特開 2024-103946 電池セル

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024103946

(43)【公開日】2024-08-02

(54)【発明の名称】電池セル

(51)【国際特許分類】

   H01M 50/548 20210101AFI20240726BHJP

   H01M 50/531 20210101ALI20240726BHJP

   H01M 50/105 20210101ALI20240726BHJP

   H01M 50/164 20210101ALI20240726BHJP

   H01M 50/178 20210101ALI20240726BHJP

【ＦＩ】

H01M50/548 301

H01M50/531

H01M50/105

H01M50/164

H01M50/178

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023007904

(22)【出願日】2023-01-23

(71)【出願人】

【識別番号】507357232

【氏名又は名称】株式会社ＡＥＳＣジャパン

(74)【代理人】

【識別番号】100110928

【弁理士】

【氏名又は名称】速水 進治

(74)【代理人】

【識別番号】100127236

【弁理士】

【氏名又は名称】天城 聡

(72)【発明者】

【氏名】中井 昌之

(72)【発明者】

【氏名】大岡 愛佳

【テーマコード（参考）】

5H011

5H043

【Ｆターム（参考）】

5H011AA03

5H011FF04

5H043AA05

5H043BA19

5H043CA08

5H043HA02E

5H043HA02F

5H043HA11D

5H043HA11E

(57)【要約】

【課題】バリア材と、電池要素に電気的に接続される導体と、を設けるためのスペースを小さくする。
【解決手段】電池セル１０Ａは、電池要素１００と、電池要素１００の端部を覆う前方蓋材２１０Ａと、少なくとも一部分が電池要素１００に巻き付けられた外装フィルム４００と、前方蓋材２１０Ａの少なくとも一部分を覆う前方バリア導体３１２Ａと、前方バリア導体３１２Ａに接続され前方バリア導体３１２Ａから突出した前方突出導体３１４Ａと、を備えている。
【選択図】図４

【特許請求の範囲】

【請求項1】

電池要素と、
前記電池要素の端部を覆う蓋材と、
少なくとも一部分が前記電池要素に巻き付けられた外装フィルムと、
前記蓋材の少なくとも一部分を覆うバリア導体と、
前記バリア導体に接続され前記バリア導体から突出した突出導体と、
を備える電池セル。

【請求項2】

前記バリア導体及び前記突出導体が一体化されている、請求項１に記載の電池セル。

【請求項3】

前記突出導体が前記バリア導体に対して折り曲げられている、請求項１又は２に記載の電池セル。

【請求項4】

前記バリア導体及び前記突出導体が互いに接合されている、請求項１又は２に記載の電池セル。

【請求項5】

前記突出導体が前記バリア導体に対してプレス加工されている、請求項１又は２に記載の電池セル。

【請求項6】

前記バリア導体及び前記突出導体が押出成形品である、請求項１又は２に記載の電池セル。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、電池セルに関する。

【背景技術】

【0002】

近年、リチウムイオン二次電池セル等の電池セルの様々な構造が開発されている。例えば、特許文献１に記載されている電池セルは、電池要素、２つの蓋材及び外装フィルムを備えている。２つの蓋材は、電池要素の長手方向の両端部を覆っている。各蓋材からは、電池要素に電気的に接続されたタブが引き出されている。外装フィルムは、電池要素の長手方向の周りに巻き付けられている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】国際公開第２０２１／１５７７３１号

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

例えば特許文献１に記載されている電池セルでは、蓋材が、水分透過性やガス透過性が比較的高い樹脂からなることがある。この場合、蓋材を通しての水分やガスの透過を抑制するため、蓋材の少なくとも一部分に金属等のバリア材を設けることがある。バリア材は、タブやリード等、電池要素に電気的に接続される導体から離間して設けられることがある。しかしながら、バリア材及び当該導体を単に互いに離間させた場合、バリア材及び当該導体を互いに離間させるためのスペースの分、電池セルの体積が増加し得る。

【0005】

本発明の目的の一例は、バリア材と、電池要素に電気的に接続される導体と、を設けるためのスペースを小さくすることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の一態様は、以下のとおりである。
［１］
電池要素と、
前記電池要素の端部を覆う蓋材と、
少なくとも一部分が前記電池要素に巻き付けられた外装フィルムと、
前記蓋材の少なくとも一部分を覆うバリア導体と、
前記バリア導体に接続され前記バリア導体から突出した突出導体と、
を備える電池セル。
［２］
前記バリア導体及び前記突出導体が一体化されている、［１］に記載の電池セル。
［３］
前記突出導体が前記バリア導体に対して折り曲げられている、［１］又は［２］に記載の電池セル。
［４］
前記バリア導体及び前記突出導体が互いに接合されている、［１］又は［２］に記載の電池セル。
［５］
前記突出導体が前記バリア導体に対してプレス加工されている、［１］又は［２］に記載の電池セル。
［６］
前記バリア導体及び前記突出導体が押出成形品である、［１］又は［２］に記載の電池セル。

【発明の効果】

【0007】

本発明の上記態様によれば、バリア材と、電池要素に電気的に接続される導体と、を設けるためのスペースを小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】実施形態１に係る電池セルの前方斜視図である。

【図2】実施形態１に係る電池セルの一部分の前方拡大斜視図である。

【図3】実施形態１に係る電池セルの右側面図である。

【図4】実施形態１に係る前方蓋材及び前方導体の分解斜視図である。

【図5】実施形態１に係る前方蓋材及び前方導体の断面の第１例の模式図である。

【図6】実施形態１に係る前方蓋材及び前方導体の断面の第２例の模式図である。

【図7】実施形態１の変形例に係る前方蓋材、第１前方導体及び第２前方導体の断面の模式図である。

【図8】実施形態２に係る前方蓋材及び前方導体の分解斜視図である。

【図9】実施形態２に係る前方導体の製造方法の一例を説明するための図である。

【図10】実施形態２に係る前方蓋材及び前方導体の断面の一例の模式図である。

【図11】実施形態２の変形例に係る前方導体の斜視図である。

【図12】実施形態３に係る前方蓋材及び前方導体の分解斜視図である。

【図13】実施形態３の変形例に係る前方蓋材及び前方導体の分解斜視図である。

【図14】実施形態４に係る前方蓋材及び前方導体の断面模式図である。

【図15】実施形態５の第１例に係る前方蓋材及び前方導体の断面模式図である。

【図16】実施形態５の第２例に係る前方蓋材及び前方導体の断面模式図である。

【図17】実施形態６の第１例に係る前方蓋材及び前方導体の断面模式図である。

【図18】実施形態６の第２例に係る前方蓋材及び前方導体の断面模式図である。

【図19】実施形態７に係る前方蓋材及び前方導体の断面模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。

【0010】

図１は、実施形態１に係る電池セル１０Ａの前方斜視図である。図２は、実施形態１に係る電池セル１０Ａの一部分の前方拡大斜視図である。図３は、実施形態１に係る電池セル１０Ａの右側面図である。図３では、説明のため、外装フィルム４００を透過させた状態で図示している。

【0011】

各図には、説明のため、Ｘ方向、Ｙ方向及びＺ方向が付されている。Ｘ方向は、電池セル１０Ａの前後方向を示している。Ｙ方向は、Ｘ方向に直交している。Ｙ方向は、電池セル１０Ａの左右方向を示している。Ｚ方向は、Ｘ方向及びＹ方向の双方に直交している。Ｚ方向は、電池セル１０Ａの上下方向を示している。Ｘ方向を示す矢印によって指し示される方向、Ｙ方向を示す矢印によって指し示される方向及びＺ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、後方向、左方向及び上方向である。ただし、電池セル１０ＡのＸ方向、Ｙ方向、Ｚ方向、前後方向、左右方向及び上下方向の関係は、この例に限定されない。なお、Ｘ方向、Ｙ方向又はＺ方向を示すＸ付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。Ｘ方向、Ｙ方向又はＺ方向を示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。

