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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103996
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】箱の製造方法及び箱の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/52 20170101AFI20240726BHJP
   B65B 43/10 20060101ALI20240726BHJP
   B65D 5/06 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B31B50/52
B65B43/10
B65D5/06 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007982
(22)【出願日】2023-01-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (公開1)展示日:令和4年8月23日、令和4年10月11日、令和4年10月25日、令和4年11月9日、令和4年11月17日、令和4年12月1日、令和4年12月15日、令和5年1月20日、及び令和5年1月25日、開催場所:Landport習志野内における習志野Poc Hub、公開者:日本トーカンパッケージ株式会社 (公開2)展示日:令和4年9月13日~令和4年9月16日、開催場所:東京国際展示場、公開者:日本トーカンパッケージ株式会社 (公開3)ウェブ掲載日:令和4年9月2日、掲載アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=_eZROhAZFQo&t=14s
(71)【出願人】
【識別番号】506100990
【氏名又は名称】日本トーカンパッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 政人
【テーマコード(参考)】
3E030
3E060
3E075
【Fターム(参考)】
3E030AA02
3E030AA09
3E030DA08
3E030EA01
3E030EB03
3E060AA03
3E060AB15
3E060AC02
3E060BA04
3E060BC02
3E075AA10
3E075AA28
3E075BA07
3E075CA01
3E075DA02
3E075DA12
3E075DC18
3E075DC28
3E075DC43
3E075DC44
3E075DC49
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ブランクのうち、側面部をなす部分に対して内フラップをなす部分を適切に折り曲げることが可能な箱の製造方法及び箱の製造装置を提供する。
【解決手段】箱の製造方法は、底面部と、底面部から立ち上がった側面部と、底面部とは反対側の側面部の端に対して折り曲げ可能に隣接した内フラップと、を有する箱を、箱の基材をなすブランクを折り曲げて製造する箱の製造方法であって、ブランクのうち、底面部をなす第1部分に対して、側面部をなす第2部分と内フラップをなす第3部分とが第1方向に連なって立ち上がった状態にある間に、第2部分に対して、第1方向と交差する第2方向の一方側に第3部分を倒すように折り曲げる折曲げ工程を備え、折曲げ工程では、第1押圧部が第2方向の他方側から第3部分を押圧し、且つ、第2押圧部が第2方向の一方側から第2部分を押圧することにより、第2部分に対して第3部分を第2方向の一方側に折り曲げる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と、前記底面部から立ち上がった側面部と、前記底面部とは反対側の前記側面部の端に対して折り曲げ可能に隣接した内フラップと、を有する箱を、前記箱の基材をなすブランクを折り曲げて製造する箱の製造方法であって、
前記ブランクのうち、前記底面部をなす第1部分に対して、前記側面部をなす第2部分と前記内フラップをなす第3部分とが第1方向に連なって立ち上がった状態にある間に、前記第2部分に対して、前記第1方向と交差する第2方向の一方側に前記第3部分を倒すように折り曲げる折曲げ工程を備え、
前記折曲げ工程では、
第1押圧部が前記第2方向の他方側から前記第3部分を押圧し、且つ、第2押圧部が前記第2方向の一方側から前記第2部分を押圧することにより、前記第2部分に対して前記第3部分を前記第2方向の一方側に折り曲げる、箱の製造方法。
【請求項2】
前記折曲げ工程の開始時には、
前記第1押圧部を前記第2方向の他方側において前記第3部分と対向する第1位置に静止させた状態で、前記第2押圧部が前記第2方向の一方側から他方側に前記第2部分を押圧しながら移動し、
又は、前記第2押圧部を前記第2方向の一方側において前記第2部分と対向する第2位置に静止させた状態で、前記第1押圧部が前記第2方向の他方側から一方側に前記第3部分を押圧しながら移動する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第2部分に対して前記第3部分を前記第2方向の一方側に折り曲げた後、前記第1押圧部は、前記第3部分の押圧が維持される位置に保持されるとともに、前記第2押圧部は、前記第2部分の押圧が解除されるように前記第2部分から遠ざかるように移動する、請求項1に記載の箱の製造方法。
【請求項4】
前記折曲げ工程の開始時に、前記第1押圧部は、前記第2方向の他方側において、前記第3部分との間に隙間を設けた状態で静止する、請求項1に記載の箱の製造方法。
【請求項5】
前記ブランクを搬送方向に搬送する搬送工程をさらに備え、
前記折曲げ工程では、前記搬送方向における前記第1部分の両端の各々に対して、前記第2部分と前記第3部分とが前記第1方向に連なって立ち上がった状態にある間に、前記第1部分の両端のうち、前記搬送方向における下流側の端では前記第3部分を前記第2部分に対して上流側に向かって折り曲げ、上流側の端では前記第3部分を前記第2部分に対して下流側に向かって折り曲げる、請求項1に記載の箱の製造方法。
【請求項6】
底面部と、前記底面部から立ち上がった側面部と、前記底面部とは反対側の前記側面部の端に対して折り曲げ可能に隣接した内フラップと、を有する箱を、前記箱の基材をなすブランクを折り曲げて製造する箱の製造装置であって、
前記底面部をなす第1部分と前記側面部をなす第2部分と前記内フラップをなす第3部分とを有する前記ブランクのうち、前記第3部分を押圧する第1押圧部と、
前記第2部分を押圧する第2押圧部と、を備え、
前記第1部分に対して前記第2部分と前記第3部分とが第1方向に連なって立ち上がった状態にある間に、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第2押圧部が前記第2方向の一方側から前記第2部分を押圧し、且つ、前記第1押圧部が前記第2方向の他方側から前記第3部分を押圧することにより、前記第2部分に対して前記第3部分を前記第2方向の一方側に倒すように折り曲げる、箱の製造装置。
【請求項7】
前記第1押圧部は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向における前記第3部分の少なくとも中央部を押圧する、請求項6に記載の箱の製造装置。
【請求項8】
前記第1押圧部は、平板によって構成され、
前記平板は、主面と、前記主面の端から立ち上がった端面とを備え、
前記第1押圧部は、折曲げ工程の開始時、前記第2方向の他方側から前記第3部分を前記端面にて押圧し、
前記第1押圧部は、前記第2部分に対して前記第3部分を前記第2方向の一方側に折り曲げた後、前記第1方向における前記第1部分と反対側から前記第3部分を前記主面にて押圧する、請求項6に記載の箱の製造装置。
【請求項9】
前記第2押圧部は、板部材によって構成され、
前記板部材は、平坦部と、前記平坦部の後端に連続し前記平坦部に対して傾斜した傾斜部とを備え、
前記第2押圧部が前記第2部分を押圧する際、前記平坦部の先端面が前記第2方向の一方側から前記第2部分と当接する、請求項6に記載の箱の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱の製造方法及び箱の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
