(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103995
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20240726BHJP
B41J 11/44 20060101ALI20240726BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B65H7/14
B41J11/44
G03G21/00 370
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007979
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】田島 悟
【テーマコード(参考)】
2C058
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C058AB06
2C058AC08
2C058AD06
2C058AE04
2C058AE14
2C058AF06
2C058AF51
2H270LC10
2H270LD03
2H270LD09
2H270MC55
2H270MD12
2H270MD15
2H270RA15
2H270RC10
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA05
3F048BB04
3F048BB09
3F048DA06
3F048DB16
3F048DB19
3F048DC13
3F048EB22
(57)【要約】
【課題】より正確にキャリブレーションを行うことができるようにする。
【解決手段】媒体搬送部は、少なくともラベル間のギャップ部分が媒体検出センサのセンサ検出位置を通り過ぎるようにラベル媒体を所定量搬送し、前記媒体検出センサは、前記ラベル媒体が前記所定量搬送される際に、所定の発光量で発光部を発光させながら受光部の受光量を読み取っていき、前記媒体搬送部は、前記ラベル媒体を前記所定量搬送した後、前記ラベル媒体における前記受光部の受光量が最大となる箇所が前記媒体検出センサの前記センサ検出位置にくるように前記ラベル媒体を逆搬送して停止させ、センサ制御部は、前記ラベル媒体が逆搬送して停止させられた後、前記発光部の発光量を調整する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙上に搬送方向に一定の間隔を開けてラベルが設けられたラベル媒体を搬送する媒体搬送装置であって、
前記ラベル媒体を媒体搬送路に沿って搬送する媒体搬送部と、
発光部及び受光部を有し、前記ラベル媒体を検出する光学式の媒体検出センサと、
前記発光部の発光量を調整するセンサ制御部と
を備え、
前記媒体搬送部は、
少なくともラベル間のギャップ部分が前記媒体検出センサのセンサ検出位置を通り過ぎるように前記ラベル媒体を所定量搬送し、
前記媒体検出センサは、
前記ラベル媒体が前記所定量搬送される際に、所定の発光量で前記発光部を発光させながら前記受光部の受光量を読み取っていき、
前記媒体搬送部は、
前記ラベル媒体を前記所定量搬送した後、前記ラベル媒体における前記受光部の受光量が最大となる箇所が前記媒体検出センサの前記センサ検出位置にくるように前記ラベル媒体を逆搬送して停止させ、
前記センサ制御部は、
前記ラベル媒体が逆搬送して停止させられた後、前記発光部の発光量を調整する
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記媒体検出センサは、
前記発光部と前記受光部とが前記媒体搬送路を挟んで対向配置された透過型である
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記媒体搬送部は、
少なくともラベル間のギャップ部分が前記センサ検出位置を通り過ぎるように、前記センサ検出位置に前記ラベル媒体の第1のラベルが位置する第1の位置から、前記センサ検出位置に前記第1のラベルの次のラベルである第2のラベルが位置する第2の位置まで前記ラベル媒体を搬送する
ことを特徴とする請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記媒体搬送部は、
前記ラベル媒体を前記第2の位置まで搬送するときの搬送方向である正搬送方向、及び当該正搬送方向の逆方向である逆搬送方向に搬送可能で前記センサ検出位置よりも前記正搬送方向の下流側に位置する第1の搬送ローラと、当該第1の搬送ローラよりも前記正搬送方向の下流側に位置し、前記ラベル媒体を前記正搬送方向にのみ搬送可能な第2の搬送ローラと有し、
さらに前記ラベル媒体を前記第2の位置まで搬送する際に、前記第2の搬送ローラを停止させることで、前記第1の搬送ローラと前記第2の搬送ローラとの間にたるみが形成されるように前記ラベル媒体をたるませるたるみ制御部を有し、
前記媒体搬送部は、
前記ラベル媒体を前記第2の位置まで搬送した後、前記第2の搬送ローラを停止させたまま前記第1の搬送ローラを逆回転させることにより、前記ラベル媒体のたるみを利用して、前記ラベル媒体における前記受光部の受光量が最大となる箇所が前記センサ検出位置にくる第3の位置まで前記ラベル媒体を逆搬送する
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記たるみ制御部は、
少なくとも前記第2の位置から前記第3の位置まで前記ラベル媒体を逆搬送するのに必要な分のたるみが形成されるように前記ラベル媒体をたるませる
ことを特徴とする請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記たるみ制御部は、
前記ラベル媒体を前記第2の位置まで搬送すると前記ラベル媒体の先端が前記第2の搬送ローラに到達する場合にのみ、前記第2の搬送ローラを停止させて前記ラベル媒体をたるませる
ことを特徴とする請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記たるみ制御部は、
前記たるみの形成量が、前記第2の位置から前記第3の位置までの逆搬送量よりも大きい場合、前記発光部の発光量が調整された後、前記第3の位置からさらに前記たるみの形成量と前記逆搬送量の差分だけ前記ラベル媒体を逆搬送させる
ことを特徴とする請求項5に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の媒体搬送装置を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び当該媒体搬送装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体に画像を形成する画像形成装置として、例えば台紙上に一定のピッチでラベルが貼付されたダイカットラベル紙に画像を形成可能なものがある。この種の画像形成装置では、例えば発光部と受光部を有する光学センサを用いて台紙上のラベルの位置などを検出するようになっている。またこの種の画像形成装置では、ラベル紙に印刷を行う前に、光学センサのキャリブレーションを行うことで、ラベルの位置などを精度良く検出するようになっている(例えば特許文献1参照)。尚、ここでいうキャリブレーションとは、発光部の発光量を調整したり、受光量に対する閾値を設定したりする処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置では、ラベル紙の状態(例えばラベル部分の色ムラなど)によってキャリブレーションを正確に行うことができない場合があるという問題を有していた。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、より正確にキャリブレーションを行うことができる媒体搬送装置及び画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の媒体搬送装置は、台紙上に搬送方向に一定の間隔を開けてラベルが設けられたラベル媒体を搬送する媒体搬送装置であって、前記ラベル媒体を媒体搬送路に沿って搬送する媒体搬送部と、発光部及び受光部を有し、前記ラベル媒体を検出する光学式の媒体検出センサと、前記発光部の発光量を調整するセンサ制御部とを備え、前記媒体搬送部は、少なくともラベル間のギャップ部分が前記媒体検出センサのセンサ検出位置を通り過ぎるように前記ラベル媒体を所定量搬送し、前記媒体検出センサは、前記ラベル媒体が前記所定量搬送される際に、所定の発光量で前記発光部を発光させながら前記受光部の受光量を読み取っていき、前記媒体搬送部は、前記ラベル媒体を前記所定量搬送した後、前記ラベル媒体における前記受光部の受光量が最大となる箇所が前記媒体検出センサの前記センサ検出位置にくるように前記ラベル媒体を逆搬送して停止させ、前記センサ制御部は、前記ラベル媒体が逆搬送して停止させられた後、前記発光部の発光量を調整する。
【0007】
また本発明の画像形成装置は、上述した媒体搬送装置を有する。
【0008】
このように、少なくともラベル間のギャップ部分が媒体検出センサのセンサ検出位置を通り過ぎるようにラベル媒体を所定量だけ搬送する際に、所定の発光量で前記発光部を発光させながら前記受光部の受光量を読み取っていき、前記ラベル媒体における前記受光部の受光量が最も大きかった箇所が媒体検出センサのセンサ検出位置にくるようにラベル媒体を逆搬送して停止させることにより、ラベル媒体の状態(例えばラベル部分の色ムラなど)によらず、媒体検出センサのセンサ検出位置に、正確にラベル間のギャップ部分を位置させることができる。そして当該ギャップ部分で発光部の発光量を調整することにより、適切に発光量を調整することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より正確にキャリブレーションを行うことができる媒体搬送装置及び画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】画像形成装置の基本的な構成(印刷機構)を示す図である。
