(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103985
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240726BHJP
B65H 5/36 20060101ALI20240726BHJP
B41J 13/02 20060101ALI20240726BHJP
B65H 3/52 20060101ALI20240726BHJP
B65H 3/66 20060101ALI20240726BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240726BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
B65H5/36
B41J13/02
B65H3/52 330Z
B65H3/66
B65H7/02
H04N1/00 L
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007961
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】西村 陽一郎
【テーマコード(参考)】
2C059
3F048
3F101
3F343
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2C059BB11
2C059BB21
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5C072DA25
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5C072XA01
(57)【要約】
【課題】媒体を搬送する際に読取部による読取が好適に行えるように搬送すること。
【解決手段】本画像読取装置は、開状態と閉状態とに開閉可能な開閉カバー3を開けると交換可能で、媒体5を搬送可能な第1ローラー14と、第1ローラーの下流に設けられ、媒体の画像を読み取る読取部71と、開閉カバー3に対して閉状態か記開状態の方向に力を付与する弾性部材4を備え、開閉カバーは、搬送方向と交差する幅方向において第1ローラーの長さよりも長い案内部6を備え、前記閉状態において、案内部6は搬送経路21に進出する第1位置P1と退避する第2位置P2とに変位可能であり、第1の媒体51が搬送される場合は第1位置P1を取り、第1の媒体より剛性の高い第2の媒体52が搬送される場合は第2位置P2を取るように弾性力Eを付与されている
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を回動支点として回動し、開状態と閉状態とに開閉可能な開閉カバーと、
前記開閉カバーを開けると交換可能であり、搬送経路に設けられた第1ローラーと、
前記搬送経路に沿う搬送方向において、前記第1ローラーの下流に設けられ、前記媒体の画像を読み取る読取部と、
を備えた画像読取装置であって、
前記開閉カバーに対して前記閉状態から前記開状態の方向に力を付与する弾性部材を備え、
前記開閉カバーは、
前記媒体の搬送方向と交差する幅方向において前記第1ローラーの長さよりも長く、前記媒体を案内する案内部、を備え、
前記閉状態において、前記案内部が前記搬送経路に進出する第1位置と、前記案内部が前記搬送経路から退避する第2位置と、に変位可能であり、
前記第1ローラーで第1の媒体が搬送される場合は前記第1位置を取り、前記第1の媒体より剛性の高い第2の媒体が搬送される場合は前記第2位置を取るように前記弾性部材によって力を付与されている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像読取装置であって、
前記開閉カバーは、
前記弾性部材と当接可能な当接部と、
前記閉状態において被係合部と係合せず、前記開状態において前記被係合部と係合可能な係合部と、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記第1位置は、前記案内部が前記搬送経路に対して最も進出した位置であり、
前記第2位置は、前記案内部が前記搬送経路に対して最も進出しない位置である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記案内部は、前記第1位置にあるときは、前記案内部の下流端が前記案内部の上流端よりも突出する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記搬送方向において、前記第1ローラーと前記読取部の間に設けられ、前記媒体を搬送する第1搬送ローラーを備え、
前記第1ローラーは、前記媒体を分離可能な分離ローラーを含むローラー対であり、
前記分離ローラーは、前記幅方向において、前記第1搬送ローラーの両端部の内側に配置されている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
前記案内部の回転軸の中心は、前記搬送方向において、前記分離ローラーのニップ位置の上流に位置し、
前記案内部の下流端は、前記搬送方向において、前記分離ローラーと前記第1搬送ローラーとの間に位置する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項5に記載された画像読取装置であって、
前記第1搬送ローラーは、前記幅方向に並んで配置された2つのローラーからなり、
前記案内部の前記幅方向の長さは、前記2つのローラーの間の距離よりも長い、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記回転軸は前記開閉カバーの上流端に位置し、
前記係合部は前記開閉カバーの下流端に位置し、
前記弾性部材は、前記搬送方向において、前記回転軸よりも前記係合部寄りに位置する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記弾性部材は、第1弾性部材と第2弾性部材とからなり、
前記分離ローラーは、前記幅方向において、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材との間に位置する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記開閉カバーが前記第1位置に位置する場合、前記案内部の前記搬送経路に対する進出位置は、前記幅方向に見た場合、前記第1ローラーのニップ位置と前記第1搬送ローラーのニップ位置とを結ぶ仮想直線よりも上に位置する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記媒体の重送を検出可能な重送検出部を備え、
前記開閉カバーは切り欠き部が設けられ、
前記重送検出部は、前記閉状態において、前記切り欠き部から露呈する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
請求項5に記載された画像読取装置であって、
前記第1搬送ローラーの下流に設けられた第2搬送ローラーと、
前記第2搬送ローラーの下流に設けられ湾曲反転した湾曲反転経路と、を備え、
前記第2搬送ローラーは、前記幅方向に並んで配置された2つのローラーからなり、
前記案内部の前記長さは、前記2つのローラーの間の距離よりも長い、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
請求項1又は請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記弾性部材は前記開閉カバーと一体構成である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
