(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103979
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】転写基板、電子デバイス及び転写基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240726BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240726BHJP
H10K 10/46 20230101ALI20240726BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240726BHJP
C01B 32/194 20170101ALI20240726BHJP
【FI】
H01L29/78 616T
H01L29/78 618B
H01L29/78 617S
H10K10/46
H01L21/02 B
C01B32/194
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007954
(22)【出願日】2023-01-23
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、防衛装備庁、安全保障技術研究推進制度、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】須田 章一
【テーマコード(参考)】
4G146
5F110
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB07
4G146AD22
4G146BA01
4G146BA42
4G146CB06
4G146CB26
5F110AA01
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5F110HK22
5F110HM02
5F110QQ14
5F110QQ16
(57)【要約】
【課題】歩留まりを向上することができる転写基板、電子デバイス及び転写基板の製造方法を提供する。
【解決手段】転写基板は、第1上面を有する基板と、前記基板の上に設けられ、第2上面を有する導電膜と、前記基板の上に設けられ、前記導電膜に直接接触し、前記第2上面に連なる第3上面を有する第1絶縁膜と、を有し、前記第2上面及び前記第3上面は、前記第2上面と前記第3上面との境界において、前記第1上面から傾いている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1上面を有する基板と、
前記基板の上に設けられ、第2上面を有する導電膜と、
前記基板の上に設けられ、前記導電膜に直接接触し、前記第2上面に連なる第3上面を有する第1絶縁膜と、
を有し、
前記第2上面及び前記第3上面は、前記第2上面と前記第3上面との境界において、前記第1上面から傾いていることを特徴とする転写基板。
【請求項2】
前記第2上面は凸面を含み、
前記第3上面は凹面を含むことを特徴とする請求項1に記載の転写基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の転写基板と、
前記第1絶縁膜の上に設けられ、前記導電膜に電気的に接続された2次元層状物質層と、
を有することを特徴とする電子デバイス。
【請求項4】
前記2次元層状物質層は、前記導電膜に直接接触していることを特徴とする請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記2次元層状物質層は、グラフェン層であることを特徴とする請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項6】
第1上面を有する基板と、
前記基板の上に設けられ、第2上面を有する2つの第1導電膜と、
2つの前記第1導電膜の間で前記基板の上に設けられ、2つの前記第1導電膜に直接接触し、2つの前記第2上面に連なる第3上面を有する第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜の上に設けられ、2つの前記第1導電膜に電気的に接続された2次元層状物質層と、
を有し、
前記第2上面及び前記第3上面は、前記第2上面と前記第3上面との境界において、前記第1上面から傾いていることを特徴とする電子デバイス。
【請求項7】
前記第2上面は凸面を含み、
前記第3上面は凹面を含むことを特徴とする請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記2次元層状物質層は、2つの前記第1導電膜に直接接触していることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記2次元層状物質層と一方の前記第1導電膜とを接続する第2導電膜と、
前記2次元層状物質層と他方の前記第1導電膜とを接続する第3導電膜と、
を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記2次元層状物質層、グラフェン層であることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子デバイス。
【請求項11】
第1上面を有する基板の上に、第2上面を有する導電膜を形成する工程と、
前記基板の上に、前記導電膜に直接接触し、第3上面を有する第1絶縁膜を形成する工程と、
前記導電膜及び前記第1絶縁膜の研磨を行うことにより、前記第3上面が前記第2上面に連なり、前記第2上面及び前記第3上面が、前記第2上面と前記第3上面との境界において、前記第1上面から傾く工程と、
を有することを特徴とする転写基板の製造方法。
【請求項12】
前記導電膜及び前記第1絶縁膜の研磨を行うことにより、前記第2上面が凸面を含み、前記第3上面が凹面を含むことを特徴とする請求項11に記載の転写基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、転写基板、電子デバイス及び転写基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グラフェンを有する電子デバイスの製造においては、触媒等を備えた成長基板の上にグラフェンを成長させた後、電極等が形成された転写基板にグラフェンを転写している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0361599号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0001424号明細書
【特許文献3】特開2014-128910号公報