【0012】

以下、必要に応じて、Ｘ方向に垂直な平面をＹＺ平面という。以下、必要に応じて、Ｙ方向に垂直な平面をＺＸ平面という。以下、必要に応じて、Ｚ方向に垂直な平面をＸＹ平面という。

【0013】

電池セル１０Ａは、電池要素１００、前方蓋材２１０Ａ、後方蓋材２２０Ａ、前方導体３１０Ａ、後方導体３２０Ａ及び外装フィルム４００を備えている。外装フィルム４００は、巻付部分４０２及び引出部分４０４を有している。

【0014】

電池要素１００は、略直方体形状となっている。電池要素１００の長手方向は、Ｘ方向に略平行となっている。電池要素１００の短手方向は、Ｚ方向に略平行となっている。電池要素１００の厚み方向は、Ｙ方向に略平行となっている。

【0015】

電池要素１００は、不図示の少なくとも１つの正極、不図示の少なくとも１つの負極及び不図示の少なくとも１つのセパレータを有している。例えば、複数の正極及び複数の負極がＹ方向に交互に積層されている。セパレータの少なくとも一部分は、Ｙ方向に隣り合う正極及び負極の間に位置している。例えば、複数枚のシート状のセパレータの各々がＹ方向に隣り合う正極及び負極の間に位置していてもよい。或いは、１枚のシート状のセパレータがＹ方向に隣り合う正極及び負極の間の領域を通過するつづら折り形状になっていてもよい。或いは、正極、負極及びセパレータは、セパレータが正極及び負極の間に配置されるように巻回されていてもよい。一例において、正極及び負極の一方の両面がセパレータによって覆われた状態で正極、負極及びセパレータは巻回されている。他の例において、正極、セパレータ及び負極をこの順に含む単位積層体を複数含む積層体が巻回されていてもよい。ただし、正極、負極及びセパレータの巻回構造は、これらの例に限定されない。

【0016】

実施形態において、電池セル１０Ａは、電解液を含む電池セルである。しかしながら、電池セル１０Ａは、全固体電池であってもよい。全固体電池においては、セパレータに相当する部分に固体電解質層が設けられている。全固体電池は、電解液を含んでいない。以下、特に断りがない限り、電池セル１０Ａは電解液を含む電池セルであるとして説明する。

【0017】

前方蓋材２１０Ａは、電池要素１００の前端部を覆っている。前方蓋材２１０Ａは、例えば、ポリプロピレン等の樹脂からなっている。前方から見て、前方蓋材２１０Ａは、略長方形形状となっている。前方から見て、前方蓋材２１０Ａの長手方向はＺ方向に略平行となっており、前方蓋材２１０Ａの短手方向はＹ方向に略平行となっている。

【0018】

後方蓋材２２０Ａは、電池要素１００の後端部を覆っている。後方蓋材２２０Ａは、例えば、ポリプロピレン等の樹脂からなっている。後方から見て、後方蓋材２２０Ａは、略長方形形状となっている。後方から見て、後方蓋材２２０Ａの長手方向はＺ方向に略平行となっており、後方蓋材２２０Ａの短手方向はＹ方向に略平行となっている。

【0019】

詳細を後述するように、前方導体３１０Ａは、２つの前方突出導体３１４Ａを有している。２つの前方突出導体３１４Ａは、Ｙ方向に並んでいる。各前方突出導体３１４Ａは、前方蓋材２１０Ａから前方に向けて突出している。各前方突出導体３１４Ａは、電池要素１００の正極から前方に向けて引き出された正極集電体１０２ａに電気的に接続されている。よって、各前方突出導体３１４Ａは、電池要素１００の複数の正極に電気的に接続されている。したがって、各前方突出導体３１４Ａは、正極タブとして機能している。

【0020】

前方導体３１０Ａと同様にして、後方導体３２０Ａは、２つの後方突出導体３２４Ａを有している。２つの後方突出導体３２４Ａは、Ｙ方向に並んでいる。各後方突出導体３２４Ａは、後方蓋材２２０Ａから後方に向けて突出している。各後方突出導体３２４Ａは、電池要素１００の負極から後方に向けて引き出された負極集電体１０４ａに電気的に接続されている。よって、各後方突出導体３２４Ａは、電池要素１００の複数の負極に電気的に接続されている。したがって、各後方突出導体３２４Ａは、負極タブとして機能している。

【0021】

図１及び図２に示すように、巻付部分４０２は、前方及び後方の双方に向けて開口した略筒形状となっている。巻付部分４０２の前方の開口の内部には、前方蓋材２１０Ａが配置されている。巻付部分４０２の後方の開口の内部には、後方蓋材２２０Ａが配置されている。巻付部分４０２は、電池要素１００、前方蓋材２１０Ａ及び後方蓋材２２０ＡのＸ方向の周りに１周巻き付けられている。これによって、前方蓋材２１０Ａ、後方蓋材２２０Ａ及び巻付部分４０２は、電池要素１００を収容する収容空間５００を形成している。収容空間５００には、電池要素１００とともに、不図示の電解液が収容されている。なお、巻付部分４０２の電池要素１００の巻き付きの態様は、上述した例に限定されない。

【0022】

図１及び図２に示す例では、前方蓋材２１０Ａの前面の前方突出導体３１４Ａの周囲の少なくとも一部分が外装フィルム４００から露出している。ただし、外装フィルム４００は、前方蓋材２１０Ａの前面の前方突出導体３１４Ａの周囲を覆っていてもよい。同様にして、後方蓋材２２０Ａの後面の後方突出導体３２４Ａの周囲の少なくとも一部分が外装フィルム４００から露出している。ただし、外装フィルム４００は、後方蓋材２２０Ａの後面の後方突出導体３２４Ａの周囲を覆っていてもよい。

【0023】

前方蓋材２１０ＡのＸ方向の周りの外周面と、巻付部分４０２の前方の開口のＸ方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、前方封止部５１０が形成されている。

【0024】

後方蓋材２２０ＡのＸ方向の周りの外周面と、巻付部分４０２の後方の開口のＸ方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、後方封止部５２０が形成されている。

【0025】

図１及び図２に示すように、前方から見て、引出部分４０４は、巻付部分４０２の電池要素１００の左上側の角から引き出されている。具体的には、図２に示すように、引出部分４０４は、第１引出部分４０４ａ及び第２引出部分４０４ｂを含んでいる。第１引出部分４０４ａは、巻付部分４０２のＸ方向の周りの周方向の両端の一方から引き出されている。第２引出部分４０４ｂは、巻付部分４０２のＸ方向の周りの周方向の両端の他方から引き出されている。第１引出部分４０４ａ及び第２引出部分４０４ｂは、例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、前方から見て、側方封止部５３０が形成されている。引出部分４０４は、電池要素１００の上面に沿って折り曲げられている。ただし、引出部分４０４は、折り曲げられていなくてもよい。また、引出部分４０４の折り曲げの形状は、実施形態１に係る形状に限定されない。

【0026】

実施形態１では、電池要素１００の前端部及び後端部が２つの蓋材によって覆われている。しかしながら、例えば、正極タブ及び負極タブの双方が電池要素１００の前端部から引き出されている場合、電池要素１００の後端部が蓋材に覆われずに電池要素１００の前端部が蓋材に覆われていてもよい。すなわち、電池要素１００の正極タブ及び負極タブが引き出された側のみが蓋材によって覆われていてもよい。この場合、電池要素１００の蓋材の反対側において、外装フィルム４００が封止されて電池要素１００に沿って折りたたまれていてもよい。

【0027】

図４は、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａの分解斜視図である。図４を用いて前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａについて説明する事項は、後方蓋材２２０Ａ及び後方導体３２０Ａにも同様に適用可能である。