底面部と、底面部から立ち上がった側面部と、底面部とは反対側の側面部の端に対して折り曲げ可能に隣接した内フラップと、を有する箱を、箱の基材をなすブランクを折り曲げて製造する技術が開発されている。特許文献1に記載された技術が、その一例として挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、ブランクのうち、底面部をなす部分に対して、側面部をなす部分とフラップをなす部分とが上下方向に連なって立ち上がった状態にある間に、支軸を中心に折曲げガイド部材が回動することにより、折曲げガイド部材の先端部がフラップをなす部分を押圧する。これにより、フラップをなす部分が、側面部をなす部分に対して、箱の内側に倒れるように折り曲げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-254998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、側面部をなす部分の剛性が低い場合、側面部をなす部分に対して内フラップをなす部分を折り曲げようとする際に、底面部をなす部分に対して、内フラップをなす部分とともに側面部をなす部分が倒れてしまい、側面部をなす部分に対して内フラップをなす部分を適切に折り曲げることができない虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブランクのうち、側面部をなす部分に対して内フラップをなす部分を適切に折り曲げることが可能な箱の製造方法及び箱の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明の箱の製造方法によれば、底面部と、底面部から立ち上がった側面部と、底面部とは反対側の側面部の端に対して折り曲げ可能に隣接した内フラップと、を有する箱を、箱の基材をなすブランクを折り曲げて製造する箱の製造方法であって、ブランクのうち、底面部をなす第1部分に対して、側面部をなす第2部分と内フラップをなす第3部分とが第1方向に連なって立ち上がった状態にある間に、第2部分に対して、第1方向と交差する第2方向の一方側に第3部分を倒すように折り曲げる折曲げ工程を備え、折曲げ工程では、第1押圧部が第2方向の他方側から第3部分を押圧し、且つ、第2押圧部が第2方向の一方側から第2部分を押圧することにより、第2部分に対して第3部分を第2方向の一方側に折り曲げることにより解決される。
【0008】
上記の箱の製造方法によれば、第2押圧部が第2方向の一方側から第2部分を押圧し、且つ、第1押圧部が第2方向の他方側から第3部分を押圧するので、第2部分が第3部分とともに倒れることなく、第2部分に対して第3部分を適切に折り曲げることができる。
【0009】
また、上記の方法において、折曲げ工程の開始時には、第1押圧部を第2方向の他方側において第3部分と対向する第1位置に静止させた状態で、第2押圧部が第2方向の一方側から他方側に第2部分を押圧しながら移動し、又は、第2押圧部を第2方向の一方側において第2部分と対向する第2位置に静止させた状態で、第1押圧部が第2方向の他方側から一方側に第3部分を押圧しながら移動してもよい。
上記の方法によれば、第1押圧部又は第2押圧部の一方が静止した状態で、もう一方の押圧部が動作(押圧動作)することにより、第2部分に対して第3部分をより適切に折り曲げることができる。
【0010】
また、上記の方法において、第2部分に対して第3部分を第2方向の一方側に折り曲げた後、第1押圧部は、第3部分の押圧が維持される位置に保持されるとともに、第2押圧部は、第2部分の押圧が解除されるように第2部分から遠ざかるように移動してもよい。
上記の方法によれば、第1押圧部による第3部分の押圧が維持される位置に第1押圧部を保持することにより、第2部分に対して第3部分をより適切に折り曲げることができる。
また、上記の方法によれば、第3部分を第2部分に対して折り曲げた後に、第2押圧部は、第2部分の押圧が解除されるように第2部分から遠ざかるように移動するので、後工程に備えることができる。
【0011】
また、上記の方法において、折曲げ工程の開始時に、第1押圧部は、第2方向の他方側において、第3部分との間に隙間を設けた状態で静止してもよい。
上記の方法によれば、第1押圧部と第3部分との間に隙間を設けることにより、第2部分に対して第3部分をより適切に折り曲げることができる。
【0012】
また、上記の方法において、ブランクを搬送方向に搬送する搬送工程をさらに備え、折曲げ工程では、搬送方向における第1部分の両端の各々に対して、第2部分と第3部分とが第1方向に連なって立ち上がった状態にある間に、第1部分の両端のうち、搬送方向における下流側の端では第3部分を第2部分に対して上流側に向かって折り曲げ、上流側の端では第3部分を第2部分に対して下流側に向かって折り曲げてもよい。
上記の方法によれば、底面部を挟んで隣り合う一対の内フラップを有する箱を製造する際に、折曲げ工程を効率的に実施することができる。
【0013】
また、前述の課題は、本発明の箱の製造装置によれば、底面部と、底面部から立ち上がった側面部と、底面部とは反対側の側面部の端に対して折り曲げ可能に隣接した内フラップと、を有する箱を、箱の基材をなすブランクを折り曲げて製造する箱の製造装置であって、底面部をなす第1部分と側面部をなす第2部分と内フラップをなす第3部分とを有するブランクのうち、第3部分を押圧する第1押圧部と、第2部分を押圧する第2押圧部と、を備え、第1部分に対して第2部分と第3部分とが第1方向に連なって立ち上がった状態にある間に、第1方向と交差する第2方向において、第2押圧部が第2方向の一方側から第2部分を押圧し、且つ、第1押圧部が第2方向の他方側から第3部分を押圧することにより、第2部分に対して第3部分を第2方向の一方側に倒すように折り曲げる、ことにより解決される。
【0014】
上記の箱の製造装置によれば、第1押圧部が第2方向の他方側から第3部分を押圧し、且つ、第2押圧部が第2方向の一方側から第2部分を押圧するので、第2部分が第3部分とともに倒れることなく、第2部分に対して第3部分を適切に折り曲げることができる。
【0015】
また、上記の箱の製造装置において、第1押圧部は、第1方向及び第2方向と交差する第3方向における第3部分の少なくとも中央部を押圧してもよい。
上記の構成によれば、第2部分に対して第3部分を効率的に折り曲げることができる。
【0016】
また、上記の箱の製造装置において、第1押圧部は、平板によって構成され、平板は、主面と、主面の端から立ち上がった端面とを備え、第1押圧部は、折曲げ工程の開始時、第2方向の他方側から第3部分を端面にて押圧し、第1押圧部は、第2部分に対して第3部分を第2方向の一方側に折り曲げた後、第1方向における第1部分と反対側から第3部分を主面にて押圧してもよい。
上記の構成によれば、折曲げ工程の期間中、第1押圧部が第3部分の押圧を維持するので、第2部分に対して第3部分を確実に折り曲げることができる。
【0017】
また、上記の箱の製造装置において、第2押圧部は、板部材によって構成され、板部材は、平坦部と、平坦部の後端に連続し平坦部に対して傾斜した傾斜部とを備え、第2押圧部が第2部分を押圧する際、平坦部の先端面が第2方向の一方側から第2部分と当接してもよい。
上記の構成によれば、第2押圧部が第2部分を適切に押圧することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブランクのうち、側面部をなす部分に対して内フラップをなす部分を適切に折り曲げることが可能な箱の製造方法及び箱の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造装置により製造された箱の一例を示す図である。
図2】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造工程に用いられるブランクの一例を示す平面図である。
図3】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造装置の全体構成を示す正面図である。
図4】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造装置の全体構成を示す平面図である。
図5図3の第1押圧ユニット及び第2押圧ユニットの構成を示す正面図である。
図6】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造装置の動作を示す正面図である。
図7】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造方法を説明するための概略正面図である(その1)。
図8】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造方法を説明するための概略正面図である(その2)。
