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特開2024-10397水密部材及び止水装置並びに水密部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010397
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】水密部材及び止水装置並びに水密部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/23 20060101AFI20240117BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20240117BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20240117BHJP
   E06B 9/06 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
E06B7/23 A
E06B5/00 Z
E06B7/22 A
E06B7/23 T
E06B9/06 610Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111715
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安西 利樹
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036DA12
2E036EB07
2E036EC01
2E036EC03
2E036EC04
2E036GA02
2E036HB08
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 弾性水密部を容易にしっかりと固定する。
【解決手段】
水密部材であって、一方側の面を圧接面81aにするとともに他方側の面を基端面81bにした弾性水密部81と、弾性水密部81よりも硬質な材料から形成され弾性水密部81の基端面側に埋め込まれたた支持片82と、支持片82とは別体であって弾性水密部81よりも硬質な材料から形成され圧接面81aを前記一方側へ突出させたホルダー83とを備え、弾性水密部81の基端面81bがホルダー83に圧接され、支持片82がホルダー83に接合されている。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の面を圧接面にするとともに他方側の面を基端面にした弾性水密部と、前記弾性水密部よりも硬質な材料から形成され前記弾性水密部の基端面側に埋め込まれた支持片と、前記支持片とは別体であって前記弾性水密部よりも硬質な材料から形成され前記圧接面を前記一方側へ突出させたホルダーとを備え、
前記弾性水密部の前記基端面が前記ホルダーに圧接され、前記支持片が前記ホルダーに接合されていることを特徴とする水密部材。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記弾性水密部及び前記支持片を前記他方側から部分的に覆っていることを特徴とする請求項1記載の水密部材。
【請求項3】
前記支持片を前記ホルダーに接合する止着具を備え、
前記止着具が前記ホルダーに挿通されて前記支持片に螺合した調整ネジであり、この調整ネジの締め加減により、前記ホルダーに対する前記弾性水密部の圧接力が変化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の水密部材。
【請求項4】
前記基端面に圧接される前記ホルダーの内底面には、前記基端面を部分的に収縮させるように突起が設けられていることを特徴とする請求項1記載の水密部材。
【請求項5】
前記支持片は、前記ホルダーの内底面に接触又は近接する基部と、該基部における前記一方側で張り出した鍔部とを、前記弾性水密部の内部に嵌め合わせていることを特徴とする請求項1記載の水密部材。
【請求項6】
請求項1~5何れか1項記載の水密部材を具備したことを特徴とする止水装置。
【請求項7】
下方向へ積み重ねられる複数のパネルと、これらパネルを横幅方向の両側で上下方向へ案内するガイドレールとを備え、
前記水密部材の前記ホルダーを前記ガイドレールに固定するとともに、同水密部材の前記弾性水密部を前記パネルに圧接するようにして、止水パネルシャッターを構成したことを特徴とする請求項6記載の止水装置。
【請求項8】
