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特開2024-103987業務情報提供システム、コンピュート装置、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103987
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】業務情報提供システム、コンピュート装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20240726BHJP
【FI】
G06Q10/1053
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007964
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板谷 昌治
(72)【発明者】
【氏名】松井 和輝
(72)【発明者】
【氏名】森 悠介
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 佑斗
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA08
5L010AA11
5L049AA08
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】労働市場において労働市場において重要視されている能力を理解することが可能な情報を応募者に提供する。
【解決手段】募集業務に応募する応募者に募集業務の業務情報を提供する業務情報提供システム(1)であって、応募者によって操作される応募者装置(300)と、応募者装置(300)と通信し、業務情報が募集案件毎に登録されたデータベースにアクセス可能なコンピュート装置(100)とを備え、コンピュート装置(100)は、複数の募集案件の各々に含まれる業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を応募者装置(300)へ表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
募集業務に応募する応募者に前記募集業務の業務情報を提供する業務情報提供システムであって、
前記応募者によって操作される応募者装置と、
前記応募者装置と通信し、前記業務情報が募集案件毎に登録されたデータベースにアクセス可能なコンピュート装置とを備え、
前記コンピュート装置は、複数の募集案件の各々に含まれる前記業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を前記業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を前記応募者装置へ表示する、業務情報提供システム。
【請求項2】
前記データベースには、前記応募者が保有する能力を特定可能な能力情報が登録されており、
前記コンピュート装置は、前記能力情報に基づいて前記応募者が保有する能力を特定し、前記応募者が保有する能力に対する労働市場の評価を示す評価情報を前記応募者装置へ表示する、請求項1に記載の業務情報提供システム。
【請求項3】
前記コンピュート装置は、前記推定結果と、前記応募者が保有している能力とに基づいて、前記応募者が習得すべき新たな能力を示す情報を前記応募者装置へ表示する、請求項1または請求項2に記載の業務情報提供システム。
【請求項4】
前記コンピュート装置は、前記新たな能力の習得に役立つ情報を前記応募者装置へ表示する、請求項3に記載の業務情報提供システム。
【請求項5】
前記業務情報は、前記応募者に要求される能力に関する能力情報、および報酬に関する報酬情報を含み、
前記コンピュート装置は、前記能力情報および前記報酬情報に基づいて、前記業務に関する能力に対する労働市場の評価を推定する、請求項1または請求項2に記載の業務情報提供システム。
【請求項6】
前記能力情報は、前記応募者のスキルおよび前記スキルを用いた業務の経験期間を含む、請求項2に記載の業務情報提供システム。
【請求項7】
前記業務に関する能力に対する労働市場の評価は、前記業務に関する能力に対して労働市場が与える価値、および前記業務に関する能力が必要とされている労働市場の規模のいずれか一方を含む、請求項1または請求項2に記載の業務情報提供システム。
【請求項8】
前記業務情報提供システムは、業務の受注者を募集する募集者と応募者とをマッチングする機能を備え、
前記コンピュート装置は、前記業務情報および前記業務情報の開示範囲を示す開示情報を前記データベースに登録し、
前記コンピュート装置は、前記データベースに登録されている業務情報のうち、前記応募者への開示が許容されている業務情報を前記開示情報に基づいて判定し、前記応募者への開示が許容されている業務情報を前記応募者装置へ表示する、請求項1または請求項2に記載の業務情報提供システム。
【請求項9】
募集業務に応募する応募者に前記募集業務の業務情報を提供するコンピュート装置であって、
前記応募者によって操作される応募者装置と通信する通信インターフェイスと、
前記業務情報が登録されたデータベースにアクセスするプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、複数の募集案件の各々に含まれる前記業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を前記業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を前記応募者装置へ表示する、コンピュート装置。
【請求項10】
募集業務に応募する応募者に前記募集業務の業務情報を提供する方法であって、
前記応募者によって操作される応募者装置と通信するステップと、
前記業務情報が登録されたデータベースにアクセスするステップと、
複数の募集案件の各々に含まれる前記業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を前記業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を前記応募者装置へ表示するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、募集業務に応募する応募者に募集業務の業務情報を提供する業務情報提供システム、コンピュート装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
条件の良い募集業務には、多くの応募者が集中する。多数の応募者の中から受注者として選定されるために、応募者は、高い能力を募集者にアピールできるよう、常日頃、能力を高める努力をすることが必要である。
【0003】
特許文献1には、企業側で必要とされる求人条件に適合するように、キャリア履歴に応じた追加的な履修カリキュラムをユーザに提供するキャリアカウンセリングシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-331093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムによれば、ユーザは、キャリア履歴に応じた追加的な履修カリキュラムを学習することで新たな能力を習得することができる。しかし、キャリア履歴に応じて習得された新たな能力が労働市場において求められている能力と一致するかどうかは不明である。このため、新たな能力を習得するためのユーザの努力が無駄になる可能性がある。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、労働市場において重要視されている能力を理解することが可能な情報を応募者に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の局面に係る業務情報提供システムは、募集業務に応募する応募者に募集業務の業務情報を提供する業務情報提供システムであって、応募者によって操作される応募者装置と、応募者装置と通信し、業務情報が募集案件毎に登録されたデータベースにアクセス可能なコンピュート装置とを備え、コンピュート装置は、複数の募集案件の各々に含まれる業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を応募者装置へ表示する。
【0008】
本開示の第2の局面に係るコンピュート装置は、募集業務に応募する応募者に募集業務の業務情報を提供するコンピュート装置であって、応募者によって操作される応募者装置と通信する通信インターフェイスと、業務情報が登録されたデータベースにアクセスするプロセッサとを備え、プロセッサは、複数の募集案件の各々に含まれる業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を応募者装置へ表示する。
【0009】
本開示の第3の局面に係る方法は、募集業務に応募する応募者に募集業務の業務情報を提供する方法であって、応募者によって操作される応募者装置と通信するステップと、業務情報が登録されたデータベースにアクセスするステップと、複数の募集案件の各々に含まれる業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を応募者装置へ表示するステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、労働市場において重要視されている能力を理解することが可能な情報を応募者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】業務情報提供システムの一例となるマッチングシステムの概要を示すブロック図である。
図2】シェアリングサーバ、募集者装置、および応募者装置の構成を示すブロック図である。
図3】企業データベースの一例を示す図である。
図4】会員データベースの一例を示す図である。
図5】コミュニティデータベースの一例を示す図である。
図6】募集案件データベースの一例を示す図である。
図7】副業データベースの一例を示す図である。
図8】評価入力データベースの一例を示す図である。
図9】評価サマリデータベースの一例を示す図である。
図10】シェアリングサーバ、募集者装置、および応募者装置の機能を説明するための図である。
図11】シェアリングサーバ、募集者装置、および応募者装置の機能を説明するための図である。
図12】シェアリングサーバ、募集者装置、および応募者装置の機能を説明するための図である。
図13】応募者装置の機能をさらに説明するための図である。
図14】募集案件を募集案件データベースに登録する手順を説明するための図である。
図15】データベースの中から募集案件を検索する手順を説明するための図である。
図16】副業の予定および実績をデータベースに登録する手順を説明するための図である。
図17】応募者に対する評価をデータベースに登録する手順を説明するための図である。
図18】募集者に対する評価をデータベースに登録する手順を説明するための図である。
図19】応募者に対する評価および会員の検索結果をディスプレイに表示する手順を説明するための図である。
図20】募集者に対する評価および会員の検索結果をディスプレイに表示する手順を説明するための図である。
図21】評価サマリデータベースの閲覧可能範囲を説明するための図である。
図22】開示レベルに応じて開示範囲が設定される例を示す図である。
図23】管理者(応募者の上司)が部下の副業状況を確認するときに管理者の応募者装置に表示される画面を示す図である。
図24】募集案件データベースに含まれる案件内容の詳細を示す図である。
図25】マッチングシステムが備えるリコメンド機能の概要を示す図である。
図26】市場価値マップの一例を示す図である。
図27】市場価値マップの他の一例を示す図である。
図28】市場価値マップの他の一例を示す図である。
図29】プロファイルデータベースの一例を示す図である。
図30】能力データベースの一例を示す図である。
図31】能力IDの具体例を示す図である。
図32】スキルIDの具体例を示す図である。
図33】経験IDの具体例を示す図である。
図34】複数のスキルを組み合わせてスキルIDを構成する例を示す図である。
図35】マッチングシステムのリコメンド機能に関わる処理手順を示すフローチャートである。
図36】案件情報取得部の処理手順を示すフローチャートである。
図37】ラベル付け部の処理手順を示すフローチャートである。
図38】算出部の処理手順を示すフローチャートである。
図39】能力情報取得部の処理手順を示すフローチャートである。
図40】リコメンド部の処理手順を示すフローチャートである。
図41】表示部の処理手順を示すフローチャートである。
図42】再計算部の処理手順を示すフローチャートである。
図43】変形例1に関わるシェアリングサーバ、募集者装置、および応募者装置の機能を説明するための図である。
図44】変形例1に関わる会員データベースの一例を示す図である。
図45】変形例1に関わる逆オファー会員検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
図46】変形例2に関わるシェアリングサーバ、募集者装置、および応募者装置の構成を示すブロック図である。
図47】変形例2に関わる会員グループデータベースの一例を示す図である。
図48】変形例2に関わる募集案件データベースの一例を示す図である。
図49】変形例2に関わるシェアリングサーバ、募集者装置、および応募者装置の機能を説明するための図である。
図50】変形例2に関わる募集案件を募集案件データベースに登録する手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
[マッチングシステム1を提案する背景]
図1は、業務情報提供システムの一例となるマッチングシステム1の概要を示すブロック図である。はじめに、本実施の形態においてマッチングシステム1を提案する背景を説明する。
【0014】
マッチングシステム1は、たとえば、企業間のクラウドソーシングに活用される。クラウドソーシングは、一般には、不特定多数の人の寄与を募り、必要とするサービス、アイデア、またはコンテンツを取得するプロセスである。
【0015】
人的リソースを有効に活用するため、副業を推進している企業も少なくない。企業間でクラウドソーシングを利用することによって、企業の従業員の能力を活用することができる。
【0016】
しかし、企業間に一般的なクラウドソーシングの手法をそのまま適用した場合、以下のような問題が生じるおそれがある。
【0017】
[秘密情報が漏洩する可能性]
一般的なクラウドソーシングの手法では、発注者側の企業と受注側の企業との関係が考慮されることがないため、クラウドソーシングを採用することに企業リスクおよび個人リスクが伴う。たとえば、従業員の副業を通じて、秘密情報がライバル関係にある企業に漏れてしまうおそれがある。従来のクラウドソーシングの手法では、従業員が競業他社の案件を副業として受注していないことを管理者が確認することができない。
【0018】
[オーバーワークの可能性]
企業が従業員の副業を認めた場合、従業員の労働時間が過度に長くなるおそれがある。オーバーワークのリスクを解消するため、本業および副業を含めた残業時間の上限を企業が定めることも考えられる。しかし、従業員が自由に副業を受注できる限り、企業が従業員の副業時間を管理することは困難である。その結果、従業員がオーバーワークの状態になる可能性がある。
【0019】
[副業の成果が正当に評価されない可能性]
従来、受注者に対する評価をすることを、発注者に要請するクラウドソーシングシステムが存在する。発注者がした適切な評価をクラウドソーシングシステムで共有した場合、業務の受注者を募集する者は、その評価を参考にして、業務の受注を希望する多くの者の中から能力の高い者を選択することができる。
【0020】
しかし、或る企業の発注者は、評価対象の他の企業の受注者のことを思うあまり、本来の評価よりも高い評価をシステムに入力するかもしれない。また、或る企業の発注者は、企業間の関係が悪化する可能性を考慮して、他の企業の受注者を低く評価することを避けるかもしれない。さらに、発注者は、評価をすることにメリットを感じず、本来の評価とはかけ離れた評価をシステムに入力するかもしれない。これらの可能性を考慮すると、システムが提供する評価の信頼性が低下するおそれがある。この場合、受注者に対する評価を共有しても、業務の発注者は、受注者を選択する際の参考データとして、その評価を活用することができない。
【0021】
[募集者に関する正確な情報が得られない可能性]
上述のようなクラウドソーシングシステムにおいて、募集されている業務に応募しようとする応募者は、業務の内容や報酬等を参考にしつつ、納得のいく業務を選択するであろう。しかし、募集者の中には、契約業務の範囲外で追加の依頼や、業務内容の変更を頻繁に指示する者が存在するかもしれない。応募者としては、そのような募集者を避けて募集業務に応募したいと思うであろう。逆に、業務の完了に至るまで問題を生じさせることのない募集者も存在する。応募者としては、できれば、そのような募集者が募集している業務に応募したいと考えるであろう。したがって、応募者(受注者)に対する評価のみならず、募集者(発注者)に対する評価もクラウドソーシングシステムで広く共有することが望ましい。
【0022】
募集者に対する適切な評価をクラウドソーシングシステムで共有した場合、これから業務に応募しようとする者は、その評価を参考にして、数多くの募集業務の中から、募集者の過去の取引履歴等を考慮しつつ、納得のいく業務を選択することができる。
【0023】
しかしながら、募集者に対する評価が可能な評価システムを構築する場合にも、受注者に対する評価が可能な評価システムを構築する場合と同様の問題が発生し得る。すなわち、或る企業の受注者(応募者)は、評価対象の他の企業の発注者(募集者)のことを思うあまり、本来の評価よりも高い評価をシステムに入力するかもしれない。また、或る企業の受注者(応募者)は、企業間の関係が悪化する可能性を考慮して、他の企業の発注者(募集者)を低く評価することを避けるかもしれない。さらに、受注者(応募者)は、評価をすることにメリットを感じず、本来の評価とはかけ離れた評価をシステムに入力するかもしれない。これらの可能性を考慮すると、システムが提供する評価の信頼性が低下するおそれがある。この場合、募集者に対する評価を共有しても、応募者は、募集者を選択する際の参考データとして、その評価を活用することができない。
【0024】
[マッチングの主体を企業とすることに関する特殊性]
一般に、企業間を跨いで人材と業務とをマッチングするためには、人材と業務とをマッチングする企業同士で信頼関係等の親密な関係性が必要とされる。したがって、たとえば、資本関係の無い企業間を跨いで人材と業務マッチングをすることは非常に困難である。また、上場企業等の大企業は多角経営等の観点から他社と競合しやすく、他社との間でカニバリゼーションが生じるため、数多くの企業との間で、人材と業務のマッチングをすることができないという特殊事情が存在する。
【0025】
[労働市場のニーズに応じた能力を開発することの困難性]
報酬額の大きい募集業務など、条件の良い募集業務には、多くの応募者が集中する。多数の応募者の中から受注者として選定されるために、応募者は、高い能力を募集者にアピールできるよう、常日頃、能力を高める努力をすることが必要である。
【0026】
しかし、世の中に存在する数多の専門分野のすべてについての能力を高める努力を応募者がすることは現実的ではない。
【0027】
日本では、高齢者雇用安定法の改正により、定年時期が延長され、70歳まで就業機会を確保する努力義務が設けられる。このため、日本では、シニア人材の活用が推進されている。シニア人材が従来よりも長く企業に残る場合、既存業務を若手に明け渡すことが難しくなる。このことは、企業の新陳代謝を阻害する要因となり得る。したがって、若手に既存業務を明け渡したシニア人材が活躍できるようにするため、シニア人材にはリスキル、リカレント教育を受けることが求められている。
【0028】
AI(Artificial Intelligence)技術が急速に各国の産業界に浸透しつつある現在、労働市場において必要とされる人材のニーズは、急激に変化するものと考えられる。このため、リスキル、リカレント教育が必要とされる対象は、日本のシニア人材に限られるものではない。
【0029】
しかし、労働市場において必要とされる人材のニーズを、個人で分析し、把握することは困難である。苦労して習得した能力が労働市場のニーズに合わない場合、新たな能力を習得するための努力が無駄になる可能性がある。
【0030】
また、これまでに習得している能力と関連性のない新たな能力を取得することは容易ではないため、労働市場において活躍しようとする者は、既に保有している能力と親和性の高い能力を習得することが望ましい。このことは、特に、シニア人材にあてはまるであろう。
【0031】
本実施の形態においては、従来のクラウドソーシングが抱える上述の様々な課題のうちの少なくとも1つを解決することを目的として、以下に詳述するマッチングシステム1を提案する。
【0032】
[全体構成]
図1を参照して、マッチングシステム1の概要の構成を説明する。マッチングシステム1は、シェアリングサーバ100と、募集者装置200A,200B,200C…と、応募者装置300A,300B,300C…とを備える。
【0033】
シェアリングサーバ100は、企業間での業務の発注および受注をマッチングさせるマッチングサービスを多数の企業に提供する。図1には、マッチングサービスを利用する企業の例として、企業A、企業B、企業C…が示されている。企業A、企業B、企業C…は、マッチングシステム1の企業会員として登録されている。企業A、企業B、企業C…の従業員のうち、マッチングシステム1を利用する者も個別にマッチングシステム1の会員として登録されている。
【0034】
マッチングシステム1において斡旋される業務は、たとえば、予め定めた期間で完了することが想定される一時的な業務である。このため、マッチングシステム1において斡旋される業務を受注する者は、企業内で自身が所属する特定の部門での業務を本業とし、マッチングシステム1において斡旋される業務を副業として、各々の業務に従事する。なお、マッチングシステム1において、たとえば、企業Aの応募者は、企業Aの業務を受注することも可能である。したがって、マッチングシステム1においては、企業Aの部門Xの業務を、企業Aの異なる部門Yに所属する応募者が受注することも許される。
【0035】
以下、マッチングシステム1において受注者が募集されている業務を「募集業務」または「募集案件」と称することがあり、募集案件を提供する者を「募集者」と称することがあり、募集案件の受注に応募する者を「応募者」と称することがある。募集業務に応募することを「募集業務への応募」または「募集案件への応募」と称することがある。
【0036】
募集案件を受注した応募者は、「受注者」に該当し、受注者に案件を発注した募集者は「発注者」に該当するが、以下においては、「受注者」を含めて「応募者」と称する場合があり、「発注者」を含めて「募集者」と称する場合がある。
【0037】
シェアリングサーバ100には、マッチングサービスに必要なデータベース120が構築されている。データベース120は、マッチングサービスを提供するために必要な情報が登録された様々なデータベースを含む。たとえば、データベース120には、会員および募集業務の情報等が登録されている。シェアリングサーバ100は、マッチングサービスを利用する企業とは別の企業によって管理および運用されている。マッチングサービスを利用するいずれかの企業がシェアリングサーバ100を管理および運用してもよい。
【0038】
募集者装置200Aは、企業Aの管理者によって操作される。募集者装置200Bは、企業Bの管理者によって操作される。募集者装置200Cは、企業Cの管理者によって操作される。以下、募集者装置200A,200B,200C…を「募集者装置200」と総称することがある。
【0039】
応募者装置300Aは、企業Aの応募者によって操作される。応募者装置300Bは、企業Bの応募者によって操作される。応募者装置300Cは、企業Cの応募者によって操作される。以下、応募者装置300A,300B,300C…を「応募者装置300」と総称することがある。図1には、各企業に対して2名の応募者が描かれているが、応募者の人数はこれに限定されない。さらに多くの応募者が各企業に存在してもよいし、ある企業では応募者が1人であってもよい。シェアリングサーバ100は、フリーランス等、企業に属さない者を応募者として受け付けてもよい。
