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特開2024-103911鋼管を地盤に埋め込む用の治具及び鋼管を地盤に埋め込む方法
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  • 特開-鋼管を地盤に埋め込む用の治具及び鋼管を地盤に埋め込む方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103911
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】鋼管を地盤に埋め込む用の治具及び鋼管を地盤に埋め込む方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/00 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
E01F7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007867
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594116334
【氏名又は名称】筑豊金網工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 裕介
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳一
(72)【発明者】
【氏名】西島 武良
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001PA06
2D001PC03
2D001PD06
2D001PD10
2D001PD11
(57)【要約】
【課題】防護柵の支柱構造の強度を低コストで高める。
【解決手段】両端が開口した基礎鋼管11を地盤に埋め込む用の治具50であって、基礎鋼管11の一方の開口11bから基礎鋼管11内に挿入される押圧部51と、押圧部51に設けられていて一方の開口11bの側で基礎鋼管11の縁に載置される鍔部53と、を備え、所定の工具によって鍔部53の側から力が加えられて基礎鋼管11を基礎地盤Gに押し込む用に供され、鍔部53とは反対の側で押圧部51は、基礎鋼管11内の基礎地盤Gを押圧する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開口した鋼管を地盤に埋め込む用の治具であって、
前記鋼管の一方の開口から前記鋼管内に挿入される柱状部と、
前記柱状部に設けられていて前記一方の開口の側で前記鋼管の縁に載置される鍔部と、
を備え、
所定の工具によって前記鍔部の側から力が加えられて前記鋼管を前記地盤に押し込む用に供され、前記鍔部とは反対の側で前記柱状部は、前記鋼管内の地盤を押圧することを特徴とする治具。
【請求項2】
前記柱状部は、前記鋼管の内面と少なくとも部分的に接触することを特徴とする請求項1に記載の治具。
【請求項3】
真ん中に前記鍔部の側から前記柱状部に向かって凹に形成されていて、前記工具が係合する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の治具。
【請求項4】
請求項1に記載の治具を用いて両端が開口した鋼管を地盤に埋め込む方法であって、
前記治具を前記鋼管の一方の開口から前記柱状部を挿入し、前記鍔部において前記鋼管の前記一方の開口の縁に載置し、
前記鍔部の側から前記治具に所定の工具を接触させて、前記工具により前記鋼管に力を加え、前記鍔部とは反対の側で前記柱状部が前記地盤を押圧しつつ、前記鋼管を前記地盤に押し込む
ことを特徴とする鋼管を地盤に埋め込む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管を地盤に埋め込む用の治具及び当該治具を用いて鋼管を地盤に埋め込む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、落石や土砂等を捕捉するために傾斜面や崖等の法尻に設置された防護柵が知られている。防護柵は、複数の支柱と、支柱の間に張設された防護ネットを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された防護柵の支柱は、複数の支柱は、山の斜面に所定の間隔をおいて立設されて、1つの支柱列を構成している。支柱列は、山のほぼ同じ高さに設置されている。各支柱は、地中に埋設される埋設管と、下部が埋設管に挿入されて、地中から地上まで延びる支柱本体と、を備える。埋設管と支柱本体との間に経時硬化性の充填材が注入されている。
【0004】