弾性水密部を弾性変形させて支持片に対し厚さ方向の一方側から嵌め合わせる工程を含むことを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の水密部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水密部材、及び止水パネルシャッターを含む止水装置、並びに水密部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、上下方向へ積み重ねられる複数のパネルと、これらパネルを横幅方向の両側で上下方向へ案内するガイド部(ガイドレール)と、積み重ねられた前記複数のパネルを上方側から下方へ押圧して、これらパネルを下方側不動面に圧接する垂直圧迫手と、前記ガイド部内にて前記複数のパネルを屋内側へ押圧する水平方向押圧手段と、前記ガイド部内にて前記水平方向押圧手段により押圧された前記複数のパネルを受けて水密性を保持する水密ゴム部材とを具備したものがある。
この発明では、前記水密ゴム部材を、前記ガイド部内に形成した凹状部分に嵌め合わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-94774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、上記水密ゴム部材を上記凹状部分に嵌め合わせる作業が困難であったり、上記水密ゴム部材が上下動作したパネルに擦れて上下にずれて水密性を損ねてしまったり等するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
一方側の面を圧接面にするとともに他方側の面を基端面にした弾性水密部と、前記弾性水密部よりも硬質な材料から形成され前記弾性水密部の基端面側に埋め込まれた支持片と、前記支持片とは別体であって前記弾性水密部よりも硬質な材料から形成され前記圧接面を前記一方側へ突出させたホルダーとを備え、
前記弾性水密部の前記基端面が前記ホルダーに圧接され、前記支持片が前記ホルダーに接合されていることを特徴とする水密部材。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、弾性水密部を容易にしっかりと固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る水密部材を具備した止水装置の一例を示す正面図である。
図2】同止水装置の縦断面図である。
図3】同止水装置の要部横断面図である。
図4】水密部材の一例を示す要部斜視図である。
図5】弾性水密部を支持片に装着しようとしている状態を示す要部斜視図である。
図6】弾性水密部及び支持片をホルダーに装着しようとしている状態を示す要部斜視図である。
図7】弾性水密部を支持片に装着する様子を(a)~(d)に順次に示す横断面図である。
図8】弾性水密部及び支持片をホルダーに装着する様子を(a)~(b)に順次に示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本明細書中、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。
「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
「開閉体幅方向外側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の外側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向外側は、右方向側になる。
また、「開閉体幅方向内側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の内側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向内側は、左方向側になる。
【0009】
図1図3は、本発明に係る水密部材を備えた止水装置の一例を示す。
この止水装置1は、空間を仕切るようにして閉鎖動作し不動面Gに当接し全閉する開閉体10と、開閉体10の幅方向の両端部をそれぞれ囲んで開閉方向へ案内する左右のガイドレール20,20と、開閉体10を上方側で収納したり繰り出したりする開閉体収納部30と、全閉状態の開閉体10の上端の被押圧部10aに対し、その開放方向側から当接して開閉体10を閉鎖方向へ押圧する閉鎖方向押圧装置40と、全閉状態の開閉体10が水圧により屋内側へ撓むのを抑制する撓み抑制装置60とを備え、各ガイドレール20内に、厚さ方向押圧装置50及び水密部材80を設けている。
そして、この止水装置1は、建物等の躯体開口部を開閉体10によって開閉するように設置されて止水パネルシャッター装置として機能する。
