(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104014
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法および車両制御システム
(51)【国際特許分類】
B60L 7/24 20060101AFI20240726BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240726BHJP
B60W 30/045 20120101ALI20240726BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20240726BHJP
B60T 8/26 20060101ALI20240726BHJP
B60T 8/1755 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B60L7/24 D
B60L15/20 S
B60W30/045
B60T8/17 C
B60T8/26 Z
B60T8/1755 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008009
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 聡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 圭介
【テーマコード(参考)】
3D241
3D246
5H125
【Fターム(参考)】
3D241BA18
3D241BC01
3D241BC02
3D241CA08
3D241CC03
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3D241DA13Z
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3D241DC47Z
3D246AA08
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3D246GB08
3D246GB12
3D246GB39
3D246HA02A
3D246HA05B
3D246HA08A
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3D246HA14B
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3D246HC01
3D246JA12
3D246JB05
3D246JB06
3D246JB29
3D246JB34
3D246JB53
3D246KA06
5H125DD16
(57)【要約】
【課題】 車両の旋回加減速の初期段階から車両の安定性を向上できる車両制御装置、車両制御方法および車両制御システムを提供する。
【解決手段】 車両制御装置17は、後輪2RL,2RRの回生制動力によって車両を減速させ、かつ車両を旋回させるとき、後輪2RL,2RRの回生制動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を増加させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に摩擦制動力を発生させる摩擦制動装置と、前記車両に回生制動力を発生させる回生制動装置と、を有する前記車両に備えられた車両制御装置であって、
前記車両制御装置が備えるコントロール部は、
前記車両の前輪と後輪のうち、いずれか一方の回生輪の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記回生輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記回生輪の回生制動力の分、摩擦制動力を増加させる、または
前記車両の前輪と後輪の両方の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記後輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記後輪の回生制動力の分、前記前輪の回生制動力を増加させる、
制御指令を出力する車両制御装置。
【請求項2】
前記回生輪は前記車両の後輪である請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記車両の後輪の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記後輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記後輪の回生制動力の分、摩擦制動力を増加させる指令である、
車両制御装置
【請求項3】
請求項2に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記車両が旋回中に、前記車両のブレーキ操作変化量が所定の第1ブレーキ操作変化量閾値を上回った場合、前記後輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記後輪の回生制動力の分、摩擦制動力を増加させる指令である、
車両制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記ブレーキ操作変化量が前記第1ブレーキ操作変化量閾値を上回った後に、所定の第2ブレーキ操作変化量閾値を下回った場合、増加させた摩擦制動力を減少させ、減少させる摩擦制動力の分、前記後輪の回生制動力を増加させる指令である、
車両制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記ブレーキ操作変化量が前記第1ブレーキ操作変化量閾値を上回った場合に減少させる前記後輪の回生制動力の減少勾配より、前記第2ブレーキ操作変化量閾値を下回った場合に増加させる前記後輪の回生制動力の増加勾配を小さくする指令である、
車両制御装置
【請求項6】
請求項4に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
推定路面摩擦係数が大きくなるにしたがって、前記減少させる摩擦制動力を大きくする指令である、
車両制御装置。
【請求項7】
請求項3に記載の車両制御装置であって、
前記第1ブレーキ操作変化量閾値は、前記車両の横加速度が小さくなるにしたがって大きく設定する、
車両制御装置。
【請求項8】
請求項2に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記車両の後輪の回生制動力による前記車両の減速中、前記車両の操舵角変化量が所定の第1操舵角変化量閾値を上回った場合、前記後輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記後輪の回生制動力の分、摩擦制動力を増加させる指令である、
車両制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記操舵角変化量が前記第1操舵角変化量閾値を上回った後に、所定の第2操舵角変化量閾値を下回った場合、増加させた摩擦制動力を減少させ、減少させる摩擦制動力の分、前記後輪の回生制動力を増加させる指令である、
車両制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記操舵角変化量が前記第1操舵角変化量閾値を上回った場合に減少させる前記後輪の回生制動力の減少勾配より、前記第2操舵角変化量閾値を下回った場合に増加させる前記後輪の回生制動力の増加勾配を小さくする指令である、
