を撮影制御部31へ出力する。これにより、撮影制御部31は、カメラ30を駆動して撮影動作を開始する。また、通信部15は、画像形成装置2から撮影終了指示を受信すると、その撮影終了指示を撮影制御部31へ出力する。これにより、撮影制御部31は、カメラ30を停止させ、撮影動作を終了させる。更に、通信部15は、画像解析部32から判断結果を示す情報を取得すると、その情報を画像形成装置2へ送信する。
【0056】
画像形成装置2の制御部10において機能するユーザー認証部21は、画像形成装置2を使用しようとするユーザーのユーザー認証を行う。例えば、画像形成装置2がユーザーによって使用されていないとき、画像形成装置2はログアウト状態となっており、操作パネル3の表示部3aには、ユーザーにユーザー認証を促す認証操作画面が表示される。ユーザーが画像形成装置2を使用しようとするとき、認証操作画面に対する操作を行うことで制御部10のユーザー認証部21が機能し、ユーザー認証が開始される。例えば、ユーザー認証部21は、撮影部14を駆動して操作パネル3を操作しようとしているユーザーの顔画像を撮影する。そしてユーザー認証部21は、撮影部14によって撮影される画像からユーザーの顔画像を抽出して顔認証を行い、ユーザーを特定する。
【0057】
図6は、撮影部14によって撮影される画像G40の一例を示す図である。上述のように撮影部14は、操作パネル3を操作するユーザーの顔を撮影することができるように配置されている。そのため、撮影部14によって撮影される画像G40には、ユーザーの顔画像G41が含まれている。ユーザー認証部21は、ユーザーの顔画像G41を抽出し、顔の特徴に基づいてユーザー認証を行い、予め登録されている複数のユーザーの中から画像形成装置2を使用しようとしているユーザーを特定する。
【0058】
ユーザー認証部21は、ユーザー認証によってユーザーを特定することができると、画像形成装置2をログイン状態へ移行させる。ユーザー認証によって特定されたユーザーがログインユーザーとなって操作パネル3に対する設定操作などを行うことができるようになる。
【0059】
尚、ユーザー認証部21による認証方法は、顔認証に限られるものではなく、ユーザーが所持するICカードからカード情報を読み出して認証を行うカード認証でも良いし、また、ユーザーが操作パネル3に対してIDやパスワードなどを入力して認証を行うパスワード認証であっても良い。
【0060】
ユーザー認証部21は、画像形成装置2をログイン状態へ移行させるとき、通信部15を介して撮影装置4に撮影開始指示を送信する。これにより、撮影装置4において画像の撮影動作が開始されると共に、画像形成装置2を使用しているユーザーが入れ替わったか否かの判断が開始される。
【0061】
表示制御部22は、操作パネル3の表示部3aに各種の操作画面を表示する。例えば、表示制御部22は、画像形成装置2がログアウト状態であるとき、表示部3aに認証操作画面を表示する。また、表示制御部22は、画像形成装置2がログイン状態へ移行すると、表示部3aにログインユーザーが操作可能な各種の操作画面を表示する。これにより、ログインユーザーは操作画面に対する操作を行うことでジョブの設定操作を行うことができるようになる。
【0062】
設定部23は、画像形成装置2がログイン状態であるときに、操作部3bが受け付けるユーザーの操作に基づいてジョブの設定を行う。設定部23は、ユーザーの操作に基づいて各種設定項目の設定値をユーザーによって指定された設定値に変更すると、表示制御部22にその変更を通知する。表示制御部22は、設定部23からの通知に基づき操作画面を更新し、ユーザーの操作に基づく設定を操作画面に反映させる。したがって、ユーザーは、操作画面に反映される設定が所望の設定であるか否かを確認することができる。また、設定部23は、操作部3bに対して行われるユーザーの操作がジョブの実行指示である場合、ジョブ制御部24にジョブの実行を指示する。
【0063】
ジョブ制御部24は、ユーザーの操作に基づく設定を反映された状態で、スキャナ部11、プリンタ部12及びFAX部13のそれぞれを駆動し、ユーザーによって指定されたジョブの実行を制御する。
【0064】
設定リセット部25は、オートリセット機能を実現する処理部である。設定リセット部25は、画像形成装置2がログイン状態へ移行しているときに動作し、ユーザーによる操作が行われていない状態で所定時間が経過すると、設定部23によってそれまでに行われた設定を自動的にリセットし、ユーザーによって指定された設定値を初期値(デフォルト値)に戻す。設定リセット部25は、ユーザーによる操作が行われていないときに時間のカウント動作(計時動作)を行い、操作部3bによってユーザーの操作が検知される度にそのカウント値(時間)をリセットする。カウント値をリセットすることなく、所定時間以上となった場合、設定リセット部25は、設定部23による設定をリセットする。設定リセット部25が設定部23による設定をリセットすることにより、表示部3aに表示される操作画面は初期画面に戻る。