【0040】
企業A、企業B、企業C…の管理者は、本実施の形態において、募集者としての役割を担うものとする。したがって、以下においては、各企業の管理者を「募集者」と称することがある。募集者は、他の募集者が募集している業務に対して応募者として振る舞うことも可能である。その場合、募集者装置200は、応募者装置300として機能する。本実施の形態においては、企業の管理者が募集者として振る舞うときには、その管理者がマッチングサービスの利用に用いる装置を募集者装置200と称する。
【0041】
企業Aの管理者は、1人であっても、複数人であってもよい。企業Aに管理者を配置する場合、各管理者に募集者装置200を与えてもよく、1台の募集者装置200を複数人で共用してもよい。企業B,企業C…についても同様である。
【0042】
シェアリングサーバ100と募集者装置200とは、通信回線網の一例となるインターネット50を介して通信可能に構成されている。シェアリングサーバ100と応募者装置300とは、インターネット50を介して通信可能に構成されている。
【0043】
シェアリングサーバ100は、募集者装置200のアクセスを受け付ける際に会員IDおよびパスワードの入力を伴うサインインを要求する。同様に、シェアリングサーバ100は、応募者装置300のアクセスを受け付ける際に会員IDおよびパスワードの入力を伴うサインインを要求する。シェアリングサーバ100は、サインインの際に通知される会員IDによって募集者および応募者の一人ひとりを特定する。
【0044】
募集者装置200は、募集者の様々な操作を受け付ける。たとえば、募集者装置200は、募集案件(依頼業務)を入力する操作、業務を終えた受注者に対する評価を入力する操作、およびマッチングサービスの会員を検索する操作等を受け付ける。
【0045】
募集者装置200は、募集者装置200に対するそれぞれの操作に応じてシェアリングサーバ100と通信する。シェアリングサーバ100は、募集案件(依頼業務)を入力する操作に応じて募集案件をデータベース120に登録し、評価を入力する操作に応じて対象の応募者(受注者)の評価をデータベース120に登録し、会員を検索する操作に応じて、会員の情報を募集者装置200に提供する。
【0046】
応募者装置300は、応募者の様々な操作を受け付ける。たとえば、応募者装置300は、募集案件を検索する操作、募集案件に応募する操作、業務の実績を入力する操作、および募集者(発注者)に対する評価を入力する操作等を受け付ける。
【0047】
応募者装置300は、応募者装置300に対するそれぞれの操作に応じてシェアリングサーバ100と通信する。シェアリングサーバ100は、募集案件を検索する操作に応じて適切な募集案件を応募者装置300に提供し、募集案件に応募する操作に応じて採用または不採用の通知を応募者装置300に発行し、業務の実績を入力する操作に応じて、業務の実績をデータベース120に登録し、評価を入力する操作に応じて対象の募集者(発注者)の評価をデータベース120に登録する。
【0048】
以上のとおり、マッチングシステム1は、業務の応募者(受注者)および募集者(発注者)を評価する評価システムと、業務の受注者を募集する募集システムとを含んでいる。
【0049】
企業Aのある部門に所属する募集者は、マッチングシステム1を利用することにより、企業Aの他の部門に所属する応募者を募集案件の受注者として採用することが可能である。企業Aに所属する募集者は、マッチングシステム1を利用することにより、企業Bに所属する応募者を募集案件の受注者として採用することが可能である。
【0050】
マッチングシステム1を利用する会員は、募集者または応募者として、シェアリングサーバ100にアクセスする。以下では、マッチングシステム1の会員を「ユーザ」と称する場合がある。また、以下では、会員によって操作される募集者装置200および応募者装置300を、「ユーザ装置500」と総称する場合がある。
【0051】
図1に示されるように、ユーザ装置500の画面550には、労働市場マップが表示される。労働市場マップには、労働市場における価値の大きさが能力別に表示される。また、労働市場マップには、労働市場における規模の大きさが能力別に表示される。ユーザは、労働市場マップを見ることによって、どのような能力が労働市場において重要とされているのかを、価値および規模の観点から理解することができる。
【0052】
ユーザの保有する能力は、たとえば、スキルと経験年数とから特定される。スキルには国家資格などが含まれる。ユーザは、労働市場マップを見ることによって、たとえば、「国家資格Aを有し、かつ国家資格Aに関する業務経験年数がNである」という「能力X」に対して、労働市場が与える価値を把握することができる。
【0053】
また、ユーザは、労働市場マップを見ることによって、そのような「能力X」が必要とされている労働市場の規模を把握することができる。以下、労働市場における能力に関する価値を「市場価値」と称し、労働市場における能力に関する規模を「市場規模」と称する場合がある。
【0054】
労働市場マップには、さらに、ユーザ本人が保有する能力と市場価値との関係、並びにユーザ本人が保有する能力と市場規模との関係が表示される。図1に例示される画面550には、ユーザ本人が保有する能力の市場価値が低く、その能力の市場規模が中程度であることが表示されている。
【0055】
ユーザは、労働市場マップを見ることによって、ユーザ本人が保有する能力と市場価値との関係、並びにユーザ本人が保有する能力と市場規模との関係を理解することができる。その上で、ユーザは、今後、どのような能力を開発すべきであるのかを、分析することができる。
【0056】
図2は、シェアリングサーバ100、募集者装置200、および応募者装置300の構成を示すブロック図である。
【0057】
[シェアリングサーバ100の構成]
シェアリングサーバ100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信インターフェイス104とを備える。
【0058】
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、または他の任意の適切なメモリシステムを含む。メモリ102は、プロセッサ101の演算処理に必要なプログラム、および演算処理において算出される一時的なデータ等を格納する。
【0059】
ストレージ103は、ハードディスクドライブおよびソリッドステートドライブ等により構成される。ストレージ103には、データベース120が格納されている。データベース120は、複数種類のデータベースを含む。複数種類のデータベースには、企業データベース(企業DB)121、会員データベース(会員DB)122,コミュニティデータベース(コミュニティDB)123、募集案件データベース(募集案件DB)124、副業データベース(副業DB)125、評価入力データベース(評価入力)126、評価サマリデータベース(評価サマリDB)127、およびその他の多数のデータベースが含まれる。
【0060】
シェアリングサーバ100と別に設けたストレージに、これらの複数種類のデータベースのうちの一部を格納してもよい。たとえば、シェアリングサーバ100とは別のクラウドサービスに接続し、図2に示される複数種類のデータベースの一部をそのクラウド上に格納してもよい。この場合、シェアリングサーバ100は、インターネット50を介して、そのクラウドと通信することにより、必要なデータベースにアクセスすることができる。
【0061】
プロセッサ101は、メモリ102に格納されたプログラムに従い、通信インターフェイス104を介してインターネット50に接続する。プロセッサ101は、インターネット50に接続し、募集者装置200および応募者装置300と通信する。プロセッサ101は、データベース120にアクセスし、必要なデータを抽出する処理、データベース120に新たなデータを登録する処理、およびデータベース120に登録されているデータを更新する処理等を実行する。
【0062】
[募集者装置200の構成]
募集者装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、通信インターフェイス203と、入出力インターフェイス204と、ディスプレイ205と、操作部206とを備える。操作部206は、マウスおよびキーボード等により構成される。
【0063】
メモリ202は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、または他の任意の適切なメモリシステムを含む。メモリ202は、プロセッサ201の演算処理に必要なプログラム、および演算処理において算出される一時的なデータ等を格納する。
【0064】
プロセッサ201は、メモリ202に格納されたプログラムに従い、通信インターフェイス203を介してインターネット50に接続する。プロセッサ201は、インターネット50に接続し、シェアリングサーバ100と通信する。プロセッサ201は、シェアリングサーバ100と通信し、募集案件を送信する処理、応募者である会員の情報をディスプレイ205に表示する処理、応募者の中から選択された受注者に業務を発注する処理、募集者が入力した受注者に対する評価の内容をシェアリングサーバ100へ送信する処理等を実行する。
【0065】
操作部206の操作により入力された情報は、入出力インターフェイス204を介して、プロセッサ201に通知される。
【0066】
[応募者装置300の構成]
応募者装置300は、プロセッサ301と、メモリ302と、通信インターフェイス303と、入出力インターフェイス304と、ディスプレイ305と、操作部306とを備える。操作部306は、マウスおよびキーボード等により構成される。
【0067】
メモリ302は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、または他の任意の適切なメモリシステムを含む。メモリ302は、プロセッサ301の演算処理に必要なプログラム、および演算処理において算出される一時的なデータ等を格納する。
【0068】
プロセッサ301は、メモリ302に格納されたプログラムに従い、通信インターフェイス303を介してインターネット50に接続する。プロセッサ301は、インターネット50に接続し、シェアリングサーバ100と通信する。プロセッサ301は、シェアリングサーバ100と通信し、募集案件に応募する処理、応募した案件に対する採用または不採用の通知をディスプレイ305に表示する処理、受注した業務の実績をシェアリングサーバ100に送信する処理、応募者が入力した募集者に対する評価の内容をシェアリングサーバ100へ送信する処理等を実行する。
【0069】
操作部306の操作により入力された情報は、入出力インターフェイス304を介して、プロセッサ301に通知される。
【0070】
[データベース120の概要]
以下、データベース120の概要を説明する。企業データベース121には、マッチングシステム1に加盟する企業の情報が登録されている。会員データベース122には、マッチングシステム1を利用する会員の情報が登録されている。多くの会員は、マッチングシステム1に加盟する企業の従業員である。
【0071】
会員データベース122に登録された会員は、マッチングシステム1を利用することにより、募集者(発注者)として、または応募者(受注者)として、活動することができる。会員には、企業データベース121に登録されている企業に所属する従業員の他、企業に所属しない個人(フリーランス)が含まれてもよい。
【0072】
コミュニティデータベース123には、コミュニティに所属する企業を特定するための情報が格納されている。コミュニティは、企業同士の合意によって形成される。したがって、企業間の合意の仕方によって、複数のコミュニティを形成することができる。1つのコミュニティに所属する企業の数も様々に設定することができる。コミュニティ関係を有する企業同士では、コミュニティを形成する際の合意の仕方により定まる範囲で信頼関係が形成される。コミュニティデータベース123には、コミュニティに所属する企業を特定するための情報がコミュニティ毎に登録されている。
【0073】
募集案件データベース124には、受注者を募集する業務(募集案件)が登録されている。各企業の従業員は、企業において所属する部門の本業に従事しつつ、マッチングシステム1の会員として、募集案件データベース124に登録されている自企業の他部門の案件または他の企業の案件を受注することができる。この場合、会員は、自企業の他部門の案件または他の企業の案件を副業として受注する。
【0074】
副業データベース125には、副業の状況を示すデータが会員毎に登録されている。副業の状況を示すデータには、副業実績、副業予定等の情報が含まれる。
【0075】
評価入力データベース126には、応募者(受注者)に対する評価の情報と、募集者(発注者)に対する評価の情報とが登録されている。募集者(発注者)は、マッチングシステム1を利用することにより、業務を終えた応募者(受注者)の仕事ぶりを評価者として評価することができる。応募者(受注者)は、マッチングシステム1を利用することにより、評価者として、募集者(発注者)を評価することができる。個々の評価者がした評価が評価入力データベース126に登録される。
【0076】
評価サマリデータベース127には、評価サマリが登録される。評価サマリデータベース127には、評価サマリが会員別に登録される。評価サマリには、募集者評価サマリと、応募者評価サマリとが含まれる。募集者評価サマリは、会員が募集者(発注者)として振る舞ったときの評価の高さを示す。応募者評価サマリには、会員が応募者(受注者)として振る舞ったときの評価の高さを示す。募集者評価サマリは、募集者に対する応募者からの評価に基づいて作成される。応募者評価サマリは、応募者に対する募集者からの評価に基づいて作成される。
【0077】
会員は、評価サマリを閲覧することができる。募集者は、各会員の応募者評価サマリを閲覧しつつ、適切と思われる会員を受注者として選択することができる。応募者は、各会員の募集者評価サマリを閲覧しつつ、適切と思われる募集者の業務に応募することができる。
【0078】
[企業データベース121]
図3は、企業データベース121の一例を示す図である。企業データベース121には、企業を識別するための企業ID、企業名、企業の住所、および副業上限時間が企業別に登録されている。副業上限時間は、従業員が本業と別に副業として業務をすることが許可されている上限時間である。副業上限時間は、企業毎に定められている。たとえば、副業上限時間は、「規定の残業時間-副業以外の本業での残業時間」により算出することが可能である。「規定の残業時間」は、企業によって異なる。なお、図3においては、月単位の副業上限時間が示されているが、週単位の上限時間としてもよい。企業毎に副業上限時間の単位を定めてもよい。
【0079】
本実施の形態において、会員は、その会員が所属する企業が定めた副業上限時間を超えない範囲で、様々な企業および部門が募集する業務に応募し、その業務を受注することが許される。
【0080】
[会員データベース122]
図4は、会員データベース122の一例を示す図である。会員データベース122には、会員の各種の情報が登録されている。会員の各種の情報には、会員を識別するための会員ID、会員が所属する企業のID、会員名、会員の権限、会員が所属する部門、および副業可能時間が含まれる。
【0081】
会員の権限の種類には、管理者および応募者が含まれる。管理者権限を有する会員には、募集者および応募者としてマッチングシステム1を利用する権限が与えられる。応募者権限を有する会員には、応募者としてマッチングシステム1を利用する権限が与えられるものの、募集者としてマッチングシステム1を利用する権限は与えられない。企業内の部門長には、部門内の部下の副業状況を管理するために、管理者権限が与えられる。管理者権限を有する管理者には、部下である応募者の応募を承認する権限が与えられる。したがって、管理者は、承認者として機能する。
【0082】
副業可能時間は、副業に従事することが可能な残り時間である。副業可能時間は、「副業上限時間-副業総時間」によって算出される。対象者が複数の副業に従事している場合、副業総時間には、それら複数の副業に既に費やした時間が含まれる。副業総時間には、既に副業に費やした時間に加え、副業の見込時間が含まれる。副業の見込時間は、募集案件データベース124に登録された想定工数によって算出される。図4には、月単位の副業可能時間が示されている。マッチングシステム1を利用して募集業務を検索する応募者には、副業可能時間の範囲の工数で対応可能な業務のみが応募可能な案件として提供される。
【0083】
[コミュニティデータベース123]
図5は、コミュニティデータベース123の一例を示す図である。コミュニティデータベース123には、企業間で形成されるコミュニティの情報が登録されている。コミュニティの情報には、コミュニティを識別するためのコミュニティID、コミュニティ名、およびコミュニティに所属する企業のIDリストが含まれる。各企業は、他の企業と合意することによって様々なコミュニティを形成することができる。コミュニティに所属する企業は、他の企業との合意によって、コミュニティに所属する対象とする企業を変更することができる。
【0084】
[募集案件データベース124]
図6は、募集案件データベース124の一例を示す図である。募集案件データベース124には、募集案件の情報が登録されている。募集案件の情報には、募集案件を識別するための案件ID、募集案件を登録した募集者が所属する企業のID、非開示企業IDリスト、開示レベル、案件タイトル、想定工数、想定期間、および案件内容が含まれる。
【0085】
非開示企業IDリストには、募集案件の開示を禁止する企業のIDが登録される。開示レベルには、「自社」、「コミュニティ内」、および「すべて」の3段階のレベルのいずれかが設定される。開示レベルが「すべて」に設定された場合、開示対象には、コミュニティ外の応募者も含まれる。
【0086】
図6の募集案件データベース124の右側には、募集案件を閲覧可能な企業のIDが示されている。たとえば、案件ID=001に対応する募集案件では、開示レベルが「自社」に設定されている。この場合、募集案件を登録した企業(企業ID=00A)に所属する会員のみが案件ID=001に対応する募集案件を閲覧できる。
【0087】
以下、案件IDを用いて、各案件IDに対応する募集案件を案件001、案件002、案件003…と称する場合がある。同様に、コミュニティIDを用いて、各コミュニティIDに対応するコミュニティをコミュニティ01、コミュニティ02、コミュニティ03…と称する場合があり、会員IDを用いて、各会員IDに対応する会員を会員P1、会員P2、会員P3…と称する場合がある。また、以下、企業IDの一部を用いて、各企業IDに対応する企業を企業A、企業B、企業C…と称する場合がある。
【0088】
案件002では、開示レベルが「コミュニティ内」に設定されている。図5に示されるコミュニティデータベース123によれば、案件002を登録した企業Aとコミュニティ関係にある企業は、企業Bおよび企業Cである。したがって、図6に示されるように、企業A、企業B、および企業Cのいずれかに所属する会員のみが案件002を閲覧できる。
【0089】
案件003は、募集案件の登録企業および開示レベルが案件002と同じである。ただし、案件003では、非開示企業IDリストに「00B」が登録されている。したがって、図6に示されるように、企業Aおよび企業Cのいずれかに所属する会員のみが案件003を閲覧でき、企業Bに所属する会員には案件003を閲覧する権限が認められない。
【0090】
開示レベルが「すべて」に設定されている募集案件の場合、すべての会員が対象の募集案件を閲覧できる。図6に示される案件005がこれに該当する。仮に、案件005の非開示企業IDリストに1つまたは複数の企業のIDが登録されていた場合、それらの企業IDの企業に所属する会員には、案件005を閲覧する権限が与えられない。
【0091】
想定工数および想定期間は、募集案件を処理する時間を想定するために、応募者およびマッチングシステム1により用いられる。
【0092】
[副業データベース125]
図7は、副業データベース125の一例を示す図である。副業データベース125には、会員の副業の状況を示す情報が副業の案件別に登録されている。副業の状況を示す情報には、副業に従事する会員のID、案件ID、月度(副業への従事期間)、副業予定時間、副業実績時間、副業見込時間、および進捗率が含まれる。
【0093】
副業予定時間は、会員が受注済みの案件を処理するために要すると考えられる時間である。副業を受注している会員は、月毎に副業予定時間を自身の応募者装置300から入力する。入力された副業予定時間が副業データベース125に反映される。たとえば、案件001の想定工数は、募集案件データベース124において、5時間/人・月に設定されている。これは、一月で一人あたり5時間の作業量であることを意味する。通常、会員は、募集案件の想定工数を目安にして副業予定時間を入力する。
【0094】
副業実績時間は、会員が受注済みの案件に実際に従事した時間である。換言すると、副業実績時間は、会員が既に実績として働いた時間である。会員は、受注済みの案件の業務が完了するまで、その案件に従事する都度、任意のタイミングで案件の業務に従事した時間を自身の応募者装置300で入力する。副業データベース125には、応募者装置300で入力された時間の累積値が月毎に副業実績時間として登録される。
【0095】
副業見込時間は、対象の案件の業務に要すると想定される時間である。換言すると、副業見込時間は、会員の今後の労働時間として見込まれる時間である。シェアリングサーバ100は、副業予定時間と副業実績時間とを考慮して、副業見込時間を自動的に設定する。対象の案件の業務が完了するまで、任意のタイミングで副業見込時間を会員が自身の応募者装置300で入力できるようにしてもよい。また、一旦、自動で設定された副業見込時間を会員が修正できるようにしてもよい。副業見込時間は、副業予定時間以下であることが望ましい。しかし、案件の状況によっては、副業予定時間よりも副業見込時間が長くなる可能性もある。案件に従事する会員は、案件の業務が完了するまで、任意のタイミングで副業見込時間を更新することができるようにしてもよい。
【0096】
進捗率は、副業の進捗の程度を示す。進捗率は、副業に従事する者の判断によって入力される。進捗率は、たとえば、0(%)~100(%)の間で入力される。
【0097】
たとえば、会員がある案件を受注した当初、進捗率は0%であり、副業実績時間は0時間であり、副業予定時間と副業見込時間とは一致している。会員が案件の業務を進め、副業実績時間および進捗率を入力することに連動して、副業見込時間が変化する。
【0098】
図7に示される副業データベース125には、会員P2の2021年10月~2021年12月の副業のデータが示されている。図7に示される副業データベース125を参照すると、会員P2は、2021年10月~2021年12月の間で、案件001および案件002に従事していることがわかる。
【0099】
案件001の10月度のデータとして、副業データベース125には、副業予定時間=5、副業実績時間=10、および副業見込時間=10が登録されている。このことから、会員P2は、10月に副業予定時間を超えて案件001に従事したことがわかる。
【0100】
案件002の11月度のデータとして、副業データベース125には、副業予定時間=10、副業実績時間=4、および副業見込時間=8が登録されている。このことから、会員P2は、11月においては、設定された副業見込時間を超えることなく案件002に従事したことがわかる。進捗率が50であることから、会員P2は、11月において、案件002の業務全体の半分を終えたことがわかる。
【0101】
案件001の12月度のデータとして、副業データベース125には、副業予定時間=5、および副業見込時間=5が登録されており、副業実績時間は登録されていない。案件002の12月度のデータについても同様に、副業実績時間は登録されていない。これらは、会員P2による副業実績時間の入力待ちであることを意味する。
【0102】