車両制御装置。
【請求項11】
請求項8に記載の車両制御装置であって、
前記第1操舵角変化量閾値は、前記車両の速度が小さくなるにしたがって大きく設定する、
車両制御装置。
【請求項12】
前記回生輪は前記車両の前輪である請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記車両の前輪の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記前輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記前輪の回生制動力の分、摩擦制動力を増加させる指令である、
車両制御装置
【請求項13】
請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記車両の前輪と後輪の両方の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記後輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記後輪の回生制動力の分、前記前輪の回生制動力を増加させる指令である、
車両制御装置。
【請求項14】
請求項1に記載の車両制御装置であって、
前記制御指令は、
前記車両の前輪と後輪のうち、いずれか一方の回生輪の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記回生輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記回生輪の回生制動力の分、摩擦制動力を増加させた後に、前記車両のブレーキ操作変化量が所定のブレーキ操作変化量閾値を下回った場合、かつ操舵角変化量が所定の操舵角変化量閾値を下回った場合、増加させた摩擦制動力を減少させ、減少させる摩擦制動力の分、前記回生輪の回生制動力を増加させる指令である、
または、前記車両の前輪と後輪の両方の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記後輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記後輪の回生制動力の分、前記前輪の回生制動力を増加させた後に、前記車両のブレーキ操作変化量が所定のブレーキ操作変化量閾値を下回った場合、かつ操舵角変化量が所定の操舵角変化量閾値を下回った場合、増加させた前記前輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記前輪の回生制動力の分、前記後輪の回生制動力を増加させる指令である、
車両制御装置。
【請求項15】
車両に摩擦制動力を発生させる摩擦制動装置と、前記車両に回生制動力を発生させる回生制動装置と、を有する前記車両に設けられたコントロールユニットが実行する車両制御方法であって、
前記コントロールユニットは、
前記車両の前輪と後輪のうち、いずれか一方の回生輪の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記回生輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記回生輪の回生制動力の分、摩擦制動力を増加させる、または
前記車両の前輪と後輪の両方の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記後輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記後輪の回生制動力の分、前記前輪の回生制動力を増加させる、
制御指令を出力する車両制御方法。
【請求項16】
車両に摩擦制動力を発生させる摩擦制動装置と、
前記車両に回生制動力を発生させる回生制動装置と、
前記車両に設けられたコントロールユニットであって、
前記車両の前輪と後輪のうち、いずれか一方の回生輪の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記回生輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記回生輪の回生制動力の分、摩擦制動力を増加させる、または
前記車両の前輪と後輪の両方の回生制動力によって前記車両を減速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記後輪の回生制動力を減少させ、減少させる前記後輪の回生制動力の分、前記前輪の回生制動力を増加させる、
制御指令を出力するコントロールユニットと、
を備える車両制御システム。
【請求項17】
車両に駆動力を発生させる駆動装置を有する前記車両に備えられた車両制御装置であって、
前記車両制御装置が備えるコントロール部は、
前記車両の前輪と後輪の両方の駆動力によって前記車両を加速させ、かつ前記車両を旋回させるとき、前記後輪の駆動力を減少させ、減少させる前記後輪の駆動力の分、前記前輪の駆動力を増加させる、
制御指令を出力する車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法および車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、旋回中の回生制動力のみによる制動中に、前後車輪速差が閾値を上回った場合には、回生制動力を減少させると共に4輪の摩擦制動力を増加させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術にあっては、車両の挙動に基づいて回生制動力の減少および摩擦制動力の増加を開始しているため、旋回減速の初期段階から車両の安定性を向上できないおそれがあった。
本発明の目的の一つは、車両の旋回加減速の初期段階から車両の安定性を向上できる車両制御装置、車両制御方法および車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態における車両制御装置において、コントロール部は、車両の前輪と後輪のうち、いずれか一方の回生輪の回生制動力によって車両を減速させ、かつ車両を旋回させるとき、回生輪の回生制動力を減少させ、減少させる回生輪の回生制動力の分、摩擦制動力を増加させる、制御指令を出力する。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明の車両制御装置にあっては、車両の旋回加減速の初期段階から車両の安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1の車両制御システムを備えた電動車両1の概略図である。
【
図2】実施形態1の車両制御装置17における減速中旋回開始時の制動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】実施形態1の車両制御装置17における旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】実施形態1の車速に応じた第1操舵角変化量閾値の設定マップである。
【
図5】実施形態1の推定路面μに応じた掛け替え割合の設定マップである。
【
図6】実施形態1の横Gに応じた第1ブレーキ操作変化量閾値の設定マップである。
【
図7】従来の後輪駆動の電動車両において、定常旋回中に運転者がブレーキ操作を行った際の、ブレーキ操作量、制動力、車輪速およびヨーレイトのタイムチャートである。
【