【0065】
取得部26は、撮影装置4から送信される情報を取得する。すなわち、取得部26は、撮影装置4による撮影動作が開始された後、画像解析部32において逐次生成されるユーザーが入れ替わったか否かの判断結果を示す情報を取得する。取得部26は、画像解析部32による判断結果を示す情報を取得すると、その情報をリセット制御部27へ出力する。
【0066】
リセット制御部27は、取得部26によって取得される情報に基づき、設定リセット部25による設定のリセット動作を制御する。リセット制御部27は、取得部26が撮影装置4から取得した情報が、ユーザーが入れ替わっていないことを示す情報であるか、又は、ユーザーが入れ替わったことを示す情報であるかを判断する。その結果、撮影装置4から取得した情報がユーザーが入れ替わっていないことを示す情報である場合、リセット制御部27は、設定リセット部25による設定のリセットを禁止する。これに対し、撮影装置4から取得した情報がユーザーが入れ替わったことを示す情報である場合、リセット制御部27は、設定リセット部25による設定のリセットを許可する。
【0067】
リセット制御部27が設定リセット部25による設定のリセットを禁止する手法としては、幾つかの手法がある。例えば、リセット制御部27は、設定リセット部25によるオートリセット機能を停止させるようにしても良い。しかし、設定リセット部25によるオートリセット機能を停止させてしまうと、その後にユーザーが入れ替わったことが検知されたときに設定をリセットすることができなくなる。それを防止するため、例えば、リセット制御部27は、設定リセット部25のカウント動作がタイムアップする所定時間を延長させることにより、設定リセット部25によるリセットのタイミングを遅延させるようにしても良い。ただし、設定リセット部25のカウント動作が既にタイムアップしていることもある。その場合、リセット制御部27は、設定リセット部25によるカウント値をリセットしてカウント動作を始めから再開させるようにしても良い。また、例えば設定リセット部25は、カウント値が所定時間となってタイムアップした場合であっても、リセット制御部27によって設定をリセットすることが許可されていないときには設定部23による設定をリセットしない構成としても良い。
【0068】
このように本実施形態の画像形成装置2は、画像形成装置2を使用しようとしているユーザーが入れ替わっていないときには、設定リセット部25によって設定が全てリセットされてしまうことをリセット制御部27が禁止する。そのため、画像形成装置2は、ユーザーの意思に反して、ユーザーがそれまでに行った設定を全てリセットしてしまうことを防止することができる。これにより、画像形成装置2を使用しているユーザーは、ジョブの設定操作を行っている途中で設定操作を一時的に中断してしまったとしても設定操作を始めからやり直す必要がなく、中断する直前の状態から設定操作を継続することが可能である。
【0069】
ところで、上述したように画像形成装置2は、操作パネル3を操作しているユーザーを撮影する撮影部14を備えている。撮影部14によって撮影された画像を用いれば、画像形成装置2を使用しようしているユーザーがそれ以前のユーザーと同一ユーザーであるか否かを更に付加的に判断することが可能である。制御部10の判断部28は、そのような付加的な判断を行うために設けられている。
【0070】
判断部28は、ユーザー認証部21によってユーザーが特定され、画像形成装置2がログイン状態へ移行することに伴って機能する。そして判断部28は、撮影部14を駆動し、操作パネル3を操作しているユーザーを撮影した画像G40(図6参照)を逐次取得する。判断部28は、画像G40を取得すると、画像G40からユーザーの顔画像G41を抽出し、顔の特徴を検出する。判断部28は、画像G40から検出した顔の特徴を、それ以前の画像G40から検出した顔の特徴と比較し、操作パネル3を操作している現在のユーザーがそれ以前のユーザーと同一人物であるか否かを判断する。例えば、判断部28は、画像G40に写っているユーザーが、ユーザー認証部21において特定されたユーザーと同一人物であるか否かを判断する。その結果、同一人物である場合、判断部28は、ユーザーが入れ替わっていないと判断する。これに対し、同一人物でない場合、判断部28は、ユーザーが入れ替わったと判断する。そして、判断部28は、ユーザーが入れ替わったか否かを示す情報を取得部26へ出力する。
