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  • 特開-孔壁測定方法 図1
  • 特開-孔壁測定方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104015
(43)【公開日】2024-08-02
(54)【発明の名称】孔壁測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 17/00 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
G01B17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008011
(22)【出願日】2023-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 秀和
【テーマコード(参考)】
2F068
【Fターム(参考)】
2F068AA14
2F068BB08
2F068CC11
2F068DD04
2F068EE01
2F068FF03
2F068FF12
2F068JJ12
2F068JJ22
2F068KK04
2F068LL03
2F068NN01
(57)【要約】
【課題】センサーを杭芯に合わせて正確にセットすることができる孔壁測定方法を提供する。
【解決手段】孔壁測定方法は、削孔機のケーシング30を設置するケーシング設置工程と、孔壁測定器1の上部に全方位プリズム2を設置する全方位プリズム設置工程と、ケーシング30の上部に孔壁測定器1を設置する孔壁測定器設置工程と、全方位プリズム2から離れた箇所に計測器を設置する計測器設置工程と、全方位プリズム2及び計測器によって、孔壁測定器1が新築の杭芯に一致するように、孔壁測定器1の位置を調整する孔壁測定器調整工程と、孔壁測定器1から超音波センサー12をケーシング30内に吊り下げて、超音波センサー12を新築の杭芯に合わせるようにして、超音波センサー12によって、孔壁31までの距離r1,r2を測定する測定工程と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔機のケーシングを設置するケーシング設置工程と、
孔壁測定器の上部に全方位プリズムを設置する全方位プリズム設置工程と、
前記ケーシングの上部に前記孔壁測定器を設置する孔壁測定器設置工程と、
前記全方位プリズムから離れた箇所に計測器を設置する計測器設置工程と、
前記全方位プリズム及び前記計測器によって、前記孔壁測定器が新築の杭芯に一致するように、前記孔壁測定器の位置を調整する孔壁測定器調整工程と、
前記孔壁測定器から超音波センサーを前記ケーシング内に吊り下げて、前記超音波センサーを前記新築の杭芯に合わせるようにして、前記超音波センサーによって、孔壁までの距離を測定する測定工程と、を備える孔壁測定方法。
【請求項2】
前記ケーシング内に充填されるベントナイト液の比重は、1.05g/cm以下である請求項1に記載の孔壁測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔壁測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、新築工事で施工する杭が既存地下躯体と干渉する場合、全周旋回機やロックオーガー機等の削孔機によって、地上から予め既存地下躯体を撤去する必要がある。地下躯体の残る場所を掘削してケーシングを設置した後に、ケーシング内に超音波式側壁測定装置を設置して側壁を測定する技術が提案されている(下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-88829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の孔壁測定方法では、側壁測定装置のセンサーを新築の杭芯に正確にセットすることが困難であり、正確なデータを取得することができないという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、センサーを新築の杭芯に合わせて正確にセットすることができる孔壁測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る孔壁測定方法は、削孔機のケーシングを設置するケーシング設置工程と、孔壁測定器の上部に全方位プリズムを設置する全方位プリズム設置工程と、前記ケーシングの上部に前記孔壁測定器を設置する孔壁測定器設置工程と、前記全方位プリズムから離れた箇所に計測器を設置する計測器設置工程と、前記全方位プリズム及び前記計測器によって、前記孔壁測定器が新築の杭芯に一致するように、前記孔壁測定器の位置を調整する孔壁測定器調整工程と、前記孔壁測定器から超音波センサーを前記ケーシング内に吊り下げて、前記超音波センサーを前記新築の杭芯に合わせるようにして、前記超音波センサーによって、孔壁までの距離を測定する測定工程と、を備える。
【0007】
このように構成された孔壁測定方法では、孔壁測定器の上部に設置された全方位プリズム及び計測器によって、新築の杭芯座標と現在の位置の孔壁測定器との差(ずれ)を測定する。差(ずれ)がなくなるように孔壁測定器及び孔壁測定器から吊り下げられた超音波センサーを新築の杭芯に合わせて安全且つ正確にセットすることができる。
【0008】
また、本発明に係る既設孔壁測定方法は、前記ケーシング内に充填されるベントナイト液の比重は、1.05g/cm以下であってもよい。
【0009】