請求項1又は請求項2に記載された画像読取装置であって、
前記搬送方向において、前記第1ローラーと前記読取部の間に設けられ、媒体を搬送する第1搬送ローラーと、
前記搬送経路の一部を成す上側ガイドと、を備え、
前記案内部で案内された前記媒体は、前記上側ガイドの案内面に接触して前記第1搬送ローラーの方に案内される、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項15】
請求項14に記載された画像読取装置であって、
前記上側ガイドは、
前記搬送方向と交差する方向に変位可能であり、
前記搬送方向において、前記案内部とオーバーラップしない位置にある、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項16】
請求項14に記載された画像読取装置であって、
前記上側ガイドは、
前記搬送方向と交差する方向に変位可能であり、
前記搬送方向において、前記案内部とオーバーラップする位置にある、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項17】
請求項10に記載された画像読取装置であって、
前記搬送経路の上側に位置し、前記搬送経路の一部を成す上側ガイドを備え、
前記案内部で案内された前記媒体は、前記上側ガイドの案内面に接触して前記第1搬送ローラーの方に案内され、
前記案内部の前記搬送経路に対して最も進出した位置は、前記仮想直線と直交する方向において、前記上側ガイドの上流端と前記上側ガイドの下流端との間にある、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項18】
請求項5又は請求項14に記載された画像読取装置であって、
前記第1搬送ローラーの下流に位置する第2搬送ローラーを備え、
前記搬送経路に対する前記第1搬送ローラーの突出量と、前記搬送経路に対する前記第2ローラーの突出量が同じである、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項19】
請求項5に記載された画像読取装置であって、
前記読取部は、前記搬送方向と交差する交差方向に移動可能に設けられ、
前記第1搬送ローラーは、
前記媒体の上側に位置する上側搬送ローラーと下側に位置する下側搬送ローラーとの対で構成され、
前記上側搬送ローラーは前記搬送方向と交差する交差方向に移動可能に設けられ、
前記上側搬送ローラーの前記交差方向への移動に連動して前記読取部を前記交差方向に移動させる連動部を備え、
前記連動部は、前記媒体が前記案内部を前記第2位置となる状態で搬送される場合には、前記媒体によって前記上側搬送ローラーが前記下側搬送ローラーから離れる方向に移動することで前記読取部も同方向に移動させる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、支持ユニット20(ローラーカバー)を媒体の支持位置から移動させ、給送ローラー10を取り外せる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている装置は、前記媒体を搬送する際に、前記媒体を読取部による読取が好適に行えるように搬送することにおいて改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像読取装置は、回転軸を回動支点として回動し、開状態と閉状態とに開閉可能な開閉カバーと、前記開閉カバーを開けると交換可能であり、搬送経路に設けられた第1ローラーと、前記搬送経路に沿う搬送方向において、前記第1ローラーの下流に設けられ、前記媒体の画像を読み取る読取部と、を備えた画像読取装置であって、前記開閉カバーに対して前記閉状態から前記開状態の方向に力を付与する弾性部材を備え、前記開閉カバーは、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向において前記第1ローラーの長さよりも長く、前記媒体を案内する案内部、を備え、前記閉状態において、前記案内部が前記搬送経路に進出する第1位置と、前記案内部が前記搬送経路から退避する第2位置と、に変位可能であり、前記第1ローラーで第1の媒体が搬送される場合は前記第1位置を取り、前記第1の媒体より剛性の高い第2の媒体が搬送される場合は前記第2位置を取るように前記弾性部材によって力を付与されている、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1に係る画像読取装置の内部を側視した要部概略構成図。
【
図8】実施形態1の湾曲反転経路の部分の要部斜視図。
【
図9】実施形態1と2の要部を側視した構成図(上の図と下の図)。
【
図10】実施形態1と2の要部を側視した構成図(上の図と下の図)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について先ず概略的に説明する。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る画像読取装置は、回転軸を回動支点として回動し、開状態と閉状態とに開閉可能な開閉カバーと、前記開閉カバーを開けると交換可能であり、搬送経路に設けられた第1ローラーと、前記搬送経路に沿う搬送方向において、前記第1ローラーの下流に設けられ、前記媒体の画像を読み取る読取部と、を備えた画像読取装置であって、前記開閉カバーに対して前記閉状態から前記開状態の方向に力を付与する弾性部材を備え、前記開閉カバーは、前記媒体の搬送方向と交差する幅方向において前記第1ローラーの長さよりも長く、前記媒体を案内する案内部、を備え、前記閉状態において、前記案内部が前記搬送経路に進出する第1位置と、前記案内部が前記搬送経路から退避する第2位置と、に変位可能であり、前記第1ローラーで第1の媒体が搬送される場合は前記第1位置を取り、前記第1の媒体より剛性の高い第2の媒体が搬送される場合は前記第2位置を取るように前記弾性部材によって力を付与されていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記開閉カバーは、前記幅方向において前記第1ローラーの長さよりも長く、前記媒体を案内する案内部を備える。更に、前記開閉カバーは、前記閉状態において、前記案内部が前記搬送経路に進出する第1位置と、前記案内部が前記搬送経路から退避する第2位置とに変位可能である。即ち、前記開閉カバーが前記案内部を兼用する構造であるので、前記案内部を、部品点数を増やすことなく設けて、前記媒体の搬送精度を向上させることができる。また小型化を進めることができる。
また、前記開閉カバーは、前記第1ローラーで第1の媒体が搬送される場合は前記第1位置を取り、前記第1の媒体より剛性の高い第2の媒体が搬送される場合は前記第2の位置を取るように前記弾性部材によって力を付与されている。これにより、前記第1位置と前記第2位置への変位を簡単な構造で実現することができる。また前記媒体に対するバックテンションの増加を抑制することができる。
また、前記第1の媒体が薄紙等の剛性の低い媒体である場合、前記第1ローラーとの接触で前記媒体に波打ち変形等の皺が生じやすい。しかし、本態様では、前記幅方向において前記第1ローラーの幅よりも長い長さを有する前記案内部を前記搬送経路に進出させる第1位置に変位させることで、前記媒体の皺の発生を抑制することができる。一方、第2の媒体が剛性の高い媒体である場合は前記皺が生じ難いが、冊子等の剛性が高い媒体は厚みも大きくなるものがほとんどであるので、前記厚みが増した分だけ前記搬送経路が前記媒体の厚み方向において狭くなり、搬送抵抗が大きくなって不安定な搬送になり易い。しかし、本態様では、前記案内部が前記搬送経路から退避する第2位置に変位することで前記厚みの増加分を相殺することができる。これにより、第2の媒体が剛性の高い媒体であっても搬送抵抗が大きくなることを抑制でき、安定な搬送を実現することができる。