【0071】
取得部26は、判断部28からユーザーが入れ替わったか否かを示す情報を取得すると、その情報をリセット制御部27へ付加的に出力する。したがって、リセット制御部27は、撮影装置4の画像解析部32による判断結果と、判断部28による判断結果との双方に基づいて設定リセット部25によるリセットを禁止するか否かを決定することができる。
【0072】
例えば、図4(b)及び図4(c)に示したように、画像形成装置2の操作パネル3を操作していたユーザーが一時的にカメラ30の撮影範囲外へ移動し、その後に画像形成装置2の正面に戻ってきた場合、撮影装置4の画像解析部32は、ユーザーが入れ替わったと判断する。しかし、画像形成装置2の判断部28は、操作パネル3を操作しようとするユーザーの顔画像に基づいてユーザーが入れ替わったか否かを判断するため、画像形成装置2の正面側に戻ってきたユーザーがそれ以前のユーザーと同一人物であれば、ユーザーが入れ替わっていないと判断することができる。したがって、リセット制御部27は、撮影装置4から取得した情報がユーザーが入れ替わったことを示す情報である場合であっても、判断部28によってユーザーが入れ替わっていないと判断された場合には、設定リセット部25によるリセットを禁止することができる。つまり、リセット制御部27は、撮影装置4の画像解析部32による判断結果と、判断部28による判断結果との双方に基づいて設定リセット部25によるリセットを禁止するか否かを決定することにより、より正確なリセット制御を行うことができる。
【0073】
ただし、画像形成装置2は、上記のような判断部28が設けられてない構成であっても構わない。
【0074】
次に、画像形成装置2の動作について説明する。図7は、画像形成装置2の制御部10による処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、制御部10のハードウェアプロセッサーが記憶デバイスに予め記憶されているプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0075】
制御部10は、図7のフローチャートに基づく処理を開始すると、まずユーザー認証を行う(ステップS10)。ユーザー認証でユーザーを特定することができると、制御部10は、画像形成装置2をログイン状態へ移行させる(ステップS11)。このとき、制御部10は、撮影装置4に対して撮影開始指示を送信し、撮影装置4に画像形成装置2及びその周囲を撮影範囲に収めた画像の撮影動作を開始させる。
【0076】
制御部10は、ログイン状態へ移行させると、操作パネル3の表示部3aにユーザーが操作可能な操作画面を表示する(ステップS12)。これにより、画像形成装置2は、ユーザーによるジョブの設定操作を受け付け可能な状態となる。制御部10は、操作画面を表示すると、ユーザーによる操作が行われていない状態での時間のカウント動作を開始する(ステップS13)。
【0077】
その後、制御部10は、ユーザーの操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS14)。ユーザーの操作を受け付けた場合(ステップS14でYES)、制御部10は、ユーザーの操作に基づく設定を行い(ステップS15)、その設定を操作画面に反映させる(ステップS16)。制御部10は、ステップS13で開始したカウント動作のカウント値を0にリセットする(ステップS17)。その後、制御部10による処理はステップS14に戻る。
【0078】
ユーザーの操作を受け付けていない場合(ステップS14でNO)、制御部10は、カウント動作のカウント値が所定時間に達したか否かを判断する(ステップS18)。尚、所定時間はユーザーが予め任意に設定可能であり、例えば数分程度の時間として設定される。カウント値が所定時間に達していない場合(ステップS18でNO)、制御部10による処理はステップS14に戻る。
【0079】
一方、ユーザーによる操作がない状態で所定時間が経過した場合(ステップS18でYES)、制御部10は、カウント動作を停止させ(ステップS19)、入れ替わり判定を行う(ステップS20)。入れ替わり判定では、制御部10は、撮影装置4から取得する情報に基づいて、ユーザーが入れ替わったか否かを判定する。また、制御部10に判断部28が実装されている場合、制御部10は、撮影装置4の画像解析部32による判断結果と、判断部28による判断結果との双方に基づいてユーザーが入れ替わったか否かを判定するようにしても構わない。
【0080】