図8】実施形態1の車両制御装置17における低μ路での減速中旋回開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すステア操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図9】実施形態1の車両制御装置17における高μ路での減速中旋回開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すステア操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図10】実施形態1の車両制御装置17における低μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図11】実施形態1の車両制御装置17における高μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図12】実施形態2の車両制御システムを備えた電動車両1Aのパワートレインの概略図である。
【
図13】従来の前輪駆動の電動車両において、定常旋回中に運転者がブレーキ操作を行った際の、ブレーキ操作量、制動力、車輪速およびヨーレイトのタイムチャートである。
【
図14】実施形態2の車両制御装置17における低μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図15】実施形態2の車両制御装置17における高μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図16】実施形態3の車両制御システムを備えた電動車両1Bのパワートレインの概略図である。
【
図17】従来の4輪駆動の電動車両において、定常旋回中に運転者がブレーキ操作を行った際の、ブレーキ操作、トルク指令、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図18】実施形態3の車両制御装置17における低μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、トルク指令、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図19】実施形態3の車両制御装置17における高μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、トルク指令、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図20】実施形態4の車両制御装置17における加速中旋回開始時の駆動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図21】実施形態4の車両制御装置17における旋回中加速開始時の制動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図22】実施形態4の推定路面μに応じた掛け替え割合の設定マップである。
【
図23】従来の4輪駆動の電動車両において、定常旋回中に運転者がアクセル操作を行った際の、アクセル操作、駆動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図24】実施形態4の車両制御装置17における低μ路での旋回中加速開始時の駆動力掛け替え制御の動作を示すアクセル操作、駆動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【
図25】実施形態4の車両制御装置17における高μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すアクセル操作、駆動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1の車両制御システムを備えた電動車両1の概略図である。
電動車両1は、前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRと、各輪に設けられ車輪に摩擦制動力を発生させる摩擦ブレーキ(摩擦制動装置)3FL,3FR,3RL,3RR(以下、各輪の摩擦ブレーキを総称して摩擦ブレーキ3とも記載する。)を有する。
電動車両1は、後輪2RL,2RRにトルク(駆動トルク、回生トルク)を出力するリアモータジェネレータ(回生制動装置および駆動装置であり、以下、リアモータと称す。)7を有する。後輪2RL,2RRは駆動輪かつ回生輪である。リアモータ7および後輪2RL,2RR間の動力伝達は、減速機8、ディファレンシャル10およびリア車軸6RL,6RRを介して行われる。
【0009】
各車輪2FL,2FR,2RL,2RRは、車輪速を検出する車輪速センサ11FR,11FL,11RL,11RRを有する。リアモータ7は、モータ速度(モータ回転数)を検出する後輪用レゾルバ13を有する。また、電動車両1は、車両の前後方向加速度(前後G)および横方向加速度(横G)を検出するGセンサ5を有する。
摩擦ブレーキ3は、各輪と一体に回転するブレーキロータに対し、各輪の回転軸方向にブレーキパッドを押し付けて摩擦力により制動力を発生させる。実施形態1の摩擦ブレーキ3は、ブレーキ液圧により作動するホイルシリンダによってブレーキパッドを押し付ける構成について説明するが、電動モータにより駆動するボールねじ機構等を介してブレーキパッドを押し付ける構成としてもよく、特に限定しない。
【0010】
電動車両1は、低電圧バッテリ14および高電圧バッテリ15を有する。低電圧バッテリ14は、例えば鉛蓄電池である。高電圧バッテリ15は、例えばリチウムイオン電池またはニッケル水素電池である。高電圧バッテリ15は、DC-DCコンバータ16により昇圧された電力により充電される。
電動車両1は、車両制御装置(コントロール部)17、ブレーキ制御装置18、リアモータ制御装置20およびバッテリ制御装置19を有する。各制御装置17,18,20は、CANバス21を介してお互いに情報を共有する。
【0011】
車両制御装置17は、後輪用レゾルバ13、アクセル操作量を検出するアクセルペダルセンサ22、ブレーキ操作量を検出するブレーキセンサ23、ステアリングホイール(不図示)の操舵角を検出する操舵角センサ24等の各種センサから情報を取得し、車両の統合制御を行う。車両制御装置17は、運転者のアクセル操作等に応じた目標駆動力を設定し、目標駆動力を得る駆動トルク指令をリアモータ制御装置20に出力する。また、車両制御装置17は、運転者のブレーキ操作等に応じた目標制動力を設定し、目標制動力を得る回生トルク指令をリアモータ制御装置20に出力する。なお、車両制御装置17は、リアモータ7の回生制動力のみでは目標制動力が達成できない場合、不足分の制動力を得る摩擦制動トルク指令をブレーキ制御装置18に出力し、回生制動力と摩擦制動力とによって目標制動力を実現する回生協調制御を実施する。
【0012】
ブレーキ制御装置18は、摩擦制動トルク指令に基づいて、各輪に必要なブレーキ液圧を発生させ、油圧配管18aを通して摩擦ブレーキ3に出力する。
バッテリ制御装置19は、高電圧バッテリ15の充放電状態および高電圧バッテリ15を構成する単電池セルを監視する。バッテリ制御装置19は、高電圧バッテリ15の充放電状態等に基づいて、バッテリ要求トルク制限値を算出する。バッテリ要求トルク制限値は、リアモータ7において許容する最大トルクである。例えば高電圧バッテリ15の充電量が低下しているときには、通常よりもバッテリ要求トルク制限値を小さな値に設定する。
リアモータ制御装置20は、駆動トルク指令または回生トルク指令に基づいて、リアモータ7に供給する電力を制御する。