特許文献1においては、地盤斜面を削孔し、この削孔内に埋設管を設置し、埋設管を設置した後、埋設管内に支柱本体の下部領域を挿入し、次いで、埋設管と支柱本体との間、及び、埋設管と削孔との間に液状の充填材を注入することにより支柱を設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-76584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の埋設管は中空であり、強度が低く、そのため、埋設管の内側には充填材を充填して、埋設管の強度を補償している。特許文献1では、支柱を設置する工程において、地盤を削孔し、充填材を充填する等の作業があり、支柱の設置コストが高くなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、防護柵の支柱構造の強度を低コストで高めることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、鋼管を地盤に埋め込む用の本発明に係る治具は、両端が開口した鋼管を地盤に埋め込む用の治具であって、前記鋼管の一方の開口から前記鋼管内に挿入される柱状部と、前記柱状部に設けられていて前記一方の開口の側で前記鋼管の縁に載置される鍔部と、を備え、所定の工具によって前記鍔部の側から力が加えられて前記鋼管を前記地盤に押し込む用に供され、前記鍔部とは反対の側で前記柱状部は、前記鋼管内の地盤を押圧する特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る治具の一態様において、前記柱状部は、前記鋼管の内面と少なくとも部分的に接触する。
【0010】
また、本発明に係る治具の一態様において、真ん中に前記鍔部の側から前記柱状部に向かって凹に形成されていて、前記工具が係合する凹部が形成されている。
【0011】
さらに、上記課題を解決するために、上記治具を用いて両端が開口した鋼管を地盤に埋め込む方法において、前記治具を前記鋼管の一方の開口から前記柱状部を挿入し、前記鍔部において前記鋼管の前記一方の開口の縁に載置し、前記鍔部の側から前記治具に所定の工具を接触させて、前記工具により前記鋼管に力を加え、前記鍔部とは反対の側で前記柱状部が前記地盤を押圧しつつ、前記鋼管を前記地盤に押し込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、防護柵の支柱構造の強度を低コストで高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る支柱構造を有する防護柵が設置された状態を一部断面にして示す正面図である。
図2】支柱構造の下端部を拡大した断面図である。
図3A】本発明に係る治具の斜視図である。
図3B図3AにおけるA-A線に沿った断面図である。
図4】基礎地盤に基礎鋼管を埋め込む工程を示す図である。
図5】アンカーを基礎地盤に打設する工程を示す図である。
図6】基礎地盤に支柱鋼管を埋め込む工程を示す図である。
図7】モルタルを基礎鋼管の開口から充填する工程を示す図である。
図8】モルタルを支柱鋼管の開口から充填する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0015】
<防護柵の構成>
本実施の形態に係る防護柵1は、斜面を転がり落ちてくる落石や土砂等が道路や住宅等に流出することを防ぐための構造物である。防護柵1は、例えば、斜面の山側において傾斜方向に交差するように設置されている。なお、防護柵1の用途は、落石や土砂等を捕捉することに限定されず、例えば、雪崩による雪の流出を防ぐためにも用いられる。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る支柱構造10を有する防護柵1が設置された状態を一部断面にして示す正面図である。本実施の形態に係る防護柵1は、複数の支柱構造10と、ネット(防護網)30と、を備える。本発明に係る防護柵1の支柱構造10は、その下端部が、防護柵1Aが設置される現場の基礎地盤Gに埋設されて立設されている。
【0017】
(支柱構造)
複数の支柱構造10は、互いに所定の間隔をあけて設けられている。図2は、支柱構造10の下端部を拡大した断面図である。支柱構造10は、基礎鋼管鋼管11と、アンカー13と、支柱鋼管15と、モルタル部17と、を備える。基礎鋼管11は両端において、2つの開口11a,11bを有している。基礎鋼管11が基礎地盤Gに埋め込まれた状態において、開口11aは、基礎地盤G内に位置し、開口11bは、地上側に位置する。基礎鋼管11は、例えば、平面視円形又は略円形の鋼管により形成されている。なお、基礎鋼管11は、平面視三角形状、四角形状等の多角形状に形成されていてもよい。
【0018】
アンカー13は、鋼製の棒状部材により形成されている、例えば、鉄筋鋼である。アンカー13は、基礎鋼管11の中心又は略中心を通るように基礎地盤Gに埋め込まれている。アンカー13が基礎地盤Gに打設された状態において、一方の端部13aは、基礎鋼管11の開口11aを超えており、他方の端部13bは、基礎鋼管11の開口11bから地上側に所定の量だけ、後述する支柱鋼管15内に突出している。具体的には、アンカー13の他方の端部13bは、後述する支柱鋼管15に形成された貫通孔15cと同じ高さに位置する又は貫通孔15cの下側に位置する。
【0019】