【0010】
開閉体10は、複数のパネル11,12と、これらパネル11,12に接続されたパネル連繋チェーン14とを具備する(図1図3参照)。
複数のパネル11,12のうち、最も開放方向側のパネル12は、他のパネル11よりも開閉方向の寸法が小さい。
【0011】
パネル11は、開閉体幅方向へ長尺な正面視矩形板状の部材である。このパネル11は、金属材料を引抜成形又は押出成形することで、上下に仕切られた空洞を有する。
このパネル11の下端部は、開閉体幅方向の全長にわたって縦断面略V字状に突出しており、その突出する外面には、シール部16が一体的に設けられる。
【0012】
シール部16は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から、パネル11下端に沿う縦断面V字状に形成され、パネル11の下端部に開閉体幅方向の全長にわたって接合されている。
【0013】
また、パネル11の上端部には、シール部16に嵌り合うように、開閉体幅方向の全長にわたって縦断面略V溝状の凹部11aが形成される。
そして、パネル11の上部側には、開閉体幅方向の両端からそれぞれ、突出するように支持軸部13が設けられる。
【0014】
最上部のパネル12は、開閉体幅方向へ長尺状に連続する正面視矩形状を呈し、パネル11よりも高さ寸法が小さい。
このパネル12は、パネル11と略同様に、金属材料を引抜成形又は押出成形することで、開閉体幅方向に連続する空洞を有する。
このパネル12の下端側と上端側には、パネル11と同様に、シール部16と支持軸部13が設けられる。また、パネル12の上端には、開閉体幅方向へわたって連続する凹部12aが設けられる。
【0015】
支持軸部13は、各パネル11,12の幅方向(図1によれば左右方向)の両端部から、それぞれ、開閉体幅方向外側へ突出している。
この支持軸部13は、パネル連繋チェーン14に挿通された軸状部材の先端側に、ローラを回転自在に支持してなる。
【0016】
パネル連繋チェーン14は、動力伝達用等に用いられる所謂ローラチェーンであり、その長さ方向において所定間隔置きに支持軸部13を回転自在に挿通させている。
このパネル連繋チェーン14は、上下方向のすべてのパネル11,12を、支持軸部13を介して連結し、その上端側が開閉体収納部30のスプロケット31に掛けられている。
【0017】
また、各パネル11の下端側における屋内寄りには、ガイド軸部15が設けられている(図2参照)。
ガイド軸部15は、各パネル11の幅方向端部から突出する軸状部材の先端側にローラを回転自在に支持してなる。このガイド軸部15は、各パネル11が開閉体収納部30によって収納される際に、開閉体収納部30のガイド部材34に係合し案内され、開閉体厚さ方向の振れを抑制する。
【0018】
ガイドレール20は、閉鎖状態の開閉体10の幅方向端部を囲むように、横断面凹状もしくはコ字状に形成される(図3参照)。このガイドレール20は、不動面Gから開閉体収納部30へわたる長尺状に形成される。
ガイドレール20内には、閉鎖状態の開閉体10を屋外側から屋内側へ押圧する厚さ方向押圧装置50と、この厚さ方向押圧装置50によって押動された開閉体10を屋内側から受ける水密部材80とが設けられる。
【0019】
厚さ方向押圧装置50は、全閉状態の開閉体10を、上下方向にわたって屋内側へ押圧する装置である。この厚さ方向押圧装置50は、例えば、開閉体10の屋外側面に当接する当接部材と、該当接部材を屋内側へ平行移動するリンク機構と、モータ等の駆動源とを具備して構成される。
【0020】
開閉体収納部30は、止水装置1の設置対象物である躯体等の壁面に固定される。
この開閉体収納部30は、図2に示すように、パネル連繋チェーン14を掛け回したスプロケット31と、このスプロケット31を電動で双方向へ回転させる駆動機構32(例えば、回転モータやチェーン、スプロケット等から構成される)と、パネル11,12を、支持軸部13を介して吊持して前後方向へ導く収納レール33と、パネル11下端側のガイド軸部15を水平方向へ案内するガイド部材34とを具備している。
この開閉体収納部30は、駆動機構32によりスプロケット31を一方向へ回転させることで、収納状態にある複数のパネル11,12を屋外側へ順次に繰り出して下方へ閉鎖動作させる。また、同開閉体収納部30は、駆動機構32によりスプロケット31を逆方向へ回転させることで、閉鎖状態にあるパネル11,12を開放動作させ、上方側で屋内側へ収納する。
【0021】
また、閉鎖方向押圧装置40は、開閉体幅方向に間隔を置いた複数の押圧ユニット40aにより構成される(図1参照)。