【0013】
実施形態1の電動車両1では、旋回減速時の車両の安定性の向上を狙いとし、後輪2RL,2RRの回生制動力により車両を減速させ、かつ車両を旋回させるとき、後輪2RL,2RRの回生制動力を減少させ、減少させる回生制動力の分、各輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を増加させる、制動力の掛け替えを実施する。ここで、「旋回」とは、カーブ走行のみならず、車線変更や障害物回避動作等も含む。
図2および
図3は、実施形態1の車両制御装置17による制動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。
図2および
図3に示すフローチャートは、車両起動中、所定の制御周期毎に繰り返し並列して実施される。まず、
図2のフローチャートから説明する。
【0014】
図2は、実施形態1の車両制御装置17における減速中旋回開始時の制動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1では、ブレーキ操作量が一定値以上であるか否かを判定する。YESの場合はステップS2へ進み、NOの場合はステップS7へ進む。
ステップS2では、路面摩擦係数(以下、路面μとも言う。)の推定を開始し、推定路面μの最小値を保持、更新する。推定路面μの算出方法は既知であり、例えば、検知した車輪のスリップ量から算出する方法や、操舵角に対する路面反力等の特性から算出する方法が知られている。
【0015】
ステップS3は、操舵角の微分値である操舵角変化量が第1操舵角変化量閾値を上回ったか否かを判定する。YESの場合はステップS4へ進み、NOの場合はリターンへ進む。
図4は、実施形態1の車速に応じた第1操舵角変化量閾値の設定マップである。操舵角に対して発生する横Gは、車速に応じて変化する。このため、
図4のマップでは、車速が高いほど第1操舵角変化量が小さくなるように設定されている。第1操舵角変化量閾値は、横Gが発生しない極低速域で最大値、横Gが所定値を超える高速域では最小値を取る。
【0016】
ステップS4では、後輪2RL,2RRの回生制動力を所定の減少勾配でゼロまで減少させ、減少させる回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を増加させる制動力の掛け替えを実施する。
ステップS5では、操舵角変化量が第2操舵角変化量閾値を下回ったか否かを判定する。YESの場合はステップS6へ進み、NOの場合はステップS5を繰り返す。第2操舵角変化量閾値は、
図4に示した第1操舵角変化量閾値の特性をプラス側に所定値だけオフセットさせた特性とする。
【0017】
ステップS6では、増加させた4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を所定の減少勾配で減少させ、減少させる摩擦制動力の分、後輪2RL,2RRの回生制動力を増加させる制動力の掛け替えを実施し、車両の総制動力に対する回生制動力および摩擦制動力の配分を、操舵前の配分まで戻す。このとき、回生制動力の増加勾配は、ステップS4における回生制動力の減少勾配よりも傾き(変化率)を小さくする。また、目標制動力まで回生制動力を増加させる場合を掛け替え割合100%としたとき、記憶された推定路面μ(の最小値)に応じて、目標制動力に対して回生制動力を増加させる割合、すなわち掛け替え割合を変化させる。
図5は、実施形態1の推定路面μに応じた掛け替え割合の設定マップである。
図5のマップでは、推定路面μが高μとみなせる場合には、掛け替え割合が100%であり、それ以下の場合には、推定路面μが小さいほど掛け替え割合が低くなるように設定されている。なお、推定路面μが低μとみなせる場合には、掛け替え割合が0%であり、この場合は、制動力の掛け替えは実施しない。
ステップS7では、路面μの推定を終了し、推定路面μを高μ相当にリセットする。
【0018】
次に、
図3のフローチャートを説明する。
図3は、実施形態1の車両制御装置17における旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS11では、操舵角が一定値以上であるか否かを判定する。YESの場合はステップS2へ進み、NOの場合はステップS17へ進む。
ステップS12では、ステップS2と同様に、路面μの推定を開始し、推定路面μの最小値を保持、更新する。
【0019】
ステップS13では、ブレーキ操作量の微分値であるブレーキ操作変化量が第1ブレーキ操作変化量閾値を上回ったか否かを判定する。YESの場合はステップS14へ進み、NOの場合はリターンへ進む。
図6は、実施形態1の横Gに応じた第1ブレーキ操作変化量閾値の設定マップである。
図6のマップでは、横Gが高いほど第1ブレーキ操作変化量閾値が小さくなるように設定されている。第1ブレーキ操作変化量閾値は、旋回内輪にスリップが生じない低横G領域で最大値、旋回内輪にスリップが生じる高横G領域で最小値を取る。
【0020】
ステップS14では、ステップS4と同様に、後輪2RL,2RRの回生制動力を所定の減少勾配でゼロまで減少させ、減少させる回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を増加させる制動力の掛け替えを実施する。
ステップS15では、ブレーキ操作変化量が第2ブレーキ操作変化量閾値を下回ったか否かを判定する。YESの場合はステップS16へ進み、NOの場合はステップS15を繰り返す。第2ブレーキ操作変化量閾値は、
図6に示した第1ブレーキ操作変化量閾値の特性をプラス側に所定値だけオフセットさせた特性とする。
【0021】
ステップS16では、ステップS6と同様に、増加させた4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を所定の減少勾配で減少させ、減少させる摩擦制動力の分、後輪2RL,2RRの回生制動力を増加させる制動力の掛け替えを実施し、車両の総制動力に対する回生制動力および摩擦制動力の配分を、操舵前の配分まで戻す。このとき、回生制動力の増加勾配は、ステップS4における回生制動力の減少勾配よりも傾き(変化率)を小さくする。また、ステップS6と同様に、
図5のマップに基づき、記憶された推定路面μ(の最小値)に応じて、目標制動力に対して回生制動力を増加させる割合、すなわち掛け替え割合を変化させる。
ステップS17では、ステップS7と同様に、路面μの推定を終了し、推定路面μを高μ相当にリセットする。
【0022】
次に、実施形態1の作用効果を説明する。
電動車両は、航続距離を確保するために、減速時は積極的に駆動源による回生制動を行い、制動時に失われるエネルギーを電力として回収する必要がある。このため、後輪駆動の電動車両では、後輪のみの制動となることが多くなる。一方、特に低μ路で後輪の回生制動力を大きくすると、制動しながら車両を旋回させる際、後輪の横力低下による車輪のロックが発生しやすくなり、後輪が先にロックすることでオーバーステア挙動が生じるやすくなる。これら2つの背景から、後輪駆動の電動車両では、減速時の電力回生量と旋回時の車両安定性とがトレードオフになる構成上の課題を有する。
【0023】
上記課題を解決するために、従来の電動車両では、
図7に示すように、旋回減速中に後輪がスリップして前後輪の車輪速差が大きくなると、後輪の回生制動力を減少させ、その減少分だけ4輪の摩擦制動力を増加させる手法が知られている。ところが、この従来技術による回生制動力と摩擦制動力との掛け替えは、後輪のスリップが発生した後の対策であるため、車両の旋回減速の初期段階から車両の安定性を高めることは困難であった。