【特許文献4】特開2016-150269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の転写基板を用いた場合には、高い歩留まりを得にくい。
【0005】
本開示の目的は、歩留まりを向上することができる転写基板、電子デバイス及び転写基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、第1上面を有する基板と、前記基板の上に設けられ、第2上面を有する導電膜と、前記基板の上に設けられ、前記導電膜に直接接触し、前記第2上面に連なる第3上面を有する第1絶縁膜と、を有し、前記第2上面及び前記第3上面は、前記第2上面と前記第3上面との境界において、前記第1上面から傾いている転写基板が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る転写基板を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る転写基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る転写基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る転写基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図5】第1実施形態に係る転写基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図6】第1実施形態に係る転写基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図7】転写基板へのグラフェン層の転写方法を示す断面図(その1)である。
【
図8】転写基板へのグラフェン層の転写方法を示す断面図(その2)である。
【
図9】転写基板へのグラフェン層の転写方法を示す断面図(その3)である。
【
図10】第2実施形態に係る電子デバイスを示す平面図である。
【
図11】第2実施形態に係る電子デバイスを示す断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図13】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図14】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図15】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図16】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図17】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図18】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図19】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図20】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図21】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図22】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図23】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その12)である。
【
図24】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その13)である。
【
図25】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その14)である。
【
図26】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その15)である。
【
図27】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その16)である。
【
図28】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その17)である。
【
図29】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その18)である。
【
図30】第2実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その19)である。
【
図31】第3実施形態に係る電子デバイスを示す平面図である。
【
図32】第3実施形態に係る電子デバイスを示す断面図である。
【
図33】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図34】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図35】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図36】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図37】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図38】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図39】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図40】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図41】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図42】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図43】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図44】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その12)である。
【
図45】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その13)である。
【
図46】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その14)である。
【
図47】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その15)である。