【
図2】カッターIn透過センサ及びダイカットラベル紙の構成を示す図である。
【
図3】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】ムラがないダイカットラベル紙と、当該ダイカットラベル紙から得られるセンサ読み値を示す図である。
【
図5】ムラがあるダイカットラベル紙と、当該ダイカットラベル紙から得られるセンサ読み値を示す図である。
【
図6】透過センサキャリブレーションを行う際の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図6に示すフローチャートにつづくフローチャートである。
【
図8】
図7に示すフローチャートにつづくフローチャートである。
【
図9】透過センサキャリブレーションを行う際のダイカットラベル紙の搬送位置及び当該ダイカットラベル紙から得られるセンサ読み値を示す図である。
【
図10】画像形成装置の内部でダイカットラベル紙をたわませる様子を示す図である。
【
図11】たるみ形成判定の詳細な動作を示すフローチャートである。
【
図12】たるみ形成処理の詳細な動作を示すフローチャートである。
【
図13】たるみ除去処理の詳細な動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[1.画像形成装置の基本構成]
図1に、本実施の形態における画像形成装置1の基本的な構成(印刷機構の構成)を示す。この
図1に例示する画像形成装置1は、中間転写方式のカラープリンタである。尚、ここでは、画像形成装置1の図中右側を画像形成装置1の前側、図中左側を画像形成装置1の後側、図中手前側を画像形成装置1の左側、図中奥側を画像形成装置1の右側、図中上側及び下側を、それぞれ画像形成装置1の上側及び下側とする。
【0013】
画像形成装置1は、印刷ユニット100と、印刷ユニット100の前側に取り付けられたフィーダーユニット200とで構成されている。この画像形成装置1は、フィーダーユニット200により用紙であるロール紙201を上位装置から指示された用紙長で切断して印刷ユニット100へと供給し、印刷ユニット100によりフィーダーユニット200から供給されたロール紙201に画像を形成する(つまり印刷する)構成となっている。
【0014】
フィーダーユニット200は、前端部分に、ロール紙201を収容するロール紙フォルダ202が設けられている。さらにフィーダーユニット200は、ロール紙フォルダ202の後方に、ロール紙フォルダ202から引き出されたロール紙201の張りを一定に保つ為のテンションバー203が設けられている。テンションバー203は、ロール紙201の張りが一定となるように、ロール紙201を上から押さえつけるようにして遊動する構成となっている。
【0015】
さらにフィーダーユニット200には、テンションバー203から印刷ユニット100へと続く用紙搬送路R1が設けられている。フィーダーユニット200では、この用紙搬送路R1に沿ってロール紙201を搬送するようになっている。尚、用紙搬送路R1のロール紙フォルダ202側である上流側から印刷ユニット100側である下流側へと向かう方向を正搬送方向と呼び、当該正搬送方向とは逆方向を逆搬送方向と呼び、これら正搬送方向と逆搬送方向をまとめて搬送方向と呼ぶ。フィーダーユニット200には、この用紙搬送路R1に沿って、上流側(つまりロール紙フォルダ202側)から順に、ペーパーエンドセンサ204、搬送ローラ206、カッターIn透過センサ207、カッターIn反射センサ208、カッターユニット220、カッターOutたるみセンサ209、カッターOutセンサ210が設けられている。
【0016】
ペーパーエンドセンサ204は、用紙搬送路R1上のロール紙201の有無を検出する。搬送ローラ206は、ロール紙201を搬送する。カッターIn透過センサ207は、ロール紙201としてダイカットラベル紙を用いた場合にラベルエッジ(ラベルにおける搬送方向の端)を検出する。尚、ダイカットラベル紙とは、台紙上に一定のピッチでラベルが貼付された用紙(媒体)である。
【0017】
カッターIn反射センサ208は、ロール紙201としてブラックマーク付き用紙を用いた場合にブラックマークエッジ(ブラックマークにおける正搬送方向の先端)を検出する。尚、ブラックマーク付き用紙とは、用紙上に一定のピッチで目印となるブラックマークが付された用紙(媒体)である。
【0018】
カッターユニット220は、ロール紙201を搬送しながらカット(切断)するユニットである。このカッターユニット220は、用紙搬送路R1を挟んで上下方向に対向配置された固定刃221及び回転刃222と、これら固定刃221及び回転刃222よりも下流側(つまり後方)に設けられたカッター搬送ローラ223とを有している。つまりカッターユニット220は、カッター搬送ローラ223によりロール紙201を搬送しながら固定刃221及び回転刃222により当該ロール紙201をカットする。
【0019】
カッターOutたるみセンサ209は、搬送されてくるロール紙201(つまりカッターユニット220から送出されるロール紙201)のたるみを検出する。カッターOutセンサ210は、用紙搬送路R1上のロール紙201の有無を検出する。
【0020】
尚、搬送ローラ206とカッター搬送ローラ223は、フィーダーユニット200に設けられたフィーダー搬送モータ211により駆動され、当該フィーダー搬送モータ211の回転方向に応じて正逆回転可能となっている。つまりフィーダーユニット200では、フィーダー搬送モータ211を正回転させて搬送ローラ206とカッター搬送ローラ223を正回転させることにより、ロール紙201を正搬送方向に搬送し、フィーダー搬送モータ211を逆回転させて搬送ローラ206とカッター搬送ローラ223を逆回転させることにより、ロール紙201を逆搬送方向に搬送することができるようになっている。
【0021】
一方、印刷ユニット100には、フィーダーユニット200側となる前面から後面へと延びる用紙搬送路R2が設けられている。この用紙搬送路R2は、上流側(つまりフィーダーユニット200側)の端部が、フィーダーユニット200の用紙搬送路R1と繋がっている。
【0022】
印刷ユニット100では、フィーダーユニット200から供給されるロール紙201を、この用紙搬送路R2に沿って搬送するようになっている。印刷ユニット100には、この用紙搬送路R2に沿って、上流側(つまりフィーダーユニット200側)から順に、第1搬送ローラ101、第1Inセンサ102、第2搬送ローラ103、第2Inセンサ104、Inレバーセンサ105、第3搬送ローラ106、In透過センサ107、In反射センサ108、二次転写ローラ109、定着前たるみセンサ110、定着ユニット111、定着EXITセンサ112、排出ローラ113、EXITセンサ114が設けられている。
【0023】
第1搬送ローラ101、第2搬送ローラ103、第3搬送ローラ106、排出ローラ113は、それぞれ用紙搬送路R2に沿ってロール紙201を搬送する。第1Inセンサ102、第2Inセンサ104、Inレバーセンサ105、定着EXITセンサ112、EXITセンサ114は、それぞれ用紙搬送路R2上のロール紙201の有無を検出する。
【0024】
In透過センサ107は、ロール紙201としてダイカットラベル媒体を用いた場合にラベルエッジを検出する。In反射センサ108は、ロール紙201としてブラックマーク付き用紙を用いた場合にブラックマークエッジを検出する。
【0025】
二次転写ローラ109は、用紙搬送路R2の下側に設けられていて、用紙搬送路R2を挟んで上側に設けられたバックアップローラ115と対向配置されている。これら二次転写ローラ109とバックアップローラ115との間には、中間転写ベルト116が挟み込まれている。
【0026】
中間転写ベルト116は、全体として、二次転写ローラ109とバックアップローラ115との間に挟み込まれている部分が下端となるように略逆三角形状に張架されていて、図中時計回り方向に走行可能となっている。この中間転写ベルト116は、上端部が前後方向に延びる平坦部となっていて、この平坦部の上側に画像形成部120が配置されている。
【0027】
画像形成部120は、中間転写ベルト116の平坦部に沿って前後方向に並べて配置された複数(例えば5個)のトナードラム121(121A~121E)を有している。また画像形成部120は、トナードラム121ごとに、露光手段としてのLEDヘッド122を有していて、LEDヘッド122により各トナードラム121の表面を露光することで当該表面に静電潜像を形成する。さらに画像形成部120は、各トナードラム121の表面に形成された静電潜像に、各色のトナーを付着させて現像することにより、各トナードラム121の表面に各色のトナー像を形成する。さらに画像形成部120は、中間転写ベルト116を挟んで各トナードラム121と対向配置された各転写ローラ123により、各トナードラム121の表面に形成された各色のトナー像を、中間転写ベルト116に転写する。中間転写ベルト116に転写されたカラーのトナー像は、中間転写ベルト116によって二次転写ローラ109へと搬送される。
【0028】
印刷ユニット100では、中間転写ベルト116に転写されたトナー像が二次転写ローラ109へと到達するタイミングに合わせて、ロール紙201のラベルエッジ又はブラックマークエッジが二次転写ローラ109へと到達するように、ロール紙201を搬送する。そして印刷ユニット100では、二次転写ローラ109により、中間転写ベルト116に転写されたトナー像をロール紙201に転写する。これにより、ロール紙201にトナー像に基づく画像が印刷されたことになる。