【0024】
これに対し、実施形態1の電動車両1では、後輪2RL,2RRの回生制動力によって車両を減速させ、かつ、車両を旋回させるとき、後輪2RL,2RRの回生制動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を増加させる。これにより、後輪2RL,2RRのロックを抑制できるため、制動中の旋回初期または旋回中の制動初期から車両の安定性を向上できる。
【0025】
図8は、実施形態1の車両制御装置17における低μ路での減速中旋回開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すステア操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
時点t1で運転者が操舵を開始し、時点t2で操舵角変化量が第1操舵角変化量閾値を上回ったため、後輪2RL,2RRの回生制動力を所定の減少勾配でゼロまで減少させ、減少させる回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を所定の増加勾配で増加させる制動力の掛け替えを開始する。時点t3では、後輪2RL,2RRの回生制動力がゼロとなり、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力のみでの減速となるため、後輪2RL,2RRのスリップが収束する。この結果、旋回の初期段階からオーバーステア挙動の発生を抑制できる。
時点t4では、操舵角変化量が第2操舵角変化量閾値を下回るが、低μ路走行中であるため、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力から後輪2RL,2RRの回生制動力への制動力の掛け替えは実施しない。これにより、低μ路走行中に後輪2RL,2RRの横力が再度低下するのを抑制できる。
【0026】
図9は、実施形態1の車両制御装置17における高μ路での減速中旋回開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すステア操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。
時点t4よりも前の区間は、
図8の場合と同様であるため説明を省略する。
時点t4では、操舵角変化量が第2操舵角変化量閾値を下回り、かつ、高μ路走行中であるため、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を所定の減少勾配(増加時の勾配よりも小さな勾配)で減少させ、減少させる摩擦制動力の分だけ後輪2RL,2RRの回生制動力を所定の増加勾配(減少時の勾配よりも小さな勾配)で増加させる制動力の掛け替えを実施する。従来の電動車両では、
図7に示したように、後輪の回生制動力から4輪の摩擦制動力へ掛け替えた後は、回生制動力を禁止しているが、高μ路走行時であって、操舵とブレーキ操作が安定したと見なせる変化量となったときには、後輪の回生制動力を増やしてもオーバーステア挙動が発生する可能性は低い。よって、この場合は摩擦制動力から回生制動力への掛け替えを行うことにより、従来技術と比べて、旋回中の回生により回収可能な電力量を増大できる。
時点t5では、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力がゼロとなり、後輪2RL,2RRの回生制動力のみでの減速となる。
【0027】
図10は、実施形態1の車両制御装置17における低μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。前提として、操舵角は一定であり、車両は定常旋回中とする。
時点t1で運転者がブレーキ操作を開始したため、後輪2RL,2RRの回生制動力が立ち上がる。時点t2でブレーキ操作変化量が第1ブレーキ操作変化量閾値を上回ったため、後輪2RL,2RRの回生制動力を所定の減少勾配でゼロまで減少させ、減少させる回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を所定の増加勾配で増加させる制動力の掛け替えを開始する。時点t3では、後輪2RL,2RRの回生制動力がゼロとなり、時点t3以降は、ブレーキ操作量に応じて4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力のみが増加する。これにより、後輪2RL,2RRの横力低下に伴うスリップが抑制され、減速の初期段階からオーバーステア挙動の発生を抑制できる。
時点t4では、ブレーキ操作変化量が第2ブレーキ操作変化量閾値を下回るが、低μ路走行中であるため、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力から後輪2RL,2RRの回生制動力への制動力の掛け替えは実施しない。これにより、低μ路走行中に後輪2RL,2RRの横力が再度低下するのを抑制できる。
【0028】
図11は、実施形態1の車両制御装置17における高μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。前提として、操舵角は一定であり、車両は定常旋回中とする。
時点t4よりも前の区間は、
図10の場合と同様であるため説明を省略する。
時点t4では、ブレーキ操作変化量が第2ブレーキ操作変化量閾値を下回り、かつ、高μ路走行中であるため、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を所定の減少勾配(増加時の勾配よりも小さな勾配)で減少させ、減少させる摩擦制動力の分だけ後輪2RL,2RRの回生制動力を所定の増加勾配(減少時の勾配よりも小さな勾配)で増加させる制動力の掛け替えを実施する。これにより、電力回生量の低下を抑制できる。
時点t5では、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力がゼロとなり、後輪2RL,2RRの回生制動力のみでの減速となる。
【0029】
実施形態1では、旋回中にブレーキ操作変化量が第1ブレーキ操作変化量閾値を上回った場合、後輪2RL,2RRの回生制動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を増加させる。操舵角が一定の場合、車両の挙動はブレーキ操作変化量に依存し、ブレーキ操作変化量が大きい場合には、車両の挙動が不安定となる可能性が高い。よって、ブレーキ操作変化量が第1ブレーキ操作変化量閾値を上回った場合に限り、回生制動力から摩擦制動力への掛け替えを実施することにより、減速時に回生による電力回収が不要に制限されるのを抑制できる。
【0030】
ブレーキ操作変化量が第1ブレーキ操作変化量閾値を上回った場合に減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の減少勾配より、第2ブレーキ操作変化量閾値を下回った場合に増加させる後輪2RL,2RRの回生制動力の増加勾配を小さくする。ブレーキ操作変化量が変化している場合には、乗員は回生制動力から摩擦制動力への掛け替えに伴う車両の挙動変化を感じにくい。一方、ブレーキ操作変化量がほぼ一定の場合には、乗員は摩擦制動力から回生制動力への掛け替えに伴う車両の挙動変化を感じやすく、違和感となる。よって、上記のように回生制動力の減少勾配と増加勾配を設定することにより、摩擦制動力から回生制動力への掛け替え時に乗員に与える違和感を軽減できる。
【0031】