【
図48】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図(その16)である。
【
図49】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その1)である。
【
図50】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その2)である。
【
図51】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その3)である。
【
図52】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その4)である。
【
図53】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その5)である。
【
図54】第3実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す平面図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。本開示において平面視とは、基板の上面に垂直な方向から対象物を視ることをいう。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態は、転写基板と、転写基板を有する電子デバイスとに関する。
図1は、第1実施形態に係る転写基板を示す断面図である。
【0011】
第1実施形態に係る転写基板1は、
図1に示すように、主として、基板100と、絶縁膜110と、導電膜120と、絶縁膜130とを有する。
【0012】
基板100は、例えばシリコン基板である。基板100は上面101及び下面102を有する。絶縁膜110は上面101及び下面102の上に設けられている。絶縁膜110は上面101及び下面102を覆う。絶縁膜110は、例えば酸化シリコン膜である。熱酸化膜付きシリコン基板により基板100及び絶縁膜110が構成されていてもよい。上面101は第1上面の一例である。絶縁膜110は第2絶縁膜の一例である。
【0013】
導電膜120は絶縁膜110の上に設けられている。複数の導電膜120が絶縁膜110の上に設けられていてもよい。導電膜120は、例えば金属膜である。金属膜は、例えば、金層、白金層又はパラジウム層である。金属膜が、金層と、厚さが10nm以下の密着層としてのチタン層との積層体であってもよい。導電膜120は上面121を有する。上面121は凸面を含む。上面121は第2上面の一例である。
【0014】
絶縁膜130は絶縁膜110の上に設けられている。複数の絶縁膜130が絶縁膜110の上に設けられていてもよい。絶縁膜130は、例えば酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、スピンオングラス(spin on glass:SOG)膜、又は、ポリイミド樹脂膜及びエポキシ樹脂膜等の有機絶縁膜である。絶縁膜130は上面131を有する。上面131は凹面を含む。絶縁膜130は導電膜120に直接接触する。絶縁膜130は第1絶縁膜の一例である。上面131は第3上面の一例である。
【0015】
上面131は上面121に連なる。上面121と上面131とは連続している。上面121は上面131に直接接触する縁を有し、上面131は上面121に直接接触する縁を有する。上面121及び上面131は、上面121と上面131との境界において、上面101から傾斜しており、上面101と平行ではない。上面121及び上面131は一連の傾斜が緩やかな曲面を構成する。
【0016】
次に、第1実施形態に係る転写基板1の製造方法について説明する。
図2~
図6は、第1実施形態に係る転写基板1の製造方法を示す断面図である。
【0017】
まず、
図2に示すように、基板100及び絶縁膜110を準備する。熱酸化膜付きシリコン基板を基板100及び絶縁膜110として用いてもよい。次いで、基板100の上面101側において、絶縁膜110の上に樹脂層191及びマスク192を形成する。マスク192には、絶縁膜110の導電膜120を形成する領域を露出する開口部192Xが形成されており、樹脂層191には開口部192X毎に開口部192Xよりも広い開口部191Xが形成されている。マスク192は、例えばレジストマスクである。
【0018】
その後、
図3に示すように、導電膜120となる導電膜125を上面101側の全面に蒸着法により形成する。導電膜125は、開口部192Xの内側で絶縁膜110の上に形成されるとともに、マスク192の上に形成される。絶縁膜110の上に形成される導電膜125の上面の縁に、マスク192につながる突起が形成されてもよい。
【0019】
続いて、
図4に示すように、樹脂層191を除去する。樹脂層191の除去によりマスク192が除去され、マスク192の上の導電膜125も除去される。つまり、リフトオフが行われる。
【0020】
次いで、
図5に示すように、絶縁膜130となる絶縁膜135を導電膜125の少なくとも側面を覆うように絶縁膜110の上に形成する。絶縁膜130が酸化シリコン膜である場合、例えばテトラエトキシシラン(tetraethyl orthosilicate:TEOS)を原料としてプラズマ化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法により絶縁膜135を形成できる。プラズマCVD法によれば、比較的低い温度でも緻密な酸化シリコン膜を形成することができ、熱によるダメージ及び既に形成されている膜の間での相互拡散を抑制できる。更に、プラズマCVD法によれば、被覆性(カバレッジ)が良好な酸化シリコン膜を形成することができ、導電膜125の間を酸化シリコン膜により埋めやすい。絶縁膜130が酸化アルミニウム膜である場合、例えばトリメチルアルミニウム(trimethylaluminum:TMA)を原料として原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)法により絶縁膜135を形成できる。
【0021】
その後、
図6に示すように、導電膜125及び絶縁膜135の化学機械的研磨(chemical mechanical polishing:CMP)を行うことにより、導電膜125から導電膜120を形成し、絶縁膜135から絶縁膜130を形成する。CMPでは、導電膜125と絶縁膜135との間の研磨選択比が小さいスラリー、例えばデュポン社のACuPLANEを用い、段差追従性が高い研磨布、例えばニッタ・デュポン社製のSUBA400を用いる。CMPは、導電膜120の上面121が絶縁膜130から露出するように行われる。また、絶縁膜110の一部が導電膜120及び絶縁膜130から露出してもよい。
【0022】