制御部10は、ユーザーが入れ替わっていないと判定した場合(ステップS21でNO)、カウント動作でカウントする所定時間を延長する(ステップS22)。このとき、制御部10は、カウント値を0にリセットしても構わない。これにより、次にオートリセット機能が作動するタイミングを遅延させることができる。そして制御部10は、カウント動作を再開させる(ステップS23)。その後、制御部10による処理はステップS14に戻る。したがって、制御部10は、ユーザーの操作がない状態で所定時間が経過した場合であってもユーザーが入れ替わっていないと判定した場合には、それまでの設定をリセットせず、ユーザーに継続的な操作を行わせることができる。
【0081】
これに対し、制御部10は、ユーザーが入れ替わったと判定した場合(ステップS21でYES)、ユーザーの操作に基づく設定を全てリセットする(ステップS24)。設定のリセットに伴い、制御部10は、表示部3aに表示している操作画面を初期化する(ステップS25)。その後、制御部10は、ログアウト処理を行い、画像形成装置2を自動的にログアウト状態に移行させる(ステップS26)。以上で、図7のフローチャートに基づく処理が終了する。
【0082】
次に、図8は、画像形成装置2の制御部10による処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理も、図7と同様、制御部10のハードウェアプロセッサーが記憶デバイスに予め記憶されているプログラムを読み出して実行することによって行われる。図8に示すフローチャートが図7のフローチャートと異なる点は、カウント値が所定時間に達した場合の処理である。以下、図7のフローチャートと異なる点を説明する。
【0083】
ユーザーによる操作がない状態で所定時間が経過した場合(ステップS18でYES)、制御部10は、入れ替わり判定を行う(ステップS20)。この入れ替わり判定は、図7のフローチャートと同様である。
【0084】
制御部10は、ユーザーが入れ替わっていないと判定した場合(ステップS21でNO)、操作部3bに対するユーザーの操作を検知したか否かを判断する(ステップS27)。ユーザーの操作を検知した場合(ステップS27でYES)、制御部10による処理はステップS14に戻る。これにより、ユーザーの操作が受け付けられ(ステップS14でYES)、ユーザーの操作に基づく設定処理が行われ(ステップS15)、ユーザーの操作に基づく設定が操作画面に反映される(ステップS16)。そして、カウント値がリセットされる(ステップS17)。そのため、ユーザーは、設定操作を継続的に行うことができる。
【0085】
一方、ユーザーの操作を検知していない場合(ステップS27でNO)、制御部10による処理はステップS20へ戻る。この場合、入れ替わり判定(ステップS20)が繰り返し行われることになる。そのため、ユーザーが入れ替わることなく、ユーザーが操作パネル3に対する操作を再開すれば、ステップS27でYESと判断され、ユーザーは設定操作を継続的に行うことができる。また、ユーザーの操作を検知することなく、ユーザーが入れ替わったと判定すると(ステップS21でYES)、制御部10による処理はステップS24へと進み、それまでの設定がリセットされる(ステップS24)。その後の処理は、図7のフローチャートと同様である。
【0086】
図8のフローチャートでは、カウント動作でカウントする所定時間を延長してカウント動作を再開させる必要がないため、制御部10による処理を簡略化できるという利点がある。
【0087】
ところで、上記においては、ユーザーの操作がない状態で所定時間が経過した場合にユーザーが入れ替わったか否かを判定し、ユーザーが入れ替わっていなければそれまでの設定をリセットすることを禁止する処理手順を例示した。しかし、ユーザーの操作がない状態で所定時間が経過したか否かを判断する点は、必須の処理ではない。例えば、設定リセット部25は、リセット制御部27によって設定のリセットが禁止されているときにはユーザーの操作に基づく設定をリセットせず、リセット制御部27によって設定のリセットが許可されたときにそれまでの設定を全てリセットするようにしても構わない。この場合の処理手順を図9に示す。
【0088】
図9は、画像形成装置2の制御部10による処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理も、上記と同様、制御部10のハードウェアプロセッサーが記憶デバイスに予め記憶されているプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0089】