【0009】
本発明に係る画像読取装置の第2の態様は、第1の態様に従属する態様であって、前記開閉カバーは、前記弾性部材と当接可能な当接部と、前記閉状態において被係合部と係合せず、前記開状態において前記被係合部と係合可能な係合部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記開閉カバーは、前記当接部と前記係合部とを備えるので、前記回転軸を回動支点として回動して前記開状態と閉状態への変位を安定して行うことができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第2の態様に従属する態様であって、前記第1位置は、前記案内部が前記搬送経路に対して最も進出した位置であり、前記第2位置は、前記案内部が前記搬送経路に対して最も進出しない位置であることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記第1位置は前記案内部が前記搬送経路に対して最も進出した位置であり、前記第2位置は最も進出しない位置である。これにより、最も剛性の低い媒体の場合には、前記案内部を前記第1位置に変位させることで前記媒体の剛性を高めた状態にして搬送することができる。一方、剛性が高く最も厚い媒体の場合には、前記案内部を前記第2位置に変位させることで前記媒体の搬送抵抗の増加を抑制でき、安定した搬送を妨げないようにすることができる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記案内部は、前記第1位置にあるときは、前記案内部の下流端が前記案内部の上流端よりも突出することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記案内部は、前記第1位置にあるときは、前記案内部の下流端が前記案内部の上流端よりも突出する。これにより、前記案内部の下流端が前記媒体に接触することになるので、前記媒体を湾曲形状にすることができ、以って前記媒体の剛性を簡単に高めることができる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記搬送方向において、前記第1ローラーと前記読取部の間に設けられ、前記媒体を搬送する第1搬送ローラーを備え、前記第1ローラーは、前記媒体を分離可能な分離ローラーを含むローラー対であり、前記分離ローラーは、前記幅方向において、前記第1搬送ローラーの両端部の内側に配置されていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記第1ローラーと前記読取部の間に設けられて媒体を搬送する第1搬送ローラーを備え、前記第1ローラーは、前記媒体を分離可能な分離ローラーを含むローラー対である。更に前記分離ローラーは前記第1搬送ローラーの両端部の内側に配置されている。これにより、前記第1搬送ローラーと前記分離ローラーの設置部分のスペース効率を上げつつ、前記分離ローラーの分離機能を効果的に発現させることができる。また、前記媒体に対するバックテンションの増加を抑制することができる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る画像読取装置は、第5の態様に従属する態様であって、前記案内部の回転軸の中心は、前記搬送方向において、前記分離ローラーのニップ位置の上流に位置し、前記案内部の下流端は、前記分離ローラーと前記搬送ローラーとの間に位置することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記案内部の回転軸の中心は、前記搬送方向において、前記分離ローラーのニップ位置の上流に位置する。更に、前記案内部の下流端は、前記搬送方向において、前記分離ローラーと前記搬送ローラーとの間に位置する。これにより、前記分離ローラーから下流に搬送される前記媒体に対して前記案内部を安定良く接触させることができ、以って前記分離ローラーによって生じた前記媒体の皺を安定良く矯正して平坦化することができる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る画像読取装置は、第5の態様に従属する態様であって、前記第1搬送ローラーは、前記幅方向に並んで配置された2つのローラーからなり、前記案内部の前記幅方向の長さは、前記2つのローラーの間の距離よりも長いことを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記案内部の前記幅方向の長さは、前記第1搬送ローラーを成す前記2つのローラーの間の距離よりも長い。これにより、前記分離ローラーによって生じた前記媒体の皺をより確実に矯正して平坦化することができる。
尚、前記案内部の長さを前記2つのローラーの両端の距離よりも長くすることで、前記皺に対する矯正機能を一層高めることができる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る画像読取装置は、第2の態様に従属する態様であって、前記回転軸は前記開閉カバーの上流端に位置し、前記係合部は前記開閉カバーの下流端に位置し、前記弾性部材は、前記搬送方向において、前記回転軸よりも前記係合部寄りに位置することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、前記弾性部材は、前記搬送方向において、前記回転軸よりも前記係合部寄りに位置する。これにより、前記弾性部材の弾性力を安定して付与することができる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記弾性部材は、第1弾性部材と第2弾性部材とからなり、前記分離ローラーは、前記幅方向において、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材との間に位置することを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記分離ローラーは、前記幅方向において、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材との間に位置するので、前記開閉カバーに対して2点で弾性力を作用させることができる、以って前記開閉カバーを安定して変位させることができる。
【0025】
本発明の第10の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第9の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記開閉カバーが前記第1位置に位置する場合、前記案内部の前記搬送経路に対する進出位置は、前記幅方向に見た場合、前記第1ローラーのニップ位置と前記第1搬送ローラーのニップ位置とを結ぶ仮想直線よりも上に位置することを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、前記開閉カバーは、前記第1位置に位置する場合において、前記案内部の前記進出位置は、前記幅方向に見た場合に、即ち側視方向において、前記第1ローラーのニップ位置と前記第1搬送ローラーのニップ位置とを結ぶ仮想直線よりも上に位置する。これにより、前記第1ローラーによって生じた前記媒体の皺を効果的に矯正して平坦化することができる。
【0027】