各押圧ユニット40aは、ピストンシリンダー機構や駆動装置等によって、全閉状態の開閉体10の上端部を下方へ押圧するように構成される。
【0022】
また、撓み抑制装置60は、上下方向へ長尺状に延設された可動柱61、可動柱61を吊持して開閉体幅方向へ移動するガイド機構62等を具備し、可動柱61を開閉体幅方向の端部側から中央側へ移動して開閉体10の屋内側面に押し付け、開閉体10の撓みを抑制する。
【0023】
また、水密部材80は、開閉体10に圧接される一方側の面を圧接面81aにするとともに他方側(異なる表現をすれば、逆側)の面を基端面81bにした弾性水密部81と、弾性水密部81よりも硬質な材料から形成され弾性水密部81の基端面側に一体的に埋め込まれた支持片82と、支持片82とは別体であって弾性水密部81よりも硬質な材料から形成され弾性水密部81及び支持片82を前記他方側から部分的に略凹状に覆うとともに圧接面81aを前記一方側へ突出させたホルダー83とを備え、弾性水密部81の基端面81bが支持片82の周囲でホルダー83に圧接され、支持片82が止着具84によってホルダー83に接合されている(図4図8参照)。
ここで、前記「別体」とは、支持片82とホルダー83がそれぞれ別部品であり、分離(分割)可能であることを意味する。
【0024】
弾性水密部81は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から形成され、圧接面81aと基端面81bを有する略矩形状の断面を上下方向へわたる長尺状に連続している(図5参照)。この弾性水密部81は、開閉体10の屋内側面に対し上下方向にわたって略平坦状の圧接面81aを密接させる。
【0025】
弾性水密部81の基端面側には、長手方向の全長にわたって、支持片82を埋め込むように嵌め合わせるための嵌合凹部81cが設けられる。
嵌合凹部81cは、基端面81bにおいて前記長手方向に交差する幅方向(図示例によれば水平方向)の寸法が比較的小さくなるように開口した幅狭部81c1と、この幅狭部81c1の奥側で前記幅方向の寸法を拡大した幅広部81c2と有する。すなわち、この嵌合凹部81cは、開口側よりも奥側(圧接面81a側)が広くなった略凹状の溝である(図5参照)。
【0026】
支持片82は、金属等の硬質材料(例えば、アルミニウム合金等)により、前記長手方向へわたって弾性水密部81の嵌合凹部81cに嵌り合うように形成される。
この支持片82は、ホルダー83のは内壁面83aに接触又は近接する基部82aと、この基部82aにおける一方寄り(図示例によれば圧接面81a側)で幅方向へ張り出した鍔部82bとを有する横断面略凸状に形成され、上下方向へ長尺状に連続している。
基部82aにおいて、ホルダー83の内壁面83aと接する面には、止着具84の先端側を挿入するための溝82cが設けられる(図8参照)。
【0027】
基部82aと鍔部82bは、それぞれ、弾性水密部81の幅狭部81c1と幅広部81c2に嵌り合うように形成される。
【0028】
溝82cは、止着具84を螺合可能な幅寸法に形成される。
【0029】
止着具84は、後述するホルダー83に挿通されて支持片82の溝82cに螺合した調整ネジである。この止着具84(調整ネジ)の締め加減により、ホルダー83に対する弾性水密部81の圧接力が変化する。
【0030】
ホルダー83は、金属等の硬質材料(例えば、アルミニウム合金等)により形成され、弾性水密部81及び支持片82の基端側部分に対向する内壁面83aと、この内壁面83aの両端側から突出して弾性水密部81の側面を覆う側壁部83b,83bとを有する。
このホルダー83は、内壁面83a及び側壁部83b,83bを有する略凹字状の横断面を、上下方向へわたる長尺状に連続している。
【0031】
ホルダー83の内壁面83aには、支持片82の基部82aを受ける支持片受面83a1と、弾性水密部81の基端面81bを受ける弾性水密部受面83a2と、この弾性水密部受面83a2よりも突出した位置で基端面81bを部分的に受けて収縮させる突起83a3とが設けられる。
【0032】
支持片受面83a1は、硬質の支持片82に接した場合に、弾性水密部81が弾性的に収縮する量を規制し、弾性水密部81のへたり等を防ぐ。
【0033】
弾性水密部受面83a2は、弾性水密部81の基端面81bにおける側方寄りの部分に接して該部分を弾性的に収縮させる。
【0034】
突起83a3は、弾性水密部受面83a2から部分的に突出して弾性水密部81の基端面81bに接することで、弾性水密部81を部分的に収縮させる。
この突起83a3は、弾性水密部81の上下方向の全長にわたって連続する突条である。
【0035】