制御部10は、図9のフローチャートに基づく処理を開始すると、まずユーザー認証を行う(ステップS30)。ユーザー認証でユーザーを特定することができると、制御部10は、画像形成装置2をログイン状態へ移行させる(ステップS31)。このとき、制御部10は、撮影装置4に対して撮影開始指示を送信し、撮影装置4に画像形成装置2及びその周囲を撮影範囲に収めた画像の撮影動作を開始させる。
【0090】
制御部10は、ログイン状態へ移行させると、操作パネル3の表示部3aにユーザーが操作可能な操作画面を表示する(ステップS32)。これにより、画像形成装置2は、ユーザーによるジョブの設定操作を受け付け可能な状態となる。
【0091】
その後、制御部10は、ユーザーの操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS33)。ユーザーの操作を受け付けた場合(ステップS33でYES)、制御部10は、ユーザーの操作に基づく設定を行い(ステップS34)、その設定を操作画面に反映させる(ステップS35)。その後、制御部10による処理はステップS33に戻る。
【0092】
ユーザーの操作を受け付けていない場合(ステップS33でNO)、制御部10は、入れ替わり判定を行う(ステップS36)。入れ替わり判定では、制御部10は、撮影装置4から取得する情報に基づいて、ユーザーが入れ替わったか否かを判定する。また、制御部10に判断部28が実装されている場合、制御部10は、撮影装置4の画像解析部32による判断結果と、判断部28による判断結果との双方に基づいてユーザーが入れ替わったか否かを判定するようにしても構わない。
【0093】
ユーザーが入れ替わっていないと判定した場合(ステップS37でNO)、制御部10による処理はステップS33に戻る。したがって、ユーザーは、入れ替わり判定(ステップS36)においてユーザーが入れ替わったと判定されない限り、設定操作を継続することができる。
【0094】
これに対し、ユーザーが入れ替わったと判定した場合(ステップS37でYES)、制御部10は、ユーザーの操作に基づく設定を全てリセットする(ステップS38)。設定のリセットに伴い、制御部10は、表示部3aに表示している操作画面を初期化する(ステップS39)。その後、制御部10は、ログアウト処理を行い、画像形成装置2を自動的にログアウト状態に移行させる(ステップS40)。以上で、図9のフローチャートに基づく処理が終了する。
【0095】
図9のフローチャートでは、ユーザーの操作がない状態で所定時間が経過したか否かの判断を行わないため、制御部10による処理をより一層簡略化できるという利点がある。
【0096】
以上のように、本実施形態の画像形成装置2は、ユーザーの操作に基づいて設定を行う設定部23と、設定部23による設定をリセットする設定リセット部25と、撮影装置4によって撮影された画像に基づく判断によって生成される、ユーザーが入れ替わったか否かを示す情報を取得する取得部26と、取得部26によって取得された情報がユーザーが入れ替わっていないことを示す情報である場合、設定リセット部25によるリセットを禁止するリセット制御部27と、を備えている。このような構成によれば、ユーザーが設定操作の途中で操作を中断した場合であっても、ユーザーが入れ替わらない限り、ユーザーの操作に基づく設定がリセットされない。そのため、ユーザーが設定操作を中断している状態のときにユーザーの意思に反して、ユーザーがそれまでに行った設定が全てリセットされてしまうことを防止することができる。
【0097】
尚、本実施形態では、画像解析部32が撮影装置4に実装されている場合を例示した。しかし、カメラ30によって撮影された画像を解析してユーザーが入れ替わったか否かを判定する画像解析部32は、撮影装置4ではなく、画像形成装置2に実装されていても構わない。この場合、撮影装置4は、カメラ30で撮影した画像を画像形成装置2へ逐次送信し、画像解析部32は、撮影装置4から逐次受信する画像を解析し、ユーザーが入れ替わったか否かを判定する。そして画像解析部32は、その判定結果を示す情報を取得部26へ出力する。
【0098】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、画像形成装置2の上方位置に撮影装置4を取り付け、撮影装置4が画像形成装置2及びその周囲を含む画像を撮影することでユーザーが入れ替わったか否かを判断する構成例を説明した。これに対し、本実施形態では、画像形成装置2とは別に撮影装置4を設置することなく、画像形成装置2単体でユーザーが入れ替わったか否かを判断できるようにした画像形成システム1について説明する。
【0099】
