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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103981
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】太陽電池、及び太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0236 20060101AFI20240726BHJP
   H01L 31/0216 20140101ALI20240726BHJP
【FI】
H01L31/04 280
H01L31/04 240
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007957
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】四谷 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 正寛
(72)【発明者】
【氏名】北原 浩司
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
5F151CB12
5F151CB15
5F151CB19
5F151CB21
5F151CB22
5F151DA03
5F151DA07
5F151DA20
5F151FA06
5F151FA13
5F151FA15
5F151HA07
5F251AA02
5F251AA03
5F251CB12
5F251CB15
5F251CB19
5F251CB21
5F251CB22
5F251DA03
5F251DA07
5F251DA20
5F251FA06
5F251FA13
5F251FA15
5F251HA07
(57)【要約】
【課題】効率よく集電することが可能な、太陽電池、及び太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】第1電極200と、第1電極200の上に配置されたP型シリコン層300と、P型シリコン層300の上に配置されたシリコンナノワイヤ450を有するN型シリコン層400と、シリコンナノワイヤ450を有する領域を覆うように配置された保護膜500と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層と、
前記導電層の上に配置された第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に配置されたシリコンナノワイヤを有する第2半導体層と、
前記シリコンナノワイヤを有する領域を覆うように配置された保護膜と、
を備える、太陽電池。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池であって、
前記保護膜は、前記シリコンナノワイヤの上層部に配置されている、太陽電池。
【請求項3】
請求項1に記載の太陽電池であって、
前記保護膜は、SiO2、SiON、又は、ガラスである、太陽電池。
【請求項4】
請求項1に記載の太陽電池であって、
前記第2半導体層は、前記シリコンナノワイヤが配置された第1領域と、前記第1領域の外側の領域である第2領域と、を有し、
前記導電層には、第1電極が設けられており、
前記第2半導体層の前記第2領域には、第2電極が設けられている、太陽電池。
【請求項5】
請求項1に記載の太陽電池であって、
前記導電層は、前記第1半導体層と電気的に接続された第1電極と、前記第2半導体層と電気的に接続された第2電極と、を有し、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1半導体層の裏面側及び前記第2半導体層の裏面側に設けられている、太陽電池。
【請求項6】
請求項1に記載の太陽電池であって、
前記第1半導体層は、P型シリコン層であり、
前記第2半導体層は、N型シリコン層である、太陽電池。
【請求項7】
P型シリコン層の上に、N型シリコン層を形成する工程と、
前記N型シリコン層の上に、触媒膜としての金膜を形成する工程と、
前記金膜及び前記N型シリコン層の上にアルミニウム膜を成膜する工程と、
前記アルミニウム膜に陽極酸化法を用いて細孔を形成する工程と、
前記細孔をマスクとして前記アルミニウム膜及び前記金膜をエッチングする工程と、
MACE法を用いて前記N型シリコン層にシリコンナノワイヤを形成する工程と、
前記シリコンナノワイヤを有する領域に保護膜を成膜する工程と、
を有する、太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池、及び太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の表面に、太陽光などの光の反射を減少させる、言い換えれば、光を吸収することが可能な、ナノワイヤを備えた太陽電池の構成が開示されている。これによれば、太陽電池の発電効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-508979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ナノワイヤは非常に脆く、その表面構造は指等で触れると簡単に破損してしまうため、ナノワイヤを形成してしまうと、上部の電極形成や以降の実装等の工程を通すことができなくなるなどの課題がある。即ち、光学的に理想的な表面構造であるが、製造上の課題が多く、実現が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