【0029】
定着前たるみセンサ110は、搬送されてくるロール紙201(つまりトナー像が転写されたロール紙201)のたるみを検出する。
【0030】
定着ユニット111は、トナー像が転写されたロール紙201を搬送しながら加熱及び加圧することにより、当該ロール紙201にトナー像(つまり印刷画像)を定着させる。定着ユニット111から送り出されたロール紙201(つまり印刷画像が定着したロール紙201)は、排出ローラ113により用紙搬送路R2に沿って搬送され、印刷ユニット100の後面から排出される。尚、印刷ユニット100では、用紙搬送路R2に設けられた各ローラを各モータにより駆動することで、ロール紙201を正搬送方向にのみ搬送することができるようになっている。例えば、第1搬送ローラ101、第2搬送ローラ103、第3搬送ローラ106、排出ローラ113は、印刷ユニット100に設けられた搬送モータ117により駆動される。画像形成装置1の基本的な構成は、以上のようになっている。
【0031】
ここで、
図2を用いて、フィーダーユニット200に設けられたカッターIn透過センサ207の構成についてさらに詳しく説明する。
図2は、カッターIn透過センサ207と、当該カッターIn透過センサ207を通過するロール紙201とを側面から見た拡大図である。この
図2に示すロール紙201は、ダイカットラベル紙である。ダイカットラベル紙であるロール紙201は、台紙300上に、ラベル301が搬送方向に一定の間隔(これをギャップと呼ぶ)302を空けて貼付されていて、ラベル301の搬送方向の長さ(ラベル長)にギャップ302の搬送方向の長さ(ギャップ長)を足した長さがピッチとなっている。
【0032】
この
図2に示すように、カッターIn透過センサ207は、用紙搬送路R1を挟んで下側に配置された発光部207Aと、上側に配置された受光部207Bとで構成され、発光部207Aからの光を受光部207Bで受け取るようになっている。
【0033】
ロール紙201は、発光部207Aと受光部207Bとの間を通過するようになっていて、このとき発光部207Aからの光は、ロール紙201を透過して受光部207Bに届くようになっている。
【0034】
発光部207Aは、円形状のスポット207Asから上方に光を発するようになっていて、ロール紙201が搬送されてくると、受光部207B側から見て、このスポット207Asが徐々にロール紙201により覆われていくことにより、受光部207Bの受光量が減っていく。
【0035】
また受光部207Bでは、発光部207Aのスポット207As上に、ロール紙201の台紙300のみの部分(台紙部分と呼ぶ)が位置する場合よりも、台紙300上にラベル301が貼付された部分(ラベル部分と呼ぶ)が位置する場合の方が透過率が低くなる為に、受光量が小さくなる。
【0036】
画像形成装置1では、このような受光部207Bの受光量の差に基づいて、ラベル301のラベルエッジを検出するようになっている。尚、スポット207Asの直径は、ギャップ長よりも十分に短い長さとなっている。
【0037】
[2.画像形成装置の機能構成]
次に、上述した画像形成装置1の機能構成について
図3を用いて説明する。画像形成装置1は、主制御部400と、パネル制御部401と、用紙管理部402と、センサ制御部403と、画像形成制御部404と、定着制御部405とを有している。
【0038】
主制御部400は、上位装置から送られてくる印刷指示(印刷ジョブ)を受け取り、受け取った印刷指示に基づいて、用紙管理部402、センサ制御部403、画像形成制御部404、及び定着制御部405に動作指示を出す。尚、印刷指示には、例えば、印刷画像となる印刷データと印刷設定が含まれ、さらに印刷設定には、例えば使用する用紙の種類(例えばダイカットラベル紙やブラックマーク付き用紙など)やサイズなどが指定されている。
【0039】
パネル制御部401は、画像形成装置1に設けられた図示しないタッチパネルに対するタッチ操作の受け付け及び各種画面の表示を行う。用紙管理部402は、ロール紙201の搬送を管理する部分であり、用紙位置管理部402Aと、用紙搬送制御部402Bと、カット制御部402Cと、たるみ制御部402Dとを有している。
【0040】
用紙位置管理部402Aは、ロール紙201の位置を管理する。用紙搬送制御部402Bは、各ローラによるロール紙201の搬送を制御する。カット制御部402Cは、カッターユニット220によるロール紙201のカットを制御する。たるみ制御部402Dは、ロール紙201のたるみを制御する。尚、詳しくは後述するが、画像形成装置1では、フィーダーユニット200の用紙搬送路R1上でロール紙201をたるませることができるようになっていて、このときのたるみ量をたるみ制御部402Dにより制御するようになっている。
【0041】
センサ制御部403は、各センサを制御する部分であり、カッターIn透過センサ制御部403Aと、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bとを有している。カッターIn透過センサ制御部403Aは、カッターIn透過センサ207の動作を制御する。カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、カッターIn透過センサ207のキャリブレーション(透過センサキャリブレーションと呼ぶ)を行う。尚、透過センサキャリブレーションについて詳しくは後述するが、この透過センサキャリブレーションは、例えばロール紙201を交換するごとに実行される。また例えばロール紙201を交換した後、一定期間ごとに実行されるようになっていたりしてもよい。
【0042】
画像形成制御部404は、画像形成部120の動作を制御する。定着制御部405は、定着ユニット111の動作を制御する。画像形成装置1の機能構成は、以上のようになっている。尚、上述した画像形成装置1の基本的な構成及び機能構成のうち、ロール紙201の搬送に係る部分(搬送ローラ206、カッター搬送ローラ223、フィーダー搬送モータ211、第1搬送ローラ101、搬送モータ117、主制御部400、パネル制御部401、用紙管理部402、センサ制御部403など)を用紙搬送装置(媒体搬送装置)とすると、画像形成装置1は、当該用紙搬送装置を備えていると言える。
【0043】
[3.画像形成装置の動作]
次に、上述した画像形成装置1の動作について説明する。ここでは画像形成装置1の動作として、透過センサキャリブレーションを行う際の動作について説明する。ここでこの説明に入る前に、透過センサキャリブレーションについて説明する。尚、ここでは、画像形成装置1がロール紙201としてダイカットラベル紙を使用する場合の透過センサキャリブレーションについて説明する。この為、以降、ロール紙201のことをダイカットラベル紙201とも呼ぶ。
【0044】
画像形成装置1のように、ダイカットラベル紙201に印刷を行う装置では、ダイカットラベル紙201の交換を行った際に、ラベルエッジを正しく検出できるように、交換後のダイカットラベル紙201を使用して透過センサの調整を行うのが一般的であり、この調整のことを透過センサキャリブレーションと呼んでいる。
【0045】
例えば、カッターIn透過センサ207の透過センサキャリブレーションでは、印刷時に発光部207Aをどの程度発光させるのかを決定する発光量調整を行うようになっている。この発光量調整は、例えば、
図2に示すカッターIn透過センサ207のセンサ検出位置(具体的にはスポット207Asの中心位置)P0にダイカットラベル紙201の台紙部分(台紙300のみの部分)が位置するようにして行うようになっている。具体的には、カッターIn透過センサ207のスポット207As全体が台紙部分の内側に位置するようにして発光量調整を行うようになっている。以降、カッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0にダイカットラベル紙201の台紙部分が位置すると言う場合、スポット207As全体が台紙部分の内側に位置することを意味する。
【0046】
ここで、カッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0に台紙部分が位置するようにして(つまりスポット207As全体が台紙部分の内側に位置するようにして)発光量調整を行う理由について簡単に説明する。例えば、センサ検出位置P0にダイカットラベル紙201の台紙部分(すなわち透過率が高い部分)ではなくラベル部分(すなわち台紙300上にラベル301が貼付された部分であり透過率が低い部分)が位置するようにして発光量調整を行うと、受光部207Bで受け取れる受光量の最大値に対して発光量が大きくなり過ぎてしまう場合がある。このように、受光部207Bで受け取ることのできる受光量の最大値に対して発光量が大きくなり過ぎると、センサ検出位置P0に透過率が高い台紙部分が位置する際に、受光部207Bに届く光量が受光部207Bで受け取ることのできる受光量の最大値を超えて飽和状態となってしまう。
【0047】
このように受光部207Bが飽和状態になってしまうと、センサ検出位置P0に台紙部分が位置する場合とラベル部分が位置する場合とで受光量の差が小さくなり、この差の範囲で台紙部分とラベル部分との境界であるラベルエッジを検出することになる為、ラベルエッジの検出精度が低下してしまう。つまりこの場合、正しく発光量調整を行うことができない。
【0048】
これに対して、センサ検出位置P0に台紙部分が位置するようにして発光量調整を行えば、受光部207Bが飽和状態になることを回避して、センサ検出位置P0に台紙部分が位置する場合とラベル部分が位置する場合とで受光量の差が大きくなり、ラベルエッジを精度よく検出できる。つまりこの場合、正しく発光量調整を行うことができる。このような理由から、発光量調整は、カッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0に台紙部分が位置するようにして行うことが望ましい。