支柱鋼管15は、例えば、平面視円形又は略円形の鋼管により形成されている。支柱鋼管15の外径は、基礎鋼管11の外径よりも小さい。支柱鋼管15は、2つの開口15a,15bを有している(図5参照)。なお、支柱鋼管15は、平面視三角形状、四角形状等の多角形状に形成されていてもよい。
【0020】
支柱鋼管15は、地上に突出していて、各支柱構造10における支柱鋼管15に後述する防護網30が支持されている。支柱鋼管15は、一方の開口15aの側で部分的に基礎鋼管11とアンカー13との間に地中に設けられていて、他方の開口15bの側で地上に突出している。支柱鋼管15には貫通孔15cが形成されている。貫通孔15cは、基礎地盤Gから所定の高さ位置にあるように形成されている。貫通孔15cの高さ位置は、防護柵1の規模に応じて適宜設定することができる。
【0021】
モルタル部17は、モルタルMを充填材とした部分であり、モルタルMを固化することにより形成されている。モルタル部17は、基礎鋼管11の上端部の一部と、支柱鋼管15の内部を、貫通孔15cが形成されている位置まで設けられている。アンカー13は、モルタル部17内に埋設されている。モルタル部17よりも下側において基礎鋼管11は、基礎地盤Gの土砂によって充填されている。基礎鋼管11の内側に充填されている土砂は、例えば、基礎鋼管11の外側の基礎地盤Gの土砂に比べて、密に圧縮されて固められている。
【0022】
(ネット)
ネット30は、防護柵1の支柱鋼管15全体にわたって面状に張り渡されている。ネット30は、例えば、高強度金網により形成されているが、これに限定されず、所定の強度を有していれば、繊維製のネット、リング状に編んだ特殊金網等であってもよい。
【0023】
(支柱構造の構築)
防護柵1の支柱構造10の構築に用いられる本発明に係る治具50は、両端が開口した基礎鋼管11を地盤に埋め込む用の治具50であって、基礎鋼管11の一方の開口11bから基礎鋼管11内に挿入される押圧部51と、押圧部51に設けられていて一方の開口11bの側で基礎鋼管11の縁に載置される鍔部53と、を備え、所定の工具によって鍔部53の側から力が加えられて基礎鋼管11を基礎地盤Gに押し込む用に供され、鍔部53とは反対の側で押圧部51は、基礎鋼管11内の基礎地盤Gを押圧することを特徴とする。以下、本実施の形態に係る治具50の構成についてまず説明する。
【0024】
図3Aは、本発明に係る治具50の斜視図である。図3Bは、図3AにおけるA-A線に沿った断面図である。治具50は、例えば、鋼材等の金属材料により平面視円形又は略円形に形成された部材である。治具50は、押圧部(柱状部)51と、鍔部53と、を有する。押圧部51と鍔部53とは、一の材料により形成されていても、互いに別々の材料により形成されて一体に接合されていてもよい。なお、治具50は、金属製に限らず、例えば、樹脂等により形成されていてもよい。
【0025】
押圧部51は、円柱状に形成されている。押圧部51の外径は、基礎鋼管11の内径と同じ又は略同じであり、基礎鋼管11に挿入可能である。具体的には、押圧部51の外径は、基礎鋼管11に挿入された状態において、基礎鋼管11の内面と少なくとも部分的に、好ましくは、周面の大部分にわたって接触するように選択されている。治具50の中心を通る軸線50xに沿った治具50、特に押圧部51の寸法は、特に限定されないが、どの程度、支柱鋼管15を基礎鋼管11に挿入するかによって適宜設定される。
【0026】
鍔部53は、押圧部51に一体に形成された円環状の部分である。鍔部53は、押圧部51の軸線50xに沿った一方の端部に設けられていて、押圧部51の外周面から径方向外側に突出している。鍔部53の外径は、基礎鋼管11の外径よりも大きい。治具50の押圧部51が基礎鋼管11に挿入された状態において、治具50は鍔部53において、基礎鋼管11の開口11bの縁に載置されるようになっている。
【0027】
治具50は、凹部55を有する。凹部55は、軸線50xに対して同心状に形成されており、鍔部53の側から押圧部51に向かって軸線50xに沿って凹に形成されている。凹部55は、止まり孔として形成されている。凹部55は、後述する、打設用ブレーカー(工具)Bが係合する部分である。
【0028】
基礎鋼管11を基礎地盤Gに埋め込む方法は、治具50を基礎鋼管11の一方の開口11bから押圧部51を挿入し、鍔部53において基礎鋼管11の一方の開口11bの縁に載置し、鍔部51の側から治具50に打設用ブレーカーBを接触させて、打設用ブレーカーBにより基礎鋼管11に力を加え、鍔部53とは反対の側で押圧部51が基礎地盤Gを押圧しつつ、基礎鋼管11を基礎地盤Gに押し込むことを特徴とする。以下に、図4から図8を用いて、防護柵1を設置する工程について説明する。
【0029】
図4は、基礎地盤Gに基礎鋼管11を埋め込む工程を示す図である。治具50は、基礎鋼管11を基礎地盤Gに押し込む際に使用される。本実施の形態に係る防護柵1を設置する現場において、所定の間隔をあけて基礎鋼管11を、例えば、打設用ブレーカー等を用いて基礎地盤Gに埋め込む(鋼管埋込み工程)。まず、基礎鋼管11を埋め込みたい場所に基礎鋼管11を立てて支持し、治具50を基礎鋼管11に開口11bの側に設置する。
【0030】