【0028】

前方蓋材２１０Ａの後面には、凹部２１２Ａが設けられている。凹部２１２Ａは、後方に向けて開口されている。前方蓋材２１０Ａの前面には、Ｙ方向に並ぶ２つの貫通孔２１４Ａが設けられている。左側の貫通孔２１４Ａの後端は、凹部２１２Ａの底面の左端部を貫通している。右側の貫通孔２１４Ａの後端は、凹部２１２Ａの底面の右端部を貫通している。

【0029】

前方導体３１０Ａは、前方バリア導体３１２Ａ及び２つの前方突出導体３１４Ａを有している。前方バリア導体３１２Ａは、ＹＺ平面に略平行な略板形状となっている。２つの前方突出導体３１４Ａは、前方バリア導体３１２ＡのＹ方向の両端から前方に向けて突出している。各前方突出導体３１４Ａは、ＺＸ平面に略平行な略板形状となっている。

【0030】

前方バリア導体３１２Ａは、水分透過性及びガス透過性の比較的低い材料からなっている。この材料としては、金属が例示される。前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａが互いに取り付けられた状態において、前方バリア導体３１２Ａは、凹部２１２Ａの底面の少なくとも一部分を覆っている。よって、前方蓋材２１０Ａの水分透過性及びガス透過性が比較的高かったとしても、前方バリア導体３１２Ａが設けられていない場合と比較して、前方蓋材２１０Ａから収容空間５００に侵入する水分及びガスを低減することができる。したがって、前方バリア導体３１２Ａが設けられていない場合と比較して、電池セル１０Ａの封止性を向上させることができる。

【0031】

前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａが互いに取り付けられた状態において、各前方突出導体３１４Ａは、各貫通孔２１４ＡをＸ方向に貫通している。この状態において、各前方突出導体３１４Ａの前端は、前方蓋材２１０Ａの前面より前方に向けて突出する。正極集電体１０２ａは、前方バリア導体３１２Ａの後面に電気的に接続されている。よって、電池要素１００及び各前方突出導体３１４Ａは、前方バリア導体３１２Ａを介して互いに電気的に接続されている。

【0032】

前方バリア導体３１２Ａ及び２つの前方突出導体３１４Ａは、一体に互いに接続されている。すなわち、前方バリア導体３１２Ａ及び２つの前方突出導体３１４Ａは、一体化されている。よって、前方バリア導体３１２Ａ及び２つの前方突出導体３１４Ａを互いに離間させるためのスペースが不要となる。したがって、前方バリア導体３１２Ａ及び２つの前方突出導体３１４Ａが互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ａ及び２つの前方突出導体３１４Ａを設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0033】

図４に示す例では、各前方突出導体３１４Ａが前方バリア導体３１２Ａに対して前方に向けて折り曲げられている。よって、各前方突出導体３１４Ａが前方バリア導体３１２Ａに溶接等の方法によって接合されている場合と比較して、前方導体３１０Ａの製造が容易となる。ただし、各前方突出導体３１４Ａは、前方バリア導体３１２Ａに溶接等の方法によって接合されていてもよい。前方バリア導体３１２Ａ及び各前方突出導体３１４Ａが互いに接合されている場合、前方バリア導体３１２Ａ及び前方突出導体３１４Ａは、異なる材料によって形成させることができる。或いは、前方バリア導体３１２Ａ及び前方突出導体３１４Ａは、同一材料によって形成されていてもよい。

【0034】

図５は、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａの断面の第１例の模式図である。図５に示す断面は、前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０ＡのＺ方向の略中央部におけるＸＹ平面に平行な断面を示している。

【0035】

凹部２１２Ａの内側面には、係止部２１６Ａが設けられている。図５に示す断面では、凹部２１２ＡのＹ方向の両内側面に一対の係止部２１６Ａが設けられている。各係止部２１６Ａは、凹部２１２Ａの内側面から凹部２１２ＡのＹ方向の中心に向けて突出している。係止部２１６Ａを形成する材料は、前方蓋材２１０Ａを形成する材料と同一であってもよいし、又は異なっていてもよい。

【0036】

前方導体３１０Ａは、係止部２１６Ａによって前方蓋材２１０Ａに係止されている。図５に示す断面では、前方バリア導体３１２ＡのＹ方向の両端部が、凹部２１２Ａの底面のＹ方向の両端部と、一対の係止部２１６Ａの前方側面と、の間の隙間に入り込んでいる。したがって、前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａを機械的に互いに接合させることができる。

【0037】

各前方突出導体３１４Ａの外側面と各貫通孔２１４Ａの内側面との間の隙間には封止樹脂２５２Ａが埋め込まれている。よって、封止樹脂２５２Ａが設けられていない場合と比較して、当該隙間を経由しての水分及びガスの侵入を抑制することができる。

【0038】

前方バリア導体３１２Ａの後面のＹ方向の両端部の各々と、一対の係止部２１６Ａの各々の前方側面と、の間の隙間は被覆樹脂２５４Ａによって覆われている。被覆樹脂２５４Ａは、これらの隙間よりも凹部２１２Ａの内側に設けられている。よって、被覆樹脂２５４Ａが設けられていない場合と比較して、上述した隙間を経由しての水分及びガスの侵入を抑制することができる。

【0039】

図６は、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａの断面の第２例の模式図である。

【0040】

図６に示す例において、前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａは、前方蓋材２１０Ａの凹部２１２Ａの底面及び前方バリア導体３１２Ａの上面の間に存在するモールド樹脂によって互いに接合されている。よって、前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａを化学的に互いに接合させることができる。モールド樹脂は、例えば、次のようにして形成されている。まず、前方バリア導体３１２Ａの上面に樹脂を塗布する。次いで、各貫通孔２１４Ａに各前方突出導体３１４Ａを挿通させる。この状態において、凹部２１２Ａの底面及び前方バリア導体３１２Ａの上面は、当該樹脂を介して互いに接触している。次いで、加熱によって、凹部２１２Ａの底面及び前方バリア導体３１２Ａの上面の間に存在する樹脂を硬化させる。

【0041】

図７は、実施形態１の変形例に係る前方蓋材２１０Ａ１、第１前方導体３１０Ａ１及び第２前方導体３２０Ａ１の断面の模式図である。本変形例に係る前方蓋材２１０Ａ１、第１前方導体３１０Ａ１及び第２前方導体３２０Ａ１は、以下の点を除いて、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａと同等である。

【0042】

前方蓋材２１０Ａ１の後面には、第１凹部２１２Ａ１及び第２凹部２１３Ａ１が設けられている。図７に示す断面において、第１凹部２１２Ａ１及び第２凹部２１３Ａ１は、隔壁２１１Ａ１によってＹ方向に互いに隔てられている。隔壁２１１Ａ１は、前方蓋材２１０Ａ１の後面のＹ方向の略中央部に配置されている。第１凹部２１２Ａ１は、隔壁２１１Ａ１の左側に位置している。第２凹部２１３Ａ１は、隔壁２１１Ａ１の右側に位置している。第１凹部２１２Ａ１の底面の左端部には、第１貫通孔２１４Ａ１が設けられている。すなわち、第１貫通孔２１４Ａ１は、第１凹部２１２Ａ１の底面において隔壁２１１Ａ１に対してＹ方向の反対側の端部に位置している。第２凹部２１３Ａ１の底面の右端部には、第２貫通孔２１５Ａ１が設けられている。すなわち、第２貫通孔２１５Ａ１は、第２凹部２１３Ａ１の底面において隔壁２１１Ａ１に対してＹ方向の反対側の端部に位置している。