本発明の第11の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記媒体の重送を検出可能な重送検出部を備え、前記開閉カバーは切り欠き部が設けられ、前記重送検出部は、前記閉状態において、前記切り欠き部から露呈することを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、前記開閉カバーは切り欠き部が設けられ、前記重送検出部は、前記閉状態において、前記切り欠き部から露呈する。これにより、前記重送検出部を省スペースに配置することができる。
【0029】
本発明の第12の態様に係る画像読取装置は、第5の態様に従属する態様であって、前記第1搬送ローラーの下流に設けられた第2搬送ローラーと、前記第2搬送ローラーの下流に設けられ湾曲反転した湾曲反転経路と、を備え、前記第2搬送ローラーは、前記幅方向に並んで配置された2つのローラーからなり、前記案内部の前記長さは、前記2つのローラーの間の距離よりも長いことを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、前記案内部の前記長さは、前記第2搬送ローラーを成す前記2つのローラーの間の距離よりも長い。この点においても、前記第1ローラーによって生じた前記媒体の皺を効果的に平坦化することができる。
また、前記媒体は、前記湾曲反転経路を通過する際に、波打ち変形等の皺ができていると、その皺が潰されて跡が残ることになる。しかし、本態様では、前記媒体は、前記案内部によって前記皺が矯正されて平坦化した状態で前記湾曲反転経路に送られる。これにより、前記湾曲反転経路のところで前記皺が潰されて跡が残る虞を低減することができる。前記湾曲反転経路に複数のリブが前記幅方向に配置されている構造では、前記「潰されて跡が残る」問題が起こり易いが、本態様では、その問題の発生を低減することができる。
【0031】
本発明の第13の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第12の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記弾性部材は前記開閉カバーと一体構成であることを特徴とする。
前記「一体構成」は、例えば、プラスチック材料によって一体成形等で作り、前記弾性部材に相当する部分を弾性変形可能に作ることで実現できる。
【0032】
本態様によれば、前記弾性部材は前記開閉カバーと一体構成であるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0033】
本発明の第14の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第13の態様のいずれか一つの態様に従属する態様であって、前記搬送方向において、前記第1ローラーと前記読取部の間に設けられ、媒体を搬送する第1搬送ローラーと、前記搬送経路の一部を成す上側ガイドとを備え、前記案内部で案内された前記媒体は、前記上側ガイドの案内面に接触して前記第1搬送ローラーの方に案内されることを特徴とする。
【0034】
本態様によれば、前記案内部で案内された前記媒体は、前記上側ガイドの案内面に接触して前記第1搬送ローラーの方に案内される。これにより、前記媒体を前記第1搬送ローラーへ安定して案内することができる。
【0035】
本発明の第15の態様に係る画像読取装置は、第14の態様に従属する態様であって、前記上側ガイドは、前記搬送方向と交差する方向に変位可能であり、前記搬送方向において、前記案内部とオーバーラップしない位置にあることを特徴とする。
【0036】
本態様によれば、前記上側ガイドは、前記変位可能であると共に、前記搬送方向において、前記可動部とオーバーラップしない位置にある。これにより、前記可動部と前記上側ガイドの距離を離すことが可能となり、前記可動部の前記搬送経路に対する進出量と、前記上側ガイドの前記変位の量と、を増やしても両者の間での干渉の虞を低減することができる。以って、前記媒体を効果的に平坦化して搬送することができる。
【0037】
本発明の第16の態様に係る画像読取装置は、第14の態様に従属する態様であって、前記上側ガイドは、前記搬送方向と交差する方向に変位可能であり、前記搬送方向において、前記案内部とオーバーラップする位置にあることを特徴とする。
【0038】
本態様によれば、前記上側ガイドは、前記変位可能であると共に、前記搬送方向において、前記案内部とオーバーラップする位置にある。これにより、前記搬送方向の小型化を実現することができる。
【0039】
本発明の第17の態様に係る画像読取装置は、第10の態様に従属する態様であって、前記搬送経路の上側に位置し、前記搬送経路の一部を成す上側ガイドを備え、前記案内部で案内された前記媒体は、前記上側ガイドの案内面に接触して前記第1搬送ローラーの方に案内され、前記案内部の前記搬送経路に対して最も進出した位置は、前記仮想直線と直交する方向において、前記上側ガイドの上流端と前記上側ガイドの下流端との間にあることを特徴とする。
【0040】
本態様によれば、前記案内部の前記搬送経路に対して最も進出した位置は、前記仮想直線と直交する方向において、前記上側ガイドの上流端と前記上側ガイドの下流端との間にある。これにより、前記媒体の剛性を効果的に高めることができる。
【0041】
本発明の第18の態様に係る画像読取装置は、第5の態様又は第14の態様に従属する態様であって、前記第1搬送ローラーの下流に位置する第2搬送ローラーを備え、前記搬送経路に対する前記第1搬送ローラーの突出量と、前記搬送経路に対する前記第2搬送ローラーの突出量が同じであることを特徴とする。
ここで、「前記搬送経路に対する前記第1搬送ローラーの突出量」とは、前記搬送方向における前記第1搬送ローラーの位置において、そのニップ位置が搬送される媒体の下面を案内する経路構成部材の上面に対して上方へ突出した距離を意味する。また、「前記搬送経路に対する前記第2搬送ローラーの突出量」とは、前記搬送方向における前記第2搬送ローラーの位置において、そのニップ位置が搬送される媒体の下面を案内する経路構成部材の上面に対して上方へ突出した距離を意味する。
【0042】
本態様によれば、前記搬送経路に対する前記第1搬送ローラーの突出量と、前記搬送経路に対する前記第2搬送ローラーの突出量が同じである。このように、前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーの突出量が同じなので、前記媒体の搬送性が安定する。
【0043】
本発明の第19の態様に係る画像読取装置は、第5の態様に従属する態様であって、前記読取部は、前記搬送方向と交差する交差方向に移動可能に設けられ、前記第1搬送ローラーは、前記媒体の上側に位置する上側搬送ローラーと下側に位置する下側搬送ローラーとの対で構成され、前記上側搬送ローラーは前記搬送方向と交差する交差方向に移動可能に設けられ、前記上側搬送ローラーの前記交差方向への移動に連動して前記読取部を前記交差方向に移動させる連動部を備え、前記媒体が前記案内部を前記第2位置となる状態で搬送される場合には、前記媒体によって前記上側搬送ローラーが前記下側搬送ローラーから離れる方向に移動することで前記読取部も同方向に移動することを特徴とする。
【0044】
本態様によれば、前記媒体が前記案内部を前記第2位置となる状態で搬送される場合には、前記媒体によって前記上側搬送ローラーが前記下側搬送ローラーから離れる方向に移動することで前記読取部も同方向に移動する。これにより、冊子等の厚い媒体を搬送して前記読取部で読み取る際に、読取部の位置が前記厚い媒体によって自動的に前記離れる方向に持ち上げられるので、前記読取部による読み取りを適切な読取距離で行うことができ、以って読み取りが安定する。
【0045】
[実施形態1]
以下、本発明の実施形態1に係る画像読取装置について、
図1から