【0049】
尚、
図2に示すように、ダイカットラベル紙201は、先端部分とギャップ302の部分が台紙部分(つまり台紙300のみの部分)となっているが、先端部分については、カットされる箇所の為、搬送方向の長さが一定になり難く、ギャップ302の部分と比べて非常に短くなってしまう場合がある。この為、カッターIn透過センサ207の発光量調整は、センサ検出位置P0に、ダイカットラベル紙201の先端部分ではなくギャップ302の部分が位置するようにして行うことが望ましい。この為、本実施の形態の画像形成装置1では、カッターIn透過センサ207の発光量調整を、センサ検出位置P0に、ダイカットラベル紙201のギャップ302の部分が位置するようにして(つまりスポット207As全体がギャップ302の内側に位置するようにして)行うようになっている。
【0050】
つづけて、このように発光量調整を行う場合の従来の問題点について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4(A)は、ムラがなく正常なダイカットラベル紙201であり、一方、
図5(A)は、ラベル301の裏面側にムラがあるダイカットラベル紙201である。具体的には、ラベル301の裏面側には粘着剤が設けられていて、
図5(A)は、この粘着剤に色ムラUcがあるダイカットラベル紙201である。
【0051】
図4(B)は、
図4(A)に示すダイカットラベル紙201を正搬送方向(図中左方向)に搬送しながら、カッターIn透過センサ207の発光部207Aから一定の発光量で発光した際の受光部207Bで受光した受光量の変化を示すグラフである。このグラフは、縦軸が、受光部207Bで受光した受光量を示すセンサ読み値であり、横軸が搬送距離となっている。一方、
図5(B)は、
図5(A)に示すダイカットラベル紙201を正搬送方向(図中左方向)に搬送しながら、カッターIn透過センサ207の発光部207Aから一定の発光量で発光した際の受光部207Bで受光した受光量の変化を示すグラフである。このグラフも、
図4(B)のグラフと同様、縦軸が受光部207Bで受光した受光量を示すセンサ読み値であり、横軸が搬送距離となっている。
【0052】
図4(A)に示すダイカットラベル紙201のようにムラがない場合、台紙部分で透過率がほぼ一定となり、同様にラベル部分でも透過率がほぼ一定となる。この為、
図4(B)に示すように、受光量を示すセンサ読み値は、台紙部分とラベル部分とでそれぞれほぼ一定となり、且つ透過率が高い台紙部分の方がラベル部分よりも大きくなる。
【0053】
画像形成装置1では、このセンサ読み値に対して、台紙部分のセンサ読み値とラベル部分のセンサ読み値との差の例えば中間値がラベル/ギャップ検出閾値Thに設定されていて、センサ読み値がこのラベル/ギャップ検出閾値Thを超えている場合に、カッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0にギャップ302が位置していると検出するようになっている。
【0054】
具体的には、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、センサ読み値がラベル/ギャップ検出閾値Thを超えた時点で、センサ検出位置P0にギャップ302の先端が位置していると判定する。その後、ダイカットラベル紙201は、用紙搬送制御部402Bにより、カッターIn透過センサ207のスポット207As(
図2参照)全体がダイカットラベル紙201のギャップ302の部分に入るように所定量だけ搬送される。そして、スポット207As全体がギャップ302の内側に位置する状態で、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、発光量調整を行う。
【0055】
図4(A)、(B)に示すように、ムラのないダイカットラベル紙201の場合、ラベル/ギャップ検出閾値Thに基づいて正確にギャップ302の位置を検出できる為、センサ検出位置P0にダイカットラベル紙201のギャップ302の部分を正確に位置させることができ、正しく発光量調整を行うことができる。
【0056】
これに対して、
図5(A)に示すダイカットラベル紙201のように、ラベル301の裏面側に色ムラUcがあると、台紙部分では透過率がほぼ一定となるが、ラベル部分では、色ムラUcがない部分と色ムラUcがある部分とで透過率が異なってしまう。ここで、例えばラベル部分の色ムラUcがない部分よりも色ムラUcがある部分の方が透過率が高くなる場合、
図5(B)に示すように、色ムラUcがある部分で、カッターIn透過センサ207のセンサ読み値が、ラベル/ギャップ検出閾値Thを超えてしまう状況が起こり得る。
【0057】
この場合、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、センサ検出位置P0に色ムラUcがある部分が到達し、センサ読み値がラベル/ギャップ検出閾値Thを超えた時点で、センサ検出位置P0にギャップ302の先端が位置していると誤判定してしまう。この為、その後、ダイカットラベル紙201を所定量だけ搬送しても、スポット207Asが、ギャップ302の内側には入らず、例えば
図5(A)に示すように、センサ検出位置P0がラベル部分に位置する状態となってしまう。
【0058】
この状態で発光量調整を行うと、上述したように、受光部207Bが飽和状態になってしまう為、ラベルエッジを正確に検出できるよう正しく発光量調整することができなくなってしまう。この点が、発光量調整を行う場合の従来の問題点となっていた。
【0059】
そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、ダイカットラベル紙201にムラがある場合でも、ギャップ302の位置を正確に判定して正しく発光量調整を行うことが可能な透過センサキャリブレーションを行うようになっている。以下、画像形成装置1が透過センサキャリブレーションを行う際の動作について、
図6~
図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0060】
最初のステップSP700において、ユーザが、画像形成装置1の図示しないパネルに対し、ラベル長とギャップ長を入力して開始ボタンを押下すると、これをパネル制御部401が認識して、入力されたラベル長とギャップ長を主制御部400に通知する。主制御部400は、パネル制御部401から通知されたラベル長とギャップ長を、用紙位置管理部402AとカッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bとに通知する。さらに主制御部400は、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bに、透過センサキャリブレーションの開始を指示する。
【0061】
つづくステップSP701において、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、透過センサキャリブレーションを開始する。ここで、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、ダイカットラベル紙201が
図9(A)に示す初期位置pos1にある状態(つまりダイカットラベル紙201の先端がカッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0に到達していない状態)で、カッターIn透過センサ制御部403Aと連携して、カッターIn透過センサ207のセンサ読み値(つまり受光部207Bの受光量)が予め決められた目標値となるように発光部207Aの発光量を調整する。尚、このときの発光量調整は、カッターIn透過センサ207でダイカットラベル紙201の先端を検出する為に行われるものである。
【0062】
図6に戻り、つづくステップSP702において、用紙搬送制御部402Bは、フィーダー搬送モータ211を正回転させてダイカットラベル紙201を正搬送方向に搬送開始する。
【0063】
つづくステップSP703において、カッターIn透過センサ制御部403Aは、カッターIn透過センサ207のセンサ読み値が、予め決められた用紙検出閾値ThPを超えるまで待ち受ける。ここで、センサ読み値が用紙検出閾値ThPを超えたということは、ダイカットラベル紙201の先端がセンサ検出位置P0に到達したことを意味する。このとき、つづくステップSP704に移る。
【0064】
ステップSP704において、用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201が
図9(A)に示す第2位置pos2に到達するまで待ち受ける。ここで、第2位置pos2とは、ダイカットラベル紙201における先端から距離Lpos2だけ離れた位置である。つまり、ダイカットラベル紙201が第2位置pos2まで搬送されるということは、センサ検出位置P0(
図2参照)が、ダイカットラベル紙201における先端から距離Lpos2だけ離れた第2位置pos2に位置することを意味する。尚、この距離Lpos2は、ラベル長の半分に設定されている。
【0065】
ところで、ダイカットラベル紙201の先端側の台紙部分の長さは、上述したようにばらつくが、ギャップ302の長さと比較して極端に長いということはなく、通常はギャップ302と同程度もしくはギャップ302よりも短い例えば3mm程度である。これに対して、ラベル長は、例えば最小でも10mm程度であり、ダイカットラベル紙201の先端側の台紙部分の長さよりは十分に長い。この為、ダイカットラベル紙201における先端から距離Lpos2(ラベル長の半分)だけ離れた第2位置pos2というのは、必ずラベル部分となる。よって、ダイカットラベル紙201が第2位置pos2まで搬送されたとき、センサ検出位置P0は、必ずラベル部分に位置することになる。