このようにして、第1実施形態に係る転写基板1を製造することができる。
【0023】
転写基板1は、グラフェン層が転写されて使用される。グラフェン層は、互いに積層された、2次元層状物質の一例であるグラフェンを1又は複数有する。次に、転写基板1へのグラフェン層の転写方法について説明する。
図7~
図9は、転写基板1へのグラフェン層の転写方法を示す断面図である。
【0024】
まず、
図7に示すように、転写基板1へ転写されるグラフェン層150と、グラフェン層150を支持する支持層151との積層体152を準備する。支持層151は可撓性を備えている。支持層151は、例えばポリメチルメタクリレート(poly methyl methacrylate:PMMA)層である。そして、グラフェン層150が水面に接触するようにして、積層体152を水180の上に浮かべる。
【0025】
次いで、
図8に示すように、導電膜120及び絶縁膜130がグラフェン層150に接するようにして、転写基板1により積層体152を掬い上げる。
【0026】
その後、
図9に示すように、支持層151を除去する。
【0027】
このようにして、転写基板1へグラフェン層150を転写することができる。その後、グラフェン層150の加工等を行うことにより、転写基板1を有する電子デバイスを製造することができる。この電子デバイスは転写基板1及びグラフェン層150を有し、グラフェン層150は、絶縁膜130の上に設けられ、導電膜120に電気的に接続されている。グラフェン層150が導電膜120に直接接触していてもよい。
【0028】
第1実施形態では、絶縁膜130が導電膜120に直接接触し、絶縁膜130の上面131が導電膜120の上面121に連続し、上面121及び上面131が上面121と上面131との境界において、基板100の上面101から傾いている。このため、積層体152が転写基板1に掬い上げられる際に、グラフェン層150と上面121及び上面131との間に隙間が生じにくく、グラフェン層150と上面121及び上面131との間に水等の異物が残存しにくい。従って、異物の混入に伴う歩留まりの低下を抑制することができる。また、グラフェン層150が上面121及び上面131に密着しやすくなるため、グラフェン層150の形状が安定しやすい。従って、グラフェン層150における皺及び断裂の発生を抑制に伴う歩留まりの低下を抑制することができる。このように、第1実施形態によれば、グラフェン層150を含む電子デバイスの歩留まりを向上することができる。
【0029】
グラフェン層に代えて二硫化モリブデン層等の他の2次元層状物質層が用いられてもよい。2次元層状物質層は、互いに積層された、2次元層状物質を1又は複数有する。
【0030】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、転写基板と、転写基板を有する電子デバイスとに関する。電子デバイスはバックゲート型のトランジスタを含む。
図10は、第2実施形態に係る電子デバイスを示す平面図である。
図11は、第2実施形態に係る電子デバイスを示す断面図である。
図11は
図10中のXI-XI'線に沿った断面図に相当する。
【0031】
第2実施形態に係る電子デバイス2Aは、
図10及び
図11に示すように、主として、転写基板2と、グラフェン層250と、導電膜260Sと、導電膜260Dとを有する。
【0032】
転写基板2は、主として、基板200と、絶縁膜210と、導電膜220Sと、導電膜220Dと、導電膜220Gと、絶縁膜230Sと、絶縁膜230Dと、絶縁膜230Gとを有する。
【0033】
基板200は、例えば、不純物を含有し、導電性を備えたシリコン基板である。基板200は上面201及び下面202を有する。絶縁膜210は上面201及び下面202の上に設けられている。絶縁膜210は上面201及び下面202を覆う。絶縁膜210は、例えば酸化シリコン膜である。熱酸化膜付きシリコン基板により基板200及び絶縁膜210が構成されていてもよい。上面201は第1上面の一例である。絶縁膜210は第2絶縁膜の一例である。
【0034】
導電膜220S及び220Dは絶縁膜210の上に設けられている。絶縁膜210に導電膜220S及び220Dから離れて開口部210Xが形成されている。導電膜220S、導電膜220D及び開口部210Xは上面201に平行なX軸方向に沿って並んでいる。例えば、導電膜220Sと開口部210Xとの間に導電膜220Dがある。導電膜220Gは開口部210Xの内側で基板200の上に設けられている。導電膜220Gは基板200に直接接触している。導電膜220S、220D及び220Gは、例えば金属膜である。導電膜220S、220D及び220Gは上面201に平行なX軸方向に沿って並んでいる。導電膜220S、220D及び220Gは、それぞれ上面221S、221D及び221Gを有する。上面221S、221D及び221Gは凸面を含む。導電膜220S及び220Dは第1導電膜の一例である。上面221S、221D及び221Gは第2上面の一例である。
【0035】
絶縁膜230S、230D及び230Gは絶縁膜210の上に設けられている。平面視で、絶縁膜230S、230D及び230Gは、それぞれ、導電膜220S、220D及び220Gを囲む。絶縁膜230S、230D及び230Gは、それぞれ、導電膜220S、220D及び220Gに直接接触する。絶縁膜230S、230D及び230Gは、例えば酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、SOG膜、又は、ポリイミド樹脂膜及びエポキシ樹脂膜等の有機絶縁膜である。絶縁膜210、絶縁膜230S及び絶縁膜230Dの、平面視で、導電膜220Sと導電膜220Dとの間にある部分から複合絶縁膜240が構成されている。絶縁膜230S、230D及び230Gは、それぞれ上面231S、231D及び231Gを有する。上面231S、231D及び231Gは凹面を含む。複合絶縁膜240は上面241を有する。上面241は上面231S及び231Dを有する。上面241は凹面を含む。絶縁膜230S、230D及び230Gは第1絶縁膜の一例である。複合絶縁膜240は第3絶縁膜の一例である。上面231S、231D、231G及び241は1第3上面の一例である。
【0036】
上面241は上面221S及び221Dに連なる。上面221Sと上面241とは連続し、上面221Dと上面241とは連続している。上面221Sは上面241に直接接触する縁を有し、上面241は上面221Sに直接接触する縁を有する。上面221Dは上面241に直接接触する縁を有し、上面241は上面221Dに直接接触する縁を有する。上面221S及び上面241は、上面221Sと上面241との境界において、上面201から傾斜しており、上面201と平行ではない。上面221D及び上面241は、上面221Dと上面241との境界において、上面201から傾斜しており、上面201と平行ではない。上面221S及び上面231Sは一連の傾斜が緩やかな曲面を構成し、上面221D及び上面231Dは一連の傾斜が緩やかな曲面を構成する。