図9】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造方法を説明するための概略正面図である(その3)。
図10】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造方法を説明するための概略正面図である(その4)。
図11】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造方法を説明するための概略平面図である。
図12】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造方法を説明するための概略正面図である(その5)。
図13】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造方法を説明するための概略正面図である(その6)。
図14】本発明の一つの実施形態に係る箱の製造方法を説明するための概略正面図である(その7)。
図15】第2押圧部に含まれる傾斜部の効果を説明するための図である。
図16】第2押圧部に含まれる傾斜部の別の効果を説明するための図である。
図17】第1押圧部の変形例を示す概略正面図である。
図18】箱の製造方法の変形例を説明するための概略正面図である(その1)。
図19】箱の製造方法の変形例を説明するための概略正面図である(その2)。
図20】箱の製造方法の別の変形例を説明するための概略正面図である(その1)。
図21】箱の製造方法の別の変形例を説明するための概略正面図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の箱の製造方法及び箱の製造装置について、添付の図面に示す好適な実施形態を参照しながら、以下に詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明の構成は、その趣旨を逸脱しない限り、下記の実施形態から変更又は改良され得る。
【0021】
また、本発明を実施するために用いられる各部材の材質及び形状等は、特に断る場合を除き、本発明の用途及び本発明の実施時点での技術水準等に応じて任意に設定できる。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0022】
また、本明細書において、「直交」、「垂直」、及び「平行」は、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、本明細書の「直交」、「垂直」及び「平行」は、厳密な直交、垂直、又は平行に対して±10°未満の範囲内であること等を意味する。なお、厳密な直交、垂直、又は平行からの誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
【0023】
<箱の製造方法の概要について>
本発明の一つの実施形態(以下、本実施形態という)に係る箱の製造方法の概要について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の箱の製造方法は、箱の基材をなすブランクから箱を製造する際に用いられる。
【0024】
まず、図1に、製造された箱(以下、箱A)の一例を示す。
図1に示すように、箱Aは、矩形状の底面部A1と、底面部A1の4辺のうちの短辺から立ち上がった一対の側面部A2と、底面部A1の4辺のうちの長辺から立ち上がった一対の側面部A3と、底面部A1とは反対側の側面部A2の端に対して折り曲げ可能に隣接した2つの内フラップA4と、底面部A1とは反対側の側面部A3の端に対して折り曲げ可能に隣接した2つの外フラップA5とで構成されている。箱Aの開口を閉じる際は、内フラップA4を内側に折り曲げた後、内フラップA4を覆うように外フラップA5を内側に折り曲げることとなる。
【0025】
次に、図2に、箱Aの基材をなすブランクの一例を示す。
図2に示すように、ブランクBは、1枚のシートから所定の形状に切断された平坦なシート部材であり、その形成材料は、例えば紙又は樹脂等である。
ブランクBは、図2に示すように、底面部A1をなす第1部分B1と、側面部A2をなす2つの第2部分B2と、側面部A3をなす2つの第2部分B3と、内フラップA4をなす2つの第3部分B4と、外フラップA5をなす2つの第4部分B5とで構成されている。
第1部分B1は、矩形状をなしており、2つの第2部分B2は、第1部分B1の4辺のうちの短辺にそれぞれ配置されている。2つの第2部分B3は、第1部分B1の4辺のうちの長辺にそれぞれ配置されている。2つの第3部分B4は、第2部分B2の各々に対して、第1部分B1と反対側に配置されている。2つの第4部分B5は、2つの第2部分B3の各々に対して、第1部分B1と反対側に配置されている。
【0026】
第1部分B1の長手方向における第2部分B3の端部には、挿入片B6が設けられている。第1部分B1の短手方向における第2部分B2の端部には、切込部B7が設けられている。挿入片B6は、後述する箱の製造処理において、切込部B7に挿入される。
なお、挿入片B6及び切込部B7が設けられる部分は、互いに入れ替わってもよい。すなわち、第1部分B1の長手方向における第2部分B3の端部には、切込部B7が設けられ、第1部分B1の短手方向における第2部分B2の端部には、挿入片B6が設けられてもよい。
【0027】
第1部分B1、第2部分B2、第2部分B3、第3部分B4、第4部分B5、及び挿入片B6のすべては一体化されており、各部分の間には、後の折曲げ工程にて折り曲げる際に基準となる折曲げ線が形成されている。
【0028】
箱の製造処理は、第1部分B1が水平となった状態でブランクBを搬送機構によって所定の搬送先に向けて搬送させながら実行される。
箱の製造処理は、具体的には、第2部分B2,B3を折り曲げる第1工程、第3部分B4を折り曲げる第2工程、第3部分B4をもう一度折り曲げる第3工程、及び第4部分B5を折り曲げて第4部分B5の端同士を粘着シート等で張り合わせる第4工程で構成されており、第1工程~第4工程の順で実行される。
なお、本実施形態では、第2工程は、2つの第3部分B4のうちの一方を折り曲げ、第3工程では、2つの第3部分B4の双方を折り曲げることとする。
【0029】
より具体的には、まず、第1工程にて、水平となった状態の第1部分B1に対して、第2部分B2と第3部分B4とが第1方向に連なって立ち上がった状態に折り曲げられる。また、水平となった状態の第1部分B1に対して、第2部分B3と第4部分B5とが第1方向に連なって立ち上がった状態に折り曲げられる。
「第1方向」とは、第1部分B1に対して第2部分B2,B3が立ち上がる方向を意味しており、必ずしも第1部分B1に対して垂直な方向とは限られず、第1部分B1に対して傾斜する方向も含まれる。
【0030】
第1方向に立ち上がった第2部分B2及び第2部分B3において、互いに隣り合う第2部分B2及び第2部分B3は、挿入片B6が切込部B7に挿入されることにより、互いに接続される。
【0031】
次に、上記の状態のブランクBが第2工程に搬送される。より具体的には、2つの第3部分B4が搬送方向に互いに対向する向きで搬送される。そして、2つの第3部分B4のうちの下流側の第3部分B4が、下流側の第2部分B2に対して、第1方向と交差する第2方向の一方側に倒れるように折り曲げられる。
「第2方向」とは、ブランクBが搬送される方向を意味する。
【0032】
この時点で、ブランクBは、第1部分B1の4辺の各々から第2部分B2がそれぞれ立ち上がった状態となっている。そして、2つの第3部分B4のうちの一方、つまり、下流側の第3部分B4は、第1部分B1の長手方向に離れて配置された2つの第2部分B2の一方である下流側の第2部分B2に対して折り曲げ可能に隣接し、もう一方の上流側の第3部分B4は上流側の第2部分B2とともに第1部分B1に対して第1方向に立ち上がった状態となっている。2つの第4部分B5は、第1部分B1の短手方向に離れて配置された2つの第2部分B3とともに、第1部分B1に対して第1方向に立ち上がった状態となっている。
【0033】
その後、第2工程を終えた第1部分B1の上に収納物が配置され、ブランクBは第3工程に搬送される。
第3工程では、2つの第3部分B4の双方が折り曲げられる。その前に、第2部分B2において、後述するZ方向の寸法が測定される。この寸法の測定は、例えば、センサによって第2部分B2の所定箇所、より具体的には、第2部分B2の上端の位置を検出することにより実施される。第2工程にて下流側の第3部分B4が折り曲げられたことにより、第2部分B2の上端の位置に応じて、第3工程にて第3部分B4を折り曲げる際に使用される押圧部の上下位置が調整される。