このように構成された孔壁測定方法では、ケーシング内に充填されるベントナイト液の比重は1.05g/cm以下であるため、超音波センサーの反射光が減衰することなく正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る孔壁測定方法によれば、センサーを新築の杭芯に合わせて正確にセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る孔壁測定方法を説明する図である。
図2】本発明の一実施形態に係る孔壁測定方法を説明する図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る孔壁測定方法について説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、本開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等を異ならせている。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る孔壁測定方法を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態に係る孔壁測定方法では、孔壁測定器1、全方位プリズム2及び計測器3を使用する。
【0014】
孔壁測定器1は、筐体11と、測定器本体13と、を有している。筐体11には、超音波センサー12が収容されている。測定器本体13には、ウインチ機構14が設けられている。ウインチ機構14にはワイヤー15が吊り下げられ、ワイヤー15の下端部には筐体11が取り付けられている。超音波センサー12が収容された筐体11は、ウインチ機構14によって、上下方向に移動可能とされている。
【0015】
孔壁測定器1は、超音波センサー12によって、ケーシング30の孔壁31の内面までの距離r1,r2を測定する装置である。孔壁測定器1は、例えば、光やレーザーを発射して、それが反射して戻ってきた時間を測ることによって距離r1,r2を計測することができる機器である。
【0016】
全方位プリズム2は、全周から入射する光を、その入射方向と反対の方向に反射する機器である。
【0017】
計測器3は、全方位プリズム2から離れて設置されている。計測器3は、測定光を全方位プリズム2に向けて照射する。全方位プリズム2及び計測器3によって測定された座標に基づいて、新築の杭芯と孔壁測定器1との差(ずれ)を測定する。計測器3として、例えば、トプコン社の杭ナビ(登録商標)を使用することができる。
【0018】
次に、孔壁測定器1を使用した孔壁測定方法について説明する。
まず、ケーシング設置工程を行う。削孔機で地盤の削孔を行い、ケーシング30を所定の位置に設置する。ケーシング30の内部には、ベントナイト液33が満たされている。なお、後述する孔壁測定器1による測定は、ケーシング30内のベントナイト液33中での超音波の反射によって行われているため、ベントナイト液33の比重が1.05g/cm以下であることが好ましい。ベントナイト液33の比重が非常に高い泥水(汚水)であると、超音波センサー12の超音波が減衰するため、正確な結果を得られない場合がある。
【0019】
次に、全方位プリズム設置工程を行う。孔壁測定器1の上端部1uに全方位プリズム2を設置して、固定する。
【0020】
次に、孔壁測定器設置工程を行う。ケーシング30の上端部30uに、孔壁測定器1を設置する。
【0021】
次に、計測器設置工程を行う。全方位プリズム2から離れた箇所に計測器3を設置する。
【0022】
次に、孔壁測定器調整工程を行う。全方位プリズム2及び計測器3によって、新築の杭芯と孔壁測定器1との差(ずれ)を測定する。孔壁測定器1を前後左右に動かすことによって差(ずれ)をなくし、孔壁測定器1を新築の杭芯に一致するように、孔壁測定器1の位置を調整する。
【0023】
次に、測定工程を行う。孔壁測定器1の筐体11をケーシング30内に降ろして、ウインチ機構14のワイヤー15に筐体11を吊り下げた状態にする。超音波センサー12を新築の杭芯に合わせた状態で、超音波センサー12によってケーシング30の孔壁31の内面までの正確な距離r1,r2を測定する。距離r1,r2が許容値内に収まっていることを確認する。
【0024】
このように構成された孔壁測定方法では、孔壁測定器1の上端部1uに設置された全方位プリズム2及び計測器3によって、新築の杭芯座標と現在の位置の孔壁測定器1との差(ずれ)を測定する。差(ずれ)がなくなるように孔壁測定器1及び孔壁測定器1から吊り下げられた超音波センサー12を新築の杭芯に安全且つ正確にセットすることができる。ケーシング30の孔壁31の内面までの距離r1,r2を測定することによって、ケーシング30内の水平方向のずれを正確に把握することができる。また、既設の地下躯体が残っている場所において、新築の杭を設置する前に、ケーシング30内の状況を正確に確認することができるため、新築の杭と既設の地下躯体との干渉トラブルを未然に防止することができる。
【0025】
また、ケーシング30内に充填されるベントナイト液33の比重は、1.05g/cm以下であるため、超音波センサー12の反射光が減衰することなく正確に測定することができる。
【0026】
また、既設地下躯体の残っている場所において、新築の杭を打つ前に、ケーシング30内の状況を正確に確認することができる。新築の杭と地下躯体との干渉トラブルを未然に防止することができる。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0028】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施形態に係る孔壁測定方法は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0029】
1 孔壁測定器
2 全方位プリズム
3 計測器
12 超音波センサー
30 ケーシング
31 孔壁
33 ベントナイト液
r1,r2 距離
r1 距離
r2 距離
図1
図2