【0037】
上面231Gは上面221Gに連なる。上面221Gと上面231Gとは連続している。上面221Gは上面231Gに直接接触する縁を有し、上面231Gは上面221Gに直接接触する縁を有する。上面221G及び上面231Gは、上面221Gと上面231Gとの境界において、上面201から傾斜しており、上面201と平行ではない。上面221G及び上面231Gは一連の傾斜が緩やかな曲面を構成する。
【0038】
グラフェン層250は複合絶縁膜240の上に設けられている。グラフェン層250は、導電膜220S及び220Dのいずれとも接触していない。導電膜260Sは導電膜220S及びグラフェン層250に直接接触し、導電膜260Dは導電膜220D及びグラフェン層250に直接接触する。グラフェン層250は導電膜260Sを介して導電膜220Sに電気的に接続され、導電膜260Dを介して導電膜220Dに電気的に接続されている。導電膜260S及び260Dは、例えば金膜、白金膜又はアルミニウム膜である。グラフェン層250は2次元層状物質層の一例である。導電膜260Sは第2導電膜の一例であり、導電膜260Dは第3導電膜の一例である。
【0039】
次に、第2実施形態に係る電子デバイス2Aの製造方法について説明する。
図12~
図24は、第2実施形態に係る電子デバイス2Aの製造方法を示す断面図である。
図25~
図30は、第2実施形態に係る電子デバイス2Aの製造方法を示す平面図である。
図12~
図24には、
図11に示す断面の変化を示す。
【0040】
まず、
図12に示すように、基板200及び絶縁膜210を準備する。熱酸化膜付きシリコン基板を基板200及び絶縁膜210として用いてもよい。次いで、基板200の上面201側において、絶縁膜210の上にマスク293を形成する。マスク293には、開口部210Xが形成される部分が露出する開口部293Xが形成されている。マスク293は、例えばレジストマスクである。
【0041】
その後、
図13及び
図25に示すように、絶縁膜210の開口部293Xから露出した部分をエッチングして、絶縁膜210に開口部210Xを形成する。続いて、マスク293を除去する。
【0042】
次いで、
図14に示すように、基板200の上面201側において、絶縁膜210の上に樹脂層291及びマスク292を形成する。マスク292には、絶縁膜210の導電膜220Sを形成する領域を露出する開口部292SXと、絶縁膜210の導電膜220Dを形成する領域を露出する開口部292DXと、基板200の導電膜220Gを形成する領域を露出する開口部292GXとが形成されている。樹脂層291には、開口部292SX、292DX及び292GXに対して、それぞれ、開口部292SXよりも広い開口部291SX、開口部292DXよりも広い開口部291DX及び開口部292GXよりも広い開口部291GXが形成されている。マスク292は、例えばレジストマスクである。
【0043】
その後、
図15に示すように、導電膜220S、220D及び220Gとなる導電膜225を上面201側の全面に蒸着法により形成する。導電膜225は、開口部292SX及び292DXの内側で絶縁膜210の上に形成され、開口部292GXの内側で基板200の上に形成されるとともに、マスク292の上に形成される。絶縁膜210又は基板200の上に形成される導電膜225の上面の縁に、マスク292につながる突起が形成されてもよい。
【0044】
続いて、
図16及び
図26に示すように、樹脂層291を除去する。樹脂層291の除去によりマスク292が除去され、マスク292の上の導電膜225も除去される。つまり、リフトオフが行われる。
【0045】
次いで、
図17及び
図27に示すように、絶縁膜230S、230D及び230Dとなる絶縁膜235を導電膜220S、220D及び220Dの少なくとも側面を覆うように絶縁膜210の上に形成する。絶縁膜230S、230D及び230Dが酸化シリコン膜である場合、例えばTEOSを原料としてプラズマCVD法により絶縁膜235を形成できる。絶縁膜230S、230D及び230Dが酸化アルミニウム膜である場合、例えばTMAを原料としてALD法により絶縁膜235を形成できる。
【0046】
その後、
図18及び
図28に示すように、導電膜225及び絶縁膜235のCMPを行う。この結果、導電膜225から導電膜220S、220D及び220Dが形成され、絶縁膜235から絶縁膜230S、230D及び230Dが形成される。導電膜225及び絶縁膜235のCMPは、導電膜125及び絶縁膜135のCMPと同様の方法で行うことができる。導電膜225及び絶縁膜235のCMPは、導電膜220S、220D及び220Dの上面221S、221D及び221Dが絶縁膜230S、230D及び230Dから露出するように行われる。また、絶縁膜210の一部が導電膜220S、220D及び220D並びに絶縁膜230S、230D及び230Dから露出してもよい。
【0047】
このようにして、転写基板2を製造することができる。絶縁膜210、絶縁膜230S及び絶縁膜230Dの、平面視で、導電膜220Sと導電膜220Dとの間にある部分から複合絶縁膜240が構成される。
【0048】
次いで、
図19に示すように、転写基板2にグラフェン層250を転写する。グラフェン層250の転写は、第1実施形態におけるグラフェン層150の転写と同様の方法で行うことができる。
【0049】
その後、
図20に示すように、グラフェン層250の上にマスク294を形成する。マスク294は、グラフェン層250の、複合絶縁膜240の上で残存させる部分の上に形成する。マスク294は、例えばレジストマスクである。
【0050】
続いて、
図21及び
図29に示すように、グラフェン層250のマスク294から露出した部分をエッチングして、複合絶縁膜240の上にグラフェン層250の一部を残存させる。次いで、マスク294を除去する。
【0051】
その後、
図22に示すように、絶縁膜210、230S、230D及び230G、導電膜220S、220D及び220G並びにグラフェン層250の上にマスク295を形成する。マスク295には、導電膜220S、絶縁膜230S及びグラフェン層250の導電膜260Sを形成する領域を露出する開口部295SXと、導電膜220D、絶縁膜230D及びグラフェン層250の導電膜260Dを形成する領域を露出する開口部295DXとが形成されている。マスク295は、例えばレジストマスクである。
【0052】
続いて、
図23に示すように、導電膜260S及び260Dとなる導電膜265を上面201側の全面に形成する。導電膜265は、開口部295SXの内側で導電膜220S、絶縁膜230S及びグラフェン層250の上に形成され、開口部295DXの内側で導電膜220D、絶縁膜230D及びグラフェン層250の上に形成されるとともに、マスク295の上に形成される。