【0034】
第4工程では、2つの第3部分B4を覆うように2つの第4部分B5が折り曲げられ、第4部分B5の端同士が粘着シート等で張り合わせられる。
【0035】
以上の手順によって、ブランクBから箱Aが製造される。
【0036】
なお、上記で説明した箱の製造方法では、各工程において種々の装置が使用されている。そのうち、本実施形態に係る箱の製造装置(以下、単に製造装置1という)は、主として、前述した第2工程、すなわち、1回目に第3部分B4(より詳しくは、搬送方向の下流側の第3部分B4)を折り曲げる際の折曲げ工程にて使用される装置のことを意味する。
以下、製造装置1、及び製造装置1を用いた第3部分B4の折曲げ工程について詳細に説明する。
【0037】
<製造装置について>
図3~5を参照しながら本実施形態に係る製造装置1について説明する。製造装置1は、前述したように、第2工程、すなわち、1回目の第3部分B4の折曲げ工程にて使用され、一方の第3部分B4を折り曲げる。
【0038】
以下の説明において、搬送部11(図3参照)がブランクBを搬送する方向をX方向とし、X方向と直交する2つの方向をY方向及びZ方向とする。Y方向は、ブランクBが配置される搬送部11の搬送面11aに沿って延出する方向であり、Z方向は、搬送面11aと交差する方向である。以下の説明では、X方向及びY方向は、水平方向とし、Z方向は、鉛直方向とする。
また、X方向のうち、搬送部11により規定される搬送経路の入口により近い側、すなわち図3における紙面右側を上流側とし、搬送経路の出口により近い側、すなわち図3における紙面左側を下流側とする。また、Y方向のうち、搬送部11を挟んで駆動部30側(図4参照)を手前側とし、その反対側を奥側とする。また、Z方向のうち、搬送部11を挟んで搬送ガイド14側(図3参照)を上側とし、その反対側を下側とする。
【0039】
製造装置1は、図3に示すように、搬送機構10及び折曲げ機構20によって構成されている。
【0040】
[搬送機構10]
搬送機構10は、ブランクBをX方向に搬送する。具体的には、搬送機構10は、図3に示すように、搬送部11と、搬送部11の上流側に位置する搬送部12と、搬送部11の下流側に位置する搬送部13と、搬送部11の上側に位置する2つの搬送ガイド14(図4参照)とで構成されている。
【0041】
搬送部11,12,13の各々は、例えばベルトコンベアで構成されている。具体的には、搬送部11,12,13は、図3に示すように、X方向に離れて配置された2つのプーリと、2つのプーリ間に巻き付けられた無端状のベルトと、一方のプーリ(駆動プーリともいう)に接続された不図示のモータとを有する。不図示のモータに駆動力が付与されると駆動プーリが回転し、それに連なってベルトが回転する。搬送部11,12,13の各々のベルトの上側の面は、ブランクBを搬送する搬送面となり、ブランクBをX方向の上流側から下流側に搬送する。
【0042】
2つの搬送ガイド14は、図4に示すように、ブランクBがX方向の上流側から下流側に移動する際に、ブランクBのY方向の姿勢を調整する。より具体的には、2つの搬送ガイド14は、図3に示すようにZ方向において搬送部11の搬送面11aとの間に隙間を空けた状態で、図4に示すようにブランクBをY方向の両側から挟むようにY方向に離れて配置されている。
【0043】
搬送ガイド14は、図4に示すように、X方向に対して傾斜する方向に延びており、より詳しくは、X方向の下流側に進むにつれて搬送ガイド14間の寸法が狭まるようにY方向の内側に向かって傾斜している。搬送ガイド14は、例えば断面円形状の軸部材であり、その外周面をブランクBにおける第2部分B3の外表面に当接させることにより、下流側に向かうにつれて第2部分B2が搬送部11におけるY方向と平行になるようにブランクBの姿勢を調整する。
【0044】
[折曲げ機構20]
折曲げ機構20は、搬送面11aにブランクBが位置している間に、第3部分B4を、第2部分B2に対して第2方向の一方側(本実施形態では、X方向の上流側)に倒すように折り曲げる(図12参照)。折曲げ機構20は、図4に示すように、2つの駆動部30、2つの伝達部40、第1押圧ユニット50、及び第2押圧ユニット60から構成されている。
一方の駆動部30(図4に示す2つの駆動部30のうちの左側)は、接続されている一方の伝達部40を介して第1押圧ユニット50に駆動力を付与する。他方の駆動部30(図4に示す2つの駆動部30のうちの右側)は、接続されている他方の伝達部40を介して第2押圧ユニット60に駆動力を付与する。
【0045】
(駆動部)
2つの駆動部30は、図4に示すように、搬送部11のY方向の手前側において、X方向に並べて配置されている。各々の駆動部30は、図3に示すように、エアシリンダ31と、エアシリンダ31を支持する支持具32とを有する。
【0046】
エアシリンダ31は、図3に示すように、エアシリンダ本体31aと、エアシリンダ本体31aの一端から突出しエアシリンダ本体31aに対して突出する長さが変わるように進退するロッド31bとを有する。折曲げ機構20は、エアシリンダ本体31aに対してロッド31bを進退させることにより状態を変化させる。
具体的には、折曲げ機構20は、エアシリンダ本体31aに対してロッド31bの先端を遠ざける第1状態と、エアシリンダ本体31aに対してロッド31bの先端を近づける第2状態とを有する。図3及び4に示す例では、第1押圧ユニット50側の機構及び第2押圧ユニット60側の機構の双方が第1状態となっている。なお、図6に図示の折曲げ機構20では、第1押圧ユニット50側の機構及び第2押圧ユニット60側の機構の双方が第2状態となっている。
【0047】
「第1押圧ユニット50側の機構」とは、第1押圧ユニット50と、第1押圧ユニット50に接続された駆動部30及び伝達部40とから構成される機構を意味する。「第2押圧ユニット60側の機構」とは、第2押圧ユニット60と、第2押圧ユニット60に接続された駆動部30及び伝達部40とから構成される機構を意味する。
【0048】
支持具32は、エアシリンダ本体31aを揺動可能に支持している。これにより、折曲げ機構20が第1状態と第2状態とを移行する際、エアシリンダ31の全体が揺動することで、エアシリンダ本体31aに対してロッド31bが円滑に進退する。
【0049】
(伝達部)
各々の伝達部40は、駆動部30の駆動力を第1押圧ユニット50及び第2押圧ユニット60にそれぞれ伝達する。伝達部40は、図4に示すように、伝達部材41と、伝達部材41に接続されている回転軸42と、回転軸42を回転可能に支持する2つの軸受43とを有する。
【0050】
伝達部材41は、軸部材であり、図3に示すように、その一端はロッド31bの先端に対して回転可能に支持されている。
回転軸42は、図4に示すように、Y方向に延出しており、その両端部は、2つの軸受43により回転可能に支持されている。回転軸42の駆動部30側の端(Y方向の手前側の端)は、図3に示すように、ロッド31bと反対側の伝達部材41の端に固定されており、伝達部材41が回転軸42の軸まわりに回動すると、それに連なって回転軸42が回転する。
【0051】
2つの軸受43は、図4に示すように、Y方向に離れて配置されX方向に延出する2つのフレーム44の上にそれぞれ配置されている。
【0052】
(第1押圧ユニット)
第1押圧ユニット50は、図5に示すように、アーム51、角度調整部材52、及び第1押圧部53により構成されている。
【0053】
アーム51は、例えば柱状の軸部材であり、図5に示すように、その一端を回転軸42に固定し、回転軸42の軸方向と直交する方向に延びている。アーム51は、回転軸42が回転すると、それに連なって回転軸42の軸まわりに回動する。
【0054】
角度調整部材52は、図4に示すようにアーム51と第1押圧部53との間に介在する部材であり、図5に示すようにアーム51に対する第1押圧部53の取り付け角度(以下、角度M)を調整する。
【0055】
角度調整部材52は、回転軸42とは反対側のアーム51の端に固定されている。角度調整部材52は、図4に示すように、例えば断面L字状の板部材であり、アーム51と当接する面52aと、面52aと直交し第1押圧部53と当接する面52bとを有する。より詳しくは、面52aは、図4に示すように、アーム51の4つの側面のうちの1つの側面に対して固定され、面52bは、図5に示すように、第1押圧部53の主面(図5ではX方向の上流側の面)に対して固定される。角度Mを調整する際は、例えば、アーム51に対して角度調整部材52を固定するための不図示のボルトを一旦緩め、角度Mを調整し終えた後に、再び不図示のボルトを締める。
【0056】