ブレーキ操作変化量が第2ブレーキ操作変化量閾値を下回った場合に減少させる4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力は、推定路面μが大きくなるにしたがって減少量を大きくする。ブレーキ操作変化量が安定して摩擦制動力から回生制動力へ掛け替えを行う際、路面μが低い場合には後輪2RL,2RRのスリップが生じやすく、路面μが高い場合にはスリップが生じにくい。よって、路面μが高いほど増加させる回生制動力を大きくすることにより、オーバーステア挙動の抑制と減速時の電力回生量の増大との両立を図れる。
【0032】
第1ブレーキ操作変化量閾値は、車両の横Gが小さくなるにしたがって大きく設定する。横Gが小さいほどオーバーステア挙動は生じにくいため、横Gが小さいほど第1ブレーキ操作変化量閾値を大きくすることにより、減速時に回生による電力回収が不要に制限されるのを抑制できる。
【0033】
実施形態1では、後輪2RL,2RRの回生制動力による車両の減速中に操舵角変化量が第1操舵角変化量閾値を上回った場合、後輪2RL,2RRの回生制動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を増加させる。減速度が一定の場合、車両の挙動は操舵角変化量に依存し、操舵角変化量が大きい場合には、車両の挙動が不安定となる可能性が高い。よって、操舵角変化量が第1操舵角変化量閾値を上回った場合に限り、回生制動力から摩擦制動力への掛け替えを実施することにより、減速時に回生による電力回収が不要に制限されるのを抑制できる。
【0034】
操舵角変化量が第1操舵角変化量閾値を上回った場合に減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の減少勾配より、第2操舵角変化量閾値を下回った場合に増加させる後輪2RL,2RRの回生制動力の増加勾配を小さくする。操舵角変化量が変化している場合には、乗員は回生制動力から摩擦制動力への掛け替えに伴う車両の挙動変化を感じにくい。一方、操舵角変化量がほぼ一定の場合には、乗員は摩擦制動力から回生制動力への掛け替えに伴う車両の挙動変化を感じやすく、違和感となる。よって、上記のように回生制動力の減少勾配と増加勾配を設定することにより、摩擦制動力から回生制動力への掛け替え時に乗員に与える違和感を軽減できる。
【0035】
第1操舵角変化量閾値は、車両の速度が小さくなるにしたがって大きく設定する。車速が低いほどオーバーステア挙動は生じにくいため、車速が小さいほど第1操舵角変化量閾値を大きくすることにより、減速時に回生による電力回収が不要に制限されるのを抑制できる。
【0036】
〔実施形態2〕
実施形態2の基本的な構成は実施形態1と同様であるため、実施形態1と相違する部分のみ説明する。
図12は、実施形態2の車両制御システムを備えた電動車両1Aのパワートレインの概略図である。
電動車両1Aは、前輪2FL,2FRにトルクを出力するフロントモータジェネレータ(回生制動装置および駆動装置であり、以下、フロントモータと称す。)25を有する。前輪2FL,2FRは駆動輪かつ回生輪である。フロントモータ25および前輪2FL,2FR間の動力伝達は、減速機26、ディファレンシャル27およびフロント車軸28FL,28FRを介して行われる。フロントモータ25は、モータ速度(モータ回転数)を検出する前輪用レゾルバ29を有する。
【0037】
車両制御装置17は、前輪用レゾルバ29等の各種センサから情報を取得し、車両の統合制御を行う。車両制御装置17は、運転者のアクセル操作等に応じた目標駆動力を設定し、目標駆動力を得る駆動トルク指令をフロントモータ制御装置30に出力する。また、車両制御装置17は、運転者のブレーキ操作等に応じた目標制動力を設定し、目標制動力を得る回生トルク指令をフロントモータ制御装置30に出力する。
フロントモータ制御装置30は、駆動トルク指令または回生トルク指令に基づいて、フロントモータ25に供給する電力を制御する。
その他の構成は、
図1に示した実施形態1と同様である。
【0038】
実施形態2の電動車両1Aでは、旋回減速時の車両の安定性の向上を狙いとし、前輪2FL,2FRの回生制動力により車両を減速させ、かつ車両を旋回させるとき、前輪2FL,2FRの回生制動力を減少させ、減少させる回生制動力の分、各輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を増加させる、制動力の掛け替えを実施する。
【0039】
実施形態2の制動力掛け替え制御処理の流れは、
図2および
図3に示した実施形態1の減速中旋回開始時の制動力掛け替え制御処理および旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御処理と同様である。実施形態2では、
図2のステップS4、ステップS6および
図3のステップS14、ステップS16の後輪2RL,2RRに対する処理を、前輪2FL,2FRに対する処理に置き換えて適用する。
【0040】
次に、実施形態2の作用効果を説明する。
前輪駆動の電動車両では、前輪のみの制動となることが多いため、特に低μ路で前輪の回生制動力を大きくすると、制動しながら車両を旋回させる際、前輪の横力低下による車輪のロックが発生しやすくなり、前輪が先にロックすることでアンダーステア挙動が生じやすくなる。
従来の電動車両では、
図13に示すように、旋回減速中に前輪がスリップして前後輪の車輪速差が大きくなるまでは、前輪の回生制動力から4輪の摩擦制動力への掛け替えを開始しない。このため、旋回中の制動初期からアンダーステア挙動を抑制するのは困難であった。
【0041】
これに対し、実施形態2の電動車両1Aでは、前輪2FL,2FRの回生制動力によって車両を減速させ、かつ車両を旋回させるとき、前輪2FL,2FRの回生制動力を減少させ、減少させる前輪2FL,2FRの回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を増加させる。これにより、前輪2FL,2FRのロックを抑制できるため、制動中の旋回初期または旋回中の制動初期から車両の安定性を向上できる。
【0042】
図14は、実施形態2の車両制御装置17における低μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。前提として、操舵角は一定であり、車両は定常旋回中とする。
時点t1で運転者がブレーキ操作を開始したため、前輪2FL,2FRの回生制動力が立ち上がる。時点t2でブレーキ操作変化量が第1ブレーキ操作変化量閾値を上回ったため、前輪2FL,2FRの回生制動力を所定の減少勾配でゼロまで減少させ、減少させる回生制動力の分、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を所定の増加勾配で増加させる制動力の掛け替えを開始する。時点t3では、前輪2FL,2FRの回生制動力がゼロとなり、時点t3以降は、ブレーキ操作量に応じて4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力のみが増加する。これにより、前輪2FL,2FRの横力低下に伴うスリップが抑制され、減速の初期段階からオーバーステア挙動の発生を抑制できる。
時点t4では、ブレーキ操作変化量が第2ブレーキ操作変化量閾値を下回るが、低μ路走行中であるため、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力から前輪2FL,2FRの回生制動力への制動力の掛け替えは実施しない。これにより、低μ路走行中に前輪2FL,2FRの横力が再度低下するのを抑制できる。