【0053】
次いで、
図24及び
図30に示すように、マスク295を除去する。マスク295の除去によりマスク295の上の導電膜265も除去される。つまり、リフトオフが行われる。この結果、導電膜260S及び260Dが形成される。
【0054】
このようにして、第2実施形態に係る電子デバイス2Aを製造することができる。
【0055】
電子デバイス2Aにおいては、例えば、グラフェン層250がチャネル、複合絶縁膜240がゲート絶縁膜、基板100がゲート電極、導電膜220Sがソース電極、導電膜220Dがドレイン電極として機能する。
【0056】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、グラフェン層250の転写の際に、グラフェン層250と上面221S、221D及び221D並びに上面231S、231D及び231Gとの間に隙間が生じにくい。また、グラフェン層250が上面221S、221D及び221D並びに上面231S、231D及び231Gに密着しやすいため、グラフェン層250の形状が安定しやすい。従って、第2実施形態によれば、グラフェン層250を含む電子デバイス2Aの歩留まりを向上することができる。
【0057】
なお、グラフェン層250は、導電膜220S及び220Dに直接接触していてもよい。
【0058】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、転写基板と、転写基板を有する電子デバイスとに関する。電子デバイスはトップゲート型のトランジスタを含む。
図31は、第3実施形態に係る電子デバイスを示す平面図である。
図32は、第3実施形態に係る電子デバイスを示す断面図である。
図32は
図31中のXXXII-XXXII'線、XXXII''-XXXII'''線に沿った断面図に相当する。
【0059】
第3実施形態に係る電子デバイス3Aは、
図31及び
図32に示すように、主として、転写基板3と、グラフェン層350と、導電膜360Sと、導電膜360Dと、導電膜360Gと、絶縁膜370とを有する。
【0060】
転写基板3は、主として、基板300と、絶縁膜310と、導電膜320Sと、導電膜320Dと、導電膜320Gと、絶縁膜330Sと、絶縁膜330Dと、絶縁膜330Gとを有する。
【0061】
基板300は、例えばシリコン基板である。基板300は上面301及び下面302を有する。絶縁膜310は上面301及び下面302の上に設けられている。絶縁膜310は上面301及び下面302を覆う。絶縁膜310は、例えば酸化シリコン膜である。熱酸化膜付きシリコン基板により基板300及び絶縁膜310が構成されていてもよい。上面301は第1上面の一例である。絶縁膜310は第2絶縁膜の一例である。
【0062】
導電膜320S、320D及び320Gは絶縁膜310の上に設けられている。導電膜320S及び導電膜320Dは上面301に平行なX軸方向に沿って並んでいる。導電膜320Gは、導電膜320Sと導電膜320Dとの間の位置、例えば中点から、上面301に平行かつX軸方向に垂直なY軸方向で離れた位置にある。導電膜320S、320D及び320Gは、例えば金属膜である。導電膜320S、320D及び320Gは、それぞれ上面321S、321D及び321Gを有する。上面321S、321D及び321Gは凸面を含む。導電膜320S及び320Dは第1導電膜の一例である。上面321S、321D及び321Gは第2上面の一例である。
【0063】
絶縁膜330S、330D及び330Gは絶縁膜310の上に設けられている。平面視で、絶縁膜330S、330D及び330Gは、それぞれ、導電膜320S、320D及び320Gを囲む。絶縁膜330S、330D及び330Gは、それぞれ、導電膜320S、320D及び320Gに直接接触する。絶縁膜330S、330D及び330Gは、例えば酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、SOG膜、又は、ポリイミド樹脂膜及びエポキシ樹脂膜等の有機絶縁膜である。絶縁膜310、絶縁膜330S及び絶縁膜330Dの、平面視で、導電膜320Sと導電膜320Dとの間にある部分から複合絶縁膜340が構成されている。絶縁膜330S、330D及び330Gは、それぞれ上面331S、331D及び331Gを有する。上面331S、331D及び331Gは凹面を含む。複合絶縁膜340は上面341を有する。上面341は上面331S及び331Dを有する。上面341は凹面を含む。絶縁膜330S、330D及び330Gは第1絶縁膜の一例である。複合絶縁膜340は第3絶縁膜の一例である。上面331S、331D、331G及び341は第3上面の一例である。
【0064】
上面341は上面321S及び321Dに連なる。上面321Sと上面341とは連続し、上面321Dと上面341とは連続している。上面321Sは上面341に直接接触する縁を有し、上面341は上面321Sに直接接触する縁を有する。上面321Dは上面341に直接接触する縁を有し、上面341は上面321Dに直接接触する縁を有する。上面321S及び上面341は、上面321Sと上面341との境界において、上面301から傾斜しており、上面301と平行ではない。上面321D及び上面341は、上面321Dと上面341との境界において、上面301から傾斜しており、上面301と平行ではない。上面321S及び上面331Sは一連の傾斜が緩やかな曲面を構成し、上面321D及び上面331Dは一連の傾斜が緩やかな曲面を構成する。
【0065】
上面331Gは上面321Gに連なる。上面321Gと上面331Gとは連続している。上面321Gは上面331Gに直接接触する縁を有し、上面331Gは上面321Gに直接接触する縁を有する。上面321G及び上面331Gは、上面321Gと上面331Gとの境界において、上面301から傾斜しており、上面301と平行ではない。上面321G及び上面331Gは一連の傾斜が緩やかな曲面を構成する。
【0066】
グラフェン層350は複合絶縁膜340の上に設けられている。グラフェン層350は、導電膜320S及び320Dに直接接触している。導電膜360Sは導電膜320S及びグラフェン層350に直接接触し、導電膜360Dは導電膜320D及びグラフェン層350に直接接触する。グラフェン層350は導電膜320S及び320Dに電気的に接続されている。導電膜360S及び360Dは、例えば金膜、白金膜又はアルミニウム膜である。グラフェン層350は2次元層状物質層の一例である。導電膜360Sは第2導電膜の一例であり、導電膜360Dは第3導電膜の一例である。
【0067】