図10は、本実施形態における画像形成システム1を示す図である。この画像形成システム1は、画像形成装置2を備えている。画像形成装置2は、装置本体の正面側に操作パネル3を備えており、ユーザーによる操作を受け付ける。操作パネル3には、画像形成装置2を使用しようとしているユーザーを撮影する撮影部14が設けられている。撮影部14は、操作パネル3を見ているユーザーの顔を撮影範囲に収めることができるように配置される。
【0100】
また、画像形成装置2の左右両側面及び背面側には、人物を検出する検出センサー19が設けられている。検出センサー19は、画像形成装置2の周囲において撮影部14の撮影範囲外にいる人物を検出するために設けられる。例えば、検出センサー19は、赤外線や超音波を利用した人感センサーによって構成される。ただし、検出センサー19は、人感センサーに限られず、例えば動体検知機能を有するカメラなど他のセンサーであっても良い。
【0101】
本実施形態の画像形成装置2は、オートリセット機能によってユーザーがそれまでに行った設定操作が無駄になってしまうことを防止するため、撮影部14及び画像形成装置2の周囲に設けた複数の検出センサー19の検出結果に基づいて、画像形成装置2を使用しようとするユーザーが入れ替わったか否かを判断し、その判断結果に基づいてオートリセット機能によるリセット動作を制御する。すなわち、画像形成装置2は、ユーザーが入れ替わっていないと判断すれば、オートリセット機能によるリセット動作を禁止する。これに対し、画像形成装置2は、ユーザーが入れ替わったと判断すれば、オートリセット機能によるリセット動作を許可する。
【0102】
図11は、画像形成装置2による判断の一例を示す図である。図11(a)は、あるユーザーXが画像形成装置2の操作パネル3を操作している状態を示している。ユーザーXが画像形成装置2の操作パネル3を操作しているとき、ユーザーXは、撮影部14によって撮影される。画像形成装置2は、撮影部14によって撮影される画像を解析することによりユーザーXを特定することができる。
【0103】
次に、図11(b)に示すように、ユーザーXが設定操作の途中でコピー用紙が無くなっていることに気付き、用紙を補充するために、画像形成装置2の右側面の方向に移動すると、ユーザーXは撮影部14の撮影範囲外となる。このとき、画像形成装置2は、撮影部14によって撮影された画像を解析することにより、ユーザーXが画像形成装置2の右側面の方向に移動したことを検知することができる。また、ユーザーXが画像形成装置2の右側面の方向に移動すると、図11(b)に示すように、ユーザーXは、画像形成装置2の右側面に設けられた検出センサー19によって検出される。そのため、画像形成装置2は、画像形成装置2の右側面に設けられた検出センサー19によって検出されるユーザーがユーザーXであることを特定することができる。この場合、画像形成装置2は、ユーザーが入れ替わっていないと判断する。つまり、画像形成装置2は、撮影部14によって撮影される画像と、画像形成装置2の周囲に設けた検出センサー19の検出結果とに基づいて、画像形成装置2の周囲におけるユーザーXの移動を追跡することが可能である。
【0104】
次に、図11(c)に示すように、ユーザーXが画像形成装置2の正面位置に戻ってくると、ユーザーXは、再び撮影部14の撮影範囲内となる。このとき、画像形成装置2は、撮影部14によって撮影された画像を解析することにより、ユーザーXが入れ替わっていないことを検知することができる。したがって、ユーザーXが画像形成装置2の周囲において図11(a)、(b)、(c)の順で移動した場合であっても、画像形成装置2は、ユーザーが入れ替わっていないと判断することができる。
【0105】
次に図12は、画像形成装置2による判断の別の例を示す図である。図12(a)に示すように、ユーザーXが操作パネル3に対する操作を途中で中断し、画像形成装置2の右側面の方向に移動した場合、画像形成装置2は、ユーザーXを追跡可能であるため、ユーザーが入れ替わっていないと判断する。次に、図12(b)に示すように、ユーザーXが画像形成装置2の右方向に移動しているときに、別のユーザーYが画像形成装置2に近づくと、撮影部14の撮影範囲内にユーザーYが進入する。画像形成装置2は、撮影部14によって撮影された画像を解析すると、ユーザーYがユーザーXとは異なるユーザーであることを特定することができる。また、画像形成装置2は、ユーザーXが依然として画像形成装置2の右側面の近傍にいることを検知している。そのため、画像形成装置2は、図12(b)に示す状態になると、ユーザーが入れ替わったと判断することができる。
【0106】