シェアリングサーバ100は、副業データベース125の副業見込時間および副業実績時間を用いて、会員が追加で副業をすることのできる余力を算出する。会員が複数の副業に従事している場合、シェアリングサーバ100は、それらの複数の副業に対応する副業見込時間の合計である「副業総見込時間」と、それらの複数の副業に対応する副業実績時間の合計である「副業総実績時間」とを算出する。シェアリングサーバ100は、「副業上限時間-(副業総見込時間+副業総実績時間)」を算出することにより、副業の余力を算出する。ここで、「副業総見込時間+副業総実績時間」を「副業総時間」と定義した場合、副業の余力、すなわち、「副業可能時間」は、「副業上限時間-副業総時間」で算出されることになる。たとえば、図7に示される副業データベース125において、会員P2の12月の副業見込時間の合計である副業総見込時間は15時間(5時間+10時間)である。また、会員P2の12月の副業総実績時間はゼロである。このとき、会員P2が所属する企業で定められた「副業上限時間」が30時間であるとすれば、会員P2の副業の余力(副業可能時間)は、15時間(30時間-15時間)と算出される。
【0103】
ここで、副業見込時間のより具体的な算出手順の一例を説明する。たとえば、「副業見込時間」は、「(工数進捗率/進捗率)×副業予定時間-副業実績時間」という算出式に基づいて算出してもよい。ここで、「工数進捗率」は、「副業実績時間/副業予定時間」により算出される。「進捗率」は、既に説明したとおり、副業に従事する者の判断によって副業データベース125に入力される率である。
【0104】
たとえば、副業予定時間=10時間で、副業実績時間=2時間のとき、工数進捗率は20%と算出される。ここで、進捗率を40%とする。このとき、副業見込時間は、「(20%/40%)×10時間-2時間」=3時間と算出される。つまり、この算出結果によれば、対象の副業に対する副業見込時間は、3時間ということになる。
【0105】
[評価入力データベース126]
図8は、評価入力データベース126の一例を示す図である。評価入力データベース126には、被評価者に対する評価の情報が登録される。評価の情報には、評価対象、被評価者の会員ID、評価者の会員ID、および評価結果が含まれる。
【0106】
評価入力データベース126は、募集者評価部126Aと、応募者評価部126Bとを含む。募集者評価部126Aには、募集者(発注者)に対する評価の情報が登録されている。応募者評価部126Bには、応募者(受注者)に対する評価の情報が登録されている。
【0107】
募集者評価部126Aにおいて、評価対象(被評価者)には募集者(発注者)が該当し、評価者には、評価対象者の募集業務に応募し、業務を受注した応募者が該当する。募集者評価部126Aには、被評価者に対する評価が評価者別に登録される。図8には、被評価者に該当する会員P1,P2が評価者会員から評価を受けている例が示されている。特に、図8には、会員P1が評価者会員P5,P7,P11,P12の各々から評価を受けている例が示されている。評価結果(評価値)は、10を最大値とし、0を最小値とする数値によって表される。
【0108】
応募者評価部126Bにおいて、評価対象(被評価者)には募集案件への応募者(受注者)が該当し、評価者には、その案件の募集者(発注者)が該当する。応募者評価部126Bには、被評価者に対する評価が評価者別に登録される。図8には、被評価者に該当する会員P7が、評価者に該当する会員P1,P2,P3の各々から評価を受けている例が示されている。なお、図8において、応募者評価部126Bにおける評価結果の例は省略されているが、募集者評価部126Aと同様に様々な評価結果がそこに登録される。
【0109】
応募者(受注者)は、募集者(発注者)から受注した業務が完了したときに、応募者装置300を用いて、評価者として募集者である被評価者を評価する。評価者の評価結果は、評価入力データベース126に登録される。ある応募者が業務を受注したことのある募集者から再度、別の業務を受注した場合、応募者は再びその募集者を評価する。この場合、評価入力データベース126には、先の評価結果と後の評価結果との平均値が登録される。
【0110】
募集者(発注者)は、応募者(受注者)に依頼した業務を応募者(受注者)が完了させたときに、募集者装置200を用いて、評価者として応募者である被評価者を評価する。評価者の評価結果は、評価入力データベース126に登録される。ある募集者が業務を依頼したことのある応募者に再度、別の業務を発注した場合、募集者は再びその応募者を評価する。この場合、評価入力データベース126には、先の評価結果と後の評価結果との平均値が登録される。
【0111】
したがって、評価入力データベース126に登録される評価結果には、被評価者に対する各評価者の評価の平均値が反映されている。なお、平均値に代えて、評価数に応じて算出する加重平均値および偏差値等を採用してもよい。評価入力データベース126には、案件ID別の評価結果をさらに登録してもよい。
【0112】
[評価サマリデータベース127]
図9は、評価サマリデータベース127の一例を示す図である。評価サマリデータベース127には、被評価者に対する部門別の評価の情報が登録される。組織別の評価の情報には、評価対象、被評価者の会員ID、被評価者が所属する企業のID、評価者が所属する企業のID、評価者が所属する部門、および評価サマリが含まれる。
【0113】
評価サマリデータベース127は、募集者評価サマリ部127Aと、応募者評価サマリ部127Bとを含む。募集者評価サマリ部127Aにおいて、評価対象(被評価者)には募集者(発注者)が該当する。応募者評価サマリ部127Bにおいて、評価対象(被評価者)には応募者(受注者)が該当する。評価サマリデータベース127には、評価対象に対する評価サマリが部門別に登録されている。
【0114】
評価サマリは、評価入力データベース126の集計結果に基づいて算出される。部門のカテゴリには、企業に所属する「システム部」や「企画部」等の各部と、企業全体を意味する「全体」とが含まれる。評価サマリは、このような「部門」別に算出される。
【0115】
図9には、募集者評価サマリ部127Aとして、会員P1が被評価者に該当する例が示されている。被評価者の企業IDは、「00A」である。このため、会員P1は企業Aに所属する。図9において、データ群1271は、募集者として振る舞う会員P1に対する企業Bの評価を表し、データ群1272は、募集者として振る舞う会員P1に対する企業Cの評価を表す。
【0116】
データ群1271を参照すると、企業Bの評価は、企業全体の評価、企業B内のシステム部の評価、および企業B内の企画部の評価に分類されていることがわかる。評価サマリには、分類された各々のカテゴリに対応する評価の平均値が登録される。
【0117】
たとえば、企業B全体に対応する評価サマリとしては、募集者として振る舞う会員P1を評価した企業Bの会員の評価結果の平均値が登録される。図9では、その値が「4.75」とされている。システム部に対応する評価サマリとしては、募集者として振る舞う会員P1を評価した企業Bの会員のうち、システム部に所属する会員の評価結果の平均値が登録される。図9では、その値が「4.0」とされている。企画部に対応する評価サマリとしては、募集者として振る舞う会員P1を評価した企業Bの会員のうち、企画部に所属する会員の評価結果の平均値が登録される。図9では、その値が「5.0」とされている。
【0118】
データ群1272についても、データ群1271と同様、企業Cの評価は、企業全体の評価、企業C内の各部別の評価に分類されている。データ群1271,1272は、募集者を評価対象とするデータである。このため、データ群1271,1272に登録される評価サマリは、募集者評価サマリである。
【0119】
以上、募集者評価サマリ部127Aについて詳細に説明した。次に、応募者評価サマリ部127Bを説明する。図9には、応募者評価サマリ部127Bとして、会員P7が被評価者に該当する例が示されている。被評価者の企業IDは、「00C」である。このため、会員P7は企業Cに所属する。応募者評価サマリ部127Bには、応募者として振る舞う会員P7に対する評価が部門別に登録されている。
【0120】
応募者評価サマリ部127Bは、評価対象が「募集者」ではなく「応募者」である点を除いて、募集者評価サマリ部127Aと同様の構造を有している。したがって、ここでは、既に行った募集者評価サマリ部127Aの説明を以て、応募者評価サマリ部127Bの説明に替えることとする。
【0121】
シェアリングサーバ100は、評価入力データベース126を用いて各会員の評価結果を特定し、会員データベース122を用いて各会員の所属を特定する。シェアリングサーバ100は、それらの特定結果に基づいて評価サマリデータベース127のデータを更新する。
【0122】
なお、図9には、被評価者として会員P1,P7のみが示されているが、他の会員P2~P6、会員P8、および会員P9…についても同様に、被評価者として評価サマリデータベース127に登録されている。評価サマリデータベース127には、同一の会員が募集者および応募者として評価対象とされているデータが含まれてもよい。たとえば、図9に示される評価サマリデータベース127に、会員P1に関する募集者評価サマリに加えて、会員P1に関する応募者評価サマリが登録されていてもよい。
【0123】
[シェアリングサーバ、募集者装置、および応募者装置の機能]
図10図12は、シェアリングサーバ、募集者装置、および応募者装置の機能を説明するための図である。
【0124】
図10に示されるように、シェアリングサーバ100は、コミュニティ登録部140、企業登録部141、会員登録部142、会員検索部143、および案件登録部144を機能的に含む。これらの各種の機能は、シェアリングサーバ100が備えるプロセッサ101、メモリ102、ストレージ103、および通信インターフェイス104によって実現される。
【0125】
コミュニティ登録部140は、コミュニティをコミュニティデータベース123に登録する機能を備える。マッチングシステム1を管理するシステム管理者は、図示を省略するキーボード等の操作部を用いて、コミュニティに関する情報をシェアリングサーバ100に入力する。
【0126】
コミュニティに関する情報には、コミュニティ名、コミュニティに所属する企業の情報が含まれる。コミュニティ登録部140は、システム管理者の入力に従って、コミュニティをコミュニティデータベース123に登録する(ステップS1)。コミュニティ登録部140は、コミュニティデータベース123に登録されているコミュニティの情報を更新する機能をさらに備える。
【0127】
企業登録部141は、マッチングシステム1に加盟する新規の企業を登録する機能を備える。システム管理者は、キーボード等の操作部を用いて、企業に関する情報をシェアリングサーバ100に入力する。
【0128】
企業に関する情報には、企業名、住所、副業上限時間等の情報が含まれる。企業登録部141は、システム管理者の入力に従って、企業を企業データベース121に登録する(ステップS2)。企業登録部141は、既に登録されている企業の情報を更新する機能をさらに備える。
【0129】
会員登録部142は、マッチングシステム1に加入する新規の会員を登録(サインアップ)する機能を備える。会員登録部142は、マッチングシステム1に加盟している企業に所属する者からの要求に応じて、会員IDおよびパスワードを発行する。会員になることを希望する者は、パーソナルコンピュータ等を用いて、サインアップの処理を実行する(ステップS3)。
【0130】
具体的には、会員になることを希望する者は、氏名、所属企業、および所属部門等の情報をパーソナルコンピュータ等に入力し、入力した情報をシェアリングサーバ100へ送信する。会員登録部142は、入力された情報を会員データベース122に登録する。新規会員は、会員登録に用いたパーソナルコンピュータを用いて、シェアリングサーバ100にサインインすることが可能である。この場合、パーソナルコンピュータは、募集者装置200または応募者装置300として機能する。
【0131】
図10には、2つの応募者装置300が示されている。一方は、応募企業の管理者により操作されることを想定した装置である。他方は、応募企業のうち、管理者以外の者によって操作されることを想定した装置である。応募企業の管理者は、部門長等の管理職に従事し、部下である応募者の上司に該当する。本実施の形態では、応募企業の管理者は、部下による募集案件への応募を承認する承認者としての役割を担う。
【0132】
会員検索部143は、マッチングシステム1の会員を検索する機能を備える。会員検索部143は、募集者装置200および応募者装置300からの要求に応じて、会員データベース122に登録されている会員の情報を募集者装置200および応募者装置300に提供する。
【0133】
募集者装置200は、募集者の検索操作を受け付けた場合に、会員検索処理を実行する(ステップS4A)。これにより、募集者は、たとえば、応募者の情報を閲覧することができる。募集者は、応募者の情報を考慮して、複数の応募者の中から業務を受注させる者を選択することができる。同様に、応募者装置300は、ある応募者の上司に該当する管理者の検索操作を受け付けた場合に、会員検索処理を実行する(ステップS4A)。
【0134】
さらに、応募者装置300は、応募者の検索操作を受け付けた場合に、会員検索処理を実行する(ステップS4B)。これにより、応募者は、たとえば、募集者の情報を閲覧することができる。応募者は、募集者の情報を考慮して、複数の募集業務の中から受注した業務を選択することができる。
【0135】
募集者装置200により実行される会員検索処理(ステップS4A)、および会員検索部143の処理に関して、後に図19を用いて詳細に説明する。応募者装置300により実行される会員検索処理(ステップS4B)、および会員検索部143の処理に関して、後に図20を用いて詳細に説明する。
【0136】
案件登録部144は、募集案件を募集案件データベース124に登録する機能を備える。募集者装置200は、募集案件を入力する操作を受け付けた場合に、募集案件を登録する処理を実行する(ステップS5)。募集案件を登録する処理において、募集者装置200は、募集案件の情報をシェアリングサーバ100へ送信する。案件登録部144は、受信した募集案件の情報を募集案件データベース124に登録する。
【0137】
募集者装置200により実行される募集案件登録処理(ステップS5)、および案件登録部144の処理に関して、後に図14を用いて詳細に説明する。
【0138】
図11に示されるように、シェアリングサーバ100は、案件抽出部145、申請部146、承認部147、および通知部148を機能的に含む。これらの各種の機能は、シェアリングサーバ100が備えるプロセッサ101、メモリ102、ストレージ103、および通信インターフェイス104によって実現される。
【0139】
案件抽出部145は、応募者が閲覧可能な募集案件を抽出する機能を備える。申請部146は、応募者による応募を、管理者(応募者の上司)に申請する機能を備える。承認部147は、管理者(承認者)から応募の承認を受信したことを条件に、募集者へ募集案件に対する応募の内容を送信する機能を有する。通知部148は、募集者から応募者を採用するか否かの結果を受信し、その結果を応募者および管理者へ通知する機能を有する。
【0140】
申請部146、承認部147、および通知部148は、管理者へ承認を求める通知、募集者への応募者の通知、および応募者への応募結果の通知をワークフローシステムにより実現する。
【0141】
応募者装置300は、募集案件の検索を要求する応募者の操作を受け付けた場合、募集案件の検索処理を実行する(ステップS6)。募集案件の検索処理において、応募者装置300は、検索要求をシェアリングサーバ100の案件抽出部145へ送信する。
【0142】
案件抽出部145は、検索要求を受信した場合、募集案件データベース124に登録されている募集案件の中から、応募者の閲覧が許容される案件を抽出し、抽出した案件を応募者装置300へ送信する。案件抽出部145は、応募者の閲覧が許容される案件であることを第1基準および第2基準で判定する。第1基準は、募集案件に設定されている開示範囲である。第2基準は、応募者の副業の余力である。開示範囲は、図14に示される開示情報によって定まる。副業の余力は、図15に示される副業可能時間として算出される。
【0143】
案件抽出部145は、第1基準および第2基準のいずれも満たす案件を応募者の閲覧が許容される案件として決定する。したがって、案件抽出部145は、募集案件データベース124に登録されている募集案件のうち、検索要求を受信した応募者への開示が許されている案件を抽出する。さらに、案件抽出部145は、募集案件データベース124に登録されている募集案件のうち、検索要求を受信した応募者の副業可能時間で対応可能な案件を抽出する。案件抽出部145は、応募者の閲覧が許容される案件を応募者装置300へ送信する。
【0144】
案件を抽出する基準を設定する操作を案件抽出部145が受け付けるようにしてもよい。たとえば、第1基準のみを有効にする第1設定、第2基準のみを有効にする第2設定、第1基準および第2基準の双方を有効にする第3設定のいずれかをシステム管理者が選択できる機能をシェアリングサーバ100に追加してもよい。
【0145】
応募者装置300は、案件抽出部145から募集案件を受信する。応募者装置300は、受信した募集案件をディスプレイ305に表示する(ステップS7)。
【0146】
なお、募集案件検索処理(ステップS6)、募集案件を表示する処理(ステップS7)、および案件抽出部145の処理に関して、後に図15を用いて詳細に説明する。
【0147】
応募者は、応募者装置300において、ディスプレイ305に表示された募集案件の中から応募対象を選択する操作を行う。応募者装置300は、応募者の操作に応じて、応募処理を実行する(ステップS8)。応募処理において、応募者装置300は、応募対象の案件を示す応募情報をシェアリングサーバ100の申請部146に送信する。これにより、業務の受注希望が応募者装置300から申請部146に送信される。
【0148】
申請部146は、応募者装置30から受信した応募情報を管理者(応募者の上司)の応募者装置300に送信する。申請部146は、たとえば、会員データベース122に登録されている、応募者の会員IDと上司の会員IDとの関係に基づいて、応募者の管理者である上司の会員IDを特定する。申請部146は、特定した上司の会員IDに対応する応募者装置300へ部下の応募情報を送信する。管理者は、自身の応募者装置300において、部下が応募している業務を確認する。管理者は、応募者装置300において、応募を承認するための操作を行う。応募者装置300は、承認操作を受け付け、応募承認の処理を実行する(ステップS9)。応募承認の処理において、応募者装置300は、承認情報をシェアリングサーバ100の承認部147へ送信する。これにより、承認通知の一例となる承認情報が管理者(承認者)の応募者装置300から承認部147に送信される。
【0149】
承認部147は、応募者装置300から承認情報を受信したことを条件に、応募者の応募を受け付ける。このように、本実施の形態では、応募者の応募は、応募者が所属する管理者の承認を条件にして受け付けられる。したがって、管理者は、部下が応募しようとする募集業務の内容を事前に確認することができる。その結果、従業員の副業行為を通じて機密情報が企業の外部に漏洩することを防止できる。
【0150】
なお、図11には、管理者が応募を承認したときの流れが示されている。仮に、ステップS9において、応募を却下する操作が受け付けられた場合、管理者の応募者装置300から承認部147へ却下情報が送信される。却下情報を受信した場合、承認部147は、応募者の応募者装置300へ応募の却下を通知してもよい。
【0151】
応募者の応募を受け付けた承認部147は、募集者装置200に応募情報を送信する。応募情報には応募者の情報および応募対象の業務の内容が含まれる。募集者装置200は、応募内容をディスプレイ205に表示する(ステップS10)。募集者は、ディスプレイ205の表示に基づいて応募者および応募業務を確認し、応募者を採用するか否かを判断する。
【0152】
募集者は、募集者装置200に採用または不採用の判断の結果を入力する。募集者装置200は、入力された結果を受け付ける(ステップS11)。募集者装置200は、受け付けた採用または不採用の結果をシェアリングサーバ100の通知部148へ送信する。
【0153】
通知部148は、募集者装置200から採用または不採用の結果を受信した場合、応募者の応募者装置300、および管理者の応募者装置300へ応募結果(採用または不採用の結果)を送信する。
【0154】
応募者の応募者装置300、および管理者の応募者装置300は、応募結果をディスプレイ305に表示する(ステップS12、ステップS13)。応募者および管理者は、ディスプレイ305の表示を見ることによって、応募結果を確認する。
【0155】
図12に示されるように、シェアリングサーバ100は、実績受付部149、実績出力部150、評価受付部151、および評価出力部152を機能的に含む。これらの各種の機能は、シェアリングサーバ100が備えるプロセッサ101、メモリ102、ストレージ103、および通信インターフェイス104によって実現される。
【0156】
実績受付部149は、応募者が応募者装置300において入力した副業予定時間および副業実績時間を受け付ける機能を備える。実績出力部150は、募集者装置200または管理者の応募者装置300へ、応募者の副業予定時間および副業実績時間を含む情報を出力する機能を備える。
【0157】
評価受付部151は、募集者が募集者装置200において入力した応募者(受注者)に対する評価を受け付ける機能を備える。評価出力部152は、募集者装置200へ応募者に対する評価を示す情報を出力する機能を備える。
【0158】
応募者は、副業に従事する場合、副業予定時間および副業実績時間を応募者装置300に入力する。応募者は、通常、新たな副業を受注したときに副業予定時間を応募者装置300に入力し、副業に従事している間の任意のタイミングで副業実績時間を応募者装置300に入力する。たとえば、想定期間が複数月に亘る業務を副業として受注した場合、応募者は、一月毎に副業実績時間を応募者装置300に入力する。
【0159】
応募者装置300は、副業予定時間および副業実績時間の入力を受け付ける(ステップS14)。応募者装置300は、受け付けた副業予定時間および副業実績時間をシェアリングサーバ100の実績受付部149へ送信する。
【0160】
実績受付部149は、受信した副業予定時間および副業実績時間を副業データベース125に登録する。応募者装置300により実行されるステップS14の処理および実績受付部149の処理に関して、後に図16を用いて詳細に説明する。
【0161】
実績出力部150は、副業データベース125に登録されている副業予定時間および副業実績時間を募集者装置200および管理者の応募者装置300へ送信する。募集者装置200は、受信した副業予定時間および副業実績時間を含む情報をディスプレイ205に表示し、管理者の応募者装置300は、受信した副業予定時間および副業実績時間を含む情報をディスプレイ305に表示する(ステップS15)。ただし、募集者装置200へ送信される情報と管理者の応募者装置300へ送信される情報とを比較した場合、送信対象の案件が異なる。
【0162】
実績受付部149から管理者の応募者装置300へは、副業データベース125に登録された数多くの案件のうち、部下が担当している案件に対応するデータが送信される。管理者は、ディスプレイ305を見ることにより、部下の副業状況を確認することができる。なお、管理者が部下の副業状況を確認するときに管理者の応募者装置300に表示される画面に関して、後に図23を用いて説明する。
【0163】
実績受付部149から募集者装置200へは、副業データベース125に登録された数多くの案件のうち、募集者が募集した案件に対応するデータが送信される。たとえば、図7に示される副業データベース125において、複数の募集者のうち、第1募集者が案件001を募集し、第2募集者が案件002を募集していた場合を考える。
【0164】
この場合、第1募集者によって操作される募集者装置200へは、副業データベース125のうち、案件001に対応する各種のデータが実績受付部149から送信される。第2募集者によって操作される募集者装置200へは、副業データベース125のうち、案件002に対応する各種のデータが実績受付部149から送信される。
【0165】
第1募集者および第2募集者は、募集者装置200のディスプレイ305に表示される副業予定時間および副業実績時間等を閲覧することにより、自身の案件の進捗状況を確認することができる。
【0166】
募集者は、副業が完了したときに、募集者装置200に応募者の評価を入力する。募集者装置200は、応募者に対する評価の入力を受け付ける(ステップS16A)。したがって、募集者装置200は、入力された評価を受け付ける際には、評価者(募集者)によって操作される評価者装置として機能する。