弾性水密部受面83a2を基準にして、突起83a3が突出する量aは、支持片受面83a1が突出する量bよりも大きい(図8参照)。
すなわち、弾性水密部受面83a2よりも支持片受面83a1が突出しており、さらに支持片受面83a1よりも突起83a3が突出している。
【0036】
側壁部83bは、弾性水密部81の側部を、部分的に(図示例によれば、厚さ方向の半分程度)覆っている。したがって、開閉体10が弾性水密部81を押圧して、弾性水密部81の収縮量が過大な場合には、開閉体10が側壁部83bに当接して、弾性水密部81の過剰な収縮及びへたりを防ぐ。
【0037】
なお、図6中、符号83a4は、止着具84のネジ部分を貫通状に挿通するための挿通孔である。
【0038】
上記構成の水密部材80は、ホルダー83をガイドレール20内壁面に接触させて、止着具84により固定される。止着具84は、ガイドレール20及びホルダー83を貫通して支持片82に螺合される。
【0039】
次に、上記構成の止水装置1及び水密部材80について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
開閉体10を止水位置にするには、駆動機構32等を作動することにより、開閉体収納部30に収納されている複数のパネル11,12を、屋内側から屋外側へ移動し、さらにガイドレール20に沿って下方へ移動する。
複数のパネル11,パネル12は、不動面G上に順次に積み重ねられ全閉状態となる。そして、これらパネルの最上部に、パネル12が位置する。
【0040】
次に、厚さ方向押圧装置50の作動によって開閉体10(詳細にはパネル11,12)を水密部材80に押し付ける(図3参照)。そして、この後、閉鎖方向押圧装置40によって開閉体10の上端部を下方へ押圧して、開閉体10の下端部の不動面Gに押し付ける。
これらの押し付け動作によれば、下方へ押し付けられて移動する開閉体10が、水密部材80の弾性水密部81に摺接する。すなわち、弾性水密部81は、開閉体10から下方への力を受ける。
しかしながら、弾性水密部81は、ホルダー83の弾性水密部受面83a2、支持片受面83a1、及び突起83a3等に対し凹凸状に圧接されているため、この弾性水密部81がホルダー83に対し下方へずれて水密性を損ねてしまうのを防ぐことができる。
【0041】
そして、止水装置Aにおいては、開閉体10の下端側及び左右両端側、隣接するパネル11,11(又は12)間等を、それぞれ水密に保持することができる。
【0042】
次に、水密部材80の製造方法上の特徴について説明する。
水密部材80の製造方法は、弾性水密部81を弾性変形させて支持片82に対し厚さ方向の一方側から嵌め合わせる第一工程と、弾性水密部81及び支持片82とホルダー83を嵌め合わせる第二工程と、支持片82とホルダー83を止着具84により固定する第三工程とを含む。
【0043】
第一工程では、図7(a)~(d)に示すように、横断面上において、弾性水密部81の嵌合凹部81cに支持片82の鍔部82bを挿入し、弾性水密部81の幅狭部81c1を弾性変形させることで、支持片82を嵌合凹部81c内の奥側へ徐々に移動させる。そして、これらの作業によって、弾性水密部81と支持片82が完全に嵌り合った状態にする。
【0044】
この第一工程によれば、弾性水密部81と支持片82を一体化するための作業を良好に行うことができる。すなわち、仮に嵌合凹部81cにおける長手方向の端部に、支持片82を差し込みスライドさせるようにした場合には、そのスライドの際の抵抗(摩擦)が大きく、長尺な弾性水密部81と支持片82を完全に嵌め合わせるのに時間がかかる。
しかしながら、前記第一工程では、弾性水密部81の幅狭部81c1の弾性変形を利用して。弾性水密部81と支持片82を嵌め合わせているため、作業性が良好である。
【0045】
第二工程では、図6に示すように、一体化された弾性水密部81及び支持片82に対し、ホルダー83を厚さ方向に近づけて嵌め合わせる。あるいは、ホルダー83の凹状部分に、支持片82を挿入するようにして嵌め合わせる。
【0046】
第三工程では、図8に示すように、ガイドレール20及びホルダー83に止着具84を挿通し、この止着具84を支持片82の溝82cに螺合する。そして、止着具84の締め加減を調整することで、弾性水密部81がホルダー83に圧接され収縮する量a,bを適宜に調整する。
【0047】
よって、上記製造方法によれば、複数の部材からなる水密部材80を容易に制作することができ、その製造作業性も良好である。しかも、弾性水密部81をホルダー83に対し、上下方向へずれないようにしっかりと固定することができ、水密性も良好である。
【0048】
<変形例>