次に図13は、画像形成装置2による判断の更に別の例を示す図である。図13(a)に示すように、ユーザーXが操作パネル3に対する操作を行っているとき、ユーザーXは、撮影部14によって撮影される。画像形成装置2は、撮影部14によって撮影される画像を解析することによりユーザーXを特定することができる。その後、ユーザーXが操作を中断し、図13(b)に示すように、画像形成装置2から離れてしまった場合、画像形成装置2は、ユーザーXを追跡することができなくなり、ユーザーXを見失う。次に、図13(c)に示すように、ユーザーXが画像形成装置2の正面位置に戻ってくると、ユーザーXは、再び撮影部14によって撮影される。画像形成装置2は、撮影部14によって撮影される画像を解析することによりユーザーXを特定することができる。この場合、画像形成装置2は、ユーザーが入れ替わっていないと判断することができる。
【0107】
図14は、画像形成装置2の構成例を示すブロック図である。画像形成装置2の制御部10は、第1実施形態と同様の構成を有する。ユーザー認証部21は、撮影部14によって撮影される画像に基づいてユーザーの顔認証を行い、ユーザーを特定する。ユーザー認証部21によってユーザーが特定され、画像形成装置2がログイン状態へ移行すると、判断部28が機能し、ユーザーが入れ替わったか否かの判断を開始する。すなわち、本実施形態では、判断部28が、第1実施形態における画像解析部32としての機能を有している。
【0108】
判断部28は、撮影部14を駆動して撮影動作を開始させ、撮影部14から操作パネル3を操作するユーザーを撮影した画像(図6参照)を逐次取得する。判断部28は、撮影部14から取得した画像から顔画像を抽出する処理を行う。顔画像を抽出することができた場合、判断部28は、顔の特徴に基づいてユーザー認証部21によって認証されたユーザーと同一ユーザーが画像に写っているか否かを判断する。認証されたユーザーと同一ユーザーである場合、判断部28は、ユーザーが入れ替わっていないと判断する。これに対し、認証されたユーザーと異なるユーザーである場合、判断部28は、ユーザーが入れ替わったと判断する。
【0109】
また、撮影部14から取得した画像から顔画像を抽出できなかった場合、判断部28は、複数の検出センサー19のうちのいずれかの検出センサー19によって人物が検出されているか否かを判断する。その結果、検出センサー19によって人物が検出されている場合、判断部28は、ユーザーが入れ替わっていないと判断する。このとき、判断部28は、その直前に撮影部14から取得した画像に基づいてユーザーの移動方向を特定し、ユーザーが移動した方向に配置されている検出センサー19によって人物が検出されているか否かを更に判断することが好ましい。また、検出センサー19によって人物が検出されていない場合、判断部28は、ユーザーが入れ替わったと判断する。
【0110】
リセット制御部27は、判断部28によってユーザーが入れ替わっていないと判断された場合、設定リセット部25による設定のリセットを禁止する。この場合、ユーザーが操作パネル3に対する操作を一時的に中断している場合であっても設定がリセットされることはない。
【0111】
これに対し、判断部28によってユーザーが入れ替わったと判断された場合、リセット制御部27は、設定リセット部25による設定のリセットを許可する。この場合、設定リセット部25は、ユーザーの操作に基づく設定を全てリセットする。このとき、設定リセット部25は、リセット直前の設定を記憶デバイスに一時的に保存しておくようにしても良い。リセット直前の設定を記憶デバイスに保存しておくことにより、リセット直前の設定を再設定することができる。例えば、図13(b),(c)に示したように、操作パネル3を操作していたユーザーが一時的に画像形成装置2から離れ、その後直ぐに画像形成装置2の正面位置に戻ってきた場合、判断部28は、ユーザーが入れ替わっていないと判断する。このような場合、設定リセット部25は、一度リセットしてしまった設定を記憶デバイスから読み出して再設定することにより、ユーザーの操作負担を軽減することができる。
【0112】
図15は、判断部28によるユーザーの入れ替わり判定の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、例えば第1実施形態で説明した図7,8のステップS20、及び、図9のステップS36の詳細な処理手順である。
【0113】