第1押圧部53は、第3部分B4の折曲げ工程の期間中に第3部分B4を押圧する部材である。具体的には、第1押圧部53は、平板によって構成され、図5に示すように、角度調整部材52においてアーム51に接続されている側と反対側の端で、アーム51の軸方向と交差する方向の一方側(図5ではZ方向の下側)に突出するように形成されている。
【0057】
第1押圧部53は、例えば平面視で矩形状をなしている。より具体的には、第1押圧部53は、図5に示すように、アーム51の軸方向(図5ではX方向)に離れて配置された一対の主面(1つは主面53a)と、主面53aの4辺のそれぞれに沿って配置された4つの端面(1つは端面53b)とで構成されている。
角度調整部材52側(図5では上流側)の第1押圧部53の主面は、図5に示すように角度調整部材52の面52bに固定されている。
角度調整部材52と反対側(図5では下流側)の第1押圧部53の主面53aは、折曲げ工程の期間中にブランクBの第3部分B4の外表面と当接する(図12参照)。
また、4つの端面のうち、第1押圧部53の先端側(図5ではZ方向の下側)に位置する端面53bは、折曲げ工程の期間中、ブランクBの第3部分B4と当接する(図10参照)。
【0058】
第1押圧部53は、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において、図4に示すように2つの搬送ガイド14の間に位置する。
「第3方向」とは、ブランクBの搬送方向と直交する方向のうちの搬送面11aが延出する方向であり、本実施形態では、Y方向として説明する。
【0059】
第1押圧ユニット50を構成する各部、すなわち、アーム51、角度調整部材52、及び第1押圧部53は、例えば金属材料又は樹脂材料等により形成されている。
【0060】
(第2押圧ユニット)
第2押圧ユニット60は、図5に示すように、アーム61、角度調整部材62、及び第2押圧部63により構成されている。
【0061】
アーム61は、例えば柱状の軸部材であり、図5に示すように、その一端を回転軸42に固定し、回転軸42の軸方向と直交する方向に延びている。アーム61は、回転軸42が回転すると、それに連なって回転軸42の軸まわりに回動する。アーム61は、図4に示すように、アーム51に対してY方向にずれて配置されている。
【0062】
角度調整部材62は、図4に示すようにアーム61と第2押圧部63との間に介在する部材であり、図5に示すようにアーム61に対する第2押圧部63の取り付け角度(以下、角度M)を調整する。
【0063】
角度調整部材62は、回転軸42とは反対側のアーム61の端に固定される。角度調整部材62は、図4に示すように、例えば断面L字状の板部材であり、アーム61と当接する面62aと、面62aと直交し第2押圧部63と当接する面62bとを有する。より詳しくは、面62aは、図4に示すように、アーム61を構成する4つの側面のうちの1つの側面に対して固定され、面62bは、図5に示すように、後述する傾斜部65の主面(図5ではX方向の下流側の面)に対して固定される。角度Mを調整する際は、例えば、アーム61に対して角度調整部材62を固定するための不図示のボルトを一旦緩め、角度Mを調整し終えた後に、再び不図示のボルトを締める。
【0064】
第2押圧部63は、第3部分B4の折曲げ工程の期間中に第2部分B2を押圧する部材である。具体的には、第2押圧部63は、板部材によって構成され、図5に示すように、角度調整部材62においてアーム61に接続されている側と反対側の端で、アーム61の軸方向と交差する方向の一方側(図5ではZ方向の下側)に突出するように形成されている。
【0065】
より具体的には、第2押圧部63は、図5に示すように、平坦部64と、平坦部64の両端において、上流側に形成されている平坦部64の後端に連続し平坦部64に対して傾斜した傾斜部65とを備える。
平坦部64は、図5に示すように、平面視で矩形状の板部であり、その先端面64aは、第2押圧部63の先端面をなし、第3部分B4の折曲げ工程の期間中、ブランクBの第2部分B2の内表面と当接する(図12参照)。
傾斜部65は、平面視で矩形状の板部であり、図5に示すように、アーム61の軸方向(図5ではX方向)に離れて配置された一対の主面を有しており、角度調整部材62側(図5では下流側)の傾斜部65の主面が、角度調整部材62の面62bに固定される。
【0066】
第2押圧部63は、図4に示すように、第3方向(本実施形態ではY方向)において、2つの搬送ガイド14の間に位置する。
【0067】
第2押圧ユニット60を構成する各部、すなわち、アーム61、角度調整部材62、及び第2押圧部63は、例えば金属材料又は樹脂材料等により形成されている。
【0068】
[搬送機構の動作について]
搬送機構10の動作について、図6を参照しながら説明する。具体的には、製造装置1における不図示の制御部が、搬送機構10の不図示のモータを制御することにより、搬送部11,12,13の各々のベルトを回転させる。より詳しくは、図6に示すようにベルトがY方向の手前側から見て反時計回りに回転する場合、ブランクBがX方向の下流側に向かって搬送され、ベルトがY方向の手前側から見て時計回りに回転する場合、ブランクBがX方向の上流側に向かって搬送される。
【0069】
[折曲げ機構の動作について]
次に、折曲げ機構20の動作について、図6を参照しながら説明する。図3~5では、前述したように、第1押圧ユニット50側の機構及び第2押圧ユニット60側の機構の双方が第1状態となっていたが、図6では、第1押圧ユニット50側の機構及び第2押圧ユニット60側の機構の双方が第2状態となっている。以下の説明では、第1状態から第2状態に移行する際の折曲げ機構20の動作について説明する。
【0070】
まず、製造装置1における不図示の制御部が、第1状態から第2状態に移行するように駆動部30に対して指示を行うと、図6に示すように、ロッド31bの先端がエアシリンダ本体31aに近づくように、エアシリンダ本体31aに対しロッド31bが移動する。これにより、伝達部材41がロッド31bの先端に引っ張られて、回転軸42の軸まわりに回動する。より詳しくは、図6に示すように、Y方向の手前側から見て、第1押圧ユニット50側の伝達部材41が反時計回りに回動し、第2押圧ユニット60側の伝達部材41が時計回りに回動する。
【0071】
これにより、各々の回転軸42が回転し、それに連なって、第1押圧ユニット50及び第2押圧ユニット60の各々が回動する。より詳しくは、Y方向の手前側から見て、第1押圧ユニット50は、図6に示すように、回転軸42の軸を中心に反時計回りに回動して第1押圧部53がX方向と平行になる位置まで移動する。第2押圧ユニット60は、回転軸42の軸を中心に時計回りに回動して第2押圧部63の平坦部64がX方向と平行になる位置まで移動する。
以上の動作により、第1押圧ユニット50側の機構及び第2押圧ユニット60側の機構の双方が第1状態から第2状態に移行する。
第2状態における第1押圧部53及び第2押圧部63の位置関係について説明すると、図6に示すように、両押圧部がZ方向において間隔を空けて位置している。詳しくは第2状態では、第1押圧部53が第2押圧部63の平坦部64の直上位置に位置する。
【0072】
なお、折曲げ機構20は、上記とは逆の動作を行うことにより第2状態から第1状態に移行する。
【0073】
<第3部分の折曲げ工程(第2工程)について>
次に、図7~14を参照しながら第3部分B4の折曲げ工程(第2工程)について説明する。本実施形態の第3部分B4の折曲げ工程では、ブランクBにおいて、X方向に離れて配置された2つの第3部分B4のうち、X方向の下流側の第3部分B4が折り曲げられることとする。
【0074】
第3部分B4の折曲げ工程は、オペレーターが製造装置1にて開始用の操作を行うことを契機として開始される。なお、折曲げ工程の開始時には、図7に示すように、第1押圧ユニット50側の機構及び第2押圧ユニット60側の機構の双方が第1状態となっている。
第3部分B4の折曲げ工程が開始されると、まず、ブランクBをX方向に搬送する搬送工程により、前工程(第1工程)を経たブランクBが、搬送部12から搬送部11に引き渡され、搬送部11の上面において搬送される。この時点のブランクBは、水平となった状態の第1部分B1に対して、第2部分B2と第3部分B4とが第1方向(図7ではZ方向)に連なって立ち上がった状態となっている。そして、ブランクBの下流側の端が位置P1に到達したことを不図示のセンサが検知すると、搬送部11の駆動が停止する。
【0075】
続いて、図8に示すように、第1押圧ユニット50側の機構が第1状態から第2状態に移行し、第1押圧部53がX方向と平行になる位置で停止する。