【0043】

第１前方導体３１０Ａ１は、第１前方バリア導体３１２Ａ１及び第１前方突出導体３１４Ａ１を有している。第１前方突出導体３１４Ａ１は、第１前方バリア導体３１２Ａ１に対して折り曲げられている。ただし、第１前方バリア導体３１２Ａ１及び第１前方突出導体３１４Ａ１は、溶接等の方法によって互いに接合されていてもよい。第２前方導体３２０Ａ１は、第２前方バリア導体３２２Ａ１及び第２前方突出導体３２４Ａ１を有している。第２前方突出導体３２４Ａ１は、第２前方バリア導体３２２Ａ１に対して折り曲げられている。ただし、第２前方バリア導体３２２Ａ１及び第２前方突出導体３２４Ａ１は、溶接等の方法によって互いに接合されていてもよい。

【0044】

前方蓋材２１０Ａ１及び第１前方導体３１０Ａ１が互いに取り付けられた状態において、第１前方バリア導体３１２Ａ１は、第１凹部２１２Ａ１の底面の少なくとも一部分を覆っている。よって、第１前方バリア導体３１２Ａ１が設けられていない場合と比較して、電池セルの封止性を向上させることができる。同様に、前方蓋材２１０Ａ１及び第２前方導体３２０Ａ１が互いに取り付けられた状態において、第２前方バリア導体３２２Ａ１は、第２凹部２１３Ａ１の底面の少なくとも一部分を覆っている。よって、第２前方バリア導体３２２Ａ１が設けられていない場合と比較して、電池セルの封止性を向上させることができる。

【0045】

前方蓋材２１０Ａ１及び第１前方導体３１０Ａ１が互いに取り付けられた状態において、第１前方突出導体３１４Ａ１は、第１貫通孔２１４Ａ１を貫通している。この状態において、第１前方突出導体３１４Ａ１の前端は、前方蓋材２１０Ａ１の前面より前方に向けて突出している。同様に、前方蓋材２１０Ａ１及び第２前方導体３２０Ａ１が互いに取り付けられた状態において、第２前方突出導体３２４Ａ１は、第２貫通孔２１５Ａ１を貫通している。この状態において、第２前方突出導体３２４Ａ１の前端は、前方蓋材２１０Ａ１の前面より前方に向けて突出している。

【0046】

第１前方バリア導体３１２Ａ１の後面には、不図示の正極集電体及び負極集電体の一方が電気的に接続されている。第２前方バリア導体３２２Ａ１の後面には、不図示の正極集電体及び負極集電体の他方が電気的に接続されている。よって、第１前方突出導体３１４Ａ１及び第２前方突出導体３２４Ａ１は、互いに異なる極性のタブとして機能している。ただし、第１前方導体３１０Ａ１の極性及び第２前方導体３２０Ａ１の極性は同一であってもよい。例えば、第１前方導体３１０Ａ１には不図示の電池要素から引き出された一部の正極集電体が電気的に接続され、第２前方導体３２０Ａ１には不図示の電池要素から引き出された他の一部の正極集電体が電気的に接続されていてもよい。

【0047】

図７に示す断面において、第１凹部２１２Ａ１のＹ方向の両内側面には、一対の第１係止部２１６Ａ１が設けられている。第１前方導体３１０Ａ１は、一対の第１係止部２１６Ａ１によって前方蓋材２１０Ａ１に係止されている。図７に示す断面では、第１前方バリア導体３１２Ａ１のＹ方向の両端部が、第１凹部２１２Ａ１の底面のＹ方向の両端部と、一対の第１係止部２１６Ａ１の前方側面と、の間の隙間に入り込んでいる。よって、前方蓋材２１０Ａ１及び第１前方導体３１０Ａ１を機械的に互いに接合させることができる。

【0048】

図７に示す断面において、第２凹部２１３Ａ１のＹ方向の両内側面には、一対の第２係止部２１７Ａ１が設けられている。第１前方導体３１０Ａ１と同様にして、第２前方導体３２０Ａ１は、一対の第２係止部２１７Ａ１によって前方蓋材２１０Ａ１に係止されている。

【0049】

第１前方突出導体３１４Ａ１の外側面と第１貫通孔２１４Ａ１の内側面との間の隙間には第１封止樹脂２５２Ａ１が埋め込まれている。同様に、第２前方突出導体３２４Ａ１の外側面と第２貫通孔２１５Ａ１の内側面との間の隙間には第２封止樹脂２５３Ａ１が埋め込まれている。よって、第１封止樹脂２５２Ａ１や第２封止樹脂２５３Ａ１が設けられていない場合と比較して、これらの隙間を経由しての水分及びガスの侵入を抑制することができる。

【0050】

第１前方バリア導体３１２Ａ１の後面の左側端部と、左側の第１係止部２１６Ａ１の前方側面と、の間の隙間は第１被覆樹脂２５４Ａ１によって覆われている。第１被覆樹脂２５４Ａ１は、この隙間よりも第１凹部２１２Ａ１の内側に設けられている。第２前方バリア導体３２２Ａ１の後面の右側端部と、右側の第２係止部２１７Ａ１の前方側面と、の間の隙間は第２被覆樹脂２５５Ａ１によって覆われている。第２被覆樹脂２５５Ａ１は、この隙間よりも第２凹部２１３Ａ１の内側に設けられている。よって、第１被覆樹脂２５４Ａ１や第２被覆樹脂２５５Ａ１が設けられていない場合と比較して、これらの隙間を経由しての水分及びガスの侵入を抑制することができる。

【0051】

第１前方バリア導体３１２Ａ１及び第１前方突出導体３１４Ａ１は、一体に互いに接続されている。すなわち、第１前方バリア導体３１２Ａ１及び第１前方突出導体３１４Ａ１は、一体化されている。よって、第１前方バリア導体３１２Ａ１及び第１前方突出導体３１４Ａ１が互いに離間している場合と比較して、第１前方バリア導体３１２Ａ１及び第１前方突出導体３１４Ａ１を設けるためのスペースを小さくすることができる。同様に、第２前方バリア導体３２２Ａ１及び第２前方突出導体３２４Ａ１は、一体に互いに接続されている。すなわち、第２前方バリア導体３２２Ａ１及び第２前方突出導体３２４Ａ１は、一体化されている。よって、第２前方バリア導体３２２Ａ１及び第２前方突出導体３２４Ａ１が互いに離間している場合と比較して、第２前方バリア導体３２２Ａ１及び第２前方突出導体３２４Ａ１を設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0052】

実施形態では、第１前方突出導体及び第２前方導出導体がＹ方向に並んでいる。すなわち、電池要素１００がＹ方向に交互に積層された複数の正極及び複数の負極を有する場合、第１前方突出導体及び第２前方導出導体は、これらの正極及び負極の積層方向に対して略平行な方向に並んでいる。しかしながら、第１前方突出導体及び第２前方導出導体は、当該積層方向に対して略垂直な方向に並んでいてもよい。すなわち、第１前方突出導体及び第２前方導出導体は、Ｚ方向に並んでいてもよい。例えば、バスバー等の外部接続導体が電池セルの上方又は下方に配置されることがある。第１前方突出導体及び第２前方導出導体がＺ方向に並んでいる場合、第１前方突出導体及び第２前方導出導体がＹ方向に並んでいる場合と比較して、第１前方突出導体及び第２前方導出導体を外部接続導体に接続させやすくすることができる。

【0053】

図８は、実施形態２に係る前方蓋材２１０Ｂ及び前方導体３１０Ｂの分解斜視図である。実施形態２に係る前方蓋材２１０Ｂ及び前方導体３１０Ｂは、以下の点を除いて、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａと同様である。

【0054】

前方導体３１０Ｂは、前方バリア導体３１２Ｂ、外部突出導体３１４ａＢ及び内部突出導体３１４ｂＢを有している。前方バリア導体３１２Ｂは、ＹＺ平面に略平行な略板形状となっている。外部突出導体３１４ａＢ及び内部突出導体３１４ｂＢは、ＺＸ平面に略平行な略板形状となっている。外部突出導体３１４ａＢ及び内部突出導体３１４ｂＢは、前方バリア導体３１２ＢのＹ方向の略中央に配置されている。外部突出導体３１４ａＢは、前方バリア導体３１２Ｂの前面から前方に向けて突出している。内部突出導体３１４ｂＢは、前方バリア導体３１２Ｂの後面から後方に向けて突出している。