【0167】
募集者装置200は、受け付けた評価をシェアリングサーバ100の評価受付部151へ送信する。評価受付部151は、受信した評価に基づいて評価入力データベース126および評価サマリデータベース127を更新する。これにより、評価入力データベース126においては、応募者評価部126Bの情報が更新され、評価サマリデータベース127においては、応募者評価サマリ部127Bの情報が更新される。
【0168】
募集者装置200により実行されるステップS16Aの処理および評価受付部151の処理に関して、後に図17を用いて詳細に説明する。
【0169】
募集者装置200は、募集者が応募者の評価を閲覧するための操作を受け付けた場合、閲覧要求処理を実行する(ステップS17A)。閲覧要求処理において、募集者装置200は、閲覧要求をシェアリングサーバ100の評価出力部152へ送信する。評価出力部152は、閲覧要求に応じて、評価サマリデータベース127に登録されている応募者の評価(応募者評価サマリ)を募集者装置200へ送信する。募集者装置200は、受信した応募者の評価をディスプレイ205に表示する(ステップS18A)。
【0170】
募集者装置200により実行されるステップS17A、ステップS18Aの処理および評価出力部152の処理に関して、後に図19を用いて詳細に説明する。
【0171】
図13は、応募者装置300の機能をさらに説明するための図である。ここでは、図13を用いて、募集者に対する評価の入力および出力について説明する。評価受付部151は、応募者が応募者装置300において入力した募集者に対する評価を受け付ける機能をさらに備える。評価出力部152は、応募者装置300へ募集者に対する評価を示す情報を出力する機能をさらに備える。応募者は、受注した業務が完了したときに、応募者装置300に募集者の評価を入力する。応募者が募集者を評価するポイントは様々である。
【0172】
たとえば、募集者と滞りなくコミュニケーションがとれて、適切な時間内で業務を終えることができた場合、応募者は、募集者に高い評価を与えるであろう。逆に、業務内容の追加、変更、および修正の要望が多い場合、業務の範囲外で工数がとられる時間が多過ぎる場合、指示の連絡が遅すぎる場合、並びに業務内容修正に関して事前に相談することなく一方的に指示を出してくる場合、応募者は、募集者に低い評価を与えるであろう。
【0173】
応募者装置300は、募集者に対する評価の入力を受け付ける(ステップS16B)。したがって、応募者装置300は、入力された評価を受け付ける際には、評価者(応募者)によって操作される評価者装置として機能する。
【0174】
応募者装置300は、受け付けた評価をシェアリングサーバ100の評価受付部151へ送信する。評価受付部151は、受信した評価に基づいて評価入力データベース126および評価サマリデータベース127を更新する。これにより、評価入力データベース126においては、募集者評価部126Aの情報が更新され、評価サマリデータベース127においては、募集者評価サマリ部127Aの情報が更新される。
【0175】
応募者装置300により実行されるステップS16Bの処理および評価受付部151の処理に関して、後に図18を用いて詳細に説明する。
【0176】
応募者装置300は、応募者が募集者の評価を閲覧するための操作を受け付けた場合、閲覧要求処理を実行する(ステップS17B)。閲覧要求処理において、募集者装置200は、閲覧要求をシェアリングサーバ100の評価出力部152へ送信する。評価出力部152は、閲覧要求に応じて、評価サマリデータベース127に登録されている募集者の評価(募集者評価サマリ)を応募者装置300へ送信する。応募者装置300は、受信した募集者の評価をディスプレイ305に表示する(ステップS18B)。
【0177】
応募者装置300により実行されるステップS17B、ステップS18Bの処理および評価出力部152の処理に関して、後に図20を用いて詳細に説明する。
【0178】
[案件登録部144および募集者装置200の処理の詳細]
図14は、募集案件を募集案件データベース124に登録する手順を説明するための図である。図14を用いて、図10のステップS5と案件登録部144の機能とをより詳細に説明する。
【0179】
募集案件を登録する募集者は、はじめに募集者装置200を用いてシェアリングサーバ100へサインインをする。これにより、募集者の会員IDによって識別される論理的な通信経路が募集者装置200とシェアリングサーバ100との間で確立される。続いて、募集者は、マウスおよびキーボード等の操作部206を用いて、募集案件の業務情報および開示情報を募集者装置200に入力する。
【0180】
操作部206により入力された情報は、募集者装置200の入出力インターフェイス204を介してプロセッサ201に通知される。操作部206および入出力インターフェイス204により、業務の内容を入力する操作と業務を開示する対象を指定する開示情報を入力する操作とを受け付けるインターフェイスが構成されている。
【0181】
募集案件の業務情報には、案件タイトル、案件内容、想定工数(人・月)、および想定期間が含まれる。開示情報には、開示レベルが含まれる。開示情報には、募集者の選択に応じて、非開示対象の企業のIDが含まれる場合がある。
【0182】
募集者装置200は、募集案件の業務情報および開示情報の入力を受け付け、募集案件を登録する処理を実行する(ステップS5)。募集案件を登録する処理において、募集者装置200は、募集案件の業務情報および開示情報をシェアリングサーバ100へ送信する。
【0183】
シェアリングサーバ100の案件登録部144は、募集者の情報を取得する(ステップS1441)。具体的には、案件登録部144は、募集者が所属する企業を特定する。
【0184】
シェアリングサーバ100は、会員が募集者装置200または応募者装置300を用いてシェアリングサーバ100にサインインした際、サインインに用いられた会員IDを記憶している。シェアリングサーバ100は、この会員IDにより確立された通信において、募集者装置200または応募者装置300から何らかの情報を受信した場合、それらの情報の発信元の会員をサインインに用いられた会員IDで識別する。
【0185】
したがって、募集者装置200から募集業務の業務情報および開示情報を受信した場合、案件登録部144は、サインインに用いられた会員IDを用いて、募集者装置200を操作している募集者を特定する。案件登録部144は、特定した会員ID、会員データベース122、および企業データベース121を用いて、募集者である会員および募集者が所属する企業を特定する。
【0186】
次に、案件登録部144は、募集案件を募集案件データベース124に登録する処理を実行する(ステップS1442)。具体的には、案件登録部144は、案件IDを生成した後、生成した案件IDに対応付けて、企業情報(企業ID)、非開示とする企業のID、開示レベル、案件タイトル、想定工数、想定期間、および案件内容等を募集案件データベース124に登録する。
【0187】
本実施の形態によれば、募集者は、募集案件の開示範囲を「自社内」、「コミュニティ内」、および「限定なし」のレベルで自由にコントロールすることができる。その結果、募集者が意図しない募集案件が特定企業へ開示されてしまうことを阻止することができる。
【0188】
本実施の形態によれば、非開示対象の企業を開示レベルと別に設定可能である。このため、募集者は、募集者が所属する企業とコミュニティ関係を有する複数の企業のうち、一部の企業を除外して、開示範囲を設定することができる。その結果、コミュニティ内の特定企業に関連する業務が、その特定企業に開示されてしまうことを防止できる。
【0189】
非開示企業IDリストに代えて、あるいはこれに加えて、募集案件の開示を禁止する会員IDを登録するための非開示会員IDリストを募集案件データベース124に設けてもよい。募集者装置200は、募集案件の開示を禁止する会員を指定する操作を受け付け、その会員のIDをシェアリングサーバ100に送信してもよい。シェアリングサーバ100は、非開示会員IDリストに掲載されている会員IDに対応する会員には、そのリストに対応する募集案件を提供しないようにしてもよい。このように、募集者装置200は、業務の開示を禁止する対象者として、企業および会員のいずれを受け付けてもよい。
【0190】
図15は、データベース120の中から募集案件を検索する手順を説明するための図である。図15を用いて、図11のステップS6、ステップS7の処理、および案件抽出部145の機能をより詳細に説明する。
【0191】
応募者装置300は、募集案件の検索を要求する応募者の操作を受け付けた場合、募集案件の検索処理を実行する(ステップS6)。募集案件の検索処理において、応募者装置300は、検索要求をシェアリングサーバ100の案件抽出部145へ送信する。
【0192】
案件抽出部145は、検索要求を受信した場合、募集案件データベース124に登録されている募集案件の中から、応募者の閲覧が許容される案件を抽出する。このために、案件抽出部145は、ステップS1451~S1454の処理を実行する。
【0193】
ステップS1451およびステップS1452は、募集案件に設定されている開示範囲に基づいて、応募者の閲覧が許容される案件を抽出する処理である。ステップS1451において、応募者の所属企業および所属企業のコミュニティが判定される。ステップS1452において、開示可能な案件が抽出される。
【0194】
ステップS1453は、応募者の副業の余力に基づいて、応募者の閲覧が許容される案件を抽出する処理である。ステップS1454は、最終的に、応募者にマッチングする案件を抽出する処理である。
【0195】
[開示範囲に基づいて案件を抽出する処理]
ステップS1451は、ステップS1451AおよびステップS1451Bを含む。
【0196】
ステップS1451Aにおいては、サインインの際に用いられた会員ID、企業データベース121、および会員データベース122に基づいて、応募者の所属企業が特定される。
【0197】
ステップS1451Bにおいては、応募者の所属する企業のIDおよびコミュニティデータベース123に基づいて、応募者の所属する企業のコミュニティが特定される。
【0198】
ステップS1452は、ステップS1452AおよびステップS1452Bを含む。
【0199】
ステップS1452Aにおいては、応募者の所属企業の所属コミュニティと開示レベルとに基づいて、開示可能な募集案件が募集案件データベース124から抽出される。
【0200】
ステップS1452Bにおいては、ステップS1452Aにおいて抽出された募集案件のうち、非開示企業リストに応募者の所属企業が存在する募集案件が除外される。ここでは、ステップS1452Bの処理によって抽出された案件を案件Xと称する。
【0201】
[副業の余力に基づいて案件を抽出する処理]
ステップS1453は、ステップS1453A、ステップS1453B、およびステップS1453Cを含む。
【0202】
ステップS1453Aにおいては、応募者の副業可能時間T1が算出される。副業可能時間は、「副業上限時間-副業総時間」を算出することにより導出される。副業上限時間は、応募者の所属する企業が定めた時間であり、企業データベース121に登録されている。算出された副業可能時間は、会員データベース122に登録される。案件抽出部145は、一定の時間毎にすべての会員の副業可能時間を算出し、算出した副業可能時間を会員データベース122に登録してもよい。
【0203】
副業総時間は、副業データベース125に登録されている副業見込時間と副業実績時間とに基づいて、「副業総見込時間+副業総実績時間」という算出式により算出される。つまり、副業総時間は、既に副業に費やした時間に加え、未だ副業に費やされていない見込時間が含まれる。
【0204】
ステップS1453Bにおいては、業務の対応に必要な時間T2が募集案件毎に算出される。時間T2は、募集案件データベース124に登録されている想定工数(人・月)および想定期間に基づいて算出される。たとえば、想定工数(月)の時間を時間T2として採用してもよい。たとえば、案件ID001に対応する募集案件に対して、時間T2として、一月当たりの時間として5時間を設定してもよい。
【0205】
ステップS1453Cにおいては、「時間T2≦副業可能時間T1」に該当する募集案件が募集案件データベース124から抽出される。ここでは、ステップS1453Cの処理によって抽出された案件を案件Yと称する。
【0206】
[開示範囲および副業の余力に基づいて案件を抽出する処理]
案件抽出部145は、開示範囲に基づいて案件Xを抽出し、副業の余力に基づいて案件Yを抽出した後、案件Xと案件Yとで重複する案件を応募者のマッチング案件として抽出する(ステップS1454)。
【0207】
[抽出された案件を提供する処理]
次に、案件抽出部145は、マッチング案件の情報を応募者装置300へ送信する(ステップS1455)。応募者装置300は、マッチング案件を受信する。応募者装置300は、受信したマッチング案件を募集案件としてディスプレイ305に一覧表示する(ステップS7)。
【0208】
これにより、2つの観点において応募者に適切といえる募集案件が提供される。すなわち、第1に、応募者の副業上限時間を超えない範囲で対応可能な募集案件が応募者に提供される。これにより、応募者がオーバーワークの状態に陥ることを防止できる。第2に、募集者が意図した開示範囲に所属する応募者のみに、募集者の募集案件が提供される。これにより、募集者の所属する企業の機密情報が競業他社に漏れてしまうことを防止できる。
【0209】
[副業予定時間および副業実績時間を登録する処理]
図16は、副業の予定および実績をデータベース120に登録する手順を説明するための図である。図16を用いて、図12のステップS14および実績受付部149の機能をより詳細に説明する。
【0210】
応募者は、たとえば、新たな副業を受注したときに副業予定時間を応募者装置300に入力し、副業に従事している間の任意のタイミングで副業実績時間を応募者装置300に入力する。応募者装置300は、副業予定時間の入力を受け付ける(ステップS14)。応募者装置300は、受け付けた副業予定時間および副業実績時間をシェアリングサーバ100の実績受付部149へ送信する。
【0211】
実績受付部149は、応募者の副業予定時間および副業実績時間を受け付け、受け付けた応募者の副業予定時間および副業実績時間を副業データベース125に登録する(ステップS1511)。これにより、副業データベース125には、応募者の月毎の副業予定時間および副業実績時間が、案件ID別に登録される。
【0212】
通常、応募者によって副業予定時間が入力された後、当月の終わりに応募者によって副業実績時間が入力される。このため、副業データベース125には、副業予定時間が登録されている一方で副業実績時間が未登録の案件が含まれる場合がある。たとえば、副業を受注した応募者が副業予定時間を入力した段階では、その副業に対応するデータとして、副業予定時間が登録されるものの、副業実績時間は登録されない。
【0213】
次に、実績受付部149は、当月の副業見込時間を自動的に算出する(ステップS1512)。実績受付部149は、副業予定時間と副業実績時間とに基づいて副業見込時間を算出する。具体的には、「副業見込時間」は、既に説明したとおり、「(工数進捗率/進捗率)×副業予定時間-副業実績時間」という算出式に基づいて算出される。なお、実績受付部149は、「副業見込時間」を「副業予定時間-副業実績時間」という算出式により算出してもよい。実績受付部149は、算出した副業見込時間を副業データベース125に登録する。図7の副業データベース125に示されるように、副業見込時間は案件ID毎に登録される。
【0214】
[評価結果を登録する処理(応募者に対する評価)]
図17は、応募者に対する評価をデータベース120に登録する手順を説明するための図である。図17を用いて、図12のステップS16Aおよび評価受付部151の機能をより詳細に説明する。
【0215】
応募者は、副業を完了すると、募集者に対して納品および完了報告をし、募集者の検収を受ける。その後、募集者は、募集者装置200を操作して、募集者装置200に応募者に対する評価を入力する。募集者装置200は、入力された評価を受け付ける(ステップS16A)。募集者装置200は、受け付けた評価をシェアリングサーバ100の評価受付部151へ送信する。募集者装置200からシェアリングサーバ100に送信される情報には、被評価者である応募者の会員IDおよび評価値(0~10)が含まれる。
【0216】
評価受付部151は、募集者装置200から被評価者(応募者)に対する評価の情報を受信した場合、被評価者に対する評価を評価入力データベース126に反映させる(ステップS1513A)。
【0217】
評価受付部151は、評価入力データベース126に既に被評価者(応募者)に対する評価結果が登録されている場合、今回、受信した評価の値を含めて、被評価者に対する評価結果の平均値を算出する。評価受付部151は、算出した平均値で評価入力データベース126に登録されている評価結果を更新する。その結果、評価入力データベース126には、被評価者(応募者)に対する評価の平均値(評価結果)が評価者(募集者)別に登録される。これにより、評価入力データベース126において、応募者評価部126Bの情報が更新される。
【0218】
次に、評価受付部151は、評価サマリ処理を実行する(ステップS1514A)。評価サマリ処理において、評価受付部151は、企業別、部門別に被評価者(応募者)に対する評価結果の平均値を算出し、算出結果を評価サマリデータベース127に登録する。これにより、評価サマリデータベース127において、応募者評価サマリ部127Bの情報が更新される。
【0219】
たとえば、評価受付部151は、募集者装置200がステップS16Aを実行するためにサインインに用いた会員IDを用いて、評価者(募集者)を特定する。評価受付部151は、ステップS1513Aにおいて受け付けた評価の情報、企業データベース121、および会員データベース122に基づいて、評価者が所属する企業のID、評価者が所属する部門、被評価者の会員ID、および被評価者が所属する企業のIDを特定する。「会員ID」は、「評価受付部151を含むシェアリングサーバ100が、シェアリングサーバ100にアクセスしてきた者の所属(企業および部門)を識別可能な識別情報」の一例である。
【0220】
評価受付部151は、評価サマリデータベース127にアクセスし、特定したID(被評価者の会員ID、被評価者が所属する企業のID、および評価者が所属する企業のID)が並ぶデータ行を検出する。評価受付部151は、検出したデータ行に対応する応募者評価サマリの値を更新する。
【0221】
[評価結果を登録する処理(募集者に対する評価)]
図18は、募集者に対する評価をデータベースに登録する手順を説明するための図である。図18を用いて、図13のステップS16Bおよび評価受付部151の機能をより詳細に説明する。
【0222】
上述したとおり、応募者は、副業を完了すると、募集者に対して納品および完了報告をし、募集者の検収を受ける。その後、応募者は、応募者装置300を操作して、応募者装置300に募集者に対する評価を入力する。応募者装置300は、入力された評価を受け付ける(ステップS16B)。応募者装置300は、受け付けた評価をシェアリングサーバ100の評価受付部151へ送信する。応募者装置300からシェアリングサーバ100に送信される情報には、被評価者である募集者の会員IDおよび評価値(0~10)が含まれる。
【0223】
評価受付部151は、応募者装置300から被評価者(募集者)に対する評価の情報を受信した場合、被評価者に対する評価を評価入力データベース126に反映させる(ステップS1513B)。
【0224】
評価受付部151は、評価入力データベース126に既に被評価者(募集者)に対する評価結果が登録されている場合、今回、受信した評価の値を含めて、被評価者に対する評価結果の平均値を算出する。評価受付部151は、算出した平均値で評価入力データベース126に登録されている評価結果を更新する。その結果、評価入力データベース126には、被評価者(募集者)に対する評価の平均値(評価結果)が評価者(応募者)別に登録される。これにより、評価入力データベース126において、募集者評価部126Aの情報が更新される。
【0225】
次に、評価受付部151は、評価サマリ処理を実行する(ステップS1514B)。評価サマリ処理において、評価受付部151は、企業別、部門別に被評価者(募集者)に対する評価結果の平均値を算出し、算出結果を評価サマリデータベース127に登録する。これにより、評価サマリデータベース127において、募集者評価サマリ部127Aの情報が更新される。
【0226】
たとえば、評価受付部151は応募者装置300がステップS16Bを実行するためにサインインに用いた会員IDを用いて、評価者(応募者)を特定する。評価受付部151は、ステップS1513Bにおいて受け付けた評価の情報、企業データベース121、および会員データベース122に基づいて、評価者が所属する企業のID、評価者が所属する部門、被評価者の会員ID、および被評価者が所属する企業のIDを特定する。「会員ID」は、「評価受付部151を含むシェアリングサーバ100が、シェアリングサーバ100にアクセスしてきた者の所属(企業および部門)を識別可能な識別情報」の一例である。
【0227】
評価受付部151は、評価サマリデータベース127にアクセスし、特定したID(被評価者の会員ID、被評価者が所属する企業のID、および評価者が所属する企業のID)が並ぶデータ行を検出する。評価受付部151は、検出したデータ行に対応する募集者評価サマリの値を更新する。
【0228】
たとえば、図9のデータ群1271には、被評価者の会員ID=P1、被評価者が所属する企業のID=00A、および評価者が所属する企業のID=00Bが並んでいる。企業Bのシステム部に所属する会員が会員P1を評価した場合、ステップS1513Bにおいて、その評価が受け付けられる。
【0229】
この場合、ステップS1514Bにおいては、データ群1271の「全体」に対応する募集者評価サマリおよび「システム部」に対応する募集者評価サマリに、ステップS1513Bにおいて受け付けられた評価が反映される。
【0230】
より具体的には、評価受付部151は、ステップS1513Bにおいて受け付けられた評価を含む、企業B全体の評価の平均値をデータ群1271の「全体」に対応する募集者評価サマリとする。同様に、評価受付部151は、ステップS1513Bにおいて受け付けられた評価を含む、システム部の評価の平均値をデータ群1271の「システム部」に対応する募集者評価サマリとする。
【0231】
図19は、応募者に対する評価および会員の検索結果をディスプレイ205に表示する手順を説明するための図である。図19を用いて、図10のステップS4A(募集者装置200の処理)および会員検索部143の機能、並びに図12のステップS17A,ステップS18A、および評価出力部152の機能をより詳細に説明する。
【0232】
[応募者の評価サマリを出力する処理]
はじめに、図19に示される、ステップS17A,ステップS18A,ステップS1521A,およびステップS1522Aの各処理について説明する。
【0233】
募集者装置200は、募集者が応募者の評価を閲覧するための操作を受け付けた場合、閲覧要求処理を実行する(ステップS17A)。閲覧要求処理において、募集者装置200は、閲覧要求をシェアリングサーバ100の評価出力部152へ送信する。評価出力部152は、閲覧要求に応じて、募集者(閲覧要求者)に閲覧権限が認められている応募者評価サマリを評価サマリデータベース127から選択する(ステップS1521A)。
【0234】
閲覧要求をした募集者には、その募集者の所属する企業全体を対象とした応募者評価サマリと、募集者が所属する部門を対象とした応募者評価サマリとを閲覧する権限が認められている。閲覧要求をした募集者には、これら以外の評価サマリを閲覧する権限が認められていない。評価出力部152は、閲覧要求を送信する募集者の会員ID、企業データベース121、および会員データベース122に基づいて、閲覧権限を判定する。「会員ID」は、「評価受付部151を含むシェアリングサーバ100が、シェアリングサーバ100にアクセスしてきた者の所属(企業および部門)および閲覧権限を識別可能な識別情報」の一例である。
【0235】