その後、搬送部11の駆動が再開され、図9に示すように、ブランクBの下流側の端が位置P2に到達したことを不図示のセンサが検知すると、搬送部11の駆動が停止する。これにより、第1押圧部53を、X方向の下流側において第3部分B4と対向する第1位置に静止させた状態となり、より詳しくは、第1押圧部53は、X方向の下流側において、第1押圧部53の先端と第3部分B4との間に隙間Cを設けた状態で静止する。
なお、位置P1から位置P2にブランクBの下流側の端を移動させる際、搬送部11の搬送速度は、停止誤差を少なくするために、位置P1にブランクBを搬送するまでの搬送速度よりも低速であることが好ましい。
【0076】
次に、図10に示すように、第2押圧ユニット60側の機構が第1状態から第2状態に移行し、その移行過程の途中から第2状態に移行し終えるまでの間、第2押圧部63がX方向の上流側から下流側に第2部分B2を押圧しながら移動する。第2押圧部63が第2部分B2を押圧する際、平坦部64の先端面64aがX方向の上流側から第2部分B2、より詳しくは、第2部分B2の内表面と当接する。これにより、ブランクBが下流側に押し込まれ、ブランクBの下流側の端が位置P2から位置P3に移動する。このとき、搬送部11は停止しており、ブランクBは搬送面11aの上を滑りながら位置P2から位置P3に移動することとなる。ブランクBの下流側の端が位置P3に到達することにより、図10に示すように、第1押圧部53の端面53bが第3部分B4、より詳しくは、第3部分B4の外表面と当接する。これにより、第1押圧部53がX方向の下流側から第3部分B4の外表面を押圧し、且つ第2押圧部63がX方向の上流側から第2部分B2の内表面を押圧する状態となる。
【0077】
図11に示す平面図は、このときの状態を上側から平面視したものである。図11に示すように、第1押圧部53は、Y方向において第3部分B4よりも長く、端面53bにて第3部分B4のY方向の全域を押圧することとなる。
第2押圧部63は、Y方向において第2部分B2よりもやや短く、先端面64aにてY方向の第2部分B2の略全域を押圧することとなる。「略全域」について、より詳しくは、図11に示すように、Y方向において、第2押圧部63と、その両側に位置する第2部分B2との間には互いの干渉を防止するための隙間Gがそれぞれ設けられている。第2押圧部63は、Y方向において隙間Gを除いた第2部分B2の全域を先端面64aにて押圧することとなる。
【0078】
なお、第1押圧部53は、第3部分B4の下端部(より詳しくは、下端よりもやや上側)を押圧し、第2押圧部63は、第2部分B2の上端部(より詳しくは、上端よりもやや下側)を押圧することが好ましい。換言すると、第1押圧部53及び第2押圧部63は、図10に示すように、第2部分B2及び第3部分B4の境界をなす折曲げ線Lの近傍をそれぞれ押圧することが好ましい。
第3部分B4の下端部とは、図10に示すように、箱の製造装置1を正面視した際の、第3部分B4の領域のうちの折曲げ線Lの直上の領域をいう。第2部分B2の上端部とは、箱の製造装置1を正面視した際の、第2部分B2の領域のうちの折曲げ線Lの直下の領域をいう。
【0079】
その後、図12に示すように、第2部分B2に対して、第3部分B4が第2方向の一方側(図12ではX方向の上流側)に向かって折り曲げられ、第2押圧部63の平坦部64がX方向と平行になった時点で、第2押圧ユニット60側の機構が第2状態となる。これにより、ブランクBの下流側の端が位置P4に移動し、折り曲げられた第3部分B4が第1押圧部53の直下に潜り込む。
【0080】
第3部分B4を折り曲げた後、図13に示すように、第2押圧ユニット60側の機構が第2状態から再び第1状態に移行する。換言すると、第2押圧部63は、第2部分B2から遠ざかって第2部分B2の押圧が解除されるように移動する。
【0081】
一方で、第1押圧ユニット50側の機構は第2状態を維持し、第1押圧部53は、第3部分B4の押圧が維持される位置に保持される。より詳しくは、第1押圧部53は、Z方向における第1部分B1と反対側(図13では上側)から第3部分B4の外表面を主面53aにて押圧する。
なお、第1押圧部53は、図13に示すようにX方向において第3部分B4よりも長く、図11に示すようにY方向において第3部分B4よりも長い。すなわち、押圧時において、第1押圧部53は、第3部分B4の外表面の全域を主面53aにて押圧することとなる。
第1押圧部53による第3部分B4の押圧時間は、例えば1秒間とする。
【0082】
第1押圧部53による第3部分B4の押圧が終了すると、図14に示すように、第1押圧ユニット50側の機構は第2状態から第1状態に移行する。これにより、第1押圧ユニット50及び第2押圧ユニット60が、ブランクBから退避した状態となる。なお、第1押圧ユニット50がブランクBから退避すると、第3部分B4は、第2部分B2に対して元の位置に戻ろうとする力が作用し、Y方向の手前側からみたときに、第2部分B2と第3部分B4との間の折曲げ線Lを基準として第3部分B4がわずかに反時計回りに起き上がる。
その後、搬送部11の駆動が再開され、ブランクBは、X方向の下流側に搬送され、搬送部13を介して後工程(第3工程)に送られる。
【0083】
以上の手順によって、第3部分B4の折曲げ工程(第2工程)が実施され、第2部分B2に対して第3部分B4が折り曲げられる。
【0084】
<本実施形態の作用及び効果について>
以上までに説明したように、上記の箱の製造方法によれば、図12に示すように、第2押圧部63がX方向の上流側から第2部分B2の内表面を押圧し、且つ、第1押圧部53がX方向の下流側から第3部分B4の外表面を押圧する。これにより、第2部分B2が第3部分B4とともに倒れることなく、第2部分B2に対して第3部分B4を折曲げ線Lに沿って適切に折り曲げることができる。
【0085】
特に、第2部分B2の剛性(コシ)が低い場合、換言すると、第1部分B1に対する第2部分B2の立ち上がりの強度が弱い場合、従来の箱の製造方法では、第1部分B1に対して、第2部分B2が第3部分B4とともに倒れ易かった。具体的には、使用するブランクBの厚みが薄い場合、又は第2部分B2のZ方向の長さが長い場合(つまり、箱Aの高さが高い場合)等が該当する。このような場合においても、本実施形態の箱の製造方法によれば、第2部分B2に対して第3部分B4を適切に折り曲げることができる。
【0086】
また、上記の方法により、第2部分B2に対して第3部分B4を事前に折り曲げることによって、後工程(第3工程)にて、内フラップをなす第3部分B4を折り曲げる際に適切に折り曲げることができる。これにより、より後の第4工程において、外フラップをなす第4部分B5も適切に折り曲げられ、さらには、2つの第4部分B5の隣り合う端同士をテープで適切に固定することができる。
【0087】
また、第2部分B2に対して第3部分B4を適切に折り曲げることにより、後工程(第3工程)にて、箱Aの高さ、すなわち、第2部分B2のZ方向の寸法を適切に測定することができる。そして、その情報に基づいて、第3工程にて第3部分B4を折り曲げる際に使用される第3押圧部の上下位置を適切に調整することができる。
【0088】
また、上記の方法において、第3部分B4の折曲げ工程の開始時には、図10に示すように、第1押圧部53をX方向の下流側において第3部分B4と対向する第1位置に静止させた状態で、第2押圧部63がX方向の上流側から下流側に第2部分B2を押圧しながら移動する。
上記の方法によれば、第1押圧部53が静止した状態で、第2押圧部63が押圧動作することにより、第3部分B4は第2部分B2との間に形成されている折曲げ線Lを起点に第2部分B2に対して第3部分B4をより適切に折り曲げることができる。より詳しくは、第1部分B1に対して第2部分B2及び第3部分B4を垂直に近い状態に維持しながら、折曲げ線Lを起点に第1押圧部53及び第2押圧部63がブランクBを押圧することができるので、第3部分B4をより適切に折り曲げることができる。
【0089】
また、上記の方法によれば、第2押圧部63がX方向の上流側から下流側に第2部分B2の内表面を押圧しながら移動する。すなわち、図9及び10に示すように、ブランクBの下流側の端が位置P2から位置P3に移動するので、搬送方向と同じ方向にブランクBを移動させることができ、後工程(第3工程)に備えることができる。
【0090】
また、上記の方法において、第2部分B2に対して第3部分B4をX方向の上流側に折り曲げた後、図13に示すように、第1押圧部53は、第3部分B4の外表面への押圧が維持される位置に保持される。さらに、第2押圧部63は、第2部分B2から遠ざかって第2部分B2の押圧が解除されるように移動する。