【0055】

前方蓋材２１０Ｂ及び前方導体３１０Ｂが互いに取り付けられた状態において、前方バリア導体３１２Ｂは、前方蓋材２１０Ｂの凹部２１２Ｂの底面の少なくとも一部分を覆っている。よって、前方バリア導体３１２Ｂが設けられていない場合と比較して、電池セルの封止性を向上させることができる。

【0056】

前方蓋材２１０Ｂ及び前方導体３１０Ｂが互いに取り付けられた状態において、外部突出導体３１４ａＢは、前方蓋材２１０Ｂの貫通孔２１４Ｂを貫通している。この状態において、外部突出導体３１４ａＢの前端は、前方蓋材２１０Ｂの前面より前方に向けて突出している。内部突出導体３１４ｂＢは、不図示の正極集電体に電気的に接続されている。よって、不図示の電池要素及び外部突出導体３１４ａＢは、前方バリア導体３１２Ｂ及び内部突出導体３１４ｂＢを介して電気的に接続されている。したがって、外部突出導体３１４ａＢは、正極タブとして機能している。

【0057】

前方バリア導体３１２Ｂ、外部突出導体３１４ａＢ及び内部突出導体３１４ｂＢは、一体に形成されている。すなわち、前方バリア導体３１２Ｂ、外部突出導体３１４ａＢ及び内部突出導体３１４ｂＢは、一体化されている。よって、前方バリア導体３１２Ｂ、外部突出導体３１４ａＢ及び内部突出導体３１４ｂＢが互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｂ、外部突出導体３１４ａＢ及び内部突出導体３１４ｂＢを互いに離間させるためのスペースとなる。よって、上述した場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｂ、外部突出導体３１４ａＢ及び内部突出導体３１４ｂＢを設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0058】

図９は、実施形態２に係る前方導体３１０Ｂの製造方法の一例を説明するための図である。この例において、前方導体３１０Ｂは、以下のようにして製造されている。

【0059】

まず、前方バリア導体３１２Ｂ及び前方導体要素３１４Ｂを準備する。前方バリア導体３１２Ｂには第１スリット３１３Ｂが設けられている。第１スリット３１３Ｂは、前方バリア導体３１２ＢのＹ方向の略中央部においてＺ方向に略平行に延在している。第１スリット３１３Ｂの上端は、上方に向けて開口されている。第１スリット３１３Ｂの下端は、前方バリア導体３１２ＢのＺ方向の略中央部に位置している。前方導体要素３１４Ｂには第２スリット３１５Ｂが設けられている。第２スリット３１５Ｂは、前方導体要素３１４ＢのＸ方向の略中央部においてＺ方向に略平行に延在している。第２スリット３１５Ｂの下端は、下方に向けて開口されている。第２スリット３１５Ｂの上端は、前方導体要素３１４ＢのＺ方向の略中央部に位置している。

【0060】

次いで、前方バリア導体３１２Ｂにおける第１スリット３１３Ｂの下方に位置する部分を第２スリット３１５ＢにＺ方向に挿通させ、前方導体要素３１４Ｂにおける第２スリット３１５Ｂの上方に位置する部分を第１スリット３１３ＢにＺ方向に挿通させる。この状態において、Ｚ方向から見て、前方バリア導体３１２Ｂ及び前方導体要素３１４Ｂは、略直交に配置されている。

【0061】

次いで、第１スリット３１３Ｂの周辺及び第２スリット３１５Ｂの周辺において前方バリア導体３１２Ｂ及び前方導体要素３１４Ｂを溶接等の方法によって互いに接合する。この状態において、前方導体要素３１４Ｂにおける前方バリア導体３１２Ｂの前方に位置する部分は外部突出導体３１４ａＢとなる。この状態において、前方導体要素３１４Ｂにおける前方バリア導体３１２Ｂの後方に位置する部分は内部突出導体３１４ｂＢとなる。

【0062】

導体要素の折り曲げ加工では、前方バリア導体３１２ＢのＹ方向の略中央部に外部突出導体３１４ａＢ、内部突出導体３１４ｂＢ等の突出導体を形成することが難しいことがある。これに対して、実施形態２では、外部突出導体３１４ａＢ及び内部突出導体３１４ｂＢが溶接等の方法によって前方バリア導体３１２Ｂに接合されている。よって、導体要素の折り曲げ加工と比較して、前方バリア導体３１２ＢのＹ方向の略中央部に外部突出導体３１４ａＢ、内部突出導体３１４ｂＢ等の突出導体を容易に形成することができる。

【0063】

図１０は、実施形態２に係る前方蓋材２１０Ｂ及び前方導体３１０Ｂの断面の一例の模式図である。図１０に示す断面は、前方蓋材２１０Ｂ及び前方導体３１０ＢのＺ方向の略中央部におけるＸＹ平面に平行な断面を示している。

【0064】

外部突出導体３１４ａＢの外側面と貫通孔２１４Ｂの内側面との間の隙間には封止樹脂２５２Ｂが埋め込まれている。よって、封止樹脂２５２Ｂが設けられていない場合と比較して、当該隙間を経由しての水分及びガスの侵入を抑制することができる。

【0065】

前方バリア導体３１２ＢのＹ方向の両端部と、凹部２１２ＢのＹ方向の両内側面と、の間の隙間は被覆樹脂２５４Ｂによって覆われている。被覆樹脂２５４Ｂは、この隙間よりも後方に設けられている。よって、被覆樹脂２５４Ｂが設けられていない場合と比較して、上述した隙間を経由しての水分及びガスの侵入を抑制することができる。

【0066】

図１１は、実施形態２の変形例に係る前方導体３１０Ｂ１の斜視図である。

【0067】

本変形例に係る前方導体３１０Ｂ１は、前方バリア導体３１２Ｂ１及び突出導体３１４Ｂ１を有している。図１１に示すように、前方導体３１０Ｂ１は、実施形態２に係る内部突出導体３１４ｂＢに相当する導体を有していない。本変形例において、不図示の正極主電体は、前方バリア導体３１２Ｂ１の後面に電気的に接続されている。よって、不図示の電池要素及び突出導体３１４Ｂ１は、前方バリア導体３１２Ｂ１を介して電気的に接続されている。

【0068】

前方バリア導体３１２Ｂ１及び突出導体３１４Ｂ１は、一体に互いに接続されている。すなわち、前方バリア導体３１２Ｂ１及び突出導体３１４Ｂ１は、一体化されている。よって、前方バリア導体３１２Ｂ１及び突出導体３１４Ｂ１が互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｂ１及び突出導体３１４Ｂ１を設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0069】

実施形態２において、突出導体は、ＺＸ平面に対して略平行に配置されている。しかしながら、突出導体の向きは、この例に限定されない、例えば、突出導体は、ＸＹ平面に対して略平行に配置されていてもよい。

【0070】

図１２は、実施形態３に係る前方蓋材２１０Ｃ及び前方導体３１０Ｃの分解斜視図である。実施形態３に係る前方蓋材２１０Ｃ及び前方導体３１０Ｃは、以下の点を除いて、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａと同様である。

【0071】

Ｘ方向から見て、前方突出導体３１４Ｃは、前方バリア導体３１２ＣのＹ方向及びＺ方向の略中央に配置されている。前方突出導体３１４Ｃは、前方バリア導体３１２Ｃの前面に対して前方に向けて突出している。Ｘ方向から見て、前方突出導体３１４Ｃは、略四角形形状となっている。