図10に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。Z軸方向は鉛直方向即ち重力が作用する方向に相当し、+Z方向が鉛直上方を示し、-Z方向が鉛直下方を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。+Y方向が装置の前方向を示し、-Y方向が装置の後方向を示す。+X方向が装置の右方向を示し、-X方向が装置の左方向を示す。
【0046】
<画像読取装置の全体構成>
本実施形態の画像読取装置1は、媒体5の画像を読み取り可能なスキャナーである。ここで、前記画像は、前記媒体に視覚的に記録されているものを意味し、例えば文字、図形、表、絵、写真等である。前記媒体は、シートに限らず、カード、冊子等も含まれる。
図1に示したように、画像読取装置1は、媒体5の画像を読み取る読取部71,72と、媒体5を搬送経路21に沿って搬送方向Fに搬送し、搬送方向Fにおいて、読取部71,72の上流に設けられた第1搬送ローラー9と、読取部71,72の下流に設けられた第2搬送ローラー11とを備えている。第1搬送ローラー9の搬送方向Fにおける上流には、図示を省く媒体支持部にセットされた媒体5を搬送方向Fにおける第1搬送ローラー9に向けて送り出す第1ローラー14が配置されている。
【0047】
本実施形態では、第1搬送ローラー9と第2搬送ローラー11は、いずれも媒体5をニップして搬送するニップローラーで構成されている。
具体的には、第1搬送ローラー9は、上側搬送ローラー23と、上側搬送ローラー23と媒体5を第1ニップ位置25で挟んで搬送する下側搬送ローラー27との対で構成されている。また、第2搬送ローラー11は、上側第2搬送ローラー29と、上側第2搬送ローラー29と媒体5を第2ニップ位置31で挟んで搬送する下側第2搬送ローラー33との対で構成されている。
【0048】
また、
図2と
図3に示したように、上側搬送ローラー23、下側搬送ローラー27、上側第2搬送ローラー29及び下側第2搬送ローラー33は、いずれも各回転軸35、37、39、19に、その軸方向に離間して2ヶ所に位置する2つのローラーで構成されている。尚、
図2と
図3には、上側搬送ローラー23と上側第2搬送ローラー29は、図示されていない。
第1ローラー14は、給送ローラー48と分離ローラー50の対のニップローラーで構成されている。給送ローラー48は、不図示の載置台に載置された媒体5を給送する駆動ローラーである。分離ローラー50は、媒体束から1枚の媒体を分離するローラーである。分離ローラー50は、回転軸にトルクリミッタを備えており、原稿1枚のみを給送する場合、トルクリミッタに設定値を超えるトルクがかかり、給送ローラー48と一緒に給送方向に回転する。分離ローラー50は、駆動力が伝達されないローラーであってもよい。また、分離ローラー50は、媒体を給送する給送方向とは逆に回転する駆動ローラーであってもよい。
【0049】
図1に示したように、本実施形態では、搬送方向Fにおける第2搬送ローラー11より下流に搬送経路21の一部を成す湾曲反転経路18が設けられている。
図8に示したように、湾曲反転経路18には複数のリブ54が幅方向(X軸方向)に間隔をあけて突設されている。このリブ54は、湾曲反転経路18における媒体5の搬送抵抗を低減する役割で設けられている。
湾曲反転経路18の下流端部分に中間ローラー20、更にその下流に排出ローラー22が配置されている。排出ローラー22を通過して排出された媒体5は、図示を省く排出受け部の受け面に支持されて保持される。
【0050】
また、中間ローラー20は、駆動ローラー58と従動ローラー60の対で構成されている。排出ローラー22は、駆動ローラー66と従動ローラー68の対で構成されている。
第1ローラー14、第1搬送ローラー9、第2搬送ローラー11、中間ローラー20、排出ローラー22、及び読取部71,72の各動作は、図示を省く制御部によって行われる。前記制御部は、CPU、フラッシュROM、及びRAMを備えている。CPUはフラッシュROMに格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、画像読取装置1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROMは読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。記憶手段の一例であるRAMには、一時的に各種情報が格納される。
【0051】
<開閉カバー>
本実施形態では、
図2と
図3に示したように、第1ローラー14を囲うように開閉カバー3が設けられている。開閉カバー3は、回転軸2(
図4、
図6)を回動支点として搬送方向Fの下流に位置する自由端が回動し、開状態と閉状態とに開閉可能である。開閉カバー3を開けた開状態にすると第1ローラー14の交換が可能に構成されている。開閉カバー3の閉状態(
図2、
図3)では、第1ローラー14は開閉カバー3によってその位置に保持されている。
ここでは、第1ローラー14のうちの分離ローラー50が開閉カバー3で交換可能に保持されている。第1ローラー14のうちの給送ローラー48が開閉カバー3で交換可能に保持される構造でもよい。
尚、
図5は開閉カバー3の全体を外した状態を示しているが、この
図5のように開閉カバー3を外さなくても、既述の通り、第1ローラー14の交換が可能である。
【0052】
<弾性部材>
本実施形態では、
図4に示したように、開閉カバー3に弾性力を付与する弾性部材4が設けられている。弾性部材4は、開閉カバー3に対して前記閉状態から前記開状態の方向に弾性力Eを付与するように設けられている。ここでは、
図5に示したように、弾性部材4は、コイルバネが使われていて、第1弾性部材41と第2弾性部材42との二つからなる。そして、分離ローラー50は、幅方向(X軸方向)において、第1弾性部材41と第2弾性部材42との間に位置する。
本実施形態では、開閉カバー3は、弾性部材4と当接可能な当接部8と、前記閉状態において被係合部10と係合せず、前記開状態において被係合部10と係合可能な係合部12とを備えている。被係合部10は装置本体側に固定されている。
図4と
図6に示したように、開閉カバー3の回転軸2は、開閉カバー3の上流端28に位置し、係合部12は開閉カバー3の下流端である案内部6の下流端13に位置する。そして、弾性部材4及び当接部8は、搬送方向Fにおいて、回転軸2よりも係合部12寄りに位置する。
【0053】
<案内部>
開閉カバー3は、媒体5を案内する案内部6を備えている。案内部6は、媒体5の搬送方向Fと交差する幅方向(X軸方向)において第1ローラー14を成す分離ローラー50の長さL1よりも大の長さL2を有している。
更に、本実施形態では、
図2と
図3に示したように、第1搬送ローラー9は、幅方向(X軸方向)に並んで配置された2つのローラー9,9からなり、案内部6の幅方向(X軸方向)の長さL2は、2つのローラー9,9の間の距離L3よりも長い。
更に、本実施形態では、
図2と
図3に示したように、第2搬送ローラー11は、幅方向(X軸方向)に並んで配置された2つのローラー11,11からなり、案内部6の幅方向(X軸方向)の長さL2は、2つのローラー11,11の間の距離L4よりも長い。
【0054】
開閉カバー3は、前記閉状態において、案内部6が搬送経路21に進出する第1位置P1と、案内部6が搬送経路21から退避する第2位置P2とに変位可能である。
案内部6は、第1ローラー14で薄紙等の第1の媒体51(
図9)が搬送される場合は第1位置P1を取り、第1の媒体51より剛性の高い、例えば冊子等の第2の媒体52(
図10の下の図)が搬送される場合は第2の位置P2を取るように弾性部材4によって弾性力Eを付与されている。ここで、
図9においては、案内部6は模式的に三角形で示されている。
図4と