太陽電池は、導電層と、前記導電層の上に配置された第1半導体層と、前記第1半導体層の上に配置されたシリコンナノワイヤを有する第2半導体層と、前記シリコンナノワイヤを有する領域を覆うように配置された保護膜と、を備える。
【0006】
太陽電池の製造方法は、P型シリコン層の上に、N型シリコン層を形成する工程と、前記N型シリコン層の上に、触媒膜としての金膜を形成する工程と、前記金膜及び前記N型シリコン層の上にアルミニウム膜を成膜する工程と、前記アルミニウム膜に陽極酸化法を用いて細孔を形成する工程と、前記細孔をマスクとして前記アルミニウム膜及び前記金膜をエッチングする工程と、MACE法を用いて前記N型シリコン層にシリコンナノワイヤを形成する工程と、前記シリコンナノワイヤを有する領域に保護膜を成膜する工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】太陽電池の構成を示す斜視図。
図2】太陽電池の構成を示す平面図。
図3図2に示す太陽電池のA-A部に沿う断面図。
図4】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図5】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図6】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図7】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図8】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図9】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図10】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図11】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図12】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図13】太陽電池の製造方法を示す断面図。
図14】変形例の太陽電池の構成を示す斜視図。
図15】各電解液におけるバリヤー層の細孔への影響を示す図表。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の各図においては、互いに直交する3つの軸を、X軸、Y軸、及びZ軸として説明する。また、X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向が+方向であり、+方向と反対の方向を-方向とする。なお、+Z方向を「上」又は「上方」又は「表側」、-Z方向を「下」又は「下方」又は「裏側」ということもあり、+Z方向及び-Z方向から見ることを平面視あるいは平面的ともいう。また、Z方向+側の面を「上面」又は「表面」、これと反対側となるZ方向-側の面を「下面」又は「裏面」として説明する。
【0009】
まず、図1図3を参照しながら、太陽電池1000の構成を説明する。
【0010】
図1図3に示すように、太陽電池1000は、保持基板100と、導電層の一部である第1電極200と、第1半導体層としてのP型シリコン層300と、第2半導体層としてのN型シリコン層400と、保護膜500と、第2電極600と、を備えている。
【0011】
図2及び図3に示すように、N型シリコン層400には、シリコンナノワイヤ450が形成された第1領域401を有する。例えば、波長350nmから1050nmの範囲で測定した場合、鏡面のシリコン基板では全範囲において60%から35%の光が反射するのに対し、シリコンナノワイヤ450が形成された第1領域401の反射率は僅か0.2%以下にとどまっている。言い換えれば、99.8%の光をシリコンナノワイヤ450の表面に吸収することが可能となり、非常に光の吸収率がよい。
【0012】
N型シリコン層400の上において、シリコンナノワイヤ450が形成されている第1領域401の外側の領域である第2領域402には、第2電極600が設けられている。つまり、第1電極200と第2電極600との電極間で、集電を行う構造となっている。第1電極200の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)などが挙げられる。第2電極600の材料としては、例えば、銀(Ag)などが挙げられる。
【0013】
例えば、第1電極200を透明電極にした場合、赤外域光が裏面を透過してしまうことも多いので、裏面、つまり、保持基板100側にもう一組の太陽電池を積層するタンデム型にして効率を高めても良い。
【0014】
保護膜500は、シリコンナノワイヤ450が形成された第1領域401の全体を覆うように、成膜されている。保護膜500は、例えば、酸化シリコン膜(SiO2)である。保護膜500が成膜されていることにより、シリコンナノワイヤ450の上層部において、隣り合うシリコンナノワイヤ450どうしを繋ぎ合わせることができる。
【0015】
更に、保護膜500を、N型シリコン層400の第2領域402と接続するように成膜することにより、シリコンナノワイヤ450が形成された領域を密閉領域にすることが可能となり、シリコンナノワイヤ450の構造が破壊されにくい構造となっている。
【0016】