【0072】

前方突出導体３１４Ｃは、前方バリア導体３１２Ｃに対してプレス加工されている。すなわち、前方突出導体３１４Ｃは、プレス加工によって前方バリア導体３１２Ｃの前面より前方に向けて突出している。この場合、前方バリア導体３１２Ｃ及び前方突出導体３１４Ｃが溶接等の方法によって互いに接合している場合と比較して、前方導体３１０Ｃを容易に製造することができる。ただし、前方導体３１０Ｃの製造方法はこの例に限定されない。例えば、前方バリア導体３１２Ｃ及び前方突出導体３１４Ｃは、溶接等の方法によって互いに接合されていてもよい。

【0073】

前方蓋材２１０Ｃ及び前方導体３１０Ｃが互いに取り付けられた状態において、前方バリア導体３１２Ｃは、前方蓋材２１０Ｃの凹部２１２Ｃの底面の少なくとも一部分を覆っている。よって、前方バリア導体３１２Ｃが設けられていない場合と比較して、電池セルの封止性を向上させることができる。

【0074】

前方蓋材２１０Ｃ及び前方導体３１０Ｃが互いに取り付けられた状態において、前方突出導体３１４Ｃは、前方蓋材２１０Ｃの貫通孔２１４Ｃを貫通している。この状態において、前方突出導体３１４Ｃの前面は、前方蓋材２１０Ｃの前面より前方に向けて突出している。不図示の正極集電体は、前方バリア導体３１２Ｃの後面に電気的に接続されている。よって、不図示の電池要素及び前方突出導体３１４Ｃは、前方バリア導体３１２Ｃを介して互いに電気的に接続されている。したがって、前方突出導体３１４Ｃは、正極端子として機能している。

【0075】

前方バリア導体３１２Ｃ及び前方突出導体３１４Ｃは、一体に互いに接続されている。すなわち、前方バリア導体３１２Ｃ及び前方突出導体３１４Ｃは、一体化されている。よって、前方バリア導体３１２Ｃ及び前方突出導体３１４Ｃが互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｃ及び前方突出導体３１４Ｃを設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0076】

図１３は、実施形態３の変形例に係る前方蓋材２１０Ｃ１及び前方導体３１０Ｃ１の分解斜視図である。本変形例に係る前方蓋材２１０Ｃ１及び前方導体３１０Ｃ１は、以下の点を除いて、実施形態３に係る前方蓋材２１０Ｃ及び前方導体３１０Ｃと同様である。

【0077】

本変形例に係る前方導体３１０Ｃ１は、複数の前方突出導体３１４Ｃ１を有している。実施形態と同様にして、各前方突出導体３１４Ｃ１は、前方バリア導体３１２Ｃ１に対してプレス加工されている。図１３に示す例では、Ｘ方向から見て、２つの前方突出導体３１４Ｃ１が略四角形の前方バリア導体３１２Ｃ１の対角に配置されている。ただし、前方突出導体３１４Ｃ１の数及び配置は、図１３に示す例に限定されない。例えば、Ｘ方向から見て、４つの前方突出導体３１４Ｃ１が略四角形の前方バリア導体３１２Ｃ１の四隅に配置されていてもよい。

【0078】

本変形例においても、前方蓋材２１０Ｃ１及び前方導体３１０Ｃ１が互いに取り付けられた状態において、前方バリア導体３１２Ｃ１が前方蓋材２１０Ｃ１の凹部２１２Ｃ１の底面の少なくとも一部分を覆っている。この状態において、各前方突出導体３１４Ｃ１は、前方蓋材２１０Ｃ１の各貫通孔２１４Ｃ１を貫通している。この状態において、各前方突出導体３１４Ｃ１の前端面は、前方蓋材２１０Ｃ１の前面より前方に向けて突出している。各貫通孔２１４Ｃ１は、正極端子として機能することができる。

【0079】

本変形例においても、前方バリア導体３１２Ｃ１及び各前方突出導体３１４Ｃ１は、一体に互いに接続されている。すなわち、前方バリア導体３１２Ｃ１及び各前方突出導体３１４Ｃ１は、一体化されている。よって、前方バリア導体３１２Ｃ１及び各前方突出導体３１４Ｃ１が互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｃ１及び各前方突出導体３１４Ｃ１を設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0080】

図１４は、実施形態４に係る前方蓋材２１０Ｄ及び前方導体３１０Ｄの断面模式図である。図１４に示す断面は、前方蓋材２１０Ｄ及び前方導体３１０ＤのＺ方向の略中央部におけるＸＹ平面に平行な断面を示している。実施形態４に係る前方蓋材２１０Ｄ及び前方導体３１０Ｄは、以下の点を除いて、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａと同様である。

【0081】

前方導体３１０Ｄは、前方バリア導体３１２Ｄ及び前方突出導体３１４Ｄを有している。実施形態４において、前方バリア導体３１２Ｄ及び前方突出導体３１４Ｄは、押出成形によって一体に加工された金属ブロックである。すなわち、前方バリア導体３１２Ｄ及び前方突出導体３１４Ｄは、一体化された押出成形品である。仮に、前方突出導体３１４Ｄがプレス加工によって前方バリア導体３１２Ｄに対して突出している場合、前方突出導体３１４Ｄに起因する凹みが前方バリア導体３１２Ｄの後面に形成されることがある。これに対して、実施形態４では、このような凹みが前方バリア導体３１２Ｄの後面に形成されなくすることができる。よって、実施形態４では、前方突出導体３１４Ｄがプレス加工によって前方バリア導体３１２Ｄに対して突出している場合と比較して、前方導体３１０Ｄに流れる許容電流を大きくしやすくすることができる。

【0082】

前方バリア導体３１２Ｄは、前方蓋材２１０Ｄの凹部２１２Ｄの底面の少なくとも一部分を覆っている。前方バリア導体３１２Ｄの後面には、不図示の正極集電体又は不図示の負極集電体が電気的に接続されている。前方突出導体３１４Ｄは、前方バリア導体３１２Ｄの前面から前方に向けて突出している。前方突出導体３１４Ｄは、前方蓋材２１０Ｄの貫通孔２１４ＤをＸ方向に略平行に貫通している。前方突出導体３１４Ｄの前端部は、前方蓋材２１０Ｄの前面より前方に向けて突出している。

【0083】

実施形態４においても、前方バリア導体３１２Ｄ及び前方突出導体３１４Ｄが互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｄ及び前方突出導体３１４Ｄを設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0084】

図１５は、実施形態５の第１例に係る前方蓋材２１０Ｅ及び前方導体３１０Ｅ１の断面模式図である。図１５に示す断面は、前方蓋材２１０Ｅ及び前方導体３１０Ｅ１のＺ方向の略中央部におけるＸＹ平面に平行な断面を示している。実施形態５の第１例に係る前方蓋材２１０Ｅ及び前方導体３１０Ｅ１は、以下の点を除いて、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａと同様である。

【0085】

以下、必要に応じて、Ｙ方向を示す矢印が示す側を＋Ｙ側といい、Ｙ方向を示す矢印が示す反対側を－Ｙ側という。

【0086】

前方導体３１０Ｅ１は、前方バリア導体３１２Ｅ１及び突出導体３１４Ｅ１を有している。実施形態５の第１例において、前方導体３１０Ｅ１は、金属リード板等の導体板である。図１５に示す例において、前方導体３１０Ｅ１は、Ｚ方向から見て、略Ｌ字形状となっている。

【0087】

前方バリア導体３１２Ｅ１は、前方蓋材２１０Ｅの凹部２１２Ｅの底面の少なくとも一部分を覆っている。Ｚ方向から見て、前方バリア導体３１２Ｅ１は、凹部２１２Ｅの＋Ｙ側の端部から－Ｙ側の端部にかけて延在している。前方バリア導体３１２Ｅ１の後面には、不図示の正極集電体又は不図示の負極集電体が電気的に接続されている。