図9に示したように、開閉カバー3が第1位置P1に位置する場合、案内部6の搬送経路21に対する進出位置は、幅方向(X軸方向)に見た場合、即ち側視方向において、第1ローラー14のニップ位置24と第1搬送ローラー9のニップ位置25とを結ぶ仮想直線30(
図4、
図9)よりも上に位置する。
また、
図4と
図6から理解できるように、案内部6は、第1位置P1にあるときは、案内部6の下流端13が案内部6の上流端15よりも突出するように設けられている。
【0055】
第1位置P1は、案内部6が搬送経路21に対して最も進出した位置であり、第2位置P2は、案内部6が搬送経路21に対して最も進出しない位置である。第1の位置P1は、使用される媒体5の中で、最も剛性が低い薄紙等の媒体5を想定し、その媒体5に対して設定される。第2の位置P2は、使用される媒体5の中で、最も剛性が高い、換言すると厚みが大きい媒体5を想定し、その媒体5に対して設定される。
図10の上の図に示したように、媒体5の剛性或いは厚みが前記想定したものの最小と最大の間に属するものである場合は、案内部6の進出の位置は、第1の位置P1と第2の位置P2の間の位置になる。
図10の上の図は、媒体3が、案内部6から弾性力Eを付与された状態での搬送姿勢が仮想線30とほぼ重なる程度の剛性のものである場合を示している。媒体3が、
図10の上の図に示した剛性のもの及びその剛性より低いものである場合には、案内部6の位置が変位しても分離ローラー50の位置は移動しない。分離ローラー50が移動しなくても媒体3の搬送が可能であるからである。
【0056】
媒体3の厚みが、
図10の上の図に示したものよりも厚いものである場合は、その厚みによって案内部6は更に押し下げられる。即ち、
図10の上の図に示した位置よりも案内部6は押し下げられる。
図10の下の図は、媒体3の厚みが想定される最大のものである場合を示しているので、案内部6が最も押し下げられた状態を示している。
媒体3の厚みが
図10の上の図に示したものよりも厚い場合は、分離ローラー50が
図10の上の図の位置のままであると、その厚みの大きさに応じて媒体3の搬送抵抗が増える。そのため、ここでは、分離ローラー50は、給送ローラー48とのニップ位置24から後退して冊子等の厚みの大きい媒体5が通過できるように移動することができる構造に作られている。尚、開閉カバー3は、媒体3の厚みに応じて分離ローラー50が移動、即ち変位しても、案内部6が変位するだけで、開閉カバー3自体、即ち開閉カバー3の回転軸2の位置は移動しない構造である。
【0057】
図3に示したように、分離ローラー50は、幅方向(X軸方向)において、第1搬送ローラー9の両端部16,17の内側に配置されている。尚、ここでは、分離ローラー50は、前記幅方向において、第1搬送ローラー9の内側の端部43,44の範囲内に設けられている。
また、
図4に示したように、案内部6の回転軸2の中心26は、分離ローラー50のニップ位置24より搬送方向Fにおける上流に位置する。案内部6の下流端13は、搬送方向Fにおいて、分離ローラー50と第1搬送ローラー9との間に位置する。
図3から
図5に示したように、本実施形態では、媒体5の重送を検出可能な重送検出部32を備えている。開閉カバー3は切り欠き部34が設けられている。重送検出部32は、前記閉状態において、切り欠き部34から露呈するように構成されている。ここでは、重送検出部32は公知の超音波センサーが使われている。
【0058】
<実施形態1の動作の説明>
(1)媒体の剛性が想定される最も低いものである場合
媒体5の剛性が想定される最も低いものである場合、
図9に示したように、案内部6は、弾性部材4の弾性力Eを受けて第1位置P1に進出する。この際、分離ローラー50は、案内部6の移動に伴って移動することがないように構成されている。実際には、媒体5が案内部6の位置に到達する前に、案内部6は第1位置P1に進出している。媒体5は、この進出状態の案内部6に向かって搬送方向Fに搬送される。
これにより、媒体5は仮想線30よりも上側に湾曲されて搬送される。この上側への湾曲によって、第1ローラー14から送られる際に媒体に波打ち変形等の皺が生じても、その皺は矯正されて平坦化される。媒体5は、平坦化された状態で第1搬送ローラー9にニップされ、読取部71で読み取りが行われ、第2搬送ローラー11を経てリブ54のある湾曲反転経路18に達し、そこで湾曲されて更に下流に搬送される。
【0059】
(2)媒体の厚みが想定される最も厚いものである場合
媒体5の厚みが想定される最も厚いものである場合、
図10の下の図に示したように、案内部6は搬送される媒体5によって第2位置P2に押し下げられる。ここでは、案内部6の第2位置P2への変位に先立って、分離ローラー50は、給送ローラー48とのニップ位置24から後退して冊子等の厚みの大きい媒体5が通過できるように移動する。
これにより、媒体5は分離ローラー50の前記移動により搬送抵抗の増加が抑制された状態で読取部71の読取領域に向けて搬送される。
尚、ここでは、媒体5は、読取部71の読取領域を通過した後、湾曲反転経路18を通らずに、平坦な状態で、図示を省く排出経路から装置外に排出されるように構成されている。
【0060】
(3)媒体の剛性又は厚みが前記(1)と(2)の間のものである場合
この場合は、媒体5は、案内部6が第1位置P1と第2位置P2の変位範囲の中で位置であって、媒体5の剛性と弾性部材4の弾性力Eとがバランスする位置に変位した状態で搬送される。
図10の上の図の状態は、媒体5が湾曲しないで平坦姿勢で弾性力Eとバランスしている状態である。
分離ローラー50は、
図10の上の図よりも媒体5の厚みが大きい場合には、媒体5の厚みに応じて搬送抵抗の増加を抑制する方向であるニップ位置24から離れる方向に移動する。
【0061】
<実施形態1の効果の説明>
(1)本実施形態では、開閉カバー3は、幅方向(X軸方向)において第1ローラー14の長さL1よりも長く、媒体5を案内する案内部6を備える。更に、開閉カバー3は、その閉状態において、案内部6が搬送経路21に進出する第1位置P1と、案内部6が搬送経路21から退避する第2位置P2とに変位可能である。即ち、開閉カバー3が案内部6を兼用する構造であるので、案内部6を、部品点数を増やすことなく設けて、媒体5の搬送精度を向上させることができる。また小型化を進めることができる。
また、開閉カバー3は、第1ローラー14で第1の媒体51が搬送される場合は第1位置P1を取り、第1の媒体51より剛性の高い第2の媒体52が搬送される場合は第2の位置P2を取るように弾性部材4によって力を付与されている。これにより、第1位置P1と第2位置P2への変位を簡単な構造で実現することができる。また媒体5に対するバックテンションの増加を抑制することができる。
また、第1の媒体51が薄紙等の剛性の低い媒体である場合、第1ローラー14との接触で媒体5に波打ち変形等の皺が生じやすい。しかし、本態様では、前記幅方向において第1ローラー14の幅L1よりも長い長さL2を有する案内部6を搬送経路に進出させる第1位置P1に変位させることで、媒体5の皺の発生を抑制することができる。一方、第2の媒体52が剛性の高い媒体5である場合は前記皺が生じ難いが、冊子等の剛性が高い媒体5は厚みも大きくなるものがほとんどであるので、前記厚みが増した分だけ搬送経路21が媒体5の厚み方向において狭くなり、搬送抵抗が大きくなって不安定な搬送になり易い。しかし、本態様では、案内部6が搬送経路21から退避する第2位置P2に変位することで前記厚みの増加分を相殺することができる。これにより、第2の媒体52が剛性の高い媒体であっても搬送抵抗が大きくなることを抑制でき、安定な搬送を実現することができる。
【0062】
(2)また、本実施形態では、開閉カバー3は、当接部8と係合部12とを備えるので、回転軸2を回動支点として回動して前記開状態と閉状態への変位を安定して行うことができる。