【0043】
図15は、実施形態2の車両制御装置17における高μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、制動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。前提として、操舵角は一定であり、車両は定常旋回中とする。
時点t4よりも前の区間は、
図14の場合と同様であるため説明を省略する。
時点t4では、ブレーキ操作変化量が第2ブレーキ操作変化量閾値を下回り、かつ、高μ路走行中であるため、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力を所定の減少勾配(増加時の勾配よりも小さな勾配)で減少させ、減少させる摩擦制動力の分だけ前輪2FL,2FRの回生制動力を所定の増加勾配(減少時の勾配よりも小さな勾配)で増加させる制動力の掛け替えを実施する。これにより、電力回生量の低下を抑制できる。
時点t5では、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの摩擦制動力がゼロとなり、前輪2FL,2FRの回生制動力のみでの減速となる。
以上のように、実施形態2の電動車両1Aにあっては、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0044】
〔実施形態3〕
実施形態3の基本的な構成は実施形態1または実施形態2と同様であるため、実施形態1または実施形態2と相違する部分のみ説明する。
図16は、実施形態3の車両制御システムを備えた電動車両1Bのパワートレインの概略図である。
電動車両1Bは、後輪2RL,2RRにトルクを出力するリアモータ7および前輪2FL,2FRにトルクを出力するフロントモータ25を有する。前輪2FL,2FRおよび後輪2RL,2RRは駆動輪かつ回生輪である。
【0045】
車両制御装置17は、後輪用レゾルバ13、前輪用レゾルバ29、アクセル操作量を検出するアクセルペダルセンサ22、ブレーキ操作量を検出するブレーキセンサ23、ステアリングホイール(不図示)の操舵角を検出する操舵角センサ24等の各種センサから情報を取得し、車両の統合制御を行う。車両制御装置17は、運転者のアクセル操作等に応じた目標駆動力を設定し、目標駆動力を得る駆動トルク指令をリアモータ制御装置20およびフロントモータ制御装置30に出力する。また、車両制御装置17は、運転者のブレーキ操作等に応じた目標制動力を設定し、目標制動力を得る回生トルク指令をリアモータ制御装置20およびフロントモータ制御装置30に出力する。前後輪の回生制動力の配分は、例えば前輪:後輪=6:4とする。
その他の構成は、
図1に示した実施形態1または図に示した実施形態2と同様である。
【0046】
実施形態3の電動車両1Bでは、旋回減速時の車両の安定性の向上を狙いとし、4輪2FL,2FR,2RL,2RRの回生制動力により車両を減速させ、かつ車両を旋回させるとき、後輪2RL,2RRの回生制動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の分、前輪2FL,2FRの回生制動力を増加させる、制動力の掛け替えを実施する。
【0047】
実施形態3の制動力掛け替え制御処理は、
図2および
図3に示した実施形態1の減速中旋回開始時の制動力掛け替え制御処理および旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御処理と同様である。以下、異なる部分のみ説明する。
ステップS4およびステップS14では、前後輪の回生制動力の配分が、たとえば2:8または1:9となるように、後輪2RL,2RRの回生制動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の分、前輪2FL,2FRの回生制動力を増加させる制動力の掛け替えを実施する。
ステップS6およびステップS16では、増加させた前輪2FL,2FRの回生制動力を減少させ、減少させる前輪2FL,2FRの回生制動力の分、後輪2RL,2RRの回生制動力を増加させる制動力の掛け替えを実施し、前後輪の回生制動力の配分を、操舵前の配分(6:4)まで戻す。
【0048】
次に、実施形態3の作用効果を説明する。
4輪駆動の電動車両では、制動時に前後輪で回生制動力を発生させるが、特に低μ路での旋回減速時には、車両の重心が前輪側へ移動するため、
図17に示すように、後輪の横力低下による車輪のロックが発生しやすくなり、後輪が先にロックすることでオーバーステア挙動が生じやすくなる。
そこで、実施形態3の電動車両1Bでは、前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRの両方の回生制動力によって車両を減速させ、かつ車両を旋回させるとき、後輪2RL,2RRの回生制動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の分、前輪2FL,2FRの回生制動力を増加させる。これにより、後輪2RL,2RRのロックを抑制できるため、制動中の旋回初期または旋回中の制動初期から車両の安定性を向上できる。
【0049】
図18は、実施形態3の車両制御装置17における低μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、トルク指令、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。前提として、操舵角は一定であり、車両は定常旋回中とする。
時点t1で運転者がブレーキ操作を開始したため、前後輪の回生制動力が立ち上がる。時点t2でブレーキ操作変化量が第1ブレーキ操作変化量閾値を上回ったため、後輪2RL,2RRの回生制動力を所定の減少勾配で減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの回生制動力の分、前輪2FL,2FRの回生制動力を所定の増加勾配で増加させる制動力の掛け替えを開始する。時点t3では、前後輪の回生制動力の配分が9:1となる。
時点t4では、ブレーキ操作変化量が第2ブレーキ操作変化量閾値を下回るが、低μ路走行中であるため、前輪2FL,2FRの回生制動力を減少させ、後輪2RL,2RRの回生制動力を増加させる制動力の掛け替えは実施しない。これにより、低μ路走行中に後輪2RL,2RRの横力が再度低下するのを抑制できる。
【0050】
図19は、実施形態3の車両制御装置17における高μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すブレーキ操作、トルク指令、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。前提として、操舵角は一定であり、車両は定常旋回中とする。
時点t4よりも前の区間は、
図18の場合と同様であるため説明を省略する。
時点t4では、ブレーキ操作変化量が第2ブレーキ操作変化量閾値を下回り、かつ、高μ路走行中であるため、前輪2FL,2FRの回生制動力を所定の減少勾配で減少させ、減少させる前輪2FL,2FRの回生制動力の分だけ後輪2RL,2RRの回生制動力を所定の増加勾配で増加させる制動力の掛け替えを実施する。これにより、電力回生量の低下を抑制できる。
時点t5では、前後輪の回生制動力の配分が、ブレーキ操作前の配分(6:4)まで戻る。
【0051】
〔実施形態4〕
実施形態4の基本的な構成は実施形態3と同様であるため、実施形態1と相違する部分のみ説明する。