【0088】

Ｚ方向から見て、突出導体３１４Ｅ１は、前方バリア導体３１２Ｅ１の－Ｙ側の端部に対して略直角に折り曲げられている。突出導体３１４Ｅ１は、前方バリア導体３１２Ｅ１から前方に向けて突出している。突出導体３１４Ｅ１は、前方蓋材２１０Ｅの貫通孔２１４ＥをＸ方向に略平行に貫通している。突出導体３１４Ｅ１の前端部は、前方蓋材２１０Ｅの前面より前方に向けて突出している。

【0089】

実施形態５の第１例においても、前方バリア導体３１２Ｅ１及び突出導体３１４Ｅ１が互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｅ１及び突出導体３１４Ｅ１を設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0090】

図１６は、実施形態５の第２例に係る前方蓋材２１０Ｅ及び前方導体３１０Ｅ２の断面模式図である。図１６に示す断面は、前方蓋材２１０Ｅ及び前方導体３１０Ｅ２のＺ方向の略中央部におけるＸＹ平面に平行な断面を示している。実施形態５の第２例に係る前方蓋材２１０Ｅ及び前方導体３１０Ｅ２は、以下の点を除いて、実施形態５の第１例に係る前方蓋材２１０Ｅ及び前方導体３１０Ｅ１と同様である。

【0091】

前方導体３１０Ｅ２は、前方バリア導体３１２Ｅ２及び突出導体３１４Ｅ２を有している。図１６に示す例において、前方導体３１０Ｅ２は、Ｚ方向から見て、略Ｌ字形状となっている。

【0092】

前方バリア導体３１２Ｅ２は、前方蓋材２１０Ｅの前面の少なくとも一部分を覆っていなっている。Ｚ方向から見て、前方バリア導体３１２Ｅ２の＋Ｙ側の端部は、凹部２１２Ｅの＋Ｙ側の端部とＸ方向に重なっている。Ｚ方向から見て、前方バリア導体３１２Ｅ２の－Ｙ側の端部は、凹部２１２Ｅの－Ｙ側の端部とＸ方向に重なっている。Ｚ方向から見て、前方バリア導体３１２Ｅ２は、前方バリア導体３１２Ｅ２のこれらの端部の間でＺ方向に略平行に延在している。

【0093】

Ｚ方向から見て、突出導体３１４Ｅ２は、前方バリア導体３１２Ｅ２の－Ｙ側の端部に対して略直角に折り曲げられている。突出導体３１４Ｅ２は、前方バリア導体３１２Ｅ２から後方に向けて突出している。突出導体３１４Ｅ２は、前方蓋材２１０Ｅの貫通孔２１４ＥをＸ方向に略平行に貫通している。突出導体３１４Ｅ２の後端部は、凹部２１２Ｅの底面より後方に向けて突出している。突出導体３１４Ｅ２には、不図示の正極集電体又は不図示の負極集電体が電気的に接続されている。

【0094】

実施形態５の第２例においても、前方バリア導体３１２Ｅ２及び突出導体３１４Ｅ２が互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｅ２及び突出導体３１４Ｅ２を設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0095】

実施形態５において、前方導体は、Ｚ方向から見て、略Ｌ字形状となっている。しかしながら、前方導体の向きは、この例に限定されない。例えば、前方導体は、Ｙ方向から見て、略Ｌ字形状となっていてもよい。

【0096】

図１７は、実施形態６の第１例に係る前方蓋材２１０Ｆ及び前方導体３１０Ｆ１の断面模式図である。図１７に示す断面は、前方蓋材２１０Ｆ及び前方導体３１０Ｆ１のＺ方向の略中央部におけるＸＹ平面に平行な断面を示している。実施形態６の第１例に係る前方蓋材２１０Ｆ及び前方導体３１０Ｆ１は、以下の点を除いて、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａと同様である。

【0097】

前方導体３１０Ｆ１は、前方バリア導体３１２Ｆ１及び突出導体３１４Ｆ１を有している。前方バリア導体３１２Ｆ１は、延在部３１２Ｆ１ａ及び折返し部３１２Ｆ１ｂを含んでいる。実施形態６の第１例において、前方導体３１０Ｆ１は、金属リード板等の導体板である。図１７に示す例において、前方導体３１０Ｆ１は、Ｚ方向から見て、略Ｔ字形状となっている。

【0098】

前方バリア導体３１２Ｆ１は、前方蓋材２１０Ｆの凹部２１２Ｆの底面の少なくとも一部分を覆っている。具体的には、Ｚ方向から見て、延在部３１２Ｆ１ａは、凹部２１２Ｆの＋Ｙ側の端部から－Ｙ側の端部にかけて延在している。延在部３１２Ｆ１ａの後面には、不図示の正極集電体又は負極集電体が電気的に接続されている。Ｚ方向から見て、折返し部３１２Ｆ１ｂは、延在部３１２Ｆ１ａの－Ｙ側の端部に対して略１８０°折り返されている。Ｚ方向から見て、折返し部３１２Ｆ１ｂは、凹部２１２Ｆの－Ｙ側の端部から凹部２１２ＦのＹ方向の略中央部にかけて延在している。

【0099】

Ｚ方向から見て、突出導体３１４Ｆ１は、折返し部３１２Ｆ１ｂの＋Ｙ側の端部に対して略直角に折り曲げられている。突出導体３１４Ｆ１は、折返し部３１２Ｆ１ｂから前方に向けて突出している。突出導体３１４Ｆ１は、前方蓋材２１０Ｆの貫通孔２１４ＦをＸ方向に略平行に貫通している。突出導体３１４Ｆ１の前端部は、前方蓋材２１０Ｆの前面より前方に向けて突出している。

【0100】

実施形態６の第１例においても、前方バリア導体３１２Ｆ１及び突出導体３１４Ｆ１が互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｆ１及び突出導体３１４Ｆ１を設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0101】

図１８は、実施形態６の第２例に係る前方蓋材２１０Ｆ及び前方導体３１０Ｆ２の断面模式図である。図１８に示す断面は、前方蓋材２１０Ｆ及び前方導体３１０Ｆ２のＺ方向の略中央部におけるＸＹ平面に平行な断面を示している。実施形態６の第２例に係る前方蓋材２１０Ｆ及び前方導体３１０Ｆ２は、以下の点を除いて、実施形態６の第１例に係る前方蓋材２１０Ｆ及び前方導体３１０Ｆ１と同様である。

【0102】

前方導体３１０Ｆ２は、前方バリア導体３１２Ｆ２及び突出導体３１４Ｆ２を有している。前方バリア導体３１２Ｆ２は、延在部３１２Ｆ２ａ及び折返し部３１２Ｆ２ｂを含んでいる。図１８に示す例において、前方導体３１０Ｆ２は、Ｚ方向から見て、略Ｔ字形状となっている。

【0103】

前方バリア導体３１２Ｆ２は、前方蓋材２１０Ｆの前面の少なくとも一部分を覆っている。具体的には、Ｚ方向から見て、延在部３１２Ｆ２ａの＋Ｙ側の端部は、凹部２１２Ｆの＋Ｙ側の端部とＸ方向に重なっている。Ｚ方向から見て、延在部３１２Ｆ２ａの－Ｙ側の端部は、凹部２１２Ｆの－Ｙ側の端部とＸ方向に重なっている。Ｚ方向から見て、延在部３１２Ｆ２ａは、延在部３１２Ｆ２ａのこれらの端部の間でＹ方向に略平行に延在している。折返し部３１２Ｆ２ｂは、延在部３１２Ｆ１ａの－Ｙ側の端部に対して略１８０°折り返されている。Ｚ方向から見て、折返し部３１２Ｆ２ｂは、Ｙ方向に略平行に延在している。Ｚ方向から見て、折返し部３１２Ｆ２ｂの＋Ｙ側の端部は、凹部２１２ＦのＹ方向の略中央部とＸ方向に重なっている。