判断部28は、図15に示す入れ替わり判定の処理を開始すると、撮影部14によって撮影された画像を取得する(ステップS50)。判断部28は、画像を取得すると、顔画像の抽出処理を行い(ステップS51)、顔画像を抽出できたか否かを判断する(ステップS52)。顔画像を抽出できた場合(ステップS52でYES)、判断部28は、顔画像判定を行う(ステップS53)。すなわち、判断部28は、顔画像から顔の特徴を抽出し、その特徴がユーザー認証部21によって認証されたユーザーの特徴に一致するか否かを判定する。判断部28は、顔画像判定を行うと、操作パネル3を操作しているユーザーがユーザー認証部21によって認証されたユーザーと同一人物であるか否かを判断する(ステップS54)。その結果、同一人物である場合(ステップS54でYES)、判断部28は、ユーザーが入れ替わっていないと判定する(ステップS56)。また、同一人物でないと判断すると(ステップS54でNO)、判断部28は、ユーザーが入れ替わったと判断する(ステップS57)。
【0114】
一方、顔画像を抽出できなかった場合(ステップS52でNO)、判断部28は、検出センサー19が人物を検出しているか否かを判断する(ステップS55)。検出センサー19が人物を検出中である場合(ステップS55でYES)、判断部28は、画像形成装置2の正面位置にいたユーザーが画像形成装置2の周囲へ移動したと判断する。すなわち、判断部28は、ユーザーが入れ替わっていないと判断する(ステップS56)。これに対し、検出センサー19が人物を検出していない場合(ステップS55でNO)、判断部28は、ユーザーが入れ替わったと判断する(ステップS57)。
【0115】
尚、検出センサー19が人物を検出していない場合(ステップS55でNO)、判断部28は、直ぐにユーザーが入れ替わったと判断するのではなく、所定時間待機してからユーザーが入れ替わったと判断するようにしても良い。この場合、所定時間の待機中に、画像形成装置2から一時的に離れたユーザーが戻ってくれば、判断部28は、ユーザーが入れ替わっていないと判断することができる。そのため、画像形成装置2から一時的に離れたユーザーが戻ってきたときに、ユーザーの操作に基づく設定が既にリセットされてしまっている状態となることを回避することができる。
【0116】
以上のように、本実施形態の画像形成装置2は、第1実施形態とは異なり、画像形成装置2単体でユーザーが入れ替わったか否かを判断することが可能である。そのため、第1実施形態のように撮影装置4を設置する必要がなく、画像形成システム1の設置に関して制約が少ない。それ故、第1実施形態と比較すると低コストで導入可能であり、小規模オフィスにも導入しやすいという利点がある。尚、本実施形態において上述した点以外の構成及び動作は第1実施形態で説明したものと同様である。
【0117】
(変形例)
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0118】
例えば、第1実施形態において説明した画像解析部32は、撮影装置4及び画像形成装置2とは異なる別の装置に実装されていても構わない。例えば、撮影装置4及び画像形成装置2のそれぞれと通信可能なパーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置に、第1実施形態で説明した画像解析部32の機能を実装しても良い。この場合、情報処理装置が、画像解析部32の機能を有する画像解析装置として動作する。
【0119】
また、上記実施形態では、画像形成装置2がMFPなどで構成され、ユーザーの指示に基づいてスキャンジョブやコピージョブ、プリントジョブ、FAXジョブなどの複数のジョブを実行する装置である場合を例示した。しかし、画像形成装置2は、複数のジョブを実行する装置には限られない。例えば、画像形成装置2は、プリント機能のみを備え得たプリンタであっても構わない。
【0120】
また、上記実施形態では、制御部10のハードウェアプロセッサーによって実行されるプログラムが予め記憶デバイスに記憶されている場合を例示した。制御部10のハードウェアプロセッサーによって実行されるプログラムは、それ単体で取引の対象となり得るものであり、画像形成装置2に対してインストール可能な態様で提供されるものであっても構わない。この場合、プログラムは、インターネットなどのネットワークを介してダウンロード可能な態様で提供されるものであっても良いし、またCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0121】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
3 操作パネル
3a 表示部
3b 操作部
4 撮影装置
10 制御部
14 撮影部
21 ユーザー認証部
23 設定部
25 設定リセット部
26 取得部
27 リセット制御部
28 判断部
32 画像解析部
図1
図2
図3
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図5
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図15