(3)また、本実施形態では、第1位置P1は案内部6が搬送経路21に対して最も進出した位置であり、第2位置P2は最も進出しない位置である。これにより、最も剛性の低い媒体5の場合には、案内部6を第1位置1に変位させることで媒体5の剛性を高めた状態にして搬送することができる。一方、剛性が高く最も厚い媒体5の場合には、案内部6を第2位置P2に変位させることで媒体5の搬送抵抗の増加を抑制でき、安定した搬送を妨げないようにすることができる。
【0063】
(4)また、本実施形態では、案内部6は、第1位置P1にあるときは、案内部6の下流端13が案内部6の上流端15よりも突出する。これにより、案内部6の下流端13を媒体5に接触することになるので、媒体5を湾曲形状にすることができ、以って媒体5の剛性を簡単に高めることができる。
(5)また、本実施形態では、第1ローラー14と読取部71,72の間に設けられて媒体5を搬送する第1搬送ローラー9を備え、第1ローラー14は、媒体5を分離可能な分離ローラー50を含むローラー対である。更に分離ローラー50は第1搬送ローラー9の両端部16,17の内側に配置されている。これにより、第1搬送ローラー9と分離ローラー50の設置部分のスペース効率を上げつつ、分離ローラー50の分離機能を効果的に発現させることができる。また、媒体5に対するバックテンションの増加を抑制することができる。
【0064】
(6)また、本実施形態では、案内部6の回転軸2の中心26は、分離ローラー50のニップ位置24より搬送方向Fにおける上流に位置する。更に、案内部6の下流端13は、搬送方向Fにおいて、分離ローラー50と第1搬送ローラー9との間に位置する。これにより、分離ローラー50から下流に搬送される媒体5に対して案内部6を安定良く接触させることができ、以って分離ローラー50によって生じた媒体5の皺を安定良く矯正して平坦化することができる。
(7)また、本実施形態では、案内部6の前記幅方向の長さL2は、第1搬送ローラー9を成す2つのローラー9,9の間の距離L3よりも長い。これにより、分離ローラー50によって生じた媒体5の皺をより確実に矯正して平坦化することができる。
尚、案内部6の長さを前記2つのローラーの両方の両端16と端部17の距離よりも長くすることで、前記皺に対する矯正機能を一層高めることができる。
【0065】
(8)また、本実施形態では、弾性部材4は、搬送方向Fにおいて、回転軸2よりも係合部12寄りに位置する。このように、弾性部材4は搬送方向Fにおいて、回転軸2よりも係合部12寄りに位置するので、弾性部材4の弾性力Eを安定して付与することができる。
(9)また、本実施形態では、分離ローラー50は、前記幅方向において、第1弾性部材41と第2弾性部材42との間に位置するので、開閉カバー3に対して2点で弾性力Eを作用させることができる。以って開閉カバー3を安定して変位させることができる。
【0066】
(10)また、本実施形態では、開閉カバー3は、案内部6が第1位置P1に位置する場合において、案内部6の前記進出位置は、前記幅方向に見た場合に、即ち側視方向において、第1ローラー14のニップ位置24と第1搬送ローラー9のニップ位置25とを結ぶ仮想直線30よりも上に位置する。これにより、第1ローラー14によって生じた媒体5の皺を効果的に矯正して平坦化することができる。
(11)また、本実施形態では、開閉カバー3は切り欠き部34が設けられ、重送検出部32は、開閉カバー3の前記閉状態において、切り欠き部34から露呈する。これにより、重送検出部32を省スペースに配置することができる。
【0067】
(12)また、本実施形態では、案内部6の長さL2は、第2搬送ローラー11を成す前記2つのローラー11,11の間の距離L4よりも長い。この点においても、第1ローラー14によって生じた媒体5の皺を効果的に平坦化することができる。
また、媒体5は、湾曲反転経路18を通過する際に、波打ち変形等の皺ができていると、その皺が潰されて跡が残ることになる。しかし、本実施形態では、媒体5は、案内部6によって前記皺が矯正されて平坦化した状態で湾曲反転経路18に送られる。これにより、湾曲反転経路18のところで前記皺が潰されて跡が残る虞を低減することができる。湾曲反転経路18に複数のリブ54が前記幅方向に配置されている構造では、前記「潰されて跡が残る」問題が起こり易いが、本実施形態では、その問題の発生を低減することができる。
【0068】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る画像読取装置1について説明する。実施形態1と同一部分については同一符号を付してその構成及び対応する効果の説明は省略する。
図9に示したように、本実施形態では、搬送方向Fにおいて、第1ローラー14と読取部71,72の間に設けられ、媒体5を搬送する第1搬送ローラー9と、搬送経路21の一部を成す上側ガイド45とを備えている。案内部6で案内された媒体5は、上側ガイド45の案内面46に接触して第1搬送ローラー9の方に案内される。
図9に示したように、上側ガイド45は、搬送方向Fと交差する方向(X軸方向)に変位可能であり、搬送方向Fにおいて、案内部6とオーバーラップする位置に設けられている。
【0069】
案内部6の搬送経路21に対して最も進出した位置P1は、仮想直線(
図9)と直交する方向において、上側ガイド45の上流端57と上側ガイド45の下流端59との間にある。
また、
図7に示したように、搬送経路21の下側経路面55に対する第1搬送ローラー9の下側搬送ローラー27の突出量T1と、搬送経路21の下側経路面56に対する第2搬送ローラー11の下側第2搬送ローラー33の突出量T2が同じであるように構成されている。
ここで、「搬送経路21に対する第1搬送ローラー9の突出量」とは、搬送方向Fにおける第1搬送ローラー9の位置において、そのニップ位置25が搬送される媒体5の下面を案内する経路構成部材の上面である下側経路面55に対して上方へ突出した距離T1を意味する。また、「搬送経路21に対する第2搬送ローラー11の突出量」とは、搬送方向Fにおける第2搬送ローラー11の位置において、そのニップ位置31が搬送される媒体5の下面を案内する経路構成部材の上面である下側経路面56に対して上方へ突出した距離T2を意味する。
【0070】
<実施形態2の効果の説明>
(1)本実施形態では、案内部6で案内された媒体5は、上側ガイド45の案内面46に接触して第1搬送ローラー9の方に案内される。これにより、媒体5を第1搬送ローラー9へ安定して案内することができる。
(2)また、本実施形態では、上側ガイド45は、搬送方向Fと交差する方向に変位可能であると共に、搬送方向Fにおいて、案内部6とオーバーラップする位置にある。これにより、搬送方向Fの小型化を実現することができる。
【0071】
(3)また、本実施形態では、案内部6の搬送経路21に対して最も進出した位置P2は、仮想直線30と直交する方向において、上側ガイド45の上流端57と上側ガイド45の下流端59との間にある。これにより、媒体5の剛性を効果的に高めることができる。
(4)また、本実施形態では、搬送経路21に対する第1搬送ローラー9の突出量T1と、搬送経路21に対する第2搬送ローラー11の突出量T2が同じである。このように、第1搬送ローラー9と第2搬送ローラー11の突出量T1とT2が同じなので、媒体5の搬送性が安定する。
【0072】
[実施形態3]
次に、実施形態3に係る画像読取装置1について、
図11と
図12に基いて説明する。実施形態1又は実施形態2と同一部分については同一符号を付してその構成及び対応する効果の説明は省略する。
図11の上の図と下の図に示したように、本実施形態では、読取部71は、搬送方向Yと交差する交差方向Cに移動可能に設けられている。第1搬送ローラー9は、媒体5の上側に位置する上側搬送ローラー23と下側に位置する下側搬送ローラー27との対で構成され、上側搬送ローラー23は搬送方向Fと交差する交差方向Cに移動可能に設けられている。上側搬送ローラー23の交差方向Cへの移動に連動して読取部71を交差方向Cに移動させる連動部49を備えている。連動部49は読取部71に固定されている。