【0066】
図6に戻り、用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201が第2位置pos2に到達すると、この旨を用紙搬送制御部402Bに通知して、つづくステップSP705に移る。
【0067】
ステップSP705において、用紙搬送制御部402Bは、フィーダー搬送モータ211を停止させることによりダイカットラベル紙201を第2位置pos2で停止させ、この旨をカッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bに通知する。
【0068】
つづくステップSP706において、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、この後行うセンサ読み値のサンプリングに備え、カッターIn透過センサ制御部403Aと連携して、カッターIn透過センサ207のセンサ読み値(つまり受光部207Bの受光量)が予め決められた目標値となるように発光部207Aの発光量を調整する。
【0069】
つづくステップSP707において、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、センサ読み値の最大値を示す最大値valMaxと、センサ読み値が最大値となったときのダイカットラベル紙201の位置を示す位置posMaxを0で初期化する。
【0070】
つづくステップSP708において、たるみ制御部402Dは、ダイカットラベル紙201にたるみを形成するか否かを判定する。当該ステップSP708や後述するステップSP712など、たるみに関する動作については後述する。
【0071】
つづくステップSP709において、用紙搬送制御部402Bは、フィーダー搬送モータ211を正回転させてダイカットラベル紙201の正搬送方向への搬送を再開する。尚、後述するが、このときダイカットラベル紙201は、
図9(A)に示す第2位置pos2から第3位置pos3まで搬送されるようになっている。また用紙搬送制御部402Bは、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bに、センサ読み値のサンプリングを指示する。カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、カッターIn透過センサ制御部403A及び用紙位置管理部402Aと連携して、カッターIn透過センサ207のセンサ読み値のサンプリング及びダイカットラベル紙201の位置情報の管理を開始する。つまり、ここでは、ダイカットラベル紙201を第2位置pos2から第3位置pos3へと搬送しながら、カッターIn透過センサ207のセンサ読み値のサンプリング及びダイカットラベル紙201の位置情報の管理を行っていくようになっている。
【0072】
図6に戻り、つづくステップSP710において、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、カッターIn透過センサ207から得られる最新のセンサ読み値が最大値valMaxより大きいか否かを判定する。ここで、最新のセンサ読み値が最大値valMaxより大きい場合には、ステップSP711に移り、大きくない場合には、ステップSP711を飛ばしてステップSP712(
図7)に移る。
【0073】
ステップSP711において、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、最大値valMaxを最新のセンサ読み値で更新するとともに、位置posMaxをダイカットラベル紙201の現在の位置(つまり第2位置pos2と第3位置pos3との間の現在の位置)で更新する。
【0074】
つづくステップSP712(
図7)において、たるみ制御部402Dは、たるみ形成処理を実行する。この動作については後述する。
【0075】
つづくステップSP713において、用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201が
図9(A)に示す第3位置pos3に到達したか否かを判定し、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3に到達するまで、上述したステップSP710~SP712の動作を繰り返す。
【0076】
ここで、第3位置pos3とは、ダイカットラベル紙201における先端から距離Lpos2+距離Lpos3だけ離れた位置である。つまり、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3まで搬送されるということは、センサ検出位置P0が、ダイカットラベル紙201における先端から距離Lpos2+距離Lpos3だけ離れた第3位置pos3に位置することを意味する。
【0077】
ここで、距離Lpos3は、(ラベル長の半分+ギャップ長×2.5)の式で算出される長さに設定されている。上述したように、距離Lpos2は、ラベル長の半分である為、距離Lpos2+距離Lpos3は、ラベル長にギャップ長の2.5倍の長さを加算した長さとなる。この為、ダイカットラベル紙201における先端から距離Lpos2+距離Lpos3だけ離れた第3位置pos3というのは、ダイカットラベル紙201の先端側の台紙部分の長さが多少ばらついても、必ずダイカットラベル紙201の先端から見て2枚目のラベル部分となる。よって、ダイカットラベル紙201が第2位置pos2から第3位置pos3まで搬送されたとき、センサ検出位置P0は、1枚目のラベル部分と2枚目のラベル部分の間のギャップ302の部分を通過していることになる。この為、
図9(A)、(B)に示すように、センサ読み値の最大値valMaxと、センサ読み値が最大となるときの位置posMaxは、ギャップ302の部分から得られることになる。尚、ここでは距離Lpos3の長さを、ラベル長の半分+ギャップ長×2.5としたが、ギャップ長の倍率については必ずしも2.5でなくてもよく、少なくとも2.0より大きい数値であればよい。
【0078】
このように、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3に到達するまでの間、最大値valMaxと位置posMaxを更新するようになっている。
図7に戻り、用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3に到達すると、この旨を用紙搬送制御部402Bに通知するとともに、サンプリングの終了をカッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bに指示して、ステップSP714に移る。
【0079】
尚、ここでは、位置posMaxは、センサ読み値が最大となった時点のダイカットラベル紙201の位置であるが、例えば、センサ読み値の移動平均を、一定の範囲ごと(例えばダイカットラベル紙201を0.5mm搬送するごと)に算出して、当該移動平均の最大値を最大値valMaxとするとともに、当該移動平均が最大となった範囲を位置posMaxとしてもよい。
【0080】
ステップSP714において、用紙搬送制御部402Bは、フィーダー搬送モータ211を停止させてダイカットラベル紙201を第3位置pos3に停止させる。
【0081】
つづくステップSP715において、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、サンプリングにより得られた位置posMaxが、
図9(A)に示す範囲Lrange内であるか否かを判定する。このステップSP715は、ギャップ302が適切に検出されているか否かを判定する為に行われる。
【0082】
範囲Lrangeは、第3位置pos3から第2位置pos2側に向かうギャップ長の3倍となる範囲として設定されている。これはダイカットラベル紙201の先端側の台紙部分の長さが0の場合、第3位置pos3がギャップ302の先端からギャップ長×2.5だけ離れた位置になる為であり、これにマージンとしてギャップ長×0.5を加算した範囲を範囲Lrangeとしている。これにより、位置posMaxが範囲Lrange内であれば、ダイカットラベル紙201を第2位置pos2から第3位置pos3まで移動した際に、ギャップ302が適切に検出されていることになる。この場合、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、ステップSP716(
図7)に移る。
【0083】
これに対して、位置posMaxが範囲Lrange外であれば、ユーザがラベル長又はギャップ長を誤入力した可能性や、ダイカットラベル紙201に異常がある可能性が高いことを意味する。この場合、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、ステップSP717に移る。ステップSP717において、パネル制御部401により図示しないパネルにキャリブレーションエラーを表示して、透過センサキャリブレーションを終了する。
【0084】
位置posMaxが範囲Lrange内である場合に移るステップSP716において、用紙搬送制御部402Bは、現在第3位置pos3にあるダイカットラベル紙201を、
図9(A)に示す位置posMaxまでバックフィード(つまり逆搬送方向に搬送)する為、フィーダー搬送モータ211を逆転させる。
【0085】
つづくステップSP718(
図7)において、用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201が位置posMaxに到達するまで待ち受ける。ここで、