なお、保護膜500は、酸化シリコン膜であることに限定されず、シリコンナノワイヤ450の領域を覆うように成膜でき、光の屈折率による影響が抑えられていればよく、例えば、酸窒化シリコン(SiON)やガラスなどであってもよい。また、窒化シリコン、インジウムスズ酸化物、酸化アルミニウム、酸化ガリウムなどであってもよい。
【0017】
また、シリコン酸化膜からなる保護膜500の表面は光学的に反射しやすくなるので、保護膜500に加えて、反射防止膜(AR膜)を成膜するようにしてもよい。反射防止膜は、例えば、シリコンナノワイヤ450を酸化して形成してもよい。
【0018】
次に、図4図13を参照しながら、太陽電池1000の製造方法を説明する。
【0019】
図4に示す工程では、P型シリコン層300の上に、N型シリコン層400を形成する。具体的には、まず、抵抗率を1Ωcm以下にしたP型シリコン層300を準備する。P型シリコン層300は、単結晶でも多結晶でも構わない。次に、P型シリコン層300の上に、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、Poly-Si膜を成膜する。次に、Poly-Si膜にリン(P)をイオン注入し、N型シリコン層400を形成する。
【0020】
図5に示す工程では、N型シリコン層400の上に、金膜700をパターニングして形成する。具体的には、N型シリコン層400の上の第1領域401に、シリコンナノワイヤ450を形成するための貴金属である金膜700を成膜してパターニングする。金膜700は、MACE(メタルアシストケミカルエッチング)法で用いられる触媒膜として機能する。なお、本実施形態では、金膜700を用いているが、MACE反応を起こす触媒膜であれば特に限定されない。
【0021】
図6に示す工程では、金膜700及びN型シリコン層400を覆うようにアルミニウム膜800を成膜する。アルミニウム膜800の成膜方法としては、特に限定されないが、例えば、スパッタ法が挙げられる。
【0022】
図7に示す工程では、アルミニウム膜800に細孔801を形成する。具体的には、アルミニウム膜800に陽極酸化法を用いて細孔801を形成する。細孔801の孔径は、例えば、薬液の組成で制御することができる。各電解液におけるバリヤー層の細孔への影響は、一般的に図5に示されている。(文献:近畿アルミニウム表面処理研究会会誌No.305,P.10-18,2017)具体的には、図15のように薬液により、120オングストロームから330オングストロームまで自在に変化させることができる。また、細孔801の密度に関しては、例えば、印加電圧により制御することができる。
【0023】
図8に示す工程では、細孔801が形成されたアルミ陽極酸化膜をマスク802として、金膜700をエッチングする。具体的には、アルゴン(Ar)を用いたスパッタ法を用いて、金膜700をエッチングする。これにより、金膜700には、細孔801の形状が反映された金膜パターン701が形成される。
【0024】
図9に示す工程では、MACE加工を行って、シリコンナノワイヤ450を形成する。MACE加工は、フッ酸と過酸化水素水を適量に混合した液を、室温で浸漬するだけで行える簡単なエッチング方法である。マスク802は、MACEの薬液で容易に溶解させることができる。また、シリコンナノワイヤ450の長さは、浸漬時間を調整することにより、容易に制御することができる。本実施形態のMACE加工では、P型シリコン層300まで達しない程度の長さのシリコンナノワイヤ450を形成する。
【0025】
図10に示す工程では、シリコンナノワイヤ450の底部に残った金膜パターン702を、金溶解液に浸漬し除去する。
【0026】
図11に示す工程では、シリコンナノワイヤ450の上層部に保護膜500を成膜する。保護膜500は、例えば、酸化シリコン(SiO2)である。保護膜500の成膜方法は、例えば、マスクを用いたスパッタ法である。なお、CVD法によって成膜するようにしてもよい。
【0027】
なお、CVD法やスパッタ法の場合、成膜粒子は斜め方向からも成膜されるので、シリコンナノワイヤ450の底まで保護膜500が埋まらず、シリコンナノワイヤ450の上部のみが繋がった1枚の膜状となる。更に、保護膜500は、シリコンナノワイヤ450が形成された第1領域401から第2領域402に跨って固定される。なお、マスクを用いたスパッタ法に限定されず、保護膜500をCVD法やスパッタ法を用いて成膜した後、フォトリソグラフィ法やエッチング法を用いてパターニングするようにしてもよい。
【0028】
図12に示す工程では、N型シリコン層400における第2領域402に、第2電極600を形成する。第2電極600の材料は、例えば、銀(Ag)である。具体的には、第2領域402において銀膜を成膜し、その後、銀膜をパターニングすることによって、第2電極600を形成することができる。
【0029】
図13に示す工程では、P型シリコン層300の裏面側、即ち、P型シリコン層300における保護膜500の方向とは反対側に、第1電極200を成膜する。第1電極200は、例えば、アルミニウム(Al)である。なお、第1電極200の裏面に、保持基板100を配置するようにしてもよい。以上により、太陽電池1000が完成する。
【0030】
以上述べたように、本実施形態の太陽電池1000は、導電層の一部である第1電極200と、第1電極200の上に配置された第1半導体層としてのP型シリコン層300と、P型シリコン層300の上に配置されたシリコンナノワイヤ450を有する第2半導体層としてのN型シリコン層400と、シリコンナノワイヤ450を有する第1領域401を覆うように配置された保護膜500と、を備える。
【0031】