上記の方法によれば、第1押圧部53による第3部分B4の外表面への押圧が維持される位置に第1押圧部53を保持することにより、第2部分B2に対して第3部分B4をより適切に折り曲げることができる。
より詳しくは、第1押圧部53による第3部分B4の外表面への押圧が維持されることにより、第2部分B2と第3部分B4との間に位置する折曲げ線の箇所が適切に塑性変形し(折り癖が付き)、第2部分B2に対して折曲げ線Lを起点として第3部分B4を適切に折り曲げることができる。
【0091】
また、第3部分B4を第2部分B2に対して折り曲げた後に、第2押圧部63は、第2部分B2から遠ざかって第2部分B2の押圧が解除されるように移動するので、後工程(第3工程)に備えることができる。
【0092】
また、上記の方法において、第3部分B4の折曲げ工程の開始時に、第1押圧部53は、図9に示すように、X方向の下流側において、第3部分B4との間に隙間Cを設けた状態で静止する。
上記の方法によれば、第1押圧部53及び第2押圧部63がブランクBを押圧する際に、第1部分B1に対して第2部分B2及び第3部分B4を垂直に近い状態に維持しやすくなる。これにより、第2部分B2に対して第3部分B4をさらに適切に折り曲げることができる。
【0093】
また、図10に示すように、第1押圧部53は、第3部分B4の折曲げ工程の開始時、X方向の下流側から第3部分B4の外表面を端面53bにて押圧する。また、図12に示すように、第1押圧部53は、第2部分B2に対して第3部分B4をX方向の上流側に折り曲げた後、Z方向における第1部分B1と反対側(上側)から第3部分B4の外表面を主面53aにて押圧する。
上記の構成によれば、第3部分B4の折曲げ工程の期間中、第1押圧部53が第3部分B4の外表面への押圧を維持するので、第2部分B2に対して第3部分B4を確実に折り曲げることができる。
【0094】
特に、本実施形態では、図11に示すように、第1押圧部53は、端面53bにて第3部分B4の外表面のY方向の全域を押圧するので、押圧面積を広くとることができ、第2部分B2に対して第3部分B4をより確実に折り曲げることができる。
また、第1押圧部53は、図12に示すように、第3部分B4の外表面の全域(X方向及びY方向に延出する全域)を主面53aにて押圧するので、押圧面積を広くとることができ、第2部分B2に対して第3部分B4をより確実に折り曲げることができる。
【0095】
また、製造装置1において、図10に示すように、第2押圧部63が第2部分B2の内表面を押圧する際、平坦部64の先端面64aがX方向の上流側から第2部分B2の内表面と当接する。
上記の構成によれば、第2押圧部63が第2部分B2の内表面を適切に押圧することができる。
特に、本実施形態では、図11に示すように、第2押圧部63は、先端面64aにて第2部分B2の内表面のY方向の略全域を押圧するので、押圧面積を広くとることができ、第2部分B2に対して第3部分B4をより確実に折り曲げることができる。
【0096】
また、駆動部30は、図3に示すように、エアシリンダ31を用いた簡易な構成により、折曲げ機構20の第1状態及び2状態を実現している。これに対し、エアシリンダ31の代わりに、例えばモータ等を用いた場合、モータの回転及び停止を制御するための機構として、ロータリエンコーダ等を用いた複雑な構成が必要となる。したがって、エアシリンダ31を用いた構成の方が、より単純な構成であり、且つ制御効率が向上する。
【0097】
また、図5に示すように、角度調整部材52,62が、アーム51,61に対する第1押圧部53及び第2押圧部63の各々の角度Mを調整する。これにより、第1押圧部53が第3部分B4に当接する際の角度、及び第2押圧部63が第2部分B2に当接する際の角度を適切に調整することができる。
【0098】
また、傾斜部65が平坦部64に対して傾斜しているので、図15に示す第2押圧ユニット60Aのように第2押圧部63Aが平板で構成されている場合に比べて、第2押圧ユニット60を第1押圧ユニット50に近づけることができる。
より詳しくは、図15に示すように、折曲げ機構20が第2状態にある場合において、第2押圧ユニット60Aでは、水平(Y方向)に延びる第2押圧部63Aの上面からアーム61Aが垂直(Z方向の上側)に延び、その先端に回転軸42Aが位置する。一方で、本実施形態の第2押圧ユニット60では、水平(Y方向)に延びる平坦部64の後端から、傾斜部65がX方向のZ方向の上側に向かって傾斜して延びている。そして、傾斜部65の上面からアーム61が垂直に延び、その先端に回転軸42が位置する。このような構成であれば、第2押圧ユニット60のアーム61が、第2押圧ユニット60Aのアーム61Aに比べて、第1押圧ユニット50側に倒れるように傾くことができる。これにより、第2押圧ユニット60側の回転軸42を第1押圧ユニット50側の回転軸42を近づけることができ、折曲げ機構20の小型化を実現することができる。
【0099】
また、図16に示すように、第2押圧ユニット60の最大の回動範囲を例えば角度90°と設定した場合、前述した第2押圧ユニット60Aでは、第1状態から第2状態に移行する際の回動範囲が最大の角度90°となってしまう。一方で、本実施形態に係る第2押圧ユニット60では、平坦部64に対する傾斜部65の傾斜角度を角度Nとした場合、第1状態から第2状態に移行する際の回動範囲が角度(90-N)°に収まる。このため、第1押圧ユニット50と干渉しない範囲内で、さらに角度N°分だけ第2押圧部63を回動させることが可能となる。
【0100】
<その他の実施形態について>
上記の実施形態では、第3部分B4の折曲げ工程の開始時に、第1押圧部53は、図9に示すように、X方向の下流側において、第3部分B4との間に隙間Cを設けた状態で静止するとした。ただし、これに限られず、隙間Cを設けず、第3部分B4に対して第1押圧部53を当接させた状態で静止してもよい。
【0101】
また、上記の実施形態では、ブランクBの下流側の端が位置P1に到達したことを不図示のセンサが検知すると、搬送部11の駆動が一旦停止するとした。ただし、これに限られず、ブランクBの下流側の端を、位置P1で一旦停止させずに、位置P2まで到達させてもよい。
または、前述したように、第1押圧部53と第3部分B4との間に隙間Cを設けない場合、位置P1で一旦停止させずに、ブランクBの下流側の端を位置P3まで到達させてもよい。
【0102】
また、上記の実施形態では、第1押圧ユニット50及び第2押圧ユニット60は、図5に示すように、角度調整部材52,62を備えていた。ただし、これに限られず、第1押圧ユニット50及び第2押圧ユニット60の一方のみが角度調整部材52,62を備えてもよいし、双方とも角度調整部材を備えてなくてもよい。例えば、第1押圧ユニット50が角度調整部材52を備え、第2押圧ユニット60が角度調整部材62を備えなくてもよい。第1押圧ユニット50が角度調整部材52を備えない場合、第1押圧部53は回転軸42とは反対側のアーム51の端に固定される。第2押圧ユニット60が角度調整部材62を備えない場合、第2押圧部63は回転軸42とは反対側のアーム61の端に固定される。
【0103】
また、上記の実施形態では、第1押圧部53は、平板によって構成されているとしたが、これに限定されず、例えば、図17に示すように、第1押圧部53Bが、平坦部54Bと、平坦部54Bの後端に連続し平坦部54Bに対して傾斜した傾斜部55Bとを備えてもよい。
この場合、第1押圧部53Bは、第2押圧ユニット60に対する干渉を避けることができる。
【0104】
また、上記の実施形態では、第2押圧部63が、平坦部64と傾斜部65とを備えるとしたが、これに限定されず、例えば、図15に示す第2押圧部63Aのように、第2押圧部は、傾斜部を備えず、平板で構成されてもよい。
【0105】
また、上記の実施形態では、第1押圧部53、平坦部64、及び傾斜部65は、平面視で矩形状をなすとした。ただし、第1押圧部、平坦部、及び傾斜部は、これに限定されず、例えば平面視で矩形以外の多角形状であってもよく、平坦部の先端形状が半円又は楕円形状であってもよく、軽量化、低コスト化、又は他部品との干渉等の設計事情を考慮した形状としてもよい。
【0106】
また、上記の実施形態では、折曲げ機構20は、2つの駆動部30を有するとしたが、これに限定されず、1つの駆動部から、第1押圧ユニット50及び第2押圧ユニット60の双方に駆動力を付与してもよい。
【0107】
また、上記の実施形態では、第1押圧部53は、図11に示すように端面53bにて第3部分B4のY方向の全域を押圧し、図12に示すように第3部分B4の外表面の全域(X方向及びY方向に延出する全域)を主面53aにて押圧するとした。ただし、これに限定されず、例えば、第1押圧部53は、第3方向(本実施形態ではY方向)における第3部分B4の少なくとも一部、例えば中央部を押圧してもよい。すなわち、第1押圧部53は、端面53bにて第3部分B4のY方向の一部を押圧し、主面53aにて第3部分B4の外表面の一部を押圧してもよい。