図9(A)に示すように、第3位置pos3から位置posMaxまでの距離は、第2位置pos2から第3位置pos3までの距離Lpos3から、第2位置pos2から位置posMaxまでの距離Lmaxを引いた距離となる。よって、用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201のバックフィード量(逆搬送量)が距離Lpos3―距離Lmaxとなるまで待ち受けることで、ダイカットラベル紙201が位置posMaxに到達するまで待ち受けるようになっている。そして用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201が位置posMaxに到達すると、その旨を用紙搬送制御部402Bに通知する。
【0086】
図7に戻り、つづくステップSP719において、用紙搬送制御部402Bは、フィーダー搬送モータ211を停止させてダイカットラベル紙201を位置posMaxに停止させ、その旨をカッターIn透過センサ制御部403Aに通知する。
【0087】
つづくステップSP720において、カッターIn透過センサ制御部403Aは、カッターIn透過センサ207の印刷時の発光量を決定する為、ダイカットラベル紙201が位置posMaxにある状態(つまりカッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0にギャップ302が位置している状態)で、カッターIn透過センサ制御部403Aと連携して、カッターIn透過センサ207のセンサ読み値が予め決められたギャップ302での目標値valGapとなるように発光部207Aの発光量を調整する。
【0088】
つづくステップSP721において、たるみ制御部402Dは、たるみ除去処理を実行する。この動作については後述する。
【0089】
つづくステップSP722において、用紙搬送制御部402Bは、フィーダー搬送モータ211を正回転させてダイカットラベル紙201を正搬送方向に搬送開始する。
【0090】
つづくステップSP723において、用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201が
図9(A)に示す第4位置pos4に到達するまで待ち受ける。ここで、第4位置pos4とは、ダイカットラベル紙201における位置posMaxから距離Lpos4だけ離れた位置であり、距離Lpos4はラベル長の半分に設定されている。
【0091】
ここで、位置posMaxは、ギャップ302内でばらつくが、ギャップ長はラベル長と比較して極端に長いということはなく、例えば3mm程度である。これに対して、ラベル長は、例えば最小でも10mm程度であり、ギャップ長よりは長い。この為、ダイカットラベル紙201における位置posMaxから距離Lpos4(ラベル長の半分)だけ離れた第4位置pos4というのは、必ずラベル部分となる。よって、ダイカットラベル紙201が第4位置pos4まで搬送されたとき、センサ検出位置P0は、必ずラベル部分に位置することになる。
【0092】
用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201が第4位置pos4に到達すると、この旨をカッターIn透過センサ制御部403Aに通知して、つづくステップSP724(
図8)に移る。
【0093】
ステップSP724において、カッターIn透過センサ制御部403Aは、ダイカットラベル紙201が搬送されている状態のまま、カッターIn透過センサ207からセンサ読み値(つまりラベル部分から得られるセンサ読み値)を取得する。尚、このとき取得するセンサ読み値valLabelについては、ラベル部分のある地点で得られたセンサ読み値であってもよいし、ラベル部分のいくつかの地点で得られたセンサ読み値の平均値であってもよい。そしてこのとき得られたラベル部分でのセンサ読み値valLabelと、ギャップ302での目標センサ読み値valGapとを用いて、ラベル/ギャップ検出閾値Thを設定する。
【0094】
本実施の形態では、一例として、次式(1)に示すように、センサ読み値valLabelと目標センサ読み値valGapとの間の中間値をラベル/ギャップ検出閾値Thとするようになっている。
【0095】
Th=(valLabel+valGap)/2……(1)
【0096】
尚、ここでは、センサ読み値valLabelと目標センサ読み値valGapとの間の中間値をラベル/ギャップ検出閾値Thとしているが、例えば、ダイカットラベル紙201のムラによる透過率のばらつきが予め推定できるのであれば、例えば
図9(B)に示すように、ムラの部分の推定されるセンサ読み値よりもラベル/ギャップ検出閾値Thが大きくなるように、上述の式(1)で得られるThをさらに補正するようにしてもよい。
【0097】
つづくステップSP725とステップSP726において、用紙位置管理部402Aは、ダイカットラベル紙201の第4位置pos4からの搬送量が、ラベル長+ギャップ長を超える前に、センサ読み値がラベル/ギャップ検出閾値Thを超えて、次のギャップ302を検出したか否かを判定する。
【0098】
ここで、第4位置pos4は、ギャップ302内に位置する位置posMaxからラベル長の半分だけ離れた位置である為、通常、この第4位置pos4からの搬送量がラベル長の半分+ギャップ長を超える前に、次のギャップ302が検出されるはずである。さらにここでは、次のギャップ302を検出する範囲を、第4位置pos4から、ラベル長の半分+ギャップ長にマージンとなるラベル長の半分を加えたラベル長+ギャップ長までの範囲に設定している。この為、第4位置pos4からの搬送量が、ラベル長+ギャップ長を超える前に次のギャップ302を検出できなかった場合、ユーザがラベル長又はギャップ長を誤入力した可能性や、ダイカットラベル紙201に異常がある可能性が高いことを意味する。この場合、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、ステップSP727に移る。ステップSP727において、パネル制御部401により図示しないパネルにキャリブレーションエラーを表示して、透過センサキャリブレーションを終了する。
【0099】
これに対して、ダイカットラベル紙201の第4位置pos4からの搬送量が、ラベル長+ギャップ長を超える前に、センサ読み値がラベル/ギャップ検出閾値Thを超えて、次のギャップ302を検出した場合、カッターIn透過センサキャリブレーション制御部403Bは、カット制御部402Cにギャップ302の検出を通知して、ステップSP728に移る。
【0100】
ステップSP728において、カット制御部402Cは、カッターユニット220を制御して、ダイカットラベル紙201をギャップ302の部分にてカットする。そして用紙搬送制御部402Bは、カットされたダイカットラベル紙201(つまり透過センサキャリブレーションに使用した先端から1枚目のラベル301と2枚目のラベル301を含んだダイカットラベル紙201)を搬送して画像形成装置1の外部へ排出する。
【0101】
つづくステップSP729において、パネル制御部401により図示しないパネルにキャリブレーション成功を表示して、透過センサキャリブレーションを終了する。画像形成装置1が透過センサキャリブレーションを行う際の動作は、以上のようになっている。尚、画像形成装置1は、カッターIn透過センサ207以外の透過センサ(例えばIn透過センサ107)については、例えば、上述した透過センサキャリブレーションで得られた設定値(発光量、ラベル/ギャップ検出閾値Thなど)で設定するようになっている。
【0102】
ここで、ダイカットラベル紙201のたるみについて説明する。画像形成装置1では、
図10に示すように、フィーダーユニット200側のフィーダー搬送モータ211により搬送ローラ206とカッター搬送ローラ223を正回転させてダイカットラベル紙201を正搬送方向に搬送している際に、印刷ユニット100側の搬送モータ117を停止させて、印刷ユニット100側の第1搬送ローラ101などを停止させることにより、フィーダーユニット200内のカッターユニット220よりも下流側の部分に位置するたるみ空間Ssにたるみが形成されるように、ダイカットラベル紙201をたるませることができるようになっている。
【0103】
さらに画像形成装置1では、ダイカットラベル紙201をたるませた後、フィーダー搬送モータ211により搬送ローラ206とカッター搬送ローラ223を逆回転させてダイカットラベル紙201を逆搬送方向にたるませた分だけ搬送することにより、ダイカットラベル紙201のたるみを除去できるようになっている。
【0104】
画像形成装置1では、透過センサキャリブレーション時に、ダイカットラベル紙201を第2位置pos2から第3位置pos3へと搬送するようになっているが、このとき、印刷ユニット100側の第1搬送ローラ101を停止させるようになっている。こうすることで、画像形成装置1では、ダイカットラベル紙201を第2位置pos2から第3位置pos3へと搬送する際に、ダイカットラベル紙201の先端が停止している第1搬送ローラ101に到達している場合、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3に到達するまでの間、ダイカットラベル紙201をたるませるようになっている。
【0105】
このようにダイカットラベル紙201をたるませる理由は、印刷ユニット100側のローラ(つまり第1搬送ローラ101以降のローラ)は逆回転によるバックフィードができないことから、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3に到達するまでに第1搬送ローラ101よりも上流側にたるみを形成し、ダイカットラベル紙201における第1搬送ローラ101よりも上流側の部分を、たるみを除去しながらバックフィードする為である。