【0104】

Ｚ方向から見て、突出導体３１４Ｆ２は、折返し部３１２Ｆ２ｂの＋Ｙ側の端部に対して略直角に折り曲げられている。突出導体３１４Ｆ２は、折返し部３１２Ｆ２ｂから後方に向けて突出している。突出導体３１４Ｆ２は、前方蓋材２１０Ｆの貫通孔２１４ＦをＸ方向に略平行に貫通している。突出導体３１４Ｆ２の後端部は、凹部２１２Ｆの底面より後方に向けて突出している。突出導体３１４Ｆ２には、不図示の正極集電体又は負極集電体が電気的に接続されている。

【0105】

実施形態６の第２例においても、前方バリア導体３１２Ｆ２及び突出導体３１４Ｆ２が互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｆ２及び突出導体３１４Ｆ２を設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0106】

実施形態６において、前方導体は、Ｚ方向から見て、略Ｔ字形状となっている。しかしながら、前方導体の向きは、この例に限定されない。例えば、前方導体は、Ｙ方向から見て、略Ｔ字形状となっていてもよい。

【0107】

図１９は、実施形態７に係る前方蓋材２１０Ｇ及び前方導体３１０Ｇの断面模式図である。図１９に示す断面は、前方蓋材２１０Ｇ及び前方導体３１０ＧのＺ方向の略中央部におけるＸＹ平面に平行な断面を示している。実施形態７に係る前方蓋材２１０Ｇ及び前方導体３１０Ｇは、以下の点を除いて、実施形態１に係る前方蓋材２１０Ａ及び前方導体３１０Ａと同様である。

【0108】

前方導体３１０Ｇは、前方バリア導体３１２Ｇ及び一対の突出導体３１４Ｇを有している。実施形態７において、前方導体３１０Ｇは、金属リード板等の導体板である。図１９に示す例において、前方導体３１０Ｇは、Ｚ方向から見て、略ｎ字形状又は略Ｕ字形状となっている。

【0109】

前方バリア導体３１２Ｇは、前方蓋材２１０Ｇの前面の少なくとも一部分を覆っている。前方バリア導体３１２Ｇ及び前方蓋材２１０Ｇの凹部２１２Ｇは、少なくとも部分的にＸ方向に互いに重なっている。Ｚ方向から見て、前方バリア導体３１２Ｇの＋Ｙ側の端部は、凹部２１２Ｇの＋Ｙ側の端部とＸ方向に重なっている。Ｚ方向から見て、前方バリア導体３１２Ｇの－Ｙ側の端部は、凹部２１２Ｇの－Ｙ側の端部とＸ方向に重なっている。Ｚ方向から見て、前方バリア導体３１２Ｇは、前方バリア導体３１２Ｇのこれらの端部の間でＹ方向に略平行に延在している。

【0110】

Ｚ方向から見て、一対の突出導体３１４Ｇは、前方バリア導体３１２Ｇの＋Ｙ側の端部及び－Ｙ側の端部に対して略直角に折り曲げられている。各突出導体３１４Ｇは、前方バリア導体３１２Ｇから後方に向けて突出している。各突出導体３１４Ｇは、前方蓋材２１０Ｇの貫通孔２１４ＧをＸ方向に略平行に貫通している。各突出導体３１４Ｇの後端部は、凹部２１２Ｇの底面より後方に向けて突出している。一対の突出導体３１４Ｇの双方には、例えば、不図示の正極集電体又は不図示の負極集電体が電気的に接続されている。或いは、一対の突出導体３１４Ｇの一方に正極集電体が電気的に接続され、一対の突出導体３１４Ｇの他方に負極集電体が電気的に接続されていてもよい。

【0111】

実施形態７においても、前方バリア導体３１２Ｇ及び一対の突出導体３１４Ｇが互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｇ及び一対の突出導体３１４Ｇを設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0112】

実施形態７においては、一対の突出導体３１４Ｇが、前方蓋材２１０Ｇの前面の少なくとも一部分を覆う前方バリア導体３１２Ｇから後方に向けて突出している。しかしながら、実施形態１と同様にして、一対の突出導体３１４Ｇが、凹部２１２Ｇの底面の少なくとも一部分を覆う前方バリア導体３１２Ｇから前方に向けて突出していてもよい。この例においても、前方バリア導体３１２Ｇ及び一対の突出導体３１４Ｇが互いに離間している場合と比較して、前方バリア導体３１２Ｇ及び一対の突出導体３１４Ｇを設けるためのスペースを小さくすることができる。

【0113】

実施形態７において、前方導体３１０Ｇは、Ｚ方向から見て、略ｎ字形状又は略Ｕ字形状となっている。しかしながら、前方導体３１０Ｇの向きは、この例に限定されない。例えば、前方導体３１０Ｇは、Ｙ方向から見て、略ｎ字形状又は略Ｕ字形状となっていてもよい。

【0114】

以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。

【符号の説明】

【0115】

１０Ａ 電池セル
１００ 電池要素
１０２ａ 正極集電体
１０４ａ 負極集電体
２１０Ａ，２１０Ａ１，２１０Ｂ，２１０Ｃ，２１０Ｃ１，２１０Ｄ，２１０Ｅ，２１０Ｆ，２１０Ｇ 前方蓋材
２１１Ａ１ 隔壁
２１２Ａ，２１２Ｂ，２１２Ｃ，２１２Ｃ１，２１２Ｄ，２１２Ｅ，２１２Ｆ，２１２Ｇ 凹部
２１２Ａ１ 第１凹部
２１３Ａ１ 第２凹部
２１４Ａ，２１４Ｂ，２１４Ｃ，２１４Ｃ１，２１４Ｄ，２１４Ｅ，２１４Ｆ，２１４Ｇ 貫通孔
２１４Ａ１ 第１貫通孔
２１５Ａ１ 第２貫通孔
２１６Ａ 係止部
２１６Ａ１ 第１係止部
２１７Ａ１ 第２係止部
２２０Ａ 後方蓋材
２５２Ａ，２５２Ｂ 封止樹脂
２５２Ａ１ 第１封止樹脂
２５３Ａ１ 第２封止樹脂
２５４Ａ，２５４Ｂ 被覆樹脂
２５４Ａ１ 第１被覆樹脂
２５５Ａ１ 第２被覆樹脂
３１０Ａ，３１０Ｂ，３１０Ｂ１，３１０Ｃ，３１０Ｃ１，３１０Ｄ，３１０Ｅ１，３１０Ｅ２，３１０Ｆ１，３１０Ｆ２，３１０Ｇ 前方導体
３１０Ａ１ 第１前方導体
３１２Ａ，３１２Ｂ，３１２Ｂ１，３１２Ｃ，３１２Ｃ１，３１２Ｄ，３１２Ｅ１，３１２Ｅ２，３１２Ｆ１，３１２Ｆ２，３１２Ｇ 前方バリア導体
３１２Ａ１ 第１前方バリア導体
３１２Ｆ１ａ，３１２Ｆ２ａ 延在部
３１２Ｆ１ｂ，３１２Ｆ２ｂ 折返し部
３１３Ｂ 第１スリット
３１４Ａ，３１４Ｃ，３１４Ｃ１，３１４Ｄ 前方突出導体
３１４Ａ１ 第１前方突出導体
３１４Ｂ 前方導体要素
３１４ａＢ 外部突出導体
３１４ｂＢ 内部突出導体
３１４Ｂ１ 突出導体
３１４Ｅ１，３１４Ｅ２，３１４Ｆ１，３１４Ｆ２，３１４Ｇ 突出導体
３１５Ｂ 第２スリット
３２０Ａ 後方導体
３２０Ａ１ 第２前方導体
３２２Ａ１ 第２前方バリア導体
３２４Ａ 後方突出導体
３２４Ａ１ 第２前方突出導体
４００ 外装フィルム
４０２ 巻付部分
４０４ 引出部分
４０４ａ 第１引出部分
４０４ｂ 第２引出部分
５００ 収容空間
５１０ 前方封止部
５２０ 後方封止部
５３０ 側方封止部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】