評価出力部152は、閲覧権限に対応する応募者評価サマリを評価サマリデータベース127から選択する。評価出力部152は、選択した応募者評価サマリを含むデータを募集者装置200へ送信する(ステップS1522A)。送信されるデータには、応募者評価サマリの他、応募者(被評価者)の会員ID、応募者が所属する企業の情報、応募者が所属する部門の情報等が含まれる。送信されるデータには、閲覧要求に応じて、複数人の応募者(被評価者)の各々に対応する応募者評価サマリが含まれる場合がある。
【0236】
応募者評価サマリを受信した募集者装置200は、応募者評価サマリを応募者が所属する企業の情報および応募者が所属する部門の情報とともにディスプレイ205に表示する(ステップS18A)。複数人の応募者(被評価者)の各々に対応する応募者評価サマリを受信した場合、募集者装置200は、複数人の応募者(被評価者)を一覧にして応募者評価サマリを表示する。
【0237】
このように、シェアリングサーバ100は、募集者の所属する企業および部門を識別可能な会員IDにより確立された通信において閲覧要求を受信した場合、その閲覧要求を送信した送信元である募集者の募集者装置200へ、評価情報の一例となる応募者評価サマリを送信する。
【0238】
[会員(応募者)を検索する処理]
引き続き、図19を参照して、ステップS4A,ステップS19A,ステップS1431A~ステップS1433Aの各処理について説明する。
【0239】
募集者装置200は、募集者から検索操作を受け付けた場合に、応募者に関する情報を検索するための会員検索処理を実行する(ステップS4A)。会員検索処理において、募集者装置200は、検索要求をシェアリングサーバ100の会員検索部143へ送信する。検索要求には、応募者としての評価が低い会員を除外して検索するための基準値が含まれている。この基準値は、たとえば、応募者評価サマリの値に基づいて定められている。
【0240】
検索要求を受信した会員検索部143は、検索要求を送信した募集者が所属する企業を特定する(ステップS1431A)。ここでは、ステップS1431Aによって特定される企業を「企業Xa」と称する。
【0241】
会員検索部143は、募集者装置200がシェアリングサーバ100にサインインする際に用いた会員IDを用いて、募集者装置200を操作している募集者を特定する。会員検索部143は、企業データベース121および会員データベース122を用いて、募集者が所属する企業Xaを特定する。
【0242】
次に、会員検索部143は、特定された企業Xa全体を対象とした応募者評価サマリの値が基準値を超える会員を評価サマリデータベース127から抽出する(ステップS1432A)。つまり、会員検索部143は、企業Xa全体の評価が低い会員を除外して、検索結果を抽出する。
【0243】
ここで、会員検索部143は、応募者評価サマリに基づいて評価が低いか否かを判定する点に注意すべきである。すなわち、応募者および募集者のいずれの権限も有する会員αは、応募者として振る舞う場合と、募集者として振る舞う場合とがある。したがって、このような会員αの評価サマリとして、評価サマリデータベース127には、応募者評価サマリと募集者評価サマリとが登録されている。会員αは、募集者としての評価が高い一方、応募者としての評価が低いかもしれない。この場合、会員αは、ステップS1432Aにおいて、抽出対象から除外される可能性がある。
【0244】
各企業の募集者装置200から基準値の設定情報を受け付ける機能をシェアリングサーバ100に設けてもよい。これにより、各企業は、独自の基準値で評価の低い会員を検索結果から除外することができる。
【0245】
次に、会員検索部143は、抽出した会員の情報を検索結果として、検索要求のあった募集者装置200へ出力する(ステップS1433A)。募集者装置200は、受信した検索結果をディスプレイ205に一覧表示する(ステップS19A)。
【0246】
その結果、募集者は、その募集者が所属する企業の全体評価が低い会員が除外された検索結果をディスプレイ205で閲覧することができる。したがって、募集者は、応募者の中から受注者を選択する際に、企業の全体評価が低い会員を目視で除外する手間を省くことができる。
【0247】
なお、本実施の形態では、募集者が所属する企業の或る部門の評価が低い会員であっても、企業全体の評価が低くない場合には、検索結果からその会員が除外されない。しかし、会員検索部143は、そのような会員をさらに検索結果から除外してもよい。
【0248】
図20は、募集者に対する評価および会員の検索結果をディスプレイ305に表示する手順を説明するための図である。図20を用いて、図10のステップS4B(応募者装置300の処理)および会員検索部143の機能、並びに図13のステップS17B,ステップS18B、および評価出力部152の機能をより詳細に説明する。
【0249】
[募集者の評価サマリを出力する処理]
はじめに、図20に示される、ステップS17B,ステップS18B,ステップS1521B,およびステップS1522Bの各処理について説明する。
【0250】
応募者装置300は、応募者が募集者の評価を閲覧するための操作を受け付けた場合、閲覧要求処理を実行する(ステップS17B)。閲覧要求処理において、応募者装置300は、閲覧要求をシェアリングサーバ100の評価出力部152へ送信する。評価出力部152は、閲覧要求に応じて、応募者(閲覧要求者)に閲覧権限が認められている募集者評価サマリを評価サマリデータベース127から選択する(ステップS1521B)。
【0251】
閲覧要求をした応募者には、その応募者の所属する企業全体を対象とした募集者評価サマリと、応募者が所属する部門を対象とした募集者評価サマリとを閲覧する権限が認められている。閲覧要求をした応募者には、これら以外の評価サマリを閲覧する権限が認められていない。評価出力部152は、閲覧要求を送信する応募者の会員ID、企業データベース121、および会員データベース122に基づいて、閲覧権限を判定する。「会員ID」は、「評価受付部151を含むシェアリングサーバ100が、シェアリングサーバ100にアクセスしてきた者の所属(企業および部門)および閲覧権限を識別可能な識別情報」の一例である。
【0252】
評価出力部152は、閲覧権限に対応する募集者評価サマリを評価サマリデータベース127から選択する。評価出力部152は、選択した募集者評価サマリを含むデータを応募者装置300へ送信する(ステップS1522B)。送信されるデータには、募集者評価サマリの他、募集者(被評価者)の会員ID、募集者が所属する企業の情報、募集者が所属する部門の情報等が含まれる。送信されるデータには、閲覧要求に応じて、複数人の募集者(被評価者)の各々に対応する募集者評価サマリが含まれる場合がある。
【0253】
募集者評価サマリを受信した応募者装置300は、募集者評価サマリを募集者が所属する企業の情報および募集者が所属する部門の情報とともにディスプレイ305に表示する(ステップS18B)。複数人の募集者(被評価者)の各々に対応する募集者評価サマリを受信した場合、応募者装置300は、複数人の募集者(被評価者)を一覧にして募集者評価サマリを表示する。
【0254】
このように、シェアリングサーバ100は、応募者の所属する企業および部門を識別可能な会員IDにより確立された通信において閲覧要求を受信した場合、その閲覧要求を送信した送信元である応募者の応募者装置300へ、評価情報の一例となる募集者評価サマリを送信する。
【0255】
[会員(募集者)を検索する処理]
引き続き、図20を参照して、ステップS4B、ステップS19B、ステップS1431B~ステップS1433Bの各処理について説明する。
【0256】
応募者装置300は、応募者から検索操作を受け付けた場合に、募集者に関する情報を検索するための会員検索処理を実行する(ステップS4B)。会員検索処理において、応募者装置300は、検索要求をシェアリングサーバ100の会員検索部143へ送信する。検索要求には、募集者としての評価が低い会員を除外して検索するための基準値が含まれている。この基準値は、たとえば、募集者評価サマリの値に基づいて定められている。
【0257】
検索要求を受信した会員検索部143は、検索要求を送信した応募者が所属する企業を特定する(ステップS1431B)。ここでは、ステップS1431Bによって特定される企業を「企業Xb」と称する。
【0258】
会員検索部143は、応募者装置300がシェアリングサーバ100にサインインする際に用いた会員IDを用いて、応募者装置300を操作している応募者を特定する。会員検索部143は、企業データベース121および会員データベース122を用いて、応募者が所属する企業Xbを特定する。
【0259】
次に、会員検索部143は、特定された企業Xb全体を対象とした募集者評価サマリの値が基準値を超える会員を評価サマリデータベース127から抽出する(ステップS1432B)。つまり、会員検索部143は、企業Xb全体の評価が低い会員を除外して、検索結果を抽出する。
【0260】
各企業の募集者装置200から基準値の設定情報を受け付ける機能をシェアリングサーバ100に設けてもよい。これにより、各企業は、独自の基準値で評価の低い会員を検索結果から除外することができる。
【0261】
次に、会員検索部143は、抽出した会員の情報を検索結果として、検索要求のあった応募者装置300へ出力する(ステップS1433B)。応募者装置300は、受信した検索結果をディスプレイ305に一覧表示する(ステップS19B)。
【0262】
その結果、応募者は、その応募者が所属する企業の全体評価が低い会員が除外された検索結果をディスプレイ305で閲覧することができる。したがって、応募者は、募集者の中から受注者を選択する際に、企業の全体評価が低い会員を目視で除外する手間を省くことができる。
【0263】
なお、本実施の形態では、応募者が所属する企業の或る部門の評価が低い会員であっても、企業全体の評価が低くない場合には、検索結果からその会員が除外されない。しかし、会員検索部143は、そのような会員をさらに検索結果から除外してもよい。
【0264】
[評価サマリデータベース127の閲覧可能範囲]
図21は、評価サマリデータベース127の閲覧可能範囲を説明するための図である。ここでは、評価サマリデータベース127のうち、図9にも示される募集者評価サマリ部127Aを例として、閲覧可能範囲を説明する。
【0265】
図21に示される募集者評価サマリ部127Aには、「募集者」として振る舞う会員P1に対する企業Bおよび企業Cの各々の評価サマリが含まれている。会員P1は企業Aに所属している。企業Bの評価サマリは、「全体」、「システム部」、および「企画部」に分類されている。企業Cの評価サマリは、「全体」および「企画部」等に分類されている。企業B,Cに所属する会員は、「応募者」として、会員P1に対する評価サマリを閲覧する。
【0266】
企業Bの全体の評価から算出された評価サマリに対する閲覧権限は、図21の「閲覧可能範囲」の欄に示されるように、企業Bに所属するすべての会員に認められる。
【0267】
企業Bのシステム部の評価から算出された評価サマリに対する閲覧権限は、企業Bのシステム部の会員に認められるが、企業Bのシステム部以外の会員には認められない。企業Bの企画部の評価から算出された評価サマリに対する閲覧権限は、企業Bの企画部の会員に認められるが、企業Bの企画部以外の会員には認められない。
【0268】
企業Cの全体の評価から算出された評価サマリに対する閲覧権限は、企業Cに所属するすべての会員に認められる。企業Cの企画部の評価から算出された評価サマリに対する閲覧権限は、企業Cの企画部の会員に認められるが、企業Cの企画部以外の会員には認められない。
【0269】
以上においては、募集者評価サマリ部127Aを例として、閲覧可能範囲を説明した。マッチングシステム1においては、応募者評価サマリ部127B(図9参照)についても、募集者評価サマリ部127Aと同様の設計思想で閲覧可能範囲が定められている。
【0270】
閲覧者を企業Xの第1部門の会員と企業Xの第2部門の会員とした場合、企業Xの全体の評価サマリ、企業Xの第1部門の評価サマリ、および企業Xの第2部門の評価サマリに対する閲覧者の権限は、図21に示される表401のとおりとなる。ここで、応募者が「閲覧者」に該当するとき、閲覧対象は「募集者」の評価サマリである。逆に、募集者が「閲覧者」に該当するとき、閲覧対象は「応募者」の評価サマリである。
【0271】
企業Xの第1部門に所属する会員は、企業X全体の評価サマリおよび企業Xの第1部門の評価サマリを閲覧できるが、企業Xの第2部門の評価サマリを閲覧できない。企業Xの第2部門に所属する会員は、企業X全体の評価サマリおよび企業Xの第2部門の評価サマリを閲覧できるが、企業Xの第2部門の評価サマリを閲覧できない。企業X以外の企業Yに所属する会員は、企業X全体の評価サマリ、企業Xの第1部門の評価サマリ、および企業Xの第2部門の評価サマリを閲覧できない。
【0272】
企業X全体の評価サマリ、企業Xの第1部門の評価サマリ、および企業Xの第2部門の評価サマリは、企業X以外の企業の会員に公開されることはない。したがって、企業Yに所属し、応募者として振る舞う会員は、企業Xに所属する募集者を評価する場面において、企業同士の関係等を考慮することなく、企業Xに所属する募集者を客観的に評価することができる。同様に、企業Yに所属し、募集者として振る舞う会員は、企業Xに所属する応募者を評価する場面において、企業同士の関係等を考慮することなく、企業Xに所属する応募者を客観的に評価することができる。
【0273】
また、企業Xに所属する会員が行った評価(募集者に対する評価、および応募者に対する評価)は、募集者評価サマリおよび応募者評価サマリとして企業Xの中で共有される。このため、一つひとつの評価の積み重ねが有用な情報を生み出すという意識を評価者に持たせることができる。このことは、正確な評価をしようとする動機付けを評価者に与える。
【0274】
その結果、募集者評価サマリおよび応募者評価サマリの精度が向上する。これにより、募集者評価サマリを、募集業務を選択する際の参考データとして有用に活用することができる。同様に、応募者評価サマリを、受注者を選択する際の参考データとして有用に活用することができる。
【0275】
さらに、本実施の形態によれば、募集者装置200において、会員検索処理(ステップS4A)を実行した際、評価の低い会員を除外した検索結果が募集者に提供される(ステップS1432A)。同様に、応募者装置300において、会員検索処理(ステップS4B)を実行した際、評価の低い会員を除外した検索結果が募集者に提供される(ステップS1432B)。つまり、マッチングシステム1は、評価の低い会員を除外した検索結果を提供するフィルタリング機能を備える。
【0276】
このため、募集者は、募集業務に対する受注者を決定する際に、評価の低い会員を誤って採用してしまうことを企業単位で防止できる。同様に、応募者は、多数の募集業務の中から応募対象を決定する際に、評価の低い会員が募集している業務を誤って選択してしまうことを企業単位で防止できる。なお、シェアリングサーバ100は、部門単位の評価サマリを用いたフィルタリングを実行してもよい。
【0277】
企業全体の評価サマリを用いるフィルタリング、および部門単位の評価サマリを用いるフィルタリングのうち、いずれを用いるかを指令する指令信号を募集者装置200からシェアリングサーバ100に送信してもよい。この場合、シェアリングサーバ100には、指令信号に応じて、フィルタリングに用いる評価サマリを変更する機能を設ける。
【0278】
[開示レベルに応じて開示範囲が設定される例]
図22は、開示レベルに応じて開示範囲が設定される例を示す図である。ここでは、図22に示されるように、企業A~企業Eがコミュニティ関係を形成し、企業Fがいずれの企業ともコミュニティ関係をしない場合を考える。この場合、募集者の所属する企業および募集者が設定した開示レベルに応じて、募集案件の開示範囲は表402のとおりとなる。
【0279】
図22に示される「レベル1」~「レベル3」の開示レベルは、既に説明した「自社」、「コミュニティ内」、および「すべて」の3段階のレベルに対応するものである。したがって、レベル1では、募集者の所属する企業と同じ企業の応募者にのみ、募集者の募集案件が開示される。レベル2では、レベル1の範囲に加えて、募集者の所属する企業とコミュニティ関係にある企業に所属する応募者に、募集者の募集案件が開示される。レベル3では、募集者の所属する企業を含むすべての企業に所属する応募者に、募集者の募集案件が開示される。ただし、募集者が非開示とする企業IDを指定した場合、その企業IDに対応する企業は、設定された開示レベルに関わらず、開示対象の企業から除外される。本実施の形態の開示レベルのうち、「レベル1」は、「第1応募者への業務情報の開示を許容し、第1グループに属さない応募者への業務情報の開示を禁止すること」に対応するレベルである。「レベル2」は、「第1グループおよび第1グループとコミュニティ関係が形成されたコミュニティグループのいずれかに所属する応募者への業務情報の開示を許容し、第1グループおよびコミュニティグループのいずれにも属さない応募者への業務情報の開示を禁止すること」に対応するレベルである。「レベル3」は、「応募者が属するグループに関わらず、応募者への業務情報の開示を許容すること」に対応するレベルである。
【0280】
ここでは、複数種類の開示レベルの一例として、上記のようなレベル1~レベル3を説明した。しかしながら、複数種類の開示レベルは、これらのものに限定されない。たとえば、あるコミュニティを複数の小コミュニティに分割し、募集業務を開示するか否かを各小コミュニティ別に設定できるようにしてもよい。より具体的には、図5に示されるコミュニティ02を第1小コミュニティと、第2小コミュニティとに分割する。第1小コミュニティには企業Cが所属し、第2小コミュニティには企業Dおよび企業Eが所属するものとする。この場合、企業Dの募集者が自身の募集業務の開示範囲を、第1小コミュニティの範囲とするか、第2小コミュニティの範囲とするか、選択できるようにしてもよい。
【0281】
シェアリングサーバ100は、開示範囲を募集案件毎に異ならせて設定する操作を受け付けてもよい。たとえば、多数の募集案件のうち、案件001~案件003を例に挙げて、開示範囲を募集案件毎に異ならせて設定する具体例を説明する。
【0282】
たとえば、募集案件001の開示範囲を、コミュニティID=03によって識別されるコミュニティに属する企業A,Cのみに限定してもよい。あるいは、募集案件002の開示範囲を、コミュニティID=02によって識別されるコミュニティに属する企業C,D,Cのみに限定してもよい。あるいは、案件003の開示範囲を、コミュニティID=02によって識別されるコミュニティに属する企業C,D,Cと、コミュニティID=03によって識別されるコミュニティに属する企業A,Cとに限定してもよい。
【0283】
企業Aは、コミュニティID=01または02によって識別されるコミュニティとは別のコミュニティを形成してもよい。たとえば、図19において破線に示されるように、企業Aは、企業Zと、コミュニティID=Zにより識別されるコミュニティを形成してもよい。たとえば、募集者が企業Aに属する場合、企業Aに属する応募者および企業Zに属する応募者に、募集者の募集案件を開示してもよい。このような開示のレベルを図19に示されるように「レベル3」の変形例として採用してもよい。
【0284】
この場合、「レベル3」は、「第1グループ(企業A)、および第1グループとコミュニティ関係が形成された第2レベルのコミュニティグループ(企業A~企業C)とは異なる特定コミュニティグループ(コミュニティID=Zによって識別されるコミュニティ)に所属する応募者への業務情報の開示を許容し、第1グループおよび特定コミュニティグループのいずれにも属さない応募者への業務情報の開示を禁止すること」に対応する。
【0285】
[副業状況を確認するときに表示される画面例]
図23は、管理者(応募者の上司)が部下の副業状況を確認するときに管理者の応募者装置300に表示される画面を示す図である。図23には、応募者装置300に管理者の部下の副業状況が表示される例が示されている。応募者装置300には、操作部として、キーボード306Aおよびマウス306Bが設けられている。
【0286】
ここでは、管理者は、たとえば、企業Cの営業部の部門長である。ディスプレイ305には、営業部に所属する従業員の副業状況が示される。管理者は、タブ307A、タブ307B、タブ307C…のいずれかをキーボード306Aまたはマウス306Bで指定することにより、営業部に所属する従業員の副業状況を確認することができる。したがって、管理者は、部下がオーバーワークの状態に陥るおそれがないように、部下の労働時間を管理することができる。なお、進捗率を併せて画面に表示してもよい。
【0287】
[案件内容の詳細]
図24は、募集案件データベース124に含まれる案件内容の詳細を示す図である。案件内容には募集要項が含まれる。図24に示されるように、案件内容は、案件ID別に募集案件データベース124に登録されている。
【0288】
案件内容は、必要スキル、必要経験、および必要資格の項目を含む。これらの項目には、応募者に要求される条件が記載されている。必要スキルは、案件に必要とされるスキルを意味する。必要経験は、必要スキルを使用して業務に従事した年数を意味する。必要資格は、国家資格および民間資格等を意味する。
【0289】
必要スキル、必要経験、および必要資格は、応募者に求められる「能力」の一例である。シェアリングサーバ100は、必要スキル、必要経験、および必要資格の各々を「ラベル」として、複数の募集案件を「能力」別に分類する。
【0290】
案件内容は、さらに、発注者および発注者所属企業の項目を含む。発注者は、案件を起案した者、すなわち、募集者を意味する。発注者所属企業は、募集者が所属する企業名を意味する。
【0291】
案件内容は、さらに、時期、単価(工数単価)、予定総時間、および実総時間の項目を含む。時期は、業務が開始される時期を意味する。単価(工数単価)は、単位時間当りの賃金を意味する。予定総時間は、業務の開始から終了までの予定時間を意味する。予定総時間は、業務に関わるプロジェクトの進行状況に応じて変化する。実総時間は、業務に関わるプロジェクトの進行状況に応じて、プロジェクト完成までの時間を見直して算出される時間を意味する。
【0292】
案件内容は、募集業務の業務情報の一例である。必要スキル、必要経験、および必要資格は、応募者が保有する能力を特定可能な能力情報の一例である。単価、予定総時間、および実総時間は、報酬に関する報酬情報の一例である。
【0293】
応募者は、応募者本人が保有する能力(スキル、経験、資格)を考慮して、応募したい案件を多数の案件の中から決定する。応募者は、最終的に案件に応募する前に、必要に応じて案件の募集者と面談を実施する。また、募集者は、応募者の中から特定の者を仮受注者として選択した後、業務契約をする前に、仮受注者と面談をするかもしれない。募集者は、応募者と業務契約をした後、業務の進行状況に応じて、応募者(受注者)と業務内容に関する面談をするかもしれない。
【0294】
[リコメンド機能の概要]
図25は、マッチングシステム1が備えるリコメンド機能の概要を示す図である。マッチングシステム1は、ユーザが保有している能力と、労働市場において求められている能力との関係に基づいて、取得することをユーザにお勧めする能力を提示する機能を有する。この機能をリコメンド機能という。マッチングシステム1のデータベース120には、上述のとおり多数の募集案件の情報が登録されている、各募集案件の情報には、案件内容として、必要とされる能力、時期、単価、および時間(予定総時間、および実総時間)が含まれる。
【0295】
マッチングシステム1は、募集案件の情報に基づいて、市場価値(労働市場における能力の価値)、および市場規模(労働市場における能力の需要の規模)を能力の種類別に推定する。
【0296】
マッチングシステム1は、募集案件に要求される能力(経験、スキル、資格)および募集案件の報酬単価に基づいて、市場価値を推定する。より具体的には、マッチングシステム1は、単価の高い能力を市場価値の高い能力と推定する。
【0297】
マッチングシステム1は、募集案件に要求される能力(経験、スキル、資格)、募集案件に設定されている報酬額、および募集案件数に基づいて、市場規模を推定する。募集案件に設定されている報酬額は、単価と予定総時間または実総時間とを乗じることで算出される。
【0298】
より具体的には、マッチングシステム1は、データベース120に登録されている募集案件の中から、能力Xに関連するすべての募集案件を抽出し、抽出した各募集案件に設定されている報酬額の総額Xを計算する。これを能力Xの総額Xとする。マッチングシステム1は、データベース120に登録されているすべての募集案件の各々に設定されている報酬額の総額Sを計算する。たとえば、マッチングシステム1は、総額Sに対する総額Xの割合に基づいて、能力Xの市場規模を推定する。