絶縁膜370は、グラフェン層350、導電膜360S、360D、320S及び320D、絶縁膜330S、330D、330G及び310の上に設けられている。絶縁膜370は、グラフェン層350、導電膜360S、360D、320S及び320D、絶縁膜330S、330D、330G及び310を覆う。絶縁膜370に、導電膜360Sの一部が露出する開口部370SXと、導電膜360Dの一部が露出する開口部370DXと、導電膜320Gの一部が露出する開口部370GXとが形成されている。絶縁膜370は、例えば酸化シリコン膜又は酸化アルミニウム膜である。
【0068】
導電膜360Gは絶縁膜370の上に形成されている。導電膜360Gは、開口部370GXを通じて導電膜320Gに直接接触しており、平面視でグラフェン層350と重なる。
【0069】
次に、第3実施形態に係る電子デバイス3Aの製造方法について説明する。
図33~
図48は、第3実施形態に係る電子デバイス3Aの製造方法を示す断面図である。
図49~
図54は、第3実施形態に係る電子デバイス3Aの製造方法を示す平面図である。
図33~
図48には、
図32に示す断面の変化を示す。
【0070】
まず、
図33に示すように、基板300及び絶縁膜310を準備する。熱酸化膜付きシリコン基板を基板300及び絶縁膜310として用いてもよい。次いで、基板300の上面301側において、絶縁膜310の上に樹脂層391及びマスク392を形成する。マスク392には、絶縁膜310の導電膜320Sを形成する領域を露出する開口部392SXと、絶縁膜310の導電膜320Dを形成する領域を露出する開口部392DXと、絶縁膜310の導電膜320Gを形成する領域を露出する開口部392GXとが形成されている。樹脂層391には、開口部392SX、392DX及び392GXに対して、それぞれ、開口部392SXよりも広い開口部391SX、開口部392DXよりも広い開口部391DX及び開口部392GXよりも広い開口部391GXが形成されている。マスク392は、例えばレジストマスクである。
【0071】
その後、
図34に示すように、導電膜320S、320D及び320Gとなる導電膜325を上面301側の全面に蒸着法により形成する。導電膜325は、開口部392SX、392DX及び392GXの内側で絶縁膜310の上に形成されるとともに、マスク392の上に形成される。絶縁膜310の上に形成される導電膜325の上面の縁に、マスク392につながる突起が形成されてもよい。
【0072】
続いて、
図35及び
図49に示すように、樹脂層391を除去する。樹脂層391の除去によりマスク392が除去され、マスク392の上の導電膜325も除去される。つまり、リフトオフが行われる。
【0073】
次いで、
図36に示すように、絶縁膜330S、330D及び330Dとなる絶縁膜335を導電膜320S、320D及び320Dの少なくとも側面を覆うように絶縁膜310の上に形成する。絶縁膜330S、330D及び330Dが酸化シリコン膜である場合、例えばTEOSを原料としてプラズマCVD法により絶縁膜335を形成できる。絶縁膜330S、330D及び330Dが酸化アルミニウム膜である場合、例えばTMAを原料としてALD法により絶縁膜335を形成できる。
【0074】
その後、
図37及び
図50に示すように、導電膜325及び絶縁膜335のCMPを行う。この結果、導電膜325から導電膜320S、320D及び320Dが形成され、絶縁膜335から絶縁膜330S、330D及び330Dが形成される。導電膜325及び絶縁膜335のCMPは、導電膜125及び絶縁膜135のCMPと同様の方法で行うことができる。導電膜325及び絶縁膜335のCMPは、導電膜320S、320D及び320Dの上面321S、321D及び321Dが絶縁膜330S、330D及び330Dから露出するように行われる。また、絶縁膜310の一部が導電膜320S、320D及び320D並びに絶縁膜330S、330D及び330Dから露出してもよい。
【0075】
このようにして、転写基板3を製造することができる。絶縁膜310、絶縁膜330S及び絶縁膜330Dの、平面視で、導電膜320Sと導電膜320Dとの間にある部分から複合絶縁膜340が構成される。
【0076】
次いで、
図38に示すように、転写基板3にグラフェン層350を転写する。グラフェン層350の転写は、第1実施形態におけるグラフェン層150の転写と同様の方法で行うことができる。
【0077】
その後、
図39に示すように、グラフェン層350の上にマスク394を形成する。マスク394は、グラフェン層350の、複合絶縁膜340、導電膜320S及び導電膜320Dの上で残存させる部分の上に形成する。マスク394は、例えばレジストマスクである。
【0078】
続いて、
図40及び
図51に示すように、グラフェン層350のマスク394から露出した部分をエッチングして、複合絶縁膜340の上にグラフェン層350の一部を残存させる。次いで、マスク394を除去する。
【0079】
その後、
図41に示すように、絶縁膜310、330S、330D及び330G、導電膜320S、320D及び320G並びにグラフェン層350の上にマスク395を形成する。マスク395には、導電膜320S及びグラフェン層350の導電膜360Sを形成する領域を露出する開口部395SXと、導電膜320D及びグラフェン層350の導電膜360Dを形成する領域を露出する開口部395DXとが形成されている。マスク395は、例えばレジストマスクである。
【0080】
続いて、
図42に示すように、導電膜360S及び360Dとなる導電膜365を上面301側の全面に形成する。導電膜365は、開口部395SXの内側で導電膜320S及びグラフェン層350の上に形成され、開口部395DXの内側で導電膜320D及びグラフェン層350の上に形成されるとともに、マスク395の上に形成される。
【0081】
次いで、
図43及び
図52に示すように、マスク395を除去する。マスク395の除去によりマスク395の上の導電膜365も除去される。つまり、リフトオフが行われる。この結果、導電膜360S及び360Dが形成される。
【0082】
その後、
図44に示すように、絶縁膜370を上面301側の全面に形成し、絶縁膜370の上にマスク396を形成する。マスク396には、開口部370SXが形成される部分が露出する開口部396SXと、開口部370DXが形成される部分が露出する開口部396DXと、開口部370GXが形成される部分が露出する開口部396GXとが形成されている。マスク396が、基板300のトランジスタが形成される領域内のみで上面301側に形成されてもよい。マスク396は、例えばレジストマスクである。
【0083】
続いて、
図45及び
図53に示すように、絶縁膜370の開口部396SXから露出した部分と、開口部396DXから露出した部分と、開口部396GXから露出した部分とをエッチングして、絶縁膜370に開口部370SX、370DX及び370GXを形成する。次いで、マスク396を除去する。