この構成によれば、シリコンナノワイヤ450を有する第1領域401を覆うように保護膜500が配置されているので、シリコンナノワイヤ450が隣接する領域に移動することを抑えることが可能となり、保護膜500に固定された状態となる。よって、シリコンナノワイヤ450を、例えば、指などで触れてしまった場合でも、簡単に破損することを抑えることができる。また、シリコンナノワイヤ450の上部に電極などを形成することもできる。
【0032】
また、本実施形態の太陽電池1000において、保護膜500は、シリコンナノワイヤ450の上層部に配置されていることが好ましい。この構成によれば、シリコンナノワイヤ450の上層部に保護膜500が配置されているので、シリコンナノワイヤ450の強度的に弱い部分を保護膜500で固定することができ、シリコンナノワイヤ450に接触した場合でも、簡単に破損することを抑えることができる。
【0033】
また、本実施形態の太陽電池1000において、保護膜500は、SiO2、SiON、又は、ガラスであることが好ましい。この構成によれば、上記の材料によって保護膜500が構成されているので、シリコンナノワイヤ450の領域を覆うように成膜できると共に、光の屈折率による影響を抑えることができる。
【0034】
また、本実施形態の太陽電池1000において、第2半導体層であるN型シリコン層400は、シリコンナノワイヤ450が配置された第1領域401と、第1領域401の外側の領域である第2領域402と、を有し、導電層には、第1電極200が設けられており、N型シリコン層400の第2領域402には、第2電極600が設けられていることが好ましい。この構成によれば、第1電極200及び第2電極600が設けられているので、第1電極200と第2電極600とによって、集電を行うことができる。
【0035】
また、本実施形態の太陽電池1000において、第1半導体層は、P型シリコン層300であり、第2半導体層は、N型シリコン層400であることが好ましい。この構成によれば、上記のようにP型シリコン層300及びN型シリコン層400を構成することにより、太陽光を電気に効率よく変換することができる。
【0036】
また、本実施形態の太陽電池1000の製造方法は、P型シリコン層300の上に、N型シリコン層400を形成する工程と、N型シリコン層400の上に、触媒膜としての金膜700を形成する工程と、金膜700及びN型シリコン層400の上にアルミニウム膜800を成膜する工程と、アルミニウム膜800に陽極酸化法を用いて細孔801を形成する工程と、細孔801をマスクとしてアルミニウム膜800及び金膜700をエッチングする工程と、MACE法を用いてN型シリコン層400にシリコンナノワイヤ450を形成する工程と、シリコンナノワイヤ450を有する領域に保護膜500を成膜する工程と、を有する。
【0037】
この方法によれば、シリコンナノワイヤ450を有する領域を覆うように保護膜500を成膜するので、シリコンナノワイヤ450が隣接する領域に移動することを抑えることが可能となり、保護膜500に固定された状態となる。よって、シリコンナノワイヤ450を、例えば、指などで触れてしまった場合でも、簡単に破損することを抑えることができる。また、シリコンナノワイヤ450の上部に電極などを形成することもできる。
【0038】
以下、上記した実施形態の変形例を説明する。
【0039】
上記したように、P型シリコン層300の裏面に第1電極200を配置し、N型シリコン層400の第2領域402に第2電極600を配置することに限定されず、図14に示すような構成にしてもよい。図14に示すように、変形例の太陽電池2000は、単結晶シリコン層410の裏面側に、N型シリコン層310とP型シリコン層320を形成している。更に、第1半導体層としてのN型シリコン層310の裏面に、N型シリコン層310と電気的に接続された第1電極210を設け、第2半導体層としてのP型シリコン層320の裏面に、P型シリコン層320と電気的に接続された第2電極220を設けている。なお、第1半導体層と第2半導体層とは、N型シリコン層とP型シリコン層とが逆になっている場合もある。
【0040】
この場合においても、太陽電池2000の表側、即ち、+Z方向側には、シリコンナノワイヤ450の上層部を覆うように保護膜500が配置されている。このように、2つの電極210,220を受光面の裏面に配置して、バックソーラー太陽電池として構成することで、受光面積を最大化することが可能となり、より効率的な発電を行うことができる。
【0041】
以上のように、変形例の太陽電池2000において、導電層は、N型シリコン層310と電気的に接続された第1電極210と、P型シリコン層320と電気的に接続された第2電極220と、を有し、第1電極210及び第2電極220は、N型シリコン層310及びP型シリコン層320の裏面に設けられていることが好ましい。この構成によれば、太陽光が照射される単結晶シリコン層410の裏面側に第1電極210及び第2電極220が設けられているので、太陽光を受光するのに邪魔にならず、効率よく光を電気に変換することができる。
【符号の説明】
【0042】
100…保持基板、200…第1電極、210…第1電極、220…第2電極、300…第1半導体層としてのP型シリコン層、310…第1半導体層としてのN型シリコン層、320…第2半導体層としてのP型シリコン層、400…第2半導体層としてのN型シリコン層、401…第1領域、402…第2領域、410…単結晶シリコン層、450…シリコンナノワイヤ、500…保護膜、600…第2電極、700…金膜、701…金膜パターン、702…金膜パターン、800…アルミニウム膜、801…細孔、802…マスク、1000…太陽電池、2000…太陽電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15