【0106】
こうすることで、画像形成装置1のように、第1搬送ローラ101以降のローラが逆回転によるバックフィードができない構成であっても、第1搬送ローラ101よりも上流側でダイカットラベル紙201をバックフィードすることができる。
【0107】
尚、画像形成装置1では、ダイカットラベル紙201のたるみ形成量の目標値が、
図9(A)に示す範囲Lrange(ギャップ長×3)に設定されている。これはダイカットラベル紙201を、第3位置pos3から範囲Lrange分だけ逆搬送するには、範囲Lrange分のたるみ形成量が必要となる為である。尚、
図9(A)に示すように、この範囲Lrangeは、第3位置pos3から位置posMaxまでの距離つまりダイカットラベル201を第2位置pos3から位置posMaxまで逆搬送するときのフィードバック量(距離Lpos3-距離Lmax)よりも大きい。
【0108】
以上を踏まえ、まずステップSP708(
図6)で行うたるみ形成判定(つまりたるみを形成するか否かの判定)について
図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0109】
ステップSP800において、たるみ制御部402Dは、たるみを形成するか否かを示す変数SlackStateを0(たるみ不要)で初期化する。つづくステップSP801において、たるみ制御部402Dは、
図9(A)に示す距離Lpos2+距離Lpos3(すなわちダイカットラベル紙201の先端から第3位置pos3までの距離)が、
図10に示す距離Lfed1よりも大きいか否かを判定する。ここで、距離Lfed1は、カッターIn透過センサ207から第1搬送ローラ101までの距離である。
【0110】
ここで、距離Lpos2+距離Lpos3が距離Lfed1よりも大きい場合、このことは、ダイカットラベル紙201を第2位置pos2から第3位置pos3まで搬送する際に、ダイカットラベル紙201の先端が第1搬送ローラ101に到達する為、たるみを形成する必要があることを意味する。この場合、たるみ制御部402Dは、ステップSP802(
図11)に移る。
【0111】
これに対して、距離Lpos2+距離Lpos3が距離Lfed1以下である場合、このことは、たるみを形成する必要がないことを意味する。この場合、たるみ制御部402Dは、変数SlackStateを0にしたまま、たるみ形成判定を終了する。
【0112】
ステップSP802において、たるみ制御部402Dは、たるみ形成量を算出する為の判定を行う。すなわち、たるみ制御部402Dは、距離Lpos2+距離Lpos3-距離Lfed1で算出される値が、範囲Lrange(たるみ形成量の目標値)以上であるか否かを判定する。ここで、距離Lpos2+距離Lpos3-距離Lfed1で算出される値は、ダイカットラベル紙201をたるませずにそのまま搬送した場合に、ダイカットラベル紙201における第1搬送ローラ101よりも下流側にはみ出る部分(つまりたるみとなる部分)の長さである。
【0113】
ここで、距離Lpos2+距離Lpos3-距離Lfed1で算出される値が、範囲Lrange(たるみ形成量の目標値)以上の場合、このことは、範囲Lrange分のたるみを形成できることを意味する。この場合、たるみ制御部402Dは、ステップSP803に移る。
【0114】
これに対して、距離Lpos2+距離Lpos3-距離Lfed1で算出される値が、範囲Lrange(たるみ形成量の目標値)よりも短い場合、このことは、範囲Lrangeよりも短いたるみしか形成できないことを意味する。この場合、たるみ制御部402Dは、ステップSP804に移る。
【0115】
ステップSP803において、たるみ制御部402Dは、たるみ形成量を範囲Lrangeに設定して、ステップSP805に移る。一方、ステップSP804において、たるみ制御部402Dは、たるみ形成量を距離Lpos2+距離Lpos3-距離Lfed1で算出される値に設定して、ステップSP805に移る。
【0116】
ステップSP805において、たるみ制御部402Dは、変数SlackStateを1(たるみ必要)にセットして、たるみ形成判定を終了する。たるみ形成判定は、以上のようになっている。
【0117】
次にステップSP712(
図7)で行うたるみ形成処理について
図12に示すフローチャートを用いて説明する。
【0118】
ステップSP810において、たるみ制御部402Dは、変数SlackStateが1(たるみ必要)であるか否かを判定する。変数SlackStateが1である場合、たるみ制御部402Dは、ステップSP811に移る。これに対して、変数SlackStateが1でない場合、このことはたるみを形成する必要がない、もしくは既にたるみが形成済みであることを意味する。この場合、たるみ制御部402Dは、何もすることなくたるみ形成処理を終了する。
【0119】
ステップSP811において、たるみ制御部402Dは、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3-たるみ形成量となる位置に到達したか否かを判定する。ここで、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3-たるみ形成量となる位置に到達したということは、カッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0が、ダイカットラベル紙201における第3位置pos3よりもたるみ形成量の分だけ先端側に位置することを意味する。このとき、たるみ制御部402Dは、ステップSP812に移る。これに対して、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3-たるみ形成量となる位置に到達しなかった場合、たるみ制御部402Dは、たるみ形成処理を終了する。
【0120】
ステップSP812において、たるみ制御部402Dは、用紙搬送制御部402Bにたるみ形成を指示する。たるみ形成の指示を受けた用紙搬送制御部402Bは、第1搬送ローラ101以降のローラを停止させる。これにより、ダイカットラベル紙201が第3位置pos3まで搬送される間、たるみ空間Ssにたるみ形成量分のたるみが形成される。
【0121】
つづくステップSP813において、たるみ制御部402Dは、変数SlackStateを2(たるみ形成済)にセットして、たるみ形成処理を終了する。たるみ形成処理は、以上のようになっている。
【0122】
次にステップSP721(
図7)で行うたるみ除去処理について
図13に示すフローチャートを用いて説明する。このたるみ除去処理は、たるみ形成後、ダイカットラベル紙201をバックフィードしてもまだたるみが残っている場合にこの残っているたるみを除去する処理である。尚、残ったたるみが、印刷に問題ない程度に小さい場合には、このたるみ除去処理を省略してもよい。尚、ダイカットラベル紙201をバックフィードしてもまだたるみが残っている場合というのは、例えば、たるみ形成量が目標値である範囲Lrangeに設定されている場合である。
【0123】
ステップSP820において、たるみ制御部402Dは、変数SlackStateが2(たるみ形成済)であるか否かを判定する。ここで、変数SlackStateが2ではない場合、たるみ除去処理は不要となる為、たるみ制御部402Dは、何も行わずにたるみ除去処理を終了する。
【0124】
これに対して、変数SlackStateが2である場合、たるみ制御部402Dは、ステップSP821に移る。ステップSP821において、たるみ制御部402Dは、バックフィードで除去しきれていないたるみが残っているか否かを判定する。すなわち、たるみ制御部402Dは、たるみ形成量が
図9(A)に示す距離Lpos3-距離Lmax(すなわちバックフィード量)よりも大きければ、バックフィードで除去しきれていないたるみが残っていると判定し、この場合、ステップSP822に移る。
【0125】
これに対して、たるみ形成量が距離Lpos3-距離Lmax(すなわちバックフィード量)以下であれば、たるみ制御部402Dは、バックフィードで除去しきれていないたるみは残っていないと判定し、何も行わずにたるみ除去処理を終了する。
【0126】
ステップSP822において、たるみ制御部402Dは、バックフィードで除去しきれていないたるみを除去する為のたるみ除去量を算出する。このたるみ除去量は、たるみ形成量-(距離Lpos3-距離Lmax)、すなわちたるみ形成量-バックフィード量で算出することができる。
【0127】
つづくステップSP823において、たるみ制御部402Dは、用紙搬送制御部402Bにたるみ除去を指示する。たるみ除去の指示を受けた用紙搬送制御部402Bは、フィーダー搬送モータ211を逆回転させてダイカットラベル紙201のバックフィード(つまり逆搬送方向への搬送)を開始する。
【0128】
つづくステップSP824において、用紙搬送制御部402Bは、バックフィード量が、たるみ制御部402Dにより指示されたるみ除去量に達するまで待ち受け、バックフィード量がたるみ除去量に達すると、ステップSP825に移る。
【0129】
ステップSP825において、用紙搬送制御部402Bは、フィーダー搬送モータ211を停止させてダイカットラベル紙201のバックフィードを停止し、たるみ除去処理を終了する。たるみ除去処理は、以上のようになっている。
【0130】