【0299】
マッチングシステム1は、市場価値および市場規模の推定結果を用いて、労働市場マップを作成する。マッチングシステム1は、労働市場マップとして、市場価値に着目した「市場価値マップ」と、労働規模に着目した「市場規模マップ」とを作成する。
【0300】
マッチングシステム1は、ユーザ(会員)から、ユーザ本人が保有している能力の情報を取得する。図25に示されるように、能力の情報は、経験、スキル、および資格を含む。マッチングシステム1は、取得したこれらの情報に基づいて、労働市場におけるユーザの能力を評価する。マッチングシステム1は、ユーザ本人が保有する能力と市場価値との関係、並びにユーザ本人が保有する能力と市場規模との関係を市場マップに表す。
【0301】
さらに、マッチングシステム1は、ユーザが保有している能力と、労働市場において求められている能力との関係に基づいて、リコメンドスキル(取得することをユーザにお勧めする能力)をユーザに提示する。図25に示されるように、マッチングシステム1は、複数のリコメンドスキルをお勧め順にユーザに提示する。
【0302】
ユーザは、労働市場マップを見ることによって、労働市場において重要視されている能力を理解することができる。さらに、ユーザは、労働市場マップを見ることによって、今後、既に保有している能力と、労働市場において重要視されている能力との2つの観点から、今後、習得すべき能力を理解することができる。
【0303】
次に、図26図28を参照して、労働市場マップの一例となる市場価値マップを説明する。
【0304】
図26は、市場価値マップの一例を示す図である。マッチングシステム1は、図26に示される市場価値マップをユーザ装置500の画面550に表示する。市場価値マップの縦軸は、スキルを表す。ここでは、スキルは、IT(Information Technology)に関連するプログラミングのスキルを例示している。市場価値マップの横軸は、スキルに対応する経験年数を表す。市場価値マップには、労働市場における能力の価値がスキルと経験年数との観点から示される。
【0305】
星印551は、市場価値マップにおけるユーザの能力の位置を示す。星印551は、応募者が保有する能力に対する労働市場の評価の程度を特定可能な評価情報の一例である。
【0306】
矢印552は、ユーザが習得すべき新たなスキルの方向性を示す。矢印552は、ユーザが習得すべき新たなスキルの方向性を示す。矢印552の先端位置は、マッチングシステムがユーザにお勧めするリコメンドスキルを示す。矢印552は、応募者が習得すべき新たな能力を示す情報の一例である。矢印553は、ユーザにお勧めできないスキルの方向性を示す。
【0307】
市場価値マップ内の右側には、ユーザが保有する能力と労働市場との関係、およびユーザへのアドバイスが示される。
【0308】
ユーザは、図26に示される市場価値マップを見ることによって、本人の保有する能力(C/C++)の市場規模は中程度であるものの、その市場価値が低く、このまま経験年数を重ねても、能力の市場価値が高まらないことを理解できる。さらに、ユーザは、矢印552を見ることによって、今後、Pythonの能力を習得すれば、市場価値の高い能力を身に付けられることを理解できる。
【0309】
図27は、市場価値マップの他の一例を示す図である。マッチングシステム1は、図27に示される市場価値マップをユーザ装置500の画面550に表示する。市場価値マップの縦軸は、「C/C++」のスキルに関する経験年数を表す。市場価値マップの横軸は、ITに関連する各種の資格を表す。市場価値マップには、労働市場における能力の価値が「C/C++」のスキルに関する経験年数と各種資格との観点から示される。
【0310】
図27に示される市場価値マップによれば、ユーザは、「C/C++」を用いた3年程度の業務経験をしており、かつ、IP資格を所有していることがわかる。ユーザは、図27に示される市場価値マップを見ることによって、このまま「C/C++」の経験年数を重ねても、能力の市場価値が高まらないことを理解できる。さらに、ユーザは、矢印552を見ることによって、今後、APの資格を取得すれば、自身の能力の市場価値を高められることを理解できる。
【0311】
ユーザは、APの資格取得を目指すよりも、STの資格取得を目指す方が、能力の市場価値をより高めることができる。しかしながら、ユーザが現在保有している能力を考慮すると、ユーザに難易度の高いAPの資格取得を勧めることに無理がある。そこで、マッチングシステム1は、ユーザが現在保有している能力を考慮して、無理のない能力開発の方向性を矢印552で示している。市場価値マップには、さらに、「安易に資格を取るのではなく、経験も積まないといけない」というアドバイスが示されている。なお、図27に示される市場価値マップに、図26に示されるような「現在の能力と市場との関係」を表示してもよい。
【0312】
図28は、市場価値マップの他の一例を示す図である。マッチングシステム1は、図28に示される市場価値マップをユーザ装置500の画面550に表示する。図28に示される市場価値マップは、図27に示される市場価値マップの横軸の内容をIT資格から知的財産に関するスキルに変更したものである。
【0313】
図28に示される市場価値マップによれば、ユーザは、「C/C++」を用いた3年程度の業務経験をしているものの、知的財産に関する業務を経験していないことがわかる。ユーザは、図28に示される市場価値マップを見ることによって、このまま「C/C++」の経験年数を重ねても、能力の市場価値が高まらないことを理解できる。
【0314】
さらに、ユーザは、矢印552を見ることによって、今後、知的財産管理技能士の資格を取得すれば、自身の能力の市場価値を高められることを理解できる。また、ユーザは、知的財産管理技能士の資格を取得すれば、知的財産管理技能士よりも難易度が高く、かつ、より市場価値の高い弁理士の資格取得を目標にすることができると理解するであろう。
【0315】
市場価値マップには、さらに、トレーニング情報が示されている。トレーニング情報は、リコメンドスキルを取得するために、ユーザが受講すべき講座などの情報である。ユーザは、トレーニング情報を参照することによって、たとえば、知的財産管理技能士の資格を取得するために有用なオンライン講座などを知ることができる。トレーニング情報は、新たな能力の習得に役立つ情報の一例である。なお、図28に示される市場価値マップに、図26に示されるような「現在の能力と市場との関係」を表示してもよい。
【0316】
以上、図26図28を用いて、労働市場マップの一例となる市場価値マップを説明した。ここでは、労働市場マップとして市場価値マップを例示したが、マッチングシステム1は、マップの対象の「市場価値」を「市場規模」に代えた市場規模マップを作成し、ユーザ装置500(募集者装置200、応募者装置300)に表示することも可能である。
【0317】
この場合、マッチングシステム1は、市場規模を算出し、算出結果を市場規模マップに反映させる。市場規模マップのフォーマットは、市場価値マップのフォーマットと同様である。ただし、市場規模マップにおいては、図26図28において、「価値」と標記されている箇所がすべて「規模」に変更される。
【0318】
市場価値マップと市場規模マップとを画面550に表示する場合の手法としては、様々な手法を採用することができる。マッチングシステム1は、市場価値マップと市場規模マップとを画面550に横並びあるいは縦並びに表示してもよい。マッチングシステム1は、ユーザの第1操作に応じて、市場価値マップを画面550に表示し、ユーザの第2操作に応じて、市場規模マップを画面550に表示してもよい。
【0319】
[その他のデータベース]
以下では、図2に示した各種のデータベース121~127に加えて、本実施の形態において採用される、その他のデータベースを説明する。
【0320】
図29は、プロファイルデータベース129の一例を示す図である。図29に示されるように、プロファイルデータベース129には、会員(ユーザ)のプロファイル情報が会員ID別に登録されている。プロファイル情報の一部は、会員データベース122に登録されている情報と重複してもよい。プロファイル情報は、会員の氏名、年齢、および性別を含む。さらに、プロファイル情報は、会員の所属(企業、および部門)を特定可能な所属情報を含む。所属情報は、企業および企業内の部門のうちのいずれか一方を特定するためのグループ情報の一例である。
【0321】
さらに、プロファイル情報は、会員の能力情報と、会員向けのリコメンド能力情報とを含む。会員の能力情報は、スキル、経験、および資格別に分類されている。これらの分類は、案件の募集要項(図24参照)に対応している。たとえば、年齢、性別、所属、および能力情報により、会員別の属性情報が構成される。企業毎にこれら会員の属性情報を統合した場合、企業毎の属性情報が生成される。
【0322】
リコメンド能力情報は、会員が習得することが望ましい能力(リコメンドスキル)を示す。シェアリングサーバ100は、図26図28に示される矢印552の向きを、リコメンド能力情報に基づいて決定する。シェアリングサーバ100は、会員が保有している能力、その能力の市場価値およびその能力でカバーできる市場規模に基づいて、会員が習得すべき新たな能力を決定する。シェアリングサーバ100は、決定した能力を特定可能な情報として、リコメンド能力情報をプロファイルデータベース129に登録する。
【0323】
さらに、プロファイル情報は、会員の保有する能力に関する市場価値および市場規模をさらに含む。
【0324】
図30は、能力データベース134の一例を示す図である。図30に示されるように、能力データベース134には、能力情報が能力ID別に登録されている。能力情報は、能力情報名および能力情報カテゴリを含む。能力情報カテゴリには、スキル、経験、および資格が含まれる。能力情報は、市場価値および市場規模を含む。シェアリングサーバ100は、能力データベース134を参照することによって、能力ID別(能力情報別)に、市場価値および市場規模を特定することができる。
【0325】
図31は、能力IDの具体例を示す図である。図32は、スキルIDの具体例を示す図である。図33は、経験IDの具体例を示す図である。
【0326】
図31図33に示されるように、能力IDは、スキルIDと経験IDとを組み合わせることで生成される。スキルIDは、スキルの種類および資格の種類を識別するための識別子である。経験IDは、経験年数を識別するための識別子である。したがって、能力IDによって識別される能力情報は、スキル(または資格)と経験とを組み合わせた情報である。
【0327】
図32には、情報系のスキル(プログラミングスキル)に関するスキルIDが示されている。たとえば、「スキルID=0001-1」は、「Ruby」のスキルに対応する。「スキルID=0001-2」は、「Python」のスキルに対応する。「スキルID=0001-3」は、「C/C++」のスキルに対応する。「スキルID=0001-4」は、「Kotlin」のスキルに対応する。「スキルID=0001-5」は、「Java(登録商標)」のスキルに対応する。これらは、スキルIDの例示に過ぎない。たとえば、各種の資格をスキルIDに対応付けることは本実施の形態において想定されている。
【0328】
図33に示されるように、「経験ID=0001」は、「1年未満」の経験年数に対応する。「経験ID=0002」は、「1年以上3年未満」の経験年数に対応する。「経験ID=0003」は、「3年以上5年未満」の経験年数に対応する。「経験ID=0004」は、「5年以上10年未満」の経験年数に対応する。「経験ID=0005」は、「10年以上」の経験年数に対応する。これらは、経験IDの例示に過ぎない。経験年数(経験期間)の範囲を図33に示される範囲と異なる範囲で区切ってもよい。
【0329】
図31に示されるように、「能力ID=0001-1,0001」は、「スキルID=0001-1」と「経験ID=0001」との組み合わせから成る。「能力ID=0001-1,0001」は、図31に示されるように、「Ruby×1年未満」に対応する。これは、「Rubyのプログラミング経験が1年未満に相当する能力」を意味する。
【0330】
また、図31に示されるように、「能力ID=0002-1,0002」は、「スキルID=0002-1」と「経験ID=0002」との組み合わせから成る。「能力ID=0002-1,0002」は、図31に示されるように、「Python×1年以上3年未満」に対応する。これは、「Pythonのプログラミング経験が1年以上3年未満に相当する能力」を意味する。
【0331】
図31に示される他の能力IDも同様に、スキルIDと経験IDとの組み合わせから成り、スキルIDに対応するスキルと、経験IDに対応する経験期間とを表す。
【0332】
図34は、複数のスキルを組み合わせてスキルIDを構成する例を示す図である。ユーザが保有するスキルは1つに限られない。図27に示したように、ユーザは、たとえば、プログラミングのスキルと、IT関連資格とを保有することが想定される。あるいは、図28に示したように、ユーザは、たとえば、IT関連のスキルと、知的財産関連のスキルとを保有することが想定される。ここでは、ユーザが複数のスキルを保有することを想定した場合に利用可能なスキルIDの例を紹介する。
【0333】
図34には、複数のスキルに対応するスキルIDの例として、2つの例が示されている。1つは、プログラミング関連のスキルと、IT関連の資格とを組み合わせて生成されるスキルIDである。もう1つは、プログラミング関連のスキルと、知的財産関連の資格とを組み合わせて生成されるスキルIDである。
【0334】
図34に示されるように、「スキルID=0001-3-1」は、「C/C++」のスキルと「IP」のスキル(資格)とを保有することに対応する。「スキルID=0001-3-1」のうち、「0001-3」は「C/C++」を表し、それに続く「-1」は「IP」を表す。
【0335】
図34に示される他のスキルIDも同様に定義される。「スキルID=0001-3-2」は、「C/C++」のスキルと「FE」のスキル(資格)とを保有することに対応する。「スキルID=0001-3-3」は、「C/C++」のスキルと「AP」のスキル(資格)とを保有することに対応する。「スキルID=0001-3-4」は、「C/C++」のスキルと「SA」のスキル(資格)とを保有することに対応する。「スキルID=0001-3-5」は、「C/C++」のスキルと「ST」のスキル(資格)とを保有することに対応する。
【0336】
「スキルID=0001-3-11」は、「C/C++」のスキルと「知的財産管理技能士」のスキル(資格)とを保有することに対応する。「スキルID=0001-3-12」は、「C/C++」のスキルと「弁理士」のスキル(資格)とを保有することに対応する。
【0337】
[リコメンド機能に関わる処理手順の説明]
次に、図35図42を参照してリコメンド機能に関わる各種の処理手順を説明する。図35は、マッチングシステム1のリコメンド機能に関わる処理手順を示すフローチャートである。
【0338】
図35に示されるフローチャートにおいて、はじめに、シェアリングサーバ100は、複数の募集案件情報を収集する(ステップSr1)。ステップSr1において、シェアリングサーバ100は、案件情報取得部として機能する。
【0339】
次に、シェアリングサーバ100は、複数の募集案件情報の各々について、ラベル付けの必要があるか、ラベル付けの必要がないかを判定する(ステップSr2)。シェアリングサーバ100は、募集要項をチェックしたときに、能力IDの能力情報カテゴリに分類することのできる募集案件情報を、ラベル付けの必要がないと判定する。シェアリングサーバ100は、募集要項をチェックしたときに、能力IDの能力情報カテゴリに分類することのできない募集案件情報を、ラベル付けの必要があると判定する。
【0340】
シェアリングサーバ100は、ラベル付けが必要な募集案件情報にラベル付けを行う。すなわち、シェアリングサーバ100は、有識者による基準に基づいて、募集案件情報に含まれる募集要項の内容を能力情報(スキル、経験、および資格)に分類する(ステップSr3)。ステップSr3において、シェアリングサーバ100は、ラベル付け部として機能する。
【0341】
次に、シェアリングサーバ100は、ラベル付けされたデータを用いて、能力情報毎に市場価値と市場規模とを算出する(ステップSr4)。同様に、シェアリングサーバ100は、ラベル付けが必要でないと判定された案件情報のデータを用いて、能力情報毎に市場価値と市場規模とを算出する(ステップSr5)。
【0342】
ステップSr4,Sr5において、シェアリングサーバ100は、算出部として機能する。算出部による算出結果(ステップSr4、ステップSr5)は、市場価値および市場規模の推定結果に相当する。算出部は、複数の募集案件の各々に含まれる業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を業務に関する能力の種類別に推定する。
【0343】
次に、シェアリングサーバ100は、ユーザの能力情報に基づいて、ユーザの保有する能力に関する市場価値および市場規模を算出する(ステップSr6)。ステップSr6において、シェアリングサーバ100は、能力情報取得部として機能する。なお、シェアリングサーバ100は、ユーザの能力情報をプロファイルデータベース129から取得する。
【0344】
ユーザは、プロファイルデータベース129に能力情報を登録するために、本人の能力情報をシェアリングサーバ100にアップロードする必要がある。ユーザによってアップロードされた能力情報の種類は様々である。
【0345】
このため、シェアリングサーバ100は、ユーザによってアップロードされた能力情報をプロファイルデータベース129で想定されているカテゴリに直ちに分類できないかもしれない。このような事態を考慮して、シェアリングサーバ100は、ユーザからアップロードされた能力情報を対象として、募集案件情報と同様に、ラベル付け処理を実行してもよい。
【0346】
次に、シェアリングサーバ100は、ユーザにリコメンドする能力を算出する(ステップSr7)。ステップSr7において、シェアリングサーバ100は、リコメンド部として機能する。
【0347】
次に、シェアリングサーバ100は、労働市場マップ(市場価値、市場規模)をユーザ装置500に表示する(ステップSr8)。これにより、ユーザ装置500の画面550には、ユーザの保有する能力に関する市場価値および市場規模、並びにリコメンドスキルが表示される。ステップSr8において、シェアリングサーバ100は、表示部として機能する。表示部によって、上述の推定結果がユーザ装置500へ表示される。
【0348】
図36は、案件情報取得部(Sr1)の処理手順を示すフローチャートである。シェアリングサーバ100は、募集案件データベース124から各募集案件の情報を取得する(ステップSr11)。これにより、案件情報取得部の処理が終了される。
【0349】
図37は、ラベル付け部(Sr3)の処理手順を示すフローチャートである。はじめに、シェアリングサーバ100は、募集案件データベース124から各募集案件の情報を取得する(ステップSr31)。次に、シェアリングサーバ100は、募集案件の募集要項の情報を確認する(ステップSr32)。募集要項の情報には、スキル、経験、および資格が含まれる。
【0350】
次に、シェアリングサーバ100は、有識者による基準と、募集案件情報に含まれる募集要項の内容とに基づいて、募集案件にラベル付けする(ステップSr33)。次に、シェアリングサーバ100は、ラベル付けした結果を募集案件データベース124に登録する(ステップSr34)。より具体的には、必要能力(スキル,経験,資格)のラベルが募集案件に付される。これにより、ラベル付け部の処理が終了される。
【0351】
図38は、算出部(Sr4,Sr5)の処理手順を示すフローチャートである。はじめに、シェアリングサーバ100は、募集案件データベース124から募集案件の能力情報(必要スキル、必要経験、必要資格)、単価情報、および時間情報を取得する(ステップSr41)。
【0352】
シェアリングサーバ100は、時間情報として、案件内容に含まれる予定総時間および実総時間のうち、いずれ採用してもよい。たとえば、シェアリングサーバ100は、業務が完了している案件については、実総時間を採用し、業務が完了していない案件については予定総時間を採用してもよい。
【0353】
次に、シェアリングサーバ100は、募集案件の能力情報毎に募集案件をカテゴライズする(ステップSr42)。これによって、募集案件が能力ID毎に分類される。次に、シェアリングサーバ100は、カテゴリ毎に市場価値および市場規模を計算する(ステップSr43)。
【0354】
シェアリングサーバ100は、ステップSr42およびステップSr43の処理を、すべての募集案件を対象に実行する。その結果、募集案件の能力情報(必要スキル、必要経験、必要資格)を基礎として、その能力情報別の市場価値および市場規模が算出(推定)される。
【0355】
ここで、シェアリングサーバ100が募集案件に基づいて市場価値および市場規模を算出する手法を説明する。はじめに、シェアリングサーバ100は、募集要領(スキル・経験・資格)に基づいて、募集案件をグルーピングする。次に、シェアリングサーバ100は、グループ毎に、募集案件の平均単価と、各募集案件の報酬額の合計額とを算出する。次に、シェアリングサーバ100は、平均単価に基づいて市場価値を評価し、合計額に基づいて市場規模を評価する。
【0356】
なお、シェアリングサーバ100は、市場価値および市場規模を算出する際、募集案件の募集時期を加味してもよい。すなわち、シェアリングサーバ100は、募集時期の新しい案件よりも募集時期の古い案件の方が、算出結果への寄与率が小さくなるように、算出式の係数を調整してもよい。
【0357】
シェアリングサーバ100は、ステップSr43の後、能力情報のカテゴリ毎に市場価値および市場規模を能力データベース134に登録する(ステップSr44)。これにより、算出部の処理が終了される。
【0358】
図39は、能力情報取得部(Sr6)の処理手順を示すフローチャートである。はじめに、シェアリングサーバ100は、プロファイルデータベース129からユーザの能力情報を取得する(ステップSr61)。次に、シェアリングサーバ100は、能力データベース134から能力情報のカテゴリ毎に市場価値および市場規模を取得する(ステップSr62)。
【0359】
次に、シェアリングサーバ100は、ユーザの保有する能力に関する市場価値および市場規模を算出する(ステップSr63)。次に、シェアリングサーバ100は、ユーザの保有する能力に関する市場価値および市場規模をプロファイルデータベース129に登録する(ステップSr64)。これにより、能力情報取得部の処理が終了される。
【0360】
図40は、リコメンド部(Sr7)の処理手順を示すフローチャートである。はじめに、シェアリングサーバ100は、プロファイルデータベース129からユーザの能力情報を取得する(ステップSr71)。次に、シェアリングサーバ100は、能力データベース134から能力情報カテゴリ毎の市場価値と市場規模を取得する(ステップSr72)。
【0361】
次に、シェアリングサーバ100は、ユーザがさらに追加で獲得した場合に市場価値が高まる能力情報(リコメンドスキル)を算出する(ステップSr73)。次に、シェアリングサーバ100は、市場価値の向上度に応じて、リコメンドスキルに順位付けする(ステップSr74)。次に、シェアリングサーバ100は、順位情報をリコメンド能力としてプロファイルデータベース129に登録する(ステップSr75)。これにより、リコメンド部の処理が終了される。
【0362】
なお、シェアリングサーバ100は、複数のリコメンドスキルをユーザが獲得した場合における、ユーザの能力の市場価値および市場規模を算出してもよい。また、シェアリングサーバ100は、算出された複数のリコメンドスキルのうち、最も順位の高いリコメンドスキルのみをプロファイルデータベース129に登録してもよい。
【0363】
図41は、表示部(Sr8)の処理手順を示すフローチャートである。はじめに、シェアリングサーバ100は、プロファイルデータベース129からユーザのプロファイル情報を取得する(ステップSr81)。プロファイル情報にはユーザの能力情報が含まれる。
【0364】
次に、シェアリングサーバ100は、能力データベース134から能力情報のカテゴリ毎に市場価値および市場規模を取得する(ステップSr82)。次に、シェアリングサーバ100は、ユーザが保有する能力毎に市場情報を取得する(ステップSr83)。