また、上記の実施形態では、第2押圧部63は、先端面64aにて第2部分B2のY方向の略全域を押圧するとしたが、これに限定されず、例えば、第2押圧部は、先端面64aにてY方向における第2部分B2の少なくとも一部、例えば中央部を押圧してもよい。
第1押圧部53及び第2押圧部63のY方向における幅を狭くして部材の体積を減らすことで、第1押圧部53及び第2押圧部63をより安価に製作し、製造装置の導入コストを抑えることができる。なお、第1押圧部53及び第2押圧部63は、Y方向における第2部分B2の一部のうちの特に中央部を、端面53b及び先端面64aにて押圧すると、第2部分B2に対して第3部分B4をより効果的に折り曲げることができる。
【0108】
また、第1押圧部及び第2押圧部の各々が、例えば、第3方向(本実施形態ではY方向)の両端部から、X方向の上流側及びX方向の下流側に突出するピン部を有し、第1押圧部は、Y方向における第3部分B4の両端部を押圧し、第2押圧部は、Y方向における第2部分B2の両端部を押圧してもよい。
この場合においても、第1押圧部及び第2押圧部のY方向における幅を狭くして部材の体積を減らすことで、第1押圧ユニット50及び第2押圧ユニット60における駆動効率を上げるとともに、第1押圧部及び第2押圧部をより安価に製作し、製造装置の導入コストを抑えることができる。
【0109】
また、上記の実施形態では、箱の製造工程は、搬送機構10によりブランクBを搬送する搬送工程を備えていた。ただし、これに限定されず、例えば、搬送工程の代わりに、ロボットアーム又はオペレーター等が所定の位置にブランクBをセットした後に、上記と同様の要領で第3部分B4の折曲げ工程を実施してもよい。
【0110】
また、上記の実施形態では、第1押圧部53をX方向の下流側において第3部分B4と対向する第1位置に静止させた状態で、第2押圧部63がX方向の上流側から下流側に第2部分B2を押圧しながら移動するとした。ただし、これに限定されず、例えば、図18及び19に示す製造装置1Cのように、第2押圧部63をX方向の上流側において第2部分B2と対向する第2位置に静止させた状態で、第1押圧部53がX方向の下流側から上流側に第3部分B4を押圧しながら移動してもよい。
【0111】
より具体的には、第3部分B4の折曲げ工程が開始されると、前工程(第2工程)を経たブランクBが製造装置1Cに供給され、搬送部12から搬送部11に引き渡されて搬送部11上で搬送される。そして、ブランクBの下流側の端が図18に示す位置P5に到達したことを不図示のセンサが検知すると、搬送部11の駆動が停止する。次に、第2押圧ユニット60側の機構が第1状態から第2状態に移行し、第2押圧部63の平坦部64がX方向と平行になる。
その後、搬送部11の駆動が再開され、不図示のモータを逆回転させることにより、ブランクBが、X方向の下流側から上流側に搬送される。X方向の下流側のブランクBの端が位置P6に到達したことを不図示のセンサが検知すると、搬送部11の駆動が停止する(図18の状態)。これにより、第2押圧部63を、X方向の上流側において第2部分B2と対向する第2位置に静止させた状態となり、より具体的には、第2押圧部63は、X方向の上流側において、第2部分B2の内表面との間に隙間Cを設けた状態で静止する。
次に、図19に示すように、第1押圧ユニット50側の機構が第1状態から第2状態に移行し、その移行過程において、ブランクBの下流側の端が位置P7に移動しつつ、最終的には、第2部分B2に対して第3部分B4が折り曲げられる。
この場合、第2押圧部63が静止した状態で、第1押圧部53が動作(押圧動作)することにより、第2部分B2に対して第3部分B4を適切に折り曲げることができる。
また、第2押圧部63と第2部分B2との間に隙間Cを設けることにより、第1押圧部53及び第2押圧部63がブランクBを押圧する際に、第1部分B1に対して第2部分B2及び第3部分B4を垂直に近い状態に維持しやすくなる。これにより、第2部分B2に対して第3部分B4をより適切に折り曲げることができる。
【0112】
また、上記の実施形態では、第3部分B4の折曲げ工程において、X方向に離れて配置された2つの第3部分B4のうち、X方向の下流側の第3部分B4を折り曲げるとした。ただし、これに限定されず、X方向の上流側の第3部分B4のみを折り曲げてもよい。すなわち、X方向に互いに対向する2つの第3部分B4のいずれか一方を折り曲げてもよい。
また、第3部分B4の折曲げ工程において、X方向に互いに対向する2つの第3部分B4の双方を折り曲げてもよい。その場合、X方向の上流側の第3部分B4を折り曲げた後に、下流側の第3部分B4を折り曲げてもよいし、X方向の下流側の第3部分B4を折り曲げた後に、上流側の第3部分B4を折り曲げてもよい。
例えば、図20及び21に示すように、X方向における第1部分B1の両端のうち、下流側の端では第3部分B4を第2部分B2に対して上流側に向かって折り曲げ、上流側の端では第3部分B4を第2部分B2に対して下流側に向かって折り曲げてもよい。
【0113】
より具体的には、まず、ブランクBが、X方向における第1部分B1の両端の各々に対して、第2部分B2と第3部分B4とが第1方向(本実施形態ではZ方向)に連なって立ち上がった状態で、第1工程の実施位置から第3部分B4の折曲げ工程(第2工程)の実施位置に搬送される。そして、第3部分B4の折曲げ工程において、製造装置1によって下流側の第3部分B4が折り曲げられた後、図20に示す製造装置1Dによって上流側の第3部分B4が折り曲げられる。
なお、製造装置1Dは、第1押圧ユニット50D及び第2押圧ユニット60DのX方向おける位置が互いに入れ替わっている点で、前述した製造装置1と相違し、その他の部分においては、製造装置1と共通している。
【0114】
製造装置1Dにおいては、図20が示すようにブランクBの上流側の端が、上流側から位置P8に到達したことを不図示のセンサが検知すると、搬送部11Dの駆動が停止する。その後、第1押圧ユニット50D側の機構が第1状態から第2状態に移行し、第1押圧部53DがX方向と平行になる位置で停止する。その後、搬送部11Dの駆動が再開され、不図示のモータを逆回転させることにより、ブランクBがX方向の下流側から上流側に搬送される。ブランクBの上流側の端が、図20に示すように、位置P9に到達したことを不図示のセンサが検知すると、搬送部11Dの駆動が停止する。これにより、第1押圧部53Dを、X方向の上流側において第3部分B4と対向する第1位置に静止させた状態となり、より具体的には、第1押圧部53Dは、X方向の上流側において、第3部分B4との間に隙間Cを設けた状態で静止する。
【0115】
次に、図21に示すように、第2押圧ユニット60D側の機構が第1状態から第2状態に移行する。その移行過程においてブランクBの上流側の端が位置P10まで移動すると、第1押圧部53DがX方向の上流側から第3部分B4の外表面を押圧し、且つ第2押圧部63DがX方向の下流側から第2部分B2の内表面を押圧する状態となる。最終的には、図21に示すように、上流側の第3部分B4が第2部分B2に対して折り曲げられる。
これにより、底面部A1を挟んで隣り合う一対の内フラップA3を有する箱を製造する際に、双方の第3部分B4を連続して折り曲げることができ、第3部分B4の折曲げ工程を効率的に実施することができる。
【符号の説明】
【0116】
1,1C,1D 製造装置
10 搬送機構
11,11D,12,13 搬送部
11a 搬送面
14 搬送ガイド
20 折曲げ機構
30 駆動部
31 エアシリンダ
31a エアシリンダ本体
31b ロッド
32 支持具
40 伝達部
41 伝達部材
42,42A 回転軸
43 軸受
44 フレーム
50,50D 第1押圧ユニット
51,61,61A アーム
52,62 角度調整部材
52a,52b,62a,62b 面
53,53B,53D 第1押圧部
54B,64 平坦部
55B,65 傾斜部
53a 主面
53b 端面
60,60A,60D 第2押圧ユニット
63,63A,63D 第2押圧部
64a 先端面
A 箱
A1 底面部
A2,A3 側面部
A4 内フラップ
A5 外フラップ
B ブランク
B1 第1部分
B2,B3 第2部分
B4 第3部分
B5 第4部分
C,G 隙間
L 折曲げ線
M,N 角度
P1~P10 位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21