実施形態4の電動車両1Bでは、旋回加速時の車両の安定性の向上を狙いとし、車両の前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRの両方の駆動力によって車両を加速させ、かつ車両を旋回させるとき、後輪2RL,2RRの駆動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの駆動力の分、前輪2FL,2FRの駆動力を増加させる、駆動力の掛け替えを実施する。ここで、「後輪2RL,2RRの駆動力を減少させる」とは、現在の後輪2RL,2RRの駆動力を減少させる場合だけでなく、後輪2RL,2RRの駆動力に上限を設けることをいう。
図20および
図21は、実施形態4の車両制御装置17による駆動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。
図20および
図21に示すフローチャートは、車両起動中、所定の制御周期毎に繰り返し並列して実施される。まず、
図20のフローチャートから説明する。
【0052】
図20は、実施形態4の車両制御装置17における加速中旋回開始時の駆動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図2のフローチャートと同様の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS21では、アクセル操作量が一定値以上であるか否かを判定する。YESの場合はステップS22へ進み、NOの場合はステップS27へ進む。
ステップS24では、後輪2RL,2RRの駆動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの駆動力の分、前輪2FL,2FRの駆動力を増加させる駆動力の掛け替えを実施する。
ステップS26では、増加させた前輪2FL,2FRの駆動力を減少させ、減少させる前輪2FL,2FRの駆動力の分、後輪2RL,2RRの駆動力を増加させる駆動力の掛け替えを実施する。このとき、ステップS6と同様に、
図5に基づき、記憶された推定路面μ(の最小値)に応じて、後輪2RL,2RRの駆動力を増加させる割合、すなわち掛け替え割合を変化させる。
【0053】
次に、
図21のフローチャートを説明する。
図21は、実施形態4の車両制御装置17における旋回中加速開始時の制動力掛け替え制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図3のフローチャートと同様の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS33では、アクセル操作量の微分値であるアクセル操作変化量が第1アクセル操作変化量閾値を上回ったか否かを判定する。YESの場合はステップS14へ進み、NOの場合はリターンへ進む。
図22は、実施形態1の横Gに応じた第1アクセル操作変化量閾値の設定マップである。
図22のマップでは、横Gが高いほど第1アクセル操作変化量閾値が小さくなるように設定されている。第1アクセル操作変化量閾値は、旋回内輪にスリップが生じない低横G領域で最大値、旋回内輪にスリップが生じる高横G領域で最小値を取る。
【0054】
ステップS34では、ステップS24と同様に、後輪2RL,2RRの駆動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの駆動力の分、前輪2FL,2FRの駆動力を増加させる駆動力の掛け替えを実施する。
ステップS35では、アクセル操作変化量が第2アクセル操作変化量閾値を下回ったか否かを判定する。YESの場合はステップS36へ進み、NOの場合はステップS35を繰り返す。第2アクセル操作変化量閾値は、
図21に示した第1アクセル操作変化量閾値の特性をプラス側に所定値だけオフセットさせた特性とする。
【0055】
ステップS36では、ステップS26と同様に、増加させた前輪2FL,2FRの駆動力を減少させ、減少させる前輪2FL,2FRの駆動力の分、後輪2RL,2RRの駆動力を増加させる駆動力の掛け替えを実施する。このとき、ステップS26と同様に、
図5のマップに基づき、記憶された推定路面μ(の最小値)に応じて、目標制動力に対して回生制動力を増加させる割合、すなわち掛け替え割合を変化させる。
【0056】
次に、実施形態4の作用効果を説明する。
4輪駆動の電動車両では、加速時は車両の重心が後輪側へ移動するため、通常は後輪のみ駆動力を発生させている。従来の電動車両では、
図23に示すように、前後輪の車輪速差が大きくなると、前輪の駆動力を発生させて後輪の駆動力を低下させることにより、オーバーステア挙動を抑えているが、後輪のスリップが発生した後の対策であるため、車両の旋回加速の初期段階から車両の安定性を高めることは困難であった。
これに対し、実施形態4では、車両の前輪2FL,2FRと後輪2RL,2RRの両方の駆動力によって車両を加速させ、かつ車両を旋回させるとき、後輪2RL,2RRの駆動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの駆動力の分、前輪2FL,2FRの駆動力を増加させる。これにより、加速中の旋回初期または旋回中の加速初期から車両の安定性を向上できる。
【0057】
図24は、実施形態4の車両制御装置17における低μ路での旋回中加速開始時の駆動力掛け替え制御の動作を示すアクセル操作、駆動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。前提として、操舵角は一定であり、車両は定常旋回中とする。
時点t1で運転者がアクセル操作を開始したため、後輪2RL,2RRの駆動力が立ち上がる。時点t2でアクセル操作変化量が第1アクセル操作変化量閾値を上回ったため、後輪2RL,2RRの駆動力を減少させ、減少させる後輪2RL,2RRの駆動力の分、前輪2FL,2FRの駆動力を増加させる駆動力の掛け替えを開始する。時点t3では、後輪2RL,2RRの駆動力が上限に達する。
時点t4では、アクセル操作変化量が第2アクセル操作変化量閾値を下回るが、低μ路走行中であるため、前輪2FL,2FRの駆動力を減少させ、後輪2RL,2RRの駆動力を増加させる制動力の掛け替えは実施しない。これにより、低μ路走行中に後輪2RL,2RRの横力が再度低下するのを抑制できる。
【0058】
図25は、実施形態4の車両制御装置17における高μ路での旋回中減速開始時の制動力掛け替え制御の動作を示すアクセル操作、駆動力、車輪速、ヨーレイトおよび推定路面μのタイムチャートである。前提として、操舵角は一定であり、車両は定常旋回中とする。
時点t4よりも前の区間は、
図18の場合と同様であるため説明を省略する。
時点t4では、アクセル操作変化量が第2アクセル操作変化量閾値を下回り、かつ、高μ路走行中であるため、前輪2FL,2FRの駆動力を減少させ、減少させる前輪2FL,2FRの駆動力の分だけ後輪2RL,2RRの駆動力を増加させる駆動力の掛け替えを実施する。
時点t5では、前後輪の駆動力の配分が、アクセル操作前の配分まで戻る。
【0059】
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施形態では、回生制動力をゼロまで減少させる例を示したが、ゼロよりも大きな所定値まで減少させてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…電動車両(車両)、2FL,2FR…前輪、2RL,2RR…後輪、3…摩擦ブレーキ(摩擦制動装置)、7…リアモータ(回生制動装置、駆動装置)、17…車両制御装置(コントロール部)