上記実施形態によれば、特に好ましい一例として、止着具84を調整ネジとしたが、この止着具84の他例としては、先端側にネジ部のないリベット等の止着具とすることも可能である。この場合、この止着具84の先端側は、溝82cに対し螺合することなく嵌合されるようにすればよい。
【0049】
また、上記実施形態では、水密部材80を止水パネルシャッターに適用したが、水密部材80は、建物等の開口部に止水板を着脱するようにした止水装置に適用することも可能である。この場合、例えば、建物等の開口部を形成する左右の縦枠と、止水板との間に水密部材80を設ければよい。
【0050】
さらに、図示例以外の形態としては、水密部材80を開戸装置や引戸装置、折戸装置、バランスドア装置、窓装置等の建具装置に用いることも可能である。この場合、戸体と枠体の当接部分の間等、水密性が必要とされる部分に水密部材80を設ければよい。
【0051】
また、上記実施形態では、ホルダー83の突起83a3を縦方向(図示例によれば上下方向)へ連続する突条としているが、この突起83a3の他例としては、横方向(水平方向)へ連続する突条や、縦方向及び横方向において部分的に突出する凸部とすることも可能である。
【0052】
また、上記実施形態では、特に好ましい一例として、ホルダー83が側壁部83b,83bを有する構成にしたが、図示例以外の他例としては、ホルダー83から側壁部83b,83bを省いた構成にすることも可能である。
【0053】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0054】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
一方側の面を圧接面にするとともに他方側の面を基端面にした弾性水密部と、前記弾性水密部よりも硬質な材料から形成され前記弾性水密部の基端面側に埋め込まれた支持片と、前記支持片とは別体であって前記弾性水密部よりも硬質な材料から形成され前記圧接面を前記一方側へ突出させたホルダーとを備え、前記弾性水密部の前記基端面が前記ホルダーに圧接され、前記支持片が前記ホルダーに接合されていることを特徴とする水密部材。(図4図8参照)。
(2)
前記ホルダーは、前記弾性水密部及び前記支持片を前記他方側から部分的に覆っていることを特徴とする(1)に記載の水密部材(図4及び図8参照)。
(3)
前記支持片を前記ホルダーに接合する止着具を備え、
前記止着具が前記ホルダーに挿通されて前記支持片に螺合した調整ネジであり、この調整ネジの締め加減により、前記ホルダーに対する前記弾性水密部の圧接力が変化するようにしたことを特徴とする(1)または(2)に記載の水密部材(図8参照)。
(4)
前記基端面に圧接される前記ホルダーの内底面には、前記基端面を部分的に収縮させるように突起が設けられていることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の水密部材(図6及び図8参照)。
(5)
前記支持片は、前記ホルダーの内底面に接触又は近接する基部と、該基部における前記一方側で張り出した鍔部とを、前記弾性水密部の内部に嵌め合わせていることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の水密部材(図4図8参照)。
(6)
(1)~(5)のいずれかに記載の水密部材を具備したことを特徴とする止水装置(図1図3参照)。
(7)
下方向へ積み重ねられる複数のパネルと、これらパネルを横幅方向の両側で上下方向へ案内するガイドレールとを備え、前記水密部材の前記ホルダーを前記ガイドレールに固定するとともに、同水密部材の前記弾性水密部を前記パネルに圧接するようにして、止水パネルシャッターを構成したことを特徴とする(6)に記載の止水装置(図1図3参照)。
(8)
弾性水密部を弾性変形させて支持片に対し厚さ方向の一方側から嵌め合わせる工程を含むことを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の水密部材の製造方法(図7参照)。
【符号の説明】
【0055】
1:止水装置
10:開閉体
11,12:パネル
20:ガイドレール
30:開閉体収納部
40:閉鎖方向押圧装置
50:厚さ方向押圧装置
80:水密部材
81:弾性水密部
81a:圧接面
81b:基端面
82:支持片
82a:基部
82b:鍔部
82c:溝
83:ホルダー
83a:内壁面
83a1:支持片受面
83a2:弾性水密部受面
83a3:突起
84:止着具(調整ネジ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8