【0365】
次に、シェアリングサーバ100は、能力データベース134からユーザ向けのリコメンドスキルの情報を取得する(ステップSr84)。次に、シェアリングサーバ100は、ユーザが保有する能力の市場価値および市場規模、リコメンドスキル、並びにリコメンドスキルを獲得した場合の市場価値および市場規模の情報をユーザ装置500に表示する(ステップSr85)。これにより、表示部の処理が終了される。
【0366】
図42は、再計算部(Sr9)の処理手順を示すフローチャートである。はじめに、シェアリングサーバ100は、市場価値および市場規模を再計算する指示をシェアリングサーバ100の管理者などから受け付ける(ステップSr91)。次に、シェアリングサーバ100は、市場価値および市場規模を再計算するため、Sr1~Sr7を再度、実行する(ステップSr92)。これにより、再計算部の処理が終了される。
【0367】
なお、シェアリングサーバ100は、再計算部のステップSr91およびステップSr92をバッチ処理などで実行してもよい。たとえば、シェアリングサーバ100は、指定されているタイミングで定期的に再計算部の処理を実行してもよい。バッチ処理を採用する場合、ラベル付け部の処理が事前に行われることが望ましい。
【0368】
以上説明したように、マッチングシステム1は、募集業務に応募する応募者に募集業務の業務情報を提供する業務情報提供システムの一例である。マッチングシステム1は、募集者と応募者とをマッチングさせるプラットフォームを有効活用して、業務に関する能力に対する労働市場の評価を業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を応募者装置へ表示する。マッチングシステム1によれば、労働市場において重要視されている能力を理解することが可能な情報を応募者に提供することができる。
【0369】
さらに、マッチングシステム1は、応募者が保有する能力を特定可能な能力情報に基づいて応募者が保有する能力を特定し、応募者が保有する能力に対する労働市場の評価を示す評価情報を応募者装置へ表示する。より具体的には、マッチングシステム1は、応募者が保有している能力に関する市場価値および市場規模、並びにリコメンドスキルを応募者に提示する機能を有する。
【0370】
マッチングシステム1によれば、応募者が保有している能力を元にして、これから獲得することでより効果的に市場価値を高めることのできる能力を応募者に教えることができる。これにより、応募者は、市場価値がより高くなる能力を理解し、効率的に能力開発を進めることができる。より具体的には、応募者は、自分が獲得すべきスキル情報を理解することができ、最適なリスキル、リカレント教育、あるいはトレーニングを受けることができる。その結果、応募者は、より市場価値が高い人材を目指すことが可能となる。
【0371】
これまでに説明したように、シェアリングサーバ100は、通信インターフェイス104を介して、応募者によって操作される応募者装置300と通信する。シェアリングサーバ100は、業務情報(案件内容)が募集案件毎に登録されたデータベース120(特には募集案件データベース124)にアクセスする。シェアリングサーバ100は、複数の募集案件の各々に含まれる業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を前記業務に関する能力の種類別に推定し(ステップSr42、ステップSr43)、推定結果を前記応募者装置へ表示する(ステップSr85)。
【0372】
データベース120(プロファイルデータベース129)には、応募者が保有する能力を特定可能な能力情報が登録されている。シェアリングサーバ100は、能力情報に基づいて応募者が保有する能力を特定し(ステップSr61)、応募者が保有する能力に対する労働市場の評価を示す評価情報(星印551)を応募者装置300へ表示する(ステップSr85)。
【0373】
シェアリングサーバ100は、前記推定結果と、前記応募者が保有している能力とに基づいて、前記応募者が習得すべき新たな能力(リコメンドスキル)を示す情報(矢印552)を前記応募者装置へ表示する(ステップSr85)。さらに、シェアリングサーバ100は、新たな能力の習得に役立つ情報(トレーニング情報)を応募者装置300へ表示する(図28参照)。
【0374】
図24に示されるように、業務情報は、応募者に要求される能力に関する能力情報(必要スキル、必要経験、必要資格)、および報酬に関する報酬情報(単価、予定総時間、実総時間)を含む。シェアリングサーバ100は、能力情報および報酬情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を推定する(ステップSr42、ステップSr43)。図30に示されるように、能力情報は、応募者のスキルおよびスキルを用いた業務の経験期間を含む。
【0375】
図1図26図28、およびステップSr85に示されるように、業務に関する能力に対する労働市場の評価は、業務に関する能力に対して労働市場が与える価値(市場価値)、および前記業務に関する能力が必要とされている労働市場の規模(市場規模)のいずれか一方を含む。
【0376】
クラウドソーシングを利用して、より適切な人材を見つけるためには、クラウドソーシングの範囲を特定の企業内あるいは数少ない企業数の範囲に留めるのでなく、その範囲をさらに広げることが望ましい。この場合、業務の受注者を募集する募集者と、その募集に応募する応募者との利害関係を考慮する必要が生じる。本実施の形態において、募集者装置200は、受注者を募集する業務情報および業務情報の開示範囲を示す開示情報をシェアリングサーバ100へ送信する。シェアリングサーバ100は、業務情報を開示情報とともにデータベース120に登録する。シェアリングサーバ100は、データベース120に登録されている業務情報のうち、応募者への開示が許容されている業務情報を開示情報に基づいて判定し、応募者への開示が許容されている業務情報を応募者装置300へ提供する。このため、本実施の形態によれば、募集者と応募者との利害関係を考慮した適切な応募者を選出可能にすることができる。
【0377】
以上、説明した本実施の形態において、「企業別グループ」および「同一企業内の部門別グループ」は、「グループ」の一例である。フリーランス等、企業に属さない応募者が、一つの「グループ」を構成してもよい。複数の企業により「企業グループ」を構成してもよい。
【0378】
本実施の形態において、「コミュニティ関係を形成する企業」は、「コミュニティグループ」の一例である。
【0379】
本実施の形態において、開示情報に含まれる「非開示対象」の情報は、「業務情報の開示を禁止する対象者を特定可能な情報」の一例である。
【0380】
承認者として機能する管理者の応募者装置300から承認部147に承認情報を送信する通信(図11のS9)は、その承認者の会員IDによって識別される論理的な通信経路において行われる。「承認部147がこのような通信経路において承認情報を受信すること」は、「第1応募者の承認者の識別情報を伴う通信において承認通知を受信すること」の一例である。
【0381】
本実施の形態において、評価サマリデータベース127に登録された「応募者評価サマリ」は、「評価者装置として機能する募集者装置200から受信した評価に基づいた評価情報」の一例である。本実施の形態において、評価サマリデータベース127に登録された「募集者評価サマリ」は、「評価者装置として機能する応募者装置300から受信した評価に基づいた評価情報」の一例である。
【0382】
図9には、評価サマリデータベース127内に登録されているデータの一例が示されているに過ぎない。本実施の形態においては、企業Aに所属する会員が応募者の立場で、企業A,B,C…に所属しかつ募集者として振る舞う会員を評価することも想定されている。本実施の形態においては、企業Bに所属する会員が応募者の立場で、企業A,B,C…に所属しかつ募集者として振る舞う会員を評価することも想定されている。本実施の形態においては、企業Aに所属する会員が募集者の立場で、企業A,B,C…に所属しかつ応募者として振る舞う会員を評価することも想定されている。本実施の形態においては、企業Bに所属する会員が募集者の立場で、企業A,B,C…に所属しかつ応募者として振る舞う会員を評価することも想定されている。
【0383】
本実施の形態において、企業Aに所属する募集者によって操作される「募集者装置200A」は、評価者装置として機能し、「第1グループに所属する1以上の評価者によって操作される第1評価者装置(募集側第1評価装置)」の一例である。本実施の形態において、企業Aに所属する応募者によって操作される「応募者装置300A」は、評価者装置として機能し、「第1グループに所属する1以上の評価者によって操作される第1評価者装置(応募側第1評価装置)」の一例である。
【0384】
本実施の形態において、企業Bに所属する募集者によって操作される「募集者装置200B」は、評価者装置として機能し、「第1グループと異なる第2グループに所属する1以上の評価者によって操作される第2評価者装置(募集側第2評価装置)」の一例である。本実施の形態において、企業Bに所属する応募者によって操作される「応募者装置300B」は、評価者装置として機能し、「第1グループと異なる第2グループに所属する1以上の評価者によって操作される第2評価者装置(応募側第2評価装置)」の一例である。
【0385】
図21には、企業Bの部門として、システム部と企画部とが例示されている。本実施の形態において、「システム部と企画部とのうちの一方」は、第1グループに含まれる「第1分割グループ」の一例であり、他方は、第1グループに含まれる「第2分割グループ」の一例である。
【0386】
シェアリングサーバ100は、募集案件データベース124に登録された想定工数、企業データベース121に登録された副業上限時間、副業データベース125に登録された副業実績時間、および副業データベース125に登録された副業見込時間に基づいて、応募者の労働時間が上限時間を超えない業務情報を募集案件データベース124のリストから抽出する。具体的には、シェアリングサーバ100は、たとえば、応募者が複数の副業に従事している場合、各副業に対応する副業実績時間の合計値を算出し、副業総実績時間を求め、各副業に対応する副業見込時間の合計値を算出し、副業総見込時間を求める。
【0387】
シェアリングサーバ100は、求めた副業総実績時間と副業総見込時間と加算し、副業総時間を求める。シェアリングサーバ100は、応募者の副業上限時間から副業総時間を差し引くことにより、応募者の副業可能時間を求める。シェアリングサーバ100は、求めた副業可能時間で対応可能な案件を募集案件データベース124のリストから検索する。
【0388】
このとき、シェアリングサーバ100は、募集案件データベース124の想定工数に基づいて各募集案件の対応に必要な時間を算出し、副業可能時間の範囲にある募集案件を検索する。ここで、「副業上限時間」は、「応募者の労働時間の上限である上限時間」の一例であり、「副業実績時間」は、「応募者が既に実績として働いた時間である実績時間」の一例であり、「副業見込時間」は、「応募者の労働時間として見込まれる見込時間」の一例である。上限時間は、副業だけでなく、本業時間と副業時間の合計時間に上限を設定した時間でもよい。
【0389】
第1上限時間は、副業上限時間ではなく、本業と副業とを合わせたすべての業務を対象とした上限の時間であってもよい。第1実績時間および第1見込時間は、副業の時間だけでなく、副業と本業とを合わせたすべての業務の合計時間であってもよい。
【0390】
募集者装置200および応募者装置300は、図2に示される、プロセッサ、メモリ、通信インターフェイス、および入出力インターフェイス全てを具備するものだけではなく、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)を利用したシンクライアントシステム等であってもよい。VDIを利用したシンクライアントシステムとは、サーバ上にあるデスクトップ環境を遠隔地にある端末に転送して利用するシステムである。募集者装置200、応募者装置300、およびシェアリングサーバ100は、必ずしも独立した装置である必要は無い。上記のようなシンクライアントシステムを利用する場合、同一の集約サーバ上で募集者装置200、応募者装置300、およびシェアリングサーバ100の機能を提供することができる。
【0391】
データベース120は、リレーショナルデータベースに限定されるものでなく、オブジェクト型やNoSQL型等のデータベースを利用してもよい。
【0392】
シェアリングサーバ100は、コンピュート装置の一例である。サーバ(オンプレミスサーバ、クラウドサーバ等)や、サーバレスシステム等によってコンピュート装置を構成してもよい。ここで、オンプレミスサーバとは、自社内で管理する設備内に設置され、管理されるサーバである。クラウドサーバとは、ネットワークを通じて別事業者が提供するサーバ(借り受けのサーバ)である。サーバレスシステムとは、サーバの存在を意識せず、必要なときのみコンピュート・メモリ機能を利用できるシステムである。コンピュート装置は、サーバとサーバレスシステムとを含む。サーバには、オンプレミスサーバとクラウドサーバとが含まれる。
【0393】
<変形例1>
次に、図43図45を参照して、変形例1を説明する。変形例1においては、募集者が多数の会員の中から選択した者に対して、募集業務への募集を促すことができる逆オファー機能を説明する。
【0394】
[逆オファー機能を提案する背景]
クラウドソーシングでは、一般的に募集者が募集案件の情報を開示し、募集案件の内容に興味を抱く者からの応募を待つことになる。しかし、このような募集方法では、応募者から応答があるまでに時間がかかるかもしれない。また、募集者の期待するスキルを持つ者から応募があるかどうか不明である。
【0395】
そこで、募集者が会員を検索し、適当な会員を指名することが考えられる(逆オファー)。しかし、会員IDおよび会員の氏名程度しか募集者に知らされない状態では、募集者が真に希望する応募者を指名することは困難である。また、秘密情報がライバル関係にある企業等に漏れてしまうことがないよう、検索結果からは、ライバル関係にある企業等の会員情報が除外されなければならない。
【0396】
変形例1においては、このような背景を踏まえ、会員検索をした募集者に対して、会員の詳細なプロフィール情報を含む検索結果を提供する。さらに、変形例1においては、検索結果から、募集者の所属企業等に対してライバル関係にある企業等の会員情報を除外する。以下、図面を用いて、変形例1を詳細に説明する。
【0397】
図43は、変形例1に関わるシェアリングサーバ100、募集者装置200、および応募者装置300の機能を説明するための図である。
【0398】
図43に示されるように、シェアリングサーバ100は、会員検索部143に加えて、逆オファー依頼部161と、逆オファー承認依頼部162と、逆オファー依頼受託通知部163とを機能的に含む。これらの各種の機能は、シェアリングサーバ100が備えるプロセッサ101、メモリ102、ストレージ103、および通信インターフェイス104によって実現される。
【0399】
会員検索部143は、既に説明したとおり、マッチングシステム1の会員を検索する機能を備える。特に、変形例1において、会員検索部143は、会員の詳細なプロフィール情報を検索者に提供する機能を備える。募集者装置200は、募集者の検索操作を受け付けた場合に、会員検索処理を実行する(ステップS21)。特に、ステップS21において、募集者装置200は、募集者が逆オファーをするための検索操作を受け付ける。会員検索部143は、会員データベース122に登録されている会員の情報を募集者装置200に提供する。提供される会員の情報には、会員の詳細なプロフィール情報が含まれる。ただし、会員検索部143は、検索結果から、募集者の所属企業等に対してライバル関係にある企業等の会員情報を除外する。
【0400】
募集者装置200は、会員検索部143から会員情報(検索結果)を受信し、ディスプレイ205に検索結果として会員情報を表示する(ステップS22)。その後、募集者装置200は、募集者が検索結果の中から応募者を選択する操作を受け付ける。すなわち、募集者は、検索結果に基づいて逆オファーする会員を選択し、募集者装置200を操作することによって逆オファーを実施する(ステップS23)。募集者装置200は、逆オファーの対象とされる会員の会員IDをシェアリングサーバ100へ送信する。
【0401】
逆オファー依頼部161は、募集者装置200から逆オファーの対象とされる会員の会員IDを受信する。逆オファー依頼部161は、受信した会員IDに対応する会員を特定する。逆オファー依頼部161は、逆オファーの対象とされる会員の応募者装置300へ、逆オファーの依頼を受けたことを通知する。この通知には、逆オファーの対象とされる募集案件の情報を含めてもよい。逆オファーの対象とされる会員は、応募者装置300により逆オファーの依頼を受信する。ここで受信される「依頼」は、「応募者に対して応募を促す情報」の一例である。逆オファーの対象とされる会員は、逆オファーの依頼を受託するか否かを判断する。逆オファーの対象とされる会員は、応募者装置300を用いて、逆オファーの依頼を受託する操作、または逆オファーの依頼を拒否する操作を行うことができる。応募者装置300は、たとえば、逆オファーの依頼を受託する(ステップS24)。逆オファーの依頼を受託した応募者装置300は、応募情報を逆オファー承認依頼部162へ送信する。
【0402】
逆オファー承認依頼部162は、応募者の上司へ部下の応募情報を送信する。逆オファー承認依頼部162は、会員データベース122に登録されている、応募者の会員IDと上司の会員IDとの関係に基づいて、応募者の管理者である上司の会員IDを特定する。応募者の上司は、自身の応募者装置300において応募情報を確認し、応募を承認する(ステップS25)。
【0403】
逆オファー依頼受託通知部163は、応募者の上司から承認情報を受信する。逆オファー依頼受託通知部163は、承認情報を受信したことを条件に、応募者の応募を受け付ける。逆オファー依頼受託通知部163は、逆オファーを実施した会員からの応募が受け付けられたことを募集者装置200へ通知する。募集者装置200は、その通知に基づいて、逆オファーが受託されたことを募集者に通知する(ステップS26)。より具体的には、募集者装置200は、逆オファーが受託されたことを募集者に通知するための情報をディスプレイ205に表示する。
【0404】
図44は、変形例1に関わる会員データベース122Aの一例を示す図である。図44に示される会員データベース122Aには、図4に示される会員データベース122と比較して、プロフィール情報、およびプロフィールを公開するか否かを示すプロフィール公開情報が追加されている。
【0405】
マッチングシステム1は、応募者装置300を用いて自身のプロフィール情報を会員データベース122Aに登録および修正することができる権限を会員に与えている。会員は、応募者装置300を用いて自身の様々なプロフィール情報を会員データベース122Aに登録する。プロフィール情報には、たとえば、会員のSPI(Synthetic Personality Inventory)の情報、会員の職務履歴、会員の実績、会員の所有資格等が含まれる。
【0406】
会員は、応募者装置300を用いてプロフィール公開情報を設定する。プロフィール公開情報が可に設定されている会員のプロフィール情報は、検索者に提供される。プロフィール公開情報が不可に設定されている会員のプロフィール情報は、検索者に提供されない。シェアリングサーバ100は、各会員が選択した設定に基づいて、会員データベース122Aにプロフィール公開情報を登録する。このように、シェアリングサーバ100は、複数の会員の各々から、プロフィール情報を検索結果に含めることを許可するか否かを示す情報の入力を受け付ける。
【0407】
ここでは、プロフィール公開情報の設定に基づいて、会員のプロフィール情報の公開が許可されるか否かが決定される例を説明した。しかしながら、シェアリングサーバ100は、公開を許可するかの設定操作をプロフィール情報の種類別に受け付けるようにしてもよい。これにより、たとえば、会員は、実績および所有資格を公開対象とする一方、SPIの情報を非公開対象とすることができる。あるいは、プロフィール情報に年齢を含める場合、会員は、年齢を非公開対象とし、それ以外のプロフィール情報を公開対象とすることができる。この場合、シェアリングサーバ100は、複数の登録者(会員)の各々の複数のプロフィール情報を会員データベース122Aに登録する。シェアリングサーバ100は、複数の登録者の各々から、複数のプロフィール情報のうち、検索結果として公開する範囲を設定するための入力を受け付ける。
【0408】
図45は、変形例1に関わる逆オファー会員検索処理の処理手順を示すフローチャートである。本フローチャートに基づく処理は、シェアリングサーバ100により実行される。
【0409】
はじめに、シェアリングサーバ100は、検索者が募集案件に適切な会員を検索するための検索要求を受け付ける(ステップS211)。ここでは、検索者は、募集案件を抱える募集者である。募集者は、募集案件に適切なスキルを有する会員に逆オファーをするため、自身の募集者装置200を用いて、会員を検索する。募集者の検索要求がステップS211においてシェアリングサーバ100に受け付けられる。検索要求に検索者の会員IDおよび募集案件の案件IDを含めてもよい。
【0410】
次に、シェアリングサーバ100は、会員データベース122Aおよび企業データベース121から検索者の所属企業を特定する(ステップS212)。次に、シェアリングサーバ100は、コミュニティデータベース123から検索者の所属コミュニティを特定する(ステップS213)。
【0411】
次に、シェアリングサーバ100は、募集案件データベース124に登録されている募集案件の開示レベルおよび非開示企業IDリストを特定する(ステップS214)。次に、シェアリングサーバ100は、検索者に開示可能な会員を抽出する(ステップS215)。
【0412】
より具体的には、シェアリングサーバ100は、検索者(募集者)が抱える募集案件を開示すべきでない企業を募集案件データベース124の非開示企業リストおよび開示レベルに基づいて特定する。シェアリングサーバ100は、そのような企業に所属する会員を検索者に開示不可能な会員と判定する。シェアリングサーバ100は、そのような企業に所属する会員以外を検索者に開示可能な会員として抽出する。
【0413】
次に、シェアリングサーバ100は、会員データベース122Aを参照して、抽出された会員の情報からプロフィール情報を非開示に設定している会員のプロフィール情報を除外する(ステップS216)。
【0414】
次に、シェアリングサーバ100は、抽出した会員の情報を検索要求元へ送信し(ステップS217)、本フローチャート基づく処理を終了する。検索要求元の募集者装置200は、シェアリングサーバ100から送信された会員の情報を受信し、ディスプレイ205にその情報を表示する。ディスプレイ205に表示された情報には、抽出された各会員のID、氏名、およびプロフィール情報が表示される。ただし、プロフィール情報を非開示としている会員に関しては、会員のIDおよび氏名のみが表示され、プロフィール情報は表示されない。
【0415】
以上、説明したように、変形例1によれば、募集者は、会員の詳細なプロフィール情報を参照しつつ、募集業務への応募に最適と考えられる会員を検索し、その会員に逆オファーをすることができる。しかも、検索結果として表示される会員からは、募集者の属する企業およびコミュニティとライバル関係にある企業等の会員が除外される。このため、募集者がそのようなライバル企業の会員に業務を発注してしまう不都合を防止できる。さらには、プロフィール情報を公開するか否かを会員自身が決定することができるため、各会員の自由意志が尊重されたシステムを提供できる。
【0416】
なお、プロフィール情報のみならず、氏名を公開するか否かを会員が設定できるようにしてもよい。また、プロフィール情報にもいくつかのカテゴリを設け、プロフィール情報を公開するか否かをカテゴリ別に会員が設定できるようにしてもよい。
【0417】
以上のとおりに説明したオファー機能をマッチングシステム1に追加することにより、募集案件の閲覧が許可されている会員のプロフィール情報を募集者が確認することができる。さらに、募集者は、募集者自身が発注したいと思う会員に対して応募を促すことができる。また、募集者から応募を促された会員は、案件情報を閲覧し、応募の了承および拒否を行うことができる。また、会員情報の登録時および編集時等において、各会員は、プロフィール情報を公開するか否かを決定することができる。これにより、募集者は、能動的にオファー先を選定し、最適な応募者を早期に業務に従事させることができる。