【0084】
その後、
図46に示すように、絶縁膜310及び370並びに導電膜360S、360D及び320Gの上にマスク397を形成する。マスク397には、導電膜320G及び絶縁膜370の導電膜360Gを形成する領域を露出する開口部397GXが形成されている。マスク397は、例えばレジストマスクである。
【0085】
続いて、
図47に示すように、導電膜360Gとなる導電膜366を上面301側の全面に形成する。導電膜366は、開口部396GXの内側で導電膜320S及び絶縁膜370の上に形成されるとともに、マスク397の上に形成される。
【0086】
次いで、
図48及び
図54に示すように、マスク397を除去する。マスク397の除去によりマスク397の上の導電膜366も除去される。つまり、リフトオフが行われる。この結果、導電膜360Gが形成される。
【0087】
このようにして、第3実施形態に係る電子デバイス3Aを製造することができる。
【0088】
電子デバイス3Aにおいては、例えば、グラフェン層350がチャネル、絶縁膜370がゲート絶縁膜、導電膜360G及び320Gがゲート電極、導電膜360S及び320Sがソース電極、導電膜360D及び320Dがドレイン電極として機能する。
【0089】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、グラフェン層350の転写の際に、グラフェン層350と上面321S、321D及び321D並びに上面331S、331D及び331Gとの間に隙間が生じにくい。また、グラフェン層350が上面321S、321D及び321D並びに上面331S、331D及び331Gに密着しやすいため、グラフェン層350の形状が安定しやすい。従って、第3実施形態によれば、グラフェン層350を含む電子デバイス3Aの歩留まりを向上することができる。
【0090】
なお、グラフェン層350は、導電膜320S及び320Dのいずれとも直接接触していなくてもよい。
【0091】
転写基板及び電子デバイスは、例えば、高速動作が可能なトランジスタ、及び低消費電力のトランジスタに使用することができる。
【0092】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0093】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0094】
(付記1)
第1上面を有する基板と、
前記基板の上に設けられ、第2上面を有する導電膜と、
前記基板の上に設けられ、前記導電膜に直接接触し、前記第2上面に連なる第3上面を有する第1絶縁膜と、
を有し、
前記第2上面及び前記第3上面は、前記第2上面と前記第3上面との境界において、前記第1上面から傾いていることを特徴とする転写基板。
(付記2)
前記第2上面は凸面を含み、
前記第3上面は凹面を含むことを特徴とする付記1に記載の転写基板。
(付記3)
前記第1上面の上に設けられた第2絶縁膜を有し、
前記導電膜及び前記第1絶縁膜は、前記第2絶縁膜の上に設けられていることを特徴とする付記1又は2に記載の転写基板。
(付記4)
前記第2絶縁膜の一部が前記導電膜及び前記第1絶縁膜から露出していることを特徴とする付記3に記載の転写基板。
(付記5)
付記1乃至4のいずれか1項に記載の転写基板と、
前記第1絶縁膜の上に設けられ、前記導電膜に電気的に接続された2次元層状物質層と、
を有することを特徴とする電子デバイス。
(付記6)
前記2次元層状物質層は、前記導電膜に直接接触していることを特徴とする付記5に記載の電子デバイス。
(付記7)
前記2次元層状物質層は、グラフェン層であることを特徴とする付記5又は6に記載の電子デバイス。
(付記8)
第1上面を有する基板と、
前記基板の上に設けられ、第2上面を有する2つの第1導電膜と、
2つの前記第1導電膜の間で前記基板の上に設けられ、2つの前記第1導電膜に直接接触し、2つの前記第2上面に連なる第3上面を有する第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜の上に設けられ、2つの前記第1導電膜に電気的に接続された2次元層状物質層と、
を有し、
前記第2上面及び前記第3上面は、前記第2上面と前記第3上面との境界において、前記第1上面から傾いていることを特徴とする電子デバイス。
(付記9)
前記第2上面は凸面を含み、
前記第3上面は凹面を含むことを特徴とする付記8に記載の電子デバイス。
(付記10)
前記2次元層状物質層は、2つの前記第1導電膜に直接接触していることを特徴とする付記8又は9に記載の電子デバイス。
(付記11)
前記2次元層状物質層と一方の前記第1導電膜とを接続する第2導電膜と、
前記2次元層状物質層と他方の前記第1導電膜とを接続する第3導電膜と、
を有することを特徴とする付記8又は9に記載の電子デバイス。
(付記12)
前記2次元層状物質層、グラフェン層であることを特徴とする付記8乃至11のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(付記13)
第1上面を有する基板の上に、第2上面を有する導電膜を形成する工程と、
前記基板の上に、前記導電膜に直接接触し、第3上面を有する第1絶縁膜を形成する工程と、
前記導電膜及び前記第1絶縁膜の研磨を行うことにより、前記第3上面が前記第2上面に連なり、前記第2上面及び前記第3上面が、前記第2上面と前記第3上面との境界において、前記第1上面から傾く工程と、
を有することを特徴とする転写基板の製造方法。
(付記14)
前記導電膜及び前記第1絶縁膜の研磨を行うことにより、前記第2上面が凸面を含み、前記第3上面が凹面を含むことを特徴とする付記13に記載の転写基板の製造方法。
(付記15)
前記第1上面の上に第2絶縁膜が設けられており、
前記導電膜及び前記第1絶縁膜は、前記第2絶縁膜の上に形成されることを特徴とする付記13又は14に記載の転写基板の製造方法。
(付記16)
前記導電膜及び前記第1絶縁膜の研磨を行うことにより、前記第2絶縁膜の一部が前記導電膜及び前記第1絶縁膜から露出することを特徴とする付記15に記載の転写基板の製造方法。
【符号の説明】
【0095】
1、2、3:転写基板
2A、3A:電子デバイス
100、200、300:基板
101、201、301:上面
110、210、310:絶縁膜
120、220S、220D、220G、320S、320D、320G:導電膜
121、221S、221D、221G、321S、321D、321G:上面
130、230S、230D、230G、330S、330D、330G:絶縁膜
131、231S、231D、231G、331S、331D、331G:上面
150、250、350:グラフェン層
240、340:複合絶縁膜
241、341:上面:グラフェン層
370:絶縁膜