打設用ブレーカーBの先端を治具50の凹部55に挿入し、打設用ブレーカーBを駆動して、基礎鋼管11を開口11aの側から基礎地盤Gに押し込んでいく。基礎地盤Gに押し込むに連れて、基礎鋼管11の内部には開口11aの側から基礎地盤Gの土砂が入り込んでくる。さらに、打設用ブレーカーBにより基礎鋼管11を押し込んでいくと、治具50の押圧部51が基礎鋼管11内に入り込んでくる土砂に接触する。
【0031】
押圧部51が基礎鋼管11内の土砂に接触した状態において、打設用ブレーカーBにより基礎鋼管11をさらに基礎地盤Gにことにより、基礎鋼管11内における土砂は、開口11aの側から入り込もうとする土砂は、その土砂を開口11bの側から押圧している押圧部51により圧縮される。これにより、基礎鋼管11内の土砂は、圧縮されて固められる。また、基礎鋼管11内へ進入しようとする土砂の一部は、基礎鋼管11の外側に留まらざるを得ず、これにより、基礎鋼管11の開口11aの外側の土砂も固められる。
【0032】
基礎鋼管11の開口11bが基礎地盤Gの土面と同一平面又は略同一平面に達するまで基礎鋼管11が基礎地盤G内に押し込まれると打設用ブレーカーBを停止して、治具50を基礎鋼管11から取り外す。基礎鋼管11内に入り込んだ基礎地盤Gの土砂の土面は、治具50による押圧により、基礎鋼管11の外側における基礎地盤Gの土面よりも地中側に下がった位置にある。これにより、基礎鋼管11の内側には、空所Sが確保されている。
【0033】
図5は、アンカー13を基礎地盤Gに打設する工程を示す図である。次いで、基礎地盤Gに埋め込まれた基礎鋼管11の内側にアンカー13を打設する(打設工程)。アンカー13は、例えば、削孔機等を用いて、地上側の端部が基礎鋼管11から地上側に突出しているように基礎地盤Gに打設する。
【0034】
図6は、基礎地盤Gに支柱鋼管15を埋め込む工程を示す図である。次いで、支柱鋼管15にアンカー13を通すように、基礎鋼管11とアンカー13との間の空所(隙間)Sに支柱鋼管15を設置する(鋼管設置工程)。具体的には、支柱鋼管15の一方の端部を基礎鋼管11の内側の空所Sに設置する。この場合、アンカー13が支柱鋼管15の中心又は略中心に位置するように支柱鋼管15を設置することが好ましい。
【0035】
図7は、モルタルMを基礎鋼管11の開口11bから充填する工程を示す図である。次いで、地上側に開口している基礎鋼管11の開口11bから空所SにモルタルMを開口11bから充填する(第1充填工程)。これにより、基礎鋼管11と支柱鋼管15との間の隙間は、モルタルにより充填された状態になる。
【0036】
図8は、モルタルMを支柱鋼管15の開口15bから充填する工程を示す図である。次いで、支柱鋼管15の開口15bからモルタルMを支柱鋼管15の内側に充填する(第2充填工程)。アンカー13の地上側の端部がモルタルM内に埋没するまでモルタルMを充填する。さらに、支柱鋼管15の貫通孔15cから外部に流出するまでモルタルMを充填する。
【0037】
モルタルMが固化してモルタル部17が形成されば支柱構造10が構築される。最終的に各支柱構造10にネット30を取り付けて防護柵1が完成する。
【0038】
以上のような治具50により支柱構造10を構築すれば、防護柵1の設置現場にある基礎地盤Gを、モルタルM等を用いて改良等することなく、基礎地盤Gを固めることができ、強度の高い支柱構造10を低コストで構築することができる。基礎地盤Gに埋め込まれる基礎鋼管11にモルタルM等の充填材を充填する必要がないため、モルタルMの固化を待つ必要がないので、施工期間を短縮することができる。
【0039】
さらに、押圧部51の直径は、基礎鋼管11の内径と略同じであり、周方向において接触しているので、基礎鋼管11を基礎地盤Gに押し込む際に押圧部51と基礎鋼管11との間における土砂のすり抜けを可能な限り抑制することができる。これにより、基礎鋼管11内の土砂をより効果的に圧縮して固めることができる。
【0040】
さらに、押圧部51により、基礎鋼管11の外側の、開口11aの下側の基礎地盤Gにも押圧力が作用し、基礎鋼管11の開口11の外側周辺の土砂も圧縮して固めることができる。これにより、基礎鋼管11を直接的に支持する基礎地盤Gの強度も向上する。
【0041】
さらに、打設用ブレーカーBの先端を治具50の凹部55に挿入して、打設用ブレーカーBを駆動することができるので、基礎鋼管11を安定的に基礎地盤Gに押し込むことができる。
【0042】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、上記実施の形態において、押圧部51は、平面視円形であったが、基礎鋼管11の断面形状に対応していればよく、基礎鋼管11が多角形であった場合、押圧部51も同様に多角形状に形成されている。
【符号の説明】
【0043】
1・・・防護柵、10・・・支柱構造、11・・・基礎鋼管(鋼管)、13・・・アンカー、15・・・支柱鋼管、50・・・治具、51・・・押圧部(柱状部)、53・・・鍔部、55・・・凹部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8