本実施形態では、第2搬送ローラー11の上側第2搬送ローラー29も搬送方向Fと交差する交差方向Cに移動可能に設けられている。読取部71には、第2搬送ローラー11の上側第2搬送ローラー29側にも連動部53が連動部49と対称配置で固定されている。
【0073】
連動部49は、媒体5が案内部6を第2位置P2(
図11の下の図)となる状態で搬送される場合には、媒体5によって上側搬送ローラー23が下側搬送ローラー27から離れる方向である交差方向Cに移動することで、回転軸35によって交差方向Cに持ち上がる。これにより、連動部40と一体の読取部71も同方向Cに移動する。これにより、読取部71が適切な読取距離で媒体5の読取を行うことができる。
連動部53は、媒体5が案内部6を第2位置P2(
図11の下の図)となる状態で搬送される場合には、媒体5によって上側第2搬送ローラー29が下側第2搬送ローラー33から離れる方向である交差方向Cに移動することで、回転軸39も交差方向Cに持ち上がり、連動部53に当接して停止する。これにより、読取部71は、搬送方向Fの上流側と下流側の両方が回転軸35と回転軸39によって支えられる状態になる。この状態は、媒体5の終端部が読取部71の読取領域を通過し、更に第2搬送ローラー11のニップ位置31を通過するまで維持される。
【0074】
<実施形態3の動作の説明>
(1)剛性の低い薄紙(
図11の上の図)
搬送される媒体5が剛性の低い薄紙等である場合は、
図11の上の図に示したように、第1搬送ローラー9の上側搬送ローラー23は交差方向Cに移動することなく、ニップ位置25に位置する状態で媒体5を搬送する。そして、媒体5は読取部71の読取領域において設定された読取距離の状態で画像の読み取りが行われる。
更に、媒体5は、第2搬送ローラー11を経てリブ54のある湾曲反転経路18に達し、そこで湾曲されて更に下流に搬送される。
【0075】
(2)剛性の高い厚紙(
図11の下の図)
搬送される媒体5が剛性の高い冊子等の厚いものである場合は、
図11の下の図に示したように、先ず第1搬送ローラー9の上側搬送ローラー23が厚い媒体23によって持ち上げられて交差方向Cに移動し始める。続いて、上側搬送ローラー23の回転軸35が、読取部71に固定されている連動部49に下方から当接する。媒体5の厚みに対応する量だけ回転軸35が交差方向Cに移動し、この移動に連動して読取部71も一緒に交差方向Cに移動し、
図11の下の図の状態になる。
更に、媒体5が搬送方向Fに搬送され、
図11の下の図の状態の位置まで持ち上げられた読取部71の読取領域を通過して画像の読み取りが行われる。その際、読取部71は、媒体5の厚みに対応した量だけ交差方向Cに持ち上げられているので、適切な読取距離の状態で画像の読み取りが行われる。
【0076】
媒体5の先端が読取部71の読取領域を通過して、更に上側第2搬送ローラー29のニップ位置31に入り始めると、先ず上側第2搬送ローラー29が媒体5の厚みによって下側第2搬送ローラー33から離れる方向である交差方向Cに移動し始める。これにより、回転軸39が交差方向Cに持ち上がり、
図11の下の図に示したように、既に持ち上がっている状態の読取部71に固定されている連動部53に下方から当接して移動を停止する。尚、
図11の下の図では、回転軸39が交差方向Cに持ち上がる前の状態が示されている。これにより、読取部71は、搬送方向Fの上流側と下流側の両方が連動部49と連動部53を介して回転軸35と回転軸39によって支えられる状態になる。この状態は、媒体5の終端部が読取部71の読取領域を通過し、更に第2搬送ローラー11のニップ位置31を通過するまで維持される。
尚、ここでは、媒体5の先端が、読取部71の読取領域を通過した後、湾曲反転経路18を通らずに、平坦な状態で、図示を省く前記排出経路から装置外に排出される。
【0077】
本実施形態によれば、媒体5が案内部6を第2位置P2となる状態で搬送される場合には、媒体5によって上側搬送ローラー23が下側搬送ローラー27から離れる方向、即ち交差方向Cに移動することで読取部71も連動部49を介して同方向Cに移動する。これにより、冊子等の厚い媒体5を搬送して読取部71で読み取る際に、読取部71の位置が厚い媒体5によって自動的に前記離れる方向である交差方向Cに持ち上げられるので、読取部71による読み取りを適切な読取距離で行うことができ、以って読み取りが安定する。
【0078】
〔他の実施形態〕
本発明に係る画像読取装1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
【0079】
上記実施形態では、弾性部材4と開閉カバー3とは別個に独立した部材同士、即ち別体で構成されているとして説明したが、この別体構造に限定されない。弾性部材4は開閉カバー3と一体で構成してもよい。例えば、プラスチック材料によって開閉カバー3と弾性部材4とを一体成形等で作り、弾性部材4に相当する部分を弾性変形可能に作ることで実現できる。
更に、開閉カバー3自体が弾性体で作られてもいても良いし、或いは、開閉カバー3自体は実質的に剛体と言える状態で作り、弾性部材4の部分だけ、弾性力を発現できるように形成してもよい。
弾性部材4は開閉カバー3と一体の構成にすると、部品点数の削減を図ることができる。
【0080】
上記実施形態では、上側ガイド45は、搬送方向Fにおいて、案内部6とオーバーラップする位置にあるとして説明したが、この構造に限定されない。
図10に示したように、搬送方向Fにおいて、案内部6とオーバーラップしない位置にあるようにしてもよい。
上側ガイド45が案内部6とオーバーラップしない位置にあると以下の効果が得られる。案内部6と上側ガイド45の距離を離すことが可能となり、案内部6の搬送経路21に対する進出量と、上側ガイド45の前記変位の量とを増やしても、両者の間での干渉の虞を低減することができる。以って、媒体5を効果的に平坦化して搬送することができる。
【0081】
上記実施形態では、開閉カバー3が案内部6を兼用する構造を画像読取装置に適用した場合について説明したが、媒体を給送或いは搬送する構造を有する媒体給送装置、或いはプリンター等の液体吐出装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1…画像読取装置、2…回転軸、3…開閉カバー、4…弾性部材、5…媒体、
6…案内部、8…当接部、9…第1搬送ローラー、10…被係合部、
11…第2搬送ローラー、12…係合部、13…下流端、14…第1ローラー、
15…上流端、16,17…端部、18…湾曲反転経路、19…回転軸、
20…中間ローラー、21…搬送経路、22…排出ローラー、
23…上側搬送ローラー、24…ニップ位置、25…第1ニップ位置、26…中心、
27…下側搬送ローラー、28…上流端、29…上側第2搬送ローラー、
30…仮想直線、31…第2ニップ位置、32…重送検出部、
33…下側第2搬送ローラー、34…切り欠き部、35…回転軸、37…回転軸、
39…回転軸、41…第1弾性部材、42…第2弾性部材、43…内側の端部、
44…内側の端部、45…上側ガイド、46…案内面、48…給送ローラー、
49…連動部、50…分離ローラー、51…第1の媒体、52…第2の媒体、
53…連動部、54…リブ、55…下側経路面、56…下側経路面、57…上流端、
58…駆動ローラー、59…下流端、60…従動ローラー、66…駆動ローラー、
68…従動ローラー、71,72…読取部、
C…交差方向、E…弾性力、F…搬送方向、L1、L2…長さ、
L3,L4…距離、P1…第1位置、P2…第2位置、T1,T2…突出量