[4.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態の画像形成装置1は、台紙300上に搬送方向に一定の間隔(ギャップ302)を開けてラベル301が設けられたラベル媒体としてのダイカットラベル紙201を媒体搬送路としての用紙搬送路R1、R2に沿って搬送する媒体搬送装置として、ダイカットラベル紙201を搬送する媒体搬送部としての搬送ローラ206、カッター搬送ローラ223、フィーダー搬送モータ211、第1搬送ローラ101、搬送モータ117、及び用紙管理部402と、発光部207A及び受光部207Bを有し、ダイカットラベル紙201を検出する光学式の媒体検出センサとしてのカッターIn透過センサ207と、発光部207Aの発光量を調整するセンサ制御部403とを備える。
【0131】
そして媒体搬送部は、少なくともラベル301間のギャップ302部分がカッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0を通り過ぎるように、ダイカットラベル紙201を、センサ検出位置P0に第1のラベル301が位置する第1の位置としての第2位置pos2から、センサ検出位置P0に第1のラベル301の次のラベルである第2のラベル301が位置する第2の位置としての第3位置pos3まで所定量(距離Lpos3)だけ搬送し、カッターIn透過センサ207は、ダイカットラベル紙201が所定量だけ搬送される際に、所定の発光量で発光部207Aを発光させながら受光部207Bの受光量を読み取っていき、媒体搬送部は、ダイカットラベル紙201を所定量だけ搬送した後、ダイカットラベル紙201における受光部207Bの受光量が最も大きかった箇所がカッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0にくるようにダイカットラベル紙201を逆搬送して停止させ、センサ制御部403は、ダイカットラベル紙201が逆搬送して停止させられた後、発光部207Aの発光量を調整するようにした。
【0132】
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、少なくともラベル301間のギャップ302部分がカッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0を通り過ぎるようにダイカットラベル紙201を第2位置pos2から第3位置pos3まで所定量(距離Lpos3)だけ搬送する際に、所定の発光量で発光部207Aを発光させながら受光部207Bの受光量を読み取っていき、ダイカットラベル紙201における受光部207Bの受光量が最大となる箇所がカッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0にくるようにダイカットラベル紙201を逆搬送して停止させることにより、カッターIn透過センサ207の状態(例えばラベル部分の色ムラなど)によらず、カッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0に、正確にラベル301間のギャップ302部分を位置させることができる。そして当該ギャップ302部分で発光部207Aの発光量を調整することにより、適切に発光量を調整することができる。
【0133】
尚、
図9(A)に示すように、ラベル301におけるギャップ302近傍に色ムラUcがある場合、この色ムラUcの部分において、受光部207Bの受光量が大きくなるが、それでも台紙部分であるギャップ302の部分で得られる受光量よりは小さい。この為、センサ検出位置P0に受光量が最大となる箇所を位置させることで、センサ検出位置P0にギャップ302部分を位置させることができる。
【0134】
かくして、本実施の形態の画像形成装置1によれば、より正確にカッターIn透過センサ207のキャリブレーションを行うことができる。また画像形成装置1では、このように正確にカッターIn透過センサ207のキャリブレーションを行うことができるので、ラベルエッジを正確に検出することができ、印刷時の位置ずれやエラーの誤検出を防止することができる。
【0135】
また画像形成装置1は、媒体搬送部が、ダイカットラベル紙201を正搬送方向及び逆搬送方向に搬送可能で、カッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0よりも正搬送方向の下流側に位置する第1の搬送ローラとしてのカッター搬送ローラ223と、当該第1の搬送ローラよりも正搬送方向の下流側に位置し、ダイカットラベル紙201を正搬送方向にのみ搬送可能な第2の搬送ローラとしての第1搬送ローラ101とを有する。
【0136】
さらに画像形成装置1は、第1の搬送ローラ(カッター搬送ローラ223)によりダイカットラベル紙201を正搬送方向に搬送する際に、第2の搬送ローラ(第1搬送ローラ101)を停止することで、第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの間にたるみが形成されるようにダイカットラベル紙201をたるませるたるみ制御部402Dを有する。
【0137】
たるみ制御部402Dは、第1の搬送ローラ(カッター搬送ローラ223)により少なくともラベル301間のギャップ302部分がカッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0を通り過ぎるようにダイカットラベル紙201を第2位置pos2から第3位置pos3まで所定量(距離Lpos3)だけ正搬送方向に搬送する際に、第2の搬送ローラ(第1搬送ローラ101)を停止することでたるみ空間Ssにたるみを形成する。
【0138】
そして媒体搬送部は、ダイカットラベル紙201を第3位置pos3まで搬送した後、第2の搬送ローラ(第1搬送ローラ101)を停止したまま、第1の搬送ローラ(カッター搬送ローラ223)を逆回転させることにより、たるみを利用して、受光部207Bの受光量が最大となる箇所がカッターIn透過センサ207のセンサ検出位置P0にくる第3の位置としての位置proMaxまでダイカットラベル紙201を逆搬送するようにした。
【0139】
このように、画像形成装置1では、第1の搬送ローラ(カッター搬送ローラ223)と第2の搬送ローラ(第1搬送ローラ101)との間に、ダイカットラベル紙201を逆搬送方向に搬送する為に必要なたるみを形成するようにしたことにより、第2の搬送ローラがダイカットラベル紙201を逆搬送方向に搬送できない構成であっても、第2の搬送ローラよりも正搬送方向の上流側において、形成したたるみを利用して、第1の搬送ローラによりダイカットラベル紙201を逆搬送できる。
【0140】
[5.他の実施の形態]
[5-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、透過型の光学式センサであるカッターIn透過センサ207のキャリブレーション(発光量調整)に本発明を適用したが、これに限らず、反射型の光学式センサである例えばカッターIn反射センサ208のキャリブレーション(発光量調整)に本発明の技術を適用してもよい。カッターIn反射センサ208の場合、ブラックマークの部分で受光量が最小になる為、受光量が最小となる位置を特定することでブラックマークの位置を正確に検出できるようになる。
【0141】
[5-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、第1搬送ローラ101以降のローラが逆搬送方向への搬送には対応していない(つまり逆回転できない)場合について述べたが、これに限らず、第1搬送ローラ101以降のローラも、搬送ローラ206及びカッター搬送ローラ223と同様、逆搬送方向への搬送に対応している(つまり逆回転できる)ようになっていてもよい。この場合、ダイカットラベル紙201をたるませる必要がなくなる為、たるみに関する動作を省略することができる。
【0142】
[5-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、画像形成部120が形成したトナー像を、中間転写ベルト116に一旦転写し、中間転写ベルト116に転写されたトナー像を用紙に転写する中間転写方式の画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限らず、画像形成装置1とは異なる方式で印刷を行う画像形成装置に適用してもよい。例えば、画像形成部120が形成したトナー像を直接用紙に転写する転写方式の画像形成装置に適用してもよい。
【0143】
さらに上述した実施の形態では、電子写真方式のカラープリンタである画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限らず、種々の画像形成装置や媒体搬送装置に適用できる。例えば、モノクロプリンタや、電子写真方式以外の方式で印刷を行うプリンタなどの画像形成装置や当該画像形成装置が備える媒体搬送装置にも適用できる。
【0144】
[5-4.他の実施の形態4]
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部が異なる実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、例えば光学センサのキャリブレーション機能を有するプリンタなどで広く利用できる。
【符号の説明】
【0146】
1、画像形成装置、100……印刷ユニット、101……第1搬送ローラ、103……第2搬送ローラ、106……第3搬送ローラ、120……画像形成部、200…フィーダーユニット、201…ロール紙(ダイカットラベル紙)、206……搬送ローラ、207……カッターIn透過センサ、207A……発光部、207B……受光部、211……フィーダー搬送モータ、カッター搬送ローラ223、300……台紙、301……ラベル、302……ギャップ、400……主制御部、401……パネル制御部、402……用紙管理部、402B……用紙搬送制御部、402D……たるみ制御部、403……センサ制御部、P0……センサ検出位置、R1、R2……用紙搬送路、Ss……たるみ空間、Uc……色ムラ。