【0418】
<変形例2>
次に、図46図50を参照して、変形例2を説明する。変形例2においては、複数名の会員がグループで募集業務に応募できる会員グループ応募機能を説明する。
【0419】
[会員グループ応募機能を提案する背景]
クラウドソーシングでは、一般的に募集者が募集案件の情報を開示し、募集案件の内容に興味を抱く個人がその募集に応募する。しかし、事業の企画から企画に関連する知的財産権の取得に至るまでの包括的な業務等、複数人から成るチームで対応すべき案件、またはチームで対応した方が望ましい案件も少なくない。このため、募集人数が1名に限られる場合、受注を希望する者は、個人で対応できる以上の業務を請け負うことが難しい。
【0420】
変形例2においては、このような背景を踏まえ、複数名の会員がグループで募集業務に応募できる会員グループ応募機能を提供する。以下、変形例2を詳細に説明する。
【0421】
図46は、変形例2に関わるシェアリングサーバ100、募集者装置200、および応募者装置300の構成を示すブロック図である。図46に示されるブロック図には、図2に示されるブロック図と比較して、会員グループデータベース128が追加されている。図46に示される募集案件データベース124Aには、図6に示される募集案件データベース124に対して、会員グループでの応募を許容する募集案件を登録できる機能が追加されている。
【0422】
会員グループデータベース128には、複数名の会員からなる会員グループが登録されている。募集者は、募集者装置200を用いて、会員グループでの応募を許容する募集案件を募集案件データベース124Aに登録することが可能である。応募者は、応募者装置300を用いて、会員グループでの応募を許容する募集案件に対して、会員グループデータベース128に登録された会員グループによる応募をすることが可能である。
【0423】
図47は、変形例2に関わる会員グループデータベース128の一例を示す図である。会員グループデータベース128には、会員グループの情報が登録されている。会員グループの情報には、会員グループを識別するためのグループID、会員グループの各メンバーが所属する企業の企業ID、および会員グループの各メンバーの会員ID等が含まれる。
【0424】
以下、グループIDを用いて、各グループIDに対応する会員グループを会員グループG1、会員グループG2、会員グループG3…と称する場合がある。
【0425】
会員グループG1は、会員ID=P1,P2,P5によって識別される3名の会員によって構成されている。会員グループG1に対応して登録されている企業IDは00Aであるため、3名の会員はいずれも企業Aに所属することがわかる。
【0426】
会員グループG2は、会員ID=P1,P3によって識別される2名の会員によって構成されている。会員グループG2に対応して登録されている企業IDは00A,00Bであるため、2名の会員の一方は企業Aに所属し、他方は企業Bに所属することがわかる。会員グループG1と会員グループG2とを対比することで理解されるとおり、両会員グループG1,G2には会員ID=P1が登録されている。したがって、会員P1は、2つの会員グループに所属している。
【0427】
会員グループG3は、会員ID=P4,P7,P8,P14によって識別される4名の会員によって構成されている。会員グループG3に対応して登録されている企業IDは00Cであるため、4名の会員はいずれも企業Cに所属することがわかる。
【0428】
会員グループデータベース128は、図46に示されるように、シェアリングサーバ100のストレージ103に格納されている。会員は、同じ企業またはコミュニティ等を通じて知り合った他の会員らの同意を得て、会員グループを形成し、会員グループデータベース128に会員グループを登録する。「会員グループ」は、「応募グループ」の一例である。
【0429】
図48は、変形例2に関わる募集案件データベース124Aの一例を示す図である。図48に示される募集案件データベース124Aは、図6に示される募集案件データベース124と比較すると、募集形態の情報が追加されている。募集者は、募集者装置200を操作し、募集形態を設定する。シェアリングサーバ100は、その設定に基づいた募集形態を業務情報に対応付けて募集案件データベース124Aに登録する。
【0430】
募集者は、募集形態をグループおよび個人の中から選択することができる。募集者が募集形態を選択しなかった場合、募集案件の募集形態はグループにも個人にも限定されていないものとみなされる。募集形態がグループに設定されている案件は、会員グループのみによって受注可能とされる。募集形態が個人に設定されている案件は、個々の会員のみによって受注可能とされる。募集形態が限定されていない案件は、会員グループおよび個人のいずれによっても受注可能とされる。「募集形態の情報」は、「受注者を募集する業務が、複数の募集者が共同で応募すべき業務であることを特定可能な情報」の一例である。
【0431】
図49は、変形例2に関わるシェアリングサーバ100、募集者装置200、および応募者装置300の機能を説明するための図である。図49においては、図11と比較して、シェアリングサーバ100に判定部145Aが追加されている。また、図49においては、図11と比較して、ステップS7の後にステップS7Aが追加され、応募のステップS8に代えて、グループ応募のステップS8Aが採用されている。
【0432】
ここでは、応募者が複数の会員グループに所属しているものとする。応募者は、応募者装置300を操作して、募集案件を検索する(ステップS6)。応募者装置300は、検索要求をシェアリングサーバ100の案件抽出部145へ送信する。
【0433】
案件抽出部145は、検索要求を受信した場合、図11を用いて説明したとおり、募集案件データベース124に登録されている募集案件の中から、応募者の閲覧が許容される案件を抽出する。案件抽出部145により抽出された案件には、募集形態が「グループ」、「個人」、および「限定せず」のいずれかとされる案件が含まれる。案件抽出部145は、抽出した募集案件を応募者装置300へ送信する。応募者装置300は、案件抽出部145から募集案件を受信する。応募者装置300は、受信した募集案件をディスプレイ305に表示する(ステップS7)。
【0434】
ディスプレイ305には、募集案件毎に、開示レベル、案件タイトル、想定工数、想定期間、案件内容、および募集形態等が表示される。会員グループで応募することを希望する場合、応募者は、マウスおよびキーボード等の操作部306を用いて、会員グループを指定した上で募集形態が「グループ」または「限定せず」とされている案件を選択する。応募者装置300は、応募者の操作に基づいて、会員グループおよび応募を希望する案件を受け付ける(ステップS7A)。応募者装置300は、受け付けた会員グループのグループIDおよび受け付けた案件の案件IDをシェアリングサーバ100へ送信する。シェアリングサーバ100の判定部145Aは、グループIDおよび案件IDを取得する。
【0435】
判定部145Aは、会員グループデータベース128にアクセスし、取得したグループIDに対応して登録されている会員IDを特定する。判定部145Aは、会員データベース122にアクセスし、特定した会員IDに対応する企業IDを特定する。
【0436】
判定部145Aは、コミュニティデータベース123にアクセスし、特定した企業IDの企業が属しているコミュニティのコミュニティIDを特定する。判定部145Aは、募集案件データベース124Aにアクセスし、取得した案件IDに対応して登録されている企業ID(募集者の企業ID)、非開示企業ID、開示レベル、および募集形態を特定する。
【0437】
判定部145Aは、以上のとおりに特定した情報に基づいて、応募者装置300によって受け付けられた募集案件が、応募者の指定する会員グループによる応募の許容されている案件であるか否かを判定する。換言すると、判定部145Aは、会員グループによる応募を許可するか否かを判定する。
【0438】
たとえば、判定部145Aは、会員グループ内の会員の一人が、募集案件に対応する非開示企業IDリストに掲載されている企業に所属する場合、会員グループによる応募を許可しない。あるいは、判定部145Aは、募集案件の開示レベルが「コミュニティ内」であるにも関わらず、会員グループ内の会員の一人が、コミュニティ外の企業に所属する場合、会員グループによる応募を許可しない。
【0439】
判定部145Aは、判定結果を応募者装置300に返信する。図49には、判定部145Aによって会員グループによる応募が許可された場合の流れが示されている。判定部145Aによって会員グループによる応募が許可された場合、応募者装置300は、会員グループによる応募を受け付ける(ステップS8A)。たとえば、応募者装置300は、ステップS7Aで受け付けた応募が許容されることを示す画面と、応募をするか否かを確認する画面とをディスプレイ305に表示する。応募者は、マウスおよびキーボード等の操作部306を用いて、応募を選択する。
【0440】
応募者装置300は、会員グループによる応募を受け付けた場合(ステップS8A)、応募情報をシェアリングサーバ100へ送信する。シェアリングサーバ100の申請部146は応募情報を取得する。以降の処理の内容は、図11を用いて説明した内容と同様である。ただし、申請部146は、会員グループに所属する各会員の上司に対して、応募情報を送信する。このため、ステップS9の応募承認の処理は、会員グループに所属する各会員の上司毎に実行される。従って、承認部147は、部下の応募を承認することを示す承認情報、または部下の応募を却下することを示す否かを示す却下情報を複数名の上司から受信する。
【0441】
承認部147は、会員グループに所属する各会員の上司の全員から承認情報が得られた場合に限って、応募者の応募を受け付ける。応募者の応募を受け付けた承認部147は、募集者装置200に応募情報を送信する。既に、図11を用いて説明したとおり、募集者装置200は、応募内容をディスプレイ205に表示する(ステップS10)。募集者は、募集者装置200に採用または不採用の判断の結果を入力する。募集者装置200は、入力された結果を受け付け(ステップS11)、受け付けた採用または不採用の結果をシェアリングサーバ100の通知部148へ送信する。
【0442】
通知部148は、応募者の応募者装置300、および上司(管理者)の応募者装置300へ応募結果(採用または不採用の結果)送信する。ただし、通知部148は、会員グループに所属する各会員の上司へ応募結果を送信する。
【0443】
応募者の応募者装置300、および会員グループに所属する各会員の上司の応募者装置300は、応募結果をディスプレイ305に表示する(ステップS12、ステップS13)。応募者および会員グループに所属する各会員の上司は、ディスプレイ305の表示を見ることによって、応募結果を確認する。
【0444】
図50は、変形例2に関わる募集案件を募集案件データベース124Aに登録する手順を説明するための図である。図50には、図14と比較して、募集者装置200に入力される業務情報に募集形態が追加されている。
【0445】
変形例2においては、募集案件を登録する募集者は、募集案件の業務情報および開示情報を募集者装置200に入力する際、業務情報に募集案件の募集形態を含めることができる。募集形態は、グループおよび個人のいずれかである。シェアリングサーバ100の案件登録部144は、募集者が選択した募集形態を含めて募集案件を募集案件データベース124Aに登録する(ステップS1442)。案件登録部144は、募集者が募集形態を選択していない場合、募集形態が限定されないことを示す情報を募集案件データベース124Aに登録する。図50に示されるその他の内容は、既に説明した図14と同様であるため、ここでは、その説明を繰り返さない。
【0446】
以上、説明したように、変形例2によれば、複数名の会員がグループで募集案件に応募することができる。しかも、変形例2によれば、募集者の所属する企業およびコミュニティと、会員グループの各メンバーの所属する企業およびコミュニティとの関係に基づいて、会員グループの応募を認めるか否かが判定される。このため、応募者と競合関係にある組織に所属する会員を含む会員グループが、その応募者の募集案件を受注してしまうことを防止できる。
【0447】
以上のとおりに説明した会員グループ応募機能をマッチングシステム1に追加することにより、受注側が募集案件を閲覧し、会員グループで募集案件に応募をすることができるシステムを提供することができる。これにより、マッチングシステム1は、チームで取り組むことが望ましいような大規模な業務の受発注を取り扱うことが可能となる。
【0448】
以上に説明した本実施の形態は、業務情報提供システムの一例であるマッチングシステムに関して、以下に列挙される構成を備えている。
【0449】
(a)マッチングシステムにおいて、募集者装置は、受注者を募集する業務情報および業務情報の開示範囲を示す開示情報をコンピュート装置へ送信し、コンピュート装置は、業務情報を開示情報とともにデータベースに登録し、コンピュート装置は、データベースに登録されている業務情報のうち、第1応募者への開示が許容されている業務情報を開示情報に基づいて判定し、第1応募者への開示が許容されている業務情報を第1応募者装置へ提供する。
【0450】
(b)マッチングシステムにおいて、第1応募者と異なる第2応募者によって操作される第2応募者装置をさらに備え、コンピュート装置は、データベースに登録されている業務情報のうち、第2応募者への開示が許容されている業務情報を開示情報に基づいて判定し、第2応募者への開示が許容されている業務情報を第2応募者装置へ提供する。
【0451】
(c)マッチングシステムにおいて、マッチングシステムは、第1応募者および第2応募者と異なる第3応募者によって操作される第3応募者装置をさらに備え、開示情報には複数の開示レベルが設定され、コンピュート装置は、開示レベルに応じて、第1応募者~第3応募者別に開示を許容するか否かを判定する。
【0452】
(d)マッチングシステムにおいて、第1応募者は第1グループに所属し、第2応募者は第1グループと異なる第2グループに所属し、複数の開示レベルは、第1レベルおよび第2レベルを含み、第1レベルは、第1応募者への業務情報の開示を許容し、第1グループに属さない応募者への業務情報の開示を禁止することに対応し、第2レベルは、第1グループおよび第1グループとコミュニティ関係が形成されたコミュニティグループのいずれかに所属する応募者への業務情報の開示を許容し、第1グループおよびコミュニティグループのいずれにも属さない応募者への業務情報の開示を禁止することに対応する。
【0453】
(e)マッチングシステムにおいて、第1応募者は第1グループに所属し、第2応募者は第1グループと異なる第2グループに所属し、複数の開示レベルは、第1レベル、第2レベル、および第3レベルを含み、第1レベルは、第1応募者への業務情報の開示を許容し、第1グループに属さない応募者への業務情報の開示を禁止することに対応し、第2レベルは、第1グループおよび第1グループとコミュニティ関係が形成されたコミュニティグループのいずれかに所属する応募者への業務情報の開示を許容し、第3レベルは、第1グループ、および第1グループとコミュニティ関係が形成された第2レベルのコミュニティグループとは異なる特定コミュニティグループに所属する応募者への業務情報の開示を許容し、第1グループおよび特定コミュニティグループのいずれにも属さない応募者への業務情報の開示を禁止することに対応する。
【0454】
(f)マッチングシステムにおいて、複数の開示レベルは、応募者が属するグループに関わらず、応募者への業務情報の開示を許容することに対応する開示レベルを含む。
【0455】
(g)マッチングシステムにおいて、データベースには、コミュニティグループを特定可能な属性データが登録されており、コンピュート装置は、開示情報と属性データとに基づいて、業務情報の開示が許容されている応募者を特定する。
【0456】
(h)マッチングシステムにおいて、募集者装置は、業務情報の開示を禁止する対象グループを入力する操作を受け付け、受け付けた対象グループを特定可能な情報をコンピュート装置へ送信し、コンピュート装置は、開示レベルが対象グループへの業務情報の開示を許容するレベルであっても、対象グループに所属する応募者への業務情報の開示を禁止する。
【0457】
(i)マッチングシステムにおいて、第1応募者は第1企業に所属し、第2応募者は第1企業と異なる第2企業に所属する。
【0458】
(j)マッチングシステムにおいて、コンピュート装置は、データベースに登録されている複数の登録者の情報を検索する要求を募集者装置から受け付け、受け付けた要求に基づく検索結果を募集者装置へ提供し、募集者装置は、募集者が検索結果の中から応募者として応募することが推奨される応募推奨者を選択する操作を受け付け、選択された応募推奨者の識別情報をコンピュート装置へ送信し、コンピュート装置は、選択された応募推奨者の応募者装置へ応募を促す情報を送信する。
【0459】
(k)マッチングシステムにおいて、コンピュート装置は、複数の登録者の各々の複数のプロフィール情報をデータベースに登録し、コンピュート装置は、複数の登録者の各々から、複数のプロフィール情報のうち、検索結果として公開する範囲を設定するための入力を受け付ける。
【0460】
(l)マッチングシステムにおいて、募集者装置は、受注者を募集する業務が、複数の応募者が共同で応募した場合に受注可能とされるグループ業務であるか、単独の応募者の応募に対して受注可能とされる業務であるかを特定可能な募集形態情報をコンピュート装置へ送信し、コンピュート装置は、募集形態情報を業務情報に対応付けてデータベースに登録する。
【0461】
(m)マッチングシステムにおいて、コンピュート装置は、複数の応募者によって構成される応募グループをデータベースに登録し、コンピュート装置は、応募グループに所属するすべての応募者への開示が許容されている業務情報に関して、応募グループによる応募を受け付けることが可能である。
【0462】
[態様]
以下、本開示の態様を列挙する。
【0463】
(第1項)第1項に記載の業務情報提供システムは、募集業務に応募する応募者に募集業務の業務情報を提供する業務情報提供システムであって、応募者によって操作される応募者装置と、応募者装置と通信し、業務情報が募集案件毎に登録されたデータベースにアクセス可能なコンピュート装置とを備え、コンピュート装置は、複数の募集案件の各々に含まれる業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を応募者装置へ表示する。
【0464】
(第2項)第2項に記載の業務情報提供システムは、第1項に記載の業務情報提供システムにおいて、データベースには、応募者が保有する能力を特定可能な能力情報が登録されており、コンピュート装置は、能力情報に基づいて応募者が保有する能力を特定し、応募者が保有する能力に対する労働市場の評価を示す評価情報を応募者装置へ表示する。
【0465】
(第3項)第3項に記載の業務情報提供システムは、第1項または第2項に記載の業務情報提供システムにおいて、コンピュート装置は、推定結果と、応募者が保有している能力とに基づいて、応募者が習得すべき新たな能力を示す情報を応募者装置へ表示する。
【0466】
(第4項)第4項に記載の業務情報提供システムは、第3項に記載の業務情報提供システムにおいて、コンピュート装置は、新たな能力の習得に役立つ情報を応募者装置へ表示する。
【0467】
(第5項)第5項に記載の業務情報提供システムは、第1項~第4項のいずれか1項に記載の業務情報提供システムにおいて、業務情報は、応募者に要求される能力に関する能力情報、および報酬に関する報酬情報を含み、コンピュート装置は、能力情報および報酬情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を推定する。
【0468】
(第6項)第6項に記載の業務情報提供システムは、第2項に記載の業務情報提供システムにおいて、能力情報は、応募者のスキルおよびスキルを用いた業務の経験期間を含む。
【0469】
(第7項)第7項に記載の業務情報提供システムは、第1項~第6項のいずれか1項に記載の業務情報提供システムにおいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価は、業務に関する能力に対して労働市場が与える価値、および業務に関する能力が必要とされている労働市場の規模のいずれか一方を含む。
【0470】
(第8項)第8項に記載の業務情報提供システムは、第1項~第7項のいずれか1項に記載の業務情報提供システムにおいて、業務情報提供システムは、業務の受注者を募集する募集者と応募者とをマッチングする機能を備え、コンピュート装置は、業務情報および業務情報の開示範囲を示す開示情報をデータベースに登録し、コンピュート装置は、データベースに登録されている業務情報のうち、応募者への開示が許容されている業務情報を開示情報に基づいて判定し、応募者への開示が許容されている業務情報を応募者装置へ表示する。
【0471】
(第9項)第9項に記載のコンピュート装置は、募集業務に応募する応募者に募集業務の業務情報を提供するコンピュート装置であって、応募者によって操作される応募者装置と通信する通信インターフェイスと、業務情報が登録されたデータベースにアクセスするプロセッサとを備え、プロセッサは、複数の募集案件の各々に含まれる業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を応募者装置へ表示する。
【0472】
(第10項)第10項に記載の方法は、募集業務に応募する応募者に募集業務の業務情報を提供する方法であって、応募者によって操作される応募者装置と通信するステップと、業務情報が登録されたデータベースにアクセスするステップと、複数の募集案件の各々に含まれる業務情報に基づいて、業務に関する能力に対する労働市場の評価を業務に関する能力の種類別に推定し、推定結果を応募者装置へ表示するステップとを含む。
【0473】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0474】
1 マッチングシステム、50 インターネット、100 シェアリングサーバ、101 プロセッサ、102 メモリ、103 ストレージ、104 通信インターフェイス、120 データベース(DB)、121 企業データベース(企業DB)、122,122A 会員データベース(会員DB)、123 コミュニティデータベース(コミュニティDB)、124,124A 募集案件データベース(募集案件DB)、125 副業データベース(副業DB)、126 評価入力データベース(評価入力DB)、126A 募集者評価部、126B 応募者評価部、127 評価サマリデータベース(評価サマリDB)、127A 募集者評価サマリ部、127B 応募者評価サマリ部、128 会員グループデータベース(会員グループDB)、129 プロファイルデータベース(プロファイルDB)、134 能力データベース(能力DB)、1271,1272 データ群、140 コミュニティ登録部、141 企業登録部、142 会員登録部、143 会員検索部、144 案件登録部、145 案件抽出部、146 申請部、147 承認部、148 通知部、149 実績受付部、150 実績出力部、151 評価受付部、152 評価出力部、161 逆オファー依頼部、162 逆オファー承認依頼部、163 逆オファー依頼受託通知部、200,200A,200B,200C 募集者装置、201 プロセッサ、202 メモリ、203 通信インターフェイス、204 入出力インターフェイス、205 ディスプレイ、206 操作部、206A キーボード、206B マウス、207 画面、300,300A,300B,300C 応募者装置、301 プロセッサ、302 メモリ、303 通信インターフェイス、304 入出力インターフェイス、305 ディスプレイ、306 操作部、306A キーボード、306B マウス、307A~307C タブ、401,402 表、500 ユーザ装置、551 星印、552,553 矢印。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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